JPWO2018230318A1 - スケール、撮像装置、撮像システム、キット、および撮像装置の調整方法 - Google Patents

スケール、撮像装置、撮像システム、キット、および撮像装置の調整方法 Download PDF

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Abstract

この出願は、カーボンナノチューブ(CNT)を含む複数のファントムと、該ファントムが配置される部材とを備え、該カーボンナノチューブは、赤外領域における光吸収または光反射を有することを特徴とするスケール、該スケールを複数備えるキット、ならびに該スケールまたは該キットを用いて、撮像部の設定および/または光源の設定を調整することを含む、撮像装置の調整方法を提供する。

Description

本開示は、スケール、撮像装置、撮像システム、キット、および撮像装置の調整方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称することもある。)は、炭素を原料とした直径約0.5〜50nm、長さμmオーダーの筒状物質であり、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、二層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ(SWNT)が知られている。またCNTは、炭素原子が六角形に配置されたグラフェンシート(独立した炭素六角網平面)を円筒状に巻いた形をしているため、巻き方(カイラリティ)によって性質が大きく変化する。
CNTは、その特異な光学的性質、例えば光励起により近赤外光を発光することを利用して、例えば血球成分などの生体サンプルを検出するためのプローブの標識物質として利用することが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、カーボンナノチューブ(CNT)を撮像装置または撮像システムの設定を確認するため等に使用することは無かった。
特開2012−247188号公報
本発明者らは、今回、CNTが、赤外光を利用する撮像装置または撮像システムの機器設定の状態を確認するため等の標準に使用できることを見出した。
第1の実施形態によれば、カーボンナノチューブ(CNT)を含む複数のファントムと、前記ファントムが配置される部材と、を備え、前記カーボンナノチューブは、赤外領域における光吸収を有する、スケールが提供される。
第2の実施形態によれば、上記のスケールを撮像する撮像装置が提供される。
第3の実施形態によれば、上記のスケールの表示を含む撮像システムが提供される。
第4の実施形態によれば、上記のスケールを複数備えるキットが提供される。
第5の実施形態によれば、上記のスケールを用いて、撮像部の設定および/または光源の設定を調整することを含む、撮像装置の調整方法が提供される。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2017−118173号の開示内容を包含する。
実施形態における、カイラリティの異なるCNTの吸光スペクトルと波長(λからλ)とを示す。 実施形態におけるスケールの説明図である。この図は、波長λからλ(ここで、nは2以上の整数である。)の各波長に特異的な吸収を示す、カイラリティの異なるCNTを含有する複数の異なる濃度のファントム(A1〜A9またはB1〜B9)(例、希釈系列濃度)のスポットを部材上に配置したストリップ状のスケールを示す。また図中、黒つぶれや白とび以外の濃度を可視化できる一連のファントムをグレースケールとして示している。 カイラリティの異なるCNTを含有する複数の異なる濃度のファントム(例、希釈系列濃度)のスポットを部材上に配置したストリップ状スケール(波長λからλ)、あるいは該スケールの組み合わせを含むキットの一実施形態である。 カイラリティの異なるCNTを含有する複数の異なる濃度のファントム(例、希釈系列濃度)を一つ(例、一枚)の部材上に配置したスケール(波長λからλ)、あるいは前記スケールの組み合わせを含むキットの一実施形態である。 図3Bに示したようなスケールまたはキットを標本支持部(ステージ)に四方(例、周辺、周縁、端部)に配置した状態を示す一実施形態である。図中、十字は中心を表す。 図3Bに示したようなスケールを標本支持部(ステージ)に四方に配置し、かつ標本支持部(ステージ)の中心部に被写体(例、生体組織)を載置した状態を示す一実施形態である。図中、標本支持部(ステージ)の外側の四隅および内側の四隅にそれぞれマークしたL字(破線)は、撮像サイズ(例、A4サイズまたはA7サイズ)を示す。 図3Bに示したようなスケールを板状の支持体上に四方に配置したキットの一実施形態である。図中、十字は中心を表す。 L字型の部材の面上に配置されたファントムを含む4つのスケールを対角線状に板状の支持体上に配置した図4Cの変形例を示すキットの一実施形態である。 8つのL字型のスケールを板状の支持体上に配置した図4Dの変形例を示すキットの一実施形態である。 中(中央部)が開いた部材の面上に配置されたファントムを含むスケールの組み合わせを含む、撮像システムや術中システムで使用可能なキットの一実施形態を示す。 L字型の部材の面上に配置されたファントムを含むスケールの組み合わせを含む、撮像システムや術中システムで使用可能なキットの一実施形態を示す。 実施形態に係る撮像システムの構成例を説明するための図である。図中、DBはデータベースである。 図6Aの撮像システムの断面を示す図である。 実施形態に係る撮像システムを示す機能ブロック図である。 実施形態に係る撮像システムの表示部に被写体(例、生体組織)の画像と一緒にスケールを表示した図である。 手術中に撮像装置によって撮影され表示部に表示された組織の画像とスケールを示す図である。 本実施形態におけるファントムに使用した4種のCNT材料(C1、C2、C3およびC4)の吸光特性を示す。ここでC1は、単層カーボンナノチューブSWeNT(R)SG65(型番704148、吸収ピーク996nm、SIGMA−ALDRICH製)であり、C2は、単層カーボンナノチューブSWeNT(R)SG76(型番704121、吸収ピーク1153nm、SIGMA−ALDRICH製)であり、C3は、KH Single−Walled Carbon Nanotubes, ED(吸収ピーク1588nm、KH CHEMICALS Co., LTD.製)であり、C4は、単層カーボンナノチューブSO(型番SWNT SO、吸収ピーク1821nm、(株)名城ナノカーボン製)である。また、横軸に波長(nm)、縦軸に吸光度をそれぞれとり、スペクトルとして示している。 本実施形態におけるスケールの作製手順(工程1〜工程4)を示す。 本実施形態における完成したスケールの構造断面図の例示である。CNT含有樹脂(例、CNT希釈系列)からなる複数のファントム5、近赤外領域の光透過性が90%以上である基板9a、および光反射層(近赤外領域の光反射率が90%以上である)9bを含むスケール6を示す。基板9aと光反射層9bは、ファントム5が配置される部材9を構成している。 照明波長(a〜d)の切り替え(点灯もしくは消灯)によって強調されるスケールが切り替わるように設計されたCNTファントム5を含むスケール6を示す一実施形態である。このスケール6は、例えば医療用撮像装置における照明波長の設定・調整などに使用できる。 吸収ピーク波長(a〜d)の異なるCNTファントム5を含むスケール6と、被写体P(例、生体組織の疾患部)とを撮像装置を用いて同時に撮影し、画像データから近赤外照明の波長選択と強度調整とによって、被写体Pの撮影に適した範囲のファントムのグレースケール(R)と吸光度範囲(枠内の吸光度)とを決定する、スケールの使用例を示す一実施形態である。 図14に示した吸収ピーク波長(a〜d)の異なるCNTファントム5を含むスケール6を使用して被写体Pの撮影に適した照明の波長と強度とを選択する、スケール6の使用例を示す一実施形態である。ここで、被写体Pの撮影に使用可能な範囲のファントムのグレースケールをRで表示し、また、被写体Pの撮影に適した照明強度と一致するファントムとその吸光度の選択を示す。 図14に示した吸収ピーク波長(a〜d)の異なるCNTファントム5を含むスケール6を使用して被写体P(P1〜P3)内の疾患部(P1)の撮影に適した照明の波長と強度(図中、波長(c)1588nmおよび強度(吸光度)0.18)を選択し、被写体P(P1)内でファントム5と同様に強調される箇所を疾患部として判定する、スケール6の使用例を示す一実施形態である。
