JPWO2019073901A1 - 動脈瘤塞栓用の部材 - Google Patents

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Abstract

本発明は、脳動脈瘤等の動脈瘤を発症した動脈内に植え込まれ、動脈瘤内への血液の流入を遮断することを目的に用いられる動脈瘤閉塞用の部材(1)である。塞栓用の部材は、一端側から他端側に亘って連続した一の流路が形成された一の筒状体(3)を備える。一の筒状体は、少なくとも3本以上の繊維(4)が互いに重なり合うことなく並列に密接させて配列された繊維束(5)を中空の筒状に編組されて構成されている。繊維束を構成する繊維は、生体適合性を有する生分解性ポリマーからなるモノフィラメントが用いられている。

Description

本発明は、動脈の動脈瘤を発症させた部位若しくはその近傍に植え込み留置される動脈瘤塞栓用の部材に関する。
血管、例えば、脳動脈の血管壁の一部に、瘤状に膨らんだ状態である動脈瘤を発症させることがある。この種の動脈瘤を発症させた部位の血管壁は、薄く脆弱となり、血液の流出入により破裂する危険が極めて高い。特に、脳動脈に生じた動脈瘤が破裂してしまうと、脳に重篤な病変を発症させるおそれがある。脳動脈瘤は、その形状が大きくなると、破裂しないまでも、周囲の脳細胞や神経を圧迫などすることにより神経系障害を発症させてしまうことがある。
このような脳動脈の一部に発症する脳動脈瘤や、その他の動脈の一部に発症した動脈瘤の破裂や増大を防止するためには、動脈瘤を閉塞し、動脈瘤内への血液の流入を抑制することが求められている。
動脈瘤、特に脳動脈瘤の閉塞を行うとき、脳動脈や脳動脈瘤に与える負荷を小さくし、これら脳動脈や脳動脈瘤に損傷を与えることを抑制することが望ましい。
このような技術課題を解決して、動脈瘤を閉塞し、動脈瘤内への血液の流入を抑制する技術が提案されている。その一つとして、動脈瘤内に導入される塞栓材などを用いることなく、動脈瘤内への血液の流入を抑制、若しくは閉塞する治療法が提案され用いられている。この治療法は、筒状体よりなる部材を用いるものであって、動脈の動脈瘤を発症させた部位若しくはその近傍に上記部材を植え込み、留置することにより、動脈瘤内への血液の流入を抑制、若しくは閉塞する。
この種の治療法に用いられる部材として、特表2007−524449号公報(特許文献1)、特開2008−173461号公報(特許文献2)に開示されたものがある。特許文献1に開示された部材は、超弾性金属からなるワイヤを緊密に螺旋状に巻回して形成されている。この部材は、脳動脈瘤を生じた血管内に植え込まれ、緊密に巻回されたワイヤの一部で脳動脈瘤の開口部を塞ぐようにして脳動脈内に植え込まれることにより、脳動脈瘤内への血液の流入を抑制し、脳動脈瘤内で血栓の形成を促進し、脳動脈瘤を閉塞するに至らしめる。
特許文献2に開示される部材は、金属製のワイヤを管状に、開口の大きさ、開口の数を異にして編組した複数の管状構造体を多層に組み込んで構成したものである。この部材は、血管内に植え込まれたとき、血管の内壁に接触する最外周側に位置する管状構造体を、血流の通過を阻止するに足る大きさに形成した複数の開口を有するように編組している。
そして、特許文献2に開示された部材は、最外周側に位置する管状構造体の少なくとも一部により、脳動脈に開口した脳動脈瘤の開口部の開口端を覆うようにして脳動脈内に植え込まれることにより、脳動脈瘤内への血液の流入を抑制し、脳動脈瘤内で血栓の形成を促進し、脳動脈瘤を閉塞にするに至らしめる。
特表2007−524449号公報 特開2008−173461号公報
