JP7039345B2 - グリコリドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グリコリドの製造方法に関する。
ポリグリコール酸は、生分解性、ガスバリア性、強度等に優れた樹脂材料であり、縫合糸や人工皮膚等の医療用高分子材料、ボトル、フィルム等の包装材料、射出成形品、繊維、蒸着フィルム、釣糸等の各種工業製品の樹脂材料等の広い技術分野で用いられている。
このようなポリグリコール酸は、用途によっては、高い重合度を有することが求められる。高重合度のポリグリコール酸は、グリコリドを開環重合させる方法によって製造することができる。また、ポリグリコール酸の生産コストの低減が求められており、原料であるグリコリドの量産化、すなわち、グリコリドを高い生成速度で製造することが求められている。
ポリグリコール酸の原料となるグリコリドは、1)グリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得る工程(脱水重縮合工程)、および2)得られたグリコール酸オリゴマーを解重合させる工程(解重合工程)を経て製造される。
ここで、上記2)解重合工程の反応系に、アルカリ金属イオンが存在すると、解重合反応が不安定になり、グリコリドが着色しやすい。そこで、2)解重合工程を、硫酸第二鉄等の安定剤の存在下で行うことが提案されている(例えば、特許文献1)。
特表2004-519485号公報
特許文献1に示されるグリコリドの製造方法では、安定剤によってアルカリ金属イオンがトラップされるため、着色の少ないグリコリドを製造することができる。しかしながら、高重合度のポリグリコール酸の生産コストをさらに低減する観点から、原料となるグリコリドの生産速度のさらなる向上が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グリコリドの生成速度をさらに高めることができるグリコリドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のグリコリドの製造方法は、グリコール酸水溶液を加熱し、前記グリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得るオリゴマー調製工程と、前記グリコール酸オリゴマーを二価鉄イオンの存在下で解重合させて、グリコリドを得る解重合工程と、を含む。
本発明によれば、グリコリドの生成速度をさらに高めることができるグリコリドの製造方法を提供することができる。
1.グリコリドの製造方法
本発明のグリコリドの製造方法は、グリコール酸水溶液を加熱し、グリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得るオリゴマー調製工程、および得られたグリコール酸オリゴマーを二価鉄イオンの存在下で解重合させて、グリコリドを得る解重合工程を含む。
従来、解重合時の安定化剤(アルカリ金属イオンのトラップ剤)として、硫酸第二鉄を用いること等が提案されている。しかしながら、当該硫酸第二鉄によれば、グリコリドの着色が抑制できるものの、グリコリドの生成速度を飛躍的に高めることは難しかった。これに対し、本発明者らは、解重合時の触媒として、二価鉄イオンを用いることで、グリコリドの生成速度が飛躍的に高まることを見出した。
ここで、グリコール酸オリゴマーの解重合工程で二価鉄イオンを触媒とする方法には、(1)二価鉄の塩を反応系に添加する方法(以下、「第1のグリコリドの製造方法」とも称する)、および(2)三価鉄の塩とその還元剤とを反応系に添加する方法(以下、「第2のグリコリドの製造方法」とも称する)の2つの方法がある。そこで以下、これらの方法についてわけて説明する。
(1)第1のグリコリドの製造方法
第1のグリコリドの製造方法は、a)二価鉄の塩をグリコール酸水溶液に添加する二価鉄塩添加工程と、b)グリコール酸水溶液を加熱し、グリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得るオリゴマー調製工程と、c)グリコール酸オリゴマーを解重合させて、グリコリドを得る解重合工程と、を含む方法とすることができる。ただし、本発明の目的および効果を損なわない範囲において、他の工程を含んでいてもよい。以下、各工程について説明する。
a)二価鉄塩添加工程
二価鉄塩添加工程は、二価鉄の塩(以下、「二価鉄塩」とも称する)を、グリコール酸水溶液に添加する工程である。二価鉄塩添加工程を行うタイミングは、後述のc)解重合工程の前であれば特に制限されず、後述のb)オリゴマー調製工程より前であってもよく、b)オリゴマー調製工程と並行して行ってもよい。また、二価鉄塩添加工程は、一回のみ行ってもよく、二回以上行ってもよい。
ここで、グリコリドの生成速度を高めるための触媒(二価鉄イオン)は、c)解重合工程で添加することが一般的と考えられる。しかしながら、c)解重合工程は通常、有機溶媒中で行われる。そして、二価鉄塩は有機溶媒に溶解し難く、有機溶媒中では二価鉄イオンとなり難い。そこで、グリコール酸オリゴマーを調製するためのグリコール酸水溶液に二価鉄塩を添加し、イオン化させておくことで、c)解重合工程において、二価鉄イオンを触媒として十分に機能させることができる。
