JP2017173278A - 農薬の採取体 - Google Patents

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一樹 山本
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文人 川嶋
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典明 ▲浜▼田
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【課題】青果等の物品に付着した農薬を分散媒に移して懸濁液を調製する場合において、当該懸濁液を容易に調製できるようにする。
【解決手段】物品の表面から農薬を拭き取るための採取体は、分散媒に溶解可能な素材を用いて形成される。採取体を形成する素材は、物品から拭き取る農薬が疎水性のものの場合、懸濁液の調製のために親水性の分散媒を用いることから、親水性の分散媒に溶解可能なもの、例えば、水溶性繊維を用いる。物品の表面から農薬を拭き取った採取体を分散媒に投入すると、採取体は分散媒に溶解し、他方、拭き取られた農薬は分散媒中に分散する。こうして調製された懸濁液は、農薬を捕捉可能なフイルタを用いてろ過すると、フイルタに捕集された農薬と、フイルタを通過した分散媒とに分離される。フイルタに捕集された農薬は、物品に付着した農薬の分析用試料となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、農薬の採取体、特に、青果等の物品に付着した農薬を物品から拭き取るための採取体に関する。本願において農薬とは、樹木および農林産物を含む農作物または農用地等へ適用される各種薬剤等、例えば、殺虫剤、殺菌剤、防かび剤、除草剤、殺鼠剤、忌避剤、誘引剤、植物生長調節剤、補助剤、展着剤および農薬肥料等であって、典型的には農薬取締法の対象となるものをいう。
農薬による青果の表面汚染を分析するための方法として、特許文献1は、農薬を拭き取るための採取体により青果の表面を拭い、その採取体の赤外吸収スペクトルをATR法により測定する方法を提案している。
この分析方法において用いられる採取体は、青果の表面に適用したときに、農薬とともに夾雑物を拭い取ることがある。この場合、採取体について測定した赤外吸収スペクトルが夾雑物の影響を受け、その影響が分析結果に反映される可能性がある。
そこで、夾雑物の影響を排除するためには、採取体により拭い取った農薬を溶剤に溶解することで溶液を調製し、この溶液を精製処理した後に濃縮して分析することが考えられる。しかし、この場合、精製処理後の溶液を濃縮する必要があることから、分析作業が煩雑になる。
一方、採取体により拭い取った農薬を分散媒に移すことで懸濁液を調製することも考えられる。この場合、懸濁液は、ろ過することで分散質である農薬と、夾雑物を含む分散媒とに容易に分離することができ、分離された農薬を分析対象とすることができることから、分析作業の簡略化を図ることができる。
特開2013−253893号公報
本発明は、物品に付着した農薬を分散媒に移して懸濁液を調製する場合において、当該懸濁液を容易に調製することができるようにするものである。
本発明は、物品に付着した農薬を分散媒に移して懸濁液を調製するために、物品から農薬を拭き取るための採取体に関するものであり、この採取体は、分散媒に溶解可能な素材を用いて形成されている。
本発明に係る農薬の採取体は、例えば、シート状、鞘状、ペレット状、粘着テープ状または粘土状に形成されている。
本発明に係る農薬の採取体は、分散媒に溶解可能な素材を用いて形成されているため、物品に付着した農薬を拭き取った後に分散媒に溶解するだけで農薬の懸濁液を調製することができる。
本発明の採取体を用いて調製した懸濁液から農薬を分離するために用いられるろ過器具の縦断面図。
本発明に係る農薬の採取体は、通常、農薬による物品の表面汚染を分析するために、物品から農薬を分散媒に移し、農薬の分析用試料となる懸濁液を調製するために用いることができる。
本発明の採取体の適用対象となり得る物品は、農作物、典型的には葉菜類や茎菜類等の各種の野菜および仁果類や柑橘類等の各種の果実など、種類が限定されない青果であって、例えば、出荷時のものや輸入時のもの等である。また、各種の農耕器具類や青果の搬送、輸送において用いられる篭その他の容器類も本発明の採取体の適用対象の物品となり得る。
