JPWO2019230534A1 - 太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、外気中の水や酸素の悪影響を抑制し高寿命化した太陽電池及びその製造方法を提供することである。本発明の太陽電池は、少なくとも、第1基板、第1電極、有機光電変換ユニット、第2電極、及び第2基板を具備した太陽電池であって、前記第1基板と前記第2基板との間に、水蒸気バリアー層を備え、当該水蒸気バリアー層が、下記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を含有することを特徴とする。一般式(1):R−[M(OR1)y(O−)x−y]n−R

Description

本発明は、太陽電池及びその製造方法に関する。より詳しくは、水蒸気や酸素ガスの悪影響を抑制し、高寿命化した太陽電池及びその製造方法に関する。
昨今、太陽電池は、単結晶シリコンやアモルファスシリコンタイプなどが普及し、ソーラーパークや個人宅まで普及するようになってきている。無機太陽電池を代表する単結晶シリコン太陽電池やアモルファスシリコン太陽電池は、高い変換効率を得られるものの、光透過性太陽電池やフレキシブル太陽電池とすることができないことから、それら多様性を求める観点から、現在、有機太陽電池が注目されており、種々の発明が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1参照。)。
有機太陽電池は、各種構造のものが開発されるに至っており、最近では、低コスト、軽量、フレキシブル化が期待される有機薄膜太陽電池が注目されている。有機薄膜太陽電池の構成としては、二つの異種電極間に、光電変換機能を持った単層又は複数層の有機薄膜を配置してなるものが一般的である。この有機薄膜太陽電池は、プラスチック製フィルムを基板とすることで、軽量化及びフレキシブル化が可能であるという利点を有している。
上記のような期待に応えるため、有機薄膜太陽電池の基板として、樹脂材料であるプラスチック製フィルムを用いる検討がなされている。
しかしながら、有機薄膜太陽電池は、一般に、無機太陽電池に比べて耐久性が低いとされている。特に、大気中から侵入する酸素や水蒸気といった腐食性のガスによる劣化を受けやすいという問題がある。このような状況下、従来用いられているガラス基板に代替して樹脂材料を用いた場合、プラスチック製フィルムは、水蒸気や酸素等の透過がガラス基板ほど抑えられないため、有機薄膜太陽電池を構成する有機化合物や電極の経時劣化が大きく、太陽電池の耐久性は著しく低下してしまうという問題があり、改善技術の開発が望まれている(例えば、特許文献3参照。)。
米国特許第6664137号明細書 特開2001−156307号公報 特開2012−4239号公報
宮坂力「ペロブスカイト型太陽電池の登場」,現代化学2014年3月号,P24−29
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、大気中の水や酸素の悪影響を抑制し、高寿命化した太陽電池及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく上記問題の原因等について検討する過程において、特定の有機金属酸化物が水分を捕獲(トラップ)し、撥水性又は疎水性化合物を生成し、乾燥剤的作用を発現することを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、第1基板、第1電極、有機光電変換ユニット、第2電極、及び第2基板を具備した太陽電池であって、
前記第1基板と前記第2基板との間に、水蒸気バリアー層を備え、
当該水蒸気バリアー層が、下記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を含有することを特徴とする太陽電池。
一般式(1):R−[M(OR(O−)x−y−R
(式中、Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、又は複素環基を表す。ただし、Rは置換基としてフッ素原子を含む炭素鎖でもよい。Mは、金属原子を表す。ORは、フッ化アルコキシ基を表す。xは金属原子の価数、yは1とxの間の任意な整数を表す。nは重縮合度を表す。)
2.前記水蒸気バリアー層が含有する前記有機金属酸化物における炭素原子数とフッ素原子数の総数に対するフッ素原子数の比の値F/(C+F)が、0.05〜1.00の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の太陽電池。
3.前記Mで表される金属原子が、Ti、Zr、Sn、Ta、Fe、Zn、Si及びAlから選択されることを特徴とする第1項又は第2項に記載の太陽電池。
4.前記有機光電変換ユニットが、ペロブスカイト化合物を含有する層を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の太陽電池。
5.前記有機光電変換ユニットが、
ペロブスカイト化合物を含有する層と、
前記一般式(1)で表される構造を有する金属種の異なる少なくとも2種類の有機金属酸化物を含有する電子輸送層とを有し、
少なくとも、1種類の前記有機金属酸化物の金属原子Mが、第3項に記載の金属原子から選ばれる金属原子であり、かつ、
他の異種の有機金属酸化物の金属原子Mが、Ag、Cu及びAuから選ばれる金属原子であることを特徴とする第3項又は第4項に記載の太陽電池。
6.前記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物が、水蒸気又はヨウ素ガスと反応し、撥水性若しくは疎水性の化合物を放出する、又はヨウ素ガスを捕獲する性能を有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の太陽電池。
7.前記水蒸気バリアー層が、前記第1基板と第1電極の間、又は第1電極から第2電極までの構成層の全体もしくは一部を覆う位置に具備されたことを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の太陽電池。
8.前記水蒸気バリアー層が、少なくとも前記有機金属酸化物を含有する組成物がゾル・ゲル転移された膜からなることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の太陽電池。
9.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の太陽電池を製造する太陽電池の製造方法であって、
前記水蒸気バリアー層を、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートと、フッ化アルコールとの混合液を用いて形成する工程を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
10.前記水蒸気バリアー層を、湿式塗布法により形成することを特徴とする第9項に記載の太陽電池の製造方法。
11.前記湿式塗布法が、インクジェット・プリント法であることを特徴とする第10項に記載の太陽電池の製造方法。
本発明の上記手段により、外気中の水や酸素の悪影響を抑制し高寿命化した太陽電池及びその製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明においては、水蒸気バリアー層に本発明に係る一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物、すなわち、有機金属オキサイド又はカルボキシレートを用いることにより、水分と反応して加水分解が起こり、撥水性又は疎水性のフッ化アルコールが生成され、撥水又は疎水効果が発現し、その結果、本発明の太陽電池の高寿命化に寄与しているものと推察される。
なお、推察される反応機構の詳細については、後述する。
従来タイプの太陽電池の基本的構成を示す模式図 従来タイプのペロブスカイトの基本的構成を示す模式図 本発明の太陽電池の基本的構成の一例を示す模式図 本発明の太陽電池の基本的構成の他の一例を示す模式図 本発明の太陽電池の基本的構成の他の一例を示す模式図 本発明の太陽電池の基本的構成の他の一例を示す模式図 信頼性試験結果を示す図(比較例1) 信頼性試験結果を示す図(比較例2) 信頼性試験結果を示す図(比較例3) 信頼性試験結果を示す図(実施例1) 信頼性試験結果を示す図(実施例2) 信頼性試験結果を示す図(実施例3) 信頼性試験結果を示す図(実施例4) 信頼性試験結果を示す図(実施例5) 信頼性試験結果を示す図(実施例6)
本発明の太陽電池は、少なくとも、第1基板、第1電極、有機光電変換ユニット、第2電極、及び第2基板を具備した太陽電池であって、前記第1基板と前記第2基板との間に、水蒸気バリアー層を備え、当該水蒸気バリアー層が、前記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記水蒸気バリアー層が含有する前記有機金属酸化物における炭素原子数とフッ素原子数の総数に対するフッ素原子数の比の値F/(C+F)が、0.05〜1.00の範囲内であることが好ましい。
