JP2012016452A - 可撓性を有する材質により形成された軸部を有する検体採取用スワブ - Google Patents

可撓性を有する材質により形成された軸部を有する検体採取用スワブ Download PDF

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Abstract

【課題】確実に、効率的にそして安全に検体を採取することができるスワブの提供。
【解決手段】可撓性を有する結晶性樹脂などの材質により形成された軸部1を有し、軸部1の長手方向の一端部にブラシ状の立毛体による採取部2、反対方向の一端部に把持部3を有し、上記軸部1を曲げた際に軸部1が折れることなく曲げることができるよう構成し、咽頭、鼻腔、中耳、内耳、角膜、尿道、肛門、直腸、膣又は膚から採取することを特徴とするスワブ。
【選択図】図1

Description

本発明は、検体採取に使用するスワブ(綿棒)に関する。
人体からの検体採取作業、菌の培養作業又は各種精密機器の検査作業等を行う場合にはスワブが広く使用されている(特許文献1を参照)。
特に生物学検査では、検査に必要な毛髪、組織、体液等を効率よく採取するとともに、微小な固形の夾雑物を除去することが重要とされており、スワブがよく用いられていた。
人体から検体を採取等するような場合、例えば検体が鼻腔拭い液の場合は、狭い鼻腔へスワブを挿入し、下鼻甲介に沿わせながら、スワブを鼻腔の奥に行き当たるまで挿入し、スワブで粘膜表皮を数回擦るようにして、鼻腔の奥の部位に存在する検体を採取する。
この際、軸の径寸法が大きいスワブは軸があまり撓まわないので、検体の採取に至る前に、検体を収集する部位以外の部位、例えば、鼻孔の入口周辺部位に綿棒の軸が接触することで採取したい部位にスワブの先端が到達できなかったり、無理に検体を採取しようとするために、検体を収集する部位以外の部位に接触してしまい、その接触した部位に痛みや損傷を与えてしまうことがある。
したがって、狭い空間において検体を採取する際は挿入しやすいよう採取部及び軸の径寸法が小さいスワブが使用されている。
特開2009-58260号公報
スワブで検体を採取する際は、スワブの先端の採取部を検体採取部位に押し付けたり擦過するが、その際に軸部に引っ張り、圧縮、曲げ、捻じれといった力が掛かり、軸部にクラックが起きる。その結果、クラックを起点として綿棒が折れ曲がりや捻じれにより最終的には破断することで検体採取部位に折れたスワブが残ることがある。特に軸部の径寸法が小さいスワブは、その細さから強度面が弱い傾向があり、スワブが折れ曲がりや捻じれにより破断しやすいという欠点があった。狭い空間における検体採取においてスワブの軸部が折れると、軸部の折れた箇所が狭い空間の側壁に接触し、その接触した部位に損傷を与えてしまう。また、スワブの折れた箇所が狭い空間の側壁に接触することで、検体を採取したい部位にスワブの先端が到達できず、結果として検体を採取できない。また、折れた箇所から先端部にかけては、把持部からの力が伝わり難いことから、検体を採取しようとするために無理に把持部に力を入れてしまい、軸部が折れた箇所から破断してしまい、その接触した部位に損傷を与えてしまう。また、狭い空間における検体採取の際は、作業箇所が見えないことが多く、スワブの軸部の折れや破断に気付かないまま作業を継続し、被害が拡大する。また、狭い空間においてスワブが破断すると、破断したスワブを回収することは非常に困難である。狭い空間が人体である場合、これらの被害による人体への影響は甚大である。
本発明は、上記の欠点のないスワブの提供を目的とする。
上記のように、狭い空間において検体を採取する際は挿入しやすいよう採取部及び軸部の径寸法が小さいスワブが使用されていたが、軸の径寸法が小さいことから折れやすく、また破断するという問題があった。そこで、軸部の径寸法が小さくても折れや破断に強いスワブが求められていた。
本発明者はこのような課題を解決するために、軸部に可撓性に優れた材質を用いることにより、スワブの軸部を曲げた際に軸部が折れることなく曲げられ、破断しないことを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 可撓性を有する材質により形成された軸部を有し、軸部の長手方向の一端部に採取部、反対方向の一端部に把持部を有し、上記軸部を曲げた際に軸部が折れることなく曲げることができるよう構成されていることを特徴とするスワブ。
