JPWO2019177034A1 - 鋼材 - Google Patents

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Abstract

本開示の鋼材は、質量%で、C:0.05〜0.55%、Si:0.05〜1.00%、Mn:1.51〜3.50%、P:0.1000%以下、S:0.3000%以下、Cr:0.05〜2.50%、V:0.10〜0.75%、Ti:0.005〜0.250%、Al:0.003〜0.100%、N:0.020%以下、及び、残部:Fe及び不純物からなり、C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、式(1)を満たし、C含有量が0.38〜0.55%未満である場合、式(2)を満たす化学組成を有し、鋼材中の粗大Al2O3系介在物の数密度が0.05〜1.00個/mm2である。0.38≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)0.73≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.65 (2)

Description

本発明は、鋼材に関し、さらに詳しくは、熱間鍛造品に用いられる鋼材に関する。
自動車エンジン等に用いられるコネクティングロッド(以下、「コンロッド」とも称する)は、ピストンとクランクシャフトとを連結するエンジン部品であり、ピストンの往復運動をクランクの回転運動に変換する。
図1は従来のコンロッドの正面図である。図1に示すとおり、従来のコンロッド1は、大端部100と、棹部200と、小端部300とを含む。棹部200の一端に大端部100が配置され、棹部200の他端に小端部300が配置される。大端部100はクランクピンに連結される。小端部300はピストンに連結される。
従来のコンロッド1は2つの部品(キャップ2及びロッド3)を備える。これらの部品は通常、熱間鍛造により製造される。キャップ2及びロッド3の一端部が大端部100に相当する。ロッド3の一端部以外の他の部分が、棹部200及び小端部300に相当する。大端部100及び小端部300は切削して形成される。そのため、コンロッド1には高い被削性が求められる。
コンロッド1は、エンジン動作時に周辺部材からの荷重を受ける。最近ではさらに、省燃費化のために、コンロッド1の小型化及びシリンダ内の筒内圧力向上が求められている。そのため、コンロッド1には、棹部200を細くしても、ピストンから伝わる爆発荷重に対応可能な優れた降伏強度が求められている。さらに、コンロッドには、繰り返しの圧縮荷重及び引張荷重がかかるため、優れた疲労強度も求められる。
ところで、従来のコンロッド1は、上記のとおりキャップ2とロッド3とが別々に製造される。そのため、キャップ2とロッド3との位置決めのために、ノックピン加工工程が実施される。さらに、キャップ2とロッド3との合わせ面に対して切削加工工程が実施される。そこで、これらの工程を省略可能なクラッキングコンロッドが普及し始めている。
クラッキングコンロッドでは、コンロッドを一体成型した後、大端部100の孔に治具を挿入し、応力を負荷して大端部を破断して、2つの部品(キャップ2及びロッド3に相当)に分割する。そして、クランクシャフトに取り付けるときに、分割された2つの部品を結合する。大端部100の破断面が変形のない脆性破面であれば、キャップ2及びロッド3の破断面を合わせ、ボルトで連結することができる。したがってこの場合、ノックピン加工工程及び切削加工工程が省略される。その結果、製造コストが下がる。
しかしながら、クラッキングコンロッドに代表される、高いクラッキング性が求められる熱間鍛造品の降伏強度及び疲労強度の向上を目的として、化学組成を調整した鋼材を用いて熱間鍛造を実施した場合、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)の組織が、ベイナイトを主とした組織になり得る。仮に、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)の組織がベイナイトを主体とするような組織となった場合、クラッキング性が低下する。具体的には、ベイナイトの靭性は高いため、クラッキング後の破断面に延性破面が生じやすくなる。延性破面が生じた場合、大端部が塑性変形していることになる。そのため、破断面を合わせてもきれいに整合せず、図1中の大端部100の内径Dが所望の数値からずれる。その結果、クランク連結部(大端部)で片当たりが生じ、自動車走行時の振動や騒音の原因となる場合がある。
高いクラッキング性が求められる熱間鍛造品の降伏強度及び疲労強度の向上を目的として、化学組成が調整された鋼材を用いて熱間鍛造を実施した結果、仮に、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)の組織が、ベイナイトを主体とするような組織となった場合はさらに、鋼材の被削性が低下し、ボルト穴をドリル加工するときの切削抵抗が増加する。ドリル加工時の切削抵抗が増加すれば、工具寿命が低下したり、切削機内の駆動部品の負荷が増加したりする。そのため、高いクラッキング性を有する熱間鍛造品において、熱間鍛造品の降伏強度及び疲労強度を高める場合、さらに、熱間鍛造品の製造工程時における鋼材の被削性を向上(切削抵抗を抑制)することも求められる。
特開2004−277817号公報(特許文献1)、特開2011−195862(特許文献2)、国際公開第2009/107282号(特許文献3)、特開2006−336071号公報(特許文献4)、及び、特開2016−027204(特許文献5)は、クラッキング性の高い鋼を提案する。
特許文献1に開示されている高強度非調質鋼は、重量%でC:0.2〜0.6%、Si:0.1〜2%、Mn:0.1〜1.5%、S:0.03〜0.2%、P:0.02〜0.15%、Cu:0.03〜1%、Ni:0.03〜1%、Cr:0.05〜1%、V:0.02〜0.4%、Ti:0.01〜0.8%、s−Al:0.005〜0.045%、N:0.008〜0.035%、残部不可避的不純物及びFeから成る組成であり、フェライトパーライト組織を有する。鋼中のTiN介在物の最大直径は5μm以上且つその量は数密度で5個/mm2以上である。この非調質鋼は、高強度で被削性も良く、また破断分離性能にも優れていて、なお且つ破面に良好な凹凸を形成することができる、と特許文献1には記載されている。
特許文献2に開示されている熱間鍛造用非調質鋼は、質量%でC:0.35〜0.55%、Si:0.15〜0.40%、Mn:0.50〜1.00%、P:0.100%以下、S:0.040〜0.100%、Cr:1.00%以下、V:0.20〜0.50%、Ca:0.0005〜0.0100%、N:0.0150%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、2Mn+5Mo+Cr≦3.1であり、C+Si/5+Mn/10+10P+5V≧1.8であり、Ceq=C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Vが0.90〜1.10であり、硬さがHV330以上であり、降伏比が0.73以上であり、組織が、ベイナイトが10%以下のフェライト・パーライト組織である。この熱間鍛造用非調質鋼は、高強度を確保しつつ、優れた被削性と破断分離性を確保できる熱間鍛造非調質鋼部品を提供することができる、と特許文献2には記載されている。
特許文献3に開示されている熱間鍛造用非調質鋼は、質量%で、C:0.35%超〜0.60%、Si:0.50〜2.50%、Mn:0.20〜2.00%、P:0.010〜0.150%、S:0.040〜0.150%、V:0.10〜0.50%、Zr:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0020〜0.0200%を含有し、Al:0.010%未満に制限し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物よりなる。この熱間鍛造用非調質鋼は、破断分離性及び被削性に優れる、と特許文献3には記載されている。
特許文献4に開示されているコンロッド用鋼は、質量%で、C:0.1〜0.5%、Si:0.1〜2%、Mn:0.5〜2%、P:0.15%以下(0%を含まない)、S:0.06〜0.2%、N:0.02%以下(0%を含まない)、Ca:0.0001〜0.005%、及び、Al:0.001〜0.02%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる。このコンロッド用鋼は、鋼中に存在する酸化物系介在物の組成を所定の範囲内に制御する。具体的には、酸化物系介在物がAl23を主体とする場合やSiO2を主体とする場合、破断分割性が不十分である。そこで、この文献では、酸化物系介在物中において、Al23、SiO2、及び、CaOの三成分に偏りが生じないようにする。これにより、破断分割性を高めることができる、と特許文献4には記載されている(特許文献4の段落[0009]参照)。