また、前記Mで表される金属原子が、Ti、Zr、Sn、Ta、Fe、Zn、Si及びAlから選択されることが好ましい。
本発明においては、前記有機光電変換ユニットが、ペロブスカイト化合物を含有する層を有する態様の太陽電池であることも好ましい。
さらに、前記有機光電変換ユニットが、ペロブスカイト化合物を含有する層と、前記一般式(1)で表される構造を有する金属種の異なる少なくとも2種類の有機金属酸化物を含有する電子輸送層とを有し、少なくとも、1種類の前記有機金属酸化物の金属原子Mが、Ti、Zr、Sn、Ta、Fe、Zn、Si及びAlから選択される金属原子であり、かつ、他の異種の有機金属酸化物の金属原子Mが、Ag、Cu及びAuから選ばれる金属原子である態様の太陽電池であることも、本発明の特有の効果発現の観点から好ましい。
本発明に係る前記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物が、水蒸気又はヨウ素ガスと反応し、撥水性若しくは疎水性の化合物を放出する、又はヨウ素ガスを捕獲する性能を有することが本発明の効果の観点から好ましい。
本発明の実施形態としては、前記水蒸気バリアー層が、前記第1基板と第1電極の間又は第1電極から第2電極までの構成層の全体又は一部を覆う位置に具備された形態であることが好ましい。
本発明に係る前記水蒸気バリアー層が、少なくとも前記有機金属酸化物を含有する組成物がゾル・ゲル転移された膜からなることが、均一で稠密な有機薄膜を形成しうる点で好ましい。
本発明の太陽電池の製造方法としては、前記水蒸気バリアー層を、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートと、フッ化アルコールとの混合液を用いて形成する工程を有する態様の製造方法であることが好ましい。また、前記水蒸気バリアー層を、湿式塗布法により形成することが好ましい。さらに、前記湿式塗布法が、インクジェット・プリント法であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。なお、各図の説明において、構成要素の末尾に記載した数字や記号は、各図における符号を表す。
1.太陽電池の概要
本発明の太陽電池は、少なくとも、第1基板、第1電極、有機光電変換ユニット、第2電極、及び第2基板を具備した太陽電池であって、前記第1基板と前記第2基板との間に、水蒸気バリアー層を備え、当該水蒸気バリアー層が、下記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を含有することを特徴とする。
本発明の太陽電池においては、特に、特定の有機金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層を有することを特徴とする。
以下において、有機金属酸化物と太陽電池の構成及びそれらの構成要素等について詳細な説明をする。
2.水蒸気バリアー層の基材
(2.1)有機金属酸化物
本発明に係る水蒸気バリアー層は、一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を含有することを特徴とする。
本発明に係る有機金属酸化物は、下記一般式(A)で表される化合物から製造された下記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を主成分として含有することが好ましい。「主成分」とは、前記乾燥剤の全体の質量のうち、70質量%以上が疎水性物質を放出する前記有機金属酸化物であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であることをいう。
一般式(A) M(OR(O−R)x−y
一般式(A)において、Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、又は複素環基を表す。ただし、Rは置換基としてフッ素原子を含む炭素鎖でもよい。Mは、金属原子を表す。ORは、フッ化アルコキシ基を表す。xは金属原子の価数、yは1とxの間の任意な整数を表す。
一般式(1):R−[M(OR(O−)x−y−R
上記一般式(1)において、Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、又は複素環基を表す。ただし、Rは置換基としてフッ素原子を含む炭素鎖でもよい。Mは、金属原子を表す。ORは、フッ化アルコキシ基を表す。xは金属原子の価数、yは1とxの間の任意な整数を表す。nは重縮合度を表す。
上記一般式(1)において、ORはフッ化アルコキシ基を表す。Rは少なくとも一つフッ素原子に置換したアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、又は複素環基を表す。各置換基の具体例は後述する。
Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、又は複素環基を表す。又はそれぞれの基の水素の少なくとも一部をハロゲンで置換したものでもよい。また、ポリマーでもよい。
アルキル基は置換又は未置換のものであるが、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル等であるが、好ましくは炭素数が8以上のものである。また、これらのオリゴマー、ポリマーでもよい。
アルケニル基は、置換又は未置換のもので、具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキシセニル基等があり、好ましくは炭素数が8以上のものである。またこれらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
アリール基は置換又は未置換のもので、具体例としては、フェニル基、トリル基、4−シアノフェニル基、ビフェニル基、o,m,p−テルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、9−フェニルアントラニル基、9,10−ジフェニルアントラニル基、ピレニル基等があり、好ましくは炭素数が8以上のものである。また、これらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
置換又は未置換のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等であり、好ましくは炭素数が8以上のものである。また、これらのオリゴマー、ポリマーでもよい。
置換又は未置換のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボナン基、アダマンタン基、4−メチルシクロヘキシル基、4−シアノシクロヘキシル基等であり好ましくは炭素数が8以上のものである。また、これらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
置換又は未置換の複素環基の具体例としては、ピロール基、ピロリン基、ピラゾール基、ピラゾリン基、イミダゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、インドール基、ベンズイミダゾール基、プリン基、キノリン基、イソキノリン基、シノリン基、キノキサリン基、ベンゾキノリン基、フルオレノン基、ジシアノフルオレノン基、カルバゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ビスベンゾオキサゾール基、ビスベンゾチアゾール基、ビスベンゾイミダゾール基等がある。またこれらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
置換又は未置換のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピメロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、エライドイル基、マレオイル基、フマロイル基、シトラコノイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、タルトロノイル基、マロイル基、タルタロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基、グリオキシロイル基、ピルボイル基、アセトアセチル基、メソオキサリル基、メソオキサロ基、オキサルアセチル基、オキサルアセト基、レブリノイル基これらのアシル基にフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素などが置換してもよい。好ましくは、アシル基の炭素は8以上である。また、これらのオリゴマー又はポリマーでもよい。
本発明に係る一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を形成するための、金属アルコキシド、金属カルボキシレート及びフッ素化アルコールの具体的な組み合わせについて、以下に例示する。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
前記金属アルコキシド、金属カルボキシレートとフッ化アルコール(R′−OH)は以下の反応スキームIによって、本発明に係る有機金属酸化物となる。ここで、(R′−OH)としては、以下のF−1〜F−16の構造が例示される。
