JPWO2020004586A1 - 蓄熱材組成物、およびその利用 - Google Patents

蓄熱材組成物、およびその利用 Download PDF

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Abstract

(a)22.5℃付近で安定的に、温度管理対象物品を温度保持可能であり、および/または、(b)居住空間の快適な温度保持が可能である、新規の蓄熱材組成物、およびその利用技術を提供することを課題とする。特定の高級炭化水素とラウリルアルコールとを含む蓄熱材組成物とすることで課題を達成する。

Description

本発明は、蓄熱材組成物、およびその利用技術に関する。
研究機関または病院等の医療機関で取り扱われる医薬品、医療機器、細胞、検体、臓器、および化学物質等、並びにスーパーマーケット等で取り扱われる食品等の物品の中には、所定の温度(以下、「管理温度」と称する場合がある。)の範囲内で取り扱われることが好ましい物品がある。そのような物品を「温度管理対象物品」とも称する。温度管理対象物品は、品質保持のために管理温度にて温度管理される。特に、温度管理対象物品を輸送または保管する場合には、温度管理対象物品を所定の時間、管理温度の範囲内にて保冷または保温することが好ましい。
従来、温度管理対象物品を保冷または保温する方法としては、次の(1)および(2)を含む方法等があげられる。(1)断熱性を有する容器内に、予め凍結もしくは凝固、または、融解させた蓄熱材、を配置して保温容器とする。(2)その後、保温容器に温度管理対象物品を収容し、当該蓄熱材の潜熱を利用して、収容した温度管理対象物品を保冷または保温する。
ここで、温度管理対象物品を管理温度の範囲内にて長時間維持するためには、保温容器に配置する蓄熱材として、管理温度の範囲内に融解温度または凝固温度を有し、且つ、大きな潜熱を持つ蓄熱材を用いることが好ましい。
温度管理対象物品、および当該温度管理対象物品の管理温度の具体例としては以下の通りである。輸液バッグに充填された全血製剤および赤血球製剤の管理温度は一般的に2〜6℃が好ましいとされ、薬品の管理温度は一般的に2〜8℃が好ましいとされ、生物学的組織の管理温度は一般的に18〜22℃が好ましいとされ、輸液バッグに充填された血小板製剤の管理温度は一般的に21〜24℃が好ましく、22.5℃が特に好ましいとされ、動物の人工授精用卵子、および精子等の管理温度は一般的に35℃以上が好ましいとされている。
従来、0℃を超える管理温度に適した蓄熱材組成物として、いくつかの蓄熱材組成物が開発されており、開発された蓄熱材組成物が実際に使用されている。
例えば、特許文献1には、温度管理対象物品であるアイテムを熱的にパッケージする装置において、アルコールで実質的に満たされた少なくとも1つの容器を備え、アルコールが相変化を経ることを特徴とする装置が開示されている。用いられるアルコールとしては、1−デカノールまたは1−ドデカノールといった高級アルコールが開示されている。
特許文献2には、炭素数9〜24の高級アルカンと炭素数6〜20の高級アルコールの混合物を主成分とした蓄熱材組成物が開示されている。
特許文献3には、炭素数14の高級アルコールおよびパラフィンワックスの混合物を主成分とした蓄熱材組成物が開示されている。
特表2007−501925号公報 国際公開2014/092093号 特開2016−014088号公報
しかしながら、上述のような従来技術は、22.5℃付近で安定的に温度管理対象物品を温度保持するという観点からは、十分なものでなく、さらなる改善の余地があった。
本発明の一実施形態は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、(a)22.5℃付近で安定的に、温度管理対象物品を温度保持可能であり、および/または、(b)居住空間の快適な温度保持が可能である、新規の蓄熱材組成物、およびその利用技術を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、特定の高級炭化水素とラウリルアルコールとを含むことにより、(a)22.5℃付近で安定的に、温度管理対象物品を温度保持可能であり、および/または、(b)居住空間の快適な温度保持が可能である、蓄熱材組成物が得られる、という新規知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、高級炭化水素(A)とラウリルアルコール(B)とを含み、以下の(1)〜(5)の条件を全て満たす:(1)上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の重量比率は、上記蓄熱材組成物100重量%に対して、2重量%以上22重量%以下である;(2)上記高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜35の炭化水素を2種類以上含み、上記高級炭化水素(A)が含む上記炭素数が20〜35の炭化水素の重量比率は、上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上である;(3)上記高級炭化水素(A)はDSC曲線における融解ピーク温度が35℃以上70℃以下である炭化水素を含む;(4)上記蓄熱材組成物は、融解温度と凝固温度との差、ΔTが1.0℃以内である; (5)上記蓄熱材組成物は、凝固点降下度が1.5℃未満である。
本発明の一実施形態によれば、(a)22.5℃付近で安定的に、温度管理対象物品を温度保持可能であり、および/または、(b)居住空間の快適な温度保持が可能である、という効果を奏する。
上側の図は凝固状態から融解状態へ相変化する間の蓄熱材組成物の温度変化を模式的に示したグラフであり、下側の図は融解状態から凝固状態へ相変化する間の蓄熱材組成物の温度変化を模式的に示したグラフである。 上側の図は本発明の一実施形態に係る蓄熱材の一例を、概略的に示す斜視図であり、下側の図は本発明の一実施形態に係る輸送容器の一例を、概略的に示す分解斜視図である。 上側の図は本発明の一実施形態に係る輸送容器の内部を概略的に示す斜視図であり、下側の図は上側の斜視図のA−A線断面を模式的に表す断面図である。 製造ロットの異なる市販のラウリルアルコールについて示差走査型熱量計(DSC)測定を行ったときに得られたDSC曲線である。 上側の図は市販のラウリルアルコール、および所定量の水を含有させた市販のラウリルアルコールについてDSC測定を行ったときに得られたDSC曲線であり、下側の図は上側の図のDSC測定で用いたラウリルアルコールを使用して作製した本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物についてDSC測定を行ったときに得られたDSC曲線である。 上側の図は融解状態から凝固状態へ相変化する間の比較例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフであり、下側の図は凝固状態から融解状態へ相変化する間の比較例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフである。 上側の図は融解状態から凝固状態へ相変化する間の比較例または実施例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフであり、下側の図は凝固状態から融解状態へ相変化する間の比較例または実施例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフである。 上側の図は融解状態から凝固状態へ相変化する間の比較例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフであり、下側の図は凝固状態から融解状態へ相変化する間の比較例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフである。 上側の図は融解状態から凝固状態へ相変化する間の実施例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフであり、下側の図は凝固状態から融解状態へ相変化する間の実施例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフである。 融解状態から凝固状態へ相変化する間の比較例または実施例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフである。 比較例または実施例の蓄熱材組成物について示差走査型熱量計(DSC)測定を行ったときに得られたDSC曲線を示すグラフ、および、各ピーク熱量を示す表である。 DSC曲線における各融解ピークのピーク面積を算出するときの、各融解ピークの区切りの設定基準を示した概略図である。 上側の図は融解状態から凝固状態へ相変化する間の比較例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフであり、下側の図は凝固状態から融解状態へ相変化する間の比較例の蓄熱材組成物の温度変化を示したグラフである。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態および/または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態および/または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
〔1.本発明の一実施形態の技術的思想〕
本発明者が鋭意検討した結果、上述した先行技術文献に記載の技術には、以下に示すような改善の余地または問題点があることを見出した。
特許文献1の技術は、アルコールの相変化を利用して容器内の温度を一定に保つことにより、装置内部の温度変化をほとんど生じさせないようにする装置を提供しようとするものである。特許文献1では、容器内の温度を一定に保つために、アルコールのみを用いている。しかし、本発明者の検討によれば、アルコールのみのように単一の物質を用いる場合、容器内の温度を任意の管理温度に設定することは困難であることが分かった。具体的には、本発明者は、組成成分が同じであり、かつ、製造ロットの異なる複数の高級アルコールについて、示差走査熱量計(DSC)を用いたDSC測定を行った。その結果、図4に示すように、それら高級アルコールはそれぞれ異なる融解ピーク温度を示し、融解ピーク温度にばらつきがあることを新たに確認した。なお、「融解ピーク温度」は、DSC曲線における融解ピークのピークトップ温度を意図し、本発明の一実施形態に係る「融解温度」とは定義が異なるものである。
これらの原因の1つとしては、以下のことが推測される。高級アルコールは複数の結晶構造をとることが可能である。そのため、不純物および環境変化等の影響によっては、高級アルコールがとり得る複数の結晶構造の存在割合が大きく変化し得る。その結果、DSC曲線の融解挙動および凝固挙動が不安定になる。
従って、特許文献1の技術では、容器内の温度を任意の管理温度に設定するのは困難である。さらに、容器内の温度を任意の管理温度に設定するために、当該管理温度付近の融解温度を有する高級アルコールを用いた場合であっても、上述した理由から、高級アルコールの融解温度および凝固温度は安定しないといえる。そのため、特許文献1の技術は、医薬品、医療機器、細胞、検体、および臓器等、狭い範囲の管理温度が要求される物品の輸送または保管には不向きであるという問題があった。