またグリコール酸水溶液に二価鉄塩を加えることで、グリコリドの生成速度が飛躍的に高まる。その理由としては、以下のように考えられる。グリコール酸水溶液に二価鉄塩を添加すると、b)オリゴマー調製工程において調製されるグリコール酸オリゴマー中に、二価鉄イオンが良好に分散する。そしてこの場合、c)解重合工程においても、グリコール酸オリゴマー中に二価鉄イオンが良好に分散された状態が維持され、二価鉄イオンが触媒として十分に作用する。
一方で、b)オリゴマー調製工程においても、二価鉄イオンがグリコール酸の脱水重縮合のための触媒として作用すると考えられる。したがって、b)オリゴマー調製工程およびc)解重合工程のいずれにおいても、二価鉄イオンが触媒として良好に作用する結果、グリコリドの生成速度が飛躍的に高まると考えられる。
本工程において、グリコール酸水溶液に添加する二価鉄塩は、水に溶解して二価鉄イオンを生成可能なものであれば特に制限されず、例えば無機酸塩、有機酸塩、または錯塩とすることができる。無機酸塩の例には、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄、亜硝酸第一鉄、亜硫酸第一鉄、シアン化第一鉄等が含まれる。有機酸塩の例には、脂肪族カルボン酸と二価鉄との塩や、芳香族カルボン酸と二価鉄との塩等が含まれる。脂肪族カルボン酸の例には、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、乳酸、グリコール酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が含まれる。また、芳香族カルボン酸の例には、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。また、錯塩の配位子の例には、アシル基やニトリル基を有するもの等が含まれる。二価鉄塩添加工程で添加する二価鉄塩は、一種のみであってもよく、二種以上であってもよい。二価鉄塩としては、水溶液中での安定性の観点から無機酸塩が好ましく、これらの中でも入手容易性や、コスト等の観点から、硫酸第一鉄および塩化第一鉄が好ましい。また、有機酸塩の中では、グリコール酸水溶液にもともと含まれる有機酸であるグリコール酸の塩が、有機酸による副反応を抑制できる観点で好ましい。
二価鉄塩の形態は、反応器内に投入できる形態であればよく、粉状であってもよいし、塊状であってもよい。中でも、グリコール酸水溶液中へ均一に分散させやすくする観点では、粉状であることが好ましい。さらに、二価鉄塩を予め溶媒(例えば水)に溶解させてから、グリコール酸水溶液に混合してもよい。
二価鉄塩の添加量は特に制限されないが、グリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸の量に対する二価鉄の量が、0.01~1,000ppmとなる添加量であることが好ましく、0.1~100ppmとなる添加量であることがより好ましく、1~10ppmとなる添加量であることがさらに好ましい。なお、二価鉄塩添加工程を複数回行う場合、グリコール酸水溶液に添加する二価鉄塩の総量が、上記範囲であることが好ましい。二価鉄塩の添加量が一定以上であると、グリコール酸の脱水重縮合反応や、グリコール酸オリゴマーの解重合反応の速度が十分に高まりやすく、ひいてはグリコリドの生成速度が高まる。一方で、二価鉄塩の添加量が一定以下であると、二価鉄塩の溶け残り量が低減する。
なお、他の方法でc)解重合工程に二価鉄イオンを供給することができるのであれば、a)二価鉄塩添加工程は必須ではない。他の方法としては、たとえば二価鉄塩をグリコール酸オリゴマーに添加する方法などが挙げられる。このような二価鉄塩としては、グリコール酸オリゴマー中で配位子が外れるものが好ましく、具体的には二価鉄のカルボン酸塩が好ましい。
一方、二価鉄塩を添加するグリコール酸水溶液は、グリコール酸および水を含む溶液である。グリコール酸水溶液は、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、グリコール酸および水以外の成分を含んでいてもよい。
グリコール酸水溶液は、グリコール酸、グリコール酸エステル(例えば低級アルキルエステル)、またグリコール酸塩(例えばナトリウム塩)を水に溶解させることで調製することができる。
グリコール酸水溶液中のグリコール酸の量は、例えば1質量%以上99質量%以下とすることができる。
また、高純度のグリコリドを得やすくする観点から、グリコール酸水溶液として、有機物や金属イオン等の不純物の含量が少ない高純度のグリコール酸水溶液を用いることが好ましい。
グリコール酸水溶液に対する二価鉄塩の添加は、二価鉄塩を均一に溶解させやすくする観点から、グリコール酸水溶液を加熱しながら行ってもよい。また同様の観点から、二価鉄塩の添加は、グリコール酸水溶液を攪拌しながら行ってもよい。
b)オリゴマー調製工程
オリゴマー調製工程では、上述のグリコール酸水溶液を加熱し、グリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得る。具体的には、グリコール酸水溶液を加熱して、水、アルコール等の低分子量物の留出が実質的になくなるまで、グリコール酸を重縮合させる。
グリコール酸の脱水重縮合は、必要に応じて縮合触媒またはエステル交換触媒等の存在下で行ってもよい。また脱水縮合は、常圧雰囲気、減圧雰囲気、または加圧雰囲気のいずれの雰囲気下で行ってもよい。
また、脱水重縮合反応時の加熱温度(脱水重縮合温度)は、50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、140℃以上230℃以下であることがさらに好ましい。
