JPWO2019142319A1 - 操舵装置 - Google Patents

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Abstract

操舵装置は、車両の車輪を転動させるための駆動力を付与する電動モータと、電動モータの駆動力を車輪に伝達する伝達部と、電動モータが駆動力を付与しているときに、車輪を介して、外部から、伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するか否か、又は入力するおそれがあるか否かを判定する入力判定部211と、過大力が入力する又は入力するおそれがあると入力判定部211が判定した場合に、伝達部に生じる荷重が、伝達部の強度に応じて予め定められた上限値を超えないように電動モータの駆動力を低減する最終目標電流設定部23と、を備える。

Description

本発明は、操舵装置に関する。
近年、ステアリングホイールと車輪とが、機械的に連結せずに、機械的に分離したステア・バイ・ワイヤシステムによる操舵装置が提案されている。
特許文献1に記載の車両制御装置は、運転者の意図を検出する意図検出手段と、前記意図検出手段の出力に応じて電気的にアクチュエータを作動させる複数のバイワイヤシステムと、前記各バイワイヤシステムの異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段により異常が検出されたバイワイヤシステムの作動を、他のバイワイヤシステムの作動により補完する補完手段と、を備えたことを特徴とする。
特開2005−263182号公報
ステア・バイ・ワイヤシステムでは、外部から、車輪の転動角を変える力が生じた場合の、力の伝達経路の終端が電動モータとなり、ステアリングホイールと車輪とが機械的に連結しているシステムの終端がステアリングホイールであるのとは異なる。そのため、ステア・バイ・ワイヤシステムでは、電動モータの駆動力を車輪に伝達する伝達部へ作用する、車輪が受けた外部からの力に起因する力を緩和することが難しい。それゆえ、外部から力を受けることに起因して、伝達部に過剰な荷重が作用するのを抑制することが必要となる。伝達部を構成する部品の強度を上げることで抑制することは可能であるが、強度を上げるためには部品の体格を大きくするか、強度が大きい材料を用いる必要がある。一方で、操舵装置の、コンパクト化、軽量化が望まれている。コンパクト化の観点からは、部品の体格を大きくすることは好ましくない。軽量化の観点からは、金属を用いるよりも、金属よりも強度が小さい樹脂等を用いることが好ましい。
本発明は、コンパクト化、軽量化を図りつつ、外部からの力に起因して伝達部に生じる荷重を抑制することができる操舵装置を提供することを目的とする。
かかる目的のもと完成させた本発明は、車両の車輪を転動させるための駆動力を付与する電動モータと、前記電動モータの駆動力を前記車輪に伝達する伝達部と、前記電動モータが駆動力を付与しているときに、前記車輪を介して、外部から、前記伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するか否か、又は入力するおそれがあるか否かを判定する入力判定部と、前記過大力が入力する又は入力するおそれがあると前記入力判定部が判定した場合に、前記伝達部に生じる荷重が、前記伝達部の強度に応じて予め定められた上限値を超えないように前記電動モータの駆動力を低減する低減部と、を備える操舵装置である。
本発明によれば、コンパクト化、軽量化を図りつつ、外部からの力に起因して伝達部に生じる荷重を抑制することができる。
第1の実施形態に係る自動車の概略構成を示す図である。 制御装置の概略構成図である。 目標電流設定部の概略構成図である。 操舵角と目標移動量との関係を示す制御マップである。 偏差移動量と目標回転速度との関係を示す制御マップである。 偏差回転速度と基本目標電流との関係を示す制御マップである。 目標電流設定部が行う目標電流設定処理の手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る入力判定部の概略構成図である。 第5の実施形態に係る自動車の概略構成を示す図である。 第5の実施形態に係る制御装置の概略構成図である。 第5の実施形態に係る目標電流設定部の概略構成図である。 操舵角と目標転動角との関係を示す制御マップである。 偏差転動角と目標回転速度との関係を示す制御マップである。 第6の実施形態に係る入力判定部の概略構成図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る自動車1の概略構成を示す図である。図1は、自動車1を前方から見た図である。
自動車1は、車輪の一例としての前輪2と、前輪2に固定されたナックルアーム3を備えている。また、自動車1は、一方の端部が車両本体(不図示)に連結され、他方の端部がナックルアーム3に連結されると共に、路面からの衝撃や振動を吸収する懸架装置4を備えている。前輪2、ナックルアーム3及び懸架装置4は、左右それぞれに設けられている。以下では、自動車1の左側(図1では右側)に配置された、前輪2、ナックルアーム3、懸架装置4を、それぞれ、左側前輪2l、左側ナックルアーム3l、左側懸架装置4lと称する場合がある。また、自動車1の右側(図1では左側)に配置された、前輪2、ナックルアーム3、懸架装置4を、それぞれ、右側前輪2r、右側ナックルアーム3r、右側懸架装置4rと称する場合がある。
また、自動車1は、前輪2を転動させることにより進行方向を任意に変えるかじ取り装置である操舵装置100を備えている。
操舵装置100は、自動車1の進行方向を変えるために運転者が操作する輪(ホイール)状のステアリングホイール(ハンドル)101と、ステアリングホイール101の操舵角θsを検出する操舵角センサ102とを備えている。また、操舵装置100は、運転者に対し操舵反力を与える反力装置103を備えている。
また、操舵装置100は、ナックルアーム3に連結されたタイロッド104と、タイロッド104に連結されたラック軸105とを備えている。ナックルアーム3とタイロッド104、及び、タイロッド104とラック軸105とは、ボールジョイントにて連結されている。以下では、自動車1の左側(図1では右側)に配置されたタイロッド104を左側タイロッド104lと称し、自動車1の右側(図1では左側)に配置されたタイロッド104を右側タイロッド104rと称する。
また、操舵装置100は、ラック軸105に形成されたラック歯105aとともにラック・ピニオン機構を構成するピニオン106aを備えている。ピニオン106aは、ピニオンシャフト106の下端部に形成されている。ピニオンシャフト106は、ラック軸105に対して回転することにより、前輪2を転動させる駆動力(ラック軸力)を加える。
また、操舵装置100は、ピニオンシャフト106を収納するステアリングギヤボックス107を有している。また、操舵装置100は、ステアリングギヤボックス107に支持された電動モータ110と、電動モータ110の駆動力を減速してピニオンシャフト106に伝達する減速機構111とを備えている。
電動モータ110は、ピニオンシャフト106に回転駆動力を加えることにより、ラック軸105に前輪2を転動させる駆動力(ラック軸力)を加える。本実施の形態に係る電動モータ110は、電動モータ110の回転角度であるモータ回転角度θmに連動した回転角度信号θmsを出力するレゾルバ120を有する3相ブラシレスモータである。
減速機構111は、ピニオンシャフト106に固定されたウォームホイール111aと、軸継手(不図示)を介して電動モータ110の出力軸に連結されるウォーム111bとを有する。
また、操舵装置100は、電動モータ110の作動を制御する制御装置10を備えている。制御装置10には、上述した操舵角センサ102、レゾルバ120などからの出力信号が入力される。
以上のように構成された操舵装置100は、操舵角センサ102が検出した操舵角θsに基づいて電動モータ110の駆動が制御される。そして、電動モータ110の駆動力(発生トルク)が、減速機構111、ピニオンシャフト106、ラック軸105、タイロッド104などを介して、ナックルアーム3に伝達する。そして、ナックルアーム3が力を受けることにより、前輪2が転動し、自動車1の向きが変わる。減速機構111、ピニオンシャフト106、ラック軸105、タイロッド104などは、電動モータ110の駆動力を前輪2に伝達する伝達部を構成する部品(要素)である。
なお、本実施形態に係る自動車1においては、自動車1が前進している場合に、ラック軸105が、中立位置(前輪2の転動角が0°となる位置)から右方向に移動したときに前輪2が左方向に転動(回転)するように構成されている。他方、ラック軸105が、中立位置から左方向に移動したときに前輪2が右方向に転動(回転)するように構成されている。
(制御装置)
次に、制御装置10について説明する。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述した操舵角センサ102からの出力信号、レゾルバ120からの出力信号が入力される。また、制御装置10には、自動車1に搭載される各種の機器を制御するための信号を流す通信を行うネットワーク(CAN)を介して、左側懸架装置4l、右側懸架装置4rの伸縮量を検出する、左側ストロークセンサ170l、右側ストロークセンサ170rからの出力信号などが入力される。
そして、制御装置10は、電動モータ110に供給する目標電流Itを設定する目標電流設定部20を備えている。また、制御装置10は、目標電流設定部20が設定した目標電流Itに基づいてフィードバック制御などを行う制御部30を備えている。また、制御装置10は、電動モータ110のモータ回転角度θmを算出するモータ回転角度算出部71を備えている。また、制御装置10は、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmに基づいて、電動モータ110の回転速度である実回転速度Vmaを算出するモータ回転速度算出部72を備えている。
目標電流設定部20については後で詳述する。
〔制御部〕
制御部30は、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部(不図示)と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部(不図示)と、電動モータ110に実際に流れる実電流Imを検出するモータ電流検出部(不図示)とを有している。
モータ駆動制御部は、目標電流設定部20にて最終的に決定された目標電流Itと、モータ電流検出部にて検出された電動モータ110へ供給される実電流Imとの偏差に基づいてフィードバック制御を行うフィードバック(F/B)制御部(不図示)を有している。また、モータ駆動制御部は、電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM信号生成部(不図示)を有している。
モータ駆動部は、所謂インバータであり、例えば、スイッチング素子として6個の独立したトランジスタ(FET)を備えている。6個の内の3個のトランジスタは電源の正極側ラインと各相の電気コイルとの間に接続され、他の3個のトランジスタは各相の電気コイルと電源の負極側(アース)ラインと接続されている。そして、6個の中から選択した2個のトランジスタのゲートを駆動してこれらのトランジスタをスイッチング動作させることにより、電動モータ110の駆動を制御する。
モータ電流検出部は、例えば、モータ駆動部に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧から電動モータ110に流れる実電流Imの値を検出する。
〔目標電流設定部〕
図3は、目標電流設定部20の概略構成図である。
第1の実施形態に係る操舵装置100は、ステアリングホイール101と前輪2とが機械的に連結していない、いわゆるステア・バイ・ワイヤシステムである。このステア・バイ・ワイヤシステムでは、構成上、運転者がステアリングホイール101を操舵する力(操舵トルク)が直接的に前輪2を転動させる力とはなり得ない。前輪2は、電動モータ110の駆動力にて転動される。
運転者によるステアリングホイール101の操作に応じた目標走行ラインに自動車1を進行させるには、前輪2の転動角を制御する必要がある。制御装置10は、前輪2の転動角を制御するにあたって、ラック軸105の位置を制御する。つまり、制御装置10は、ラック軸105の実際の位置が、運転者によるステアリングホイール101の操舵に応じた位置となるように制御する。より具体的には、制御装置10は、ラック軸105の基準位置(前輪2の転動角が0°となる位置)からの実際の移動量(ストローク)である実移動量Saが、運転者によるステアリングホイール101の操舵に応じた目標の移動量(ストローク)である目標移動量Stとなるように制御する。そして、制御装置10は、実移動量Saと目標移動量Stとの偏差が大きい場合には、実移動量Saを迅速に目標移動量Stとするために、電動モータ110の回転速度が大きくなるように電動モータ110の回転速度の目標値である目標回転速度Vmtを設定する。そして、制御装置10は、電動モータ110の実際の回転速度である実回転速度Vmaが目標回転速度Vmtとなるように、実回転速度Vmaと目標回転速度Vmtとの偏差が大きいほど、電動モータ110の回転速度を大きくする。そのために、目標電流設定部20は、実回転速度Vmaと目標回転速度Vmtとの偏差が大きいほど、電動モータ110に供給する電流の目標値である目標電流Itを大きくする。このように、目標電流設定部20は、電動モータ110の実回転速度Vmaが、目標回転速度Vmtとなるように、実回転速度Vmaと目標回転速度Vmtとの偏差に応じて、目標電流Itを設定する。