Figure 2019230534
Figure 2019230534
本発明に係る金属アルコキシド又は金属カルボキシレートは、以下のM(OR)又はM(OCOR)に示す化合物が例示され、本発明に係る有機金属酸化物は、前記(R′−OH:F−1〜F−16)との組み合わせにより、下記例示化合物番号1〜135の構造を有する化合物(下記例示化合物I、II及びIII参照。)となる。本発明に係る有機金属酸化物は、これに限定されるものではない。
Figure 2019230534
Figure 2019230534
Figure 2019230534
(2.2)有機金属酸化物の反応性
本発明に係る有機金属酸化物は、以下の反応スキームII及び反応スキームIIIに示すような反応性を示すものである。なお、焼結後の有機金属酸化物の重縮合体の構造式において、「O−M」部の「M」は、さらに置換基を有しているが、省略してある。
Figure 2019230534
例えば、金属種の異なる2種の金属オキサイドが共存する場合、下記反応スキームIIIで示されるような反応性を有する。
Figure 2019230534
上記有機金属酸化物が、焼結又は紫外線照射等により重縮合して形成された有機薄膜は、以下の反応スキームIV及び反応スキームVに示すような反応性を有する。
反応スキームIVの場合、系外からの水分(HO)によって加水分解し、撥水性又は疎水性物質であるフッ素化アルコール(R′−OH)を放出する。このフッ素化アルコールによって、さらに水分の電子デバイス内部への透過を防止するものである。
すなわち、本発明に係る有機金属酸化物は、加水分解によって生成したフッ素化アルコールが撥水性又は疎水性のため、本来の乾燥性(デシカント性)に加え、水分との反応により撥水機能が付加されて、封止性に相乗効果(シナジー効果)を発揮するという特徴を有する。
なお、下記構造式において、「O−M」部の「M」は、さらに置換基を有しているが、省略してある。
Figure 2019230534
反応スキームVの場合、腐食性を有するヨウ素(I)ガスと反応してヨウ素をトラップし、ヨウ化銀を生成するとともに、比較的安定なポリヨウ素イオン(I 、I 及びI )を生成する。
Figure 2019230534
(2.3)有機金属酸化物の製造方法
本発明に係る有機金属酸化物を製造する有機金属酸化物の製造方法は、金属アルコキシドとフッ化アルコールの混合液を用いて製造することが特徴である。
本発明に係る有機金属酸化物の製造方法は、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートにフッ化アルコールを加え混合液として撹拌混合させた後に、必要に応じて水と触媒を添加して所定温度で反応させる方法を挙げることができる。
ゾル・ゲル反応をさせる際には、加水分解・重縮合反応を促進させる目的で下記に示すような加水分解・重合反応の触媒となりうるものを加えてもよい。ゾル・ゲル反応の加水分解・重合反応の触媒として使用されるものは、「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作製技術」(平島碩著、株式会社総合技術センター、P29)や「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社、P154)等に記載されている一般的なゾル・ゲル反応で用いられる触媒である。例えば、酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、トルエンスルホン酸等の無機及び有機酸類等が挙げられる。
好ましい触媒の使用量は、有機金属酸化物の原料となる金属アルコキシド又は金属カルボキシレート1モルに対して2モル当量以下、さらに好ましくは1モル当量以下ある。ゾル・ゲル反応をさせる際、好ましい水の添加量は、有機金属酸化物の原料となる金属アルコキシド又は金属カルボキシレート1モルに対して、40モル当量以下であり、より好ましくは、10モル当量以下であり、さらに好ましくは、5モル当量以下である。
本発明において、好ましいゾル・ゲル反応の反応濃度、温度、時間は、使用する金属アルコキシド又は金属カルボキシレートの種類や分子量、それぞれの条件が相互に関わるため一概には言えない。すなわち、アルコキシド又は金属カルボキシレートの分子量が高い場合や、反応濃度の高い場合に、反応温度を高く設定したり、反応時間を長くし過ぎたりすると、加水分解、重縮合反応に伴って反応生成物の分子量が上がり、高粘度化やゲル化する可能性がある。したがって、通常の好ましい反応濃度は、おおむね溶液中の固形分の質量%濃度で1〜50%の範囲内であり、5〜30%の範囲内がより好ましい。また、反応温度は反応時間にもよるが通常0〜150℃の範囲内であり、好ましくは1〜100℃の範囲内であり、より好ましくは20〜60℃の範囲内であり、反応時間は1〜50時間の範囲内が好ましい。
本発明においては、水蒸気バリアー層が含有する前記有機金属酸化物における炭素原子数とフッ素原子数の総数に対するフッ素原子数の比の値F/(C+F)が、0.05〜1.00の範囲内であることが、撥水性又は疎水性の観点から好ましい。すなわち、本発明に係る有機金属錯酸化物中のフッ素比率が、下記式(a)を満たすことが好ましい。
式(a):0.05≦F/(C+F)≦1.00
式(a)の測定意義は、ゾル・ゲル法により作製した有機薄膜がある量以上のフッ素原子を必要とすることを数値化するものである。上記式(a)中のF及びCは、それぞれフッ素原子及び炭素原子の濃度を表す。
更に好ましい範囲としては、0.2≦F/(C+F)≦0.6の範囲である。
上記フッ素比率は、有機薄膜形成に使用するゾル・ゲル液をシリコンウェハ上に塗布して薄膜を作製した後、当該薄膜をSEM・EDS(Energy Dispersive X−ray Spectoroscopy:エネルギー分散型X線分析装置)による元素分析により、それぞれフッ素原子及び炭素原子の濃度を求めることができる。SEM・EDS装置の一例として、JSM−IT100(日本電子社製)を挙げることができる。
SEM・EDS分析は、高速、高感度で精度よく元素を検出できる特徴を有する。
本発明に係る有機金属酸化物は、ゾル・ゲル法を用いて作製できるものであれば特に制限はされず、例えば、「ゾル−ゲル法の科学」P13、P20に紹介されている金属、リチウム、ナトリウム、銅、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ケイ素、ゲルマニウム、鉛、リン、アンチモン、バナジウム、タンタル、タングステン、ランタン、ネオジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、及び鉄から選ばれる1種以上の金属を含有してなる金属酸化物を例として挙げることができる。好ましくは、前記Mで表される金属原子は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)及びアルミニウム(Al)から選択されることが、本発明の効果を得る観点から好ましい。
3.太陽電池の構成
本発明の太陽電池は、少なくとも、第1基板、第1電極、有機光電変換ユニット、第2電極、及び第2基板を具備した太陽電池であって、前記第1基板と前記第2基板との間に、水蒸気バリアー層を備えていることを特徴とする。
本発明の太陽電池においては、少なくとも、第1基板及び第1電極、又は第2基板及び第2電極のいずれかは光透過性(透明)であることを要するが、有機光電変換ユニットを構成する電子輸送層、正孔輸送層等の構成層の配置順序は、目的に応じて、種々の態様を採り得る。
以下、図を参照して、従来タイプの太陽電池と本発明の太陽電池の各種基本的構成例について説明する。
図1は、従来タイプの太陽電池1の基本的構成例(断面図)を示す。この基本的構成例の場合は、少なくとも、第1基板2、ガスバリアー層3(例えば、ポリシラザン改質層)、第1電極4、正孔輸送層5と電子輸送層6とからなる光電変換ユニット7、第2電極8、封止層9、接着剤層10、及びアルミニウム箔11とPETフィルム12とからなるアルペットAPで構成される第2基板13を備えた構成である。
図2は、従来タイプのペロブスカイト太陽電池を示しており、図1に示した上記従来タイプの太陽電池1において、電子輸送層6と正孔輸送層5の間にペロブスカイト化合物を含有させた層15を設けて、ペロブスカイト太陽電池にした以外は、同じ構成にしたものである。
図3は、本発明の太陽電池の一形態例を示す。図1に示した上記従来タイプの太陽電池1において、前記第1基板上に設けたガスバリアー層3と第1電極4の間に、更に本発明に係る有機金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層14を設けた点以外は、同じ構成にしたものである。
図4は、本発明の太陽電池の一形態例を示す。図3に示した本発明の太陽電池1において、前記封止層9を被覆するような態様で、本発明に係る有機金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層14を設けた点以外は、同じ構成にしたものである。
