本開示の第1の態様に係る洗濯機は、筐体と、筐体内に弾性的に支持された水槽と、水槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、洗濯槽を回転駆動する第1のモータと、洗濯槽内の洗濯水に含まれる異物を分離する浄化部と、水槽と浄化部とを含む循環経路と、循環経路に洗濯水を循環させるポンプと、制御部と、を備える。
浄化部は、ケースと、ケース内に回転可能に設けられた回転筒と、回転筒を回転させる第2のモータとを有し、回転筒は、洗濯水が流入する入口と洗濯水が流出する出口と、を有する。
制御部は、第2のモータによって回転筒を回転させて、浄化部を通過する洗濯水から異物を遠心分離させる分離動作と、第2のモータによって回転筒を回転させて、回転筒を回転駆動して回転筒内に蓄積された異物を回転筒から脱離させる脱離動作と、洗濯槽内の洗濯水を、浄化部を介して排水させて、回転筒から脱離させた異物を循環経路の外部に排出する排出動作と、を実行するように構成されている。
このような構成により、浄化部を通過する洗濯水から異物を分離して洗濯水を浄化することができる。また、洗濯水から分離されて回転筒の内面に付着した汚れ物質等の異物を、回転筒から脱離させるとともに、循環経路から排出させることができる。これにより、浄化部内に異物及び汚れが蓄積することを抑制することができ、雑菌の増殖を防いで不快臭の発生を抑えることができる。
本開示の第2の態様に係る洗濯機において、制御部は、脱離動作及び排出動作を同時に行うように構成されていてもよい。
このような構成により、脱離動作及び排出動作が同時に行われるため、異物の脱離及び排出を効率よく行うことができる。
また、排出工程において、回転筒が回転駆動されるため、回転筒に流入した洗濯水に旋回流が発生し、当該旋回流によるせん断力によって、回転筒の内面に付着した汚れ物質等の異物を効率よく脱離させることができる。
本開示の第3の態様に係る洗濯機においては、制御部は、回転筒内に洗濯水が存在する状態で、脱離動作を行うように構成されていてもよい。
このような構成により、回転筒が水中で回転駆動されるため、回転駆動にともなう旋回流から生じるせん断力によって、回転筒の内面に付着した汚れ物質等の異物を効率よく脱離させることができる。
本開示の第4の態様に係る洗濯機において、分離動作の実行時における回転筒の回転数は、脱離動作の実行時における回転筒の回転数よりも大きいものであってもよい。
このような構成によって、分離動作の実行時において充分な遠心力によって異物を分離させつつ、脱離動作の実行時において回転筒内の水に作用する遠心力よりも、回転筒の内面に付着した異物に作用するせん断力の方が大きくなるようにできる。従って、回転筒の内面に保持された汚れ物質等の異物が回転筒から脱離されやすくなる。
本開示の第5の態様に係る洗濯機は、脱離動作において、回転筒は正方向及び逆方向に回転されてもよい。
このような構成によって、異物が回転筒から脱離されやすくなる。
本開示の第6の態様に係る洗濯機は、回転筒の内部に、洗濯水に含まれる異物を吸着する吸着体が配置されていてもよい。
このような構成により、洗濯水中に分散している汚れ物質等の異物が吸着体によって効率的に捕捉され、洗濯水を効率よく浄化することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本開示が限定されるものではない。
(実施の形態1)
[1.洗濯機の全体構成]
図1は、本開示の実施の形態1に係る洗濯機の構成を示す図である。
図1に示すように、洗濯機100は、水槽1、筐体2、洗濯槽4及び第1のモータ9を有する。また、洗濯機100は、操作表示部35及び制御部31を有する。
水槽1は、筒状に構成されており、洗濯機100の筐体2の内部に配置されている。水槽1は、複数のサスペンション機構3によって、筐体2内に弾性的に支持されている。
洗濯槽4は、筒状に構成されており、水槽1内に配置されている。洗濯槽4の前面側(図1における左側)には、衣類等の被洗浄物(以下、洗濯物という)が出し入れされる、投入口5が設けられている。洗濯槽4の内周の壁面には、内方へ突出した複数(例えば、3個)のバッフル7と、多数の小孔8が設けられている。水槽1内において、洗濯槽4の、内側と外側とは、小孔8を通して連通されている。
洗濯槽4は、回転軸6を中心として回転可能に設けられている。水槽1、洗濯槽4及び回転軸6はそれぞれ、水平に対して角度θ(例えば、15°)だけ、前面側が上方に傾けられて設けられている。第1のモータ9は、例えば、ブラシレス直流モータで構成されており、制御部31のインバータ制御によって、その回転速度が自在に変化させられるように構成されている。
