JPWO2019049911A1 - 放熱部材用組成物、放熱部材、電子機器、放熱部材の製造方法 - Google Patents

放熱部材用組成物、放熱部材、電子機器、放熱部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、高熱伝導性を有し、さらに高耐熱性、低吸湿性を有する放熱部材を形成可能な組成物および放熱部材である。本発明の放熱部材用組成物は、第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と;第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2と;2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22と;を含有し、硬化処理により、第1の無機フィラー1と第2の無機フィラー2が、第1のカップリング剤11、重合性化合物22、第2のカップリング剤12を介して結合した放熱部材を形成可能な組成物である。

Description

本発明は、放熱部材用組成物に関する。特に、電子機器内部に生じた熱を効率よく伝導、伝達することにより放熱し、耐熱性に優れ、同時に吸湿性を抑制した放熱部材を形成可能な放熱部材用組成物に関する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電力制御用の半導体素子や、高速コンピューター用のCPUなどにおいて、内部の半導体の温度が高くなり過ぎないように、パッケージ材料の高熱伝導化が望まれている。すなわち半導体チップから発生した熱を効果的に外部に放出させる能力が重要になっている。
このような放熱問題を解決する方法としては、発熱部位に高熱伝導性材料(放熱部材)を接触させて熱を外部に導き、放熱する方法が挙げられる。熱伝導性が高い材料として、金属などの金属材料や金属酸化物などの無機材料が挙げられる。しかしながら、無機材料は、加工性や割れ易さなどに問題があり、パッケージ内の基板材料として充分な特性を持っているとはいえない。そのため、これら無機材料と樹脂とを複合化し、高熱伝導化した放熱部材の開発が行われている。しかし、複合化に用いた樹脂の吸湿性が高い場合は、吸湿・脱湿に伴う膨張・収縮による基板材料からの放熱部材の剥離や、吸湿導電による絶縁性の低下、吸湿の影響による半導体回路の腐食が生じるという問題があった。
特許文献1には、無機材料と樹脂の複合化の例として、アミノ基を持つカップリング剤で修飾した窒化ホウ素粒子と、アミノ基を持つカップリング剤で修飾した窒化ホウ素粒子であって、さらにエポキシ基を持つ重合性化合物で修飾した窒化ホウ素粒子により、窒化ホウ素粒子/カップリング剤/重合性化合物/カップリング剤/窒化ホウ素粒子の順に結合した放熱部材が開示されている。しかしながら、これらの方法によって得られる放熱部材は、熱伝導性は高いものの、耐熱性および低吸湿性が十分ではないことがある。
国際公開第2016/031888号
上記のとおり、放熱部材は、電子機器の発達に伴い、常により高い熱伝導性が望まれる。同時に、放熱温度の上昇に伴いより高い耐熱性、および、湿度の影響による影響を抑制するための低吸湿性が必要となる。
そこで本発明は、高熱伝導性を有し、さらに高耐熱性、低吸湿性をも有する放熱部材を形成可能な組成物および放熱部材を提供することを課題とする。
本発明者らは、有機材料と無機材料の複合化において、カップリング剤と2官能以上の反応性有機化合物を介して無機材料を結合させ、無機材料同士をカップリング剤と有機化合物でつなげるような態様で放熱部材を形成する場合に、有機化合物に2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物を用いることにより、熱伝導性が極めて高く、高耐熱性および低吸湿性を有する複合材を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様に係る放熱部材用組成物は、第1のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラーと;第2のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラーと;2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物と;を含有する。
例えば図1に示すように、第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と、第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2とを含み、硬化処理により、前記第1のカップリング剤11の他端と前記第2のカップリング剤12の他端がそれぞれ2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22に結合し放熱部材となる。「一端」および「他端」とは、分子の形状の縁または端であればよく、分子の長辺の両端であってもなくてもよい。
このように構成すると、無機フィラー同士をカップリング剤および重合性化合物を介して結合させて放熱部材を形成することができる組成物となる。硬化後の放熱部材は、直接的に、熱伝導の主な要素であるフォノンを伝播することができ、水平方向だけでなく厚み方向にも極めて高い熱伝導性を有することができる。さらに、2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物を用いることにより、硬化後の放熱部材は耐熱性を著しく向上させると同時に、吸湿性を抑制することができる。
本発明の第2の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第2のカップリング剤の他端が、前記2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物の一つのヒドロキシ基と結合した、組成物である。
例えば図2に示すように、第2のカップリング剤12の一端と結合した第2の無機フィラー2は、第2のカップリング剤12の他端が2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22と結合している。
このように構成すると、無機フィラー同士をカップリング剤および重合性化合物を介して結合させて放熱部材を形成することが容易にできる。
本発明の第3の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱部材用組成物において、前記重合性化合物が、下記式(1)または(2)で表される少なくとも1つの重合性化合物である。
Figure 2019049911
[上記式(1)中、
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1〜3のアルキルであり;
mは2〜4の整数であり、nは1〜3の整数であり、pは2〜4の整数であり、qは1〜3の整数であり、m+n=5であり、p+q=5であり;
Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルであり、
炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の水素は−CHで置き換えられてもよく、
シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
任意の水素と置き換えられたアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
、Zは、それぞれ独立して単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。]
[上記式(2)中、
xは2以上の整数であり;
環Bは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、アダマンタン、またはビアダマンタンであり、
環Bにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
環Bの炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。]
アダマンタンジイルとは、例えばアダマンタン−1,2−ジイル基、アダマンタン−1,3−ジイル基等の、アダマンタンの任意の二個の環炭素原子からそれぞれ一個の水素原子を除去することにより生成される二価基をいう。同様に、ビアダマンタンジイルとは、ビアダマンタンの任意の二個の環炭素原子からそれぞれ一個の水素原子を除去することにより生成される二価基をいう。
このように構成すると、2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物のうち特に好ましい化合物を用いて、放熱部材用組成物を構成することができる。これらの化合物は、熱硬化性でありフィラーの量に影響を受けずに硬化させることができる。また分子構造は、対称性、直線性を有するため、フォノンの伝導に有利であると考えられる。
本発明の第4の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第3の態様に係る放熱部材用組成物において、
上記式(1)で表される少なくとも1つの重合性化合物であって、
上記式(1)中、
Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、フェニレン、または任意の水素がハロゲンもしくはメチル基で置き換えられたフェニレンであり;
、Zは、それぞれ独立して単結合、−(CH−、−O−、−O(CH−、−(CHO−、−O(CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−OCF−または−CFO−であり、該aが1〜20の整数である。
