JPWO2019194221A1 - 放熱部材用組成物、可視光反射性放熱部材、発光デバイス、発光装置 - Google Patents

放熱部材用組成物、可視光反射性放熱部材、発光デバイス、発光装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、熱伝導性と可視光反射性の両特性に優れた放熱部材を形成可能な組成物および可視光反射性放熱部材を提供する。本発明の放熱部材用組成物は、第1のカップリング剤11と;第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と;第2のカップリング剤12と;第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2と;2官能以上の重合性化合物22であって、1の官能基が第2のカップリング剤12の他端と結合した重合性化合物22と:可視光反射性の第3の無機フィラーと;を含む。第1のカップリング剤11と重合性化合物22は、互いに結合可能な基をそれぞれ有する。第3の無機フィラーの平均粒径は、第1の無機フィラーおよび第2の無機フィラーの平均粒径よりも小さい。第3の無機フィラーは、第1の無機フィラー、第2の無機フィラー、第3の無機フィラーの総量に対する割合が、1〜50質量%である。

Description

本発明は、放熱部材用組成物に関する。特に、熱を効率よく伝導、伝達することにより放熱し、熱膨張率を制御でき、さらに可視光反射性に優れた放熱部材を形成可能な放熱部材用組成物に関する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電力制御用の半導体素子や、高速コンピューター用のCPUなどにおいて、内部の半導体の温度が高くなり過ぎないように、パッケージ材料の高熱伝導化が望まれている。すなわち半導体チップから発生した熱を効果的に外部に放出させる能力が重要になっている。また、動作温度の上昇により、パッケージ内に使用されている材料間の熱膨張率の差により熱歪が発生し、配線の剥離などによる寿命の低下が問題になっている。
このような放熱問題を解決する方法として、無機材料と樹脂とを複合化し、高熱伝導化した放熱部材の開発が行われている。特許文献1には、有機材料と無機材料の複合化において、樹脂に無機材料を添加するのではなく、無機材料同士をつなげるような態様、すなわち、カップリング剤と2官能以上の重合性化合物を介して無機材料同士を結合させることにより、または、カップリング剤を介して無機材料同士を結合させることにより、熱伝導率が極めて高く、熱膨張率の制御が可能な複合材が開示されている(段落0007)。
国際公開2016/031888号
熱対策が必要な製品として、例えばLED照明器具を挙げることができる。LEDの光には熱はほとんど含まれていないがLED自体は発熱している。この熱はLED素子部分、電源部、まわりの樹脂等に含まれ、この熱を効率よく放熱しないと熱を持った箇所が劣化してしまい、LEDの寿命を縮めることになる。このように、LED照明器具のような発光装置においても優れた熱伝導性が求められる。同時に、このような発光装置は可視光反射性にも優れることが求められる。
そこで本発明は、熱伝導性と可視光反射性の両特性に優れた放熱部材を形成可能な組成物および可視光反射性放熱部材を提供することを課題とする。
本発明者らは、無機材料同士をカップリング剤と重合性化合物を介してつなげる態様の放熱部材において、可視光反射性をも付与させられるかどうか鋭意検討を行なった。その結果、無機材料、カップリング剤、重合性化合物の組合せに、さらに特定の白色顔料の特定量を組合せることにより、高熱伝導性と優れた熱膨張率の制御性に、さらに高可視光反射性を共存させることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様に係る放熱部材用組成物は、例えば図2に示すように、第1のカップリング剤11と;前記第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と;第2のカップリング剤12と;前記第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2と;2官能以上の重合性化合物22であって、1の官能基が前記第2のカップリング剤12の他端と結合した重合性化合物22と:可視光反射性の第3の無機フィラーと;を含み、前記第1のカップリング剤11と前記重合性化合物22は、互いに結合可能な基をそれぞれ有し、前記第3の無機フィラーの平均粒径は、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーの平均粒径よりも小さく、前記第3の無機フィラーは、前記第1の無機フィラー、前記第2の無機フィラー、前記第3の無機フィラーの総量に対する割合が、1〜50質量%である。「一端」および「他端」とは、分子の形状の縁または端であればよく、分子の長辺の両端であってもなくてもよい。
このように構成すると、上記放熱部材用組成物から、熱伝導性、熱膨張制御性、および可視光反射性に優れた放熱部材を得ることができる。
本発明の第2の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様に係る放熱部材用組成物において、例えば図2に示すように、第3のカップリング剤13;をさらに備え、前記第3の無機フィラー3は、前記第3のカップリング剤13の一端との結合を有し、前記第3のカップリング剤13と前記重合性化合物22は、互いに結合可能な基をそれぞれ有する。
このように構成すると、上記放熱部材用組成物から形成された放熱部材において、第3の無機フィラーもカップリング剤および重合性化合物を介して第2の無機フィラーに結合できる。第3の無機フィラーとの結合がさらに加わることにより、さらに熱伝導性を向上させることができる。これは、第3の無機フィラーとの結合により、放熱部材の稠密性が増大し、空隙が減少するため、熱伝導の主な要素であるフォノンの伝播に適した経路を増加させることができるためと考えられる。
本発明の第3の態様に係る放熱部材用組成物は、例えば図3に示すように、第1のカップリング剤11と;前記第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と;第2のカップリング剤12と;前記第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2と;可視光反射性の第3の無機フィラーと;を含み、前記第1のカップリング剤11と前記第2のカップリング剤12は、互いに結合可能な基をそれぞれ有し、前記第3の無機フィラーの平均粒径は、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーの平均粒径よりも小さく、前記第3の無機フィラーは、前記第1の無機フィラー、前記第2の無機フィラー、および前記第3の無機フィラーの総量に対する割合が、1〜50質量%である。
このように構成すると、上記放熱部材用組成物から、熱伝導性、熱膨張制御性、および可視光反射性に優れた放熱部材を得ることができる。
本発明の第4の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第3の態様に係る放熱部材用組成物において、例えば図3に示すように、第3のカップリング剤13;をさらに備え、前記第3の無機フィラー3は、前記第3のカップリング剤13の一端との結合を有し、前記第3のカップリング剤13と前記第2のカップリング剤12は、互いに結合可能な基をそれぞれ有する。
このように構成すると、上記放熱部材用組成物から形成された放熱部材において、第3の無機フィラーもカップリング剤を介して第2の無機フィラーに結合できる。第3の無機フィラーとの結合がさらに加わることにより、さらに熱伝導性を向上させることができる。これは、第3の無機フィラーとの結合により、放熱部材の稠密性が増大し、空隙が減少するため、熱伝導の主な要素であるフォノンの伝播に適した経路を増加させることができるためと考えられる。
本発明の第5の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第4の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーの平均粒径は、0.1〜500μmであり、前記第3の無機フィラーの平均粒径は、0.01〜50μmである。
このように構成すると、第1、第2の無機フィラーと第3の無機フィラーの平均粒径を熱伝導に適した大きさの組合せとすることができる。
本発明の第6の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第5の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーは、それぞれ独立して、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ジルコニア、ダイヤモンド、アルミナ、およびコーディエライトから選ばれる少なくとも一つである。
このように構成すると、可視光反射性を有する第3のフィラーの特性を妨げず、優れた可視光反射性を有する放熱部材を形成可能な放熱部材用組成物となり得る。
本発明の第7の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第6の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第3の無機フィラーは、酸化チタン、シリカ、アルミナ、および酸化亜鉛から選ばれる少なくとも一つである。
このように構成すると、第3の無機フィラーの存在により、優れた可視光反射性を有する放熱部材を形成可能な放熱部材用組成物となり得る。
本発明の第8の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第7の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラー、前記第2の無機フィラー、および前記第3の無機フィラーに結合していない、有機化合物、高分子化合物、または、無機化合物をさらに含む。
このように構成すると、熱伝導率を向上させるために第1、第2、第3の無機フィラーの大きさを大きくするにつれて、それにあいまって空隙率が高くなった場合に、その空隙を結合していない化合物で満たすことができ、熱伝導率や水蒸気遮断性能などを向上させることができる。
本発明の第9の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第2の態様または第4の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1のカップリング剤、前記第2のカップリング剤、前記第3のカップリング剤は、それぞれ独立して、下記式(6)で表されるシランカップリング剤である。
(R−O)−Si(R3−j−(R−(R−(R
−Ry (6)
[上記式(6)中、
は、H−、またはCH−(CH0〜4−であり;
は、−(CH0〜3−O−であり;
は、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,7−ジイルであり;
は、−(NH)0〜1−(CH0〜3−であり;
は、H−、またはCH−(CH0〜7−であり;
Ryは、オキシラニル、オキセタニル、アミノ、ビニル、カルボン酸無水物残基、またはこれらの構造を含むいずれかの重合性基であり;
jは、0〜3の整数であり;
kは、0〜1の整数であり;
mは、0〜1の整数であり;
nは、0〜1の整数であり;
式(6)は、RとRの少なくとも1つを含む。]
このように構成すると、カップリング剤の構造は反応部位が少なく、熱による影響を受けにくいため、放熱部材は高耐熱性を有することができる。
本発明の第10の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱部材用組成物において、カップリング剤と結合する前の前記重合性化合物は、下記式(1)で表される2官能以上の重合性非液晶化合物の少なくとも1種である。
−R−O−(Rx)−O−R11−R (1)
[上記式(1)中、
