[本開示が解決しようとする課題]
ONUを登録する前には、OLTは、そのONUの受信レベルの情報を持つことができない。このため、OLTは、そのONUからの光信号の受信における利得制御を保証することができない。上記した文献は、いずれも、このような課題に対する解決を提案していない。
本開示の目的は、未登録のONUからの光信号の受信における利得制御を保証しながら、そのONUを登録することを可能にするための装置および方法を提供することである。
[本開示の効果]
本開示によれば、未登録のONUからの光信号の受信における利得制御を保証しながら、そのONUを登録することができる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1) 本発明の一態様に係るPONシステムは、局側装置と、少なくとも1つの宅側装置と、局側装置と宅側装置とを接続する光ファイバとを備え、局側装置から光ファイバを通じて送られた光信号の宅側装置における受信レベルを区分するための受信レベル区分が設定されており、局側装置は、未登録の宅側装置を探索および登録するディスカバリ処理において、受信レベル区分に該当する宅側装置を登録するように構成される。
局側装置と宅側装置とを接続する光ファイバの長さは、宅側装置ごとに異なり得る。光ファイバの伝送損失等のため、局側装置から宅側装置までの距離に応じて、光ファイバの長さが異なり得るので、各々の宅側装置からの光信号の局側装置における受信レベルが異なり得る。局側装置は、受信レベル区分を設定した上で、その受信レベルに該当する宅側装置を登録するように構成される。ディスカバリ処理の際に、適切な強度を有する信号が宅側装置から局側装置に入力される。したがって未登録の宅側装置からの光信号の受信における利得制御を保証しながら、その宅側装置をディスカバリ処理によって登録することができる。
(2) 好ましくは、局側装置は、ディスカバリ処理において受信レベル区分を指定するように構成される。未登録の宅側装置は、受信レベル区分を受信レベルに基づいて判定し、局側装置によって指定された受信レベルが判定された受信レベル区分に該当する場合に、局側装置に対して応答するように構成される。
上記によれば、未登録の宅側装置からの光信号の受信における利得制御を保証しながら、その宅側装置をディスカバリ処理によって登録することができる。
(3) 好ましくは、局側装置は、宅側装置から受信した光信号を可変の利得で増幅するように構成された増幅器を含み、ディスカバリ処理において受信レベル区分を指定するように構成される。受信レベル区分は、増幅器の利得に関連付けられている。未登録の宅側装置は、増幅器の利得の低いほうから順にディスカバリ処理に対する応答を試み、応答が成功となるディスカバリ処理において指定された受信レベル区分を、未登録の宅側装置の受信レベル区分として設定する。
上記によれば、増幅器の利得の低いほうから順に、ディスカバリ通知に対する応答が試みられる。したがって、局側装置の受信器が宅側装置の光信号によって損傷する可能性を低くすることができる。
(4) 好ましくは、局側装置は、受信レベル区分を決定する。局側装置は、宅側装置から受信した光信号を可変の利得で増幅するように構成された増幅器を含む。受信レベル区分は、利得の1または複数の利得レベル区分に対応付けられている。未登録の宅側装置は、1の受信レベル区分に対して、複数の利得レベル区分が割り当てられている場合には、複数の利得レベル区分のうちの低いほうから順にディスカバリ処理に対する応答を試みる。
上記によれば、宅側装置側の1つの受信レベル区分に対して、複数の利得レベル区分が対応付けられているので、各々の宅側装置側の受信レベル区分に対して、より適した利得レベル区分を対応付けることができる。これにより、未登録の宅側装置からの光信号の受信における利得制御をより確実に保証できる。
(5) 好ましくは、局側装置は、局側装置により決定された受信レベル区分を、宅側装置に伝達するように構成される。
上記によれば、局側装置の増幅器の特性に応じて受信レベル区分を最適に設定することができる。たとえば増幅器の特性の個体差を考慮した利得制御を実現することができる。
(6) 好ましくは、局側装置は、未登録の宅側装置がディスカバリ処理に対して応答した場合には、未登録の宅側装置の登録の可否を判定するように構成される。
上記によれば、局側装置は、宅側装置を登録すべきか否かをより正確に判定することができる。
(7) 好ましくは、局側装置による判定は、誤り訂正処理における訂正頻度を閾値と比較することを含む。
上記によれば、局側装置は、誤り訂正処理における訂正頻度に基づいて宅側装置を登録すべきか否かを判定することができる。
(8) 好ましくは、受信レベル区分は、宅側装置の受信パワーに基づいて設定される。
上記によれば、局側装置は、宅側装置の受信パワーから、宅側装置の受信レベルを直接把握することができる。
(9) 好ましくは、受信レベル区分は、局側装置の送信パワーと宅側装置の受信パワーとの差分に相当する光ファイバの線路損失に基づいて設定される。
上記によれば、局側装置は、光ファイバの線路損失から、宅側装置の受信レベルを推定することができる。
(10) 好ましくは、受信レベル区分は、宅側装置の受信レベルの最大値および宅側装置の受信レベルの最小値によって設定される。
上記によれば、受信レベル区分を受信レベルの範囲により設定することができる。
(11) 好ましくは、局側装置がディスカバリ処理を実行する際に、局側装置は、ディスカバリゲートメッセージに最大値および最小値を含める。
上記によれば、局側装置は、ディスカバリゲートメッセージによって、宅側装置に受信レベル区分を通知することができる。
(12) 好ましくは、最大値および最小値のうちの少なくとも一方は可変の値である。
上記によれば、1つの受信レベル区分に対する受信レベルの範囲を任意に設定することができる。
(13) 好ましくは、局側装置は、受信レベル区分を、第1の区分から、第1の区分の一部と重なる範囲を有する第2の区分へと変化させる。宅側装置の受信レベルが、第1の区分および第2の区分の両方に含まれる場合には、宅側装置は、第1の区分および第2の区分のうち、受信レベルが高いほうの受信レベル区分が設定されたときに、局側装置に対して応答する。
上記によれば、宅側装置において、受信レベルの誤差あるいは変動が生じる場合に宅側装置が登録されない可能性を低減することができる。
(14) 好ましくは、宅側装置は、宅側装置の受信レベルを測定して、受信レベルの測定値に基づいて、受信レベルが受信レベル区分に該当するかどうかを判定する。
上記によれば、局側装置は、受信レベル区分に該当する宅側装置が登録することができる。
(15) 受信レベル区分は、局側装置の送信パワーと宅側装置の受信パワーとの差分に相当する光ファイバの線路損失に基づいて設定される。
上記によれば、局側装置は、受信レベル区分に該当する宅側装置が登録することができる。
(16) 局側装置は、最大値および最小値の組を複数回設定する。複数の組は、第1の組の最小値よりも、第2の組の最大値が大きいという関係を満たす第1の組および第2の組を含む。局側装置は、複数の組のうち、最大値の高いほうから順に、ディスカバリ処理を実行する。
上記によれば、宅側装置において、受信レベルの誤差あるいは変動が生じる場合に宅側装置が登録されない可能性を低減することができる。
(17) 本発明の一態様に係るPONシステムは、局側装置と、少なくとも1つの宅側装置と、局側装置と宅側装置とを接続する光ファイバとを備える。局側装置は、宅側装置から受信した光信号を可変の利得で増幅するように構成された増幅器を含み、ディスカバリ処理において、利得の区分を決定および登録するように構成される。ディスカバリ処理において、局側装置は、増幅器の利得の利得区分を利得の低いほうから順に設定する。未登録の宅側装置は、増幅器の利得の低いほうから順にディスカバリ処理に対する応答を試みる。局側装置は、未登録の宅側装置からの応答を確認できた場合に、未登録の宅側装置に対する利得区分を設定する。
上記によれば、未登録の宅側装置は、増幅器の利得の低いほうから順にディスカバリ処理に対する応答を試みる。宅側装置から送られた光信号の強度が大きい場合において、局側装置は、その光信号を低い利得で増幅することができる。したがって、局側装置は、適切な強度を有する光信号を受信できる。未登録の宅側装置からの光信号の受信における利得制御を保証しながら、その宅側装置をディスカバリ処理によって登録することができる。
(18) 局側装置は、ディスカバリ処理において、増幅器の利得の設定を繰り返し実行し、登録された利得区分よりも低い利得で応答が確認された宅側装置に対して、利得区分を設定する。
上記によれば、宅側装置からの光信号の強度に応じた適切な利得を設定することができる。
(19) 局側装置は、増幅器によって増幅された光信号を受信する光受信器を含む。光受信器に入力された光信号の強度が閾値を上回る場合、局側装置は、利得が最小となる利得区分を選択して、利得の低いほうから順に利得区分の設定をやり直す。
上記によれば、光受信器が損傷する可能性を低減することができる。
(20) 宅側装置は、宅側装置の受信レベルをモニタして、受信レベルが閾値を超える場合に、光出力を停止する。局側装置は、宅側装置からの光出力が停止したことにより、宅側装置が異常であると判断して、PONシステムへの宅側装置の論理リンクを解除し、ディスカバリ処理により、宅側装置を、再度登録する。
上記によれば、何からの理由により宅側装置からの光信号の強度が大きくなった場合に、適切な利得を設定することができる。
(21) 局側装置は、宅側装置から光信号を受信し、印加電圧に応じて増倍率を変化させる光受信器を含む。局側装置は、受信レベル区分に応じて、光受信器の印加電圧を変化させる。
上記によれば、光受信器の印加電圧を変化させることによって、局側装置では光信号の増幅率を変化させることができる。
(22) 本発明の一態様に係る宅側装置は、光信号を受信するように構成された受信器と、受信器における光信号の受信レベルに関する受信レベル区分を登録するように構成された登録部と、未登録の宅側装置を探索および登録するディスカバリ処理において指定された受信レベル区分が、登録部に登録された受信レベルに該当する場合に、ディスカバリ処理に対する応答を光信号の形態で送信するように構成された送信器とを備える。
上記によれば、宅側装置は、自身の受信レベル区分が、ディスカバリ処理において指定された受信レベル区分に該当する場合に、そのディスカバリ処理に対して応答する。したがって受信レベル区分に基づく宅側装置の管理を実現できる。
(23) 本発明の一態様に係る局側装置は、光信号を受信するように構成された受信器と、受信器の前段に設けられて、光信号を可変の利得で増幅するように構成された増幅器と、未登録の宅側装置を探索および登録するディスカバリ処理のための光信号を送信するように構成された送信器とを備え、宅側装置の受信レベル区分との照合のために、ディスカバリ処理において増幅器の利得に関連付けられた受信レベル区分が指定され、ディスカバリ処理に対して応答した宅側装置を登録するように構成された登録部をさらに備える。
上記によれば、局側装置は、指定した受信レベル区分に該当する受信レベル区分を有する宅側装置を登録する。したがって、受信レベル区分に基づく宅側装置の管理を実現できる。
(24) 本発明の一態様に係る宅側装置の登録方法は、光ファイバによって局側装置および少なくとも1つの宅側装置が接続されたPONシステムにおける宅側装置の登録方法であって、局側装置から光ファイバを通じて送られた光信号の宅側装置における受信レベルを区分するための受信レベル区分を、宅側装置において設定するステップと、局側装置が、受信レベルを指定して、未登録の宅側装置を探索および登録するディスカバリ処理を実行するステップと、局側装置により指定された受信レベルが、未登録の宅側装置において設定された受信レベル区分に該当する場合に、未登録の宅側装置がディスカバリ処理に対して応答するステップと、局側装置が、ディスカバリ処理に対して応答した宅側装置を登録するステップとを備える。