さらに、最近は、食品の安全への関心の高まりに従って農薬の使用を抑えた有機栽培が盛んである。有機栽培農場は、近隣の農場において散布等された農薬による作物や土壌の汚染(ドリフトと呼ばれる。)の程度を判定するためにシート状または板状の部材を配置し、その汚染を評価することがあるが、本発明の採取体は、ドリフトの評価のために用いられる部材も適用対象とすることができる。
以下、本発明の採取体の形態例に触れながら、当該採取体を用いて物品から農薬を分離して分析用試料となる懸濁液を調製するための方法を説明する。
懸濁液の調製では、物品の表面に付着している農薬を採取体により拭い取って分散媒へ移す。
ここで用いられる分散媒は、物品の表面から移された農薬を実質的に溶解せず、分散させることができるものである。農薬としては多種多様のものが存在するが、一般には水溶性のものと疎水性のものとに分類することができる。そこで、物品の表面に付着している農薬であって、分析対象となるものが水溶性の場合は疎水性の分散媒が用いられ、逆に分析対象となる農薬が疎水性の場合は親水性の分散媒が用いられる。
ここで用いられる疎水性の分散媒は、水溶性の農薬を実質的に溶解しないものであればよく、通常は疎水性の有機溶媒である。疎水性の有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびイソオクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロオクタンおよびシクロヘキセン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレン等の有機塩素系化合物、ジメチルエーテルおよびジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、並びに、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン類等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上のものの混合溶媒であってもよい。
親水性の分散媒は、疎水性の農薬を実質的に溶解しないものであればよく、通常は水、好ましくはイオン交換水、蒸留水または純水などの精製水である。分散媒として用いられる水は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、塩化カルシウム若しくは硫酸ナトリウム等の塩が溶解した塩水であってもよく、また、各種の弱酸とその塩とが溶解した緩衝液、例えば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液若しくは酒石酸緩衝液等であってもよい。また、親水性の分散媒として、親水性の有機溶媒、例えば、メタノールやエタノール等のアルコール類を用いることもできる。親水性の有機溶媒は、二種以上のものの混合溶媒であってもよい。
分散媒は、物品の表面から移された農薬を実質的に溶解せず、分散させることができるという条件を満足するものであれば、両親媒性のもの、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロパノール若しくはテトラヒドロフラン等であってもよい。また、このような両親媒性の分散媒は、上記条件を損なわない限りにおいて、上述の疎水性の分散媒または親水性の分散媒に対して混合して用いることもできる。
物品の表面に付着している農薬を採取体により拭い取って分散媒へ移し、目的の懸濁液を調製するための操作では、採取体を物品の表面に適用することで当該表面を拭い、その採取体を分散媒に溶解させる。この際、物品表面の全体を採取体により拭ってもよいし、物品表面の一部のみを採取体により拭ってもよい。
ここで用いられる採取体は、使用する分散媒に溶解可能なものである。すなわち、物品の表面から移す農薬が疎水性のものの場合、親水性の分散媒を用いることから、当該親水性の分散媒に溶解可能な採取体を用いる。一方、物品の表面から移す農薬が水溶性のものの場合、疎水性の分散媒を用いることから、当該疎水性の分散媒に溶解可能な採取体を用いる。