ただし、目標電流設定部20は、以下に述べる場合には、実回転速度Vmaと目標回転速度Vmtとの偏差に関わらず、目標電流Itを設定する。
ステア・バイ・ワイヤシステムでは、ステアリングホイール101と前輪2とが機械的に連結しているシステムと比べて、運転者による操舵トルクが前輪2の転動力に寄与しない分、電動モータ110の駆動力を大きくする必要がある。そのため、路面などの外部から、前輪2の転動角を変える力が生じた場合に、前輪2の転動角を保持、言い換えればラック軸105の位置を保持するための電動モータ110の容量も大きくなる。また、ステア・バイ・ワイヤシステムでは、外部から、前輪2の転動角を変える力が生じた場合の、力の伝達経路の終端が電動モータ110となり、ステアリングホイール101と前輪2とが機械的に連結しているシステムの終端がステアリングホイール101であるのとは異なる。そのため、外部から瞬間的な力を受けた場合には、電動モータ110の駆動力を前輪2に伝達する伝達部(減速機構111(ウォームホイール111a、ウォーム111b)、ピニオンシャフト106及びラック軸105など)へ生じる力を緩和することが困難となる。
以上の事項に鑑み、目標電流設定部20は、外部から、伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するか否か、又は入力するおそれがあるか否か(以下、「過大力が入力するおそれがあるか否か」と称する場合もある。)を判定する。そして、目標電流設定部20は、伝達部に、過大力が入力する、又は入力するおそれがある(以下、「過大力が入力するおそれがある」と称する場合もある。)と判定した場合には、目標電流Itを小さくする。なお、所定力は、伝達部を構成する部品である、ウォームホイール111a、ウォーム111b、ピニオンシャフト106及びラック軸105などの形状や材質に応じて定められる値であることを例示することができる。例えば、後述する転動時制限電流Iltよりも大きな値の電流が電動モータ110に供給されている場合に、その電流による電動モータ110の駆動力に起因する力とは異なる方向に入力したときに、伝達部を構成するいずれかの部品を損傷させる力の最小値を所定力とすることを例示することができる。伝達部の構成部品である、ウォームホイール111a、ウォーム111b及びラック軸105の少なくともいずれかの部品が樹脂にて成形されている場合には、金属にて成形されている場合に比べて、所定力を小さく設定すると良い。
より具体的には、目標電流設定部20は、目標電流Itを設定する上で基本となる基本目標電流Ibを設定する基本目標電流設定部21と、外部から大きな力が生じた場合に制限電流Ilを設定する制限電流設定部22とを備えている。また、目標電流設定部20は、最終的に電動モータ110に供給する目標電流Itを決定する最終目標電流決定部23を備えている。
(基本目標電流設定部)
基本目標電流設定部21は、ラック軸105の目標移動量Stを算出する目標移動量算出部211と、ラック軸105の実移動量Saを算出する実移動量算出部212とを備えている。また、基本目標電流設定部21は、目標移動量算出部211が算出した目標移動量Stと実移動量算出部212が算出した実移動量Saとの偏差である偏差移動量ΔSを算出する偏差移動量算出部213を備えている。また、基本目標電流設定部21は、偏差移動量算出部213が算出した偏差移動量ΔSを用いて、電動モータ110の目標の回転速度である目標回転速度Vmtを算出する目標回転速度算出部214を備えている。また、基本目標電流設定部21は、目標回転速度算出部214が算出した目標回転速度Vmtと、モータ回転速度算出部72が算出した実回転速度Vmaとを用いて基本目標電流Ibを決定する基本目標電流決定部215を備えている。
図4は、操舵角θsと目標移動量Stとの関係を示す制御マップである。
目標移動量算出部211は、操舵角センサ102が検出したステアリングホイール101の操舵角θsを用いて目標移動量Stを算出する。目標移動量算出部211は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、操舵角θsと目標移動量Stとの関係を示す図4に例示した制御マップ又は算出式に、操舵角θsを代入することにより操舵角θsに応じた目標移動量Stを算出する。
実移動量算出部212は、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmを用いて実移動量Saを算出する。電動モータ110、減速機構111、ピニオンシャフト106、ラック軸105などが機械的に連結されているために電動モータ110のモータ回転角度θmとラック軸105の実移動量Saとの間に相関関係がある。実移動量算出部212は、例えば、モータ回転角度算出部71にて定期的(例えば1ミリ秒毎)に算出されたモータ回転角度θmの前回値と今回値との差分の積算値を用いて実移動量Saを算出する。
偏差移動量算出部213は、目標移動量算出部211が算出した目標移動量Stから実移動量算出部212が算出した実移動量Saを減算することにより偏差移動量ΔS(=St−Sa)を算出する。
図5は、偏差移動量ΔSと目標回転速度Vmtとの関係を示す制御マップである。
目標回転速度算出部214は、偏差移動量ΔSに応じた目標回転速度Vmtを算出する。目標回転速度算出部214は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、偏差移動量ΔSと目標回転速度Vmtとの関係を示す図5に例示した制御マップ又は算出式に、偏差移動量ΔSを代入することにより目標回転速度Vmtを算出する。
図6は、偏差回転速度ΔVmと基本目標電流Ibとの関係を示す制御マップである。
基本目標電流決定部215は、目標回転速度算出部214が算出した目標回転速度Vmtからモータ回転速度算出部72が算出した実回転速度Vmaを減算することにより偏差回転速度ΔVm(=Vmt−Vma)を算出する。そして、基本目標電流決定部215は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、偏差回転速度ΔVmと基本目標電流Ibとの関係を示す図6に例示した制御マップ又は算出式に、偏差回転速度ΔVmを代入することにより基本目標電流Ibを算出する。
ここで、ステアリングホイール101の回転角度である操舵角θsが0°である基準位置からステアリングホイール101が右方向に回転した場合に操舵角θsがプラスとなり、左方向に回転した場合に操舵角θsがマイナスとなる。
そして、ラック軸105が中立位置である状態から、操舵角θsがプラスとなる方向(右回転方向)にステアリングホイール101が操舵された場合に、ラック軸105を左方向に移動させる(前輪2を右方向に転動させる)電動モータ110の駆動力が発生する場合の基本目標電流Ibの方向をプラスとする。他方、ラック軸105が中立位置である状態から、操舵角θsがマイナスとなる方向(左回転方向)にステアリングホイール101が操舵された場合に、ラック軸105を右方向に移動させる(前輪2を左方向に転動させる)電動モータ110の駆動力が発生する場合の基本目標電流Ibが流れる方向をマイナスとする。
なお、基本目標電流設定部21は、ステアリングホイール101の操舵トルクに基づいて基本目標電流Ibを設定しても良い。
(制限電流設定部)
制限電流設定部22は、路面などの外部から、伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する入力判定部221と、過大力の方向を判定する入力方向判定部222とを備えている。また、制限電流設定部22は、前輪2の転動又は保持状態を判定する転動状態判定部223を備えている。また、制限電流設定部22は、過大入力の方向と、前輪2の転動又は保持の方向とが同じであるのか異なっているのかを判定する異同判定部224を備えている。また、制限電流設定部22は、異同判定部224の判定結果に応じて、制限電流Ilを決定する制限電流決定部225を備えている。
第1の実施形態に係る入力判定部221は、左側懸架装置4l及び右側懸架装置4rの伸縮量を用いて過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する。
ここで、自動車1が走行中に、左側前輪2lが道路の凸部に乗り上げ、右側前輪2rが乗り上げていない場合には、左側タイロッド104lの左側前輪2l側の端部が上方へ移動し、右側タイロッド104rは上下動しない。その結果、ラック軸105が左に移動する。また、自動車1が走行中に、左側前輪2lが道路の凹部に嵌り、右側前輪2rは嵌っていない場合には、左側タイロッド104lの左側前輪2l側の端部が下方へ移動し、右側タイロッド104rは上下動しない。その結果、ラック軸105が左に移動する。
一方、自動車1が走行中に、右側前輪2rが道路の凸部に乗り上げ、左側前輪2lが乗り上げていない場合には、右側タイロッド104rの右側前輪2r側の端部が上方へ移動し、左側タイロッド104lは上下動しない。その結果、ラック軸105が右に移動する。また、自動車1が走行中に、右側前輪2rが道路の凹部に嵌り、左側前輪2lは嵌っていない場合には、右側タイロッド104rの右側前輪2r側の端部が下方へ移動し、左側タイロッド104lは上下動しない。その結果、ラック軸105が右に移動する。
このように、自動車1が凹凸のある道路を走行して、左側前輪2l及び右側前輪2rのいずれか一方の前輪2が上方又は下方に移動し、他方の前輪2が上下動しない場合には、ラック軸105は、他方の前輪2側から一方の前輪2側へ移動する。
そして、一方の前輪2の上方又は下方への移動量が大きい場合には、他方の前輪2側から一方の前輪2側へのラック軸105の移動量も大きくなる。
前輪2を、右方向及び左方向の一方の転動方向に転動させるために電動モータ110が一方の回転方向に駆動しているときに、電動モータ110を他方の回転方向に回転させる方向の外部入力が生じた場合には、伝達部の構成部品に過剰な荷重が生じるおそれがある。電動モータ110の駆動力に起因する力が、外部入力に起因する力に抗う力となり、伝達部の構成部品が、電動モータ110の駆動力に起因する力の方向とは逆方向に、外部入力に起因する力を受けるからである。
これに対して、前輪2を一方の転動方向に転動させるために電動モータ110が一方の回転方向に駆動しているときに、電動モータ110を一方の回転方向に回転させる方向の外部入力が生じた場合には、伝達部の構成部品に過剰な荷重が生じるおそれはない。電動モータ110の駆動力に起因する力が、外部入力に起因する力に抗う力とはならず、伝達部の構成部品が、電動モータ110の駆動力に起因する力の方向とは同方向に、外部入力に起因する力を受けるからである。
また、前輪2の転動角を保持させるために電動モータ110が一方の回転方向に駆動力を付与しているときに、電動モータ110を他方の回転方向に回転させる方向の外部入力が生じた場合には、伝達部の構成部品に過剰な荷重が生じるおそれがある。電動モータ110の駆動力に起因する力が、外部入力に起因する力に抗う力となり、伝達部の構成部品が、電動モータ110の駆動力に起因する力の方向とは逆方向に、外部入力に起因する力を受けるからである。
これに対して、前輪2の転動角を保持させるために電動モータ110が他方の回転方向に駆動力を付与しているときに、電動モータ110を他方の回転方向に回転させる方向の外部入力が生じた場合には、伝達部の構成部品に過剰な荷重が生じるおそれはない。電動モータ110の駆動力に起因する力が、外部入力に起因する力に抗う力とはならず、伝達部の構成部品が、電動モータ110の駆動力に起因する力の方向とは同方向に、外部入力に起因する力を受けるからである。
入力判定部221は、一方の前輪2の上方又は下方への移動量が大きく他方の前輪2の上方又は下方への移動量が小さい場合には、他方の前輪2側から一方の前輪2側へのラック軸105の移動量も大きくなることに鑑みる。入力判定部221は、一方の前輪2側の懸架装置4の伸縮量の変化速度の絶対値と他方の前輪2側の懸架装置4の伸縮量の変化速度の絶対値との偏差が所定速度以上である場合に、過大力が入力するおそれがあると判定する。他方、入力判定部221は、一方の前輪2側の懸架装置4の伸縮量の変化速度の絶対値と他方の前輪2側の懸架装置4の伸縮量の変化速度の絶対値との偏差が所定速度未満である場合には、過大力が入力するおそれはないと判定する。
