以下、図面を用いて、本発明の高圧燃料供給ポンプの実施の形態について説明する。なお、各図において、同一符号は同一部分を示す。
[実施例1]
(燃料供給システム) まず、本発明の第1実施例に係る高圧燃料供給ポンプを含む内燃機関の燃料供給システムの構成及び動作について図1を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプを含む内燃機関の燃料供給システムを示す構成図である。
図1中、破線で囲まれた部分は、高圧燃料供給ポンプの本体であるポンプボディ1を示している。この破線の中に示されている機構及び部品は、ポンプボディ1に組み込まれたものであることを示している。
図1において、燃料供給システムは、燃料を貯留する燃料タンク20と、燃料タンク20内の燃料を汲み上げて送出するフィードポンプ21と、フィードポンプ21から送出された低圧の燃料を加圧して吐出する高圧燃料供給ポンプと、高圧燃料供給ポンプから圧送された高圧の燃料を噴射する複数のインジェクタ24とを備えている。高圧燃料供給ポンプは、吸入配管28を介してフィードポンプ21に接続されている。高圧燃料供給ポンプは、コモンレール23を介してインジェクタ24に燃料を圧送する。インジェクタ24は、エンジンの気筒数に応じてコモンレール23に装着されている。コモンレール23には、圧力センサ26が装着されている。圧力センサ26は、高圧燃料供給ポンプから吐出された燃料の圧力を検出するものである。
この高圧燃料供給ポンプは、インジェクタ24が内燃機関としてエンジンのシリンダ筒内に燃料を直接噴射する、いわゆる直噴エンジンシステムに適用されるものである。高圧燃料供給ポンプは、燃料を加圧するための加圧室11と、加圧室11に吸入する燃料量を調節する容量可変機構としての電磁吸入弁機構300と、加圧室11内の燃料を往復運動により加圧するプランジャ2と、プランジャ2により加圧された燃料を吐出する吐出弁機構8とを備えている。電磁吸入弁機構300の上流側には、高圧燃料供給ポンプ内で発生した圧力脈動が吸入配管28へ波及することを低減させる圧力脈動低減機構としてのダンパ9が設けられている。本実施例では、ダンパ9を金属で形成しているため、以下、ダンパ9は金属ダンパと呼んで説明する。また、ダンパ9は燃料の圧力脈動を低減する部材であることから、ダンパ9をダンパ部材と呼ぶ場合もある。
フィードポンプ21、電磁吸入弁機構300、インジェクタ24は、エンジンコントロールユニット(以下、ECUという)27の出力する制御信号により制御される。ECU27には、圧力センサ26の検出信号が入力される。
燃料タンク20内の燃料は、ECU27の制御信号に基づき駆動されたフィードポンプ21によって汲み上げられる。この燃料は、フィードポンプ21によって適切なフィード圧力に加圧されて吸入配管28を通して高圧燃料供給ポンプの低圧燃料吸入口10aに送られる。低圧燃料吸入口10aを通過した燃料は、金属ダンパ9、吸入通路10dを介して電磁吸入弁機構300の吸入ポート31bに至る。電磁吸入弁機構300に流入した燃料は、ECU27の制御信号に基づき開閉する吸入弁30を通過する。吸入弁30を通過した燃料は、往復運動するプランジャ2の下降行程で加圧室11へ吸入され、プランジャ2の上昇行程で加圧室11内において加圧される。加圧された燃料は、吐出弁機構8を介してコモンレール23へ圧送される。コモンレール23内の高圧の燃料は、ECU27の制御信号に基づき駆動するインジェクタ24によってエンジンのシリンダ筒内へ噴射される。
高圧燃料供給ポンプは、ECU27から電磁吸入弁機構300への制御信号に応じて所望の流量の燃料を吐出する。
図1に示す高圧燃料供給ポンプでは、金属ダンパ9(圧力脈動低減機構)に加え、その上流側に圧力脈動伝播防止機構100を備えている。圧力脈動伝播防止機構100は、弁シート101と、弁シート101に接離する弁102と、弁102を弁シート101に向かって付勢するばね103と、弁102のストロークを制限するばねストッパ(不図示)と、から構成されている。なお、図1以外の図面には、圧力脈動伝播防止機構100を表示していない。また、高圧燃料供給ポンプは、圧力脈動伝播防止機構を備えていない構成とすることも可能である。
(高圧燃料供給ポンプ) 次に、本発明の第1実施例に係る高圧燃料供給ポンプの各部の構成を図2〜図5を用いて説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプを示す縦断面図である。図3は図2に示す本発明の第1の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプをIII−III矢視から見た横断面図である。図4は本発明の第1の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプをプランジャ及び吸入ジョイントの両軸心を含む平面(図1とは異なる平面)で切断した状態で示す縦断面図である。図5は本発明の第1の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプの一部を構成する電磁吸入弁機構を拡大した状態で示す縦断面図である。なお、図5は、コネクタの一部を省略して示しており、電磁吸入弁機構300を開弁状態で図示している。
以下の説明では、プランジャ2の構成に基づいて上下方向を設定して説明する。プランジャ2の上昇行程及び下降行程におけるプランジャ2の移動方向に上下方向を設定する。
この場合、プランジャ2の上死点は下死点に対して上側に位置し、下死点は上死点に対して下側に位置する。なお、この上下方向は高圧燃料供給ポンプの実装時における上下方向と必ずしも一致するものではない。
図2において、高圧燃料供給ポンプは、内部に加圧室11を有するポンプボディ1と、ポンプボディ1に組み付けられたプランジャ2、電磁吸入弁機構300、吐出弁機構8(図3参照)、リリーフ弁機構200と、圧力脈動低減機構としての金属ダンパ9とを備えている。高圧燃料供給ポンプは、ポンプボディ1の一方側の端部に設けられた取付フランジ1e(図3参照)を用いて、複数のボルト(図示せず)により、エンジンのポンプ取付部80にで固定される。
ポンプボディ1には、図2及び図4に示すように、有底で段付きの第1収容穴部1aが設けられている。第1収容穴部1aの中径部には、プランジャ2の往復運動をガイドするシリンダ6がその外周側において圧入され、ポンプボディ1と共に加圧室11の一部を形成している。
プランジャ2は、シリンダ6に滑合する大径部2aと、大径部2aから加圧室11とは反対側に延在する小径部2bとを有している。プランジャ2の小径部2bの先端側(図2及び図4中、下端側)には、タペット3が設けられている。タペット3は、エンジンのカムシャフト(図示せず)に取り付けたカム81(カム機構)の回転運動を直線的な往復運動に変換してプランジャ2に伝達するものである。プランジャ2は、リテーナ15を介してばね4の付勢力によりタペット3に圧着されている。これにより、カム81の回転運動に伴い、プランジャ2を往復運動させることができる。
ポンプボディ1の第1収容穴部1aの大径部には、シールホルダ7が圧入固定されている。シールホルダ7の内部には、プランジャ2とシリンダ6の摺動部を介して加圧室11から漏れ出る燃料を貯めておく副室7aが形成されている。