筐体2の前面には、扉10が設けられている。扉10は、洗濯物が出し入れされる投入口5を開閉する。筐体2と、投入口5と対向して形成された水槽1の開口部11とは、伸縮自在な可撓性を有するパッキン12によって、気密性が確保された状態で連結されている。
洗濯槽4は、水槽1の背面側に設けられた第1のモータ9によって、正方向及び逆方向に回転するように駆動される。
筐体2の上部には、給水配管14が接続されており、給水配管14は水道の蛇口(図示せず)と接続されている。給水配管14には給水弁13が設けられており、給水弁13の開閉動作によって、水道水の給水とその停止が行われる。給水配管14を通して供給された洗濯水(水道水)は、洗剤ケース15に流入し、洗剤ケース15内に投入された洗剤を溶かしながら給水路14aを通って水槽1へ流入する。
水槽1の下部には、洗濯水を排出する排水口16が設けられている。排水口16には、排水経路18の一端が接続されている。排水経路18は、排水口16から洗濯機100の外へ至る経路である。洗濯水は、排水経路18の他端から洗濯機100の外部に排水される。
排水経路18には、排水弁17が設けられている。また、排水経路18には、排水口16と排水弁17の間に、第1の切替弁19が設けられている。排水弁17及び第1の切替弁19の開閉動作によって、水槽1内の洗濯水の排水及びその停止が行われる。
洗濯槽4には、送水路20の一端が接続されている。送水路20の当該一端は、洗濯槽4の前方下部に設けられた吐出口20aと接続されている。送水路20の他端は、第1の切替弁19を介して排水経路18に接続されている。第1の切替弁19は、洗濯水の流れを、送水路20側又は排水弁17側に切り替える。水槽1及び後述の浄化部22は、排水経路18の一部及び送水路20と接続されて、洗濯水の循環経路を構成している。
送水路20には、第1の切替弁19側から順に、ポンプ21及び浄化部22が設けられている。第1の切替弁19が送水路20側に切り替えられた状態でポンプ21が駆動されると、水槽1内の洗濯水は、排水口16から、排水経路18、第1の切替弁19、及び送水路20を経て吐出口20aから洗濯槽4内に吐出されて循環する。このとき、洗濯水は、送水路20上において、ポンプ21及び浄化部22を通過する。
浄化部22の入口側、すなわち、洗濯水の循環時における、浄化部22の上流側には、浄化部22とポンプ21との間に、第2の切替弁23が設けられている。ポンプ21は、循環経路に洗濯水を循環させる。
また、送水路20において、浄化部22の出口側、すなわち洗濯水の浄化時(後述の分離動作時)における浄化部22の下流側には、第3の切替弁25が設けられている。
また、浄化部22をバイパスするように、第2の切替弁23と第3の切替弁25とを接続する水路24が設けられている。
さらに、送水路20には、後述の浄化部22の回転筒29と第2の切替弁23との間において、排水経路18へと繋がる排水路27が接続されている。排水路27上には、開閉弁26が設けられている。
送水路20を流れる洗濯水が浄化部22を通過する際、後述のように、洗濯水に含まれる異物が分離される。異物には、洗濯物から洗い落とされて遊離した汚れ物質、糸屑及び、洗濯水に投入された洗剤に含まれる助剤等が含まれる。
[2.浄化部]
図2Aは、本実施の形態の洗濯機において、異物の分離動作の実行時の洗濯水の流れを示す図であり、図2Bは同洗濯機において、異物の脱離動作及び排出動作の実行時の洗濯水の流れを示す図である。
図2A及び図2Bに示すように、浄化部22は、外郭を構成するケース28と、ケース28内に回転可能に設けられた回転筒29と、回転筒29を回転させる駆動部である回転筒モータ(第2のモータ)30と、を有する。ケース28は、上流側にケース入口28aを有し、下流側にケース出口28bを有する。
回転筒29は、円筒形であり、中空に構成されている。回転筒29には、周側部29c並びに洗濯水が回転筒29内を貫流するための入口29a及び出口29bが設けられている。
入口29aは、回転筒29の回転中心の近傍に設けられている。入口29aは、回転筒29の平面視において、回転シャフト30aの外周を囲むように、スリット状の孔が円弧状に複数(例えば、2個)形成されることで構成されている。回転シャフト30aの軸方向から見て、周側部29cの直径は、入口29a及び出口29bの最大径よりも大きく構成されている。