図5は、本発明の太陽電池の一形態例を示す。図4に示した太陽電池1において、前記第1基板上に設けたガスバリアー層3と第1電極4との間に、更に本発明に係る有機金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層14を設けた点以外は、同じ構成にしたものである。
図6は、本発明のペロブスカイト太陽電池の一形態例を示す。図4に示した太陽電池1において、前記電子輸送層6と正孔輸送層5の間にペロブスカイト化合物を含有させた層15を設けて、ペロブスカイト太陽電池にした点以外は、同じ構成にしたものである。
4.太陽電池の構成要素
(4.1)第1基板
第1基板としては、強度、耐久性、光透過性があればよく、合成樹脂及びガラスなどを使用できる。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどの熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリイミド、及びフッ素樹脂などが挙げられる。強度、耐久性、コストなどの観点から、ガラス基板を用いることが好ましい。
第1基板としては、上記基材のほか金属箔を用いることもできる。金属箔は、フレキシブル太陽電池の一方の電極であると同時に、基材としての役割を果たしてもよい。
上記金属箔を構成する金属としては特に限定されず、耐久性に優れ、かつ、電極として用いることができる導電性を有するものが好ましく、例えば、アルミニウム、チタン、銅、金等の金属や、ステンレス鋼(SUS)等の合金を用いることができる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なかでも、上記金属箔を構成する金属は、ステンレス鋼(SUS)を含むことが好ましい。上記金属箔を構成する金属としてステンレス鋼(SUS)を用いることで、上記金属箔が強靱になり曲げに対する耐性が向上するため、曲げ変形に起因する光電変換効率のばらつきを抑えることができる。上記金属箔を構成する金属は、アルミニウムを含むことも好ましい。上記金属箔を構成する金属としてアルミニウムを用いることで、上記金属箔と、有機無機ペロブスカイト化合物を含有する光電変換層との線膨張係数の差が小さくなるため、アニール時の歪みの発生を更に抑えることができる。
上記金属箔の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は500μmである。上記金属箔の厚さが5μm以上であれば、得られるフレキシブル太陽電池の機械的強度が充分となり、取り扱い性が向上し、500μm以下であれば、上記金属箔の曲げ等が可能となり、フレキシブル性が向上する。上記金属箔の厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は100μmである。
上記金属箔をフレキシブル太陽電池の基材として用いる場合には、上記金属箔自体が電極と基材とを兼ねる態様のほか、上記金属箔の光電変換層側の表面に絶縁層を介して電極を形成する態様が考えられる。
上記絶縁層としては特に限定されないが、絶縁樹脂層又は金属酸化物層からなる絶縁層が好適である。より具体的には、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等の絶縁樹脂や、ジルコニア、シリカ、ハフニア等の金属酸化物を用いて上記絶縁層を形成することが好ましい。
上記絶縁層の厚さの好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は10μmである。上記絶縁層の厚さがこの範囲内であれば、上記金属箔と電極とを確実に絶縁することができる。
上記金属箔の光電変換層側の表面に絶縁層を介して形成される電極としては特に限定されず、太陽電池において通常用いられる金属電極を用いることができる。
(4.2)第1電極
第1電極としては透明電極を用いることが好ましい、透明電極を構成する透明導電層3の材料としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び高い導電性を有する高分子材料などが挙げられる。
高分子材料としては、例えば、ポリアセチレン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリフェニレンビニレン系の高分子材料が挙げられる。また、高い導電性を有する炭素系薄膜を用いることもできる。透明電極の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、及び分散物を塗布する方法などが挙げられる。
(4.3)有機光電変換ユニット
本発明において、「有機光電変換ユニット」とは、光を吸収して電子と正孔を発生させる機能を有し、正孔輸送層、光電変換層、電子輸送層、混合層、電荷ブロック層、電荷注入層、及び励起子拡散防止層など各種機能層のいずれかの層に有機化合物を含有する単層構造体又は多層構造の積層体をいい、いわゆるバルクヘテロ層に相当する。
本発明の太陽電池は、正孔輸送層と電子輸送層の組を複数組有する、いわゆるタンデム型構成を採ってもよい。タンデム型に構成された素子は、開放電圧が高く変換効率が高い点で特に好ましい。その際、中間層として再結合層が配される。すなわちタンデム型の素子の典型例として、正極/正孔輸送層/電子輸送層/再結合層/正孔輸送層/電子輸送層/金属酸化物層/負極の構成が例示される。
本発明では、上記の機能層以外に、必要に応じて他の構成層を設けてもよい。
他の構成層も、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
以下、主な機能層について説明する。
〈1〉正孔輸送層
正孔輸送層は、正極又は正極側へ正孔を受け取り輸送する機能を有する層である。
正孔輸送層は、単層であっても複数層の積層であってもよい。正孔輸送層の少なくとも一層は、光を吸収して電子と正孔を発生する電荷発生能を有していることが好ましい。正孔輸送層は、1種又は2種以上の正孔輸送材料を用いて形成することができる。
前記正孔輸送材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、Chem. Rev. 2007, 107, 953−1010にHole Transport materialとして記載されている化合物群が挙げられる。
電荷発生能を有する正孔輸送層の材料としては、例えば、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体などが挙げられ、これらの例として、Chem. Rev. 1993, 93, 449−406に記載のものが挙げられる。
正孔輸送層の形成方法としては、溶剤塗布法、真空蒸着法などが挙げられる。溶剤塗布法としては、例えば、スピンコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート等を挙げることができる。
正孔輸送層の厚さとしては、1〜500nmの範囲内であることが好ましく、2〜200nmの範囲内であることがより好ましく、5〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
〈2〉電子輸送層
電子輸送層は、負極又は負極側へ電子を輸送する機能を有する層である。
電子輸送層は、単層であっても複数層の積層であってもよい。電子輸送層の少なくとも一層は、光を吸収して電荷を発生する電荷発生能を有していることが好ましい。電子輸送層は、1種又は2種以上の電子輸送材料を用いて形成することができる。
前記電子輸送材料は、例えば、フラーレン誘導体、パラフェニレンビニレン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物及びこれらから誘導されるイミド類やヘテロ環類、8−キノリノール誘導体の金属錯体、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等が挙げられる。
電荷発生能を有する電子輸送層の材料としては、フラーレン類、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ペリレンテトラカルボン酸無水物から誘導されるイミド類やヘテロ環類、が挙げられる。それらの例としては、Chem. Rev. 2007, 107, 953−1010にElectron Transport Materialsとして記載されているものが挙げられる。
電子輸送層の形成方法としては、溶剤塗布法、真空蒸着法などが挙げられる。
電子輸送層の厚さとしては、1〜500nmの範囲内であることが好ましく、2〜200nmの範囲内であることがより好ましく、5〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
〈3〉混合有機層
正孔輸送層と電子輸送層の中間に、正孔輸送材料と電子輸送材料との両方を含む混合有機層を配することができ、この態様は有機薄膜太陽電池の変換効率をより向上させる点で好ましい。混合比は変換効率が高くなるように調整されるが、通常は質量比(正孔輸送材料:電子輸送材料)で20:80〜80:20の範囲内から選ばれる。
正孔輸送材料及び電子輸送材料の詳細については、既述のとおりである。