[2] 可撓性を有する材質が結晶性樹脂からなることを特徴とする[1]のスワブ。
[3] 可撓性を有する材質がエンジニアリングプラスチックからなることを特徴とする[1]又は[2]のスワブ。
[4] 軸部の径が0.7〜0.9mmであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかのスワブ。
[5] 把持部が軸部より大きい径寸法を有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかのスワブ。
[6] 採取部がブラシ状の立毛体で構成されていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかのスワブ。
[7] [1]〜[6]のいずれかのスワブを用いて検体を採取する工程、及び該採取した検体中の被分析物を分析する工程を含む、検体中の被分析物の分析方法。
[8] 検体を咽頭、鼻腔、中耳、内耳、角膜、尿道、肛門、直腸、膣又は膚から採取することを特徴とする[7]の分析方法。
[9] スワブにより採取した検体を検体浮遊液に浮遊して、その検体浮遊液から被分析物を分析することを特徴とする[7]又は[8]の分析方法。
本発明のスワブは、可撓性を有する材質により形成された軸部を有し、軸部の長手方向の一端部に採取部、反対方向の一端部に把持部を有し、上記軸部を曲げた際に軸部が折れることなく曲げることができるよう構成されている。このため、狭い空間において検体を採取する際は挿入しやすいよう採取部及び軸部の径寸法が小さいスワブとして形成しても、破断することはない。本発明のスワブを用いることにより、確実に、効率的にそして安全に検体を採取することができる。
本発明のスワブを示す図である。図において、採取部2には、立毛体が固定されており、立毛体を含め採取部としている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、可撓性を有する材質により形成された軸部を有し、軸部の長手方向の一端部に採取部、反対方向の一端部に把持部を有し、軸部を曲げた際に軸部が折れることなく曲げることができるよう構成されていることを特徴とするスワブである。ここで、可撓性とは、柔軟性があり、曲げても折れない性質をいう。さらに、上記軸部は弾性を有していることが好ましい。ここで、弾性とは力を加えると変形するが、除荷すれば元の形状に戻ろうとする性質をいう。
軸部を曲げた際に軸部が折れることなく曲げることができるとは、例えば軸部を固定して、軸部の一端である採取部に力をかけて軸部を曲げた際に、軸部が折れることなく曲がることをいう。
ここで「折れる」というのは、軸部が目視または感触によって角度がついて折れ曲がっていることが確認できる程度に変形し、且つ力をかけないと元の形状に戻らない状態をいう。すなわち、「折れる」とは不可逆的に変形した状態をいう。軸部に目視または感触によって角度がついて折れ曲がっていることが確認できない程度の変形、例えば緩やかなカーブの曲がり痕が残る程度の変形は、「折れる」に含まれない。スワブを用いて狭い空間から検体を採取しようとする場合、このように変形してしまうと、軸部の折れた箇所が検体採取部位である狭い空間の側壁に接触し、その接触した部位に損傷を与えてしまうことがある。また、検体採取部位が生体の部位である場合、痛みを感じることもある。さらに、スワブの折れた箇所が狭い空間の側壁に接触することで、検体を採取したい部位にスワブの先端が到達できず、結果として検体を採取できなくなってしまう。
また、軸部が折れた場合、折れた箇所から先端部にかけては、把持部からの力が伝わり難い。したがって、検体を採取するために無理に把持部に力を入れてしまうことになり、軸部が折れた箇所から破断してしまい、破断部がその接触した生体の部位に損傷を与えてしまう。また、狭い空間における検体採取の際は、作業箇所が見えないことが多く、スワブの軸部の折れや破断に気付かないまま作業を継続し、損傷の被害が拡大する。また、狭い空間においてスワブが破断すると、破断したスワブを回収することは非常に困難になってしまう。
狭い空間が人体などの生体の体腔等である場合、これらの被害による生体への影響は甚大である。