プランジャ2の小径部2bには、プランジャシール13が設置されている。プランジャシール13は、小径部2bの外周面に摺接可能な状態でシールホルダ7のカム81側の内周端部に保持されている。プランジャシール13は、プランジャ2の往復運動時に、副室7a内の燃料をシールしエンジン内部へ流入するのを防止する。同時に、エンジン内の潤滑油(エンジンオイルを含む)がエンジン側からポンプボディ1の内部へ流入するのを防止する。
また、図3及び図4に示すように、ポンプボディ1の側面部には、吸入ジョイント51が取り付けられている。吸入ジョイント51には吸入配管28(図1参照)が接続され、燃料タンク20(図1参照)からの燃料が吸入ジョイント51の低圧燃料吸入口10aを介して高圧燃料供給ポンプの内部へ供給される。低圧燃料吸入口10aの下流側には、燃料から異物を取り除く吸入フィルタ52が取り付けられている。
ポンプボディ1には、図2及び図3に示すように、電磁吸入弁機構300が設置されている。電磁吸入弁機構300は、図5に示すように、吸入弁30を主体に構成された吸入弁部と、ロッド35とアンカー部36を主体に構成されたソレノイド機構部と、電磁コイル43を主体に構成されたコイル部と、に大別される。
吸入弁部は、吸入弁30、吸入弁ハウジング31、吸入弁ストッパ32、吸入弁付勢ばね33とからなる。吸入弁ハウジング31は、吸入弁30を収容する筒状の弁収容部31hと、環状の吸入弁シート部31aと、吸入通路(低圧燃料流路)10dに連通する吸入ポート31bと、を有する。吸入弁30は、吸入弁シート部31aと当接することにより閉弁し、開弁時には吸入弁ストッパ32と当接する。吸入弁付勢ばね33は、吸入弁30と吸入弁ストッパ32との間に配置され、吸入弁30を閉弁方向に付勢している。
ソレノイド機構部は、可動部であるロッド35及びアンカー部36と、固定部であるロッドガイド37、アウターコア38、及び固定コア39と、さらに、ロッド付勢ばね40と、アンカー部付勢ばね41とで構成されている。
ロッド35は、ロッドガイド37に摺動自在に保持されている。ロッド35は、一端部が吸入弁30に接離可能で、他端部にロッドつば部35aを有し、アンカー部36アンカー部36の貫通穴36aに挿通されている。ロッド35及びアンカー部36は共に、幾何学的に規制される範囲で軸方向に摺動可能に構成されている。
ロッドガイド37は、円筒形状の中央軸受部37bを有しており、ロッド35の往復動作をガイドする。ロッドガイド37には、燃料の流通を可能にする貫通穴37aが設けられている。アウターコア38の内周側には、ロッドガイド37が圧入嵌合されると共に、アンカー部36が配置されている。固定コア39は、端面39aがアンカー部36の端面36bと対向するように配置されている。固定コア39の端面39aとアンカー部36の端面36bとは、相互間に磁気吸引力が作用する磁気吸引面Sを構成する。固定コア39及びアンカー部36は、吸入弁30が開弁状態のときには、端面39aと端面36bとの間に磁気空隙を介して対面している。
固定コア39とロッドつば部35aとの間には、ロッド付勢ばね40が配置されている。ロッド付勢ばね40は、吸入弁30の開弁方向に付勢力を与えるものであり、電磁コイル43が無通電状態において吸入弁30を開弁維持する付勢力となるように設定されている。アンカー部付勢ばね41は、アンカー部36にロッドつば部35a側への付勢力を与える配置とされている。
コイル部は、第1ヨーク42、電磁コイル43、第2ヨーク44、ボビン45、端子46(図2参照)を有するコネクタ47から構成されている。電磁コイル43は、ボビン45の外周に銅線を巻いたものであり、第1ヨーク42と第2ヨーク44により取り囲まれた状態で、固定コア39及びアウターコア38の外周側に組み付けられている。
上記構成では、アウターコア38、第1ヨーク42、第2ヨーク44、固定コア39、アンカー部36により、磁気回路が形成される。この磁気回路では、電磁コイル43に電流を与えると、固定コア39とアンカー部36と間に磁気吸引力が発生する。
また、ポンプボディ1の加圧室11出口側には、図3に示すように、吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8は、吐出弁シート8a、吐出弁シート8aと接離する吐出弁8b、吐出弁8bを吐出弁シート8aに向かって付勢する吐出弁ばね8c、及び吐出弁8bのストローク(移動距離)を決める吐出弁ストッパ8dから構成されている。吐出弁ストッパ8dは、プラグ8eに保持されている。プラグ8eをポンプボディ1に当接部8fで溶接により接合することで、燃料の外部への漏洩を遮断している。吐出弁8bの二次側には、吐出弁室12aが形成されている。
加圧室11と吐出弁室12aとの間に燃料差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cの付勢力により吐出弁シート8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11の燃料圧力が吐出弁室12aの燃料圧力よりも大きくなった時に初めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cの付勢力に逆らって開弁する。吐出弁8bが開弁すると、加圧室11内の高圧の燃料は、吐出弁室12a、後述の燃料吐出通路12b、後述の燃料吐出口12を経てコモンレール23(図1参照)へ吐出される。以上のような構成により、吐出弁機構8は、燃料の流通方向を制限する逆止弁として機能する。
なお、加圧室11は、ポンプボディ1、シリンダ6、プランジャ2、電磁吸入弁機構300、吐出弁機構8にて構成されている。
また、図2及び図3に示すように、ポンプボディ1における電磁吸入弁機構300とは反対側の位置に、吐出ジョイント60が取り付けられている。吐出ジョイント60には燃料吐出口12が形成されており、燃料吐出口12は燃料吐出通路12bを介して吐出弁室12aと連通している。吐出ジョイント60は、その内部にリリーフ弁機構200を収容するように構成されている。
リリーフ弁機構200は、リリーフボディ201、リリーフ弁シート202、リリーフ弁203、リリーフ弁ホルダ204、及びリリーフばね205からなる。リリーフばね205は、一端側がリリーフボディ201に当接し、他端側がリリーフ弁ホルダ204に当接している。リリーフ弁203は、リリーフばね204の付勢力がリリーフ弁ホルダ204を介して作用してリリーフ弁シート202に押圧されることで燃料を遮断する。リリーフ弁203の開弁圧力は、リリーフばね205の付勢力によって決定される。リリーフ弁機構200は、リリーフ通路210を介して加圧室11に連通している。
また、図2及び図4に示すように、ポンプボディ1の上端部側には、上方側から下方側に向かって窪んだ凹部1pが設けられており、有底筒状(カップ状)のダンパカバー14が凹部1pを覆うようにポンプボディ1に溶接により固定されている。ポンプボディ1の凹部1pとダンパカバー14とにより、低圧燃料室10が形成されている。低圧燃料室10は、低圧燃料吸入口10aに連通すると共に、吸入通路10dを介して電磁吸入弁機構300の吸入ポート31bに連通している。すなわち、低圧燃料室10は、加圧室11の上流側に形成されている。また、低圧燃料室10は、燃料通路10eを介して副室7aに連通している。