親水性の分散媒に溶解可能な採取体を形成する材料としては、例えば、ポリビニルアルコール系等の水溶性繊維、アクリル酸系若しくはポリエステル系等の水溶性樹脂、塩化ナトリウム、臭化カリウム、硫酸ナトリウム若しくは硫酸マグネシウム等の水溶性無機塩、アスコルビン酸若しくはクエン酸等の有機酸類、システイン等のアミノ酸またはグルコース若しくはセロビオース等の糖類等を用いることができる。
疎水性の分散媒に溶解可能な採取体を形成する材料としては、例えば、チクル、エステルガム、ポリ酢酸ビニル若しくはポリイソブチレンなどのガム材料、または、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル若しくはニトロセルロース等の非水溶性の樹脂材料を用いることができる。
採取体は、通常、物品の表面から農薬を拭取り可能な形態のものが用いられる。例えば、上述の材料を用いて形成されたシート状、鞘状、ペレット状、粘着テープ状または粘土状のものが用いられる。シート状または鞘状の採取体は、通常、水溶性繊維、水溶性樹脂または非水溶性の樹脂材料を用いることで形成することができる。ペレット状のものは、通常、水溶性無機塩、有機酸類または糖類等の加圧成型により形成することができる。粘着テープ状のものは、例えば、水溶性繊維を用いて形成した基材上に水溶性樹脂からなる糊層を配置することで形成することができる。粘土状のものは、通常、ガム材料を用いることで形成することができる。
採取体を物品の表面に適用し、当該表面を拭う作業においては、適当な治具を用いることができる。シート状、鞘状またはペレット状の採取体は、例えば、ガラス棒やガラス管のような棒状の治具の先端に装着し、その治具を操作することで物品の表面を採取体により拭うと、当該表面に付着している農薬を採取することができる。シート状またはペレット状の採取体は、通常、適当な大きさに裁断または分割して用いられる。鞘状の採取体は、いわゆる指サック状に形成すると、作業者の指に装着することができ、その状態で物品の表面を拭うこともできる。粘着テープ状の採取体は、物品の表面に糊層側を圧着した後に引き剥がすことで、当該表面に付着している農薬を拭い取ることができる。粘土状の採取体は、物品の表面に対して圧着または擦り付ける操作を繰り返すことで、当該表面に付着している農薬を拭い取ることができる。
水溶性繊維、特にポリビニルアルコール系の水溶性繊維を材料とする採取体は、水分の多い物品、例えばレタスのような青果に対して用いると、物品の表面を僅かに拭っただけで水分の影響により強度が低下し、物品上で四分五裂状態になることが多い。このため、水溶性繊維を材料とする採取体は、水分の多い物品に対して適用する場合、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、塩化カルシウム若しくは硫酸ナトリウム等の塩が溶解した塩水、または、各種の弱酸とその塩とが溶解した緩衝液、例えば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液若しくは酒石酸緩衝液等に浸漬してから使用するのが好ましい。このようにすると、水分の影響による採取体の強度低下が抑えられ、物品の表面を安定に拭うことができる。
目的の懸濁液を調製する際は、物品の表面に適用した採取体を分散媒中に投入して攪拌し、採取体を溶解させる。この際、採取体により農薬とともに拭き取られた夾雑物は、一部が分散媒に溶解する場合がある。これにより、採取体により採取された農薬が分散媒中に分散し、目的の懸濁液が得られる。
以上のようにして調製された懸濁液、すなわち分析用試料に含まれる農薬を分析する場合は、先ず、懸濁液をろ過し、農薬と分散媒とを分離する。
図1を参照して、懸濁液のろ過のために用いられるろ過器具の一例を説明する。図1において、ろ過器具1は、一端(図の下端)がフイルタ部材3により閉鎖され、かつ、他端が開放されたガラス製で円筒状のチューブ2と、分散媒に対して安定な樹脂材料からなる、両端が開放した筒状のキャップ4とを備えている。
チューブ2の大きさは、特に限定されるものではないが、後記する農薬の分析操作において赤外分光法を採用する場合、内径が0.5〜20.0mmのものが好ましく、3.0〜10.0mmのものがより好ましい。
フイルタ部材3は、分散媒を通過させることのできる微孔を全体に有するろ過フイルムであり、チューブ2の上記一端から側面にかけて密着するように、かつ、チューブ2から取り外しできるように装着されている。フイルタ部材3は、分散媒を円滑に通過させるとともに、懸濁液に分散する農薬を捕捉して分散媒から分離可能なもの、通常は孔径が0.01〜5μmのもの、好ましくは0.05〜1μmのものであれば、種々の材料からなるものを用いることができる。