本発明のスワブは可撓性を有する材質により形成された軸部を有することから、軸部が捻じれによる折れ曲がりや破断が起きにくい。したがって、上記のように検体を採取しようとする空間を損傷するおそれがない。
本発明のスワブの軸部は、可撓性を有する材質により構成することにより、曲率半径が4mm、好ましくは3mm、さらに好ましくは2mm以下になるよう軸部を曲げても、軸部が折れることなく曲げることができる。
軸部の形状は棒状(径方向断面が略円形状)又は先端部ほど径が小さくなる若しくは先端部ほど径が大きくなるテーパ状が一般的であるが、それには限定されない。軸部の径寸法は0.5〜3.0mm以下が望ましく、狭い鼻腔内の検体採取を目的とするなら好ましくは0.5〜1.4mm、さらに好ましくは0.7〜0.9mmである。軸部の形状がテーパ状の場合、前記径寸法は採取部から40mmの範囲内における最大径を表す。軸部の長さは30〜200mm程度である。
本発明のスワブは軸部の材質が可撓性を有する材質で構成される。可撓性を有する材質とは、一定の強度と靱性とを有し、折り曲げが可能で、折り曲げても破断しない物性を持つ材質である。
可撓性を有する材質としては結晶性樹脂を用いることができる。結晶性樹脂は、規則正しい分子構造を持つ樹脂であり、耐疲労性、機械的強度に優れている樹脂である。結晶性樹脂でできたスワブは、可撓性を有し、また機械的強度があることからスワブで検体を採取する際に、把持部から採取部まで力を伝達しやすく、効率よく検体を採取することができる。結晶性樹脂として、具体的にはポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等、それらの誘導体やホモポリマーが挙げられる。本発明のスワブの材質として用いる結晶性樹脂には、ポリエチレン及びポリプロピレンは含まれない。また、それらをガラス繊維やカーボン繊維等の添加物で補強した樹脂も用いることができる。
さらに、可撓性を有する材質としてはエンジニアプラスチック(エンジニアリングプラスチック)を用いることができる。エンジニアプラスチックとは、耐熱性が100℃以上で、強度が49MPa(500kgf/cm2)以上、曲げ弾性率が2.4GPa(24000kgf/cm2)以上の特性を持つ熱可塑性樹脂の総称であり、広義では耐熱性がさらに高く、150℃以上の高温でも長期間使用できるスーパーエンジニアプラスチックも含まれる。エンジニアプラスチックという場合、主鎖が炭素のみでできているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の汎用プラスチックは除かれる。エンジニアプラスチックはその性質から可撓性を有し、また機械的強度があることからスワブで検体を採取する際に、把持部から採取部まで力を伝達しやすく、効率よく検体を採取することができる。エンジニアプラスチックとして、具体的にはポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、超高分子ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、ポベンゾイミダゾール、ポリテトラフロロエチレン等、及びこれらの誘導体が挙げられる。また、それらをガラス繊維やカーボン繊維等の添加物で補強した樹脂も用いることができる。
本発明のスワブは、一端に把持部を有する。該把持部は、手指で把持する部分をいい、軸部と一体に製造されていてもよいし、軸部とは別体で製造され、結合されていてもよい。別体で製造する場合、軸部と把持部を接着、溶着、嵌合等により結合させればよい。把持部の形状は限定されないが、棒状、テーパ状、板状等、手指で把持しようとする際に、手指と接触する一定の面積を有し、手指で把持し易い形状を有する。本発明のスワブの軸部は径寸法が小さく、その寸法では把持する面積が少なくなることから把持しにくく、検体を採取する際に把持部から採取部へ力を伝え難く、その結果、効率良く検体を採取し難い。したがって、後述の採取部と軸部は径寸法が小さいままでも良いが、把持部は把持しやすい大きさにすることが望ましい。その反面、軸部に対する引っ張り、圧縮、曲げ、捻じれといった力が必要以上に掛かり、結果として軸部の折れ曲がりや破断が起きやすくなるが、本発明の可撓性を有する材質により形成することによって、把持しやすく且つ軸部の折れ曲がりや破断が起きないスワブを実施することができる。例えば、把持部が棒状又はテーパ状の場合、軸部より大きい径寸法とすればよい。この場合、把持部の径は、例えば軸部の径の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上である。把持部の長さはスワブ全体の長さの1/4〜1/2程度の長さである。
