JPWO2019087749A1 - 蒸着マスク装置 - Google Patents

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Abstract

蒸着マスク装置は、基板の側に位置する第1面から第1面の反対側に位置する第2面に至る複数のマスク貫通孔を含む蒸着マスクと、蒸着マスクの一部に重なる開口部が設けられるとともに蒸着マスクを支持するフレームと、を備える。

Description

本開示の一実施形態は、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクと、蒸着マスクを支持するフレームと、を備える蒸着マスク装置に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が400ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラハイディフィニション(UHD)に対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが求められる。
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔が形成された蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の基板に対して蒸着マスクを密着させ、次に、密着させた蒸着マスクおよび基板を共に蒸着装置に投入し、有機材料を基板に蒸着させる蒸着工程を行う。この場合、高い画素密度を有する有機EL表示装置を精密に作製するためには、蒸着マスクの貫通孔の位置や形状を設計に沿って精密に再現することが求められる。
有機材料などの蒸着材料を基板に蒸着させる蒸着工程を行う蒸着装置は、蒸着マスクと、蒸着マスクを支持するフレームと、を含む蒸着マスク装置を備える。フレームは、蒸着マスクが撓まないように、蒸着マスクを引っ張った状態で支持する。蒸着マスクは、溶接、接着、めっき、はんだ、または圧着等によってフレームに固定される。そして、このような蒸着マスク装置に、基板が設置され、蒸着工程が行われる。
特許第5382259号公報 特開2001−234385号公報
ところで、蒸着マスク装置に基板を設置する際、基板を保持する保持部材とフレームとが干渉する場合がある。この場合、基板を所望の位置に設置することが困難になり、基板の所望の位置に蒸着材料を蒸着することができないことが考えられる。
本開示は、このような課題を効果的に解決し得る蒸着マスク装置を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、保持部材によって保持された基板と少なくとも一時的に組み合わされる蒸着マスク装置であって、前記基板の側に位置する第1面から前記第1面の反対側に位置する第2面に至る複数のマスク貫通孔を含む蒸着マスクと、前記蒸着マスクの一部に重なる開口部が設けられるとともに前記蒸着マスクを支持するフレームと、を備え、前記フレームは、前記蒸着マスクの前記第2面に面する表面と、前記表面に対向する裏面と、前記表面と前記裏面との間に広がる外側面と、前記外側面よりも内側において前記表面と前記裏面との間に広がり、前記開口部に面する内側面と、を有し、前記フレームの前記表面のうち前記開口部から離間した位置に、前記保持部材の少なくとも一部を収容可能な複数の収容部が形成されている蒸着マスク装置である。
本開示の一実施形態の蒸着マスク装置において、複数の前記収容部は、前記開口部と前記外側面との間に形成されていてもよい。
本開示の一実施形態の蒸着マスク装置において、複数の前記収容部は、前記外側面に至るまで延びていてもよい。
本開示の一実施形態の蒸着マスク装置において、前記フレームの前記表面は、前記内側面側に位置する第1表面と、前記外側面側に位置するとともに前記第1表面よりも前記裏面側に位置する第2表面とを含み、前記第1表面と前記第2表面とは、中間面を介して互いに連結され、前記収容部は、前記第1表面に形成されるとともに、前記中間面に至るまで延びていてもよい。
本開示の一実施形態の蒸着マスク装置において、複数の前記収容部は、前記開口部を取り囲むように形成されていてもよい。
本開示の一実施形態の蒸着マスク装置において、前記蒸着マスクは、前記フレームの前記表面に溶接される接合部を含み、前記接合部の少なくとも一部は、前記開口部と前記収容部との間に位置してもよい。
本開示の一実施形態の蒸着マスク装置において、各々の前記収容部の少なくとも一部は、前記蒸着マスクの長手方向における一対の端部よりも内側に形成されていてもよい。
本開示の一実施形態は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有する蒸着マスクと、前記蒸着マスクの側に位置する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有するフレームと、を備え、前記蒸着マスクと前記フレームは、接合部を介して互いに接合されており、前記フレームは、前記接合部の外側に位置する第5面を更に有し、前記第5面の少なくとも一部は、前記第3面よりも前記第4面の側に位置している、蒸着マスク装置である。
本開示によれば、基板を所望の位置に設置することができ、基板の所望の位置に蒸着材料を蒸着することができる。
本開示の一実施形態による蒸着マスク装置を備えた蒸着装置を示す図である。 図1Aに示す蒸着マスク装置を用いて製造した有機EL表示装置を示す断面図である。 本開示の一実施形態による蒸着マスク装置を示す平面図である。 本開示の一実施形態による蒸着マスク装置のフレームを示す平面図である。 図2Aに示す蒸着マスク装置のフレームの収容部を拡大して示す平面図である。 蒸着マスクの耳部に形成される接合部の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の耳部に形成される接合部の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の耳部に形成される接合部の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の耳部に形成される接合部の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の耳部に形成される接合部の一変形例を示す平面図である。 図3の蒸着マスク装置をVA−VA方向から見た断面図である。 図5Aに示す蒸着マスク装置を拡大して示す断面図(図5AのVB部に対応する断面図)である。 図5Bに示す溶接痕を拡大して示す断面図(図5BのVC部に対応する断面図)である。 溶接痕の一変形例を示す断面図である。 溶接痕の一変形例を示す断面図である。 蒸着マスクの中間部を拡大して示す平面図である。 図6の中間部をVII−VII方向から見た断面図である。 金属板上にレジストパターンを形成する工程を示す図である。 第1面エッチング工程を示す図である。 第2面エッチング工程を示す図である。 金属板から樹脂及びレジストパターンを除去する工程を示す図である。 フレームを製造する工程を示す図である。 フレームを製造する工程を示す図である。 有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。 有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。 有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。 有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。 蒸着マスクの耳部の変形例を示す断面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の一変形例において、有機EL基板をフレームに設置する工程を示す断面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図21のXXII−XXII方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 保持部材の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。 保持部材の一変形例を示す断面図であって、図3のVA−VA方向から見た断面図に相当する図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、以下に示す実施の形態は、本開示の実施の形態の一例であって、本開示はこれらの実施の形態に限定して解釈されるものではない。また、以下に示す実施の形態および変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。また、複数の実施の形態同士を組み合わせたり、複数の変形例同士を組み合わせたり、複数の実施の形態と複数の変形例とを組み合わせることも可能である。
図1A〜図14Bは、本開示の一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスク装置を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスク装置に対し、本開示を適用することができる。例えば、蒸着マスク装置10は、カラーフィルタの透明電極を形成する際に用いられてもよい。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着装置)
