JPWO2019093326A1 - 溶融金属供給装置、これを用いたガラスパネルの製法及びガラスパネル - Google Patents

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敦史 三木
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Abstract

流量調整機構と開閉弁機構とを設けるのに、加工が容易で、しかも、夫々の操作が精度良く行えるようにする。一対のガラス板1A、1B間にスペーサー2を配設して間隙部Vを形成したガラスパネルPにおいて、溶融した周辺封止用金属材料3を一対のガラス板1A、1Bの周縁部V1に充填して間隙部Vを気密に封止する。周辺封止用金属材料3の溶解槽36と、溶解槽36の下端部に円錐状の弁座30に対して隙間を調整操作自在な弁体31を設けてある周辺封止用金属材料3の流量調整機構32と、流量調整機構32によって調整された溶融金属の流れを停止操作自在な開閉弁機構43とを備える。溶解槽36、流量調整機構32及び開閉弁機構43は、周辺封止用金属材料3の主成分に対してその主成分とは異なる異質物が周辺封止用金属材料3に混入可能なように、夫々別々に操作自在に形成され且つ上下に連通する直線流路34上に上から順に並べられてある。

Description

本発明は、一対のガラス板間にスペーサーを配設して間隙部を形成したガラスパネルにおいて、溶融した周辺封止用金属材料を前記一対のガラス板の周辺部に充填して前記間隙部を気密に封止するための溶融金属供給装置、これを用いたガラスパネルの製法及びガラスパネルに関する。
従来の溶融金属供給装置は、周辺封止用金属材料の溶解槽と、前記溶解槽の下端部に、円錐状の弁座に対して隙間を調整操作自在な弁体を設けてある溶融金属の流量調整機構と、前記流量調整機構によって調整された溶融金属の流れを停止操作自在な開閉弁機構とを備え、それらの操作軸が同一方向から操作できるように、弁体の筒状弁棒に開閉弁体機構の弁棒を同一軸心に内嵌させてあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−306352号公報
上述した従来の装置では、特に前記流量調整機構において細かな流量の調整を行うためには、円錐状の弁座と円錐状の弁体の夫々のテーパー角を小さくしたほうが上下移動量に対する流路面積増減が小さくなるために、流量制御性が向上する。
しかし、より小型の流量調整機構において前記テーパー角をより小さくすればするほど弁体の筒状弁棒に開閉弁体機構の弁棒を同一軸心に内嵌する構造に加工するのが、より困難になる。また、強度確保のために大きくすると装置が大きくなり、シールに必要な部材などとの干渉が生じてしまうという欠点があるばかりか、溶融した周辺封止用金属材料(ハンダ)の詰りが生じやすく、流量制御性が落ちるという問題がある。
しかも、弁体の筒状弁棒及び開閉弁機構の弁棒を夫々精度よく操作ができなくなる虞が生じる。
従って、本発明の目的は、流量調整機構と開閉弁機構とを設けるのに、加工が容易で、しかも、夫々の操作が精度良く行えるようにすることにある。
本発明の第1の特徴構成は、一対のガラス板間にスペーサーを配設して間隙部を形成したガラスパネルにおいて、溶融した周辺封止用金属材料を前記一対のガラス板の周縁部に充填して前記間隙部を気密に封止するための溶融金属供給装置であって、前記周辺封止用金属材料の溶解槽と、前記溶解槽の下端部に円錐状の弁座に対して隙間を調整操作自在な弁体を設けてある周辺封止用金属材料の流量調整機構と、前記流量調整機構によって調整された溶融金属の流れを停止操作自在な開閉弁機構とを備え、前記溶解槽、前記流量調整機構及び前記開閉弁機構は、前記周辺封止用金属材料の主成分に対してその主成分とは異なる異質物が前記周辺封止用金属材料に混入可能なように、夫々別々に操作自在に形成され且つ上下に連通する直線流路上に上から順に並べられてあるところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、円錐状の弁座に対して隙間を調整操作自在な弁体を設けてある前記流量調整機構と、溶融金属の流れを停止操作自在な前記開閉弁機構とを、直線流路上に上から順に並べる。これにより、流量調整機構と開閉弁機構とが直線流路の夫々別々の位置に配置されるので、従来のように、弁体の筒状弁棒に開閉弁体機構の弁棒を同一軸心に内嵌する構造に形成する必要なく、加工が簡単になる。
