JPWO2018235903A1 - 亜鉛基合金ショット及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕亜鉛基合金ショットであって、
前記亜鉛基合金ショットは、AlとMgと残部がZn及び不可避不純物からなり、
前記亜鉛基合金ショットに対するAlの含有量が0.05〜0.20質量%且つMgの含有量が0.001〜0.20質量%であり、
前記亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜150HVであることを特徴とする亜鉛基合金ショット。
〔2〕前記亜鉛基合金ショットは、更に微量添加元素としてCuが添加されており、
前記微量添加元素の添加量は前記亜鉛基合金ショットに対して0.0002〜0.01質量%であることを特徴とする前記7項に記載の亜鉛基合金ショット。
〔3〕 前記亜鉛基合金ショットは、0.2〜2.0mmの径を有する粒状体であるか、又は(1:0.8)≦(径:長さ)≦(1:1.3)の比率を有する円柱であり、
前記亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜150HVであることを特徴とする亜鉛基合金ショット。
〔4〕前記亜鉛基合金ショットは粒状体であって、投影図から求めたショットの長手方向の長さをa、長手方向に直交する方向における最大径をbとした場合に、60%以上のショットのa/bが1.0〜1.3の範囲内にある、前記1又は2項記載の亜鉛基合金ショット。
〔5〕前記1〜4のいずれか1項に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法であって、
原料金属であるZn、Al、Mg、及び必要に応じてCuを秤量する工程と、
前記原料金属を加熱して溶湯とする工程と、
前記溶湯を、底部にノズルが配置された溶湯保持容器に移送する工程と、
前記ノズルを介して、液体の冷却媒体中に前記溶湯を滴下する工程と、
前記冷却媒体中で前記溶湯を凝固させて粒状体を得る工程と、
前記凝固された粒状体を所定のサイズに分級する工程と、
前記分級した粒状体の硬さを調整する工程と、
を含み、
前記分級する工程では、前記凝固された溶湯金属の径を0.2〜2.0mmに分級することを特徴する亜鉛基合金ショットの製造方法。
〔6〕前記1〜3のいずれか1項に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法であって、
原料金属であるZn、Al、及び必要に応じてCuの合金組成を有する塊状物を得る工程と、
前記塊状物より所定の径のワイヤを得る工程と、
前記ワイヤを所定の長さに切断する工程と、
を含み、
前記ワイヤを得る工程では、塊状物を圧延すると共に応力を付与する工程を含むことを特徴とする亜鉛基合金ショットの製造方法。
〔7〕前記ワイヤを切断する工程では、(1:0.8)≦(ワイヤの径:ワイヤの長さ)≦(1:1.3)となるようにワイヤを切断する、前記6項に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法。
〔8〕前記ワイヤを得る工程では、ワイヤの径がφ0.4〜2.0mmとなるように塊状物を加工する前記5項に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法。
また、Mgが添加されているので、ワークの物性や研掃目的に合わせて亜鉛基合金ショットの研掃能力を調整することができる。
前記亜鉛基合金ショットは、Alと、Mgと、微量添加元素としてのCuと、残部としてのZn及び不可避不純物とからなり、
前記亜鉛基合金ショットに対するAlの含有量が0.05〜0.20質量%であり、
前記亜鉛基合金ショットに対するMgの含有量が0.001〜0.20質量%であり、
前記亜鉛基合金ショットに対するCuの含有量が0〜0.05質量%であり、
前記亜鉛基合金ショットが、0.2〜2.0mmの径を有する粒状体であるか、又は(1:0.8)≦(径:長さ)≦(1:1.3)の比率を有する円柱であり、
前記亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜150HVであることを特徴とする亜鉛基合金ショットである。
(1)原料金属であるZn、Al、Mg及び必要に応じてCuを秤量する工程。
(2)前記原料金属を加熱して溶湯とする工程。