脱水重縮合反応の終了後、生成したグリコール酸オリゴマーは、後述の解重合工程の原料としてそのまま用いることができる。
本工程で調製するグリコール酸オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、グリコリドの収率の観点から、1000以上100000以下であることが好ましく、10000以上100000以下であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
得られるグリコール酸オリゴマーの融点(Tm)は、解重合反応の際のグリコリドの収率の観点から、例えば140℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。グリコール酸オリゴマーの融点(Tm)の上限値は、例えば220℃である。グリコール酸オリゴマーの融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、不活性ガス雰囲気下、10℃/分の速度で昇温した際の吸熱ピーク温度として測定することができる。
c)解重合工程
解重合工程では、前述のb)オリゴマー調製工程で得られたグリコール酸オリゴマーを加熱し、解重合させて、グリコリドを得る。具体的には、有機溶媒中でグリコール酸オリゴマーを解重合させて、グリコリドを得る。
解重合工程ではまず、グリコール酸オリゴマーを後述する有機溶媒に添加し、常圧下または減圧下で加熱して、グリコール酸オリゴマーを有機溶媒に溶解させる。
有機溶媒は、解重合反応温度を適度に高くし、グリコリドの生成速度を高めやすくする観点から、沸点が230℃以上450℃以下である高沸点の有機溶媒であることが好ましい。有機溶媒の沸点は、235℃以上450℃以下であることがより好ましく、255℃以上430℃以下であることがさらに好ましく、280℃以上420℃以下であることが特に好ましい。
上記沸点を有する有機溶媒の例には、芳香族ジカルボン酸ジエステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、ポリアルキレングリコールジエーテル、芳香族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル、ポリアルキレングリコールジエステル、芳香族リン酸エステル等が含まれる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸ジエステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、およびポリアルキレングリコールジエーテルが好ましく、熱劣化し難いこと等から、ポリアルキレングリコールジエーテルがより好ましい。
ポリアルキレングリコールジエーテルとしては、下記式(1)で表されるポリアルキレングリコールジエーテルが好ましい。
Figure 0007039345000001
式(1)において、Rは、メチレン基または炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。XおよびYは、それぞれ炭素数2~20のアルキル基またはアリール基を表す。pは、1~5の整数を表す。pが2以上の場合、複数のRは、互いに同一でも異なってもよい。
上記ポリアルキレングリコールジエーテルの例には、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールアルキルアリールエーテル、およびポリアルキレングリコールジアリールエーテル等が含まれる。
ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルの例には、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジオクチルエーテル、ジエチレングリコールブチル2-クロロフェニルエーテル、ジエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルオクチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルオクチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル;トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジオクチルエーテル、トリエチレングリコールブチルオクチルエーテル、トリエチレングリコールブチルデシルエーテル、トリエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールヘキシルオクチルエーテル等のトリエチレングリコールジアルキルエーテル;テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジプロピルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジオクチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールブチルオクチルエーテル、テトラエチレングリコールヘキシルオクチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル等のテトラエチレングリコールジアルキルエーテル;これらのポリアルキレングリコールジアルキルエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールジアルキルエーテル等が含まれる。