特許文献2の技術は、任意の管理温度を有する温度管理対象物品の輸送または保管に利用することを目的としている。特許文献2の技術は、上記管理温度付近に融解温度を有すると共に、融解挙動および融解温度のばらつきがなく、一定の融解温度を有する蓄熱材組成物を提供しようとするものである。特許文献2の蓄熱材組成物に関する技術では、特許文献1の課題を解決するために、蓄熱材組成物は、融解温度差が互いに小さい2種以上の原料を含むものである。これによって、特許文献2の技術は、融解挙動および融解温度のばらつきがなく、所望の融解温度を有する蓄熱材組成物を提供している。特許文献2の技術では、蓄熱材組成物の融解温度を所望の融解温度とするために、異なる2種以上の原料を用いており、これら2種以上の原料は、互いの融解温度差が小さく、混合して組成物とした結果、互いの融解温度に影響し合うものであった。そのため、蓄熱材組成物の融解温度は、原料物質の融解温度とは異なるものであった。ここで、本発明者は、特許文献2の技術について、電熱対および恒温槽を用いて蓄熱材組成物の凝固挙動を検討したところ、蓄熱材組成物の過冷却が大きく、安定した凝固温度が得られないということに初めて気付いた。従って、特許文献2の技術は、血小板製剤等、非常に狭い範囲の管理温度が要求される物品の輸送または保管に用いるためにはさらなる改善の余地があった。
特許文献3の技術は、体温近傍の管理温度(35〜37℃)を有する温度管理対象物品の輸送または保管に利用することを目的としている。特許文献3の技術は、上記管理温度付近に融解温度を有すると共に、融解挙動および融解温度のばらつきがなく、一定の融解温度を有する蓄熱材組成物を提供しようとするものである。特許文献3の蓄熱材組成物に関する技術では、特許文献1の課題を解決するために、蓄熱材組成物は、融解温度差が互いに大きい2種以上の原料を含むものである。これによって、特許文献3の技術は、37℃付近に融解温度を有する蓄熱材組成物を提供している。ただし、特許文献3では、蓄熱材組成物の融解温度は、原料物質の融解温度とは大きく異なるものであった。
上述したように、特許文献2および3の技術は、融解挙動および融解温度のばらつきがなく、一定の融解温度を有する蓄熱材組成物を提供するものである。しかし、いずれの技術も、蓄熱材組成物の融解温度は、原料物質の融解温度とは異なるものであった。換言すれば、特許文献2および3の技術では、原料物質の融解温度を有し、かつ、融解挙動および融解温度のばらつきがない蓄熱材組成物を得るという観点からは、さらなる改善の余地があった。ここで、ラウリルアルコールの融解温度は、化学便覧によれば23.5℃であり、電熱対および恒温槽を用いた本発明の一実施形態に係る測定方法によれば約22.4℃である。
本発明の一実施形態は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、(a)ラウリルアルコールの融解温度付近で、血小板製剤等の管理温度が22.5℃付近である温度管理対象物品を安定的に温度保持可能であり、および/または、(b)居住空間の快適な温度保持が可能である、新規の蓄熱材組成物、およびその利用技術を提供することにある。本発明の一実施形態の目的は、より好ましくは、(a)融解温度および凝固温度が、安定的に、21.5℃〜23.5℃の範囲内であり、(b)融解温度と凝固温度との差(ΔT)が小さく、かつ、(c)凝固点降下度(過冷却ともいう)が小さい、新規の蓄熱材組成物、およびその利用技術を提供することにある。
以下に、本発明の実施形態について、具体例を示して説明する。
〔2.蓄熱材組成物〕
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、高級炭化水素(A)とラウリルアルコール(B)とを含み、以下の(1)〜(5)の条件を全て満たす:(1)上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の重量比率は、上記蓄熱材組成物100重量%に対して、2重量%以上22重量%以下である;(2)上記高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜35の炭化水素を2種類以上含み、上記高級炭化水素(A)が含む上記炭素数が20〜35の炭化水素の重量比率は、上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上である;(3)上記高級炭化水素(A)はDSC曲線における融解ピーク温度が35℃以上70℃以下である炭化水素を含む;(4)上記蓄熱材組成物は、融解温度と凝固温度との差、ΔTが1.0℃以内である;(5)上記蓄熱材組成物は、凝固点降下度が1.5℃未満である。
上記構成によれば、本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、以下(A1)〜(A4)の利点を有する:
利点(A1)ラウリルアルコールの製造ロット間における融解挙動および凝固挙動のばらつきを抑制できること、
利点(A2)融解温度および凝固温度が、安定的に、21.5℃〜23.5℃の範囲内であること、
利点(A3)融解温度と凝固温度との差(ΔT)が小さい(例えば1.0℃以内である)こと、
利点(A4)凝固点降下度が小さい(例えば1.5℃未満である)こと。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、上記利点を有するが故に、(a)血小板製剤等の管理温度が22.5℃付近である温度管理対象物品の安定的な保管および輸送、および、(b)居住空間の快適な温度保持、のために好適に利用できる。
本明細書において、「居住空間」とは、家屋やビル等に代表される建築物の屋内の空間であり、かつ、人間が生活または活動する空間のことをいう。人間が快適に生活または活動できる温度範囲は、22.5℃付近であり、具体的には20.5℃〜24.5℃とされている。そのため、本明細書において「居住空間の快適な温度保持」とは、居住空間を20.5℃〜24.5℃に温度保持することをいう。
本明細書中では、「本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物」を、単に「本蓄熱材組成物」と称する場合もある。すなわち、用語「本蓄熱材組成物」は、本発明における蓄熱材組成物の一実施形態を意図する。
本蓄熱材組成物は、蓄熱材組成物が凝固状態(固体)から融解状態(液体)に相転移する間(換言すれば、融解する間)に熱エネルギーを吸収することによって、潜熱型の蓄熱材として利用できるものである。また、本蓄熱材組成物は、蓄熱材組成物が融解状態(液体)から凝固状態(固体)に相転移する間(換言すれば、凝固する間)に熱エネルギーを放出することによって、潜熱型の蓄熱材としても利用できるものである。従って、本蓄熱材組成物は「潜熱蓄熱材組成物」ともいえる。
本明細書において、用語「融解状態」には、上記「液体」だけではなく、後述する「ゲル状」も含まれる。
以下では、まず、本蓄熱材組成物に含まれる成分について説明し、次いで、本蓄熱材組成物の物性(例えば、融解温度)および製造方法について説明する。
〔2−1.蓄熱材組成物に含有される成分〕
<高級炭化水素(A)>
本発明の一実施形態において、高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜35の炭化水素を2種類以上含み、3種類以上含むことが好ましく、4種類以上含むことがより好ましく、5種類以上含むことがさらに好ましく、6種類以上含むことが特に好ましい。例えば、高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜35の炭化水素のうち、異なる炭素数の炭化水素を2種類以上含み、3種類以上含むことが好ましく、4種類以上含むことがより好ましく、5種類以上含むことがさらに好ましく、6種類以上含むことが特に好ましい。
高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜30の炭化水素を2種類以上含むことが好ましく、3種類以上含むことがより好ましく、4種類以上含むことがより好ましく、5種類以上含むことがさらに好ましく、6種類以上含むことが特に好ましい。例えば、高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜30の炭化水素のうち、異なる炭素数の炭化水素を2種類以上含むことが好ましく、3種類以上含むことがより好ましく、4種類以上含むことがより好ましく、5種類以上含むことがさらに好ましく、6種類以上含むことが特に好ましい。
高級炭化水素(A)の融解温度は、常温(例えば20℃)以上70℃以下であることが好ましい。高級炭化水素(A)の融解温度は、高級炭化水素(A)に含まれる炭化水素の融解温度に大きく依存する。それ故に、高級炭化水素(A)に含まれる炭化水素の融解温度は、常温(例えば20℃)以上70℃以下であることが好ましい。高級炭化水素(A)の融解温度、および、高級炭化水素(A)に含まれる炭化水素の融解温度は、より好ましくは30℃〜65℃であり、さらに好ましくは35℃〜55℃である。
本明細書において、高級炭化水素(A)の融解温度は、後述する蓄熱材組成物の融解温度と同様に、電熱対および恒温槽を用いて測定された値とする。
高級炭化水素(A)が含む、炭素数が20〜35の炭化水素の重量比率は、蓄熱材組成物中の高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上であり、55重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、65重量%以上であることがさらに好ましく、70重量%以上であることが特に好ましい。当該構成によると、上記(1)〜(4)の利点の効果をより享受できる。
高級炭化水素(A)が含む、炭素数が20〜30の炭化水素の重量比率は、蓄熱材組成物中の高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上であることが好ましく、55重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、65重量%以上であることがさらに好ましく、70重量%以上であることが特に好ましい。当該構成によると、上記(1)〜(4)の利点の効果をさらに享受できる。
高級炭化水素(A)は、DSC曲線における融解ピーク温度が、35℃以上70℃以下である炭化水素を含み、40℃以上65℃以下である炭化水素を含むことが好ましく、45℃以上60℃以下である炭化水素を含むことがより好ましく、45℃以上55℃以下である炭化水素を含むことがさらに好ましい。当該構成によると、上記(1)〜(4)の利点の効果をより享受できる。
高級炭化水素(A)は、DSC測定を行ったときに得られるDSC曲線において、35℃以上70℃以下に融解ピークを有することが好ましく、40℃以上65℃以下に融解ピークを有することがより好ましく、45℃以上60℃以下に融解ピークを有することがさらに好ましく、45℃以上55℃以下に融解ピークを有することが特に好ましい。当該構成によると、上記(1)〜(4)の利点の効果をより享受できる。