(3)溶湯を、底部にノズルが配置された溶湯保持容器に移送する工程。
(4)ノズルを介して、液体の冷却媒体中に前記溶湯を滴下する工程。
(5)冷却媒体中で前記溶湯を凝固させて粒状体を得る工程。
(6)粒状体を所定のサイズに分級する工程。
(7)分級した粒状体の硬さを調整する工程
そして、(6)の工程では、粒状体の径を0.2〜2.0mmとなるように分級してもよい。なお、本明細書において、「径」は、直径を意味する。
(11)原料金属であるZn、Al、及び必要に応じてCuの合金組成を有する塊状物を得る工程。
(12)塊状物より所定の径のワイヤを得る工程。
(13)ワイヤを所定の長さに切断する工程。
そして、ワイヤを得る工程では、塊状物を圧延すると共に応力を付与する工程を含んでもよい。
亜鉛基合金ショットに対するMgの含有量が0.001〜0.120%であり、
亜鉛基合金ショットに対するCuの含有量が0.0001〜0.01%であり、
亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜100HVである亜鉛基合金ショットが特に好ましい。
亜鉛基合金ショットに対するMgの含有量が0.002〜0.010%であり、
亜鉛基合金ショットに対するCuの含有量が0.0002〜0.005%であり、
亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜100HVである亜鉛基合金ショットが更に特に好ましい。
原料となる金属を秤量する。例えば、Alの原料(地金)としては、JISH2102のアルミニウム地金特1種(99.90%以上)やJISH2111(またはICS77.120.10)の精製アルミニウム地金特殊(99.995%以上)・1種(99.990%以上)・2種(99.95%以上)を、Cuの原料(地金)としては、JISH2121の電気銅地金(99.96%以上)を、それぞれ挙げることができる。
秤量した金属を坩堝に投入後、坩堝を加熱する(例えば、約600℃)。加熱によって金属が溶解し、Zn−AlもしくはZn−Al−Cuの組成を有する溶湯となる。
溶湯を溶湯保持容器に投入する。溶湯保持容器には加熱手段が備えられており、亜鉛基合金ショット製造時に、溶湯が必要以上に冷却されないように保持することができる。このときの溶湯保持温度は合金組成や生産規模により異なるが、500〜600℃の範囲で適宜設定してもよい。
溶湯保持容器内の溶湯は、ノズルから滴下される。ノズルから冷却媒体に到達するまでの間に、表面張力の影響を受け球状化する。冷却媒体に到達し、接触した溶湯は急激に冷却されて球形状のまま固化される。
冷却媒体の底部には、亜鉛合金の粒状体が堆積される。これを回収して、乾燥機で乾燥後、分級機で分級して亜鉛基合金の球状粒子を得る。なお、分級は亜鉛基合金ショットの使用目的に合わせて所定の粒径になるように行なう。
分級後の球状粒子を、ショットブラスト機を用いて所定条件下(所定速度(例えば、40〜80m/s)、所定距離(例えば、100〜1200mm)等)で、所定回数または所定時間(例えば、1〜200時間)繰り返してターゲット材(例えば、高Mn鋼材)に向けて投射する。球状粒子はターゲット材に激しく衝突することで、塑性変形して転位密度が上昇するので、硬さが硬くなる。球状粒子の硬さは投射回数または投射時間に依存するため、これを制御することで所定の硬さを有する亜鉛基合金ショットを得る。当業者であれば、上記条件を適宜調整することにより、所望の硬さの亜鉛基合金ショットを得ることができる。
亜鉛基合金ショットに対するMgの含有量が0.001〜0.120%であり、
亜鉛基合金ショットに対するCuの含有量が0.0001〜0.01質量%であり、
亜鉛基合金ショットが、0.2〜2.0mmの径を有する粒状体であり、
投影図から求めたショットの長手方向の長さをa、長手方向に直交する方向における最大径をbとした場合に、60%以上のショットのa/bが1.0〜1.3の範囲内にあり、
亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜100HVである亜鉛基合金ショットが特に好ましい。
亜鉛基合金ショットに対するMgの含有量が0.001〜0.120%であり、
亜鉛基合金ショットに対するCuの含有量が0.0002〜0.005%であり、
亜鉛基合金ショットが、0.2〜2.0mmの径を有する粒状体であり、