このように構成すると、上記式(1)の重合性化合物として特に好ましい化合物を用いて、放熱部材用組成物を構成することができる。芳香族構造を導入すると耐熱性や熱伝導性を向上させることが、アルキレンや−O−などの結合を導入すると柔軟性の向上や低融点化により反応性を向上させることができる。このため、これらの化合物は、物性、作り易さ、または扱い易さに優れるため好ましい。
本発明の第5の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第3の態様に係る放熱部材用組成物において、
上記式(2)で表される少なくとも1つの重合性化合物であって、
上記式(2)中、
環Bは、ベンゼン、ナフタレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、またはアダマンタンである。
このように構成すると、上記式(2)の重合性化合物として特に好ましい化合物を用いて、放熱部材用組成物を構成することができる。これらの化合物は、剛直な構造を有すると同時に、融点が260℃以下であるため、物性、作り易さ、または扱い易さに優れるため好ましい。
本発明の第6の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第5の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーが、それぞれ、酸化物、窒化物、または炭素材料である。
このように構成すると、放熱部材用組成物は、無機フィラーとしてより好ましい化合物を含有することができる。
本発明の第7の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第6の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーが、それぞれ、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、コーディエライト、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素炭素、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブから選ばれる少なくとも一つである。
このように構成すると、無機フィラーの熱伝導率が高く、熱膨張率が非常に小さいかまたは負である放熱部材用組成物が得られる。
本発明の第8の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第7の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーと異なる熱膨張率を持つ第3の無機フィラーであって、第3のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第3の無機フィラー、または、重合性化合物が結合した第3のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第3の無機フィラーをさらに含む。
このように構成すると、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーが2次元の板状または1次元の線状である場合、それらだけを複合化させると、複合化した放熱部材用組成物の物性も大きな異方性が生じる。第3のフィラーを加えることにより、第1、第2の無機フィラーの配向性が緩和し、異方性が少なくなる利点がある。さらに、第1、第2の無機フィラーの熱膨張率が非常に小さいか負であるとき、熱膨張率が正の第3の無機フィラーを加えることにより、その混合比率によって熱膨張率を負から正により精密に制御することが可能になる。第3の無機フィラーに使用する無機フィラーに制約はないが、熱伝導率が高い無機フィラーであることが望ましい。
本発明の第9の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第8の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーに結合していない、有機化合物または高分子化合物をさらに含む。
第1、第2の無機フィラーをシランカップリング剤等を介して接続させた放熱部材では、放熱部材の熱伝導率を向上させるためにフィラーの粒径を大きくするにつれて、それにあいまって空隙率が高くなる。このように構成すると、その空隙を結合していない化合物で満たすことにより、放熱部材の熱伝導率や水蒸気遮断性能などを向上させることができる。
本発明の第10の態様に係る放熱部材は、上記本発明の第1の態様〜第9の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物の硬化物であって、例えば図1、図2に示すように、前記第1の無機フィラー1と前記第2の無機フィラー2が、前記第1のカップリング剤11、前記重合性化合物22、前記第2のカップリング剤12を介して結合した、放熱部材である。
このように構成すると、放熱部材は、無機フィラー間に結合を有し、極めて高い熱伝導性を有することができる。
本発明の第11の態様に係る電子機器は、上記本発明の第10態様に係る放熱部材において、放熱部材と;発熱部を有する電子デバイスと;を備え、前記放熱部材が前記発熱部に接触するように前記電子デバイスに配置された、電子機器である。
このように構成すると、高熱伝導性を有する放熱部材により、電子デバイスに生じた熱を効率よく伝導させることができる。また、面方向の熱膨張率を、放熱部材に取り付けた銅配線やシリコン、窒化ケイ素などの半導体素子の熱膨張率に近づけておくことにより、ヒートサイクルにより剥がれ難いデバイスが作製できる。
本発明の第12の態様に係る放熱部材の製造方法は、熱伝導性の第1の無機フィラーを、第1のカップリング剤の一端と結合させる工程と;熱伝導性の第2の無機フィラーを、第2のカップリング剤の一端と結合させる工程と;前記第2のカップリング剤の他端を、2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物の一つのヒドロキシ基と結合させる工程と;前記第1のカップリング剤の他端を、前記重合性化合物の他のヒドロキシ基と結合させる工程と;を備える。
このように構成すると、無機フィラー同士がカップリング剤および重合性化合物を介して結合し、このような態様のフィラーを含む放熱部材の製造方法となる。
本発明の放熱部材用組成物から形成された放熱部材は、高熱伝導性、高耐熱性、低吸湿性を有する。さらに、化学的安定性、硬度および機械的強度などの優れた特性をも有する。当該放熱部材は、たとえば、放熱基板、放熱板(面状ヒートシンク)、放熱シート、放熱塗膜、放熱接着剤などに適している。
放熱部材用組成物の硬化処理により、第1のカップリング剤11の他端と第2のカップリング剤12の他端が、それぞれ重合性化合物と結合することを示す概念図である。 放熱部材用組成物の硬化処理により、第1のカップリング剤11の他端が、第2のカップリング剤12に結合した重合性化合物22の他端と結合することを示す概念図である。 本発明の放熱部材において、無機フィラー同士の結合を窒化ホウ素を例として示す概念図である。 本発明の放熱部材において、無機フィラー同士の結合を球状のアルミナを例として示す平面図である。 実施例1の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 比較例4の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。
この出願は、日本国で2017年9月6日に出願された特願2017−171477号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。本発明は以下の詳細な説明によりさらに完全に理解できるであろう。本発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明により明らかとなろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、本発明の精神と範囲内で当業者にとって明らかであるからである。出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本明細書における用語の使い方は以下のとおりである。
「液晶化合物」「液晶性化合物」は、ネマチック相やスメクチック相などの液晶相を発現する化合物である。
「アルキレンにおける任意の−CH−は、−O−などで置き換えられてもよい」あるいは「任意の−CHCH−は−CH=CH−などで置き換えられてもよい」等の句の意味を下記の一例で示す。たとえば、C−における任意の−CH−が、−O−または−CH=CH−で置き換えられた基としては、CO−、CH−O−(CH−、CH−O−CH−O−などである。同様にC11−における任意の−CHCH−が、−CH=CH−で置き換えられた基としては、HC=CH−(CH−、CH−CH=CH−(CH−など、さらに任意の−CH−が−O−で置き換えられた基としては、CH−CH=CH−CH−O−などである。このように「任意の」という語は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。なお、化合物の安定性を考慮して、酸素と酸素とが隣接したCH−O−O−CH−よりも、酸素と酸素とが隣接しないCH−O−CH−O−の方が好ましい。
また、環Bに関して「任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい」等の句は、例えば1,4−フェニレンの2,3,5,6位の水素の少なくとも1つがフッ素やメチル基等の置換基で置き換えられた場合の態様を意味し、また置換基が「炭素数1〜10のハロゲン化アルキル」である場合の態様としては、2−フルオロエチル基や3−フルオロ−5−クロロヘキシル基のような例を包含する。