高級炭化水素(A)に含まれる炭化水素としては、蓄熱材組成物の使用温度範囲(例えば−20℃〜55℃)において十分に凝固および融解することから、n−エイコサン(融点37℃)、およびn−ドコサン(融点44℃)が好適に用いられ得る。ここで、化合物名の次に括弧書きで示した融点は、化学便覧より引用したものである。
本発明の一実施形態では、高級炭化水素(A)として、パラフィンワックスを使用することも可能である。パラフィンワックスとは、複数種の炭化水素を含む混合物であり、当該炭化水素は、原油を減圧蒸留したとき、留出油部分から分離抽出した結晶性の良い炭化水素であり、直鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)である。ある特定の炭素数の直鎖状炭化水素を抽出精製する必要が無い理由から、パラフィンワックスは低コストかつ大量生産が可能である。そのため、高級炭化水素(A)として、パラフィンワックスを使用することが好ましい。
なお、パラフィンワックスに含まれる炭化水素の種類は、ガスクロマトグラフィー等の手法により、解析できる。パラフィンワックスとしては、炭素数が20〜35の炭化水素を2種類以上含むものが多い。パラフィンワックスとしては、炭素数が20〜30の炭化水素を2種類以上含むものも多い。
パラフィンワックスの具体例としては、日本精蝋社製の、パラフィンワックス115(融点48℃)、パラフィンワックス120(融点50℃)、パラフィンワックス125(融点53℃)、パラフィンワックス130(融点56℃)、パラフィンワックス135(融点59℃)、パラフィンワックス140(融点61℃)、パラフィンワックス145(融点63℃)、パラフィンワックス150(融点66℃)、パラフィンワックス155(融点69℃)、パラフィンワックスHNP−3(融点64℃)、パラフィンワックスHNP−5(融点63℃)、パラフィンワックスHNP−11(融点68℃)、パラフィンワックスHNP−12(融点67℃)、パラフィンワックスSP−0145(融点62℃)、パラフィンワックスSP−01039(融点60℃)、パラフィンワックスSP−3035(融点60℃)、パラフィンワックスSP−3040(融点63℃)、パラフィンワックスEMW−0001(融点49℃)、パラフィンワックスEMW−0003(融点49℃)、パラフィンワックスHi−Mic−2045(融点64℃)等があげられる。高級炭化水素(A)に好適に使用され得るパラフィンワックスは、蓄熱材組成物の使用温度範囲(例えば−20℃〜55℃)において十分に凝固および融解することから、パラフィンワックス115(融点48℃)、パラフィンワックス120(融点50℃)、パラフィンワックス125(融点53℃)が挙げられ、パラフィンワックス115(融点48℃)が特に好ましい。ここで、化合物名の次に括弧書きで示した融点は、製造元である日本精蝋社のカタログより引用したものである。
日本精蝋社製の、パラフィンワックス115(融点48℃)、パラフィンワックス120(融点50℃)、パラフィンワックス125(融点53℃)、パラフィンワックス130(融点56℃)、パラフィンワックス135(融点59℃)、パラフィンワックス140(融点61℃)、パラフィンワックス145(融点63℃)、パラフィンワックス150(融点66℃)、パラフィンワックスHNP−3(融点64℃)、パラフィンワックスHNP−5(融点63℃)、パラフィンワックスHNP−11(融点68℃)、パラフィンワックスHNP−12(融点67℃)等は、(a)炭素数が20〜35の炭化水素を2種類以上含み、(b)パラフィンワックスが含む炭素数が20〜35の炭化水素の重量比率が、パラフィンワックス100重量%に対して、50重量%以上であり、(c)DSC曲線における融解ピーク温度が35℃以上70℃以下である炭化水素を含んでいる。そのため、上述したパラフィンワックスは、単独で、すなわち1種類のみで、高級炭化水素(A)として使用できる。
日本精蝋社製の、パラフィンワックス115(融点48℃)、パラフィンワックス120(融点50℃)、パラフィンワックス125(融点53℃)、パラフィンワックス130(融点56℃)、パラフィンワックス135(融点59℃)、パラフィンワックス140(融点61℃)等は、(a)炭素数が20〜30の炭化水素を2種類以上含み、(b)パラフィンワックスが含む炭素数が20〜30の炭化水素の重量比率が、パラフィンワックス100重量%に対して、50重量%以上であり、(c)DSC曲線における融解ピーク温度が35℃以上70℃以下である炭化水素を含んでいる。そのため、上述したパラフィンワックスは、単独で、すなわち1種類のみで、好ましい高級炭化水素(A)として使用できる。
高級炭化水素(A)としては、(a)上述した炭化水素の少なくとも2種類からなる組み合わせでもよく、(b)上述した炭化水素の1種類以上および上述したパラフィンワックスの1種類以上の組み合わせでもよく、または(c)上述したパラフィンワックスの1種類以上の組み合わせであってもよい。
高級炭化水素(A)は、炭素数が6〜19の炭化水素を含んでいてもよく、炭素数が35を超える炭化水素を含んでいてもよい。また、本蓄熱材組成物は、炭素数が1〜5の炭化水素を含んでいてもよい。高級炭化水素(A)は、DSC曲線における融解ピーク温度が、20℃以上35℃未満である炭化水素を含んでいてもよい。
高級炭化水素(A)は、DSC測定を行ったときに得られるDSC曲線における融解ピークが2つ以上であり、35℃以上70℃以下にあるピーク(a)の面積と、20℃以上35℃未満にあるピーク(b)の面積との面積比率((a)/(b))(以下、「ピーク面積比(a)/(b)」とも称する。)が95/5〜70/30であることが好ましい。上記構成によれば、得られる蓄熱材組成物は、昇降温試験の温度下降過程において、凝固温度よりも高温側でより一定速度で温度が下降する、という利点を有する。それ故に、得られる蓄熱材組成物を、(a)血小板製剤等の管理温度が22.5℃付近である温度管理対象物品のさらに安定的な保管および輸送、および、(b)居住空間のさらに快適な温度保持、のために好適に利用できる。ここで、DSC曲線におけるピーク面積とは、ピークを構成するDSC曲線とDSC曲線のベースラインとの間の領域の面積をいう。また、昇降温試験の温度下降過程における蓄熱材組成物の温度変化については、後述の〔2−2.蓄熱材組成物の物性〕の項で詳述する。
ピーク面積について、図12を参照して詳しく説明する。図12は、DSC曲線における各融解ピーク(単にピークともいう)のピーク面積を算出するときの、各融解ピークの区切りの設定基準を示した概略図である。図12において、2つの融解ピークをそれぞれ左ピークおよび右ピークとする。左ピークのピーク面積は、右上がりの斜線で示した領域の面積であり、右ピークのピーク面積は、左上がりの斜線で示した領域の面積である。
図12の最上部(最上段)の概略図に示すように、2つのピークが重なっていないとき、換言すれば、それぞれのピークについて、ピークを構成するDSC曲線の両端が、DSC曲線のベースラインと接しているとき、各ピーク面積は、ピークを構成するDSC曲線とDSC曲線のベースラインとの間の領域の面積をいう。
図12の中部(中段部)の概略図に示すように、2つのピークが重なっており、2つのピークの間に、2つのピークよりもベースラインに近い線(DSC曲線)が存在する場合、換言すれば2つのピークの間に谷が存在する場合を考える。この場合には、2つのピークの間にある最もベースラインと近い点をPとする。そして点Pとベースラインとを通る垂線を引き、かかる垂線とベースラインとの交点をQとする。ここで、各ピークを構成するDSC曲線と、ベースラインと、線分PQとに囲まれた領域の面積を各ピークのピーク面積とする。
図12の最下部(最下段)の概略図に示すように、2つのピークが重なっており、2つのピークの間に、2つのピークよりもベースラインに近い線が存在しない場合、換言すれば2つのピークの間に谷が存在しない場合を考える。この場合には、2つのピークのうちメインピークについて、2つのピークの間にあるメインピークを構成するDSC曲線をメインピークに沿って延長し(図12の最下部の概略図の一点斜線)、当該延長線とベースラインとの交点をQとする。そして、点Qとベースラインとを通る垂線を引き、かかる垂線とDSC曲線との交点をPとする。ここで、各ピークを構成するDSC曲線と、ベースラインと、線分PQとに囲まれた領域の面積を各ピークのピーク面積とする。ここで、メインピークとは、ピークの頂点(ピークトップ)とベースラインとを通る垂線において、ピークトップとベースラインとの間の線分の長さが最も長いピークを意図し、図12の最下部の概略図においては左ピークである。
なお、図12には2つの融解ピーク(左ピークおよび右ピーク)を示しているが、融解ピークが3つ以上である場合には、隣り合う2つの融解ピークについて、図12の設定基準に基づき、それぞれのピーク面積を求めればよい。
本蓄熱材組成物において、蓄熱材組成物中の高級炭化水素(A)の重量比率は、蓄熱材組成物100重量%に対して、好ましくは5重量%以上19重量%以下であり、より好ましくは6重量%以上15重量%以下であり、さらに好ましくは7重量%以上14重量%以下であり、特に好ましくは9重量%以上12重量%以下である。上記構成であれば、得られる蓄熱材組成物は、昇降温試験の温度下降過程において、凝固温度よりも高温側でより一定速度で温度が下降する、という利点を有する。
<ラウリルアルコール(B)>
本蓄熱材組成物はラウリルアルコール(B)を含む。ラウリルアルコールは高級アルコールの1種である。
本蓄熱材組成物において、蓄熱材組成物中のラウリルアルコール(B)の重量比率は、蓄熱材組成物100重量%に対して、好ましくは68重量%以上98重量%以下であり、より好ましくは70重量%以上95重量%以下であり、さらに好ましくは75重量%以上93重量%以下であり、特に好ましくは80重量%以上90重量%以下である。当該構成によると、上記(1)〜(4)の利点の効果をより享受できる。また、上記構成であれば、得られる蓄熱材組成物は、昇降温試験の温度下降過程において、凝固温度よりも高温側でより一定速度で温度が下降する、という利点も有する。
本蓄熱材組成物に含まれる高級炭化水素(A)およびラウリルアルコール(B)は、互いに相溶することが好ましい。相溶とは、使用する環境温度下での昇降温試験を実施したときに、融解温度が常に一定であり、融解状態において固相および液相の分離がないことをいう。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、後述するように、容器、または袋等に充填されて、蓄熱材を形成し得る。当該蓄熱材は、輸送容器内および住宅内に配置されて使用され得る。しかしながら、輸送もしくは運搬時に、または経年劣化等で、蓄熱材を形成する容器等が破損した場合には、破損した容器等から、該容器内に充填されていた蓄熱材組成物が漏れ出すこととなる。この場合、以下の(a)〜(c)等が懸念される:(a)温度管理対象物品を汚染して該温度管理対象物品を使用不可能にすること;(b)居住空間を汚染して、居住空間における生活または活動を不可能にすること;および(c)容器外へ流出した蓄熱材組成物による環境への悪影響。
そこで、蓄熱材組成物が充填された容器等が破損した場合であっても、蓄熱材組成物の流出を最小限に防ぐために、本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、増粘剤(ゲル化剤ともいう)を含有し、固体状(ゲル状を含む)となることが好ましい。