動脈瘤の治療においては、動脈瘤内への血液の流入を確実に抑制し、動脈瘤内での血栓の形成を促進しながら、動脈瘤を発症させた動脈内には円滑な血流を確保することが望ましい。動脈内に閉塞用の部材が植え込まれ、動脈内の円滑な血流が阻害されることにより、動脈内に血栓が形成され、その血栓が閉塞用の部材の周辺に堆積してしまうと、動脈内の流路が狭くなり円滑な血流が確保できなくなるばかりか、動脈を閉塞させるおそれがある。特に、動脈のうち脳動脈が閉塞されると、脳梗塞を発症させ、身体の麻痺や発語の障害、知能や意識の障害を出現させるばかりか、生命に危険を及ぼすおそれもある。また、閉塞された脳動脈以外の主幹動脈に脳動脈瘤を発症させる危険性が増大する。
そこで、本発明の目的は、脳動脈瘤を含む動脈瘤を発症した脳動脈やその他の動脈の保護を図り、動脈瘤に負荷を与えることなく、安全にしかも確実に動脈瘤内への血液の流入を抑制し、動脈瘤を確実に閉塞することができる動脈瘤塞栓用の部材を提供することにある。
上述したような目的を達成するために提案される本発明は、近位端側から遠位端側に亘って一連に連続した一の流路が形成された一の筒状体を備えた動脈瘤塞栓用の部材であって、この筒状体は、少なくとも3本以上の繊維が互いに重なり合うことなく並列に配列された繊維束を中空の筒状に編組されてなる。ここで、筒状体を構成する繊維束は、少なくとも3本以上の一連に連続する繊維が互いに重なり合うことなく密接に並列して配列されていることが望ましい。
本発明の部材に用いられる繊維束を構成する繊維として、生体適合性を有する生分解性ポリマーからなるモノフィラメントが用いられる。なお、繊維束を構成する繊維は、さらに形状記憶特性を有し生体適合性を有する生分解性ポリマーにより形成することが望ましい。
繊維束を構成する複数本の繊維は、生体適合性を有する同種の生分解性ポリマーからなるモノフィラメントを用いることが望ましい。
生分解性ポリマーとしては、ポリ乳酸(ポリラクチド:PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリグラクチン(ポリグリコール酸とポリ乳酸との共重合体)、ポリジオキサノン、ポリグリコネート(トリメチレンカーボネートとグリコリドの共重合体)、ポリグリコール酸又はポリ乳酸とε−カプロラクトン共重合体などが用いられる。あるいは、これら材料を2以上複合した生分解性ポリマーを用いることができる。
ここで用いる生分解性ポリマーとして、生体への安全性、生分解する期間等を考慮して、ポリL−乳酸(PLLA)を用いることが望ましい。
本発明に係る部材を構成する筒状体は、植え込まれる脳動脈を内側から支持する外径を有する大きさに形状記憶されている。
本発明において、繊維束は、直径を30〜100μmとする繊維により構成することが望ましい。この繊維束を編組して構成された筒状体は、脳動脈内に植え込まれた拡径された状態で、1mm当たりの開口数が3〜10であって、開口率が10〜30%とされている。
本発明は、一の筒状体を脳動脈内に植え込むのみで、脳動脈に開口した脳動脈瘤の開口部の開口端を覆うことにより脳動脈瘤内への血液の流入を抑制することができる。そのため、本発明を採用することにより、脳動脈瘤に与える負荷を小さくしながら脳動脈瘤内への血液の流入を抑制することができる。なお、本発明は、動脈瘤を発症した他の動脈に適用したときにも、同様の利点を得ることができる。
本発明において、筒状体は、その周壁に構成される開口の大きさを小さくするとともに、単位面積当たりの開口率を小さくすることができるので、一の筒状体の一の周壁のみで、筒状体内を流通する血液が筒状体の外周側に流出することを阻止し動脈瘤内への流入を確実に抑制できる。
本発明は、筒状体を構成する繊維を生分解性ポリマーにより形成したことにより、血管に植え込んだ後、一定期間経過後に生体内で消失させることができるので、治療対象とする脳動脈瘤、その他の動脈瘤の治療の期間に適合した動脈瘤塞栓用の部材を構成できる。
本発明は、筒状体の外周径を植え込まれる脳動脈を内側から支持する大きさに形状記憶することにより、動脈瘤閉塞用の部材を脳動脈等の動脈の内壁に密接して植え込みでき、脳動脈瘤、その他の動脈瘤の内部への血液の流入を一層確実に抑制できる。
