JPWO2019146183A1 - アンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のアンテナ素子をアレイ化する場合において、より好適な態様で装置の小型化を可能とする。【解決手段】基板と、前記基板に支持され、それぞれが給電点を有する複数のアンテナ素子と、前記基板に支持され、給電点を有しない無給電素子と、を備え、前記複数のアンテナ素子は所定の方向に沿って互いに離間するように配設され、前記無給電素子は、前記複数のアンテナ素子のうち前記方向の端部側に位置する第1のアンテナ素子に対して当該方向に互いに離間し、前記無給電素子と前記第1のアンテナ素子との間の第1の素子間隔は、当該第1のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子に対して前記無給電素子の反対側に位置する第2のアンテナ素子との間の第2の素子間隔の2倍以下である、アンテナ装置。【選択図】図6

Description

本開示は、アンテナ装置に関する。
LTE/LTE−A(Advanced)と呼ばれる通信規格に基づく移動体通信システムにおいては、主に、700MHz〜3.5GHz前後の極超短波と呼ばれる周波数の無線信号が通信に利用されている。
また、上記通信規格のような極超短波を利用した通信では、所謂MIMO(Multiple−Input and Multiple−Output)と呼ばれる技術を採用することで、フェージング環境下においても、直接波に加えて反射波を信号の送受信に利用して通信性能をより向上させることが可能となる。MIMOでは、複数のアンテナを使用することとなるため、スマートフォン等のような移動体通信の端末装置に対して、複数のアンテナをより好適な態様で配設する手法についても各種検討されている。
また、近年では、LTE/LTE−Aに続く第5世代(5G)移動体通信システムについて各種検討がされている。例えば、同移動体通信システムでは、28GHzや39GHzといったミリ波と呼ばれる周波数の無線信号(以下、単に「ミリ波」とも称する)を利用した通信の利用が検討されている。
特開2005−72653号公報
ところで、一般的にはミリ波は空間減衰が比較的大きく、ミリ波を通信に利用する場合には、利得の高いアンテナが求められる傾向にある。このような要求を実現するために、所謂ビームフォーミングと呼ばれる技術が利用される場合がある。具体的には、ビームフォーミングによりアンテナのビーム幅を制御し、ビームの指向性を向上させることで、アンテナの利得をより向上させることが可能となる。このような制御を実現可能なアンテナ方式の一例として、パッチアレイアンテナが挙げられる。例えば、特許文献1には、パッチアレイアンテナの一例が開示されている。
一方で、複数のアンテナ素子(例えば、パッチアンテナ)のアレイ化に伴い、少なくとも一部のアンテナ素子の放射パターンに歪が生じる場合がある。これに対して、十分に大きいグランド領域を設けることで、このような歪の発生を抑制する手法が挙げられるが、この場合には、アンテナ装置のサイズがより大型化する場合がある。
そこで、本開示では、複数のアンテナ素子をアレイ化する場合において、より好適な態様で装置の小型化を可能とする技術の一例について提案する。
本開示によれば、基板と、前記基板に支持され、それぞれが給電点を有する複数のアンテナ素子と、前記基板に支持され、給電点を有しない無給電素子と、を備え、前記複数のアンテナ素子は所定の方向に沿って互いに離間するように配設され、前記無給電素子は、前記複数のアンテナ素子のうち前記方向の端部側に位置する第1のアンテナ素子に対して当該方向に互いに離間し、前記無給電素子と前記第1のアンテナ素子との間の第1の素子間隔は、当該第1のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子に対して前記無給電素子の反対側に位置する第2のアンテナ素子との間の第2の素子間隔の2倍以下である、アンテナ装置が提供される。
以上説明したように本開示によれば、複数のアンテナ素子をアレイ化する場合において、より好適な態様で装置の小型化を可能とする技術が提供される。
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
本開示の一実施形態に係るシステムの概略的な構成の一例について説明するための説明図である。 同の実施形態に係る端末装置の構成の一例を示すブロック図である。 ミリ波の利用を想定した通信装置の構成の一例について説明するための説明図である。 ミリ波の利用を想定した通信装置に適用されるアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明するための説明図である。 ミリ波の利用を想定した通信装置に適用されるアンテナ装置の技術的課題について説明するための説明図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明するための説明図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明するための説明図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明するための説明図である。 比較例に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例を示した図である。 比較例に係るアンテナ装置におけるアンテナ素子の放射パターンのシミュレーション結果の一例を示した図である。 比較例に係るアンテナ装置におけるアンテナ素子の放射パターンのシミュレーション結果の一例を示した図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例を示した図である。 同実施形態に係るアンテナ装置におけるアンテナ素子の放射パターンのシミュレーション結果の一例を示した図である。 同実施形態に係るアンテナ装置におけるアンテナ素子の放射パターンのシミュレーション結果の一例を示した図である。 比較例に係るアンテナ装置の反射特性のシミュレーション結果の一例を示した図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の反射特性のシミュレーション結果の一例を示した図である。 変形例1に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 変形例1に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明するための説明図である。 変形例1に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明するための説明図である。 変形例2に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 変形例2に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 変形例2に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 変形例2に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 変形例3に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 変形例3に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。 同実施形態に係る通信装置の応用例について説明するための説明図である。 同実施形態に係る通信装置の応用例について説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概略構成
1.1.システム構成の一例
1.2.端末装置の構成例
2.ミリ波を利用した通信の概要
3.ミリ波の利用を想定した通信装置の構成例
4.技術的課題
5.技術的特長
5.1.構成
5.2.アンテナ装置の特性
5.3.変形例
5.4.応用例
6.むすび
<<1.概略構成>>
<1.1.システム構成の一例>
まず、図1を参照して、本開示の一実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例について説明するための説明図である。図1に示すように、システム1は、無線通信装置100と、端末装置200とを含む。ここでは、端末装置200は、ユーザとも呼ばれる。当該ユーザは、UEとも呼ばれ得る。無線通信装置100Cは、UE−Relayとも呼ばれる。ここでのUEは、LTE又はLTE−Aにおいて定義されているUEであってもよく、UE−Relayは、3GPPで議論されているProse UE to Network Relayであってもよく、より一般的に通信機器を意味してもよい。
(1)無線通信装置100
無線通信装置100は、配下の装置に無線通信サービスを提供する装置である。例えば、無線通信装置100Aは、セルラーシステム(又は移動体通信システム)の基地局である。基地局100Aは、基地局100Aのセル10Aの内部に位置する装置(例えば、端末装置200A)との無線通信を行う。例えば、基地局100Aは、端末装置200Aへのダウンリンク信号を送信し、端末装置200Aからのアップリンク信号を受信する。
基地局100Aは、他の基地局と例えばX2インタフェースにより論理的に接続されており、制御情報等の送受信が可能である。また、基地局100Aは、所謂コアネットワーク(図示を省略する)と例えばS1インタフェースにより論理的に接続されており、制御情報等の送受信が可能である。なお、これらの装置間の通信は、物理的には多様な装置により中継され得る。
