上記した特許文献1に記載の表面形状測定装置では、被測定部分がZ軸の軸まわりに回転対称な回転対称物である場合について説明されている。ただし、自由曲面等のように被測定物が回転対称でない場合でも、装置構成をシンプルにしつつ、高精度に被測定物の表面形状を測定可能な表面形状測定装置が求められている。本実施形態では、回転対称でない被測定物であっても、装置構成をシンプルにしつつ、高精度に被測定物の表面形状を測定することを実現する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。図面の各図では、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明している場合がある。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面に沿った一方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。Z方向は、鉛直方向である。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるとして説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る表面形状測定装置100について図面を参照して説明する。本実施形態の表面形状測定装置100は、被測定物Wの基準形状データに基づいて、被測定物Wの複数の測定対象点Piを順次測定点Pに位置付け、各測定点Pにおいて被測定物Wの基準形状の接平面に対して光学ユニット(測定部)20の基準軸Sを予め定められた角度にして、プローブ光を測定点Pに向けて照射することにより、測定点Pにおける位置(測定点Pまでの距離)、及び/又は、測定点Pでの被測定物Wの表面の傾きを測定し、被測定物Wの各測定対象点Piについて、基準形状との偏差を算出することにより、被測定物Wの表面形状を測定する。基準形状に対する偏差は、例えば、2つのプローブ光を用いて、位置偏差と角度偏差とをそれぞれ測定することにより行う。なお、基準形状データは、被測定物Wの表面形状を示す三次元の設計データであり、予め生成されている。測定点Pは、光学ユニット20がどのような向きになってもプローブ光が必ず通る、三次元座標上に定められた1点である。また、被測定物Wの測定対象点Piは、被測定物Wの基準形状の表面(測定面WS)において測定の対象となる点であり、被測定物Wの測定対象となる表面に複数存在する。なお、本明細書において、測定点Pに位置付けられた被測定物Wの測定対象点Piを、単に「被測定物Wの測定点P」又は「測定対象点Pi(測定点P)」と称する場合がある。また、本実施形態に係る表面形状測定方法は、表面形状測定装置100又は後述する表面形状測定装置200により実施される。
図1は、第1実施形態に係る表面形状測定装置100の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、表面形状測定装置100は、ワークステージユニット10と、光学ユニット20と、ヘッドステージユニット30と、制御ユニット50と、を備える。
ワークステージユニット10は、被測定物Wを保持し、かつ被測定物WをX軸、Y軸、及びZ軸の各軸方向に移動させることができる。ワークステージユニット10は、被測定物Wの測定対象点Piを測定点Pに位置付けることができる。光学ユニット20は、被測定物Wの測定対象点Piを測定点Pに位置付け、測定点Pにプローブ光(図6の第1プローブ光PL1及び第2プローブ光PL2を参照。以下、第1プローブ光PL1及び第2プローブ光PL2を総称する場合、単にプローブ光と称す。)を照射し、測定対象点Pi(測定点P)からの反射光を受光して測定対象点Pi(測定点P)の位置(座標値、又は基準位置から測定点Pまでの距離)と、測定点Pでの被測定物Wの表面(図3に示す測定面WS)の角度とを測定する。ヘッドステージユニット30は、光学ユニット20を支持し、光学ユニット20を測定点Pに向けるように、光学ユニット20をX軸と平行の第2回転軸(第2軸)A2Xの軸まわりに回転させる。光学ユニット20は、どの回転位置であっても、プローブ光が必ず測定点Pを通るように構成されており、この測定点Pに被測定物Wの測定対象点Piを位置付けることで、被測定物Wの測定対象点Piにはプローブ光が照射される。制御ユニット50は、オペレータの操作あるいは予め設定された手順等に基づいてワークステージユニット10、光学ユニット20及びヘッドステージユニット30等の各部の動作を制御する。以下、各部について説明する。
ワークステージユニット10は、基台部としてのベース80上に設けられている。ベース80は、例えば金属、自然石、樹脂、木材等により形成され、床面上あるいは机上に配置される。なお、ベース80の下面側にキャスタ等が設けられて、表面形状測定装置100が床面上等を移動可能であってもよい。ワークステージユニット10は、図1に示すように、Xステージ11と、Yステージ12と、Zステージ13と、θZステージ(ステージ)14と、チルト調整機構15と、を備える。
Xステージ11、Yステージ12、Zステージ13、θZステージ14、及びチルト調整機構15の上下方向の配置は、図1に示す構成に限定されず、任意に配置することが可能である。また、例えば平面モータ等により1つのステージがXY平面に沿って移動可能である場合は、Xステージ11及びYステージ12を1つのステージで実現してもよい。Xステージ11は、被測定物WをX軸方向に移動させるように、ベース80に対してX軸方向に移動可能に設けられている。Xステージ11は、例えば、ベース80上に設けられた不図示のX軸方向のガイドに沿って、不図示のX軸駆動装置を駆動することによりX軸方向に移動する。X軸駆動装置は、例えば、リニアモータが用いられてもよいし、電動回転モータを用いたボールねじ機構あるいはラックアンドピニオン機構など、任意の駆動装置が使用される。X軸駆動装置は、例えば、ベース80に配置される。
Yステージ12は、被測定物WをY軸方向に移動させるように、Xステージ11(ベース80)に対してY軸方向に移動可能に設けられている。Yステージ12は、例えば、Xステージ11上に設けられた不図示のY軸方向のガイドに沿って、不図示のY軸駆動装置を駆動することによりY軸方向に移動する。Y軸駆動装置は、例えば、リニアモータが用いられてもよいし、電動回転モータを用いたボールねじ機構あるいはラックアンドピニオン機構など、任意の駆動装置が使用される。Y軸駆動装置は、例えば、Xステージ11に配置される。
Zステージ13は、被測定物WをZ軸方向に移動させるように、Yステージ12(ベース80)に対してZ軸方向に移動可能に設けられている。Zステージ13は、例えば、Yステージ12上に設けられた不図示のZ軸方向のガイドに沿って、不図示のZ軸駆動装置を駆動することによりZ軸方向に移動する。Z軸駆動装置は、例えば、リニアモータが用いられてもよいし、電動回転モータを用いたボールねじ機構あるいはラックアンドピニオン機構など、任意の駆動装置が使用される。Z軸駆動装置は、例えば、Yステージ12に配置される。
θZステージ14は、被測定物WをZ軸方向と平行な第1回転軸(第1軸)A1Zまわりに回転させるように、Zステージ13(ベース80)に対して回転可能に設けられている。θZステージ14は、例えば、Yステージ12上に設けられた不図示の軸受に回転可能に支持され、不図示のZ軸回転装置を駆動することにより第1回転軸A1Zの軸まわり方向に回転する。Z軸回転装置は、例えば、電動回転モータ及び減速機など、任意の回転装置が使用される。Z軸回転装置は、例えば、Zステージ13に配置される。θZステージ14は、Xステージ11、Yステージ12、Zステージ13により、第1回転軸A1Zに垂直なXY平面(第1平面)に沿った方向への移動、及び第1回転軸A1Z方向への移動が可能である
チルト調整機構15は、上面に被測定物Wを保持するための不図示の保持部を備えている。この保持部は、例えば、真空吸着等により被測定物Wを所定位置に保持する。なお、被測定物Wを保持する構成については、他の任意の機構を適用可能である。チルト調整機構15は、被測定物Wを基準となる所定平面(例えばXY平面)に合わせるように、被測定物WのX軸まわり及びY軸まわりの角度を微調整させる。チルト調整機構15は、光学ユニット20に対する被測定物Wの角度を微調整させることが可能である。チルト調整機構15は、例えば、パラレルリンク機構が適用され、ピエゾ素子等のアクチュエータを駆動することにより、被測定物Wを保持した保持部をX軸まわり及びY軸まわりの一方又は双方に傾けることが可能である。
なお、チルト調整機構15を備えるか否かは任意であり、チルト調整機構15がなくてもよい。また、上記したX軸駆動装置、Y軸駆動装置、Z軸駆動装置、Z軸回転装置、及びアクチュエータのそれぞれの駆動は、制御ユニット50により制御される。なお、制御ユニット50については後述する。