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置90について、図1Aを参照して説明する。図1Aに示すように、蒸着装置90は、蒸着源(例えばるつぼ94)、ヒータ96、及び蒸着マスク装置10を備える。るつぼ94は、有機発光材料などの蒸着材料98を収容する。ヒータ96は、るつぼ94を加熱して蒸着材料98を蒸発させる。蒸着マスク装置10は、るつぼ94と対向するよう配置されている。また、蒸着材料98を付着させる対象物である基板、例えば有機EL基板92は、有機EL基板92を保持する保持部材92Aによって蒸着マスク装置10上に設置される。ここで、保持部材92Aは、例えば、有機EL基板92を挟持するクランプであってもよい。
(蒸着マスク装置)
以下、蒸着マスク装置10について説明する。図1Aに示すように、蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20と、蒸着マスク20の一部に重なる開口部15aが設けられるとともに蒸着マスク20を支持するフレーム15と、を備える。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20をその面方向に引っ張った状態で支持する。蒸着マスク装置10は、図1Aに示すように、蒸着マスク20が、蒸着材料98を付着させる対象物である基板、例えば有機EL基板92に対面するよう、蒸着装置90内に配置される。有機EL基板92は、上述したように、有機EL基板92を保持する保持部材92Aによって蒸着マスク装置10上に設置される。以下の説明において、蒸着マスク20の面のうち、有機EL基板92側の面を第1面20aと称し、第1面20aの反対側に位置する面を第2面20bと称する。
蒸着マスク装置10は、図1Aに示すように、有機EL基板92の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石93を備えていてもよい。磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石93側に引き寄せて、蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させることができる。
図2Aは、図1Aに示す蒸着マスク装置10、有機EL基板92および保持部材92Aを蒸着マスク20の第1面20a側から見た場合を示す平面図である。図2Aに示すように、蒸着マスク装置10は、平面視において略矩形状の形状を有する複数の蒸着マスク20を備え、各蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eの近傍に位置する後述する接合部19において、溶接によってフレーム15に固定されている。
図1Aに示すように、蒸着マスク20は、蒸着マスク20を貫通する複数の貫通孔25を含む。るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98は、蒸着マスク20の貫通孔25を通って有機EL基板92に付着する。これによって、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98を有機EL基板92の表面に成膜することができる。
図1Bは、図1Aの蒸着装置90を用いて製造した有機EL表示装置100を示す断面図である。有機EL表示装置100は、有機EL基板92と、パターン状に設けられた蒸着材料98を含む画素と、を備える。
なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着装置90をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着装置90に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
ところで、蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、蒸着マスク20やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。
このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、蒸着マスク20を構成する金属板の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ50質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、48質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe−Ni系めっき合金などを挙げることができる。
なお蒸着処理の際に、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92の温度が高温には達しない場合は、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数を、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値にする必要は特にない。この場合、蒸着マスク20を構成する材料として、上述の鉄合金以外の材料を用いてもよい。例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いることができる。また、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、鉄合金以外の合金を用いてもよい。
(フレーム)
次に、フレーム15について、図2Aに加えて図2B、図3、図5A及び図5Bを更に参照して詳細に説明する。図2Bは、フレーム15を示す平面図である。図3は、図2Aに示す蒸着マスク装置10の一部を拡大して示す平面図である。図5Aは、図3の蒸着マスク装置10をVA−VA方向から見た断面図である。図5Bは、図5Aの蒸着マスク装置を拡大して示す断面図(図5AのVB部に対応する断面図)である。図2A、図2B、図3および図5Bに示すように、フレーム15は、蒸着マスク20の第2面20bに面する表面15b(すなわち第3面)と、表面15bに対向する裏面15c(ずなわち第4面)と、表面15bと裏面15cとの間に広がる外側面15dと、外側面15dよりも内側において表面15bと裏面15cとの間に広がり、開口部15aに面する内側面15eと、を有する。図5Bに示すように、表面15b及び裏面15cは、蒸着マスク20の第1面20aの法線方向Nに沿った断面で見たとき、法線方向Nに直交する方向に互いに平行に延びている。外側面15d及び内側面15eは、蒸着マスク20の第1面20aの法線方向Nに沿った断面で見たとき、法線方向Nに延びており、表面15b及び裏面15cに直交するように接続している。蒸着時には、るつぼ94から蒸発した蒸着材料98は、フレーム15の開口部15aを通って有機EL基板92に付着する。なお、フレーム15の外側面15dおよび内側面15eは、蒸着マスク20の第1面20aの法線方向Nに沿った断面で見たとき、法線方向Nから傾斜するように延びていてもよく、または湾曲していてもよい。
また、このようなフレーム15の表面15bのうち開口部15aから離間した位置に、複数の収容部15fが形成されていてもよい。この複数の収容部15fは、後述する接合部19の外側に位置し、収容部の面151f(すなわち第5面)は、フレーム15の表面15b(すなわち第3面)よりも裏面15c(すなわち第4面)の側に位置していてもよい。収容部15fは、保持部材92Aによって保持された有機EL基板92を蒸着マスク装置10に組み合わせる際に、保持部材92Aの少なくとも一部を収容可能であるように構成されている(図5Aおよび図5B参照)。これにより、有機EL基板92を蒸着マスク装置10に設置する際に保持部材92Aがフレーム15と干渉することを抑制することができ、このことにより、有機EL基板92を蒸着マスク装置10に対して所望の位置に設置することが可能になる。本実施の形態においては、このような収容部15fは、表面15bに形成された凹部によって構成されている。この場合、表面15bのうち、収容部15fの内側に位置する表面151bと、収容部15fの外側に位置する表面152bとは、第1面20aの法線方向Nに沿って見た場合に、同一表面上に位置している。
なお、保持部材92Aがフレーム15と干渉することを抑制するための手段としては、上述のような複数の収容部15fを設けること以外にも、保持部材92Aがフレーム15と干渉しないようにフレーム15の幅(外側面15dと内側面15eとの間の距離)を小さくすることが考えられる。一方、本実施の形態のように、保持部材92Aの少なくとも一部を収容可能である複数の収容部15fを、フレーム15の表面15bに離散的に設けることにより、フレーム15のうち、厚みS1(図5B参照)を有する、収容部15fが設けられていない部分を、フレーム15の全域に分布させることができる。これにより、フレーム15に収容部15fを設けることによって生じるフレーム15の強度の低下の程度を小さくすることができる。すなわち、フレーム15の幅を小さくする場合と比較した場合に、フレーム15のうち、厚みS1(図5B参照)を有する部分の平面視における面積を広くすることができる。これにより、フレーム15の剛性などの強度が低下することを効果的に抑制することができる。このため、フレーム15が蒸着マスク20を引っ張った状態で支持するとき、蒸着マスク20から加わる力によってフレーム15に撓みなどの変形が生じてしまうことを抑制することができる。このことにより、フレーム15に支持された蒸着マスク20を用いて蒸着材料98を有機EL基板92に精度良く蒸着させることができる。