その上、例えば図11に示すように、流量調整機構32’と開閉弁機構43’とを、夫々別々の位置に設けるのに、周辺封止用金属材料の溶解槽としての坩堝部9の下端部から排出口の間の曲折流路部50’に設けた場合には、溶融金属中に酸化物などの固形異物が混入した場合に、その曲折流路部50’に固形異物を堆積しやすく、そのために、溶融金属の流れが阻害されて供給操作に障害が発生す危険性がある。これに対し、本発明は、流量調整機構と開閉弁機構とを、夫々別々に操作自在に形成して上下に連通する直線流路上に上から順に並べることにより、溶融金属の流れが滞留するところなく流れる。
従って、例え溶融金属中に酸化物などの固形異物が混入したとしても、その固形異物が堆積して目詰まりして溶融金属の流れを阻害するような障害の発生を防止できながら、流量調整機構及び開閉弁機構を夫々精度よく操作ができるように形成できる。
本発明の第2の特徴構成は、前記開閉弁機構は、開閉弁座に対して開弁状態と閉弁状態とに択一的に切換え操作自在な開閉弁体を設けたところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、前記開閉弁機構は、溶融金属の流れを停止操作自在にするのに、開閉弁座に対して開弁状態と閉弁状態とに択一的に切換え操作自在な開閉弁体を設けた単純な構造により、異物による目詰まりを少なく溶融金属を良好に供給操作できるようになる。
本発明の第3の特徴構成は、前記溶融金属供給装置を使って前記周縁部を封止するガラスパネルの製法である。
本発明の第4の特徴構成は前記ガラスパネルの製法で製造されたガラスパネルである。
本発明の第5のガラスパネルの特徴構成は、一対のガラス板間にスペーサーを配設して形成される間隙部と、前記一対のガラス板の周縁部に充填され、前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料とを有するガラスパネルであって、前記周辺封止用金属材料は、その主成分に対して前記主成分とは異なる異質物が混入されているものである。
本発明の第6の特徴構成は、前記周辺封止用金属材料の主成分は、Snが72〜99.9%に対し、Zn、Al、Si及びTiの内のいずれかの成分を含有し、鉛の含有量が重量%で0.1%未満である。
本発明の第6の特徴構成によれば、Zn、Al、Si及びTiの内のいずれかの成分と、ガラス板表面の酸素とが結合して接合強度を向上させることが出来る。
本発明の第7の特徴構成は、前記異質物は、前記主成分の酸化物、前記主成分と不純物との化合物、及び、装置を形成する金属と前記主成分との合金、の中から選択された少なくとも1種である。
本発明の第7の特徴構成によれば、異質物が特に主成分の酸化物である場合には、断熱性が優れた周辺封止金属材料を有するガラスパネルになる。
本発明の第8の特徴構成は、前記異質物は、最大表面積で10mm2以下の大きさである。
本発明の第8の特徴構成によれば、異質物の表面積が10mm2よりも大きすぎると、その異質物とガラス板とが接する箇所での封止力の低下が懸念されるが、10mm2以下になると、封止力も担保出来る。
本発明の第9の特徴構成は、前記異質物の熱伝導率は、20W/mK以下である。
本発明の第9の特徴構成によれば、異質物自体の断熱性能向上が期待でき、ガラスパネル全体の断熱性能が向上する。
ガラスパネルの一部切欠き斜視図である。 ガラスパネルの吸引孔周辺縦断面図である。 ガラスパネルの製造方法を示すフローチャートである。 溶融金属供給装置の縦断面図である。 導入板の作用説明図である。 吸引孔封止前の吸引孔周辺部拡大図である。 別実施形態の溶融金属供給装置の縦断面図である。 別実施形態の溶融金属供給装置の縦断面図である。 別実施形態の溶融金属供給装置の縦断面図である。 別実施形態の溶融金属供給装置の縦断面図である。 比較例の溶融金属供給装置の縦断面図である。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、ガラスパネルPは、対向する一対のガラス板1A,1Bと、一対のガラス板1A,1B間に、マトリックス状に一定のスペーサーピッチPdで複数の柱状のスペーサー2を介在させることにより形成される間隙部Vと、間隙部Vの周縁部V1をシールする周辺封止用金属材料3と、一対のガラス板1A,1Bの内の一方のガラス板1Aを貫通する吸引孔4とを有する。吸引孔4は、その吸引孔4の周りにまで至って覆う吸引孔封止用金属材料15で封止されてある。