特許文献5に開示されている時効硬化型ベイナイト非調質鋼は、質量%で、C:0.10〜0.40%、Si:0.01〜2.00%、Mn:0.10〜3.00%、P:0.001〜0.150%、S:0.001〜0.200%、Cu:0.001〜2.00%、Ni:0.40%以下、Cr:0.10〜3.00%、を含有し、さらにMo:0.02〜2.00%、V:0.02〜2.00%、Ti:0.001〜0.250%、Nb:0.01〜0.10%、のいずれか1元素又は2元素以上を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、かつ所定の化学成分の含有質量%が、3×[C]+10×[Mn]+2×[Cu]+2×[Ni]+12×[Cr]+9×[Mo]+2×[V]≧20、32×[C]+3×[Si]+3×[Mn]+2×[Ni]+3×[Cr]+11×[Mo]+32×[V]+65×[Ti]+36×[Nb]≧24、321×[C]−31×[Mo]+213×[V]+545×[Ti]+280×[Nb]≧100、321×[C]−31×[Mo]+213×[V]+545×[Ti]+280×[Nb]≧100を満たす。この時効硬化型ベイナイト非調質鋼は、破断分離加工により製造される部品であっても、破断分離加工時の塑性変形を良好に抑制することができる、と特許文献5には記載されている。
特開2004−277817号公報 特開2011−195862号公報 国際公開2009/107282号 特開2006−336071号公報 特開2016−027204号公報
しかしながら、特許文献1、3、及び4では、熱間鍛造品のミクロ組織が主としてフェライト及びパーライトからなることを前提としている。そのため、熱間鍛造品にベイナイトが生成した場合、破断面に延性破面が生じ、大端部の内径が変形してクラッキング性が低下する場合があり得る。
特許文献2では、熱間鍛造品中でのベイナイトの生成をある程度許容する。しかしながら、組織中に占めるベイナイトの面積率が増加した場合、破断面に延性破面が生じ、クラッキング性が低下する場合があり得る。
特許文献5では、ベイナイト主体のミクロ組織を有する熱間鍛造品を想定する。そして、ベイナイト主体のミクロ組織であっても、靱性を抑えることができると記載されている。しかしながら、特許文献5に開示された非調質鋼とは異なる方法により、高い被削性、高い降伏強度、及び高い疲労強度を有し、熱間鍛造後のミクロ組織がベイナイト主体の組織となったとしても、優れたクラッキング性が得られてもよい。
本開示の目的は、鋼材を熱間鍛造して熱間鍛造品を製造した場合に、熱間鍛造後において高い被削性、高い降伏強度、及び高い疲労強度を有し、仮に、熱間鍛造後の鋼材のミクロ組織がベイナイトを主体とする組織となったとしても、熱間鍛造後において優れたクラッキング性が得られる、鋼材を提供することである。
本開示による鋼材は、
質量%で、
C:0.05〜0.55%、
Si:0.05〜1.00%、
Mn:1.51〜3.50%、
P:0.1000%以下、
S:0.3000%以下、
Cr:0.05〜2.50%、
V:0.10〜0.75%、
Ti:0.005〜0.250%、
Al:0.003〜0.100%、
N:0.020%以下、
Cu:0〜0.60%、
Ni:0〜0.60%、
Mo:0〜0.70%、
Nb:0〜0.100%、
Pb:0〜0.30%、
Te:0〜0.3000%、
Ca:0〜0.0100%、
Bi:0〜0.4000%、及び、
残部:Fe及び不純物からなり、
C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、式(1)を満たし、
C含有量が0.38〜0.55%である場合、式(2)を満たす、化学組成を有し、
Al23を質量%で70.0%以上含有し、√AREAが3μm以上である介在物を粗大Al23系介在物と定義したとき、
鋼材中の前記粗大Al23系介在物の数密度が0.05〜1.00個/mm2である。
0.38≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)
0.73≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.65 (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明による鋼材は、鋼材を熱間鍛造して熱間鍛造品を製造する場合に、熱間鍛造後において高い被削性、高い降伏強度、及び高い疲労強度を有し、仮に、熱間鍛造後の鋼材のミクロ組織がベイナイトを主体とする組織となったとしても、熱間鍛造後において優れたクラッキング性が得られる。
図1は、従来のコネクティングロッドの正面図である。 図2Aは、実施例におけるクラッキング性評価試験で用いた試験片の平面図である。 図2Bは、図2Aに示した試験片の断面図である。 図2Cは、図2Aの試験片を破断分離した状態を示す試験片の平面図である。 図2Dは、図2Cの試験片をボルトで締結した状態を示す試験片の平面図である。
以下、本実施形態の鋼材について詳しく説明する。
本発明者らは、鋼材を用いた熱間鍛造品の製造工程における、被削性、熱間加工性、及び、クラッキング性と、鋼材を用いて製造された熱間鍛造品の降伏強度及び疲労強度について調査及び検討を行った。その結果、本発明者らは次の知見を得た。
(A)強度及び被削性について
強度と被削性とは、相反する機械特性である。鋼材の化学組成を適正に調整できれば、これらの機械特性の両立が可能である。
質量%で、C:0.05〜0.55%、Si:0.05〜1.00%、Mn:1.51〜3.50%、P:0.1000%以下、S:0.3000%以下、Cr:0.05〜2.50%、V:0.10〜0.75%、Ti:0.005〜0.250%、Al:0.003〜0.100%、N:0.020%以下、Cu:0〜0.60%、Ni:0〜0.60%、Mo:0〜0.70%、Nb:0〜0.100%、Pb:0〜0.30%、Te:0〜0.3000%、Ca:0〜0.0100%、Bi:0〜0.4000%、及び、残部:Fe及び不純物、からなる化学組成を有する鋼材において、fn1=C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Moと定義する。fn1は鋼材の強度及び被削性の指標であり、降伏強度と正の相関を示す。
C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、fn1が1.50よりも高ければ、鋼材の熱間鍛造後の強度が高くなりすぎ、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。fn1が0.38未満であれば、鋼材の強度が低すぎ、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)において、十分な降伏強度が得られない。C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、fn1が0.38〜1.50であれば、上記化学組成の鋼材において、優れた降伏強度及び被削性が得られる。
また、C含有量が0.38〜0.55%である場合、fn1が1.65よりも高ければ、鋼材の熱間鍛造後の強度が高くなりすぎ、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。fn1が0.73未満であれば、鋼材の強度が低すぎ、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)において、十分な降伏強度が得られない。C含有量が0.38〜0.55%である場合、fn1が0.73〜1.65であれば、上記化学組成の鋼材において、優れた降伏強度及び被削性が得られる。
(B)クラッキング性について
上記の通り、高いクラッキング性が求められる熱間鍛造品の降伏強度及び疲労強度の向上を目的として、素材となる鋼材に対して熱間鍛造を実施した結果、仮に、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)の組織が、ベイナイトを主体とするような組織となった場合、クラッキング性が低下する。ベイナイトは靭性が高く、クラッキング後の破断面に延性破面が生じやすいためである。そのため、クラッキング性を高める場合、ミクロ組織中におけるベイナイトの面積率は低い方が好ましい。
しかしながら、ベイナイトは鋼材の疲労強度や降伏強度を高める。そのため、熱間鍛造品の組織をベイナイト主体としつつ、さらにクラッキング性を高める技術が得られれば、熱間鍛造品の降伏強度及び疲労強度を高めつつ、かつ、クラッキング性も高めることができる。
そこで、本発明者らは、熱間鍛造後の熱間鍛造品の組織が、仮に、ベイナイトを主体の組織となった場合であっても、十分なクラッキング性が得られる鋼材について、さらに調査及び検討を行った。その結果、種々の酸化物系介在物の中でも、SiO2を主体とする介在物や、CaOを主体とする介在物よりも、Al23を主体とするAl23系介在物が、ベイナイト主体の組織となった熱間鍛造品のクラッキング性に影響を与えることを見出した。以下、この点について詳述する。
Alは精錬工程における脱酸処理の際に脱酸剤として添加され、溶鋼中の酸素と結合してAl23を形成する。通常、Al23は溶鋼中で凝集、合体、及び、浮上し、除去される。一方、一部のAl23は鋼中に残存して、Al23系介在物となる。ここで、本明細書において、Al23系介在物とは、介在物中におけるAl23の割合が質量%で70.0%以上の介在物を意味する。鋼中に残存したAl23系介在物は、熱間圧延により製造された鋼材や熱間鍛造品においても固溶せずに残存する。