図5Bにおいて、符号S2は、収容部15fが設けられている部分におけるフレーム15の厚みを表す。厚みS2は、保持部材92Aがフレーム15と干渉することを抑制できるよう、保持部材92Aの寸法に応じて定められる。例えば、厚みS2は、2mm以上であってもよく、5mm以上であってもよく、7mm以上であってもよく、10mm以上であってもよい。また、厚みS2は、20mm以下であってもよく、18mm以下であってもよく、15mm以下であってもよく、12mm以下であってもよい。厚みS2の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS2の範囲は、2mm以上20mm以下であってもよく、5mm以上18mm以下であってもよく、7mm以上15mm以下であってもよく、10mm以上12mm以下であってもよい。また、厚みS2の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS2の範囲は、15mm以上18mm以下であってもよい。また、厚みS2の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS2の範囲は、7mm以上10mm以下であってもよい。
収容部15fが設けられていない部分におけるフレーム15の厚みS1は、フレーム15に撓みなどの変形が生じることを抑制できるよう定められており、例えば、厚みS1は、5mm以上であってもよく、10mm以上であってもよく、15mm以上であってもよく、20mm以上であってもよい。また、厚みS1は、35mm以下であってもよく、30mm以下であってもよく、25mm以下であってもよく、20mm以下であってもよい。厚みS1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS1の範囲は、5mm以上35mm以下であってもよく、10mm以上30mm以下であってもよく、15mm以上25mm以下であってもよい。また、厚みS1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS1の範囲は、20mm以上30mm以下であってもよい。また、厚みS1の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS1の範囲は、10mm以上15mm以下であってもよい。また、厚みS1は、収容部15fが設けられている部分におけるフレーム15の厚みS2に応じて定められていてもよい。例えば、厚みS1は、1.5×S2以上3.0×S2以下とすることができる。
好ましくは、フレーム15の表面15bの全体の面積(図2Bに示す斜線部分)のうち、複数の収容部15fが設けられている部分(図2Bに示す梨地部分)の面積の比率(以下、収容部率とも称する)が、フレーム15に撓みなどの変形が生じることを抑制できるよう定められている。収容部率は、例えば、5%以上であってもよく、7%以上であってもよく、9%以上であってもよい。また、収容部率は、15%以下であってもよく、13%以下であってもよく、11%以下であってもよい。収容部率の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、収容部率の範囲の範囲は、5%以上15%以下であってもよく、7%以上13%以下であってもよく、9%以上11%以下であってもよい。また、収容部率の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、収容部率の範囲は、11%以上15%以下であってもよい。また、収容部率の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、収容部率の範囲は、5%以上9%以下であってもよい。
本実施の形態において、複数の収容部15fは、外側面15dと内側面15eとの間に形成されていてもよい。より具体的には、本実施の形態による複数の収容部15fは、蒸着マスク20の一対の端部20eの外側に形成されている。複数の収容部15fを外側面15dと内側面15eとの間に形成することにより、フレーム15の表面15bにおいて、収容部15fの外側に厚みS1の領域を確保することができ、フレーム15の強度が低下することを効果的に抑制できる。ここで、「外側」とは、図2Aにおいて矢印Aで表すように、蒸着マスク20の長手方向において、蒸着マスク20の中心線CLから遠ざかる側である。また、「内側」とは、蒸着マスク20の長手方向において、蒸着マスク20の中心線CLに近づく側である。ここで、蒸着マスク20の中心線CLとは、蒸着マスク20の長手方向に直交する方向に延びる直線のうち、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20e間を二等分する中間点C(図2A参照)を通る直線である。
図2Aに示すように、複数の収容部15fは、内側面15eによって画成された開口部15aの辺に沿って並んでいる。図2Aに示す例において、開口部15aは、4つの辺を有する矩形状の形状を備え、複数の収容部15fは、開口部15aの辺のうち対向する一対の辺に沿って並んでいる。また、複数の蒸着マスク20も、その耳部17が、複数の収容部15fが並ぶ開口部15aの辺と同一の辺に沿って並ぶよう、フレーム15に取り付けられている。なお、図示はしないが、複数の収容部15fは、複数の蒸着マスク20の耳部17が並ぶ開口部15aの辺とは異なる辺に沿って並んでいてもよい。
収容部15fの個数や寸法は、有機EL基板92を保持する保持部材92Aの寸法等によって適宜設定することができるが、有機EL基板92をフレーム15に設置した際(有機EL基板92が蒸着マスク20の第1面20aに接触した際)に、保持部材92Aが収容部15fに接触しない程度の範囲とすることができる。例えば、収容部15fの長さL1(蒸着マスク20の長手方向に沿った長さ(図3参照))は、例えば15mm以上50mm以下とすることができ、収容部15fの幅W(蒸着マスク20の幅方向に沿った長さ(図3参照))は、5mm以上であってもよく、10mm以上であってもよく、15mm以上であってもよく、20mm以上であってもよく、25mm以上であってもよい。また、幅Wは、50mm以下であってもよく、45mm以下であってもよく、40mm以下であってもよく、35mm以下であってもよい。幅Wの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅Wの範囲は、5mm以上50mm以下であってもよく、10mm以上45mm以下であってもよく、15mm以上40mm以下であってもよい。また、幅Wの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅Wの範囲は、35mm以上45mm以下であってもよい。また、幅Wの範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅Wの範囲は、10mm以上20mm以下であってもよい。また、互いに隣接する収容部15f間の距離L2(図2A参照)は、例えば50mm以上であってもよく、80mm以上であってもよく、100mm以上であってもよく、130mm以上であってもよく、150mm以上であってもよい。また、距離L2は、250mm以下であってもよく、220mm以下であってもよく、200mm以下であってもよく、180mm以下であってもよい。距離L2の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L2の範囲は、50mm以上250mm以下であってもよく、80mm以上220mm以下であってもよく、100mm以上200mm以下であってもよい。また、距離L2の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L2の範囲は、200mm以上220mm以下であってもよい。また、距離L2の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L2の範囲は、130mm以上150mm以下であってもよい。
なお、図2Aにおいては、開口部15aの辺に沿って並ぶ複数の収容部15fの周期が、開口部15aの同一の辺に沿って並ぶ複数の蒸着マスク20の周期と一致している例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、複数の収容部15fの周期が、複数の蒸着マスク20の周期と異なっていてもよい。
また、フレーム15の内側面15eから収容部15fまでの距離L3(図3参照)は、例えば1mm以上20mm以下とすることができ、好ましくは3mm以上20mm以下とすることができる。フレーム15の内側面15eから収容部15fまでの距離L3を3mm以上とすることにより、接合部19の面積を十分に確保することができ、接合部19の強度を高めることができる。また、フレーム15の内側面15eから収容部15fまでの距離L3を20mm以下とすることにより、開口部15aの開口面積を広くすることができ、蒸着に有効なエリアを広くすることができる。また、フレーム15の内側面15eから収容部15fまでの距離L3は、例えば1mm以上であってもよく、3mm以上であってもよく、5mm以上であってもよく、10mm以上であってもよい。また、距離L3は、20mm以下であってもよく、18mm以下であってもよく、15mm以下であってもよい。距離L3の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L3の範囲は、1mm以上20mm以下であってもよく、3mm以上18mm以下であってもよく、5mm以上15mm以下であってもよい。また、距離L3の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L3の範囲は、15mm以上18mm以下であってもよい。また、距離L3の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L3の範囲は、3mm以上10mm以下であってもよい