ポリアルキレングリコールアルキルアリールエーテルの例には、ジエチレングリコールブチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルフェニルエーテル、ジエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、トリエチレングリコールブチルフェニルエーテル、トリエチレングリコールヘキシルフェニルエーテル、トリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、テトラエチレングリコールブチルフェニルエーテル、テトラエチレングリコールヘキシルフェニルエーテル、テトラエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、およびこれらの化合物のフェニル基上の水素原子の一部がアルキル、アルコキシ、またはハロゲン原子で置換されたポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル;これらのポリアルキレングリコールアルキルアリールエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールアルキルアリールエーテル等が含まれる。
ポリアルキレングリコールジアリールエーテルの例には、ジエチレングリコールジフェニルエーテル、トリエチレングリコールジフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジフェニルエーテルまたはこれらの化合物のフェニル基上の水素原子の一部がアルキル、アルコキシまたはハロゲン原子で置換されたポリエチレングリコールジアリールエーテル;これらのポリアルキレングリコールジアリールエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールジアリールエーテル、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールジアリールエーテル等が含まれる。
中でも、熱劣化を生じにくい等の観点から、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルが好ましく、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルオクチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチル2-クロロフェニルエーテルがより好ましく、グリコリドの回収率の観点等から、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルオクチルエーテルがさらに好ましい。
有機溶媒の添加量は、グリコール酸オリゴマー100質量部に対して、例えば30~5000質量部であることが好ましく、50~2000質量部であることがより好ましく、100~1000質量部であることがさらに好ましい。
また、グリコール酸オリゴマーの有機溶媒に対する溶解性を高めるために、必要に応じて反応系に可溶化剤をさらに添加してもよい。
可溶化剤は、沸点が180℃以上である、一価アルコール類、多価アルコール類、フェノール類、一価脂肪族カルボン酸類、多価脂肪族カルボン酸類、脂肪族アミド類、脂肪族イミド類またはスルホン酸類等の非塩基性有機化合物とすることができる。中でも、可溶化剤としての効果が得られやすいことから、一価アルコール類および多価アルコール類が好ましい。
一価または多価アルコール類の沸点は、200℃以上であることが好ましく、230℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが特に好ましい。
一価アルコール類は特に、下記式(2)で表されるポリアルキレングリコールモノエーテルであることが好ましい。
Figure 0007039345000002
式(2)において、Rは、メチレン基または炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。Xは、炭化水素基を表す。炭化水素基は、好ましくはアルキル基である。qは、1以上の整数を表す。qが2以上の場合、複数のRは、互いに同一でも異なってもよい。
ポリアルキレングリコールモノエーテルの例には、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル等のポリエチレングリコールモノエーテル;これらのポリエチレングリコールモノエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールモノエーテル、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールモノエーテル等が含まれる。これらの中でも、エーテル基に含まれるアルキル基の炭素数が1~18、好ましくは6~18のポリアルキレングリコールモノエーテルが好ましく、トリエチレングリコールモノオクチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルがより好ましい。