以下に本実施形態について、撮像装置または撮像システムの機器設定の状態を確認するため等の標準(基準)とすることが可能であるスケールおよびその製造方法、当該スケールを撮像して表示可能とする撮像システム、ならびに当該スケールを使用して撮像装置または撮像システムの機器設定を調整する方法について説明する。また、本実施形態における機器設定は、観察対象(例、生体組織、スケール(又はファントム)など)に合わせた撮影条件(あるいは撮影モード)などである。例えば、撮影条件は、観察対象(例、観察対象の大きさ、種類、量など)に基づく、光源の照射光量、撮像部の感度、撮像部の露光時間、撮像部の絞り、撮像部の出力信号のゲインなどを含む。
1.スケール
実施形態によれば、カーボンナノチューブ(CNT)を含む複数のファントムと、該ファントムが配置される部材と、を備え、該カーボンナノチューブは、赤外領域における光吸収を有する、スケールが提供される。例えば、本実施形態のスケールは、赤外領域における光(例、近赤外光などの赤外光)に対する既知の吸光度を有し、任意の波長に対するサンプルの吸光度を評価(見積もり、推定)することに用いられる。
ファントムは、撮像装置や撮像システム(例、生体計測装置などの医療機器)の校正、検査、設計などに用いる、生体(例、生物の組織、複数の該組織で構成される臓器)の応答を模擬した物質(模擬体)である。本実施形態におけるファントムは、CNTを含むファントムであり、赤外領域の光を利用する撮像システム等の機器設定の状態を確認し、機器設定を調整する方法などに使用できる。CNTのカイラリティや濃度を変えたり、および/またはファントムの厚さ(例、膜厚)を変えることにより、光吸収などの光学特性を変化させることができるため、上記ファントムは、撮像システムの機器設定調整用スケール(もしくは物差し、光学的撮像用スケール)として使用することができる。
上記スケールにおいては、別の実施形態により、上記複数のファントムは、互いに濃度が異なるカーボンナノチューブを含むことができる。
また、上記スケールにおいては、別の実施形態により、上記複数のファントムは第1ファントムおよび第2ファントムを含み、上記第1ファントムと上記第2ファントムとは、互いに赤外領域におけるスペクトルが異なるカーボンナノチューブ(例、赤外領域における第1の光吸収ピークを含む第1のスペクトルを有するCNT、赤外領域における第2の光吸収ピークを含む第2のスペクトルを有するCNT)を含むことができる。
ここで、スペクトルは、吸収率(または、反射率)と波長とのグラフのような、光のスペクトル(分光分布、分光スペクトル、吸収スペクトルまたは反射スペクトル)を含む。
上記スケールでは、例えば、スペクトルにおいて、第1波長λに光の吸収ピーク(例、半値幅が数nm以上数100nm以下、半値幅が数nm以上数10nm以下、半値幅が10nm以上100nm以下など)を有する複数のファントム(例、互いに濃度が異なる複数のファントム)からなる列を1列とし、第2波長λに光の吸収ピークを有する別の複数のファントムからなる列を2列とし、第3波長λに光の吸収ピークを有する別の複数のファントムからなる列を3列とし、同様にn列まで並べて規則的に配置することができる。
「光吸収」の度合いは吸光度によって表すことができる、「光反射」の度合いは反射率によって表すことができる。また、光散乱の度合いは、散乱強度によって表すことができる。本実施形態では、光吸収は、近赤外領域を含む赤外光に対する光の吸収を含む。
また、ここで「規則的に配置」とは、例えば、CNT濃度の高い濃度から低い濃度の順番で、またはその逆の順番で、上記ファントムを配置するか、あるいは、ファントムの厚さが大きい厚さから小さい厚さの順番で、またはその逆の順番で、上記ファントムを特定の順番で配置するような規則的な配置を含む。
CNTは、赤外領域に、例えば近赤外領域(例、700nm以上3000nm以下の波長帯域)の特定波長に光(赤外光)の吸収をもつCNTであり、例えば、カイラリティが異なる種々の単層カーボンナノチューブ(single−walled carbon nanotube,SWNT)である。CNTのカイラリティは、カイラル指数(n,m)によって表され、このカイラル指数によって決定される、グラフェンシート(炭素六角網平面)の巻き方の違いにより種々の幾何構造(CNTの直径や長さの違いも生じる。)が存在し、CNTのバンドギャップ、フェルミ順位、仕事関数などの物理量はカイラル指数に依存する。また、CNTは、例えば、カイラリティの違いにより赤外光に対する吸収率の波長依存性(例えば、波長の違いによって光の吸収率に差が生じること)を有し、幾何構造のような構造の違いによって光学特性が変化する(例、図1)。
別の実施形態により、上記ファントムは、CNTを含む樹脂膜とすることができる。このとき、CNTは、溶媒としての樹脂中に分散、好ましくは均一に分散される。
樹脂膜には、CNTの分散を均一化するために分散剤を適量含有させてもよい。分散剤の例としては、非限定的に、界面活性剤(例、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム(SDBS)、コール酸ナトリウム(SC)、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)など)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリイミド(PI)誘導体などの有機化合物、あるいは無機塩(例、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、リン酸三カリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウムなど)(特開2015−168610号公報)などを挙げることができる。また、分散溶媒の例としては、非限定的に、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、イソプロパノール、などを挙げることができる(特開2015−168610号公報)。
樹脂は、赤外光に対し透過特性を有するポリマーであり、例えば、使用する赤外波長帯域でCNTの吸収を妨害しない材質からなる。あるいは、樹脂は、赤外光を散乱する性質を有するポリマーであってもよい。
樹脂の例としては、非限定的に、フッ素系樹脂(例、CYTOP(R)(AGC旭硝子製)、エポキシ系樹脂、その他、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニルなどのポリマー、あるいは、それらの同等の性質を有するポリマー(もしくは等価物)である。
上記部材(ベース部)は、例えば構造白色を有する材料からなる光反射層(例、白色板のような反射基板)であってもよく、上記部材は、赤外領域(例、近赤外領域)で光を散乱する材質または高い反射率を有する材質からなり、例えば90%以上、95%以上または98%以上の反射率を有するものである。部材の材質は、一実施形態により、金属、セラミックス、タイル、ガラス、紙、ポリマー、木などのいずれでもよく、例えば金属(例、アルミニウム、酸化アルミニウム、銀もしくは銀合金、等)のみからなっていてもよいし、あるいは上で例示したようないずれかの材料の表面上に90%以上の反射率を付与することが可能な炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウムなどの白色無機物質を均一に塗布することによって、目的の反射率を有する部材とすることができる。また部材は、その表面がなめらかな平面構造を有しており、面上のどの部分で測定してもムラのない一定の高反射率を示すものがよい。
場合により、部材は、光反射層の上部に光透過性が90%以上または95%以上の基板(例、ガラス)を重ね合わせてもよい(図12)。