上記によれば、局側装置は、指定した受信レベル区分に該当する受信レベル区分を有する宅側装置を登録する。したがって、受信レベル区分に基づく宅側装置の管理を実現できる。
(25) 本発明の一態様に係るデータ構造は、未登録の宅側装置を局側装置に認識させる、PONシステムにおけるディスカバリ処理に用いられるデータ構造であって、ディスカバリ処理は、局側装置により指定された受信レベル区分を有する宅側装置を、局側装置が探索するステップを含み、データ構造は、局側装置から宅側装置への通知のための受信レベル区分を含む。
上記によれば、宅側装置において、登録された受信レベル区分が、指定された受信レベル区分に該当するかどうかを宅側装置において判断するためのデータを宅側装置において取得することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下の説明において、光通信システムの一実施形態としてPONが示される。限定しない限りにおいて、「PON」はEPON(Ethernet(登録商標) Passive Optical Network)を含む。
<実施の形態1>
図1は、第1の実施の形態に係る光通信システムの構成例を示した図である。図1に示されるように、PONシステム300は、OLT(局側装置)100と、ONU(宅側装置)200と、光分配ネットワーク301とを備える。
光分配ネットワーク301は、光ファイバ線路および光スプリッタ302によって構成される。OLT100およびONU200は、光分配ネットワーク301に接続される。
ODN(Optical Distribution Network)区間306は、光スプリッタ302を含み、かつ規定点304,305で挟まれた光分配ネットワーク301の区間である。光スプリッタ302により、光分配ネットワーク301が分岐される。これにより、複数のONUが光分配ネットワーク301に接続されることができる。図1では、代表的に1つのONU200が示される。
PONシステム300は、100Gbps級PON(たとえば100G−EPON)を実現する。100G−EPONでは、10G−EPONと同じファイバ線路が使用されて、25.78125Gb/s(以下では「25Gbps」と表記する)の伝送容量を有する、互いに波長が異なる4本の光信号が伝送される。
OLT100は、光送信路101と、光受信路102と、ダイプレクサフィルタ(Diplexer filter)103と、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier;SOA)105a,105b,105c,105d,106a,106b,106c,106dと、光マルチプレクサ110と、光デマルチプレクサ120と、光送信器111〜114と、光受信器121〜124とを含む。OLT100は、上記の要素を含むモジュール(たとえば光トランシーバ)を含むことができる。図1では、OLT100の光信号の送信および受信に関する構成を示している。
光送信路101および光受信路102は、光導波路、光ファイバ等により構成される。ダイプレクサフィルタ103は、光送信路101および光受信路102を光学的に分離するための部品である。
光送信器111〜114の各々は、光信号を発生させる発光素子として、たとえば電界吸収型変調器集積レーザダイオード(Electro-absorption Modulator Laser Diode;EML)を含む。光送信器111〜114は、波長の互いに異なる光を発する。各々の光送信器は25Gbpsの伝送容量を有する。したがって25Gbps×4チャネルが実現される。各々の光送信器が4つのチャネルのうちの、いずれの1つに割り当てられるのかは特に限定されない。
SOA105a,105b,105c,105dは、光送信器111〜114のそれぞれから発せられる光信号を増幅する。光マルチプレクサ110は、SOA105a,105b,105c,105dによってそれぞれ増幅された4つの光信号を波長多重によって多重化する。
光送信路101は、光マルチプレクサ110およびSOA105a,105b,105c,105dを光送信器111〜114に光学的に結合する。光マルチプレクサ110からの光信号は、光送信路101を伝送される。光信号は、ダイプレクサフィルタ103を通過して、OLT100から光分配ネットワーク301に送出される。
OLT100はONU200から光信号を受ける。この光信号は、バースト信号である。バースト信号はダイプレクサフィルタ103を通過して、光受信路102に経路付けられる。ONU200からの光信号は波長分割多重(WDM)光信号である。光デマルチプレクサ120は、光受信路102を伝送された光信号を、波長に基づいて4つの光信号に分離する。
光受信路102は、光デマルチプレクサ120に光学的に結合されることにより、SOA106a,106b,106c,106dに光学的に結合される。SOA106a,106b,106c,106dは、それぞれ、光受信器121〜124の前段に設けられて、光デマルチプレクサ120から入力された光信号を増幅する。
光受信器121〜124の各々は、高感度を有する受光器であり、たとえば、受光素子としてアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photodiode;APD)を含む。光受信器121,122,123,124は、4つのチャネルにそれぞれ関連付けられる。
OLT100は、さらに、OLT制御部130と、ONU情報管理部131と、利得制御部132とを含む。OLT制御部130は、OLT100の動作を制御する。ONU情報管理部131は、未登録のONUを探索および登録するディスカバリ処理において、OLT100が指定した受信レベル区分に該当するONUを登録する。これにより、ONU情報管理部131は、各ONU200の受信レベルに関する情報を管理する。
SOAは、可変の利得を有する増幅器である。利得制御部132は、ONU情報管理部131によって管理された情報(各ONU200の受信レベル)に基づいて、SOA106a,106b,106c,106dの利得を制御する。
一実施形態では、OLT制御部130、ONU情報管理部131および利得制御部132は、単一の半導体回路により実現される。OLT制御部130、ONU情報管理部131および利得制御部132は、個別の半導体集積回路により実現されてもよい。OLT制御部130、ONU情報管理部131および利得制御部132のうちの任意の2つが1つの半導体集積回路により実現されてもよい。このような半導体集積回路は、たとえばASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field Programmable Gate Array)等でありえる。
図1に示した構成では、OLT制御部130、ONU情報管理部131、および利得制御部132がOLT100に含められる。しかしながら、OLT制御部130、ONU情報管理部131、および利得制御部132のうち少なくとも1つがOLT100の外部に設けられていてもよい。
ONU200は、光送信路201と、光受信路202と、ダイプレクサフィルタ203と、光伝送路204と、光マルチプレクサ210と、光デマルチプレクサ220と、光送信器211〜214と、光受信器221〜224と、ONU制御部240と、受信信号強度表示(Received Signal Strength Indication;RSSI)回路241と、受信レベル区分登録/保持部243とを含む。ONU200は、上記の要素を含むモジュール(たとえば光トランシーバ)を含むことができる。
ONU200のモジュールは、図1に示された構成要素のうちの選択的な要素を含んでもよい。「選択的な要素」とは、たとえば光送信路201、光受信路202、ダイプレクサフィルタ203、光マルチプレクサ210、光デマルチプレクサ220、光送信器211〜214、および光受信器221〜224であってもよい。さらに、上記の「選択的な要素」は、光送信器211〜214および光受信器221〜224の中から選択された同数の光送信器および光受信器を含んでもよい。この場合には、OLT100も同様に、光送信器111〜114および光受信器121〜124の中から選択された同数の光送信器および光受信器を「選択的な要素」として含むことができる。
光送信路201、光受信路202および、光伝送路204は、光導波路、光ファイバ等により構成される。ダイプレクサフィルタ203は、光送信路201および光受信路202を光学的に分離するための部品である。光伝送路204は、光送信路201および光受信路202に共通する伝送路である。光マルチプレクサ210は光送信路201に配置される。光デマルチプレクサ220は、光受信路202に配置される。
光送信器211〜214の各々は、発光素子としてEMLを含むことができる。代わりに、光送信器211〜214の各々の発光素子は、直接変調レーザダイオード(Direct Modulation Laser Diode;DML)であってもよい。光送信器211〜214は、波長の互いに異なる光信号を発する。この光信号はバースト信号である。
各々の光送信器は25Gbpsの伝送容量を有する。したがって25Gbps×4チャネルが実現される。各々の光送信器が4つのチャネルのうちの、いずれの1つに割り当てられるのかは特に限定されない。
光マルチプレクサ210は、光送信器211〜214からそれぞれ発せられた4つの光信号を波長多重によって多重化する。多重化された光信号は、光送信路201を伝送されて、ダイプレクサフィルタ203を通過する。光送信路201を伝送された光信号は、ONU200からの上り光信号として、光分配ネットワーク301へと送出される。
ONU200は、OLT100から光信号を受ける。その光信号は、光伝送路204を伝送されて、ダイプレクサフィルタ203によって、光受信路202に経路付けられる。光デマルチプレクサ220は、光受信路202を伝送された光信号を波長に基づいて4つの光信号に分離する。4つの光信号は、光受信器221〜224に、それぞれ入力される。
光受信器221〜224の各々は、高感度を有する受光器である。光受信器221〜224の各々は、受光素子としてアバランシェフォトダイオードを含むことができる。光受信器221,222,223,224は、4つのチャネルにそれぞれ関連付けられる。
RSSI回路241は、ONU200の受信レベル(受信信号強度)をモニタするモニタ回路である。一実施形態では、RSSI回路241は、4つのチャネルのうち、いずれか1つのチャネルにおける受信レベルをモニタする。RSSI回路241は、4つのチャネルの受信レベルのうちの最大値、あるいは最小値をモニタしてもよい。あるいは、RSSI回路241は、4つのチャネルの受信レベルの平均値をモニタするのでもよい。
受信レベル区分登録/保持部243は、ONU200の受信レベル区分を登録するための登録部である。受信レベル区分登録/保持部243は、RSSI回路241の出力に基づいて、ONU200の受信レベルの区分を登録するとともに、その受信レベル区分の情報を保持する。第1の実施の形態において、ONU200の受信レベルは、たとえば「高」、「中」、「低」のように区分される。
一実施形態では、ONU制御部240と、RSSI回路241と、受信レベル区分登録/保持部243とは、1または複数の半導体集積回路によって実現可能である。このような半導体集積回路は、たとえばASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field Programmable Gate Array)等でありえる。
第1の実施の形態において、OLT100から光分配ネットワーク301(光ファイバ)を通じて送られた光信号のONU200における受信レベルを区分するための受信レベル区分が設定されている。OLT100は、未登録のONUを探索および登録するディスカバリ処理において、その受信レベル区分に該当するONU200を登録するように構成される。