このような混合有機層の形成方法は、例えば、真空蒸着による共蒸着法を適用することができる。また、両方の有機材料が溶解する溶媒を用いて溶剤塗布することによって作製することも可能である。溶剤塗布法の具体例については、既に述べたとおりである。
〈4〉再結合層
上記したようなタンデム型の素子の場合、複数の個々の光電変換ユニットを直列に接続するために、再結合層が設けられる。再結合層としては、導電材料の薄層を用いることができる。導電材料としては金属が好適であり、好ましい金属として、金、銀、アルミニウム、白金、酸化ルテニウム等が挙げられる。これらのうち、銀が好ましい。
再結合層の膜厚は、通常は0.01〜5nmの範囲内であり、0.1〜1nmの範囲内が好ましく、0.2〜0.6nmの範囲内が特に好ましい。再結合層の形成方法については、特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で形成することができる。
〈5〉その他
本発明に係る有機光電変換ユニットには、ペロブスカイト化合物を含有する層を設けて、ペロブスカイト太陽電池にしてもよい。
本発明において、「ペロブスカイト化合物」とは、ペロブスカイト構造を有する化合物をいう。ペロブスカイト化合物は、有機物及び無機物がペロブスカイト構造の構成要素となっているペロブスカイト化合物(有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物)であることが好ましい。
本発明においては、ペロブスカイト化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有することが、光電変換効率の観点から好ましい。
一般式(2):R−M−X
上記一般式(2)において、Rは有機分子を表す。Mは金属原子を表す。Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子を表す。
上記一般式(2)において、Rは有機分子であり、C(l、m及びnはいずれも正の整数を表す。)で示される分子であることが好ましい。
Rは、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、イミダゾリン、カルバゾール及びこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CHNH)等)やフェネチルアンモニウム等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン及びこれらのイオンやフェネチルアンモニウムが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン及びこれらのイオンがより好ましい。
Mは金属原子であり、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユウロピウム等が挙げられる。これらの元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらの元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、構造中にハロゲン原子を含有することで、上記ペロブスカイト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能になることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素がより好ましい。
なお、本発明の太陽電池をペロブスカイト太陽電池とする場合は、本発明に係る有機光電変換ユニットが、ペロブスカイト化合物を含有する層と、前記一般式(1)で表される構造を有する金属種の異なる少なくとも2種類の有機金属酸化物を含有する電子輸送層とを有し、少なくとも、1種類の前記有機金属酸化物の金属原子Mが、Ti、Zr、Sn、Ta、Fe、Zn、Si及びAlから選ばれる金属原子であり、かつ、他の異種の有機金属酸化物の金属原子Mが、Ag、Cu及びAuから選ばれる金属原子である態様の太陽電池であることも、本発明の特有の効果発現の観点から、好ましい。特に、例えば、Tiを含む金属酸化物とAgを含む金属酸化物を使用することが、上述したような作用効果が発現され得る点で、好ましい。
(4.3)第2電極
本発明に係る第2電極としては、例えば、ITO、IZO、IWZO、ITZO、AZO、BZO、GZO、ZnO、SnOなど酸化物電極や、Au、Ag、Ti、Zn、Mo、Ta、AgNW、Na、NaK、Li、Mg、Al、MgAg、MgIn、AlLi、CuIなどの薄膜金属や金属化合物又は有機金属が挙げられる。2種類以上の組み合わせの積層であっても構わない。
また、第2電極の形成方法としては、CVD法、スパッタ、蒸着、及び塗布などによる形成方法が挙げられる。膜厚も光透過しない膜厚であればよく、限定されるものではない。
(4.4)封止層
本発明の太陽電池は、封止層で覆うことにより、光電変換層を含む積層体を大気環境、特に水や酸素等のガスから保護して充分な耐久性を得ることができ、より光電変換効率が高く、より耐久性に優れた太陽電池とすることができる。
封止層の材料としては、特に限定されず、公知の材料を用いることができ、有機材料でも無機材料でもよい。
通常、封止層の性能としては、水蒸気透過度(環境条件:25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が約0.01g/[m・day]以下、酸素透過度が約0.01cm/[m・day・atm]以下、抵抗率が1×1012Ω・cm以上、ガスバリアー性を有する透明絶縁膜であることが好ましい。
特に、酸素透過度が0.001cm/[m・day・atm]以下の値であり、かつ、水蒸気透過度が約0.001g/[m・day]以下の値となるようなハイバリアー性の多層膜で構成されていることが好ましい。なお、「水蒸気透過度」とは、JIS(日本工業規格)−K7129(1992年)に準拠した赤外センサー法により測定された値であり、「酸素透過度」とは、JIS−K7126(1987年)に準拠したクーロメトリック法により測定された値である。
上述した封止層の形成材料としては、光電変換素子の劣化を招く、例えば、水や酸素等のガスの有機光電変換素子への浸入を抑制できる材料であれば、任意の材料を用いることができる。
例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン等の無機材料からなる被膜で構成することができる。有機光電変換素子では、ガスバリアー性や透明性、分割時の割断性などを考慮して、封止層が窒化ケイ素や酸化ケイ素などのケイ素化合物を主原料とする無機材料被膜で構成されていることが好ましい。
なお、封止層の脆弱性を改良するためには、上記無機材料被膜だけでなく、有機材料との複合材料からなる被膜、又はこれらの被膜を積層したハイブリッド被膜を併せて構成してもよい。この場合、無機材料からなる被膜及び有機材料からなる被膜の積層順序は任意であるが、有機材料/無機材料でも、両者を交互に複数積層してもよい。これにより、有機光電変換素子を水分や酸素によるダメージを回避するための、良好なバリアー機能有する封止層を得ることが可能となる。
また、上記封止層を第1の封止層として、当該封止層の上層に更なる水分ブロックを施す第2に封止層を設けてもよい。例えば金属ホイルなどの光学特性を考慮しなくてかまわない第2の封止層を形成することが好ましい。また、金属層はアルミニウム箔、ジュラルミン箔、チタン箔、銅箔、リン青銅箔、SUS304箔、インバー箔、マグネシウム合金箔、またそれら混合箔などが挙げられる。通常これら金属ホイル箔は薄いと、ピンホールや欠陥が、厚くすることでそれら封止欠陥を防止することを可能とする。好ましくは、5〜50μm程度の厚さに形成することで、金属箔のピンホールや欠陥を除去した箔を用意する事が可能となる。
また、同第2の封止層では、第1の封止層の対向方向に、電気絶縁性確保する、又は外傷防止のための絶縁層を更に形成することが好ましい。
具体的には、フレキシブル性のある樹脂が好適であり、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、環状オレフィン共重合体(COP)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、セロファン、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリアリレート類等の材料とそれらの誘導体を用いることができる。さらに、例えば、アートン(登録商標:JSR社製)、又は、アペル(登録商標:三井化学社製)と呼ばれるシクロオレフィン系樹脂を用いることもできる。
また、第2の封止層と第1の封止層は接着剤を介して接続されることが好ましく、熱硬化や紫外線(UV)硬化などあるが、金属箔を適用する場合は、熱硬化型が好ましく、更には同接着剤バルクからの水分侵入があるため、好ましくは、同接着剤は水分拡散を遅延するような、材料又はフィラーなどを含む材料であることが好ましい。
例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