鋼材中のAl23系介在物は母材(鋼材のマトリクス)と比較して、靭性が極めて低い。そのため、クラッキング時にAl23系介在物が脆性破壊する。脆性破壊したAl23系介在物がさらに破壊の起点となり、Al23系介在物とマトリクスとの界面で鋭い初期亀裂が発生する。初期亀裂の先端は塑性拘束が強いため、鋼材に脆性破壊を生じさせやすい。初期亀裂から脆性的に進展した亀裂が、隣り合うAl23系介在物から生じた亀裂同士が結合することにより、脆性破面が得られる。
以上のメカニズムにより、熱間鍛造により、仮に、靱性の高いベイナイトを主体とするミクロ組織を有する鋼材(熱間鍛造品)となったとしても、Al23系介在物によって上記初期亀裂が発生すれば、脆性的な亀裂が進展しやすくなる。そのため、破断面が脆性破面となり、延性破面が抑制される。その結果、優れたクラッキング性が得られる。
一方、Al以外の他の脱酸剤として、SiやCaなども広く用いられている。Si及びCaは、溶鋼中でSiO2及びCaOを形成する。SiO2は鋼材の疲労強度や熱間加工性を低下しやすい。また、CaOはAl23と比較して靭性が高いため、鋼材のクラッキング性をAl23よりも高めにくい。
以上のとおり、鋼材の熱間加工性を維持しつつ、クラッキング性を高めるためには、鋼中の酸化物系介在物のうち、SiO2及びCaOを利用するのではなく、Al23系介在物を利用するのが適切である。以上の考えに基づいて、本発明者らはさらに、Al23系介在物の適切な数密度について調査及び検討を行った。その結果、√AREAで3μm以上のAl23系介在物(以後、「粗大Al23系介在物」とも称する)の数密度が0.05〜1.00個/mm2であれば、鋼材の熱間加工性を維持しつつ、熱間鍛造品の降伏強度及び疲労強度の向上を目的とした結果、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)の組織が、仮に、ベイナイトを主体とする組織となった場合であっても、優れたクラッキング性が得られることを見出した。
以上の知見に基づいて完成した本開示による鋼材の要旨は次のとおりである。
[1]の鋼材は、
質量%で、
C:0.05〜0.55%、
Si:0.05〜1.00%、
Mn:1.51〜3.50%、
P:0.1000%以下、
S:0.3000%以下、
Cr:0.05〜2.50%、
V:0.10〜0.75%、
Ti:0.005〜0.250%、
Al:0.003〜0.100%、
N:0.020%以下、
Cu:0〜0.60%、
Ni:0〜0.60%、
Mo:0〜0.70%、
Nb:0〜0.100%、
Pb:0〜0.30%、
Te:0〜0.3000%、
Ca:0〜0.0100%、
Bi:0〜0.4000%、及び、
残部:Fe及び不純物からなり、
C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、式(1)を満たし、
C含有量が0.38〜0.55%である場合、式(2)を満たす、化学組成を有し、
Al23を質量%で70.0%以上含有し、√AREAが3μm以上である介在物を粗大Al23系介在物と定義したとき、
鋼材中の前記粗大Al23系介在物の数密度が0.05〜1.00個/mm2である。
0.38≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)
0.73≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.65 (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
ここで、本明細書において、「Al23系介在物」とは、介在物中におけるAl23の割合が質量%で70.0%以上の介在物を意味する。
[2]の鋼材は、[1]に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、
Cu:0.01〜0.60%、
Ni:0.01〜0.60%、
Mo:0.01〜0.70%、及び
Nb:0.005〜0.100%、
からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する。
[3]の鋼材は、[1]又は[2]に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、
Pb:0.01〜0.30%、
Te:0.0003〜0.3000%、
Ca:0.0003〜0.0100%、及び
Bi:0.0003〜0.4000%、
からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する。
以下、本発明による鋼材について詳述する。元素に関する「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。
[化学組成]
本発明の鋼材の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.05〜0.55%
炭素(C)は、式(1)又は式(2)を満たすことを前提として、鋼材の熱間鍛造後の降伏強度及び疲労強度を高める。C含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、この効果は得られない。一方、C含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。したがって、C含有量は0.05〜0.55%である。C含有量の好ましい下限は0.06%であり、より好ましくは0.07%であり、さらに好ましくは0.10%である。C含有量の好ましい上限は0.54%であり、より好ましくは0.53%であり、さらに好ましくは0.52%である。
Si:0.05〜1.00%
シリコン(Si)は、鋼材に固溶して鋼材の熱間鍛造後の疲労強度を高める。Si含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、この効果は得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、上記効果は飽和する。Si含有量が高すぎればさらに、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下し、鋼材の製造コストも高くなる。したがって、Si含有量は0.05〜1.00%である。Si含有量の好ましい下限は0.06%であり、より好ましくは0.07%であり、さらに好ましくは0.08%である。Si含有量の好ましい上限は0.99%であり、より好ましくは0.95%であり、さらに好ましくは0.90%である。
Mn:1.51〜3.50%
マンガン(Mn)は製造工程中の溶鋼段階で鋼材を脱酸する。Mnはさらに、式(1)又は式(2)を満たすことを前提として、鋼材の熱間鍛造後の降伏強度及び疲労強度を高める。Mn含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、これらの効果は得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Mn含有量は1.51〜3.50%である。Mn含有量の好ましい下限は1.52%であり、より好ましくは1.53%であり、さらに好ましくは1.55%である。Mn含有量の好ましい上限は3.49%であり、より好ましくは3.48%であり、さらに好ましくは3.45%である。
P:0.1000%以下
リン(P)は、不可避に含有される不純物である。つまり、P含有量は0%超である。P含有量が0.1000%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、P含有量は0.1000%以下であり、より具体的には、P含有量は0超〜0.1000%である。P含有量の好ましい上限は、0.0800%であり、より好ましくは0.0500%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、精錬工程によりP含有量を極限まで低減すれば、生産性が低下し、製造コストが高くなる。したがって、通常の操業を考慮した場合、P含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。
S:0.3000%以下
硫黄(S)は、不可避に含有される不純物である。つまり、S含有量は0%超である。S含有量が0.3000%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、S含有量は0.3000%以下であり、より具体的には、S含有量は0超〜0.3000%である。S含有量の好ましい上限は、0.2000%であり、より好ましくは0.1500%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、精錬工程によりS含有量を極限まで低減すれば、生産性が低下し、製造コストが高くなる。したがって、通常の操業を考慮した場合、S含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。
Cr:0.05〜2.50%
クロム(Cr)は、式(1)又は式(2)を満たすことを前提として、鋼材の熱間鍛造後の降伏強度及び疲労強度を高める。Cr含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、この効果は得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間鍛造後の硬さが硬くなりすぎ、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。Cr含有量が高すぎればさらに、製造コストが高くなる。したがって、Cr含有量は0.05〜2.50%である。Cr含有量の好ましい下限は0.10%であり、より好ましくは0.12%であり、さらに好ましくは0.15%である。Cr含有量の好ましい上限は2.00%であり、より好ましくは1.80%であり、さらに好ましくは1.60%である。