図1および以後説明する図面に1つのONU200が示されている。このONU200は、光分配ネットワーク301に接続されているものの、OLT100には未だ登録されていないものとする。
OLT100は、未登録のONUを探索および登録するために、ディスカバリゲート(Discovery Gate)とも呼ばれうるメッセージを送信する。OLT100は、ディスカバリゲートにおいて受信レベル区分を指定して、その指定されたディスカバリゲートを送信する。ディスカバリゲートの送信を以下では「ディスカバリ通知」とも呼ぶ。
OLT100は、指定された受信レベル区分に関連付けて、受信側SOAの利得を制御する。「受信側SOA」は、OLT100において受信された光信号を増幅するSOAであり、SOA106a〜106dのうちの少なくとも1つである。受信レベル区分が「高」である場合に、利得制御部132は、受信側SOAの利得を低下させる。一方、受信レベル区分が「低」である場合に、利得制御部132は、受信側SOAの利得を高くする。
図2は、第1の実施の形態に係る、ONU受信レベル区分とOLT受信レベル区分との間の関係を説明するための図である。図2に例示されるように、ONU受信レベルが、たとえば「弱」、「中」、「強」の3つに区分される。受信レベルの区分の数は2以上であればよく、3に限定されない。
第1の実施の形態では、ONU受信レベル区分と、OLT受信レベル区分とが1対1の関係にある。したがってOLT受信レベルも、「弱」、「中」、「強」の3つに区分される。図2中に丸で示される記号は、ONU受信レベル区分とOLT受信レベル区分との対応関係を示している。
図1に示すODN区間306が長いほど、ODN区間306において光信号が大きく減衰する。したがって、ONU受信レベル区分が「弱」であるときにはOLT受信レベル区分は「弱」である。一方、ODN区間306が短い場合には、ODN区間306において光信号の減衰が小さい。ONU受信レベル区分が「強」であるときにはOLT受信レベル区分は「強」である。
OLT受信レベルが低いほどSOAの利得が大きくされる。したがって、OLT受信レベルと、OLTの受信側SOAの利得制御区分とは互いに逆の関係にある。ONU受信レベル区分が「弱」のときには、OLT受信レベル区分は「弱」であり、SOAの利得制御区分は「強」である。一方、ONU受信レベル区分が「強」のときには、OLT受信レベル区分は「強」であり、SOAの利得制御区分は「弱」である。ONU受信レベル区分が「中」のときには、OLT受信レベル区分、SOAの利得制御区分ともに「中」である。
受信レベル区分に数値を割り当てることができる。図2に示した例では「弱」、「中」、「強」にそれぞれ「0」、「1」、「2」が割り当てられる。
図2に示した関係は、OLT100およびONU200の共通のルールとして、OLT100およびONU200が保持する。たとえばOLT100およびONU200の各々が図2に示した関係に従って動作するための仕様が予め定められていてもよい。OLT100およびONU200の各々のコントローラ(OLT制御部130およびONU制御部240)は、図2に示した関係が規定されたプログラムに従って動作してもよく、図2に従う情報をメモリ等に記憶してもよい。あるいは、OLT100およびONU200は、図示しない外部装置から図2に従う情報を受信してもよい。あるいはONU200は、OLT100から図2に従う情報を受信してもよい。
図3は、第1の実施の形態に係る、ONUの起動時の処理の一例を説明するシーケンス図である。図3に示すように、ステップS1において、ONU200への電源投入によりONU200が起動される。これにより、ONU200は、光ファイバ網(光分配ネットワーク301)に光学的に結合可能な状態となる。すなわちONU200は、光ファイバ網に接続される。
OLT100からの光信号は、光分配ネットワーク301に接続された複数のONUに分配される。ステップS2において、ONU200は、光信号の受信を確認する。ステップS3において、ONU200のRSSI回路241は、光受信器の出力に基づいて、受信レベル(RSSI)を取得する。受信レベル区分登録/保持部243は、その受信レベルに応じた受信レベル区分を登録するとともに保持する。一例として、受信レベル区分は「中」である。
図4は、第1の実施の形態に係る、ディスカバリ処理の一例を説明するシーケンス図である。図4に示すように、ステップS110において、OLT受信レベル区分を「強」に設定したディスカバリ処理が実行される。
ステップS110は、ステップS111を含む。ステップS111において、OLT100は、受信側SOAの利得を「低」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲート(Discovery Gate)メッセージを送信して、OLT100の受信レベル区分(「強」)を通知する。OLT100の受信レベル区分は、未登録のONUを登録するための条件に該当する。
ステップS11において、ONU200(未登録のONU)は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。ONU200は、ディスカバリゲートメッセージに含まれる受信レベル区分(通知された受信レベル区分)を、ONU200に登録された受信レベル区分と照合する。ONU200に登録された受信レベル区分は「中」であるので、通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当しない。したがって、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答しない。
次にステップS120において、OLT受信レベル区分を「中」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS120は、ステップS121,S122を含む。ステップS121において、OLT100は、受信側SOAの利得を「中」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の受信レベル区分(「中」)を通知する。
ステップS12において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。ONU200は、ディスカバリゲートメッセージに含まれる受信レベル区分を、ONU200に登録された受信レベル区分と照合する。通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当する。したがって、ステップS13において、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答する。
ONU200は、OLT100に対して登録要求(REG_REQ)を送信する。ステップS122において、OLT100は、ディカバリゲートメッセージに応答したONU(ONU200)を登録する。OLT100は、ONU200に、登録(Register)メッセージを送り、LLID(Logical Link ID)を通知する。OLT100は、ONU200に送信帯域および送信タイミングを通知するためのゲート(Gate)メッセージを送信する。ONU200は、登録メッセージ(Register)の受信応答(REG_ACK)をOLT100に送信する(ステップS14)。
OLT100は、登録されたONUの受信レベル区分を保持する。ONUの受信レベル区分に関する情報は、ONU情報管理部131に保持される。
続いてステップS130において、OLT受信レベル区分を「弱」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS130は、ステップS131を含む。ステップS131において、OLT100は、受信側SOAの利得を「強」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の受信レベル区分(「弱」)を通知する。
OLT100は、ステップS110,S120,S130の処理を繰り返して実行する。未登録のONUにおいて、受信レベル区分登録/保持部243は、登録された受信レベル区分が、OLT100により指定された受信レベル区分に該当するかどうかを判定する。
指定された受信レベル区分に該当するONUが、OLT100からのディスカバリ通知に対して応答する。この場合、受信レベル区分登録/保持部243は、光送信器211〜214のうちの少なくとも1つに対して送信許可を与える。ONU200は、ディスカバリ通知に対する応答の信号(登録要求)を送信する。
OLT100は、ONU200からの登録要求を受ける。ONU情報管理部131は、ONU200を、ONU200の受信レベル区分とともに登録する。OLT100は、OLT100が指定した受信レベル区分に該当するONUを登録する。これにより、OLT100は、複数の登録されたONUの各々の受信レベル区分を管理することができる。
図5は、第1の実施の形態に係る、通常処理の一例を説明するシーケンス図である。登録処理が完了した後の通常処理、すなわちOLT100とONU200との間の通信において、OLT100は、ONU200からのバースト信号を受信する。OLT100は、帯域割り当てにより、ONU200がバースト信号を送信するタイミングをONU200に対して指定する。したがって、OLT100は、ONU200がバースト信号を送信するタイミングを把握している。ステップS201において、OLT100は、OLT100が受信すべき信号を送信するであろうONUの受信レベル区分を取得する。
ステップS202において、OLT100は、信号の受信タイミングにおいて、ONU受信レベル区分に該当する、受信側SOAの利得を設定する。図2に示されるように、ONU受信レベル区分とOLT受信レベル区分とは関連付けられている。利得制御部132は、ONU情報管理部131から、ONU200の受信レベル区分に関する情報を読み出す。利得制御部132は、バースト信号の受信のタイミングに従って、受信側SOAの利得制御を実行する。
ステップS20において、ONU200は、OLT100によって指定された送信タイミングでバースト信号を送信する。ステップS203において、OLT100はバースト信号を受信する。このときにOLT100の受信側SOAは、OLT受信レベル区分に応じた利得でバースト信号を増幅する。
図6は、第1の形態に係る、ディスカバリゲートメッセージのデータ構造の一部を概略的に示した図である。図6に示すように、ディスカバリゲートメッセージ10は、項目として、OLT100が設定した受信レベル区分をOLT100から未登録のONUへ通知するためのOLT受信レベル区分11を含む。ディスカバリゲートメッセージ10におけるOLT受信レベル区分11の位置、およびOLT受信レベル区分11のデータ長は限定されるものではない。
第1の実施の形態によれば、OLT100は、バースト信号の受信に先立って受信側SOAの利得を設定できる。バースト信号が強い場合には、受信側SOAの利得を低くした状態で、OLT100はバースト信号の受信を開始できる。これにより、OLT100の光受信器に強い光が入射することを防ぐことが可能である。したがって光受信器に含まれる受光素子が損傷する可能性を低くすることができる。未登録のONUからの光信号の受信における利得制御を保証しながら、そのONUをディスカバリ処理によって登録することができる。
バースト信号の強度をOLTで検出してから受信側SOAの利得を制御するためには、高速のレベル検出回路が必要である。あるいは、特許文献3,4に示されたような、分岐素子、および信号光を遅延させるための光ファイバといった光学素子が必要である。これに対して第1の実施の形態によれば、高速のレベル検出回路あるいは追加の光学部品を不要とすることができる。したがって、OLT100の低コスト化あるいは小型化を図ることができる。さらに、光学部品の追加による挿入損失の問題も回避することができる。