有機封止層の場合、その厚さは100〜100000nmの範囲内であることが好ましい。厚さが100nm以上であれば、有機封止層によって太陽電池を構成する積層体を充分に覆いつくすことができる。厚さが100000nm以下であれば、有機封止層は側面から浸入してくる水蒸気を充分にブロックすることができる。より好ましくは、500〜50000nmの範囲内であり、更に好ましいくは、1000〜20000nmの範囲内である。
無機封止層の場合、その厚さは、30〜3000nmの範囲内である。厚さが30nm以上であれば、無機封止層が充分な水蒸気バリアー性を有することができ、太陽電池の耐久性が向上する。厚さが3000nm以下であれば、無機封止層の厚さが増した場合であっても、発生する応力が小さいため、無機封止層、電極、半導体層等の剥離を抑制することができる。より好ましくは、50〜1000nmの範囲内であり、更に好ましくは、100〜500nmの範囲内である。
(4.5)第2基板
第2基板としては、前記第1基板と同様の基板材料を適用することができる。
また、前記封止層の上層に更なる水分ブロックを施す第2基板を設けてもよい。例えば金属ホイルなどの光学特性を考慮しなくてかまわない第2基板を形成することが好ましい。また、金属層はアルミニウム箔、ジュラルミン箔、チタン箔、銅箔、リン青銅箔、SUS304箔、インバー箔、マグネシウム合金箔、またそれら混合箔などを含む第2基板が挙げられる。通常、これら金属ホイル箔は薄いと、ピンホールや欠陥が存在する場合があり、厚くすることでそれら封止欠陥を防止することを可能とする。好ましくは、5〜50μmの範囲内の厚さに形成することで、金属箔のピンホールや欠陥を除去した箔を得ることができる。
また、同第2基板は第1の封止層の対向方向に、電気絶縁性を確保し、外傷防止を目的とした絶縁層を更に形成することが好ましい。
具体的には、第2基板を構成する材料としては、可撓性のある樹脂が好適であり、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、環状オレフィン共重合体(COP)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、セロファン、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリアリレート類等の材料とそれらの誘導体を用いることができる。さらに、例えば、アートン(登録商標:JSR社製)、又は、アペル(登録商標:三井化学社製)と呼ばれるシクロオレフィン系樹脂を用いることもできる。
また、第2基板と第1の封止層は接着剤を介して接続されることが好ましく、熱硬化や紫外線(UV)硬化などあるが、金属箔を適用する場合は、熱硬化型が好ましく、更には同接着剤バルクからの水分侵入があるため、好ましくは、同接着剤は水分拡散を遅延するような、材料又はフィラーなどを含む材料であることが好ましい。
例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《太陽電池の作製》
〔比較例1〕
(従来タイプの太陽電池No.1の作製)
下記工程(1)〜(7)に従って、太陽電池No.1を作製した。
(1)ガスバリアー性のフレキシブル基板の作製
透明基板として、5cm×5cmのサイズで、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、極高透明品PET Type K)を準備した。
下記ポリシラザン含有液を、ワイヤーバーにて、乾燥後の平均膜厚が300nmとなるように透明基板上に塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間加熱処理して乾燥させた。次いで、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、透明基板上にポリシラザン含有層を形成した。
次に、ポリシラザン含有層を形成した透明基板を、エキシマ照射装置MECL−M−1−200(株式会社エム・ディ・コム製)の稼動ステージ上に固定し、下記の改質処理条件1で改質処理を行い、300nmからなるポリシラザン改質層を形成し、第1ガスバリアー性基板(以下、フレキシブル基板ともいう。)を得た。
〈ポリシラザン含有液〉
ポリシラザン含有液としては、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、メルクジャパン(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を調製した。
〈改質処理条件1〉
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:0.5体積%
エキシマランプ照射時間:5秒
次に、5cm×5cmのPETからなるフレキシブル基板をウェット洗浄法によってクリーニングした。詳細には、アルカリ洗剤を5%に希釈し、希釈された洗剤溶液を60℃に加熱し、加熱された洗剤溶液にフレキシブル基板を浸漬させ、フレキシブル基板に対してスクラブ洗浄を実施し、フレキシブル基板に付着した異物を除去した。続いて、フレキシブル基板に対してウルトラソニック洗浄、純粋リンス、窒素ブロー及びIR(InfraRed)乾燥を順次実施した。続いて、ガラス基板に対して、UV(UltraViolet)照射を実施し、フレキシブル基板に付着した有機物を除去した。続いて、オーブンを用いてフレキシブル基板を乾燥させた。前記したクリーニング処理及び乾燥処理によって、フレキシブル基板を準備した。
(2)第1電極の作製
次に、第1電極であるITO電極を真空スパッタ法にて上記フレキシブル基板上に形成した。具体的にはSnO10%のITOターゲットを用い、上記フレキシブル基板を真空チャンバーに搬送、1×10−4Paへ真空引きし、120℃に加熱しながら、Arガスを0.5Paになるよう導入し、電圧印加して物理膜厚が300nmになるようスパッタリングを行った。
次に、第1電極を所望の形状にフォトリソ法でパターニングを行った。先ずは日立化成製の感光性ポリイミドを1μmになるようスピン塗布し、プリベイクとして60℃で2分間の仮乾燥を行ったのち、所望の形状になるよう露光機で同フレキシブル基板に露光を施した。
次に、2.4%に希釈したテトラメチル・アンモニウム・ヒドロキシド(TMAH)で現像を行い、純水リンスを行った後、240℃で本焼成を45分間行った。
その後、塩化鉄でITOをエッチングし、純水リンスを行った後、レジスト剥離を行い、更に純水リンスを行うことで、パターニングITOを得た。
(3)正孔輸送層の形成
次に、正孔輸送層としてPDOT:PSSをインクジェット法で塗布を行った。前記ITO電極上に50nmになるようインクジェット塗布を行い、150℃で20分ベークすることで正孔輸送層を形成した。
(4)電子輸送層の形成
次に、電子輸送層として、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、とフェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)をクロロベンゼンにて溶解させ、P3HT、PCBMがそれぞれ約1.25質量%、約1.0質量%になるよう調液し、同溶液をグローブボックス内でインクジェットカートリッジに導入することで、光電変換層材料を作製した。そして、同調液材料を同じくインクジェット法で200nmになるよう塗布形成し、同様に150℃で20分ベークすることで電子輸送層を形成した。
(5)第2電極の形成
次に、上記電子注入層上に第2電極として銀(Ag)を300nm蒸着することで第2電極を形成した。
(6)封止層の形成
次に、封止層を0.1〜50Paの成膜圧力でシランガスとアンモニアガスを供給して500nmの窒化ケイ素膜をプラズマCVD法にて形成した。具体的には、電子輸送層までは形成した基板を1×10−4Pa以下に減圧した真空チャンバーに入れ、基板温度を約70℃に調整し、上記反応ガスをSiHガスとNHガスとHガスを2:1:4の割合で導入し、50Paと減圧した中で、13.56MHzの高周波電源を有するプラズマCVD装置を用いて成膜した。成膜時に基板温度が上昇するが、70℃になるよう基板冷却をコントロールしながら成膜した。これにより500nmのSiN層を形成した。
(7)第2基板の貼合
第2基板として、25μmのアルミニウム箔に50μmのPETを貼合したALPETを用い、当該ALPETをフィラーとして5〜10μmφのタルクを5質量%混入したエポキシ系熱硬化接着剤(巴川製紙所社製エレファンCS)を介して、上記封止層に貼合した。
〔比較例2〕
(従来のペロブスカイト型(I)の太陽電池No.2の作製)
上記比較例1の従来タイプの太陽電池No.1の作製方法において、電子輸送層、下記処方に基づくペロブスカイト層及び正孔輸送層をこの順に形成した以外は太陽電池No.1の作製方法と同じ方法で太陽電池No.2を作製した。
〈ペロブスカイト層の形成方法〉
グローブボックス内にて、ヨウ化鉛(PbI、ペロブスカイト前駆体用、東京化成工業株式会社製)0.114g、メチルアミンヨウ化水素酸塩(CHNHI、東京化成工業株式会社製)0.035g、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(脱水DMF、和光純薬工業株式会社製)1mLを混合、室温撹拌し、0.3Mヨウ素系ペロブスカイト(CHNHPbI)原料のDMF溶液(無色透明)を調製した。