本発明は、筒状体からなる部材が血管の形状に倣って変位若しくは変形可能とされていることにより、湾曲等して変形した脳動脈等の動脈に対しても動脈の内壁に密接して植え込むことができる。
そして、本発明を採用することにより、患者への負担を一層軽減し、脳動脈やその他の動脈の保護を図り、安全にしかも確実に動脈瘤の治療を行うことができる。
本発明に係る動脈瘤閉塞用の部材の一実施の形態を示す斜視図である。 動脈瘤閉塞用の部材を構成する筒状体を形成する繊維束の一部を示す部分斜視図である。 筒状体を形成する一の繊維束の断面を示す拡大断面図である。 一の筒状体に織り込まれた繊維束の一部を拡大して示す部分斜視図である。 一の筒状体に織り込まれた複数の繊維束の部分断面であって、図4のV−V線断面図である。 本発明に係る動脈瘤塞栓用の部材を脳動脈内に植え込んだ状態を示す概略説明図である。
以下、本発明を動脈瘤塞栓用の部材に適用した一実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る動脈瘤塞栓用の部材(以下、単に塞栓用の部材。)は、例えば、脳動脈瘤を発症させた脳動脈内に植え込まれ、脳動脈瘤内への血液の流入を遮断することを目的に用いられる。この塞栓用の部材1は、図1に示すように、近位端側から遠位端側に亘って一連に連続して一の流路2が形成された一の筒状体3よりなる。
本実施の形態に係る栓塞用の部材を構成する筒状体3は、複数本の繊維4の束として構成した繊維束5を、近位端側から遠位端に亘って連続した一の流路2を形成するように織り込みあるいは編み込むなど編組して形成されている。この筒状体3を構成する繊維束5は、図2に示すように、互いに独立した複数の繊維4、本実施の形態では4本の繊維4を互いに重なり合うことなく並列に配列されている。さらに、繊維束5を構成する4本の繊維4は、図3に示すに、隣接するもの同士互いに密接して配列されている。本実施の形態に用いられる各繊維4は、全長に亘ってほぼ同径の一連に連続した長尺な線条体として形成されている。
なお、繊維4が密接した状態とは、隣接する繊維4間に実質的に隙間が生じないように接触して配列された状態をいう。
本実施の形態において、繊維束5を構成する繊維4は、人体等の生体に植え込まれたとき、生体に悪影響を与えることがない生体適合性を有する生分解性ポリマーにより形成されている。この生分解性ポリマーとしては、ポリ乳酸(ポリラクチド:PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリグラクチン(ポリグリコール酸とポリ乳酸との共重合体)、ポリジオキサノン、ポリグリコネート(トリメチレンカーボネートとグリコリドの共重合体)、ポリグリコール酸又はポリ乳酸とεーカプロラクトン共重合体などが用いられる。また、これら材料を2以上複合した生分解性ポリマーを用いることができる。
そして、繊維束5を構成する繊維4には、上述した生分解性ポリマーからなる一連に連続した長尺なモノフィラメントが用いられる。また、繊維4は、複数本のモノフィラメントを一体化して1本の線条体としたマルチフィラメントを用いたものであってもよい。
さらに、繊維束5を構成する繊維4は、形状記憶特性を有する生分解性ポリマーを用いて形成されることが望ましい。
ここで用いるモノフィラメントやマルチフィラメントは、生分解性ポリマーを溶融紡糸することにより形成される。生分解性ポリマーの溶融紡糸は、従来より用いられている溶融紡糸機を用いて、従来から採用されている方法により行うことができる。
そして、繊維束5を構成する繊維4は、塞栓用の部材1に要求される強度を満たし、あるいは生体に植え込んだ後の生分解の速度等の特性を考慮し、適宜の材料が選択的に用いられる。
