JPWO2019181516A1 - グリコリドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、グリコリドの生成速度を十分に高めることができるグリコリドの製造方法を提供することである。本発明のグリコリドの製造方法は、金属チタンをグリコール酸水溶液に添加する工程と、前記金属チタンが添加されたグリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得る工程と、前記グリコール酸オリゴマーを加熱し、解重合させて、グリコリドを得る工程とを含む。

Description

本発明は、グリコリドの製造方法に関する。
ポリグリコール酸は、生分解性、ガスバリア性、強度などに優れた樹脂材料であり、縫合糸や人工皮膚などの医療用高分子材料、ボトル、フィルムなどの包装材料、射出成形品、繊維、蒸着フィルム、釣糸などの各種工業製品の樹脂材料などの広い技術分野で用いられている。
このようなポリグリコール酸は、用途によっては、高い重合度を有することが求められる。高重合度のポリグリコール酸は、グリコリドを開環重合させる方法によって製造することができる。また、ポリグリコール酸の生産コストの低減が求められており、原料であるグリコリドの量産化、すなわち、グリコリドを高い生成速度で製造できることが求められている。
グリコリドは、1)グリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得る工程(脱水重縮合工程)、および2)得られたグリコール酸オリゴマーを解重合させる工程(解重合工程)を経て製造されうる。
そして、グリコリドを高収率または効率的に製造する方法として、例えばグリコール酸オリゴマーの解重合反応を、触媒としてオクチル酸スズの存在下で行う方法(例えば特許文献1)や、グリコール酸オリゴマーの解重合反応を、触媒としてチタンアルコキシド(Ti(OH))を溶解させたメトキシエタノール溶液の存在下で行う方法(例えば特許文献2)などが提案されている。
また、チタン製の反応容器内で、70%グリコール酸水溶液を150℃まで徐々に加熱しながら脱水重縮合を行った後、得られたグリコール酸オリゴマーを減圧下で加熱して、固相解重合させる方法が知られている(例えば特許文献3)。
特開2015−145345号公報 特表2013−535433号公報 特開2000−119269号公報
しかしながら、特許文献1および2で示されるグリコリドの製造方法では、グリコリドの生成速度は十分ではなかった。また、特許文献3に示されるグリコリドの製造方法では、良好にグリコリドを製造することができるものの、高重合度のポリグリコール酸の生産コストを低減させる観点では、原料となるグリコリドの生産速度のさらなる向上が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グリコリドの生成速度を十分に高めることができるグリコリドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のグリコリドの製造方法は、金属チタンをグリコール酸水溶液に添加する工程と、前記金属チタンが添加されたグリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得る工程と、前記グリコール酸オリゴマーを加熱し、解重合させて、グリコリドを得る工程と、を含む。
本発明によれば、グリコリドの生成速度を十分に高めることができるグリコリドの製造方法を提供することができる。
本発明者らは、触媒として、金属チタンを添加することに着目した。グリコリドの生成速度を高めるためには、触媒は、通常、解重合工程で添加することが一般的である。解重合工程は、安定かつ大量にグリコリドの生成が可能である点から、好ましくは有機溶媒中で行われる。しかしながら、金属チタンを解重合工程で添加しても、金属チタンを有機溶媒に溶解させることはできず、有効に作用させることはできなかった。
これに対し、本発明では、金属チタンを、脱水重縮合工程で用いられるグリコール酸水溶液に添加する。金属チタンは、通常、水溶液には溶解しないが、グリコール酸水溶液はpHが低いことから、金属チタンをグリコール酸水溶液に良好に溶解させてチタンイオンを含むグリコール酸水溶液を得ることができる。一方、たとえば特許文献2に記載のチタンアルコキシドやチタンのカルボン酸塩など、従来のチタン系触媒をグリコール酸水溶液に添加すると、チタン系触媒が加水分解して沈殿してしまい、触媒として機能しない。
本発明では、溶出したチタンイオンを含むグリコール酸水溶液を用いて脱水重縮合工程を行うことで、当該チタンイオンの触媒作用により、脱水重縮合反応の速度を高めることができると考えられる。また、当該チタンイオンは、チタンのカルボン酸塩やチタンアルコキシドなどの従来のチタン系触媒とは異なり、配位子の影響を受けないため、得られるグリコール酸オリゴマー中に高度に分散しやすいと考えられる。そのようなグリコール酸オリゴマーを用いて解重合工程を行うことで、当該チタンイオンの触媒作用により、解重合反応の速度を効果的に高めることができると考えられる。特に、金属チタンをグリコール酸水溶液に添加してグリコール酸オリゴマー中に供給することで、高活性な状態のチタン(チタンイオン)をグリコール酸オリゴマー中に供給することができる。これらの結果、少ない添加量でも、触媒としての作用が得られやすく、グリコリドの生成速度を飛躍的に高めることができると考えられる。