上記スケールにおいては、上記のとおり、複数のファントムは、互いに濃度が異なる複数のCNTを含むことができる。また、当該複数のファントムは、カーボンナノチューブの濃度順(例、希釈系列の順)に上記部材に配置することができる。このとき、例えば、樹脂膜の厚さを一定にしてもよいし、樹脂膜の厚さを(好ましくは一定の厚さ間隔で規則的に)変えてもよい。
あるいは、上記スケールにおいては、ファントムの厚さを段階的に異なる厚さにすることができる。このときCNTの濃度を一定にしてもよいし、CNTの濃度を(好ましくは希釈系列で規則的に)変えてもよい。
ファントムの厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲(例、0.1μm〜10μm、0.1μm〜100μm)であるが、この範囲に限定されない。また、ファントム中のCNTの濃度は、ファントム1重量部あたりCNT10−6〜10−2重量部(例、CNT10−4〜10−3重量部)であるが、この範囲に限定されない。
上記の樹脂膜からなるファントムは上記部材(例、基板、光反射層、容器)の上部(例、配置領域や接着領域などの固定領域)に、例えば塗布、接着などの付着手段によって固定される。固定は、塗布の他に、例えば、赤外領域(例、近赤外領域)に吸収のない接着剤を均一に塗布するなどの接着方法によって行うことができる。
複数のファントムは、光反射層、基板と光反射層との組み合わせ等の部材上に、例えば、格子状もしくはマトリクス状に、あるいは1列、2列、・・n列となるように規則的に配置することができる。
実施形態により、上記スケールは、撮像部の設定(例、感度、絞りなど)および/または光源の設定(光の波長、強度など)を調整するために使用することができる。
また、上記ファントムの形状は、丸、四角、三角、星形などの任意の形状であり、例えばパンチまたはスポットの形状である。
次に、図2および図3を用いて、本実施形態によるスケールの例を説明する。
この図2では、異なる波長(λ・・λ)(例、n≧2)の各々についてCNT濃度を高濃度から低濃度に段階的に変えた各ファントムのスポットを一定間隔で一列に配置した個々のスケールを、赤外波長域の短波長から長波長(例、800から1600nm)に順番にマトリクス状に配置している。赤外領域のうち近赤外領域は、血液や水の吸収がなく生体透過性の高い領域であることから、この領域に吸収を有するCNTは上記スケールの材料として有効に使用できる。
各CNTにおける光吸収を有する波長の違いは、CNTのカイラリティ(巻き方)の違いに依存する(H. Liuら,Nature Communications,2:309,DOI:10.1038/ncomms1313,May 2011)。図1は、カイラリティの異なる精製CNTの各吸収スペクトルを模式的に示したものであるので、吸収ピーク間の位置、吸収ピークの高さ、不純ピークなどは実際のものと異なっている。カイラリティの異なる、種々のCNT(粉末)が市販されているので、それらを、ゲルクロマトグラフィー法などの手法(上記Liuら,2011)によってほぼ100%まで精製をし、(近赤外)分光光度計により吸収ピークを測定して種々のCNTの正確な光の吸収波長を決定することができる。なお、各CNTにおける光の吸収ピークは数nmから数十nm程度の幅(半値幅)をもつため、各CNTにおける吸収波長も数nmから数十nm程度の幅(半値幅)を有する。このように高精製されたCNTを含むファントムを用いて、種々の形態のスケールを作製することができる。市販されるCNT(粉末)として、例えば、製品名で、単層カーボンナノチューブSWeNT(R)SG65(型番704148、吸収ピーク996nm、SIGMA−ALDRICH製)、単層カーボンナノチューブSWeNT(R)SG76(型番704121、吸収ピーク1153nm、SIGMA−ALDRICH製)、KH Single−Walled Carbon Nanotubes, ED(吸収ピーク1588nm、KH CHEMICALS Co., LTD.製)、単層カーボンナノチューブSO(型番SWNT SO、吸収ピーク1821nm、(株)名城ナノカーボン製)などが挙げられる。
実施形態において、例えば図2または図3Aに示した各スケール6は、カイラリティの異なるCNTを含む複数のファントム5を一定間隔でストリップ形状の部材(例、基板、シート、フレキシブル基材)9上に配置して作製されたものであり、各スケール上のファントムにおける赤外光の吸収波長に基づき選定された波長(例、λからλ)ごとに並列配置されている。このように形成されたスケールセット(例、キット)は、撮像装置や撮像システム、あるいは術中システム、の撮像条件の調整もしくは設定のために使用することができる。このとき上記システムの標本支持台(ステージ)にスケールまたはスケールセットを置いて上記の調整もしくは設定を行うことができる。
さらに、図2または図3Aのような配置に限らず、本実施形態におけるスケール6は、図3Bに示すように、1つの部材9上に上記複数のファントム5を波長(例、λからλ)ごとに配置させた構成としてもよい。図3Bには、第1波長λであってCNT濃度が異なる各ファントムが一定間隔で一列(例、第1列)に配置され、第2波長λであってCNT濃度が異なる各ファントムが一定間隔で一列(例、第2列)に配置され、第3波長λであってCNT濃度が異なる各ファントムが一定間隔で一列(例、第3列)に配置され、第4波長λであってCNT濃度が異なる各ファントムが一定間隔で一列(例、第4列)に配置され、ならびに第5波長λであってCNT濃度が異なる各ファントムが一定間隔で一列(例、第5列)に配置された実施形態が示されている。
このように、本実施形態のスケール6は、赤外領域における吸収スペクトルをもとに複数のグループに分けられた複数のファントムを備え、そのグループにおける各ファントムは赤外領域(吸収ピーク波長)における吸光度に基づき含有するCNTの濃度順に所定方向に部材9上に配置されている。
また、CNT濃度を段階的に変えたファントムのスポットの数は、例えば10個以上、15個以上、20個以上、25個以上、30個以上または40個以上であり、通常10から30個または20から30個である。このとき、スケール6の撮像画像上でユーザが視認できる程度にCNT濃度を変えたファントムを部材に形成することによって、ファントムの画像における階調の分解能をCNT濃度で調整している。このように、特定の波長において吸収ピークを有するCNTを用いた複数のファントムは、CNT濃度が異なるように多段階的(例、10段階、15段階、20段階以上など)にスケール6上に設けられる。
後述する表示部(図8、図9)に表示されるスケール(スケールの画像)は、ユーザが視認可能であり、例えばグレースケール(灰色の濃淡からなるスケール)あるいは色調の変化を示すスケールを画面上に表示することによって、ユーザは、使用するシステムの撮像部や光源部の波長選択・強度調整/設定範囲をスケール6を介して確認することができる。表示部に表示されたスケールに基づき、ユーザは、各ファントムの画像における濃淡と光吸収の度合い(吸光度)との関連付けが可能になるため、ファントムの画像における特定の波長での色の濃さもしくは濃淡から被写体の撮影時の照明の波長や強度を推定できる。さらにまた、例えば、CNT濃度の異なる(例、希釈系列の)ファントムを含むスケールの撮影と一緒に撮影された生体組織(例、疾患部を含む可能性のある観察対象)の撮影画像に基づき、ユーザは、特定の波長での吸光度が既知であるファントムのグレースケール内の色の濃淡(例、コントラスト、輝度など)と生体組織の画像データの色の濃淡(例、コントラスト、輝度など)とを目視によって比較することによって、生体組織内の異常(例、水分や脂質の急激な変化、線維化など)を推定できる。
上記のスポットに所定の波長の光が照射されたとき、ユーザは、黒つぶれ、グレースケール(濃度の可視化が可能である)、白とびの色調のうち、グレースケールの範囲のスポット群から最適の吸光度を選ぶことができる(図2)。
また、本実施形態では、観察対象の生体組織(例、脂肪、血管、神経、筋肉、臓器、疾患組織など)に基づいて波長もしくは波長帯域が決まるので、組織の種類やサイズに合わせてスケールを作製することができる。
さらにまた、本実施形態では、スケールを作製したとき、スケールの製造ロットごとに測定して得られた物性データ(例、ファントムの波長や吸光度)と、物性データと関係づけた生体組織情報とを蓄積しデータベース化することによって、スケールが有する吸光度の範囲が観察対象の吸光度を包含する確率を高めるため、スケールの信頼性(もしくは品質)が向上する。これによって、信頼性の高いスケールの設計仕様(例、設計値範囲)を特定することができる。
