JPWO2019230840A1 - 識別媒体及び識別媒体の真正性を識別する方法 - Google Patents

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Abstract

波長700nm以上900nm以下の光を選択的に反射し、第1液晶組成物の硬化物である第1コレステリック液晶樹脂と、波長400nm以上500nm以下の光を選択的に反射し、第2液晶組成物の硬化物である第2コレステリック液晶樹脂とを含み、前記第1液晶組成物の複屈折Δn1及び前記第2液晶組成物の複屈折Δn2の少なくとも一方は、0.2以上である、識別媒体。識別媒体は、好ましくは、前記第1コレステリック液晶樹脂を含む第1樹脂層と前記第2コレステリック液晶樹脂を含む第2樹脂層とを含む。

Description

本発明は、識別媒体及び識別媒体の真正性を識別する方法に関する。
識別媒体を物品に付して、識別媒体の真正性を識別することにより、物品の偽造防止等を図ることが行われている。
コレステリック液晶樹脂は、液晶性化合物をコレステリック配向させ、その配向を維持したまま硬化させて得られる。コレステリック液晶樹脂フィルム又はコレステリック液晶樹脂顔料は、左右円偏光のうち、一方の円偏光を反射し、他方の円偏光を透過する、円偏光分離機能を有する。かかるフィルム又は顔料は、正面方向からの視野角θが大きくなるのに従って、反射される円偏光の波長が短波長側にシフトすることが知られている。この特性を利用して、コレステリック液晶樹脂を識別媒体に使用し、識別媒体の真正性を識別しうる。
例えば、反射される光の波長が、正面方向からの視野角θの増大に伴い、青領域から紫外領域へシフトする顔料と、赤外領域から赤領域へシフトする顔料とを含む、偽造防止性が向上したインキ組成物が知られており、該インキ組成物は、観察される反射光の色が青領域から赤領域に変化する(特許文献1)。また、反射される光の波長がシフトする層が重ねられた構成を有する識別媒体が知られている(特許文献2)。
特開2010−196005号公報 特開2010−134333号公報
特許文献1及び2の技術では、正面方向からの視野角θを増大させつつ、識別媒体の反射光を観察する場合、識別媒体の反射光が無彩色となる場合があることを本発明者は見出した。識別媒体の反射光が無彩色となる視野角が存在すると、観察者は、無彩色となる視野角より大きい視野角では、識別媒体の反射光の色を観察しないおそれがある。その結果、識別媒体の真正性の識別が正しく行われないおそれがある。
したがって、観察される反射光の色が、正面方向からの視野角θの増大に伴い短波長側から長波長側にシフトする識別媒体であって、無彩色となる視野角が存在しない識別媒体;かかる識別媒体の真正性を識別する方法が求められている。
本発明者は、前記課題を解決するべく、鋭意検討した結果、識別媒体に含まれる2種のコレステリック液晶樹脂の少なくとも一方の複屈折Δnを、所定の値以上とすることにより、無彩色となる視野角が存在しないようにできることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1] 波長700nm以上900nm以下の光を選択的に反射し、第1液晶組成物の硬化物である第1コレステリック液晶樹脂と、
波長400nm以上500nm以下の光を選択的に反射し、第2液晶組成物の硬化物である第2コレステリック液晶樹脂とを含み、
前記第1液晶組成物の複屈折Δn1及び前記第2液晶組成物の複屈折Δn2の少なくとも一方は、0.2以上である、識別媒体。
[2] 前記第1液晶組成物及び前記第2液晶組成物の少なくとも一方が、下記式(1)で表される化合物を含む、[1]に記載の識別媒体。
3−C3−D3−C5−M−C6−D4−C4−R4 式(1)
但し式(1)において、
3及びR4は、それぞれ独立して、(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表し、
3及びD4は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表し、
3〜C6は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−からなる群より選択される基を表し、
Mは、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類からなる群から選択された互いに同一又は異なる2個〜4個の骨格が、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−からなる群より選択される結合基によって結合された基を表し、
前記Mが有しうる置換基は、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1個〜10個のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5、−O−C(=O)−R5、−C(=O)−O−R5、−O−C(=O)−O−R5、−NR5−C(=O)−R5、−C(=O)−NR5、または−O−C(=O)−NR5であり、R5及びRは、水素原子又は炭素数1個〜10個のアルキル基を表し、R及びRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6−C(=O)−、−C(=O)−NR6−、−NR6−、または−C(=O)−が介在していてもよく(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)、R6は、水素原子または炭素数1個〜6個のアルキル基を表し、
前記置換基を有してもよい炭素数1個〜10個のアルキル基における置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2個〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3個〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2個〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2個〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基である。
[3] 前記第1コレステリック液晶樹脂を含む第1樹脂層と前記第2コレステリック液晶樹脂を含む第2樹脂層とを含む、[1]又は[2]に記載の識別媒体。
[4] 前記第1コレステリック液晶樹脂を含む第1顔料及び前記第2コレステリック液晶樹脂を含む第2顔料の両方が分散する顔料層を含む、[1]又は[2]に記載の識別媒体。
[5] 前記第1コレステリック液晶樹脂と前記第2コレステリック液晶樹脂とが互いに同一の捩れ方向を有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の識別媒体。
[6] 前記第1コレステリック液晶樹脂と前記第2コレステリック液晶樹脂とが互いに異なる捩れ方向を有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の識別媒体。
[7] [1]〜[6]のいずれか1項に記載の識別媒体に自然光を照射すること、
前記識別媒体からの反射光を正面方向近傍から視野角を増大させながら観察した場合に、前記反射光の色が短波長側から長波長側に変化するか否かを判定すること、及び
前記識別媒体からの前記反射光が有する、色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上を、左円偏光板及び右円偏光板を介して観察し、前記左円偏光板及び前記右円偏光板により観察された前記色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上に差があるか否かを判定すること、
を含む、識別媒体の真正性を識別する方法。
また、本開示は、以下も提供する。
[2−1] [1]〜[6]のいずれか1項に記載の識別媒体に自然光を照射すること、
前記識別媒体からの前記反射光が有する、色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上を、左円偏光板及び右円偏光板を介して観察すること、
を含む、識別媒体の真正性を識別する方法。
本発明によれば、観察される反射光の色が、正面方向からの視野角θの増大に伴い短波長側から長波長側に変化する識別媒体であって、無彩色となる視野角が存在しない識別媒体;かかる識別媒体の真正性を識別する方法を提供できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る識別媒体を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の第2実施形態に係る識別媒体を模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、別に断らない限り、ある層の面内レターデーションReは、Re=(nx−ny)×dで表される値を示す。ここで、nxは、層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表し、dは、層の厚みを表す。また、面内方向とは、厚み方向に垂直な方向を示す。また複屈折Δnは、Δn=Re/dで表される値を示す。
以下の説明において、別に断らない限り、屈折率の測定波長は、590nmである。
以下の説明において、別に断らない限り、「組成物」は2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質のみからなる材料をも包含し、「剤」は、単一の物質のみからなる材料の他、2以上の物質の混合物を包含する。