ガラスパネルPにおいて、2枚のガラス板1A,1Bは透明なフロートガラスであり、間隙部Vが1.33Pa(1.0×10-2Torr)以下に減圧されている。これは、間隙部Vは、その内部の空気が吸引孔4を介して排出されることによって減圧され、間隙部Vの減圧状態を維持するために周辺封止用金属材料3及び吸引孔封止用金属材料15によって封止されている。
スペーサー2は円柱状であり、その直径が0.3〜1.0mm程度、高さが30μm〜1.0mm程度である。このスペーサー2は、ガラス板1A,1Bに作用する大気圧に起因する圧縮応力を負荷されても坐屈しない材料、例えば、圧縮強度が4.9×108Pa(5×103kgf/cm2)以上の材料、好ましくは、ステンレス鋼(SUS304)等により形成されている。
図3は、図1のガラスパネルPの製造方法を示すフローチャートである。
まず、フロートガラスから成る所定の厚さの2枚のガラス素板(不図示)を所定の寸法、例えば、1200mm×900mmに夫々切断し、同一形状且つ同一サイズであるガラス板1A,1Bを準備し(ステップS31)、ガラス板1Aに、その四隅のうちいずれか1つの近傍において吸引孔4をドリル等によって穿設する(ステップS32)(穿設ステップ)。
次に、クリーンルームやケミカルクリーンルーム等の空気の汚染状態を化学的又は物理的に制御可能な空間内において、純水ブラシ洗浄、液体洗浄法、光洗浄の少なくとも1つの方法を用いて一対のガラス板1A,1Bを洗浄する(ステップS33)(洗浄ステップ)。この液体洗浄法では、純粋、脱イオン水などが用いられる。また、洗浄液は、例えば、アルカリ洗剤又はオゾン水を含有する。また、該洗浄液には、研磨材が含有されていてもよい。研磨材としては、例えば酸化セリウムを主成分とする微粒子が用いられる。
そして、吸引孔4が穿設されていない洗浄されたガラス板1Bに、複数のスペーサー2をマトリックス状に一定のスペーサーピッチPdで配置し、洗浄されたガラス板1Aを重ね合わせることで、一対のガラス板1A,1Bのペアリングを行う(ステップS34)。
さらに、ペアリングされた一対のガラス板1A,1Bをほぼ水平に保ち、溶解温度が250℃以下である周辺封止用金属材料3を用いて、一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1を封止する(ステップS35)(周辺封止)。
図4は、図3のステップS35における周辺封止を説明するのに用いられる図である。
図4において、前記周縁部への溶融金属供給装置としての金属導入装置5は、定盤6を有し、一対のガラス板1A,1Bを保持すると共に、一対のガラス板1A,1Bに周辺封止用金属材料3(ハンダ)を供給する供給塔7を保持する。定盤6には、上記一対のガラス板1A,1Bに沿って2本のレール部材12が配され、上記供給塔7はレール部材12上を走行する移動機構13の上に載置されている。
供給塔7は、液相又は固相のハンダを貯留する横断面長方形の坩堝部9と、坩堝部9の側壁部に内蔵されると共に坩堝部9内に貯留されたハンダを加熱する電熱ヒーター10と、坩堝部9の底部に連通すると共に一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1の外側に向かって開口する断面長尺状の導入路11と、導入路11の中位に水平に配された導入板8とを備える。導入板8は、導入路11から延伸して一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1に嵌入しており、これにより、ハンダは、その表面張力と相俟って間隙部Vに侵入する。加えて、坩堝部9内で液位ΔHにあるハンダの重力が導入板8の部位においてハンダに印加され、これにより、一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1へのハンダの侵入を促進する。
また、図5に示すように、導入板8は、その移動方向で上下に複数回波打つ状態の屈曲部8Aが間隔を空けて2箇所に形成された形状の物でも良い(蛇腹形状)。
つまり、屈曲部8Aを有する導入板8の移動によって、バネ作用を有する屈曲部8Aが、ガラス板の表面を軽く擦りつけるようになり、ハンダのガラス面への付着性をより向上させて、間隙部Vの気密性が確実化される効果を発揮できるようになる。