入力方向判定部222は、一方の前輪2の上方又は下方への移動量が大きく他方の前輪2の上方又は下方への移動量が小さい場合には、他方の前輪2側から一方の前輪2側へのラック軸105の移動量も大きくなることに鑑みる。入力方向判定部222は、一方の前輪2側の懸架装置4の伸縮量の変化速度の絶対値が他方の前輪2側の懸架装置4の伸縮量の変化速度の絶対値よりも所定速度以上である場合には、他方の前輪2側から一方の前輪2側の方へラック軸105が移動し、他方の前輪2側の方へ前輪2を転動させる方向の入力が生じたと判定する。
より具体的には、入力方向判定部222は、左側懸架装置4lの伸縮量の変化速度の絶対値が右側懸架装置4rの伸縮量の変化速度の絶対値よりも所定速度以上である場合には、右側前輪2r側から左側前輪2l側の方(左方向)へラック軸105が移動し、右方向へ前輪2を転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部222は、右側懸架装置4rの伸縮量の変化速度の絶対値が左側懸架装置4lの伸縮量の変化速度の絶対値よりも所定速度以上である場合には、左側前輪2lから右側前輪2rの方(右方向)へラック軸105が移動し、左方向へ前輪を転動させる方向の入力が生じたと判定する。
転動状態判定部223は、実移動量算出部212が算出した実移動量Saを用いて、前輪2が転動しているか保持されているかを判定する。また、転動状態判定部223は、前輪2が転動していると判定した場合には、前輪2が右方向、左方向のどちらに転動しているかを判定する。
転動状態判定部223は、実移動量算出部212が算出した実移動量Saの変化速度Vsaを算出するとともに、算出した変化速度Vsaの絶対値が予め定められた所定値α以下である場合(|Vsa|≦α)に、保持されていると判定する。そして、転動状態判定部223は、保持されている旨を制限電流決定部225に出力する。
また、転動状態判定部223は、算出した変化速度Vsaの絶対値が所定値αよりも大きい場合(|Vsa|>α)に、転動していると判定する。そして、転動状態判定部223は、変化速度Vsaの符号がプラスである場合には、左方向に転動していると判定し、その旨を異同判定部224に出力する。他方、転動状態判定部223は、算出した変化速度Vsaの符号がマイナスである場合には、右方向に転動していると判定し、その旨を異同判定部224に出力する。
このように、転動状態判定部223は、前輪2が保持されているのか、右方向に転動しているのか、左方向に転動しているのかを判定する。
なお、所定値αは、不感帯領域を設けるための値である。所定値αは、0であっても良い。
異同判定部224は、入力方向判定部222が判定した入力方向と、転動状態判定部223が判定した転動方向とが、同じ方向であるか異なる方向であるのかを判定する。
より具体的には、異同判定部224は、入力方向判定部222が前輪2を左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定し、前輪2が左方向に転動していると転動状態判定部223が判定している場合には、同じ方向であると判定する。他方、異同判定部224は、入力方向判定部222が前輪2を左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定し、前輪2が右方向に転動していると転動状態判定部223が判定している場合には、異なる方向であると判定する。
異同判定部224は、入力方向判定部222が前輪2を右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定し、前輪2が右方向に転動していると転動状態判定部223が判定している場合には、同じ方向であると判定する。他方、異同判定部224は、入力方向判定部222が前輪2を右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定し、前輪2が左方向に転動していると転動状態判定部223が判定している場合には、異なる方向であると判定する。
制限電流決定部225は、過大力が入力するおそれがあると入力判定部221が判定していない場合には、制限電流Ilとして∞(無限大)を設定し、設定した制限電流Ilを最終目標電流決定部23に出力する。
制限電流決定部225は、過大力が入力するおそれがあると入力判定部221が判定している場合には、以下のように制限電流Ilを設定し、設定した制限電流Ilを最終目標電流決定部23に出力する。
制限電流決定部225は、異同判定部224が同じ方向であると判定した場合には、制限電流Ilとして∞(無限大)を設定し、設定した制限電流Ilを最終目標電流決定部23に出力する。他方、制限電流決定部225は、異同判定部224が異なる方向であると判定した場合には、予め設定された転動時制限電流Iltを、制限電流Ilに決定する。転動時制限電流Iltは、この転動時制限電流Iltが電動モータ110に供給されているときに、いかなる過大力の入力があったとしても、伝達部の構成部品が損傷しない値の上限値に設定されている。転動時制限電流Iltは、伝達部の構成部品の強度に応じて予め定められた、電動モータ110に供給可能な上限の電流である。つまり、転動時制限電流Iltは、この転動時制限電流Iltが電動モータ110に供給されているときに、いかなる過大力の入力があったとしても、伝達部に生じる荷重が、伝達部の構成部品の強度に応じて予め定められ、損傷に至らないように許容される上限値を超えない電流である。なお、転動時制限電流Iltは、プラスの値である。
一方、制限電流決定部225は、前輪2が保持されていると転動状態判定部223が判定した場合には、予め設定された保持時制限電流Ilhを、制限電流Ilに決定する。保持時制限電流Ilhは、この保持時制限電流Ilhが電動モータ110に供給されているときに、いかなる過大力の入力があったとしても、伝達部の構成部品が損傷しない値の上限値に設定されている。保持時制限電流Ilhは、伝達部の構成部品の強度に応じて予め定められた、電動モータ110に供給可能な上限の電流である。つまり、保持時制限電流Ilhは、この保持時制限電流Ilhが電動モータ110に供給されているときに、いかなる過大力の入力があったとしても、伝達部に生じる荷重が、伝達部の構成部品の強度に応じて予め定められ、損傷に至らないように許容される上限値を超えない電流である。なお、保持時制限電流Ilhは、プラスの値である。
最終目標電流決定部23は、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Ilより小さい場合には、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibを目標電流Itに決定する。例えば、最終目標電流決定部23は、制限電流設定部22が制限電流Ilとして∞(無限大)を設定している場合には、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibを目標電流Itに決定する。また、制限電流設定部22が制限電流Ilとして∞(無限大)を設定していない場合であっても、偏差回転速度ΔVmが小さく、基本目標電流Ibが小さ目の値に設定された場合には、基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Ilより小さくなるため、基本目標電流Ibを目標電流Itに決定する。
最終目標電流決定部23は、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Il以上である場合には、制限電流設定部22が設定した制限電流Ilを用いて目標電流Itに決定する。例えば、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibの符号がプラスである場合には、最終目標電流決定部23は、制限電流設定部22が出力した制限電流Ilを目標電流Itに決定する。他方、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibの符号がマイナスである場合には、最終目標電流決定部23は、制限電流設定部22が出力した制限電流Ilに、「−1」を乗算した値を目標電流Itに決定する。
次に、フローチャートを用いて、目標電流設定部20が行う目標電流設定処理の手順について説明する。
図7は、目標電流設定部20が行う目標電流設定処理の手順を示すフローチャートである。
目標電流設定部20は、この目標電流設定処理を、例えば予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
先ず、基本目標電流設定部21が上述したようにして基本目標電流Ibを設定する(S701)。
入力判定部221が、過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する(S702)。過大力が入力するおそれがない場合(S702でNo)、制限電流決定部225は、制限電流Ilを∞(無限大)に決定し、最終目標電流決定部23に出力する(S703)。そして、最終目標電流決定部23は、S701で設定した基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Ilよりも小さいことから、基本目標電流Ibを目標電流Itに決定する(It=Ib)(S704)。
他方、過大力が入力するおそれがある場合(S702でYes)、転動状態判定部223が、前輪2の転動又は保持状態を判定する(S705)。S705にて保持状態であると判定された場合、制限電流決定部225は、保持時制限電流Ilhを、制限電流Ilに決定する(S706)。他方、S705にて転動状態であると判定された場合、異同判定部224が、入力方向判定部222が判定した入力方向と、転動状態判定部223が判定した転動方向とが、同じ方向であるか異なる方向であるのかを判定する(S707)。S707にて同じ方向であると判定された場合、S703以降の処理を行う。他方、S707にて異なる方向であると判定された場合、制限電流決定部225は、転動時制限電流Iltを、制限電流Ilに決定する(S708)。
S706又はS708にて制限電流Ilに決定した後、基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Ilより小さいか否かを判定する(S709)。基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Ilより小さい場合(S709でYes)、最終目標電流決定部23は、S701で設定した基本目標電流Ibを目標電流Itに決定する(It=Ib)(S710)。
他方、基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Il以上である場合(S709でNo)、S701で設定した基本目標電流Ibの符号がプラスであるか否かを判定する(S711)。プラスである場合(S711でYes)、最終目標電流決定部23は、制限電流設定部22が出力した制限電流Ilを目標電流Itに決定する(It=Il)(S712)。マイナスである場合(S711でNo)、最終目標電流決定部23は、制限電流設定部22が出力した制限電流Ilに、「−1」を乗算した値を目標電流Itに決定する(It=−Il)(S713)。
以上、説明したように、操舵装置100は、車輪の一例としての前輪2を転動させるための駆動力を付与する電動モータ110と、電動モータ110の駆動力を前輪2に伝達する伝達部の一例としての、減速機構111、ピニオンシャフト106、ラック軸105、タイロッド104などと、電動モータ110が駆動力を付与しているときに、前輪2を介して、外部から、伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する入力判定部221とを備えている。また、操舵装置100は、過大力が入力するおそれがあると入力判定部221が判定した場合に、伝達部に生じる荷重が、伝達部の強度に応じて予め定められた上限値を超えないように電動モータ110の駆動力を低減する低減部の一例としての最終目標電流決定部23を備えている。
最終目標電流決定部23は、過大力が入力するおそれがあると入力判定部221が判定し(S702でYes)、制限電流決定部225が転動時制限電流Ilt又は保持時制限電流Ilhを制限電流Ilに決定している場合(S706又はS708)であって、基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Il以上である場合(S709でNo)には、目標電流Itの絶対値が制限電流Ilとなるように目標電流Itを決定する(S712又はS713)。このことは、最終目標電流決定部23が、電動モータ110の駆動力を前輪2に伝達する伝達部の強度に応じて予め定められた上限値(上記上限の電流によって出力される上限の駆動力)を超えないように電動モータ110の駆動力を低減するのに等しい。