さらに、繊維束5は、塞栓用の部材1に要求される弾性変位力などの物理的な強度を満たし、あるいは生体に植え込んだ後の生分解の特性を考慮し、適宜選択された生分解性ポリマーからなるモノフィラメント又はマルチフィラメントからなる繊維4の組み合わせにより構成される。また、繊維束5は、モノフィラメント及びマルチフィラメントからなる繊維4の組み合わせにより構成したものであってもよい。
さらに、繊維束5を構成する各繊維4は、塞栓用の部材1に要求される弾性変位力などの物理的な強度を考慮し適宜異なるポリマー材料により形成したものを組み合わせたものであってもよい。
本実施の形態において、繊維束5を構成する繊維4として、断面形状を円形若しくはほぼ円形をなすように溶融紡糸されたモノフィラメント又はマルチフィラメントを用いることが望ましい。このようなモノフィラメント又はマルチフィラメントを用いることにより、繊維束5を構成する各繊維4は、図3に示すように、高精度に相互に密接した状態を維持することができる。
本実施の形態において、筒状体3は、図2及び図3に示すように、4本の繊維4を並列に配列した複数組の繊維束5を、編組機を用いて、中空の筒状に編組して形成されている。本実施の形態において、筒状体3は、4組〜16組の適宜組の繊維束5を編組して形成される。
なお、本実施の形態において、繊維束5は、4本の繊維4により構成されているが、この繊維束5に用いられる繊維4の太さや、柔軟性、強度などの物理的特性により3本〜5本の範囲で適宜選択される。
本実施の形態において、筒状体3は一連に連続する中空を構成するように形成されればよく、複数の繊維束5を編組する手段として、周知の手段や方法を採用することができる。例えば、中空状の組紐を編み込む方法や手段を用いることができる。
ところで、本実施の形態に係る塞栓用の部材1は、脳動脈内に植え込まれたとき、脳動脈をその内部から支持し得るように、拡経された状態で、その外周径Rが約2.5〜10mmの範囲で適宜選択される。そして、塞栓用の部材1は、脳動脈内に安定して植え込まれ、脳動脈瘤の開口部を確実に閉塞するため、その長さLが10mm〜120mmの範囲で適宜選択される。
本実施の形態において、形状記憶特性を有する生分解性ポリマーを用いて形成された塞栓用の部材1は、脳動脈内に植え込まれたとき、脳動脈をその内部から支持する拡径された大きさに形状記憶される。この形状記憶は、周知の形状記憶方法を用いて行うことができ、例えば、編組された塞栓用の部材1を脳動脈内に植え込まれたときの大きさに保持する型枠に装着し、生分解性ポリマーからなる繊維4をガラス転移温度Tg以上の温度であって融点Tm以下の温度に加熱し、型枠の大きさに倣った大きさに変形させ、その後、ガラス転移温度Tg以下に冷却することにより行われる。
上述したような大きさで形成される塞栓用の部材1の筒状体3を構成する繊維束5の繊維4は、直径Rを30μm〜100μmとする太さのものが用いられている。このような太さの繊維4の束からなる繊維束5を用いて形成される筒状体3は、周壁6の厚さを約60μm〜200μmの範囲とすることができ、その外周径Rを約2.5mmとする塞栓用の部材1であっても、その内周径を少なくとも2mm以上確保することができ、植え込まれる脳動脈に対し十分な大きさの流路を確保できる。
本実施の形態において、繊維束5を構成する繊維4は、塞栓用の部材1の大きさ、特に外周径Rの大きさに応じて適宜選択される。外周径Rを大きくする塞栓用の部材1にあっては、直径の大きな繊維が用いられる。
ところで、編組機を用いて一連に連続する中空をなす筒状体3に織り込まれた複数組の繊維束5は、図4に示すように、上下に重なりながら織り込まれる。このとき、一組の繊維束5を構成する各繊維4は、図5に示すように、互いに重ねることなく並列に配列された状態を維持している。このような繊維束5を織り込んで形成された筒状体3の周壁6は、用いる繊維4の直径Rの2倍程度の厚さDとなり、直径Rを30μm〜100μmとする繊維4を用いた繊維束5を織り込んで作製された筒状体3の周壁6の厚さDを約60μm〜200μmとすることできる。