ここで、図1に示した無線通信装置100Aは、マクロセル基地局であり、セル10Aはマクロセルである。一方で、無線通信装置100B及び100Cは、スモールセル10B及び10Cをそれぞれ運用するマスタデバイスである。一例として、マスタデバイス100Bは、固定的に設置されるスモールセル基地局である。スモールセル基地局100Bは、マクロセル基地局100Aとの間で無線バックホールリンクを、スモールセル10B内の1つ以上の端末装置(例えば、端末装置200B)との間でアクセスリンクをそれぞれ確立する。なお、無線通信装置100Bは、3GPPで定義されるリレーノードであってもよい。マスタデバイス100Cは、ダイナミックAP(アクセスポイント)である。ダイナミックAP100Cは、スモールセル10Cを動的に運用する移動デバイスである。ダイナミックAP100Cは、マクロセル基地局100Aとの間で無線バックホールリンクを、スモールセル10C内の1つ以上の端末装置(例えば、端末装置200C)との間でアクセスリンクをそれぞれ確立する。ダイナミックAP100Cは、例えば、基地局又は無線アクセスポイントとして動作可能なハードウェア又はソフトウェアが搭載された端末装置であってよい。この場合のスモールセル10Cは、動的に形成される局所的なネットワーク(Localized Network/Virtual Cell)である。
セル10Aは、例えば、LTE、LTE−A(LTE-Advanced)、LTE−ADVANCED PRO、GSM(登録商標)、UMTS、W−CDMA、CDMA200、WiMAX、WiMAX2又はIEEE802.16などの任意の無線通信方式に従って運用されてよい。
なお、スモールセルは、マクロセルと重複して又は重複せずに配置される、マクロセルよりも小さい様々な種類のセル(例えば、フェムトセル、ナノセル、ピコセル及びマイクロセルなど)を含み得る概念である。ある例では、スモールセルは、専用の基地局によって運用される。別の例では、スモールセルは、マスタデバイスとなる端末がスモールセル基地局として一時的に動作することにより運用される。いわゆるリレーノードもまた、スモールセル基地局の一形態であると見なすことができる。リレーノードの親局として機能する無線通信装置は、ドナー基地局とも称される。ドナー基地局は、LTEにおけるDeNBを意味してもよく、より一般的にリレーノードの親局を意味してもよい。
(2)端末装置200
端末装置200は、セルラーシステム(又は移動体通信システム)において通信可能である。端末装置200は、セルラーシステムの無線通信装置(例えば、基地局100A、マスタデバイス100B又は100C)との無線通信を行う。例えば、端末装置200Aは、基地局100Aからのダウンリンク信号を受信し、基地局100Aへのアップリンク信号を送信する。
また、端末装置200としては、所謂UEのみに限らず、例えば、MTC端末、eMTC(Enhanced MTC)端末、及びNB−IoT端末等のような所謂ローコスト端末(Low cost UE)が適用されてもよい。
(3)補足
以上、システム1の概略的な構成を示したが、本技術は図1に示した例に限定されない。例えば、システム1の構成として、マスタデバイスを含まない構成、SCE(Small Cell Enhancement)、HetNet(Heterogeneous Network)、MTCネットワーク等が採用され得る。またシステム1の構成の、他の一例として、マスタデバイスがスモールセルに接続し、スモールセルの配下でセルを構築してもよい。
以上、図1を参照して、本開示の一実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例について説明した。
<1.2.端末装置の構成例>
次に、図2を参照して、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を説明する。図2は、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置200は、アンテナ部2001と、無線通信部2003と、記憶部2007と、通信制御部2005とを含む。
(1)アンテナ部2001
アンテナ部2001は、無線通信部2003により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部2001は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部2003へ出力する。
(2)無線通信部2003
無線通信部2003は、信号を送受信する。例えば、無線通信部2003は、基地局からのダウンリンク信号を受信し、基地局へのアップリンク信号を送信する。
(3)記憶部2007
記憶部2007は、端末装置200の動作のためのプログラム及び様々なデータを一時的に又は恒久的に記憶する。
(4)、通信制御部2005
通信制御部2005は、無線通信部2003の動作を制御することで、他の装置(例えば、基地局100)との間の通信を制御する。具体的な一例として、通信制御部2005は、送信対象となるデータを所定の変調方式に基づき変調することで送信信号を生成し、無線通信部2003に当該送信信号を基地局100に向けて送信させてもよい。また、他の一例として、通信制御部2005は、基地局100からの信号の受信結果(即ち、受信信号)を無線通信部2003から取得し、当該受信信号に対して所定の復調処理を施すことで当該基地局100から送信されたデータを復調してもよい。
以上、図2を参照して、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を説明した。
<<2.ミリ波を利用した通信の概要>>
LTE/LTE−A等の規格に基づく通信システムでは、700MHz〜3.5GHz前後の極超短波と呼ばれる周波数の無線信号が通信に利用されている。これに対して、LTE/LTE−Aに続く第5世代(5G)移動体通信システムでは、28GHzや39GHzといったミリ波と呼ばれる周波数の無線信号(以下、単に「ミリ波」とも称する)を利用した通信の利用が検討されている。そこで、ミリ波を利用した通信の概要について説明したうえで、本開示の一実施形態に係る通信装置の技術的課題について整理する。
LTE/LTE−Aのような極超短波を利用した通信では、所謂MIMO(Multiple−Input and Multiple−Output)と呼ばれる技術を採用することで、フェージング環境下においても、直接波に加えて反射波を信号の送受信に利用して通信性能をより向上させることが可能である。
これに対して、ミリ波は、極超短波に比べて伝送される情報の量を増加させることが可能となる一方で、直進性が高く伝搬ロスや反射損失が増大する傾向にある。そのため、無線信号が送受信されるアンテナ間を直接結ぶ経路上に障害物が存在しない環境(所謂LOS:Line of Site)においては、反射波の影響をほとんど受けずに、主に直接波が通信特性に寄与することとなる。このような特性から、ミリ波を利用した通信においては、例えば、スマートフォン等のような通信端末が、基地局から直接送信される無線信号(即ち、ミリ波)を受信する(即ち、直接波を受信する)ことで、通信性能をより向上させることが可能となる。
また、前述したように、ミリ波を利用した通信では、主に直接波が通信特性に寄与し、反射波の影響は少ない。このような特性から、通信端末と基地局との間のミリ波を利用した通信において、直接波として送信される無線信号のうち、偏波方向が互いに異なる複数の偏波(例えば、水平偏波及び垂直偏波)を利用してMIMOを実現する、偏波MIMOと呼ばれる技術の導入も検討されている。
<<3.ミリ波の利用を想定した通信装置の構成例>>
続いて、ミリ波の利用を想定した通信装置の構成例として、前述した端末装置200のような通信装置に対して、パッチアンテナ(平面アンテナ)をアレイ化した所謂パッチアレイアンテナを適用した場合の構成の一例について説明する。例えば、図3は、ミリ波の利用を想定した通信装置の構成の一例について説明するための説明図である。なお、以降の説明では、図3に示す通信装置を、「通信装置211」と称する場合がある。
通信装置211は、略長方形の形状を成す表面及び裏面を有する板状の筐体209を備えている。なお、本説明では、ディスプレイ等の表示部が設けられた側の面を筐体209の表面と称する。即ち、図3において、参照符号201は、筐体209の外面のうち裏面を示している。また、参照符号203及び205は、筐体209の外面のうち裏面201の周囲に位置する一端面に相当し、より具体的には、当該裏面201の長手方向に延伸する端面を示している。また、参照符号202及び204は、筐体209の外面のうち裏面201の周囲に位置する一端面に相当し、より具体的には、当該裏面201の短手方向に延伸する端面を示している。なお、図3において図示を省略しているが、裏面201の反対側に位置する表面を、便宜上「表面206」とも称する。
また、図3において、参照符号2110a〜2110fのそれぞれは、基地局との間で無線信号(例えば、ミリ波)を送受信するためのアンテナ装置を示している。なお、以降の説明では、アンテナ装置2110a〜2110fを特に区別しない場合には、単に「アンテナ装置2110」と称する場合がある。
図3に示すように、通信装置211は、裏面201及び端面202〜205のそれぞれについて、当該面の少なくとも一部の近傍に位置するように、筐体209の内部にアンテナ装置2110が保持(設置)されている。