以上のように構成された操舵装置100によれば、過大力が入力するおそれがある場合に、伝達部に生じる荷重が、伝達部の強度に応じて予め定められた上限値を超えないように電動モータ110の駆動力が低減されるので、伝達部に生じる荷重が抑制される。また、過大力が入力した場合であっても伝達部に生じる荷重が抑制されるので、伝達部を構成する部品の体格を大きくしたり、強度が大きい材料を用いたりする必要がない。それゆえ、操舵装置100のコンパクト化及び軽量化を実現することができる。
また、操舵装置100は、過大力が入力するおそれがあると入力判定部221が判定した場合に、伝達部に対して過大力が作用する方向と、電動モータ110の駆動力に起因する力が作用する方向とが同じであるか異なるかを判定する異同判定部224をさらに備えている。
そして、最終目標電流決定部23は、異同判定部224が異なると判定した場合に駆動力を低減する。つまり、異同判定部224が異なると判定した場合(S707で異なると判定した場合)に、制限電流決定部225は、予め設定された転動時制限電流Iltを制限電流Ilに決定する(S708)。そして、最終目標電流決定部23は、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Il以上である場合には(S709でNo)、目標電流Itの絶対値が制限電流Il(転動時制限電流Ilt)となるように目標電流Itを決定する(S712又はS713)。これにより、より確度高く電動モータ110の駆動力が低減されるので、伝達部に生じる荷重が抑制される。
一方、最終目標電流決定部23は、異同判定部224が同じであると判定した場合には、駆動力を低減しない。つまり、異同判定部224が同じであると判定した場合(S707で同じと判定した場合)に、制限電流決定部225は、制限電流Ilを∞(無限大)に決定する(S703)。そして、最終目標電流決定部23は、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Ilより小さくなることから、基本目標電流Ibを目標電流Itに決定する(S704)。
そして、第1の実施形態に係る入力判定部221は、前輪2と車両本体との間に設けられた懸架装置4の状態で判定する。つまり、入力判定部221は、一方の前輪2側の懸架装置4の伸縮量の変化速度の絶対値と他方の前輪2側の懸架装置4の伸縮量の変化速度の絶対値との偏差が所定速度以上である場合に、過大力が入力するおそれがあると判定する。これにより、自動車1に通常備えられている、左側ストロークセンサ170l、右側ストロークセンサ170rからの出力信号を用いて判定することが可能になるので、専用のセンサを設けるのに比べて低廉に判定することができる。
なお、上述した実施形態においては、最終目標電流決定部23は、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibの絶対値が、制限電流設定部22が設定した制限電流Ilより小さい場合には、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibを目標電流Itに決定する。しかしながら、最終目標電流決定部23は、かかる態様に限定されない。例えば、最終目標電流決定部23は、制限電流設定部22が制限電流Ilとして∞(無限大)以外の値を設定した場合には、基本目標電流設定部21が設定した基本目標電流Ibの値に関わらず、制限電流設定部22が設定した制限電流Ilを目標電流Itに決定しても良い。かかる場合、制限電流設定部22は、制限電流Ilが電動モータ110に供給されているときに、いかなる過大力の入力があったとしても、伝達部の構成部品が損傷しない値の上限値(転動時制限電流Ilt又は保持時制限電流Ilh)を制限電流Ilとして設定しなくても良い。制限電流設定部22は、上記上限値(転動時制限電流Ilt又は保持時制限電流Ilh)よりも小さな値を制限電流Ilとして設定しても良い。制限電流設定部22は、例えば、上記上限値(転動時制限電流Ilt又は保持時制限電流Ilh)の50%よりも小さな値を制限電流Ilとして設定しても良い。これにより、伝達部に生じる荷重をより精度高く抑制することが可能となる。なお、制限電流設定部22は、過大力の入力によって前輪2が戻されても、操縦安定性の悪化につながらない程度まで、上記上限値(転動時制限電流Ilt又は保持時制限電流Ilh)よりも小さくした値を制限電流Ilとして設定しても良い。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る自動車1においては、第1の実施形態に係る制御装置10に対して、入力判定部221、入力方向判定部222に相当する構成が異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第1の実施形態と第2の実施形態とで、同じ機能を有する物については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8は、第2の実施形態に係る入力判定部221の概略構成図である。
第2の実施形態に係る入力判定部221は、ラック軸105に生じる規範となる軸力である規範ラック軸力Frmの絶対値と、ラック軸105に生じる実際の軸力である実ラック軸力Fraの絶対値とに基づいて、過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する。
第2の実施形態に係る入力判定部221は、図8に示すように、規範ラック軸力Frmの絶対値|Frm|を算出する規範ラック軸力算出部221aと、実ラック軸力Fraの絶対値|Fra|を算出する実ラック軸力算出部221bとを備えている。また、入力判定部221は、規範ラック軸力算出部221aが算出した規範ラック軸力Frmの絶対値|Frm|と実ラック軸力算出部221bが算出した実ラック軸力Fraの絶対値|Fra|との偏差であるラック軸力偏差ΔFrを算出するラック軸力偏差算出部221cを備えている。また、入力判定部221は、ラック軸力偏差算出部221cが算出したラック軸力偏差ΔFrに基づいて過大力が入力するおそれがあるか否かの結果を出力する出力部221dを備えている。
規範ラック軸力算出部221aは、先ず、操舵角センサ102にて検出された操舵角θsと、CANを介して入力される、自動車1の移動速度である車速Vcを検出する車速センサ(不図示)にて検出された車速Vcとに基づいて規範ラック軸力Frmを算出する。つまり、規範ラック軸力算出部221aは、操舵角θsと車速Vcとに応じた規範ラック軸力Frmを算出する。なお、規範ラック軸力算出部221aは、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、操舵角θsおよび車速Vcと規範ラック軸力Frmとの対応を示す制御マップ又は算出式に、操舵角θsおよび車速Vcを代入することにより規範ラック軸力Frmを算出する。そして、規範ラック軸力算出部221aは、規範ラック軸力Frmの絶対値|Frm|を算出する。
実ラック軸力算出部221bは、先ず、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmと、モータ電流検出部にて検出された実電流Imとに基づいて実ラック軸力Fraを算出する。そして、実ラック軸力算出部221bは、実ラック軸力Fraの絶対値|Fra|を算出する。
ここで、実ラック軸力Fraは、操舵装置100がピニオン型の装置であることから、ピニオンシャフト106から与えられる軸力に等しいとして、ピニオンシャフト106に加えられたピニオントルクTpに基づいて算出する。実ラック軸力Fraは、ピニオントルクTpをピニオン106aのピッチ円半径rpで除算した値である(Fra=Tp/rp)。
ピニオントルクTpは、電動モータ110から出力されるトルクである出力軸トルクToに減速機構111の減速比(ギア比)Nを乗算した値である(Tp=To×N)。
出力軸トルクToは、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmおよびモータ電流検出部にて検出された実電流Imを、予めROMに記憶しておいた算出式に代入することにより算出することができる。なお、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmを用いる代わりに、モータ逆起電力から所定の式により算出したモータ回転角度θmを用いても良い。
ラック軸力偏差算出部221cは、実ラック軸力算出部221bが算出した実ラック軸力Fraの絶対値|Fra|から規範ラック軸力算出部221aが算出した規範ラック軸力Frmの絶対値|Frm|を減算することによりラック軸力偏差ΔFrを算出する(ΔFr=|Fra|−|Frm|)。
出力部221dは、ラック軸力偏差ΔFrが予め定められた所定値Jより大きい場合(ΔFr>J)に、過大力が入力するおそれがあると判定し、その旨を制限電流決定部225に出力する。また、出力部221dは、ラック軸力偏差ΔFrが所定値J以下である場合(ΔFr≦J)に、過大力が入力するおそれはないと判定し、その旨を制限電流決定部225に出力する。
第2の実施形態に係る入力方向判定部222は、実移動量算出部212が算出した実移動量Saの変化速度Vsaの符号がプラスである場合には、左方向へ前輪2を転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部222は、実移動量算出部212が算出した実移動量Saの変化速度Vsaの符号がマイナスである場合には、右方向へ前輪2を転動させる方向の入力が生じたと判定する。
このように、第2の実施形態に係る入力判定部221及び入力方向判定部222は、電動モータ110の駆動力を前輪2に伝達する伝達部を構成する部品であるラック軸105に生じる力に基づいて、この伝達部を構成する部品に過大力が入力するおそれがあるか否か、入力の方向を判定する。それゆえ、第2の実施形態に係る入力判定部221及び入力方向判定部222によれば、より精度高く判定することができるので、伝達部に生じる荷重をより精度高く抑制することができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る自動車1においては、第1の実施形態に係る制御装置10に対して、入力判定部221、入力方向判定部222の判定手法が異なる。
第3の実施形態に係る入力判定部221は、CANを介して入力される、自動車1の横方向の加速度を検出する横Gセンサ(不図示)からの出力値に基づいて、過大力の入力があったか否かを判定する。例えば、第3の実施形態に係る入力判定部221は、横Gセンサが検出した横方向の加速度の絶対値が、予め定められた所定加速度以上である場合に、過大力の入力があったと判定する。
第3の実施形態に係る入力方向判定部222は、横Gセンサ(不図示)からの出力値に基づいて、過大力の方向を判定する。例えば、第3の実施形態に係る入力方向判定部222は、横Gセンサが検出した横方向の加速度が右方向に増加する場合には、右方向へ前輪2を転動させる方向の過大力が生じたと判定する。他方、第3の実施形態に係る入力方向判定部222は、横Gセンサが検出した横方向の加速度が左方向に増加する場合には、左方向へ前輪2を転動させる方向の過大力が生じたと判定する。
このように、第3の実施形態に係る入力判定部221及び入力方向判定部222が、自動車1に通常備えられている、横Gセンサの検出値を用いて判定するので、専用のセンサを設けるのに比べて低廉に判定することができる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る自動車1においては、第1の実施形態に係る制御装置10に対して、入力判定部221、入力方向判定部222の判定手法が異なる。
第4の実施形態に係る入力判定部221は、CANを介して入力される、前輪2の圧力(タイヤ圧力)を検出する圧力センサ(不図示)からの圧力信号に基づいて、過大力の入力があったか否かを判定する。例えば、第4の実施形態に係る入力判定部221は、自動車1が走行中に、左側前輪2l及び右側前輪2rのいずれか一方の前輪2が道路の凸部に乗り上げ、他方の前輪2が乗り上げていない場合には、一方の前輪2の圧力のみが大きくなることに鑑みる。そして、第4の実施形態に係る入力判定部221は、一方の前輪2の圧力と他方の前輪2の圧力との偏差が所定圧力以上である場合に、過大力の入力があったと判定する。
第4の実施形態に係る入力方向判定部222は、前輪2の圧力(タイヤ圧力)を検出する圧力センサ(不図示)からの圧力信号に基づいて、過大力の方向を判定する。例えば、第4の実施形態に係る入力方向判定部222は、自動車1が走行中に、左側前輪2l及び右側前輪2rのいずれか一方の前輪2が道路の凸部に乗り上げ、他方の前輪2が乗り上げていない場合には、一方の前輪2の圧力のみが大きくなることに鑑みる。そして、第4の実施形態に係る入力方向判定部222は、一方の前輪2の圧力が他方の前輪2の圧力以上である場合には、他方の前輪2側から一方の前輪2側の方へラック軸105が移動し、他方の前輪2側の方へ前輪2を転動させる方向の入力が生じたと判定する。