「化合物(1)」は、後述する下記式(1)で表される重合性化合物を意味し、また、下記式(1)で表される化合物の少なくとも1種を意味することもある。「放熱部材用組成物」は、前記化合物(1)、(2)、後述する化合物(3)または他の重合性化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有する組成物を意味する。1つの化合物(1)が複数のAを有するとき、任意の2つのAは同一でも異なっていてもよい。複数の化合物(1)がAを有するとき、任意の2つのAは同一でも異なっていてもよい。この規則は、他の記号、基などにも適用される。
[放熱部材用組成物]
本発明の放熱部材用組成物は、硬化させることにより、無機フィラー同士をカップリング剤および2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物を介して結合させて放熱部材を形成できる組成物である。図3は無機フィラーとして窒化ホウ素を用いた場合の例である。窒化ホウ素(h−BN)をカップリング剤で処理すると、窒化ホウ素の場合は粒子の平面に反応基がないため、その周囲のみにカップリング剤が結合する。カップリング剤で処理された窒化ホウ素は、重合性化合物との結合を形成できる。
したがって、図1に示すように、第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と、第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2と、2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22を含む組成物を作製し、硬化処理により、第1のカップリング剤11の他端と第2のカップリング剤12の他端をそれぞれ2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22に結合させる。
または、図2に示すように、第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と、第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2であって、第2のカップリング剤の他端がさらに2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22と結合した組成物を作製し、硬化処理により、第1のカップリング剤11の他端を2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22に結合させる。
例えば、窒化ホウ素同士を図3のように互いに結合させる。または、アルミナ同士を図4のように互いに結合させる。
このように、無機フィラー同士をカップリング剤および重合性化合物を介して結合させることにより、直接的にフォノンを伝播することができるので、硬化後の放熱部材は極めて高い熱伝導性を有する。さらに、重合性化合物として2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物を用いることにより、放熱部材の耐熱性と低吸湿性を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る放熱部材用組成物は、例えば図2に示すように、第1のカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と;第2のカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2であって、前記第2のカップリング剤12の他端が2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22の一つのヒドロキシ基と結合した第2の無機フィラー2とを含み;硬化により、前記第1のカップリング剤11の他端が、前記重合性化合物22の他のヒドロキシ基と結合する。
このようにして、無機フィラー間の結合が形成される。図3は無機フィラーとしての窒化ホウ素間の結合を示す例であり、図4は無機フィラーとしてのアルミナ間の結合を示す例である。なお、このような無機フィラー間の結合を実現することが本発明では重要であり、無機フィラーに結合させる前に、あらかじめカップリング剤と重合性化合物とを有機合成技術を用いて反応させておいてもよい。
<2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物>
2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物としては、下記式(1)または(2)で表される少なくとも1つの重合性化合物が好ましい。
Figure 2019049911
上記式(1)において、
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1〜3のアルキルであり;
mは2〜4の整数であり、nは1〜3の整数であり、pは2〜4の整数であり、qは1〜3の整数であり、m+n=5であり、p+q=5であり;
Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、またはビアダマンタンジイルであり、
炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の水素は−CHで置き換えられてもよく、
シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
任意の水素と置き換えられたアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
、Zは、それぞれ独立して単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
上記式(1)において、Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、フェニレン、または任意の水素がハロゲンもしくはメチル基で置き換えられたフェニレンであり;Z、Zは、それぞれ独立して単結合、−(CH−、−O−、−O(CH−、−(CHO−、−O(CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−OCF−または−CFO−であり、該aが1〜20の整数であることが好ましい。
特に好ましい化合物(1)の例としては、以下に示す化合物(1−1)〜(1−11)が挙げられる。
Figure 2019049911
上記式(1−1)〜(1−11)において、R、R、m、n、p、q、Z、Zは、式(1)と同一であり;R〜R63は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルである。
上記式(2)において、
xは2以上の整数であり;
環Bは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、アダマンタン、または、ビアダマンタンであり、
環Bにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
環Bの炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。
上記式(2)において、環Bは、ベンゼン、ナフタレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、またはアダマンタンであることが好ましい。
特に好ましい化合物(2)の例としては、以下に示す化合物(2−1)〜(2−10)が挙げられる。
Figure 2019049911
上記式(2−1)〜(2−10)において、xは、式(2)と同一である。上記式(2−1)〜(2−10)の環において、ヒドロキシ基の位置は任意である。
<2官能以上のヒドロキシ基を有する液晶性の重合性化合物>
2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物として、液晶性の重合性化合物を用いてもよい。
液晶性の重合性化合物としては、下記式(3)で表される液晶化合物が好ましい。化合物(3)は、液晶骨格と2官能以上のヒドロキシ基を有し、高い重合反応性、広い液晶相温度範囲、良好な混和性などを有する。この化合物(3)は他の液晶性の化合物や重合性の化合物などと混合するとき、均一になりやすい。
Figure 2019049911
上記式(3)において、sは0〜4の整数であり、tは1以上の整数であり、uは1以上の整数である。
上記化合物(3)の環Cおよび結合基W、結合基Yを適宜選択することによって、液晶相発現領域などの物性を任意に調整することができる。環C、結合基Wおよび結合基Yの種類が、化合物(3)の物性に与える効果、ならびに、これらの好ましい例を以下に説明する。
・結合基Y
上記式(3)において、結合基Yは、独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレン、好ましくは炭素数1〜10のアルキレンを示し、炭素数2〜20の該アルキレンにおいて、ヒドロキシ基と結合していない任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。Yが直鎖状アルキレンである場合、液晶相の温度範囲が広く、かつ粘度が小さい。一方、Yが分岐状アルキレンである場合、他の液晶性の化合物との相溶性がよい。
・環C