表面形状測定装置100は、図1に示すように、被測定物Wを保持するZステージ13の位置(基準位置からの被測定物Wの移動量)を検出するために、干渉計ユニット40Aと、干渉計ユニット40Bと、干渉計ユニット40Cと、を備える。干渉計ユニット40Aは、Zステージ13のX軸方向の位置を検出し、Zステージ13に対して+X軸方向に離間して配置される。干渉計ユニット40Aは、ベース80上から起立する第1フレーム81の上端に固定されている。干渉計ユニット40Aは、Zステージ13のX軸方向の位置を検出するために、X干渉計41、42、46を備える(図3参照)。なお、図1では、X干渉計46を省略している。
干渉計ユニット40AのX干渉計41、42、46は、Zステージ13に設けられている移動鏡61に向けて検出光(レーザ光)を出射し、移動鏡61からの反射光を受光することにより、移動鏡61までの距離(Zステージ13のX軸方向の位置)を検出する。移動鏡61は、Zステージ13上の+X側に配置され、反射面がYZ平面と平行又はほぼ平行となるように設けられている。
X干渉計41は、検出光の光軸がX軸方向と平行であり、かつ、測定点Pを通るように設定されている。X干渉計42は、検出光の光軸がX軸方向と平行でありX干渉計41に対して+Z方向に所定距離(例えば、図15に示す距離LA参照)だけ離れて配置されている。従って、X干渉計41、42から出射される2つの検出光は、Z軸方向に離間した平行な状態で移動鏡61に入射する。X干渉計42は、Zステージ13のY軸まわりの角度を検出するために用いられてもよいし、X干渉計41のバックアップとして用いられてもよい。また、X干渉計46は、X干渉計41に対してY軸方向に離間して配置され、検出光の光軸がX軸方向と平行である。X干渉計46は、移動鏡62までの距離に計測して、Zステージ13のZ軸まわりの回転角度を検出するために用いられる。なお、これらX干渉計41、42、46を用いたZステージ13の位置の検出については後述する。
干渉計ユニット40Bは、Zステージ13のY軸方向の位置を検出し、Zステージ13に対して+Y軸方向に離間して配置される。干渉計ユニット40Bは、ベース80上から起立する第2フレーム82の上端に固定されている。干渉計ユニット40Bは、Zステージ13のY軸方向の位置を検出するために、Y干渉計43、44を備える。
干渉計ユニット40BのY干渉計43、44は、Zステージ13に設けられている移動鏡62に向けて検出光(レーザ光)を出射し、移動鏡61からの反射光を受光することにより、移動鏡62までの距離(Zステージ13のY軸方向の位置)を検出する。移動鏡62は、Zステージ13上の+Y側に配置され、反射面がXZ平面と平行又はほぼ平行となるように設けられている。
Y干渉計43は、検出光の光軸がY軸方向と平行であり、かつ、測定点Pを通るように設定されている。Y干渉計44は、検出光の光軸がY軸方向と平行でありY干渉計43に対して+Z方向に所定距離(例えば、図16に示す距離LB参照)だけ離れて配置されている。従って、Y干渉計43、44から出射される2つの検出光は、Z軸方向に離間した平行な状態で移動鏡62に入射する。Y干渉計44は、Zステージ13のX軸まわりの角度を検出するために用いられてもよいし、Y干渉計43のバックアップとして用いられてもよい。なお、これらY干渉計43、44を用いたZステージ13の位置の検出については後述する。
干渉計ユニット40Cは、Zステージ13のZ軸方向の位置を検出し、Zステージ13の下方である、例えば、ベース80に設けられる。干渉計ユニット40Cは、Zステージ13のZ軸方向の位置を検出するために、Z干渉計45を備える。干渉計ユニット40CのZ干渉計45は、Zステージ13に設けられている不図示の移動鏡に向けて検出光(レーザ光)を出射し、この移動鏡からの反射光を受光することにより、Zステージ13のZ軸方向の位置を検出する。不図示の移動鏡は、例えばZステージ13の下面に配置され、反射面がXY平面と平行又はほぼ平行となるように設けられている。Z干渉計45は、検出光の光軸がZ軸方向と平行である。なお、Z干渉計45からの検出光は、測定点Pを通るように設定されてもよい。
X干渉計41、42、46、Y干渉計43、44、及びZ干渉計45は、それぞれの移動鏡61、62等の位置(又は移動鏡61等までの距離)を検出すると、位置を示す信号を制御ユニット50に出力する。なお、X干渉計41、42、46、及びY干渉計43、44は、Zステージ13(θZステージ14)のXY平面(第1平面)に沿った方向における移動位置、及び/又は、第1回転軸A1Zまわりの回転位置を検出する位置検出部である。
光学ユニット20は、距離検出器21と、角度検出器22と、を備える。距離検出器21は、被測定物Wの測定点Pに向けてプローブ光としての第1プローブ光PL1(図3等参照)を照射し、測定点Pで反射された第1反射光RL1(図3等参照)を受光して測定点Pまでの距離を測定する。角度検出器22は、被測定物Wの測定点Pに向けてプローブ光としての第2プローブ光PL2(図3等参照)を照射し、測定点Pで反射された第2反射光RL2(図3等参照)を受光して測定点Pでの測定面WSの角度を測定する。なお、測定面WSの角度とは、予め定められた基準面(例えばXY平面)と測定面WSとの角度を示す。光学ユニット20は、ヘッドステージユニット30に支持される。光学ユニット20の詳細については後述する。
図2は、表面形状測定装置100における光学ユニット20とヘッドステージユニット30の一例を拡大して示す斜視図である。図1及び図2に示すように、ヘッドステージユニット30は、光学ユニット20を第2回転軸A2Xまわりに回転させるθXステージ(第2軸回転ステージ)31を備える。θXステージ31は、ベース80上から起立する第3フレーム83の+X側に配置され、第2回転軸A2Xの軸まわりに回転可能に設けられている。θXステージ31の+X側の面には、第2回転軸A2Xから離れた位置(第2回転軸A2Xから偏心した位置)にアーム部32を備えている。アーム部32は、θXステージ31から+X軸方向に延びて設けられている。
光学ユニット20は、アーム部32の+X側の先端部分に取り付けられる。θXステージ31が第2回転軸A2Xの軸まわりに回転することにより、光学ユニット20は、プローブ光を測定点Pに向けた状態で第2回転軸A2Xの軸まわりを周回移動する。すなわち、光学ユニット20は、後述する制御ユニット50のステージ制御部54に制御されて、第2回転軸A2Xまわりの回転のみの1自由度で回転する。アーム部32のX軸方向の長さは、光学ユニット20が測定点Pの+Z軸上方に配置可能な長さに設定される。なお、アーム部32は、光学ユニット20のX軸方向に位置を調整可能な調整部を備えてもよい。
また、θXステージ31の+X側の面には、第2回転軸A2Xを挟んでアーム部32と対向する位置に重り31aが設けられている。この重り31aは、例えば、アーム部32及び光学ユニット20の重さと同一又はほぼ同一の重量が用いられる。この重り31aにより、θXステージ31の回転をスムーズに行うことができる。なお、θXステージ31に重り31aが設けられるか否かは任意であり、重り31aが設けられなくてもよい。また、重り31aは複数設けられてもよい。
図3は、光学ユニット20の概要の一例を示す図である。光学ユニット20は、図3に示すように、光学ユニット20の基準位置Gと測定点Pとの距離が所定距離Dとなるように設定されている。また、第2回転軸A2Xは測定点Pを通るので、光学ユニット20は、基準位置Gと第2回転軸A2Xとの距離が所定距離Dとなり。かつ、どの回転位置であっても、プローブ光が必ず測定点Pを通るように設定されている。光学ユニット20の基準位置Gは、光学ユニット20の中心位置又は重心位置に設定されてもよいし、これら以外に設定されてもよい。光学ユニット20は、図3に示すように、距離検出器21と角度検出器22とを備えている。
距離検出器21は、第1プローブ光PL1を出射する照射部21Aと、第1プローブ光PL1が測定点Pで反射した第1反射光RL1を受光する検出部21Bと、を備える。照射部21Aは、Z軸方向から傾いた状態で第1プローブ光PL1の光軸が測定点Pと重なるように第1プローブ光PL1を出射する。検出部21Bは、Z軸方向を中心として照射部21Aと対称に傾いた状態で配置されている。
また、角度検出器22は、距離検出器21と同様に、第2プローブ光PL2を出射する照射部22Aと、第2プローブ光PL2が測定点Pで反射した第2反射光RL2を受光する検出部22Bと、を備える。図3では、照射部22A及び検出部22Bが重なるため符号22の括弧中に符号22A、22Bを記載している。図3では示していないが、照射部22Aは、Z軸方向から傾いた状態で第2プローブ光PL2の光軸が測定点Pと重なるように第2プローブ光PL2を出射する。検出部22Bは、Z軸方向を中心として照射部22Aと対称に傾いた状態で配置されている。
