JPWO2019171753A1 - 採便用具 - Google Patents

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Abstract

手首や肘を動かさなくても採便用具を動かすことが可能で、かつ、複数の指で把持する場合と比較して、手のひらや手の甲を糞便から遠ざけることが可能な採便用具を提供する
採便用具(10)は、長手方向の一端である先端部(11A)に、検体である糞便(41)を採取する採取部(11B)が設けられた本体部(11)と、本体部(11)の長手方向において先端部(11A)とは反対側の基端部(11C)に指先(60A)を固定する指先固定部(12)とを備えている。

Description

本発明は、採便用具に関するものである。
大腸からの出血を検査するための便潜血検査が知られている。便潜血検査において、糞便の一部が検体となるが、検体は、排泄された糞便の表面からまんべんなく、すなわち、広い範囲から採取されることが好ましい。というのも、大腸からの出血は、糞便の表面に最も付着すると考えられるからである。
糞便の表面から検体を採取するための採便用具として、例えば、長手方向に延びる棒状の本体部の先端に採取部が設けられた採便用具が知られている(特許文献1)。このような採便用具は、細長い棒で構成される場合が多いことから、採便棒などとも呼ばれる。こうした採便用具において、長手方向の一端である先端部には採取部が設けられている。採取部は、糞便が付着しやすいように、例えば、外周面に複数の溝が形成されており、複数の溝と突条部とを有する凹凸状となっている。長手方向において、先端部と反対側の基端部は、把持部となっている。この把持部が、親指と人差し指などの複数の指で摘まれることで、採便用具が手に保持される。また、本体部は可撓性を有している。
採便に際しては、基端側の把持部が複数の指で把持されて、先端側の採取部を糞便の表面に接触させる。この状態で、本体部を撓ませることで、採取部の軸方向と糞便の表面とを平行に近い状態にすることができ、採取部の接触面積を大きくとることができる。この状態で基端側の把持部を持つ手を移動させると、糞便の表面の広い範囲に渡って採取部が移動する。これにより、糞便の表面の広い範囲に渡る検体が採取される。
特開2011−059052号公報
しかしながら、特許文献1に記載の採便用具のように、把持部を複数の指で摘むようにして採便用具が保持される形態であるため、採便用具を動かすためには、手首や肘の動きが必ず必要になり、例えば、指の動きだけで採便用具を動かすことができない。また、複数の指で把持部を摘んで採便用具を保持する方法では、手のひらや手の甲が糞便に接近するため、心理的な抵抗を大きく感じる被検者(ユーザ)も多い。本体部の長さを長くすれば、糞便からの距離が遠くなるため、心理的な抵抗を減らすことができるが、そうすると、操作性が悪化する。
本発明は、手首や肘を動かさなくても採便用具を動かすことが可能で、かつ、複数の指で把持する場合と比較して、手のひらや手の甲を糞便から遠ざけることが可能な採便用具を提供することを目的とする。
本発明の採便用具は、長手方向の一端である先端部に、検体である糞便を採取する採取部が設けられた本体部と、本体部の長手方向において先端部とは反対側の基端部に指先を固定する指先固定部とを備える。
指先固定部は、指先を挿入可能な指サックであることが好ましい。
指サックは、指先の挿入方向と本体部の長手方向が平行になるように設けられることが好ましい。
指先固定部は、指先が挿通されるリングであることが好ましい。
リングは、本体部とは別体であり、リングは、基端部と指先を含む指の両方を挿通可能な口径を有しており、基端部と指が挿通された状態で、指とリングの間に発生する摩擦力と、基端部とリングの間に発生する摩擦力の作用で、リングが基端部に保持されることが好ましい。
本体部は、検体が懸濁される希釈液が貯留された検体容器に収容可能であって、検体容器は、本体部が挿入される挿入口を有しており、本体部の基端には、本体部を検体容器に収容した状態で、検体容器の挿入口を閉じるキャップが設けられていることが好ましい。
指先固定部は、キャップに設けられていることが好ましい。
本体部は、外力が加わっていない状態では長手方向に真っ直ぐに伸びるストレート形状であることが好ましい。
本体部は、可撓性を有していることが好ましい。
本体部において、採取部と基端部の間に、他の部分よりも高い可撓性を有する屈曲部が設けられている。