低圧燃料室10には、金属ダンパ(ダンパ部材)9が配置されている。すなわち、ポンプボディ1とダンパカバー14とにより、金属ダンパ9を収容するダンパ室10が形成され、ダンパカバー14は、金属ダンパ9をポンプボディ1の反対側から覆うように設けられている。金属ダンパ9は、保持部材190により挟持された状態で低圧燃料室(ダンパ室)10内に保持されている。保持部材190は第1保持部材190aと第2保持部材190bとで構成される。第1保持部材190aは、低圧燃料室(ダンパ室)10内におけるダンパカバー14と金属ダンパ9との間に配置され、金属ダンパ9を一方側(図2及び図4中、上側)から押圧して保持している。第2保持部材190bは、低圧燃料室(ダンパ室)10内において金属ダンパ(ダンパ部材)9を挟んで第1保持部材190aの反対側に(ポンプボディ1と金属ダンパ9との間に)配置され、金属ダンパ9を他方側(図2及び図4中、下側)から押圧して保持している。本実施例では、第1保持部材190a及び第2保持部材190bに発生するばね反力により、金属ダンパ9を低圧燃料室(ダンパ室)10内で確実に保持する。
(金属ダンパ及び金属ダンパの保持構造の詳細) 次に、金属ダンパ及び金属ダンパを保持するための部品の構成・構造の詳細を図6及び図7を用いて説明する。図6は本発明の第1の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプの一部を構成する金属ダンパ及びその保持構造を切断した状態で示す拡大斜視図である。図7は図6に示す本発明の第1の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプの一部を構成する第1保持部材を示す斜視図である。
図6において、金属ダンパ9は、例えば、2枚の波板状の円盤型金属ダイアフラムをその周縁部で全周溶接して張り合わせ、張り合わせた2枚のダイアフラムの間に形成された内部空間91aにアルゴン等の不活性ガスを封入することで形成されている。換言すると、金属ダンパ9は、不活性ガスが封入された内部空間を有する平面視略円形状の本体部91と、周縁部に形成された溶接部92と、本体部91と溶接部92との間に径方向に延在する環状且つ平面状の平板部(鍔部)93とで構成されている。平板部93は、2枚の金属ダイアフラムの平面状の部分が重なり合っている部分であり、溶接部92よりも径方向内側に位置している。金属ダンパ9は、両面に作用する圧力によって本体部91の内部空間91aの容積が増減することで、圧力脈動を低減するものである。
ポンプボディ1の凹部1pは、開口側が拡径する円錐台状に形成されている。ポンプボディ1の凹部1p側の端部は、外周面1rが円柱面状に形成され、端面1sが円環状に形成されている。換言すると、ポンプボディ1の凹部1p側の端部には、環状突部1vが形成されている。ポンプボディ1の凹部1p側の端部及び凹部1pは、回転対称な形状である。
ダンパカバー14は、例えば、一方側が閉塞された段付きの筒状(カップ状)で回転対称な形状に形成されており、第1保持部材190a、金属ダンパ9、第2保持部材190bの3つの部品を収容可能に構成されている。
具体的には、中心軸線Axに沿う方向に複数段の段部からなる段付き筒状に形成され、第1筒部141a、第2筒部142a、第3筒部143a、及び第4筒部144aを有する。第1筒部141a、第2筒部142a、第3筒部143a、及び第4筒部144aは、それぞれ中心軸線Axに沿う方向に延設される。各筒部の半径(直径)は、第4筒部144aが最も大きく、続いて第3筒部143a、第2筒部142a、第1筒部141aの順に小さくなる。すなわち各筒部は、径方向外側から、第4筒部144a、第3筒部143a、第2筒部142a、第1筒部141aの順に配置される。
第4筒部144aと第3筒部143aとの間には、第4筒部144aと第3筒部143aとを接続する第4接続部144bが形成されている。第4接続部144bは第4筒部144aから第3筒部143aに向かって径方向に延設され、第4筒部144aと第3筒部143aとの間の段差部となる第4径方向延設部(第4段差部)を構成する。
第3筒部143aと第2筒部142aとの間には、第3筒部143aと第2筒部142aとを接続する第3接続部143bが形成されている。第3接続部143bは第3筒部143aから第2筒部142aに向かって径方向に延設され、第3筒部143aと第2筒部142aとの間の段差部となる第3径方向延設部(第3段差部)を構成する。
第2筒部142aと第1筒部141aとの間には、第2筒部142aと第1筒部141aとを接続する第2接続部142bが形成されている。第2接続部142bは第2筒部142aから第1筒部141aに向かって径方向に延設され、第2筒部142aと第1筒部141aとの間の段差部となる第2径方向延設部(第2段差部)を構成する。
第1筒部141aの上端部(第2筒部142a側とは反対側の端部)には、第1筒部141aから第1筒部141aの中心(中心軸線Ax)に向かって径方向に延設される第1径方向延設部141bが構成される。第1径方向延設部141bは、ダンパカバー14の一端部(上端部)を閉塞する、中心軸線Axに直交する円形状の閉塞部141bを構成する。
第3筒部143a及び第4筒部144aは、第1筒部141a及び第2筒部142aに対して、中心軸線Axに沿う方向の長さが長く、中心軸線Axに沿って半径が一定の円筒状の面を成す。第1筒部141a及び第2筒部142aは、第3筒部143a及び第4筒部144aに対して中心軸線Axに沿う方向の長さが短く、第2筒部142aは第3筒部143a側から第1筒部141a側に向かって縮径するテーパ状の面として構成され、第1筒部141aは第2筒部142a側から閉塞部141b側に向かって縮径するテーパ状の面として構成されている。また、第2接続部142b及び第3接続部143bは、第4接続部144bに対して径方向における長さが長く、中心軸線Axに直交する方向に延設される平面部を有する。一方、第4接続部144bは、第4筒部144aと第3筒部143aとの間に形成する段差が第2接続部142b及び第3接続部143bが形成する段差よりも小さいため、中心軸線Axに直交する方向に延設される平面部は設けられていない。
第1筒部141a及び第1径方向延設部(閉塞部)141bは第1凹み部(第1段部)141を構成する。第1筒部141aは第1み凹部141の側壁部を構成し、第1径方向延設部141bは第1凹み部141の底部を構成する。
第2筒部142a及び第2径方向延設部(第2段差部)142bは第2凹み部(第2段部)142を構成する。第2筒部142aは第2凹み部142の側壁部を構成し、第2径方向延設部142bは第2凹み部142の底部を構成する。
第3筒部143a及び第3径方向延設部(第3段差部)143bは第3凹み部(第3段部)143を構成する。第3筒部143aは第3凹み部143の側壁部を構成し、第3径方向延設部143bは第3凹み部143の底部を構成する。
第4筒部144a及び第4径方向延設部(第4段差部)144bは第4凹み部(第4段部)144を構成する。第4筒部144aは第4凹み部144の側壁部を構成し、第4径方向延設部144bは第4凹み部144の底部を構成する。
第1凹み部141は、有底筒状を成すダンパカバー14の最も深い位置に設けられ、第1凹み部141の第1径方向延設部(閉塞部)141bが最深の底部を構成する。第4凹み部144は有底筒状を成すダンパカバー14の開口側に設けられ、ダンパカバー14の開口部を構成する。