<実施の形態2>
図7は、第2の実施の形態に係る光通信システムの構成例を示した図である。第1の実施の形態と比較して、第2の実施の形態ではONU200の構成が異なる。図7に示されるように、ONU200において、RSSI回路241が省略される。受信レベル区分登録/保持部243に替えて、SOA利得区分識別部244がONU200に設けられる。
SOA利得区分識別部244は、登録処理に関する履歴を保持する。SOA利得区分識別部244は、ONU200の受信レベル区分と、ディスカバリに応答した結果(成功または失敗)とを関連付ける。
ONU200は、ONU受信区分を変化させて登録処理を試みる。一例として、ONU200の受信レベル区分は、「強」、「中」、「弱」である。第2の実施の形態に係る、ONU受信レベル区分とOLT受信レベル区分との間の関係は、第1の実施の形態の関係と等しくすることができる(図2を参照)。
図8は、第2の実施の形態に係る、ONUの起動時の処理の一例を説明するシーケンス図である。図8に示したステップS1,S2の処理は、図3に示した対応する処理と同じである。ステップS3Aにおいて、ONU200は、ONU受信レベル区分の初期設定を行う。ONU200の受信区分の初期設定は「強」である。SOA利得区分識別部244は、ONU受信レベル区分として「強」を仮登録する。
図9は、第2の実施の形態に係る、ディスカバリ処理(ONUの登録が失敗)の一例を説明するシーケンス図である。図9に示したように、ステップS110において、OLT受信レベル区分を「強」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS111において、OLT100は、受信側SOAの利得を「低」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の受信レベル区分(「強」)を通知する。
ステップS31において、未登録のONU(ONU200)は、ディスカバリゲートメッセージを受信して、ディスカバリゲートメッセージに含まれる受信レベル区分(通知された受信レベル区分)を、ONU200に仮登録された受信レベル区分と照合する。ONU200に登録された受信レベル区分は「強」であるので、通知された受信レベル区分は、登録された受信レベル区分に該当する。
ステップS32において、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答して、OLT100に対して登録要求(REG_REQ)を送信する。
OLT100は、ステップS112において、ONU200からの応答を受信する。
実際の受信レベルが「中」である場合、実際の受信レベルはONUの受信レベル区分(=「強」)に一致しない。この場合、OLT100は、ONU200からの光信号を適切なSOA利得で受信することができず、受信に失敗する(ステップS113)。
次にステップS120において、OLT受信レベル区分を「中」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS121において、OLT100は、受信側SOAの利得を「中」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の受信レベル区分(「中」)を通知する。
ステップS33において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当しない。したがって、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答しない。
続いてステップS130において、OLT受信レベル区分を「弱」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS131において、OLT100は、受信側SOAの利得を「高」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の受信レベル区分(「弱」)を通知する。
ステップS34において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当しない。したがって、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答しない。
ステップS31〜S34の一連の処理の結果、ONU200は、ディスカバリ処理が失敗したと判断する。OLT100は、S110〜S130の一連の処理を繰り返す。未登録のONU200の仮登録された受信レベル区分は「強」であるので、S110〜S130の処理が繰り返されるごとに、ONU200は、ディスカバリ処理が失敗したと判断する。
上述したディスカバリ処理の失敗が4回繰り返される。ディスカバリ処理の失敗の総回数が5回に達する。したがって、OLT100は、ONU200を登録しない。すなわちOLT100におけるONU200の登録は失敗する(ステップS140)。ONU200は、登録処理の失敗により、受信レベル区分を1段階変更する。受信レベル区分は「強」から「中」に変更される(ステップS40)。
ディスカバリ処理では登録されていない複数のONUが同時に応答する可能性がある。この場合、それらの複数のONUからの応答メッセージが衝突して、OLT100がその応答メッセージを受信することができない。したがって、ディスカバリ処理が失敗した場合でも、同じ受信レベル区分でディスカバリ処理を繰り返している。ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信し、ランダムの遅延時間の後に応答する。このため、ディスカバリ処理を繰り返すことによって、メッセージの衝突を回避することができる。
図10は、第2の実施の形態に係る、ディスカバリ処理(ONUの登録が成功)の一例を説明するシーケンス図である。図10に示すように、ステップS110において、OLT受信レベル区分を「強」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS111において、OLT100は、受信側SOAの利得を「低」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の受信レベル区分(「強」)を通知する。
ステップS51において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信して、ディスカバリゲートメッセージに含まれる受信レベル区分(通知された受信レベル区分)を、ONU200に登録された受信レベル区分と照合する。ONU200に登録された受信レベル区分は「中」であるので、通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当しない。したがって、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答しない。
次にステップS120において、OLT受信レベル区分を「中」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS121において、OLT100は、受信側SOAの利得を「中」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の受信レベル区分(「中」)を通知する。
ステップS52において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信して、ディスカバリゲートメッセージに含まれる受信レベル区分を、ONU200に登録された受信レベル区分と照合する。ディスカバリゲートメッセージによって通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当する。したがって、ステップS53において、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答する。
ステップS122において、OLT100は、ONU200からの応答を受信する。実際の受信レベルは「中」であるので、ONUの受信レベル区分に一致する。この場合、OLT100は、ONU200からの光信号を適切なSOA利得で受信することができるので、受信に成功する(ステップS122)。OLT100は、ONU200を登録する(ステップS123)。ONU200を登録するための処理は、上述した処理と同じであるので説明を繰り返さない。ONU200の登録が完了する(ステップS54)。
ONU200は、登録処理に複数回失敗した場合に、現在の受信区分が不適切であると判断する。この場合、ONU200は、受信レベル区分を「強」から「中」、あるいは「中」から「弱」へと変更して、登録処理を再度試みる。
ONU200における受信レベル区分の変更は、SOA利得区分識別部244に記憶された受信レベル区分の情報に基づく。OLT100およびONU200の各々は、登録処理に成功した段階において、受信レベル区分を確定させる。ONU200において、SOA利得区分識別部244は確定された受信レベル区分を記憶することができる。
第2の実施の形態によれば、ONU側に、ONUの受信強度をモニタするための回路(RSSI回路)を実装しなくてもよい。したがって、ONUの構成を簡素化することができる。
第2の実施の形態によれば、ONUは、必ず、SOA利得の低いほうから順に、ディスカバリ通知に対する応答を試みる。OLT100は、応答が成功となるディスカバリ処理において指定された受信レベル区分を、未登録のONUの受信レベル区分として設定する。したがって、OLT100の受信器がONUからの光によって損傷する可能性を低くすることができる。
第1の実施の形態と同様に、OLTのSOA利得区分およびONUの受信レベル区分の設定および変更の順序は、OLT100およびONU200の共通のルールとして、OLT100およびONU200が保持することができる。
<実施の形態3>
第3の実施の形態に係る光通信システムの構成は、基本的に、第1の実施の形態に係る光通信システムの構成と同様である(図1を参照)。第3の実施の形態では、ONU受信レベル区分に対して、登録処理を試みるOLT受信区分との対応表が使用される。この対応表は、たとえばマッピング情報として、OLT100の内部、たとえば光トランシーバのメモリに記憶される。OLT100はマッピング情報をONUに通知する。したがってOLT100のSOAの特性に関する情報をOLT100とONUとの間で共有できる。これにより、OLT100のSOAの特性に応じて受信レベル区分を最適に設定することができる。たとえば増幅器の特性の個体差を考慮した利得制御を実現することができる。
図11は、第3の実施の形態に適用可能なマッピング情報の一例を概略的に示した図である。図11に示すように、1つのONU受信レベル区分に、複数(たとえば2つ)のOLT受信レベル区分が対応づけられる。この点において第3の実施の形態は第1および第2の実施の形態と異なる。
ONU受信レベル区分の隣り合う2つの区分では、OLT受信レベル区分の候補が重なり合う。図11に示した例では、ONU受信レベル区分の「強」にOLT受信レベル区分「強」および「中強」が対応し、ONU受信レベル区分の「中」にOLT受信レベル区分「中強」および「中弱」が対応する。したがって、OLT受信レベル区分「中強」が重なり合った候補である。
ONU200におけるRSSIの検出には誤差が含まれる可能性がある。したがって、ONU受信レベル区分とOLT受信レベル区分とが厳密に一致しない可能性がある。1つのONU受信レベル区分に、複数(たとえば2つ)のOLT受信レベル区分が対応付けることによって、各々のONU受信レベル区分に対して、より適したOLT受信レベル区分を対応付けることができる。