本発明によれば、手首や肘を動かさなくても採便用具を動かすことが可能で、かつ、採便用具を複数の指で把持する場合と比較して、手のひらや手の甲を糞便から遠ざけることができる。
本発明の採便用具の外観図である。 採便用具と検体容器で構成される採便キットの説明図である。 採便用具の使用例を示す説明図である。 採便用具の別の使用例を示す説明図である。 第2実施形態の採便用具の説明図である。 第2実施形態の採便用具の使用例を示す説明図である。 第3実施形態の採便用具の説明図である。 第4実施形態の採便用具の説明図である。 第4実施形態の採便用具の変形例の説明図である。 第4実施形態の採便用具の別の変形例の説明図である。 図9に示す採便用具の保持方法の説明図である。
[第1実施形態]
図1に示す採便用具10は、検体となる糞便の採取に使用される。採便用具10は、本体部11と、指先固定部12とを備えている。本体部11は、長手方向(軸方向)に延びる棒状体であり、長手方向の一端である先端部11Aには、採取部11Bが設けられている。採取部11Bは、糞便の表面に接触させて糞便を付着させる部位である。採取部11Bには、例えば、外周面に軸回りの周方向に沿って複数の溝が形成されて、表面が凹凸形状をしている。
ここで、棒状体とは、長手方向と直交する断面の断面形状が円形や楕円形のものの他、四角形や六角形などの多角形のものを含む。本例の本体部11は、断面形状が円形の棒状体である。本体部11は、例えば、プラスチックで形成されている。本体部11は、外力が加えられていない状態では、長手方向に直線的に延びるストレート形状であり、外力が加わると撓んで屈曲する可撓性を有することが好ましい。なお、本体部11としては、棒状体に限らず、例えばヘラのような平板状の細長い板で構成してもよい。
本体部11には、長手方向において先端部11Aとは反対側の基端部11Cに、指先固定部12が設けられている。指先固定部12は、例えば、人差し指の指先60Aが挿入可能な指挿入部12Aと、指先固定部12を本体部11の基端部11Cに着脱自在に取り付けるための取付部12Bとを有している。ここで、指先60Aとは、おおよそ、指の第1関節までの部分をいう。
指挿入部12Aは、本例では、指先60Aを挿入可能な有底の袋状をした指サックである。指サックは、指先60Aの全周を覆うことができるため、指先60Aをしっかりと保持することができる。指挿入部12Aの深さとしては、より具体的には、指先60Aから指の第2関節に達しない範囲を挿入できる程度の深さであることが好ましい。というのも、指挿入部12A内に指の第2関節が挿入されなければ、第2関節の動きが制約されずに、第2関節を使用して指を動かすことが可能となり、その指の動きを通じて本体部11を動かすことができるためである。
取付部12Bは、基端部11Cを挿通可能な口径を有する円筒状をしている。取付部12Bに基端部11Cを挿通することで、指先固定部12が基端部11Cに取り付けられる。指先固定部12は、本体部11に対して着脱自在である。指先固定部12は、ゴムやプラスチックで形成される。
本例では、指先固定部12は、指挿入部12Aに対する指先60Aの挿入方向と、本体部11の長手方向が平行になるように設けられている。具体的には、指挿入部12Aに対する指先60Aの挿入方向と、取付部12Bに対する基端部11Cの挿入方向とが平行になっている。ここで、長手方向と挿入方向が平行とは、プラスマイナス10°程度の誤差が許容される略平行を含む概念である。
指先固定部12は、ユーザの手60の指先60Aを基端部11Cに固定するためのものである。指先60Aが基端部11Cに固定されることで、採便用具10を、指先60Aを含む指で保持することが可能となり、また、基端部11Cを基点として、指で採取部11Bを動かすことが可能となる。
図2に示すように、採便用具10は、例えば、検体を収容する検体容器16とのセットで検体採取キットを構成する。検体容器16は、容器本体17と、キャップ18とを備えている。容器本体17は、細長の筒状の容器である。容器本体17は、長手方向において、採便用具10の本体部11を収容可能な十分な長さを持つ。
容器本体17は、例えば、透明なプラスチックで形成されており、かつ、内筒21と外筒22の二重構造になっている。本例では、外筒22の長手方向と直交する方向の断面形状は略長方形状であり、内筒21の断面形状は円形である。内筒21の内部には、検体である糞便が懸濁される希釈液が貯留される。容器本体17の長手方向の一方の端面には、採便用具10の本体部11が挿入される挿入口17Aが形成されている。