ヨウ素系ペロブスカイト原料のDMF溶液0.5mLを電子輸送層上にスピンコーター(ミカサ株式会社製MS−100)を用いて前記分散液をスピンコートした(5000rpm×30sec)。スピンコート後すぐに100℃ホットプレート上で10分間乾燥した。DMFを浸み込ませた綿棒でFTOとのコンタクト部分を拭き取った後、70℃で60分間乾燥させ、光電変換層を形成した。ペロブスカイト化合物が生成していることはX線回折パターン、吸収スペクトル及び電子顕微鏡観察により確認した。
〔比較例3〕
(従来のペロブスカイト型(II)の太陽電池No.3の作製)
下記に示す(1)〜(7)の工程を順に行い、従来タイプのペロブスカイト太陽電池を作製した。
(1)第1電極(FTO電極)の作製
ガラス基板(第1基板)上に設けられたフッ素ドープ酸化スズ(FTO)層からなる電極(旭硝子ファブリテック株式会社製、縦25mm×横25mm×厚さ1.8mm、以下、「FTO電極」という。)の一部をZn粉末と2mol/L塩酸水溶液でエッチングした。1質量%の中性洗剤、アセトン、2−プロパノール(IPA)、イオン交換水を用い、この順で各10分間超音波洗浄を行った。さらに、電子輸送層形成の直前に、FTO電極面を上にして、FTO電極をオゾン発生装置(メイワフォーシス株式会社製オゾンクリーナー、PC−450UV)に入れ、30分間紫外線照射した。
(2)電子輸送層の形成
有機バインダーとしてのポリイソブチルメタクリレートと酸化チタン(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、150℃で10分間乾燥させた。その後、高圧水銀ランプ(セン特殊光源社製、HLR100T−2)を用いて、紫外線を照射強度500mW/cmで15分間照射し、酸化チタンからなる厚さ200nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
(3)光電変換層の形成
ヨウ化鉛をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて1Mの溶液を調製し、上記多孔質状の電子輸送層上にスピンコート法によって製膜した。更に、アミン化合物としてヨウ化メチルアンモニウムを2−プロパノールに溶解させて1質量%の溶液を調製した。この溶液内に上記のヨウ化鉛を製膜したサンプルを浸漬させることによって有機無機ペロブスカイト化合物であるCHNHPbIを含む層を形成した。その後、得られたサンプルに対して120℃にて30分間アニール処理を行い、光電変換層を形成した。
(4)正孔輸送層の形成
上記光電変換層上に、Poly(4−butylphenyl−diphenyl−amine)(1−Material社製)の1質量%クロロベンゼン溶液を、スピンコート法によって50nmの厚さに積層して正孔輸送層を形成した。
(5)第2電極(アルミニウム電極)の形成
真空蒸着装置(アルバック機工株式会社製VTR−060M/ERH)を用い、真空下(4〜5×10−3Pa)、上記の正孔輸送層上に金を300nm蒸着して、第2電極を形成した。
(6)封止層の形成
封止層を0.1〜50Paの製膜圧力でシランガスとアンモニアガスを供給して500nmの窒化ケイ素膜をプラズマCVD法にて形成した。具体的には、第2電極まで形成した基板を10−4Pa以下に減圧した真空チャンバーに入れ、基板温度を約70℃に調整し、上記反応ガスをSiHガスとNHガス、及びHガスを2:1:4の割合で導入し、50Paと減圧した中で、13.56MHzの高周波電源有するプラズマCVD法にて成膜した。成膜時に基板温度が上昇するが、70℃になるよう基板冷却をコントロールしながら成膜した。これにより500nmのSiN層を形成した。
(7)第2基板の貼合
第2基板として25μmのアルミニウム箔に50μmのPETを貼合したAlPETを用い、当該ALPETをフィラーとして5〜10μmφのタルクを5質量%混入したエポキシ系熱硬化接着剤(巴川製紙所社製エレファンCS)を介して、上記封止層に貼合した。
〔実施例1〕
(本発明の太陽電池No.4の作製)
上記比較例1と同じガスバリアー性フレキシブル基板(PETフィルム)上に、本発明に係る有機金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層を次のようにして形成した。
水分濃度1ppm以下の乾燥窒素雰囲気下のグローブボックス内で、チタンテトライソプロポキシド(Ti(OiPr))の3質量%脱水テトラフルオロプロパノール(例示化合物F−1)溶液を調液し、湿度30%の大気に1分間開放し、すぐにグローブボックス内に戻した溶液をゾル・ゲル液とした。
当該ゾル・ゲル液のF/(C+F)を下記の方法で測定した。
まず、ゾル・ゲル液を、シリコンウェハ上に有機金属酸化物薄膜を作製した。次いで、110℃で30分間加熱し、その後紫外線を10分照射させて、薄膜を形成した。
作製した薄膜を、SEM・EDS(Energy Dispersive X−ray Spectoroscopy:エネルギー分散型X線分析装置)による元素分析により下記式(a)の値を求めた。SEM・EDS装置はJSM−IT100(日本電子社製)を用いた。
SEM・EDS(エネルギー分散型X線分光器)による元素分析し、下記式(a)で算出される値を求めた。
式(a): F/(C+F)
上記式(a)において、F及びCは、それぞれフッ素原子及び炭素原子の濃度を表す。
上記方法で測定したゾル・ゲル液のF/(C+F)は、0.20であった。
次いで、前記ゾル・ゲル液を厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(PEN:帝人フィルムソリューション株式会社製)に乾燥層厚100nmになるように、インクジェット・プリント法で塗布し、110℃で30分間加熱し、その後、紫外線を10分照射させ有機金属酸化物層を作製した。
次いで、パーヒドロポリシラザン(PHPS)を含有する塗布液を有機金属酸化物層上に乾燥層厚200nmになるように、インクジェット・プリント法で塗布し、ホットプレートで80℃、1分乾燥、及び紫外線改質処理を6J/cm施してガスバリアー性基板を作製した。かかる改質処理条件は比較例と同じである。
次に、上記有機金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層を形成した以外は、比較例と同じ工程・手法で、太陽電池No.4を作製した。
〔実施例2〕
(本発明の太陽電池No.5の作製)
次に、比較例と同様の工程を経て作製した封止層を被覆するような態様で本発明に係る金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層を設けた太陽電池No.5を次のようにして作製した。
比較例1と同様の工程・手法で、フレキシブル基板を用意し、同様に正孔輸送層及び電子輸送層からなる光電変換ユニットと封止層を形成し、その後、封止層上に本発明に係る金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層を形成した。
実施例1と同じゾル・ゲル液を厚さが100nmになるようインクジェット・プリント法で塗布し、110℃で30分間加熱し、その後、紫外線を10分照射し金属酸化物層を作製した。
次に、第2基板を比較例と同様の手法にて貼合し、太陽電池No.5を作製した。
〔実施例3〕
(本発明の太陽電池No.6の作製)
次に、ガスバリアー性フレキシブル基板上と封止層上に本発明に係る金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層を設けた太陽電池No.6を次のようにして作製した。
実施例1と同様の手法で、本発明に係る金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層とパーヒドロポリシラザン改質層を設けたガスバリアー性基板を作製した。
比較例1と同じように有機光電変換ユニットを形成し、次いで第1の封止層を同じく第1の実施例と同様の手法で形成した。
次に、実施例2と同じく、本発明に係る金属酸化物層をインクジェット・プリント法にて厚さが100nmになるよう塗布を行い、110℃で30分間加熱し、その後紫外線を10分照射させて、封止層を被覆するような態様で本発明に係る水蒸気バリアー層を設けた。その後、第2基板を比較例と同様の手法にて真空ラミネートにて貼合し、太陽電池No.6を作製した。
〔実施例4〕
(本発明の太陽電池No.7の作製)
次に、実施例3と同じく、ガスバリアー性基板上と封止層にフッ素量を変えて生成した金属酸化物含有水蒸気バリアー層を形成した太陽電池No.7を作製した。
具体的には、フッ化アルコールとして例示化合物F−5を用いて製造された金属酸化物を含有する水蒸気バリアー層を作製した。具体的には水分濃度1ppm以下の乾燥窒素雰囲気下のグローブボックス内で、チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(OiPr))の10質量%脱水オクタフルオロプロパノール(例示化合物F−5)溶液を調液し、湿度30%の大気に1分間開放し、すぐにグローブボックス内に戻した溶液をゾル・ゲル液2とし、実施例3と同様の手法にて、金属酸化物層を含有する水蒸気バリアー層をガスバリアー性基板上と封止層にそれぞれ形成することで、太陽電池No.7を作製した。