は、それぞれ独立して、下記式(1−1)〜(1−2)、アミノ、ビニル、カルボン酸無水物残基、またはこれらの構造を含むいずれかの重合性基であり;
Rxは、下記式(1−3)〜(1−6)のいずれかであり;
nは、1〜3の整数であり;
、R11は、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20のアルキレンである。]
[化1]
Figure 2019194221
[式(1−1)〜(1−2)中、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、−CF、または炭素数1〜5のアルキルであり、qは0または1である。]
[化2]
Figure 2019194221
[式(1−4)〜(1−6)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1〜20のアルキレンである。]
このように構成すると、重合性化合物の構造は反応部位が少なく、熱による影響を受けにくいため、放熱部材は高耐熱性を有することができる。
本発明の第11の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱部材用組成物において、カップリング剤と結合する前の前記重合性化合物は、下記式(2)で表される2官能以上の重合性液晶化合物の少なくとも1種である。
Ra−Z−(A−Z)m−Ra (2)
[前記式(2)中、
Raは、それぞれ独立して、第1のカップリング剤、第2のカップリング剤、または、第3のカップリング剤の他端と結合可能な基であり;
Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイルであり、
これらの環において、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
該アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;
Zは、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
mは、1〜6の整数である。]
このように構成すると、重合性化合物は熱硬化性であり、フィラーの量に影響を受けずに硬化させることができ、さらに耐熱性に優れる。また分子構造は、対称性、直線性を有するため、フォノンの伝播に有利であると考えられる。
本発明の第12の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱部材用組成物において、カップリング剤と結合する前の前記重合性化合物は、下記式(3)または(4)で表される2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性非液晶化合物の少なくとも1種である。
[化3]
Figure 2019194221
[上記式(3)中、
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1〜3のアルキルであり;
mは2〜4の整数であり、nは1〜3の整数であり、pは2〜4の整数であり、qは1〜3の整数であり、m+n=5であり、p+q=5であり;
Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルであり、
炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の水素は−CHで置き換えられてもよく、
シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
任意の水素と置き換えられたアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
、Zは、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。]
[上記式(4)中、
xは2以上の整数であり;
環Bは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、アダマンタン、またはビアダマンタンであり、
環Bにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
環Bの炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。]
このように構成すると、2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物のうち特に好ましい化合物を用いて放熱部材用組成物を構成することができる。これらの化合物は熱硬化性であり、フィラーの量に影響を受けずに硬化させることができる。また分子構造は、対称性、直線性を有するため、フォノンの伝播に有利であると考えられる。
本発明の第13の態様に係る可視光反射性放熱部材は、上記本発明の第1の態様〜第12の態様のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物の硬化物である。
このように構成すると、可視光反射性放熱部材は、無機フィラー間に結合を有し、極めて高い熱伝導性を有することができる。
本発明の第14の態様に係る発光デバイスは、基板と;前記基板上に実装された発光チップと;前記基板上の前記発光チップを囲む反射枠であって、上記本発明の第13の態様に記載の可視光反射性放熱部材により形成された反射枠と;を備える。
このように構成すると、発光デバイスは、高可視光反射性を有する反射枠により外部への光取り出し効率を向上させることができる。同時に、高熱伝導性を有する反射枠により発光チップに生じた熱を効率よく放熱させることができる。
本発明の第15の態様に係る発光装置は、上記本発明の第14の態様に記載の発光デバイスを複数備える。
このように構成すると、発光デバイスの放熱効果により、発光装置への熱の影響を抑制することができる。
本発明の放熱部材用組成物から形成された可視光反射性放熱部材は、熱を効率よく伝導、伝達することにより放熱し、熱膨張率を制御でき、さらに可視光反射性に優れた放熱部材となり得る。
本発明の放熱部材において、無機フィラー同士の結合を、窒化ホウ素を例として示す概念図である。 本発明の一実施の形態による放熱部材用組成物が含有する、第1のカップリング剤11と結合した第1の無機フィラー1と、重合性化合物22および第2のカップリング剤12と結合した第2の無機フィラー2と、第3のカップリング剤13と結合した第3の無機フィラー3のイメージ図である。 本発明の他の実施の形態による放熱部材用組成物が含有する、第1のカップリング剤11と結合した第1の無機フィラー1と、第2のカップリング剤12と結合した第2の無機フィラー2と、第3のカップリング剤13と結合した第3の無機フィラー3のイメージ図である。 実施例1の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 実施例2の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 実施例3の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 実施例4の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 実施例5の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 実施例6の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 比較例1の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 比較例2の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 比較例3の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。
この出願は、日本国で2018年4月5日に出願された特願2018−073364号に基づいており、その内容は本願の内容としてその一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明によりさらに完全に理解できるであろう。本発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明により明らかとなろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、本発明の精神と範囲内における、種々の変更、改変が、当業者にとって明らかであるからである。出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本明細書における用語の使い方は以下のとおりである。
「液晶化合物」「液晶性化合物」は、ネマチック相やスメクチック相などの液晶相を発現する化合物である。
「アルキルにおける任意の−CH−は、−O−などで置き換えられてもよい」あるいは「任意の−CHCH−は−CH=CH−などで置き換えられてもよい」等の句の意味を下記の一例で示す。例えば、C−における任意の−CH−が、−O−または−CH=CH−で置き換えられた基としては、CO−、CH−O−(CH−、CH−O−CH−O−などである。同様にC11−における任意の−CHCH−が、−CH=CH−で置き換えられた基としては、HC=CH−(CH−、CH−CH=CH−(CH−など、さらに任意の−CH−が−O−で置き換えられた基としては、CH−CH=CH−CH−O−などである。このように「任意の」という語は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。なお、化合物の安定性を考慮して、酸素と酸素とが隣接したCH−O−O−CH−よりも、酸素と酸素とが隣接しないCH−O−CH−O−の方が好ましい。
また、環Aに関して「任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい」の句は、例えば1,4−フェニレンの2,3,5,6位の水素の少なくとも1つがフッ素やメチル基等の置換基で置き換えられた場合の態様を意味し、また置換基が「炭素数1〜10のハロゲン化アルキル」である場合の態様としては、2−フルオロエチル基や3−フルオロ−5−クロロヘキシル基のような例を包含する。
「化合物(1)」は、後述する下記式(1)で表される重合性化合物を意味し、また、下記式(1)で表される化合物の少なくとも1種を意味することもある。「放熱部材用組成物」は、前記化合物(1)または他の重合性化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有する組成物を意味する。1つの化合物(1)が複数のAを有するとき、任意の2つのAは同一でも異なっていてもよい。複数の化合物(1)がAを有するとき、任意の2つのAは同一でも異なっていてもよい。この規則は、RやZなど他の記号、基などにも適用される。
[放熱部材用組成物]
本発明の放熱部材用組成物は、無機フィラー同士をカップリング剤および2官能以上の重合性化合物を介して結合させることにより放熱部材を形成する組成物であって、さらに可視光反射性の無機フィラーを含む。図1は無機フィラーとして窒化ホウ素を用いた場合の結合例である。窒化ホウ素(h−BN)をカップリング剤で処理すると、窒化ホウ素は粒子の平面(平らな面)に反応基がないため、その周囲のみに複数のカップリング剤が結合する。このように、無機フィラーに対し複数のカップリング剤との結合が形成される。さらにカップリング剤は重合性化合物とも結合できる。したがって、窒化ホウ素に結合したカップリング剤同士を重合性化合物でつなぐことにより、図1に示すように、窒化ホウ素間に複数の結合を形成することができる。
このように、無機フィラー同士をカップリング剤および重合性化合物を介して結合させることにより、直接的にフォノンを伝播することができるので、本発明の放熱部材用組成物から形成された可視光反射性放熱部材(以後、放熱部材ということもある)は極めて高い熱伝導性を有し、無機成分の熱膨張率を直接反映させた複合材料となる。