キャップ18は、挿入口17Aを閉じるキャップである。キャップ18は、把持部18Aと栓部18Bとを備えている。把持部18Aは、外筒22の外形と同様に断面形状が長方形状をしている。栓部18Bは、内筒21と同様に、円筒形状をしている。栓部18Bは、挿入口17Aから内筒21内に進入して、内筒21と嵌合して、挿入口17Aを水密に閉じる。
本体部11の基端部11Cから指先固定部12を取り外した状態で、栓部18Bを基端部11Cに嵌合させると、本体部11とキャップ18が結合する。本体部11は、キャップ18が結合された状態で、先端部11A側から挿入口17Aを通じて、内筒21内に挿入されて、容器本体17に収容される。
キャップ18は、弾性を有している。栓部18Bの外径は、内筒21の内径よりも僅かに大きく形成されている。栓部18Bは外周を収縮させながら内筒21内に圧入されて内筒21と嵌合する。この嵌合により、キャップ18が容器本体17に固定され、挿入口17Aが水密に封止される。なお、栓部18Bの形態としては、例えば、外周に渦巻き状に巻き付く形態の突条部を有する形態でもよい。この場合には、突条部を圧縮するように、栓部18Bが内筒21に圧入されて、挿入口17Aが水密に封止される。
本例では、キャップ18に把持部18Aを設けているが、把持部18Aを設けなくても、栓部18Bによって挿入口17Aの封止が可能である。把持部18Aを設けない場合は、栓部18B単体がキャップに相当する。
もちろん、栓部18Bが挿入口17Aを封止する機能を備えていることに加えて、把持部18Aに挿入口17Aの周囲を水密に覆う機能を持たせてもよい。
また、内筒21の内部には、擦り切り部26が設けられている。擦り切り部26は、採取部11Bに付着した余分な糞便41を除去する。擦り切り部26は、例えば、採取部11Bの挿入方向において、挿入方向手前側の開口径が広く、奥側の開口径が狭くなる円錐形状をしている。擦り切り部26には、採取部11Bが挿通される。擦り切り部26は、採取部11Bの周面に付着した余分な糞便41を削ぎ落とす。
また、図2において、擦り切り部26よりも下方に、希釈液が貯留される。擦り切り部26を挿通した採取部11Bは、希釈液に浸漬される。希釈液は、浸漬された採取部11Bから検体が懸濁されて懸濁液となる。擦り切り部26の奥側の開口は非常に狭いため、奥側の開口においては希釈液の表面に表面張力が作用する。これにより、擦り切り部26は、いわば、希釈液の逆流を防止する逆止弁のような役割を担う。
以下、上記構成による作用について図3を参照しながら説明する。採便を行う準備として、まず、便器31に糞便41が排泄される。この後、ユーザは、採便用具10の指先固定部12に手60の指先60Aを挿入する。これにより、本体部11の基端部11Cに指先60Aが固定される。ユーザは、この状態で、本体部11を動かして、本体部11の採取部11Bを糞便41に接触させて検体を採取する。
具体的には、ユーザは、採取部11Bを糞便41の表面に擦りつけて、糞便41の一部を採取部11Bに付着させる。糞便41の表面部分には大腸からの出血が最も付着すると考えられる。そのため、採便に当たっては、糞便41の表面の広い範囲に渡って採取部11Bを接触させて、広い範囲から検体となる糞便41を採取部11Bに付着させることが好ましい。
採便用具10の保持方法としては、図3に示すように、ユーザから見て、指先固定部12よりも本体部11が手前に位置する位置関係で採便用具10を保持してもよい。また、図3に示す位置関係とは逆に、図4に示すように、ユーザから見て、本体部11よりも指先固定部12が手前に位置する位置関係で採便用具10を保持することも可能である。
例えば、図3のように保持すると、指を伸ばした状態から、指先60Aを手のひらに向けて屈曲させる動きをすれば、本体部11が基端部11Cを基点に反時計方向に回転する。これにより、採取部11Bを糞便41の表面に接触させた状態で、ユーザから見て前方から手前に向けて(図3においては左側から右側に)動かすことができる。
一方、図4のように保持すると、指を曲げた状態から、指先60Aを伸ばす動きをすれば、本体部11が基端部11Cを基点に時計方向に回転する。これにより、採取部11Bを糞便41の表面に接触させた状態で、ユーザから見て手間から前方に向けて(図4においては右側から左側に)動かすことができる。
このように、指先固定部12を備えた採便用具10によれば、指を屈伸させる動きだけで、糞便41の表面の広い範囲に渡って採取部11Bを擦りつけることが可能となり、糞便41の表面の広い範囲から検体となる糞便41を採取することができる。