投影図から求めたショットの長手方向の長さをa、長手方向に直交する方向における最大径をbとした場合に、60%以上のショットのa/bが1.0〜1.2の範囲内にあり、
亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜100HVである亜鉛基合金ショットがさらに特に好ましい。
原料となる金属より、Zn−AlもしくはZn−Al−Cuの組成を有する塊状物を生成する。例えば、原料となる金属より製錬によりビレットと呼ばれる円柱形状の塊状物を生成してもよい。
本実施形態では、ビレットよりワイヤを製造する。複数個のダイスにビレットを挿入し、このビレットを引き抜くことでビレットを塑性変形により小径化して所望の径までワイヤを製造する。本実施形態のビレットはAlを含有しているので、ダイスとのすべり性が良好である。その為、ワイヤを製造する際に、その途中でワイヤが切断もしくはマイクロクラックが発生するのを防ぐことができる。
得られたワイヤを所定の長さとなるように直列的に切断し、粒状物を得る。この粒状物の長さは径との差が大きいと、ブラスト加工後のワークの仕上がり品質にばらつきが生じる。これを考慮し、(1:0.8)≦(ワイヤの径:ワイヤの長さ)≦(1:1.3)となるようにワイヤを切断してもよく、(1:0.8)≦(ワイヤの径:ワイヤの長さ)≦(1:1.2)となるようにワイヤを切断してもよい。
得られた粒状物は円柱形状であるので、角部を有する。ブラスト加工時この角部によってワークが受傷する場合、予めこの粒状物を壁等に向けて投射することで角が丸めておいてもよい。なお、この工程はワークの物性やブラスト加工の目的に応じて省略してもよい。
亜鉛基合金ショットに対するMgの含有量が0.001〜0.120%であり、
亜鉛基合金ショットに対するCuの含有量が0.0001〜0.01質量%であり、
亜鉛基合金ショットが、(1:0.83)≦(径:長さ)≦(1:1.25)の比率を有する円柱であり、
投影図から求めたショットの長手方向の長さをa、長手方向に直交する方向における最大径をbとした場合に、60%以上のショットのa/bが1.0〜1.3の範囲内にあり、
亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜100HVである亜鉛基合金ショットが特に好ましい。
亜鉛基合金ショットに対するMgの含有量が0.001〜0.120%であり、
亜鉛基合金ショットに対するCuの含有量が0.0002〜0.005%であり、
亜鉛基合金ショットが、(1:0.83)≦(径:長さ)≦(1:1.25)の比率を有する円柱であり、
投影図から求めたショットの長手方向の長さをa、長手方向に直交する方向における最大径をbとした場合に、60%以上のショットのa/bが1.0〜1.2の範囲内にあり、
亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜100HVである亜鉛基合金ショットが特に好ましい。
Aタイプ:上述の製造方法における工程S01〜S06によって製造し、平均粒子径が0.8mm且つ前述のa/bが1.0〜1.3となるように分級した亜鉛基合金。
Bタイプ:工程S11〜S14によって製造し、ワイヤの径を0.8mmとした亜鉛基合金ショット。
寿命ないし靭性(耐衝撃性)に対応する評価である。亜鉛基合金ショットを用いて8時間、ショットブラストすることにより微粉となって損耗した量を「ショット消耗量」として下記基準で評価した。
◎:0.06kg/(h・HP)以下
○:0.06kg/(h・HP)〜0.08kg/(h・HP)
△:0.08kg/(h・HP)〜0.10kg/(h・HP)
×:0.10kg/(h・HP)以上
研掃能力ないしブラスト能力に対応する評価である。バリが完全に除去できるまでに要するブラスト加工時間を測定し、以下の基準で評価した。なお、バリの除去は目視評価とした。
◎:30秒のブラスト加工時間でバリが除去される。
○:60秒のブラスト加工時間でバリが除去される。
△:90秒のブラスト加工時間でバリが除去される。
×:90秒のブラスト加工時間でもバリが除去されない。
ブラスト加工後のワーク表面を観察し、以下の基準で評価した(目視での評価)。
◎:銀白色に輝いている。
○:少し黒ずんでいる。
△:黒ずんでいる。