本発明のスワブは、さらに検体を採取するための採取部を把持部とは反対側の一端に有する。本発明のスワブの採取部は、検体を吸収等により採取するための構造体を取り付けることができ、該構造体を取り付けるためのチップが形成されていてもよい。この場合、チップは軸部の一端に存在する軸部よりも径の大きい部分を含む軸部の一部分をいい、軸部の先端に擬球形のチップを取り付けたり、軸部を変形させてチップ部分を形成してもよい。スワブの採取部には、検体を採取するための構造体としてブラシ状の立毛体や綿球等を固定すればよい。本発明において、スワブの採取部という場合、検体を採取するための構造体が固定されていないものもチップ部に検体を採取するための構造体を固定したものも含む。ブラシ状の立毛体とは、立毛を構成する短繊維部分がブラシ状に存在する物体であり、軸部の長手方向の一端部に構成された採取部に短繊維部分を固定することにより構成され、採取部に対し立毛を構成する短繊維部分がブラシ状に存在する。短繊維部分は中空部分をもつマイクロファイバー、綿や絹やセルロースなどの天然素材、プラスチック、炭素繊維、アルギネート等が使用可能である。この中でも液状検体の吸収効率が高いマイクロファイバーが好ましく、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂からなるマイクロファイバーが好適に用いられる。立毛体の短繊維部分は検体を効率良く採取することができることから、広く用いられる。その反面、検体を多く採取することから軸部に対する引っ張り、圧縮、曲げ、捻じれといった力が必要以上に掛かり、結果として軸部の折れ曲がりや破断が起きる。しかし、本発明の可撓性を有する材質により形成された軸部と組み合わせることによって、検体を効率良く採取し且つ軸部の折れ曲がりや破断が起きないスワブを実施することができる。採取部の長さは、例えば、スワブ全体の長さの1/20〜1/5程度である。
本発明のスワブは、例えば採取した検体中の被分析物を分析する分析方法において、検体を採取するために用いることができる。
本発明のスワブは、上記の特徴を有しているので、検体採取が困難な狭い空間や傷をつけたくないデリケートな箇所において、優れた検体採取能力を発揮することができる。したがって、本発明のスワブを用いることにより、検体採取が困難な狭い空間や傷をつけたくないデリケートな箇所から検体を採取し、該検体中の被分析物を分析することができる。
分析方法は物理的、化学的、電気的、免疫学的、遺伝子学的分析等いずれの分析方法でもよく、本発明のスワブを用いて効率的に検体を採取できるので、いずれの分析方法を用いた場合も、高感度で精度よく分析することができる。
また、本発明のスワブは上記の特徴を有しているので、咽頭、鼻腔、中耳、内耳、眼、尿道、肛門、直腸、膣、皮膚、内視鏡下での体腔等の人体などの生体中の検体の採取に好適に利用することができる。特に、鼻腔、直腸、角膜等の検体採取の困難な狭い空間や傷をつけたくないデリケートな箇所の検体の採取に好適に用いることができる。また、採取する検体として、咽頭若しくは鼻腔ぬぐい液、咽頭若しくは鼻腔洗浄液、鼻腔吸引液、唾液、血清、直腸拭い液、便、便懸濁液、尿、角膜拭い液等が挙げられる。
スワブにより採取した検体はそのまま分析に供しても良いが、スワブの採取部を検体浮遊液、検体懸濁液、検体溶解液等に入れることにより検体を浮遊液、懸濁液、溶解液等に浮遊、懸濁、溶解等させ、該浮遊液、懸濁液、溶解液等の被分析物を分析してもよい。この場合、さらに効率よく分析することができる。
本発明は、本発明のスワブで検体を採取し、採取した検体中の被分析物を分析することを含む検体中の被分析物の分析方法を包含する。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
本発明のスワブを図1に示す。