V:0.10〜0.75%
バナジウム(V)は、熱間鍛造後の冷却過程でフェライト中に炭化物として析出し、式(1)又は式(2)を満たすことを前提として、鋼材の熱間鍛造後の降伏強度及び疲労強度を高める。V含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、この効果は得られない。一方、V含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の製造コストが高くなる。V含有量が高すぎればさらに、鋼材の被削性が低下する。したがって、V含有量は0.10〜0.75%である。V含有量の好ましい下限は0.11%であり、より好ましくは0.12%であり、さらに好ましくは0.15%である。V含有量の好ましい上限は0.70%であり、より好ましくは0.68%であり、さらに好ましくは0.66%である。
Ti:0.005〜0.250%
チタン(Ti)は、熱間鍛造後の冷却及び加熱過程でVと共に炭化物として析出し、鋼材の熱間鍛造後の疲労強度を高める。Tiはさらに、連続鋳造による溶鋼の凝固過程でTi硫化物及びTi炭硫化物を形成し、鋼材の被削性を高める。Ti含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、この効果は得られない。一方、Ti含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Ti含有量は0.005〜0.250%である。Ti含有量の好ましい下限は0.010%であり、より好ましくは0.020%である。Ti含有量の好ましい上限は0.240%であり、より好ましくは0.220%である。
Al:0.003〜0.100%
アルミニウム(Al)は、製造工程中の溶鋼段階で鋼を脱酸する。Alは酸素と結合して粗大Al23系介在物を形成する。粗大Al23系介在物は鋼材中に残存して、鋼材の熱間鍛造後のクラッキング性を高める。Al含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、これらの効果は得られない。一方、Al含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大Al23系介在物が過剰に生成し、鋼材の熱間加工性及び鋼材の熱間鍛造後の疲労強度が低下する。Al含有量が高すぎればさらに、製造コストが高くなる。したがって、Al含有量は0.003〜0.100%である。Al含有量の好ましい下限は0.004%であり、より好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.006%であり、さらに好ましくは0.011%である。Al含有量の好ましい上限は0.080%であり、より好ましくは0.060%であり、さらに好ましくは0.050%である。本発明の実施の形態の鋼材において、Al含有量とは全Al含有量を意味する。
N:0.020%以下
窒素(N)は不可避に含有される。つまり、N含有量は0%超である。NはAlと結合してAlNを形成し、Al23の形成を阻害する。その結果、鋼材の熱間鍛造後のクラッキング性を低下する。したがって、N含有量は0.020%以下であり、より具体的には、N含有量は0超〜0.020%である。N含有量の好ましい上限は0.015%であり、より好ましくは0.010%である。N含有量はなるべく低いほうが好ましい。しかしながら、精錬工程によりN含有量を極限まで低減すれば、生産性が低下し、製造コストが高くなる。したがって、通常の操業を考慮した場合、N含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。
本実施の形態による鋼材の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は製造環境などから混入されるものであって、意図的に鋼に含有させたものではない元素を意味する。
不純物としては、上記の不純物以外のあらゆる元素が挙げられる。不純物は1種だけであってもよいし、2種以上であってもよい。上記した不純物以外の他の不純物は、たとえば、B、Sb、Sn、W、Co、As及びH等である。これらの元素は、不純物として、たとえば、次の含有量となる場合があり得る。
B:0.01%以下、Sb:0.30%以下、Sn:0.30%以下、W:0.30%以下、Co:0.30%以下、As:0.30%以下、及び、H:0.005%以下。
[任意元素について]
本実施形態による鋼材はさらに、Feの一部に代えて、Cu、Ni、Mo、及びNbからなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも、鋼材の強度を高める。
Cu:0〜0.60%
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Cu含有量は0%であってもよい。含有される場合、Cuは鋼材に固溶して鋼材の熱間鍛造後の疲労強度を高める。Cuが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の製造コストが高くなるだけでなく、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。したがって、Cu含有量は0〜0.60%である。上記効果をより有効に高めるためのCu含有量の好ましい下限は0.01%であり、より好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Cu含有量の好ましい上限は0.59%であり、より好ましくは0.55%であり、さらに好ましくは0.50%である。
Ni:0〜0.60%
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ni含有量は0%であってもよい。含有される場合、Niは鋼材に固溶して鋼材の熱間鍛造後の疲労強度を高める。Niが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Ni含有量が高すぎれば、製造コストが高くなる。Ni含有量が高すぎればさらに、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間鍛造後の靭性が高くなりすぎる。その結果、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)を破断した場合、破断分離後の破面に延性破面が生成し、クラッキング性が低下する。したがって、Ni含有量は0〜0.60%である。上記効果をより有効に高めるためのNi含有量の好ましい下限は0.01%であり、より好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。Ni含有量の好ましい上限は0.59%であり、より好ましくは0.58%であり、さらに好ましくは0.55%である。
Mo:0〜0.70%
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mo含有量は0%であってもよい。含有される場合、Moは鋼材中で炭化物を形成する。そのため、式(1)又は式(2)を満たすことを前提として、鋼材の熱間鍛造後の降伏強度及び疲労強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Mo含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の硬さが高くなりすぎ、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。Mo含有量が高すぎればさらに、製造コストが高くなる。したがって、Mo含有量は0〜0.70%である。上記効果をより有効に高めるためのMo含有量の好ましい下限は0.01%であり、より好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。Mo含有量の好ましい上限は0.69%であり、より好ましくは0.68%であり、さらに好ましくは0.65%である。
Nb:0〜0.100%
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Nb含有量は0%であってもよい。含有される場合、Nbは鋼材中で炭化物を形成して鋼材の熱間鍛造後の疲労強度を高める。Nbが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Nb含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の硬さが高くなりすぎ、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。Nb含有量が高すぎればさらに、結晶粒が微細化し、鋼材の熱間鍛造後の靭性が高くなりすぎる。その結果、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)を破断した場合、破断分離後の破面に延性破面が生成し、鋼材のクラッキング性が低下する。したがって、Nb含有量は0〜0.100%である。上記効果をより有効に高めるためのNb含有量の好ましい下限は0.005%であり、より好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.015%である。Nb含有量の好ましい上限は0.095%であり、より好ましくは0.090%であり、さらに好ましくは0.085%である。