このように、第4の実施形態に係る入力判定部221及び入力方向判定部222が、自動車1に通常備えられている、圧力センサの検出値を用いて判定するので、専用のセンサを設けるのに比べて低廉に判定することができる。
<第5の実施形態>
図9は、第5の実施形態に係る自動車300の概略構成を示す図である。図9は、自動車300を上方から見た図である。
第5の実施形態に係る自動車300は、第1の実施形態に係る自動車1に対して、操舵装置100に相当する構成が異なる。以下、第1の実施形態に係る自動車1と異なる点について説明する。第1の実施形態に係る自動車1と第5の実施形態に係る自動車300とで、同じ形状、機能を有する物については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
自動車300は、車輪の一例としての前輪301及び後輪302と、前輪301に固定された前ナックルアーム303と、後輪302に固定された後ナックルアーム304とを備えている。また、自動車300は、一方の端部が車両本体(不図示)に連結され、他方の端部が前ナックルアーム303に連結されると共に、路面からの衝撃や振動を吸収する前懸架装置305を備えている。また、自動車300は、一方の端部が車両本体(不図示)に連結され、他方の端部が後ナックルアーム304に連結されると共に、路面からの衝撃や振動を吸収する後懸架装置306を備えている。前輪301、後輪302、前ナックルアーム303、後ナックルアーム304、前懸架装置305及び後懸架装置306は、左右それぞれに設けられている。以下では、自動車300の左側(図9においても左側)に配置された、前輪301、後輪302、前ナックルアーム303、後ナックルアーム304、前懸架装置305及び後懸架装置306を、それぞれ、左前輪301l、左後輪302l、左前ナックルアーム303l、左後ナックルアーム304l、左前懸架装置305l及び左後懸架装置306lと称する場合がある。また、自動車300の右側(図9においても右側)に配置された、前輪301、後輪302、前ナックルアーム303、後ナックルアーム304、前懸架装置305及び後懸架装置306を、それぞれ、右前輪301r、右後輪302r、右前ナックルアーム303r、右後ナックルアーム304r、右前懸架装置305r及び右後懸架装置306rと称する場合がある。
左前ナックルアーム303l、右前ナックルアーム303rは、図9に示すように、後方に延びており、各後端部には、軸線方向が垂直方向となる左前ピン307l、右前ピン307rが設けられている。他方、左後ナックルアーム304l、右後ナックルアーム304rは、図9に示すように、前方に延びており、各前端部には、軸線方向が垂直方向となる左後ピン308l、右後ピン308rが設けられている。
第5の実施形態に係る操舵装置310は、左前輪301l、右前輪301r、左後輪302l及び右後輪302rをそれぞれ独立して操舵するための左前操舵機構320l、右前操舵機構320r、左後操舵機構330l及び右後操舵機構330rを備えている。左前操舵機構320l、右前操舵機構320r、左後操舵機構330l及び右後操舵機構330rは、それぞれ略同じ機構である。以下では、これらを代表して左前操舵機構320lについて説明する。
左前操舵機構320lは、左前電動モータ321lと、左前駆動軸322lと、左前電動モータ321lの回転駆動力を左前駆動軸322lの直線的な移動に変換する左前伝達機構323lとを備えている。左前伝達機構323lは、例えば、左前駆動軸322lに形成されたラック歯とともにラック・ピニオン機構を構成するピニオンが形成された左前シャフト(不図示)と、左前電動モータ321lの回転駆動力を減速して左前シャフトに伝達する左前減速機構(不図示)とを備えている。左前減速機構は、例えば、左前シャフトに固定された左前ウォームホイール(不図示)と、軸継手(不図示)を介して左前電動モータ321lの出力軸に連結される左前ウォーム(不図示)とを有する。
また、左前操舵機構320lは、軸線方向が垂直方向となるように左前駆動軸322lに設けられた左前連結ピン324lと、左前ナックルアーム303lの左前ピン307lとに連結された左前連結ロッド325lを有している。左前連結ロッド325lと左前連結ピン324l、及び、左前連結ロッド325lと左前ピン307lとは、ボールジョイントにて連結されている。
左前電動モータ321lは、左前シャフト(不図示)に回転駆動力を加えることにより、左前駆動軸322lに左前輪301lを転動させる駆動力を加える。第5の実施形態に係る左前電動モータ321lは、左前電動モータ321lの回転角度であるモータ回転角度θmに連動した回転角度信号θmsを出力する左前レゾルバ326lを有する3相ブラシレスモータである。
また、第5の実施形態に係る操舵装置320は、左前操舵機構320l、右前操舵機構320r、左後操舵機構330l及び右後操舵機構330rがそれぞれ有する電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の作動を制御する制御装置410を備えている。制御装置410には、上述した操舵角センサ102、レゾルバ(例えば左前操舵機構320lの左前レゾルバ326l)などからの出力信号が入力される。
以上のように構成された操舵装置310は、操舵角センサ102が検出した操舵角θsに基づいて各操舵機構(例えば左前操舵機構320l)に備えられた電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の駆動が制御される。そして、電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の駆動力(発生トルク)が、伝達機構(例えば左前操舵機構320lの左前伝達機構323l)、連結ロッド(例えば左前操舵機構320lの左前連結ロッド325l)などを介して、ナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)に伝達する。そして、ナックルアームが力を受けることにより、車輪(例えば左前輪301l)が転動し、自動車300の向きが変わる。伝達機構(例えば左前操舵機構320lの左前伝達機構323l)、連結ロッド(例えば左前操舵機構320lの左前連結ロッド325l)などは、電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の駆動力を車輪(例えば左前輪301l)に伝達する伝達部を構成する部品(要素)である。
なお、第5の実施形態に係る自動車300においては、自動車300が前進している場合に、左前連結ロッド325lが、中立位置(左前輪301lの転動角が0°となる位置)から右方向に移動したときに左前輪301lが左方向に転動(回転)するように構成されている。他方、左前連結ロッド325lが、中立位置から左方向に移動したときに左前輪301lが右方向に転動(回転)するように構成されている。
また、自動車300が前進している場合に、右前連結ロッド325rが、中立位置(右前輪301rの転動角が0°となる位置)から右方向に移動したときに右前輪301rが左方向に転動(回転)するように構成されている。他方、右前連結ロッド325rが、中立位置から左方向に移動したときに右前輪301rが右方向に転動(回転)するように構成されている。
また、自動車300が前進している場合に、左後連結ロッド336lが、中立位置(左後輪302lの転動角が0°となる位置)から右方向に移動したときに左後輪302lが右方向に転動(回転)するように構成されている。他方、左後連結ロッド336lが、中立位置から左方向に移動したときに左後輪302lが左方向に転動(回転)するように構成されている。
また、自動車300が前進している場合に、右後連結ロッド336rが、中立位置(右後輪302rの転動角が0°となる位置)から右方向に移動したときに右後輪302rが右方向に転動(回転)するように構成されている。他方、右後連結ロッド336rが、中立位置から左方向に移動したときに右後輪302rが左方向に転動(回転)するように構成されている。
(制御装置)
次に、第5の実施形態に係る制御装置410について説明する。
図10は、第5の実施形態に係る制御装置410の概略構成図である。
制御装置410には、上述した操舵角センサ102からの出力信号、レゾルバ(例えば左前操舵機構320lの左前レゾルバ326l)からの出力信号が入力される。また、制御装置410には、CANを介して、左前懸架装置305l、右前懸架装置305r、左後懸架装置306l及び右後懸架装置306r、それぞれの伸縮量を検出する、左前ストロークセンサ411l、右前ストロークセンサ411r、左後ストロークセンサ412l、右後ストロークセンサ412rからの出力信号などが入力される。
そして、制御装置410は、電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)に供給する目標電流Itを設定する目標電流設定部420と、目標電流設定部420が設定した目標電流Itに基づいてフィードバック制御などを行う制御部425とを備えている。
第5の実施形態に係る目標電流設定部420は、左前操舵機構320l、右前操舵機構320r、左後操舵機構330l及び右後操舵機構330rそれぞれに備えられた電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)それぞれに供給する目標電流Itを設定する。制御部425は、目標電流設定部420が設定した各電動モータの目標電流Itと、モータ電流検出部(不図示)にて検出された各電動モータへ供給される実電流Imとの偏差に基づいて、各電動モータに対してフィードバック制御を行う。第5の実施形態に係る操舵装置320のような4輪独立操舵システムにおいては、前後左右の車輪が必ずしも同じ転動角になるとは限らないためである。なお、第5の実施形態に係る制御部425は、その他の事項において第1の実施形態に係る制御部30と同一であるので、その詳細な説明は省略する。
〔目標電流設定部〕
図11は、第5の実施形態に係る目標電流設定部420の概略構成図である。
運転者によるステアリングホイール101の操作に応じた目標走行ラインに自動車300を進行させるには、車輪(例えば左前輪301l)の転動角を制御する必要がある。制御装置410は、車輪(例えば左前輪301l)の実際の転動角である実転動角θhaが、運転者によるステアリングホイール101の操舵に応じた目標の転動角である目標転動角θhtとなるように制御する。そして、制御装置410は、実転動角θhaと目標転動角θhtとの偏差が大きい場合には、実転動角θhaを迅速に目標転動角θhtとするために、電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の回転速度が大きくなるように電動モータの回転速度の目標値である目標回転速度Vmtを設定する。そして、制御装置410は、電動モータの実際の回転速度である実回転速度Vmaが目標回転速度Vmtとなるように、実回転速度Vmaと目標回転速度Vmtとの偏差が大きいほど、電動モータの回転速度を大きくする。そのために、目標電流設定部420は、実回転速度Vmaと目標回転速度Vmtとの偏差が大きいほど、電動モータに供給する電流の目標値である目標電流Itを大きくする。このように、目標電流設定部420は、電動モータの実回転速度Vmaが、目標回転速度Vmtとなるように、実回転速度Vmaと目標回転速度Vmtとの偏差に応じて、目標電流Itを設定する。
ただし、目標電流設定部420は、以下に述べる場合には、実回転速度Vmaと目標回転速度Vmtとの偏差に関わらず、目標電流Itを設定する。
第5の実施形態に係る自動車300においても、ステア・バイ・ワイヤシステムであることから、外部から、車輪の転動角を変える力が生じた場合の、力の伝達経路の終端が電動モータ(例えば左前電動モータ321l)となる。そのため、外部から瞬間的な力を受けた場合には、電動モータの駆動力を車輪に伝達する伝達部へ生じる力を緩和することが困難となる。
以上の事項に鑑み、目標電流設定部420は、外部から、予め定められた所定力以上の過大力が入力するおそれがあるか否かを判定するとともに、過大力が入力するおそれがあると判定した場合には、目標電流Itを小さくする。なお、所定力は、伝達部を構成する部品である、伝達機構(例えば左前操舵機構320lの左前伝達機構323l)、連結ロッド(例えば左前操舵機構320lの左前連結ロッド325l)などの形状や材質に応じて定められる値であることを例示することができる。例えば、転動時制限電流Iltよりも大きな値の電流が電動モータ(例えば左前電動モータ321l)に供給されている場合に、その電流による電動モータの駆動力に起因する力とは異なる方向に入力したときに、伝達部を構成するいずれかの部品を損傷させる力の最小値を所定力とすることを例示することができる。伝達部の構成部品である、伝達機構、連結ロッドの少なくともいずれかの部品が樹脂にて成形されている場合には、金属にて成形されている場合に比べて、所定力を小さく設定すると良い。
