JPWO2019142631A1 - 積層延伸ポリアミドフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
更に、脂肪族ポリアミドにポリアミド系エラストマーを混合したフィルムの場合、フィルム製造時に添加したポリアミド系エラストマーが熱劣化するために、ダイスのリップ出口に目ヤニと呼ばれる劣化物を生成しやすい。そして、劣化物はフィルム厚みの精度を悪化させる原因になることがわかった。また、劣化物はそれ自体が落下することで不良製品を生み、フィルム連続生産時の生産効率を低下させる問題があった。
(1)ポリアミド6樹脂97.5〜80質量%とポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%との混合樹脂を含むポリアミド樹脂組成物からなる基材層(A層)の両方の面に、ポリアミド6樹脂100〜80質量%、ポリアミド系エラストマー1質量%未満、ポリアミド6及びポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂0〜20質量%を含むポリアミド樹脂組成物からなる表面層(B層)が積層されてなる積層延伸ポリアミドフィルム。(2)衝撃強度が0.5J/10μm以上、ゲルボフレックステスターを用いたひねり屈曲試験を温度1℃で1000回実施した時のゲルボピンホール欠点数が5個以下、耐摩擦ピンホールテストでピンホール発生までの距離が3000cm以上であることを特徴とする(1)に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
(3)前記B層の厚みが少なくとも0.5μm以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
(4)B層を構成するポリアミド樹脂組成物が、酸化防止剤を0.01〜0.3質量%含有してなることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
2:段ボール板
3:サンプル保持用の台紙
4:4つ折りしたフィルムサンプル
5:擦る振幅方向
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムは、特定のポリアミド樹脂組成物からなる基材層(A層)の両方の面に特定のポリアミド樹脂組成物からなる表面層(B層)が積層されて構成されるものである。
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド6樹脂97.5〜80質量%とポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%を含むポリアミド樹脂組成物である。
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%を含むことで、耐ピンホール素材としてのポリアミド系エラストマーが分散した構造を持ち、優れた耐屈曲ピンホール性、特に、低温環境下における耐屈曲ピンホール性が良好な積層延伸ポリアミドフィルムを得ることができる。
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド6樹脂の含有量が97.5〜80質量%であることで、衝撃強度などの機械的強度が良好な積層延伸ポリアミドフィルムを得ることができる。
基材層のポリアミド樹脂組成物のポリアミド系エラストマーの含有量の下限は、2.5質量%である。これによって耐屈曲ピンホール性の良好な積層延伸ポリアミドフィルムが得られる。
基材層のポリアミド樹脂組成物のポリアミド系エラストマーの含有量の上限は、20質量%である。これによって他の機械的特性や透明性を維持しつつ、耐屈曲ピンホール性の良好な積層延伸ポリアミドフィルムが得られる。
本発明における表面層(B層)は、ポリアミド6樹脂100〜80質量%、ポリアミド系エラストマー1質量%未満、ポリアミド6樹脂とポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂0〜20質量%からなる。かかるB層は、樹脂の劣化の主要因となるポリアミド系エラストマーの含有量を1質量%未満にすることで、フィルム生産時にダイス内部での樹脂の劣化を抑制でき、ダイス内面への劣化物の付着やダイス出口への目ヤニの付着を抑制することができる。それによって、フィルムの厚み斑の悪化を防止できる。また、長時間の連続生産を可能にすることができる。
また、ポリアミド系エラストマーの含量を1質量%未満にすることで、耐摩擦ピンホール性を向上でき、摩擦試験でのピンホール発生距離を3000cm以上にできる。
例えば、上記の組成を満足する範囲で、A層の片方の面に微粒子や脂肪酸アマイドを含有させて滑り性を良くしたポリアミド樹脂組成物を積層し、もう片方の面に共重合ポリアミド樹脂を含有させて接着性を良くしたポリアミド樹脂組成物を積層することができる。
本発明におけるB層を構成するポリアミド系エラストマーとしては、上述したA層で使用したものと同様に、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントからなるポリアミド系ブロック共重合体である。B層にはポリアミド系エラストマーが含まれないことが最も好適である。