ポリアルキレングリコールモノエーテルを添加すると、グリコール酸オリゴマーの溶解性が高まる。したがって、ポリアルキレングリコールモノエーテルを可溶化剤として用いることで、グリコール酸オリゴマーの解重合反応がより迅速に進みやすい。
一方、多価アルコール類は特に、下記式(3)で表されるポリアルキレングリコールであることが好ましい。
Figure 0007039345000003
式(3)において、Rは、メチレン基または炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。rは、1以上の整数を表す。rが2以上の場合、複数のRは、互いに同一でも異なってもよい。
ポリアルキレングリコールの例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が含まれる。
可溶化剤の添加量は、グリコール酸オリゴマー100質量部に対して0.1~500質量部であることが好ましく、1~300質量部であることがより好ましい。可溶化剤の添加量が一定以上であると、グリコール酸オリゴマーの有機溶媒への溶解性が十分に高まりやすい。一方で、可溶化材の添加量を一定以下とすることで、可溶化剤の回収に要するコストを低減できる。
次いで、上述の溶液を、常圧下または減圧下で加熱しながら、グリコール酸オリゴマーを解重合させてグリコリドを得る。このとき、本発明の製造方法では、上述の二価鉄イオンが、触媒として作用するため、グリコリドの生成速度が格段に高まる。
解重合反応時の加熱温度(解重合温度)は、グリコール酸オリゴマーの解重合が起こる温度以上であればよく、減圧度や高沸点有機溶媒の種類等にもよるが、一般的に、200℃以上であり、200℃以上350℃以下であることが好ましく、210℃以上310℃以下であることがより好ましく、220℃以上300℃以下であることがさらに好ましく、230℃以上290℃以下であることがさらに好ましい。
解重合反応時の加熱は、常圧下および減圧下のいずれで行ってもよいが、0.1kPa以上90kPaの減圧下で行うことが好ましい。圧力が低いほど、解重合反応温度が下がるため、加熱温度を低くしやすく、溶媒の回収率が高くなるからである。減圧度は、1kPa以上60kPa以下であることが好ましく、1.5kPa以上40kPa以下であることがより好ましく、2kPa以上30kPa以下であることが特に好ましい。
ここで、解重合反応時、上述の二価鉄イオンが酸化されて(例えば三価鉄イオンとなって)失活することがある。そこで、必要に応じて反応系に、失活した二価鉄イオンを活性化させるための活性化剤を添加してもよい。なお、活性化剤は、二価鉄イオンが失活してから添加してもよく、予めグリコール酸オリゴマー等と共に有機溶媒中に添加しておいてもよい。予め活性化剤を添加した場合、二価鉄イオンの酸化を活性化剤が長時間に亘って阻害することとなり、二価鉄イオンの失活を抑制できる。
ここで、二価鉄イオンから三価鉄イオンへの酸化還元電位は0.78Vである。そこで活性化剤の例には、酸化還元電位が0.78Vより低い金属、金属化合物、または有機化合物が含まれる。活性化剤の具体例には、塩化銅(CuCl)、Mn、ビタミンC等が含まれる。これらの中でも活性化の効果の高いMnが好ましい。
活性化剤の添加量(モル)は、反応系に存在する鉄イオンの量(モル)を1としたとき、0.1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、2~5であることがさらに好ましい。鉄イオンに対する活性化剤の量が一定量以上であると、失活した二価鉄イオン(例えば三価鉄イオン)が還元されやすくなり、解重合反応が促進されやすくなる。一方で、活性化剤の量が一定量以下であると、活性化剤の回収作業にかかるコストや作業等が少なくなる。
ここで、上記解重合反応は、連続処理系で行ってもよく、バッチ処理系で行ってもよいが、連続処理系で行うことが、グリコリドの生産性の観点から好ましい。連続処理系で行う場合、上記解重合反応と並行して、生成したグリコリドを気化させて回収する。具体的には、生成したグリコリドを、有機溶媒とともに共留出させて、解重合反応系外に取り出す。生成したグリコリドを有機溶媒と共に留出させることで、反応容器やラインの壁面にグリコリドが付着して蓄積することを防げる。反応系からのグリコリドの留出は、連続的に行ってもよく、断続的に行ってもよい。
そして、得られた留出物からグリコリドを回収する。具体的には、留出物を冷却し、相分離させて、グリコリドを析出させる。析出したグリコリドを、母液から濾別、遠心沈降、デカンテーション等の方法で分離し、回収する。
グリコリドを分離した母液は、精製することなく、そのままリサイクル使用してもよいし、活性炭等で処理して濾別精製するか、または再蒸留して精製した後、リサイクル使用してもよい。
一方、反応系からグリコリドを留出させると、解重合反応系内の反応液の量(例えば有機溶媒や解重合反応を行うためのグリコール酸オリゴマーの量)が減少する。そこで、必要に応じて上述の有機溶媒およびグリコール酸オリゴマーを系内に添加してもよい。有機溶媒およびグリコール酸オリゴマーの添加は、グリコリドの回収を行った後に行ってもよく、グリコリドの回収と並行して行ってもよい。留出量に相当する量のグリコール酸オリゴマーおよび有機溶媒を解重合反応系に追加することで、解重合反応を連続的に、長期にわたって実施することができる。