本実施の形態において、繊維束5を構成する繊維4は、塞栓用の部材1の大きさ、特に外周径Rの大きさに応じて適宜選択される。外周径Rを大きくする塞栓用の部材1にあっては、直径の大きな繊維4が用いられる。
そして、複数の繊維束5は、図4に示すように、一の筒状体3に織り込まれたとき、互いに重ね合わせられる繊維束5が近接するように織り込まれる。このとき、複数の繊維束5は、図4に示すように、それぞれ並列に互いに密接して配列された4本の繊維4が一体に織り込まれていくことにより、各繊維束5を構成する繊維4間に実質的に隙間を生じさせることなく織り込まれる。
ところで、塞栓用の部材1は、脳動脈に植え込まれたとき脳動脈瘤内への血液の流入を確実に遮断する機能とともに、脳動脈内に植え込み留置されるとき、蛇行、あるいは湾曲した血管に倣って容易に変位することが望ましい。
そこで、塞栓用の部材1を構成する筒状体3は、脳動脈に植え込まれたとき脳動脈瘤内への血液の流入を確実に遮断する機能を備えながら、蛇行、あるいは湾曲した血管に倣って容易に変位可能とするように形成される。本実施の形態では、複数の繊維束5を織り込み一の筒状体3を編組したとき、互いに隣接する繊維束5が密接することなく一定割合で開口7が形成されるよう織り込む。本実施の形態において、複数の繊維束5は、これら繊維束5を織り込んで形成された筒状体3が脳動脈内に植え込まれる大きさとされたとき、1mm当たり3〜10の開口数で開口7が形成され、その開口率が10〜30%とされて織り込まれる。
このような開口数、開口率で複数の繊維束5を織り込んだとき、各開口7の面積は、0.01mm〜0.1mmとなる。このような小さい面積の開口7が1mm当たり10〜30%の開口率で形成されることにより、筒状体3内を流通する血液を筒状体3の周壁7を介して筒状体3の外周側に流出することを阻止できる。この血液の筒状体3の外周側への流出の阻止は、生体の血液が一定の粘度を有することにより、開口7の面積と開口率を上記の範囲で設定することにより実現された。
なお、繊維束5を構成する複数の繊維4は、筒状体3を構成するように織り込まれたときに、図3、図5に示すように、互いに密接した状態を維持しているので、これら繊維4間からの血液の流出を阻止することができる。
本実施の形態に係る塞栓用の部材1を構成する筒状体3は、近位端側から遠位端側に亘る長さ方向に容易に変形可能である。すなわち、筒状体3は、複数の繊維束5が上述したような割合で多数の開口7を有するように織り込まれて形成されているので、複数の繊維束5は、互いの位置を変位させながら撓み変位することが可能である。複数の繊維束5が容易に撓み変形することが可能であることにより、筒状体3の長さ方向の変形が可能であって、径方向への変形と可能となる。その結果、本実施の形態に係る塞栓用の部材1は、図6に示すように、湾曲し、あるいは屈曲等した脳動脈101の形状に倣って植え込みが可能となる。
さらに、本実施の形態に係る塞栓用の部材1は、植え込まれる脳動脈101を内側から支持する大きさに形状記憶されているので、脳動脈101の内壁との間に間隙を生じさせることなく密接させて脳動脈101内に植え込むことができ、脳動脈101に生じた脳動脈瘤102の開口端103を確実に覆うことができる。塞栓用の部材1は、脳動脈101内に密接して植え込まれることから、筒状体3内から脳動脈瘤102内への血液の流入する阻止するとともに、塞栓用の部材1と脳動脈101の内壁との間への血液の浸入を阻止できるので、一層確実に脳動脈瘤102内への血液の流入する阻止することができる。
脳動脈101内に植え込まれる塞栓用の部材1は、脳動脈101をその内部から支持する拡径された大きさから縮径され、生体の血管内に挿入されるカテーテルに装着され、カテーテルとともに所望の植え込み位置まで移送される。カテーテルとともに所望の植え込み位置まで移送された塞栓用の部材1は、所定の突き出し手段を用いてカテーテル内から突出され、脳動脈101内の所望の植え込み位置に植え込まれる。植え込み位置に植え込まれた塞栓用の部材1は、生体により加温され、形状記憶された大きさに拡径され、脳動脈101をその内部から所定の弾性力により支持し、脳動脈瘤102の開口端103を覆って閉塞する。