本発明の第1の実施の形態に係る放熱部材用組成物は、例えば図2に示すように、第1のカップリング剤11と;前記第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と;第2のカップリング剤12と;前記第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2と;2官能以上の重合性化合物22であって、1の官能基が前記第2のカップリング剤12の他端と結合した重合性化合物22と:可視光反射性の第3の無機フィラーと;を含む。前記第1のカップリング剤11と前記重合性化合物22は、互いに結合可能な基をそれぞれ有する。前記第3の無機フィラーの平均粒径は、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーの平均粒径よりも小さい。前記第3の無機フィラーは、前記第1の無機フィラー、前記第2の無機フィラー、前記第3の無機フィラーの総量に対する割合が、1〜50質量%である。
放熱部材用組成物の硬化により、第1のカップリング剤11の他端が重合性化合物22と結合すると、第1の無機フィラー1と第2の無機フィラー2との間の結合が形成される(図1)。
さらに、第3の無機フィラーとして、図2に示すように、第3のカップリング剤13と結合した可視光反射性の第3の無機フィラー3を含み、第3のカップリング剤13と重合性化合物22が、互いに結合可能な基をそれぞれ有する場合、放熱部材用組成物の硬化により、第3のカップリング剤13の他端が重合性化合物22と結合を形成できるため好ましい。
本発明の第2の実施の形態に係る放熱部材用組成物は、例えば図3に示すように、第1のカップリング剤11と;前記第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と;第2のカップリング剤12と;前記第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2と;可視光反射性の第3の無機フィラーと;を含む。前記第1のカップリング剤11と前記第2のカップリング剤12は、互いに結合可能な基をそれぞれ有する。前記第3の無機フィラーの平均粒径は、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーの平均粒径よりも小さい。前記第3の無機フィラーは、前記第1の無機フィラー、前記第2の無機フィラー、前記第3の無機フィラーの総量に対する割合が、1〜50質量%である。
放熱部材用組成物の硬化により、第1のカップリング剤11の他端が第2のカップリング剤12と結合すると、第1の無機フィラー1と第2の無機フィラー2との間の結合が形成される(図1)。
さらに、第3の無機フィラーとして、図3に示すように、第3のカップリング剤13と結合した可視光反射性の第3の無機フィラー3を含み、第3のカップリング剤13と第2のカップリング剤12が、互いに結合可能な基をそれぞれ有する場合、放熱部材用組成物の硬化により、第3のカップリング剤13の他端が第2のカップリング剤12と結合を形成できるため好ましい。
2官能以上の重合性化合物は、カップリング剤との結合を形成可能な基を有するものを選択する。
<2官能以上の重合性非液晶化合物>
2官能以上の重合性化合物は、非液晶性化合物であってもよい。非液晶性の2官能以上の重合性化合物としては、下記式(1)で表される重合性化合物を挙げることができる。
−R−O−(Rx)−O−R11−R (1)
上記式(1)中、
は、それぞれ独立して、下記式(1−1)〜(1−2)、アミノ、ビニル、カルボン酸無水物残基、またはこれらの構造を含むいずれかの重合性基であり;
Rxは、ナフタレン−2,6−ジイル、または、下記式(1−3)〜(1−6)で表されるナフタレン−2,7−ジイル、ビフェニル−2,2’、ビフェニル−2,4’、ビフェニル−3,3’のいずれかであり;
nは、1〜3の整数であり;
、R11は、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20のアルキレンである。
[化4]
Figure 2019194221

式(1−1)〜(1−2)中、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、−CF、または炭素数1〜5のアルキルであり、qは0または1である。
[化5]
Figure 2019194221
式(1−4)〜(1−6)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1〜20のアルキレンである。
上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、第1のカップリング剤の他端、第2のカップリング剤の他端、または、第3のカップリング剤の他端と結合可能な基であればよい。例えば、上記式(1−1)〜(1−2)で表される重合性基の他、シクロヘキセンオキシド、無水フタル酸、または無水コハク酸を挙げることができるが、これらに限られない。
式(1)で表される重合性化合物は、その構造中反応部位が少なく、熱による影響を受けにくい。一方で、その構造はフォノンの伝播に優れることがわかった。よって、放熱部材用組成物から形成される放熱部材は、高熱伝導性とともに高耐熱性を有することができる。
<2官能以上の重合性液晶化合物>
2官能以上の重合性化合物は、液晶性化合物であってもよい。液晶性を有する2官能以上の重合性化合物としては、下記式(2)で表される重合性液晶化合物を挙げることができる。
重合性液晶化合物は、液晶骨格と重合性基を有し、高い重合反応性、広い液晶相温度範囲、良好な混和性などを有する。この化合物(2)は他の液晶性の化合物や重合性の化合物などと混合するとき、均一になりやすい。
−Z−(A−Z)−R (2)
上記化合物(2)の末端基R、環構造Aおよび結合基Zを適宜選択することによって、液晶相発現領域などの物性を任意に調整することができる。末端基R、環構造Aおよび結合基Zの種類が、化合物(2)の物性に与える効果、ならびに、これらの好ましい例を以下に説明する。
・末端基R
末端基Rは、上記式(1)で定義したRと同義である。
・環構造A
上記化合物(2)の環構造Aにおける少なくとも1つの環が1,4−フェニレンの場合、配向秩序パラメーター(orientational order parameter)および磁化異方性が大きい。また、少なくとも2つの環が1,4−フェニレンの場合、液晶相の温度範囲が広く、さらに透明点が高い。1,4−フェニレン環上の少なくとも1つの水素がシアノ、ハロゲン、−CFまたは−OCFに置換された場合、誘電率異方性が高い。また、少なくとも2つの環が1,4−シクロヘキシレンである場合、透明点が高く、かつ粘度が小さい。
上記式(2)中、好ましいAとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、2,2−ジフルオロ−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、9−メチルフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル、9−エチルフルオレン−2,7−ジイル、9−フルオロフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジフルオロフルオレン−2,7−ジイルなどが挙げられる。
1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置は、シスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンおよび3−フルオロ−1,4−フェニレンは構造的に同一であるので、後者は例示していない。この規則は、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンと3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンとの関係などにも適用される。
上記式(2)中、さらに好ましいAとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンなどである。特に好ましいAは、1,4−シクロへキシレンおよび1,4−フェニレンである。
・結合基Z
上記化合物(2)の結合基Zが、単結合、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH−である場合、特に、単結合、−(CH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または−(CH−である場合、粘度が小さくなる。また、結合基Zが、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−または−CF=CF−である場合、液晶相の温度範囲が広い。また、結合基Zが、炭素数4〜10程度のアルキルの場合、融点が低下する。
上記式(2)中、好ましいZとしては、単結合、−(CH−、−(CF−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−などが挙げられる。
上記式(2)中、さらに好ましいZとしては、単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−C≡C−などが挙げられる。特に好ましいZとしては、単結合、−(CH−、−COO−または−OCO−である。
上記化合物(2)が多くの環を持つほどより高温で軟化しにくくなるので放熱材料として好ましいが、軟化温度が重合温度よりも高くなると成形が難しくなるので、目的にそって両者のバランスをとることが好ましい。なお、本明細書においては、基本的に6員環および6員環を含む縮合環等を環とみなし、例えば3員環や4員環、5員環単独のものは環とみなさない。また、ナフタレン環やフルオレン環などの縮合環は1つの環とみなす。
上記化合物(2)は、光学活性であってもよいし、光学的に不活性でもよい。化合物(2)が光学活性である場合、該化合物(2)は不斉炭素を有する場合と軸不斉を有する場合がある。不斉炭素の立体配置はRでもSでもよい。不斉炭素はRまたはAのいずれに位置していてもよく、不斉炭素を有すると、化合物(2)の相溶性がよい。化合物(2)が軸不斉を有する場合、ねじれ誘起力が大きい。また、旋光性はいずれでも構わない。
以上のように、末端基R、環構造Aおよび結合基Zの種類、環の数を適宜選択することにより、目的の物性を有する化合物を得ることができる。
化合物(2)は、下記式(2a)または(2b)のように表すこともできる。
P−Y−(A−Z)−R (2a)
P−Y−(A−Z)−Y−P (2b)
上記式(2a)および(2b)中、A、Z、Rは上記式(2)で定義したA、Z、Rと同義であり、Pは下記式(2−1)〜(2−2)で表される重合性基、シクロヘキセンオキシド、無水フタル酸、または無水コハク酸を示し、Yは単結合または炭素数1〜20のアルキレン、好ましくは炭素数1〜10のアルキレンを示し、該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−または−CH=CH−で置き換えられてもよい。特に好ましいYとしては、炭素数1〜10のアルキレンの片末端もしくは両末端の−CH−が−O−で置き換えられたアルキレンである。mは1〜6の整数、好ましくは2〜6の整数、さらに好ましくは2〜4の整数である。
[化6]
Figure 2019194221
式(2−1)〜(2−2)中、Rが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、−CF、または炭素数1〜5のアルキルであり、qは0または1である。
好ましい化合物(2)の例としては、以下に示す化合物(a−1)〜(a−10)、(b−1)〜(b−16)、(c−1)〜(c−16)、(d−1)〜(d−15)、(e−1)〜(e−15)、(f−1)〜(f−14)、(g−1)〜(g−20)が挙げられる。なお、式中の*は不斉炭素を示す。
[化7]
Figure 2019194221
[化8]
Figure 2019194221
[化9]
Figure 2019194221
[化10]
Figure 2019194221
[化11]
Figure 2019194221
[化12]