本蓄熱材組成物は、高級炭化水素(A)およびラウリルアルコール(B)を含有するため、水分の含有量が少ないものであり得る。それ故に、本蓄熱材組成物に使用する増粘剤としては、疎水性または両親媒性の増粘剤を選択することが好ましい。
そのような増粘剤としては、例えば、(a)(a−1)ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、ゲル状シリカ、および/または2−エチルヘキサン酸アルミニウムと、(a−2)ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸等の高級脂肪酸と、の混合物、(b)(b−1)ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、ゲル状シリカ、および/または2−エチルヘキサン酸アルミニウムと、(b−2)ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸等の高級脂肪酸のエステルと、の混合物、(c)ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸等の高級脂肪酸のエステル、並びに、(d)ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、および、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
前述した増粘剤の中でも、両親媒性であるため得られるゲルの安定性に優れており、かつ、環境適合性が高い観点から、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
増粘剤として一般的に知られる化合物は、そのほとんどが水のゲル化には有効であるが、水を含まない蓄熱材組成物(例えば、本蓄熱材組成物)のゲル化には不適であるという課題がある。ヒドロキシプロピルセルロースを増粘剤として用いることで、本蓄熱材組成物がごくわずかの水分を含む場合であっても、本蓄熱材組成物は、(a)優れた蓄熱性能(高い潜熱量)を維持することが可能となるとともに、(b)融解および凝固の挙動にも影響されることなく、十分にゲル化され得る、という利点を有する。
本蓄熱材組成物が増粘剤を含む場合、(a)蓄熱材組成物の使用が想定される環境温度下での昇降温試験後であっても、蓄熱材組成物において固相および液相の分離がないこと、および(b)容器または袋等の破損による蓄熱材組成物の漏洩時の蓄熱材組成物による環境負荷、および漏洩した蓄熱材組成物の回収時の作業負荷を低減することが可能となること、の利点を有する。上記昇降温試験については実施例にて詳述する。
本蓄熱材組成物が増粘剤を含む場合、蓄熱材組成物は、当該蓄熱材組成物の融解温度以上の環境下において、ゲル化し得る。増粘剤を含む蓄熱材組成物は、凝固状態(固体)から融解状態(ゲル状)に、または融解状態(ゲル状)から凝固状態(固体)に、相転移し得る。
増粘剤の使用量(配合量とも称する)は、使用される増粘剤の種類によって適切な範囲および最適な量が異なる。増粘剤としてヒドロキシプロピルセルロースを使用する場合、増粘剤は、蓄熱材組成物100重量%に対し、2.0重量%〜10.0重量%を使用することが好ましく、3.0重量%〜7.0重量%を使用することがさらに好ましい。ヒドロキシプロピルセルロースを、蓄熱材組成物の100重量%に対して、2.0重量%〜10.0重量%使用することにより、流動性を抑えた透明なゲルが得られる。
本蓄熱材組成物は、上記成分の他に、結晶核剤(例えば、四ホウ酸ナトリウム10水和物、ケイ酸塩、または氷晶石)、相分離防止剤(例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、メタリン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、またはイソステアリン酸カリウム)、香料、着色剤、抗菌剤、高分子ポリマー、界面活性剤、熱伝導性物質、反応促進剤、難燃剤、骨材、緩衝剤、分散剤、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、防藻剤、湿潤剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、その他の有機化合物、または、その他の無機化合物等を、必要に応じて含有することができる。
〔2−2.蓄熱材組成物の物性〕
蓄熱材組成物の「融解温度」とは、広義には「固体状の蓄熱材組成物が融解し始めて液化する間に、当該蓄熱材組成物が呈する温度」のことを意図する。なお、上記「液化」には上述した「ゲル化」も含まれる。上記「融解温度」について、より具体的に、図1の上側の図を用いて説明する。図1の上側の図は、恒温槽内に、凝固状態の蓄熱材組成物を設置した後、当該恒温槽の温度を低温(例えば15℃)から一定の昇温速度で温度上昇させた場合の、時間(縦軸)に対する蓄熱材組成物の温度(横軸)変化を模式的に示したグラフである。図1の上側のグラフに示すように、一定速度で上昇する恒温槽の温度と比較して、蓄熱材組成物の温度は、次の(a1)〜(a3)の順で変化する:(a1)一定速度で上昇する;(a2)温度Tにおいて蓄熱材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなり、温度Tから温度Tまで、定温を保持する;(a3)温度Tを境に、上昇を再開する。本明細書では、温度Tと温度Tとの中点の温度Tを「融解温度」と定義する。
蓄熱材組成物の「凝固温度」とは、広義には「液体状の蓄熱材組成物が凝固して固化するときに、当該蓄熱材組成物が呈する温度」のことを意図する。上記「凝固温度」について、より具体的に、図1の下側の図を用いて説明する。図1の下側の図は、恒温槽内に、融解状態の蓄熱材組成物を設置した後、当該恒温槽の温度を、高温(例えば100℃)から一定の降温速度で温度下降させた場合の、時間(縦軸)に対する蓄熱材組成物の温度(横軸)変化を模式的に示したグラフである。図1の下側のグラフに示すように、一定速度で下降する恒温槽の温度と比較して、蓄熱材組成物の温度は、次の(b1)〜(b3)の順で変化する:(b1)温度Tまで一定速度または略一定速度で下降する;(b2)温度Tから少し上昇した後、温度Tにおいて蓄熱材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなり、温度Tから温度Tまで、定温を保持する;(b3)温度Tを境に、下降を再開する。
本明細書では、温度Tと温度Tとの中点の温度Tを「凝固温度」と定義する。本明細書では、蓄熱材組成物の融解温度と凝固温度との差をΔT(℃)と称する。なお、上記(b2)において、蓄熱材組成物は、温度Tを示す前に、温度Tよりも低い温度Tを示している。これは、液体状の蓄熱材組成物が温度Tにおいて過冷却状態となっていることを示している。本明細書では、温度Tと温度Tとの差(=T−T)を、「凝固点降下度(℃)」と定義する。なお、蓄熱材組成物の温度下降過程において、上記(b2)に相当する領域すなわち、定温を保持する領域が存在しない場合もある。例えば、後述する比較例15の第2の凝固挙動が、この場合に相当する。この場合、温度Tを判定することが難しいため、温度Tを「凝固温度」と定義する。なお、上記「液体状」には上述した「ゲル状」も含まれる。
図1の下側のグラフにおける上記(b1)において、蓄熱材組成物の温度が温度Tまで一定速度で下降せず、略一定速度で下降する場合について説明する。この場合、蓄熱材組成物の温度は、ある時点まで一定速度で下降した後、一時的に温度変化が比較的緩やかになり、再び、温度Tまで一定速度で下降する。温度変化が比較的に緩やかになる時点の蓄熱材組成物の温度、および、比較的緩やかな温度変化を示す時間は、蓄熱材組成物の組成に依存する。また、上記の比較的緩やかな温度変化を示す時間は、図1の下側のグラフにおける上記(b2)における時間、すなわち、温度Tから温度Tまで定温を保持する時間、より短い。特定の理論に限定されるものではないが、蓄熱材組成物の温度が温度Tまで一定速度で下降する蓄熱材組成物は、蓄熱材組成物の温度が温度Tまで一定速度で下降せず、略一定速度で下降する蓄熱材組成物と比較して、所定の融解温度をより安定的に、かつ、より長時間維持するできるものと考えられる。それ故に、蓄熱材組成物は、昇降温試験の温度下降過程において、上述した比較的緩やかな温度変化を示す時間がより短い方が好ましい。換言すれば、蓄熱材組成物は、昇降温試験の温度下降過程において凝固温度よりも高温側でより一定速度で温度が下降することが好ましい。
本明細書において、蓄熱材組成物の融解温度および凝固温度は、市販の温度コントロールユニットを備えた恒温槽中に測定試料を入れ、恒温槽の温度を一定の速度で上昇または下降させ、そのときの試料温度を、熱電対を用いてモニターすることにより測定された値とする。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物の融解温度および/または凝固温度は、22.5℃付近であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物の融解温度は、21.5℃〜23.5℃であることが好ましく、21.8℃〜23.2℃であることがより好ましく、22.1℃〜22.9℃であることがさらに好ましく、22.4℃〜22.6℃であることがさらに好ましく、22.5℃であることが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物の凝固温度は、21.5℃〜23.5℃であることが好ましく、21.8℃〜23.2℃であることがより好ましく、22.1℃〜22.9℃であることがさらに好ましく、22.4℃〜22.6℃であることがさらに好ましく、22.5℃であることが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物の融解温度および凝固温度は、21.5℃〜23.5℃であることが好ましく、21.8℃〜23.2℃であることがより好ましく、22.1℃〜22.9℃であることがさらに好ましく、22.4℃〜22.6℃であることがさらに好ましく、22.5℃であることが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物の融解温度と凝固温度との差(ΔT)は、小さいほど好ましい。具体的には、本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物のΔTは、1.0℃以内であることが好ましく、0.8℃以内であることがより好ましく、0.5℃以内であることがさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る凝固点降下度は、小さいほど好ましい。具体的には、本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物の凝固点降下度は、1.5℃未満であることが好ましく、1.3℃以下であることがより好ましく、1.0℃以下であることがさらに好ましく、0.5℃以下であることが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、DSC測定を行ったときに得られるDSC曲線における融解ピークが1つであることが好ましいが、融解ピークが2つ以上であってもよい。本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物についてDSC測定を行ったときに得られるDSC曲線において、融解ピークが2つ以上である場合(以下、場合Aとする)を考える。場合Aでは、複数の融解ピークのうち、ピークの頂点(ピークトップ)とベースラインとを通る垂線において、ピークトップとベースラインとの間の線分の長さが最も長いピークをメインピークと称し、その他のピークをサブピークと称する。場合Aにおいて、メインピークおよびサブピークの合計熱量(J/g)を100%としたとき、サブピークの熱量は13%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、3%以下であることが特に好ましい。場合Aのように、融解ピークが2つ以上存在することは、熱量の分散が生じていることを意味する。メインピークの熱量とサブピークの熱量とは反比例するため、サブピークの熱量の増加は、メインピークの熱量の低下を引き起こす。メインピークの熱量は蓄熱材組成物の融解温度における潜熱量ともいえる。メインピークの熱量の低下は、蓄熱材組成物の融解温度における潜熱量の低下でもあり、結果として、融解温度における温度保持時間の低下を引き起こす。そのため、サブピークの熱量は上記範囲内であることが好ましい。なお、各融解ピークの熱量は、各融解ピークのピーク面積から求めることができる。蓄熱材組成物のDSC曲線におけるピーク面積の求め方は、高級炭化水素(A)のDSC曲線におけるピーク面積を求める方法と同じであり、図12を参照に既に説明した通りである。