さらに、フレーム15の外側面15dから収容部15fまでの距離L4(図3参照)は、例えば10mm以上80mm以下とすることができ、好ましくは30mm以上とすることができる。フレーム15の外側面15dから収容部15fまでの距離L4を30mm以上とすることにより、フレーム15の強度が低下することを抑制することができる。また、フレーム15の外側面15dから収容部15fまでの距離L4は、例えば10mm以上であってもよく、20mm以上であってもよく、30mm以上であってもよく、40mm以上であってもよい。また、距離L4は、80mm以下であってもよく、70mm以下であってもよく、60mm以下であってもよく、50mm以下であってもよい。距離L4の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L4の範囲は、10mm以上80mm以下であってもよく、20mm以上70mm以下であってもよく、30mm以上60mm以下であってもよい。また、距離L4の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L4の範囲は、50mm以上80mm以下であってもよい。また、距離L4の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離L4の範囲は、10mm以上40mm以下であってもよい
なお、図2A乃至図4Aに示すように、収容部15fは、平面視において略矩形状を有しているが、収容部15fの形状は任意とすることができ、例えば平面視において円形状や楕円形状を有していてもよく、六角形や八角形といった多角形状を有していてもよい。また、各々の収容部15fは、互いに異なる形状を有していてもよく、例えば平面視において円形状、楕円形状、六角形や八角形といった多角形状をそれぞれが有していてもよい。また、このような収容部15fは、フレーム15を貫通していてもよい。この場合、フレーム15を貫通する収容部15fと、フレーム15を貫通していない収容部15fとが形成されていてもよい。
(蒸着マスク)
次に、蒸着マスク20について詳細に説明する。図2Aに示すように、蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eを構成する一対の耳部17と、一対の耳部17の間に位置する中間部18と、を備えている。
(耳部)
まず、耳部17について詳細に説明する。耳部17は、蒸着マスク20のうちフレーム15に固定される部分である。本実施の形態において、耳部17は、第2面20b側において溶接などによってフレーム15に固定される。以下の説明において、耳部17及びフレーム15のうち溶接によって互いに接合されている部分のことを、接合部19と称する。この接合部19は、上述したフレーム15の開口部15aと、収容部15fとの間に位置していてもよい。
耳部17に形成される接合部19は、溶接痕19aを含む。溶接痕19aとは、蒸着マスク20の第2面20bをフレーム15に溶接したことに起因して、蒸着マスク20の第1面20a側に形成された痕跡である。例えば、図3に示すように、接合部19は、蒸着マスク20の幅方向に沿って並ぶ複数の点状の溶接痕19aを含む。このような複数の点状の溶接痕19aは、例えば、蒸着マスク20の幅方向に沿う各位置において耳部17にレーザー光を間欠的に点状に照射することによって形成される。
なお、平面視における溶接痕19aの配置や形状が特に限られることはない。例えば、図4Aに示すように、溶接痕19aは、蒸着マスク20の幅方向に沿って線状に延びていてもよい。このような溶接痕19aは、例えば、蒸着マスク20の幅方向に沿う各位置において耳部17にレーザー光を連続的に線状に照射することによって形成される。この場合、溶接痕19aが、蒸着マスク20の幅方向に沿って線状に延びていることにより、溶接強度を高めることができる。
また、例えば、図4Bに示すように、溶接痕19aが、点状に形成された第1溶接痕191aと、線状に形成された第2溶接痕192aとを含んでいてもよい。図示された例においては、溶接痕19aが、複数の第1溶接痕191aと、複数の第2溶接痕192aとを含んでおり、第1溶接痕191aおよび第2溶接痕192aは、蒸着マスク20の幅方向に沿って規則的に、すなわち交互に配置されている。この場合、例えば各々の第2溶接痕192aの形状が互いに異なっていてもよい。また、第1溶接痕191aが1つのみであってもよく、第2溶接痕192aが1つのみであってもよい。この場合においても、溶接痕19aが、線状に形成された第2溶接痕192aを含むことにより、溶接強度を高めることができる。
また、例えば、図4Cに示すように、第1溶接痕191aおよび第2溶接痕192aが、蒸着マスク20の幅方向に沿って不規則的に配置されていてもよい。図示された例においては、蒸着マスク20の幅方向において互いに隣接する第2溶接痕192a間に配置される第1溶接痕191aの個数が、互いに異なっている。なお、この場合においても、例えば各々の第2溶接痕192aの形状が互いに異なっていてもよい。また、蒸着マスク20の幅方向において互いに隣接する第2溶接痕192a間に配置される第1溶接痕191aの個数は任意である。この場合、例えば蒸着マスク20の溶接強度を高めたい部分において、溶接痕19aの密度を選択的に高くすることもできる。
また、例えば、図4Dに示すように、複数の点状の溶接痕19aが、蒸着マスク20の幅方向に沿って多列に形成されていてもよい。図示された例において、溶接痕19aは、蒸着マスク20の幅方向に沿って2列に形成されている。なお、溶接痕19aは、蒸着マスク20の幅方向に沿って3列に形成されていてもよく、4列に形成されていてもよい。この場合、複数の点状の溶接痕19aが、蒸着マスク20の幅方向に沿って多列に形成されていることにより、溶接強度を高めることができる。
さらに、例えば、図4Eに示すように、溶接痕19aが、蒸着マスク20の幅方向に沿って枠状に形成されていてもよい。この場合においても、溶接痕19aが、蒸着マスク20の幅方向に沿って形成されるため、溶接強度を高めることができる。
また、図5Aおよび図5Bに示すように、溶接痕19aは、耳部17の第1面20aから第2面20bを介してフレーム15に至っている。溶接痕19aは、蒸着マスク20の耳部17及びフレーム15のうち、溶接時に溶融した部分(すなわち溶融領域19f)が固化した部分であり、耳部17の第1面20aから第2面20bに至る部分及びフレーム15の一部を含んでいる。この溶接痕19aは、蒸着マスク20の耳部17とフレーム15とを互いに接合している。溶接痕19aにおいては、溶接の後に溶融領域19fの温度が低下して溶融領域19fが固化する際に、材料の結晶化が生じている。例えば、溶接痕19aは、耳部17及びフレーム15に跨る結晶粒を含む。この溶接痕19aは、例えば、図5Cに示すように、蒸着マスク20の第1面20aから突出するように形成されていてもよい。
また、溶接痕19aは、図5Dに示すように、溶接痕19aの上面19bが蒸着マスク20の第1面20aと同一平面上に位置するように形成されていてもよい。さらに、溶接痕19aは、図5Eに示すように、蒸着マスク20の第1面20aに対して第2面20b側に窪むように形成されていてもよい。これらの場合、有機EL基板92に対して蒸着材料98を蒸着させる際に、蒸着マスク20と有機EL基板92との間の密着性を向上させることができる。
図5Aおよび図5Bにおいて、蒸着処理の際に蒸着マスク20に密着する有機EL基板92を、点線で表す。図5Aおよび図5Bに示すように、本実施の形態においては、有機EL基板92は、蒸着マスク20のうち接合部19が形成される部分よりも外側に延在している。また、有機EL基板92がフレーム15に設置される際には、有機EL基板92は、保持部材92Aにより保持されながらフレーム15に設置される。なお、保持部材92Aは、有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する際に有機EL基板92から取り外されてもよい。
なお、図示はしないが、耳部17は、後述するように、蒸着マスク20がフレーム15に溶接された後に、フレーム15の開口部15aと収容部15fとの間において切断され、一部分が除去されている。これにより、本実施の形態においては、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eは、フレーム15の開口部15aと収容部15fとの間に位置するようになっている。
(中間部)
次に、中間部18について説明する。図2A、図3、図5A及び図5Bに示すように、中間部18は、第1面20aから第2面20bに至る貫通孔25が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含む。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。例えば、有効領域22は、蒸着マスク20のうち、有機EL基板92の表示領域に対面する領域である。
図2Aに示すように、有効領域22は、例えば、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有する。なお図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状の輪郭を有していてもよい。
図2Aに示すように、中間部18は、蒸着マスク20の長手方向に沿って所定の間隔を空けて配列された複数の有効領域22を含む。一つの有効領域22は、一つの有機EL表示装置100の表示領域に対応する。このため、図1Aに示す蒸着マスク装置10によれば、有機EL表示装置100の多面付蒸着が可能である。
以下、中間部18について詳細に説明する。図6は、中間部18を拡大して示す平面図であり、図7は、図6の中間部18をVII−VII方向から見た断面図である。図6に示すように、複数の貫通孔25は、有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで規則的に配列される。