Figure 2019194221
[化13]
Figure 2019194221
[化14]
Figure 2019194221
[化15]
Figure 2019194221
[化16]
Figure 2019194221
[化17]
Figure 2019194221
[化18]
Figure 2019194221
[化19]
Figure 2019194221
[化20]
Figure 2019194221
上記化学式(a−1)〜(g−20)において、R、PおよびYは上記式(2a)および(2b)で定義したとおりである。
は、それぞれ独立して、単結合、−(CH−、−(CF−、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−(CHO−、−O(CH−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−C≡C−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−C≡C−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−OCF−または−CFO−である。なお、複数のZは同一でも異なっていてもよい。
上記化学式(a−1)〜(g−20)において、Zは、それぞれ独立して、−(CH−、−(CF−、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−(CHO−、−O(CH−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−C≡C−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−C≡C−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−OCF−または−CFO−である。
上記化学式(a−1)〜(g−20)において、Zは、それぞれ独立して、単結合、炭素数1〜10のアルキル、−(CH−、−O(CHO−、−CHO−、−OCH−、−O(CH−、−(CHO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−OCF−または−CFO−であり、複数のZは同一でも異なっていてもよい。aは1〜20の整数である。
上記化学式(a−1)〜(g−20)において、Xは、任意の水素がハロゲン、アルキル、フッ化アルキルで置き換えられてもよい1,4−フェニレンおよびフルオレン−2,7−ジイルの置換基であり、ハロゲン、アルキルまたはフッ化アルキルを示す。
上記化合物(2)のより好ましい態様について説明する。より好ましい化合物(2)は、下記式(2a)または(2b)において以下の特徴を有する。
P−Y−(A−Z)−R (2a)
P−Y−(A−Z)−Y−P (2b)
上記式中、A、Y、Z、Rおよびmはすでに定義したとおりであり、Pは下記式(2−1)〜(2−2)で表される重合性基を示す。上記式(2b)の場合、2つのPは同一の重合性基(2−1)〜(2−2)を示し、2つのYは同一の基を示し、2つのYは対称となるように結合する。
[化21]
Figure 2019194221
<2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性非液晶化合物>
2官能以上の重合性化合物は、ヒドロキシ基を有する非液晶性化合物であってもよい。非液晶性の2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物としては、下記式(3)または(4)で表される少なくとも1つの重合性化合物を挙げることができる。
[化22]
Figure 2019194221
上記式(3)において、
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1〜3のアルキルであり;
mは2〜4の整数であり、nは1〜3の整数であり、pは2〜4の整数であり、qは1〜3の整数であり、m+n=5であり、p+q=5であり;
Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、またはビアダマンタンジイルであり、
炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の水素は−CHで置き換えられてもよく、
シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
任意の水素と置き換えられたアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
、Zは、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
上記式(3)において、Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、フェニレン、または任意の水素がハロゲンもしくはメチル基で置き換えられたフェニレンであり;Z、Zは、それぞれ独立して、単結合、−(CH−、−O−、−O(CH−、−(CHO−、−O(CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−OCF−または−CFO−であり、該aが1〜20の整数であることが好ましい。
特に好ましい化合物(3)の例としては、以下に示す化合物(3−1)〜(3−11)が挙げられる。
[化23]
Figure 2019194221
上記式(3−1)〜(3−11)において、R、R、m、n、p、q、Z、Zは、式(3)と同一であり;R〜R63は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルである。
上記式(4)において、
xは2以上の整数であり;
環Bは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、アダマンタン、または、ビアダマンタンであり、
環Bにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
環Bの炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。
上記式(4)において、環Bは、ベンゼン、ナフタレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、またはアダマンタンであることが好ましい。
特に好ましい化合物(4)の例としては、以下に示す化合物(4−1)〜(4−10)が挙げられる。
[化24]
Figure 2019194221
上記式(4−1)〜(4−10)において、xは、式(4)と同一である。上記式(4−1)〜(4−10)の環において、ヒドロキシ基の位置は任意である。
<2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性液晶化合物>
2官能以上の重合性化合物は、ヒドロキシ基を有する液晶性化合物であってもよい。液晶性を有する2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物としては、下記式(5)で表される少なくとも1つの重合性化合物を挙げることができる。化合物(5)は、液晶骨格と2官能以上のヒドロキシ基を有し、高い重合反応性、広い液晶相温度範囲、良好な混和性などを有する。この化合物(5)は他の液晶性の化合物や重合性の化合物などと混合するとき、均一になりやすい。
[化25]
Figure 2019194221
上記式(5)において、sは0〜4の整数であり、tは1以上の整数であり、uは1以上の整数である。
上記化合物(5)の環Cおよび結合基W、結合基Yを適宜選択することによって、液晶相発現領域などの物性を任意に調整することができる。環C、結合基Wおよび結合基Yの種類が、化合物(5)の物性に与える効果、ならびに、これらの好ましい例を以下に説明する。
・結合基Y
上記式(5)において、結合基Yは、独立して、単結合または炭素数1〜20のアルキレン、好ましくは炭素数1〜10のアルキレンを示し、炭素数2〜20の該アルキレンにおいて、ヒドロキシ基と結合していない任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。Yが直鎖状アルキレンである場合、液晶相の温度範囲が広く、かつ粘度が小さい。一方、Yが分岐状アルキレンである場合、他の液晶性の化合物との相溶性がよい。
・環C
上記化合物(5)の環Cにおける少なくとも1つの環が1,4−フェニレンの場合、配向秩序パラメーター(orientational order parameter)および磁化異方性が大きい。また、少なくとも2つの環が1,4−フェニレンの場合、液晶相の温度範囲が広く、さらに透明点が高い。1,4−フェニレン環上の少なくとも1つの水素がシアノ、ハロゲン、−CFまたは−OCFに置換された場合、誘電率異方性が高い。また、少なくとも2つの環が1,4−シクロヘキシレンである場合、透明点が高く、かつ粘度が小さい。
上記式(5)において、好ましい環Cとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、2,2−ジフルオロ−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、9−メチルフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル、9−エチルフルオレン−2,7−ジイル、9−フルオロフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジフルオロフルオレン−2,7−ジイルなどが挙げられる。
1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置は、シスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンおよび3−フルオロ−1,4−フェニレンは構造的に同一であるので、後者は例示していない。この規則は、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンと3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンとの関係などにも適用される。
上記式(5)において、さらに好ましいCとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンなどである。特に好ましいAは、1,4−シクロへキシレンおよび1,4−フェニレンである。
・結合基W
上記化合物(5)の結合基Wが、それぞれ独立して、単結合、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH−である場合、特に、単結合、−(CH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または−(CH−である場合、粘度が小さくなる。また、結合基Wが、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−または−CF=CF−である場合、液晶相の温度範囲が広い。また、結合基Wが、炭素数4〜10程度のアルキレンの場合、融点が低下する。
上記式(5)において、好ましい結合基Wとしては、単結合、−(CH−、−(CF−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−などが挙げられる。
上記式(5)において、さらに好ましい結合基Wとしては、単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−C≡C−などが挙げられる。特に好ましい結合基Wとしては、単結合、−(CH−、−COO−または−OCO−である。
上記化合物(5)が3つ以下の環を有するときは粘度が低く、3つ以上の環を有するときは透明点が高い。
