以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。以下に説明する本発明の実施形態に係るメインモジュール、ユーティリティモジュール、モジュールユニット及びモジュールシステムは、医薬品関連の施設における医薬品の製造、研究、試験及び実験のための物であり、例えば、バイオ医薬品を製造するための物である。
図1に示すように本実施形態のモジュールシステム1は、モジュールユニット1000を建物の外壁2、天井、床面等により屋外と仕切られた外郭空間5に備える。図1に示すように、モジュールシステム1は、建物の外壁2に加えて、建物の機械室4を区画する内壁3と、建物の内部を横断するクリーン廊下6とを備えていてもよい。なお、外郭空間5は、図1に示すように建物の外壁2及び内壁3により屋外と仕切られていてもよい。また、外郭空間5は、建物の外壁2により囲繞された区域の内部において内壁3により囲繞された区域であってもよい。
図1及び図2に示すように、モジュールユニット1000は、メインモジュール100A〜100Tと、ユーティリティモジュール200,300とを備える。後述するように、モジュールユニット1000のメインモジュール100A〜100T及びユーティリティモジュール200,300のそれぞれは移動可能であり、互いに連結自在及び分離自在であり、それぞれの配置を変更自在である。
外郭空間5には、平面視で同じ長方形状を有する複数のメインモジュール100A〜100Tが配置されている。複数のメインモジュール100A〜100Tのそれぞれは、互いの長方形状の長辺の部位で連結させられている。複数のメインモジュール100A〜100Tのそれぞれの長方形状の一方の短辺の部位である廊下接触壁101は、クリーン廊下6と接続されている。メインモジュール100A〜100Tは、後述するように、例えば、バイオ医薬品の製造設備を収容する。
複数のメインモジュール100A〜100Tのそれぞれの長方形状の他方の短辺の部位であるユーティリティモジュール連結壁102は、平面視でメインモジュール100A〜100Tと略同じ大きさと形状とを有するユーティリティモジュール200の長方形状の一方の長辺の部位と連結されている。ユーティリティモジュール200の長方形状の他方の長辺の部位は、平面視でユーティリティモジュール200と略同じ大きさと形状とを有するユーティリティモジュール300の長方形状の長辺の部位と連結されている。ユーティリティモジュール200,300は、後述するようにメインモジュール100A〜100Tに対して気体、液体、電力及び信号のいずれかの供給及び受入のいずれかを行う。
メインモジュール100A〜100T及びユーティリティモジュール200,300の長方形状の短辺と長辺との長さの比は1:5の整数比である。したがって、図2に示すように、メインモジュール100A〜100T及びユーティリティモジュール200,300において、互いに長辺の部位で連結された5つのメインモジュール100P〜100T等の短辺の部位のユーティリティモジュール連結壁102を合わせた長さと、1つのユーティリティモジュール200の長辺の部位の長さとが一致するように規格化されている。
海上コンテナのハイキューブコンテナによる運搬が可能なように、例えば、メインモジュール100A〜100T及びユーティリティモジュール200,300の長方形状の一方の長辺の部位の長さは11700mm以下であり、短辺の部位の長さは2200mm以下であり、高さは2370mm以下である。なお、メインモジュール100A〜100T及びユーティリティモジュール200,300の長方形状の短辺と長辺との長さの比は1:5以外の整数比でもよい。また、メインモジュール100A〜100T及びユーティリティモジュール200,300の長方形状の短辺と長辺との長さの比は、複数のメインモジュール100A〜100Tの短辺の部位を合わせた長さと、1つのユーティリティモジュール200の長辺の部位の長さとを一致させる必要がなければ、整数比以外でもよい。
メインモジュール100A〜100Tのユーティリティモジュール連結壁102に通じるダクト140及び枝配管等と、ユーティリティモジュール200の一方の長辺の部位に通じるダクト240及びメイン配管等とは、互いに決められた位置に設けられ、互いに接続されるように規格化されている。ユーティリティモジュール200の他方の長辺の部位に通じるダクト240等と、ユーティリティモジュール300の一方の長辺の部位に通じる空調機361及び排気ファン362等のダクトは、互いに決められた位置に設けられ、互いに接続されるように規格化されている。
図1及び図2に示すように、互いに連結されたメインモジュール100A〜100Tの中の最も外側のメインモジュール100A及びメインモジュール100Tは、互いに連結されたメインモジュール100A〜100Tの最も外側の長辺の部位に気密性を保つ側壁103を備える。メインモジュール100A〜100Tの廊下接触壁101、ユーティリティモジュール連結壁102及び側壁103で囲まれた空間は気密性が保たれ、清浄度管理が行われている。