但し、フイルタ部材3に捕集された農薬を後記する赤外分光法により分析する場合、フイルタ部材3は、赤外分光法を適用したときに吸収ピークが単純な素材または少ない素材、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなるものを用いるのが好ましい。この場合、赤外分光法を適用したときに吸収される赤外線を抑え、それによって赤外分光法の感度を高めることができるようにするため、フイルタ部材3は、厚さが1〜100μm程度の薄膜状のものが好ましい。フイルタ部材3の厚さは、50μm以下であればより好ましく、30μm以下であれば特に好ましい。
キャップ4は、チューブ2のフイルタ部材3側の端部に対して着脱可能に装着されており、チューブ2に対して装着された状態において、フイルタ部材3を安定に保持している。
ろ過器具1を用いて懸濁液をろ過するときは、チューブ2内に上端から懸濁液を注入し、フイルタ部材3により懸濁液をろ過する。この際、例えば、チューブ2の上端に懸濁液を貯えたガラス製等のリザーバを装着し、このリザーバからチューブ2内へ懸濁液を注入することもできる。懸濁液は、その自重によりフイルタ部材3を通過させることができるが、キャップ4の下端に吸引装置を装着することで吸引しながらろ過することもでき、或いは、リザーバ側に加圧装置を装着し、加圧しながらろ過することもできる。
懸濁液をろ過することで、懸濁液に分散している農薬はフイルタ部材3により捕捉、捕集され、採取体および夾雑物を溶解した分散媒はフイルタ部材3を通過してキャップ4から排出される。この結果、懸濁液に含まれる農薬は、採取体および夾雑物を溶解した分散媒から分離される。
フイルタ部材3に捕集された農薬は、溶媒に溶解して溶液化等することで機器分析を含む種々の分析手法により分析することができるが、農薬を捕集したフイルタ部材3に対して光学的方法を適用することで分析することもできる。
例えば、フイルタ部材3として上述のような赤外分光法に適したものを用いた場合、フイルタ部材3に対して直接に赤外分光法を適用することで捕集された農薬を分析することができる。フイルタ部材3に対して適用する赤外分光法は、分散型分光光度計およびフーリエ変換型分光光度計(FT−IR)のいずれを用いたものであってもよいが、通常は農薬の定性分析および定量分析により適したFT−IRを用いるのが好ましい。FT−IRによる場合、透過法またはATR法を採用することができる。
透過法は、フイルタ部材3のろ過部分(すなわち、農薬を捕集した部分。)に対して干渉波を透過させる方法であり、簡易かつ迅速に測定対象物質の赤外吸収スペクトルを得ることができる。この場合、例えば、チューブ2の内径と略同径の孔を形成した厚紙等の台紙を用意し、この台紙に対してチューブ2から取り外したフイルタ部材3を皺にならないように貼り付けて試料を作成する。この際、厚紙に設けた孔の部分とフイルタ部材3のろ過部分(すなわち、農薬を捕集した部分。)とを一致させる。そして、この試料をFT−IRのアタッチメントに装着し、赤外吸収スペクトルを測定する。また、透過法による場合、FT−IRの測定位置にチューブ2を配置することが可能であれば、フイルタ部材3は、チューブ2に装着したままの状態で赤外吸収スペクトルを測定することもできる。
一方、ATR法は、プリズムにフイルタ部材3を密着させてプリズム側から赤外線を照射し、フイルタ部材3の表面に赤外光を潜り込ませて全反射させる方法であり、赤外吸収スペクトルにおいてフイルタ部材3の素材の影響が発生しにくく、測定対象物質自体についてのノイズの少ないピークが得られるため、透過法よりも高感度の赤外吸収スペクトルを得ることができる。ATR法は、単反射型および多重反射型のいずれであってもよい。ATR法による場合、透過法の場合と同様にフイルタ部材3を台紙に貼り付けた試料を作成し、この試料をプリズムに密着させて赤外吸収スペクトルを測定する。
透過法およびATR法のいずれの場合においても、400〜4,000cm−1の波数領域の赤外吸収スペクトルを測定するのが好ましい。
FT−IRにより測定した赤外吸収スペクトルに基づく農薬の定量分析では、通常、赤外吸収スペクトルから分析対象となる農薬に固有の波数のピークを判別し、当該ピークの面積または高さを既知濃度の標準液について予め測定した赤外吸収スペクトルにおける該当ピークの面積または高さと比較することで、分析対象の農薬の濃度を求めることができる。