2.キット
さらに別の実施形態によれば、上記の異なるピーク波長を有する複数のスケールを備えるキットが提供される。
このキットは、近赤外光イメージング装置(撮像装置)などを備える撮像システムの撮像部の設定および/または光源の設定を簡易に調整するために、あるいはユーザが簡易に観察対象に適した撮影条件になっていることを確認するために使用することができる。また、このような撮像用キットは、本実施形態のスケールまたは複数のスケールを固定して収納する開閉可能な容器(収容ケース)(例、スケールをはめ込むような窪みがある容器、収容するスケールごとに仕切りがあり、1つのスケールに対して1つの収容空間を有する容器など)を備えてもよい。あるいは、容器に替えて接着剤等の固定手段を介してスケールを部材に固定してもよい。
本実施形態におけるキットは、上記の図3(A、B)、図4(AからE)および図5(A、B)に例示されるように、上記のスケールのセットが被写体(生体組織もしくはサンプル)を囲むように配置された種々の形態をとることができる。これらのキットはあくまで例示であり、発明を制限するものではなく、スケールセットの配置、スケール数、ファントム数、波長などはいずれも変更可能である。
図4Aは、図3B(または図3A)に示したようなスケールセットを、撮像システムの標本支持部(ステージ)に四方に配置した状態を示しており、図4Bは、標本支持部(ステージ)の中心部に被写体(生体組織もしくはサンプル)を置いた状態を示す。このように、標本支持部(ステージ)に載置可能な図3Bまたは図3Aに示したスケールセットは、撮像システムの撮像部や光源等の調整のためのキットとして使用することができる。また、図4Bに示すような撮像サイズ(L字マーク)を撮像システムの標本支持部(ステージ)に備えることによって、被写体(生体組織もしくはサンプル)およびスケールセットを一緒に画像化できるようにし、さらにスケール上の最適ファントムを特定し、データベース上に保存することが可能となる。
図4Cは、図3B(または図3A)に示したようなスケールを板状の支持体上に四方に配置した形態のキットの例示である。ここで、支持体は、撮像システムの調整に影響を及ぼさない材質であればいずれであってもよい。そのような材質は、例えば、ポリマー、紙、ガラス、木、金属、セラミックスなどの物質から選択することができる。このようなキットを撮像システムの標本支持部(ステージ)に直接置くことができるため、作業効率がよくなる。
図4Dは、L字型の部材の面上に配置されたファントムを含む4つのスケールを対角線状に板状の支持体上に配置した図4Cの変形例を示すキットである。スケールセットの配置、スケールセットの数、ファントム数は変更可能であり、また、波長についても、例えばλからλに制限せずに変更可能であり、それら以外の異なる波長に吸収ピークを有するファントムを含むスケールを配置してもよい。
図4Eは、8つのL字型のスケールを板状の支持体上に配置した図4Dの変形例を示すキットである。図4Dと同様に、スケールセットの配置、スケールセットの数、ファントム数および波長は、適宜変更可能である。
図5Aは、中が開いた部材の面上に配置されたファントムを含むスケールの組み合わせを含む、例えば撮像システムや術中システムなどの撮像装置を含むシステムで使用可能なキットの例示である。λからλの波長に対応したスケールセット以外のセットについては、同じスケールセットまたは、異なる波長に対応した異なるスケールセットを配置してもよい。このような形態のキットにおいては、調整すべきシステムが撮像システムである場合、該キットを該システムの標本支持部(ステージ)に載置し、中が開いた部分に被写体(例、生体組織もしくはサンプル)を置くことができる。また、調整すべきシステムが術中システムである場合、該キットの中が開いた部分に患者の撮像すべき組織が配置されるように該キットを平坦な状態で置くことができる。
図5Bは、L字型の部材の面上に配置されたファントムを含むスケールの組み合わせを含む、撮像システムや術中システムで使用可能なキットの例示である。図5Aの場合と同様に、該キットを撮像システムの標本支持部(ステージ)に載置することができるし、また、術中システムにおいて患者の撮像すべき組織の近傍に該キットを置くことができる。
キットにはさらに、上記スケールによる撮像装置の調整手順を記載した使用説明書が含まれてもよい。また、キットに含まれる各スケールの各波長における各ファントムの吸光度を表示した表を該キットに含めることができる。
3.スケールの製造方法
(1)カーボンナノチューブ(CNT)の精製
CNTは、例えば長さ、電気的性質、または、直径とカイラリティの違いに基づいて分離精製される。CNTは、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブのいずれかであり、好ましくは単層カーボンナノチューブである。
単層カーボンナノチューブの精製は、ナノチューブの電子的および光学的性質に基づいて、特に単層カーボンナノチューブの直径および立体配座によって分類し、CNTを分離することができる(特表2005−527455号公報)。
あるいは、カーボンナノチューブを含む試料に光を照射し、所望の物性(直径およびカイラルベクトルの少なくとも一方を含む)を有するカーボンナノチューブを選択することを含む方法によって、所望の物性を有するカーボンナノチューブを分離、濃縮または精製することができる(再表2005/077827号公報)。
あるいは、アガロースゲルを充填した多重カラムによるクロマトグラフィーを利用するsingle−surfactant multicolumn gel chromatography法(H. Liuら,Nature Communications,2:309,DOI:10.1038/ncomms1313,May 2011)によってカイラリティの異なるCNTを分離することができる。
あるいは、非線形密度勾配超遠心分離によりカイラリティの異なる単層カーボンナノチューブを分離することができる(S. Ghosh et al., Nature Nanothechnology 5:443−450, 2010)。
あるいは、カイラリティの異なる単層カーボンナノチューブは、構造特異的にDNA配列を認識するという性質を利用して個々の単層カーボンナノチューブを分離することが提案されている(X.M. Tu et al., Nature 2009, 460:250−253)。
このようにして、本実施形態では、CNTの直径や立体配座の違いに基づくカイラリティの違いを利用して単層カーボンナノチューブを精製することができる(準備工程)。
なお、カイラリティが異なる種々の単層カーボンナノチューブが市販されているので、それを使用することができる(準備工程)。市販の単層カーボンナノチューブは、必要に応じて、上記の方法によって、純度をほぼ100%にするために精製することができる。
(2)ファントムの作製
次に、上記のファントムを作製するために、例えば、上述のように精製したCNT粉末を、粘性のある液体状の樹脂に練り込み、CNTを均一に分散させてCNTインクを作製する。続いて、CNTインクを部材(例、基板、光反射層、もしくは基板と光反射層の組み合わせ)上に垂らし、もしくは塗布し、ブレードを(例えば、自動装置により)一定速度で動かして膜状のファントム(この場合、樹脂膜)を形成し、硬化させる(ファントムの形成工程)。このとき、部材とブレードとの距離を変えることにより膜厚が異なる種々の樹脂膜を作製することができる。また、CNTインクのCNT濃度を(例えば、希釈系列により段階的に)変えることによりCNT濃度の異なる種々の樹脂膜(ファントム)を作製することができる。なお、CNTインクの樹脂膜を部材上に形成する方法としてはスピンコート法、ディップコート法、ブレードコート法、キャスト法などがあり、CNTインクを形成してから部材上に固定する方法としては型を用いた成形法などが挙げられる。
樹脂は、近赤外領域(例、700nm〜3000nm)で際立った光吸収がなく、また、屈折率が1.5以下であるポリマー材料から選択しうる。樹脂は、例えばフッ素系樹脂、エポキシ系樹脂などである。