また、図2に示すように、互いに連結したメインモジュール100Q,100Rの境界や、メインモジュール100S,100Tの境界には気密性を保つ隔壁である側壁103が配置されている。また、一つのメインモジュール100P等の空間の一部を気密性を保ちつつ区画する隔壁104が配置されている。
図1に示すように、外郭空間5には、モジュールシステム1の外部から搬入されたメインモジュール100A〜100Tやユーティリティモジュール200,300を開梱するためのモジュール開梱室7が開閉自在な扉を介して通じている。モジュール開梱室7の周囲には、製品倉庫15が配置されている。クリーン廊下6のメインモジュール100A〜100Tが接している側の反対側には、洗浄室8、セルバンク室9、更衣室10,11、トイレット12、管理室13及び原材料資材庫14が隣接している。
クリーン廊下6、洗浄室8、セルバンク室9、更衣室10,11及び原材料資材庫14は清浄度管理が行われている。したがって、図1において、陰影を付された区域は清浄度管理が行われているクリーンルームであり、陰影を付されていない区域は清浄度管理が行われていない。なお、クリーンルームとは、清浄度管理が行われている限られた空間であって、空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される清浄度が保持されている空間を意味する。
メインモジュール100A〜100Tには、例えば、バイオ医薬品の製造工程のそれぞれが割り当てられている。メインモジュール100Aにはクリーン廊下16とパスルーム17とが割り当てられている。メインモジュール100B,100Cにはシード室18と秤量室19とが割り当てられている。メインモジュール100D〜100Gには培養室20が割り当てられ、その中のメインモジュール100D,100Gにはパスルーム17が割り当てられている。メインモジュール100H〜100Qには第1精製室21が割り当てられ、その中のメインモジュール100P,100Qにはパスルーム17が割り当てられている。メインモジュール100R,100Sには第2精製室22と分注室23とが割り当てられ、その中のメインモジュール100Sの分注室23の区画内にはパスルーム17が割り当てられている。メインモジュール100Tにはクリーン廊下16とパスルーム17とが割り当てられている。
メインモジュール100A〜100Tのそれぞれの空間を気密性を保ちつつ区画する側壁103及び隔壁104は、配置、撤去及び位置の移動が自在であるため、それらに対するバイオ医薬品の製造工程等の医薬品の製造、研究、試験及び実験の工程の割り当ての変更も自在である。また、後述するように、メインモジュール100A〜100T、ユーティリティモジュール200,300は外郭空間5の床面に沿って移動自在であるため、バイオ医薬品の製造工程のそれぞれの拡大、縮小、改変も自在である。
以下、本実施形態のメインモジュール100A〜100Tについて詳細に説明する。メインモジュール100A〜100Tは同様の構造を有するため、以下、代表として、メインモジュール100Eについて説明する。図3及び図4に示すように、メインモジュール100Eは、バイオ医薬品の製造設備150を収容する。メインモジュール100Eは、互いに上下方向の3段に積層されるシーリングモジュール110、フロアモジュール120及びアンダーフロアモジュール130を備える。シーリングモジュール110、フロアモジュール120及びアンダーフロアモジュール130は、互いに連結自在及び分離自在であり、それぞれ規格化されており、部分的に交換が可能である。
シーリングモジュール110は、メインモジュール100Eの天井及び天井裏を構成するモジュールである。シーリングモジュール110は、上下方向の高さを変更可能なシーリングパネル111を有する。上下方向の高さを変更可能なシーリングパネル111を有するとは、例えば、メインモジュール100Eは、必要な高さに応じて、異なる高さのシーリングパネル111を有するシーリングモジュール110を交換することにより、シーリングパネル111の高さを変更可能なことを意味する。また、上下方向の高さを変更可能なシーリングパネル111を有するとは、例えば、シーリングモジュール110をフロアモジュール120と連結させた状態で、シーリングパネル111の高さを調整することにより、シーリングパネル111の高さを変更可能なことを意味する。
図4に示すように、シーリングモジュール110には、ユーティリティモジュール200のダクト240及びメイン配管に接続されるダクト140及び枝配管141の他、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)ユニット、照明器具、ユーティリティバルブ及びケーブル等が設置されている。また、シーリングモジュール110は、少なくともシーリングパネル111以下の高さの範囲に廊下接触壁101及びユーティリティモジュール連結壁102を有し、フロアモジュール120が側壁103や隔壁104を有する場合には、少なくともシーリングパネル111以下の高さの範囲に側壁103や隔壁104を有する。