ポンプ21の駆動により、送水路20を通って浄化部22に流入した洗濯水は、ケース入口28aを通過して回転筒29内を図2Aにおける上側に向けて貫流し、ケース出口28bから流出する。
また、回転筒モータ30が駆動されて、回転筒29が回転することで、後述の分離動作が実行される。分離動作の実行時においては、回転筒29の回転によって、回転筒29内を貫流する洗濯水に遠心力が作用し、この遠心力によって、汚れ物質等の異物が回転筒29の周側部29cへ向う。これらの異物は、回転筒29の周側部29cの内面に付着し、洗濯水から分離される。
[3.制御部]
図3は、本実施の形態に係る洗濯機のブロック構成図である。
制御部31には、布量検知部32、水量検知部33及び回転検知部34の出力が入力される。
布量検知部32は、洗濯槽4に投入された洗濯物の量を検知する。水量検知部33は、水槽1内に給水された洗濯水の量を検知する。回転検知部34は、洗濯槽4の回転駆動を検知する。
制御部31は、使用者によって操作された、操作表示部35からの入力に基づいて、第1のモータ9、給水弁13、排水弁17、第1の切替弁19、ポンプ21、第2の切替弁23、第3の切替弁25、開閉弁26及び回転筒モータ30等の駆動を制御して、後述の洗濯運転を実行する。
洗濯運転には、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程等の工程が含まれる。
また、洗濯運転が開始されてから所定時間経過後に、後述の異物の分離動作が実行される構成の場合は、タイマー部36によって当該所定時間が設定される。
[4.動作]
以上のように構成された洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。
[4−1.洗濯運転]
洗濯運転においては、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程等が実行される。
洗い工程において、洗剤が溶解した洗濯水が水槽1内に給水され、洗濯槽4の回転によって、洗濯物に対して叩き洗いが行われる。洗い工程が実行されることで、洗濯物の汚れが落とされる。
洗い工程に続いて、すすぎ工程が実行される。すすぎ工程では、例えば、第1の中間脱水動作、第1のすすぎ動作、第2の中間脱水動作及び第2のすすぎ動作が行われる。
そして、最後に脱水工程が実行される。
洗濯運転に先立ち、使用者によって、筐体2の前面に設けられた扉10が開けられ、投入口5から洗濯槽4に洗濯物が投入される。そして、使用者によって、筐体2の上面の前方に設けられた操作表示部35の、電源スイッチ及びスタートスイッチが操作される。これによって、洗濯運転が開始される。
洗濯運転が開始されると、制御部31は、まず、洗濯槽4内に投入された洗濯物の量を、布量検知部32によって検知する。洗濯物の量は、第1のモータ9を駆動して洗濯槽4を回転させたときの、第1のモータ9にかかるトルク量、又は第1のモータ9の電流値の変化等から検知される。
制御部31は、検知された洗濯物の量に応じて、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程の各工程の時間、並びに、洗濯水の量及び洗剤量を設定する。制御部31によって設定された洗剤量は、操作表示部35に表示される。
使用者は、操作表示部35に表示された洗剤量を目安にして、洗剤ケース15に洗剤を投入する。制御部31は、洗剤の投入が完了するまで洗濯運転を一時停止させる。
洗濯運転の一時停止が解除されると、制御部31は、給水弁13を開く。給水弁13が開かれると、水道水が、給水配管14を流れて洗剤ケース15に流入する。水道水は、投入された洗剤を溶かしながら、洗濯水として水槽1に給水される。水槽1内の底部に溜まった洗濯水は、小孔8から洗濯槽4内に流入する。
なお、本実施の形態において、洗濯水は、水槽1内に給水された水のことを意味する。
水槽1内に溜まった洗濯水の量は、水量検知部33で検知される。制御部31は、洗濯物の量に応じて予め設定された所定量の洗濯水が給水されると、給水弁13を制御して給水弁13を閉じる。
制御部31は、給水が完了すると、第1のモータ9を駆動して洗濯槽4を回転させる。洗濯槽4が回転すると、洗濯槽4内の洗濯物は、バッフル7によって回転方向へ持ち上げられる。その後、洗濯物は、上方から落下することで、洗濯槽4の底面又は洗濯槽4の底に溜まっている洗濯物に叩きつけられる。
このようにして、洗剤による化学力及び機械力によって、洗濯物に対する叩き洗いが行われる。洗濯物が叩き洗いされる時、洗濯槽4の回転数は、例えば、45rpmである。そして、所定時間毎に第1のモータ9の回転方向が反転されることで、洗濯槽4は正方向及び逆方向に回転する。