以下、有効領域22について詳細に説明する。図6は、蒸着マスク20の第2面20b側から有効領域22を拡大して示す平面図である。図6に示すように、図示された例において、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されている。
図7は、図6の有効領域22のVII−VII方向に沿った断面図である。図7に示すように、複数の貫通孔25は、蒸着マスク20の第1面20aから、第2面20bへ貫通している。図示された例では、後に詳述するように、蒸着マスク20の第1面20aの法線方向Nにおける一方の側となる金属板64の第1面64aに第1凹部30がエッチングによって形成され、当該法線方向Nにおける他方の側となる金属板64の第2面64bに第2凹部35が形成される。第1凹部30は、第2凹部35に接続され、これによって第2凹部35と第1凹部30とが互いに通じ合うように形成される。貫通孔25は、第2凹部35と、第2凹部35に接続された第1凹部30とによって構成されている。図6及び図7に示すように、第1凹部30の壁面31と、第2凹部35の壁面36とは、周状の接続部41を介して接続されている。接続部41は、蒸着マスク20の平面視において貫通孔25の開口面積が最小になる貫通部42を画成する。
図7に示すように、蒸着マスク20の第1面20a側において、隣り合う二つの貫通孔25は、金属板64の第1面64aに沿って互いから離間している。蒸着マスク20の第2面20b側においても、隣り合う二つの第2凹部35が、金属板64の第2面64bに沿って互いから離間していてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2凹部35の間に金属板64の第2面64bが残存していてもよい。以下の説明において、金属板64の第2面64bの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分のことを、トップ部43とも称する。このようなトップ部43が残るように蒸着マスク20を作製することにより、蒸着マスク20に十分な強度を持たせることができる。このことにより、例えば搬送中などに蒸着マスク20が破損してしまうことを抑制することができる。なおトップ部43の幅βが大きすぎると、蒸着工程においてシャドーが発生し、これによって蒸着材料98の利用効率が低下することがある。従って、トップ部43の幅βが過剰に大きくならないように蒸着マスク20が作製されることが好ましい。
図1Aに示すようにして蒸着マスク装置10が蒸着装置90に収容された場合、図7に二点鎖線で示すように、蒸着マスク20の第1面20aが、有機EL基板92に対面し、蒸着マスク20の第2面20bが、蒸着材料98を保持したるつぼ94側に位置する。したがって、蒸着材料98は、次第に開口面積が小さくなっていく第2凹部35を通過して有機EL基板92に付着する。図7において第2面20b側から第1面20aへ向かう矢印で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から有機EL基板92に向けて蒸着マスク20の第1面20aの法線方向Nに沿って移動するだけでなく、当該法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このとき、蒸着マスク20の厚みが大きいと、斜めに移動する蒸着材料98が、トップ部43、第2凹部35の壁面36や第1凹部30の壁面31に引っ掛かり易くなり、この結果、貫通孔25を通過できない蒸着材料98の比率が多くなる。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、蒸着マスク20の厚みtを小さくし、これによって、第2凹部35の壁面36や第1凹部30の壁面31の高さを小さくすることが好ましいと考えられる。すなわち、蒸着マスク20を構成するための金属板64として、蒸着マスク20の強度を確保できる範囲内で可能な限り厚みtの小さな金属板64を用いることが好ましいと言える。この点を考慮し、本実施の形態において、蒸着マスク20の厚みtは、例えば30μm以下、好ましくは25μm以下、更に好ましくは20μm以下になっている。一方、蒸着マスク20の厚みが小さくなり過ぎると、蒸着マスク20の強度が低下し、蒸着マスク20に損傷や変形が生じやすくなる。この点を考慮し、蒸着マスク20の厚みtは、好ましくは5μm以上であることが好ましい。蒸着マスク20の厚みtは、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、12μm以上であってもよく、13μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。蒸着マスク20の厚みtの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、蒸着マスク20の厚みtの範囲は、5μm以上30μm以下であってもよく、8μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、13μm以上20μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよい。また、蒸着マスク20の厚みtの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、蒸着マスク20の厚みtの範囲は、20μm以上25μm以下であってもよい。また、蒸着マスク20の厚みtの範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、蒸着マスク20の厚みtの範囲は、13μm以上15μm以下であってもよい。なお厚みtは、周囲領域23の厚み、すなわち蒸着マスク20のうち第1凹部30および第2凹部35が形成されていない部分の厚みである。従って厚みtは、金属板64の厚みであると言うこともできる。
図7において、貫通孔25の最小開口面積を持つ部分となる接続部41と、第2凹部35の壁面36の他の任意の位置と、を通過する直線L5が、蒸着マスク20の第1面20aの法線方向Nに対してなす最小角度が、符号θ1で表されている。斜めに移動する蒸着材料98を、壁面36に到達させることなく可能な限り有機EL基板92に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。角度θ1を大きくする上では、蒸着マスク20の厚みtを小さくすることの他にも、上述のトップ部43の幅βを小さくすることも有効である。
図7において、符号αは、金属板64の第1面64aの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分(以下、リブ部とも称する)の幅を表している。リブ部の幅αおよび貫通部42の寸法rは、有機EL表示装置の寸法および表示画素数に応じて適宜定められる。例えば、リブ部の幅αは5μm以上且つ40μm以下であり、貫通部42の寸法rは10μm以上且つ60μm以下である。
なお、図6及び図7においては、隣り合う二つの第2凹部35の間に金属板64の第2面64bが残存している例を示したが、これに限られることはない。図示はしないが、隣り合う二つの第2凹部35が接続されるようにエッチングが実施されてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2凹部35の間に、金属板64の第2面64bが残存していない場所が存在していてもよい。
次に、蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。まず、蒸着マスク装置10の蒸着マスク20を製造する方法について説明する。
蒸着マスクの製造方法
まず、蒸着マスク20を製造する方法について、主に図8乃至図11を参照して説明する。本実施の形態においては、複数枚の蒸着マスク20に対応する多数の貫通孔25を金属板64に形成する。言い換えると、金属板64に複数枚の蒸着マスク20を割り付ける。その後、金属板64のうち1枚分の蒸着マスク20に対応する複数の貫通孔25が形成された部分を金属板64から分離する。このようにして、枚葉状の蒸着マスク20を得ることができる。
この際、まず、金属板64の第1面64a上および第2面64b上に感光性レジスト材料を含むレジスト膜を形成する。続いて、レジスト膜を露光及び現像する。これにより、図8に示すように、金属板64の第1面64a上に第1レジストパターン65aを形成し、金属板64の第2面64b上に第2レジストパターン65bを形成することができる。
次に、図9に示すように、金属板64の第1面64aのうち第1レジストパターン65aによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングする第1面エッチング工程を実施する。これによって、金属板64の第1面64aに多数の第1凹部30が形成される。第1エッチング液としては、例えば塩化第2鉄溶液及び塩酸を含むものを用いる。
次に、図10に示すように、金属板64の第2面64bのうち第2レジストパターン65bによって覆われていない領域をエッチングし、第2面64bに第2凹部35を形成する第2面エッチング工程を実施する。第2面エッチング工程は、第1凹部30と第2凹部35とが互いに通じ合い、これによって貫通孔25が形成されるようになるまで実施される。第2エッチング液としては、上述の第1エッチング液と同様に、例えば塩化第2鉄溶液及び塩酸を含むものを用いる。なお、第2面エッチング工程の際、図10に示すように、第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって第1凹部30が被覆されていてもよい。