上記化合物(3)の環Cにおける少なくとも1つの環が1,4−フェニレンの場合、配向秩序パラメーター(orientationalorder parameter)および磁化異方性が大きい。また、少なくとも2つの環が1,4−フェニレンの場合、液晶相の温度範囲が広く、さらに透明点が高い。1,4−フェニレン環上の少なくとも1つの水素がシアノ、ハロゲン、−CFまたは−OCFに置換された場合、誘電率異方性が高い。また、少なくとも2つの環が1,4−シクロヘキシレンである場合、透明点が高く、かつ粘度が小さい。
上記式(3)において、好ましい環Cとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、2,2−ジフルオロ−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、9−メチルフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル、9−エチルフルオレン−2,7−ジイル、9−フルオロフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジフルオロフルオレン−2,7−ジイルなどが挙げられる。
1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置は、シスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンおよび3−フルオロ−1,4−フェニレンは構造的に同一であるので、後者は例示していない。この規則は、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンと3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンとの関係などにも適用される。
上記式(3)において、さらに好ましいCとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンなどである。特に好ましいAは、1,4−シクロへキシレンおよび1,4−フェニレンである。
・結合基W
上記化合物(3)の結合基Wが、単結合、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH−である場合、特に、単結合、−(CH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または−(CH−である場合、粘度が小さくなる。また、結合基Wが、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−または−CF=CF−である場合、液晶相の温度範囲が広い。また、結合基Wが、炭素数4〜10程度のアルキレンの場合、融点が低下する。
上記式(3)において、好ましい結合基Wとしては、単結合、−(CH−、−(CF−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−などが挙げられる。
上記式(3)において、さらに好ましい結合基Wとしては、単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−C≡C−などが挙げられる。特に好ましい結合基Wとしては、単結合、−(CH−、−COO−または−OCO−である。
上記化合物(3)が3つ以下の環を有するときは粘度が低く、3つ以上の環を有するときは透明点が高い。
上記化合物(3)は、光学活性であってもよいし、光学的に不活性でもよい。化合物(3)が光学活性である場合、化合物(3)は不斉炭素を有する場合と軸不斉を有する場合がある。不斉炭素の立体配置はRでもSでもよい。不斉炭素は、環C、結合基W、結合基Yのいずれに位置していてもよく、不斉炭素を有すると、化合物(3)の相溶性がよい。化合物(3)が軸不斉を有する場合、ねじれ誘起力が大きい。また、施光性はいずれでも構わない。
以上のように、環C、結合基W、結合基Yの種類、環の数を適宜選択することにより、目的の物性を有する化合物を得ることができる。
上記化合物(3)の好ましい化合物として、具体例(f−1−1)〜(f−14−2)を以下に示す。
Figure 2019049911
Figure 2019049911
Figure 2019049911
・化合物(1)、(2)、(3)の合成方法
上記化合物(1)、(2)、(3)は、有機合成化学における公知の手法を組み合わせることにより合成できる。出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、たとえば、ホーベン−ワイル(Houben-Wyle, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag,Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wily& Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions,John Wily & Sons Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(ComprehensiveOrganic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。
本発明に用いる重合性化合物は、2官能以上のヒドロキシ基を有することが好ましく、3官能以上、または4官能以上である場合を含む。さらに、重合性化合物の長辺の両端に官能基を有する化合物が直線的な結合を形成できるため好ましい。
<無機フィラー>
第1の無機フィラー、第2の無機フィラーおよび第3の無機フィラーとしては、窒化物、酸化物、炭化物、または炭素材料等を挙げることができる。
第1の無機フィラーおよび第2の無機フィラーは、同一であってもよく異なったものでもよい。第1の無機フィラーまたは第2の無機フィラーのどちらか一方に熱伝導率の高い無機フィラーを用いてもよい。具体的には、第1の無機フィラー、第2の無機フィラーには、高熱伝導性の無機フィラーとして、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素炭素、窒化珪素、炭化珪素、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムを挙げることができる。特に六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)や黒鉛が好ましい。窒化ホウ素、黒鉛は平面方向の熱伝導率が非常に高く、窒化ホウ素は誘電率も低く、絶縁性も高いため好ましい。例えば、板状結晶の窒化ホウ素を用いると、成型および硬化時に、原料のフローや圧力によって、板状構造が金型に沿って配向され易いため好ましい。
第3の無機フィラーとしては、熱伝導率の高い、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、ダイアモンド、珪素、ベリリア、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化銅、酸化チタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化錫、酸化ホルミニウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ステンレスなどの無機充填材および金属充填材を挙げることができる。
重合性化合物の構造はこれら無機フィラーの間を効率よく結合できる形状及び長さを持っていることが望ましい。無機フィラーの種類、形状、大きさ、添加量などは、目的に応じて適宜選択できる。得られる放熱部材が絶縁性を必要とする場合、所望の絶縁性が保たれれば導電性を有する無機フィラーであっても構わない。無機フィラーの形状としては、板状、球状、無定形、繊維状、棒状、筒状などが挙げられる。
無機フィラーの平均粒径は、0.1〜500μmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜400μmであり、さらに好ましくは、0.1〜200μmであり、特に好ましくは、1〜100μmである。0.1μm以上であると熱伝導率がよく、500μm以下であると充填率を上げることができる。
なお、本明細書において平均粒径とは、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定に基づく。すなわち、フランホーファー回折理論およびミーの散乱理論による解析を利用して、湿式法により、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量(体積基準)となる径をメジアン径とした。
無機フィラーとカップリング剤および重合性化合物の割合は、使用する無機フィラーと結合させるカップリング剤の量に依存する。第1、第2の無機フィラーとして用いられる化合物(例えば窒化ホウ素)は、前述のように表面に反応基がなく、側面にのみ反応基が存在する。その少ない反応基にできるだけ多くのカップリング剤を結合させ、その反応基の数と同数か少し多い重合性化合物を結合させることが好ましい。無機フィラーへのカップリング剤の反応量は、主に無機フィラーの大きさや使用するカップリング剤の反応性により変化する。たとえば、無機フィラーが大きくなるほど、無機フィラーの側面の面積比が減少するので修飾量は少ない。できるだけ多くのカップリング剤を反応させたいが、粒子を小さくすると生成物の熱伝導率が低くなるので、バランスを取ることが好ましい。
<カップリング剤>
第1のカップリング剤、第2のカップリング剤は、重合性化合物が有する官能基(ヒドロキシ基)と反応することが好ましい。例えば、エポキシ基を末端に持つカップリング剤が好ましい。エポキシ基としては、オキシラニル基(1,2−エポキシ構造)、オキセタニル基(1,3−エポキシ構造)が挙げられる。JNC(株)製のカップリング剤では、サイラエース(登録商標)S510、S530などが挙げられる。なお、カップリング剤による無機フィラーの修飾は、多ければ多いほど結合が増えるため好ましい。