制御部31は、洗い工程が設定時間実行された後、排水弁17を制御して排水弁17を開く。これにより、水槽1内の洗濯水が、洗濯機100の外部へ排水される。排水が完了した後、すすぎ工程が行われ、第1の中間脱水動作に続いて第1のすすぎ動作が行われる。すすぎ工程においても、洗い工程と同様に、水槽1内に所定量の洗濯水が給水され、洗濯槽4が回転されて洗濯物のすすぎが行われる。
洗濯運転の最後に行われる脱水工程では、まず、排水弁17が開かれて水槽1内の洗濯水が洗濯機100の外部へ排出される。そして、第1のモータ9により、洗濯物の入った洗濯槽4が高速に回転されて洗濯物が脱水される。脱水工程が完了すると、制御部31は洗濯運転を終了する。
[4−2.異物の分離]
次に、図2Aを用いて、浄化部22による洗濯水の浄化、すなわち異物の分離動作について説明する。
洗い工程における洗濯水は、例えば、汚れ物質等のさまざまな異物を含む。汚れ物質としては、例えば、砂、糸屑を含む繊維屑、及び、髪の毛又は角質汚れ等のように、水よりも比重が重いものがある。また、皮脂に代表される脂分等のように、それ自身は水よりも軽いが、糸屑等のように水より比重が重いものに付着する汚れ物質もある。
洗い工程において、制御部31は、ポンプ21を駆動して、汚れ物質等の異物を含んだ水槽1内の洗濯水を、浄化部22へ流入させる。
洗い工程が実行されて、ポンプ21が駆動されると、水槽1内の洗濯水は、送水路20側に切り替えられている第1の切替弁19(図1参照)から送水路20に流入する。このとき、第2の切替弁23及び第3の切替弁25は、浄化部22側に切り替えられている(図2A参照)。このため、洗濯水は、ケース28の上流側に設けられたケース入口28aから浄化部22に流入する。
浄化部22を経て第3の切替弁25を通過した洗濯水は、送水路20を通り、吐出口20aから洗濯槽4内へ流入する。このとき、洗濯水は、吐出口20aから吐出されて、叩き洗いが行われている洗濯物にかけられる。
その後、洗濯水は、洗濯槽4内において、洗濯物から洗い落とされた異物を含んだ状態となった後、再び水槽1の排水口16から送水路20へ流出する。このように、洗濯水は、循環経路内を循環する。
洗い工程の初期の段階においては、回転筒モータ30は回転駆動されない。すなわち、回転筒29は、停止した状態である。
次に、制御部31は、洗い工程がある程度進行して、洗濯水中の汚れ物質が増加した時点、すなわち、洗濯運転が開始されてから所定時間が経過した時点で、回転筒モータ30を駆動して回転筒29を回転させる。洗濯運転が開始されてから回転筒29が駆動されるまでの時間は、例えば、洗濯物の量及び汚れの程度等に応じて、タイマー部36によって適切に設定される。
制御部31は、洗濯運転が開始されてから、タイマー部36によって設定された所定時間が経過した後(例えば、洗い工程の時間が9分に設定されている場合は、2分後)、回転筒モータ30を制御して、回転筒29を回転駆動させる。
制御部31は、このように、洗い工程における初期の段階、すなわち、洗剤の作用によって、洗濯物から汚れが洗い落とされる段階では、回転筒29を回転駆動させない。これにより、浄化部22において、洗剤成分が洗濯水から分離されるのを防止して、洗剤成分による洗浄効果を高めることができる。
そして、制御部31は、洗濯物から汚れが洗い落とされた後の段階において、回転筒29を一方向へ回転駆動させ、洗濯水から汚れ物質等の異物を遠心分離させる。異物の分離が行われる際の回転筒29の回転数S1(回転速度)は、例えば、4000rpmである。
洗濯水から異物が分離される際、すなわち、洗濯水の浄化が行われる際、洗濯水は、図2Aに示される矢印のように流れる。このとき、開閉弁26は閉じられている。洗濯水は、入口29aから回転筒29内に流入する。洗濯水は、回転している回転筒29を貫流し、出口29bから流出する。洗濯水は、入口29aから回転筒29内に流入して、出口29bから流出するまでの間において、旋回流となっている。このため、回転筒29内において、洗濯水には遠心力が作用する。洗濯水に含まれる、洗濯水よりも比重が重い異物は、遠心力によって回転筒29の周側部29cに向かい、周側部29cに押し付けられることで、周側部29cに保持され、蓄積される。
以上のように、浄化部22は、洗濯水に遠心力を作用させることで、異物を遠心分離し、分離された異物を、回転筒29の周側部29cに保持する。また、洗濯水に含まれる汚れ物質のうち、皮脂に代表される脂分等、水よりも比重が軽いものも、糸屑等に付着することで、浄化部22において分離される。よって、洗濯機100の清浄効果を高めることができる。