上記形成で用いたゾル・ゲル液2におけるF/(C+F)は、上記と同様の方法で測定した結果、0.42であった。
〔実施例5〕
(本発明のペロブスカイト型(III)の太陽電池No.8の作製)
上記実施例4の太陽電池No.7の作製方法において、正孔輸送層と電子輸送層の間に、ペロブスカイト層を比較例2の太陽電池No.2と同様に形成した以外は太陽電池N0.6の作製方法と同じ方法で、太陽電池No.8を作製した。
〔実施例6〕
(本発明のペロブスカイト型(IV)の太陽電池No.9の作製)
比較例3の従来タイプのペロブスカイトタイプ(II)の太陽電池No.3の製造方法において、電子輸送層の形成を下記のように形成した以外は、第1電極、光電変換層、正孔輸送層、第2電極及び封止層を太陽電池No.3と同じ方法で形成した。
その後、実施例2の太陽電池No.5の作製と同様にして、本発明に係る金属酸化物層をインクジェット・プリント法にて厚さが100nmになるよう塗布を行い110℃で30分間加熱し、その後、紫外線を10分照射させて、封止層を被覆するような態様で本発明に係る水蒸気バリアー層を設けて、太陽電池No.9を作製した。
(電子輸送層の形成)
水分濃度1ppm以下の乾燥窒素雰囲気下のグローブボックス内で、チタンテトライソプロポキシド(Ti(OiPr))の3質量%脱水テトラフルオロプロパノール(例示化合物F−1)溶液1を調製し、さらに酢酸銀(CHCOAg)を1質量%脱水テトラフルオロプロパノール(例示化合物F−1)溶液2を調製し、その後これらをチタンテトライソプロポキシドと酢酸銀のモル比率(Ti/Ag)が1.0/0.1になるように混合・撹拌し、湿度30%の大気に1分間開放し、すぐにグローブボックス内に戻した溶液をゾル・ゲル液とした。
《太陽電池の評価》
上記実施例及び比較例として得られた各種太陽電池について、以下の評価を行った。
(1)光変換効率等の測定
ソーラーシミュレーターを用いて、入射光放射照度1000W/m、スペクトルAir Mass(AM)1.5Gの疑似太陽光スペクトルの照射を25℃の環境下で行った。
ソーラーシミュレーターは、パルス光型であるシャープ製SHSS−01を使用し、光源にはXeランプとHaランプで構成されている装置を使用し、パネルには、2cm×2cmの開口したt=0.2mmのアルミ板をアルマイト処理し、表面黒色化することで、遮光部の透過率が0%となる遮光マスクを用意し、太陽電池パネルに密着させ、光照射下のIVカーブと短絡電流密度(Jsc)、解放電圧(Voc)、最大出力(η)とフィルファクタ(FF)を測定し、光変換効率及びその維持率又は変化率を算出した。
(2)信頼性試験
IEC規格に基づく、85℃・85%の条件下、上記と同様な方法で、光照射試験を3000時間行うことで、光照射による劣化特性を評価した。
以上の評価結果を、表I及び図7〜図15に示す。図7〜図9は、比較例1〜比較例3の信頼性試験結果であり、図10〜図15は、本発明の実施例1〜6の信頼性試験結果をそれぞれ示してある。
Figure 2019230534
上記表Iに記載の「F濃度違い」とは、フッ化アルコールにおいて、フッ素原子数が異なることを意味する。
綜合評価欄の記号×、○及び◎は、それぞれ、長期間実用上問題あり、特に問題なし及び良好を意味する。
表I及び図7〜図15に示した結果から明らかなように、比較(従来)例(図7〜図9)は劣化が顕著であり、ガスバリアー性基板の欠陥部や封止層の欠陥部からの水分浸透により、有機物からなる光電発電層が機能せず、効率が減少してしまっている。これを、ブラックライトを当て、色変化している部位の断面を確認すると、太陽電池パネル作製時に混入した異物により、ガスバリアー性基板及び封止層も欠陥を有し、同部位から水分浸透してしまい、機能を損ない効率が減少してしまっていたと推察される。
しかしながら、本発明の実施例(図10〜図15)では、効率減少が抑制され、特に実施例3(太陽電池No.6)や実施例4(太陽電池No.7)では顕著であり、欠陥を補修するかのように水蒸気バリアー性(耐水性)が向上していることが明確だった。
本結果からも、本発明に係る有機金属酸化物層が水蒸気バリアー(水分ブロック)として機能していることは明白であり、太陽電池パネルにおける信頼性を向上していることが分かった。また、フッ化アルコール濃度を向上させることにより、更なる信頼性向上の効果を得ており、撥水性又は疎水性の向上による水分浸透抑制をしていることも明白である。
本発明の太陽電池は、大気中の水や酸素の悪影響を抑制し、高寿命化した太陽電池であり、有機薄膜バルクヘテロ型太陽電池、又はペロプスカイト型太陽電池等の有機薄膜太陽電池に好適に利用できる。
1 太陽電池
2 第1基板
3 ガスバリアー層
4 第1電極
5 電子輸送層
6 正孔輸送層
7 光電変換ユニット
8 第2電極
9 封止層
10 接着剤層
11 アルミニウム箔
12 PETフィルム
13 第2基板
14 水蒸気バリアー層
15 ペロブスカイト層

Claims (11)

  1. 少なくとも、第1基板、第1電極、有機光電変換ユニット、第2電極、及び第2基板を具備した太陽電池であって、
    前記第1基板と前記第2基板との間に、水蒸気バリアー層を備え、
    当該水蒸気バリアー層が、下記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物を含有することを特徴とする太陽電池。
    一般式(1):R−[M(OR(O−)x−y−R
    (式中、Rは、水素原子、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、又は複素環基を表す。ただし、Rは置換基としてフッ素原子を含む炭素鎖でもよい。Mは、金属原子を表す。ORは、フッ化アルコキシ基を表す。xは金属原子の価数、yは1とxの間の任意な整数を表す。nは重縮合度を表す。)
  2. 前記水蒸気バリアー層が含有する前記有機金属酸化物における炭素原子数とフッ素原子数の総数に対するフッ素原子数の比の値F/(C+F)が、0.05〜1.00の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記Mで表される金属原子が、Ti、Zr、Sn、Ta、Fe、Zn、Si及びAlから選択されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽電池。
  4. 前記有機光電変換ユニットが、ペロブスカイト化合物を含有する層を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の太陽電池。
  5. 前記有機光電変換ユニットが、
    ペロブスカイト化合物を含有する層と、
    前記一般式(1)で表される構造を有する金属種の異なる少なくとも2種類の有機金属酸化物を含有する電子輸送層とを有し、
    少なくとも、1種類の前記有機金属酸化物の金属原子Mが、請求項3に記載の金属原子から選ばれる金属原子であり、かつ、
    他の異種の有機金属酸化物の金属原子Mが、Ag、Cu及びAuから選ばれる金属原子であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の太陽電池。
  6. 前記一般式(1)で表される構造を有する有機金属酸化物が、水蒸気又はヨウ素ガスと反応し、撥水性若しくは疎水性の化合物を放出する、又はヨウ素ガスを捕獲する性能を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の太陽電池。
  7. 前記水蒸気バリアー層が、前記第1基板と第1電極の間又は第1電極から第2電極までの構成層の全体又は一部を覆う位置に具備されたことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の太陽電池。
  8. 前記水蒸気バリアー層が、少なくとも前記有機金属酸化物を含有する組成物がゾル・ゲル転移された膜からなることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の太陽電池。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の太陽電池を製造する太陽電池の製造方法であって、
    前記水蒸気バリアー層を、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートと、フッ化アルコールとの混合液を用いて形成する工程を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  10. 前記水蒸気バリアー層を、湿式塗布法により形成することを特徴とする請求項9に記載の太陽電池の製造方法。
  11. 前記湿式塗布法が、インクジェット・プリント法であることを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
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