第1の実施の形態と同じく、ONU200のRSSI回路241は、ONU200の受信レベルをモニタする。ONU受信レベルは、たとえば「強」、「中」、「弱」に区分される。受信レベル区分登録/保持部243は、RSSI回路241によってモニタされたONU受信レベル区分を登録する。
第3の実施の形態では、1つのONU受信レベル区分に対して複数のSOA利得が対応付けられている。ONUは、SOA利得の低いほうからディスカバリ応答を試みる。
図12は、第3の形態に係る、ディスカバリゲートメッセージのデータ構造の一部を概略的に示した図である。図12に示されるように、ディスカバリゲートメッセージ10は、項目として、OLT受信レベル区分11およびマッピング情報12を含む。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信することによって、OLT100のSOAの特性に関する情報(マッピング情報)をONUと共有する。
図13は、第3の実施の形態に係る、ディスカバリ処理の一例を説明する第1のシーケンス図である。図14は、図13に示した処理に続く処理を説明する第2のシーケンス図である。
図13に示したように、ステップS81において、未登録のONUは、RSSIのモニタ結果に基づいて、ONU受信レベル区分を登録する。この例では、ONU受信レベル区分=1(「中」)が登録される。
ステップS110において、OLT受信レベル区分を「強」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS111において、OLT100は、受信側SOAの利得を「低」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、マッピング情報とともにOLT100の受信レベル区分=0(「強」)を通知する。
ステップS82において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信して、ディスカバリゲートメッセージに含まれる受信レベル区分(通知された受信レベル区分)を、ONU200に登録された受信レベル区分と照合する。ONU200に登録された受信レベル区分は「中」であるので、通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当しない。したがって、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答しない。
次にステップS150において、OLT受信レベル区分を「中強」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS150は、ステップS151,S152を含む。ステップS151において、OLT100は、受信側SOAの利得を「中低」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、マッピング情報とともに、OLT100の受信レベル区分=1(「中強」)を通知する。
ステップS83において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当する。したがって、ステップS84において、ONU200は登録要求(REG_REQ)メッセージを送信して、ディスカバリ処理に応答する。第3の実施の形態では、登録要求メッセージはONU受信レベル区分も含む。上述の場合においては、ONU受信レベル区分は「1」(すなわち「中」)である。
ステップS152において、OLT100は登録要求メッセージの受信に成功する。OLT100は、ONU200を即座には登録せずに、ONU200の登録の可否を評価する。評価の一実施形態として、OLT100は、ONU200からのメッセージに対する誤り訂正処理における訂正頻度を確認する。さらに、OLT100は、その訂正頻度が閾値以下であるかどうかを判断する。訂正頻度が閾値よりも大きい場合には、OLT100は、ONU200の登録を保留する。OLT100は、その訂正頻度を記録する。
OLT100は、OLT受信レベル区分を次の順に従う区分に設定する。この場合、OLT受信レベル区分は「0」(「強」)から「1」(「中強」)に変更される。さらに、OLT100は、ゲートメッセージをONUに送信する。ゲートメッセージは、LLID、ONU受信レベル区分(この場合は「1」(「中」)、およびOLT受信レベル区分(この場合は「1」(「中強」)を含む。さらにゲートメッセージは登録保留をONU200に通知する。
ステップS85において、ONU200は、応答OLT受信レベル区分を「2」(「中弱」)に変更する。ONU200は、応答メッセージ(REG_ACK)をOLTに送信する。応答メッセージはLLIDおよび登録保留の情報を含む。
次に図14に示したシーケンスに従って処理が実行される。ステップS160において、OLT受信レベル区分を「中弱」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS160は、ステップS161,S162,S163を含む。ステップS161において、OLT100は、受信側SOAの利得を「中高」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、マッピング情報とともにOLT100の受信レベル区分=2(「中弱」)を通知する。
ステップS86において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信して、ディスカバリゲートメッセージに含まれる受信レベル区分(通知された受信レベル区分)を、ONU200に登録された受信レベル区分と照合する。ONU200に登録された受信レベル区分は2(「中弱」)であるので、通知された受信レベル区分は、ONUに登録された受信レベル区分に該当する。したがって、ONUは登録要求(REG_REQ)メッセージを送信して、ディスカバリ処理に応答する。登録要求メッセージにより、ONU受信レベル区分「2」(すなわち「中弱」)がOLT100に通知される。
ステップS162において、OLT100は登録要求メッセージの受信に成功する。OLT100は、ONU200の登録の可否を評価する。OLT100は、誤り訂正処理における訂正頻度を確認する。訂正頻度が閾値より小さい場合、または、すべての対象のOLT受信レベル区分の訂正頻度の記録が完了した場合には、最適区分を決定する(ステップS163)。
たとえば訂正頻度が閾値よりも小さいとする。OLT100は、ゲートメッセージをONU200に送信する。この場合のゲートメッセージにおいて、ONU受信レベル区分が「1」(「中」)に設定されるとともに、OLT受信レベル区分が「2」(「中弱」)に設定される。ゲートメッセージは、さらに、登録完了をONU200に通知するための情報を含む。
ONU200は、ゲートメッセージを受信して、LLIDおよび登録完了の情報を含む応答メッセージ(REG_ACK)をOLT100に送信する(ステップS87)。これにより、OLT受信レベル区分「2」(「中弱」)およびONU受信レベル区分「1」が登録される。
図13、図14に示した例では、OLT受信レベル区分が「1」、「2」の順に変更されて、OLT受信レベル区分「2」が最適区分として確定される。しかしながら、OLT受信レベル区分が「1」から「2」に変更された後に「1」に戻される場合もあり得る。この場合、OLT受信レベル区分「1」が最適区分として確定される。このようなシーケンスについて、図15および図16を参照しながら説明する。
図15は、第3の実施の形態に係る、ディスカバリ処理の別の例を説明する第1のシーケンス図である。図16は、図15に示した処理に続く処理を説明する第2のシーケンス図である。図15に示したステップS160,S161,S162の処理(OLT100側)およびステップS86の処理(ONU200側)は、図14に示した処理と同じである。ステップS162において、ONU200の登録の可否が評価される。誤り訂正処理における訂正頻度が閾値より小さい場合、すべての対象のOLT受信レベル区分の訂正頻度の記録が完了した場合、または、ONU200の登録要求(REG_REQ)において、区分評価完了を示すフラグが設定される(区分評価完了フラグ=「1」)場合のいずれかにおいて、最適区分が決定される。ONU200の区分評価完了フラグは、1回目の区分評価の処理と区別するためのフラグであり、OLT100に通知される。
図15に示すシーケンスでは、OLT受信レベル区分が変更されたものの、ディスカバリ通知に対するONU200からの応答メッセージがOLT100に返らないことが連続する。すなわちOLT100における受信が失敗する(ステップS164)。
OLTの受信が複数回(たとえば5回)連続して失敗した場合、ONU200はOLT受信レベル区分を「1」(「中強」)に戻す(ステップS88)。1回目の区分評価の処理と区別するため、ONU200は区分評価完了フラグをOLT100に通知する。
図16を参照して、ステップS170において、OLT受信レベル区分を「中強」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS170は、ステップS171,S172を含む。ステップS171において、OLT100は、受信側SOAの利得を「中低」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、マッピング情報とともに、OLT100の受信レベル区分=1(「中強」)を通知する。
ステップS91において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。通知された受信レベル区分は、ONU200に登録された受信レベル区分に該当する。したがって、ステップS92において、ONU200は登録要求(REG_REQ)メッセージを送信して、ディスカバリ処理に応答する。
ステップS172において、OLT100は登録要求メッセージの受信に成功する。OLT100は、ONU200の登録の可否を評価する。OLT100は、誤り訂正処理における訂正頻度を確認する。訂正頻度が閾値より小さい場合、すべての対象のOLT受信レベル区分の訂正頻度の記録が完了した場合、または、区分評価完了を示すフラグが設定される(区分評価完了フラグ=「1」)場合のいずれかの場合に、最適区分が決定される。
区分評価完了を示すフラグが設定されているので、これまでのOLT受信レベル区分の訂正頻度を比較して最適区分が決定される。ONU200が完了フラグを立てて応答しているため、OLT100は訂正頻度が取得されている区分で最適区分を選択する。すなわち、「1」および「2」のOLT100の受信レベル区分の中から最適区分が決定される。この場合、OLT100の受信レベル区分=「2」が最適区分である。OLT100は、ゲートメッセージをONU200に送信する。この場合のゲートメッセージは、ONU受信レベル区分「1」(「中」)、およびOLT受信レベル区分「1」(「中強」)を含む。さらにゲートメッセージは登録完了をONUに通知する。ONU200は、LLIDおよび登録保留の情報を含む応答メッセージ(REG_ACK)をOLT100に送信する(ステップS93)。これにより、OLT受信レベル区分「1」(「中強」)およびONU受信レベル区分「1」が登録されて、登録が完了する。
先にOLTが受信に成功した区分に、OLT受信レベル区分を戻したにもかかわらず、OLT100において受信が失敗する可能性がある。このような場合には、残っている対象区分の範囲内で区分を戻す処理が続けられる。
ONU200は、OLT100から通知された情報(図11に例示したマッピング情報)に基づいて、該当するOLT受信レベル区分を含むディスカバリに応答する。第2の実施の形態と同じく、ONU200は、OLT受信レベル区分を「強」、「中強」、「中弱」、「弱」の順に評価する。すなわち、ONU受信レベル区分の初期設定は「強」である。ONUが、SOA利得の低いほうから順に、ディスカバリ通知に対する応答を試みるので、OLT100の受信器がONUからの光によって損傷する可能性を低くすることができる。