本実施形態による鋼材はさらに、Feの一部に代えて、Pb、Te、Ca、及びBiからなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも、鋼材の被削性を高める。
Pb:0〜0.30%
鉛(Pb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Pb含有量は0%であってもよい。含有される場合、Pbは鋼材の熱間鍛造後の被削性を高める。Pbが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Pb含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Pb含有量は0〜0.30%である。上記効果をより有効に高めるためのPb含有量の好ましい下限は0.01%であり、より好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Pb含有量の好ましい上限は0.29%であり、より好ましくは0.25%であり、さらに好ましくは0.20%である。
Te:0〜0.3000%
テルル(Te)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Te含有量は0%であってもよい。含有される場合、Teは鋼材の熱間鍛造後の被削性を高める。Teが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Te含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Te含有量は0〜0.3000%である。上記効果をより有効に高めるためのTe含有量の好ましい下限は0.0003%であり、より好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Te含有量の好ましい上限は0.2900%であり、より好ましくは0.2500%であり、さらに好ましくは0.2000%である。
Ca:0〜0.0100%
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ca含有量は0%であってもよい。含有される場合、Caは鋼材の熱間鍛造後の被削性を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Ca含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Ca含有量は0〜0.0100%である。上記効果をより有効に高めるためのCa含有量の好ましい下限は0.0003%であり、より好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0090%であり、より好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0050%である。
Bi:0〜0.4000%
ビスマス(Bi)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Bi含有量は0%であってもよい。含有される場合、Biは鋼材の熱間鍛造後の被削性を高める。Biが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Bi含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Bi含有量は0〜0.4000%である。上記効果をより有効に高めるためのBi含有量の好ましい下限は0.0003%であり、より好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Bi含有量の好ましい上限は0.3900%であり、より好ましくは0.3000%であり、さらに好ましくは0.2000%である。
[式(1)について]
本発明の実施の形態の鋼材の化学組成はさらに、C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、式(1)を満たし、C含有量が0.38〜0.55%である場合、式(2)を満たす。
0.38≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)
0.73≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.65 (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
fn1(=C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo)は、強度の指標であり、降伏強度と正の相関を示す。
[C含有量が0.05〜0.38%未満でのfn1の範囲について]
C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、fn1が0.38未満であれば、鋼材の強度が低すぎ、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)において、十分な降伏強度が得られない。一方、fn1が1.50よりも高ければ、鋼材の熱間鍛造後の強度が高くなりすぎ、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。したがって、C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、fn1は0.38〜1.50である。fn1の好ましい下限は0.39であり、より好ましくは0.40であり、さらに好ましくは0.41である。fn1の好ましい上限は1.49であり、より好ましくは1.48であり、さらに好ましくは1.47である。
[C含有量が0.38〜0.55%でのfn1の範囲について]
C含有量が0.38〜0.55%である場合、fn1が0.73未満であれば、鋼材の強度が低すぎ、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)において、十分な降伏強度が得られない。一方、fn1が1.65よりも高ければ、鋼材の熱間鍛造後の強度が高くなりすぎ、鋼材の熱間鍛造後の被削性が低下する。したがって、C含有量が0.38〜0.55%である場合、fn1は0.73〜1.65である。fn1の好ましい下限は0.74であり、より好ましくは0.75であり、さらに好ましくは0.76である。fn1の好ましい上限は1.64であり、より好ましくは1.63であり、さらに好ましくは1.62である。
[粗大Al23系介在物の数密度]
本発明の実施の形態による鋼材において、√AREAが3μm以上であるAl23系介在物(すなわち、粗大Al23系介在物)の数密度は0.05〜1.00個/mm2である。上記のとおり、Al23系介在物とは、Al23を質量%で70.0%以上含有する介在物を意味する。
粗大Al23系介在物の数密度が0.05個/mm2未満であれば、熱間鍛造後の鋼材において、十分なクラッキング性が得られない。一方、粗大Al23系介在物の数密度が1.00個/mm2を超えれば、熱間鍛造後の鋼材において、優れたクラッキング性は得られるものの、熱間鍛造後の鋼材の疲労強度や熱間加工性が低下する。粗大Al23系介在物の数密度が0.05〜1.00個/mm2であれば、熱間鍛造により、鋼材の組織に、仮に、ベイナイトが生じても、鋼材の熱間加工性及び鋼材の熱間鍛造後の疲労強度を維持しつつ、熱間鍛造後の鋼材において、優れたクラッキング性が得られる。
鋼材の熱間鍛造後のクラッキング性をさらに高めるための、粗大Al23系介在物の数密度の好ましい下限は0.07個/mm2であり、さらに好ましくは0.10個/mm2であり、さらに好ましくは0.11個/mm2であり、さらに好ましくは0.12個/mm2である。鋼材の熱間加工性及び鋼材の熱間鍛造後の疲労強度をさらに高めるための、粗大Al23系介在物の数密度の好ましい上限は0.80個/mm2であり、さらに好ましくは0.60個/mm2である。
粗大Al23系介在物の数密度は、次の方法で測定できる。鋼材が棒鋼である場合、棒鋼の軸方向(圧延方向)に垂直な断面における、R/2部からサンプルを採取する。R/2部とは、棒鋼の軸方向に垂直な断面において、中心と表面とを結ぶ線分(半径R)の中央位置部分を意味する。サンプルの表面のうち、棒鋼の軸方向を含む断面(縦断面)に相当する表面から、長さ4mm×幅2.5mmを被検面積とする試料を30個採取する。30個の試料の観察面を腐食せず、そのまま200倍の光学顕微鏡で観察し、写真画像を生成する。被検面積の合計は300mm2である。