また、赤外吸収スペクトルが農薬以外の夾雑物のスペクトルを含み、当該夾雑物のスペクトルが分析対象の農薬の定量に影響する可能性がある場合、分析対象の農薬の定量分析は、部分最小二乗法(PLS法)によるのが好ましい。この場合、分析対象の農薬を濃度段階に応じて希釈した試料を調製し、各濃度段階の試料について複数回FT−IRで赤外吸収スペクトルを測定する。そして、測定した赤外吸収スペクトルから適切な波数領域を1〜4箇所選択し、部分最小二乗法により定量モデルを作成する。この際、微分等の前処理は、農薬種に応じて選択する。また、分析対象の農薬について作成した定量モデルは、他の農薬の影響等を確認し、必要に応じて適宜調整する。分析対象の農薬の濃度(mg/kg)は、測定した赤外吸収スペクトルから定量モデルに基づいて存在絶対量(μg)を求め、その値を物品の重量(kg)で除することで求めることができる。なお、物品が青果であり、当該青果に対して採取体を適用して農薬を拭き取る場合、青果の表面形状や農薬の浸透移行性の強弱によって採取体での拭取りによる農薬の回収率が青果種や農薬種の組み合わせに応じて異なることから、農薬の定量結果は、青果の種類に応じて農薬の拭取り率を勘案した係数を用いて補正されてもよい。
物品に付着している農薬を定量する場合であって、分析用試料の調製時に物品の表面の一部を採取体により拭ったときは、当該一部の表面積と物品の全表面積との関係から物品に付着している全農薬量(農薬濃度)を算出する必要がある。
農薬を捕集したフイルタ部材3に対して適用する、農薬の分析のための光学的方法としては、赤外分光法以外の方法を採用することもできる。例えば、フイルタ部材3に捕集された農薬をそれと反応可能な発光物質により処理し、農薬と発光物質との反応生成物の可視・紫外スペクトルを測定することで農薬の有無を判定したり、農薬を種類毎に定量したりすることもできる。
採取体により物品から拭い取られた農薬において分散媒に溶解し易い農薬種が含まれる場合、その採取体から調製された懸濁液は、分散媒に当該農薬種が溶解状態で含まれる。この場合は、ろ過後の分散媒、すなわちろ液も当該農薬種を分析するための試料として用いることができる。例えば、このろ液は、適宜精製、濃縮等の処理をした後、機器分析を含む種々の分析手法を適用することができ、それによって分散媒に溶解した農薬種を分析することができる。
[実験例]
オレンジの表面にN,N’−エチレンビスジチオカーバメート系の農薬であるマンゼブを70μgずつ5箇所にスポット的に展着させた。オレンジの表面の各スポット毎にポリビニルアルコール系の水溶性繊維からなるシートを個別に適用し、当該シートにより各スポットのマンゼブを個別に拭取った。マンゼブを拭取った各シートについて、以下の要領で拭取ったマンゼブを定量した。
シートを注射塔に注入した2mLの純水中に投入し、注射塔を75℃で10分間加熱することでシートを溶解させ、純水中にマンゼブが分散した状態の懸濁液を調製した。そして、調製した懸濁液をポリテトラフルオロエチレン製のフイルタ(孔径0.1μm、厚さ30μm)によりろ過(マニホールドを用いた減圧ろ過)し、フイルタ上にマンゼブを捕集した。
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社の型番「FT/IR−4100」)を用い、分解能4cm−1、積算回数18の条件でフイルタのろ過部分(マンゼブの捕集部分)の赤外吸収スペクトルを透過法により測定した。得られた赤外吸収スペクトルのデータを予め作成しておいたPLS法での定量モデルに適用し、フイルタに捕集されたマンゼブを定量した。
レモンについても同様の操作をし、フイルタに捕集されたマンゼブを定量した。結果を表1に示す。
Figure 2017173278

Claims (2)

  1. 物品に付着した農薬を分散媒に移して懸濁液を調製するために、前記物品から前記農薬を拭き取るための採取体であって、
    前記分散媒に溶解可能な素材を用いて形成されている、
    農薬の採取体。
  2. シート状、鞘状、ペレット状、粘着テープ状または粘土状に形成されている、請求項1に記載の農薬の採取体。
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