<硬化促進剤>
本発明の放熱部材用組成物は、エポキシ基とヒドロキシ基の反応を促進するため、任意成分として硬化促進剤を構成要素としてよい。このような硬化促進剤としては、例えば、2−エチル−4−メチル−1H−イミダゾール、2−フェニル−4−メチル−1H−イミダゾールなどが挙げられる。
<その他の構成要素>
放熱部材用組成物は、さらに第1の無機フィラーおよび第2の無機フィラーに結合していない、すなわち結合に寄与していない有機化合物(例えば重合性化合物または高分子化合物)を含んでいてもよく、重合開始剤や溶媒等を含んでいてもよい。
<結合していない重合性化合物>
放熱部材用組成物は、無機フィラーに結合していない重合性化合物(この場合、必ずしも2官能以上でなくてもよい)を構成要素としてもよい。このような重合性化合物としては、膜形成性および機械的強度を低下させない化合物が好ましい。この重合性化合物は、液晶性を有しない化合物と液晶性を有する化合物とに分類される。液晶性を有しない重合性化合物としては、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、ソルビン酸誘導体、フマル酸誘導体、イタコン酸誘導体、などが挙げられる。含有量は、まず結合していない重合性化合物を含まない放熱部材用組成物を作製し、その空隙率を測定して、その空隙を埋められる量の重合性化合物を添加することが望ましい。
<結合していない高分子化合物>
放熱部材用組成物は、無機フィラーに結合していない高分子化合物を構成要素としてもよい。このような高分子化合物としては、膜形成性および機械的強度を低下させない化合物が好ましい。この高分子化合物は、第1、第2、第3等の無機フィラーおよび重合性化合物と反応しない高分子化合物であればよく、たとえばポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイタコン酸系樹脂などが挙げられる。含有量は、まず結合していない高分子化合物を含まない放熱部材用組成物を作成し、その空隙率を測定して、その空隙を埋められる量の高分子化合物を添加することが望ましい。
<非重合性の液晶性化合物>
放熱部材用組成物は、重合性基を有しない液晶性化合物を構成要素としてもよい。このような非重合性の液晶性化合物の例は、液晶性化合物のデータベースであるリクリスト(LiqCryst, LCI Publisher GmbH, Hamburg, Germany)などに記載されている。非重合性の液晶性化合物を含有する該組成物を重合させることによって、例えば、化合物(1)、(2)、(3)の重合体と液晶性化合物との複合材料(composite materials)を得ることができる。このような複合材料では、高分子分散型液晶のような高分子網目中に非重合性の液晶性化合物が存在している。使用する温度領域で流動性が無いような特性を持つ液晶性化合物が望ましい。第1、第2、第3等のフィラーを硬化させた後で、等方相を示す温度領域でその空隙に注入するような手法で複合化させてもよく、第1、第2、第3等のフィラーに予め空隙を埋めるように計算した分量の液晶性化合物を混合しておき、フィラーを重合させてもよい。
<重合開始剤>
放熱部材用組成物は、重合開始剤を構成要素としてもよい。重合開始剤は、該組成物の構成要素および重合方法に応じて、たとえば光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤などを用いればよい。
熱ラジカル重合用の好ましい開始剤としては、たとえば、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド(DTBPO)、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などが挙げられる。
<溶媒>
放熱部材用組成物は、溶媒を含有してもよい。重合させる必要がある構成要素を該組成物中に含む場合、重合は溶媒中で行っても、無溶媒で行ってもよい。溶媒を含有する該組成物を基板上に、たとえばスピンコート法などにより塗布した後、溶媒を除去してから光重合させてもよい。また、光硬化後適当な温度に加温して熱硬化により後処理を行ってもよい。
好ましい溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、PGMEAなどが挙げられる。上記溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なお、重合時の溶媒の使用割合は、重合効率、溶媒コスト、エネルギーコストなどを考慮して、個々のケースごとに決定すればよい。
<その他>
放熱部材用組成物には、取扱いを容易にするために安定剤を添加してもよい。このような安定剤としては、公知のものを制限なく使用でき、たとえば、ハイドロキノン、4−エトキシフェノールおよび3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)などが挙げられる。
さらに、放熱部材用組成物の粘度や色を調整するために添加剤(酸化物等)を添加してもよい。例えば、白色にするための酸化チタン、黒色にするためのカーボンブラック、粘度を調整するためのシリカの微粉末を挙げることができる。また、機械的強度をさらに増すために添加剤を添加してもよい。例えば、ガラス、カーボンファイバーなどの無機繊維やクロス、または高分子添加剤として、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどの繊維または長分子を挙げることができる。
[製造方法]
以下、放熱部材用組成物を製造する方法、および放熱部材用組成物から放熱部材を製造する方法の一例を具体的に説明する。
<カップリング処理を施す>
無機フィラーにカップリング処理を施し、カップリング剤の一端と無機フィラーを結合させたものをフィラーAとする。カップリング処理は、公知の方法を用いることができる。
一例として、まず無機フィラーとカップリング剤を溶媒に加える。スターラー等を用いて撹拌したのち、乾燥する。溶媒乾燥後に、真空乾燥機等を用いて、真空条件下で加熱処理をする。
<重合性化合物で修飾する>
カップリング処理を施した無機フィラー(上記フィラーAと同じであってもよく、異なる無機フィラーでもよい)の、カップリング剤の他端に2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物を結合させる。このように重合性化合物をさらに結合させた無機フィラーをフィラーBとする。
一例として、カップリング処理された無機フィラーと重合性化合物および硬化促進剤を、メノウ乳鉢等を用いて混合したのち、2軸ロール等を用いて混練する。その後、超音波処理および遠心分離によって分離精製する。
<混合する>
フィラーAとフィラーBを、例えば無機フィラーのみの重量が1:1になるように量り取り、メノウ乳鉢等で混合する。その後2軸ロール等を用いて混合し、放熱部材用組成物を得る。
フィラーAとフィラーBの混合割合は、フィラーAとフィラーBの結合を形成する末端の結合基の数により決定する。フィラーAとフィラーBの結合を形成する結合基がヒドロキシ基:エポキシ基の場合、エポキシ基は1個のヒドロキシ基と反応するため、フィラーAとフィラーBに含まれる活性のヒドロキシ基とエポキシ基の総量が等しくなるように混合割合を調整することが望ましい。例えば、重合性化合物を結合させた際、未反応のフィラー(フィラーAの状態)のヒドロキシ基と、フィラーBのエポキシ基の総量が等しい場合、未反応のフィラーとフィラーBで放熱部材を作製してもよい。
<放熱部材を製造する>
一例として、放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法を説明する。放熱部材用組成物を、圧縮成形機を用いて加熱板中にはさみ、圧縮成形により配向・硬化成形する。さらに、オーブン等を用いて後硬化を行い、本発明の放熱部材を得る。なお、圧縮成形時の圧力は、50〜200kgf/cmが好ましく、より好ましくは70〜180kgf/cmである。硬化時の圧力は基本的には高い方が好ましい。しかし、金型の流動性や、目的とする物性(どちら向きの熱伝導率を重視するかなど)によって適宜変更し、適切な圧力を加えることが好ましい。
以下、溶媒を含有する放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法について具体的に説明する。
まず、基板上に該組成物を塗布し、溶媒を乾燥除去して膜厚の均一な塗膜層を形成する。塗布方法としては、たとえば、スピンコート、ロールコート、カテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート、ディップコート、スプレーコート、メニスカスコート法などが挙げられる。
溶媒の乾燥除去は、たとえば、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどにより行うことができる。溶媒除去の条件は特に限定されず、溶媒がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。
上記基板としては、たとえば、銅、アルミニウム、鉄、などの金属基板;シリコン、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛などの無機半導体基板;アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板、アルミナ、窒化アルミニウムなどの無機絶縁基板;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロースもしくはその部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン樹脂などのプラスティックフィルム基板などが挙げられる。