図3及び図4に示すように、フロアモジュール120は、メインモジュール100Eにおいて廊下接触壁101及びユーティリティモジュール連結壁102等による壁とフロアパネル121による床とを構成するモジュールである。フロアモジュール120は、シーリングモジュール110の下方でシーリングモジュール110と一体化し、フロアパネル121を有し、シーリングモジュール110のシーリングパネル111とフロアパネル121との間の空間に例えばバイオ医薬品の製造設備150を収容する。
製造設備150は、例えば、培養槽、ポンプ用ワゴン、培地調製タンク、カラム、クロマトグラフィ装置、バッファー調製槽等である。製造設備150はシングルユース設備とし、フロアモジュール120に固定されていてもよく、固定されていなくともよい。また、製造設備150で、メインモジュール100Eのフレームよりも高いものは、一度取り外され、別途移送される。
フロアモジュール120は、上下方向の高さを変更可能なフロアパネル121を有していてもよい。上下方向の高さを変更可能なフロアパネル121を有するとは、例えば、メインモジュール100Eは、必要な高さに応じて、異なる高さのフロアパネル121を有するフロアモジュール120を交換することにより、フロアパネル121の高さを変更可能なことを意味する。また、上下方向の高さを変更可能なフロアパネル121を有するとは、例えば、フロアモジュール120をシーリングモジュール110及びアンダーフロアモジュール130のいずれかと連結させた状態で、フロアパネル121の高さを調整することにより、フロアパネル121の高さを変更可能なことを意味する。
なお、フロアモジュール120のフロアパネル121の高さの変更は、アンダーフロアモジュール130の外郭空間5の床面からの高さを変更することや、外郭空間5の床面からの高さが異なるアンダーフロアモジュール130をフロアモジュール120に連結することにより、行われてもよい。
フロアモジュール120には、例えば、バイオ医薬品の製造設備150の他、吸込み口、LAN(Local Area Network)、コンセント類、機器用排水口及び排水目皿等が設置されている。また、フロアモジュール120は、少なくともフロアパネル121以上の高さの範囲に廊下接触壁101及びユーティリティモジュール連結壁102を有する。また、フロアモジュール120は、メインモジュール100Eが互いに連結されたメインモジュール100A〜100Tの中の最も外側に配置される場合には、互いに連結されたメインモジュール100A〜100Tの最も外側の長辺の部位の少なくともフロアパネル121以上の高さの範囲に気密性を保つ側壁103を有する。また、フロアモジュール120は、互いに連結したメインモジュール100A〜100Tのシーリングモジュール110のシーリングパネル111とフロアモジュール120のフロアパネル121との間の空間において、互いに連結したメインモジュール100A〜100Tの境界に気密性を保つ隔壁である側壁103が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在である。
側壁103が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であるとは、メインモジュール100Eは、側壁103を有するシーリングモジュール110及びフロアモジュール120と側壁103を有しないシーリングモジュール110及びフロアモジュール120とを交換することにより、側壁103が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であることを意味する。また、側壁103が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であるとは、メインモジュール100Eは、フロアモジュール120をシーリングモジュール110及びアンダーフロアモジュール130のいずれかと連結させた状態で、側壁103の設置又は撤去を行うことにより、側壁103が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であることを意味する。
また、フロアモジュール120は、一つのメインモジュール100Eのシーリングモジュール110のシーリングパネル111とフロアモジュール120のフロアパネル121との間の空間の一部を気密性を保ちつつ区画する隔壁104が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在である。隔壁104が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であるとは、メインモジュール100Eは、隔壁104を有するシーリングモジュール110及びフロアモジュール120と隔壁104を有しないシーリングモジュール110及びフロアモジュール120とを交換することにより、隔壁104が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であることを意味する。また、隔壁104が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であるとは、メインモジュール100Eは、フロアモジュール120をシーリングモジュール110及びアンダーフロアモジュール130のいずれかと連結させた状態で、隔壁104の設置又は撤去を行うことにより、隔壁104が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であることを意味する。