スワブ4は径方向断面が略円形状に形成され全長150mmからなり、60mmの長さの軸部1を含み、さらに軸部の長手方向の一端部に15mmの長さの採取部2、反対方向の一端部に75mmの把持部3を有する。
軸部1は径寸法が0.8mmであるが、把持部3の径寸法は2.5mmであり、把持部3より軸方向(長手方向)に軸部と採取部が延設されるよう形成されている。軸部1の径寸法は0.8mmと細い形成であることから、狭い箇所にも容易にスワブを挿入することができる。
把持部3は軸部より径寸法が大きくなるよう形成していることから、検体を採取する際に把持部から採取部へ力を伝えやすく、その結果、効率良く検体を採取できる。
また、軸部1の材質はポリアミドからなる可撓性を有する材質であり、軸部1は射出成形により形成されている。
ポリアミドは結晶性樹脂でもあり、エンジニアプラスチックでもあることから耐疲労性、機械的強度に優れている。その結果、スワブで検体を採取する際に、把持部から採取部まで力を入れやすく、効率よく検体を採取することができるだけではなく、折れ曲がったり、破断しにくい形となっている。
採取部2は軸部の先端から15mmの長さの範囲において、多くの約0.3mmの短繊維がブラシ状の立毛体で固定され、採取部の径寸法は立毛体を含めて約2.8mmで形成されている。立毛体の短繊維部分は検体を効率良く採取することができることから、狭い空間においても無理に力を入れずに検体を採取できる。
また立毛状態によって接触時の摩擦ストレスが少なく、上記の通り力を入れなくても良いことから、軸部に対する引っ張り、圧縮、曲げ、捻じれといった力が掛かりにくく、結果として軸部の折れ曲がりや破断が起きない。
実施例2
図1に示すスワブを用いて人体から検体を採取する場合、把持部3を指で把持して、採取部2を採取する検体に導くことにより、採取部を検体に接触させて検体を採取する。
例えば、入口が狭い鼻孔を通過させて鼻腔の奥の部位に存在する検体を採取する場合には、把持部3を把持して、採取部2の形成された軸部1の先端から鼻孔に挿入する。
このように採取しようとする検体が、鼻腔の奥の部位のような入口が狭い鼻孔を通過した奥の部位に存在するような場合には、軸部1は狭い空間を通過しうるように径が小さいことが必要となる。
また、把持部3の径が小さい場合には安定して把持部3を把持できないことから、安定した検体の採取作業をするためには、把持部3の径は安定して検体を採取しうる径寸法により形成されている必要がある。
挿入されたスワブを用いて鼻腔の奥の部位にある検体を採取するために、更に鼻腔の奥に採取部2を挿入していく。この際、入口の鼻孔が狭いため検体に採取部2を導く過程において鼻孔入口の周辺部に軸部1が接触してしまう場合がある。このような場合であっても、軸部1の径寸法は0.8mmと細く形成されており、また可撓性を有するポリアミドを材質として用いているので、鼻孔入口の周辺部に軸部1が接触しても軸部1を鼻孔の内部形状に沿わせて自然に撓ませることができるので、接触した部位の痛みや損傷を軽減させて、検体の採取を可能とする。
そして、検体採取部位に導かれた採取部2により鼻腔の奥の部位にある検体を採取する。この際、採取部2はブラシ状の立毛体に形成されていることから、鼻腔の奥の検体採取部位に強く擦りつけなくても容易に検体を採取できる。また、仮に擦りつけたとしても立毛状態によって接触時の摩擦ストレスが少なく、接触した部位の痛みや損傷を軽減させることができる。さらに、先端部を強く擦りつけなくても良いことから、軸部に対する引っ張り、圧縮、曲げ、捻じれといった力が掛かりにくく、結果として軸部の折れ曲がりや破断が起きない。
鼻孔を通過させて鼻腔の奥の部位に存在する検体を採取する場合は、検体の採取の様子を目視することが困難であることから、誤って不用意に力を入れてしまうことがあるが、本発明のスワブは力を加えなくても検体を採取できるし、仮に力を加えたとしても痛みや損傷を軽減させることができる。さらに力を加えても破断しにくいので、目視することが困難であるような狭い空間に破断したスワブが残ってしまうことを防ぐことができる。
実施例3
図1に示すスワブを用いて人体から検体を採取し、その検体から目的の被分析物を分析した。
1.鼻腔拭い液からのインフルエンザの分析
図1のスワブを用いて鼻腔拭い液を採取し、採取した検体からインフルエンザウイルスの存在の有無を分析した。
インフルエンザウイルスの分析は、市販の「クイックナビーFlu」(デンカ生研)を用いた。