前記微粒子としては、シリカ、カオリン、ゼオライト等の無機滑剤、アクリル系、ポリスチレン系等の高分子系有機滑剤等の中から適宜選択して使用することができる。なお、透明性と滑り性の面から、シリカ微粒子を用いることが好ましい。
例えば、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法が挙げられる。逐次二軸延伸法の方が、製膜速度が上げられるので、製造コスト的に有利であるので好ましい。一軸延伸法による一軸延伸フィルムであっても構わない。
共押出法で積層する場合、A層及びB層に使用するポリアミドの相対粘度は、A層及びB層の溶融粘度の差が少なくなるように選択することが望ましい。
シーラントとの接着強度を上げたい場合には、シーラントをラミネートする側のフィルム表面にコロナ処理や火炎処理等を施してもよい。
(株)東洋精機製作所社製の直読ヘイズメーターを使用し、JIS−K−7105に準拠し測定した。
ヘイズ(%)=〔Td(拡散透過率%)/Tt(全光線透過率%)〕×100
(2)フィルムの衝撃強度
(株)東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスターを使用し測定した。測定値は、厚み10μm当たりに換算してJ(ジュール)/10μmで表した。
理学工業社製のゲルボフレックステスターを使用し、下記の方法により屈曲疲労ピンホール数を測定した。
実施例で作製したフィルムにポリエステル系接着剤を塗布後、厚み40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡社製、L4102)をドライラミネートし、40℃の環境下で3日間エージングを行いラミネートフィルムとした。得られたラミネートフィルムを12インチ×8インチに裁断し、直径3.5インチの円筒状にし、円筒状フィルムの一方の端をゲルボフレックステスターの固定ヘッド側に、他方の端を可動ヘッド側に固定し、初期の把持間隔を7インチとした。ストロークの最初の3.5インチで440度のひねりを与え、その後2.5インチは直線水平運動で全ストロークを終えるような屈曲疲労を、40回/分の速さで1000回行い、ラミネートフィルムに発生したピンホール数を数えた。なお、測定は1℃の環境下で行った。テストフィルムのL−LDPEフィルム側を下面にしてろ紙(アドバンテック、No.50)の上に置き、4隅をセロテープ(登録商標)で固定した。インク(パイロット製インキ(品番INK−350−ブルー)を純水で5倍希釈したもの)をテストフィルム上に塗布し、ゴムローラーを用いて一面に延展させた。不要なインクをふき取った後、テストフィルムを取り除き、ろ紙に付いたインクの点の数を計測した。
堅牢度試験機(東洋精機製作所)を使用し、下記の方法により摩擦試験を行い、ピンホール発生距離を測定した。
上記耐屈曲ピンホール性評価で作製したものと同様のラミネートフィルムを、四つ折りにして角を尖らせたテストサンプルを作製し、堅牢度試験機にて、振幅:25cm、振幅速度:30回/分、加重:100g重で、段ボール内面に擦りつけた。段ボールは、K280×P180×K210(AF)=(表材ライナー×中芯材×裏材ライナー(フルートの種類))を使用した。
ピンホール発生距離は、以下の手順に従い算出した。ピンホール発生距離が長いほど、耐摩擦ピンホール性が優れている。
まず、振幅100回距離2500cmで摩擦テストを行った。ピンホールが開かなかった場合は振幅回数20回距離500cm増やして摩擦テストを行った。またピンホールが開かなかった場合は更に振幅回数20回距離500cm増やして摩擦テストを行った。これを繰り返しピンホールが開いた距離に×をつけて水準1とした。振幅100回距離2500cmでピンホールが開いた場合は振幅回数20回距離500cm減らして摩擦テストを行った。またピンホールが開いた場合は更に振幅回数20回距離500cm減らして摩擦テストを行った。これを繰り返しピンホールが開かなかった距離に○をつけて水準1とした。
次に水準2として、水準1で最後が○だった場合は、振幅回数を20回増やして摩擦テストを行い、ピンホールが開かなかったら○、ピンホールが開いたら×を付けた。水準1で最後が×だった場合は、振幅回数を20回減らして摩擦テストを行い、ピンホールが開かなかったら○、ピンホールが開いたら×を付けた。
更に水準3〜20として、前の水準で○だった場合は、振幅回数を20回増やして摩擦テストを行い、ピンホールが開かなかったら○、ピンホールが開いたら×を付ける。前の水準で×だった場合は、振幅回数を20回減らして摩擦テストを行い、ピンホールが開かなかったら○、ピンホールが開いたら×を付ける。これを繰り返し、水準3〜20に○又は×をつける。
例えば、表1のような結果が得られた。表1を例にしてピンホール発生距離の求め方を説明する。
各距離の○と×の試験数を数える。
最もテスト回数の多かった距離を中央値とし、係数をゼロとする。それより距離が長い場合は、500cmごとに係数を+1、+2、+3・・・、距離が短い場合は、500cmごとに係数を−1、−2、−3・・・とした。
水準1〜20までの全ての試験で、穴が開かなかった試験数と穴が開いた試験数を比較して、次のA及びBの場合についてそれぞれの式で摩擦ピンホール発生距離を算出した。
A;全ての試験で、穴が開かなかった試験数が穴が開いた試験数以上の場合