〔2−3.蓄熱材組成物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物を調製する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、高級炭化水素(A)およびラウリルアルコール(B)、並びに、任意で、増粘剤等の任意成分を、ミキサー等を用いて混合して、蓄熱材組成物を調製する。
〔3.蓄熱材〕
本発明の一実施形態では、上述した蓄熱材組成物を備える蓄熱材も提供する。本発明の一実施形態に係る蓄熱材は、上述した本蓄熱材組成物を備えるものであればよく、その他の構成、材料等については限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材は、該蓄熱材を形成する蓄熱材組成物が凝固状態(固体)から融解状態(液体)に相転移する間(換言すれば、融解する間)に熱エネルギーを吸収することによって、潜熱型の蓄熱材として利用できるものである。従って、本発明の一実施形態に係る蓄熱材は「融解型潜熱蓄熱材」ともいえる。また、本発明の一実施形態に係る蓄熱材は、該蓄熱材を形成する蓄熱材組成物が融解状態(液体)から凝固状態(固体)に相転移する間(換言すれば、凝固する間)に熱エネルギーを放出することによって、潜熱型の蓄熱材としても利用できるものである。従って、本発明の一実施形態に係る蓄熱材は「凝固型潜熱蓄熱材」ともいえる。本発明の一実施形態に係る蓄熱材は「潜熱蓄熱材」ともいえる。
本明細書において、蓄熱材の融解温度とは、その主な部分の相状態が凝固状態(固体)から融解状態(液体)に変化する間に当該蓄熱材が呈する温度のことを言う。本明細書において、蓄熱材の「凝固温度」とは、その主な部分の相状態が融解状態(液体)から凝固状態(固体)に変化する間に当該蓄熱材が呈する温度のことを言う。ここで、「蓄熱材の主な部分の相状態」とは、当該蓄熱材を形成する蓄熱材組成物の主な部分の相状態を意味しており、目安として、蓄熱材を形成する蓄熱材組成物の総量100重量%に対して蓄熱材組成物の50重量%を超える割合を占める部分を示す。例えば、蓄熱材を形成する蓄熱材組成物の80重量%が固体で20重量%が液体の状態の場合、この蓄熱材の相状態は固体(凝固状態)とする。ここで、相状態とは、一般的な固体、液体、ゲル状又は気体の状態を表す。本発明では、主に、固体と液体、または固体とゲル状の相状態を利用する。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材は、上述した蓄熱材組成物が容器または袋等に充填されたものであり得る。
本発明の一実施形態で用いられる容器または袋は、蓄熱材組成物を、内部に収容できる構成である限り、その他の構成は特に限定されない。上記容器または袋は、可撓性を有する柔らかい容器または袋であってもよく、可撓性を有さない硬い容器であってもよい。また、上記容器または袋は、蓄熱材組成物に対して非透過性を有し、蓄熱材組成物の融点よりも高い融点を有する材料、から構成されていることが好ましい。また、液体(またはゲル状)の蓄熱材組成物が凝固して固体になるとき、凝固による体積膨張のため、上記容器または袋の内部に力(内圧)が加えられる場合がある。また、蓄熱材を居住空間の快適な温度保持を目的として住環境に適用する場合、当該蓄熱材を建材として利用することがある。このとき、蓄熱材を形成する容器または袋に対して外部から衝撃が加えられる場合がある。従って、上記容器または袋は、引き裂き強度および破れ強度等の機械的強度が優れていることが好ましい。
上記容器または袋を構成する材料としては、金属および樹脂(例えば合成樹脂)等があげられる。
金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、真鍮、亜鉛、マグネシウム、およびニッケル等があげられる。
樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、およびポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリスチレン樹脂、およびポリエステル樹脂等があげられる。
上記容器または袋は、1種類の成分からなる材料から構成されていてもよく、耐熱性、強度およびバリア性を高めるために、2種類以上の成分が組み合わされてなる材料から構成されていてもよい。
上記2種類以上の成分が組み合わされてなる材料としては、例えば、多層構造とした材料があげられる。多層構造の構成としては、(a)熱可塑性樹脂からなる層に、アルミニウム箔等の金属製の層を積層した多層構造、および(b)熱可塑性樹脂からなる複数の層の間に、アルミニウム箔等の金属製の層を挿入して形成した構造層シート材、等があげられる。
上記容器または袋の材料として多層構造とした材料を用いる場合、最も内側の層、すなわち蓄熱材組成物と接する層は、蓄熱材組成物に対する耐腐食性に優れることから、樹脂から形成される層であることが好ましい。
上記容器または袋としては、特に限定されないが、タツノ化学株式会社製のミデア、およびオカモト株式会社製のエマソフト等のオレフィン素材、カンボウプラス株式会社製のターポリンシリーズ等の塩ビ素材、並びに、京阪セロファン株式会社、株式会社エムエーパッケージングおよび昭和電工パッケージング株式会社製等のアルミラミネートフィルム等が挙げられる。これらのなかでも特に、内容物がブリードしにくい(滲みにくい)ことから、高バリア性を有する多層構造のラミネートフィルムが好ましく、例えば、京阪セロファン株式会社、株式会社エムエーパッケージングおよび昭和電工パッケージング株式会社製等のアルミラミネートフィルムが挙げられる。
上記容器または袋の形状としては、特に限定されないが、容器または袋を介して蓄熱材組成物と温度管理対象物品またはその周辺の空間との間で効率良く熱交換を行うという観点から、厚みが薄く、且つ表面積を大きく確保できる形状が好ましい。これらの容器または袋に対して、蓄熱材組成物を充填することによって、蓄熱材を形成することができる。
なお、上記容器または袋のさらに具体的な例は、特開2015−78307号公報に開示の容器または袋を用いることができる。当該文献は、本明細書中において参考文献として援用される。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材の融解温度および凝固温度のそれぞれは、当該蓄熱材が備える蓄熱材組成物の融解温度および凝固温度のそれぞれと同一であるとみなすことができる。本発明の一実施形態に係る蓄熱材の融解温度および/または凝固温度は、22.5℃付近であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材は、人間が快適に生活できる温度範囲である22.5℃付近に融解温度および凝固温度を有するものである。そのため、本発明の一実施形態に係る蓄熱材は、居住空間内温度を20.5℃〜24.5℃に安定的に温度保持するために、床材、壁材、床下地材、壁下地材、天井下地材等の建材に好適に使用することができる。本発明の一実施形態に係る蓄熱材は、住環境用蓄熱材ともいえる。
〔4.輸送容器〕
本発明の一実施形態では、上述した蓄熱材組成物を備える蓄熱材も提供する。本発明の一実施形態に係る輸送容器は、上述した本発明の一実施形態に係る蓄熱材を備えたものであればよく、その他の具体的な構成、材料等については特に限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材および輸送容器の一例を図2に示す。図2の上側の図は、本発明の一実施形態に係る蓄熱材10を、概略的に示す斜視図であり、図2の下側の図は、本発明の一実施形態に係る輸送容器1を、概略的に示す分解斜視図である。
図2に示すように、本実施形態の蓄熱材10の開口は、蓄熱材の蓋11によって塞がれている。蓄冷材10の中には、上記開口を介して本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物20が充填されており、該蓄熱材10は、断熱容器40内に収納または配置して使用することができる。
蓄熱材10及び蓄熱材の蓋11の素材としては、特に限定されず、従来公知のものを適宜使用することがきる。また、蓄熱材10及び蓄熱材の蓋11の素材としては、〔3.蓄熱材〕の項で説明した、容器または袋の説明が適宜援用され得る。
上記断熱容器40は、例えば箱体41とその箱体の開口部410に嵌合する蓋42と、を用いることで、断熱性を有するよう構成される。
断熱容器40の素材としては、断熱性を有するものであれば特に限定されないが、軽量および安価であり、且つ結露を防止することができるという観点からは、発泡プラスチックが、好適に用いられる。断熱容器40の素材としてはまた、断熱性が非常に高く、温度保持時間が長く、且つ結露を防止することができるという観点からは、真空断熱材が、好適に用いられる。発泡プラスチックとしては、具体的には、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂又はABS樹脂等を発泡させたものが用いられる。また、真空断熱材としては、例えば、芯材にシリカ粉、グラスウール、またはガラス繊維等を用いたものが用いられる。さらに断熱容器40は、発泡プラスチックと真空断熱材との組合せにより構成されていてもよい。その場合には、(i)発泡プラスチックからなる箱体41および蓋42の外面もしくは内面を真空断熱材で覆う、または、(ii)発泡プラスチックからなる箱体41および蓋42を構成する壁の内部に真空断熱材を埋設させる、等の手段により、断熱性能の高い断熱容器40が得られる。
上記断熱容器40のさらに具体的な構成としては、特開2015−78307号公報に開示されている構成を用いることができる。当該文献は、本明細書中において参考文献として援用される。
図3の上側の図は、輸送容器1の内部を概略的に示す斜視図であり、図3の下側の図は、図3の上側の斜視図のA−A線断面を模式的に表す断面図である。