より具体的には、目標電流設定部420は、目標電流Itを設定する上で基本となる基本目標電流Ibを設定する基本目標電流設定部430と、外部から大きな力が生じた場合に制限電流Ilを設定する制限電流設定部440とを備えている。また、目標電流設定部420は、最終的に電動モータ110に供給する目標電流Itを決定する最終目標電流決定部450を備えている。第5の実施形態に係る基本目標電流設定部430、制限電流設定部440、最終目標電流決定部450は、左前操舵機構320l、右前操舵機構320r、左後操舵機構330l及び右後操舵機構330rそれぞれに備えられた電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)それぞれの、基本目標電流Ibを設定し、制限電流Ilを設定し、目標電流Itを決定する。
(基本目標電流設定部)
基本目標電流設定部430は、車輪(例えば左前輪301l)の目標転動角θhtを算出する目標転動角算出部431と、車輪の実転動角θhaを算出する実転動角算出部432とを備えている。また、基本目標電流設定部430は、目標転動角算出部431が算出した目標転動角θhtと実転動角算出部432が算出した実転動角θhaとの偏差である偏差転動角Δθhを算出する偏差転動角算出部433を備えている。また、基本目標電流設定部430は、偏差転動角算出部433が算出した偏差転動角Δθhを用いて、電動モータ(例えば左前電動モータ321l)の目標の回転速度である目標回転速度Vmtを算出する目標回転速度算出部434を備えている。また、基本目標電流設定部430は、目標回転速度算出部434が算出した目標回転速度Vmtと、モータ回転速度算出部72が算出した実回転速度Vmaとを用いて基本目標電流Ibを決定する基本目標電流決定部435を備えている。
図12は、操舵角θsと目標転動角θhtとの関係を示す制御マップである。
目標転動角算出部431は、操舵角センサ102が検出したステアリングホイール101の操舵角θsを用いて目標転動角θhtを算出する。目標転動角算出部431は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、操舵角θsと目標転動角θhtとの関係を示す図12に例示した制御マップ又は算出式に、操舵角θsを代入することにより操舵角θsに応じた目標転動角θhtを算出する。
実転動角算出部432は、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmを用いて実転動角θhaを算出する。電動モータ(例えば左前電動モータ321l)、伝達機構(例えば左前操舵機構320lの左前伝達機構323l)、連結ロッド(例えば左前操舵機構320lの左前連結ロッド325l)などが機械的に連結されているために電動モータのモータ回転角度θmと連結ロッドとの間に相関関係がある。実転動角算出部432は、例えば、モータ回転角度算出部71にて定期的(例えば1ミリ秒毎)に算出されたモータ回転角度θmの前回値と今回値との差分の積算値を用いて実転動角θhaを算出する。
偏差転動角算出部433は、目標転動角算出部431が算出した目標転動角θhtから実転動角算出部432が算出した実転動角θhaを減算することにより偏差転動角Δθh(=θht−θha)を算出する。
図13は、偏差転動角Δθhと目標回転速度Vmtとの関係を示す制御マップである。
目標回転速度算出部434は、偏差転動角Δθhに応じた目標回転速度Vmtを算出する。目標回転速度算出部434は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、偏差転動角Δθhと目標回転速度Vmtとの関係を示す図13に例示した制御マップ又は算出式に、偏差転動角Δθhを代入することにより目標回転速度Vmtを算出する。
第5の実施形態に係る基本目標電流決定部435は、第1の実施形態に係る基本目標電流決定部215と同一であるので、その詳細な説明は省略する。
なお、前輪301の転動角が0°である状態から、操舵角θsがプラスとなる方向(右回転方向)にステアリングホイール101が操舵された場合に、前輪301を右方向に転動させる電動モータ(例えば左前電動モータ321l)の駆動力が発生する場合の基本目標電流Ibの方向をプラスとする。他方、前輪301の転動角が0°である状態から、操舵角θsがマイナスとなる方向(左回転方向)にステアリングホイール101が操舵された場合に、前輪301を左方向に転動させる電動モータ(例えば左前電動モータ321l)の駆動力が発生する場合の基本目標電流Ibの方向をマイナスとする。また、後輪302の転動角が0°である状態から、操舵角θsがプラスとなる方向(右回転方向)にステアリングホイール101が操舵された場合に、後輪302を左方向に転動させる電動モータ(左後操舵機構330l及び右後操舵機構330rの電動モータ)の駆動力が発生する場合の基本目標電流Ibの方向をプラスとする。他方、後輪302の転動角が0°である状態から、操舵角θsがマイナスとなる方向(左回転方向)にステアリングホイール101が操舵された場合に、後輪302を右方向に転動させる電動モータ(左後操舵機構330l及び右後操舵機構330rの電動モータ)の駆動力が発生する場合の基本目標電流Ibの方向をマイナスとする。
(制限電流設定部)
制限電流設定部440は、路面などの外部から、伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する入力判定部441と、過大力の方向を判定する入力方向判定部442とを備えている。また、制限電流設定部440は、車輪の転動又は保持状態を判定する転動状態判定部443を備えている。また、制限電流設定部440は、過大入力の方向と、車輪の転動又は保持の方向とが同じであるのか異なっているのかを判定する異同判定部444を備えている。また、制限電流設定部440は、異同判定部444の判定結果に応じて、制限電流Ilを決定する制限電流決定部445を備えている。
第5の実施形態に係る入力判定部441は、懸架装置(例えば左前懸架装置305l)の伸縮量を用いて過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する。
ここで、自動車300が、転動角が0°となる懸架装置の長さである基準長さL0よりも懸架装置の長さが長い状態で走行中に、車輪が道路の凹部に嵌るなどして懸架装置の長さが長くなった場合には、当該車輪に固定されたナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)が下方へ移動する。すると、当該ナックルアームに連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側に移動する。他方、自動車300が、懸架装置の長さが基準長さL0よりも長い状態で走行中に、車輪が道路の凸部に乗り上げるなどして懸架装置の長さが短くなった場合には、当該車輪に固定されたナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)が上方へ移動する。すると、変化後の懸架装置の長さが基準長さL0よりも長い場合には、当該ナックルアームに連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側とは反対側に移動する。
一方、自動車300が、懸架装置の長さが基準長さL0よりも短い状態で走行中に、車輪が道路の凸部に乗り上げるなどして懸架装置の長さが短くなった場合には、当該車輪に固定されたナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)が上方へ移動する。すると、当該ナックルアームに連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側に移動する。他方、自動車300が、懸架装置の長さが基準長さL0よりも短い状態で走行中に、車輪が道路の凹部に嵌るなどして懸架装置の長さが長くなった場合には、当該車輪に固定されたナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)が下方へ移動する。すると、変化後の懸架装置の長さが基準長さL0よりも短い場合には、当該ナックルアームに連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側とは反対側に移動する。
以上の事項に鑑み、入力判定部441は、懸架装置(例えば左前懸架装置305l)の長さの変化速度の絶対値が所定変化速度以上である場合に(伸び速度又は縮み速度が所定変化速度以上である場合に)、過大力が入力するおそれがあると判定する。他方、入力判定部441は、懸架装置の長さの変化速度の絶対値が所定変化速度未満である場合に(伸び速度又は縮み速度が所定変化速度未満である場合に)、過大力が入力するおそれはないと判定する。また、入力判定部441は、懸架装置(例えば左前懸架装置305l)の長さの変化速度に基づいて、当該懸架装置が連結された車輪(例えば左前輪301l)を操舵する操舵機構(例えば左前操舵機構320l)の伝達部に過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する。前後左右の車輪毎に、当該車輪に対して、外部から生じる力が異なるからである。
入力方向判定部442は、自動車300が、懸架装置の長さが基準長さL0よりも長い状態で走行中に、懸架装置(例えば左前懸架装置305l)の長さの変化速度がプラス方向(伸び方向)である場合には、駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側に移動することに鑑みる。かかる場合、入力方向判定部442は、車輪が左前輪301l又は右後輪302rである場合には、左前輪301l又は右後輪302rを右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、車輪が右前輪301r又は左後輪302lである場合には、右前輪301r又は左後輪302lを左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
一方、入力方向判定部442は、自動車300が、懸架装置の長さが基準長さL0よりも長い状態で走行中に、懸架装置の長さの変化速度がマイナス方向(縮み方向)である場合であって変化後の懸架装置の長さが基準長さL0よりも長い場合には、駆動軸が車輪側とは反対側に移動することに鑑みる。かかる場合、入力方向判定部442は、車輪が左前輪301l又は右後輪302rである場合には、左前輪301l又は右後輪302rを左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、車輪が右前輪301r又は左後輪302lである場合には、右前輪301r又は左後輪302lを右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
また、入力方向判定部442は、自動車300が、懸架装置の長さが基準長さL0よりも短い状態で走行中に、懸架装置の長さの変化速度がマイナス方向(縮み方向)である場合には、駆動軸が車輪側に移動することに鑑みる。かかる場合、入力方向判定部442は、車輪が左前輪301l又は右後輪302rである場合には、左前輪301l又は右後輪302rを右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、車輪が右前輪301r又は左後輪302lである場合には、右前輪301r又は左後輪302lを左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
一方、入力方向判定部442は、自動車300が、懸架装置の長さが基準長さL0よりも短い状態で走行中に、懸架装置の長さの変化速度がプラス方向(伸び方向)である場合であって変化後の懸架装置の長さが基準長さL0よりも短い場合には、駆動軸が車輪側とは反対側に移動することに鑑みる。かかる場合、入力方向判定部442は、車輪が左前輪301l又は右後輪302rである場合には、左前輪301l又は右後輪302rを左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、車輪が右前輪301r又は左後輪302lである場合には、右前輪301r又は左後輪302lを右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
転動状態判定部443は、実転動角算出部432が算出した実転動角θhaを用いて、車輪が転動しているか保持されているかを判定する。また、転動状態判定部443は、車輪が転動していると判定した場合には、車輪が右方向、左方向のどちらに転動しているかを判定する。