このようにして、洗濯水は、浄化部22において浄化されることで、洗濯水に含まれる異物が減少した状態となって、送水路20を通って、吐出口20aから洗濯槽4へ流入する。洗濯水は、洗濯槽4へ流入する際、洗濯槽4内で叩き洗いが行われている洗濯物にかけられる。洗濯槽4へ流入した洗濯水は、洗濯槽4内において、再度、異物を含むこととなる。その後、洗濯水は、水槽1の排水口16から送水路20へ流出して循環経路内を循環し、再度、浄化部22で浄化される。このように、洗濯水が浄化されて循環することで、洗濯物の洗浄が進行する。
[4−3.異物の脱離及び排出]
次に、図2Bを用いて、回転筒29内に保持されて蓄積された異物が回転筒29から脱離される脱離動作、及び脱離された異物が循環経路から排出される排出動作について説明する。
制御部31は、洗い工程が設定された所定時間(例えば、9分)行われた後、第1の切替弁19(図1参照)を送水路20側から排水弁17側に切り替える。これにより、排水経路18へ流路が開かれる。また、制御部31によって排水弁17が開かれて、水槽1内の洗濯水は、洗濯機100の外部へ排出される。これにより、洗濯水が排水される。
排水が終了すると、すすぎ工程が開始される。すすぎ工程においては、まず、第1の中間脱水動作が行われる。これにより、洗濯物に含まれる洗濯水の大部分が排水される。その後、第1のすすぎ動作が行われる。続いて、第2の中間脱水動作及び第2のすすぎ動作が、第1の中間脱水動作及び第1のすすぎ動作と同様に行われる。
すすぎ工程においても、洗い工程と同様に、水槽1内に、所定量の水道水が洗濯水として給水される。このとき、洗濯槽4が回転制御されて、洗濯物のすすぎが行われる。
第2のすすぎ動作が終了した後、洗濯槽4の洗濯水は排水される。そして、洗濯水の排水と同時に、浄化部22に蓄積された異物の脱離動作及び排出動作が行われる。異物の、脱離動作及び排出動作の実行に際して、制御部31は、洗濯水が浄化部22を逆流して、排水として洗濯機100の外部に排出されるように、複数の弁を制御する。
具体的には、第1の切替弁19(図1参照)は、送水路20側に切り替えられる。第2の切替弁23は、水路24側に排水が流れるように切り替えられる。第3の切替弁25は、排水が水路24から浄化部22へ流れるように切り替えられる。さらに、開閉弁26及び排水弁17が開かれる。
これによって、異物の脱離動作時においては、洗濯水は、図2Bに示される矢印のように流れる。このとき、ポンプ21は低速度で駆動され、排水は、第1の切替弁19、第2の切替弁23、水路24及び第3の切替弁25を経て、浄化部22を通過し、開かれた開閉弁26から排水路27を経て、洗濯機100の外部へ排出される。
また、制御部31は、異物の脱離動作の実行時において、回転筒モータ30を駆動して回転筒29を回転させる。これによって、回転筒29内を貫流する排水に旋回流が発生する。
このときの回転筒29の回転数S2(回転速度)は、例えば、100rpmであり、異物の分離動作の実行時における回転数S1(回転速度)よりも低い速度である。つまり、排水に作用する遠心力よりも、回転筒29の周側部29cの内面に付着した異物に作用するせん断力の方が大きい。これによって、周側部29cの内面に保持されている汚れ物質等の異物は、回転筒29から脱離する。
なお、異物の脱離動作時における、回転筒29の回転方向は、一方向であってもよく、また、正方向及び逆方向の回転が交互に繰り返されてもよい。回転筒29が正方向及び逆方向に回転することにより、異物が回転筒29から脱離される作用が強くなる。
また、浄化部22の内部が第2のすすぎ動作による排水で満たされている状態において、回転筒モータ30を駆動して回転筒29を回転させることで、異物の脱離、及び、脱離した異物の回転筒29からの排出が効率的に行われる。
このように、第2のすすぎ動作の排水が浄化部22内に流入しているとき、すなわち、回転筒29内に洗濯水が存在する状態で、回転筒29を回転させることにより、回転筒29の周側部29cの内面に蓄積された異物を、効率的に脱離させることができる。
そして、回転筒29から脱離された異物を含んだ第2のすすぎ動作の排水は、開閉弁26を経由して排水路27を通り、排水弁17(図1参照)から排水経路18へと導かれて、洗濯機100の外部へ排出される。