さらにまた、CNTの濃度および厚さは、上記例示のとおりであり、撮像装置の型番や種類、被写体(例、生体組織)の種類などに応じて適宜変更することができる。
(3)部材への樹脂膜(ファントム)の固定
上記の樹脂膜をパンチ等で任意の形状に加工し、例えば、上記の構造白色を有する部材(例、近赤外領域で90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の反射率を有する光反射層)6上に、膜厚の異なる樹脂膜を厚み順に配置するか、あるいはCNT濃度の異なる樹脂膜を高濃度から低濃度の順(または、その逆の順)に配置し、固定する。部材6上へのファントムの配置の仕方は規則的であればいずれでもよく、例えば格子状もしくはマトリクス状、あるいは1列、2列、3列・・・n列となるように配置する。
ファントムをその厚さ順に部材6上に配置するとき、使用する濃度のCNTは特定の第1波長λに対する高い吸収を有するので、λ用のスケール(スケール領域)となる。同様にして、第2波長λ、第3波長λ・・第n波長λ用のスケール(スケール領域)を作製し、例えば、部材6上に行=膜厚(吸光度)、列=波長としてマトリクス状に複数のファントムを配置したスケールを製造することができる。
あるいは、CNTの濃度順に配置するとき、特定の第1波長λ、第2波長λ、第3波長λ・・第n波長λのそれぞれに対し、ファントムの厚さを一定にし、CNT濃度が異なる(すなわち、吸光度または反射率が異なる)複数のファントムを部材6上に配置することができる。このようにして、部材6上に行=濃度(吸光度)、列=波長としてマトリクス状に複数のファントムを配置したスケールを製造することができる。
部材6にファントム5を固定する方法として、ファントムを部材に直接塗布する方法、射出成形によって基板(部材)に凹部(窪み)を形成し、そこにファントムを塗布する方法、インクジェットによってファントムを滴下する方法、赤外領域(例、近赤外領域)に吸収のない接着剤を均一に塗布するなどの接着方法、などが挙げられる。
上記のようにして作製された異なる波長に対応した複数のスケールを、図3〜図5に示されるような種々の形態に組み合わせることによって多様なキットを製造することができる。
4.撮像装置および撮像システム
実施形態によれば、上記のスケールを撮像する撮像装置、あるいは上記のスケールの表示を含む撮像システムが提供される。
撮像装置において、上記のスケール6が標本支持部(ステージ)2に固定または取付可能に配置された構成であり、スケール6が標本支持部2に備えられていてもよい。
撮像システムは、赤外領域の光を利用したシステムであればいずれであってもよい。そのようなシステムの例は、近赤外光イメージング装置を含む病理支援または手術支援などの医療用システムである。
撮像システムとしては、例えば以下に示すような病理検査用システム、術中において生体内部の組織の画像および立体画像を取得可能な手術支援用撮像システムなどを例示することができる(図6、図7、図8、図9)。
図6は、実施形態に係る撮像システム1の構成例を説明するための図である。図6Aは、本実施形態に係る撮像システム1の構成例を示す図である。図6Bは、撮像システム1における撮像装置10の構成例を示す図である。図中のXYZ直交座標系において、X方向およびY方向は、例えば水平方向であり、Z方向は例えば鉛直方向である。X方向、Y方向、およびZ方向の各方向において、適宜、矢印の向きを+側(例、+X側)と称し、その反対側を一側(例、−X側)と称す。
撮像システム1は、例えば、病理診断支援、臨床診断支援、観察支援、手術支援などの医療支援に利用される。図6Aに示すように、撮像システム1は、撮像装置10と、撮像システム1の全体を制御する制御装置101と、ユーザ(オペレータ)がデータや指示コマンドなどを入力する際に用いる入力装置102と、例えばGUIや撮像装置10によって撮像された画像などを表示する表示装置(表示部)103と、を備えている。図6Bに示すように、撮像装置10は、標本支持部(ステージ)2と、照明ユニット(照明部〉3と、検出ユニット(撮像ユニット)4と、ファントム5が配置されたスケール6と、制御装置101と通信可能な制御部7と、照明ユニット3、検出ユニット4、スケール6および制御部7などを収容する収容部8と、を備えている。制御部7は、例えば、制御装置101からの指示コマンドによって動作する。例えば、ユーザ(オペレータ)によって入力装置102から入力された指示コマンドは制御装置101で処理され、制御部7に送信される。また、制御装置101は、撮像動作に係る各種プログラムや撮像装置10の調整処理を実行するプログラムを制御装置101内のメモリから読み込み、当該プログラムに従って制御部7に各動作対象(例えば、照明ユニット3の赤外光源部11や可視光源部13、第1撮像部21や第2撮像部22など)を動作させるように指示する。さらに、制御装置101は、上述の各ファントム5(調整用ファントム)に含まれるCNT濃度および各ファントム5の厚さ、ならびに各スケール6における所定波長に対する各ファントム5の吸光度もしくは反射率等の物理量のデータ(光学特性値)を予め測定し記憶装置32(例、内蔵メモリ)に予め格納している。特定の波長(例、第1波長λ、第2波長λなど)を使用してサンプルの撮像を行う場合において撮像装置10を調整する際には、例えば、スケールの指定された特定の列(例、第1波長λ、第2波長λなど)から輝度値を得て、該特定の列における各スポットがそれぞれ適切な異なる色調(階調)となるように光源の光量などの撮影条件を変更する。また、オペレータが、入力装置102を用いて、スケール6内の特定の列で各スポットがそれぞれ異なる階調(または色調)となるファントム5を入力装置102または表示装置103を介して指定する。そして、制御装置101は、調整処理で用いる、指定されたファントム5の上記データを記憶装置32(例、内蔵メモリ)から取得し、制御部7に送信する。
標本支持部2は、被写体P(以下、「生体組織」または「サンプル」ともいう)を含む標本を支持する。標本支持部2は、例えば、矩形板状の部材である。標本支持部2は、例えば、その上面(載置面)が水平方向とほぼ平行に配置され、この上面(載置面)に被写体Pを載置可能である。また、例えば、撮像装置10の調整を行う場合には、ファントム5を収容したスケール6を標本支持部2の載置面上に載置することができる(図4A,B)。被写体Pは、例えば人間の組織であるが、人間以外の生物(例、動物、植物)の組織でもよい。被写体Pは、生物から切り取った状態の組織でもよいし、生物に付随した状態の組織でもよい。また、組織BTは、生存している生物(生体)の組織(生体組織)でもよいし、死亡後の生物(死体)の組織でもよい。組織BTは、生物から摘出した物体でもよい。被写体Pは、水および/または脂質を含む組織を含んでもよいし、生物のいずれの器官(臓器)を含んでもよく、血管や皮膚を含んでいてもよいし、皮膚よりも内側の内臓などを含んでもよい。また、被写体Pは、光を受けて励起により光を発する物質(例えば、蛍光物質、りん光物質)を生物の組織に付与したものであってもよい。被写体Pは、ホルマリン等の組織固定液を用いて固定されていてもよい。
照明ユニット3は、例えば、標本支持部2の上方に配置され、赤外光(以下、「近赤外光」をも含む概念である)を被写体Pやファントム5に照射する。照明ユニット3は、例えば撮像ユニット4に取り付けられる。照明ユニット3は、赤外光源部11と、保持部材12と、可視光源部13と、光源移動部14とを備える。赤外光源部11は、少なくとも赤外光(例、第1波長の赤外光、第2波長の赤外光など)を射出(放射)する。保持部材12は、赤外光源部11を保持する。保持部材12は、例えば板状の部材であり、その下面側に赤外光源部11を保持する。光源移動部14は、被写体Pやファントム5(またはスケール6)に対する赤外光の照射角度を変化させる。赤外光源部11から射出された赤外光は、例えば均一な光とされ(例えば、図示しない拡散部材によって拡散光とされて均一化される)組織BTやファントム5を含むスケール6に照射される。このように、照明ユニット3は、組織BTやスケール6に単一の狭波長帯の赤外光または所定の波長帯域の赤外光を照射可能である。また、例えば、照明ユニット3は、無影灯のような無影照明を備えるようにしてもよい。