上記化合物(5)は、光学活性であってもよいし、光学的に不活性でもよい。化合物(5)が光学活性である場合、化合物(5)は不斉炭素を有する場合と軸不斉を有する場合がある。不斉炭素の立体配置はRでもSでもよい。不斉炭素は、環C、結合基W、結合基Yのいずれに位置していてもよく、不斉炭素を有すると、化合物(5)の相溶性がよい。化合物(5)が軸不斉を有する場合、ねじれ誘起力が大きい。また、旋光性はいずれでも構わない。
以上のように、環C、結合基W、結合基Yの種類、環の数を適宜選択することにより、目的の物性を有する化合物を得ることができる。
上記化合物(2b)、上記化合物(5)の好ましい化合物として、具体例(f−1−1)〜(f−14−2)を以下に示す。
[化26]
Figure 2019194221
[化27]
Figure 2019194221
[化28]
Figure 2019194221
・化合物(1)(2)(3)(4)(5)の合成方法
上記化合物(1)(2)(3)(4)(5)は、有機合成化学における公知の手法を組合せることにより合成できる。出発物質に目的の末端基、環構造および結合基を導入する方法は、例えば、ホーベン−ワイル(Houben-Weyl, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。また、特開2006−265527号公報を参照してもよい。
2官能以上の重合性化合物(以下、単に「重合性化合物」ということがある)は、上記式(1)(2)(3)(4)(5)で示す重合性化合物以外の重合性化合物であってもよい。例えば、ポリエーテルのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビフェノールのジグリシジルエーテル、または式(2)(5)の化合物の中でも直線性が足りず液晶性を発現しなかった化合物などが挙げられる。
上記重合性化合物は、有機合成化学における公知の手法を組合せることにより合成できる。
本発明に用いる重合性化合物は、2官能以上の官能基を有することが好ましく、3官能以上、また4官能以上である場合を含む。さらに、重合性化合物の長辺の両端に官能基を有する化合物が直線的な結合を形成できるため好ましい。
<第1、第2の無機フィラー>
第1の無機フィラー、第2の無機フィラーとしては、窒化物等を挙げることができる。第1の無機フィラーおよび第2の無機フィラーは、同一であってもよく異なったものでもよい。
第1の無機フィラー、第2の無機フィラーには、高熱伝導性で熱膨張率が非常に小さいか負である無機フィラーとして、窒化ホウ素、ジルコニア、ダイヤモンド等を用いてもよい。または、第1または第2の無機フィラーのどちらか一方に、窒化アルミニウム、アルミナ、コーディエライト等の熱伝導率が高く熱膨張率が正である無機フィラーを用いてもよい。
好ましくは、窒化ホウ素、窒化アルミニウムである。特に六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)が好ましい。窒化ホウ素は平面方向の熱伝導率が非常に高く、誘電率も低く、絶縁性も高いため好ましい。例えば、板状結晶の窒化ホウ素を用いると、成型および硬化時に、原料のフローや圧力によって、板状構造が金型に沿って配向され易いため好ましい。
無機フィラーの種類、形状、大きさ、添加量などは、目的に応じて適宜選択できる。放熱部材が絶縁性を必要とする場合、所望の絶縁性が保たれれば導電性を有する無機フィラーを用いてもよい。無機フィラーの形状としては、板状、球状、無定形、繊維状、棒状、筒状などが挙げられる。なお、重合性化合物はこれらの無機フィラー間を効率よく結合できる形状および長さを持っていることが望ましい。無機フィラーの外観は、色の薄いものや半透明、透明であるものが好ましい。
第1の無機フィラー、第2の無機フィラーの平均粒径は、0.1〜500μmであることが好ましい。より好ましくは、1〜100μmである。0.1μm以上であると熱伝導率がよく、500μm以下であると充填率を上げることができる。
なお、本明細書において平均粒径とは、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定に基づく。すなわち、フランホーファー回折理論およびミーの散乱理論による解析を利用して、湿式法により粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量(体積基準)となる径をメジアン径とした。
<第3の無機フィラー>
第3の無機フィラーは、白色かそれに近い外観を有するものであって、有機成分の酸化が促進されないような無機フィラーを用いることが好ましい。より好ましくは、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛等である。
第3の無機フィラーの平均粒径は、0.01〜50μmであることが好ましい。より好ましくは、0.05〜25μmである。0.01μm以上であると熱伝導率がよく、50μm以下であると充填率を上げることができる。第3の無機フィラーの形状としては、板状、球状、無定形、繊維状、棒状、筒状などが挙げられる。
<カップリング剤>
無機フィラーに結合させるカップリング剤は、重合性化合物が有する官能基と反応する基をもつものを選択することができる。例えば、重合性化合物がオキシラニル基を有する場合は、アミン系の基を持つものが好ましい。JNC(株)製では、サイラエース(商品名)S310、S320、S330、S360、信越化学工業(株)製では、KBM903、KBE903などが挙げられる。重合性化合物がアミン系の基またはヒドロキシ基を有する場合は、オキシラニル基等を持つカップリング剤が好ましい。JNC(株)製では、サイラエース(商品名)S510、S530などが挙げられる。無機フィラーに対するカップリング剤の修飾量は、高熱伝導性、高耐熱性にバランスよく優れる放熱部材を容易に得ることができる等の点から、好ましくは0.2〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
カップリング剤としては、下記式(6)で表されるシランカップリング剤を用いることが好ましい。
(R−O)−Si(R3−j−(R−(R−(R
−Ry (6)
上記式(6)中、
は、H−、またはCH−(CH0〜4−であり;
は、−(CH0〜3−O−であり;
は、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,7−ジイルであり;
は、−(NH)0〜1−(CH0〜3−であり;
は、H−、またはCH−(CH0〜7−であり;
Ryは、オキシラニル、オキセタニル、アミノ、ビニル、カルボン酸無水物残基、またはこれらの構造を含むいずれかの重合性基であり;
jは、0〜3の整数であり;
kは、0〜1の整数であり;
mは、0〜1の整数であり;
nは、0〜1の整数であり;
式(6)は、RとRの少なくとも1つを含む。
<追加フィラー>
本発明の放熱部材用組成物は、さらに無機フィラーを追加し、複数種類の無機フィラーを含有させてもよい。例えば、第1の無機フィラー、第2の無機フィラー、第3の無機フィラーと異なる熱膨張率を持つ無機フィラーを追加してもよい。また、第1の無機フィラーと第2の無機フィラーが2次元の板状または1次元の線状である場合、それらだけを複合化させると、複合化した放熱部材用組成物の物性に大きな異方性が生じる。追加フィラーを加えることにより、第1、第2の無機フィラーの配向性が緩和し、異方性が少なくなる利点がある。さらに、第1、第2の無機フィラーの熱膨張率が非常に小さいか負であるとき、熱膨張率が正の追加フィラーを加えることにより、その混合比率によって熱膨張率を負から正により精密に制御することが可能になる。追加フィラーに使用する無機フィラーに制約はないが、熱伝導率が高い物であることが望ましい。
追加フィラーとしては、熱伝導率が高く熱膨張率が正である、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、ダイヤモンド、珪素、ベリリア、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化銅、酸化チタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化錫、酸化ホルミウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ステンレスなどの無機充填材および金属充填材を挙げることができる。
<その他の構成要素>
本発明の放熱部材用組成物は、さらに第1の無機フィラー、第2の無機フィラー、第3の無機フィラーに結合していない、すなわち結合に寄与していない有機化合物(例えば重合性化合物または高分子化合物)を含んでいてもよく、重合開始剤や溶媒等を含んでいてもよい。
<結合していない重合性化合物>
放熱部材用組成物は、無機フィラーに結合していない重合性化合物(この場合、必ずしも2官能以上でなくてもよい)を構成要素としてもよい。このような重合性化合物としては、成形性および機械的強度を低下させない化合物が好ましい。この重合性化合物は、液晶性を有しない化合物と液晶性を有する化合物とに分類される。液晶性を有しない重合性化合物としては、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、ソルビン酸誘導体、フマル酸誘導体、イタコン酸誘導体、などが挙げられる。含有量は、まず結合していない重合性化合物を含まない放熱部材用組成物を作製し、その空隙率を測定して、その空隙を埋められる量の重合性化合物を添加することが望ましい。
<結合していない高分子化合物>
放熱部材用組成物は、無機フィラーに結合していない高分子化合物を構成要素としてもよい。このような高分子化合物としては、膜形成性および機械的強度を低下させない化合物が好ましい。この高分子化合物は、第1、第2、第3の無機フィラーおよび重合性化合物と反応しない高分子化合物であればよく、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイタコン酸系樹脂などが挙げられる。含有量は、まず結合していない高分子化合物を含まない放熱部材用組成物を作成し、その空隙率を測定して、その空隙を埋められる量の高分子化合物を添加することが望ましい。
<非重合性の液晶性化合物>
放熱部材用組成物は、重合性基を有しない液晶性化合物を構成要素としてもよい。このような非重合性の液晶性化合物の例は、液晶性化合物のデータベースであるリクリスト(LiqCryst, LCI Publisher GmbH, Hamburg, Germany)などに記載されている。非重合性の液晶性化合物を含有する放熱部材用組成物を重合させることによって、例えば、化合物(2)の重合体と液晶性化合物との複合材料(composite materials)を得ることができる。このような複合材料では、高分子分散型液晶のように高分子網目中に非重合性の液晶性化合物が存在している。好ましくは、使用する温度領域で流動性がないような特性を持つ液晶性化合物である。第1、第2、第3のフィラーを硬化させた後で、等方相を示す温度領域でその空隙に注入するような手法で複合化させてもよく、第1、第2、第3のフィラーに予め空隙を埋めるように計算した分量の液晶性化合物を混合しておき、フィラーを重合させてもよい。
<重合開始剤>
放熱部材用組成物は重合開始剤を構成要素としてもよい。重合開始剤は、組成物の構成要素および重合方法に応じて、例えば光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤などを用いればよい。
熱ラジカル重合用の好ましい開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド(DTBPO)、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などが挙げられる。
<溶媒>
放熱部材用組成物は溶媒を含有してもよい。重合させる必要がある構成要素を組成物中に含む場合、重合は溶媒中で行っても無溶媒で行ってもよい。溶媒を含有する組成物を基板上に、例えばスピンコート法などにより塗布した後、溶媒を除去してから光重合させてもよい。また、光硬化後適当な温度に加温して熱硬化により後処理を行ってもよい。
好ましい溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、PGMEAなどが挙げられる。上記溶媒は1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