また、アンテナ装置2110は、複数のアンテナ素子2111を含んでいる。より具体的には、アンテナ装置2110は、複数のアンテナ素子2111をアレイ化することで、アレイアンテナとして構成されている。例えば、アンテナ素子2111aは、裏面201のうち端面204側の端部近傍に位置するように保持され、複数のアンテナ素子2111が、当該端部が延伸する方向(即ち、端面204の長手方向)に沿って配列されるように設けられている。また、アンテナ素子2111dは、端面205の一部の近傍に位置するように保持され、複数のアンテナ素子2111が、当該端面205の長手方向に沿って配列されるように設けられている。
また、ある面の近傍に位置するように保持されるアンテナ装置2110において、各アンテナ素子2111は、平面状のエレメントの法線方向が、当該面の法線方向と略一致するように保持される。より具体的な一例として、アンテナ装置2110aに着目した場合には、当該アンテナ装置2110aに設けられたアンテナ素子2111は、平面状のエレメントの法線方向が、裏面201の法線方向と略一致するように保持される。これは、他のアンテナ装置2110b〜2110fについても同様である。
以上のような構成により、各アンテナ装置2110は、複数のアンテナ素子2111それぞれにより送信または受信される無線信号の位相や電力を制御することで、当該無線信号の指向性を制御する(即ち、ビームフォーミングを行う)ことが可能となる。
続いて、図4を参照して、ミリ波の利用を想定した通信装置211に適用されるアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明する。図4は、ミリ波の利用を想定した通信装置211に適用されるアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明するための説明図である。
図4に示すアンテナ装置2140は、互いに異なる2つのアンテナ装置2130が連結部2141により連結されて構成される。なお、図4に示す例において、アンテナ装置2130a及び2130fは、例えば、図3に示す例においけるアンテナ装置2110a及び2110fにそれぞれ対応している。即ち、図4において参照符号2131で示されたアンテナ素子は、図3に示すアンテナ素子2111に相当する。なお、図4に示す例では、便宜上、複数のアンテナ素子2131が配列された方向をx方向と称し、アンテナ装置2140の厚み方向をz方向と称する場合がある。また、x方向及びz方向の双方に直交する方向をy方向と称する場合がある。
図4に示すように、アンテナ装置2130aとアンテナ装置2130fとは、それぞれの端部のうち、複数のアンテナ素子2131が配列された方向に延伸する端部の一方が互いに近傍に位置するように配置される。このとき、アンテナ装置2130aのアンテナ素子2131と、アンテナ装置2130fのアンテナ素子2131とは、平面状のエレメントの法線方向が互い交差する(例えば、直交する)か、または、当該法線方向が互いにねじれの位置にあるように配置されることとなる。また、アンテナ装置2130aとアンテナ装置2130fと間で、互いに近傍に位置する端部間を架設するように連結部2141が設けられており、当該連結部2141により当該アンテナ装置2130aと当該アンテナ装置2130fとが連結されている。
以上のような構成を有するアンテナ装置2140が、例えば、図3に示す裏面201と端面204とのように、筐体209の外面のうち互いに連接する複数の面(外面)に沿って保持されるとよい。このような構成により、互いに連接する当該複数の面それぞれについて、当該面に略垂直な方向から到来する無線信号をより好適な態様で送信または受信することが可能となる。
以上、図4を参照して、ミリ波の利用を想定した通信装置211に適用されるアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明した。
<<4.技術的課題>>
続いて、図5を参照して、ミリ波の利用を想定した通信装置211に適用されるアンテナ装置の技術的課題について以下に説明する。図5は、ミリ波の利用を想定した通信装置211に適用されるアンテナ装置の技術的課題について説明するための説明図である。図5に示すアンテナ装置3010は、図3を参照して説明した通信装置211におけるアンテナ装置2110の構成の一例に相当する。即ち、図5に示す例は、パッチアンテナがアレイ化されたパッチアレイアンテナの構成の一例を示している。
図5に示すように、アンテナ装置3010は、アンテナ素子3011a〜3011dと、誘電体基板3018とを含む。図5に示すアンテナ装置3010において、アンテナ素子3011a〜3011dのそれぞれは、パッチアンテナ(平面アンテナ)として構成されている。なお、図5に示す例では、便宜上、複数のアンテナ素子3011a〜3011dそれぞれを構成する平面状のエレメントの法線方向をz方向とする。また、当該複数のアンテナ素子3011a〜3011dが配列された方向をx方向とし、特に図面の右方向を「+x方向」と称し、図面の左方向を「−x方向」と称する場合がある。また、x方向及びz方向の双方に直交する方向をy方向とする。即ち、図5に示す例では、誘電体基板3018の面上に、x方向に沿って、アンテナ素子3011a〜3011dがこの順序で互いに離間するように配設されている。また、以降においては、アンテナ素子3011a〜3011dを特に区別しない場合には、「アンテナ素子3011」と称する場合がある。また、以降の説明では、アンテナ素子3011a〜3011dのように、アレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子が配列された方向を、単に「配列方向」と称する場合がある。例えば、図5に示す例では、複数のアンテナ素子3011の配列方向はx方向となる。
図5に示すように、複数のアンテナ素子により所謂アレイアンテナを構成するアンテナ装置においては、一部のアンテナ素子の放射パターンに歪が生じる場合がある。具体的な一例として、図5に示す例では、x方向に沿って配列されたアンテナ素子3011a〜3011dのそれぞれは、互いに隣り合うように配設された他のアンテナ素子3011(即ち、近傍に位置する他のアンテナ素子3011)により電流が引っ張られることで、配列方向(x方向)に放射パターンの歪が生じる場合がある。
より具体的な一例として、アンテナ素子3011bは、配列方向の双方に他のアンテナ素子3011a及び3011cが互いに隣り合うように配設されるため、当該配列方向の双方(即ち、+x方向及び−x方向)に放射パターンの歪が生じる。なお、この場合においては、アンテナ素子3011bの放射パターンの配列方向の対称性は維持されこととなる。これは、アンテナ素子3011cについても同様である。
一方で、配列方向(x方向)の端部に位置するアンテナ素子3011a及び3011dは、当該配列方向の一方にのみ他のアンテナ素子3011が配設されている。そのため、例えば、アンテナ素子3011aは、互いに隣り合うように配設されたアンテナ素子3011bにより電流が引っ張られることで、当該アンテナ素子3011bが位置する方向に放射パターンの歪が生じ、配列方向に沿った当該放射パターンの対称性が損なわれる場合がある。同様に、アンテナ素子3011dは、互いに隣り合うように配設されたアンテナ素子3011cの影響により、当該アンテナ素子3011cが位置する方向に放射パターンの歪が生じ、配列方向に沿った当該放射パターンの対称性が損なわれる場合がある。
上述のように、配列方向の端部側に位置するアンテナ素子3011について、放射パターンの配列方向の対称性を確保する方法として、例えば、図5に示すように、当該アンテナ素子3011の周辺に十分な広さのグランド領域を設ける方法が挙げられる。具体的な一例として、アンテナ素子3011aについては、配列方向のうち他のアンテナ素子3011が配設されていない−x方向側において、当該アンテナ素子3011aにより送信または受信される無線信号の波長λ以上の長さのグランド領域を設けることとなる。即ち、この場合には、例えば、誘電体基板3018を、アンテナ素子3011aが配設された位置からさらに−x方向に当該波長λ以上の長さの分だけ延伸させることとなる。同様に、アンテナ素子3011dについては、配列方向のうち他のアンテナ素子3011が配設されていない+x方向側において、当該アンテナ素子3011dにより送信または受信される無線信号の波長λ以上の長さのグランド領域を設けることとなる。即ち、この場合には、例えば、誘電体基板3018を、アンテナ素子3011dが配設された位置からさらに+x方向に当該波長λ以上の長さの分だけ延伸させることとなる。
しかしながら、図5に示すようにグランド領域を設けることで配列方向の端部側に位置するアンテナ素子3011(例えば、アンテナ素子3011a及び3011d)の放射パターンの対称性を確保する場合には、その特性上、アンテナ装置のサイズ(特に、上記配列方向のサイズ)がより大きくなる。
このような状況を鑑み、本開示では、複数のアンテナ素子をアレイ化する場合において、より好適な態様でアンテナ装置の小型化を実現することを可能とする技術について提案する。具体的には、本開示では、複数のアンテナ素子をアレイ化する場合において、各アンテナ素子(特に、配列方向の端部側に位置するアンテナ素子)の放射パターンの対称性の確保と、アンテナ装置の小型化と、をより好適な態様で両立することを可能とする技術について提案する。
<<5.技術的特長>>
以下に、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置の技術的特徴について説明する。
<5.1.構成>