アンダーフロアモジュール130は、メインモジュール100Eにおいて床下空間を構成するモジュールである。図4、図5(A)及び図5(B)に示すように、アンダーフロアモジュール130は、フロアモジュール120の下方でフロアモジュール120と一体化し、その下面に外郭空間5の床面に沿って移動する移動部400が取り付けられる取付凹部131を有する。
図5(A)に示すように移動部400は、外部から圧縮空気を導入されるエア導入部401と、エア導入部401により導入された圧縮空気により膨らみつつ、その外壁に設けられた小孔から移動部400の下面に圧縮空気を噴出するエアクッション部402とを含む。図5(A)に示すように、エア導入部401に圧縮空気が供給されていない状態では、エアクッション部402は収縮しており、アンダーフロアモジュール130は床面に着地している。図5(B)に示すように、エア導入部401に圧縮空気が供給されている状態では、エアクッション部402は膨らみ、エアクッション部402の内部に圧縮空気が充満する。圧縮空気はエアクッション部402の外壁の小孔から噴出させられ、エアクッション部402と床面との間にわずかな隙間である薄い空気膜を形成しながら外部へ漏れていく。
このため、アンダーフロアモジュール130は、フロアパネル121に製造設備150が設置された状態のフロアモジュール120や、シーリングモジュール110が連結された状態で、人力により外郭空間5の床面に沿って移動可能である。なお、移動部400は、メインモジュール100Eのアンダーフロアモジュール130の取付凹部131に着脱自在である。したがって、移動部400は、メインモジュール100Eのアンダーフロアモジュール130の取付凹部131に恒常的に取り付けられている必要はなく、メインモジュール100Eの移動の際にのみ、メインモジュール100Eのアンダーフロアモジュール130の取付凹部131に一時的に取り付けられてもよい。移動部400は、車輪等により、移動するものでもよい。また、移動部400は、電動機、内燃機関等により、人力によらず外郭空間5の床面に沿って移動可能でもよい。
図4に示すように、アンダーフロアモジュール130は、排水管132及び通気管等が設置されている。アンダーフロアモジュール130は、廊下接触壁101、ユーティリティモジュール連結壁102及び側壁103を有しておらず、フロアモジュール120を支持するためのフレームのみから構成されている。したがって、アンダーフロアモジュール130は、外郭空間5等の空間に対して露出しており、清浄度管理が行われていない空間に配置されている。なお、アンダーフロアモジュール130は、排水管132及び通気管等が設置されていないフレームのみで構成されていてもよい。この場合、必要な配管類はフロアモジュール120に設置されていてもよい。
なお、シーリングモジュール110とフロアモジュール120との間及びフロアモジュール120とアンダーフロアモジュール130との間のいずれかは恒常的に一体化され、メインモジュール100Eは上下方向に2段にしか分離できなくともよい。
また、メインモジュール100Eは全体として恒常的に一体化され、分離不可能であってもよい。あるいは、シーリングモジュール110、フロアモジュール120及びアンダーフロアモジュール130のいずれかはさらに上下方向に分割可能であり、メインモジュール100Eは上下方向に4段以上に分離可能であってもよい。
メインモジュール100A〜100Tは、互いに他のメインモジュール100A〜100Tや、ユーティリティモジュール200,300と互いに連結自在及び分離自在である。メインモジュール100A〜100Tは、互いに連結したメインモジュール100A〜100Tのシーリングモジュール110のシーリングパネル111とフロアモジュール120のフロアパネル121との間の空間の気密性を保つことが可能である。
また、メインモジュール100A〜100Tは、互いに連結したメインモジュール100A〜100Tにおいて、シーリングパネル111、フロアパネル121、側壁103及び隔壁104により区画された空間の気密性を保つことが可能である。互いに連結したメインモジュール100A〜100Tのシーリングパネル111、フロアパネル121、側壁103及び隔壁104が任意の位置に配置された後に、例えば、シーリングパネル111、フロアパネル121、側壁103及び隔壁104の継目にシール材を充填することにより、気密性が確保される。メインモジュール100A〜100Tのクリーン廊下6とクリーン廊下16又はパスルーム17を介して接続される廊下接触壁101には、必要に応じてハッチ、扉等が設置されている。