なお、重合時の溶媒の使用割合を限定することにあまり意味はなく、重合効率、溶媒コスト、エネルギーコストなどを考慮して、個々のケースごとに決定すればよい。
<その他>
放熱部材用組成物には取扱いを容易にするために、安定剤を添加してもよい。このような安定剤としては、公知のものを制限なく使用でき、例えば、ハイドロキノン、4−エトキシフェノールおよび3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)などが挙げられる。
さらに、機械的強度をさらに増すために添加剤を添加してもよい。例えば、ガラス、カーボンファイバーなどの無機繊維やクロス、または高分子添加剤として、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどの繊維または長分子を挙げることができる。
[製造方法]
以下、放熱部材用組成物を製造する方法、および放熱部材用組成物から放熱部材を製造する方法について具体的に説明する。以下では、無機フィラー間の結合に2官能以上の重合性化合物を含む場合を説明しているが、2官能以上の重合性化合物を含まない場合(カップリング剤同士を直接結合させる)も同様の方法で製造することができる。
<放熱部材用組成物を製造する>
第1、第2の無機フィラー、カップリング剤、2官能以上の重合性化合物の割合は、使用する無機フィラーと結合させるカップリング剤の量に依存する。第1、第2の無機フィラーとして窒化ホウ素を用いた場合、窒化ホウ素は表面に反応基がなく側面にのみ反応基が存在する。その少ない反応基にカップリング剤を結合させ、その反応基の数と同数か少し多い重合性化合物を結合させることが好ましい。
・カップリング処理を施す
第1の無機フィラーを第1のカップリング剤で処理し、第1の無機フィラーと第1のカップリング剤の一端とを結合させたものを修飾フィラーAとする。カップリング処理は、公知の方法を用いることができる。
一例として、まず無機フィラーとカップリング剤を溶媒に加える。スターラー等を用いて撹拌した後乾燥する。溶媒乾燥後に、真空乾燥機等を用いて真空条件下で加熱処理をする。この無機フィラーに溶媒を加えて、超音波処理により粉砕する。遠心分離機を用いてこの溶液を分離精製する。上澄みを捨てた後、溶媒を加えて同様の操作を数回行う。オーブンを用いて精製後のカップリング処理を施した無機フィラー(修飾フィラーA)を乾燥させる。
同様に、第3の無機フィラーを第3のカップリング剤で処理したものを修飾フィラーC(第3のカップリング剤は、第1のカップリング剤と同じであってもよく、異なってもよい)とする。
・重合性化合物で修飾する
第2のカップリング剤で処理した第2の無機フィラー(上記修飾フィラーAと同じであってもよく、異なってもよい)の、第2のカップリング剤の他端に2官能以上の重合性化合物を結合させる。このように重合性化合物で修飾したフィラーを修飾フィラーBとする。
一例として、カップリング処理された無機フィラーと重合性化合物を、メノウ乳鉢等を用いて混合した後、2軸ロール等を用いて混練する。その後、超音波処理および遠心分離によって分離精製する。
・混合する
修飾フィラーA、修飾フィラーB、修飾フィラーCを、例えば第1の無機フィラーと第2の無機フィラー(修飾なし)の重量比が1:1になるように量り取り、メノウ乳鉢等で混合する。その後2軸ロール等を用いて混合し、放熱部材用組成物を得る。
第1の無機フィラーと第2の無機フィラーのみの混合割合(重量比)は、修飾フィラーAと修飾フィラーBの結合を形成する結合基がそれぞれアミノ:エポキシの場合、例えば、1:1〜1:30であることが好ましく、より好ましくは1:3〜1:20である。混合割合は、修飾フィラーAと修飾フィラーBの結合を形成する末端の結合基の数により決定し、例えば2級アミノであれば2個のオキシラニル基と反応できるため、オキシラニル基側に比べて少量でよい。また、オキシラニル基側は開環してしまっている可能性もあるためエポキシ当量から計算される量より多めに使用することが好ましい。
第3の無機フィラーのみ(カップリング剤等を含まない)の混合割合は、第1の無機フィラー、第2の無機フィラー、第3の無機フィラーの総量100質量%に対して、1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは5〜40質量%である。1質量%以上であると、高い可視光の反射率を得ることができ、50質量%以下であると、高反射率と高熱伝導性を両立させた放熱部材を得ることができる。
<放熱部材を製造する>
一例として、放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法を説明する。放熱部材用組成物を、圧縮成形機を用いて加熱板中にはさみ、圧縮成形により硬化成形する。さらに、オーブン等を用いて後硬化を行い、本発明の放熱部材を得る。なお、圧縮成形時の圧力は、50〜200kgf/cmが好ましく、より好ましくは70〜180kgf/cmである。硬化時の圧力は基本的には高い方が好ましい。しかし、金型の流動性や、目的とする物性(どちら向きの熱伝導率を重視するかなど)によって適宜変更し、適切な圧力を加えることが好ましい。
以下、溶媒を含有する放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法について具体的に説明する。
まず、基板上に放熱部材用組成物を塗布し、溶媒を乾燥除去して膜厚の均一な塗膜層を形成する。塗布方法としては、例えば、スピンコート、ロールコート、カーテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート、ディップコート、スプレーコート、メニスカスコート法などが挙げられる。
溶媒の乾燥除去は、例えば、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどにより行うことができる。溶媒除去の条件は特に限定されず、溶媒がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。
上記基板としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、などの金属基板;シリコン、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛などの無機半導体基板;アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板、アルミナ、窒化アルミニウムなどの無機絶縁基板;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロースもしくはその部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン樹脂などのプラスティックフィルム基板などが挙げられる。
上記フィルム基板は、一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであってもよい。上記フィルム基板は、事前に鹸化処理、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施してもよい。なお、これらのフィルム基板上には、上記放熱部材用組成物に含まれる溶媒に侵されないような保護層を形成してもよい。保護層として用いられる材料としては、例えばポリビニルアルコールが挙げられる。さらに、保護層と基板の密着性を高めるためにアンカーコート層を形成させてもよい。このようなアンカーコート層は保護層と基板の密着性を高めるものであれば、無機系および有機系のいずれの材料であってもよい。
熱重合により放熱部材用組成物を硬化させる条件としては、熱硬化温度が、室温〜350℃、好ましくは室温〜250℃、より好ましくは50℃〜200℃の範囲であり、硬化時間は、5秒〜50時間、好ましくは1分〜30時間、より好ましくは5分〜20時間の範囲である。重合後は、応力ひずみなど抑制するために徐冷することが好ましい。また、再加熱処理を行い、ひずみなどを緩和させてもよい。
<互いに結合可能な基>
カップリング剤と2官能以上の重合性化合物との結合、または、カップリング剤同士の結合は、互いに結合可能な基の組合せであればよく特に限定されない。結合が形成できる限り、異なるものの組合せでもよく、同一のものの組合せでもよい。例えば、一方がアミノ基を有し他方がエポキシ基を有する組合せであってもよい。
このように、互いに結合可能な基の組合せとしては、オキシラニル基とアミノ基、ビニル基同士、メタクリロキシ基同士、カルボキシ基またはカルボン酸無水物残基とアミノ基、イミダゾール基とオキシラニル基、ヒドロキシ基とオキシラニル基等の組合せを挙げることができるが、これらに限られない。耐熱性の高い組合せがより好ましい。
また、2官能以上の重合性化合物は異なる官能基を有してもよい。例えば、第1の無機フィラーを、アミノ基を有する第1のシランカップリング剤でカップリング処理する。次に、ビニル基を有する第2のシランカップリング剤を、末端にビニル基とエポキシ基をそれぞれ有する重合性化合物で修飾した後、第2のシランカップリング剤で第2の無機フィラーをカップリング処理する。硬化処理時には、第1のカップリング剤のアミノ基と、重合性化合物が有するエポキシ基とが結合する。
[可視光反射性放熱部材]
本発明の第3の実施の形態に係る可視光反射性放熱部材は、上記第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る放熱部材用組成物を硬化させた硬化物を用途に応じて成形したものである。この硬化物は、高い熱伝導性を有するとともに、熱膨張率が負かまたは非常に小さい正であり、化学的安定性、耐熱性、硬度および機械的強度などに優れている。その上に、さらに優れた可視光反射性を有する。なお、前記機械的強度とは、ヤング率、引っ張り強度、引き裂き強度、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度などである。
本発明の可視光反射性放熱部材は、上記放熱部材用組成物から形成され、シート、フィルム、薄膜、繊維、成形体などの形状で使用する。好ましい形状は、板、シート、フィルムおよび薄膜である。なお、本明細書における放熱部材の厚みは2μm以上であり、好ましくは5μm〜5mm、より好ましくは10μm〜2mmであり、さらに好ましくは、20μm〜1mmである。厚みは、用途に応じて適宜変更すればよい。
本発明の可視光反射性放熱部材は、例えば、放熱基板、放熱板(面状ヒートシンク)、放熱シート、放熱フィルム、放熱塗膜、放熱接着材、放熱成形品などに適している。
[発光デバイス]
本発明の第4の実施の形態に係る発光デバイスは、基板と;前記基板上に実装された発光チップと;前記基板上の前記発光チップを囲む反射枠であって、本発明の可視光反射性放熱部材により形成された反射枠と;を備える。例えば、発光デバイスとしてのLEDパッケージは、樹脂製の外枠を備え、その内部に発光チップとしてのLED素子が搭載される。外枠に囲まれたLED素子は封止樹脂で封止される。この外枠を本発明の可視光反射性放熱部材で形成することにより、優れた可視光反射性によりLED素子の光を有効に利用できるとともに、LED素子が発する熱を効果的に放熱することができる。
[発光装置]
本発明の第5の実施の形態に係る発光装置は、上記発光デバイスを複数備える発光装置である。具体的には、照明装置の他、電子掲示板、大型映像装置、信号機、電子写真式プリンター内部の感光用光源、光通信用光源、センサ用光源等を挙げることができる。このように、LED素子が搭載される装置であれば、本発明の可視光反射性放熱部材を用いることにより、LED素子の光を有効に利用しながらLED素子の熱を効果的に放熱することができる。
以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
本発明の実施例に用いた、放熱部材を構成する成分材料は次のとおりである。
<無機フィラー>
・窒化ホウ素:h−BN粒子、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製、(商品名)PolarTherm PTX−25
