JPWO2019244741A1 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
空気入りタイヤ10は、一対のビードコア12Aと、一対のビードコア12Aに跨って形成されたカーカス18と、カーカス18のタイヤ径方向内側に配置され樹脂で形成された環状の樹脂本体12B、及び、タイヤ周方向に対して5°以上20°以下の傾斜角度で螺旋状に巻回されると共にタイヤ幅方向に間隔をあけて並び樹脂本体20Bに埋設された補強コード20A、を有するベルト層と、を備えている。
Description
本発明は、ベルト層を備えた空気入りタイヤに関する。
自動車に装着する空気入りタイヤとしては、カーカスのタイヤ径方向外側にタイヤ周方向に対して傾斜したコードを含んで構成された2枚以上の傾斜ベルトプライ、及び補強層等を備えたベルトを備えた構造が一般的である(例えば、特開2013−244930号公報(特許文献1)、特開2013−220741号公報(特許文献2)参照)。
特許文献1、2の空気入りタイヤは、2枚以上の傾斜ベルトプライを備えることにより面内剪断剛性を確保しているが、プライや補強層の層数が多いため、タイヤの軽量化は困難となっている。
本発明は上記事実を考慮し、ベルトの面内剪断剛性の確保とタイヤ軽量化の両立を図った空気入りタイヤの提供を目的とする。
第1の態様に係る空気入りタイヤは、一対のビードコアと、前記一対のビードコアに跨って形成されたカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され、樹脂で形成された環状の樹脂本体、及び、タイヤ周方向に対して5°以上20°以下の傾斜角度で螺旋状に巻回されると共にタイヤ幅方向に間隔をあけて並び前記樹脂本体に埋設された補強コード、を有するベルト層と、を備えている。
第1の態様に係る空気入りタイヤは、カーカスのタイヤ径方向外側に、樹脂本体及び樹脂本体に埋設された補強コードを有するベルト層を備えている。ベルト層では、補強コードがタイヤ周方向に対して5°以上20°以下の傾斜角度で螺旋状に巻回されると共にタイヤ幅方向に間隔をあけて並んでいる。
このように、補強コード間に樹脂本体を配置することにより、補強コード間にゴムを配置する場合と比較して高い面内剪断剛性を得ることができると共に、タイヤの軽量化も図ることができる。
また、補強コードがタイヤ周方向に対して5°以上20°以下の傾斜角度で螺旋状に巻回されているので、補強コードがタイヤ周方向と平行に配置されている場合と比較して、ベルト層のタイヤ周方向への変形が許容される。したがって、ベルト層の樹脂本体には、タイヤの内圧によりタイヤ周方向への引張力が作用すると共に、タイヤ幅方向には圧縮力が作用する。これにより、ベルト層の樹脂本体に対して、接地時におけるタイヤ幅方向への引張力が緩和され、同方向における引張り歪みを抑制することができる。その結果、ベルト層の耐久性を向上させることができる。
第2の態様に係る空気入りタイヤは、前記ベルト層が、前記補強コードが樹脂で被覆された樹脂被覆コードを前記カーカスのタイヤ径方向外側に巻回して形成されている。
第2の態様に係る空気入りタイヤによれば、容易にベルト層を形成することができる。
第3の態様に係る空気入りタイヤは、前記補強コードのタイヤ幅方向端面は、樹脂被覆されている。
第3の態様に係る空気入りタイヤによれば、補強コードへの水の浸入を抑制することができる。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、面内剪断剛性の確保とタイヤ軽量化の両立を図ることができる。
図1には、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ10が示されている。空気入りタイヤ10は、一例としてラジアルタイヤを示している。なお、図中矢印Wはタイヤ幅方向を示し、矢印Rはタイヤ径方向を示す。ここでいうタイヤ幅方向とは、空気入りタイヤ10の回転軸と平行な方向を指している。また、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ10の回転軸と直交する方向をいう。また、符号CLはタイヤ10の赤道面(タイヤ赤道面)を示している。
また、本実施形態において、後述するトレッド22の接地端E、接地幅TWとは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(2018年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、静止した状態で水平な平板に対して回転軸が平行となるように配置し、最大の負荷能力に対応する質量を加えたときのものである。なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
空気入りタイヤ10は、ビードコア12Aが埋設された一対のビード部12、一対のビード部12からそれぞれタイヤ径方向外側に延びる一対のサイド部14、サイド部14からタイヤ幅方向内側に延びるクラウン部16、を有している。一方のビード部12と他方のビード部12との間には、1枚のカーカスプライ18Aからなるカーカス18が跨っている。
カーカス18のタイヤ内側には、ゴムからなるインナーライナー17が配置されている。また、カーカス18のタイヤ幅方向外側には、サイドゴム層13が配置されている。
カーカス18のタイヤ径方向外側のクラウン部16には、樹脂環状ベルト20が配置されている。樹脂環状ベルト20は円環状とされている。樹脂環状ベルト20の詳細については、後述する。樹脂環状ベルト20のタイヤ径方向外側には、トレッド22が配置されている。トレッド22には、タイヤ周方向に沿って複数の主溝22Aが形成されている。
図2及び図3に示すように、樹脂環状ベルト20は、タイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回された補強コード20Aと、補強コード20Aを被覆する樹脂材料の樹脂本体20Bを有している。樹脂環状ベルト20は、補強コード20Aが樹脂本体20Bで被覆された樹脂被覆コード20Cを螺旋状に巻回して一体化させたリング状の箍(たが)で構成することができる。樹脂被覆コード20Cは、複数本の補強コード20Aが平行に並ぶ長尺帯状の部材であり、本実施形態では、10本の補強コード20Aが平行に並び樹脂本体20Bで被覆されて構成されている。
補強コード20Aは、図3に示されるように、タイヤ周方向Sに対して傾斜角度θで配置されている。角度θは、5°以上20°以下とされている。なお、角度θは、10°以上15°以下が好ましい。
樹脂本体20Bには、サイドゴム層13を構成するゴム材料、及びトレッド22を形成するゴム材料よりも引張弾性率の高い樹脂材料が用いられている。樹脂本体20Bの引張弾性率(JIS K7113:1995に規定される)は、100MPa以上が好ましい。また、樹脂本体20Bの引張弾性率の上限は、1000MPa以下とすることが好ましい。なお、樹脂本体20Bの引張弾性率は、200〜700MPaの範囲内が特に好ましい。
樹脂本体20Bの材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂、EVA樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の汎用樹脂のほか、エンジニアリングプラスチック(スーパーエンジニアリングプラスチックを含む)等を用いることができる。なお、ここでの樹脂材料には、加硫ゴムは含まれない。
熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)とは、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になる高分子化合物をいう。本明細書では、このうち、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有する高分子化合物を熱可塑性エラストマーとし、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有しない高分子化合物をエラストマーでない熱可塑性樹脂として、区別する。
熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、及び、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)、ならびに、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性樹脂、及び、ポリエステル系熱可塑性樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂とは、温度上昇と共に3次元的網目構造を形成し、硬化する高分子化合物をいい、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
補強コード20Aは、カーカスプライ18Aのコードよりも太く、かつ、強力(引張強度)が大きいものを用いることが好ましい。補強コード20Aは、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)で構成することができる。本実施形態では、また、補強コード20Aはスチールコードとされている。このスチールコードは、スチールを主成分とし、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄、銅、クロムなど種々の微量含有物を含むことができる。
樹脂環状ベルト20は、一定径、一定厚さで形成されており、タイヤ軸線に沿った断面で見たときに一直線状とされている。なお、樹脂環状ベルト20は、タイヤ幅方向中央部の外径をタイヤ幅方向両端部の外径よりも大径とし、タイヤ軸線に沿った断面で見たときに、タイヤ幅方向中央部がタイヤ径方向外側へ凸となる緩やかな円弧状とされていてもよい。
樹脂環状ベルト20の幅BWは、タイヤ軸方向に沿って計測するトレッド22の接地幅TW(接地端E間の距離)に対して75%以上、110%以下とすることが好ましい。
(作用、効果)
次に、本実施形態のタイヤ10の作用、効果を説明する。
次に、本実施形態のタイヤ10の作用、効果を説明する。
本実施形態のタイヤ10では、カーカス18のクラウン部16が、樹脂環状ベルト20で補強されている。樹脂環状ベルト20は、補強コード20Aが樹脂本体20Bで被覆されて形成されている。したがって、補強コード間にゴムが配置されたベルトに比較して高い面内剪断剛性を得ることができる。また、タイヤの軽量化も図ることができる。
樹脂環状ベルト20の面内剪断剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10にスリップ角を付与した場合の横力を十分に発生させることができ、操縦安定性を確保することができ、また、応答性も向上させることができる。
また、樹脂環状ベルト20により、面外曲げ剛性も確保され、空気入りタイヤ10に大きな横力が入力した際、トレッド22のバックリング(トレッド22の表面が波打って、一部が路面から離間する現象)を抑制することができる。
また、補強コード20Aがタイヤ周方向に対して5°以上20°以下の傾斜角度で螺旋状に巻回されているので、補強コード20Aがタイヤ周方向と平行に配置されている場合と比較して、樹脂環状ベルト20のタイヤ周方向への変形が許容される。したがって、樹脂環状ベルト20の樹脂本体20Bには、タイヤの内圧によりタイヤ周方向への引張力が作用すると共に、タイヤ幅方向には圧縮力が作用する。これにより、樹脂環状ベルト20の樹脂本体20Bに対して、接地時におけるタイヤ幅方向への引張力が緩和され、同方向における樹脂本体20Bの引張り歪みを抑制することができる。その結果、樹脂環状ベルト20の耐久性を向上させることができる。
なお、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向外側には、外端面を覆うように、図4に示すように、樹脂レイヤー30を配置してもよい。樹脂レイヤー30は、樹脂本体20Bと同様の材料で形成することができる。樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向両端面は、樹脂レイヤー30で樹脂被覆されている。樹脂レイヤー30で、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向両端面を覆うことにより、補強コード20Aへの水の浸入を抑制することができる。また、樹脂環状ベルト20とトレッド22との間の剛性段差を緩和することもできる。
なお、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向両端面は、樹脂レイヤー30以外の樹脂で被覆されていてもよい。例えば、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向両端部の樹脂を溶融させることにより補強コード20Aの端面を被覆してもよい。
なお、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向両端面は、樹脂レイヤー30以外の樹脂で被覆されていてもよい。例えば、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向両端部の樹脂を溶融させることにより補強コード20Aの端面を被覆してもよい。
2018年6月18日に出願された日本国特許出願2018−115417号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (3)
- 一対のビードコアと、
前記一対のビードコアに跨って形成されたカーカスと、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され、樹脂で形成された環状の樹脂本体、及び、タイヤ周方向に対して5°以上20°以下の傾斜角度で螺旋状に巻回されると共にタイヤ幅方向に間隔をあけて並び前記樹脂本体に埋設された補強コード、を有するベルト層と、
を備えた空気入りタイヤ。 - 前記ベルト層は、前記補強コードが樹脂で被覆された樹脂被覆コードを前記カーカスのタイヤ径方向外側に巻回して形成されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記補強コードのタイヤ幅方向端面は、樹脂被覆されている、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
Applications Claiming Priority (3)
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