以下の説明において、別に断らない限り、「(メタ)アクリレート」の文言は、「アクリレート」、「メタクリレート」、及びこれらの組み合わせを包含する。また、「(メタ)アクリル」の文言は、「アクリル」、「メタクリル」、及びこれらの組み合わせを包含する。「(チオ)エポキシ」の文言は、「エポキシ」、「チオエポキシ」、及びこれらの組み合わせを包含する。また、「イソ(チオ)シアネート」の文言は、「イソシアネート」、「イソチオシアネート」、及びこれらの組み合わせを包含する。
[1.識別媒体]
本発明の識別媒体は、波長700nm以上900nm以下の光を選択的に反射し、第1液晶組成物の硬化物である第1コレステリック液晶樹脂と、
波長400nm以上500nm以下の光を選択的に反射し、第2液晶組成物の硬化物である第2コレステリック液晶樹脂とを含み、
前記第1液晶組成物の複屈折Δn1及び前記第2液晶組成物の複屈折Δn2の少なくとも一方は、0.2以上である。
[コレステリック液晶樹脂]
第1コレステリック液晶樹脂は、波長700nm以上900nm以下の光を選択的に反射する。第2コレステリック液晶樹脂は、波長400nm以上500nm以下の光を選択的に反射する。
以下の説明において、コレステリック液晶樹脂とは、コレステリック規則性を有する樹脂材を意味する。コレステリック規則性を有する樹脂材とは、樹脂を構成する分子又は分子の部分が、樹脂材の中でコレステリック規則性を有する状態に整列している樹脂材をいう。
樹脂内の分子が「コレステリック規則性を有する」とは、樹脂中の分子が、以下に述べる特定の規則性を有することをいう。樹脂内の分子がコレステリック規則性を有する場合、分子は、樹脂内において、多数の分子の層をなす態様で整列する。それぞれの分子の層において、分子は、分子軸が一定の配向方向になるよう並ぶ。樹脂の層の内部のある第一の平面における配向方向に対して、当該第一の平面に重なる次の第二の平面における配向方向は、少し角度をなしてずれる。当該第二の平面にさらに重なる次の第三の平面における配向方向は、第二の平面における配向方向から、さらに少し角度をなしてずれる。このように、重なって配列している複数の平面において、当該平面中の分子軸の角度が順次ずれて(ねじれて)いく。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
光学的にカイラルな構造を有するコレステリック液晶樹脂は、通常円偏光を選択的に反射する、円偏光選択反射機能を有する。コレステリック液晶樹脂が、所定の波長範囲の光を「選択的に反射する」とは、所定の波長範囲の非偏光(即ち自然光)のうち一方の円偏光成分を反射し、他方の円偏光成分を透過することをいう。この選択的に反射される円偏光の波長範囲は、選択反射帯域といわれる。
コレステリック液晶樹脂を正面方向からの視野角θで観察した場合における、選択反射帯域の中心波長λ(nm)は、コレステリック液晶樹脂の平均屈折率をn、コレステリック液晶樹脂が有するカイラル構造(螺旋構造)のピッチ長をP(nm)とすると、以下の式で表される。
λ=n×P×cosθ
したがって、コレステリック液晶樹脂を正面方向からの視野角θで観察した場合(cosθ<1)の選択反射帯域の中心波長λは、正面方向から観察した場合(cosθ=1)の選択反射帯域の中心波長λと比較して、短波長となる。
ここで、コレステリック液晶樹脂は、薄膜の形態であっても、粉体の形態であってもよく、コレステリック液晶樹脂が粉体の形態である場合、選択反射帯域の中心波長λは、粉体を含む薄膜を形成したときに観察される選択反射帯域の中心波長である。
コレステリック液晶樹脂の正面方向とは、コレステリック液晶樹脂が薄膜の形態である場合は、薄膜の法線方向をいう。コレステリック液晶樹脂が粉体の形態である場合は、粉体を含む薄膜を形成したときの薄膜の法線方向をいう。
第1コレステリック液晶樹脂は、波長700nm以上900nm以下の光を選択的に反射する。すなわち、第1コレステリック液晶樹脂は、正面方向からの視野角θが5°の場合における選択反射帯域の中心波長が700nm以上900nm以下である。波長700nm以上900nm以下の光は、赤外領域と重なり、通常人間には視認できないか、視認しにくい。したがって、第1コレステリック液晶樹脂は、正面方向からの視野角θを増大させながら観察すると、選択反射帯域の中心波長が700nm以上900nm以下の範囲から短波長側にシフトし、人間に視認できる範囲の中心波長となる。
第2コレステリック液晶樹脂は、波長400nm以上500nm以下の光を選択的に反射する。すなわち、第2コレステリック液晶樹脂は、正面方向からの視野角θが5°の場合における選択反射帯域の中心波長が400nm以上500nm以下である。波長400nm以上500nm以下の光は、可視領域である紫領域〜青領域と重なり、通常人間に視認できる。第2コレステリック液晶樹脂は、正面方向からの視野角θを増大させながら観察すると、選択反射帯域の中心波長が400nm以上500nm以下の可視領域から短波長側にシフトし、人間に視認できない紫外領域にあるか又は視認しにくい範囲の中心波長となる。
したがって、第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂を含む識別媒体は、正面方向近傍である、正面方向からの視野角が5°の場合には、第2コレステリック液晶樹脂の紫領域〜青領域にある反射光が視認され、正面方向からの視野角θを増大させながら観察すると、第2コレステリック液晶樹脂の反射光が視認されないか視認されにくくなり、第1コレステリック液晶樹脂の反射光が視認されるようになる。
よって、識別媒体が第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂を含むことによって、視野角θの増大に伴い反射光が長波長側にシフトする識別媒体とすることができる。そのため、視野角θの増大に伴い、反射光が短波長側にシフトする、コレステリック液晶樹脂を1種のみ含む識別媒体と比較して、識別媒体の偽造防止機能を強化しうる。
第1コレステリック液晶樹脂は、正面方向からの視野角θが5°の場合における選択反射帯域の中心波長が、通常700nm以上、好ましくは720nm以上、より好ましくは730nm以上であり、通常900nm以下、好ましくは800nm以下、より好ましくは770nm以下である。第1コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域の中心波長が、上記範囲にあることで、正面方向近傍からは第1コレステリック液晶樹脂の反射光が視認しにくく、比較的小さい視野角で、反射光が赤外領域から可視領域へシフトしうる。
第2コレステリック液晶樹脂は、正面方向からの視野角θが5°の場合における選択反射帯域の中心波長が、通常400nm以上、好ましくは420nm以上、より好ましくは430nm以上であり、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下である。第2コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域の中心波長が、上記範囲にあることで、正面方向近傍からは第2コレステリック液晶樹脂の青領域にある反射光が視認できると同時に、比較的小さい視野角で、反射光が青領域から紫外領域へシフトしうる。
第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂のそれぞれの選択反射帯域の中心波長λは、例えば、螺旋構造のピッチ長Pを大きくすることで大きくでき、ピッチ長Pを小さくすることで小さくすることができる。
コレステリック液晶樹脂のピッチ長Pを調整する方法としては、例えば、カイラル剤の種類を調整したり、カイラル剤の量を調整したりする方法が挙げられる。
コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域の中心波長λは、下記の方法により決定しうる。
まず入射角5°におけるコレステリック液晶樹脂の反射スペクトルを測定する。得られた反射スペクトルにおいて、最大強度を有するピークを決定する。最大強度の50%の強度を示す、ピークの短波長側の波長λ1及び長波長側の波長λ2の平均値((λ1+λ2)/2)を、コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域の中心波長λとしうる。
コレステリック液晶樹脂の反射スペクトルを測定するための試料としては、コレステリック液晶樹脂の薄膜である液晶樹脂層を用いうる。
[液晶組成物]
第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂は、それぞれ、第1液晶組成物の硬化物及び第2液晶組成物の硬化物である。
液晶組成物は、液晶性化合物を含む材料である。液晶性化合物としては、重合性を有する液晶性化合物が好ましい。重合性を有する液晶性化合物を含む液晶組成物は、その液晶性化合物を重合させることにより、配向状態を保持したまま容易に硬化させることができる。
液晶性化合物としては、コレステリック液晶性化合物を用いうる。コレステリック液晶性化合物は、コレステリック液晶性を呈しうる化合物である。このようなコレステリック液晶性化合物を含む液晶組成物を用い、コレステリック液晶相を呈した状態で液晶組成物を硬化させることで、コレステリック規則性を有する樹脂材であるコレステリック液晶樹脂を得ることができる。
第1液晶組成物及び第2液晶組成物の詳細については後述する。
第1コレステリック液晶樹脂を形成する第1液晶組成物の複屈折Δn1及び第2コレステリック液晶樹脂を形成する第2液晶組成物の複屈折Δn2の少なくとも一方は、0.2以上である。これにより、無彩色となる視野角が存在しない識別媒体を得られる。
ここで、液晶組成物の複屈折Δnとは、液晶組成物に含まれる液晶性化合物をホモジニアス配向させた後、その配向を維持したまま硬化させて得られる樹脂のΔnを意味する。液晶組成物は、カイラル剤を含んでいてもよいが、液晶組成物のΔnは、液晶組成物からカイラル剤を除いた組成物を硬化させて得られた樹脂について測定された値である。