まず、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明する。例えば、図6は、本実施形態に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明するための説明図であり、パッチアンテナがアレイ化されたパッチアレイアンテナの構成の一例を示している。なお、以降の説明では、図6に示すアンテナ装置を他のアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3110」と称する場合がある。
図6に示すように、アンテナ装置3110は、誘電体基板3118の一方の面上に所定の方向に沿ってアンテナ素子3111a〜3111dがこの順序で互いに離間するように配設されている。アンテナ素子3111a〜3111dのそれぞれは、平面状のエレメント3112と給電点3113とを有する。なお、以降の説明では、アンテナ素子3111a〜3111dを特に区別しない場合には、「アンテナ素子3111」と称する場合がある。また、以降の説明では、アンテナ素子3111を構成する平面状のエレメント3112の法線方向をz方向とし、特に当該エレメント3112の表面(上面)側を「+z方向」と称し、裏面(下面)側を「−z方向」と称する場合がある。また、アンテナ素子3111a〜3111dの配列方向を−x方向とし、特にアンテナ素子3111a側を「−x方向」と称し、アンテナ素子3111d側を「+x方向」とも称する。また、x方向及びz方向の双方に直交する方向をy方向とする。
誘電体基板3118の他方の面(即ち、−z方向側の面)には、当該面の略全体をカバーするように略平面状のグランド板3119が設けられている。アンテナ素子3111a〜3111dそれぞれの給電点3113は、対応するエレメント3112の法線方向(z方向)に沿って誘電体基板3118を貫通し、当該エレメント3112と上記グランド板3119とを電気的に接続するように設けられている。
また、誘電体基板3118の一方の面(即ち、+z方向側の面)上において、x方向に配列されたアンテナ素子3111a〜3111dのうち、配列方向(即ち、x方向)の端部側に位置するアンテナ素子3111に対して、当該配列方向に互いに隣り合うように無給電素子3115が配設されている。より具体的には、アンテナ素子3111aに対して、アンテナ素子3111bとは逆側(即ち、−x方向)に、無給電素子3115aが当該アンテナ素子3111aと上記配列方向(x方向)に互いに離間するように配設されている。同様に、アンテナ素子3111dに対して、アンテナ素子3111cとは逆側(即ち、+x方向)に、無給電素子3115bが当該アンテナ素子3111dと上記配列方向(x方向)に互いに離間するように配設されている。
無給電素子3115は、平板状のエレメント3116を有している。エレメント3116は、アンテナ素子3111のエレメント3112と形状が略等しくなるように形成されていてもよい。また、エレメント3116は、当該エレメント3112とサイズが略等しくなるように形成されていてもよい。一方で、無給電素子3115は、エレメント3116を介して無線信号を送信または受信するための給電点を有していない点で、アンテナ素子3111と異なる。
また、無給電素子3115のエレメント3116は、他のセンサが各種状態を検知するためのパッドとして利用されてもよい。そのため、無給電素子3115のエレメント3116には、当該エレメント3116を上記センサのパッドとして機能させるための各種回路が電気的に接続されていてもよい。なお、上記センサとしては、例えば、物体の近接を検知するための近接センサ(例えば、Capacitiveセンサ)等が挙げられる。
続いて、図7を参照して、本実施形態に係るアンテナ装置3110のうち、複数のアンテナ素子3111によりアレイアンテナを構成する部分のより詳細な構成について、特に各部のサイズに着目して説明する。図7は、本実施形態に係るアンテナ装置3110の構成の一例について説明するための説明図であり、アンテナ装置3110を鉛直上方(+z方向)から見た場合における当該アンテナ装置3110の概略的な構成の一例を示している。なお、図7におけるx方向、y方向、及びz方向は、図6におけるx方向、y方向、及びz方向にそれぞれ対応している。
図7において、参照符号d1は、複数のアンテナ素子3111の配列方向(x方向)の幅(即ち、アンテナ素子3111のサイズ)を示している。ここで、アンテナ装置3110を構成する樹脂フレーム(即ち、誘電体基板3118)の比誘電率εr、当該アンテナ装置3110により送信または受信される無線信号の波長をλとすると、幅d1は、以下に(式1)として示す関係式に基づき算出される幅が目安となる。
Figure 2019146183
上記樹脂フレームに一般的に使用される樹脂の比誘電率は4前後であるため、比誘電率εr=4とした場合には、幅d1は、以下に(式2)として示す関係式に基づき算出される。
Figure 2019146183
もちろん、上記樹脂フレームに使用する樹脂としてより高い誘電率の樹脂を利用することも可能である。この場合には、上記(式1)に示すように、幅d1をより短くすることが可能となり、即ち、アンテナ素子3111としてより小さいサイズの素子を適用することが可能となる。なお、アンテナ素子3111の配列方向の幅d1が、「第2の幅」の一例に相当する。
また、参照符号d2は、アレーアンテナを構成する複数のアンテナ素子3111のうち、互いに隣り合う2つのアンテナ素子3111の間の素子間隔を示している。なお、本開示において「素子間隔」とは、互いに隣り合う2つのアンテナ素子3111それぞれの中心の間の間隔を示している。
素子間隔d2は、放射パターンの歪をより低減するという観点に基づくと、互いに隣り合う2つのアンテナ素子3111が可能な限り離間するように配設される方が望ましい。
一方で、d2≧λとすると、アレーアンテナとして動作させた場合に、グレーティングローブと呼ばれる不要輻射が発生し、所定の方向について利得が低下する場合がある。これに対して、λ/2<d2<λの範囲において、グレーティングローブが発生する素子間隔d2は、所要ビーム走査角度に依存する。
以上のような条件を鑑みると、素子間隔d2が以下に(式3)で示す条件を満たすように、各アンテナ素子3111が配設されると望ましい。
Figure 2019146183
そのため、素子間隔d2については、例えば、以下に(式4)として示す関係式に基づき算出される間隔を目安とするとよい。なお、配列方向に互いに隣り合う2つのアンテナ素子3111間の素子間隔d2が、「第2の素子間隔」の一例に相当する。
Figure 2019146183
続いて、図8を参照して、無給電素子3115のサイズ及び設置位置の詳細を説明したうえで、本実施形態に係るアンテナ装置3110の特徴について当該アンテナ装置3110のサイズに着目して説明する。図8は、本実施形態に係るアンテナ装置3110の構成の一例について説明するための説明図であり、アンテナ装置3110を鉛直上方(+z方向)から見た場合における当該アンテナ装置3110の概略的な構成の一例を示している。なお、図8におけるx方向、y方向、及びz方向は、図6におけるx方向、y方向、及びz方向にそれぞれ対応している。
例えば、無給電素子3115は、アンテナ素子3111と略等しいサイズとなるように形成されるとよい。即ち、無給電素子3115のx方向の幅(即ち、複数のアンテナ素子3111の配列方向の幅)をd3とした場合に、幅d3が、上記(式1)または(式2)で示される幅d2と略等しくなるように無給電素子3115が形成されているとよい。また、無給電素子3115は、アンテナ素子3111と略等しい形状となるように形成されるとよい。なお、無給電素子3115の上記配列方向の幅d3が、「第1の幅」の一例に相当する。
また、無給電素子3115と、当該無給電素子3115と互いに隣り合うアンテナ素子3111(即ち、配列方向の端部側に位置するアンテナ素子3111)と、の間の素子間隔をd4とする。無給電素子3115は、素子間隔d4が、上記アンテナ素子3111が送信または受信する無線信号の波長λ以下となるように配設されるとよい。換言すると、上記(式4)を鑑みれば、無給電素子3115は、素子間隔d4が上記素子間隔d2の2倍以下(d4≦2×d2)となるように配設されるとよい。なお、無給電素子3115と、当該無給電素子3115と互いに隣り合うアンテナ素子3111と、の間の素子間隔をd4が、「第1の素子間隔」の一例に相当する。
例えば、図8に示す例では、幅d3=d1=λ/4、素子間隔d4=d2=λ/2とした場合におけるアンテナ装置3110の構成の一例を示している。なお、図8に示す例では、無給電素子3115は、互いに隣り合うアンテナ素子3111(即ち、配列方向の端部に位置するアンテナ素子3111)を基準として、当該アンテナ素子3111と互いに隣り合う他のアンテナ素子3111と対称となる位置に配設されることとなる。より具体的には、無給電素子3115aは、アンテナ素子3111aを基準として、アンテナ素子3111bと対称となる位置に配設される。同様に、無給電素子3115bは、アンテナ素子3111dを基準として、アンテナ素子3111cと対称となる位置に配設される。なお、配列方向の端部に位置するアンテナ素子3111(例えば、図8に示すアンテナ素子3111a及び3111d)が、「第1のアンテナ素子」の一例に相当する。また、当該第1のアンテナ素子と互いに隣り合う他のアンテナ素子3111(例えば、図8に示すアンテナ素子3111b及び3111c)が、「第2のアンテナ素子」の一例に相当する。
また、図8に示す例では、比較対象として、図5を参照して説明したアンテナ装置3010をあわせて示している。図8に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置3110は、無給電素子3115(即ち、無給電素子3115a及び3115b)が設けられることで、当該無給電素子3115よりも複数のアンテナ素子3111の配列方向(x方向)の外側に向けて誘電体基板3118を延伸させる必要がない。そのため、アンテナ装置3110は、アンテナ装置3010に比べて、上記配列方向のサイズをより小型化することが可能である。