本実施形態において、照明ユニット3は、可視光を射出し、被写体Pやスケール6に当該可視光を照射する可視光源部13を備える構成してもよい。この場合、可視光源部13は、保持部材12の下面側に保持される。光源移動部14は、被写体Pやスケール6に対する可視光の照射角度(例、照射方向)を変化させることもできる。可視光源部13からの可視光は、例えば、均一な光とされ(図示しない拡散部材によって拡散光とされて均一化される)被写体Pやファントム5を含むスケール6に照射される。
また、検出ユニットとしての撮像ユニット4は、検出部(受光センサ)としての第1撮像部21と、第2撮像部22とを備える。第1撮像部21は、例えば赤外カメラであり、赤外光の照射により被写体Pやファントム5を含むスケール6を撮像する。第1撮像部21は、赤外光の照射により被写体Pやファントム5から放射される光(放射される光としては、例えば、反射光、散乱光、透過光、反射散乱光などが挙げられる)を検出する。第1撮像部21は、撮像光学系(検出光学系)23および撮像素子(受光素子)24を備える。撮像光学系23は、例えばAF機構(オートフォーカス機構)を有し、被写体Pやファントム5の像を形成する。第1撮像部21の光軸21aは、撮像光学系23の光軸と同軸である。
撮像素子24は、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどの二次元イメージセンサを含む。撮像素子24として、例えば、二次元的に配列された複数の画素を有し、各画素にフォトダイオードなどの光検出器が配置された構造を採用することが可能である。撮像素子24は、例えば、光検出器の材料にInGaAs(インジウムガリウムヒ素)を用いたものであり、赤外光源部11から射出される赤外光の波長帯に感度を有する。第1撮像部21の検出範囲A1は、標本支持部2上で第1撮像部21が撮像可能な撮像領域、標本支持部2上の第1撮像部21の視野領域である。そして、第1撮像部21は、撮像結果(検出結果)として撮像画像のデータを生成し、撮像画像のデータを制御部7に供給する。
第2撮像部22は、例えば可視カメラであり、可視光の照射により被写体Pやファントム5を含むスケール6を撮像する。第2撮像部22は、例えば、可視光源部13からの可視光のうち被写体Pやファントム5の表面で反射散乱した光を検出する。第2撮像部22は、撮像光学系(図示せず)および撮像素子(図示せず)を備える。撮像光学系は、例えばAF機構(オートフォーカス機構)を有し、被写体Pやファントム5の像を形成する。第2撮像部22の撮像素子は、例えば光検出器の材料にSiを用いた二次元イメージセンサであり、可視光源部13から射出される可視光の波長帯に感度を有する。そして、第2撮像部22は、撮像結果(検出結果)として撮像画像のデータを生成し、撮像画像のデータを制御部7に供給する。なお、撮像装置10は、第2撮像部22を備えなくてもよい。第2撮像部22は、撮像装置10の外部の装置に含まれていてもよい。また、撮像装置10は、サイズ変更部31を備えなくてもよい。撮像装置10は、例えば撮像光学系23としてズーム機構(例えば、ズームレンズ)を備えてもよい。
撮像システム1は、撮像ユニット4(例、赤外領域の波長の光に感度を有する赤外カメラと可視領域の波長の光に感度を有する可視カメラとを含む)、照明ユニット3(例、赤外領域の複数の波長の光や可視光を発光する)、制御装置101(例、赤外カメラによる撮像と照明ユニットによる発光とを制御する)および表示装置103(いわゆるデスプレイ)を備えることができる。
上記照明ユニット3は、例えば、波長700nm以上3000nm以下、波長800nm以上2000nm以下、波長800nm以上2500nm以下、波長800nm以上3000nm以下、波長950nm以上3000nm以下、波長900nm以上2000nm以下、波長1100nm以上2000nm以下、波長1050nm以上1650nm以下、1000nm以上3000nm以下、および1000nm以上1800nm以下の波長帯域のうち所定波長の光を発するものがよい。
上記照明ユニット3はまた、水と脂質との分光特性に基づく赤外領域の波長を有する赤外光を発することができる。
また、上記制御装置101は、演算処理装置、記憶装置32の他に、光源移動部14および画像処理部31を含む。
上記制御装置101は、照明ユニット3から異なる波長の光を上記スケールに対して順次または同時に照射させる光源移動部14を有することができる。
上記制御装置101は、光源移動部14による発光波長の切り替えと、赤外カメラによる撮像とを同期させる制御を行うことができる。
上記制御装置101は、画像処理部31(赤外カメラによって撮像された赤外画像を画像処理する)を含むことができる。
上記表示装置103に上記スケール(スケールの画像)が表示される。例えば、上記画像処理部31からの指令で作動する表示装置103は、例えば、被写体P(例、生体組織)の画像(可視画像または赤外画像)と一緒に上記スケールを表示することができる。
上記画像処理部31は、赤外カメラによって撮像した複数の画像を合成する画像処理部を有することができる。
上記赤外カメラは、照明ユニット3により照明された被写体Pからの反射光による像または被写体Pを透過した光の像を検出する。
上記撮像システム1は、上記赤外カメラおよび照明ユニット3を、標本支持部2上のスケールの各ファントムに順番に規則的に照射しかつ撮像するために移動させる駆動装置を備えることができる。
上記表示装置103は、サーバー105のデータベース202から制御部201を介して撮像部22のカメラの最適設定および/または光源の最適設定を満たす適切なスケールとグレースケールの範囲R(図8)を選択し表示させることができる。グレースケールの範囲Rは、観察対象に適したスケール(例、病変部の吸光度に対応したスケール)として使うことができる。
通信部104からネットワークを介して接続されるサーバー105は、制御部201、データベース(DB)202およびディスプレイ203を有しており、DBにはスケール画像付データが保存されている。これにより、遠隔での病理診断が可能になる。また、上記表示装置103は、手術室の床または天井に設置され、ユーザ(例、医師やオペレータ)が視認可能な位置に画面の角度を調節可能である(図9)。撮像システムは可視画像用ディスプレイをさらに備えてもよく、該ディスプレイは、手術室の床または天井に設置され、ユーザ(例、医師やオペレータ)が視認可能な位置に画面の角度を調節可能である。
5.撮像装置(撮像システム)の調整方法
さらに別の実施形態によれば、上記のスケール6を用いて、機器設定として撮像装置の撮像部(21、22)の設定(例、感度、絞りなど)および/または光源(可視光源部13、赤外光源部11)の設定(例、波長、強度など)を調整することを含む、撮像装置の調整方法が提供される。
<出荷前の調整例>
医療現場で使用される撮像装置の光源部の照明の波長および強度範囲は、赤外光によって腫瘍などの患部を可視化できる臨床研究の成果として、予め分かっている場合、製造現場では、入力部を介して照明設定(例、光の波長、強度、絞りなど)を変えたときに、設計者が意図した通りに、照明光の波長と強度とが切り替わるかどうかを確認するために、医療現場で使用される照明光の波長と強度範囲とをカバーする上記のスケール6(例、特定の波長に光の吸収ピークを有するファントムと該ファントムの希釈系列とを備えるスケール)を撮影する。スケールの写り方(スケールの撮像画像、該画像の明るさや画素ごとの輝度値、該輝度値の組み合わせパターン、画像の視野など)から、検査対象の撮像装置が、製品としての仕様を満たしているか否か(例、輝度値が仕様値や想定値と同じか否か)を判断して評価する(例、図13、図15、図16)。
<出荷後の調整例>
医療現場での調整例(設定、選定を含む)を以下に記載する。
(例1)