また、金属チタンの添加は、「少なくとも内側の表面がチタンまたはその合金で構成された反応容器内でグリコール酸水溶液を加熱し、沸点未満の温度で維持すること」によって行うこともできる。それにより、グリコリドの生成速度が飛躍的に高めることもできる。
その理由は、以下のように考えられる。すなわち、グリコール酸水溶液のpHは低いことから、グリコール酸水溶液を沸点未満の温度で維持する間に、上記反応容器の内側の表面から、チタンがグリコール酸水溶液中に溶出する。このように、溶出したチタンイオンを含むグリコール酸水溶液を用いて脱水重縮合工程を行うことで、当該チタンイオンの触媒作用により、脱水重縮合反応の速度が高められると考えられる。また、得られるグリコール酸オリゴマー中にもチタンイオンが良好に分散しうる。そのようなグリコール酸オリゴマーを用いて解重合工程を行うことで、当該チタンイオンの触媒作用により、解重合反応の速度も高められると考えられる。これらの結果、グリコリドの生成速度が飛躍的に高められると考えられる。
このように、反応容器から溶出したチタンイオンは、グリコール酸水溶液や生成するグリコール酸オリゴマーに対して良好に分散しやすいため、触媒作用が効果的に得られやすい。
1.グリコリドの製造方法
本発明のグリコリドの製造方法は、1)金属チタンをグリコール酸水溶液に添加する工程(金属チタン添加工程)、2)金属チタンが添加されたグリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得る工程(脱水重縮合工程)、および3)得られたグリコール酸オリゴマーを加熱し、解重合させて、グリコリドを得る工程(解重合工程)を含む。
1)の工程(金属チタン添加工程)について
金属チタンを、グリコール酸水溶液に添加する。それにより、金属チタンの少なくとも一部を、グリコール酸水溶液に溶解させる。
グリコール酸水溶液は、グリコール酸を含む水溶液である。グリコール酸は、エステル(例えば低級アルキルエステル)や塩(例えばナトリウム塩)などであってもよい。
グリコール酸の含有量は、グリコール酸水溶液の全質量に対して、例えば1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
金属チタンは、チタン以外の他の成分を含みうるチタンであるが、チタン以外の成分による不必要な反応を抑制する観点では、他の成分の含有量が10質量%以下のチタンであることが好ましい。金属チタンの形態は、反応器内に投入できる形態であればよく、粉状であってもよいし、板状であってもよいし、針金状(リール状に巻かれたものなど)であってもよいし、塊状であってもよい。中でも、グリコール酸水溶液中へ均一に分散させやすくする観点では、金属チタンは、粉状、すなわち、チタン粉であることが好ましい。
チタン粉の平均粒子径は、特に制限されないが、例えばグリコール酸水溶液中へ均一に分散させやすくする観点では、100μm以下、具体的には1μm以上100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。チタン粉の平均粒子径は、粒度径分布測定装置により体積平均の粒度分布の算術平均として測定することができる。
金属チタンの添加量は、特に制限されないが、2)の工程で生成するグリコール酸オリゴマーの全質量に対する量が後述する範囲となるように調整されることが好ましい。具体的には、金属チタンの添加量は、グリコール酸の全質量に対して1ppm以上1000ppm以下であることが好ましく、5ppm以上400ppm以下であることがより好ましく、10ppm以上50ppm以下であることがさらに好ましい。金属チタンの添加量が一定以上であると、グリコール酸の脱水重縮合反応や、グリコール酸オリゴマーの解重合反応の速度を高めやすく、結果として、グリコリドの生成速度を高めやすいが、多すぎると副反応が増加する傾向がある。金属チタンの添加量が一定以下であると、金属チタンの溶け残りを低減しやすく、回収コストを低減しやすいが、少なすぎると触媒効果が得られにくい。
金属チタンの添加は、金属チタンを均一に溶解させやすくする観点から、グリコール酸水溶液を加熱しながら行ってもよい。同様の観点から、金属チタンの添加は、グリコール酸水溶液を攪拌しながら行ってもよい。
本工程は、2)の工程の前に行ってもよいし、2)の工程と同時に行ってもよい。
また、金属チタンの添加は、上記実施の形態に限らず、1)の工程(金属チタン添加工程)に代えて、1’)少なくとも内側の表面がチタンまたはその合金で構成された反応容器にグリコール酸水溶液を入れて加熱し、そのときの沸点未満の温度で維持する工程(加熱保温工程)によって行うこともできる。
1’)の工程(加熱保温工程)について
まず、少なくとも内側の表面がチタンまたはその合金で構成された反応容器に、グリコール酸水溶液を入れる。