いずれのタイプの亜鉛基合金ショットにおいても、Alの添加量が0.05〜2.0%、且つMgの添加量が0.001〜0.20%の範囲である実施例1〜16は、いずれの条件においても△以上の評価であった。さらに、Cuを0.0002〜0.01%の範囲で微量に添加した場合であっても、いずれの条件においても△以上の評価であった。ここで、△評価は○評価より劣るものの実用上問題のない結果であり、投射条件(投射速度や粒子径等)を最適化することで○評価以上となりえることが示唆される。従って、実施例1〜14においては、消耗量の評価は良好であることがわかる。
いずれのタイプの亜鉛基合金ショットにおいても、Alの添加量が0.05〜2.0%、且つMgの添加量が0.01〜0.20%の範囲である実施例1〜16は、Al及びMgの添加量が多くなると評価が低下する傾向が見られるが、いずれの条件においても△以上の評価であった。さらに、Cuを0.0002〜0.01%の範囲で微量に添加した場合であっても、いずれの条件においても△以上の評価であった。ここで、△評価は○評価より劣るものの実用上問題のない結果であり、投射条件(投射速度や粒子径等)を最適化することで○評価以上となりえることが示唆される。従って、実施例1〜14においては、消耗量の評価は良好であることがわかる。
いずれのタイプの亜鉛基合金ショットにおいても、Cuを0.0002〜0.01%の範囲で微量に添加した実施例5〜8及び13〜16は、いずれの条件においても◎評価であり、Cuを微量に添加することで仕上がり品質が向上することが示された。
Claims (8)
- 亜鉛基合金ショットであって、
前記亜鉛基合金ショットは、AlとMgと残部がZn及び不可避不純物からなり、
前記亜鉛基合金ショットに対するAlの含有量が0.05〜0.20質量%且つMgの含有量が0.001〜0.20質量%であり、
前記亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜150HVである、亜鉛基合金ショット。 - 前記亜鉛基合金ショットは、更に微量添加元素としてCuが添加されており、
前記微量添加元素の添加量は前記亜鉛基合金ショットに対して0.0002〜0.01質量%である、請求項1に記載の亜鉛基合金ショット。 - 前記亜鉛基合金ショットは、0.2〜2.0mmの径を有する粒状体であるか、又は(1:0.8)≦(径:長さ)≦(1:1.3)の比率を有する円柱であり、
前記亜鉛基合金ショットのビッカース硬さが80〜150HVである、請求項1または2に記載の亜鉛基合金ショット。 - 前記亜鉛基合金ショットが粒状体であって、投影図から求めたショットの長手方向の長さをa、長手方向に直交する方向における最大径をbとした場合に、60%以上のショットのa/bが1.0〜1.3の範囲内にある、請求項1又は2記載の亜鉛基合金ショット。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法であって、
原料金属であるZn、Al、Mg、及び必要に応じてCuを秤量する工程と、
前記原料金属を加熱して溶湯とする工程と、
前記溶湯を、底部にノズルが配置された溶湯保持容器に移送する工程と、
前記ノズルを介して、液体の冷却媒体中に前記溶湯を滴下する工程と、
前記冷却媒体中で前記溶湯を凝固させて粒状体を得る工程と、
前記凝固された粒状体を所定のサイズに分級する工程と、
前記分級した粒状体の硬さを調整する工程と、
を含み、
前記分級する工程では、前記凝固された溶湯金属の径を0.2〜2.0mmに分級する、亜鉛基合金ショットの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法であって、
原料金属であるZn、Al、及び必要に応じてCuの合金組成を有する塊状物を得る工程と、
前記塊状物より所定の径のワイヤを得る工程と、
前記ワイヤを所定の長さに切断する工程と、
を含み、
前記ワイヤを得る工程では、塊状物を圧延すると共に応力を付与する工程を含む、亜鉛基合金ショットの製造方法。 - 前記ワイヤを切断する工程では、(1:0.8)≦(ワイヤの径:ワイヤの長さ)≦(1:1.3)となるようにワイヤを切断する、請求項6に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法。
- 前記ワイヤを得る工程では、ワイヤの径がφ0.4〜2.0mmとなるように塊状物を加工する、請求項6または7に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法。
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