上記フィルム基板は、一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであってもよい。上記フィルム基板は、事前に鹸化処理、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施してもよい。なお、これらのフィルム基板上には、上記放熱部材用組成物に含まれる溶媒に侵されないような保護層を形成してもよい。保護層として用いられる材料としては、たとえばポリビニルアルコールが挙げられる。さらに、保護層と基板の密着性を高めるためにアンカーコート層を形成させてもよい。このようなアンカーコート層は保護層と基板の密着性を高めるものであれば、無機系および有機系のいずれの材料であってもよい。
[放熱部材]
本発明の放熱部材は、本発明の放熱部材用組成物を硬化させた硬化物を用途に応じて成形した硬化物である。この硬化物は、高い熱伝導性を有するとともに、高い耐熱性と低吸湿性を有し、化学的安定性、硬度および機械的強度などに優れている。なお、前記機械的強度とは、ヤング率、引っ張り強度、引き裂き強度、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度などである。本発明の放熱部材は、放熱板、放熱シート、放熱フィルム、放熱接着材、放熱成形品などに有用である。
熱重合により放熱部材用組成物を硬化させる条件としては、熱硬化温度が、室温〜350℃の範囲であり、好ましくは室温〜300℃の範囲であり、より好ましくは80℃〜250℃の範囲であり、硬化時間は、5秒〜48時間の範囲であり、好ましくは1分〜24時間の範囲であり、より好ましくは5分〜20時間の範囲である。重合後は、応力ひずみなど抑制するために徐冷することが好ましい。また、再加熱処理を行い、ひずみなどを緩和させてもよい。
本発明の放熱部材は、上記放熱部材用組成物から形成され、シート、フィルム、薄膜、繊維、成形体などの形状で使用する。好ましい形状は、板、シート、フィルムおよび薄膜である。なお、本明細書におけるシートの膜厚は1mm以上であり、フィルムの膜厚は5μm以上、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜300μmであり、薄膜の膜厚は5μm未満である。膜厚は、用途に応じて適宜変更すればよい。
本発明において、熱伝導性は、垂直方向の熱伝導率により評価することができる。ここで、垂直方向とは、一般的に試料の厚み方向を示す。本発明の放熱部材の垂直方向の熱伝導率は、2.2(W/mK)以上であれば使用できる範囲であり、5(W/mK)以上であることが好ましく、9(W/mK)以上であることがより好ましい。この範囲であれば、熱伝導に優れることから、放熱板などに好適に利用できる。
本発明において、耐熱性は、5%重量減少温度の測定により評価することができる。本発明の放熱部材の5%重量減少温度は、280℃以上であることが好ましく、290℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが最も好ましい。この範囲であれば、高パワー向け放熱部材への用途に好適に利用できる。
本発明において、熱膨張率とは、50〜200℃の範囲での試料の平面方向における伸び率を示す。本発明の放熱部材の熱膨張率は、−20〜50(ppm/K)であることが好ましく、−5〜20(ppm/K)であることがより好ましい。この範囲であれば、非熱膨張性に優れることから、発熱する金属基板へのダイアタッチメントなどに好適に利用できる。
本発明において、吸湿性は、吸湿率の測定により評価することができる。本発明の放熱部材の吸湿率は、1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。この範囲であれば、パッケージ内の基板材料などに好適に利用できる。
[電子機器]
本発明の電子機器は、上記放熱部材と、発熱部を有する電子デバイスとを備える。放熱部材は、前記発熱部に接触するように電子デバイスに配置される。放熱部材の形状は、放熱電子基板、放熱板、放熱シート、放熱フィルム、放熱接着材、放熱成形品などのいずれであってもよい。
例えば、電子デバイスとして、半導体素子を挙げることができる。本発明の放熱部材は、高熱伝導性に加えて、高耐熱性、高絶縁性を有することから、半導体素子の中でも高電力のためより効率的な放熱機構を必要とする絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)に特に有効である。IGBTは半導体素子のひとつで、MOSFETをゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタであり、電力制御の用途で使用される。IGBTを備えた電子機器には、大電力インバータの主変換素子、無停電電源装置、交流電動機の可変電圧可変周波数制御装置、鉄道車両の制御装置、ハイブリッドカー、エレクトリックカーなどの電動輸送機器、IH調理器などを挙げることができる。
以上、本発明をカップリング処理した無機フィラーと、カップリング処理後さらに重合性化合物で修飾した無機フィラーとを含む放熱部材用組成物、および、これらの無機フィラーを結合させて、無機フィラー間に結合を形成し、高い熱伝導性を有する放熱部材として説明したが、本発明これに限られない。
例えば、カップリング処理後さらに重合性化合物で修飾した無機フィラーのみを用いて、適切な重合開始剤等により重合性化合物同士を結合させて、無機フィラー間に結合を形成してもよい。
すなわち、本発明は、無機材料と有機化合物の複合化において、無機材料間に有機化合物で結合を形成し、熱伝導性を著しく向上させたものである。特に、本発明は、吸湿性の低い材料を使用でき、熱分解しにくい官能基により結合を形成できたため、放熱部材の低吸湿性の向上および高耐熱性(熱分解温度)の向上を可能にしたものである。
以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
本発明の実施例に用いた、放熱部材を構成する成分材料は次のとおりである。
<無機フィラー>
・窒化ホウ素:h−BN粒子、デンカ(株)製、(商品名)SGP
・アルミナ:デンカ(株)製、(商品名)DAW−20
<シランカップリング剤>
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、JNC(株)製、(商品名)サイラエース(登録商標)S510
Figure 2019049911
・2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、JNC(株)製、(商品名)サイラエース(登録商標)S530
Figure 2019049911
・N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、JNC(株)製、(商品名)サイラエース(登録商標)S320
Figure 2019049911
・3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、(商品名)KBM−903
Figure 2019049911
<重合性化合物>
・4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノール、和光純薬工業(株)製、(慣用名)ビスフェノールA
Figure 2019049911
・4,4’−オキシジフェノール、和光純薬工業(株)製、(慣用名)4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル
Figure 2019049911
・[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、和光純薬工業(株)製、(慣用名)4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ビフェノール
Figure 2019049911
・ナフタレン−2,7’−ジオール、和光純薬工業(株)製
Figure 2019049911
・下記式(4)、JNC(株)製
下記式(4)は、特許第5084148号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2019049911
<硬化促進剤>
・2−エチル−4−メチル−1H−イミダゾール、和光純薬工業(株)製、(一般名)2−エチル−4−メチル−イミダゾール
Figure 2019049911
・2−フェニル−4−メチル−1H−イミダゾール、四国化成工業(株)製、(商品名)キュアゾール2P4MZ
Figure 2019049911
<定義>
以下の実施例では、第1のカップリング剤と結合した状態の第1の無機フィラーをフィラーA(窒化ホウ素もしくはアルミナに、シランカップリング剤を修飾したもの)とする。
第2のカップリング剤と結合した第2の無機フィラーであって、さらに2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物の一つのヒドロキシ基が前記第2のカップリング剤の他端と結合した状態の第2の無機フィラーをフィラーB(窒化ホウ素もしくはアルミナに、シランカップリング剤および重合性化合物を修飾したもの)とする。
硬化により、前記第1のカップリング剤の他端が、前記重合性化合物の他のヒドロキシ基と結合した状態のものを放熱部材とする。
<実施例1>
・フィラーA作製工程
シランカップリング剤(JNC(株)製サイラエース(登録商標)S510)2.6gを純水130mLに加え、スターラーを用いて500rpmで15時間攪拌した。次いで、窒化ホウ素粒子(デンカ(株)製SGP)13gを溶液に投入し、スターラーを用いて500rpmで1時間攪拌し、得られた混合物を60℃で4時間乾燥した。さらに、溶媒乾燥後に80℃に設定した真空オーブンを用いて、真空条件下で5時間加熱処理をした。得られた粒子をフィラーAとした。