その後、図11に示すように、金属板64から樹脂69を除去する。樹脂69は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去することができる。アルカリ系剥離液が用いられる場合、図11に示すように、樹脂69と同時にレジストパターン65a,65bも除去される。なお、樹脂69を除去した後、樹脂69を剥離させるための剥離液とは異なる剥離液を用いて、樹脂69とは別途にレジストパターン65a,65bを除去してもよい。
その後、金属板64のうち1枚分の蒸着マスク20に対応する複数の貫通孔25が形成された部分を金属板64から分離することにより、蒸着マスク20を得ることができる。
次に、フレーム15を製造する方法について説明する。
フレームの製造方法
まず、フレーム15を製造する方法について、図12Aおよび図12Bを参照して説明する。
まず、図12Aに示すように、金属板150を準備する。
次に、金属板150に対して切削等の機械加工を施すことにより、図12Bに示すように、表面15bと、表面15bに対向する裏面15cと、表面15bと裏面15cとの間に広がる外側面15dと、外側面15dよりも内側において表面15bと裏面15cとの間に広がり、開口部15aに面する内側面15eと、を有するフレーム15が得られる。また、この際、金属板150に対して切削等の機械加工を施すことにより、フレーム15の表面15bのうち開口部15aから離間した位置に、複数の収容部15fが形成される。このようにして、フレーム15が作製される。なお、フレーム15は、鋳型や3Dプリンターを用いて作製されてもよい。
蒸着マスク装置の製造方法
次に、上述のようにして得られた蒸着マスク20をフレーム15に溶接する溶接工程を実施する。これによって、蒸着マスク20及びフレーム15を備える蒸着マスク装置10を得ることができる。
この場合、まず、蒸着マスク20をフレーム15上に配置する。次に、例えば、図示しない溶接装置により、蒸着マスク20の第1面20a側からレーザー光を照射する。これによって、図5Aおよび図5Bに示すように、蒸着マスク20の耳部17の一部及びフレーム15の一部が溶融して、耳部17の第1面20aから第2面20bを介してフレーム15に至る溶融領域19fが形成される。この溶融領域19fは、耳部17及びフレーム15に跨っている。
レーザー光としては、例えば、YAGレーザー装置によって生成されるYAGレーザー光を用いることができる。YAGレーザー装置としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)にNd(ネオジム)を添加した結晶を発振用媒質として備えたものを用いることができる。この場合、基本波として、波長が約1064nmのレーザー光が生成される。また、基本波を非線形光学結晶に通すことによって、波長が約532nmの第2高調波が生成される。また、基本波および第2高調波を非線形光学結晶に通すことによって、波長が約355nmの第3高調波が生成される。
YAGレーザー光の第3高調波は、ニッケルを含む鉄合金に吸収され易い。従って、蒸着マスク20の耳部17およびフレーム15の一部を効率良く溶融させるためにはレーザー光がYAGレーザー光の第3高調波を含むことが好ましい。
レーザー光の照射が終了すると、溶融領域19fの温度が低下し、溶融領域19fが固化して溶接痕19aとなる。このことにより、蒸着マスク20の耳部17とフレーム15とが溶接痕19aによって互いに接合される。このようにして、フレーム15と、接合部19によってフレーム15に接合された蒸着マスク20と、を備える蒸着マスク装置10を得ることができる。
その後、蒸着マスク20の耳部17が、フレーム15の開口部15aと収容部15fとの間において切断され、耳部17の一部が除去される。
蒸着材料の蒸着方法
次に、上述した工程により得られた蒸着マスク装置10を用いて有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する蒸着材料の蒸着方法について、主に図13A乃至図14Bを参照して説明する。
まず、上述した工程により得られた蒸着マスク装置10を準備する。すなわち、図13Aに示すように、当該蒸着マスク装置10、蒸着材料98が収容されたるつぼ94及びヒータ96を備える蒸着装置90を準備する。
次に、図13Bに示すように、保持部材92Aによって有機EL基板92を保持しながら、有機EL基板92の位置決めを行い、フレーム15に設置する。この場合、例えば有機EL基板92の図示しないアライメントマークと、蒸着マスク20の図示しないアライメントマークとを直接観察し、当該アライメントマーク同士が重なるように有機EL基板92の位置決めを行う。或いは、図示しない制御装置により、有機EL基板92のアライメントマークの中心位置座標と、蒸着マスク20のアライメントマークの中心位置座標とを別々に測定し、これらの中心位置座標が所定の位置関係となるように、有機EL基板92の位置決めを行ってもよい。この際、図14Aに示すように、保持部材92Aの少なくとも一部は、フレーム15の収容部15fに収容される。このため、フレーム15と保持部材92Aとが干渉することを抑制することができ、有機EL基板92を蒸着マスク装置10に対して所望の位置に設置することができる。
また、保持部材92Aの少なくとも一部を収容可能である複数の収容部15fが、フレーム15の表面15bに離散的に設けられている。このため、フレーム15のうち、厚みS1を有する、収容部15fが設けられていない部分を、フレーム15の全域に分布させることができる。これにより、フレーム15に収容部15fを設けることによって生じるフレーム15の強度の低下の程度を小さくすることができる。このため、蒸着マスク20から加わる力によってフレーム15に撓みなどの変形が生じてしまうことを抑制することができる。このことにより、フレーム15に支持された蒸着マスク20を用いて蒸着材料98を有機EL基板92に精度良く蒸着させることができる。
また、複数の収容部15fは、外側面15dと内側面15eとの間に形成されており、フレーム15の表面15bにおいて、収容部15fの外側に厚みS1の領域を確保することができ、フレーム15の強度が低下することを効果的に抑制できる。
次いで、フレーム15に設置された有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着させる。この際、例えば、図14Bに示すように、有機EL基板92の、蒸着マスク20と反対の側の面に磁石93が配置される。このように磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石93側に引き寄せて、蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させることができる。次に、ヒータ96が、るつぼ94を加熱して蒸着材料98を蒸発させる。そして、るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98は、蒸着マスク20の貫通孔25を通って有機EL基板92に付着する(図1A参照)。なお、この際、保持部材92Aは、有機EL基板92から取り外されていてもよい。
このようにして、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が有機EL基板92に蒸着される。
本実施の形態によれば、フレーム15の表面15bのうち開口部15aから離間した位置に、保持部材92Aの少なくとも一部を収容可能な複数の収容部15fが形成されている。これにより、有機EL基板92を蒸着マスク装置10に設置する際に、保持部材92Aがフレーム15に干渉することを抑制することができる。また、収容部15fが開口部15aから離間した位置に形成されているため、接合部19を確保することができ、蒸着マスク20の接合部19の溶接強度を高めることができる。さらに、フレーム15の表面15bに複数の収容部15fが形成されている。すなわち、複数の収容部15f間において、厚みS1の領域が確保され、フレーム15のうち、厚みS1を有する、収容部15fが設けられていない部分を、フレーム15の全域に分布させることができる。これにより、フレーム15に収容部15fを設けることによって生じるフレーム15の強度の低下の程度を小さくすることができ、蒸着マスク20から加わる力によってフレーム15に撓みなどの変形が生じてしまうことを抑制することができる。このことにより、フレーム15に支持された蒸着マスク20を用いて蒸着材料98を有機EL基板92に精度良く蒸着させることができる。
また、本実施の形態によれば、複数の収容部15fが、開口部15aと外側面15dとの間に形成されている。これにより、フレーム15の表面15bにおいて、収容部15fの外側に厚みS1の領域を確保することができ、フレーム15の強度が低下することを効果的に抑制できる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(蒸着マスクの製造方法の変形例)
上述の本実施の形態および変形例においては、エッチングによって蒸着マスク20を作製する例について説明した。しかしながら、蒸着マスク20を作製するために採用される方法が、エッチングに限られることはない。例えば、上述の特許文献2に開示されているように、めっき処理によって金属板に貫通孔25を形成することによって蒸着マスク20を作製してもよい。
(耳部の変形例)
上述の本実施の形態及び変形例においては、蒸着マスク20の耳部17の厚みと中間部18の厚みとが同一である例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、耳部17の厚みと中間部18の厚みとが異なっていてもよい。例えば、図15に示すように、耳部17の厚みが中間部18の厚みよりも厚くなっていてもよい。また、図示はしないが、例えば、耳部17の厚みが中間部18の厚みよりも薄くなっていてもよい。
(フレームの第1の変形例)