このような採便が行われた後、図2に示すように、本体部11から指先固定部12が取り外されて、代わりに本体部11にはキャップ18が取り付けられる。そして、採取部11Bを含む本体部11が挿入口17Aから容器本体17に挿入される。これにより、採取部11Bが希釈液に浸漬される。キャップ18を締めることにより挿入口17Aが閉じられる。このように採取された検体は、容器本体17毎、検体分析のために、病院などの検査機関に提出される。
本体部11は外力が加わっていない状態では長手方向に真っ直ぐに伸びるストレート形状であるため、本体部11を容器本体17に挿入しやすい。また、本体部11は可撓性を有しているため、本体部11を撓ませることで採取部11Bと糞便41の表面との接触面積を大きくできる。
以上説明したとおり、本例の採便用具10を用いると、手首や肘を動かさなくても、手60の指の動きだけで、基端部11Cを基点に採便用具10を動かすことが可能になる。もちろん、指の動きに加えて、手首や肘の動きを組み合わせることで、従来よりも採便用具10の姿勢を変化させる自由度が大きくなる。
上述のとおり、検体としては、糞便41の表面部分が好ましく、糞便41の表面部分を採取するには、採取部11Bの表面と糞便41の表面とはできるだけ平行な姿勢で接触させることが好ましい。
図3、図4に示すように、便器31は、一般にすり鉢状をしており、排泄された糞便41は、すり鉢状の便器31の底部にある。そのため、採便時には、便器31の上方の開口部から糞便41にアプローチせざるを得ず、横方向から糞便41にアプローチすることはできない。このように、糞便41に対するアプローチできる方向が限定される状況において、採便用具10の姿勢を変化させる自由度が小さいと、採取部11Bの表面と糞便41の表面とを平行にして接触させにくい。本例の採便用具10は、指の動きを使えるため、採便用具10の姿勢を変化させる自由度が大きい。そのため、糞便41にアプローチする方向が限定される状況でも、採取部11Bを糞便41の表面に適切な姿勢で接触させやすい。
また、指先60Aを基端部11Cに固定できるため、複数本の指で基端部11Cを把持する従来技術と比較して、手のひらや手の甲を糞便41から遠ざけることが可能となる。複数の指で基端部11Cを把持すると、手のひらや手の甲が糞便に接近するため、採便に際しての心理的な抵抗を大きく感じるユーザも多い。本例の採便用具10は、指先固定部12の作用により、糞便41と手のひらや手の甲との間の距離が遠くなる。そのため、ユーザの採便に際しての心理的な抵抗を減らすことができる。
また、糞便41と手のひらや手の甲との距離を遠くする方法としては、本体部11の長さを長くする方法が考えられる。しかし、本体部11の長さを長くすると、基端部11Cの僅かな動きで採取部11Bが大きく動くことになるため、操作性が悪化する。本例によれば、本体部11を長くすることによる操作性の悪化を避けつつ、ユーザの心理的な抵抗を減らすことができる。
また、本例では、指先固定部12は、指挿入部12Aに対する指先60Aの挿入方向と、本体部11の長手方向が平行になるように設けられている。これにより、指先固定部12に指先60Aを固定した状態では、指先60Aが指し示す方向に採取部11Bが位置することになる。そのため、採取部11Bの位置を感覚的に掴みやすく、操作性が良好である。
「第2実施形態」
図5に示す第2実施形態の採便用具110は、本体部11に屈曲部11Dを設けた形態である。屈曲部11Dは、本体部11において、採取部11Bと基端部11Cの間に設けられている。屈曲部11Dは、本体部11において、屈曲部11D以外の部位と比較して高い可撓性を有しており、撓みやすく屈曲しやすい部位である。屈曲部11Dは、例えば、本体部11の他の部位よりも細径にすることで形成される。第2実施形態の採便用具110において、屈曲部11Dが設けられていること以外は、第1実施形態と同様であり、同じ部位については同一の符合を付して説明を省略する。
本体部11は全体的に可撓性を有しているが、屈曲部11Dは他の部位と比較して可撓性が高く屈曲しやすい。そのため、採便用具110を用いて採便する場合において、例えば、図6に示すように、先端部11Aを糞便41の表面に接触させた状態で、基端部11Cに対して、本体部11を撓ませる方向に力を加えると、屈曲部11Dが屈曲する。これにより、採取部11Bの表面を糞便41の表面に対して平行に接触させることができる。このように、屈曲部11Dを設けることで、本体部11が決まった位置で屈曲することになるため、ユーザは本体部11がどのように変化するかを予見しやすく、どこが屈曲するかわからない場合に比べて操作性がよい。