図6(A)及び図6(B)に示すように、メインモジュール100Eのダクト140、枝配管141及び排水管132とユーティリティモジュール200のダクト240及びメイン配管241との接続位置は規格化されている。例えば、メインモジュール100Eの側に接続すべき配管等が無い場合でも、ユーティリティモジュール200のダクト240及びメイン配管241は配置されている。メインモジュール100Eのダクト140、枝配管141、排水管132及び通気管等とユーティリティモジュール200のダクト240及びメイン配管241との接続は、必要に応じて据付誤差調整用に接続用フレキシブル管500が設置されている。メインモジュール100Eの排水管132よりもユーティリティモジュール200のメイン配管241は低い位置に配置されている。
以下、本実施形態のユーティリティモジュール200,300について詳細に説明する。ユーティリティモジュール200,300は、外郭空間5の床面に沿って移動するメインモジュール100A〜100Tに対して気体、液体、電力及び信号のいずれかの供給及び受入のいずれかを行うユーティリティ部210,310と、ユーティリティ部を外郭空間5の床面に沿って移動させる移動部400とを備える。ユーティリティモジュール200,300は、外郭空間5等の空間に対して露出しており、清浄度管理が行われていない区域に配置されている。
また、本実施形態では、第1のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール200と、第2のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール300とに分割されている。ユーティリティモジュール200とユーティリティモジュール300とは互いに連結自在及び分離自在である。
第1のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール200は、ユーティリティ部210であり、気体、液体、電力及び信号のいずれかの経路である経路部と、経路部を外郭空間5の床面に沿って移動させる移動部400とを備える。第2のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール300は、ユーティリティ部310であり、気体、液体、電力及び信号のいずれかの供給源及び受入先のいずれかである機械部と、供給・受入先部を外郭空間5の床面に沿って移動させる移動部400とを備える。
メインモジュール100A〜100Tとの連結において、第2のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール300が第1のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール200よりも外郭空間5の側に位置するように配置される。
図2及び図6(A)に示すように、ユーティリティモジュール200は、製造設備150を収容しつつ外郭空間5の床面に沿って移動するメインモジュール100A〜100Tに対する気体、液体、電力及び信号のいずれかの経路である経路部でありユーティリティ部210であるダクト240及びメイン配管241等と、経路部でありユーティリティ部210であるダクト240及びメイン配管241等を外郭空間5の床面に沿って移動させる移動部400が取り付けられる取付凹部231とを備える。ダクト240、メイン配管241等はユニット化されてユーティリティモジュール200と一体化され、ユーティリティモジュール200と一緒に外郭空間5に搬入され、メインモジュール100A〜100Tと接続される。なお、図2に示すように、ユーティリティモジュールのダクト240及びメイン配管241等は、モジュールシステム1の常設設備のユーティリティ接続配管600に接続されてもよい。
図7に示すように、ユーティリティモジュール300は、ユーティリティモジュール200を介して、製造設備150を収容しつつ外郭空間5の床面に沿って移動するメインモジュール100A〜100Tに対する気体、液体、電力及び信号のいずれかの供給源及び受入先のいずれかである機械部でありユーティリティ部310である空調機361、排気ファン362、生産用動力盤363及び自動制御盤364等と、機械部でありユーティリティ部310である空調機361等を外郭空間5の床面に沿って移動させる移動部400が取り付けられる取付凹部331とを備える。生産用動力盤363等のケーブル接続はケーブル接続等による簡易接続がなされる。
なお、第1のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール200と、第2のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール300とは、必ずしも互いに連結自在及び分離自在である必要はなく、恒常的に一体化されていてもよい。