上述の本実施の形態においては、フレーム15の複数の収容部15fが、開口部15aと外側面15dとの間に形成されている例について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図16に示すように、複数の収容部15fは、外側面15dに至るまで延びていてもよい。この場合においても、複数の収容部15fが互いに離間して設けられることにより、フレーム15の強度が低下することを抑制することができる。
(フレームの第2の変形例)
上述の本実施の形態及び変形例においては、フレーム15の複数の収容部15fが、開口部15aと外側面15dとの間に形成されている例について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図17Aに示すように、複数の収容部15fは、開口部15aを取り囲むように形成されていてもよい。すなわち、開口部15aが4つの辺を有する矩形状の形状を備え、複数の収容部15fが、開口部15aの4辺に沿って並んでいてもよい。また、この場合、上述した有機EL基板92をフレーム15に設置する工程において、保持部材92Aが有機EL基板92の4辺を保持するようにしてもよい。
ところで、有機EL基板92をフレーム15に設置する工程において、有機EL基板92と蒸着マスク20との間に空気が混入し、有機EL基板92に撓み等が発生する場合がある。この場合、蒸着材料98を有機EL基板92の所望の位置に蒸着させることが困難になる。
これに対して本変形例によれば、複数の収容部15fが、開口部15aを取り囲むように形成されることにより、有機EL基板92をフレーム15に設置する工程において、保持部材92Aが有機EL基板92の4辺を保持することができる。これにより、有機EL基板92をフレーム15に設置する工程において、有機EL基板92と蒸着マスク20との間に空気が混入することを抑制することができる。すなわち、図17Bに示すように、保持部材92Aが有機EL基板92の4辺を保持することにより、有機EL基板92は、有機EL基板92の自重により、有機EL基板92の中心の近傍が最も下方に位置するように撓むようになる。この場合、有機EL基板92が蒸着マスク20に接触する際に、有機EL基板92と蒸着マスク20とが点接触するように、有機EL基板92を蒸着マスク20に接触させることができる。そして、保持部材92Aが有機EL基板92の4辺を保持しながら有機EL基板92を徐々に降下させることにより、有機EL基板92と蒸着マスク20との間に空気が混入することを抑制することができる。また、有機EL基板92をフレーム15に設置する工程において、有機EL基板92に発生する撓みを低減することができ、有機EL基板92の安定した搬送が可能となるとともに、有機EL基板92が破損する危険性を低減することができる。とりわけ、大型(例えばG5.5Qサイズ、またはG6Hサイズ)の有機EL基板92や、厚みが0.5mm以下程度の薄い有機EL基板92においても、有機EL基板92の安定した搬送が可能となるとともに、有機EL基板92が破損する危険性を低減することができる。
また、この場合、図17Cに示すように、フレーム15の4隅には、収容部15fが設けられていなくてもよい。ここで、フレーム15の4隅とは、平面視において、開口部15aの4辺をフレーム15の外側面15dに至るように延長させた仮想線Xと、当該外側面15dとによって囲まれる領域R(図17Cの梨地で示す領域)を意味する。ところで、フレーム15には、蒸着マスク20をフレーム15に接合する際に、蒸着マスク20の位置決めを行うためのアライメントマークMが設けられている。このアライメントマークMは、蒸着マスク20をフレーム15に接合した後に、平面視において蒸着マスク20に重ならない位置に設けられている。また、蒸着マスク20の位置決めを行う際には、蒸着マスク20の全ての有効領域22が所定の位置に配置されることが望ましく、全ての有効領域22に対する位置合わせを容易に行うために、アライメントマークMは、フレーム15の4隅に設けられていることが好ましい。このため、本変形例のように、フレーム15の4隅に収容部15fが設けられていないことにより、フレーム15の4隅にアライメントマークMを確実に形成することができ、蒸着マスク20の位置決めを容易に行うことができる。
(フレームの第3の変形例)
上述の本実施の形態及び変形例においては、蒸着マスク装置10が、フレーム15に複数の蒸着マスク20が割り付けられた蒸着マスク装置10を用いている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図18に示すように、蒸着マスク装置10が、格子状に配置された複数の有効領域22を有する単一の蒸着マスク20を用いてもよい。
(フレームの第4の変形例)
上述の本実施の形態及び変形例においては、フレーム15のうち、厚みS1(図5B参照)を有する部分がフレーム15の全域に分布している例を説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図19および図20に示すように、フレーム15の表面15bが、内側面15e側に位置する第1表面15gと、外側面15d側に位置するとともに第1表面15gよりも裏面15c側に位置する第2表面(すなわち、第5面)15hとを含み、第1表面15gと第2表面15hとは、中間面15iを介して互いに連結され、収容部15fが、第1表面15gに形成されるとともに、中間面15iに至るまで延びていてもよい。
この場合、フレーム15のうち第2表面15hから裏面15cまでの厚みは、第1表面15gから裏面15cまでの厚みに比べて一様に小さくなっている。図20において、符号S3は、第1表面15gから裏面15cまでの厚みを表し、符号S4は、第2表面15hから裏面15cまでの厚みを表す。厚みS4は、保持部材92Aがフレーム15と干渉することを抑制できるよう、保持部材92Aの寸法に応じて定められる。例えば、厚みS4は、2mm以上であってもよく、5mm以上であってもよく、7mm以上であってもよく、10mm以上であってもよい。また、厚みS4は、20mm以下であってもよく、18mm以下であってもよく、15mm以下であってもよく、12mm以下であってもよい。厚みS4の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS4の範囲は、2mm以上20mm以下であってもよく、5mm以上18mm以下であってもよく、7mm以上15mm以下であってもよく、10mm以上12mm以下であってもよい。また、厚みS4の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS4の範囲は、15mm以上18mm以下であってもよい。また、厚みS4の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS4の範囲は、7mm以上10mm以下であってもよい。
第1表面15gから裏面15cまでの厚みS3は、フレーム15に撓みなどの変形が生じることを抑制できるよう定められており、例えば、厚みS3は、5mm以上であってもよく、10mm以上であってもよく、15mm以上であってもよく、20mm以上であってもよい。また、厚みS3は、35mm以下であってもよく、30mm以下であってもよく、25mm以下であってもよく、20mm以下であってもよい。厚みS3の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS3の範囲は、5mm以上35mm以下であってもよく、10mm以上30mm以下であってもよく、15mm以上25mm以下であってもよい。また、厚みS3の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS3の範囲は、20mm以上30mm以下であってもよい。また、厚みS3の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みS3の範囲は、10mm以上15mm以下であってもよい。また、厚みS3は、第2表面15hから裏面15cまでの厚みS4に応じて定められていてもよい。例えば、厚みS3は、1.5×S4以上3.0×S4以下とすることができる。
好ましくは、フレーム15の第1表面15gの面積のうち複数の収容部15fが設けられている部分の面積の比率(収容部率)が、フレーム15に撓みなどの変形が生じることを抑制できるよう定められている。収容部率は、例えば、5%以上であってもよく、7%以上であってもよく、9%以上であってもよい。また、収容部率は、15%以下であってもよく、13%以下であってもよく、11%以下であってもよい。収容部率の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、収容部率の範囲の範囲は、5%以上15%以下であってもよく、7%以上13%以下であってもよく、9%以上11%以下であってもよい。また、収容部率の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、収容部率の範囲は、11%以上15%以下であってもよい。また、収容部率の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、収容部率の範囲は、5%以上9%以下であってもよい。
この場合においても、収容部15fが保持部材92Aの少なくとも一部を収容するように、または保持部材92Aがフレーム15の第2表面15h上に位置するように有機EL基板92を蒸着マスク装置10に設置することにより、保持部材92Aがフレーム15と干渉することを抑制することができる。
(フレームの第5の変形例)