なお、中心軸線Axはプランジャ2の中心軸線に一致し、この中心軸線Axをポンプボディ1の中心軸線とする。
ダンパカバー14は、例えば、鋼板をプレス加工することで成形したものである。ダンパカバー14の第4筒部144aは、ポンプボディ1の凹部1p側の端部の外周面1rに圧入され溶接により固定される。ダンパカバー14は、筒状部分に複数の段を設けることで、ポンプボディ1に取り付ける部分(第4筒部144a)に対して先端部分(第1筒部141a)を小型化することができ、高圧燃料供給ポンプの設置空間が狭隘な場合に有利である。
第1保持部材190aは、例えば図6及び図7に示すように、有底筒状(カップ状)で回転対称な形状の弾性体である。具体的には、第1保持部材190aは、ダンパカバー14の第2径方向延設部142bの下面に当接する当接部190a1と、金属ダンパ9の平板部93を全周に亘って押圧する環状の押え部(当接部)190a2と、当接部190a1と押え部190a2とを繋ぎ、当接部190a1から押え部190a2へ向かって拡径するテーパ状の第1側壁面部(テーパ部)190a3と、押え部190a2の全周から径方向外側に突出し、金属ダンパ9の溶接部92の一部を受け容れ可能に湾曲する環状の湾曲部190a4と、湾曲部190a4から凹部1pに向かって軸方向に延在し、金属ダンパ9の周縁部を取り囲む円筒状の囲い部190a5と、を有している。第1保持部材190aは、例えば、鋼板をプレス加工することで成形したものである。
当接部190a1はダンパカバー14側に当接するダンパカバー側当接部を構成し、押え部190a2は金属ダンパ(ダンパ部材)9側に当接するダンパ部材側当接部を構成する。当接部190a1は、押え部190a2に対して径方向内側に形成される。また第1側壁面部190a3及び当接部190a1は、押え部190a2に対して径方向内側に形成され、金属ダンパ9の側とは反対側に向かって凹む第1保持部材190aの凹み部(第1保持部材凹み部)を構成する。
以上説明したように、本実施例に係る高圧燃料供給ポンプは、内部に加圧室11を有するポンプボディ1と、ポンプボディ1と共に加圧室11の上流側にダンパ室10を形成するダンパカバー14と、ダンパ室10に配置されるダンパ部材9と、ダンパカバー14とダンパ部材9の間に介在してダンパ部材9を保持する第1保持部材190aと、を備える。第1保持部材190aは、ダンパ部材9側に当接するダンパ部材側当接部190a2と、ダンパ部材側当接部190a2に対して径方向内側に形成されダンパ部材9に対して反対側に向かって凹む第1保持部材凹み部(190a1,190a3)と、第1保持部材凹み部(190a1,190a3)に形成されダンパカバー14側に当接するダンパカバー側当接部190a1と、を有する。ダンパカバー14は、第1保持部材190aと非接触に形成される第1凹み部141(141a,141b)と、第1凹み部141に対して径方向外側に形成されるともに第1保持部材凹み部(190a1,190a3)に当接する第2凹み部142(142a,142b)とを有する。
さらに本実施例に係る高圧燃料供給ポンプでは、第1保持部材190aは、ダンパ部材側当接部190a2とダンパカバー側当接部190a1との間に、ダンパ部材側当接部190a2とダンパカバー側当接部190a1とを接続し、ダンパ部材側当接部190a2からダンパカバー側当接部190a1に向かって縮径するテーパ部(第1側壁面部)190a3を備える。第1保持部材凹み部(190a1,190a3)は、ダンパカバー側当接部190a1とテーパ部190a3とを備える。
当接部190a1は、円形状且つ平面状に形成されている。当接部190a1の中央部には、第1連通孔190a1aが設けられている。本実施例においては、第1連通孔190a1aを設けない構成も可能である。しかし、第1連通孔190a1aは、後述する第1実施例の変形例に適用する場合に必要な構造であり、部品の共通化を図る目的で設けられている。なお、第1連通孔190a1aの詳細は、変形例の説明で述べる。
第1側壁面部190a3には、複数の穴部(第2連通孔)190a3aが周方向に間隔をあけて複数設けられている。第2連通孔190a3aは、テーパ状の第1側壁面部190a3の径方向内側に形成された空間(第1保持部材190aと金属ダンパ9とで囲まれた空間)と第1側壁面部190a3の径方向外側に形成された空間(第1保持部材190aとダンパカバー14とで囲まれた空間)とを連通する連通路(貫通孔)であり、低圧燃料室(ダンパ室)10内の燃料が金属ダンパ9の本体部91の両面に流通することを可能とする流路として機能する。
囲い部190a5は、その内径が金属ダンパ9の外径よりも所定の範囲内の間隙(第1間隙)g1をもつように設定されており、金属ダンパ9の径方向への移動を規制する第1規制部として機能する。囲い部190a5の内周面と金属ダンパ9の周縁との間の第1間隙g1は、金属ダンパ9が第1保持部材190aに対して径方向に当該第1間隙g1分ずれたとしても、第1保持部材190aの押え部190a2が金属ダンパ9の溶接部92に接触しない範囲に設定されている。
囲い部190a5の開口側端部(下端部)には、径方向外側に突出する突起部190a6が周方向に間隔をあけて複数設けられている。複数の突起部190a6は、ダンパカバー14の第3筒部143aの内周面に対して所定の範囲内の間隙(第2間隙)g2(図8参照)をもって対向するように構成されており、低圧燃料室(ダンパ室)10内での第1保持部材190aの径方向の移動を規制する第2規制部として機能する。換言すると、複数の突起部190a6は、ダンパカバー14内での第1保持部材190aの芯出し機能を有している。当該芯出し機能を十分に発揮するためには、6つ以上の突起部190a6を設けることが望ましい。各突起部190a6の先端とダンパカバー14の中径筒部144の内周面との間の第2間隙g2は、第1保持部材190aがダンパカバー14に対して径方向に当該第2間隙g2分ずれたとしても、第1保持部材190aの押え部190a2が金属ダンパ9の溶接部92に接触しない範囲に設定されている。
各突起部190a6は例えば切り起こしによって成形されており、隣接する突起部190a6の間には、周方向に延在する空間P1が形成されている。この空間P1は、金属ダンパ9の一方側(図6中、上側)の空間と他方側(図6中、下側)の空間とを連通させる連通路を構成しており、低圧燃料室(ダンパ室)10内の燃料が金属ダンパ9の本体部91の両面に流通することを可能とする流路として機能する。各突起部190a6の長さは、切り起こしが可能な範囲で短く設定することが可能である。突起部190a6の長さを極力短くした場合でも、隣接する突起部190a6の間に流路としての空間P1を必ず確保することができるので、第1保持部材9aは、その径方向の大きさの小型化が可能である。
第2保持部材190bは、例えば図6(後述の図8も参照)に示すように、筒状で回転対称な形状の弾性体である。具体的には、第2保持部材190bは、一方側(下端部側)が拡径する筒状の第2側壁面部190b1と、第2側壁面部190b1の小径側の上端部から径方向内側に屈曲する環状の押え部190b2と、第2側壁面部190b1の大径側の下端部から径方向外側に突出する環状のフランジ部190b3と、で構成されている。
第2保持部材190bは、例えば、鋼板をプレス加工することで成形したものである。