図17は、第3の実施の形態に係るマッピング情報の他の例を示した図である。図17に示したマッピング情報に比べて、ONU受信レベルは、より多くの区分に分けられる。たとえばSOAの特性に応じてマッピング情報を設定することができる。図17の例では、ONU受信レベルは「0」から「7」までの8つの区分がある。ONU受信レベル区分の「0」から「4」の各々が、OLT受信レベル区分「3」に関連付けられる。
<実施の形態4>
図18は、第4の実施の形態に係る光通信システムの構成例を示した図である。第1の実施の形態と比較して、第4の実施の形態ではOLT100の構成が異なる。図18に示されるように、OLT100において、送信パワーモニタ部133が追加される。送信パワーモニタ部133は、OLT100から送信される光信号の強度(送信信号強度)をモニタする回路である。OLT100の他の部分の構成には、図1に示された対応する部分の構成を同じである。
OLT100の受信パワーをOLT_Rx_Powと表し、ONU200の受信パワーをONU_Rx_Powと表す。ONU_Rx_Powの値はRSSI回路241によって検出される。
第1から第3の実施の形態では、ONU200の受信レベル区分は、ONU200の受信パワー(ONU_Rx_Pow)に基づいて設定される。第1から第3の実施の形態では、ONU200の受信レベル区分に基づいてOLT100の受信レベル区分が推定されて、その推定された受信レベル区分に基づいてSOAの利得が制御される。第1から第3の実施の形態によれば、OLT100は、ONU200の受信パワーから、ONU200の受信レベルを直接把握することができる。
ONU200の受信パワー(ONU_Rx_Pow)は、たとえば図1に示すように、RSSI回路241によってモニタすることができる。このような制御は、OLT_Rx_Pow=ONU_Rx_Pow+A(Aは定数)という関係に基づく。したがって、ONU_Rx_PowからOLT100の受信パワーを推定することができる。
第4の実施の形態では、光ファイバの線路損失に基づいてONU200の受信レベル区分が設定される。OLT100の送信パワーをOLT_Tx_Powと表し、ONU200の送信パワーをONU_Tx_Powと表し、OLT100とOLT200との間の線路損失をLossと表すと、以下の関係が成立する。なお、上り波長および下り波長により、上りの線路損失と下りの線路損失とが異なることが起こり得る。しかし、理解を容易にするため、以下の説明では、上りと下りとでは線路損失は同じであるとする。
Loss=OLT_Tx_Pow−ONU_Rx_Pow (1)
OLT_Rx_Pow=ONU_Tx_Pow−Loss (2)
式(1)は、線路損失Lossが、OLT100の送信パワーとONU200の受信パワーとの差分に相当することを表す。式(2)は、OLT100の受信パワーが、ONU200の送信パワーと線路損失との差分に相当することを表す。
OLT_Tx_Powがほぼ一定であるとする。式(1)から理解されるように、線路損失が大きければONU200の受信パワーは小さくなり、線路損失が小さければONU200の受信パワーは大きい。すなわち線路損失とONU200の受信パワーとの間には相関がある。したがって、光ファイバの線路損失に基づいてONU200の受信レベル区分を推定して、その推定した区分をONU200の受信レベル区分として設定することができる。
式(1)および式(2)から以下の式(3)が成立する。
OLT_Rx_Pow=ONU_Rx_Pow+(ONU_Tx_Pow−OLT_Tx_Pow) (3)
第1から第3の実施の形態では、(ONU_Tx_Pow−OLT_Tx_Pow)を、定数Aとして扱う。第4の実施の形態では、ONU200のRSSI回路241がONU_Rx_Powを測定するとともに、OLT100の送信パワーモニタ部133がOLT_Tx_Powを測定する。第4の実施の形態によれば、OLT_Rx_Powの推定の精度を高めることができる。
ONU_Tx_Powは、既知の値であってもよい。あるいは、図19に示すように、ONU200において、ONU_Tx_Powを測定してもよい。ONU200は、ONU200の送信パワーを測定するための送信パワーモニタ部245を含む。
ONU200はバースト送信により光信号を送信する。このため、ONU200が一度発光するまでは、送信パワーモニタ部245は、ONU_Tx_Powの測定に使用することができない。送信パワーモニタ部245の測定値をONU_Tx_Powの値として使用するために、たとえば以下の方法が用いられる。まず、ONU_Tx_Powの初期値として仕様値が採用される。ONU200の発光後に送信パワーモニタ部245の測定値が取得される。初期値に対する測定値の差が大きい(閾値を超える)場合に、ONU_Tx_Powの値が、初期値から送信パワーモニタ部245によって測定された値へと切り換えられる。なお、初期値に対する測定値の差が小さい(閾値未満)場合には、初期値をそのまま用いることができる。
図20は、第4の実施の形態に係る、ONUの起動時の処理の一例を説明するシーケンス図である。図20に示したシーケンスは、基本的には、図3に示したシーケンスと同じである。図20に示したシーケンスは、以下の点において、図3に示したシーケンスと相違する。
ステップS1Aにおいて、OLT100は、送信パワーモニタ情報、すなわちOLT_Tx_Powの値を取得する。図18および図19に示されるように、送信パワーモニタ部133がOLT100の送信パワーをモニタして送信パワーモニタ情報を取得する。
ONU200は、ステップS3において、受信レベル(RSSI)を取得する。ONU200のRSSI回路241は、光受信器の出力に基づいて、ONU200の受信パワーの情報、すなわちONU_Rx_Powの値を取得する。
OLT100は、OLT100の送信パワーモニタ情報をディスカバリゲートメッセージに含めて、そのディスカバリゲートメッセージを送信する。ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。
ステップS3Aにおいて、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージに含まれるOLT_Tx_Powの値、RSSI回路241によって取得されたONU_Rx_Powの値を式(1)に適用して線路損失(Loss)を計算する。ONU200は、その計算された値に基づいて線路損失の区分を決定し、その区分をONU200の内部に登録する。受信レベル区分登録/保持部243は、受信レベル区分として、線路損失の区分を保持する。
図21は、第4の実施の形態に係る、ディスカバリ処理の一例を説明するシーケンス図である。図21に示したシーケンスは、基本的には、図4に示したシーケンスと同じであるが、「受信レベル区分」との用語は「線路損失区分」に置き換えられている。
ステップS110において、OLT100側の線路損失区分を「小」に設定したディスカバリ処理が実行される。線路損失が小さい場合には、OLT100に入力される光信号のパワーが大きい可能性がある。そこでステップS111において、OLT100は、受信側SOAの利得を「低」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の線路損失区分(「小」)を通知する。
ステップS11において、ONU200(未登録のONU)は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。ONU200は、ディスカバリゲートメッセージに含まれる線路損失区分(通知された受信レベル区分)を、ONU200に登録された線路損失区分と照合する。ONU200に登録された線路損失区分は「中」であるので、通知された線路損失区分は、ONU200に登録された線路損失区分に該当しない。したがって、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答しない。
ステップS120において、OLT線路損失区分を「中」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS121において、OLT100は、受信側SOAの利得を「中」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の線路損失区分(「中」)を通知する。
ステップS12において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。ONU200は、ディスカバリゲートメッセージに含まれる線路損失区分を、ONU200に登録された線路損失区分と照合する。通知された線路損失区分は、ONU200に登録された線路損失区分に該当する。したがって、ステップS13において、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答する。ONU200を登録するための以後の処理は、図4に示した処理と同様である。なお、ステップS122において、OLT100のONU情報管理部131は、ディカバリゲートメッセージに応答したONU(ONU200)の線路損失区分に関する情報を登録する。
続いてステップS130において、OLT線路損失区分を「大」に設定したディスカバリ処理が実行される。ステップS131において、OLT100は、受信側SOAの利得を「強」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージを送信して、OLT100の線路損失区分(「大」)を通知する。
上記実施の形態1〜4から理解されるように、ONUの受信レベル区分を決定するために必要な情報は、特定の情報に限定されるものではない。ONUが受信した光信号の強度を直接示す情報でもよく、ONUが受信した光信号の強度を推定することができる情報のいずれであっても、本発明の実施の形態ではONUの受信レベル区分を決定することができる。これにより、OLTにおいて、そのONUからの光信号の受信における利得制御を保証することができるだけでなく、そのONUを登録することができる。
なお、第1から第3の実施の形態の各々の変形例において、線路損失に基づいて受信レベル区分を設定してもよい。この場合、第1から第3の実施の形態の各々における「受信レベル区分」として「線路損失区分」を用いることができる。さらに「受信レベル区分」のうちの区分「強」は、「線路損失区分」における区分「小」に置き換えられるとともに「受信レベル区分」のうちの区分「弱」が「線路損失区分」の区分「大」に置き換えられる。
<実施の形態5>
第5の実施の形態に係る光通信システムは、図1、図7、図18および図19のいずれかに示した構成と同じ構成を有することができる。
第5の実施の形態では、ONUの受信レベル区分がONUの受信レベル(RSSI)の範囲によって定義される。したがってONUの受信レベル区分は、受信レベルの最大値および受信レベルの最小値を有する。
図22は、第5の実施の形態に係る、ONUの受信レベル区分の設定を示した図である。図22に示すように、ONUの受信レベルの範囲内で最大値および最小値が設定される。受信レベルの最大値および受信レベルの最小値によって、ディスカバリ処理の対象となる受信レベル区分が設定される。
ONUの受信レベル区分の最大値および最小値はともに可変である。図22に示した例では、受信レベル区分の数は1つであり、その受信レベル区分の最大値および最小値が可変である。図22には、最大値および最小値が同時に変更される例が示される。しかし、最大値および最小値のいずれか一方のみが変更されるのでもよい。1つの受信レベル区分に対する受信レベルの範囲を任意に設定することができる。