第1プローブ光PL1の光軸と、第2プローブ光PL2の光軸とは、測定点Pで交差する。すなわち、光学ユニット20の基準位置Gから所定距離Dだけ離れた測定点P(第2回転軸A2X)において第1プローブ光PL1の光軸と、第2プローブ光PL2の光軸とが交差した状態となっている。光学ユニット20から測定点Pに照射されるプローブ光は、距離検出器21の第1プローブ光PL1と角度検出器22の第2プローブ光PL2とが重複し、これらが合成された状態となっている。なお、光学ユニット20は、図3に示す構成に限定されない。光学ユニット20は、測定点Pまでの距離及び測定点Pでの測定面WSの角度を測定可能な任意の構成を適用可能である。
また、第1プローブ光PL1の光軸と第2プローブ光PL2の光軸とが第2回転軸A2Xで交差するので、θXステージ31を回転させて光学ユニット20を周回させたときでも、第1プローブ光PL1の光軸と第2プローブ光PL2の光軸とが第2回転軸A2Xで交差することに変わりない。従って、測定点Pを第2回転軸A2X上に設定することで、測定点Pと光学ユニット20との距離を容易に制御することができる。
制御ユニット50は、光学ユニット20から出射されたプローブ光(第1プローブ光PL1及び第2プローブ光PL2)が測定点Pに照射されるように表面形状測定装置100の各部の動作を制御する。
図4は、表面形状測定装置100の制御ユニット(制御部)50の一例を機能ブロックで示す図である。制御ユニット50は、図4に示すように、操作部51と、記憶部52と、演算部53と、ステージ制御部54と、計測制御部55と、I/O部56と、を備える。
操作部51は、オペレータが表面形状測定装置100の各部における動作を操作するためのインタフェースである。操作部51は、測定プログラム及び/又は測定結果等の情報を表示する液晶表示パネル、数値及び/又は文字情報を入力するキーボード、マウス、タッチパネル、各種スイッチ類、さらにCD(Compact Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の記録媒体に記録された測定面WSの基準形状データ、光学ユニット20からの測定結果等を読み書き可能なリーダーライター等を備えている。表面形状測定装置100は、このような操作部51により、対話形式で測定面WSのタイプ、測定パターンに対応した表面形状の測定を行うことができる。
記憶部52は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の複数の記憶素子により構成される。ROMは、表面形状測定装置100の各部の動作を制御する制御プログラム、被測定物Wのタイプ、測定パターンに対応した測定プログラム等を予め記憶している。制御ユニット50は、操作部51において被測定物Wのタイプ、測定パターンが選択設定されると、対応する測定プログラムを制御プログラムに組み込む。RAMは、操作部51のリーダーライター又はI/O部56を介して読み込まれた被測定物Wの測定面WSの基準形状データ、測定プログラムに設定された測定ライン上の測定点Pでの基準傾斜角度、測定プログラムの実行中に距離検出器21から出力される各測定点Pの距離データ、測定プログラムの実行中に角度検出器22から出力される各測定点Pでの測定面WSの角度データ等を一時記憶する。
演算部53は、CPU(Central Processing Unit)やシフトレジスター等により構成され、記憶部52に予め設定記憶された制御プログラム及び測定プログラムに基づいて各種の演算処理を行い、ステージ制御部54、計測制御部55等に指令信号を出力して、ワークステージユニット10、光学ユニット20、及びヘッドステージユニット30の動作を制御する。ステージ制御部54は、演算部53から出力される指令信号に基づいて、Xステージ11、Yステージ12、Zステージ13、θZステージ14、チルト調整機構15及びθXステージ31の動作を制御する。
計測制御部55は、演算部53から出力される指令信号に基づいて光学ユニット20の距離検出器21及び角度検出器22に測定制御信号を出力し、測定面WSの形状測定を制御する。I/O部56は、外部と信号の入出力を行う。
図5は、表面形状測定装置100により表面形状を測定するための概念を説明する図である。図5では、被測定物Wの測定面WSは、簡略化して平面形状で示しているが、実際には自由曲面による凹凸形状を有している。このような被測定物Wの測定面WSの任意の点において、接平面と垂直な方向を矢印で示すと、各点において矢印の向きはバラバラとなっている。例えば、一例としての表面形状測定装置は、被測定物Wの測定点Pに光学ユニット20を向ける場合、光学ユニット20をX軸まわりとY軸まわりとの双方にそれぞれ回転させて、被測定物Wの測定点Pに光学ユニット20を向けることが一般的である。このように光学ユニット20をX軸まわり及びY軸まわりに回転させる構成は、光学ユニット20を2つのステージで支持することになり、プローブ光の照射位置に誤差が生じやすく、公正も面倒な作業となる。
これに対し、本実施形態の表面形状測定装置100は、被測定物Wの測定点Pに光学ユニット20を向ける場合、図5に示すように、θZステージ14により被測定物WをZ軸まわりに回転させ、かつ、θXステージ31により光学ユニット20をX軸まわりに回転させることにより、被測定物Wの測定点Pに対して光学ユニット20を正確に向けることが可能となっている。
図6は、被測定物Wの表面形状を測定するために球面座標から2次元の角度を用いることを説明する図である。三次元座標を球面座標で表現すると、任意の点を2次元で表現することができる。図6に示すように、X軸まわりの回転角度がθ、Z軸まわりの回転角度がφ、原点から距離rだけ離れた測定点の球面座標(r、θ、φ)を考えると、この測定点のX座標は、x=rcosφcosθと表現することができる。また、この測定点のY座標は、y=rcosφsinθと表現することができる。この測定点のZ座標は、z=rcosθと表現することができる。
X座標、Y座標、Z座標から、図6に示すように、角度θx、θy、θzの3つの表現が可能である。なお、角度θxは、角度θyと角度θzとを用いて表現することができる。また、角度θyは、角度θxと角度θzとを用いて表現することができる。また、角度θzは、角度θxと角度θyとを用いて表現することができる。すなわち、角度θx、θy、θzのうち、2つの角度で残りの角度を表現することが可能である。従って、任意の2つの角度を制御すれば、光学ユニット20を測定点Pに向けることが可能となる。
本実施形態では、角度θxと角度θzとを利用する。すなわち、制御ユニット50は、角度θxとなるように、ヘッドステージユニット30のθXステージ31の回転角度を制御し、かつ、角度θzとなるように、ワークステージユニット10のθZステージ14の回転角度を制御する。
図7〜図9は、光学ユニット20からのプローブ光と被測定物Wとを相対移動させ、プローブ光を測定ラインに沿って移動させる際における被測定物W上の移動パターンを例示する説明図である。図7〜図9は、チルト調整機構15に保持された被測定物Wを上方から見たときの状態を模式的に示し、被測定物Wの測定面上においてプローブ光が移動する測定ラインをL1〜L6で示している。
図7は、メニスカスレンズや非球面レンズ等のように測定面の表面形状が平面視で円形状又はほぼ円形状の被測定物Wを計測する場合において、プローブ光の移動パターン(測定点Pの測定ルート)の一例を示している。ステージ制御部54は、ヘッドステージユニット30におけるθXステージ31の回転、ワークステージユニット10のXステージ11、Yステージ12及びZステージ13の移動、θZステージ14の回転により、光学ユニット20からのプローブ光が図7に示す移動パターンで測定面WSを移動するように制御する。移動パターン中の各測定対象点Piに合わされた測定点Pにおいて、制御ユニット50は、上記したように、θXステージ31の回転角度及びθZステージ14の回転角度を制御することにより、測定点Pに対して適切に光学ユニット20を向けるようにしている。測定点Pに対して光学ユニット20を向ける態様については後述する。また、制御ユニット50は、各測定点Pが第2回転軸A2X上に位置するように、ワークステージユニット10のXステージ11等を制御している。
図7では、ステージ制御部54は、プローブ光を被測定物Wの測定面WSにおけるスタートポイントSPに照射した状態から、プローブ光を直線状の測定ラインL1に沿って移動させる。計測制御部55は、測定ラインL1上の各測定対象点Piを順次測定点Pに位置付けることにより、各測定対象点Pi(測定点P)での距離及び測定面WSの角度を光学ユニット20により測定させる。続いて、ステージ制御部54は、図7に示すように、θZステージ14を所定角度回転(例えば時計回りに)させ、プローブ光を直線状の測定ラインL2に沿って移動させる。計測制御部55は、測定ラインL1と同様に、測定ラインL2上の各測定対象点Pi(測定点P)での距離及び測定面WSの角度を光学ユニット20により測定させる。