各試料の観察面(4mm×2.5mm)中の介在物について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて点分析を実施する。分析結果から、各介在物中におけるAl、Oを含む各元素の質量%を決定する。分析された各元素含有量から、介在物中のAl23の質量%を算定する。具体的には、介在物の任意の3点を特定し、各点において、ビーム径1μmの電子線を用いてAl含有量(質量%)を測定する。求めたAl含有量から、AlとAl23との質量比を用いてAl23含有量(質量%)を算出する。算出したAl23含有量の平均を求め、Al23の質量%と定義する。
介在物のうち、Al23の質量%が70%以上の介在物を、Al23系介在物と特定する。特定した各Al23系介在物の√AREAを、画像解析装置を用いて算定する。具体的には、特定した各Al23系介在物の長さL(μm)と幅W(μm)とを求める。各Al23系介在物は長方形であると仮定し、面積(=L×W(μm2))として求める。求めた面積の平方根を求め、各Al23系介在物の√AREA(μm)と定義する。
各Al23系介在物の√AREAを求めた後、√AREAが3μm以上の粗大Al23系介在物を特定する。特定された粗大Al23系介在物の個数を求め、被検面積の合計(300mm2)で除した値を、粗大Al23系介在物の数密度(個/mm2)と定義する。
[製造方法]
上記の鋼材の製造方法の一例を説明する。この一例の製造方法は、精錬工程と、鋳造工程と、熱間加工工程とを含む。
[精錬工程]
上記の化学組成及び式(1)(C含有量が0.05〜0.38%未満)又は式(2)(C含有量が0.38〜0.55%)を満たす溶鋼を周知の方法で製造する。具体的には、転炉での脱炭、脱燐、脱珪処理を、周知の方法で行う。出鋼後、取鍋にアルミ脱酸剤を添加し、脱酸処理を実施する。なお、SiO2やCaOの混入を防ぐため、取鍋はアルミ脱酸専用鍋を使用する。また、アルミ脱酸剤は、Al含有量が質量%で80%以上の金属Al又はAl合金である。
上記脱酸処理の後、真空脱ガス処理を実施する。ここで、製造途中の溶鋼成分を確認し、真空脱ガス処理中に上述のアルミ脱酸剤(Al含有量が質量%で80%以上の金属Al又はAl合金)を追加することで、溶鋼中のAl含有量を調整する。真空脱ガス処理中に添加するアルミ脱酸剤は、質量%で、添加するアルミ脱酸剤全体の50〜70%である。
なお、SiO2の生成を抑制するため、Siの添加はアルミ脱酸剤によって鋼が十分脱酸された後に行う。Siの添加はたとえば、追加のアルミ脱酸剤添加から10分以上経過後に実施する。さらに、Al23を適正範囲で凝集させるため、出鋼後の脱酸剤添加から鋳造開始までにおいて、溶鋼温度が1600℃以上での好ましい保持時間は15〜60分である。溶鋼温度が1600℃以上の好ましい時間の下限は30分であり、さらに好ましくは40分である。以上の精錬工程により、上記の化学組成、及び、式(1)又は式(2)を満たし、かつ、√AREAが3μm以上であるAl23系介在物(すなわち、粗大Al23系介在物)の数密度は0.05〜1.00個/mm2である溶鋼が得られる。
[鋳造工程]
上記の溶鋼を用いて、周知の方法により鋳片(スラブ又はブルーム)又は鋼塊(インゴット)を製造する。鋳造方法はたとえば、連続鋳造法や造塊法である。
[熱間加工工程]
熱間加工工程では、上記鋳造工程で製造された鋳片又は鋼塊に対して、熱間加工を実施して、鋼材を製造する。鋼材はたとえば、棒鋼である。熱間加工工程は周知の方法により実施される。熱間加工工程はたとえば、粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とを含む。粗圧延工程はたとえば、分塊圧延機を用いた分塊圧延である。仕上げ圧延工程はたとえば、連続圧延機を用いた圧延である。連続圧延機では、一対の水平ロールを有する水平スタンドと、一対の垂直ロールを有する垂直スタンドとが交互に一列に配列される。粗圧延工程での加熱温度はたとえば、1000〜1300℃である。仕上げ圧延工程での加熱温度はたとえば、1000〜1300℃である。1000〜1300℃の加熱温度域では、Al23系介在物の形態は特に変化しない。なお、熱間加工工程は、熱間圧延に代えて熱間鍛造により実施してもよい。また、上記説明では、熱間加工工程は粗圧延工程と仕上げ圧延工程との2工程を含んだが、粗圧延工程を省略して、仕上げ圧延工程のみを実施してもよい。
以上の製造工程により、上記の鋼材が製造される。なお、上記の製造方法では、鋼材として棒鋼を製造したが、本発明の実施の形態の鋼材は線材であってもよい。鋼材の軸方向に垂直な断面は特に限定されない。鋼材の軸方向に垂直な断面形状はたとえば、矩形状、円形状、楕円形状、多角形状である。
また、本実施形態の鋼材の製造方法は、上記製造方法に限定されない。上記製造方法は好ましい製造方法の1つではあるが、他の製造方法によっても本発明の実施の形態の鋼材を製造することができる。鋼材中における√AREAが3μm以上のAl23系介在物の数密度が0.05〜1.00個/mm2となれば、上記の製造方法に特に限定されない。
[熱間鍛造品の製造方法]
上記の鋼材を用いた熱間鍛造品の製造方法の一例として、クラッキングコンロッドの製造方法を説明する。
初めに、上述の鋼材を高周波誘導加熱炉で加熱する。この場合、好ましい加熱温度は1000〜1300℃であり、好ましい加熱時間は10〜15分である。高周波誘導加熱炉での加熱温度が低いため、鋼材中のAl23系介在物の形態は特に変化しない。加熱された鋼材に対して、熱間鍛造を実施して中間品(粗形状のクラッキングコンロッド)を製造する。熱間鍛造時の加工度は特に限定されない。好ましい熱間鍛造時の加工度は0.22以上である。ここで、加工度は、鍛造工程において、バリを除く部分に生じる対数ひずみの最大値とする。熱間鍛造後の中間品に対して機械加工を実施して、中間品を粗切削する。その後、中間品の大端部100の破断分割(クラッキング)を実施する。破断分割後の中間品に対して仕上げ切削を実施して、最終の熱間鍛造品(クラッキングコンロッド)を製造する。以上の工程により、熱間鍛造品が製造される。
上記の熱間鍛造品の製造方法では、熱間鍛造品をクラッキングコンロッドとしたが、熱間鍛造品はクラッキングコンロッドに限定されない。熱間鍛造品は、他の機械構造用部品であってもよい。
[熱間鍛造品のミクロ組織]
製造された熱間鍛造品のミクロ組織は特に限定されない。しかしながら、降伏強度及び疲労強度の向上を目的として上記化学組成を有する鋼材を熱間鍛造して熱間鍛造品を製造する場合、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)の組織が、ベイナイトを主体とする組織となり得る。ここで、「ベイナイト主体のミクロ組織」とは、熱間鍛造品のミクロ組織において、ベイナイトの面積率は80%以上であることを意味する。なお、本明細書でいうベイナイトは、マルテンサイトも含む。
ベイナイトの面積率が100%でない場合、マトリクス組織の残部はフェライト、又は、フェライト及びパーライトからなる。ミクロ組織中のベイナイト面積率の好ましい下限は85%であり、より好ましくは90%であり、さらに好ましくは95%以上であり、最も好ましくは100%である。ベイナイト面積率の一例は95〜100%である。
降伏強度及び疲労強度の向上を目的として上記化学組成を有する鋼材を熱間鍛造して熱間鍛造品を製造した結果、熱間鍛造品の組織がベイナイト主体となった場合を想定する。さらに、熱間鍛造品がクラッキングコンロッドである場合を想定する。この場合、大端部100を破断して2つの部品(キャップ2及びロッド3)に分割するとき、破断部が塑性変形して破断面が延性破面となりやすく、クラッキング性が低下しやすい。しかしながら、本実施形態の鋼材では、Al23を質量%で70.0%以上含有するAl23系介在物のうち、√AREAが3μm以上の粗大Al23系介在物の数密度が0.05〜1.00個/mm2である。そのため、本実施形態の鋼材を熱間鍛造して製造した熱間鍛造品の組織がベイナイト主体となった場合であっても、熱間鍛造品の破断面が脆性破面となりやすく、優れたクラッキング性を維持できる。
上述のとおり、本実施形態の鋼材では、熱間鍛造後の鋼材の組織において、ベイナイト面積率が80%以上となった場合(つまり、組織がベイナイト主体となった場合)であっても、優れたクラッキング性が得られる。そのため、仮に、本実施形態の鋼材を熱間鍛造した結果、組織のベイナイト面積率が80%未満となった場合(つまり、組織がベイナイト主体ではなくても)、その熱間鍛造品は当然に優れたクラッキング性を有する。
なお、熱間鍛造後の鋼材(熱間鍛造品)のミクロ組織中のベイナイトの面積率は、次の方法で測定できる。熱間鍛造後の鋼材のうち、表面から1mm以上の深さ位置までの領域(表層領域)を除く部分(内部領域)から、サンプルを10個採取する。採取された各サンプルの任意の表面を観察面とする。観察面を研磨した後、3%硝酸アルコール(ナイタル腐食液)にてエッチングする。エッチングされた観察面を200倍の光学顕微鏡にて観察して、任意の5視野の写真画像を生成する。各視野の面積は475μm×475μmとする。
各視野において、フェライト、パーライト、ベイナイトの各相は、相ごとにコントラストが異なる。したがって、コントラストに基づいて、各相を特定する。上述のとおり、本明細書において、マルテンサイトはベイナイトと区別しない。そのため、本明細書において、各視野において、フェライト及びパーライト以外の領域を、「ベイナイト」と特定する。特定された相のうち、各視野でのベイナイトの面積(μm2)を求める。全ての視野でのベイナイトの面積の、全ての視野(5視野×10個)の総面積に対する比を、ベイナイト面積率(%)と定義する。