また、導入板8は、バネ作用を有する弓状の形状や、屈曲部を有さない平板状であっても良い。ただし、上述の理由により、屈曲部8Aを有する導入板8の方が有利である。
一方、移動機構13は、一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1に沿ってレール部材12上を一定速度で移動するので、一対のガラス板1A,1Bの開先部分14から導入板8を間隙部Vに挿入すると、周辺封止用金属材料3が導入板8を介して一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1全体に亘って侵入する。これにより、一対のガラス板1A,1B間に形成された間隙部Vの周縁部V1は、周辺封止用金属材料3によって気密に封止される。
図6に示すように、開先部分14とは、ガラスパネルPの角部に設けてあり、導入板8を間隙部Vに挿入する際に、容易に実施できるよう、一対のガラス板1A,1Bの間隙部V側の角部を面取りしてある箇所である。
前記金属導入装置5を、より詳細に説明する。図4に示すように、金属導入装置5は、溶解槽として周辺封止用金属材料3を溶解して貯留する坩堝部9と、坩堝部9の下端部に円錐状の弁座30に対して隙間を上下に移動自在にして調整操作自在な円錐状の弁体31を設けてある溶融金属の流量調整機構32と、流量調整機構32によって調整された溶融金属の流れを停止操作自在な開閉弁機構43とを備える。坩堝部9(溶解槽36)、流量調整機構32及び開閉弁機構43は、夫々別々に操作自在に形成して上下に連通する直線流路34上に上から順に並べられている。そして、同図に示すように、流量調整機構32の駆動の中心部分(中心軸)A1と、開閉弁機構43の駆動の中心部分(中心軸)A2とは、直線流路34に対し夫々別々の位置に配置されてある。また、直線流路34の下手側には、周辺封止用金属材料3を両ガラス板1A、1B間に吐出する吐出口35を設けてある。
前記吐出口35には、周辺封止用金属材料3を両ガラス板1A、1B間に導入する導入板8が設けられている。
前記坩堝部9には、周辺封止用金属材料3を溶解して貯留する貯留部36と、貯留部36内の周辺封止用金属材料3を溶融状態に維持するための電熱ヒーター10とを設けてある。
前記開閉弁機構43は、直線流路34に対して突出して溶融金属の流れを停止する閉弁状態と、直線流路34から引退してその流れを許容する開弁状態とに択一的に切換え操作自在に構成してある。
そして、前記流量調整機構32は、弁体31を上下に押し引き操作自在に構成してある。前記開閉弁機構43は、横から出退自在な開閉弁体37を横方向の押し引き操作により開閉操作自在に構成してある。
続くステップS36において、吸引孔4の近傍において排気カップで吸引孔4を覆うようにガラス板1Aの大気側の主面に取付け、この排気カップに接続された不図示のロータリーポンプやターボ分子ポンプによる吸引により、間隙部Vの圧力を1.33Pa以下にまで減圧するべく間隙部Vの気体分子を外部へ排出する真空引きを行う(ステップS36)。
ただし、本ステップで用いるポンプは上述のロータリーポンプやターボ分子ポンプに限られず、排気カップに接続でき、吸引可能なものであればよい。
次いで、吸引孔4を覆い被さるように吸引孔封止用金属材料15を滴下させて、吸引孔4の近傍のガラス表面と吸引孔封止用金属材料15を接着させて封止する(ステップS37)。
これにより、一対のガラス板1A,1B間に形成された間隙部Vが密閉される。
尚、上述した各工程のうち、一対のガラス板1A,1Bの主面を洗浄して(ステップS33)から吸引孔4の近傍のガラス表面と吸引孔封止用金属材料15を接着させて封止する(ステップS37)までの各工程は、夫々、空気の汚染状態を化学的又は物理的に制御可能な空間内で実施される。
本実施の形態では、液体洗浄法を用いて一対のガラス板1A,1Bを洗浄するが、これに限るものではなく、純水ブラシ洗浄法、超音波洗浄法、アルカリ水洗浄法、加熱洗浄法、真空(凍結)洗浄法、UV洗浄法、オゾン洗浄法、及びプラズマ洗浄法の少なくとも1つを用いて一対のガラス板1A,1Bを洗浄してもよい。これにより、一対のガラス板1A,1Bの主面から分解又は飛散し得る気体分子の発生を抑制することができ、もってガラスパネルPの初期性能を長時間に亘って発揮することができる。