具体的には、液晶組成物のΔnは、下記の方法で測定しうる。
コレステリック液晶樹脂の層を形成するための塗布液からカイラル剤を除いた塗布液を用いて層を形成することによって、塗布液に含まれる液晶性化合物をホモジニアス配向させ、その配向を維持させたまま硬化させて層(ホモジニアス液晶樹脂の層)を形成する。当該層について面内レターデーションRe及び層の厚みdを測定することにより、当該層のΔnを算出する。当該層のΔnを、液晶組成物のΔnとする。
当該層の面内レターデーションReは、位相差計により測定しうる。
当該層の厚みdは、光学式干渉膜厚計又は接触式膜厚計により測定しうる。
複屈折Δn1及び複屈折Δn2の少なくとも一方を0.2以上にすることにより、無彩色となる視野角が存在しない識別媒体を得られる理由は、本発明を限定するものではないが、以下のとおりであると考えられる。
コレステリック液晶樹脂について、選択反射帯域の帯域幅Δλは、コレステリック液晶樹脂を形成する液晶組成物の複屈折Δn及びコレステリック液晶樹脂のピッチ長P(nm)に依存し、Δλは下記の式で表される。
Δλ=Δn×P
したがって、帯域幅Δλは、液晶組成物のΔnを大きくする程、広くすることができる。
複屈折Δn1及びΔn2の少なくとも一方を0.2以上とすることで、第1コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域の帯域幅及び第2コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域の帯域幅の少なくとも一方が広くなり、第1コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域及び第2コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域の少なくとも一方が、可視光域と重なる範囲が広くなる。その結果、視野角θを増大させて観察する場合においても、第1コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域及び第2コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域のうち少なくとも一方が、可視光域と必ず重なることとなるため、無彩色となる視野角が存在しないと考えられる。
複屈折Δn1及びΔn2の両方が0.2以上であっても、一方のみが0.2以上であってもよい。
複屈折Δn1及びΔn2の少なくとも一方は、好ましくは0.21以上、より好ましくは0.22以上であり、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.27以下、更に好ましくは0.25以下である。複屈折Δn1及びΔn2の少なくとも一方が下限値以上であることにより、第1及び/又は第2コレステリック液晶樹脂の選択反射帯域が広がることで、より広い波長範囲で選択反射の中心波長を選択することができ、設計の自由度が広がる。複屈折Δn1及びΔn2の少なくとも一方が上限値以下であることにより、第1及び/又は第2コレステリック液晶樹脂の黄変を抑制することができ、選択反射光の色彩に影響を与えにくいコレステリック液晶樹脂層を形成することができる。
好ましくは、複屈折Δn1及びΔn2の両方が0.2以上であり、複屈折Δn1及びΔn2の両方が、より好ましくは0.21以上、更に好ましくは0.22以上であり、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.27以下、更に好ましくは0.25以下である。複屈折Δn1及びΔn2の両方が前記下限値以上であることにより、第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂の両方の選択反射帯域が広がることで、第1及び第2コレステリック液晶樹脂の両方において、より広い波長範囲で選択反射の中心波長を選択することができ、設計の自由度が更に広がる。複屈折Δn1及びΔn2の両方が前記上限値以下であることにより、第1及び第2コレステリック液晶樹脂両方の黄変を抑制でき、更に選択反射光の色彩に影響を与えにくいコレステリック液晶樹脂層を形成することができる。
第1コレステリック液晶樹脂の捩れ方向と、第2コレステリック液晶樹脂の捩れ方向は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
第1液晶組成物及び第2液晶組成物に含まれる液晶性化合物としては、例えば、一分子中に2つ以上の反応性基を有する棒状液晶性化合物を用いうる。この棒状液晶性化合物としては、例えば、式(1)で表される化合物を挙げることができる。
3−C3−D3−C5−M−C6−D4−C4−R4 式(1)
式(1)において、R3及びR4は、反応性基であり、それぞれ独立して、(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。これらの反応性基を有することにより、液晶組成物を硬化させた際に、強度の高いコレステリック液晶樹脂を得ることができる。
式(1)において、D3及びD4は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。
式(1)において、C3〜C6は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−からなる群より選択される基を表す。
式(1)において、Mは、メソゲン基を表す。具体的には、Mは、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類からなる群から選択された互いに同一又は異なる2個〜4個の骨格が、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−等の結合基によって結合された基を表す。
前記メソゲン基Mが有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1個〜10個のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5、−O−C(=O)−R5、−C(=O)−O−R5、−O−C(=O)−O−R5、−NR5−C(=O)−R5、−C(=O)−NR5、または−O−C(=O)−NR5が挙げられる。ここで、R5及びRは、水素原子又は炭素数1個〜10個のアルキル基を表す。R及びRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6−C(=O)−、−C(=O)−NR6−、−NR6−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6は、水素原子または炭素数1個〜6個のアルキル基を表す。
前記「置換基を有してもよい炭素数1個〜10個のアルキル基」における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2個〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3個〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2個〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2個〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
また、前記の棒状液晶性化合物は、非対称構造であることが好ましい。ここで非対称構造とは、式(1)において、メソゲン基Mを中心として、R3−C3−D3−C5−と−C6−D4−C4−R4とが異なる構造のことをいう。棒状液晶性化合物として非対称構造のものを用いることにより、配向均一性をより高めることができる。
棒状液晶性化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物(B1)〜(B9)が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
Figure 2019230840
第1液晶組成物及び/又は第2液晶組成物は、液晶性化合物として上記式(1)で表される化合物を含むことが好ましく、上記化合物(B1)〜(B9)から選ばれる1種以上を含むことがより好ましい。上記式(1)で表される液晶化合物(特に上記化合物(B1)〜(B9))は複屈折Δnが大きく、複屈折Δnが0.2以上となる液晶組成物を調製しやすい。
第1液晶組成物及び/又は第2液晶組成物は、液晶性化合物以外に、下記式(2)で表される化合物を含みうる。
1−A1−B−A2−R2 (2)
式(2)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、任意の結合基が介在していてもよい(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。
前記アルキル基及びアルキレンオキサイド基は、置換されていないか、若しくはハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。さらに、前記ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基は、炭素原子数1個〜2個のアルキル基、及びアルキレンオキサイド基と結合していてもよい。
1及びR2として好ましい例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基が挙げられる。