図1のスワブをインフルエンザ感染患者の鼻孔へゆっくり挿入し、採取部を鼻腔の奥の検体採取部位に接触させた。さらにスワブを少し前後に動かしたり、回転させることにより、採取部を検体採取部位に擦過させた。スワブを鼻孔からゆっくり抜き取り、スワブの採取部を「クイックナビーFlu」の操作方法に従い検体浮遊液に浮遊して分析した。検体採取の際に、スワブが折れ曲がったり、破断することはなく、無事に検体を採取できた。
採取した検体を分析した結果、インフルエンザウイルス陽性と判定され、本発明のスワブは鼻腔拭い液の検体採取に問題なく使用できた。
2.直腸拭い液からのノロウイルスの検出
図1のスワブを用いて直腸拭い液を採取し、採取した検体からノロウイルスの存在の有無を分析した。
ノロウイルスの分析は、市販の「クイックナビーノロ」(デンカ生研)を用いた。
図1のスワブをノロウイルス感染患者の肛門へゆっくり挿入し、採取部を直腸の検体採取部位に接触させた。さらにスワブを少し前後に動かしたり、回転させることにより、採取部を検体採取部位に擦過させた。スワブを肛門からゆっくり抜き取り、スワブの採取部を「クイックナビーノロ」の操作方法に従い検体浮遊液に浮遊して分析した。検体採取も際に、スワブが折れ曲がったり、破断することはなく、無事に検体を採取できた。
分析した結果、ノロウイルスが陽性と判定され、本発明のスワブは直腸拭い液の検体採取に問題なく使用できた。
3.角膜拭い液からのアデノウイルスの検出
図1のスワブを用いて角膜拭い液を採取し、採取した検体からアデノウイルスの存在の有無を分析した。
アデノウイルスの分析は、市販の「クイックナビーアデノ」(デンカ生研)を用いた。
図1のスワブの採取部をアデノウイルス感染患者の眼球の角膜に接触させた。さらにスワブを少し前後に動かしたり、回転させることにより、採取部を角膜に擦過させた。スワブの採取部を「クイックナビーアデノ」の操作方法に従い、検体浮遊液に浮遊して、分析した。検体採取の際に、アデノウイルス感染患者の角膜を傷つけることなく、無事に検体を採取できた。
分析した結果、アデノウイルスが陽性と判定され、本発明のスワブは角膜拭い液の検体採取に問題なく使用できた。
本発明のスワブは、生物学的検体中のウイルス、細菌などやそれらに対する抗体の被検出物を検出するための、検体採取に用いることができる。また、綿棒軸に広く適用できる。
1 軸部
2 採取部
3 把持部
4 スワブ全体

Claims (9)

  1. 可撓性を有する材質により形成された軸部を有し、軸部の長手方向の一端部に採取部、反対方向の一端部に把持部を有し、上記軸部を曲げた際に軸部が折れることなく曲げることができるよう構成されていることを特徴とするスワブ。
  2. 可撓性を有する材質が結晶性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のスワブ。
  3. 可撓性を有する材質がエンジニアリングプラスチックからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のスワブ。
  4. 軸部の径が0.7〜0.9mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスワブ。
  5. 把持部が軸部より大きい径寸法を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスワブ。
  6. 採取部がブラシ状の立毛体で構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスワブ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のスワブを用いて検体を採取する工程、及び該採取した検体中の被分析物を分析する工程を含む、検体中の被分析物の分析方法。
  8. 検体を咽頭、鼻腔、中耳、内耳、角膜、尿道、肛門、直腸、膣又は膚から採取することを特徴とする請求項7記載の分析方法。
  9. スワブにより採取した検体を検体浮遊液に浮遊して、その検体浮遊液から被分析物を分析することを特徴とする請求項7又は8に記載の分析方法。
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