(2)第2のグリコリドの製造方法
第2のグリコリドの製造方法は、d)三価鉄の塩をグリコール酸水溶液に添加する三価鉄塩添加工程と、e)三価鉄塩由来の三価鉄イオンを還元し、二価鉄イオンとする還元剤を添加する還元剤添加工程と、f)グリコール酸水溶液を加熱し、グリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得るオリゴマー調製工程と、g)グリコール酸オリゴマーを解重合させてグリコリドを得る解重合工程と、を含む方法とすることができる。なお、f)オリゴマー調製工程およびg)解重合工程については、上述の第1のグリコリドの製造方法と同様であるため、ここではd)三価鉄塩添加工程およびe)還元剤添加工程について説明する。
d)三価鉄塩添加工程
三価鉄塩添加工程は、三価鉄の塩(以下、「三価鉄塩」とも称する)を、グリコール酸水溶液に添加する工程である。三価鉄塩添加工程を行うタイミングは、g)解重合工程の前であれば特に制限されず、f)オリゴマー調製工程より前であってもよく、f)オリゴマー調製工程と並行して行ってもよい。また、三価鉄塩添加工程は、一回のみ行ってもよく、二回以上行ってもよい。
前述のように、グリコリドの生成速度を高めるための触媒(二価鉄イオン)は、g)解重合工程で添加することが一般的と考えられる。しかしながら、g)解重合工程は通常、有機溶媒中で行われる。そして、三価鉄塩は有機溶媒に溶解し難い。そこで、第2のグリコリドの製造方法では、グリコール酸オリゴマーを調製するためのグリコール酸水溶液に三価鉄塩を添加し、三価鉄イオンを生成させる。そして、当該三価鉄イオンを、後述の還元剤によって還元することで、g)解重合工程の反応系内に二価鉄イオンを導入することができ、当該二価鉄イオンを解重合時の触媒として十分に機能させることができる。
グリコール酸水溶液に三価鉄塩を加え、さらに三価鉄を二価鉄に還元することで、グリコリドの生成速度を高めることができる。その理由としては、以下のように考えられる。グリコール酸水溶液に三価鉄塩を添加すると、f)オリゴマー調製工程において調製されるグリコール酸オリゴマー中に、三価鉄イオン(後述の還元剤によって還元した場合は二価鉄イオン)が良好に分散する。そして、三価鉄イオンを適宜、二価鉄イオンに還元することで、g)解重合工程において、グリコール酸オリゴマー中に二価鉄イオンが良好に分散された状態とすることができ、二価鉄イオンが触媒として十分に作用する。
本工程において、グリコール酸水溶液に添加する三価鉄塩は、水に溶解して三価鉄イオンを生成可能なものであれば特に制限されず、例えば無機酸塩、有機塩、または錯塩とすることができる。無機酸塩の例には、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、亜硝酸第二鉄、亜硫酸第二鉄、シアン化第二鉄等が含まれる。有機酸塩の例には、脂肪族カルボン酸と三価鉄との塩や、芳香族カルボン酸と三価鉄との塩等が含まれる。有機酸は、二価鉄塩に含まれる酸と同様とすることができる。また、錯塩の配位子も二価鉄塩に含まれる配位子と同様とすることができる。これらは一種のみ用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。三価鉄塩としては、水溶液中での安定性の観点から無機酸塩が好ましく、これらの中でも特に入手容易性や、コスト等の観点から、塩化第二鉄が好ましい。また、有機酸塩の中では、グリコール酸水溶液にもともと含まれる有機酸であるグリコール酸の塩が、有機酸による副反応を抑制できる観点で好ましい。
三価鉄塩の形態は、反応器内に投入できる形態であればよく、粉状であってもよいし、塊状であってもよい。中でも、グリコール酸水溶液中へ均一に分散させやすくする観点では、粉状であることが好ましい。
三価鉄塩の添加量は、特に制限されないが、グリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸の量に対する三価鉄の量が、0.01~1,000ppmとなる添加量であることが好ましく、0.1~100ppmとなる添加量であることがより好ましく、1~10ppmとなる添加量であることがさらに好ましい。なお、三価鉄塩添加工程を複数回行う場合には、グリコール酸水溶液に添加する三価鉄塩の総量が、上記範囲であることが好ましい。三価鉄塩の添加量が一定以上であると、グリコール酸の脱水重縮合反応速度が高まりやすい。またさらに、三価鉄イオンを還元して得られる二価鉄イオンの量を十分にすることができ、グリコール酸オリゴマーの解重合反応の速度が高まりやすくなる。一方で、三価鉄塩の添加量が一定以下であると、三価鉄塩の溶け残り量が低減する。
なお、他の方法で三価鉄イオンを供給し、後述のe)還元剤添加工程で添加する還元剤によって還元させることができるのであれば、d)三価鉄塩添加工程は必須ではない。他の方法としては、たとえば三価鉄塩をグリコール酸オリゴマーに添加する方法などが挙げられる。このような三価鉄塩としては、グリコール酸オリゴマー中で配位子が外れるものが好ましく、具体的には三価鉄のカルボン酸塩が好ましい。
一方、三価鉄塩を添加するグリコール酸水溶液は、上述の第一のグリコリドの製造方法で用いるグリコール酸水溶液と同様とすることができる。