また、R1及びR2の少なくとも一方は、反応性基であることが好ましい。R1及びR2の少なくとも一方として反応性基を有することにより、前記式(2)で表される化合物が硬化時にコレステリック液晶樹脂中に固定され、より強固な樹脂を形成することができる。ここで反応性基とは、例えば、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びアミノ基を挙げることができる。
式(2)において、A1及びA2はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキセン−1,4−イレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基を表す。前記1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキセン−1,4−イレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基は、置換されていないか、若しくはハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個〜10個のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換基で1つ以上置換されていてもよい。A1及びA2のそれぞれにおいて、2以上の置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
1及びA2として特に好ましいものとしては、1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基が挙げられる。これらの芳香環骨格は脂環式骨格と比較して比較的剛直であり、棒状液晶性化合物のメソゲンとの親和性が高く、配向均一性がより高くなる。
式(2)において、Bは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−からなる群より選択される。
Bとして特に好ましいものとしては、単結合、−O−(C=O)−及び−CH=N−N=CH−が挙げられる。
式(2)で表される化合物として特に好ましい具体例としては、下記の化合物(A1)〜(A10)が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
下記の化合物(A1)〜(A10)の中でも、液晶組成物における液晶相の発現温度を低くし、液晶性化合物の液晶相を呈する温度範囲を狭めにくくする観点から、特に化合物(A2)及び(A10)から選ばれる1種以上が好ましい。
Figure 2019230840
上記化合物(A3)において、「*」はキラル中心を表す。
第1液晶組成物又は第2液晶組成物における、(式(2)で表される化合物の合計重量)/(棒状液晶性化合物の合計重量)で示される重量比は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上であり、好ましくは1以下、より好ましくは0.65以下、特に好ましくは0.55以下である。前記の重量比を前記範囲の下限値以上にすることにより、液晶組成物の配向均一性を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、液晶組成物の配向均一性を高くできる。また、液晶組成物の液晶相の安定性を高くできる。さらに、液晶組成物の複屈折Δnを高くできる。ここで、式(2)で表される化合物の合計重量とは、式(2)で表される化合物を1種類のみ用いた場合にはその重量を示し、2種類以上を用いた場合には合計の重量を示す。同様に、棒状液晶性化合物の合計重量とは、棒状液晶性化合物を1種類のみ用いた場合にはその重量を示し、2種類以上を用いた場合には合計の重量を示す。
また、式(2)で表される化合物と棒状液晶性化合物とを組み合わせて用いる場合、式(2)で表される化合物の分子量が600未満であることが好ましく、棒状液晶性化合物の分子量が600以上であることが好ましい。これにより、式(2)で表される化合物が、それよりも分子量の大きい棒状液晶性化合物の隙間に入り込むことができるので、配向均一性を向上させることができる。
第1液晶組成物及び第2液晶組成物は、それぞれカイラル剤を含みうる。通常、コレステリック液晶樹脂の捩れ方向は、使用するカイラル剤の種類及び構造により適宜選択できる。カイラル剤の具体例としては、特開2005−289881号公報、特開2004−115414号公報、特開2003−66214号公報、特開2003-313187号公報、特開2003−342219号公報、特開2000−290315号公報、特開平6−072962号公報、米国特許第6468444号明細書、国際公開第98/00428号、特開2007−176870号公報、等に掲載されるものを適宜使用することができ、例えばBASF社パリオカラーのLC756として入手できる。また、カイラル剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
カイラル剤の量は、所望する光学的性能を低下させない範囲で任意に設定しうる。カイラル剤の具体的な量は、液晶組成物中で、通常1重量%〜60重量%である。
第1液晶組成物及び第2液晶組成物は、それぞれ重合開始剤を含みうる。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤が挙げられ、紫外線又は可視光線によってラジカル又は酸を発生させうる化合物が使用できる。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、β−アイオノン、β−ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α−アミルシンナミックアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、アントラセンベンゾフェノン、α−クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1−クロルメチルナフタレン、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(o−アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3−メチル−2−ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。また、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて公知の光増感剤又は重合促進剤としての三級アミン化合物を用いて、硬化性をコントロールしてもよい。
重合開始剤の量は、液晶組成物中0.03重量%〜7重量%であることが好ましい。重合開始剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合度を高くできるので、コレステリック液晶樹脂の機械的強度を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、液晶性化合物の配向を良好にできるので、液晶組成物の液晶相を安定にできる。
第1液晶組成物及び第2液晶組成物は、それぞれレベリング剤として、界面活性剤を含みうる。界面活性剤としては、例えば、配向を阻害しないものを適宜選択して使用しうる。このような界面活性剤としては、例えば、疎水基部分にシロキサン又はフッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤が好適に挙げられる。中でも、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。これらの界面活性剤の具体例としては、OMNOVA社のPolyFoxのPF−151N、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、PF−3320、PF−651、PF−652;ネオス社のフタージェントのFTX−209F、FTX−208G、FTX−204D;セイミケミカル社のサーフロンのKH−40、S420;等を用いることができる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、コレステリック液晶樹脂における界面活性剤の量が0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。界面活性剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、液晶組成物の空気界面における配向規制力を高くできるので、配向欠陥を抑制できる。また、上限値以下にすることにより、過剰の界面活性剤がミセル構造を形成することによる樹脂層の面状不良を抑制できる。
第1液晶組成物及び第2液晶組成物のそれぞれは、必要に応じてさらに任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば;ポットライフ向上のための重合禁止剤;耐久性向上のための酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定化剤;等を挙げることができる。また、これらの任意成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの任意の成分の量は、所望する光学的性能を低下させない範囲で任意に設定しうる。
第1液晶組成物及び第2液晶組成物の製造方法は、特に限定されず、上記各成分を混合することにより第1液晶組成物及び第2液晶組成物をそれぞれ製造しうる。
[識別媒体の第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る識別媒体は、第1コレステリック液晶樹脂を含む第1樹脂層と、第2コレステリック液晶樹脂を含む第2樹脂層とを含む。