少なくとも内側の表面がチタンまたはその合金で構成された反応容器は、チタンまたはその合金製の反応容器であってもよいし、ステンレス製などの他の金属製の反応容器の内側の表面が、チタンまたはその合金からなる層で覆われたものであってもよい。中でも、チタンによる触媒作用を発現しやすくする観点では、チタンとチタン合金とでは、チタンが好ましく、チタン製の反応容器、または、他の金属製の反応容器の内側の表面がチタン層で覆われたものが好ましい。さらに、長時間の加熱保温に耐えうる観点では、チタン製の反応容器がより好ましい。
グリコール酸水溶液は、グリコール酸を含む水溶液である。グリコール酸は、エステル(例えば低級アルキルエステル)や塩(例えばナトリウム塩)などであってもよい。
グリコール酸の含有量は、グリコール酸水溶液の全質量に対して、例えば1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
グリコール酸水溶液は、高純度のグリコリドを得やすくする観点では、有機物や金属イオンなどの不純物の含量が少ない精製品(高純度グレード)を用いることが好ましい。
次いで、上記反応容器に入れたグリコール酸水溶液を加熱して、そのときの沸点未満の温度で維持する。具体的には、グリコール酸水溶液を沸点まで加熱した後、そのときの沸点未満の温度で維持することが好ましい。それにより、上記反応容器の内側の表面から、グリコール酸水溶液中にチタンを適度に溶出させることができる。
「そのときの沸点」とは、加熱された状態(加熱後)のグリコール酸水溶液の沸点を示す。すなわち、グリコール酸水溶液の沸点は、グリコール酸の含有量(濃度)によって変化する。例えば、70質量%グリコール酸水溶液の沸点は115℃であるが、115℃まで加熱した後、さらに加熱を続けると、グリコール酸の含有量(濃度)が徐々に高くなり、それに伴い、グリコール酸水溶液の沸点も(115℃よりも)徐々に高くなる。したがって、例えば70質量%グリコール酸水溶液の場合、グリコール酸水溶液を115℃まで加熱した後に、115℃で維持するステップは、沸点未満の温度で維持するステップに該当する。
すなわち、加熱する前のグリコール酸水溶液の沸点をTbb(℃)、Tbb(℃)まで加熱した後のグリコール酸水溶液の沸点をTba(℃)としたとき、Tba(℃)>Tbb(℃)となる。したがって、「そのときの沸点」とは、好ましくはTbb(℃)まで加熱した後のグリコール酸水溶液の沸点Tba(℃)であり、「そのときの沸点未満に維持する」とは、好ましくはグリコール酸水溶液をTbb(℃)以下の温度(Tba(℃)未満の温度)で維持することである。
沸点未満の温度で維持する工程は、グリコール酸水溶液中にチタンが適度に溶出する程度に行うことが好ましい。具体的には、沸点未満の温度で維持する工程は、グリコール酸水溶液中のチタンの溶出量が、グリコール酸の全質量に対して10ppm以上1000ppm以下、好ましくは10ppm以上500ppm以下となるように行うことが好ましい。グリコール酸水溶液へのチタンの溶出量は、主に、グリコール酸水溶液の温度や時間によって調整することができる。グリコール酸水溶液へのチタンの溶出量は、グリコール酸水溶液の温度が高いほど多く、沸点未満の温度で維持する工程の時間が長いほど多くなる。
沸点未満の温度で維持する際の温度(加熱保温温度)は、上記反応容器からグリコール酸水溶液中に適量のチタンが溶出する程度(例えば、チタンの溶出量が、グリコール酸の全質量に対して上記範囲となる程度、あるいは生成するグリコール酸オリゴマーの全質量に対して上記範囲となる程度)であればよく、沸点未満の温度で維持する時間(加熱保温時間)にもよるが、加熱前のグリコール酸水溶液の沸点をTbb(℃)としたとき、(Tbb−65)℃以上Tbb℃以下であることが好ましく、(Tbb−30)℃以上(Tbb−10)℃以下であることがより好ましい。具体的には、50℃以上130℃以下であることが好ましく、80℃以上110℃以下であることがより好ましい。
沸点未満の温度で維持する際の温度(加熱保温温度)は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。上記反応容器からのチタンの溶出量を調整しやすい観点では、沸点未満の温度(加熱保温温度)は、一定であることが好ましい。
沸点未満の温度で維持する時間(加熱保温時間)は、上記反応容器からグリコール酸水溶液中に適量のチタンが溶出する程度(例えば、チタンの溶出量が、グリコール酸の全質量に対して上記範囲となる程度、あるいは生成するグリコール酸オリゴマーの全質量に対して上記範囲となる程度)であればよく、グリコール酸水溶液の濃度や温度にもよるが、例えば12時間以上であることが好ましく、24時間以上であることがより好ましい。沸点未満の温度で維持する時間(加熱保温時間)が少なくとも12時間であれば、チタンの溶出量は、通常、グリコール酸に対して50ppm以上となりやすい。沸点未満の温度で維持する時間(加熱保温時間)の上限は、特に制限されないが、例えば250時間でありうる。
また、沸点未満の温度で維持する工程は、上記反応容器からグリコール酸水溶液中にチタンを良好に溶出させやすくする観点では、グリコール酸水溶液を回流させながら、沸点未満の温度で維持することが好ましい。
グリコール酸水溶液を回流させる方法は、特に限定されず、撹拌や循環などの方法を採用できる。撹拌する場合、攪拌速度は気泡が混入しない程度であれば、特に制限されない。
なお、本工程は、1)の工程に代えて行ってもよいし、1)の工程と組み合わせて行ってもよい。本工程と1)の工程とを組み合わせて行う場合、順序は問わない。