このとき、脱離された異物は循環経路の外部に排出されるため、浄化部22内に、異物及び汚れが蓄積することを抑制することができ、雑菌の増殖を防いで、不快臭の発生を抑えることができる。
なお、異物の脱離動作及び排出動作が行われるタイミングは、上述した第2のすすぎ動作の後の排水時に限定されず、第1のすすぎ動作の後の排水時に行われてもよい。
また、異物の脱離動作は、第1のすすぎ動作の後の排水時及び第2のすすぎ動作の後の排水時の両方で行われてもよい。
また、異物の脱離動作は、洗い工程が終了した後の排水時に行われてもよい。
また、異物の脱離動作は、洗濯運転から独立させた運転工程として、別途実行されるようにしてもよい。すなわち、制御部31は、洗濯運転の終了後に、洗濯槽4に新たな水を注水させて、異物の脱離動作を実行するように構成されてもよい。
なお、異物の脱離動作は、回転筒29内に洗濯水が存在しない状態で実行されてもよい。この場合も、蓄積された異物に作用する遠心力よりも、蓄積された異物に作用するせん断力の方が大きくなるように、回転筒29が回転されることで、回転筒29の内部に蓄積された異物を回転筒29から脱離させることができる。
また、本実施の形態では、異物の脱離動作及び排出動作が同時に実行される例について説明したが、脱離動作の実行後に排出動作が行われてもよい。
[5.効果など]
以上のように、本実施の形態においては、筐体2と、筐体2内に弾性的に支持された水槽1と、水槽1内に回転可能に設けられた洗濯槽4と、洗濯槽4を回転駆動する第1のモータ9と、洗濯槽4内の洗濯水に含まれる異物を分離する浄化部22と、水槽1と浄化部22とを含む循環経路と、循環経路に洗濯水を循環させるポンプ21と、制御部31と、を備える。
また、浄化部22は、ケース28と、ケース28内に回転可能に設けられた回転筒29と、回転筒29を回転させる回転筒モータ30と、を有する。
また、回転筒29は、洗濯水が流入する入口29aと、洗濯水が流出する出口29bと、を有する。
そして、制御部31は、回転筒モータ30によって回転筒29を回転させて、回転筒29内を通過する洗濯水から異物を遠心分離させる分離動作と、回転筒モータ30によって回転筒29を回転させて、回転筒29内に蓄積された異物を回転筒29から脱離させる脱離動作と、洗濯槽4内の洗濯水を、浄化部22を介して排水させて、回転筒29から脱離させた異物を循環経路の外部に排出する排出動作と、を実行するように構成される。
このような構成によって、洗い工程時等に、異物の分離動作が実行されることにより、浄化部22を通過する洗濯水から異物を分離して洗濯水を浄化することができる。
また、異物の脱離動作が実行されることにより、洗濯水から分離されて回転筒29の内面に付着した汚れ物質等の異物が、回転筒29の回転駆動で発生する旋回流によって回転筒29から脱離される。そして、脱離された異物は、排水の水とともに、浄化部22から循環経路の外部へ排出される。これにより、浄化部22内に異物及び汚れが蓄積することを抑制することができ、雑菌の増殖を防いで不快臭の発生を抑えることができる。
また、制御部31は、異物の脱離動作及び排出動作を同時に実行するとともに、水槽1内の洗濯水を、浄化部22を通して排水するように構成されたものである。
これにより、洗濯水から分離されて回転筒29の内面に付着した汚れ物質等の異物を、洗濯に使用された水を利用して、回転筒29の周側部29cから効率よく脱離させて排出することができる。これによって、洗濯時間が延長されることなく、設定された排水のタイミングで回転筒29の洗浄を行うことができる。
(実施の形態2)
図4Aは、本開示の実施の形態2に係る洗濯機において、異物の分離動作の実行時の洗濯水の流れを示す図である。図4Bは、異物の脱離動作及び排出動作の実行時の洗濯水の流れを示す図である。
本実施の形態は、実施の形態1と異なり、第2の切替弁23、第3の切替弁25及びこれらを連通する水路24を有さない。また、浄化部22の下流側の送水路20に第4の切替弁37が設けられ、第4の切替弁37に排水路27が接続された点で、実施の形態1と異なる。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗い工程等における、異物の分離動作の実行時は、図4Aに示すように、異物が分離された後の洗濯水が、浄化部22から吐出口20a(図1参照)側へ流れるように、切替弁37が切り替えられる。従って、浄化部22と水槽1との間で洗濯水が循環し、浄化された洗濯水は洗濯槽4に吐出される。