転動状態判定部443は、実転動角算出部432が算出した実転動角θhaの転動角速度Vθhaを算出するとともに、算出した転動角速度Vθhaの絶対値が予め定められた所定角速度Vθh0以下である場合(|Vθha|≦Vθh0)に、保持されていると判定する。そして、転動状態判定部443は、保持されている旨を制限電流決定部445に出力する。
また、転動状態判定部443は、算出した転動角速度Vθhaの絶対値が所定角速度Vθh0よりも大きい場合(|Vθha|>Vθh0)に、転動していると判定する。そして、転動状態判定部443は、転動角速度Vθhaの符号がプラスである場合には、右方向に転動していると判定し、その旨を異同判定部444に出力する。
なお、所定角速度Vθh0は、不感帯領域を設けるための値である。所定角速度Vθh0は、0であっても良い。
第5の実施形態に係る異同判定部444、制限電流決定部445は、それぞれ、第1の実施形態に係る異同判定部224、制限電流決定部225と同一であるので、その詳細な説明は省略する。
また、第5の実施形態に係る最終目標電流決定部450は、第1の実施形態に係る最終目標電流決定部23と同一であるので、その詳細な説明は省略する。
以上、説明したように、第5の実施形態に係る操舵装置310は、車輪(例えば左前輪301l)を転動させるための駆動力を付与する電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)と、電動モータの駆動力を車輪に伝達する伝達部の一例としての伝達機構(例えば左前操舵機構320lの左前伝達機構323l)、連結ロッド(例えば左前操舵機構320lの左前連結ロッド325l)などとを備えている。また、操舵装置310は、電動モータが駆動力を付与しているときに、車輪を介して、外部から、伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する入力判定部441を備えている。また、操舵装置310は、過大力が入力するおそれがあると入力判定部441が判定した場合に、伝達部に生じる荷重が、伝達部の強度に応じて予め定められた上限値を超えないように電動モータの駆動力を低減する低減部の一例としての最終目標電流決定部450を備えている。
最終目標電流決定部450は、過大力が入力するおそれがあると入力判定部441が判定し(S702でYes)、制限電流決定部445が転動時制限電流Ilt又は保持時制限電流Ilhを制限電流Ilに決定している場合(S706又はS708)であって、基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Il以上である場合(S709でNo)には、目標電流Itの絶対値が制限電流Ilとなるように目標電流Itを決定する(S712又はS713)。このことは、最終目標電流決定部450が、電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の駆動力を車輪(例えば左前輪301l)に伝達する伝達部の強度に応じて予め定められた上限値(上記上限の電流によって出力される上限の駆動力)を超えないように電動モータの駆動力を低減するのに等しい。
以上のように構成された操舵装置310によれば、過大力が入力するおそれがある場合に、伝達部に生じる荷重が、伝達部の強度に応じて予め定められた上限値を超えないように電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の駆動力が低減されるので、伝達部に生じる荷重が抑制される。また、過大力が入力した場合であっても伝達部に生じる荷重が抑制されるので、伝達部を構成する部品の体格を大きくしたり、強度が大きい材料を用いたりする必要がない。それゆえ、操舵装置310のコンパクト化及び軽量化を実現することができる。
また、操舵装置310は、過大力が入力するおそれがあると入力判定部441が判定した場合に、伝達部に対して過大力が作用する方向と、電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の駆動力に起因する力が作用する方向とが同じであるか異なるかを判定する異同判定部444をさらに備えている。
そして、最終目標電流決定部450は、異同判定部444が異なると判定した場合に駆動力を低減する。つまり、異同判定部444が異なると判定した場合(S707で異なると判定した場合)に、制限電流決定部445は、予め設定された転動時制限電流Iltを制限電流Ilに決定する(S708)。そして、最終目標電流決定部450は、基本目標電流設定部430が設定した基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Il以上である場合には(S709でNo)、目標電流Itの絶対値が制限電流Il(転動時制限電流Ilt)となるように目標電流Itを決定する(S712又はS713)。これにより、より確度高く電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の駆動力が低減されるので、伝達部に生じる荷重が抑制される。
一方、最終目標電流決定部450は、異同判定部444が同じであると判定した場合には、駆動力を低減しない。つまり、異同判定部444が同じであると判定した場合(S707で同じと判定した場合)に、制限電流決定部445は、制限電流Ilを∞(無限大)に決定する(S703)。そして、最終目標電流決定部450は、基本目標電流設定部430が設定した基本目標電流Ibの絶対値が制限電流Ilより小さくなることから、基本目標電流Ibを目標電流Itに決定する(S704)。
そして、第5の実施形態に係る入力判定部441は、車輪と車両本体との間に設けられた懸架装置の状態で判定する。これにより、自動車300に通常備えられている、左前ストロークセンサ411l、右前ストロークセンサ411r、左後ストロークセンサ412l、右後ストロークセンサ412rからの出力信号を用いて判定することが可能になるので、専用のセンサを設けるのに比べて低廉に判定することができる。また、左前ストロークセンサ411l、右前ストロークセンサ411r、左後ストロークセンサ412l、右後ストロークセンサ412rからの出力信号を用いて判定することで、操舵機構の伝達部毎に過大力が入力するおそれがあるか否かを精度高く判定することができる。
なお、第5の実施形態に係る目標電流設定部420は、複数の車輪(左前輪301l、左後輪302l、右前輪301r、右後輪302r)の内のいずれかの車輪を転動する伝達部に対して過大力が入力するおそれがあると判定し、当該車輪を転動する電動モータの目標電流Itの絶対値が制限電流Ilとなるように目標電流Itを決定した場合には、当該車輪を転動する電動モータ以外の電動モータの目標電流Itも制限電流Ilとなるように決定しても良い。異なる車輪を転動する複数の伝達部に対して、同じようなタイミングで過大力が入力するおそれがあるからである。
<第6の実施形態>
第6の実施形態に係る自動車300においては、第5の実施形態に係る制御装置410に対して、入力判定部441、入力方向判定部442に相当する構成が異なる。以下、第5の実施形態と異なる点について説明する。第5の実施形態と第6の実施形態とで、同じ機能を有する物については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図14は、第6の実施形態に係る入力判定部441の概略構成図である。
第6の実施形態に係る入力判定部441は、ナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)に連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)に生じる規範となる軸力である規範駆動軸力Fdmの絶対値と、当該駆動軸に生じる実際の軸力である実駆動軸力Fdaの絶対値とに基づいて、過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する。また、入力判定部441は、駆動軸(例えば左前駆動軸322l)に生じる軸力に基づいて、当該駆動軸を有する操舵機構(例えば左前操舵機構320l)の伝達部に過大力が入力するおそれがあるか否かを判定する。前後左右の車輪毎に、外部から生じる力が異なり、駆動軸(例えば左前駆動軸322l)に生じる軸力も駆動軸毎に異なることを考慮する意図である。
第6の実施形態に係る入力判定部441は、図14に示すように、規範駆動軸力Fdmの絶対値|Fdm|を算出する規範駆動軸力算出部441aと、実駆動軸力Fdaの絶対値|Fda|を算出する実駆動軸力算出部441bとを備えている。また、入力判定部441は、規範駆動軸力算出部441aが算出した規範駆動軸力Fdmの絶対値|Fdm|と実駆動軸力算出部441bが算出した実駆動軸力Fdaの絶対値|Fda|との偏差である駆動軸力偏差ΔFdを算出する駆動軸力偏差算出部441cを備えている。また、入力判定部441は、駆動軸力偏差算出部441cが算出した駆動軸力偏差ΔFdに基づいて過大力が入力するおそれがあるか否かの結果を出力する出力部441dを備えている。
規範駆動軸力算出部441aは、先ず、操舵角センサ102にて検出された操舵角θsと、CANを介して入力される、自動車300の移動速度である車速Vcを検出する車速センサ(不図示)にて検出された車速Vcとに基づいて規範駆動軸力Fdmを算出する。つまり、規範駆動軸力算出部441aは、操舵角θsと車速Vcとに応じた規範駆動軸力Fdmを算出する。なお、規範駆動軸力算出部441aは、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、操舵角θsおよび車速Vcと規範駆動軸力Fdmとの対応を示す制御マップ又は算出式に、操舵角θsおよび車速Vcを代入することにより規範駆動軸力Fdmを算出する。そして、規範駆動軸力算出部441aは、規範駆動軸力Fdmの絶対値|Fdm|を算出する。
実駆動軸力算出部441bは、先ず、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmと、モータ電流検出部にて検出された実電流Imとに基づいて実駆動軸力Fdaを算出する。そして、実駆動軸力算出部441bは、実駆動軸力Fdaの絶対値|Fda|を算出する。
ここで、実駆動軸力Fdaは、駆動軸(例えば左前駆動軸322l)とともにラック・ピニオン機構を構成するシャフト(例えば左前シャフト(不図示))から与えられる軸力に等しいとして、当該シャフトに加えられたトルクTsに基づいて算出する。実駆動軸力Fdaは、トルクTsを当該シャフトに形成されたピニオンのピッチ円半径rsで除算した値である(Fda=Ts/rs)。
トルクTsは、電動モータ(例えば左前電動モータ321l)から出力されるトルクである出力軸トルクToに減速機構(例えば左前減速機構)の減速比(ギア比)Nを乗算した値である(Ts=To×N)。
出力軸トルクToは、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmおよびモータ電流検出部にて検出された実電流Imを、予めROMに記憶しておいた算出式に代入することにより算出することができる。なお、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmを用いる代わりに、モータ逆起電力から所定の式により算出したモータ回転角度θmを用いても良い。
駆動軸力偏差算出部441cは、実駆動軸力算出部441bが算出した実駆動軸力Fdaの絶対値|Fda|から規範駆動軸力算出部441aが算出した規範駆動軸力Fdmの絶対値|Fdm|を減算することにより駆動軸力偏差ΔFdを算出する(ΔFd=|Fda|−|Fdm|)。
出力部441dは、駆動軸力偏差ΔFdが予め定められた所定値Kより大きい場合(ΔFd>K)に、過大力が入力するおそれがあると判定し、その旨を制限電流決定部445に出力する。また、出力部441dは、駆動軸力偏差ΔFdが所定値K以下である場合(ΔFd≦K)に、過大力が入力するおそれはないと判定し、その旨を制限電流決定部445に出力する。
第6の実施形態に係る入力方向判定部442は、実転動角算出部432が算出した実転動角θhaの転動角速度Vθhaの符号がプラスである場合、前輪301を右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定し、後輪302を左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、実転動角算出部432が算出した実転動角θhaの転動角速度Vθhaの符号がマイナスである場合、前輪301を左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定し、後輪302を右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