ここで、グリコール酸水溶液に対する三価鉄塩の添加は、三価鉄塩を均一に溶解させやすくする観点から、グリコール酸水溶液を加熱しながら行ってもよい。また同様の観点から、三価鉄塩の添加は、グリコール酸水溶液を攪拌しながら行ってもよい。さらに、三価鉄塩を予め溶媒(例えば水)に溶解させてから、グリコール酸水溶液に混合してもよい。
e)還元剤添加工程
還元剤添加工程は、三価鉄塩添加工程で添加する三価鉄塩から生成する三価鉄イオンを還元して二価鉄イオンとするための還元剤を添加する工程である。還元剤添加工程を行うタイミングは、g)解重合工程において、グリコール酸オリゴマーを二価鉄イオンの存在下で解重合させることが可能であれば、特に制限されない。e)還元剤添加工程は、例えば、d)三価鉄塩添加工程と同時に行ってもよく、d)三価鉄塩添加工程より後に行ってもよく、d)三価鉄塩添加工程より前に行ってもよい。特に、三価鉄塩添加工程より後に行うと、グリコリドの生成速度が高まりやすい。なお、還元剤工程は、一回のみ行ってもよく、二回以上行ってもよい。
上述のように、二価鉄イオンから三価鉄イオンへの酸化還元電位は0.78Vである。そこで還元剤添加工程で還元する還元剤の例には、酸化還元電位が0.78Vより低い金属、金属化合物、または有機化合物が含まれる。還元剤の具体例には、塩化銅(CuCl)、Mn、ビタミンC等が含まれる。これらの中でも、還元の効果の高いMnが好ましい。
還元剤の添加量は、三価鉄塩由来の三価鉄イオンを還元して、十分な量の二価鉄イオンを生成することが可能であれば特に制限されない。還元剤の添加量は、反応性の観点から、d)三価鉄塩添加工程で添加する三価鉄塩の総量(モル)を1としたとき、0.1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、2~5であることがさらに好ましい。
ここで、還元剤は、直接、反応器に添加してもよく、予め溶媒等に溶解させてから反応器内に添加してもよい。
2.グリコリド
本発明の製造方法により得られるグリコリド(粗グリコリドともいう)は、高純度であることが好ましい。具体的には、グリコリドの純度は、99.0%以上であることが好ましく、99.3%以上であることがより好ましく、99.5%以上であることがさらに好ましい。このように、本発明のグリコリドの製造方法によれば、高純度のグリコリドを、高い生成速度で得ることができる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
〔実施例1〕
容積1Lのセパラブルフラスコに、グリコール酸70質量%の水溶液(Chemours社製、高純度グレード)1.3kgを仕込み、硫酸第一鉄0.13gを添加した(二価鉄塩添加工程)。
次いで、これを、常圧で撹拌しながら加熱して室温から215℃まで昇温加熱し、生成水を留出させながら重縮合反応を行った。次いで、フラスコ内を常圧から3kPaまで徐々に減圧した後、215℃で3時間加熱して、未反応原料等の低沸物を留出し、グリコール酸オリゴマーを得た(オリゴマー調製工程)。
次いで、容積0.5Lの容器に、得られたグリコール酸オリゴマー120g、テトラエチレングリコールジブチルエーテル130g、およびオクチルトリエチレングリコール100gを添加した後、235℃まで加熱して、反応系を均一な溶液にした。この反応系を、170rpmの撹拌速度で235℃の温度で加熱しながら、3kPaの減圧下で12時間の解重合反応を行った。反応中は、1時間おきにテトラエチレングリコールジブチルエーテルと粗グリコリドを共留出させ、共留出物から粗グリコリドを分離および回収し、質量を測定した(解重合工程)。なお、1時間おきの粗グリコリドの回収とともに、回収した粗グリコリドの質量と等量のグリコール酸オリゴマーを新たに反応系に投入した。粗グリコリドの1時間当たりの回収量を算術平均し、粗グリコリドの生成速度(留出速度)(g/h)とした。
〔実施例2〕
二価鉄塩添加工程で添加する二価鉄塩を、硫酸第一鉄から塩化第一鉄0.09gに変更した以外は、実施例1と同様にして、粗グリコリド生成速度を求めた。
〔比較例1〕
二価鉄塩添加工程を三化鉄塩添加工程に変更した(具体的には硫酸第一鉄を、硫酸第二鉄1.63gに変更した)以外は、実施例1と同様にして、粗グリコリド生成速度を求めた。
〔比較例2〕
二価鉄塩添加工程を三化鉄塩添加工程に変更した(具体的には、硫酸第一鉄を、塩化第二鉄0.13gに変更した)以外は、実施例1と同様にして、粗グリコリド生成速度を求めた。
〔実施例3〕
二価鉄塩添加工程を、三価鉄塩添加工程および還元剤添加工程に変更した(具体的には、硫酸第一鉄を、塩化第二鉄0.10gおよび塩化銅0.14gに変更したこと)以外は実施例1と同様にして、粗グリコリド生成速度を求めた。
〔参考例1〕
二価鉄塩添加工程を行わなかった(硫酸第一鉄を加えなかったこと)以外は実施例1と同様にして、粗グリコリド生成速度を求めた。
〔参考例2〕
二価鉄塩添加工程を行わなかった(具体的には、硫酸第一鉄を、塩化銅0.95gに変更したこと)以外は実施例1と同様にして、粗グリコリド生成速度を求めた。
〔実施例4〕
容積1Lのセパラブルフラスコに、グリコール酸70質量%の水溶液(Chemours社製、高純度グレード)1.3kgを仕込み、塩化第二鉄0.13gを添加した(三価鉄塩添加工程)。
次いで、これを、常圧で撹拌しながら加熱して室温から215℃まで昇温加熱し、生成水を留出させながら重縮合反応を行った。次いで、フラスコ内を常圧から3kPaまで徐々に減圧した後、215℃で3時間加熱して、未反応原料等の低沸物を留出し、グリコール酸オリゴマーを得た(オリゴマー調製工程)。