本実施の形態では、周辺封止用金属材料3として、溶解温度が250℃以下であるハンダ、例えば91.2Sn−8.8Zn(共晶点温度:198℃)の組成を有するハンダにTiを加えたハンダを用いて一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1を封止する。しかし、周辺封止用金属材料3(ハンダ)は、これに限るものではなく、Sn、Cu、In、Bi、Zn、Pb、Sb、Ga、及びAgから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含む金属材料であって溶解温度が250℃以下となる封着材を用いて一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1を封止してもよい。
また、上記周辺封止用金属材料3は、Tiに代わって、又は、Tiに加えて、Al、Cr、及びSiから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含んでいてもよい。これにより、周辺封止用金属材料3と一対のガラス板1A,1Bのガラス成分との接着性を向上させることができる。
本実施の形態では、吸引孔封止用金属材料15として、溶解温度が250℃以下であるハンダ、例えば91.2Sn−8.8Zn(共晶点温度:198℃)の組成を有するハンダにTiを加えたハンダを用いて吸引孔4を封止する。しかし、吸引孔封止用金属材料15(ハンダ)は、これに限るものではなく、Sn、Cu、In、Bi、Zn、Pb、Sb、Ga、及びAgから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含む金属材料であって溶解温度が250℃以下となる封着材を用いて吸引孔4を封止してもよい。
尚、Snを選択した場合、90%以上あればよく、また、Cuを添加したSnの場合、Cuの量は、0.1%以下にする必要がある。
また、上記吸引孔封止用金属材料15は、Tiに代わって、又は、Tiに加えて、Al、Cr、及びSiから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含んでいてもよい。
さらに、吸引孔封止用金属材料15は、周辺封止用金属材料3と異なる成分のハンダを用いても良い。
尚、吸引孔封止用金属材料15または周辺封止用金属材料3にTi(チタン)を含有させることにより、ガラスの密着性が向上する。
本実施の形態では、間隙部Vの圧力を1.33Pa以下にまで減圧するが、これに限るものではなく、ほぼ真空になるまで間隙部Vの圧力を減圧してもよい。これにより、ガラスパネルPの断熱性能を更に高めることができる。
本実施の形態では、一対のガラス板厚みTgの下限は、0.3mm以上である。また、好ましくは、0.5mm以上である。さらに好ましくは、1mm以上である。一対のガラス板厚みTgが薄ければガラス自体の蓄熱量が小さくなるので、周辺封止の際に、単位時間あたりの空気中への放熱量が上昇し、周辺封止用金属材料3が冷却されやすい。従って、溶融した周辺封止用金属材料3の固化を促進させることが可能となる。ただし、ガラス板は薄くなるとガラス板の剛性が低下するため、同じ大きさの外力によるガラス板の変形量が大きくなる。従って、ガラスパネルPにおいて、吸引孔4の間隙部側表面付近に発生する引張応力が大きくなる。
一対のガラス板厚みTgの上限は、15mm以下である。好ましくは、12mm以下である。さらに好ましくは、10mm以下である。厚いガラス板を用いるとガラス板の剛性は増加するため、同じ大きさの外力によるガラス板の変形量が小さくなる。従って、ガラスパネルPにおいて、吸引孔4の間隙部側表面付近に発生する引張応力が小さくなるため、長期耐久性が向上する。一方で、ガラス板厚みTgが厚くなると、吸引孔封止の際に、吸引孔封止用金属材料15の吸引孔4への流入量が減少する。そのため、間隙部側の吸引孔封止用金属材料15のはみ出しが小さくなり、吸引孔4の間隙部側表面付近に発生する引張応力を緩和させることが困難となる。
一対のガラス板1A,1Bは、フロートガラスであるが、これに限るものではない。一対のガラス板1A,1Bには、上記のような用途に応じて、例えば、型板ガラス、表面処理により光拡散機能を備えたすりガラス、網入りガラス、線入ガラス板、強化ガラス、倍強化ガラス、低反射ガラス、高透過ガラス板、セラミックガラス板、熱線や紫外線吸収機能を備えた特殊ガラス、又は、これらの組み合わせ等、種々のガラスを適宜選択して使用することができる。
さらに、一対のガラス板1A,1Bの組成についても、ソーダ珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、各種結晶化ガラス等を使用することができる。