なお、屈曲部11Dの形成方法としては、本体部11の他の部位よりも径を細くする方法に限らず、他の部位と比較して柔軟な部材を用いるなど、材料を変更して形成する方法でもよい。
「第3実施形態」
図7に示す第2実施形態の採便用具111は、指先固定部121が設けられたキャップ180を備えた形態である。キャップ180は、本体部11の基端部11Cに取り付けられている。本例の場合は、キャップ180は、基端部11Cから取り外し不能に取り付けられていてもよい。指先固定部121は、上記各実施形態の指挿入部12Aと同様の形態である。指先固定部121は、例えば、キャップ180の把持部180Aと一体に成形されている。その他の構成については、第1実施形態の採便用具10と同様であるので、説明を省略する。
本例の採便用具111によれば、指先固定部121がキャップ180に設けられているため、第1実施形態のように、採便を行った後、指先固定部121を本体部11から取り外したり、本体部11にキャップ180を取り付けたりする必要がない。そのため、本体部11を検体容器16に収容する作業が簡便になる。
なお、本例のキャップ180では、把持部180Aと指先固定部121が一体成形されており、指先固定部121は把持部180Aから取り外し不能である。しかし、もちろん、把持部180Aから指先固定部121が取り外せるようにしてもよい。
「第4実施形態」
図8に示す第4実施形態の採便用具112は、指挿入部をリング状とした形態である。指先固定部122は、例えば、指挿入部として機能するリング122Aと、取付部122Bとして機能するリングの2つのリングを組み合わせた形態である。このように、指挿入部としては、指サックの代わりに、リング122Aとすることも可能である。指先固定部122は、例えば、金属、プラスチック、ゴムなどで形成される。リング122Aに指先60Aが挿入されて、採便用具112は操作される。
このような採便用具112は、指挿入部を指サックで構成する場合と比較して構造が簡単である。なお、本例では、指先固定部122を本体部11に対して着脱自在な形態で構成したが、指先固定部122は本体部11に対して取り外し不能に取り付けられていてもよい。この場合には、指先固定部122と本体部11とを一体で形成してもよい。この場合には、例えば、指先固定部122と本体部11とを、針金のような細長い金属を折り曲げて一体に形成してもよいし、あるいは、プラスチックで一体成形してもよい。
また、本体部11と指先固定部122とを一体で形成した場合においても、指先固定部122を本体部11から容易に分離できるようにしておくことが好ましい。というのも、そうしておけば、指先固定部122の有無で、本体部11が未使用であるか使用済みであるかを、容易に判別させることが可能となるためである。分離可能な構成としては、例えば、指先固定部122を本体部11と一体に成形した場合においては、本体部11と指先固定部122の結合部分を手で破壊できる程度の強度に作成する方法がある。こうすることで、結合部分を、手で折ったり、捩ったりするなどの方法で指先固定部122を本体部11から切り取ることができる。
「変形例1」
図9は、図8に示す第4実施形態の採便用具112の変形例である。採便用具112において、指先固定部122を本体部11から分離できるようにした場合には、本体部11の基端部11Cに、容器本体17の挿入口17Aを水密に封止する栓部11Eを設けておくことが好ましい。栓部11Eは、図2で示した栓部18Bと同様の形態であり、挿入口17Aの内径に合わせて、基端部11Cの径を一部太くして形成される。あるいは、栓部11Eの周囲に渦巻き状の突条部が設けられる。栓部11Eは、弾性を有しており、挿入口17Aに圧入されて嵌合する。これにより、挿入口17Aが水密に封止される。本例の栓部11Eは、挿入口17Aを閉じるキャップに相当する。
図9に示す形態であれば、採便終了後、本体部11にキャップ18を取り付ける作業を行うことなく、そのまま、容器本体17に本体部11を収容するだけで、栓部11Eで挿入口17Aを封止することができる。指先固定部122は、容器本体17に本体部11を収容したのち、基端部11Cから取り外される。このように、図9に示す形態では、採便のワークフローを簡略化することができる。
「変形例2」
また、図10に示すように、第4実施形態の別の変形例である採便用具113は、指先固定部を、指挿入部として機能するリング123のみで構成したものである。つまり、図10に示す変形例は、図8及び図9に示す例と異なり、リング123とは別に、取付部として機能するリング部を有していない単一のリングである。リング123は、本体部11とは別体である。