次いで、容積0.5Lの容器に、得られたグリコール酸オリゴマー120g、テトラエチレングリコールジブチルエーテル130g、およびトリエチレングリコールモノオクチルエーテル100gを添加した後、235℃まで加熱して、反応系を均一な溶液にした。この反応系を、170rpmの撹拌速度で235℃の温度で加熱しながら、3kPaの減圧下で12時間の解重合反応を行った。反応中は、1時間おきにテトラエチレングリコールジブチルエーテルと粗グリコリドを共留出させ、共留出物から粗グリコリドを分離および回収し、質量を測定した(解重合工程)。なお、1時間おきの粗グリコリドの回収とともに、回収した粗グリコリドの質量と等量のグリコール酸オリゴマーと、金属マンガンとの混合物を新たに反応系に投入した。なお、投入する金属マンガンの量は、投入するグリコール酸オリゴマーに含まれる鉄イオンの1.5倍molとした。そして、2回目以降の粗グリコリドの1時間当たりの回収量を算術平均し、粗グリコリドの生成速度(g/h)とした。
〔実施例5〕
二価鉄塩添加工程を、三価鉄塩添加工程に変更した(具体的には、硫酸第一鉄を、塩化第二鉄0.13gに変更した)以外は実施例1と同様にして12時間の解重合反応を行った。12時間経過後、L(+)-アスコルビン酸0.12gを加えた(還元剤添加工程)。そしてさらに1時間解重合反応を継続し、回収した粗グリコリドの質量から、粗グリコリドの生成速度(g/h)を求めた。
実施例1~5、比較例1~2、および参考例1~2の評価結果を表1に示す。
Figure 0007039345000004
表1に示されるように、二価鉄イオンの存在下で解重合工程を行った実施例1~5は、粗グリコリド留出速度が高く、いずれもグリコリドの生成速度が高かったといえる。また、二価鉄塩を添加した場合(実施例1および2)と、三価鉄塩および還元剤を添加した場合(実施例3~5)のいずれにおいても、略同様の結果が得られた。また、還元剤を添加するタイミングは、三価鉄塩の添加と同時であってもよく(実施例3)、解重合工程と並行して行ってもよいこと(実施例4、5)が明らかであった。
これに対し、三価鉄イオンの存在下でグリコール酸オリゴマーの解重合工程を行った場合(比較例1および2)、鉄化合物を添加しない場合(参考例1および2)と比較すると、グリコリドの生成速度は高まったものの、二価鉄塩を添加した場合(実施例1~5)と比較すると、グリコリドの生成速度が遅かった。
本発明によれば、グリコリドの生成速度をさらに高めることができるグリコリドの製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. グリコール酸水溶液を加熱し、前記グリコール酸水溶液に含まれるグリコール酸を脱水重縮合させて、グリコール酸オリゴマーを得るオリゴマー調製工程と、
    前記グリコール酸オリゴマーを二価鉄イオンの存在下で解重合させて、グリコリドを得る解重合工程と、
    を含み、
    前記解重合工程を、下記式(1)で表されるポリアルキレングリコールエーテルの存在下で行う、グリコリドの製造方法。
    X-O-(-R-O-)p-Y (1)
    (式(1)中、
    Rは、メチレン基または炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表わし、
    XおよびYは、それぞれ独立して、炭素数2~20のアルキル基またはアリール基を表し、
    pは、1~5の整数を表し、pが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
  2. 前記グリコール酸水溶液に二価鉄の塩を添加する二価鉄塩添加工程を含む、
    請求項1に記載のグリコリドの製造方法。
  3. 前記二価鉄塩添加工程で添加する前記二価鉄の塩の量が、前記グリコール酸水溶液中の前記グリコール酸の量に対して二価鉄の量が0.01~1,000ppmとなる添加量である、
    請求項2に記載のグリコリドの製造方法。
  4. 前記グリコール酸水溶液に三価鉄の塩を添加する、三価鉄塩添加工程と、
    前記三価鉄の塩由来の三価鉄イオンを二価鉄イオンに還元するための還元剤を添加する、還元剤添加工程と、
    を含む、
    請求項1に記載のグリコリドの製造方法。
  5. 前記三価鉄塩添加工程で添加する前記三価鉄の塩の量が、前記グリコール酸水溶液中の前記グリコール酸の量に対して三価鉄の量が0.01~1,000ppmとなる添加量である、
    請求項4に記載のグリコリドの製造方法。
  6. 前記還元剤添加工程を、前記三価鉄塩添加工程より後に行う、
    請求項4または請求項5に記載のグリコリドの製造方法。
  7. 前記解重合工程において、失活した二価鉄イオンを活性化するための活性化剤を添加する、
    請求項1~6のいずれか一項に記載のグリコリドの製造方法。
  8. 前記解重合工程において、前記解重合反応と並行して、グリコリドを気化させて回収する、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のグリコリドの製造方法。
  9. 前記解重合工程において、前記グリコール酸オリゴマーを追加する、
    請求項8に記載のグリコリドの製造方法。
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