なお、図6及び図8を参照して説明したアンテナ装置3110では、配列方向の端部側に位置するアンテナ素子3111a及び3111dそれぞれについて、当該配列方向に互いに隣り合うように無給電素子3115(即ち、無給電素子3115a及び3115b)が設けられている。一方で、配列方向の端部側に位置するアンテナ素子3111a及び3111dのうちのいずれのアンテナ素子3111についてのみ、当該アンテナ素子3111の当該配列方向に互いに隣り合うように無給電素子3115が設けられていてもよい。
例えば、図9及び図10は、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明するための説明図である。具体的には、図9は、上記アンテナ素子3111a及び3111dのうち、アンテナ素子3111aについてのみ、当該アンテナ素子3111aと当該配列方向に互いに隣り合うように無給電素子3115aが設けられた場合の構成の一例を示している。また、図10は、上記アンテナ素子3111a及び3111dのうち、アンテナ素子3111dについてのみ、当該アンテナ素子3111dと当該配列方向に互いに隣り合うように無給電素子3115bが設けられた場合の構成の一例を示している。なお、以降の説明では、図9に示すアンテナ装置を、他のアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3130」と称する場合がある。また、図10に示すアンテナ装置を、他のアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3150」と称する場合がある。また、図6、図9、及び図10それぞれに示したアンテナ装置を特に区別しない場合には、単に「アンテナ装置3110」と称する場合がある。即ち、以降の説明において単に「アンテナ装置3110」と記載した場合には、無給電素子3115の配設方法の違いに起因する阻害要因が無い限りは、アンテナ装置3130及び3150も含み得るものとする。
以上、図6〜図10を参照して、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明した。
<5.2.アンテナ装置の特性>
続いて、本実施形態に係るアンテナ装置の特性のシミュレーション結果について説明する。
(放射パターンのシミュレーション結果)
まず、本実施形態に係るアンテナ装置の特性として、当該アンテナ装置を構成するアンテナ素子それぞれの放射パターンのシミュレーション結果の一例について説明する。なお、本実施形態に係るアンテナ装置3110の特性をよりわかりやすくするために、まず比較例として、当該アンテナ装置3110における無給電素子3115に相当する構成を設けなかった場合におけるアンテナ素子の放射パターンの一例について説明する。例えば、図11は、比較例に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例を示した図であり、アンテナ装置を鉛直上方(+z方向)から見た場合における当該アンテナ装置の概略的な構成の一例を示している。なお、図11におけるx方向、y方向、及びz方向は、図6におけるx方向、y方向、及びz方向にそれぞれ相当するものとする。また、以降の説明では、図11に示すアンテナ装置を、便宜上「アンテナ装置3910」とも称する。
図11に示すように、比較例に係るアンテナ装置3910は、上述した本実施形態に係るアンテナ装置3110と同様に、x方向に沿って複数のアンテナ素子3111が互いに離間するように配設されており、当該複数のアンテナ素子3111がアレイアンテナを構成している。一方で、アンテナ装置3910は、上記アンテナ装置3110のように無給電素子3115に相当する構成が配設されておらず、図5を参照して前述したアンテナ装置3010のように誘電体基板を配列方向(x方向)に延伸させるような構成も有していないものとする。このような構成の基で、複数のアンテナ素子3111のうち、−x方向の端部側に位置するアンテナ素子3111aと、当該アンテナ素子3111aに対して+x方向に互いに隣り合うアンテナ素子3111bと、のそれぞれについて放射パターンのシミュレーションを行った。
例えば、図12及び図13は、比較例に係るアンテナ装置3910におけるアンテナ素子の放射パターンのシミュレーション結果の一例を示した図である。
具体的には、図12は、アンテナ素子3111aの放射パターンを図11のI−I’面(xz平面)で切断した場合における当該放射パターンの一例を示している。図12に示すように、アンテナ素子3111aの放射パターンは、+x方向側に歪みが生じていることがわかる。当該歪みは、アンテナ素子3111aと互いに隣り合うアンテナ素子3111bの影響によるものであることが推測される。これに対して、アンテナ素子3111aの放射パターンは、−x方向側については歪みが生じていない。即ち、図12に示すように、比較例に係るアンテナ装置3910においては、アンテナ素子3111aの放射パターンの形状がx方向において非対称となっている。
また、図13は、アンテナ素子3111bの放射パターンを図11のI−I’面(xz平面)で切断した場合における当該放射パターンの一例を示している。アンテナ素子3111bについては、+x方向及び−x方向の双方について、他のアンテナ素子3111が互いに隣り合うように配設されている。そのため、図13に示すように、アンテナ素子3111bの放射パターンは、+x方向及び−x方向の双方について歪みが生じている。これにより、結果として、アンテナ素子3111bの放射パターンの形状がx方向において対象となっている。
続いて、本実施形態に係るアンテナ装置3110の特性について説明する。例えば、図14は、本実施形態に係るアンテナ装置3110の概略的な構成の一例を示した図であり、アンテナ装置3110を鉛直上方(+z方向)から見た場合における当該アンテナ装置3110の概略的な構成の一例を示している。なお、図14におけるx方向、y方向、及びz方向は、図6におけるx方向、y方向、及びz方向にそれぞれ対応している。このような構成の基で、複数のアンテナ素子3111のうち、−x方向の端部側に位置するアンテナ素子3111a(即ち、無給電素子3115aと互いに隣り合うアンテナ素子3111)と、当該アンテナ素子3111aに対して+x方向に互いに隣り合うアンテナ素子3111bと、のそれぞれについて放射パターンのシミュレーションを行った。
例えば、図15及び図16は、本実施形態に係るアンテナ装置3110におけるアンテナ素子の放射パターンのシミュレーション結果の一例を示した図である。
具体的には、図15は、アンテナ素子3111aの放射パターンを図14のII−II’面(xz平面)で切断した場合における当該放射パターンの一例を示している。図15及び図12を比較するとわかるように、本実施形態に係るアンテナ装置3110においては、アンテナ素子3111aの放射パターンに生じる+x方向側の歪が、比較例に係るアンテナ装置3910に比べて低減している。即ち、本実施形態に係るアンテナ装置3110に依れば、アンテナ素子3111aの放射パターンのx方向における形状の対称性が、比較例に係るアンテナ装置3910に比べて改善されていることがわかる。
また、図16は、アンテナ素子3111bの放射パターンを図14のII−II’面(xz平面)で切断した場合における当該放射パターンの一例を示している。図16に示す放射パターンのシミュレーション結果については、図13に示すシミュレーション結果と同様に、+x方向及び−x方向の双方について歪みが生じており、結果として、アンテナ素子3111bの放射パターンの形状がx方向において対象となっている。
(反射特性のシミュレーション結果)
続いて、本実施形態に係るアンテナ装置の特性として、当該アンテナ装置の反射特性のシミュレーション結果の一例について、特に、比較例に係るアンテナ装置3910(図11参照)と、本実施形態に係るアンテナ装置3110(図14参照)と、のそれぞれについて説明する。
例えば、図17は、比較例に係るアンテナ装置3910の反射特性のシミュレーション結果の一例を示した図である。図17において、横軸は周波数(GHz)を示しており、縦軸はゲイン(dB)を示している。また、図17に示す例では、図11に示すアンテナ装置3910のアンテナ素子3111a及び3111bを対象として、SパラメータS11及びS22それぞれについてシミュレーション結果を示している。
また、図18は、本実施形態に係るアンテナ装置3110の反射特性のシミュレーション結果の一例を示した図である。図18における横軸及び縦軸については、図17に示す例と同様である。また、図18に示す例では、図14に示すアンテナ装置3110のアンテナ素子3111a及び3111bを対象として、SパラメータS11及びS22それぞれについてシミュレーション結果を示している。
図17及び図18を比較するとわかるように、本実施形態に係るアンテナ装置3110と、比較例に係るアンテナ装置3910との間で、反射特性に変化が生じていないことがわかる。このことから、本実施形態に係るアンテナ装置3110のように、無給電素子3115を設けたとしても、アンテナ装置の反射特性に影響がないことがわかる。
以上、図11〜図18を参照して、本実施形態に係るアンテナ装置の特性のシミュレーション結果について説明した。
<5.3.変形例>
続いて、本実施形態に係るアンテナ装置の変形例について説明する。
(変形例1)