ところで、本発明に係る塞栓用の部材1を構成する筒状体3は、上述したように、複数の繊維束5が多数の開口7を有するように織り込まれて構成されているので、複数の繊維束5は、互いの位置を変位させながら撓み変位する。その結果、筒状体3は、その長さを可変させながら、外周径を縮径させることができる。
本発明に係る塞栓用の部材1は、脳動脈101をその内部から支持する拡径された大きさから、その外周径を小さくした縮径した状態に変形することが可能であり、脳動脈101内の所望の植え込み位置への容易で安全な植え込み操作を行うことができる。
上述の実施の形態では、本発明を脳動脈101に発症した脳動脈瘤102を閉塞することを目的とした部材に適用した例を挙げて説明したが、本発明は、脳動脈に限らずその他の動脈に発症した動脈瘤を閉塞する部材にも適用することができ、脳動脈瘤の閉塞に用いたのと同様の利点を得ることができる。
1 動脈瘤塞栓用の部材、3 筒状体、4 繊維、5 繊維束、7 開口、101 脳動脈、 102 脳動脈瘤、 103 脳動脈瘤の開口端

Claims (9)

  1. 一端側から他端側に亘って連続した一の流路が形成された一の筒状体からなる動脈瘤閉塞用の部材であって、
    前記一の筒状体は、少なくとも3本以上の繊維が互いに重なり合うことなく並列に配列された繊維束を中空の筒状に編組されていることを特徴とする動脈瘤塞栓用の部材。
  2. 前記繊維束は、少なくとも3本以上の一連に連続する繊維が互いに重なり合うことなく密接に並列して配列されていることを特徴とする請求項1記載の動脈瘤閉塞用の部材。
  3. 前記繊維束を構成する複数の繊維は、生体適合性を有する生分解性ポリマーからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の動脈瘤塞栓用の部材。
  4. 前記繊維束を構成する複数本の繊維は、生体適合性を有する同種の生分解性ポリマーからなるモノフィラメントであることを特徴とする請求項1又は2に記載の動脈瘤塞栓用の部材。
  5. 前記繊維束を構成する繊維は、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリグリコール酸とポリ乳酸の共重合体、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボネートとグリコリドとの共重合体 、ポリグリコール酸又はポリ乳酸とε−力プロラクトンとの共重合体の1又は2以上の生分解性ポリマーからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の動脈瘤塞栓用の部材。
  6. 前記繊維束を構成する繊維は、ポリL−乳酸(PLLA)からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の動脈瘤塞栓用の部材。
  7. 前記筒状体は、植え込まれる動脈を内側から支持する大きさに形状記憶されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の動脈瘤塞栓用の部材。
  8. 前記筒状体は、植え込まれる動脈を内側から支持する(大きさに形状記憶された)状態で、1mm当たりの開口数が3〜10であって、開口率が10〜30%とされていることを特徴とする請求項7に記載の動脈瘤塞栓用の部材。
  9. 前記筒状体を編組する前記繊維束は、直径を30〜100μmとする繊維を互いに重なり合うことなく並列して密接させて束ねられていることを特徴とする請求項8記載の動脈瘤塞栓用の部材。


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