リング123は、本体部11の基端部11Cと指先60Aを含む指の両方を挿通可能な口径を有している。また、リング123は、基端部11Cと指の両方が挿通された状態で、指とリング123の間に発生する摩擦力と、基端部11Cとリング123に発生する摩擦力の作用で、基端部11Cに保持される。リング123の口径は、こうした摩擦力を発生させることができる程度のサイズであることが好ましい。
図11に示すように、採便用具113を使用する場合は、ユーザは、リング123を基端部11Cに挿通し、その状態で、リング123内に指先60Aを含む指を挿入する。指先を挿入したときに、指とリング123との摩擦力と、基端部11Cとリング123との摩擦力の作用で、リング123が基端部11Cに保持される。同時にこれらの摩擦力の作用で、指先60Aが基端部11Cに固定される。
指先固定部をこのような単純なリング123の形態にすると、図8及び図9に示す例よりもさらに構造が簡便になり、低コスト化も可能となる。なお、図9に示した栓部11Eを図11に示す採便用具113に設けてもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本例では、採取部11Bは、先端部11Aの周面において半周分の範囲(周方向において約180°程度の範囲)に渡って形成されている。しかし、採取部11Bを、先端部11Aの周面の全周に渡って形成してもよい。また、採取部11Bの溝の形状や本数など適宜変更が可能である。また、凹凸の形成方法も、線状の溝ではなく、点状の窪みで形成してもよいし、溝と窪みを組み合わせて凹凸を形成してもよい。
また、上記以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行なって、種々の構成を採用し得ることは勿論である。
10、110、111、112、113 採便用具
11 本体部
11A 先端部
11B 採取部
11C 基端部
11D 屈曲部
11E 栓部
12、121、122 指先固定部
12A 指挿入部
12B 取付部
16 検体容器
17 容器本体
17A 挿入口
18、180 キャップ
18A キャップ本体
18B 結合部
21 内筒
22 外筒
31 便器
41 糞便
60 手
60A 指先
122A リング
122B 取付部
123 リング
180A キャップ本体

Claims (10)

  1. 長手方向の一端である先端部に、検体である糞便を採取する採取部が設けられた本体部と、
    前記本体部の長手方向において前記先端部とは反対側の基端部に指先を固定する指先固定部とを備える採便用具。
  2. 前記指先固定部は、前記指先を挿入可能な指サックである請求項1に記載の採便用具。
  3. 前記指サックは、前記指先の挿入方向と前記本体部の長手方向が平行になるように設けられる請求項2に記載の採便用具。
  4. 前記指先固定部は、前記指先が挿通されるリングである請求項1に記載の採便用具。
  5. 前記リングは、前記本体部とは別体であり、
    前記リングは、前記基端部と前記指先を含む指の両方を挿通可能な口径を有しており、
    前記基端部と前記指が挿通された状態で、前記指と前記リングの間に発生する摩擦力と、前記基端部と前記リングの間に発生する摩擦力の作用で、前記リングが前記基端部に保持される請求項4に記載の採便用具。
  6. 前記本体部は、前記検体が懸濁される希釈液が貯留された検体容器に収容可能であって、
    前記検体容器は、前記本体部が挿入される挿入口を有しており、
    前記本体部の基端には、前記本体部を前記検体容器に収容した状態で、前記検体容器の挿入口を閉じるキャップが設けられている請求項1から5のいずれか1項に記載の採便用具。
  7. 前記指先固定部は、前記キャップに設けられている請求項6に記載の採便用具。
  8. 前記本体部は、外力が加わっていない状態では長手方向に真っ直ぐに伸びるストレート形状である請求項1から7のいずれか1項に記載の採便用具。
  9. 前記本体部は、可撓性を有している請求項1ないし8のいずれか1項に記載の採便用具。
  10. 前記本体部において、前記採取部と前記基端部の間に、他の部分よりも高い可撓性を有する屈曲部が設けられている請求項9に記載の採便用具。
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