まず、変形例1として、2つのアンテナ装置をL字型に連結することで1つのアンテナ装置として構成した場合の一例について説明する。例えば、図19は、変形例1に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図であり、当該アンテナ装置の概略的な斜視図である。なお、以降の説明では、図19に示すアンテナ装置を、他のアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3210」と称する場合がある。
図19に示すようにアンテナ装置3250は、アンテナ部3110a及び3110bと、連結部3212とを含む。アンテナ部3110a及び3110bのそれぞれは、図6及び図8を参照して説明したアンテナ装置3110に相当する。そのため、アンテナ部3110a及び3110bのそれぞれの構成について詳細な説明は省略する。なお、図19に示すアンテナ装置3210においては、アンテナ部3110a及び3110bのうち、一方が「第1のアンテナ部」の一例に相当し、他方が「第2のアンテナ部」の一例に相当する。即ち、第1のアンテナ部の誘電体基板3118が「第1の基板」の一例に相当し、第2のアンテナ部の誘電体基板3118が「第2の基板」の一例に相当する。
図19に示すように、アンテナ部3110aとアンテナ部3110bとは、それぞれの端部のうち、複数のアンテナ素子3111の配列方向に延伸する端部の一方が互いに近傍に位置するように配置される。このとき、アンテナ部3110aのアンテナ素子3111と、アンテナ部3110bのアンテナ素子3111とは、平面状のエレメントの法線方向が互い交差する(例えば、直交する)か、または、当該法線方向が互いにねじれの位置にあるように配置されることとなる。また、アンテナ部3110aとアンテナ部3110bとの間で、互いに近傍に位置する端部間を架設するように連結部3212が設けられており、当該連結部3212により当該アンテナ部3110aと当該アンテナ部3110bとが連結されている。即ち、連結部3212により、アンテナ部3110aとアンテナ部3110bとが略L字型を形成するように、当該アンテナ部3110aと当該アンテナ部3110bとが保持される。
このような構成により、アンテナ装置3210は、参照符号R11で示された領域にアレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子3111が配設され、参照符号R13及びR15で示された領域に無給電素子3115が配設されることとなる。
以上のような構成を有するアンテナ装置3210については、例えば、図3に示す通信装置211の裏面201と端面204とのように、当該通信装置211の筐体209の外面のうち互いに連接する複数の面(外面)に沿って保持されるとよい。このような構成により、互いに連接する当該複数の面それぞれについて、当該面に略垂直な方向から到来する無線信号をより好適な態様で送信または受信することが可能となる。
なお、L字型のアンテナ装置3210を構成するアンテナ部3110a及び3110bに相当する構成として、図9を参照して説明したアンテナ装置3130や、図10を参照して説明したアンテナ装置3150を適用することも可能である。
例えば、図20は、変形例1に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明するための説明図である。なお、以降の説明では、図20に示すアンテナ装置を、他のアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3230」と称する場合がある。
図20に示すアンテナ装置3230は、図19に示すアンテナ装置3210におけるアンテナ部3110a及び3110bに相当する構成として、図9に示すアンテナ装置3130を適用した場合の一例に相当する。即ち、図20に示すアンテナ部3130a及び3130bが、図9に示すアンテナ装置3130に相当する。また、図19に示すアンテナ装置3210と同様の思想に基づき、アンテナ部3130a及び3130bが連結部3232により連結されることで、L字型のアンテナ装置3230が構成されている。
このような構成により、アンテナ装置3230は、参照符号R11で示された領域にアレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子3111が配設され、参照符号R13で示された領域に無給電素子3115が配設されることとなる。
また、図20に示すアンテナ装置3230においては、アンテナ部3130a及び3130bのうち、一方が「第1のアンテナ部」の一例に相当し、他方が「第2のアンテナ部」の一例に相当する。即ち、第1のアンテナ部の誘電体基板3118が「第1の基板」の一例に相当し、第2のアンテナ部の誘電体基板3118が「第2の基板」の一例に相当する。
例えば、図21は、変形例1に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明するための説明図である。なお、以降の説明では、図21に示すアンテナ装置を、他のアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3250」と称する場合がある。
図21に示すアンテナ装置3250は、図19に示すアンテナ装置3210におけるアンテナ部3110a及び3110bに相当する構成として、図10に示すアンテナ装置3150を適用した場合の一例に相当する。即ち、図21に示すアンテナ部3150a及び3150bが、図10に示すアンテナ装置3530に相当する。また、図19に示すアンテナ装置3210と同様の思想に基づき、アンテナ部3150a及び3150bが連結部3252により連結されることで、L字型のアンテナ装置3250が構成されている。
このような構成により、アンテナ装置3250は、参照符号R11で示された領域にアレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子3111が配設され、参照符号R15で示された領域に無給電素子3115が配設されることとなる。
また、図21に示すアンテナ装置3250においては、アンテナ部3150a及び3150bのうち、一方が「第1のアンテナ部」の一例に相当し、他方が「第2のアンテナ部」の一例に相当する。即ち、第1のアンテナ部の誘電体基板3118が「第1の基板」の一例に相当し、第2のアンテナ部の誘電体基板3118が「第2の基板」の一例に相当する。
以上、変形例1として、図19〜図21を参照して、2つのアンテナ装置をL字型に連結することで1つのアンテナ装置として構成した場合の一例について説明した。
(変形例2)
続いて、変形例2として、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について、特にアレイアンテナの構成に着目して説明する。
前述した実施形態では、複数のアンテナ素子3111が所定の方向に沿って互いに離間するように配設された所謂一次元アレイを構成する場合について説明した。一方で、複数のアンテナ素子3111の配列は、必ずしも前述した実施形態のような所謂一次元アレイを構成する場合の配列のみには限定されない。
例えば、図22〜図24は、変形例2に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図であり、複数のアンテナ素子3111を二次元状に配列することでアレイアンテナ(所謂二次元アレイ)を構成する場合の一例について示している。なお、図22〜図24においては、「給電素子」として示した部分が、本実施形態に係るアンテナ装置3110におけるアンテナ素子3111(即ち、給電点を有するアンテナ素子)に相当する。また、「無給電素子」として示した部分が、本実施形態に係るアンテナ装置3110における無給電素子3115に相当する。また、図22〜図24では、便宜上、給電素子を構成する平面状のエレメント(即ち、アンテナ素子3111のエレメント3112に相当する構成)の法線方向をz方向とし、当該エレメントの平面に水平な互いに直交する方向をx方向及びy方向とする。即ち、図22〜図24に示す例では、複数の給電素子がx方向及びy方向のそれぞれに沿って互いに離間するように配設されている。
まず、図22に示す例について説明する。図22に示す例では、xy平面上において二次元状に配列された給電素子のうち、x方向の端部側に位置する給電素子に対して、当該x方向に互いに隣り合うように無給電素子が配設されている。即ち、図22に示す例では、参照符号R21及びR22で示した部分のそれぞれが、図6及び図8を参照して説明したアンテナ装置3110と同様の構成を有している。このような構成により、図22に示す例においては、参照符号R21及びR22で示した部分のそれぞれにおいて、当該アンテナ装置3110と同様に、給電素子の放射パターンの形状の対称性(この場合には、x方向の形状の対称性)を改善する効果を期待することが可能である。
次いで、図23に示す例について説明する。図23に示す例では、xy平面上において二次元状に配列された給電素子のうち、y方向の端部側に位置する給電素子に対して、当該y方向に互いに隣り合うように無給電素子が配設されている。即ち、図23に示す例では、参照符号R23及びR24で示して部分のそれぞれが、図6及び図8を参照して説明したアンテナ装置3110と同様の構成を有している。このような構成により、図23に示す例においては、参照符号R23及びR24で示した部分のそれぞれにおいて、当該アンテナ装置3110と同様に、給電素子の放射パターンの形状の対称性(この場合には、y方向の形状の対称性)を改善する効果を期待することが可能である。