表1及び表2に示す化学組成を有する溶鋼を製造した。
Figure 2019177034
Figure 2019177034
表1を参照して、試験番号E−1〜E−40及びC−10〜C−16の化学組成は適切であり、C含有量が0.05〜0.38%未満であり、式(1)を満たした。一方、試験番号C−1〜C−9は化学組成が不適切であるか、又は式(1)を満たさなかった。なお、試験番号C−9の化学組成は、特許文献5に記載の鋼の化学組成の範囲内であった。
表2を参照して、試験番号E−41〜E−80及びC−25〜C−31の化学組成は適切であり、C含有量が0.38〜0.55%であり、式(2)を満たした。一方、試験番号C−17〜C−24は化学組成が不適切であるか、又は式(2)を満たさなかった。
各試験番号の溶鋼を、70ton転炉で一次精錬を実施し、取鍋に出鋼した。試験番号C−9、C−10、及び、C−25を除く試験番号において、取鍋は、SiO2やCaOの混入を防ぐため、アルミ脱酸専用鍋を用いた(表3及び表4中の「専用鍋」欄に「A」で表示)。試験番号C−9、C−10、及び、C−25では、アルミ脱酸専用鍋を用いず、シリコン脱酸やカルシウム脱酸と同じ鍋を用いた(表3及び表4中の「専用鍋」欄に「E」で表示)。
Figure 2019177034
Figure 2019177034
取鍋に出鋼後直ちにアルミ脱酸剤を添加し、脱酸処理を実施した。試験番号C−9、C−11、及びC−26を除く他の試験番号では、アルミ脱酸剤は、Al含有量が、質量%で、80%以上のものを使用した(表3及び表4中の「脱酸剤Al比率」欄で「A」で表示)。一方、試験番号C−9、C−11、及びC−26では、Al含有量が80%未満のアルミ脱酸剤を使用した(表3及び表4中の「脱酸剤Al比率」欄で「E」で表示)。
試験番号C−9、C−11、及びC−26以外の他の試験番号では、脱酸処理後の真空脱ガス処理中にも溶鋼にアルミ脱酸剤(Al含有量が、質量%で、80%以上のもの)を添加した。
ここで、真空脱ガス処理中に添加するアルミ脱酸剤の添加量が、精錬工程で添加するアルミ脱酸剤全体の50〜70%(質量%)である場合、脱酸剤添加率が適切であると判断した(表3及び表4中の「脱酸剤追加」欄で「A」で表示)。一方、真空脱ガス中に添加するアルミ脱酸剤の添加量が、精錬工程で添加するアルミ脱酸剤全体の50%未満である場合、真空脱ガス処理中での脱酸剤添加率が条件を満たさないと判断した(表3及び表4中の「脱酸剤追加」欄で「LE」で表示)。さらに、真空脱ガス処理中に添加するアルミ脱酸剤の添加量が、精錬工程で添加するアルミ脱酸剤全体の70%を超える場合、脱酸剤添加率が条件を満たさないと判断した(表3及び表4中の「脱酸剤追加欄」で「UE」で表示)。なお、いずれの試験番号においても、真空脱ガス処理でアルミ脱酸剤の添加から10分以上経過した後、Siを添加した。
試験番号E−1〜E−30、E−33〜E−70、E73〜E80、C−1〜C−8、C−10〜C−14、C17〜C29では、出鋼直後の溶鋼へのアルミ脱酸剤添加から鋳造開始までの間において、溶鋼温度が1600℃以上の時間が40分になるように、溶鋼温度を調整した(表3及び表4中の「1600℃以上保持時間」欄で「A」で表示)。試験番号E−31及びE−71では、溶鋼温度が1600℃以上での保持時間が30分であり(表3及び表4中の「1600℃以上の保持時間」欄で「B」で表示)、試験番号E−32及びE−72では、溶鋼温度が1600℃以上での保持時間が15分であった(表3及び表4中の「1600℃以上保持時間」欄で「C」で表示)。
一方、試験番号C−15及びC−30では、出鋼直後の溶鋼へのアルミ脱酸剤添加から鋳造開始までの間において、溶鋼温度が1600℃以上の時間が70分になるように、溶鋼温度を調整した(表3及び表4中の「1600℃以上保持時間」欄で「UE」で表示)。また、試験番号C−9、C−16、及びC−31では、出鋼直後の溶鋼へのアルミ脱酸剤添加から鋳造開始までの間において、溶鋼温度が1600℃以上の時間が5分になるように、溶鋼温度を調整した(表3及び表4中の「1600℃以上保持時間」欄で「LE」で表示)。
また、試験番号C−9、C−12、及びC−27以外の他の試験番号においては、真空脱ガス時にアルミ脱酸剤を添加してから、10分以上経過後にSiを添加した(表3及び表4中の「Si添加」欄で「A」)。一方、試験番号C−9、C−12、及びC−27では、真空脱ガス時にアルミ脱酸剤を添加してから、10分未満にSiを添加した(表3及び表4中の「Si添加」欄で「E」)。
続いて、各試験番号の溶鋼について、連続鋳造機を用いて、連続鋳造法により溶鋼から鋳片(ブルーム)を製造した。ブルームの横断面は300mm×400mmであった。
製造されたブルームを熱間圧延してビレットを製造した。初めに、ブルームを1150℃で100分加熱した後、分塊圧延機を用いて分塊圧延を実施して、ビレットを製造した。続いて、ビレットを1150℃で35分加熱し、その後、仕上げ圧延機を用いて仕上げ圧延を実施して直径40mmの棒鋼に製造した。以上の製造工程により、鋼材を製造した。
[熱鍛模擬品の製造]
棒鋼を長手方向と垂直な方向に切断し、直径40mm、長さ100mmの供試材を採取した。供試材を加熱して、1250℃で5分間保持した。加熱後速やかに、軸方向に90%熱間圧縮を実施して、円盤形状に成型し熱間鍛造模擬品(熱鍛模擬品という)を製造した。成型後の熱鍛模擬品を大気中で放冷した。放冷後、試験片を再加熱して、600℃に30分保持した。以上の製造工程により、熱鍛模擬品を製造した。
[評価試験]
供試材及び熱鍛模擬品を用いて、次の評価試験を実施した。
[粗大Al23系介在物の数密度測定試験]
各試験番号の鋼材(直径40mmの棒鋼)のR/2部(Rは熱鍛模擬品の表面と中心軸とを結ぶ半径)からサンプルを採取した。サンプルの表面のうち、供試材の軸方向を含む断面(縦断面)に相当する表面から、長さ4mm×幅2.5mmを被検面積とする試料を30個採取した。上記の方法で粗大Al23系介在物の数密度(個/mm2)を求めた。求めた粗大Al23系介在物の数密度(個/mm2)を表3及び表4中の「数密度」欄に示す。
[ミクロ組織観察]
各試験番号の熱鍛模擬品を用いて、ミクロ組織観察試験を実施した。具体的には、熱鍛模擬品の縦断面のうち、R/2部を含むサンプルを採取し、上記の方法により、ベイナイトの面積率(%)を求めた。求めたベイナイトの面積率(%)を表3及び表4中の「ベイナイト面積率」欄に示す。
[熱間加工性評価]
上記の方法で、熱鍛模擬品を試験番号ごとに50個製造した。製造後の熱鍛模擬品の表面の割れの有無を目視で確認した。割れの発生が50個中0個であった場合を評価「A」とし、1個であった場合を評価「B」、2〜3個であった場合を評価「C」とし、4個以上であった場合を評価「E」とした。評価「A」〜「C」の場合、十分な熱間加工性が得られたと判断し、評価「E」の場合、熱間加工性が低いと判断した。評価結果を表3及び表4中の「熱間加工性」欄に示す。
[クラッキング性評価]
各熱鍛模擬品から、図2Aに示す、コンロッド1の大端部100を模擬した試験片10を、機械加工により製造した。試験片10は平面視で正方形であり、試験片10の一辺の長さは80mmであり、厚さは10mmであった。試験片10の中央には孔(貫通孔)11を形成した。孔11の直径は60mmであり、その中心は、試験片10の中心と同軸であった。図2Aに示すとおり、孔11の周縁のうち、直径の各端点に相当する2箇所に、V字形状の切欠きMを加工した。切欠きMの深さは1mm、先端曲率半径は0.1mm、開き角は60°であった。
治具12を孔11に嵌め込んだ。治具12は半円盤状の一対の部材からなり、2つ合わせると、直径D0が孔11の内径に相当する円盤となった。治具12の中心には、くさび13を打ち込むための孔14が形成された(図2B参照)。
治具12を孔11に嵌め込んだ後、くさび13を打ち込んで(図2B)、試験片10を室温(25℃)で2つの部材10A、10Bに破断分離した(図2C参照)。
部材10A及び10Bの両側面近傍にボルト穴加工を施し、図2Dに示すボルト15で部材10A及び10Bを締結した。破断分離後であってボルト15を締結した後の試験片10の孔11の直径の最大値Dmax、最小値Dmin(図2D)を測定し、その差を内径偏径差ΔD(=Dmax−Dmin、単位はμm)と定義した。
内径偏径差ΔDが0〜10μmの場合を評価「A」とし、11〜20μmの場合を評価「B」とし、21〜30μmの場合を評価「C」とし、31〜40μmの場合を評価「D」とした。そして、内径変形量ΔDが40μmを超える場合、評価「E」とした。評価「A」〜「D」の場合、クラッキング性が十分に得られたと判断した。評価「E」の場合、クラッキング性が低いと判断した。評価結果を表3及び表4中の「ΔD」欄に示す。
[降伏強度評価]
各試験番号の熱鍛模擬品の表面から5mmの深さ位置までの領域(表層領域)を除く部分(内部領域)から、JIS 14A号試験片を2本採取した。採取された試験片を用いて、JIS Z 2241(2011)に準拠して、大気中の室温(25℃)で引張試験を実施し、2本平均の降伏強度(MPa)を求めた。
降伏強度(MPa)が1200〜1001MPaの場合を評価「A」とし、1000〜801MPaの場合を評価「B」とし、800〜551MPaの場合を評価「C」とした。降伏強度が550MPa以下の場合を評価「E」とした。評価結果を表2に示す。評価「A」〜「C」の場合、十分な降伏強度が得られたと判断した。評価「E」の場合、降伏強度が低いと判断した。評価結果を表3及び表4中の「降伏強度」欄に示す。