・酸化チタン:レジノカラー工業(株)製、(商品名)ホワイトDCF−T−17050
・酸化亜鉛:パナソニック(株)製、(商品名)パナテトラ WZ−0511
・シリカ:デンカ(株)製、(商品名)FB−950
<シランカップリング剤>
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:JNC(株)製、(商品名)サイラエース(登録商標)S510
[化29]
Figure 2019194221
<重合性化合物>
・4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノール:和光純薬工業(株)製、(慣用名)ビスフェノールA
[化30]
Figure 2019194221
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂:三菱ケミカル(株)製、(商品名)jER807
・酸無水物:新日本理化(株)製、(商品名)リカシッドBT100
<硬化促進剤>
・2−フェニル−4−メチル−1H−イミダゾール:四国化成工業(株)製、(商品名)キュアゾール2P4MZ
[化31]
Figure 2019194221
・2−エチル−4−メチル−1H−イミダゾール:和光純薬工業(株)製、(一般名)2−エチル−4−メチル−イミダゾール
[化32]
Figure 2019194221
<定義>
以下の実施例では、第1のカップリング剤と結合した状態の第1の無機フィラーを修飾フィラーA(窒化ホウ素にシランカップリング剤を修飾したもの)とする。第3のカップリング剤と結合した状態の第3の無機フィラーを修飾フィラーC(酸化チタンにシランカップリング剤を修飾したもの)とする。
第2のカップリング剤と結合した第2の無機フィラーであって、さらに2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物の1のヒドロキシ基が前記第2のカップリング剤の他端と結合した状態の第2の無機フィラーを修飾フィラーB(窒化ホウ素に、シランカップリング剤および重合性化合物を修飾したもの)とする。
硬化により、前記第1のカップリング剤の他端が、前記2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物の他のヒドロキシ基と結合した状態のものを放熱部材とする。
<実施例1>
・修飾フィラーAおよび修飾フィラーCの作製工程
シランカップリング剤(サイラエースS510)1.5gを純水150mLに加え、スターラーを用いて500rpmで15時間攪拌した。次いで、窒化ホウ素粒子(PolarTherm PTX−25)15gを溶液に投入し、スターラーを用いて500rpmで1時間攪拌し、得られた混合物を50℃で6時間乾燥した。さらに、溶媒乾燥後に80℃に設定した真空オーブンを用いて、真空条件下で5時間加熱処理をした。得られた粒子を修飾フィラーA(BN−S510)とした。
さらに、シランカップリング剤(サイラエースS510)0.3gをメタノール45gに加え、スターラーを用いて500rpmで15時間攪拌し、メタノールとシランカップリング剤の混合溶液を得た。次いで、酸化チタン(レジノカラー工業(株)製ホワイトDCF−T−17050)7.5gを純水45mLに投入した後、スターラーを用いて500rpmで攪拌しながら、前記メタノールとシランカップリング剤の混合溶液をそこに投入した。得られた分散液を1時間攪拌し、得られた混合物を50℃で6時間乾燥した。さらに、溶媒乾燥後に80℃に設定した真空オーブンを用いて、真空条件下で5時間加熱処理をした。得られた粒子を修飾フィラーC(TiO2−S510)とした。
・修飾フィラーBの作製工程
修飾フィラーA(BN−S510)粒子2gと、重合性化合物(ビスフェノールA)3.96g、硬化促進剤(キュアゾール2P4MZ)40mgを量り取り、これらを2本ロール((株)井元製作所製IMC−AE00型)を用いて160℃で10分間混合した。この重量比は修飾フィラーA粒子が有するエポキシ基が十分に反応するフェノール基の個数並びに2本ロール上で双方が十分に練り合わせられる量である。得られた混合物をテトラヒドロフラン45mLに加え、十分攪拌した後、遠心分離機(日立工機(株)製高速冷却遠心機CR22N形、4,000回転×10分×25℃)で不溶分を沈降させ、デカンテーションで未反応の重合性化合物が溶解した分を含む溶液を取り除いた。続いて、アセトン45mLを加え、前述と同様の操作を行った。さらに、テトラヒドロフラン、アセトンの順に同様の操作を繰り返した。不溶分を乾燥して得られた粒子を修飾フィラーBとした。
・放熱部材の作製工程
修飾フィラーA(BN−S510)548mgと、修飾フィラーC(TiO−S510)150mgと、修飾フィラーB391mgと、硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール)10mgをアセトン2mLに溶かした溶液51μLを量り取って混合した。得られた混合物をステンレス製板中に挟み、150℃に設定した圧縮成形機((株)井元製作所製IMC−19EC)を用いて30MPaまで加圧し、10分間加熱状態を続けることで、前硬化を行った。すなわちBN粒子は板状粒子であるため、ステンレス板の間を混合物が広がる際に、粒子とステンレス板が平行になるように配向する。また、試料の厚みが約760μmになるように、試料の量を調整した。さらに、150℃に設定した真空オーブン(ヤマト科学(株)製DP300)を用いて、真空条件下で15時間の後硬化を行った。この操作で得られた試料を放熱部材とした。
<評価>
・熱重量(TG)測定
修飾フィラーA、修飾フィラーB、修飾フィラーCおよび放熱部材の、重合性化合物またはシランカップリング剤の無機フィラーに対する被覆量は、熱重量・示差熱測定装置((株)リガク製TG−8121)を用いて、その900℃における加熱減量から算出した。
また、放熱部材の5%重量減少温度は、前記の測定装置を用いて、140℃から900℃への減少量を100重量%とした際の5重量%減少した時の温度から算出した。
・分光色彩測定
放熱部材のCIELAB値は、日本電色工業(株)製分光色彩計SD7000型により、正反射成分を除く(SCE)処理を行って測定した。
・反射率測定
放熱部材の反射率は、(株)島津製作所製紫外可視分光光度計UV−2450型、および絶対鏡面反射率測定装置ASR3105型を用いた鏡面反射+拡散反射スペクトル(SCI)測定を行い、波長450nmでの反射率を比較した。
・熱伝導率評価
熱伝導率は、予め放熱部材の比熱((株)リガク製DSC型高感度示差走査熱量計Thermo Plus EVO2 DSC−8231で測定した)と比重(新光電子(株)製比電子はかり式比重計DME−220により測定した)を求めておき、その値を(株)アイフェイズ製ai−Phase Mobile 1u熱拡散率測定装置により求めた熱拡散率を掛け合わせることにより厚み方向の熱伝導率を求めた。
・熱膨張率評価
得られた試料から幅4mmの試験片を切り出し、熱膨張率(SII(株)TMA−SS6100熱機械分析装置で測定した)を、50〜200℃の範囲で求めた。試験片の長さは、測定する試料の形状により適宜調整した。
<実施例2>
実施例2では、修飾フィラーA(BN−S510)343mgと、修飾フィラーC(TiO−S510)333mgと、修飾フィラーB434mgと、2−エチル−4−メチルイミダゾール10mgをアセトン2mLに溶かした溶液51μLを量り取って混合したほかは、実施例1と同様の操作で放熱部材を作製した。
<実施例3>
実施例3では、実施例1と同様の手順で作製した修飾フィラーA(BN−S510)459mgと、修飾フィラーB294mgと、カップリング剤を修飾していない酸化チタン(ホワイトDCF−T−17050)322mgと、2−エチル−4−メチルイミダゾール10mgをアセトン2mLに溶かした溶液30μLを量り取って混合したほかは、実施例1と同様の操作で放熱部材を作製した。
<実施例4>
実施例4の修飾フィラーA(BN−S510)作製工程では、サイラエースS510の投入量を3.0gとしたほかは、実施例1と同様の操作で、修飾フィラーA(BN−S510)を得た。
実施例4の修飾フィラーB作製工程では、上記修飾フィラーAを用いたほかは、実施例1と同様の操作で修飾フィラーBを得た。
実施例4の放熱部材作製工程では、上記修飾フィラーA(BN−S510)810mgと、修飾フィラーB709mgと、実施例1と同様の手順で作製した修飾フィラーC(TiO−S510)651mgと、2−エチル−4−メチルイミダゾール20mgをアセトン2mLに溶かした溶液を39μL量り取ったほかは、実施例1と同様の操作で放熱部材を作製した。
<実施例5>
実施例5の修飾フィラーC(TiO−S510)作製工程では、サイラエースS510の投入量を0.68gとしたほかは、実施例1と同様の操作で修飾フィラーC(TiO−S510)を作製した。
実施例5の放熱部材作製工程では、実施例4と同様の手順で作製した修飾フィラーA(BN−S510)459mgと、修飾フィラーB370mgと、上記修飾フィラーC(TiO−S510)146mgと、2−エチル−4−メチルイミダゾール20mgをアセトン2mLに溶かした溶液を39μL量り取ったほかは、実施例5と同様の操作で放熱部材を作製した。
<実施例6>
実施例6の放熱部材作製工程では、実施例5と同様の操作で作製した修飾フィラーA(BN−S510)345mgと、修飾フィラーC(TiO−S510)326mgと、修飾フィラーB415mgと、2−エチル−4−メチルイミダゾール20mgをアセトン2mLに溶かした溶液を43μL量り取ったほかは、実施例5と同様の操作で放熱部材を作製した。
<比較例1>
比較例1の放熱部材作製工程では、実施例1と同様の手順で作製した修飾フィラーA(BN−S510)548mgと、修飾フィラーB352gと、2−エチル−4−メチルイミダゾール10mgをアセトン2mLに溶かした溶液を51μL量り取ったほかは、実施例1と同様の操作で放熱部材を作製した。
<比較例2>
比較例2の修飾フィラーA(BN−S510)作製工程では、実施例4と同様の手順で作製した修飾フィラーA(BN−S510)735mgと、修飾フィラーB525mgと、2−エチル−4−メチルイミダゾール10mgをアセトン2mLに溶かした溶液を50μL量り取ったほかは、実施例1と同様の操作で放熱部材を作製した。
<比較例3>
エポキシ(jER807)を100mg、酸無水物(リカシッドBT100)を80mg、酸化チタン(ホワイトDCF−T−17050)を250mg、酸化亜鉛(パナテトラ WZ−0511)を40mg、シリカ(FB950)を700mgそれぞれ量りとり、これらを90℃に設定したホットプレート上の容器内にて10分間よくかき混ぜた。この混合物を冷却後、乳鉢を用いて粉砕した。得られた粉砕後の混合物をステンレス製板中に挟み、180℃に設定した圧縮成形機((株)井元製作所製IMC−19EC)を用いて40MPaまで加圧し、30分間加熱状態を続けた。この操作で得られた試料を放熱部材とした。
実施例1〜6、比較例1〜3の作製に用いた修飾フィラーA、修飾フィラーB、修飾フィラーCの熱重量減少量(TG)、作製した放熱部材のTG、および放熱部材の作製に用いた無機フィラー中のTiOの割合を表1に示す。
[表1]
Figure 2019194221
実施例1〜6、比較例1〜3の分光色彩、および反射率を表2に示す。
[表2]
Figure 2019194221
実施例1〜6、比較例1〜3の放熱部材の5%重量減少温度、厚み方向の熱伝導率、熱膨張率を表3、図4〜12に示す。
[表3]
Figure 2019194221
表2において、実施例1〜6を比較例1〜3と比較すると、明度L*が高いほど色相を反映することができるため好ましい。また、無機フィラーとして窒化ホウ素のみを用いた比較例1〜2の反射率が90%を下回ったのに対し、可視光反射性の無機フィラーとして酸化チタンを添加した実施例1〜6は、いずれも90%以上の反射率を示した。表3において、比較例3が酸化チタンに由来する高い反射率を示す一方で1W/m・Kという低い熱伝導率を示すのに対し、実施例1〜6では窒化ホウ素と窒化ホウ素がカップリング剤と重合性化合物を介して共有結合で結ばれることで高い熱伝導率が発現している。加えて、実施例1〜2、実施例4〜6では、窒化ホウ素と酸化チタンとがカップリング剤と重合性化合物を介して共有結合で結ばれることにより、より高い熱伝導性が発現している。実施例1〜6の熱膨張率は、負の熱膨張率から約8ppm/Kを示しており、他の部材との熱膨張率差が少なくなるよう、用途に応じて適切な熱膨張率の放熱部材を使用することが有効である。これらの結果を鑑みると、本発明の可視光反射性放熱部材は高熱伝導率な可視光反射熱膨張制御材料として使用できることがわかる。