次いで、図24に示す例について説明する。図24に示す例では、xy平面上において二次元状に配列された給電素子のうち、x方向及びy方向のそれぞれについて、当該方向の端部側に位置する給電素子に対して、当該方向に互いに隣り合うように無給電素子が配設されている。即ち、図24に示す例では、参照符号R25及びR26で示して部分のそれぞれが、図6及び図8を参照して説明したアンテナ装置3110と同様の構成を有している。このような構成により、図24に示す例においては、参照符号R25及びR26で示した部分のそれぞれにおいて、当該アンテナ装置3110と同様に、給電素子の放射パターンの形状の対称性(この場合には、x方向の形状の対称性)を改善する効果を期待することが可能である。同様に、図24に示す例では、参照符号R27及びR28で示して部分のそれぞれが、当該アンテナ装置3110と同様の構成を有している。このような構成により、図25に示す例においては、参照符号R27及びR28で示した部分のそれぞれにおいて、当該アンテナ装置3110と同様に、給電素子の放射パターンの形状の対称性(この場合には、y方向の形状の対称性)を改善する効果を期待することが可能である。
また、図25は、変形例2に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図であり、複数のアンテナ素子3111を放射状に配列することでアレイアンテナ(所謂ラジアルアレイ)を構成する場合の一例について示している。なお、図25においては、「給電素子」として示した部分が、本実施形態に係るアンテナ装置3110におけるアンテナ素子3111(即ち、給電点を有するアンテナ素子)に相当する。また、「無給電素子」として示した部分が、本実施形態に係るアンテナ装置3110における無給電素子3115に相当する。また、図25において、x方向、y方向、及びz方向は、図22〜図24に示す例におけるx方向、y方向、及びz方向にそれぞれ対応している。即ち、図25に示す例では、xy平面上において、複数の給電素子が互いに離間するように放射状に配設されている。
図25に示す例では、xy平面上において放射状に配列された給電素子(換言すると、同心円状に配列された給電素子)のうち、動径方向に配列された複数の給電素子それぞれについて、当該動径方向の端部側に位置する給電素子に対して、当該動径方向に互いに隣り合うように無給電素子が配設されている。即ち、図25に示す例では、参照符号R31〜R37で示して部分のそれぞれが、図6及び図8を参照して説明したアンテナ装置3110と同様の構成を有している。このような構成により、図25に示す例においては、参照符号R31〜R37で示した部分のそれぞれにおいて、当該アンテナ装置3110と同様に、給電素子の放射パターンの形状の対称性(この場合には、動径方向の形状の対称性)を改善する効果を期待することが可能である。
なお、図22〜図25に示す例はあくまで一例であり、必ずしも本実施形態に係るアンテナ装置3110の構成を限定するものではない。即ち、アレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子のうち所望の方向に沿って配列された少なくとも一部の2以上のアンテナ素子を対象として、上述した思想に基づき無給電素子が配設されていれば、本実施形態に係るアンテナ装置の構成は特に限定されない。
また、給電素子や無給電素子の形状についても特に限定されず、例えば、円形、方形等の形状であってもよい。そのため、給電素子として、例えば、E型パッチアンテナ、スロット入りパッチアンテナ、円偏波摂動素子入りパッチアンテナ等のアンテナ素子を適用することも可能である。また、給電素子として適用されるアンテナ素子に応じて、無給電素子の形状が設定されていてもよい。また、他の一例として、アンテナ装置を構成するアレイアンテナを構成する複数の給電素子の配列パターンに応じて給電素子や無給電素子の形状が決定されてもよい。これは、本変形例に限らず、上述した実施形態や他の変形例についても同様である。
以上、変形例2として、図22〜図25を参照して、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について、特にアレイアンテナの構成に着目して説明した。
(変形例3)
続いて、変形例3として、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明する。
前述した実施形態や変形例では、上述したアンテナ素子や無給電素子が配設される基板が平板状に形成されている場合の一例ついて説明した。一方で、上述したアンテナ素子や無給電素子を配設することが可能であれば、当該アンテナ素子や当該無給電素子が配設される基材(即ち、上述した基板に相当する構成)の形状は、必ずしも平板状には限定されない。
例えば、図26及び図27は、変形例3に係るアンテナ装置の構成の一例について説明するための説明図である。図26及び図27に示す例では、所望の機構の一部の部材として形成された樹脂フレーム(例えば、メカフレーム)に対して、アンテナ素子を配設した場合の一例を示している。
具体的には、図26に示すアンテナ装置3310において、参照符号3318は樹脂フレームを示しており、参照符号3311はアンテナ素子を示している。即ち、図26に示す例において、樹脂フレーム3318のうち、アンテナ素子3311が配設された領域に、上述した実施形態や変形例と実質的に同様となるように、アンテナ素子及び無給電素子(例えば、図6に示すアンテナ素子3111及び無給電素子3115)が配設されてもよい。即ち、図26に示す例では、樹脂フレーム3318が上述した実施形態や変形例における「基板」に相当する。
また、図27に示すアンテナ装置3320において、参照符号3328は樹脂フレームを示しており、参照符号3321はアンテナ素子を示している。即ち、図27に示す例において、樹脂フレーム3328のうち、アンテナ素子3321が配設された領域に、上述した実施形態や変形例と実質的に同様となるように、アンテナ素子及び無給電素子(例えば、図6に示すアンテナ素子3111及び無給電素子3115)が配設されてもよい。即ち、図26に示す例では、樹脂フレーム3318が上述した実施形態や変形例における「基板」に相当する。
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置においては、アンテナ素子や無給電素子が配設される基板に相当する構成は、必ずしも平板状に限定されず、例えば、図26や図27に示すように立体形状を有するように構成されてもよい。即ち、本開示において「基板」として記載した部分は、平板状の基板のみには限定されず、上記した樹脂フレームのようにアンテナ素子が配設され得る基材(例えば、立体形状を有する基材)についても包含するものとする。
以上、変形例3として、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明した。
<5.4.応用例>
続いて、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置を適用した通信装置の応用例として、スマートフォンのような通信端末以外の装置に対して、本開示に係る技術を応用する場合の一例について説明する。
近年では、IoT(Internet of Things)と呼ばれる、多様なモノをネットワークにつなげる技術が注目されており、スマートフォンやタブレット端末以外の装置についても、通信に利用可能となる場合が想定される。そのため、例えば、移動可能に構成された各種装置に対して、本開示に係る技術を応用することで、当該装置についても、ミリ波を利用した通信が可能となる。
例えば、図28は、本実施形態に係る通信装置の応用例について説明するための説明図であり、本開示に係る技術をカメラデバイスに応用した場合の一例を示している。具体的には、図28に示す例では、カメラデバイス300の筐体の外面のうち、互いに異なる方向を向いた面301及び302それぞれの近傍に位置するように、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置が保持されている。例えば、参照符号311は、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置を模式的に示している。このような構成により、図28に示すカメラデバイス300は、例えば、面301及び302それぞれについて、当該面の法線方向と略一致する方向に伝搬する無線信号を送信または受信することが可能となる。なお、図28に示した面301及び302のみに限らず、他の面にもアンテナ装置311が設けられていてもよいことは言うまでもない。
また、本開示に係る技術は、ドローンと呼ばれる無人航空機等にも応用することが可能である。例えば、図29は、本実施形態に係る通信装置の応用例について説明するための説明図であり、本開示に係る技術を、ドローンの下部に設置されるカメラデバイスに応用した場合の一例を示している。具体的には、高所を飛行するドローンの場合には、主に、下方側において各方向から到来する無線信号(ミリ波)を送信または受信できることが望ましい。そのため、例えば、図29に示す例では、ドローンの下部に設置されるカメラデバイス400の筐体の外面401のうち、互いに異なる方向を向いた各部の近傍に位置するように、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置が保持されている。例えば、参照符号411は、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置を模式的に示している。また、図29では図示を省略しているが、カメラデバイス400のみに限らず、例えば、ドローン自体の筐体の各部にアンテナ装置411が設けられていてもよい。この場合においても、特に、当該筐体の下方側にアンテナ装置411が設けられているとよい。