・フィラーB作製工程
フィラーA粒子2gと、重合性化合物(和光純薬工業(株)製ビスフェノールA)3.96g、硬化促進剤(和光純薬工業(株)製2−エチル−4−メチルイミダゾール)40mgを量り取り、これらを2本ロール((株)井元製作所製IMC−AE00型)を用いて160℃で10分間混合した。この重量比はフィラーA粒子が有するエポキシ基が十分に反応するフェノール基の個数並びに2本ロール上で双方が十分に練り合わせられる量である。得られた混合物をテトラヒドロフラン45mLに加え、十分攪拌した後、遠心分離機(日立工機(株)製高速冷却遠心機CR22N形、4,000回転×10分×25℃)で不溶分を沈降させ、デカンテーションで未反応の重合性化合物が溶解した分を含む溶液を取り除いた。続いて、アセトン45mLを加え、前述と同様の操作を行った。さらに、テトラヒドロフラン、アセトンの順に同様の操作を繰り返した。不溶分を乾燥して得られた粒子をフィラーBとした。
・放熱部材作製工程
フィラーA0.38g、フィラーB0.47gと、硬化促進剤(和光純薬工業(株)製2−エチル−4−メチルイミダゾール)11mgをアセトン2mLに溶かした溶液を20μL量り取り、混合した。得られた混合物をステンレス製板中に挟み、160℃に設定した圧縮成形機((株)井元製作所製IMC−19EC)を用いて30MPaまで加圧し、10分間加熱状態を続けることで、配向処理と前硬化を行った。すなわちステンレス板の間を混合物が広がる際に、BN粒子は板状粒子であるため、粒子とステンレス板が平行になるように配向する。また、試料の厚みが約720μmになるように、試料の量を調整した。さらに、150℃に設定した真空オーブンを用いて、真空条件下で15時間の後硬化を行った。この操作で得られた試料を放熱部材とした。
<評価>
・熱重量(TG)測定
フィラーA、フィラーBおよび放熱部材の、重合性化合物またはシランカップリング剤の無機フィラーに対する被覆量は、熱重量・示差熱測定装置((株)リガク製TG−8121)を用いて、その900℃における加熱減量から算出した。
また、放熱部材の5%重量減少温度は、前記の測定装置を用いて、140℃から900℃への減少量を100重量%とした際の5重量%減少した時の温度から算出した。
・吸湿率測定
150℃に設定した真空オーブンを用いて、真空条件下で乾燥した放熱部材の重量W(g)、85℃,85RH%の恒温恒湿器(エスペック(株)製LHL−113)中で42時間保持した後に取り出した際の重量W(g)を吸湿した放熱部材の重量として秤量し、次の式により放熱部材の吸湿率を算出した。
吸湿率(%)=(W−W)/W×100
・熱伝導率評価
熱伝導率は、予め放熱部材の比熱((株)リガク製DSC型高感度示差走査熱量計Thermo Plus EVO2 DSC−8231で測定した)と比重(新光電子(株)製比電子はかり式比重計DME−220により測定した)を求めておき、その値を(株)アイフェイズ製ai−Phase Mobile 1u熱拡散率測定装置により求めた熱拡散率を掛け合わせることにより厚み方向の熱伝導率を求めた。
・熱膨張率評価
得られた試料から、4×20mmの試験片を切り出し、熱膨張率(SII(株)TMA−SS6100熱機械分析装置で測定した)を、50〜200℃の範囲で求めた。試験片の長さは、測定する試料の形状により適宜調製した。
<実施例2>
実施例2では、フィラーとしてSGP、シランカップリング剤としてサイラエース(登録商標)S510、重合性化合物として和光純薬工業(株)製4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、硬化促進剤として四国化成工業(株)製キュアゾール2P4MZを用いた。
実施例2のフィラーB製作工程では、実施例1におけるフィラーAと同様の手順で作製したフィラーA粒子1gと、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル2g、キュアゾール2P4MZを20mg量り取り、ホットプレートを用いて、これらを180℃で加熱しつつ、薬さじを用いて15分間混合した。得られた混合物の洗浄と乾燥は、実施例1と同様の操作で実施し、フィラーBを得た。
実施例2の放熱部材作製工程では、フィラーA0.38gと、フィラーB0.47gと、硬化促進剤(四国化成工業(株)製キュアゾール2P4MZ)11mgをアセトン2mLに溶かした溶液を20μL量り取った。加熱圧縮による前硬化温度を180℃、真空オーブンでの後硬化温度を190℃としたほかは、実施例1と同様の操作で放熱部材を作製した。
<実施例3>
実施例3では、フィラーとしてSGP、シランカップリング剤としてサイラエース(登録商標)S510、重合性化合物として和光純薬工業(株)製4,4’−ジヒドロキシビフェニル、硬化促進剤としてキュアゾール2P4MZを用いた。
実施例3のフィラーB製作工程では、ホットプレートでの加熱温度を220℃としたほかは、実施例2と同様の操作で、フィラーBを得た。
実施例3の放熱部材作製工程では、フィラーA0.34gと、フィラーB0.51gと、硬化促進剤(キュアゾール2P4MZ)11mgをアセトン2mLに溶かした溶液を20μL量り取った。加熱圧縮による前硬化温度を220℃、真空オーブンでの後硬化温度を190℃としたほかは、実施例1と同様の操作で放熱部材を作製した。
<実施例4>
実施例4では、フィラーとしてSGP、シランカップリング剤としてサイラエース(登録商標)S510、重合性化合物として和光純薬工業(株)製ナフタレン−2,7’−ジオール、硬化促進剤としてキュアゾール2P4MZを用いた。
実施例4のフィラーB製作工程では、ホットプレートでの加熱温度を195℃としたほかは、実施例2と同様の操作で、フィラーBを得た。
実施例4の放熱部材作製工程では、フィラーA0.48gと、フィラーB0.37gと、硬化促進剤(キュアゾール2P4MZ)11mgをアセトン2mLに溶かした溶液を20μL量り取った。加熱圧縮による前硬化温度を195℃、真空オーブンでの後硬化温度を190℃としたほかは、実施例1と同様の操作で放熱部材を作製した。
<実施例5>
実施例5では、フィラーとしてSGP、シランカップリング剤としてJNC(株)製サイラエース(登録商標)S530、重合性化合物としてビスフェノールA、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを用いた。
実施例5の放熱部材作製工程では、フィラーB0.85g(重合性化合物との結合の際の未反応のフィラーを含む)と、2−エチル−4−メチルイミダゾール11mgをアセトン2mLに溶かした溶液を20μL量り取った。そのほかの工程は、実施例1と同様の手順で、加熱圧縮による前硬化と、真空加熱による後硬化を実施した。
フィラーBに含まれる未反応のエポキシ基と、フィラーBの重合性化合物のヒドロキシ基とを反応させることで、放熱部材を得た。
<実施例6>
実施例6では、フィラーとしてSGP、シランカップリング剤としてサイラエース(登録商標)S530、重合性化合物としてナフタレン−2,7’−ジオール、硬化促進剤としてキュアゾール2P4MZを用いた。
実施例6のフィラーB製作工程では、実施例4と同様の操作で、フィラーBを得た。
実施例6の放熱部材作製工程では、フィラーA0.43gと、フィラーB0.43gと、硬化促進剤11mgをアセトン2mLに溶かした溶液を20μL量り取り、実施例4と同様の操作で放熱部材を作製した。
<実施例7>
実施例2では、フィラーとしてデンカ(株)製DAW−20、シランカップリング剤としてサイラエース(登録商標)S510、重合性化合物としてビスフェノールA、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを用いた。
実施例7は、実施例5と同様の操作で放熱部材を作製した。
<比較例1>
・フィラーA作製工程
窒化ホウ素粒子(SGP)15gと、シランカップリング剤(JNC(株)製サイラエース(登録商標)S320)2.25gをトルエン100mLに加え、スターラーを用いて500rpmで1時間攪拌し、得られた混合物を40℃で4時間乾燥した。さらに、溶媒乾燥後に120℃に設定した真空オーブンを用いて、真空条件下で5時間加熱処理を実施し、フィラーAを作製した。
・フィラーB作製工程
フィラーA粒子2gと、重合性化合物(JNC(株)製式(4))を3.2g量り取り、これらを2本ロール((株)井元製作所製IMC−AE00型)を用いて120℃で10分間混合した。得られた混合物を、実施例1と同様の手順で洗浄し、フィラーBを作製した。
・放熱部材作製工程
フィラーA0.16gとフィラーB0.69gを量り取り、加熱圧縮による前硬化温度を150℃としたほかは、実施例1と同様の手順で放熱部材を作製した。
<比較例2>
比較例2では、カップリング剤として信越化学工業(株)製KBM−903を用いたほかは、比較例1と同様の手順で放熱部材を作製した。
<比較例3>
比較例3では、フィラーとしてデンカ(株)製DAW−20、シランカップリング剤としてサイラエース(登録商標)S320を用いた。
比較例3の放熱部材作製工程ではフィラーB0.85gを加熱圧縮した。そのほかの工程は、比較例1と同様の手順で作製した。
<比較例4>
比較例4では、(株)栗本鐵工所製S1KRCニーダにSGPを13.3g/分、サイラエース(登録商標)S320を2.6g/分の供給量で供給し、加熱温度120℃、スクリュ回転数100rpmで混合した。得られた混合物を120℃に設定した真空オーブンを用いて、真空条件下で5時間加熱処理を実施し、フィラーAを作製した。
フィラーB作製工程および放熱部材作製工程は、比較例3と同様の手順で実施し、放熱部材を作製した。
実施例1〜7、比較例1〜4の作製に用いたフィラー、カップリング剤、重合性化合物、硬化促進剤の組み合わせを表1に示す。
Figure 2019049911