続いて、ステージ制御部54は、θZステージ14を所定角度回転させ、プローブ光を直線状の測定ラインL3に沿って移動させる。計測制御部55は、測定ラインL1、L2と同様に、測定ラインL3上の各測定対象点Pi(測定点P)での距離及び測定面WSの角度を光学ユニット20により測定させる。制御ユニット50は、複数の測定ラインに沿って距離及び角度の測定を繰り返すことにより、被測定物Wの測定面WS全体について距離及び角度の測定データを得ることができる。図7に示す場合は、被測定物Wについて測定面全体を放射方向のライン状に測定したデータを得ることができる。
なお、上記では光学ユニット20により各測定点Pにおける距離及び測定面WSの角度の測定データを得ているが、この手法に限定されない。例えば、制御ユニット50は、各測定ラインL1等において、光学ユニット20から各測定対象点Piまでを距離D(図3参照)に一定に維持するように制御しつつ、各測定対象点Piに合わされた測定点Pにおいて光学ユニット20により測定面WSの角度データを取得する手法であってもよい。
図8は、被測定物Wの測定面WSが平面視で円形状である場合を示しているが、測定面が平面視で矩形状、楕円形状、長円形状など、非円形状の被測定物W(例えばシリンドリカルレンズ等)を計測する場合にも好適なプローブ光の移動パターンの一例を示している。図8に示すように、ステージ制御部54は、プローブ光を被測定物Wの測定面WSにおけるスタートポイントSPに照射した状態から、プローブ光を直線状の測定ラインL1に沿って移動させる。計測制御部55は、測定ラインL1上の各測定対象点Pi(測定点P)での距離及び測定面WSの角度を光学ユニット20により測定させる。
続いて、ステージ制御部54は、図8に示すように、ワークステージユニット10のXステージ11等を動作させて、被測定物Wを所定量だけ−X方向にシフトさせ、プローブ光を直線状の測定ラインL4に沿って移動させる。計測制御部55は、測定ラインL1と同様に、測定ラインL4上の各測定対象点Pi(測定点P)での距離及び測定面WSの角度を光学ユニット20により測定させる。続いて、ステージ制御部54は、ワークステージユニット10のXステージ11等を動作させて、さらに被測定物Wを所定量だけ−X方向にシフトさせ、プローブ光を直線状の測定ラインL5に沿って移動させる。計測制御部55は、測定ラインL1、L4と同様に、測定ラインL5上の各測定対象点Pi(測定点P)での距離及び測定面WSの角度を光学ユニット20により測定させる。
制御ユニット50は、複数の測定ラインに沿って距離及び角度の測定を繰り返すことにより、被測定物Wの測定面WS全体について距離及び角度の測定データを得ることができる。図8に示す場合は、被測定物Wについて測定面全体を平行なライン状に測定したデータを得ることができる。なお、図8に示す場合においても、上記と同様に、制御ユニット50は、各測定ラインL1等において、光学ユニット20から各測定対象点Piまでを距離Dに一定に維持するように制御しつつ、各測定対象点Piを位置付けた測定点Pにおいて光学ユニット20により測定面WSの角度データを取得してもよい。
図9は、図7と同様に、測定面の表面形状が平面視で円形状又はほぼ円形状の被測定物Wを計測する場合において、プローブ光の移動パターンの一例を示している。図9に示すように、ステージ制御部54は、プローブ光を被測定物Wの測定面WSにおけるスタートポイントSPに照射した状態から、プローブ光を渦巻き状の測定ラインL6に沿って移動させる。計測制御部55は、測定ラインL6上の各測定対象点Pi(測定点P)での距離及び測定面WSの角度を光学ユニット20により測定させる。制御ユニット50は、渦巻き状の測定ラインL6に沿って距離及び角度の測定することにより、被測定物Wの測定面WS全体について渦巻き状の距離及び角度の測定データを得ることができる。
なお、図9では、測定面WSの中心から外側に向けて渦巻き状に測定ラインL6を設定しているが、これに限定されず、例えば、外側から中心に向けて渦巻き状の測定ラインが設定されてもよい。なお、図9に示す場合においても、上記と同様に、制御ユニット50は、測定ラインL6において、光学ユニット20から各測定点Pまでを距離Dに一定に維持するように制御しつつ、各測定点Pにおいて光学ユニット20により測定面WSの角度データを取得してもよい。
上記した測定ラインL1等において各測定対象点Pi(測定点P)における距離と測定面WSの角度は、光学ユニット20から照射された第1プローブ光PL1及び第2プローブ光PL2が測定点Pで反射し、それぞれの第1反射光RL1及び第2反射光RL2を光学ユニット20で受光することにより求められる。制御ユニット50のステージ制御部54は、測定ラインL1等に沿った各測定対象点Piについて、記憶部52(図4参照)に予め記憶されている被測定物Wの基準形状データに基づき、測定対象点Piを第2回転軸A2X上に配置する測定点Pに位置付けるためにワークステージユニット10のXステージ11、Yステージ12、Zステージ13の移動位置を制御し、かつ、被測定物Wの測定点Pでの接平面に対して適切に光学ユニット20を向けるように、θXステージ31の回転角度及びθZステージ14の回転角度を制御する。なお、ステージ制御部54は、Xステージ11、Yステージ12、Zステージ13の移動位置の制御と、θXステージ31の回転角度及びθZステージ14の回転角度の制御とを同時に行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。
制御ユニット50の計測制御部55(図4参照)は、測定ラインL1等に沿った各測定対象点Piの距離及び測定面WSの角度を順次計測するように光学ユニット20を制御する。制御ユニット50の演算部53は、各測定対象点Piについて検出された距離及び測定面WSの角度から、被測定物Wの測定面WSの形状を算出する。制御ユニット50の演算部53(図4参照)は、例えば、記憶部52に記憶されている基準形状データに対して測定点Pでの測定面WSの角度の差を抽出し、この角度の差のデータを積分処理又はフィッティング処理等の公知の手法を用いて演算処理することにより測定面WSの表面形状を算出してもよい。
表面形状を算出する一例について説明する。図10は、被測定物Wの表面形状を算出する一例を示す図である。光学ユニット20は、上記したY方向である測定ラインL1等に沿って、図10において紙面左側から右側に移動し、所定のサンプリング間隔Lごとに測定を行う。所定のサンプリング間隔Lによって設定された点が、被測定物Wの測定対象点Piである。図10では、サンプリング回数をnとすると、n=i回目の測定と、n=i+1回目の測定における測定面WSの表面形状を表している。被測定物Wの表面形状は自由曲面であるため、各測定対象点で測定した法線は三次元の方向に向いているが、図10では、これらの法線を成分分解し、Y方向成分の傾きを抽出することにより、測定ラインに沿った測定面WSの角度変化を示している。なお、測定ラインに限らず、各測定対象点Piでの任意の方向(例えば、測定ラインに垂直な方向)成分の傾きを抽出することで、測定面WSの任意の方向に沿った表面形状を算出できる。
図10に示すように、n=i回目の測定で角度検出器22により、測定対象点Piにおける接平面WAの傾きが傾斜角度αi(rad)と測定されると、傾斜角度αiが微小角ある場合には、n=i回目の測定対象点PiまでのX方向(上下方向、深さ方向)の変位量はtan(αi/L)で、変位量Lαiと近似される。従って、n=i回目(測定対象点Pi)のX方向の座標がf(i)であると、n=i+1回目の座標f(i+1)、すなわち測定対象点Pi+1のX方向の座標は、f(i)+Lαiと算出される。このような測定ラインL1等に沿った表面形状の算出を、複数の測定ラインにおいて行うことにより、被測定物Wの測定面WS全体の表面形状が算出される。
図11(A)は、距離検出器21により測定対象点Pi(測定点P)までの距離を測定する原理を説明する図であり、図11(B)は、角度検出器22により測定点Pでの測定面WSの角度を測定する原理を説明する図である。図11においては、距離検出器21の第1プローブ光PL1、及び角度検出器22の第2プローブ光PL2を、X−Y方向に水平に延びる測定面WSに入射させた状態を示す。