2)の工程(脱水重縮合工程)について
前述の1)の工程または1’)の工程で得られたグリコール酸水溶液を加熱し、グリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得る。具体的には、グリコール酸水溶液を、水、アルコールなどの低分子量物の留出が実質的になくなるまで加熱し、グリコール酸を重縮合させる。
脱水重縮合反応時の加熱温度(脱水重縮合温度)は、50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、140℃以上230℃以下であることがさらに好ましい。
1’)の工程を行った場合、脱水重縮合反応は、1’)の工程と同じ反応容器内で行ってもよいし、異なる反応容器内で行ってもよい。1’)の工程でチタンの溶出量をより正確に調整しやすくする観点では、1)の工程とは異なる反応容器内で行うことが好ましい。
脱水重縮合反応の終了後、生成したグリコール酸オリゴマーは、後述の3)の工程(解重合工程)の原料としてそのまま用いることができる。
得られるグリコール酸オリゴマーは、前述の1)の工程で溶解させたチタンイオンまたは1’)の工程で上記反応容器から溶出したチタンを含む。グリコール酸オリゴマーにチタンが含まれるかどうかは、例えばイオンクロマトグラフィー(IC)、ICP発光分光分析法、吸光光度分析などによって確認することができる。
得られるグリコール酸オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、グリコリドの収率の観点から、1000以上100000以下であることが好ましく、10000以上100000以下であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
得られるグリコール酸オリゴマーの融点(Tm)は、解重合反応の際のグリコリドの収率の観点から、例えば140℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。グリコール酸オリゴマーの融点(Tm)の上限値は、例えば220℃である。グリコール酸オリゴマーの融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、不活性ガス雰囲気下、10℃/分の速度で昇温した際の吸熱ピーク温度として測定することができる。
3)の工程(解重合工程)について
前述の2)の工程で得られたグリコール酸オリゴマーを加熱し、解重合させて、グリコリドを得る。
解重合は、固相解重合、溶融解重合、溶液解重合のいずれであってもよいが、グリコリドを安定かつ大量に生成可能である観点から、溶液解重合であることが好ましい。すなわち、有機溶媒中でグリコール酸オリゴマーを加熱し、解重合させて、グリコリドを得ることが好ましい。
まず、グリコール酸オリゴマーを後述する有機溶媒に添加し、常圧下または減圧下で加熱して、グリコール酸オリゴマーを有機溶媒に溶解させる。
(有機溶媒)
有機溶媒は、解重合反応温度を適度に高くし、グリコリドの生成速度を高めやすくする観点から、沸点が230℃以上450℃以下、好ましくは235℃以上450℃以下、より好ましくは255℃以上430℃以下、さらに好ましくは280℃以上420℃以下の高沸点の有機溶媒を含むことが好ましい。
そのような高沸点の有機溶媒の例には、芳香族ジカルボン酸ジエステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、ポリアルキレングリコールジエーテル、芳香族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル、ポリアルキレングリコールジエステル、芳香族リン酸エステルなどが含まれる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸ジエステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、およびポリアルキレングリコールジエーテルが好ましく、熱劣化を生じにくい観点などから、ポリアルキレングリコールジエーテルがより好ましい。
ポリアルキレングリコールジエーテルとしては、下記式(1)で表されるポリアルキレングリコールジエーテルが好ましい。
式(1)において、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。XおよびYは、それぞれ炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表す。pは、1〜5の整数を表す。pが2以上の場合、複数のRは、互いに同一でも異なってもよい。
ポリアルキレングリコールジエーテルの例には、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールアルキルアリールエーテル、およびポリアルキレングリコールジアリールエーテルなどが含まれる。
ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルの例には、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジオクチルエーテル、ジエチレングリコールブチル2−クロロフェニルエーテル、ジエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルオクチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルオクチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル;トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジオクチルエーテル、トリエチレングリコールブチルオクチルエーテル、トリエチレングリコールブチルデシルエーテル、トリエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールヘキシルオクチルエーテルなどのトリエチレングリコールジアルキルエーテル;テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジプロピルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジオクチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールブチルオクチルエーテル、テトラエチレングリコールヘキシルオクチルエーテルなどのポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどのテトラエチレングリコールジアルキルエーテル;これらのポリアルキレングリコールジアルキルエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールジアルキルエーテルなどが含まれる。
ポリアルキレングリコールアルキルアリールエーテルの例には、ジエチレングリコールブチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルフェニルエーテル、ジエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、トリエチレングリコールブチルフェニルエーテル、トリエチレングリコールヘキシルフェニルエーテル、トリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、テトラエチレングリコールブチルフェニルエーテル、テトラエチレングリコールヘキシルフェニルエーテル、テトラエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、およびこれらの化合物のフェニル基上の水素原子の一部がアルキル、アルコキシ、またはハロゲン原子で置換されたポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル;これらのポリアルキレングリコールアルキルアリールエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールアルキルアリールエーテルなどが含まれる。
ポリアルキレングリコールジアリールエーテルの例には、ジエチレングリコールジフェニルエーテル、トリエチレングリコールジフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジフェニルエーテルまたはこれらの化合物のフェニル基上の水素原子の一部がアルキル、アルコキシまたはハロゲン原子で置換されたポリエチレングリコールジアリールエーテル;これらのポリアルキレングリコールジアリールエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールジアリールエーテル、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールジアリールエーテルなどが含まれる。
中でも、熱劣化を生じにくいなどの観点から、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルが好ましく、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルオクチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチル2−クロロフェニルエーテルがより好ましく、グリコリドの回収率の観点などから、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルオクチルエーテルがさらに好ましい。
有機溶媒の添加量は、グリコール酸オリゴマー100質量部に対して、例えば30〜5000質量部であることが好ましく、50〜2000質量部であることがより好ましく、100〜1000質量部であることがさらに好ましい。
また、グリコール酸オリゴマーの有機溶媒に対する溶解性を高めるために、必要に応じて可溶化剤をさらに添加してもよい。
(可溶化剤)
可溶化剤は、沸点が180℃以上の、一価アルコール類、多価アルコール類、フェノール類、一価脂肪族カルボン酸類、多価脂肪族カルボン酸類、脂肪族アミド類、脂肪族イミド類またはスルホン酸類などの非塩基性有機化合物であることが好ましい。中でも、可溶化剤としての効果が得られやすい観点では、一価アルコール類および多価アルコール類が好ましい。