ONUの受信レベル区分は、OLT100により設定される。詳細には、OLT100は、受信レベル区分の最大値および最小値をディスカバリゲートメッセージに含める。したがって、受信レベル区分の最大値および最小値は、ディスカバリゲートメッセージによって、OLT100からONU200に通知される。
図23は、第5の実施の形態に係るディスカバリメッセージの一例を示した模式図である。図23に示すように、ディスカバリゲートメッセージ10は、項目として、区分最大値11Aおよび区分最小値11Bを含むことができる。区分最大値11Aおよび区分最小値11Bは、第1の実施の形態に係るOLT受信レベル区分11に相当する。
ONU200が起動されると、ONU200は、自己の受信レベルをモニタする。ディスカバリ処理の実行時に、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージをOLT100から受信する。ONU200は、ディスカバリゲートメッセージによって通知された区分最大値11Aおよび区分最小値11Bを、ONU200の受信レベルと比較する。ONU200の受信レベルが、区分最大値11Aと区分最小値11Bとの間にある場合、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージに対して応答する。OLT100は、ONU200からの応答により、ONU200を登録する。したがって第1の実施の形態1と同様に、OLT100は、ディスカバリ処理において、受信レベル区分に該当する宅側装置を登録することができる。
図24は、第5の実施の形態に係る、ONUの起動時の処理の一例を説明するシーケンス図である。ステップS1において、ONU200への電源投入によりONU200が起動される。これにより、ONU200は、光ファイバ網に接続される。ステップS2において、ONU200は、光信号の受信を確認する。ステップS3において、ONU200は、受信レベルを測定する。RSSI回路241は、光受信器の出力に基づいて、受信レベル(RSSI)を取得する。受信レベル区分登録/保持部243は、その受信レベルの値(測定値)を保持する。
図25は、第5の実施の形態に係る、ディスカバリ処理の一例を説明するシーケンス図である。図25に示すシーケンスは、基本的には、図4に示したシーケンスと同じである。第5の実施の形態では、OLT100によって、受信レベルの範囲が変更される。図25に示した例では、ONU200の受信レベルは、第1の実施の形態における「中」の受信レベル区分に相当するレベルであるとする。
ステップS110において、OLT受信レベル区分の範囲が設定される。OLT受信レベル区分は、第1の実施の形態では、「強」に相当する。ステップS111において、OLT100は、受信側SOAの利得を「低」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートにより、受信レベル区分をONU200に通知する。ディスカバリゲートメッセージは、上記の通り、ディスカバリゲートメッセージは、区分最大値11Aおよび区分最小値11Bを含む。
ステップS11において、ONU200は、ONU200の受信レベル(図24を参照)の測定値と、OLT100から通知された受信レベル区分とを照合する。ONU200の受信レベルが、受信レベル区分に該当する範囲から外れている場合、ONU200の受信レベルが、OLT100によって通知された受信レベル区分に該当しない。したがってONU200は、ディスカバリゲートメッセージには応答しない。
ステップS120において、OLT100は、受信レベル区分の範囲を設定する。ステップS120において設定された受信レベル区分は、第1の実施の形態における受信レベル区分「中」に相当する。ステップS121において、OLT100は、受信側SOAの利得を「中」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートにより、受信レベル区分をONU200に通知する。
ステップS12において、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージを受信する。ONU200は、ONU200の受信レベル(図24を参照)と、OLT100から通知された受信レベル区分とを照合する。ONU200の受信レベルが、受信レベル区分に該当する範囲に含まれるので、ONU200の受信レベルが、OLT100によって通知された受信レベル区分に該当する。したがって、ステップS13において、ONU200はディスカバリゲートメッセージに応答する。
ステップS13において、ONU200は、OLT100に対して登録要求(REG_REQ)を送信する。ステップS122において、OLT100は、ディカバリゲートメッセージに応答したONU(ONU200)を登録する。OLT100は、ONU200に送信帯域および送信タイミングを通知するためのゲート(Gate)メッセージを送信する。ステップS14において、ONU200は、登録メッセージ(Register)の受信応答(REG_ACK)をOLT100に送信する。これにより登録が完了する。
ステップS130において、OLT100は、受信レベル区分の範囲を設定する。ステップS130において設定された受信レベル区分は、第1の実施の形態における受信レベル区分「弱」に相当する。ステップS131において、OLT100は、受信側SOAの利得を「強」に設定する。OLT100は、ディスカバリゲートメッセージにより、受信レベル区分をONU200に通知する。
第5の実施の形態において、受信レベル区分の最大値および最小値を決定するための方法は特に限定されない。最大値および最小値は、予め定められた値であってもよい。一実施形態では、第4の実施形態と同様に、光ファイバの線路損失に基づいて受信レベル区分を設定することができる。その場合、区分最大値および区分最小値を、光ファイバの線路損失に基づいて設定することができる。OLT100の送信パワーとONU200の受信パワーとの間の差分を光ファイバの線路損失としてもよい。
<実施の形態6>
第6の実施の形態では、ONU受信レベルに、複数(たとえば2つ)の受信レベル区分が対応づけられる。ONUは、SOA利得の低いほう、すなわち受信レベル区分の高いほうからディスカバリ応答を試みる。
図26は、第6の実施の形態に係る、ONUの受信レベル区分の設定を示した図である。第5の実施の形態と同じく、ONUの受信レベルの範囲内で受信レベルの最大値および受信レベルの最小値が設定される。これによって受信レベル区分が設定される。
図26は、第1の区分および第2の区分を例示する。OLT100は、受信レベル区分を、第1の区分から、第2の区分へと変化させる。たとえば1回目のディスカバリ処理では、受信レベル区分が第1の区分に設定され、2回目のディスカバリ処理では、受信レベル区分が第2の区分に設定される。第1の区分の範囲と第2の区分の範囲は、一部どうしが互いに重なり合う。
図27は、第6の実施の形態に係る、ディスカバリ処理を説明するための模式図である。図27に示すように、受信レベル区分が、第1の区分、第2の区分、第3の区分の順に繰り返して設定される。1つの周期内で受信レベル区分を、第1の区分、第2の区分、第3の区分と順次切り替えてもよい。第1の区分の最大値は、第2の区分の最大値よりも大きい。第2の区分の最大値は、第3の区分の最大値よりも大きい。受信レベルが高いほうから低いほうへと変化するように受信レベル区分が設定される。この場合、SOA利得は低いほうから高いほうへと切り替わる。
第1の区分の一部と第2の区分の一部とが互いに重なり合う。同様に、第2の区分の一部と第3の区分の一部とが互いに重なり合う。したがって第2の区分の最大値が第1の区分の最小値よりも大きい。さらに、第3の区分の最大値が第2の区分の最小値よりも大きい。第1の区分の最小値は、第3の区分の最大値よりも大きい。したがって第1の区分と第3の区分とは重ならない。
図28は、OLTによりONUの受信レベル区分の決定を説明するための図である。図28において、「Yes」は、ONU受信レベルが、OLTにより設定された区分に該当することを意味する。「No」は、ONU受信レベルが、区分に該当しないことを意味する。
図27および図28を参照して、ONU受信レベルが第1の区分に該当する一方、第2および第3の区分に該当しない場合、受信レベル区分は第1の区分に設定される。
ONU受信レベルが第1の区分および第2の区分に該当する一方、第3の区分に該当しない場合、ONU受信レベルは、第1の区分と第2の区分とが重なり合う範囲内にある。ONU200は、受信レベルが高いほうの区分が設定されたときのディスカバリ処理において、OLT100に対して応答する。この場合、ONU200は、第1の区分が設定されたときのディスカバリ処理において、OLT100に対して応答する。したがって、受信レベル区分が第1の区分に設定される。
ONU受信レベルが第2の区分に該当する一方、第1の区分および第3の区分に該当しない場合、受信レベル区分は第2の区分に設定される。
ONU受信レベルが第2の区分および第3の区分に該当する一方、第1の区分に該当しない場合、ONU受信レベルは、第2の区分と第3の区分とが重なり合う範囲内にある。ONU200は、受信レベルが高いほうの区分が設定されたときのディスカバリ処理において、OLT100に対して応答する。したがって、受信レベル区分は第2の区分に設定される。
ONU受信レベルが第3の区分に該当する一方、第1の区分および第3の区分に該当しない場合、受信レベル区分は第3の区分に設定される。
ONU受信レベルが第1から第3の区分の各々に該当するか否かの判断は、上述した1つの周期内で実行することができる。
第6の実施の形態では、受信レベル区分は、受信レベルの最大値および最小値により決定される。したがって、受信レベルを複数回設定する代わりに、最大値および最小値を複数回設定してもよい。たとえば第1〜第3の区分に代えて、最大値および最小値の3つの組を設定することができる。第1の組、第2の組および第3の組は、それぞれ第1〜第3の区分に対応する。したがって、第1の組の最小値よりも第2の組の最大値が大きく、第2の組の最小値よりも第3の組の最大値が大きくてもよい。
ONUにおいて受信レベルがモニタされる際に、受信レベルの誤差あるいは変動が生じる可能性が考えられる。第6の実施の形態によれば、このような場合であっても、ONUが登録されない可能性を低減することができる。
ディスカバリ処理を実行する際には、最大値の大きい順に、受信レベル区分がONUに通知されてもよい。OLT100での光信号の受信時において、OLT100のダメージ(SOAあるいはAPDのダメージ)を低減することができる。
<実施の形態7>
実施の形態7では、OLTは、OLTの受信部の利得のレベルを、各ONUに対応付けて登録する。ONUは、ディスカバリメッセージに応答するか否かの判断を、ONU自身の受信レベル区分とは独立に実行する。ONUは、ONU自身の受信レベルを測定してもよい。しかし、実施の形態7では、受信レベルの測定は、ディスカバリ処理にとって必須ではない。ONU側の受信機能に不具合が発生したことにより、ONUで光信号の受信レベルの精度が低下すること、あるいは受信機能が使用不能となることも考えられる。ONUによって測定された受信レベルがディスカバリ処理に必須ではないので、このような問題を解決することができる。
図29は、ディスカバリ処理およびSOAの利得の間の関係を示した図である。OLT100は、一定の周期でディスカバリ処理のための時間窓(ディスカバリウィンドウ20)を開く。OLT100は、ディスカバリウィンドウ20を開くたびにSOAの利得を切り替える。SOAの利得は、低いほうから高いほうへと変化する。
図29は、SOAの利得が3段階のレベル(小、中、大)を有する例を示している。OLTの受信レベル区分は、強、中、弱の順に変化する。したがってSOAの利得のレベルは、小、中、大、小、中、・・・と繰り返し変化する。