距離検出器21は、光源211と、集光レンズ212と、集光レンズ213と、光検出器214とを備える。光源211及び集光レンズ212は、図3に示す照射部21Aに相当する。集光レンズ213及び光検出器214は、図3に示す検出部21Bに相当する。照射部21A(光源211及び集光レンズ212)と検出部21B(集光レンズ213及び光検出器214)は、基準軸Sとの相対角度が定められて設けられている。基準軸Sは、例えば、照射部21Aからの照射光の光軸と、測定点Pで反射した反射光の光軸との対称軸である。光源211は、第1プローブ光PL1を発生させる。光源211は、発振波長、光出力、ビーム径等を安定化させたレーザ光源であり、例えば、ファイバーレーザ、分布帰還型レーザ等が用いられる。光源211は、出力部にコリメータを備えており、平行光束とした第1プローブ光PL1を出力する。集光レンズ212は、光源211により発生された第1プローブ光PL1を集光して被測定物Wの測定面WS(測定対象点Pi、測定点P)に照射する。
集光レンズ213は、測定面WS(測定対象点Pi、測定点P)で反射された第1反射光RL1を集光する。光検出器214は、第1反射光RL1の位置を検出して測定面WSまでの距離を測定するための検出器であり、例えば、CCD(Charge−Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、あるいは有機フォトダイオードなどが用いられる。
角度検出器22は、光源221と、集光レンズ222と、コリメートレンズ223と、光検出器224とを備える。光源221及び集光レンズ222は、図3に示す照射部22Aに相当する。コリメートレンズ223及び光検出器224は、図3に示す検出部22Bに相当する。照射部22A(光源221及び集光レンズ222)と検出部22B(コリメートレンズ223及び光検出器224)は、基準軸Sとの相対角度が定められて設けられている。基準軸Sは、例えば、照射部22Aからの照射光の光軸と、測定点Pで反射した反射光の光軸との対称軸である。光源221は、第2プローブ光PL2を発生させる。光源221は、発振波長、光出力、ビーム径等を安定化させたレーザ光源であり、例えば、ファイバーレーザ、分布帰還型レーザ等が用いられる。光源221は、出力部にコリメータを備えており、平行光束とした第2プローブ光PL2を出力する。集光レンズ222は、光源221により発生された第2プローブ光PL2を集光して被測定物Wの測定面WS(測定対象点Pi、測定点P)に照射する。
コリメートレンズ223は、測定面WS(測定対象点Pi、測定点P)で反射された第2反射光RL2を平行光束とする。光検出器224は、第2反射光RL2の位置を検出して測定面WSの角度を測定するための検出器であり、例えば、CCD又はCMOS等のイメージセンサ、あるいは有機フォトダイオードなどが用いられる。
距離検出器21から照射される第1プローブ光PL1は、集光レンズ212により集光されて測定面WSに入射し、第1反射光RL1は、集光レンズ213により集光されて光検出器214に入射する。従って、光検出器214への第1反射光RL1の入射位置は、測定面WSの角度が変化しても変化しない。ただし、測定面WSがZ軸方向に変化すると、光検出器214への第1反射光RL1の入射位置が変化する。そのため、制御ユニット50は、光検出器214から出力される信号に基づくことにより、測定面WSの角度が変化した場合であっても、光学ユニット20の基準位置Gから測定面WS(測定対象点Pi、測定点P)までの距離を算出することができる。
また、角度検出器22から照射される第2プローブ光PL2は、集光レンズ222により集光されて測定面WSに入射し、第2反射光RL2は、コリメートレンズ223により平行光束となって光検出器224に入射する。第2反射光RL2の入射位置は、測定面WSのZ軸方向の位置が変化してもほとんど(大きくは)変化しない。ただし、測定面WSの角度が変化すると光検出器224への第2反射光RL2の入射位置が変化する。そのため、制御ユニット50は、光検出器224から出力される信号に基づくことにより、測定面WSのZ軸方向の位置が多少変化した場合であっても、測定面WS(図14に示す測定対象点Piにおける接平面WA)の角度を算出することができる。
図11において、符号Sは、仮想光軸であり、光学ユニット20の基準軸である。この基準軸Sは、光学ユニット20から照射されるプローブ光における仮想された光軸である。基準軸Sと測定面WSとの交点は測定点Pである。光学ユニット20は、基準軸Sが測定点Pにおいて被測定物Wの基準形状の接平面に対して予め定められた角度となるように、制御ユニット50により制御される。本実施形態において、光学ユニット20を測定点Pに向けることは、一例として、基準軸Sが測定点Pを通り、かつ測定点Pの接平面に対して基準軸Sが垂直となるように光学ユニット20を配置することを意味する。ただし、基準軸Sは、測定点Pにおいて被測定物Wの基準形状の接平面に対して垂直でなくてもよく、角度が予め定められていればよい。なお、基準軸Sは、光学ユニット20の基準位置G(図3参照)を通るように設定されてもよい。基準軸Sに対して、第1プローブ光PL1と第1反射光RL1とは対称となっている。また、基準軸Sに対して、第2プローブ光PL2と第2反射光RL2とは対称となっている。
距離検出器21及び角度検出器22は、距離検出器21の第1プローブ光PL1の入射面と、角度検出器22の第2プローブ光PL2の入射面とが直交(あるいは交差)するように設定されている。距離検出器21は、第1プローブ光PL1の入射面が測定点Pを含むYZ平面に沿うように設定されている。角度検出器22は、第2プローブ光PL2の入射面がYZ平面と直交し、かつ測定点Pを含むXZ平面に沿うように設定されている。距離検出器21及び角度検出器22の配置については、図12を用いて説明する。
図12(A)は、距離検出器21における第1プローブ光PL1及び第1反射光RL1を説明する図であり、図12(B)は、角度検出器22における第2プローブ光PL2及び第2反射光RL2を説明する図である。図12(A)に示すように、距離検出器21は、第1プローブ光PL1の入射面が測定点Pを含むYZ平面に沿うように設定される。YZ平面は、X軸と直交する面である。また、図12(B)に示すように、角度検出器22は、第2プローブ光PL2の入射面が測定点Pを含むXZ平面に沿うように設定される。XZ平面は、X軸を含んだ面である。
光学ユニット20は、YZ平面に沿って配置された距離検出器21と、XZ平面に沿って配置された角度検出器22とを備えている。YZ平面に沿う第1プローブ光PL1と、XZ平面に沿う第2プローブ光PL2とは、第2回転軸A2X上の測定点Pで交差する。すなわち、光学ユニット20の基準位置Gから所定距離Dだけ離れた測定位置で第1プローブ光PL1と第2プローブ光PL2とが交差するように、光学ユニット20は調整されている。これにより、光学ユニット20は、第1プローブ光PL1と第2プローブ光PL2とを重複させ、これらを合成したプローブ光を測定点Pに照射する。
なお、プローブ光の測定ラインL1等は、Y軸方向に設定されている。従って、距離検出器21の第1プローブ光PL1は、測定ラインL1等に沿ったYZ平面に照射される。一方、角度検出器22の第2プローブ光PL2は、測定ラインL1等と直交するXZ平面に照射される。ただし、このような設定に限定されず、例えば、距離検出器21の第1プローブ光PL1を測定ラインL1等と直交するXZ平面で照射してもよいし、角度検出器22の第2プローブ光PL2を測定ラインL1等に沿ったYZ平面に照射してもよい。また、第1プローブ光PL1の入射面と第2プローブ光PL2の入射面とが直交しない構成であってもよい。
また、図12に示すように、光学ユニット20の基準軸Sは、Z軸方向と平行である。また、基準軸Sは、距離検出器21が配置されるYZ平面と、角度検出器22が配置されるXZ平面とが交わる線に一致している。
図13は、角度検出器の他の例を示す図である。図13に示す角度検出器122は、光源221と、光ファイバ225と、コリメータ226と、集光レンズ222Aと、ミラー227と、アパーチャ228と、光検出器224とを備える。光源221、光検出器224は、図14に示す構成と同様である。光ファイバ225は、光源221で発生した第2プローブ光を導光する。コリメータ226は、光ファイバ225の出射端部に設けられ、第2プローブ光を平行光束として出射する。集光レンズ222Aは、平行光束の第2プローブ光PL2を集光して測定面WS(測定点P)に照射する。ミラー227は、測定面WSで反射されて再び集光レンズ222Aを透過することにより平行光束となった第2反射光RL2を所定の向きに反射する。アパーチャ228は、例えば、被測定物Wの裏面で反射された第2裏面反射光を除去する。
角度検出器122は、測定面WSに照射する第2プローブ光PL2と測定面WSで反射された第2反射光RL2とを同じ集光レンズ222Aを透過させることにより、図11(b)及び図12(b)に示すコリメートレンズ223を省略した構成となっている。これにより、光学ユニット20は、XZ平面に沿って形成される角度検出器122を小型化できるので、全体をコンパクトに構成することができる。また、角度検出器122は、被測定物Wの裏面で反射された第2裏面反射光を除去するアパーチャ228を光検出器224の直前に設けたので、仮に被測定物Wの厚さが薄い場合又は第2プローブ光PL2の入射角が小さい場合であっても、第2裏面反射光を効率よく除去することができる。