第2側壁面部190b1には、第3連通孔190b1aが周方向に間隔をあけて複数設けられている。第3連通孔190b1aは、筒状の第2側壁面部190b1の径方向内側に形成された空間(第2保持部材190bと金属ダンパ9とポンプボディ1の凹部1pとで囲まれた空間)P2と第2側壁面部190b1の径方向外側に形成された空間(第2保持部材190bとダンパカバー14とで囲まれた空間)P3とを連通する連通路であり、低圧燃料室(ダンパ室)10内の燃料が金属ダンパ9の本体部91の両面に流通することを可能とする流路として機能する。
押え部190b2は、金属ダンパ9の平板部93を全周に亘って押圧するように構成されており、第1保持部材190aの押え部190b2と略同じ径に形成されている。すなわち、第2保持部材190bの押え部190b2及び第1保持部材190aの押え部190a2は、金属ダンパ9の平板部93の両面をそれぞれ同じように挟持するように構成されている。
フランジ部190b3は、ポンプボディ1の凹部1p側の端面1sに上側から当接するように構成されている。また、フランジ部190b3は、ダンパカバー14の大径筒部143の内周面に対して所定の範囲内の間隙(第3間隙)g3をもって対向するように構成されており、低圧燃料室(ダンパ室)10内での第2保持部材190bの径方向の移動を規制する第3規制部として機能する。換言すると、フランジ部190b3は、ダンパカバー14内での第2保持部材190bの芯出し機能を有している。フランジ部190b3の外周縁とダンパカバー14の第4筒部144aの内周面との間の第3間隙g3は、第2保持部材190bがダンパカバー14に対して径方向に当該第3間隙g3分ずれたとしても、第2保持部材190bの押え部190b2が金属ダンパ9の溶接部92に接触しない範囲に設定されている。
このように、本実施例に係る金属ダンパ9の保持構造においては、第1保持部材190aの第1側壁面部190a3の第2連通孔190a3a、第1保持部材190aの隣接する突起部190a6の間に形成された空間P1、及び第2保持部材190bの第2側壁面部190b1の第3連通孔190b1aが、低圧燃料室(ダンパ室)10内の燃料が金属ダンパ9の両面に流通することを可能とする流路として機能する。このため、当該流路をポンプボディ1に設ける必要がなく、ポンプボディ1及びポンプボディ1の凹部1pの形状を回転対称形に単純化することが可能である。この場合、ポンプボディ1に対する当該流路の加工が不要であり、ポンプボディ1及びポンプボディ1の凹部1pの加工が容易となる。したがって、高圧燃料供給ポンプの製造コストを低減することが可能である。
また、本実施例に係る金属ダンパ9の保持構造においては、上述したように、第1保持部材190aの第2連通孔190a3a、隣接する突起部190a6間の空間P1、及び第2保持部材190bの第3連通孔190b1aが、低圧燃料室(ダンパ室)10内の燃料が金属ダンパ9の両面に流通することを可能とする流路として機能する。このため、ダンパカバー14を、当該流路を確保するための複雑な形状にする必要がなく、回転対称形に単純化することが可能である。この場合、ダンパカバー14の加工が容易となり、高圧燃料供給ポンプの製造コストを低減することが可能である。
また、本実施例に係る金属ダンパ9の保持構造においては、ダンパカバー14内における第1保持部材190a、金属ダンパ9、及び第2保持部材190bの径方向の位置決め(芯出し)が、第1保持部材190aの囲い部190a5、突起部190a6、及び第2保持部材190bのフランジ部190b3によって為されている。そのため、第1保持部材190a、金属ダンパ9、及び第2保持部材190bの位置決め(芯出し)のための構造をポンプボディ1に設ける必要がない。したがって、ポンプボディ1の形状の複雑化を回避することができ、ポンプボディ1及びポンプボディ1の凹部1pの形状を回転対称形に単純化することが可能である。この場合、ポンプボディ1の加工が容易となり、高圧燃料供給ポンプの製造コストを低減することが可能である。
また、本実施例に係る金属ダンパ9の保持構造においては、テーパ状の第1側壁面部(テーパ部)190a3が形成されていることにより、ダンパカバー14に当接する第1保持部材190aの当接部190a1の直径が、金属ダンパ9の平板部93を押圧する第1保持部材190aの押え部190a2の直径よりも小さい。このため、当接部190a1におけるダンパカバー14との当接面積を小さくし、且つ金属ダンパ9の外径を大きくすることができる。その結果、金属ダンパ9のダンパ性能を高めた状態で、ポンプボディ1及び金属ダンパ9から第1保持部材190aを介してダンパカバー14に伝達する振動を抑制することができる。すなわち、第1保持部材190aを介するダンパカバー14への振動伝達経路における振動伝達を抑制することができる。
特に、本実施例では、第1凹み部141が設けられていることで、第1保持部材190aの当接部190a1は、その内周側の部分がダンパカバー14と非接触状態となり、ダンパカバー14と当接する部位が外周面側の一部分に限定される。このため、本実施例に係る金属ダンパ9の保持構造は、第1保持部材190aを介してダンパカバー14に伝達する振動をさらに抑制することができる。
上述したように、本実施例に係る金属ダンパ9の保持構造は、後述する燃料の圧力脈動に対する金属ダンパ9の対応性能を高めた状態で、第1保持部材190aを介してダンパカバー14へ伝達される振動を抑制することができる。従って、本実施例に係る金属ダンパ9の保持構造は、燃料の圧力脈動の低減効果を向上することができるとともに、ダンパカバー14の最上面からの放射音を低減することができる。
(金属ダンパの組込み工程) 次に、本発明の第1実施例に係る高圧燃料供給ポンプにおける金属ダンパの組込み工程について図8を用いて説明する。図8は本発明の第1の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプにおける金属ダンパの組込み工程を示す説明図である。
まず、図8に示すように、ダンパカバー14を、閉塞部141bが下側に開口部が上側となるように配置する。
次に、第1保持部材190aを、当接部190a1が下側を向いた状態でダンパカバー14内に挿入し、ダンパカバー14の閉塞部142上に載置する。このとき、第1保持部材190aが自身の複数の突起部190a6によってダンパカバー14内で径方向の位置決めがなされる。すなわち、第1保持部材190aをダンパカバー14内へ挿入するだけで、第1保持部材190aのダンパカバー14内での芯出しが行われる。本実施例においては、第1保持部材190aの突起部190a6とダンパカバー14の第3筒部143aの内周面との間に第2間隙g2を設けているので、第1保持部材190aのダンパカバー14への組込みが容易である。
次いで、金属ダンパ9を、ダンパカバー14内の第1保持部材190aの押え部190a2上に載置する。このとき、金属ダンパ9は、第1保持部材190aの囲い部190a5によって第1保持部材190a内での径方向の位置決めがなされる。この場合、第1保持部材190aがダンパカバー14内で芯出しされた状態なので、金属ダンパ9を第1保持部材190aに載置するだけで、金属ダンパ9のダンパカバー14内での芯出しがなされる。本実施例においては、第1保持部材190aの囲い部190a5の内周面と金属ダンパ9の周縁との間に第1間隙g1を設けているので、金属ダンパ9の第1保持部材190aへの組込みが容易である。