[疲労強度評価]
各熱鍛模擬品の表面から5mm深さ位置までの領域(表層領域)を除く部分(内部領域)から、JIS 14A号試験片を採取した。採取された試験片を用いて、JIS Z 2273(1978)に準拠して、大気中の室温(25℃)において、正弦波で位相0(MPa)の両振り疲労試験を実施した。繰り返し数107回で破断しない最大の応力を疲労強度(MPa)とした。周波数は15Hzとした。
疲労強度(MPa)が600〜551MPaの場合を評価「S」、550〜501MPaの場合を評価「A」、500〜451MPaの場合を評価「B」、450〜401MPaの場合を評価「C」とした。疲労強度が400MPa以下の場合を評価「E」とした。評価結果を表2に示す。評価「S」、「A」〜「C」の場合、十分な疲労強度が得られたと判断した。評価「E」の場合、疲労強度が低いと判断した。評価結果を表3及び表4中の「疲労強度」欄に示す。
[被削性評価]
試験番号ごとに5つの熱鍛模擬品を準備した。準備した5つの熱鍛模擬品に対して任意の位置に厚さ方向にドリル穴あけ加工を行い、ドリル穴あけ加工した際のドリル軸方向の切削抵抗を測定した。ドリル径を8mm、主軸の回転速度を720回/minとした。
工具摩耗量が900〜999Nの場合を評価「S」、1000〜1099Nの場合を評価「A」、1100〜1199Nの場合を評価「B」、1200〜1299Nの場合を評価「C」とした。工具摩耗量が1300N以上の場合を評価「E」とした。評価「S」、「A」〜「C」の場合、十分な被削性が得られたと判断した。評価「E」の場合、被削性が低いと判断した。評価結果を表3及び表4中の「被削性」欄に示す。
[評価結果]
表1〜表4を参照して、試験番号E−1〜E−80の化学組成は適切であり、C含有量が0.05〜0.38%未満である試験番号E−1〜E−40では、fn1が式(1)を満たし、C含有量が0.38〜0.55%である試験番号E−41〜E−80では、fn2が式(2)を満たした。さらに、取鍋、アルミ脱酸剤、脱酸剤添加率、Si添加タイミング、及び溶鋼の1600℃以上での保持時間も適切であった。そのため、鋼中の粗大Al23系介在物の数密度は0.05〜1.00個/mm2の範囲内であった。その結果、熱間鍛造後の鋼材のミクロ組織において、ベイナイトの面積率が95〜100%となったものの、内径変形量ΔDが30μm以下であり、優れたクラッキング性が得られた。さらに、降伏強度、疲労強度、被削性、熱間加工性にも優れた。
一方、試験番号C−1及びC−17では、V含有量は高すぎた。そのため、被削性が低かった。
試験番号C−2及びC−18では、V含有量は低すぎた。そのため、疲労強度が低かった。
試験番号C−3及びC−19では、Ti含有量は高すぎた。そのため、熱間加工性が低かった。
試験番号C−4及びC−20では、Ti含有量は低すぎた。そのため、疲労強度が低かった。
試験番号C−5及びC−21では、Al含有量は高すぎた。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が高すぎた。その結果、疲労強度と熱間加工性が低かった。
試験番号C−6及びC−22では、Al含有量は低すぎた。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が低すぎた。その結果、クラッキング性が低かった。
試験番号C−7及びC−23では、fn1は高すぎた。そのため、被削性が低かった。
試験番号C−8及びC−24では、fn1は低すぎた。そのため、降伏強度が低かった。
試験番号C−9では、化学組成が特許文献5の実施例19に相当した。試験番号C−9では、C含有量は高すぎた。そのため、被削性が低かった。さらに、V含有量及びTi含有量は低すぎた。そのため疲労強度が低かった。さらに、出鋼直後の溶鋼へのアルミ脱酸剤添加から鋳造開始までの間において、溶鋼の1600℃以上での保持時間が短すぎたため、粗大Al23系介在物の数密度が低すぎた。そのため、クラッキング性が低かった。
試験番号C−10及びC−25では、化学組成は適切であったものの、取鍋が条件を満たさなかった。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が低すぎた。その結果、クラッキング性が低かった。
試験番号C−11及びC−26では、化学組成は適切であったものの、アルミ脱酸剤が条件を満たさなかった。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が低すぎた。その結果、クラッキング性が低かった。
試験番号C−12及びC−27では、化学組成が適切であったものの、Si添加タイミングが条件を満たさなかった。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が低すぎた。その結果、クラッキング性が低かった。
試験番号C−13及びC−28では、化学組成が適切であったものの、真空脱ガス処理時に追加した脱酸剤の添加率が高すぎた。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が高すぎた。その結果、疲労強度と熱間加工性が低かった。
試験番号C−14及びC−29では、化学組成が適切であったものの、真空脱ガス処理時に追加した脱酸剤の添加率が低すぎた。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が低すぎた。その結果、クラッキング性が低かった。
試験番号C−15及びC−30では、化学組成が適切であったものの、出鋼直後の溶鋼へのアルミ脱酸剤添加から鋳造開始までの間において、溶鋼の1600℃以上での保持時間が長すぎた。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が高すぎた。その結果、疲労強度と熱間加工性が低かった。
試験番号C−16及びC−31では、化学組成が適切であったものの、出鋼直後の溶鋼へのアルミ脱酸剤添加から鋳造開始までの間において、溶鋼の1600℃以上での保持時間が短すぎた。そのため、粗大Al23系介在物の数密度が低すぎた。その結果、クラッキング性が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上記した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上記した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上記した実施の形態を適宜変更して実施することができる。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.55%、
    Si:0.05〜1.00%、
    Mn:1.51〜3.50%、
    P:0.1000%以下、
    S:0.3000%以下、
    Cr:0.05〜2.50%、
    V:0.10〜0.75%、
    Ti:0.005〜0.250%、
    Al:0.003〜0.100%、
    N:0.020%以下、
    Cu:0〜0.60%、
    Ni:0〜0.60%、
    Mo:0〜0.70%、
    Nb:0〜0.100%、
    Pb:0〜0.30%、
    Te:0〜0.3000%、
    Ca:0〜0.0100%、
    Bi:0〜0.4000%、及び、
    残部:Fe及び不純物からなり、
    C含有量が0.05〜0.38%未満である場合、式(1)を満たし、
    C含有量が0.38〜0.55%である場合、式(2)を満たす、化学組成を有し、
    Al23を質量%で70.0%以上含有し、√AREAが3μm以上である介在物を粗大Al23系介在物と定義したとき、
    鋼材中の前記粗大Al23系介在物の数密度が0.05〜1.00個/mm2である、
    鋼材。
    0.38≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)
    0.73≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.65 (2)
    ここで、式(1)及び式(2)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
  2. 請求項1に記載の鋼材であって、
    前記化学組成は、
    Cu:0.01〜0.60%、
    Ni:0.01〜0.60%、
    Mo:0.01〜0.70%、及び
    Nb:0.005〜0.100%、
    からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する、
    鋼材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の鋼材であって、
    前記化学組成は、
    Pb:0.01〜0.30%、
    Te:0.0003〜0.3000%、
    Ca:0.0003〜0.0100%、及び
    Bi:0.0003〜0.4000%、
    からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する、
    鋼材。
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