なお、角度検出器122の集光レンズ222Aは、焦点距離f2が80〜160mm程度であればよく、例えばf2=120mmのアクロマートレンズを用いることができる。また、第2プローブ光PL2の測定面WSへの入射角θ2(図12(B)参照)は、3〜8°程度であればよく、例えばθ2=5°に設定される。また、角度検出器22の集光レンズ222についても、同様である。
距離検出器21の集光レンズ212は、焦点距離f1を集光レンズ222Aと同様の範囲で設定することができる。なお、焦点距離f1は図示を省略している。集光レンズ212は、例えば、焦点距離f1が集光レンズ222Aの焦点距離f2と同一の120mmのアクロマートレンズを用いることができる。この場合、距離検出器21は、測定面WSに照射する第1プローブ光PL1と測定面WSで反射された第1反射光RL1とを同じ集光レンズを透過させることが可能となり、図11(a)及び図12(a)に示す集光レンズ213を省略することができる。
また、第1プローブ光PL1及び第1反射光RL1(第2プローブ光PL2及び第2反射光RL2)を同じ集光レンズを透過させることにより、距離検出器21(角度検出器22)の焦点調整作業を共通化できる。また、距離検出器21と角度検出器22とで同一の集光レンズ222Aを用いることにより、測定点Pに集光される第1プローブ光PL1と第2プローブ光PL2との焦点深度が同一又はほぼ同一になり、焦点深度の相違に基づく誤差成分等の影響を排除することができる。なお、第1プローブ光PL1の測定面WSへの入射角θ1は、5〜30°程度が好ましく、例えばθ1=25°に設定される。
測定点Pにおいてプローブ光が照射される範囲は、例えば、直径200μm程の円形状又はほぼ円形状のスポットである。距離検出器21は、このスポットの平均的な位置変位を測定する。角度検出器22は、このスポットの平均的なX軸まわり又はY軸まわりの角度を検出する。
図14は、被測定物Wの表面形状を測定する際の表面形状測定装置100の動作の一例を模式的に示す図である。制御ユニット50は、各測定点Pの距離及び角度を測定するのに際し、記憶部52に記憶されている基準形状データに基づいて、測定点Pが第2回転軸A2Xを通り、かつ、測定点Pの接平面における法線が光学ユニット20の基準位置Gを通る基準軸Sと一致するように、Xステージ11、Yステージ12、Zステージ13、θZステージ14及びθXステージ31の動作を制御する。図14において、被測定物Wの表面形状は、YZ断面において楕円形状で簡略化して示しているが、実際には自由曲面による微小な凹凸を有する。
図14の一点鎖線で示すように、第2回転軸A2X上の測定点Pに、被測定物Wのほぼ中央の測定対象点Piを位置付けた場合、その測定対象点Pi(測定点P)の接平面WA0はXY平面とほぼ平行となり、その法線はZ軸方向とほぼ平行となる。制御ユニット50は、基準形状データに基づいて、基準軸Sをこの法線と一致させ、かつ測定対象点Pi(測定点P)から基準位置Gまでが距離Dとなるように、θZステージ14及びθXステージ31の回転角度を制御し、かつXステージ11、Yステージ12、Zステージ13の移動位置を制御する。
また、図14の実線で示すように、第2回転軸A2X上の測定点Pに、被測定物Wの中央から離れた測定対象点Piを位置付けた場合、その測定対象点Pi(測定点P)の接平面WAはXY平面から傾いており、その法線はZ軸方向から傾いている。制御ユニット50は、基準形状データに基づいて、基準軸Sをこの法線と一致させ、かつ測定点Pから基準位置Gまでが距離Dとなるように、θZステージ14及びθXステージ31の回転角度を制御し、かつXステージ11、Yステージ12、Zステージ13の移動位置を制御する。
制御ユニット50は、基準軸Sを測定面の法線に一致させ、且つ、測定点Pが第2回転軸A2Xを通るようにするため、Xステージ11、Yステージ12、Zステージ13、θZステージ14及びθXステージ31を以下のように制御する。以下の説明では、図4の機能ブロックに関する図を適宜参照する。まず、制御ユニット50の演算部53は、記憶部52に記憶された測定面WSの基準形状データから、測定ラインL1等に沿った各測定対象点Piの接平面WAを算出し、その接平面のX軸まわりの角度及びY軸まわりの角度(以下、測定対象点Piの傾斜角度と称す。)を算出する。
次に、演算部53は、測定ラインL1等における各測定対象点Piを測定点Pに位置付けるためのXステージ11、Yステージ12、及びZステージ13の移動量の算出、並びに、算出された測定対象点Piの傾斜角度から、その測定対象点Pi(接平面WA)の法線と基準軸Sとが一致し、かつ光学ユニット20のプローブ光が測定対象点Pi(測定点P)を通るようなθZステージ14及びθXステージ31の回転量を算出する。次いで、ステージ制御部54は、演算部53により算出された各ステージの移動量及び回転量に基づいた駆動信号を生成し、Xステージ11、Yステージ12、Zステージ13、θZステージ14及びθXステージ31に駆動信号を出力して、被測定物W及び光学ユニット20を相対移動させる。なお、ステージ制御部54は、各ステージを同時に制御してもよいし、それぞれ異なる期間に独立して制御してもよい。
続いて、光学ユニット20の距離検出器21は、計測制御部55から出力された計測制御信号に基づいて、被測定物Wに対して第1プローブ光PL1を照射する。同時又はほぼ同時に、光学ユニット20の角度検出器22は、計測制御部55から出力された計測制御信号に基づいて、被測定物Wに対して第2プローブ光PL2を照射する。光学ユニット20は、第1プローブ光PL1及び第2プローブ光PL2が測定対象点Pi(測定点P)に照射される。光学ユニット20は、第1反射光RL1及び第2反射光RL2を受光することにより、測定対象点Pi(測定点P)の距離及び測定対象点Piでの測定面WSの角度を測定する。
制御ユニット50、各測定対象点Piにおける距離及び測定面WSの角度の測定結果から被測定物Wの表面形状を算出する点は上記のとおりである。なお、光学ユニット20は、光学ユニット20の基準位置Gと第2回転軸A2Xとの距離が一定となっている。従って、測定点Pを第2回転軸A2X上に配置することにより、基準位置Gと測定点Pとの距離が距離Dと一定となるように設定される。また、上記では基準形状データに基づいて、測定点Pと基準位置Gとが距離Dとなるように制御されているがこれに限定されない。例えば、制御ユニット50は、距離検出器21の出力を用いて各測定点Pで実際に距離DとなるようにXステージ11等を制御しながら、各測定対象点Piでの測定面WSの角度を角度検出器22により測定するような制御を行ってもよい。
上記した説明は、被測定物Wがワークステージユニット10に適切に(水平に)保持されていることが前提である。ワークステージユニット10のチルト調整機構15は、被測定物Wが適切に保持されるように調整することができる。また、被測定物Wの位置は、X干渉計41、42、46及びY干渉計43、44によりZステージ13の移動鏡61、62までの距離を検出することにより認識される。従って、Zステージ13が(あるいはZステージ13を載置するXステージ11、Yステージ12)が傾いていると、X干渉計41等により被測定物Wの正確な位置を検出できなくなる。
図15は、Y軸まわりのZステージ13の傾きの検出を説明する図である。図16は、X軸まわりのZステージ13の傾きの検出を説明する図である。図15では、X干渉計41、42により検出された距離から、Y軸まわりの角度を算出する手法を説明する。X干渉計41、42は、第1回転軸A1Zに垂直なXY平面(第1平面)に対するY軸まわりのZステージ13(θZステージ14)の傾きを検出する傾き検出部として機能する。X干渉計41は、移動鏡61に対してX軸方向と平行に(XY平面に沿って)検出光を出射し、移動鏡61で反射された反射光を受光する。この反射光と参照光とを干渉させた結果に基づいて、移動鏡61までの距離(X軸方向の位置)を検出する。同様に、X干渉計42は、移動鏡61までの距離(X軸方向の位置)を検出する。なお、X干渉計41は、検出光の光軸が第2回転軸A2Xと一致又はほぼ一致して配置されている。すなわち 、X干渉計41は、測定点Pを含むXY平面内を検出光の光軸が通るように配置されている。従って、このX干渉計41を用いることにより、X軸方向の位置(距離)をアッベ誤差が発生せずに検出(計測)することができる。