一価または多価アルコール類の沸点は、200℃以上であることが好ましく、230℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが特に好ましい。
そのような一価アルコール類は、下記式(2)で表されるポリアルキレングリコールモノエーテルであることが好ましい。
式(2)において、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。Xは、炭化水素基を表す。炭化水素基は、好ましくはアルキル基である。qは、1以上の整数を表す。qが2以上の場合、複数のRは、互いに同一でも異なってもよい。
ポリアルキレングリコールモノエーテルの例には、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテルなどのポリエチレングリコールモノエーテル;これらのポリエチレングリコールモノエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールモノエーテル、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールモノエーテルなどが含まれる。これらの中でも、エーテル基に含まれるアルキル基の炭素数が1〜18、好ましくは6〜18のポリアルキレングリコールモノエーテルが好ましく、トリエチレングリコールモノオクチルエーテルなどのポリエチレングリコールモノアルキルエーテルがより好ましい。
ポリアルキレングリコールモノエーテルは、グリコール酸オリゴマーの溶解性を高めうるので、これを可溶化剤として用いることで、グリコール酸オリゴマーの解重合反応がより迅速に進みやすい。
多価アルコール類としては、下記式(3)で表されるポリアルキレングリコールが好ましい。
式(3)において、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。rは、1以上の整数を表す。rが2以上の場合、複数のRは、互いに同一でも異なってもよい。
ポリアルキレングリコールの例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが含まれる。
可溶化剤の添加量は、グリコール酸オリゴマー100質量部に対して0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜300質量部であることがより好ましい。可溶化剤の添加量が一定以上であると、グリコール酸オリゴマーの有機溶媒への溶解性を十分に高めやすく、一定以下であると、可溶化剤の回収に要するコストを低減しうる。
次いで、得られた溶液を、常圧下または減圧下で加熱しながら、グリコール酸オリゴマーを解重合させる。
解重合反応時の加熱温度(解重合温度)は、グリコール酸オリゴマーの解重合が起こる温度以上であればよく、減圧度や高沸点の有機溶媒の種類などにもよるが、一般的に、200℃以上であり、200℃以上350℃以下であることが好ましく、210℃以上310℃以下であることがより好ましく、220℃以上300℃以下であることがさらに好ましく、230℃以上290℃以下であることがさらに好ましい。
解重合反応時の加熱は、常圧下または減圧下で行うが、0.1kPa以上90kPaの減圧下で行うことが好ましい。圧力が低いほど、解重合反応温度が下がるため、加熱温度を低くしやすく、溶媒の回収率が高くなるからである。減圧度は、1kPa以上60kPa以下であることが好ましく、1.5kPa以上40kPa以下であることがより好ましく、2kPa以上30kPa以下であることが特に好ましい。
次いで、生成したグリコリドを、有機溶媒とともに解重合反応系外に留出させる。生成したグリコリドが有機溶媒と共に留出することで、反応容器やラインの壁面にグリコリドが付着して蓄積するのを防ぐことができる。
そして、得られた留出物からグリコリドを回収する。具体的には、留出物を冷却し、相分離させて、グリコリドを析出させる。析出したグリコリドを、母液から濾別、遠心沈降、デカンテーションなどの方法で分離し、回収する。
グリコリドを分離した母液は、精製することなく、そのままリサイクル使用してもよいし、活性炭などで処理して濾別精製するか、または再蒸留して精製した後、リサイクル使用してもよい。
グリコリドを有機溶媒と共に留出させると、解重合反応系の容積が減少する。これに対し、留出量に相当する量のグリコール酸オリゴマーおよび有機溶媒を解重合反応系に追加することで、解重合反応を連続的または繰り返して、長期にわたって実施することができる。
前述の通り、本発明では、金属チタンを、グリコール酸水溶液に添加して、脱水重縮合反応および解重合反応を行う。それにより、グリコリドの生成速度を飛躍的に高めることができる。
2.グリコリド
本発明の製造方法により得られるグリコリド(粗グリコリドともいう)は、高純度であることが好ましい。具体的には、グリコリドの純度は、99.0%以上であることが好ましく、99.3%以上であることがより好ましく、99.5%以上であることがさらに好ましい。グリコリドの純度は、ガスクロマトフラフィー(GC)により、4−クロロベンゾフェノンを内部標準として測定することができる。