摩擦ピンホール発生距離=中央値+500×(Σ(係数×穴が開かなかった試験数)/穴が開かなかった試験数)+1/2)
B:全ての試験で、穴が開かなかった試験数が穴が開いた試験数未満の場合
摩擦ピンホール発生距離=中央値+500×(Σ(係数×穴が開いた試験数)/穴が開いた試験数)−1/2)
フィルムの幅方向に10等分して(幅が狭いフィルムについては厚みを測定できる幅が確保できる幅になるよう当分する)、縦方向に100mmのフィルムを10枚重ねで切り出し、温度23℃、相対湿度65%の環境下で2時間以上コンディショニングする。テスター産業製厚み測定器で、それぞれのサンプルの中央の厚み測定し、その平均値を厚みとした。
基材層(A層)と表面層(B層)の厚みは、上記方法で測定した積層延伸ポリアミドフィルムの合計の厚みをA層の吐出量とB層の吐出量を測定し、吐出量の比をもとにA層とB層の厚みを算出した。
(5)15時間経過後の厚み斑(TV%)
製膜開始から15時間後のフィルムの厚みを上記と同様に測定し、それぞれのサンプルの中央の厚みの最大値と最小値の差を平均値で割った値(%)を15時間経過後の厚み斑(TV%)として算出した。
ダイスのリップの掃除を行ってからフィルムの製膜を開始し、ダイスのリップに目ヤニが発生するまでの時間を観察した。
0.25gのポリアミドを25mlのメスフラスコ中で1.0g/dlの濃度になるように96%硫酸で溶解したポリアミド溶液を20℃にて相対粘度を測定した。
(8)原料ポリアミドの融点
JIS K7121に準じてセイコーインスルメンツ社製、SSC5200型示差走査熱量測定器を用いて、窒素雰囲気中で、試料重量:10mg、昇温開始温度:30℃、昇温速度:20℃/分で測定し、吸熱ピーク温度(Tmp)を融点として求めた。
押出機2台と380mm巾の共押出Tダイよりなる装置を使用し、B層/A層/B層の構成で積層してTダイから溶融樹脂をシート状に押出し、20℃に温調した冷却ロールに密着させて厚み200μmの積層未延伸シートを得た。
A層とB層の樹脂組成物は以下のとおりである。
A層を構成する樹脂組成物:ナイロン6(東洋紡社製、相対粘度2.8、融点220℃)97質量部、及びナイロン12がハードセグメントでポリテトラメチレングリコールがソフトセグメントとするポリアミド系エラストマー(アルケマ社製、PEBAX4033SA02)3.0質量部からなるポリアミド樹脂組成物。
B層を構成する樹脂組成物:ナイロン6(東洋紡社製、相対粘度2.8、融点220℃)100質量部、シリカ微粒子0.54質量部及び脂肪酸アマイド0.15質量部からなる樹脂組成物。
なお、積層延伸ポリアミドフィルムの厚みは、合計厚みが15μm、基材層(A層)の厚みが12μm、表裏の表面層(B層)の厚みがそれぞれ1.5μmずつになるように、フィードブロックの構成と押出し機の吐出量を調整した。
得られた二軸延伸フィルムのヘイズ、衝撃強度、屈曲疲労ピンホール数、摩擦ピンホール発生距離、15時間製膜後の厚み斑を測定した。その結果を層構成の詳細とともに表2に示した。
A層とB層の樹脂組成物及び厚み構成を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムのヘイズ、衝撃強度、屈曲疲労ピンホール数、摩擦ピンホール発生距離、15時間製膜後の厚み斑を測定した。その結果を層構成の詳細とともに表2に示した。
一方、表面層(B層)のポリアミド系エラストマーの含有量が1質量%未満の実施例1〜6では、フィルムの厚み斑の悪化が抑制できた。また、ダイスのリップ面に目ヤニが発生するまでの時間が24時間以上であり、効率的な生産ができた。また、実施例1〜6では、基材層(A層)にポリアミド系エラストマーを2.5質量%以上含有させているので、耐屈曲ピンホール性の良好なフィルムが得られた。また、表面層(B層)のポリアミド系エラストマーの含有量が1質量%未満なので耐摩擦ピンホール性も良好なフィルムが得られた。
Claims (4)
- ポリアミド6樹脂97.5〜80質量%とポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%との混合樹脂を含むポリアミド樹脂組成物からなる基材層(A層)の両方の面に、ポリアミド6樹脂100〜80質量%、ポリアミド系エラストマー1質量%未満、ポリアミド6及びポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂0〜20質量%を含むポリアミド樹脂組成物からなる表面層(B層)が積層されてなる積層延伸ポリアミドフィルム。
- 衝撃強度が0.5J/10μm以上、ゲルボフレックステスターを用いたひねり屈曲試験を温度1℃で1000回実施した時のゲルボピンホール欠点数が5個以下、耐摩擦ピンホールテストでピンホール発生までの距離が3000cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
- 前記B層の厚みが少なくとも0.5μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
- B層を構成するポリアミド樹脂組成物が、酸化防止剤を0.01〜0.3質量%含有してなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
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