続いて、第2保持部材190bを、押え部190b2が下側に向いた状態でダンパカバー14内へ挿入し、金属ダンパ9の平板部93上に載置する。このとき、第2保持部材190bが自身のフランジ部190b3によってダンパカバー14内で径方向の位置決めがなされる。すなわち、第2保持部材190bをダンパカバー14内へ挿入するだけで、第2保持部材190bのダンパカバー14内での芯出しが行われる。本実施例においては、第2保持部材190bのフランジ部190b3の外縁とダンパカバー14の大径筒部143の内周面との間に第3間隙g3を設けているので、第2保持部材190bのダンパカバー14への組込みが容易である。
最後に、ポンプボディ1(図6参照)の凹部1p側の端部をダンパカバー14の第4筒部144a内に圧入し、ポンプボディ1の凹部1p側の端面1sが第2保持部材190bのフランジ部190b3を押圧した状態にする。この状態において、ダンパカバー14をポンプボディ1に溶接により固定する。
この場合、第2保持部材190bのフランジ部190b3及び第2側壁面部190b1が弾性的に撓んだ状態となる。また、第1保持部材190aの当接部190a1がダンパカバー14の第2凹み部142の第2径方向延設部142bに押圧され、第1保持部材190aの第1側壁面部190a3が弾性的に撓んだ状態となる。これにより、第1保持部材190a及び第2保持部材190bにばね反力が生じ、この反力による付勢力によって金属ダンパ9が低圧燃料室(ダンパ室)10内で確実に保持される。
このように、本実施例における金属ダンパ9の組込み工程では、ダンパカバー14内に、第1保持部材190a、金属ダンパ9、及び第2保持部材190bを順次挿入するだけで、ダンパカバー14内における第1保持部材190a、金属ダンパ9、第2保持部材190bの位置決め(芯出し)を行うことができる。したがって、各部品9、190a、190bをそれぞれ位置決めするための工程が不要となる。
また、第1保持部材190a、金属ダンパ9、及び第2保持部材190bの3つの部品をユニット化してダンパカバー14に組み込む必要がないので、当該部品9、9a、9bをユニット化するサブアセンブリ工程が不要である。
さらに、ダンパカバー14、第1保持部材190a、金属ダンパ9、及び第2保持部材190bをそれぞれ回転対称形に形成したので、組込み時に部品の軸方向の向きのみを留意すればよい。
したがって、組立工程の簡略化による生産性向上とコスト低減が可能である。
(高圧燃料供給ポンプの動作) 次に、高圧燃料供給ポンプの動作を図2〜図6を用いて説明する。
図2に示すカム81の回転によりプランジャ2がカム81側に移動して吸入行程の状態にある時は、加圧室11の容積が増加し、加圧室11内の燃料圧力が低下する。この行程で加圧室11内の燃料圧力が吸入ポート31bの圧力よりも低くなると、吸入弁30が開口状態になる。このため、燃料は、図5に示すように、吸入弁30の開口部30eを通り加圧室11に流入する。
プランジャ2は、吸入行程の終了後、上昇運動に転じ圧縮行程に移る。ここで、電磁コイル43は無通電状態が維持されたままであり、磁気付勢力は生じていない。この場合、ロッド付勢ばね40の付勢力により、吸入弁30が開弁状態で維持されている。加圧室11の容積はプランジャ2の圧縮運動に伴い減少するが、吸入弁30が開弁した状態では、加圧室11に一度吸入された燃料が再び吸入弁30の開口部30eを通して吸入通路10dへと戻されるので、加圧室11の圧力が上昇することは無い。この行程を戻し行程と称する。
この状態で、ECU27(図1参照)の制御信号を電磁吸入弁機構300に印加すると、電磁コイル43には端子46(図2参照)を介して電流が流れる。すると、固定コア39とアンカー部36との間に磁気吸引力が作用し、これにより磁気付勢力がロッド付勢ばね40の付勢力に打ち勝ってロッド35が吸入弁30から離れる方向に移動する。このため、吸入弁付勢ばね33の付勢力及び燃料の吸入通路10dへの流れ込みによる流体力によって吸入弁30が閉弁する。吸入弁30の閉弁により、加圧室11の燃料圧力は、プランジャ2の上昇運動に応じて上昇し、燃料吐出口12の圧力以上になると、図3に示す吐出弁機構8の吐出弁8bが開弁する。これにより、加圧室11の高圧の燃料は、吐出弁室12a、及び燃料吐出通路12bを通って燃料吐出口12から吐出され、コモンレール23(図1参照)へ供給される。この行程を吐出行程と称する。
すなわち、図2に示すプランジャ2の圧縮行程(下始点から上始点までの間の上昇行程)は、戻し行程と吐出行程からなる。また、電磁吸入弁機構300の電磁コイル43への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の流量を制御することができる。
電磁コイル43へ通電するタイミングを早くすれば、圧縮行程中の、戻し行程の割合が小さくなり、吐出行程の割合が大きくなる。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が少なくなる一方、高圧吐出される燃料は多くなる。それに対して、通電するタイミングを遅くすれば、圧縮行程中の、戻し行程の割合が大きくなり、吐出行程の割合が小さくなる。
すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が多くなる一方、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイル43への通電タイミングは、ECU27からの指令によって制御される。
以上のように、電磁コイル43への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量をエンジンが必要とする量に制御することが出来る。
上述したポンプの容量制御において、加圧室11に一度流入した燃料が開弁状態の吸入弁30を通して再び吸入通路10dへ戻される場合(戻し行程の場合)、加圧室11から吸入通路10dへの燃料の逆流によって、低圧燃料室10に圧力脈動が発生する。圧力脈動は、図6に示す低圧燃料室(ダンパ室)10に配置された金属ダンパ9のポンプボディ1側(図6中、下側)の面に伝達されると共に、第2保持部材190bの第3連通孔190b1a、第1保持部材190aの隣接する突起部190a6間の空間P1、第1保持部材190aの第2連通孔190a3aを順に介して、金属ダンパ9のダンパカバー14側(図6中、上側)の面に伝達される。この圧力脈動は、金属ダンパ9の本体部91が膨張及び収縮することによって吸収低減される。
また、図4に示すように、大径部2aと小径部2bとを有するプランジャ2の往復運動によって、副室7aの体積が増減する。プランジャ2の下降時は、副室7aの体積が減少し、副室7aから燃料通路10eを介して低圧燃料室10への燃料の流れが発生する。一方上昇時は、副室7aの体積が増加し、低圧燃料室10から燃料通路10eを介して副室7aへの燃料の流れが発生する。これにより、ポンプの吸入行程又は戻し行程におけるポンプ内外への燃料流量を低減することができ、ポンプ内部で発生する圧力脈動を低減することができる。
なお、図3に示す電磁吸入弁機構300の故障等により、燃料吐出口12の圧力がリリーフ弁機構200のセット圧力より大きくなった場合、リリーフ弁203が開弁状態となり、異常高圧の燃料がリリーフ通路210を介して加圧室11にリリーフされる。