図2に示すように、断熱容器40は、箱体41と蓋42とを備え、本発明の一実施形態に係る輸送容器1は、断熱容器40と蓄熱材10とスペーサー6とを備えている。図2および図3に示すように、本発明の一実施形態に係る輸送容器1は、蓄熱材10を該輸送容器1内に収納または配置する際に、(1)箱体内の空間を覆う蓋42の表面、箱体の側面部412、および箱体の底面部411と、当該蓄熱材10との間の空間を埋めるために、且つ、(2)図3に示すように、温度管理対象物品を収容する空間5を確保するために、スペーサー6を備えることもできる。
スペーサー6の素材としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂またはABS樹脂並びにこれらの樹脂を発泡させた発泡プラスチックが用いられる。
本発明の一実施形態では、断熱容器40の内部に一対のスペーサー6を対向させて配置させている。本発明の一実施形態に係る輸送容器1は、スペーサー6を備えることにより、蓄熱材10の配置位置が定まるため、パッキングを容易に行うことを可能とする。輸送容器1が備えるスペーサー6の大きさおよび数は、特に限定されず、輸送容器1、蓄熱材10および温度管理対象物品の大きさ等によって、適宜設定されてもよい。
図2および図3では、輸送容器1は10個の蓄熱材10を備えているが、輸送容器1が備える蓄熱材の数は1個以上であれば特に限定されない。温度管理対象物品を長時間および/または安定的に管理温度下で保管または輸送する観点から、輸送容器1が備えている蓄熱材10は、好ましくは2個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは6個以上、特に好ましくは10個以上である。輸送容器1が備える蓄熱材10の数は、蓄熱材10の大きさ、温度管理対象物品の保管または輸送時間、ならびに温度管理対象物品の保管または輸送時の外気温度等によって、適宜選択されてもよい。
図2および図3では、輸送容器1は、温度管理対象物品を収容する空間5を1つ備えているが、輸送容器1が備える空間5の数は1個以上であれば特に限定されず、複数の空間5を備えていてもよい。例えば、1つの空間5の中に蓄熱材10および/またはスペーサー6を配置することにより、空間5を分割して使用してもよい。
本発明の一実施形態に係る輸送容器であれば、外気温度に左右されることなく、温度管理の必要な物品(温度管理対象物品)を、長時間にわたって、22.5℃付近に安定的に維持して保管または輸送できる。本発明の一実施形態に係る輸送容器は、例えば、温度管理の必要な細胞、医薬品、医療機器、検体、臓器、化学物質、半導体関連部材、もしくは食品等の各種物品の、保管または輸送に好適に使用できる。半導体関連部材は、急激な温度変化による歪み等に対して非常に繊細であり、かつ室温領域(好ましい温度範囲としては15〜30℃、より好ましくは20〜25℃)で管理されることが好ましい。そのため、本発明の一実施形態に係る輸送容器は、レチクル、マスクブランクス、およびペリクルの保管または輸送により好適に使用でき、EUV用のレチクル、マスクブランクスおよびペリクルの保管または輸送にさらに好適に使用できる。本発明の一実施形態に係る輸送容器は、温度管理対象物品の中でも、好ましい管理温度が22.5℃付近である血小板製剤の保管または輸送に特に好適に使用できる。本発明の一実施形態に係る輸送容器は、容器内に本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物を備えた蓄熱材が設置されているため、容器外の温度が−10〜35℃の環境下である場合でも、容器内の温度を22.5℃付近に安定的に保持することができる。
〔5.蓄熱材組成物の使用方法〕
本発明の一実施形態は、〔2.蓄熱材組成物〕の項に記載の蓄熱材組成物を容器内に設置する設置工程と、上記容器外の温度が−10〜35℃の温度環境下にて容器内の温度を21.5℃〜23.5℃に保持する保持工程と、を含む、蓄熱材組成物の使用方法、である。また、本蓄熱材組成物の使用方法は、温度保持方法と換言し得る。
上記設置工程では、蓄熱材組成物を容器または袋等に充填して蓄熱材を形成した後、当該蓄熱材を別の容器内に設置することが好ましい。すなわち、上記設置工程は、〔3.蓄熱材〕の項に記載の蓄熱材を容器内に設置する工程であってもよい。また、上記設置工程では、蓄熱材組成物または蓄熱材を設置する容器は、〔4.輸送容器〕の項に記載の断熱容器であることが好ましい。すなわち、上記設置工程は、〔4.輸送容器〕の項に記載の輸送容器を作製する工程ともいえる。
上記設置工程において、容器内に設置する蓄熱材組成物または蓄熱材の相状態は、凝固状態(固体)または融解状態(液体)であり、相状態は、当該容器外の温度(外気温ともいう)によって適宜選択され得る。例えば、外気温が、蓄熱材組成物の融解温度よりも高い30℃である場合、容器内に設置される蓄熱材組成物または蓄熱材の相状態は、融解状態(液体)である。一方、外気温が、蓄熱材組成物の融解温度よりも低い0℃である場合、容器内に設置される蓄熱材組成物または蓄熱材の相状態は、凝固状態(固体)である。上記構成であれば、上記保持工程において、蓄熱材組成物または蓄熱材の相転移に伴う潜熱を利用して、容器内の温度を21.5℃〜23.5℃に保持することが可能となる。上記設置工程において、容器内に設置する蓄熱材組成物または蓄熱材を凝固する方法または融解する方法は、特に限定されない。
〔6.建築物〕
本発明の一実施形態は、〔2.蓄熱材組成物〕の項に記載の蓄熱材組成物を居住空間に設置する設置工程と、居住空間内の温度を20.5℃〜24.5℃に保持する保持工程と、を含む、建築物の製造方法、である。
上記設置工程では、蓄熱材組成物を容器または袋等に充填して蓄熱材を形成した後、当該蓄熱材を居住空間に設置することが好ましい。すなわち、上記設置工程は、〔3.蓄熱材〕の項に記載の蓄熱材(住環境用蓄熱材)を居住空間に設置する工程であってもよい。また、上記設置工程では、居住空間において、蓄熱材組成物または蓄熱材を設置する場所は特に限定されないが、例えば、壁、床、天井、および屋根等があげられる。
上記保持工程において、設置された蓄熱材組成物または蓄熱材によって居住空間内の温度を20.5℃〜24.5℃に保持する態様を説明する。
例えば、外気温が、日中の最高気温が35℃、かつ、夜間の最低気温が20℃である場合(例えば北半球の夏場)を考える。蓄熱材組成物または蓄熱材は、夜間、外気温が蓄熱材組成物の融解温度未満の間、に凝固する。このとき、蓄熱材組成物または蓄熱材は、室内または外部に熱を放出する。その後、凝固した蓄熱材組成物または蓄熱材は、日中、蓄熱材組成物の融解温度を超える間、融解する。このとき、蓄熱材組成物または蓄熱材は、外部から熱を吸収することにより、外部から室内への熱の流入を抑えることができる。故に、室内を20.5℃〜24.5℃に保持するものである。
次に、外気温が、日中の最高気温が36℃、かつ、夜間の最低気温が27℃である場合(例えば北半球の夏場)を考える。また、この場合、日中は、冷房器具を用いて室温を22℃に保つものとする。この場合、蓄熱材組成物または蓄熱材は、日中、室内の温度が22℃であるため、凝固している。その後(冷房器具を停止させた後)、蓄熱材組成物または蓄熱材は、夜間、外気温が27℃である間に徐々に融解する。このとき、蓄熱材組成物または蓄熱材は、外部から熱を吸収することにより、外部から室内への熱の流入を抑えることができる。故に、室内を20.5℃〜24.5℃に保持するものである。
次に、外気温が、日中の最高気温が10℃、かつ、夜間の最低気温が−5℃である場合(例えば北半球の冬場)を考える。また、この場合、日中は、暖房器具を用いて室温を25℃に保つものとする。この場合、蓄熱材組成物または蓄熱材は、日中、室内の温度が25℃であるため、融解している。その後(暖房器具を停止させた後)、蓄熱材組成物または蓄熱材は、夜間、外気温が−5℃である間に徐々に凝固する。このとき、蓄熱材組成物または蓄熱材は、室内に対して熱を放出することにより、室内の温度を20.5℃〜24.5℃に保持するものである。
以上のように、本発明の一実施形態の製造方法によって製造された建造物は、(a)蓄熱材組成物が生活温度領域にて繰り返し、安定的に温度を維持できることから冷暖房負荷の低減が可能であり、かつ、(b)人間の快適な生活または活動を可能とする居住空間を提供できる、という利点を有する。
本発明の一実施形態は、以下の様な構成であってもよい。
〔1〕高級炭化水素(A)とラウリルアルコール(B)とを含み、以下の(1)〜(5)の条件を全て満たす、蓄熱材組成物:(1)上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の重量比率は、上記蓄熱材組成物100重量%に対して、2重量%以上22重量%以下である;(2)上記高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜35の炭化水素を2種類以上含み、上記高級炭化水素(A)が含む上記炭素数が20〜35の炭化水素の重量比率は、上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上である;(3)上記高級炭化水素(A)はDSC曲線における融解ピーク温度が35℃以上70℃以下である炭化水素を含む;(4)上記蓄熱材組成物は、融解温度と凝固温度との差、ΔTが1.0℃以内である;(5)上記蓄熱材組成物は、凝固点降下度が1.5℃未満である。
〔2〕上記高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜30の炭化水素を2種類以上含み、上記高級炭化水素(A)が含む上記炭素数が20〜30の炭化水素の重量比率は、上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上である、〔1〕に記載の蓄熱材組成物。
〔3〕上記高級炭化水素(A)は、DSC曲線における融解ピークが2つ以上であり、かつ35℃以上70℃以下にあるピーク(a)の面積と、20℃以上35℃未満にあるピーク(b)の面積との面積比率が95/5〜70/30である、〔1〕または〔2〕に記載の蓄熱材組成物。
〔4〕融解温度が21.5℃〜23.5℃の範囲内である、〔1〕〜〔3〕の何れか1つに記載の蓄熱材組成物。
〔5〕〔1〕〜〔4〕の何れか1つに記載の蓄熱材組成物を容器内に設置する設置工程と、上記容器外の温度が−10〜35℃の温度環境下にて容器内の温度を21.5℃〜23.5℃に保持する保持工程と、を含む、蓄熱材組成物の使用方法。
〔6〕〔1〕〜〔4〕の何れか1つに記載の蓄熱材組成物を居住空間に設置する設置工程と、居住空間内の温度を20.5℃〜24.5℃に保持する保持工程と、を含む、建築物の製造方法。
本発明の一実施形態は、以下の様な構成であってもよい。
〔1〕高級炭化水素(A)とラウリルアルコール(B)とを含み、以下の(1)〜(3)の条件を全て満たすことを特徴とする蓄熱材組成物:(1)上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の重量比率は、上記蓄熱材組成物100重量%に対して、2重量%以上22重量%以下である;(2)上記高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜30の炭化水素を2種類以上含み、上記高級炭化水素(A)が含む上記炭素数が20〜30の炭化水素の重量比率は、上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上である;(3)上記高級炭化水素(A)はDSC曲線における融解ピーク温度が35℃以上70℃以下である炭化水素を含む。