図1は、本発明の第1実施形態に係る識別媒体を模式的に示す断面図である。
本実施形態に係る識別媒体100は、視認される側から、第1樹脂層110、及び第2樹脂層120をこの順に備えている。本発明の識別媒体は、視認される側から、第2樹脂層、及び第1樹脂層をこの順で備えていてもよい。また、本発明の目的を阻害しない限り、任意の層を備えていてもよい。任意の層としては、例えば、基材層、粘着層が挙げられる。識別媒体が、第1樹脂層又は第2樹脂層よりも視認側に任意の層を備える場合は、任意の層は、光透過性の高い層であることが好ましく、全光線透過率が70%以上の層であることがより好ましい。粘着層は、例えば第1樹脂層と第2樹脂層との間に設けられていてもよい。
第1樹脂層110は、第1コレステリック液晶樹脂の薄膜であってもよいし、顔料として第1コレステリック液晶樹脂の粉体を含む層であってもよい。
第2樹脂層120は、第2コレステリック液晶樹脂の薄膜であってもよいし、顔料として第2コレステリック液晶樹脂の粉体を含む層であってもよい。
第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂のそれぞれの例及び好ましい例については、前記したそれぞれの例及び好ましい例と同様である。
第1樹脂層110及び第2樹脂層120は、例えば下記の方法で製造されうる。
(コレステリック液晶樹脂の薄膜である樹脂層)
第1樹脂層110が、第1コレステリック液晶樹脂の薄膜である場合、第1液晶組成物と溶媒とを含む塗布液を、適切な支持体上に塗布して、必要に応じて乾燥して第1液晶組成物の層とし、この層を硬化することにより、第1コレステリック液晶樹脂の薄膜である第1樹脂層110を形成しうる。
第1液晶組成物を含む塗布液の塗布に先立ち、支持体の表面に、配向規制力を付与する処理を施しうる。かかる処理の例としては、支持体表面のラビング処理、支持体のフィルムの延伸処理等が挙げられる。また、支持体の表面と第1液晶組成物との親和性を高めるための、コロナ処理等の表面処理を行ってもよい。
支持体は、その表面に配向膜を有していてもよい。
第1液晶組成物を含む塗布液の塗布は、既知の塗布方法により実施しうる。塗布方法の例としては、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、及びバーコーティング法が挙げられる。
第1液晶組成物を含む塗布液を塗布して第1液晶組成物の層を形成した後、硬化の工程を行う前に、必要に応じ配向処理を行いうる。配向処理は、例えば第1液晶組成物の層を50〜150℃で0.5〜10分間加温することにより行いうる。当該配向処理を施すことにより、第1液晶組成物中の液晶性化合物を良好に配向させることができる。
第1液晶組成物の層の硬化の処理は、1回以上のエネルギー線照射により行いうる。エネルギー線の例としては、紫外線、可視光及びその他の電磁波が挙げられる。エネルギー線照射は、具体的には例えば、波長200〜500nmの光を0.01秒〜3分照射することにより行いうる。
第2樹脂層120が、第2コレステリック液晶樹脂の薄膜である場合も、上記第1樹脂層110の製造方法の例において、第1液晶組成物の代わりに第2液晶組成物を用いることにより、第2コレステリック液晶樹脂の薄膜である第2樹脂層120を形成しうる。
第1樹脂層110の厚みは、例えば0.5μm以上10μm以下としうる。
第2樹脂層120の厚みは、例えば0.5μm以上10μm以下としうる。
(コレステリック液晶樹脂の粉体を含む樹脂層)
第1樹脂層110が、顔料として第1コレステリック液晶樹脂の粉体を含む層である場合、例えば、第1コレステリック液晶樹脂の粉体と、適切なバインダーとを含む塗布液を調製し、適切な塗布方法により第1コレステリック液晶樹脂の粉体を含む層を形成し、必要に応じて該層を乾燥及び/又は硬化することにより第1樹脂層110を形成しうる。
バインダーとしては、例えば、ポリエステル系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、及びポリビニル系ポリマーが挙げられる。バインダーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。バインダーは、例えば、前記ポリマーと光重合開始剤とを含み、光(例、紫外線光)の照射により硬化する、光硬化型のバインダーであってもよい。
第1コレステリック液晶樹脂の粉体は、例えば、前記の方法で第1液晶組成物から支持体上に前記第1コレステリック液晶樹脂の薄膜を形成した後、支持体から第1コレステリック液晶樹脂の薄膜を剥離し、これを破砕する方法により製造しうる。
第1コレステリック液晶樹脂の粉体の形状は、第1コレステリック液晶樹脂の粉体が選択反射機能を発揮する限りにおいて任意であり、例えばフレークとすることができる。フレークの厚みは、例えば、0.5μm以上10μm以下としうる。
第1コレステリック液晶樹脂の粉体の平均粒子径は、例えば、1μm以上500μm以下としうる。
平均粒子径は、次の方法により測定できる。まず、目開きの異なるいくつかの篩を用いて、その目開きを有する篩を通過する粉体の割合を測定する。そして、目開きの大きさと、その目開きを有する篩を通過する粉体の割合から、粉体の粒子径分布を積算重量百分率で表す。この粒子径分布において、その重量の積算値が50%の粒子径を、平均粒子径としうる。
また平均粒子径は、レーザー回折・散乱法又はフロー方式画像解析法によっても測定しうる。
第2樹脂層120が、顔料として第2コレステリック液晶樹脂の粉体を含む層である場合も、前記第1樹脂層110の製造方法において、第1コレステリック液晶樹脂の粉体の代わりに第2コレステリック液晶樹脂の粉体を用いることにより第2樹脂層120を形成しうる。
第2コレステリック液晶樹脂の粉体は、前記第1コレステリック液晶樹脂の粉体の製造方法において、第1液晶組成物の代わりに第2液晶組成物を用いることにより、製造しうる。
[識別媒体の第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る識別媒体は、第1コレステリック液晶樹脂を含む第1顔料及び第2コレステリック液晶樹脂を含む第2顔料の両方が分散する顔料層を含む。
図2は、本発明の第2実施形態に係る識別媒体を模式的に示す断面図である。
識別媒体200は、第1顔料210及び第2顔料220の両方が分散する顔料層230を備える。
識別媒体200は、顔料層230を1層のみ備えているが、別の態様では、識別媒体は顔料層を複数備えていてもよい。
第1顔料210は、第1コレステリック液晶樹脂を含み、第2顔料220は、第2コレステリック液晶樹脂を含む。第1顔料210に含まれる第1コレステリック液晶樹脂の例及び好ましい例、第2顔料220に含まれる第2コレステリック液晶樹脂の例及び好ましい例については、前記したそれぞれの例及び好ましい例と同様である。
第1顔料210に含まれる第1コレステリック液晶樹脂及び第2顔料220に含まれる第2コレステリック液晶樹脂は、通常粉体の形態である。
第1コレステリック液晶樹脂の粉体及び第2コレステリック液晶樹脂の粉体はそれぞれ、第1実施形態において説明した第1コレステリック液晶樹脂の粉体及び第2コレステリック液晶樹脂の粉体と同様とすることができる。
第1コレステリック液晶樹脂の粉体及び第2コレステリック液晶樹脂の粉体は、それぞれ第1実施形態において説明したそれぞれの製造方法と同様にして製造しうる。
第1顔料210及び第2顔料220は、それぞれ第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂以外の添加剤を含みうるが、第1コレステリック液晶樹脂の粉体及び第2コレステリック液晶樹脂の粉体のみからなる顔料であってもよい。
顔料層230は、第1顔料210及び第2顔料220以外に、バインダーなどの任意の材料を含んでいてもよく、通常バインダーを含む。バインダーとしては、例えば、第1実施形態において、項目(コレステリック液晶樹脂の粉体を含む樹脂層)の説明で挙げたものが挙げられる。
顔料層230は、例えば、第1顔料210及び第2顔料220と、バインダーと、必要に応じて適切な分散媒とを含む塗布液を調製し、該塗布液を適切な塗布方法により基材に塗布することにより製造されうる。
識別媒体は、顔料層230の他に、本発明の目的を阻害しない限り、任意の層を備えていてもよい。任意の層としては、例えば、基材層、粘着層が挙げられる。識別媒体が、顔料層よりも視認側に任意の層を備える場合は、任意の層は、光透過性の高い層であることが好ましく、全光線透過率が70%以上の層であることがより好ましく、面内レターデーションReの小さい(例えば5nm以下)層が好ましい。
[識別媒体の用途]
識別媒体は、物品に貼付、転写するなどして、物品の真正性を識別するために好適に用いられる。真正性を識別すべき物品としては、例えば、金券、商品券、チケット、証明書、セキュリティカード等の物品が挙げられる。識別媒体は、真正性識別用のラベル、シールなどの形態として用いることもできる。
[2.識別媒体の真正性を識別する方法]
本発明の一実施形態に係る方法は、前記識別媒体に自然光を照射すること、識別媒体からの反射光が有する、色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上を、左円偏光板及び右円偏光板を介して観察すること、を含む、識別媒体の真正性を識別する方法である。より具体的には、本実施形態の方法は、
識別媒体に自然光を照射すること、
前記識別媒体からの反射光を正面方向近傍から視野角を増大させながら観察した場合に、前記反射光の色が短波長側から長波長側に変化するか否かを判定すること、及び