実施例1〜7、比較例1〜4のフィラーA,フィラーB,放熱部材の熱重量減少量(TG)を表2に示す。
Figure 2019049911
実施例1〜7、比較例1〜4の放熱部材の5%重量減少温度、吸湿率、厚み方向の熱伝導率、熱膨張率を表3に示す。
Figure 2019049911
実施例1〜7を恒温恒湿器で保持した際の吸湿率は、比較例1〜比較例4の半分以下の値を示した。実施例の有機成分(シランカップリング剤および重合性化合物)は極性の高いアミノ基やアミド結合を有さず、水が吸着する部位が比較例よりも少ないために、放熱部材の吸湿性が抑制されたと考えられる。さらに、実施例1〜7の5%重量減少温度は280℃〜330℃となっており、比較例1〜4と比べて高い温度を示した。実施例の有機成分は酸化されやすいアミノ基やアミド結合を有さず、熱による影響を受けにくいため、放熱部材の耐熱性が向上したと考えられる。加えて、実施例1の熱膨張率は約9ppm/Kであり、比較例4と同様に、熱膨張率が銅やステンレス(それぞれ16.6〜16.8ppm/K、10.4ppm/K(SUS410))よりも小さい値を示した。これらの結果を鑑みると、本発明の放熱部材は吸湿性が低く、高耐熱な熱伝導性材料として使用できることがわかる。
本明細書中で引用する刊行物、特許出願および特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照して組み込む、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ程度で、参照してここに組み込む。
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞および同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限定しない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、本発明の実施に不可欠である、請求項に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読んだ上で、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを予期しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の変更および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
1 第1の無機フィラー
2 第2の無機フィラー
11 第1のカップリング剤
12 第2のカップリング剤
22 重合性化合物
3 第1のカップリング剤11と、2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物22と、第2のカップリング剤12とが結合した部位

Claims (12)

  1. 第1のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラーと;
    第2のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラーと;
    2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物と;を含有する、
    放熱部材用組成物。
  2. 前記第2のカップリング剤の他端は、前記2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物の一つのヒドロキシ基と結合した、
    請求項1に記載の放熱部材用組成物。
  3. 前記重合性化合物は、下記式(1)または(2)で表される少なくとも1つの重合性化合物である、
    請求項1または請求項2に記載の放熱部材用組成物。
    Figure 2019049911
    [上記式(1)中、
    およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1〜3のアルキルであり;
    mは2〜4の整数であり、nは1〜3の整数であり、pは2〜4の整数であり、qは1〜3の整数であり、m+n=5であり、p+q=5であり;
    Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルであり、
    炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の水素は−CHで置き換えられてもよく、
    シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェニレン、アダマンタンジイル、または、ビアダマンタンジイルにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
    任意の水素と置き換えられたアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
    、Zは、それぞれ独立して単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
    該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。]
    [上記式(2)中、
    xは2以上の整数であり;
    環Bは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、アダマンタン、またはビアダマンタンであり、
    環Bにおいて、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
    環Bの炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。]
  4. 上記式(1)で表される少なくとも1つの重合性化合物であって、
    上記式(1)中、
    Aは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン、フェニレン、または任意の水素がハロゲンもしくはメチル基で置き換えられたフェニレンであり;
    、Zは、それぞれ独立して単結合、−(CH−、−O−、−O(CH−、−(CHO−、−O(CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−OCF−または−CFO−であり、該aが1〜20の整数である、
    請求項3に記載の放熱部材用組成物。
  5. 上記式(2)で表される少なくとも1つの重合性化合物であって、
    上記式(2)中、
    環Bは、ベンゼン、ナフタレン、9,9‐ジフェニルフルオレン、またはアダマンタンである、
    請求項3に記載の放熱部材用組成物。
  6. 前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーは、それぞれ、酸化物、窒化物、または炭素材料である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  7. 前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーは、それぞれ、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、コーディエライト、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素炭素、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブから選ばれる少なくとも一つである、
    請求項6に記載の放熱部材用組成物。
  8. 前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーと異なる熱膨張率を持つ第3の無機フィラーであって、第3のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第3の無機フィラー、または、重合性化合物が結合した第3のカップリング剤の一端と結合した熱伝導性の第3の無機フィラーをさらに含む、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  9. 前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーに結合していない、有機化合物または高分子化合物をさらに含む、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物の硬化物であって、
    前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーは、前記第1のカップリング剤、前記重合性化合物、前記第2のカップリング剤を介して結合した、
    放熱部材。
  11. 請求項10に記載の放熱部材と;
    発熱部を有する電子デバイスと;を備え、
    前記放熱部材が前記発熱部に接触するように前記電子デバイスに配置された、
    電子機器。
  12. 熱伝導性の第1の無機フィラーを、第1のカップリング剤の一端と結合させる工程と;
    熱伝導性の第2の無機フィラーを、第2のカップリング剤の一端と結合させる工程と;
    前記第2のカップリング剤の他端を、2官能以上のヒドロキシ基を有する重合性化合物の一つのヒドロキシ基と結合させる工程と;
    前記第1のカップリング剤の他端を、前記重合性化合物の他のヒドロキシ基と結合させる工程と;を備える、
    放熱部材の製造方法。
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