〔2〕上記高級炭化水素(A)は、DSC曲線における融解ピークが2つ以上であり、かつ35℃以上70℃以下にあるピーク(a)の面積と、20℃以上35℃未満にあるピーク(b)の面積との面積比率が95/5〜70/30であることを特徴とする〔1〕に記載の蓄熱材組成物。
〔3〕融解温度が21.5℃〜23.5℃の範囲内であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の蓄熱材組成物。
〔4〕融解温度と凝固温度との差、ΔTが1.0℃以内であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか1つに記載の蓄熱材組成物。
〔5〕凝固点降下度が1.5℃未満であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕の何れか1つに記載の蓄熱材組成物。
〔6〕〔1〕〜〔5〕の何れか1つに記載の蓄熱材組成物を容器内に設置する設置工程と、上記容器外の温度が−10〜35℃の温度環境下にて容器内の温度を21.5℃〜23.5℃に保持する保持工程と、を含むことを特徴とする蓄熱材組成物の使用方法。
〔7〕〔1〕〜〔5〕の何れか1つに記載の蓄熱材組成物を居住空間に設置する設置工程と、居住空間内の温度を20.5℃〜24.5℃に保持する保持工程と、を含むことを特徴とする建築物の製造方法。
実施例及び比較例で使用した原料は、以下のとおりである。ここで、化合物名の次に括弧書きで示した融点は、パラフィンワックスについては製造元である日本精蝋社のカタログより引用したものであり、パラフィンワックス以外については化学便覧より引用したものである。
○高級炭化水素:
n−オクタデカン(JXTGエネルギー株式会社製、製品名:TSパラフィンTS8、融点=28.2℃)
n−エイコサン(JXTGエネルギー株式会社製、製品名:TSパラフィンTS20、融点=36.8℃)
n−ドコサン(東京化成工業株式会社製、融点=44.4℃)
パラフィンワックスA(日本精鑞株式会社製、製品名:パラフィンワックス115、融点=48℃)
パラフィンワックスB(日本精鑞株式会社製、製品名:パラフィンワックス120、融点=50℃)
パラフィンワックスC(日本精鑞株式会社製、製品名:パラフィンワックス125、融点=53℃)
パラフィンワックスD(日本精鑞株式会社製、製品名:パラフィンワックスHNP−11、融点=68℃)
n−オクタデカンを除く、実施例および比較例で使用した高級炭化水素について、DSCを用いて、3.0℃/分の速度にて80℃から0℃へ降温させた後、同じ速度にて0℃から80℃へ昇温させて測定を行い、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線の融解挙動について、上述したピーク面積比(a)/(b)を測定した。測定結果を表1に示す。なお、パラフィンワックスA、パラフィンワックスB、パラフィンワックスCまたはパラフィンワックスDは、本発明の一実施形態における高級炭化水素(A)といえる。
○高級アルコール:
1−デカノール(花王株式会社製、製品名:カルコール1098、融点:6.9℃)
ラウリルアルコール(花王株式会社製、製品名:カルコール2098、融点:23.5℃)
ミリスチルアルコール(花王株式会社製、製品名:カルコール4098、融点:38.3℃)。
Figure 2020004586
実施例及び比較例中の測定、評価は、次の条件・方法により行った。
<融解温度>
蓄熱材組成物について、以下の手順に基づき、昇降温試験を行った:(i)蓄熱材組成得物を、熱電対と共に、ポリプロピレン製チューブ内に充填した。当該ポリプロピレン製チューブを、恒温槽[サイニクス社製、クールミニブロックPB−105]内に静置した;(ii)15℃〜100℃の温度範囲内で、0.5℃/分の昇降温速度にて、恒温槽の温度上昇または温度下降を行い、蓄熱材組成物の凝固および融解を繰り返した。
上記昇降温試験における蓄熱材組成物の温度変化を、熱電対を用いてモニターした。上記昇降温試験における、恒温槽の温度上昇過程(蓄熱材組成物の融解過程)において、恒温槽内の蓄熱材組成物の時間に対する温度をプロットしたグラフを作成した。蓄熱材組成物の融解過程における温度変化を示した上記グラフを模式的に示したグラフが図1の上側のグラフである。上述の、図1の上側のグラフの説明に記載した定義に基づき、作成したグラフから蓄熱材組成物の融解温度を求めた。
<凝固温度、融解温度と凝固温度との差(ΔT)、および凝固点降下度>
上記昇降温試験における恒温槽の温度下降過程(蓄熱材組成物の凝固過程)において、恒温槽内の蓄熱材組成物の、時間に対する温度をプロットしたグラフを作成した。蓄熱材組成物の凝固過程における温度変化を示した上記グラフを模式的に示したグラフが図1の下側のグラフである。上述の、図1の下側のグラフの説明に記載した定義に基づき、作成したグラフから蓄熱材組成物の(a)凝固温度、(b)融解温度と凝固温度との差(ΔT)、および(c)凝固点降下度を求めた。凝固点降下度については、さらに、下記のように判定した。
過冷却が小さい(○;良好):凝固点降下度が1.0℃以下である。
過冷却が中程度である(△;合格):凝固点降下度が1.0℃より大きく1.5℃未満である。過冷却が大きい(×;不良):凝固点降下度が1.5℃以上である。
<示差走査型熱量計(DSC)測定>
示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製:SII EXSTAR6000 DSC)を用いてDSC測定を行い、高級炭化水素または蓄熱材組成物の融解挙動および凝固挙動を解析した。結果を、表1および図11、または、表3並びに図4および5に示す。DSC測定における、昇温および降温の条件は以下の通りである。表1および図11については、高級炭化水素または蓄熱材組成物の温度を、3.0℃/分の速度にて80℃から0℃へ降温させた後、同じ速度にて0℃から80℃へ昇温させた。表3並びに図4および5については、高級炭化水素または蓄熱材組成物の温度を、2.0℃/分の速度にて60℃から−20℃へ降温させた後、同じ速度にて60℃から−20℃へ昇温させた。
<実用判定>
蓄熱材組成物について、(a)血小板製剤等の管理温度が22.5℃付近である温度管理対象物品の安定的な保管および輸送、および、(b)居住空間の快適な温度保持、の利用に適しているかについて、以下の基準で判定し、実用判定とした。
○:以下の(i)〜(iii)をすべて満たすとともに、凝固点降下度が1.0℃以下である。
△:以下の(i)〜(iii)をすべて満たすとともに、凝固点降下度が1.0℃より大きく1.5℃未満である。
×:以下の(i)〜(iii)の何れか一つが満たされない。
(i):凝固点降下度が1.5℃未満であること。
(ii):融解温度と凝固温度との差(ΔT)が1.0℃以内であること。
(iii):融解温度および凝固温度が、21.5℃〜23.5℃の範囲内であること。
(実施例1〜10)
蓄熱材組成物として、高級炭化水素および高級アルコールを表2および3に示す組成(重量%)で含有する溶液を調製した。実施例1〜10は、パラフィンワックスA、パラフィンワックスB、パラフィンワックスCまたはパラフィンワックスDと、ラウリルアルコールとを含んでいるため、本発明の一実施形態に係る高級炭化水素(A)とラウリルアルコール(B)とを含むものである。
得られた実施例1〜10について、上述した昇降温試験を行い、融解温度、凝固温度、融解温度と凝固温度との差(ΔT)、および凝固点降下度を、測定および評価した。その結果を表2および3に示す。ここで、表2および3において、実施例3および4は同じ組成を有する蓄熱材組成物であり、それぞれ独立して調製された蓄熱材組成物である。いくつかの実施例について、上述した昇降温試験により得られた蓄熱材組成物の温度変化のグラフを、図7、9および10に示した。また、いくつかの実施例について、上述したDSC測定を行った。DSC測定により得られたDSC曲線、およびDSC曲線から得られた融解ピーク熱量を、図11に示した。
Figure 2020004586
Figure 2020004586
表2、図7、9および10から明らかなように、本発明の一実施形態の範囲内である、実施例1〜10の蓄熱材組成物は、(i)凝固点降下度が1.5℃未満であり、(ii)融解温度と凝固温度との差(ΔT)が1.0℃以内であり、かつ、(iii)融解温度および凝固温度が、21.5℃〜23.5℃の範囲内である。
図7の上側のグラフ(温度下降過程のグラフ)および図9の上側のグラフ(温度下降過程のグラフ)から、以下のことが分かる。使用した高級炭化水素(A)のピーク面積比(a)/(b)が95/5〜70/30の範囲内である実施例1の場合、当該ピーク面積比(a)/(b)が上述の範囲外である実施例10の場合と比較して、凝固温度よりも高温側において、より一定速度で温度が下降する。すなわち、実施例1の蓄熱材組成物は実施例10の蓄熱材組成物よりも、(a)血小板製剤等の管理温度が22.5℃付近である温度管理対象物品の極めて安定的な保管および輸送、および、(b)居住空間の極めて快適な温度保持、のために好適に利用できる。
図10の最上部(最上段)および中部(中段部)のグラフから、以下のことが分かる。高級炭化水素(A)の重量比率が蓄熱材組成物100重量%に対して、2重量%以上22重量%以下の範囲内において、22重量%よりも少なくなるに従い、蓄熱材組成物の凝固挙動は、凝固温度よりも高温側において、より一定速度で温度下降を示す。
図11から、以下のことが分かる。高級炭化水素(A)の重量比率が蓄熱材組成物100重量%に対して、22重量%以下である場合、メインピークおよびサブピークの合計熱量(J/g)を100%としたときのサブピークの熱量は13%以下である。また、高級炭化水素(A)の重量比率が22重量%よりも少なくなるに従い、サブピークの熱量は小さくなり、高級炭化水素(A)の重量比率が5重量%である場合には、融解ピークは1つである。なお、比較例9は、ラウリルアルコール単体を使用した蓄熱材組成物である。比較例9のDSC曲線では、メインピークの左側にサブピークが表れている。上述したように、ラウリルアルコールは複数の結晶構造をとり得る。すなわち、比較例9のDSC曲線における2つのピークは、ラウリルアルコールが複数の結晶構造をとることに由来する。本明細書においては、ラウリルアルコール単体、およびラウリルアルコール単体を使用し高級炭化水素(A)を含まない蓄熱材組成物に限って、DSC曲線にて複数のピークが出現した場合であっても、1つのピーク面積としてピーク面積を算出した。
(比較例1〜7)
蓄熱材組成物として、ラウリルアルコール単体を使用した場合を想定し、比較例を実施した。製造ロットの異なる5つのラウリルアルコールを比較例1〜5とした。また、同一の製造ロットのラウリルアルコールからランダムに2点サンプルを採取し、比較例6および7とした。比較例1〜7の蓄熱材組成物(ラウリルアルコール単体)についてDSC測定を行い、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線の融解挙動における融解ピーク温度およびDSC曲線自体のばらつきの有無を評価し、評価結果を表4に示した。比較例1〜5について得られたDSC曲線を図4の上側のグラフに示し、比較例6および7について得られたDSC曲線を図4の下側のグラフに示した。