上述の本実施の形態及び変形例においては、複数の収容部15fが、蒸着マスク20の一対の端部20eの外側に形成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図21および図22に示すように、複数の収容部15fが、蒸着マスク20の一対の端部20eの内側に形成されていてもよい。この場合、各々の収容部15fの全体が、蒸着マスク20の一対の端部20eの内側に形成されていてもよく、各々の収容部15fの一部のみが、蒸着マスク20の一対の端部20eの内側に形成されていてもよい。また、この場合、複数の収容部15fは、複数の蒸着マスク20間に位置するようにフレーム15の表面15bに離散的に設けられる。また、この場合、有機EL基板92は、蒸着マスク20のうち接合部19が形成される部分よりも外側に延在することなく、接合部19が形成される部分の内側に位置していても良い。
ところで、上述したように、蒸着マスク20の耳部17は、蒸着マスク20をフレーム15に溶接した後に、一部分が除去される。このため、蒸着マスク20の一対の端部20eにおいて、切断によるバリが発生する可能性がある。このように一対の端部20eにおいてバリが発生した場合、バリにより蒸着マスク20と有機EL基板92との密着性が低下し、蒸着不良の要因となりうる。これに対して本変形例によれば、複数の収容部15fが、蒸着マスク20の一対の端部20eの内側に形成され、複数の蒸着マスク20間に位置するようにフレーム15の表面15bに離散的に設けられている。このため、有機EL基板92を、蒸着マスク20のうち接合部19が形成される部分よりも内側に位置付けることができ、有機EL基板92が蒸着マスク20の一対の端部20eに重なることを抑制できる。このため、蒸着マスク20の一対の端部20eにおいてバリが発生した場合であっても、バリによる蒸着マスク20と有機EL基板92との密着性の低下を防止することができ、蒸着不良を回避することができる。
(フレームの第6の変形例)
上述の本実施の形態及び変形例においては、フレーム15の表面15bのうち、収容部15fの内側に位置する表面151bと、収容部15fの外側に位置する表面152bとは、第1面20aの法線方向Nに沿って見た場合に、同一表面上に位置している例を示した。しかしながら、これに限られることはない。以下に示すように、フレーム15は、様々な形状を有していても良い。例えば、図23Aに示すように、フレーム15の表面15bのうち、収容部15fの外側に位置する表面152bが、収容部15fの内側に位置する表面151bよりも蒸着マスク20側に位置していても良い。この場合、フレーム15のうち、収容部15fの外側に位置する部分の厚みを厚くすることができ、フレーム15の強度を高めることができる。また、図23Bに示すように、フレーム15の表面15bのうち、収容部15fの内側に位置する表面151bが、収容部15fの外側に位置する表面152bよりも蒸着マスク20側に位置していても良い。この場合においても、保持部材92Aがフレーム15と干渉することを抑制することができる。また、図23Cに示すように、フレーム15の表面15bのうち、収容部15fの外側に位置する表面152bの一部が、第1面20aの法線方向Nに沿って見た場合に、例えば外側に向かうにつれてフレーム15の裏面15c側に傾斜していてもよい。また、この場合、図23Dに示すように、フレーム15の表面15bのうち、収容部15fの外側に位置する表面152bの一部が、第1面20aの法線方向Nに沿って見た場合に、曲線形状を有していてもよい。この場合においても、保持部材92Aがフレーム15と干渉することを抑制することができる。
また、図23E乃至図23Gに示すように、収容部15fが外側面15dに至るまで延びており、収容部15fの面151fが外側に向かうにつれて蒸着マスク20側に傾斜していてもよい。この場合、図23Eに示すように、収容部15fの端部が、第1面20aの法線方向Nに沿って見た場合に、フレーム15の表面15bのうち、収容部15fの内側に位置する表面151bと同一平面上に位置していてもよい。また、図23Fに示すように、収容部15fの端部が、フレーム15の表面15bのうち、収容部15fの内側に位置する表面151bよりも蒸着マスク20側に位置していてもよい。この場合、収容部15fの面151f(すなわち第5面)の一部が、フレーム15の表面15bのうち、収容部15fの内側に位置する表面151bよりも蒸着マスク20側に位置していてもよい。また、図23Gに示すように、表面151bよりもフレーム15の裏面15c側に位置していてもよい。この場合においても、保持部材92Aがフレーム15と干渉することを抑制することができる。
また、図23Hに示すように、収容部15fが、内側に向かうにつれて蒸着マスク20側に傾斜する傾斜部(図23Hの破線参照)152fを含んでいてもよい。この場合、フレーム15の収容部15fにおいて、フレーム15の厚みを厚くすることができ、フレーム15の強度を高めることができる。また、この場合においても、図23Iに示すように、複数の収容部15fは、外側面15dに至るまで延びていてもよい。この場合においても、フレーム15の収容部15fにおいて、フレーム15の厚みを厚くすることができ、フレーム15の強度を高めることができる。また、図23Jに示すように、傾斜部152fが、第1面20aの法線方向Nに沿って見た場合に、フレーム15の表面15bおよび収容部15fの面151fに対して滑らかに接続するように形成されていてもよい。また、図23Kに示すように、傾斜部152fの形状が、第1面20aの法線方向Nに沿って見た場合に、波打ち形状を有していてもよい。さらに、図23Lに示すように、傾斜部152fの形状が、第1面20aの法線方向Nに沿って見た場合に、曲線形状を有していてもよい。
(フレームの第7の変形例)
また、図24に示すように、1つの収容部15fに保持部材92Aが複数収容されていてもよい。図示された例においては、1つの収容部15fに2つの保持部材92Aが収容されている。なお、1つの収容部15fに収容される保持部材92Aの個数は3つ以上であってもよい。このように、1つの収容部15fに保持部材92Aが複数収容される場合、各々の収容部15fの平面視における面積を大きくすることができるとともに、収容部15fの個数を少なくすることができる。このため、フレーム15を作製する工程を容易にすることができる。
(保持部材の変形例)
上述の本実施の形態及び変形例においては、保持部材92Aが、有機EL基板92を挟持するクランプである例を示した。しかしながら、これに限られることはない。例えば、図25Aに示すように、保持部材92Aが、有機EL基板92を挟持することなく、有機EL基板92の面のうち、蒸着マスク20側の面を支持するように構成されていてもよい。この場合においても、保持部材92Aが有機EL基板92を保持することができる。また、この場合、図25Bに示すように、保持部材92Aが、保持部材92Aに対して有機EL基板92を粘着させるための粘着部材921を含んでいてもよい。この場合、保持部材92Aに対して有機EL基板92を粘着させることができるため、保持部材92Aが有機EL基板92を効果的に保持することができる。

Claims (8)

  1. 保持部材によって保持された基板と少なくとも一時的に組み合わされる蒸着マスク装置であって、
    前記基板の側に位置する第1面から前記第1面の反対側に位置する第2面に至る複数のマスク貫通孔を含む蒸着マスクと、
    前記蒸着マスクの一部に重なる開口部が設けられるとともに前記蒸着マスクを支持するフレームと、を備え、
    前記フレームは、前記蒸着マスクの前記第2面に面する表面と、前記表面に対向する裏面と、前記表面と前記裏面との間に広がる外側面と、前記外側面よりも内側において前記表面と前記裏面との間に広がり、前記開口部に面する内側面と、を有し、
    前記フレームの前記表面のうち前記開口部から離間した位置に、前記保持部材の少なくとも一部を収容可能な複数の収容部が形成されている蒸着マスク装置。
  2. 複数の前記収容部は、前記開口部と前記外側面との間に形成されている、請求項1に記載の蒸着マスク装置。
  3. 複数の前記収容部は、前記外側面に至るまで延びている、請求項1に記載の蒸着マスク装置。
  4. 前記フレームの前記表面は、前記内側面側に位置する第1表面と、前記外側面側に位置するとともに前記第1表面よりも前記裏面側に位置する第2表面とを含み、
    前記第1表面と前記第2表面とは、中間面を介して互いに連結され、
    前記収容部は、前記第1表面に形成されるとともに、前記中間面に至るまで延びている、請求項1に記載の蒸着マスク装置。
  5. 複数の前記収容部は、前記開口部を取り囲むように形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
  6. 前記蒸着マスクは、前記フレームの前記表面に溶接される接合部を含み、
    前記接合部の少なくとも一部は、前記開口部と前記収容部との間に位置する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
  7. 各々の前記収容部の少なくとも一部は、前記蒸着マスクの長手方向における一対の端部よりも内側に形成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
  8. 第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有する蒸着マスクと、
    前記蒸着マスクの側に位置する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有するフレームと、を備え、
    前記蒸着マスクと前記フレームは、接合部を介して互いに接合されており、
    前記フレームは、前記接合部の外側に位置する第5面を更に有し、
    前記第5面の少なくとも一部は、前記第3面よりも前記第4面の側に位置している、蒸着マスク装置。
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