このように、第6の実施形態に係る入力判定部441及び入力方向判定部442は、電動モータ(例えば左前操舵機構320lの左前電動モータ321l)の駆動力を車輪(例えば左前輪301l)に伝達する伝達部を構成する部品である駆動軸(例えば左前駆動軸322l。ラック軸の一例)に生じる力に基づいて、この伝達部を構成する部品に過大力が入力するおそれがあるか否か、入力の方向を判定する。それゆえ、第6の実施形態に係る入力判定部441及び入力方向判定部442によれば、より精度高く判定することができるので、伝達部に生じる荷重をより精度高く抑制することができる。また、駆動軸(例えば左前駆動軸322l)に生じる力に基づいて判定することで、操舵機構の伝達部毎に過大力が入力するおそれがあるか否かを精度高く判定することができる。
<第7の実施形態>
第7の実施形態に係る自動車300においては、第5の実施形態に係る制御装置410に対して、入力判定部441、入力方向判定部442の判定手法が異なる。
第7の実施形態に係る入力判定部441は、CANを介して入力される、自動車300の横方向の加速度を検出する横Gセンサ(不図示)からの出力値に基づいて、過大力の入力があったか否かを判定する。例えば、第7の実施形態に係る入力判定部441は、横Gセンサが検出した横方向の加速度の絶対値が、予め定められた所定加速度以上である場合に、過大力の入力があったと判定する。
第7の実施形態に係る入力方向判定部442は、横Gセンサ(不図示)からの出力値に基づいて、過大力の方向を判定する。例えば、第7の実施形態に係る入力方向判定部442は、横Gセンサが検出した横方向の加速度が右方向に増加する場合には、前輪301を右方向へ、後輪302を左方向へ転動させる方向の過大力が生じたと判定する。他方、第7の実施形態に係る入力方向判定部442は、横Gセンサが検出した横方向の加速度が左方向に増加する場合には、前輪301を左方向へ、後輪302を右方向へ転動させる方向の過大力が生じたと判定する。
このように、第7の実施形態に係る入力判定部441及び入力方向判定部442が、自動車300に通常備えられている、横Gセンサの検出値を用いて判定するので、専用のセンサを設けるのに比べて低廉に判定することができる。
<第8の実施形態>
第8の実施形態に係る自動車300においては、第5の実施形態に係る制御装置410に対して、入力判定部441、入力方向判定部442の判定手法が異なる。
第8の実施形態に係る入力判定部441は、CANを介して入力される、車輪の圧力(以下、「タイヤ圧力」と称する場合がある。)を検出する圧力センサ(不図示)からの圧力信号に基づいて、過大力の入力があったか否かを判定する。
ここで、自動車300が、転動角が0°となるタイヤ圧力である基準タイヤ圧力よりもタイヤ圧力が小さい状態で走行中に、車輪が道路の凹部に嵌るなどしてタイヤ圧力が小さくなった場合には、当該車輪に固定されたナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)が下方へ移動する。すると、当該ナックルアームに連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側に移動する。他方、自動車300が、タイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも小さい状態で走行中に、車輪が道路の凸部に乗り上げるなどしてタイヤ圧力が大きくなった場合には、当該車輪に固定されたナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)が上方へ移動する。すると、変化後のタイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも小さい場合には、当該ナックルアームに連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側とは反対側に移動する。
一方、自動車300が、タイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも大きい状態で走行中に、車輪が道路の凸部に乗り上げるなどしてタイヤ圧力が大きくなった場合には、当該車輪に固定されたナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)が上方へ移動する。すると、当該ナックルアームに連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側に移動する。他方、自動車300が、タイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも大きい状態で走行中に、車輪が道路の凹部に嵌るなどしてタイヤ圧力が小さくなった場合には、当該車輪に固定されたナックルアーム(例えば左前ナックルアーム303l)が下方へ移動する。すると、変化後のタイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも大きい場合には、当該ナックルアームに連結された連結ロッド(例えば左前連結ロッド325l)と連結された駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側とは反対側に移動する。
以上の事項に鑑み、第8の実施形態に係る入力判定部441は、タイヤ圧力の変化速度の絶対値が所定圧力変化速度以上である場合に、過大力が入力するおそれがあると判定する。他方、入力判定部441は、タイヤ圧力の変化速度の絶対値が所定圧力変化速度未満である場合に、過大力が入力するおそれはないと判定する。
第8の実施形態に係る入力方向判定部442は、自動車300が、タイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも小さい状態で走行中に、タイヤ圧力の変化速度が減少方向である場合には、駆動軸(例えば左前駆動軸322l)が車輪側に移動することに鑑みる。かかる場合、入力方向判定部442は、車輪が左前輪301l又は右後輪302rである場合には、左前輪301l又は右後輪302rを右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、車輪が右前輪301r又は左後輪302lである場合には、右前輪301r又は左後輪302lを左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
一方、入力方向判定部442は、自動車300が、タイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも小さい状態で走行中に、タイヤ圧力の変化速度が増加方向である場合であって変化後のタイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも小さい場合には、駆動軸が車輪側とは反対側に移動することに鑑みる。かかる場合、入力方向判定部442は、車輪が左前輪301l又は右後輪302rである場合には、左前輪301l又は右後輪302rを左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、車輪が右前輪301r又は左後輪302lである場合には、右前輪301r又は左後輪302lを右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
また、入力方向判定部442は、自動車300が、タイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも大きい状態で走行中に、タイヤ圧力の変化速度が増加方向である場合には、駆動軸が車輪側に移動することに鑑みる。かかる場合、入力方向判定部442は、車輪が左前輪301l又は右後輪302rである場合には、左前輪301l又は右後輪302rを右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、車輪が右前輪301r又は左後輪302lである場合には、右前輪301r又は左後輪302lを左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
一方、入力方向判定部442は、自動車300が、タイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも大きい状態で走行中に、タイヤ圧力の変化速度が減少方向である場合であって変化後のタイヤ圧力が基準タイヤ圧力よりも大きい場合には、駆動軸が車輪側とは反対側に移動することに鑑みる。かかる場合、入力方向判定部442は、車輪が左前輪301l又は右後輪302rである場合には、左前輪301l又は右後輪302rを左方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。他方、入力方向判定部442は、車輪が右前輪301r又は左後輪302lである場合には、右前輪301r又は左後輪302lを右方向へ転動させる方向の入力が生じたと判定する。
このように、第8の実施形態に係る入力判定部441及び入力方向判定部442が、自動車300に通常備えられている、圧力センサの検出値を用いて判定するので、専用のセンサを設けるのに比べて低廉に判定することができる。
なお、上述した各実施形態における制御装置10、410の構成要素は、ハードウェアによって実現されていても良いし、ソフトウェアによって実現されていても良い。また、本発明の構成要素の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等の外部記憶装置も含む。
1,300…自動車、10,410…制御装置、20,420…目標電流設定部、21,430…基本目標電流設定部、22,440…制限電流設定部、23,450…最終目標電流設定部、221,441…入力判定部、222,442…入力方向判定部、223,443…転動状態判定部、224,444…異同判定部、225,445…制限電流決定部
かかる目的のもと完成させた本発明は、車両の車輪を転動させるための駆動力を付与する電動モータと、前記電動モータの駆動力を前記車輪に伝達する伝達部と、前記電動モータが駆動力を付与しているときに、前記車輪を介して、外部から、前記伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するか否か、又は入力するおそれがあるか否かを判定する入力判定部と、前記過大力が入力する又は入力するおそれがあると前記入力判定部が判定した場合に、前記伝達部に生じる荷重が、前記伝達部の強度に応じて予め定められた上限値を超えないように前記電動モータの駆動力を低減する低減部と、を備え、前記過大力が入力する又は入力するおそれがあると前記入力判定部が判定した場合に、前記伝達部に対して前記過大力に起因する力が作用する方向と、前記電動モータの駆動力に起因する力が作用する方向とが同じであるか異なるかを判定する異同判定部をさらに備え、前記低減部は、前記異同判定部が異なると判定した場合に前記駆動力を低減する操舵装置である。

Claims (7)

  1. 車両の車輪を転動させるための駆動力を付与する電動モータと、
    前記電動モータの駆動力を前記車輪に伝達する伝達部と、
    前記電動モータが駆動力を付与しているときに、前記車輪を介して、外部から、前記伝達部に、予め定められた所定力以上の過大力が入力するか否か、又は入力するおそれがあるか否かを判定する入力判定部と、
    前記過大力が入力する又は入力するおそれがあると前記入力判定部が判定した場合に、前記伝達部に生じる荷重が、前記伝達部の強度に応じて予め定められた上限値を超えないように前記電動モータの駆動力を低減する低減部と、
    を備える操舵装置。
  2. 前記過大力が入力する又は入力するおそれがあると前記入力判定部が判定した場合に、前記伝達部に対して前記過大力に起因する力が作用する方向と、前記電動モータの駆動力に起因する力が作用する方向とが同じであるか異なるかを判定する異同判定部をさらに備え、
    前記低減部は、前記異同判定部が異なると判定した場合に前記駆動力を低減する
    請求項1に記載の操舵装置。
  3. 前記過大力が入力する又は入力するおそれがあると前記入力判定部が判定した場合に、前記伝達部に対して前記過大力に起因する力が作用する方向と、前記電動モータの駆動力に起因する力が作用する方向とが同じであるか異なるかを判定する異同判定部をさらに備え、
    前記低減部は、前記異同判定部が同じであると判定した場合には、前記駆動力を低減しない
    請求項1に記載の操舵装置。
  4. 前記入力判定部は、前記車輪と車両本体との間に設けられた懸架装置の状態で判定する
    請求項1から3のいずれか1項に記載の操舵装置。
  5. 前記入力判定部は、前記電動モータの駆動力を受けて前記車輪を転動させるラック軸に生じる力で判定する
    請求項1から3のいずれか1項に記載の操舵装置。
  6. 前記入力判定部は、前記車両の横方向の加速度で判定する請求項1から3のいずれか1項に記載の操舵装置。
  7. 前記入力判定部は、前記車輪の圧力で判定する請求項1から3のいずれか1項に記載の操舵装置。
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