本明細書中で引用する刊行物、特許出願および特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照により組み込む、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ程度で、参照によりここに組み込む。
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞および同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限定されない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを予期しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。したがって本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
1 第1の無機フィラー
2 第2の無機フィラー
3 第3の無機フィラー
11 第1のカップリング剤
12 第2のカップリング剤
13 第3のカップリング剤
22 重合性化合物

Claims (15)

  1. 第1のカップリング剤と;
    前記第1のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラーと;
    第2のカップリング剤と;
    前記第2のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラーと;
    2官能以上の重合性化合物であって、1の官能基が前記第2のカップリング剤の他端と結合した重合性化合物と:
    可視光反射性の第3の無機フィラーと;を含み、
    前記第1のカップリング剤と前記重合性化合物は、互いに結合可能な基をそれぞれ有し、
    前記第3の無機フィラーの平均粒径は、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーの平均粒径よりも小さく、
    前記第3の無機フィラーは、前記第1の無機フィラー、前記第2の無機フィラー、前記第3の無機フィラーの総量に対する割合が、1〜50質量%である、
    放熱部材用組成物。
  2. 第3のカップリング剤;をさらに備え、
    前記第3の無機フィラーは、前記第3のカップリング剤の一端との結合を有し、
    前記第3のカップリング剤と前記重合性化合物は、互いに結合可能な基をそれぞれ有する、
    請求項1に記載の放熱部材用組成物。
  3. 第1のカップリング剤と;
    前記第1のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラーと;
    第2のカップリング剤と;
    前記第2のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラーと;
    可視光反射性の第3の無機フィラーと;を含み、
    前記第1のカップリング剤と前記第2のカップリング剤は、互いに結合可能な基をそれぞれ有し、
    前記第3の無機フィラーの平均粒径は、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーの平均粒径よりも小さく、
    前記第3の無機フィラーは、前記第1の無機フィラー、前記第2の無機フィラー、および前記第3の無機フィラーの総量に対する割合が、1〜50質量%である、
    放熱部材用組成物。
  4. 第3のカップリング剤;をさらに備え、
    前記第3の無機フィラーは、前記第3のカップリング剤の一端との結合を有し、
    前記第3のカップリング剤と前記第2のカップリング剤は、互いに結合可能な基をそれぞれ有する、
    請求項3に記載の放熱部材用組成物。
  5. 前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーの平均粒径は、0.1〜500μmであり、
    前記第3の無機フィラーの平均粒径は、0.01〜50μmである、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  6. 前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーは、それぞれ独立して、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ジルコニア、ダイヤモンド、アルミナ、およびコーディエライトから選ばれる少なくとも一つである、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  7. 前記第3の無機フィラーは、酸化チタン、シリカ、アルミナ、および酸化亜鉛から選ばれる少なくとも一つである、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  8. 前記第1の無機フィラー、前記第2の無機フィラー、および前記第3の無機フィラーに結合していない、有機化合物、高分子化合物、または、無機化合物をさらに含む、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  9. 前記第1のカップリング剤、前記第2のカップリング剤、前記第3のカップリング剤は、それぞれ独立して、下記式(6)で表されるシランカップリング剤である、
    請求項2または請求項4に記載の放熱部材用組成物。
    (R−O)−Si(R3−j−(R−(R−(R
    −Ry (6)
    [上記式(6)中、
    は、H−、またはCH−(CH0〜4−であり;
    は、−(CH0〜3−O−であり;
    は、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,7−ジイルであり;
    は、−(NH)0〜1−(CH0〜3−であり;
    は、H−、またはCH−(CH0〜7−であり;
    Ryは、オキシラニル、オキセタニル、アミノ、ビニル、カルボン酸無水物残基、またはこれらの構造を含むいずれかの重合性基であり;
    jは、0〜3の整数であり;
    kは、0〜1の整数であり;
    mは、0〜1の整数であり;
    nは、0〜1の整数であり;
    式(6)は、RとRの少なくとも1つを含む。]
  10. カップリング剤と結合する前の前記重合性化合物は、下記式(1)で表される2官能以上の重合性非液晶化合物の少なくとも1種である、
    請求項1または請求項2に記載の放熱部材用組成物。
    −R−O−(Rx)−O−R11−R (1)
    [上記式(1)中、
    は、それぞれ独立して、下記式(1−1)〜(1−2)、アミノ、ビニル、カルボン酸無水物残基、またはこれらの構造を含むいずれかの重合性基であり;
    Rxは、下記式(1−3)〜(1−6)のいずれかであり;
    nは、1〜3の整数であり;
    、R11は、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20のアルキレンである。]
    [化1]
    Figure 2019194221
    [式(1−1)〜(1−2)中、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、−CF、または炭素数1〜5のアルキルであり、qは0または1である。]
    [化2]
    Figure 2019194221
    [式(1−4)〜(1−6)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1〜20のアルキレンである。]
  11. カップリング剤と結合する前の前記重合性化合物は、下記式(2)で表される2官能以上の重合性液晶化合物の少なくとも1種である、
    請求項1または請求項2に記載の放熱部材用組成物。
    Ra−Z−(A−Z)m−Ra (2)
    [前記式(2)中、
    Raは、それぞれ独立して、第1のカップリング剤、第2のカップリング剤、または、第3のカップリング剤の他端と結合可能な基であり;
    Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイルであり、
    これらの環において、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
    該アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;
    Zは、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
    該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
    mは、1〜6の整数である。]
  12. カップリング剤と結合する前の前記重合性化合物は、下記式(3)または(4)で表される2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性非液晶化合物の少なくとも1種である、
    請求項1または請求項2に記載の放熱部材用組成物。
    [化3]
    Figure 2019194221
    [上記式(3)中、
    およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1〜3のアルキルであり;
    mは2〜4の整数であり、nは1〜3の整数であり、pは2〜4の整数であり、qは1〜3の整数であり、m+n=5であり、p+q=5であり;
    Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルであり、
    炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の水素は−CHで置き換えられてもよく、
    シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
    任意の水素と置き換えられたアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
    、Zは、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
    該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。]
    [上記式(4)中、
    xは2以上の整数であり;
    環Bは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、アダマンタン、またはビアダマンタンであり、
    環Bにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
    環Bの炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。]
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物の硬化物である、
    可視光反射性放熱部材。
  14. 基板と;
    前記基板上に実装された発光チップと;
    前記基板上の前記発光チップを囲む反射枠であって、請求項13に記載の可視光反射性放熱部材により形成された反射枠と;を備える、
    発光デバイス。
  15. 請求項14に記載の発光デバイスを複数備える、
    発光装置。
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