なお、図29に示すように、対象となる装置の筐体の外面のうち少なくとも一部が湾曲する面(即ち、曲面)として構成されている場合においては、当該湾曲する面中における各部分領域のうち、法線方向が互いに交差するか、または、当該法線方向が互いにねじれの位置にある複数の部分領域それぞれの近傍に、アンテナ装置411が保持されるとよい。このような構成により、図29に示すカメラデバイス400は、各部分領域の法線方向と略一致する方向に伝搬する無線信号を送信または受信することが可能となる。
なお、図28及び図29を参照して説明した例はあくまで一例であり、ミリ波を利用した通信を行う装置であれば、本開示に係る技術の応用先は特に限定されない。
以上、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置を適用した通信装置の応用例として、図28及び図29を参照して、スマートフォンのような通信端末以外の装置に対して、本開示に係る技術を応用する場合の一例について説明した。
<<6.むすび>>
以上説明したように、本実施形態に係るアンテナ装置は、基板(誘電体基板)と、それぞれが給電点を有する複数のアンテナ素子と、給電点を有しない無給電素子と、を備える。複数のアンテナ素子のそれぞれと無給電素子とは、基板に支持される。具体的には、複数のアンテナ素子は、所定の方向に沿って互いに離間するように配設される。このとき、当該複数のアンテナ素子は、アレイアンテナを構成する。また、無給電素子は、上記複数のアンテナ素子のうち、当該複数のアンテナ素子の配列方向の端部側に位置する第1のアンテナ素子に対して当該配列方向に互いに離間するように配設される。即ち、当該無給電素子は、当該第1のアンテナ素子と、上記配列方向に互いに隣り合うように配設される。また、上記無給電素子と上記第1のアンテナ素子との間の第1の素子間隔は、当該第1のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子に対して当該無給電素子の反対側に位置する第2のアンテナ素子との間の第2の素子間隔の2倍以下である。
以上のような構成により、本実施形態に係るアンテナ装置に依れば、上記第1のアンテナ素子の放射パターンに生じる歪に依る影響を軽減し、当該放射パターンの上記配列方向の対称性を確保することが可能となる。また、本実施形態に係るアンテナ装置に依れば、無給電素子を設けずに、上記放射パターンの上記配列方向の対称性を確保する場合に比べて、当該配列方向のサイズをより低減することが可能となる。即ち、本実施形態に係るアンテナ装置に依れば、複数のアンテナ素子をアレイ化する場合において、各アンテナ素子(特に、配列方向の端部側に位置するアンテナ素子)の放射パターンの対称性の確保と、アンテナ装置の小型化と、をより好適な態様で両立することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
基板と、
前記基板に支持され、それぞれが給電点を有する複数のアンテナ素子と、
前記基板に支持され、給電点を有しない無給電素子と、
を備え、
前記複数のアンテナ素子は所定の方向に沿って互いに離間するように配設され、
前記無給電素子は、前記複数のアンテナ素子のうち前記方向の端部側に位置する第1のアンテナ素子に対して当該方向に互いに離間し、
前記無給電素子と前記第1のアンテナ素子との間の第1の素子間隔は、当該第1のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子に対して前記無給電素子の反対側に位置する第2のアンテナ素子との間の第2の素子間隔の2倍以下である、
アンテナ装置。
(2)
前記無給電素子は、前記第1のアンテナ素子を基準として、前記第2のアンテナ素子と対称となる位置に配設される、前記(1)に記載のアンテナ装置。
(3)
前記第1の素子間隔は、前記複数のアンテナ素子により送信または受信される無線信号の波長以下である、前記(1)または(2)に記載のアンテナ装置。
(4)
前記第1の素子間隔は、前記波長の1/2と略等しい、前記(3)に記載のアンテナ装置。
(5)
前記無給電素子の前記方向に沿った第1の幅は、前記アンテナ素子の当該方向に沿った第2の幅と略等しい、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
(6)
前記アンテナ素子の樹脂フレームの比誘電率をεr、前記複数のアンテナ素子により送信または受信される無線信号の波長をλとした場合に、前記第1の幅d1が以下に示す条件式を満たす、前記(5)に記載のアンテナ装置。
Figure 2019146183
(7)
前記第1の幅は、λ/4と略等しい、前記(6)に記載のアンテナ装置。
(8)
前記無給電素子は、所定のセンサのパッドとして使用される、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
(9)
前記無給電素子は、前記アンテナ素子と略等しい形状を有する、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
(10)
前記アンテナ素子は、パッチアンテナ、E型パッチアンテナ、スロット入りパッチアンテナ、または円偏波摂動素子入りパッチアンテナとして構成される、前記(9)に記載のアンテナ装置。
(11)
前記複数のアンテナ素子は、1以上の方向に複数のアンテナ素子が配設されたアレーアンテナを構成する少なくとも一部のアンテナ素子である、前記(1)〜(10)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
(12)
前記アレーアンテナは、一次元アレーアンテナ、二次元アレーアンテナ、またはラジアルアレーアンテナである、前記(11)に記載のアンテナ装置。
(13)
前記基板として、それぞれが前記複数のアンテナ素子と前記無給電素子とを支持する第1の基板及び第2の基板を備え、
前記第1の基板と前記第2の基板とは、法線方向が互いに交差するか、または当該法線方向が互いにねじれの位置となるようにそれぞれ保持される、
前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
200 端末装置
2001 アンテナ部
2003 無線通信部
2005 通信制御部
2007 記憶部
211 通信装置
3110 アンテナ装置
3111 アンテナ素子
3112 エレメント
3113 給電点
3115 無給電素子
3116 エレメント
3118 誘電体基板
3119 グランド板
3210 アンテナ装置
3110a、3110b アンテナ部
3212 連結部

Claims (13)

  1. 基板と、
    前記基板に支持され、それぞれが給電点を有する複数のアンテナ素子と、
    前記基板に支持され、給電点を有しない無給電素子と、
    を備え、
    前記複数のアンテナ素子は所定の方向に沿って互いに離間するように配設され、
    前記無給電素子は、前記複数のアンテナ素子のうち前記方向の端部側に位置する第1のアンテナ素子に対して当該方向に互いに離間し、
    前記無給電素子と前記第1のアンテナ素子との間の第1の素子間隔は、当該第1のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子に対して前記無給電素子の反対側に位置する第2のアンテナ素子との間の第2の素子間隔の2倍以下である、
    アンテナ装置。
  2. 前記無給電素子は、前記第1のアンテナ素子を基準として、前記第2のアンテナ素子と対称となる位置に配設される、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記第1の素子間隔は、前記複数のアンテナ素子により送信または受信される無線信号の波長以下である、請求項1に記載のアンテナ装置。
  4. 前記第1の素子間隔は、前記波長の1/2と略等しい、請求項3に記載のアンテナ装置。
  5. 前記無給電素子の前記方向に沿った第1の幅は、前記アンテナ素子の当該方向に沿った第2の幅と略等しい、請求項1に記載のアンテナ装置。
  6. 前記アンテナ素子の樹脂フレームの比誘電率をεr、前記複数のアンテナ素子により送信または受信される無線信号の波長をλとした場合に、前記第1の幅d1が以下に示す条件式を満たす、請求項5に記載のアンテナ装置。
    Figure 2019146183
  7. 前記第1の幅は、λ/4と略等しい、請求項6に記載のアンテナ装置。
  8. 前記無給電素子は、所定のセンサのパッドとして使用される、請求項1に記載のアンテナ装置。
  9. 前記無給電素子は、前記アンテナ素子と略等しい形状を有する、請求項1に記載のアンテナ装置。
  10. 前記アンテナ素子は、パッチアンテナ、E型パッチアンテナ、スロット入りパッチアンテナ、または円偏波摂動素子入りパッチアンテナとして構成される、請求項9に記載のアンテナ装置。
  11. 前記複数のアンテナ素子は、1以上の方向に複数のアンテナ素子が配設されたアレーアンテナを構成する少なくとも一部のアンテナ素子である、請求項1に記載のアンテナ装置。
  12. 前記アレーアンテナは、一次元アレーアンテナ、二次元アレーアンテナ、またはラジアルアレーアンテナである、請求項11に記載のアンテナ装置。
  13. 前記基板として、それぞれが前記複数のアンテナ素子と前記無給電素子とを支持する第1の基板及び第2の基板を備え、
    前記第1の基板と前記第2の基板とは、法線方向が互いに交差するか、または当該法線方向が互いにねじれの位置となるようにそれぞれ保持される、
    請求項1に記載のアンテナ装置。
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