本実施の形態では、開先部分14はガラス板1A,1Bの間隙部V側の角部を平面状に面取りしているが、これに限られるものではなく、曲面状に面取りをする等、導入板8を容易に挿入可能とする形態であれば、適宜選択してガラス板1A,1Bに設ける事ができる。
本実施の形態では、スペーサーピッチPdは、5〜100mmであり、好ましくは、5〜80mm、さらに好ましくは、5〜60mmである。
また、スペーサー2はステンレス鋼により形成されているが、これに限るものではない。スペーサー2は、例えば、インコネル、鉄、アルミニウム、タングステン、ニッケル、クロム、チタン等の金属、炭素鋼、クロム鋼、ニッケル鋼、ニッケルクロム鋼、マンガン鋼、クロムマンガン鋼、クロムモリブデン鋼、珪素鋼、真鍮、ハンダ、ジュラルミン等の合金、又は、セラミックやガラス等、高剛性を有するもので形成されてもよい。また、スペーサー2も、円柱状に限らず、角形状や球状等の各種形状であってもよい。
本実施の形態では、間隙部高Vhは30μm〜1mmである。ただし、スペーサー2の高さと略同一である。
尚、間隙部Vには、間隙部V内の気体分子を吸着するべく蒸発型ゲッターを用いたり、加熱されて活性化することにより気体分子を吸着して除去する非蒸発型ゲッターを用いたりしてもよく、また、非蒸発型ゲッターと蒸発型ゲッターとを併用してもよい。また、間隙部Vにおいて、ゲッター材(吸着剤)及び吸着剤収容孔は2ヶ所以上でもよい。
本実施の形態では、周辺封止用金属材料3は、金属導入装置5を用いて形成されたが、これに限定されるものではない。周辺封止用金属材料3は、陽極接合法、超音波接合法、多段接合法、レーザー接合法及び圧着接合法のいずれか一つの接合方法を用いて形成されてもよい。これにより、周辺封止用金属材料3の一対のガラス板1A,1Bへの付着性を向上させることができる。
また、ガラスパネルPの平面に対する厚み方向視における周辺封止用金属材料3の幅Rwは1mm以上10mm以下である。幅Rwが1mmより小さいと、ガラスパネルPの間隙部Vの封止を保持することが困難となる。また、10mmを超えると、周辺金属封止材料3を通じて発生する熱交換量が過大となる。さらに好ましくは、幅Rwは1mm以上5mm以下である。この場合、ガラスパネルPの間隙部Vの封止を保持する事に加え、さらに熱交換量を低減させることができる。
本実施の形態では、封止後の吸引孔封止用金属材料15がガラス板1Aの大気側表面より突出している部分を突出部16とする。突出部16の突出部直径Dw(図1のガラス板1Aと接触する接触部33の幅と同じ)は2〜30mmである。さらに好ましくは、2〜15mmである。ただし、突出部直径Dwはいずれの場合も後述の吸引孔径Swよりは大きい。
また、突出部16の突出部厚みDgは0.1〜20mmである。好ましくは、0.1〜10mmである。
本実施の形態では、吸引孔径Swは、2〜10mmである。好ましくは2〜5mmである。強化ガラスの場合は、吸引孔径Swは、ガラス厚より大きく10mm以下が望ましい。これは、風冷強化の際に、吸引孔4を通じて風を通すためである。
また、吸引孔4の少なくとも下部の縁部は曲面状に形成されていてもよく、または面取りされていてもよい(縁部に微小面を設けていてもよい)。
尚、流量調整機構32と開閉弁機構43とを流れる流路には、周辺封止用金属材料3の主成分に混ざって異質物が混入することがある。その異質物とは、周辺封止用金属材料3の主成分の酸化物として、SnO、SnO2、ZnO、TiO、TiO2などや、前記主成分と不純物との化合物(例えばSb、Cu、Bi、Fe、Al、As、Ag、Ni、Au、Cd、Pb、In)とTiの合金などや、主成分と装置を形成する金属との合金(例えば、SUS成分(Fe、Cr、Ni)とSn、Tiの合金が考えられる。
前記異質物が、酸化物であれば、例えば、坩堝内の気泡で形成される異質物のサイズは、気泡サイズ次第と思われる。仮に、ミクロンオーダーの真球粒子形成を想定すると、異質物の半径が1μm〜0.1mmの時、異質物の表面積は、約10μm2〜0.2mm2となる。