また、メインモジュール100A〜100Tと同様に、ユーティリティモジュール200,300においても、移動部400は、ユーティリティモジュール200,300の取付凹部231,331に着脱自在である。したがって、移動部400は、ユーティリティモジュール200,300の取付凹部231,331に恒常的に取り付けられている必要はなく、ユーティリティモジュール200,300の移動の際にのみ、ユーティリティモジュール200,300の取付凹部231,331に一時的に取り付けられてもよい。
また、本実施形態では、海上コンテナのハイキューブコンテナによる運搬が可能なように、ユーティリティモジュール200,300の大きさ及び形状はメインモジュール100A〜100Tの大きさ及び形状に対応している。しかし、ユーティリティモジュール200,300の大きさ及び形状は、必ずしもメインモジュール100A〜100Tに対応していない異なる大きさ及び形状でもよい。
図8に示すように、メインモジュール100A〜100Tの廊下接触壁101と接続させられるクリーン廊下6には、メインモジュール100A〜100Tの廊下接触壁101の大きさ及び形状に対応して外郭空間5に開口した開口部63を有するフレーム62が設置されている。メインモジュール100A〜100Tの廊下接触壁101と接続させられたフレーム62の開口部63は廊下接触壁101により塞がれる。メインモジュール100A〜100Tの廊下接触壁101と接続させられていないフレーム62の開口部63は、パネル64により塞がれる。メインモジュール100A〜100Tのフロアパネル121の高さに合わせて、クリーン廊下6の床61も同じ高さにかさ上げ等がなされる。
以下、本実施形態による製造設備150が収容される空間等の医薬品関連の施設の垂直方向及び水平方向への拡大、縮小及び改変について説明する。図9(A)に示すように、互いに連結したメインモジュール100A〜100Eが配置されている場合において、ユーティリティモジュール300がユーティリティモジュール200との連結を解除され、外郭空間5の床面を移動させられる。
なお、以下に説明する動作において、外郭空間5におけるメインモジュール100A〜100E及びユーティリティモジュール200,300を移動させるための空間が不足する場合には、適宜、外壁2を除去することにより、メインモジュール100A〜100E及びユーティリティモジュール200,300を移動させるための空間を補うことができる。
図9(B)に示すように、ユーティリティモジュール200がメインモジュール100A〜100Eとの連結を解除され、外郭空間5の床面を移動させられる。なお、ユーティリティモジュール200とユーティリティモジュール300とは分離させられずに一体化されたまま、メインモジュール100A〜100Eとの連結を解除され、外郭空間5の床面を移動させられてもよい。
図9(C)に示すように、互いに連結したメインモジュール100A〜100Eのメインモジュール100Dがメインモジュール100Cとの連結を解除され、さらにメインモジュール100D,100Eが外側にずれるように外郭空間5の床面を移動させられる。これにより、メインモジュール100C,100Dの間に図9(D)に示すような新たなメインモジュール100Xを挿入する隙間が形成される。
図9(D)に示すように、モジュール開梱室7で開梱された新たなメインモジュールXが外郭空間5の床面を移動させられ、メインモジュール100D,100Eの間に挿入され、メインモジュール100D,100Eと連結される。また、新たなメインモジュールXのためのユーティリティモジュール200,300が用意される。図9(E)に示すように、メインモジュール100A〜100E,100Xにユーティリティモジュール200が連結され、ユーティリティモジュール200にユーティリティモジュール300が連結される。これにより、製造設備150が収容される空間等の医薬品関連の施設の水平方向への拡張が行われる。
メインモジュール100A〜100E,100Xのシーリングモジュール110のシーリングパネル111の高さは適宜変更される。また、メインモジュール100A〜100E,100Xのシーリングモジュール110の側壁103及び隔壁104の配置は適宜変更される。これにより、製造設備150が収容される空間等の医薬品関連の施設の垂直方向及び水平方向への拡大、縮小及び改変が行われる。
一方、製造設備150が収容される空間等の医薬品関連の施設の水平方向への縮小が行われる場合には、図9(A)〜図9(B)と同様の動作が行われた後に、例えば、メインモジュール100Cがメインモジュール100B,100Dとの連結を解除され、外郭空間5の床面を移動させられる。メインモジュール100B,100Dの間の隙間を埋めるように、メインモジュール100Bとメインモジュール100Dとが互いに近接させられ、メインモジュール100Bとメインモジュール100Dとが連結される。これにより、製造設備150が収容される空間等の医薬品関連の施設の水平方向への縮小が行われる。