前記識別媒体からの前記反射光が有する、色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上を、左円偏光板及び右円偏光板を介して観察し、前記左円偏光板及び前記右円偏光板により観察された前記色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上に差があるか否かを判定すること、を含む。
以下、本発明の一実施形態に係る方法について説明する。
[自然光の照射]
まず、識別媒体に自然光を照射する。識別媒体としては、前記した波長700nm以上900nm以下の光を選択的に反射し、第1液晶組成物の硬化物である第1コレステリック液晶樹脂と、波長400nm以上500nm以下の光を選択的に反射し、第2液晶組成物の硬化物である第2コレステリック液晶樹脂とを含み、前記第1液晶組成物の複屈折Δn1及び前記第2液晶組成物の複屈折Δn2の少なくとも一方は、0.2以上である、識別媒体を用いる。識別媒体は、前記第1実施形態に係る識別媒体であっても、前記第2実施形態に係る識別媒体であってもよい。
自然光とは、非偏光を意味し、太陽光であっても、人工光であってもよい。
自然光の照射の後に、以下の[反射光の観察1]及び[反射光の観察2]を行う。[反射光の観察1]に次いで[反射光の観察2]を行ってもよく、[反射光の観察2]に次いで[反射光の観察1]を行ってもよく、[反射光の観察1]及び[反射光の観察2]を同時に行ってもよい。
[反射光の観察1]
識別媒体からの反射光を正面方向近傍(好ましくは、正面方向からの視野角5°)から視野角を増大させながら観察する。反射光は、通常偏光板を介さずに観察する。
観察の結果、反射光の色が、短波長側から長波長側に変化するか否かを判定する。その結果、反射光の色が、短波長側(例えば、青領域の色)から長波長側(例えば、赤領域の色)に変化しない場合は、識別媒体は真正ではないと判定できる。
[反射光の観察2]
識別媒体からの反射光が有する、色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上を、左円偏光板及び右円偏光板を介して観察する。
識別媒体に含まれるコレステリック液晶樹脂の捩れ方向によって、識別媒体が反射する偏光は下記のとおりとなる。
(1)識別媒体に含まれる第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂の捩れ方向が互いに同一である場合:識別媒体は、第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂の捩れ方向と同一方向の円偏光のみを反射する。
(2)識別媒体に含まれる第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂の捩れ方向が互いに異なる場合:識別媒体は、第1コレステリック液晶樹脂の捩れ方向と同一方向である一方の円偏光を反射し、第2コレステリック液晶樹脂の捩れ方向と同一方向である他方の円偏光を反射する。
前記(1)の場合、識別媒体を左円偏光板及び右円偏光板で観察すると、第1コレステリック液晶樹脂及び第2コレステリック液晶樹脂により反射された光は、一方の円偏光のみを含むため、この一方の円偏光を透過させる一方の円偏光板では識別媒体の反射光が視認され、他方の円偏光板では識別媒体の反射光が視認されないか視認されにくい。
したがって、識別媒体からの反射光を左右円偏光板により観察した場合に、左右円偏光板による識別媒体の反射光の色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上に差があった場合は、識別媒体は真正であると判定できる。
また、左右円偏光板による識別媒体の反射光の色相、明度、及び彩度に、差がない場合は、識別媒体は、円偏光を選択的に反射する選択反射機能を有さず、識別媒体は真正ではないと判定できる。
前記(2)の場合、識別媒体を左円偏光板及び右円偏光板で観察すると、一方の円偏光板は、第1コレステリック液晶樹脂により反射された光を透過させ、第2コレステリック液晶樹脂により反射された光を、透過させない。
したがって、この一方の円偏光板で識別媒体を正面方向近傍から観察すると、赤外領域と選択反射帯域が重なる第1コレステリック液晶樹脂の反射光は、通常人間には視認されないか視認されにくく、第2コレステリック液晶樹脂により反射された光は一方の円偏光板を透過しないため、識別媒体の反射光は視認されないか視認されにくい。この一方の円偏光板で識別媒体を、視野角θを増大させながら観察すると、第1コレステリック液晶樹脂の反射光の中心波長が、短波長側にシフトし、人間に視認できる範囲の中心波長となるため、視野角θに応じた中心波長の反射光(例えば赤領域の反射光)が、識別媒体の反射光として視認される。
また、他方の円偏光板は、第1コレステリック液晶樹脂により反射された光を透過させず、第2コレステリック液晶樹脂により反射された光を透過させる。
したがって、この他方の円偏光板で識別媒体を正面方向近傍から観察すると、第1コレステリック液晶樹脂により反射された光は、他方の円偏光板を透過せず、第2コレステリック液晶樹脂により反射された光(例えば青領域の反射光)が、識別媒体の反射光として視認される。この他方の円偏光板で識別媒体を、視野角θを増大させながら観察すると、第2コレステリック液晶樹脂の反射光の中心波長が、短波長側にシフトし、人間が視認できないか視認しにくい範囲の中心波長となるため、識別媒体の反射光は視認されないか視認されにくい。
よって、識別媒体からの反射光を左右円偏光板により、正面方向近傍から視野角θを増大させながら観察した場合に、左右円偏光板による識別媒体の反射光の色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上に差があった場合は、識別媒体は真正であると判定できる。
また、左右円偏光板による識別媒体の反射光の色相、明度、及び彩度に、差がない場合は、識別媒体は、円偏光を選択的に反射する選択反射機能を有さず、識別媒体は真正ではないと判定できる。
反射光の色相、明度、及び彩度の差は、目視により確認してもよく、色差計を用いて定量的に評価してもよい。定量的に評価する際の表色系としては、任意の系を使用でき、例えば、XYZ表色系やL表色系などを使用できる。
[反射光の観察1]において、反射光の色が、短波長側(例えば、青領域の色)から長波長側(例えば、赤領域の色)に変化し、かつ、[反射光の観察2]において、左右円偏光板による識別媒体の反射光の色相、明度、及び彩度に、差がある場合に、識別媒体は真正であると判定できる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものでは無く、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲から逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価方法]
(膜厚)
得られた転写体における液晶樹脂層(コレステリック液晶樹脂の層、ホモジニアス液晶樹脂の層)の厚みを、光学式干渉膜厚計(Filmetrics社製「F20」)にて測定した。
(複屈折Δnの測定方法)
液晶組成物の複屈折Δnを、下記に従い測定した。
コレステリック液晶樹脂の層を形成するための塗布液からカイラル剤を除いた塗布液を用いて層を形成することによって、塗布液に含まれる液晶性化合物をホモジニアス配向させ、その配向を維持させたまま硬化させて層(ホモジニアス液晶樹脂の層)を形成した。当該層について面内レターデーションRe及び層の厚みdを測定し、当該層のΔnを算出した。当該層のΔnを、液晶組成物のΔnとした。
下記参考例において、測定方法について更に詳細に説明する。
(選択反射帯域の中心波長)
コレステリック液晶樹脂の、選択反射帯域の中心波長を、下記の方法に従い測定した。
(製造例1〜3)
下記製造例1〜3で得られた転写体における液晶樹脂層(コレステリック液晶樹脂の層)を、粘着層付き黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(巴川製紙所社製)に、粘着層を介して貼り合せた後、支持体を剥離して、液晶樹脂層を黒色PETフィルムに転写した。
次いで、分光光度計(日本分光社製「V570」)により、入射角5°における液晶樹脂層の反射スペクトルを測定した。得られた反射スペクトルにおいて、最大強度を有するピークを決定し、最大強度の50%の強度を示す、ピークの短波長側の波長λ1及び長波長側の波長λ2の平均値((λ1+λ2)/2)を、液晶樹脂層を形成するコレステリック液晶樹脂の、選択反射帯域の中心波長とした。
(第1顔料及び第2顔料)
下記実施例4で製造した顔料P1又は顔料P2と紫外線硬化型バインダー(「レイキュアーOP 4300−2シリーズ」:十条ケミカル社製)とを調合し、固形分比率が10重量%であるインキを得た。該インキを用いて、黒色の紙にスクリーン印刷を行った。スクリーン印刷版の1インチあたり線数は、120とした。
黒色の紙上に印刷されたインキを、高圧水銀ランプを用いて以下の条件で紫外線を照射して、インキを硬化させた。
・酸素ガス濃度400ppm以下の窒素雰囲気下
・波長365nmにおける照度280mW/cm
・波長365nmにおける露光量400mJ/cm
次いで、分光光度計(日本分光社製「V570」)により、入射角5°における硬化インキの反射スペクトルを測定した。得られた反射スペクトルにおいて、最大強度を有するピークを決定し、最大強度の50%の強度を示す、ピークの短波長側の波長λ1及び長波長側の波長λ2の平均値((λ1+λ2)/2)を、顔料を構成する、コレステリック液晶樹脂の、選択反射帯域の中心波長とした。
(視野角による反射光色の変化)
実施例及び比較例で得られた積層体の第1樹脂層側の面に、正面方向から自然光を照射し、正面方向からの視野角θ=5°から視野角θ=70°の範囲で、目視により積層体の反射光を観察し、観察視野角の範囲で、反射光が無彩色(黒色又は白色)となる場合があるか否かを評価した。目視により反射光が無彩色と判断された場合の視野角θを測定した。