スペーサー2の最大高さを1mmとしているので、最大粒子径としては、0.1mm程度が限界かと思われる。また、粒子が数珠状の凝集体を形成しているとすれば、異質物は、粒子約50個で、最大表面積が約10mm2となることが考えられる。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 前記開閉弁機構43は、図7に示すように、溶融金属の前記直線流路34上で流量調整機構32の下手側に連設された開閉弁座20と、上下方向に移動することで開閉弁座30に対して遠近方向に移動する開閉弁体37とを備え、開閉弁体37を流量調整機構32の下側から上下に移動操作する機構であっても良い。
〈2〉 前記開閉弁機構43は、図8に示すように、前記直線流路34中で回転操作自在なバタフライ弁38であっても良い。また、開閉弁機構43は、図10に示すように、前記直線流路34上に配設する回転操作自在なボール弁39や、図9に示すように、ダイヤフラム弁40であっても良い。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
本発明は、断熱性能の高いガラスパネルとして利用することができる。例えば、建築用・乗物用(自動車・鉄道車両・船舶等の窓ガラス)、または冷蔵庫や保温装置等の各種装置の扉や壁部等において、長期耐久性を要する断熱性ガラスパネルとして利用することができる。
1A,1B:ガラス板、2:スペーサー(ピラー)、3:周辺封止用金属材料(ハンダ)、4:吸引孔、4e:エッジ、5:金属導入装置、6:定盤、6a:高部、6b:低部、7:供給塔、8:導入板、8A:屈曲部、9:坩堝部、10:電熱ヒーター、11:導入路、12:レール部材、13:移動機構、14:開先部分、15:吸引孔封止用金属材料(ハンダ)、16:突出部、30:弁座(開閉弁座)、31:弁体、32:流量調節機構、43:開閉弁機構、34:直線流路、35:吐出口、36:貯留部、37:開閉弁体、38:バタフライ弁、39:ボール弁、40:ダイヤフラム弁、A1,A2:駆動の中心部分(軸部分)、V:間隙部、V1:周縁部、P:ガラスパネル、Dw:突出部直径、Dg:突出部厚み、Tg:ガラス板厚み、Pd:スペーサーピッチ(間隔)、Rw:周辺封止金属幅、Sw:吸引孔径

Claims (9)

  1. 一対のガラス板間にスペーサーを配設して間隙部を形成したガラスパネルにおいて、溶融した周辺封止用金属材料を前記一対のガラス板の周縁部に充填して前記間隙部を気密に封止するための溶融金属供給装置であって、
    前記周辺封止用金属材料の溶解槽と、
    前記溶解槽の下端部に円錐状の弁座に対して隙間を調整操作自在な弁体を設けてある周辺封止用金属材料の流量調整機構と、
    前記流量調整機構によって調整された溶融金属の流れを停止操作自在な開閉弁機構とを備え、
    前記溶解槽、前記流量調整機構及び前記開閉弁機構は、前記周辺封止用金属材料の主成分に対してその主成分とは異なる異質物が前記周辺封止用金属材料に混入可能なように、夫々別々に操作自在に形成され且つ上下に連通する直線流路上に上から順に並べられてある溶融金属供給装置。
  2. 前記開閉弁機構は、開閉弁座に対して開弁状態と閉弁状態とに択一的に切換え操作自在な開閉弁体を設けてある請求項1に記載の溶融金属供給装置。
  3. 請求項1または2に記載の溶融金属供給装置を使って前記周縁部を封止するガラスパネルの製法。
  4. 請求項3のガラスパネルの製法で製造されたガラスパネル。
  5. 一対のガラス板間にスペーサーを配設して形成される間隙部と、
    前記一対のガラス板の周縁部に充填され、前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料とを有するガラスパネルであって、
    前記周辺封止用金属材料は、その主成分に対して前記主成分とは異なる異質物が混入されているものであるガラスパネル。
  6. 前記周辺封止用金属材料の主成分は、Snが72〜99.9%に対し、Zn、Al、Si及びTiの内のいずれかの成分を含有し、鉛の含有量が重量%で0.1%未満である請求項4または5に記載のガラスパネル。
  7. 前記異質物は、前記主成分の酸化物、前記主成分と不純物との化合物、及び、装置を形成する金属と前記主成分との合金、の中から選択された少なくとも1種である請求項4〜6のいずれか1項に記載のガラスパネル。
  8. 前記異質物は、最大表面積で10mm2以下の大きさである請求項7に記載のガラスパネル。
  9. 前記異質物の熱伝導率は、20W/mK以下である請求項7又は8に記載のガラスパネル。
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