図15(A)は、Zステージ13がXY平面に平行な水平の状態を示している。すなわち、Zステージ13は、Y軸まわりの角度が0°の状態である。この状態では、X干渉計41、42から出力される検出結果は同一の値となる。図15(B)は、Zステージ13がXY平面からY軸まわりに回転した状態を示している。すなわち、Zステージ13は、Y軸まわりに角度θ3°だけ傾いた状態である。この状態では、X干渉計41から出力される値と、X干渉計42から出力される値とで異なる。図15(B)に示す例の場合、X干渉計42から出力される値は、X干渉計41の光軸からX干渉計42の光軸までを距離LAとすると、X干渉計41から出力される値よりもLAtanθ3だけ長くなる。
制御ユニット50は、X干渉計41、42から出力された値の差であるLAtanθ3に基づいて、Zステージ13がY軸まわりにθ3°傾いていることを算出する。制御ユニット50は、Zステージ13がY軸まわりにθ3°傾いていることから、測定点PにおけるX軸方向の変位を算出し、その変位をX軸方向のオフセット量としてXステージ11の移動量を制御する。
なお、X干渉計46(図4参照)は、X干渉計41からY軸方向に離れて配置されている。X干渉計46から出力される値を、X干渉計41から出力される値と比較することにより、上記と同様にZステージ13のZ軸まわりの回転量を算出可能である。制御ユニット50は、この回転量をオフセット量としてθZステージ14の回転量を制御することができる。
図16では、図15と同様に、Y干渉計43、44により検出された距離から、X軸まわりの角度を算出する手法を説明する。Y干渉計43、44は、第1回転軸A1Zに垂直なXY平面(第1平面)に対するX軸まわりのZステージ13(θZステージ14)の傾きを検出する傾き検出部として機能する。Y干渉計43は、移動鏡62に対してY軸方向と平行に(XY平面に沿って)検出光を出射し、移動鏡62で反射された反射光を受光する。この反射光と参照光とを干渉させた結果に基づいて、移動鏡62までの距離(Y軸方向の位置)を検出する。同様に、Y干渉計44は、移動鏡62までの距離(Y軸方向の位置)を検出する。
図16(A)は、Zステージ13がXY平面に平行な水平の状態を示している。すなわち、Zステージ13は、X軸まわりの角度が0°の状態である。この状態では、Y干渉計43、44から出力される検出結果は同一の値となる。図16(B)は、Zステージ13がXY平面からX軸まわりに回転した状態を示している。すなわち、Zステージ13は、X軸まわりに角度θ4°だけ傾いた状態である。この状態では、Y干渉計43から出力される値と、Y干渉計44から出力される値とで異なる。図16(B)に示す例の場合、Y干渉計44から出力される値は、Y干渉計43の光軸からY干渉計44の光軸までを距離LBとすると、Y干渉計43から出力される値よりもLBtanθ4だけ長くなる。
制御ユニット50は、Y干渉計43、44から出力された値の差であるLBtanθ4に基づいて、Zステージ13がX軸まわりにθ4°傾いていることを算出する。制御ユニット50は、Zステージ13がX軸まわりにθ4°傾いていることから、測定点PにおけるY軸方向の変位を算出し、その変位をY軸方向のオフセット量としてYステージ12の移動量を制御する。
なお、本実施形態では、光学ユニット20がθXステージ31により周回した場合でも、プローブ光が第2回転軸A2X上の測定点Pに向けて照射されるように設定されている。さらに、X干渉計41は、検出光の光軸が第2回転軸A2Xに沿って測定点Pを通過するように設定され、かつ、Y干渉計43は、検出光の光軸が測定点Pを通過するように設定されている。この構成により、アッベ誤差の発生が抑制され、被測定物Wの所望位置を精度よく測定点Pとして位置決めすることができる。
なお、上記した実施形態では、光学ユニット20が距離検出器21と角度検出器22とを別に配置した構成を例に挙げて説明しているが、この構成に限定されない。例えば、光学ユニット20は、1つの光源を用いて距離の検出及び角度の検出を行ってもよい。図17は、光学ユニットの他の例を模式的に示す図である。図17に示す光学ユニット20Aは、光源301と、集光レンズ302と、コリメートレンズ303と、ハーフミラー304と、集光レンズ305と、距離検出用の光検出器306と、角度検出用の光検出器307と、を備える。
光源301は、プローブ光PL3を発生させる。プローブ光PL3は、YZ平面に沿って照射させ、測定面WS(測定点P)に照射される。光源301は、発振波長、光出力、ビーム径等を安定化させたレーザ光源であり、例えば、ファイバーレーザ、分布帰還型レーザ等が用いられる。光源301は、出力部にコリメータを備えており、平行光束としたプローブ光PL3を出力する。集光レンズ302は、光源301により発生されたプローブ光PL3を集光して被測定物Wの測定面WS(測定点P)に照射する。
コリメートレンズ303は、測定面WSで反射された反射光RL3を平行光束にする。ハーフミラー304は、コリメートレンズ303で平行光束となった反射光RL3の一部を反射し、残りを透過させる。集光レンズ305は、ハーフミラー304で反射された反射光(第1反射光)RL31を集光する。距離検出用の光検出器306は、集光レンズ305で集光された反射光RL31が入射し、反射光RL31の位置を検出して測定面WSまでの距離を測定するための検出器である。光検出器306は、例えば、CCD又はCMOS等のイメージセンサ、あるいは有機フォトダイオードなどが用いられる。
角度検出用の光検出器307は、ハーフミラー304を透過した反射光(第2反射光)RL32が入射し、反射光RL32の位置を検出して測定面WSの角度を測定する。光検出器307は、例えば、CCD又はCMOS等のイメージセンサ、あるいは有機フォトダイオードなどが用いられる。光検出器306における反射光RL31の入射位置は、測定面WSの角度が変化しても変化しないが、測定面WSのZ軸方向の位置が変化すると変化する。一方、光検出器307における反射光RL32の入射位置は、測定面WSのZ軸方向の位置が変化してもほとんど変化しないが、測定面WSの角度が変化すると変化する。そのため、制御ユニット50は、光検出器306、307から出力される信号に基づいて、測定面WSまでの距離及び測定面WSの角度を算出することができる。
このように、本実施形態の表面形状測定装置100によれば、制御ユニット(制御部)50によって、予め取得した被測定物Wの基準形状データに基づいて、測定点Pに光学ユニット20を向けるように、θXステージ31により光学ユニット20をX軸まわりに回転させ、かつ、θZステージ14により被測定物WをZ軸まわりに回転させるので、光学ユニット20を1つのθXステージ31により周回させるので、光学ユニット20をを正確に被測定物Wの測定点Pに向けることができ、これにより被測定物Wの表面形状を精度よく測定することができる。
また、本実施形態では、光学ユニット20をX軸まわりにのみ回転させるので、例えば、光学ユニット20をX軸まわりとY軸まわりとの双方にそれぞれ回転させる構成と比較して、装置構成をシンプルにすることができ、測定誤差が発生する要因を低減することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る表面形状測定装置200について図面を参照して説明する。図18は、第2実施形態に係る表面形状測定装置200の一例を示す図である。上記した第1実施形態では、ワークステージユニット10にθZステージ14を備えているが、表面形状測定装置200では、ワークステージユニット10にθZステージ14がなく、ヘッドステージユニット30にθZステージ40を備える。なお、以下の説明において、上記した実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付けて説明を省略又は簡略化する。また、図18において、チルト調整機構15、干渉計ユニット40A等、及び制御ユニット50の記載を省略している。
表面形状測定装置200は、ベース80又は他の部分に支持された上部フレーム84の下面側(−Z側の面)に、第1回転軸A1Zの軸まわりに回転可能なθZステージ40を備えている。第1回転軸A1Zは、測定点Pを通るように設定されている。上部フレーム84は、ヘッドステージユニット30の上方(+Z軸方向から離れた位置)に設けられている。θZステージ40は、不図示のZ軸回転装置により回転する。Z軸回転装置は、例えば、電動回転モータ及び減速機など、任意の回転装置が使用される。Z軸回転装置は、例えば、上部フレーム84に配置される。また、Z軸回転装置は、制御ユニット50(図1参照)により制御される。
θZステージ40の下面側かつ外周部分には、水平部材85がθZステージ40の放射方向に延びて取り付けられている。第3フレーム83Aは、水平部材85の−X側の下面に取り付けられ、下方に延びるように設けられる。なお、第3フレーム83Aは、ベース80から離れて配置される。ヘッドステージユニット30は、第3フレーム83Aの+X側の側面に形成される。なお、θXステージ31の第2回転軸A2Xが測定点Pを通るように設定される点は、第1実施形態と同様である。