また、異物の脱離動作及び排出動作の実行時は、図4Bに示されるように、洗濯水は、異物の分離動作の実行時と同じ方向から浄化部22内を通過し、回転筒29に保持されている異物を脱離させる。このとき、切替弁37は、洗濯水が排水路27側へ流れるように切り替えられており、異物を含んだ洗濯水は、排水路27から排水経路18を通って洗濯機の外部へ排出される。
これにより、脱離された異物は、排水の水とともに、浄化部22から循環経路の外部へ排出される。従って、浄化部22内に異物及び汚れが蓄積することを抑制することができ、雑菌の増殖を防いで不快臭の発生を抑えることができる。
以上のように、本実施の形態の構成によれば、1つの切替弁37によって、異物の分離動作並びに脱離動作及び排出動作の実行の際の、洗濯水の流れの切り替えを行うことができる。従って、浄化部22の構成及び異物の排出のための構成を簡略化することができる。
(実施の形態3)
図5は、本開示の実施の形態3における洗濯機の異物の脱離動作の実行時の洗濯水の流れを示す図である。
本実施の形態の特徴は、開閉弁26が閉じられて浄化部22に水が貯留された状態、すなわち、回転筒内に洗濯水が存在する状態で回転筒29が回転駆動されて、脱離動作が行われるように構成されたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
本実施の形態では、異物の脱離動作は、例えば、第2のすすぎ動作が終了した後の排水時等、異物の分離動作が実行された後に行われる。実施の形態1と同様に、第1の切替弁19は、送水路20側に洗濯水が流れるように切り替えられる(図1参照)。第2の切替弁23は、水路24側に洗濯水が流れるように切り替えられる。
さらに、本実施の形態では、第3の切替弁25は、洗濯水が水路24から浄化部22へ流れるように切り替えられ、開閉弁26及び排水弁17が開かれる。
異物の脱離動作の実行が開始されると、ポンプ21が低速度で駆動され、水槽1内の洗濯水が送水路20を流れて浄化部22内に溜まり始める。そして、洗濯水が浄化部22内に溜まる所定時間後に、開かれていた開閉弁26が閉じられるとともに、ポンプ21の駆動が停止される。これによって、洗濯水が浄化部22内に貯留された状態、すなわち回転筒29内に洗濯水が存在する状態となる。
この状態において、制御部31は、回転筒モータ30を駆動して回転筒29を回転させる。回転筒29の回転数S2(回転速度)は、例えば、100rpmであり、洗濯水から異物を分離する異物の分離動作の実行時の回転筒29の回転数S1(回転速度)よりも低い速度である。
制御部31が、回転筒29を所定時間回転させることによって、回転筒29内に旋回流が発生する。当該旋回流によって、回転筒29の周側部29cの内面に付着した異物には、せん断力が作用する。当該せん断力によって、異物が回転筒29から脱離する。
その後、開閉弁26が開かれ、脱離された異物を含んだ状態となった回転筒29内の洗濯水は、異物とともに排水路27から洗濯機100の外部に排出される。
これにより、脱離された異物は、浄化部22から循環経路の外部へ排出される。従って、浄化部22内に異物及び汚れが蓄積することを抑制することができ、雑菌の増殖を防いで不快臭の発生を抑えることができる。
以上のように、本実施の形態においては、制御部31は、回転筒29内に洗濯水が存在する状態で回転筒29を回転駆動させて、異物の脱離動作を実行するように構成されたものである。
この構成によって、回転筒29を水中で回転させて、回転に伴う洗濯水の旋回流によって、回転筒29の内面に付着した汚れ物質等の異物を効率よく脱離させることができる。
そして、脱離された異物の含まれた洗濯水が、浄化部22から排出されることにより異物の排出動作が行われ、浄化部22内に汚れが蓄積することを抑制することができる。
(実施の形態4)
図6Aは、本開示の実施の形態4に係る洗濯機において異物の分離動作の実行時の洗濯水の流れを示す図である。図6Bは、異物の脱離動作及び排出動作の実行時の洗濯水の流れを示す図である。
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、回転筒29の周側部29c内に、洗濯水に含まれる異物を吸着する吸着体38が設けられた点が異なる。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
図6A及び図6Bに示すように、回転筒29の周側部29cの内面には、洗濯水中の異物を吸着する吸着体38が設けられている。本実施の形態では、吸着体38は、合成繊維及び天然繊維のうちの少なくともいずれか一方からなる繊維集合体で構成されている。吸着体38はシート状に形成されている。吸着体38は、周側部29cの広い範囲に対して、帯状に、かつ、連続的又は断続的に配設されている。これにより、吸着体38は、遠心力の作用を受けた洗濯水による水圧を受けやすくなる。