また、図10(A)〜図10(B)に示すように図9(A)〜図9(B)と同様の動作が行われた後に、図10(C)に示すようにメインモジュール100Cがメインモジュール100B,100Dとの連結を解除され、外郭空間5の床面をモジュール開梱室7等に移動させられてもよい。図10(D)に示すように、メインモジュール100B,100Dの間に、メインモジュール100Yの長辺に平行な方向に製造設備150が収容される空間を分割する隔壁104を備えたメインモジュール100Yが挿入され、メインモジュール100B,100Dと連結され、メインモジュール100Cと入れ替えられる。図10(E)及び図10(F)に示すようにユーティリティモジュール200,300が再度、連結される。これにより、隔壁104による間仕切りの追加により、製造設備150が収容される空間等の医薬品関連の施設の改変やバイオ医薬品等の医薬品の製造、研究、試験及び実験の工程の割り当ての変更が行われる。
また、図11(A)に示すように、図10(C)のメインモジュール100Cがメインモジュール100B,100Dの間から除去された状態で、メインモジュール100B,100Dのメインモジュール100Cが除去された側の長辺に側壁103が追加され、ユーティリティモジュール200,300が再度、連結されてもよい。つまり、メインモジュール100A〜100Tは必ずしも密接して配置されなくともよい。
また、図11(B)に示すように、メインモジュール100Aの廊下接触壁101、ユーティリティモジュール連結壁102及び側壁103と、メインモジュール100Bの廊下接触壁101及びユーティリティモジュール連結壁102と、建物の内壁3とで区画された空間や、メインモジュール100C,100Dの廊下接触壁101及びユーティリティモジュール連結壁102と、メインモジュール100Eの廊下接触壁101、ユーティリティモジュール連結壁102及び側壁103と、建物の内壁3とで区画された空間により、製造設備150が収容される空間等の医薬品関連の施設が形成されてもよい。つまり、メインモジュール100A〜100Tのみならず、建物の内壁3により製造設備150を収容する空間が形成されてもよい。
また、図11(C)に示すように、建物の外壁2で囲まれた外郭空間5が建物の内壁3により2以上の区画に分割され、それぞれの区画に上記のメインモジュール100A〜100T等による製造設備150が収容される空間等の医薬品関連の施設が形成されてもよい。以上のメインモジュール100A〜100T、ユーティリティモジュール200,300の移動において、メインモジュール100A〜100Tとユーティリティモジュール200,300とが連結されたモジュールユニット1000ごとに移動が行われてもよい。
本実施形態によれば、製造設備150を収容するメインモジュール100A〜100Tにおいて、シーリングモジュール110では、シーリングパネル111の上下方向の高さを変更可能であり、シーリングモジュール110の下方でシーリングモジュール110と一体化し、フロアパネル121を有するフロアモジュール120では、シーリングモジュール110のシーリングパネル111とフロアパネル121との間の空間に製造設備150を収容するため、製造設備150を収容する空間の高さを自在に変更することができる。また、フロアモジュール120の下方でフロアモジュール120と一体化するアンダーフロアモジュール130は、移動部400により床面に沿って移動し、メインモジュール100A〜100Tは、互いに他のメインモジュール100A〜100Tと連結し、互いに連結したメインモジュール100A〜100Tのシーリングモジュール110のシーリングパネル111とフロアモジュール120のフロアパネル121との間の空間の気密性を保つことが可能であるため、医薬品関連の施設の状況に応じて、製造設備150が収容される空間を垂直方向及び水平方向に自在に拡大、縮小及び改変することができ、医薬品関連の施設における自由度を向上させることができる。本実施形態では、バイオ医薬品の製造の状況に応じて、製造設備150が収容される空間を垂直方向及び水平方向に自在に拡大、縮小及び改変することができ、バイオ医薬品の製造等における使用の自由度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、互いに連結したメインモジュール100A〜100Tのシーリングモジュール110のシーリングパネル111とフロアモジュール120のフロアパネル121との間の空間において、互いに連結したメインモジュール100A〜100Tの境界に気密性を保つ隔壁である側壁103が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であるため、医薬品関連の施設の状況に応じて、製造設備150が収容される空間を自在に区画することができ、医薬品関連の施設における自由度をより向上させることができる。本実施形態では、バイオ医薬品等の製造の状況に応じて、製造設備150が収容される空間を自在に区画することができ、バイオ医薬品の製造等における使用の自由度をより向上させることができる。