[製造例1]
支持体として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製「コスモシャイン(登録商標)A4100]、厚み100μm)を準備し、片面をラビング処理した。
下記表に示す材料を混合して、液晶組成物と溶媒とを含む塗布液L1を調製した。化合物(1)及び化合物(2)は、それぞれ下記式で表される化合物である。
Figure 2019230840
Figure 2019230840
(塗布工程)
次いで、支持体のラビング処理した面の上に、塗布液L1を#8のワイヤーバーを用いて塗布し、液晶組成物を含む塗布層を形成する塗布工程を行った。
(乾燥工程)
次いで、PETフィルム上に形成された塗布層を、オーブンにて140℃で2分間加熱する、乾燥工程を行った。当該加熱により、溶媒が除去され、液晶性化合物の配向が促進されて、コレステリック規則性を有する液晶組成物の層(液晶組成物層)が形成された。
(硬化工程)
次いで、液晶組成物層が形成された支持体の、液晶組成物側から高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、液晶組成物層を硬化させて液晶組成物の硬化物からなる層を形成する硬化工程を行った。紫外線照射の条件は、酸素濃度400ppm以下である窒素ガス雰囲気下、波長365nmにおける照度を280mW/cmとし、波長365nmにおける積算光量を2300mJ/cmとした。
コレステリック規則性を有する液晶組成物層を硬化させることにより、コレステリック規則性を保持したままコレステリック液晶組成物が硬化して、コレステリック規則性を有する樹脂の層であるコレステリック液晶樹脂の層が形成された。コレステリック液晶樹脂の層の厚みは、3μmであった。
本硬化工程により、(支持体)/(コレステリック液晶樹脂層)の構成を有する、転写体1が得られた。
[参考例1’]
(Δnの測定)
製造例1に係る液晶組成物のΔnを下記方法により測定した。
カイラル剤を0重量部とした以外は製造例1の塗布液L1と同様の配合で材料を混合して、塗布液L’1を調製した。塗布液L1の代わりに塗布液L’1を用いた以外は製造例1と同様にして転写体1’を得た。転写体1’では、支持体の面上に、液晶性化合物がホモジニアス配向を維持したまま硬化しているホモジニアス液晶樹脂の層が形成されている。転写体1’のホモジニアス液晶樹脂の層の厚みを測定したところ、3μmであった。
得られた転写体1’のホモジニアス液晶樹脂の層と、ガラス板とを、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」を介して貼り合せた後、転写体1’の支持体を剥離して、ホモジニアス液晶樹脂の層をガラス板に転写し、位相差測定用サンプルを得た。位相差測定用サンプルの波長590nmにおける面内レターデーションReを、位相差計(AXOMETRICS社製「Axoscan」)で測定した。
測定された面内レターデーションReとホモジニアス液晶樹脂の層の厚みとから、Δnを算出した。得られたΔnを、製造例1に係る液晶組成物のΔnとした。
[製造例2]
塗布液L1の代わりに、下記表に示す材料を混合して得られた塗布液L2を用いた以外は製造例1と同様にして、転写体2を得た。転写体2に含まれるコレステリック液晶樹脂の層の厚みは、3μmであった。
Figure 2019230840
[参考例2’]
(Δnの測定)
製造例2に係る液晶組成物のΔnを下記方法により測定した。
カイラル剤を0重量部とした以外は製造例2の塗布液L2と同様の配合で材料を混合して、塗布液L’2を調製した。塗布液L2の代わりに塗布液L’2を用いた以外は製造例2と同様にして転写体2’を得た。転写体2’では、支持体の面上に、液晶性化合物がホモジニアス配向を維持したまま硬化しているホモジニアス液晶樹脂の層が形成されている。転写体2’のホモジニアス液晶樹脂の層の厚みを測定したところ、3μmであった。
転写体1’の代わりに転写体2’を用いて、参考例1’と同様にして位相差測定用サンプルを得て、面内レターデーションReを測定し、Δnを算出した。得られたΔnを、製造例2に係る液晶組成物のΔnとした。
[製造例3]
塗布液L1の代わりに、下記表に示す材料を混合して得られた塗布液L3を用いた以外は製造例1と同様にして、転写体3を得た。転写体3に含まれるコレステリック液晶樹脂の層の厚みは、3μmであった。
Figure 2019230840
[参考例3’]
(Δnの測定)
製造例3に係る液晶組成物のΔnを下記方法により測定した。
カイラル剤を0重量部とした以外は製造例3の塗布液L3と同様の配合で材料を混合して、塗布液L’3を調製した。塗布液L3の代わりに塗布液L’3を用いた以外は、製造例3と同様にして転写体3’を得た。転写体3’では、支持体の面上に、液晶性化合物がホモジニアス配向を維持したまま硬化しているホモジニアス液晶樹脂の層が形成されている。転写体3’のホモジニアス液晶樹脂の層の厚みを測定したところ、3μmであった。
転写体1’の代わりに転写体3’を用いて、参考例1’と同様にして位相差測定用サンプルを得て、面内レターデーションReを測定し、Δnを算出した。得られたΔnを、製造例3に係る液晶組成物のΔnとした。
[製造例4]
以下の事項を変更した以外は製造例1と同様にして、転写体4を得た。塗布液L1の代わりに、下記表に示す材料を混合して得られた塗布液L4を用いた。また、乾燥工程において、乾燥温度を140℃から90℃に変更した。
転写体4に含まれるコレステリック液晶樹脂の層の厚みは、3μmであった。
Figure 2019230840
[参考例4’]
(Δnの測定)
製造例4に係る液晶組成物のΔnを下記方法により測定した。
カイラル剤を0重量部とした以外は製造例4の塗布液L4と同様の配合で材料を混合して、塗布液L’4を調製した。塗布液L4の代わりに塗布液L’4を用いた以外は製造例4と同様にして、転写体4’を得た。転写体4’では、支持体の面上に、液晶性化合物がホモジニアス配向を維持したまま硬化しているホモジニアス液晶樹脂の層が形成されている。転写体4’のホモジニアス液晶樹脂の層の厚みを測定したところ、3μmであった。
転写体1’の代わりに転写体4’を用いて、参考例1’と同様にして位相差測定用サンプルを得て、面内レターデーションReを測定し、Δnを算出した。得られたΔnを、製造例4に係る液晶組成物のΔnとした。
[製造例5]
以下の事項を変更した以外は製造例1と同様にして、転写体5を得た。塗布液L1の代わりに、下記表に示す材料を混合して得られた塗布液L5を用いた。また、乾燥工程において、乾燥温度を140℃から90℃に変更した。
転写体5に含まれるコレステリック液晶樹脂の層の厚みは、3μmであった。
Figure 2019230840
[参考例5’]
(Δnの測定)
製造例5に係る液晶組成物のΔnを下記方法により測定した。
カイラル剤を0重量部とした以外は製造例5の塗布液L5と同様の配合で材料を混合して、塗布液L’5を調製した。塗布液L5の代わりに塗布液L’5を用いた以外は製造例5と同様にして、転写体5’を得た。転写体5’では、支持体の面上に、液晶性化合物がホモジニアス配向を維持したまま硬化しているホモジニアス液晶樹脂の層が形成されている。転写体5’のホモジニアス液晶樹脂の層の厚みを測定したところ、3μmであった。
転写体1’の代わりに転写体5’を用いて、参考例1’と同様にして位相差測定用サンプルを得て、面内レターデーションReを測定し、Δnを算出した。得られたΔnを、製造例5に係る液晶組成物のΔnとした。
上記製造例1〜5から製造された転写体1〜5を構成するコレステリック液晶樹脂の層は、それぞれ互いに同一のカイラル剤(BASF社製「LC756」)を含む液晶組成物から製造された層であり、それぞれの層に含まれるコレステリック液晶樹脂は、それぞれ互いに同一の捩れ方向のコレステリック規則性を有している。それぞれの層に含まれるコレステリック液晶樹脂が、それぞれ互いに同一の捩れ方向のコレステリック規則性を有していることは、転写体1〜5を構成するコレステリック液晶樹脂の層について、反射光を左右円偏光板を介して目視により観察し、反射光が視認される円偏光板の種類が同一であること、及び反射光がほとんど視認されない円偏光板の種類が同一であることからも確認された。
[実施例1]
(第2樹脂層の積層)
製造例2で得られた転写体2が備えるコレステリック液晶樹脂の層を、粘着層付き黒色PETフィルム(巴川製紙所社製)に粘着層を介して貼り合せた後、支持体を剥離して、第2樹脂層としてのコレステリック液晶樹脂の層を黒色PETフィルムに転写した。
(第1樹脂層の積層)
製造例1で得られた転写体1が備えるコレステリック液晶樹脂の層を、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)を介して第2樹脂層と貼り合せた後、支持体を剥離して、第1樹脂層としてのコレステリック液晶樹脂の層を第2樹脂層に積層した。これにより、(第1コレステリック液晶樹脂を含む第1樹脂層)/(粘着層)/(第2コレステリック液晶樹脂を含む第2樹脂層)/(粘着層)/(黒色PETフィルム)の層構成を有する評価用積層フィルムを得た。得られた評価用積層フィルムを用いて、上記評価方法にて視野角による反射光色の変化を評価した。当該評価用積層フィルムを用いた評価により、第1樹脂層と第2樹脂層とを含む、識別媒体としての積層体について、無彩色となる視野角が存在するか否かを評価できる。識別媒体としての積層体は、視認側から、「第1コレステリック液晶樹脂を含む第1樹脂層」と、「第2コレステリック液晶樹脂を含む第2樹脂層」とを、この順で備えている。
[実施例2]
第2樹脂層の積層において、転写体2の代わりに製造例3で得られた転写体3を用いた以外は実施例1と同様にして評価用積層フィルムを得て、反射光色の変化を評価した。
[実施例3]