組織や臓器のサンプル等の被写体を撮像装置を用いた撮影によって、上記スケール(各ファントム)を被写体と関連づけることができる(例、図14)。具体的には、疾患Aを罹患した患者等の臓器のサンプルの撮影時に、臓器の近くに上記スケールを置いて、一回の撮影で同一画像内に両者(臓器・スケール)が写り込むように撮影を行う。この臓器のサンプルは、事前にMRI(磁気共鳴診断装置)、PET(ポジトロン断層装置)やCT(X線コンピュータ断層撮影装置)等の医療機器(画像診断装置)で撮影されていて、MRI等の画像データ(診断画像)から、疾患部が特定されている。そのため、医師などのユーザは、近赤外照明(赤外光)の波長選択および強度調整によって、疾患部が強調される条件(例、グレースケールの範囲Rと吸光度範囲)を見出すことができる。このとき、ユーザは、疾患部と近いコントラストで撮影されるスケールを、疾患Aのファントムに設定する。
(例2)
患者を対象として、疾患部を強調するために撮影を行う場合、ユーザは、対象疾患(例、疾患A)のファントムを、観察対象とする臓器の近くに配置し、用いるファントムが強調されるように、近赤外照明の波長選択および強度調整を実施する(例、図15、図16)。そして、ユーザは、臓器内にあって、ファントムと同様に強調される箇所(例、赤外光の吸収によって黒色になる箇所)を、疾患部として特定して認識する。
(例3)
単純に、目視観察が難しい、近赤外光によって照明されていることを確認したい場合には、特定の波長のみに応答するスケールを、複数用意して、撮影する。照明波長の切り替えによって、撮像画像上で強調されるスケールが切り替わることによって、今、どの波長の光によって照明されているか(装置がどの波長の赤外光を照射しているのか)を目視観察によって確認することができる(例、図13)。
また、本実施形態における撮像システムは、上記した撮像装置に加えて、上記のMRIなどの医療機器を備える構成でもよい。
以下の実施例により実施形態をさらに具体的に説明するが、その技術的範囲は、それらの実施例に限定されないものとする。
[実施例1]
<スケールの作製>
カイラリティの異なる4種のCNT材料として、図10に示す吸収特性を有する4種のCNT(C1、C2、C3およびC4)すなわち、C1:単層カーボンナノチューブSWeNT(R)SG65(型番704148、吸収ピーク966nm、SIGMA−ALDRICH製)、C2:単層カーボンナノチューブSWeNT(R)SG76(型番704121、吸収ピーク1153nm、SIGMA−ALDRICH製)、C3:KH Single−Walled Carbon Nanotubes, ED(吸収ピーク1588nm、KH CHEMICALS Co., LTD.製)、C4は、単層カーボンナノチューブSO(型番SWNT SO、吸収ピーク1821nm、(株)名城ナノカーボン(日本)製)を使用した。これらの材料を上記の精製工程にかける場合には、さらにピークの半値幅を小さくすることができる。本実施例では、照明部3(この場合、赤外光源部11)の光強度を調整し透過率を上げることによって各材料のピークのみを分別することが可能であった。また、各材料のピーク部分が黒つぶれになるように照明部3(この場合、赤外光源部11)の照明強度を調整した。
スケールは、次のように作製した(図11)。なお、図11は、各工程1から4のフローチャートを模式的に示した図である。
(工程1)
フッ素系樹脂(CYTOP(R)(AGC旭硝子(日本)製))10mlに上記の各CNT粉末1mg〜10mgを添加した(CNT濃度0.1mg/ml〜1mg/ml)。この樹脂は、近赤外領域(800nm〜2000nm)で際立った光吸収がなく、かつ屈折率が1.5以下である。
(工程2)
樹脂にCNT粉末を練りこみ、CNTを一様に分散した。
(工程3)
樹脂を用いて希釈系列によってCNT含有量の異なる溶液を作製した。
(工程4)
工程3の溶液(例、50μl〜500μlの範囲内の一定量100μl)をガラス基板9aに塗布し、直径(例、5mm〜10mmの範囲内の直径)10mmとなるように形成し、ファントム5を作製した。具体的には、工程3の溶液をレジストパターンが形成されたガラス基板9aに滴下し、滴下した溶液をスピンコーターで膜厚(例、0.1μm〜10μmの範囲内の一定の厚さ)が均一になるようにする。その後、レジストを剥離することによって、目的の形状のファントムをガラス基板に形成する。
(工程5)
ファントム5をオーブンを用いた加熱により硬化処理したのち、図12に示すようにガラス基板9aを光反射層9bに重ね合わせ、CNT濃度が異なるファントム5を一定間隔で配置したスケールを得た。
もしCNT濃度を一定にし、ファントムの厚さを順次増加させるときには、工程4で作製したファントム5の上にさらに同じファントム(樹脂膜)を重ね塗りすることによって、厚みの異なるファントムを作製することができる。
上記の方法によって作製されたスケールの構造断面図を図12に示した。基板は、近赤外領域の光透過性が高く、通常90%以上または95%以上の光透過性を有する材料である。また、光反射層は、近赤外領域の光反射率が高く、通常90%以上または95%以上の光反射率を有する材料である。本実施例では、光反射層材料として、スペクトラロン(ラズスフェア製)を使用した。
場合により、ガラス基板を使用しないで、ファントム5を光反射層に直接塗布もしくは接着してもよい。
[実施例2]
<スケールの使用例1>
単純に、目視観察が難しい、近赤外光によって照明されていることを確認したい場合には、図13に示すような特定の波長のみに応答するスケールを、複数用意して、本実施形態の撮像装置1を用いて撮影する。照明波長の切り替えによって、強調されるスケールが切り替わることによって、今、どの波長の光によって照明されているかを目視観察によって確認することができる。
図13では、照明波長(a〜d)の切り替え(点灯もしくは消灯)によって強調されるスケールが切り替わるように設計されたCNTファントム5を含むスケール6を示す。このスケール6は、例えば医療用撮像装置における照明波長の設定・調整などに使用できる。
また、製造現場では、入力部を介して照明設定を変えたときに、装置の設計者が意図した通りに、照明の波長と強度が切り替わるかどうかを確認するために、医療現場で使用される照明の波長と強度範囲をカバーするスケールを撮影し、スケールの写り方(スケールの撮像画像、該画像の明るさや画素ごとの輝度値、該輝度値の組み合わせパターン、画像の視野など)から、検査対象の装置が、製品としての仕様を満たしているか否かを判断して評価することができる。
<スケールの使用例2>
図14に示すように、吸収ピーク波長(a〜d)の異なるCNTファントム5を含むスケール6と、モデルケースの被写体P(例、生体組織の疾患部)とを本実施形態の撮像装置を用いて同じ撮像視野内において同時に撮影し、画像データから近赤外照明の波長選択と強度調整とによって、被写体Pの撮影に適した範囲のファントムのグレースケールの範囲Rと吸光度範囲を決定することができる。
医療現場でスケールを使用する場合、例えば、ある疾患に罹患した患者等の臓器サンプルの撮影時に、ユーザが臓器の近くにスケール6を置いて、一回の撮影で同一画像内に両者(臓器・スケール)が写り込むように撮影を行い、近赤外照明の波長選択、強度調整によって、疾患部が強調される条件(例、グレースケールの範囲Rと吸光度範囲)を見出すことができる。
<スケールの使用例3>
図15に示すように、決定されたグレースケールの範囲Rに基づく、吸収ピーク波長(a〜d)の異なるCNTファントム5を含むスケール6を基準にして評価対象の被写体Pの撮影に適した照明の波長と強度を選択することが可能になる。そして、スケール6に基づいて評価対象の被写体Pの吸光度を評価することができる。
医療現場でスケールを使用する場合、例えば、患者を対象として、疾患部を強調するために撮影を行うとき、対象疾患に対応するスケール(ファントム)を、観察対象とする臓器の近くに配置し、ファントムが強調されるように(撮像画像上でファントムに濃淡が生じるように)、近赤外照明の波長選択、強度調整を実施し、ファントムと同様に強調される箇所を、疾患部として認識することができる。
あるいは、上記使用例1と同様に、製造現場でスケールを使用する場合、入力部を介して光源の照明設定を変えたときに、設計者が意図した通りに、照明の波長と強度が切り替わるかどうかを確認するために、医療現場で使用される照明の波長と強度範囲をカバーするスケールを撮影し、スケールの写り方(スケールの撮像画像、該画像の明るさや画素ごとの輝度値、該輝度値の組み合わせパターン、画像の視野など)から、検査対象の装置が、製品としての仕様を満たしているか否かを判断して評価することができる。
<スケールの使用例4>