また、本実施形態によれば、一つのメインモジュール100E等のシーリングモジュール110のシーリングパネル111とフロアモジュール120のフロアパネル121との間の空間の一部を気密性を保ちつつ区画する隔壁104が配置された状態と配置されていない状態とを選択自在であるため、医薬品関連の施設の状況に応じて、製造設備150が収容される空間を細かく区画することができ、医薬品関連の施設における自由度をより向上させることができる。本実施形態では、バイオ医薬品等の製造の状況に応じて、製造設備150が収容される空間を細かく区画することができ、バイオ医薬品の製造等における使用の自由度をより向上させることができる。
また、本実施形態によれば、製造設備150を収容しつつ外郭空間5の床面に沿って移動するメインモジュール100A〜100Tに対して気体、液体、電力及び信号のいずれかの供給及び受入のいずれかを行うユーティリティ部であるメイン配管・ダクト240、空調機361等を備えたユーティリティモジュール200,300において、移動部400によりユーティリティ部であるメイン配管・ダクト240、空調機361等が床面に沿って移動させられるため、メインモジュール100A〜100Tに対して気体等を供給する経路の自由度が向上し、医薬品関連の施設における自由度を向上させることができる。本実施形態では、バイオ医薬品の製造等における使用の自由度を向上させることができる。
また、ユーティリティモジュール200,300は、外郭空間5等の空間に対して露出しており、清浄度管理が行われていない区域に配置されているため、ユーティリティモジュール200,300の管理、整備及び維持が容易である。また、メインモジュール100A〜100Tとの連結において、第2のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール300が第1のユーティリティモジュールであるユーティリティモジュール200よりも外郭空間5の側に位置するように配置されるため、ユーティリティモジュール200とメインモジュール100A〜100Tとの連結を維持したままで、整備の必要が少ない経路部を備えたユーティリティモジュール200よりも整備が必要な機械部を備えたユーティリティモジュール300を分離して、移動させることができ、ユーティリティモジュール300の管理、整備及び維持が容易である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、メインモジュール100A〜100Tは、必ずしも製造設備150を収容している必要はなく、製造以外の他の用途に適用されてもよい。メインモジュール100A〜100Tが収容する製造設備150は、バイオ医薬品の製造の用途に限定されず、気密性を保つことが可能な他の医薬品の製造、研究、試験及び実験の用途に適用することができる。
また、メインモジュール100A〜100T及びユーティリティモジュール200,300は、例えば、長辺の方向に分割可能であってもよい。例えば、図9(E)に示した状況では、長辺の方向に1/5の長さに分割されたユーティリティモジュール200がメインモジュール100Eに連結されてもよい。また、図9(F)に示した状況では、長辺の方向に1/5の長さに分割されたユーティリティモジュール200に、長辺の方向に1/5の長さに分割されたユーティリティモジュール300が連結されてもよい。これにより、5の倍数の数のメインモジュール100A〜100Tが連結された場合でも、互いに連結したメインモジュール100A〜100Tの短辺のユーティリティモジュール連結壁102を合わせた長さと、ユーティリティモジュール200,300の長辺を合わせた長さとを一致させることができる。
また、図12に示すように、例えば、本実施形態のモジュールユニット1000は、平面視で長方形状の短辺と長辺との長さの比が1:3の整数比であるメインモジュール100α及びユーティリティモジュール200α,300αと、平面視で長方形状の短辺と長辺との長さの比が1:2の整数比であるメインモジュール100β及びユーティリティモジュール200β,300βとで構成されていてもよい。例えば、本実施形態のモジュールユニット1000では、メインモジュール100α,100βのそれぞれの短辺と長辺とが互いに連結されていてもよい。また、メインモジュール100α,100βのそれぞれの短辺とユーティリティモジュール200α,200β,300α,300βの短辺とが互いに連結されてもよい。
また、図13(A)に示すように、メインモジュール100α,100βは、側壁103を有しなくてもよい。また、図13(B)に示すように、メインモジュール100α,100βは、長辺のみに側壁103を有していてもよい。また、図13(C)に示すように、メインモジュール100α,100βは、短辺のみに側壁103を有していてもよい。また、図13(D)に示すように、メインモジュール100α,100βは、短辺及び長辺に側壁103を有していてもよい。また、図13(E)に示すように、メインモジュール100α,100βは、短辺及び長辺に側壁103を有し、側壁で区画された空間が隔壁104によりさらに区画されていてもよい。