第2樹脂層の積層において、転写体2の代わりに製造例4で得られた転写体4を用いた以外は実施例1と同様にして評価用積層フィルムを得て、反射光色の変化を評価した。
[実施例4]
(第1顔料の製造)
基材フィルムとして、面内の屈折率が等方性で長尺のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製「PETフィルムA4100」;厚み100μm)を用意した。この基材フィルムをフィルム搬送装置の繰り出し部に取り付け、当該基材フィルムを長尺方向に搬送しながら以下の操作を行った。まず、搬送方向と平行な長尺方向にラビング処理を施した。次に、ラビング処理を施した面に、製造例1で用意した塗布液L1を、ダイコーターを使用して塗布した。これにより、基材フィルムの片面に、未硬化状態の液晶組成物の膜を形成した。
得られた液晶組成物の膜をオーブン中に搬送し、140℃で2分間配向処理を施した。当該膜に対して、高圧水銀ランプを用いて以下の条件で紫外線を照射した。
・酸素ガス濃度400ppm以下の窒素雰囲気下
・波長365nmにおける照度280mW/cm
・波長365nmにおける露光量2300mJ/cm
これにより、液晶組成物の膜を完全に硬化させ、長尺の基材フィルムの片面に、厚み3μの樹脂薄膜を備える複層フィルムを得た。
該複層フィルムを鋭角に折り曲げながら搬送しつつ、複層フィルムに空気を吹き付けた。これにより、基材フィルム上に形成された樹脂薄膜を基材フィルムから剥離して、樹脂片を得た。得られた樹脂片を回収し、カッターミルで粉砕し、樹脂粉体を得た。得られた樹脂粉体を、目開き51μmのふるいを用いて分級し、ふるいを通過した粒子のみを回収して、第1顔料としての顔料P1を得た。
(第2顔料の製造)
以下の事項以外は、前記(第1顔料の製造)と同様にして、第2顔料としての顔料P2を得た。
・塗布液L1の代わりに、製造例2で用意した塗布液L2を用いた。
(積層体の製造)
顔料P1と顔料P2とを、1:1の比で混合して混合顔料を得た。混合顔料と、紫外線硬化型バインダー(「レイキュアーOP 4300−2シリーズ」:十条ケミカル社製)とを調合し、固形分比率が10重量%であるインキを得た。該インキを用いて、黒色の紙にスクリーン印刷を行った。スクリーン印刷版の1インチあたり線数は、120とした。
黒色の紙上に印刷されたインキを、高圧水銀ランプを用いて以下の条件で紫外線を照射して、インキを硬化させて、黒色の紙上に顔料層を形成した。
・酸素ガス濃度400ppm以下の窒素雰囲気下
・波長365nmにおける照度280mW/cm
・波長365nmにおける露光量400mJ/cm
これにより、(顔料層)/(黒色の紙)の層構成を有する評価用積層フィルムを得た。顔料層は、第1顔料及び第2顔料の両方が分散している層である。得られた評価用積層フィルムを用いて、上記評価方法にて視野角による反射光色の変化を評価した。
[比較例1]
第2樹脂層の積層において、転写体2の代わりに製造例4で得られた転写体4を用い、第1樹脂層の積層において、転写体1の代わりに製造例5で得られた転写体5を用いた以外は実施例1と同様にして評価用積層フィルムを得て、反射光色の変化を評価した。
[結果]
実施例及び比較例に係る積層体は、正面方向からの視野角θ=5°では青色の反射光が観察され、視野角θを増大させると、反射光の色が青色から赤色に変化することが目視により確認された。
下記表に、実施例及び比較例に係る積層体の構成、第1樹脂層若しくは第1顔料、又は、第2樹脂層若しくは第2顔料を製造するための液晶組成物のΔn、反射光色の変化の評価結果を示した。
下記表では、反射光色の変化の評価結果(無彩色となる視野角)は、無彩色となる視野角が存在しない場合を「なし」、存在する場合は、無彩色となる視野角(deg)を記載した。
Figure 2019230840
以上の結果によれば、第1樹脂層又は第1顔料を形成するための液晶組成物の複屈折(Δn1)及び第2樹脂層又は第2顔料を形成するための液晶組成物の複屈折(Δn2)のうち少なくとも一方が0.2以上である実施例に係る識別媒体は、無彩色となる視野角がないことが分かる。
一方、複屈折Δn1及びΔn2のどちらも0.2未満である比較例1に係る識別媒体は、無彩色となる視野角(45°)が存在することが分かる。
以上の結果は、波長700nm以上900nm以下の光を選択的に反射する第1コレステリック液晶樹脂と、波長400nm以上500nm以下の光を選択的に反射する第2コレステリック液晶樹脂とを含む識別媒体であって、複屈折Δn1及びΔn2の少なくとも一方が0.2以上である識別媒体は、無彩色となる視野角が存在せず、偽造防止性が強化されていることが分かる。
100 識別媒体
110 第1樹脂層
120 第2樹脂層
200 識別媒体
210 第1顔料
220 第2顔料
230 顔料層

Claims (7)

  1. 波長700nm以上900nm以下の光を選択的に反射し、第1液晶組成物の硬化物である第1コレステリック液晶樹脂と、
    波長400nm以上500nm以下の光を選択的に反射し、第2液晶組成物の硬化物である第2コレステリック液晶樹脂とを含み、
    前記第1液晶組成物の複屈折Δn1及び前記第2液晶組成物の複屈折Δn2の少なくとも一方は、0.2以上である、識別媒体。
  2. 前記第1液晶組成物及び前記第2液晶組成物の少なくとも一方が、下記式(1)で表される化合物を含む、請求項1に記載の識別媒体。
    3−C3−D3−C5−M−C6−D4−C4−R4 式(1)
    但し式(1)において、
    3及びR4は、それぞれ独立して、(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表し、
    3及びD4は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表し、
    3〜C6は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−からなる群より選択される基を表し、
    Mは、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類からなる群から選択された互いに同一又は異なる2個〜4個の骨格が、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−からなる群より選択される結合基によって結合された基を表し、
    前記Mが有しうる置換基は、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1個〜10個のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5、−O−C(=O)−R5、−C(=O)−O−R5、−O−C(=O)−O−R5、−NR5−C(=O)−R5、−C(=O)−NR5、または−O−C(=O)−NR5であり、R5及びRは、水素原子又は炭素数1個〜10個のアルキル基を表し、R及びRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6−C(=O)−、−C(=O)−NR6−、−NR6−、または−C(=O)−が介在していてもよく(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)、R6は、水素原子または炭素数1個〜6個のアルキル基を表し、
    前記置換基を有してもよい炭素数1個〜10個のアルキル基における置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2個〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3個〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2個〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2個〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基である。
  3. 前記第1コレステリック液晶樹脂を含む第1樹脂層と前記第2コレステリック液晶樹脂を含む第2樹脂層とを含む、請求項1又は2に記載の識別媒体。
  4. 前記第1コレステリック液晶樹脂を含む第1顔料及び前記第2コレステリック液晶樹脂を含む第2顔料の両方が分散する顔料層を含む、請求項1又は2に記載の識別媒体。
  5. 前記第1コレステリック液晶樹脂と前記第2コレステリック液晶樹脂とが互いに同一の捩れ方向を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の識別媒体。
  6. 前記第1コレステリック液晶樹脂と前記第2コレステリック液晶樹脂とが互いに異なる捩れ方向を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の識別媒体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の識別媒体に自然光を照射すること、
    前記識別媒体からの反射光を正面方向近傍から視野角を増大させながら観察した場合に、前記反射光の色が短波長側から長波長側に変化するか否かを判定すること、及び
    前記識別媒体からの前記反射光が有する、色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上を、左円偏光板及び右円偏光板を介して観察し、前記左円偏光板及び前記右円偏光板により観察された前記色相、明度、及び彩度から選ばれる1種以上に差があるか否かを判定すること、
    を含む、識別媒体の真正性を識別する方法。
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