上述したように、本発明の第1実施例に係る高圧燃料供給ポンプによれば、第1保持部材190aが金属ダンパ9(ダンパ)の外周部が径方向外側に移動することを規制する囲い部(第1規制部)190a5、及び第一規制部190a5から径方向外側に突出するように形成され自身が径方向外側に移動することを規制する複数の突起部(第2規制部)190a6を有し、低圧燃料室(ダンパ室)10内を連通する流路(空間P)を突起部(第2規制部)190a6の位置に形成している。すなわち、周方向に隣り合う二つの第二規制部190a6の間に金属ダンパ9の上下を連通する流路が形成されている。
さらに、本実施例の高圧燃料供給ポンプでは、第1保持部材190aにはダンパ部材(金属ダンパ)9と対応する径方向内側部(径方向内側空間)とダンパ部材9の径方向外側に位置する径方向外側部(径方向外側空間)とを連通する複数の穴部(第2連通孔)190a3aが形成されており、複数の第二規制部190a6は複数の穴部190a3aに対して径方向外側に形成される。
このような構造により、ポンプボディ1に対して、第1保持部材190aや金属ダンパ9の位置決め及び当該流路のための加工が不要であり、かつ、ダンパカバー14の形状によって当該流路を確保する必要もない。したがって、ポンプボディ1及びダンパカバー14の部品形状の単純化が可能であり、それらの部品1、14の製造コストを低減することが可能である。
また、複数の第2規制部190a6の外周部がダンパカバー14の内周面と接触することで、第1保持部材190aが径方向外側に移動することを規制する。これにより、第1保持部材190aの突起部(第2規制部)190a6により第1保持部材190aのダンパカバー14内での径方向の位置決めがなされると共に、第1保持部材190aの囲い部(第1規制部)190a5により金属ダンパ9のダンパカバー14内での径方向の位置決めがなされるので、組立時の各部品9、9aの芯出しが容易である。
さらに、本実施の形態によれば、第1保持部材190aの突起部190a6とダンパカバー14の内周面と間に第2間隙g2が形成されるように第1保持部材190aを構成したので、第1保持部材190aを容易にダンパカバー14内に組み込むことができる。
加えて、本実施の形態によれば、第1保持部材190aの突起部190a6とダンパカバー14の内周面と間の第2間隙g2を、第1保持部材190aが径方向に当該第2間隙g2分移動しても、第1保持部材190aの押え部190a2が金属ダンパ9の溶接部92に接触しないような範囲に設定したので、第1保持部材190aをダンパカバー14に対してすきま嵌めとなるように構成しても、第1保持部材190aが金属ダンパ9の溶接部92を押圧することがない。したがって、溶接部92に第1保持部材190aの押圧力が作用して溶接部92に亀裂等の損傷が生じることを防止することができる。
また、本実施例によれば、金属ダンパ9の一方側に配置した第1保持部材190aと他方側に配置した第2保持部材190bとで金属ダンパ9を挟持して保持する構成としたので、低圧燃料室(ダンパ室)10内で金属ダンパ9を強固に保持できると共に、金属ダンパ9をポンプボディ1やダンパカバー14により直接的に保持することを回避することができる。
さらに、本実施例によれば、第2保持部材190bが自身の径方向への移動を規制するフランジ部(第3規制部)190b3を有しているので、第2保持部材190bのダンパカバー14内での径方向の位置決めが容易である。
また、本実施例によれば、第2保持部材190bのフランジ部190b3とダンパカバー14の内周面と間に第3間隙g3が形成されるように第2保持部材190bを構成したので、第2保持部材190bを容易にダンパカバー14内に組み込むことができる。
さらに、本実施例によれば、第2保持部材190bのフランジ部190b3とダンパカバー14の内周面と間の第3間隙g3を、第2保持部材190bが径方向に当該第3間隙g3分移動しても、第2保持部材190bが金属ダンパ9の溶接部92に接触しない範囲に設定したので、第2保持部材190bをダンパカバー14に対してすきま嵌めとなるように構成しても、第2保持部材190bが金属ダンパ9の溶接部92を押圧することがない。したがって、溶接部92に第2保持部材190bの押圧力が作用して溶接部に亀裂等の損傷が生じることを防止することができる。
また、本実施の形態例によれば、第1保持部材190aの筒状の第1側壁面部190a3に、低圧燃料室10における第1側壁面部190a3の径方向内側に形成された空間と径方向外側に形成された空間とを連通させる第2連通孔190a3aを設けたので、低圧燃料室10内の燃料が金属ダンパ9の両面に流通することを可能とする流路を確実に確保することができる。
また、本実施例によれば、第1保持部材190aの第1規制部としての囲い部190a5を金属ダンパ9の周縁部の全周を取り囲むように構成したので、第1規制部の金属ダンパ9の芯出し機能を確実に発揮することができる。
また、本実施例によれば、第1保持部材190aを、組立時にダンパカバー14に当接して弾性変形する弾性体として構成したので、第1保持部材190aのばね反力により金属ダンパ9を低圧燃料室(ダンパ室)10内で確実に保持することができる。
同様に、本実施例によれば、第2保持部材190bを、組立時にポンプボディ1に当接して弾性変形する弾性体として構成したので、第2保持部材190bのばね反力により金属ダンパ9を低圧燃料室(ダンパ室)10内で確実に保持することができる。
また、本実施例によれば、ダンパカバー14の閉塞部142に当接する第1保持部材190aの当接部190a1を平面状に形成したので、当接部190a1に作用するダンパカバー14の押圧力が分散され、当接部190a1に局所的に大きな応力が生じることを抑制することができる。
[第1実施例の変形例] 次に、本発明の第1実施例の変形例に係る高圧燃料供給ポンプを図9〜図11を用いて説明する。図9は本発明の第1の実施の形態の変形例に係る高圧燃料供給ポンプを示す縦断面図である。図10は図9に示す本発明の第1の実施の形態の変形例に係る高圧燃料供給ポンプをX−X矢視から見た横断面図である。図11は発明の第1の実施の形態の変形例に係る高圧燃料供給ポンプをプランジャ及び吐出弁機構の両軸心を含む平面(図9とは異なる平面)で切断した状態で示す縦断面図である。なお、図9〜11において、図1乃至図8に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図9〜図11に示す第1実施例の変形例に係る高圧燃料供給ポンプは、第1実施例に係る高圧燃料供給ポンプが吸入ジョイント51をポンプボディ1の側面側に取り付けているのに対して(図3及び図4参照)、吸入ジョイント51をダンパカバー14Aに取り付けたものである。
具体的には、ダンパカバー14Aは、図9及び図11に示すように、その閉塞部141bの中央部に取付筒部145を有している。取付筒部145は、吸入ジョイント51の軸Xとダンパカバー14Aの軸(中心軸線Axに一致)と一致するように形成されている。
取付筒部145は、例えば、プレス加工することで成形されている。取付筒部145の内側に、吸入ジョイント51が圧入溶接により固定されている。吸入ジョイント51の内部には、吸入フィルタ52が配置されている。