未登録のONUは、OLT100からディスカバリゲートメッセージが送信されるたびに、登録要求(Register request)を送信することができる。しかし、ONUは自身の受信レベルを認識していない。
たとえば、タイミングt1において、1つのONUがPON回線に接続されたとする。そのONUとOLT100との間の距離が短い場合、OLT100がそのONUから受ける光信号のパワーは大きい。タイミングt1の次のディスカバリウィンドウでは、SOAの利得のレベルが大であるので、ONUがディスカバリゲートに応答することにより、OLT100の光受信器が損傷する可能性がある。
図30は、第7の実施の形態に係る、ディスカバリ処理の一例を説明するシーケンス図である。図30に示すように、OLT100は、ディスカバリゲートメッセージに、SOAの利得レベルに応じた識別番号iを含める。たとえばi=1,2,3は、それぞれ、SOA利得のレベル(利得区分)がLV1(小)、LV2(中)、LV3(大)であることを示す。識別番号iは、OLTの受信レベル区分に応じた番号でもよい。この場合、i=1,2,3は、それぞれ、OLTの受信レベル区分が強、中、弱であることを示す。
ONUは、すべてのディスカバリゲートメッセージに対して登録要求を送信可能である。この実施の形態では、未登録のONU(ONU200)は、必ずi=1のときに登録要求の送信を開始する。たとえばSOA利得のレベルがLV3(大)になる直前のタイミングでONU200がReadyになったとする。しかし、ONU200が最初に受信するディスカバリゲートメッセージでは、i=3となっているため、ONU200は、ディスカバリゲートメッセージには応答できない。i=1のときに初めてONU200は登録要求(Register request)を送信できる。OLT100は、ONU200からの応答を確認できる。したがって、OLT100は、ONU200を登録するとともに、ONU200のための利得区分(利得レベルLV1(小))を設定する。
OLT100は、ONUごとに、Register requestを正常に受信したときの識別番号iを登録する。OLT100は、各ONUと識別番号iとを関連付けて、各ONUを登録する。すなわちOLT100は、登録されたONUごとにSOAの利得区分を登録する。ONUがOLT100に登録された後、OLT100は、そのONUとの通信において、登録された識別番号iの値に応じた利得を設定する。
第7の実施の形態によれば、OLT100でのSOA利得が高い状態で、送信パワーの大きい光信号をONUから受信することを回避できる。したがって、OLT100の受信器の損傷を防ぐことができる。さらに、OLT100はONUごとに適切なSOA利得を設定することができるので、ONUとの通信を安定させることができる。これにより通信品質を確保することができる。
<実施の形態8>
実施の形態7と同じく、実施の形態8では、OLT100は、ONU側の受信レベルの測定に頼ることなく、ディスカバリ区間において、未登録の全ONUに応答を要求する。OLT100は、OLT100の受信部の利得のレベルを、各ONUに対応付けて登録する。複数のONUの間でのバースト信号の衝突、あるいは、ディスカバリ区間内のONUの起動のタイミングにより、OLT100がONUを登録する際に、そのONUに対して適正なSOA利得を設定できない可能性がある。実施の形態8では、このような問題を解決することができる。
ONUは、ONU自身の受信レベルを測定してもよい。しかし、受信レベルの測定は、ディスカバリ処理にとって必須ではない。ONU側の受信機能に不具合が発生したことにより、ONUで光信号の受信レベルの精度が低下すること、あるいは受信機能が使用不能となることも考えられる。ONUによって測定された受信レベルがディスカバリ処理に必須ではないので、このような問題を解決することができる。
実施の形態8では、ディスカバリ区間内でSOA利得の変更を繰り返す。これにより、OLT100は、各ONUに関連付けられるSOA利得がより低い利得となるように、各ONUに関連付けられるSOA利得を設定する。これにより、OLT100において光受信器が損傷する可能性を低くすることができる。
図31は、第8の実施の形態に係る、ディスカバリ処理の一例を説明するシーケンス図である。図31に示すシーケンスは、SOAの利得のレベル(利得区分)が、小、中、大の順に変化する点において、図30に示すシーケンスと同じである。
図30に示される例と同じく、SOA利得のレベルがLV3(大)になる直前のタイミングで未登録のONUがReadyになるとする。以後、このONUは、ディスカバリゲートメッセージに対して登録要求を送信する。最初に、ONUは、識別番号iが3に設定されたディスカバリゲートメッセージに対して登録要求を送信する。OLTが登録要求を受信できた場合、OLT100は、このONUに対するSOA利得として、LV3を仮登録する。
この場合、OLT100は、このONUに対するSOA利得レベルとして、より低いSOA利得レベルであるLV1またはLV2を登録可能であるかどうかを判定する。ONUは、識別番号iが1に設定されたディスカバリゲートメッセージに対して登録要求を送信する。OLT100が、この登録要求を受信できた場合、OLT100は、このONUに対するSOA利得の設定を更新する。したがって、LV3よりも低い利得レベルであるLV1が、このONUに対するSOA利得レベルとして正式に登録される。
識別番号iが1であるディスカバリゲートメッセージに応答してONUが登録要求を送信したとする。ONUからの送信パワーが低いためにOLT100がその登録要求を取得できない場合、SOA利得レベルは、仮登録されたLV3のままに維持される。次に、ONUが、識別番号iが2であるディスカバリゲートメッセージに応答して登録要求を送信する。OLT100がその登録要求を取得できた場合、OLT100は、このONUに対するSOA利得レベルとしてLV2を登録する。したがって本登録のレベルはLV2である。
LV1およびLV2のいずれも本登録のレベルではない場合には、OLT100は、このONUに対するSOA利得レベルとしてLV3を本登録する。
登録済みであるものの、登録された利得よりも低い利得で応答を確認できるONUが存在する場合にも、OLT100は、同じ処理を実行する。これにより、OLT100は、より低いSOA利得をONUに関連付ける。なお、仮登録された利得レベルがLV1である場合には、本登録のレベルもそのままLV1とする。
また、OLT100の光受信器において、OLT100のSOAにより増幅された光のパワーが、その光受信器の破壊レベルを超えた場合には、利得区分を最低レベルの区分に設定するとともに、利得区分の設定をやり直す。
図32は、第8の実施の形態に係る、ディスカバリ処理の別の例を説明するシーケンス図である。図32に示すように、SOA利得のレベルがLV2(中)になる直前のタイミングで未登録のONUがReadyになるとする。ONUは、ディスカバリゲートメッセージに対して登録要求を送信する。OLT100のSOAにより増幅された光のパワーが、光受信器の破壊レベルを超過したとする。なお、強いパワーの光であっても、光受信器に入力される時間が非常に短ければ、受光素子の損傷を防ぐことができる。
通常のシーケンスでは、OLT100は、次に、SOA利得のレベルを、LV3に設定する。しかし、強い光が光受信器に入る場合、この場合には、OLT100は、SOA利得のレベルを最低レベル(LV1)に設定して、利得設定をやり直す。たとえば光受信器の検知した強度を閾値と比較することにより、OLT100は、SOA利得のレベルをLV2からLV3へと切り替えるか、または、SOA利得のレベルをLV2からLV1へと切り替えるかを判断することができる。
ONUは、ディスカバリゲートメッセージに対して登録要求を送信する。OLT100の光受信器に入力される光のパワーが正常なレベルであるので、OLT100は、その登録要求を正常に取得できる。これにより、OLT100は、このONUに対するSOA利得レベルとしてLV1を本登録する。したがって光受信器の受光素子の損傷を防ぐことができる。
OLT100の光受信器により受信された光信号の強度が小さすぎる場合、OLT100においてデータの読み取りの誤りが多く発生する。したがって、ディスカバリバースト(の同期パターン区間)において、OLT100はBER(Bit Error Rate)測定を実施する。ONUから送信された信号のBERが閾値(たとえば10-4、10-5等)以上に悪化した場合、OLT100は、そのONUに関しては利得設定が低すぎると判断する。この場合、OLT100は、利得のレベルを高くする(たとえば1段階高くする)。そしてOLT100は、そのレベルを登録する。これにより、各ONUに対するSOA利得を適正に設定することができる。その設定された利得をOLTに登録することにより、OLT100とONUとの間の通信を安定させることができる。これにより通信品質を確保することができる。
<実施の形態9>
上述の各実施の形態では、光伝送路(光ファイバ)での損失には変化がないことを前提としている。しかしながら、OLT100およびONU200は正常であるものの、何らかの事情によって、光伝送路の損失に時間的な変化が生じる可能性がある。たとえば、光トランシーバと光ファイバとをつなぐ光コネクタでの接触不良が生じた場合、あるいは、運用中に光ファイバの曲げ損失が改善するような場合には、光伝送路の損失が時間的に変化しうる。
特に、光伝送路の損失が低下した場合、OLT100に入力される光信号のパワーが大きくなる。このために、OLT100の光受信器が損傷する可能性がある。この実施の形態では、ONUは、通常の通信中にも光信号の強度を監視する。光信号の強度が閾値を上回る場合に、ONUは、ONUの出力を強制的に停止する。これにより、OLT100の光受信器が損傷することを回避できる。
実施の形態9に係るPONシステムの構成は、図1に示す構成と同じであってもよい。図33は、第9の実施の形態に係る通信中の処理の別の例を説明するシーケンス図である。図33を参照して、ステップS301において、ONU200のRSSI回路241は、光受信器の出力に基づいて、受信レベル(RSSI)を取得する。
ステップS302において、ONU200(たとえばONU制御部240)は、受信レベルが、予め設定された閾値を超えるかどうかを判断する。受信レベルが、予め設定された閾値を超えていない場合には、通常の通信が実行される。一方、受信レベルが、予め設定された閾値を超えている場合、ONU200は、光出力を強制的に停止する(ステップS303)。
ONU200が光出力を停止することにより、OLT100は、ONU200が異常であると判断する(ステップS401)。この場合、OLT100は、ONU200の論理リンクを解除するための処理(deregister)を実行する(ステップS402)。
OLT100は、たとえば実施の形態1に従って、ディスカバリ処理を実行する(ステップS110)。これにより、OLT100はONU200を再度登録する。OLT100が実行するディスカバリ処理は、実施の形態1によるディスカバリ処理に限定されない。OLT100は、上述のいずれかの実施形態に係るディスカバリ処理を実行することができる。
以上のように実施の形態9によれば、OLT100側のSOAの利得が高い状態で、大きいパワーの光信号をOLT100が受信する可能性を低減できる。したがって、OLT100の光受信器を保護することができる。
<実施の形態10>
上述の各実施の形態では、OLT100は、SOAによってONU200からの光信号を増幅する。しかしながら、図34に示すように、OLT100において受信側のSOAを省略することができる。光受信器121〜124の電圧を変化させることによって、光受信器121〜124の受信電流増倍率を変化させてもよい。これにより、OLT100では、ONUからの光信号の増幅の利得を制御することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。