このように、本発明のグリコリドの製造方法によれば、高純度のグリコリドを、高い生成速度で得ることができる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.実施の形態1
〔実施例1〕
容積1Lのセパラブルフラスコに、グリコール酸70質量%水溶液(Chemours社製)1.3kgを仕込み、チタン粉19.5mg(グリコール酸に対して21ppm、平均粒子径24μm)を添加した(前述の1)の工程)。なお、チタン粉の平均粒子径は、粒度径分布測定装置により体積平均の算術平均として測定した。
次いで、常圧で撹拌しながら、室温から215℃まで加熱し、生成水を留出させながら重縮合反応を行った。それから、フラスコ内を常圧から3kPaまで徐々に減圧した後、215℃で3時間加熱して、未反応原料等の低沸物を留出し、グリコール酸オリゴマー(重量平均分子量Mw22000〜24000、融点210〜220℃)を得た(前述の2)の工程)。
次いで、容積0.5Lの容器に、得られたグリコール酸オリゴマー126g、テトラエチレングリコールジブチルエーテル(高沸点の有機溶媒)130g、およびトリエチレングリコールモノオクチルエーテル(可溶化剤)100gを添加した後、235℃まで加熱して反応系を均一な溶液にした。この反応系を、170rpmの撹拌速度で235℃の温度で加熱しながら、3kPaの減圧下で12時間の解重合反応を行った(前述の3)の工程)。反応中は、1時間おきにテトラエチレングリコールジブチルエーテルと粗グリコリドを共留出させ、共留出物から粗グリコリドを分離、回収して質量を測定した。
なお、1時間おきの粗グリコリドの回収とともに、回収した粗グリコリドの質量の等量(1倍量)に相当するグリコール酸オリゴマーを新たに反応系に投入した。粗グリコリドの1時間当たりの回収量を算術平均し、粗グリコリドの生成速度(g/h)とした。
〔実施例2〕
チタン粉の添加量を325mg(グリコール酸に対して357ppm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、粗グリコリド生成速度を求めた。
〔比較例1〕
チタン粉を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、粗グリコリド生成速度を求めた。
実施例1、実施例2および比較例1の評価結果を、表1に示す。
表1に示されるように、チタン粉を添加した実施例1および2では、チタン粉を添加しなかった比較例1よりも、粗グリコリドの生成速度が高いことが示される。
2.実施の形態2
(1)グリコール酸オリゴマーの調製
〔合成例1〕
容積18mのチタン製反応容器に、グリコール酸70%水溶液(Chemours社製)18000kg(40000lbs)を仕込んだ。次いで、この溶液を、常圧で撹拌しながら、室温から115℃まで加熱した後、50℃以上115℃以下の温度で7日間維持した。なお、グリコール酸水溶液の沸点は、通常、グリコール酸の濃度が高くなるにつれ、高くなる。具体的には、70%グリコール酸水溶液の沸点は115℃であることから、115℃に到達した後のグリコール酸水溶液の沸点は、(濃度の増加に伴い)115℃よりも高くなる。したがって、115℃に到達した後に、50℃以上115℃以下の温度を維持することは、常に(そのときの濃度の)沸点未満の温度を維持することを意味する。次いで、この溶液を、125℃までさらに加熱し、水を留出させながら3日間加熱および撹拌を行った。このときの溶液中のチタンの溶出量は、グリコール酸の全質量に対して356ppmであった。
次いで、この溶液を215℃までさらに加熱し、生成水を留出させながら、脱水重縮合反応を行った。その後、反応容器内を常圧から3kPaまで徐々に減圧した後、215℃で3時間加熱して、未反応原料等の低沸物を留出し、グリコール酸オリゴマーを得た。
〔合成例2〕
容積1Lのセパラブルフラスコに、グリコール酸70%水溶液(Chemours社製)1.3kgを仕込んだ。次いで、この溶液を、常圧で撹拌しながら、室温から215℃まで加熱し、生成水を留出させながら重縮合反応を行った。この加熱過程では、115℃(70%グリコール酸水溶液の沸点)に到達した後は、常に、グリコール酸水溶液の温度は(そのときの濃度の)沸点と一致している。また、攪拌速度は、170rpmとした。
その後、反応容器内を常圧から3kPaまで徐々に減圧した後、215℃で3時間加熱して、未反応原料などの低沸物を留出し、グリコール酸オリゴマーを得た。
〔合成例3〕
容積18mのチタン製反応容器に、グリコール酸70%水溶液(Chemours社製)18000kg(40000lbs)を仕込んだ。次いで、この溶液を、常圧で撹拌しながら、室温から215℃まで約24時間かけて加熱し、生成水を留出させながら重縮合反応を行った。この加熱過程では、115℃(70%グリコール酸水溶液の沸点)に到達した後は、常に、グリコール酸水溶液の温度は(そのときの濃度の)沸点と一致している。このときの溶液中のチタンの溶出量は、グリコール酸の全質量に対して4.7ppmであった。
その後、反応容器内を常圧から3kPaまで徐々に減圧した後、215℃で3時間加熱して、未反応原料などの低沸物を留出し、グリコール酸オリゴマーを得た。