Figure 2020004586
表4および図4の上側のグラフから明らかなように、比較例1〜5では、同じラウリルアルコールにもかかわらず製造ロットによって融解挙動および融解ピーク温度にばらつきが生じている。また、表4および図4の下側のグラフから明らかなように、同一の製造ロット内においても、融解挙動および融解ピーク温度にばらつきが生じることがある。
さらに、市販のラウリルアルコール単体、および所定量の水を含有させた市販のラウリルアルコールについて、DSC測定を行い、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線を図5の上側のグラフに示した。得られたDSC曲線自体のばらつきの有無を評価した。図5の上側のグラフに示すように、ラウリルアルコール単体では水分含有量の違いにより、凝固挙動および融解挙動に大きなばらつきが生じた。
図5の上側のグラフで用いたラウリルアルコールおよび高級炭化水素(A)であるパラフィンワックスAを使用して、本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物を調製し、得られた蓄熱材組成物についてDSC測定を行った。得られたDSC曲線を図5の下側のグラフに示した。得られたDSC曲線自体のばらつきの有無を評価した。図5の下側のグラフに示すように、高級炭化水素(A)含むことにより、ラウリルアルコールの水分含有量に関わらず、ばらつきの小さい凝固挙動および融解挙動を示す蓄熱材組成物となった。
(比較例8〜23)
蓄熱材組成物として、高級炭化水素および高級アルコールを表4に示す組成(重量%)で含有する溶液を調製した。得られた比較例8〜23について、上述した昇降温試験を行い、融解温度、凝固温度、融解温度と凝固温度との差(ΔT)、並びに凝固点降下度を、測定および評価した。その結果を表5〜7に示す。ここで、表5〜7において、比較例8および9は製造ロットの異なるラウリルアルコールである。いくつかの比較例について、上述した昇降温試験により得られた蓄熱材組成物の温度変化のグラフを、図6〜10および13に示した。また、いくつかの比較例について、上述したDSC測定を行った。DSC測定により得られたDSC曲線、およびDSC曲線から得られた融解ピーク熱量を、図11に示した。
Figure 2020004586
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表5〜7および図6〜10および13から明らかなように、製造ロットの異なるラウリルアルコール単体を使用した比較例8および9の蓄熱材組成物は、凝固点降下度が1.5℃以上であり、比較例8の蓄熱材組成物は、さらに、融解温度と凝固温度との差(ΔT)が1.0℃より大きい。なお、蓄熱材組成物としてラウリルアルコール単体を使用した場合に、製造ロットの違いに起因して融解挙動および融解温度にばらつきが生じることは、比較例1〜7で実証した通りである。また、ミリスチルアルコール単体を使用した比較例10の蓄熱材組成物は、融解温度と凝固温度との差(ΔT)が1.0℃より大きい。
比較例11〜15の蓄熱材組成物は、炭素数が20〜35の高級炭化水素を1種類のみ含む。比較例11〜14の蓄熱材組成物は凝固点降下度が1.5℃以上である。比較例11〜13の蓄熱材組成物は融解温度および/または凝固温度が21.5℃〜23.5℃の範囲外である。比較例12および13の蓄熱材組成物は、凝固温度との融解温度との差が1.0℃より大きい。
比較例14について詳しく説明する。比較例14の蓄熱材組成物は、凝固点降下度が1.5℃以上である。また、比較例14の蓄熱材組成物は、凝固温度として、27.7℃と23.0℃とを示す。これについて、比較例14の蓄熱材組成物について昇降温試験の温度下降過程において得られた蓄熱材組成物の温度変化のグラフを示した図10の最下部(最下段)のグラフを用いて説明する。比較例14の蓄熱材組成物の温度は、23.0℃付近にて蓄熱材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなるため、比較例14の蓄熱材組成物の凝固温度のうちの一つは23.0℃である。しかし、比較例14の蓄熱材組成物の温度は、23.0℃よりも高温側において、一定速度で下降していない。比較例14の蓄熱材組成物の温度は、25.7℃付近まで一定速度で下降した後、2.0℃ほど上昇し、その後、急激に下降している。従って、比較例15の蓄熱材組成物は、主な凝固挙動を示す23.0℃付近以外に、27.7℃付近に第2の凝固挙動を示すといえる。なお、27.7℃は、実際に蓄熱材組成物を使用し得る温度領域である。従って、比較例14の蓄熱材組成物は、実際の使用において、21.5℃〜23.5℃の範囲外で相変化する可能性が高いものである。また、比較例14の蓄熱材組成物は2段階で凝固するため、保持させたい目的の温度以外の温度で放熱し、熱量ロスが発生する、すなわち目的の温度帯における潜熱量が低下するという欠点を有する。
比較例15について詳しく説明する。比較例15の蓄熱材組成物は、凝固温度として、25.6℃と22.9℃とを示す。これについて、比較例15の蓄熱材組成物について昇降温試験の温度下降過程において得られた蓄熱材組成物の温度変化のグラフを示した図7の(a)を用いて説明する。比較例15の蓄熱材組成物の温度は、22.9℃付近にて蓄熱材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなるため、比較例15の蓄熱材組成物の凝固温度のうちの一つは22.9℃である。しかし、比較例15の蓄熱材組成物の温度は、22.9℃よりも高温側において、一定速度で下降していない。比較例15の蓄熱材組成物の温度は、25℃付近まで一定速度で下降した後、0.6℃ほど上昇し、その後、急激に下降している。従って、比較例15の蓄熱材組成物は、主な凝固挙動を示す22.9℃付近以外に、25.6℃付近に第2の凝固挙動を示すといえる。なお、25.6℃は、実際に蓄熱材組成物を使用し得る温度領域である。従って、比較例15の蓄熱材組成物は、実際の使用において、21.5℃〜23.5℃の範囲外で相変化する可能性が高いものである。また、比較例15の蓄熱材組成物は2段階で凝固するため、保持させたい目的の温度以外の温度で放熱し、熱量ロスが発生する、すなわち目的の温度帯における潜熱量が低下するという欠点を有する。
高級炭化水素(A)であるパラフィンワックスAを蓄熱材組成物100重量%に対して、22重量%より多く含む比較例16および17の蓄熱材組成物は、(a)凝固温度との融解温度との差が1.0℃より大きく(表6)、(b)DSC曲線におけるメインピークおよびサブピークの合計熱量(J/g)を100%としたときのサブピークの熱量が13%より大きく(図11)、(c)昇降温試験の温度下降過程において、凝固温度よりも高温側にて一定速度で温度下降しない(図10の最上部のグラフ)。
比較例10、および18〜20の蓄熱材組成物では高級アルコールとしてミリスチルアルコールを用いている。比較例10、および18〜20の蓄熱材組成物は、凝固温度との融解温度との差(ΔT)が1.0℃より大きく、かつ、融解温度および凝固温度が、21.5℃〜23.5℃から大きく外れている(図8)。
比較例21〜23の蓄熱材組成物では高級アルコールとして1−デカノールを用いている。比較例10、および18〜20の蓄熱材組成物は、凝固点降下度が1.5℃以上であり、かつ融解温度および凝固温度が21.5℃〜23.5℃から大きく外れている。さらに、比較例21、23では融解温度と凝固温度との差(ΔT)が1.0℃より大きい。
以上の結果から、本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、(1)ラウリルアルコールの製造ロット間における融解挙動および凝固挙動のばらつきを抑制でき、(2)凝固点降下度が1.5℃未満であり、(3)融解温度と凝固温度との差(ΔT)が1.0℃以内であり、かつ、(4)融解温度および凝固温度が、安定的に、21.5℃〜23.5℃の範囲内であることが分かる。
本発明の一実施形態は、医療技術領域等における、医薬品、医療機器、細胞、検体、臓器、化学物質、半導体関連部材または食品等の各種物品を温度保持および維持を伴い保管または輸送する必要が生じ得るあらゆる分野に役立つものである。また、本発明の一実施形態は、人間の生活および活動に快適な温度領域にて使用することができるため、住環境用途への使用にも役立つものである。
1 輸送容器
5 空間
6 スペーサー
10 蓄冷材
11 蓄冷材の蓋
20 蓄冷材組成物
40 断熱容器
41 箱体
42 蓋
410 開口部
411 箱体の底辺部
412 箱体の側面部

Claims (6)

  1. 高級炭化水素(A)とラウリルアルコール(B)とを含み、以下の(1)〜(5)の条件を全て満たす、蓄熱材組成物:
    (1)上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の重量比率は、上記蓄熱材組成物100重量%に対して、2重量%以上22重量%以下である;
    (2)上記高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜35の炭化水素を2種類以上含み、上記高級炭化水素(A)が含む上記炭素数が20〜35の炭化水素の重量比率は、上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上である;
    (3)上記高級炭化水素(A)はDSC曲線における融解ピーク温度が35℃以上70℃以下である炭化水素を含む;
    (4)上記蓄熱材組成物は、融解温度と凝固温度との差、ΔTが1.0℃以内である;
    (5)上記蓄熱材組成物は、凝固点降下度が1.5℃未満である。
  2. 上記高級炭化水素(A)は、炭素数が20〜30の炭化水素を2種類以上含み、上記高級炭化水素(A)が含む上記炭素数が20〜30の炭化水素の重量比率は、上記蓄熱材組成物中の上記高級炭化水素(A)の総量100重量%に対して、50重量%以上である、請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 上記高級炭化水素(A)は、DSC曲線における融解ピークが2つ以上であり、かつ35℃以上70℃以下にあるピーク(a)の面積と、20℃以上35℃未満にあるピーク(b)の面積との面積比率が95/5〜70/30である、請求項1または2に記載の蓄熱材組成物。
  4. 融解温度が21.5℃〜23.5℃の範囲内である、請求項1〜3の何れか1項に記載の蓄熱材組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の蓄熱材組成物を容器内に設置する設置工程と、上記容器外の温度が−10〜35℃の温度環境下にて容器内の温度を21.5℃〜23.5℃に保持する保持工程と、を含む、蓄熱材組成物の使用方法。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載の蓄熱材組成物を居住空間に設置する設置工程と、居住空間内の温度を20.5℃〜24.5℃に保持する保持工程と、を含む、建築物の製造方法。
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