本実施形態では、θXステージ31及びθZステージ40を回転させることにより、被測定物Wの測定点Pに光学ユニット20の向きを合わせることができる。従って、制御ユニット50は、θXステージ31及びθZステージ40の回転角度、並びにワークステージユニット10のXステージ11等を制御することにより、第1実施形態と同様に、測定ラインL1等(図7等参照)に沿った各測定点Pに対して、光学ユニット20からのプローブ光を正確に向けることができる。
本実施形態では、光学ユニット20がθXステージ31及びθZステージ40により周回した場合でも、プローブ光が第2回転軸A2X上の測定点Pに向けて照射されるように設定されている。また、図18において図示を省略したX干渉計41及びY干渉計43は、双方の検出光がそれぞれ測定点Pを通るように設定されている。この構成により、第1実施形態と同様に、アッベ誤差の発生が抑制され、被測定物Wの所望位置を精度よく測定点Pとして位置決めすることができる。
[構造物製造システム]
図19は、実施形態に係る構造物製造システムの一例を機能ブロックで示す図である。構造物製造システム400は、図19に示すように、上記した表面形状測定装置100、200、設計装置410、成形装置420、制御装置430(検査装置)、及びリペア装置440を有している。
設計装置410は、構造物の形状に関する設計情報を作製する。そして、設計装置410は、作製した設計情報を成形装置420及び制御装置430に送信する。ここで、設計情報とは、構造物の各位置の座標を示す情報である。また、測定対象物は、構造物である。
成形装置420は、設計装置410から送信された設計情報に基づいて構造物を成形する。この成形装置420の成形工程は、鋳造、鍛造、又は切削などが含まれる。表面形状測定装置100、200は、成形装置420により作製された構造物(被測定物W)の三次元形状、すなわち構造物の表面の座標を測定する。なお、表面形状測定装置100、200は、設計装置410により作製された設計情報が送信されて、基準形状データとして記憶部52(図4参照)に記憶している。表面形状測定装置100、200は、構造物について測定した座標を示す情報(以下、形状情報という。)を制御装置430に送信する。
制御装置430は、座標記憶部431及び検査部432を有している。座標記憶部431は、設計装置410から送信される設計情報を記憶する。検査部432は、座標記憶部431から設計情報を読み出す。また、検査部432は、座標記憶部431から読み出した設計情報と、表面形状測定装置100から送信される形状情報とを比較する。そして、検査部432は、比較結果に基づき、構造物が設計情報のとおり成形されたか否かを検査する。
また、検査部432は、成形装置420により成形された構造物が良品であるか否かを判定する。構造物が良品であるか否かは、例えば、設計情報と形状情報との誤差が所定の閾値の範囲内であるか否かにより判定する。そして、検査部432は、構造物が設計情報のとおりに成形されていない場合は、その構造物を設計情報のとおりに修復することができるか否かを判定する。修復することができると判定した場合は、検査部432は、比較結果に基づき、不良部位と修復量を算出する。そして、検査部432は、不良部位を示す情報(以下、不良部位情報という。)と、修復量を示す情報(以下、修復量情報という。)と、をリペア装置440に送信する。
リペア装置440は、制御装置430から送信された不良部位情報と修復量情報とに基づいて、構造物の不良部位を加工する。
[構造物製造方法]
図20は、構造物製造システム400による処理を示すフローチャートであり、構造物製造方法の実施形態の一例を示す。図20に示すように、設計装置410は、構造物の形状に関する設計情報を作製する(ステップS01)。設計装置410は、作製した設計情報を成形装置420及び制御装置430に送信する。制御装置430は、設計装置410から送信された設計情報を受信する。そして、制御装置430は、受信した設計情報を座標記憶部431に記憶する。
次に、成形装置420は、設計装置410が作製した設計情報に基づいて構造物を成形する(ステップS02)。そして、表面形状測定装置100、200は、成形装置420が成形した構造物の三次元形状(被測定物Wの表面形状)を測定する(ステップS03)。その後、表面形状測定装置100、200は、構造物の測定結果である形状情報を制御装置430に送信する。次に、検査部432は、表面形状測定装置100から送信された形状情報と、座標記憶部431に記憶されている設計情報とを比較して、構造物が設計情報のとおりに成形されたか否か検査する(ステップS04)。
次に、検査部432は、構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS05)。構造物が良品であると判定した場合は(ステップS05:YES)、構造物製造システム400による処理を終了する。一方、検査部432は、構造物が良品でないと判定した場合は(ステップS05:NO)、検査部432は、構造物を修復することができるか否かを判定する(ステップS06)。
検査部432が構造物を修復することができると判定した場合は(ステップS06:YES)、検査部432は、ステップS04の比較結果に基づいて、構造物の不良部位と修復量を算出する。そして、検査部432は、不良部位情報と修復量情報とをリペア装置440に送信する。リペア装置440は、不良部位情報と修復量情報とに基づいて構造物のリペア(再加工)を実行する(ステップS07)。そして、ステップS03の処理に移行する。すなわち、リペア装置440がリペアを実行した構造物に対してステップS03以降の処理が再度実行される。一方、検査部432が構造物を修復することができないと判定した場合は(ステップS06:NO)、構造物製造システム400による処理を終了する。
このように、構造物製造システム400及び構造物製造方法では、表面形状測定装置100、200による構造物(被測定物W)の表面形状の測定結果に基づいて、検査部432が設計情報のとおりに構造物が作製されたか否かを判定する。これにより、成形装置420により作製された構造物が良品であるか否か精度よく判定することができるとともに、その判定の時間を短縮することができる。また、上記した構造物製造システム400では、検査部432により構造物が良品でないと判定された場合に、直ちに構造物のリペアを実行することができる。
なお、上記した構造物製造システム400及び構造物製造方法において、リペア装置440が加工を実行することに代えて、成形装置420が再度加工を実行するように構成してもよい。
以上、実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能である。また、各実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。そのような変更又は改良、省略した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、各実施形態や変形例の構成を適宜組み合わせて適用することも可能である。また、法令で許容される限りにおいて、各実施形態及び変形例で引用した測定装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
上記の実施形態において、制御ユニット50は、例えばコンピュータシステムを含む。制御ユニット50は、記憶部52に記憶されている表面形状測定プログラムを読み出し、このプログラムに従って各種の処理を実行する。この表面形状測定プログラムは、コンピュータに、予め取得した被測定物Wの基準形状データに基づいて、被測定物Wを支持するθZステージ13(ステージ)を、第1回転軸(第1軸)A1Zまわりに回転させる処理と、θZステージ13に対向して配置されて、被測定物Wの測定点Pまでの距離及び/又は測定点Pでの被測定物Wの表面の傾きを検出する光学ユニット(測定部)20を、測定点Pにおいて被測定物Wの基準形状の接平面WAに対して光学ユニット20の基準軸Sが予め定められた角度となるように、第1回転軸(第1軸)A1Zに直交する第2回転軸(第2軸)A2Xまわりに回転させる処理と、を実行させる。この表面形状測定プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、非一時的な記録媒体、non−transitory tangible media)に記録されて提供されてもよい。
また、本明細書において用いられている「一致」、「平行」、「直交」、「垂直」「平面内」等の表現は、実質的に一致、平行、直交、垂直、平面内等を含む意味である。また、前述した「実質的に」「ほぼ」は、部品の製造誤差や、組み立てによるばらつき等によって生じる場合を含む意味で用いている。