合成例1〜3の調製条件を、表2にまとめる。
(2)グリコリドの調製
〔実施例3〕
容積0.5Lのフラスコに、合成例1で得られたグリコール酸オリゴマー120g、テトラエチレングリコールジブチルエーテル130g、およびオクチルトリエチレングリコール100gを添加した後、235℃まで加熱して反応系を均一な溶液にした。
次いで、この反応系を3kPaに減圧し、235℃の温度で加熱および撹拌しながら10時間、解重合反応を行った。反応中、1時間おきにテトラエチレングリコールジブチルエーテルと粗グリコリドを共留出させ、共留出物から粗グリコリドを分離、回収して質量を測定した。なお、1時間おきの粗グリコリドの回収とともに、回収した粗グリコリドと同質量のグリコール酸オリゴマーを新たに反応系に投入した。粗グリコリドの1時間当たりの回収量を算術平均し、粗グリコリドの生成速度(g/h)とした。
〔実施例4〕
容積116mのSUS製反応容器に、合成例1で得られたグリコール酸オリゴマー10800kg、テトラエチレングリコールジブチルエーテル10800kgおよびオクチルトリエチレングリコール10800kgを添加した後、235℃まで加熱して反応系を均一な溶液にした。
次いで、この反応系を3kPaに減圧し、235℃の温度で加熱および撹拌しながら240時間、解重合反応を行った。反応中、1時間おきにテトラエチレングリコールジブチルエーテルと粗グリコリドを共留出させ、流量計により粗グリコリドの生成量(kg/h)を確認した。
〔比較例2〕
合成例2で得られたグリコール酸オリゴマーを用いた以外は実施例3と同様にしてグリコリドを製造し、粗グリコリドの生成速度(g/h)を算出した。
〔比較例3〕
合成例3で得られたグリコール酸オリゴマーを用いた以外は実施例4と同様にしてグリコリドを製造し、粗グリコリドの生成速度(kg/h)を算出した。
実施例3および4、ならびに比較例2および3の評価結果を、表3に示す。
表3に示されるように、合成例1で得られたグリコール酸オリゴマーを用いた実施例3では、合成例2で得られたグリコール酸オリゴマーを用いた比較例2よりも、粗グリコリドの生成速度が高いことがわかる。これは、合成例2では、ガラス製反応容器からの有効成分の溶出がないのに対し、合成例1では、チタン製反応容器から(有効成分である)チタンイオンが溶出し、得られるグリコール酸オリゴマー中に良好に分散し、それが触媒として作用したためであると推測される。
また、(チタン製反応容器内で温度と攪拌を維持する工程を経た)合成例1のグリコール酸オリゴマーを用いた実施例4では、(チタン製反応容器内で一定時間以上温度と攪拌を維持する工程を経ていない)合成例3のグリコール酸オリゴマーを用いた比較例3よりも、粗グリコリドの生成速度が高いことがわかる。これは、合成例1で得られたグリコール酸オリゴマーには、合成例3で得られたグリコール酸オリゴマーよりも、チタン製反応容器から溶出したチタンイオンが良好に分散し、それが触媒として作用したためであると推測される。
本出願は、2018年3月20日出願の特願2018−052293および特願2018−052289に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、グリコリドの生成速度を十分に高めることができるグリコリドの製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 金属チタンをグリコール酸水溶液に添加する工程と、
    前記金属チタンが添加されたグリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得る工程と、
    前記グリコール酸オリゴマーを加熱し、解重合させて、グリコリドを得る工程と、を含む、グリコリドの製造方法。
  2. 前記金属チタンの添加量は、前記グリコール酸の全質量に対して1ppm以上10000ppm以下である、請求項1に記載のグリコリドの製造方法。
  3. 前記金属チタンは、チタン粉である、請求項1または2に記載のグリコリドの製造方法。
  4. 前記チタン粉の平均粒子径は、100μm以下である、請求項3に記載のグリコリドの製造方法。
  5. 脱水重縮合温度は、50℃以上300℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリコリドの製造方法。
  6. 前記解重合は、有機溶媒中で行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリコリドの製造方法。
  7. 前記有機溶媒は、下記式(1)で表されるポリアルキレングリコールエーテルを含む、請求項6に記載のグリコリドの製造方法。
    (式(1)中、
    Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表わし、
    XおよびYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、
    pは、1〜5の整数を表し、
    pが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
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