吸着体38を構成する繊維の材質と、汚れ物質との親和性により、洗濯物から洗い落とされた多様な汚れが吸着体38に付着される。具体的には、綿等の天然繊維には、水溶性の蛋白質及び色素等の汚れ物質が付着され易い。また、ポリプロピレン及びポリエステル等の合成繊維には、皮脂及び脂溶性の汚れ物質が付着され易い。従って、吸着体38が、複数種類の繊維材料で構成されることで、汚れ物質との親和性が最適化されることが望ましい。また、吸着体38は、繊維集合体として構成されることで、洗濯水中の汚れ物質と接触する表面積が大きくなる。これにより、洗濯水に含まれる汚れ物質等の異物が効率的に捕捉される。
異物の分離動作の実行時、洗濯水は図6Aに示される矢印のように流れる。
制御部31は、回転筒モータ30を駆動して回転筒29を回転させ、洗濯水から汚れ物質等の異物を遠心分離する。このときの回転筒29の回転数S1(回転速度)は、例えば、1000rpmである。本実施の形態では、回転筒29内に吸着体38が設けられているため、吸着体38が設けられていない場合における回転速度よりも低い速度で回転筒29を回転させても、効率的に異物を分離させることが可能となる。
次に、異物の脱離動作及び排出動作の実行時には、洗濯水は、図6Bの矢印のように流れるとともに、洗濯機100の外部に排水される。
異物の脱離動作の実行時において、制御部31は、回転筒29を所定時間回転させる。これにより、回転筒29内で発生する旋回流によって、吸着体38に付着した異物が吸着体38から遊離する。また、洗濯水は、異物とともに、開かれた開閉弁26から排水路27経て、洗濯機100の外部に排出されることで、異物が循環経路から排出される。また、異物の脱離動作が行われることで、吸着体38の表面は、再度、異物を吸着できる状態に再生されるため、吸着体38の吸着能力が回復する。
また、異物の脱離動作の実行時における回転筒29の回転数S2(回転速度)は、例えば、400rpmである。これは、異物の分離動作の実行時における回転筒29の回転数S1(回転速度)よりも低い速度である。
図7は、本実施の形態の他の例を示したものである。図7に示すように、回転筒29内には、吸着体48が設けられている。図7に示す例では、回転筒29内に設けられた吸着体48は、回転筒29内において移動可能に構成されている。
具体的には、吸着体48は、異物の脱離動作の実行時において、回転筒29の回転によって生じる洗濯水の旋回流によって、回転筒29内において移動する。
回転筒29内に収容された吸着体48は、略円筒状に成型されており、図6A及び図6Bにおける吸着体38と同様に、合成繊維及び天然繊維のうちの少なくともいずれか一方からなる繊維集合体で構成されている。回転筒29を通過する洗濯水は、吸着体48の中央部分に形成されている空洞部48aを貫流し、吸着体48はその流れの外側に位置するように設けられている。
このような構成により、吸着体48は、回転筒29が高速で回転することにより発生する、洗濯水の旋回流による水圧を受けるとともに、当該旋回流の作用によって、回転筒29内において移動する。これによって、洗濯水に含まれる汚れ物質等の異物は、吸着体48によって効率的に捕捉される。
以上のように、本実施の形態においては、回転筒29内に洗濯水に含まれる異物を吸着する吸着体38又は吸着体48が設けられる。洗い工程等において、洗濯水が回転筒29を通過する際に、回転筒29の高速回転により発生する旋回流によって洗濯水には遠心力が作用する。そして、当該遠心力による水圧によって、洗濯水が回転筒29に設けられた吸着体38又は吸着体48に押し付けられる。これにより、洗濯物から洗い落とされて洗濯水中に分散している汚れ物質等の異物が吸着体38又は吸着体48によって効率的に捕捉され、洗濯水を効率よく浄化することができる。
また、吸着体38又は吸着体48によって吸着された汚れ物質等の異物は、回転筒29の回転により発生する水流によって吸着体38又は吸着体48から脱離し、浄化部22から排出される。これによって、脱離された異物は、浄化部22から循環経路の外部へ排出される。従って、浄化部22内に異物及び汚れが蓄積することを抑制することができ、雑菌の増殖を防いで不快臭の発生を抑えることができる。
また、吸着体38又は吸着体48の表面は、再度、異物を吸着できる状態に再生されるため、吸着体38又は吸着体48の吸着能力を回復させることができる。