図16に示すように、吸収ピーク波長(a〜d)の異なるCNTファントム5を含むスケール6を基準にして被写体P内の疾患部P1の撮影に適した照明の波長と強度を選択し、被写体P内でファントム5と同様に強調される箇所を疾患部として判定することができる。
医療現場でスケールを使用する場合、例えば、患者を対象として、疾患部を強調するために撮影を行う場合、対象疾患のファントムを、観察対象とする臓器の近くに配置し、ファントムが強調されるように、近赤外照明の波長選択、強度調整を実施し、ファントムと同様に強調される箇所を、疾患部として認識することができる。なお、図16において、被写体P2およびP3は、生体組織内の強調されない観察対象(上記疾患部とは異なる箇所)である。
あるいは、上記使用例1と同様に、製造現場でスケールを使用する場合、入力部を介して照明設定を変えたときに、設計者が意図した通りに、照明の波長と強度が切り替わるかどうかを確認するために、医療現場で使用される照明の波長と強度範囲をカバーするスケールを撮影し、スケールの写り方(スケールの撮像画像、該画像の明るさや画素ごとの輝度値、該輝度値の組み合わせパターン、画像の視野など)から、検査対象の装置が、製品としての仕様を満たしているか否かを判断して評価することができる。
なお、上記したスケールの使用例に限らず、本実施形態におけるスケール6は、互いに吸収ピークの異なる複数のファントム5を並列に配置させて用いることができるため、一回のスケール6の撮影によって同時に複数のファントムに対するグレースケールの範囲Rと吸光度範囲とを決定することに使える。これを利用して、本実施形態の撮像装置10(撮像システム1)は、サンプル中の組織ごと(例、腫瘍の種類(ステージの異なる腫瘍を含む)ごと、腫瘍とリンパ節、腫瘍と血管など)に異なるファントム(赤外光に対する吸収ピークが異なるファントム)の画像を制御部101によって生成し、観察対象に基づいた複数のファントムの画像を表示部103に表示させることができる(例、図13)。
上記のCNTファントム5を含むスケールは、近赤外光イメージング装置などの撮像装置の撮像部の光源の波長や強度の設定を簡易に調整するための、あるいは医療現場での撮像装置の撮像部(撮像ユニット4)の光源部(照明ユニット3)の調整のための、または、撮影対象となる生体組織や臓器等の疾患部や異常個所を判定して評価するためのスケール(物差し)として使用可能である。
1 撮像システム
2 標本支持部
3 照明ユニット
4 撮像ユニット(検出ユニット)
5 ファントム
6 スケール
7 制御部
8 収容部
9 部材
9a 基板
9b 光反射層
10 撮像装置
11 赤外光源部
12 保持部材
13 可視光源部
14 光源移動部
16 複数の光源
21 第1撮像部
22 第2撮像部
23 撮像光学系(検出光学系)
24 撮像素子(受光素子)
31 画像処理部
32 記憶装置
A1 検出範囲
P 被写体
C−F LED駆動信号
A トリガー信号
B 一画面(1フレーム)分の画像信号
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (26)

  1. カーボンナノチューブ(CNT)を含む複数のファントムと、
    前記ファントムが配置される部材と、を備え、
    前記カーボンナノチューブは、赤外領域における光吸収を有する、
    スケール。
  2. 前記複数のファントムは、互いに濃度が異なる前記カーボンナノチューブを含む、請求項1に記載のスケール。
  3. 前記複数のファントムは第1ファントムおよび第2ファントムを含み、
    前記第1ファントムと前記第2ファントムとは、互いに前記赤外領域におけるスペクトルが異なる前記カーボンナノチューブを含む、
    請求項1または請求項2に記載のスケール。
  4. 前記ファントムは、前記カーボンナノチューブを含む樹脂膜であり、構造白色を有する部材上に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスケール。
  5. 前記カーボンナノチューブが樹脂中に分散している、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスケール。
  6. 前記樹脂は前記赤外領域の光に対し透過特性を有する、請求項4または請求項5に記載のスケール。
  7. 前記部材が前記赤外領域で90%以上、95%以上または98%以上の反射率を有する、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のスケール。
  8. 前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブを含む、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のスケール。
  9. 前記スケールがグレースケールである、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のスケール。
  10. 前記複数のファントムにそれぞれ含まれる前記カーボンナノチューブは、互いにカイラリティの違いにより前記赤外光に対する吸収率の波長依存性を有する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のスケール。
  11. 前記複数のファントムは、前記カーボンナノチューブの濃度順に前記部材に配置されている、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のスケール。
  12. 前記複数のファントムは、段階的に異なる厚さを有する、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のスケール。
  13. 前記複数のファントムは、格子状またはマトリクス状に配置される、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のスケール。
  14. 撮像部の設定および/または光源の設定を調整するために使用される、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のスケール。
  15. 前記ファントムがパンチまたはスポットの形状である、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のスケール。
  16. 請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のスケールを撮像する撮像装置。
  17. 近赤外光イメージング装置である、請求項16に記載の撮像装置。
  18. 前記スケールが配置される支持部を備える、請求項16または請求項17の撮像装置。
  19. 請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のスケールの表示を含む撮像システム。
  20. 撮像ユニット、照明ユニット、制御装置および表示装置を備える、請求項19に記載の撮像システム。
  21. 前記照明ユニットが、波長700nm以上3000nm以下の波長帯域のうち所定波長の光を発する、請求項20に記載の撮像システム。
  22. 前記制御装置が光源移動部および画像処理部を含む、請求項20または請求項21に記載の撮像システム。
  23. 前記表示装置が、被写体の画像と一緒に前記スケールを表示する、請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の撮像システム。
  24. 請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のスケールを複数備える、キット。
  25. 請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のスケールまたは請求項24に記載のキットを用いて、撮像部の設定および/または光源の設定を調整することを含む、撮像装置の調整方法。
  26. 赤外光を前記スケールに照射することを含む、請求項25に記載の調整方法。
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