吸入ジョイント51の低圧燃料吸入口10aは、取付筒部145を介して第1保持部材190aの第1連通孔190a1a(図7も参照)に連通している。第1保持部材190aの第1連通孔190a1aは、吸入ジョイント51に取り付ける吸入配管28(図1参照)の流路径よりも径が大きくなるように形成されている。また、第1連通孔190a1aの径は、ダンパカバー14Aが第1保持部材190aの当接部190a1(図6及び図8も参照)に当接することで第1保持部材190aが変形した際に、第1保持部材190aが弾性変形を維持可能な大きさに設定されている。
本変形例に係る高圧燃料供給ポンプにおいては、図9に示すように、吸入ジョイント51の低圧燃料吸入口10aから流入した燃料は、第1保持部材190aの第1連通孔190a1aを介して低圧燃料室10に流入する。低圧燃料室10内の燃料は、さらに、第1保持部材190aの第2連通孔190a3a(図6参照)、第1保持部材190aの突起部190a6間の空間P1(図6参照)、及び第2保持部材190bの第3連通孔190b1a(図6参照)を順に介して電磁吸入弁機構300の吸入ポート31bに流入する。
電磁吸入弁機構300では、前述した第1実施例と同様に、ポンプの容量制御が行われる。
上述した本発明の第1実施例の変形例に係る高圧燃料供給ポンプによれば、前述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
また、本変形例によれば、吸入ジョイント51をダンパカバー14Aに取り付ける構成としたので、吸入ジョイント51をポンプボディ1に取り付ける第1実施例の場合(図3参照)と比較して、図10に示すにように、吸入ジョイント51の取付のためのポンプボディ1に対する加工が不要となる。この場合、ダンパカバー14Aを例えばプレス加工することで取付筒部142aを形成する必要があるが、ダンパカバー14Aのプレス加工は、ポンプボディ1の加工よりも製造コストを低減することができる。
さらに、本実施例によれば、第1保持部材190aの第1連通孔190a1aの径を、吸入ジョイント51に取り付ける吸入配管28(図1参照)の流路よりも大きくなるように設定しているので、低圧燃料吸入口10aから低圧燃料室10へ燃料が流入する際に、第1保持部材190aの第1連通孔190a1aによる燃料の圧力損失を抑制することができる。
加えて、本実施例によれば、第1保持部材190aの第1連通孔190a1aの径を、ダンパカバー14が第1保持部材190aの当接部190a1に当接した際に第1保持部材190aが弾性変形を維持可能な大きさに設定しているので、第1保持部材190aの塑性変形が防止され、第1保持部材190aのばね反力により金属ダンパ9を低圧燃料室(ダンパ室)10内で確実に保持することができる。
[実施例2] 次に、本発明の第2実施例に係る高圧燃料供給ポンプの構成を図12を用いて説明する。図12は本発明の第2の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプの金属ダンパ周辺を示す縦断面図である。なお、図12において、図1〜図11に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図12に示す本発明の第2実施例に係る高圧燃料供給ポンプが第1実施例に係る高圧燃料供給ポンプと相違する点は、中央部の段部が、図の上から見て凹形状にしたことである。すなわち、本実施例では、第1実施例の第1凹み部141がダンパカバー14の外側から見た場合に凹み部を形成しており、ダンパカバー14の内側から見た場合に第2凹み部142の底部142bから下方(金属ダンパ9側)に向かって突出する形状を成している。すなわち、第1凹み部141は第2凹み部142に対して金属ダンパ(ダンパ部材)9側に形成される。
上述した本発明の第2実施例に係る高圧燃料供給ポンプによれば、前述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
[実施例3] 次に、本発明の第3実施例に係る高圧燃料供給ポンプの構成を図13を用いて説明する。図13は本発明の第3の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプの金属ダンパ周辺を示す縦断面図である。なお、図13において、図1〜図11に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図13に示す本発明の第3実施例に係る高圧燃料供給ポンプが第1実施例に係る高圧燃料供給ポンプと相違する点は、第1凹み部141を構成する第1径方向延設部141b(ダンパカバー14の中央部の段)と第1保持部材190aとの間に、別部材Wを挟んで固定したことである。
この別部材Wを追加することで、質量を増加し、振動の振幅を小さくする効果がある。
この別部材Wは、振動の減衰効果を有する材料とすると、より効果が高い。
この別部材Wは、材料は金属でなくともよく、ゴムや樹脂であっても、同様な効果が期待できる。すなわち、第1凹み部141に、振動減衰効果を有する材料で構成される、ダンパカバー14及び第1保持部材190aとは異なる別部材Wを備え、別部材Wが設けられていない状態と比較して、第1保持部材190aからダンパカバー14に伝達される振動を減衰する。これにより、別部材Wによる振動低減効果を期待でき、低騒音化を向上した高圧燃料供給ポンプを実現できる可能性がある。
[実施例4] 次に、本発明の第4実施例に係る高圧燃料供給ポンプの構成を図14を用いて説明する。図14は本発明の第4の実施の形態に係る高圧燃料供給ポンプの金属ダンパ周辺を示す縦断面図である。なお、図14において、図1〜図11に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図14に示す本発明の第2実施例に係る高圧燃料供給ポンプが第1実施例に係る高圧燃料供給ポンプと相違する点は、外側の段部を無くしたことである。すなわち、第1実施例における、第1筒部141a、第2筒部142a、及び第3筒部143aの外周面が単一の円柱面146で構成される。また、第1実施例における、第1径方向延設部141b、第2径方向延設部142b、及び第3径方向延設部143bの外面が単一の平坦面(最上面)147で構成される。なお、本実施例においても、第1実施例における、第4筒部144a及び第4径方向延設部144bは第1実施例と同様な形態で存在する。
本実施例では、第1凹み部141及び第2凹み部142に対応するダンパカバーの上面は一つの平面で形成され、第1凹み部141及び第2凹み部142に対応するダンパカバーの外周面は一つの円柱面で形成される。当然ではあるが、上面を構成する平面と外周面を構成する円柱面との縁部には面取り部が形成される。
なお、図14に示すように、本実施例においても、第1凹み部141を構成する第1筒部141a及び第1径方向延設部141bがあり、第2凹み部142を構成する第2筒部142a及び第2径方向延設部142bがあり、第3凹み部143を構成する第1筒部143a及び第3径方向延設部143bがあり、第4凹み部144を構成する第4筒部144a及び第4径方向延設部144bがある。
本実施例では、外側の段部を無くし、ダンパカバー14をより肉厚にすることで、ダンパカバー14の剛性を向上することができ、放射する音の低減が期待できる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。