以下に、本発明の実施の形態にかかる加湿素子、加湿装置、空気調和機および換気装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる加湿装置1の構成図である。この加湿装置1には加湿素子2が組み込まれている。加湿素子2の通風風上側もしくは通風風下側に、加湿素子2へ室内の空気を送り込み、再び室内へ吹出すための送風機5が組み込まれている。図1においては、加湿素子2の通風風上側に送風機5が組み込まれた状態を示している。
加湿装置1は、加湿素子2と、水道設備といったの給水源に接続されて加湿素子2に加湿用の水を送水する給水管3と、加湿素子2で加湿されずに残った水を外部に排出する排水管4と、加湿素子2に空気流を通過させる送風機5と、を備える。また、加湿装置1は、送風機5および給水系の電磁弁である給水弁3aといった機器の操作などを行う制御装置6と、排水を受容し外部に排水するドレンパン7と、を備える。
図2は、実施の形態1にかかる加湿装置1が備える加湿素子2を拡大した図である。加湿素子2は、ドレンパン7上に一個または複数個が直接設置される。各加湿素子2の天部構造の両側の稜角部は、仕切壁と本体箱体の正面側内壁面とに装架されたガイドレール等により抜き差し可能に保持されている。なお、仕切壁、本体箱体の正面側内壁面およびガイドレールについては図示を省略する。加湿素子2には加湿用の水を供給したり、遮断したりする給水弁3aを備えた給水系がつながれており、ドレンパン7には排水管4が接続されている。
加湿素子2に加湿用の水を送水する給水系は、加湿素子2に給水する水の圧力と流量を調整する給水弁3aのほか、給水系への塵の侵入を防ぐストレーナおよび送水用の給水管3を含む水路として構成されている。給水源側との接続部を除く給水系の各接続部分は、全てドレンパン7内に集約されていることが好ましい。
図3は、実施の形態1における加湿素子2の斜視図である。図4は、実施の形態1における加湿素子2の分解斜視図である。図5は、実施の形態1における加湿素子2の正面図である。図6は、図5に示す加湿素子2のVI−VI線に沿った断面図である。加湿素子2は、互いの間に隙間を設けるように図4および図5において矢印Xで示す方向である第1の方向に沿って並べられた多数の平板状の加湿体20を備える。図6に示すように、加湿体20の上部には、拡散部材30が接触されている。拡散部材30は、第1の方向に沿って延びるように配置され、1つの拡散部材30に複数の加湿体20がまとめて接触する。
図6に示すように、加湿体20の上方には、加湿体20に供給するための水を蓄える貯水槽12、給水管3から水を貯水槽12へ注入する給水口11がある。また、加湿体20の下方には加湿体20から加湿されずに残った水を受けて排水するための排水部13、および排水口13aがある。加湿体20は、ケーシング10の内部に収納されて固定される。貯水槽12の詳細については後述する。
図3および図4に示すように、給水口11、排水部13は、ケーシング10に形成される。ケーシング10には、上部構造としての貯水槽12と下部構造としての排水部13とを接続する構造壁14が形成される。
ケーシング10は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、ポリスチレン(polystyrene:PS)樹脂、またはポリプロピレン(polypropylene:PP)樹脂を含む熱可塑性のプラスチックを材料として、射出成型といった成型法によって形成されている。ケーシング10は、2つの部品であるケーシング10aとケーシング10bとに分かれている。加湿体20を、ケーシング10a、ケーシング10bで挟み込み、ケーシング10aおよびケーシング10bの係合部15を合わせることにより、ケーシング10aとケーシング10bとが一体化する構造となっている。
ケーシング10aおよびケーシング10bにはそれぞれ、排水口13aとなる部分、および加湿体20へ被加湿空気を導入する開口部10cが設けられている。また、ケーシング10bには、貯水槽12へ水を供給するための給水口11が設けられている。ケーシング10の内側には、加湿体20を収納する収納空間が設けられている。
ケーシング10のうち加湿体20と接触する部分には、加湿体20の位置を規制するための位置決め用の突起10dが設けられている。加湿体20は含水時に軟化し、水の重さで変形するものもあるため、ケーシング10と接触する加湿体20の外周部分で加湿体20の位置を規制することによって、加湿体20間の流路の寸法を確保し、均一に空気が流れるようにすることができる。
これにより、加湿素子2の圧力損失の低下が抑えられ、加湿体20の全面が有効に加湿面として使用されるので、加湿体20が歪んだ場合に比べて加湿量が増加する効果が期待できる。
給水口11は、貯水槽12へ水を供給するため、加湿素子2における上方の位置であって、加湿体20より上方に設けられる。給水口11の形状は給水管3に合わせた形状とし、容易に抜けないように凸状の帯、いわゆるかえし構造を形成したり、ホースバンドで縛ったりしてもよい。給水口11は、加湿体20の上部から水を供給できる構造であれば位置等に制約はないが、給水管3と給水口11とのつなぎ目から水漏れが発生した場合を考慮すると、空気流の風上側に配置することが好ましい。このようにすることで、給水管3と給水口11とのつなぎ目から漏れた水は、気流に乗り、風下側、すなわち加湿素子2側へ導かれて加湿体20に吸収されるため、加湿素子2の風下側への水の飛散を少なくすることができる。
加湿量に対して給水量が過剰な場合、加湿されずに排水部13から流れてゆく量が多くなり、無駄な水量が増大するため、給水口11には、水量を絞るための機構を設けて、貯水槽12へ供給する水の水量を調整することが好ましい。水量を絞るための機構は、例えば図6で示すオリフィス部40である。水量調整の際には、加湿素子2の最大加湿量より多い水量を供給できるようにする必要がある。なお、オリフィス部40は、流量調整が可能であればよく、金属メッシュまたは多孔質材料を用いて水量を調整するものでも機能上問題ない。
図6に示すように、貯水槽12は、拡散部材30の上方に設けられる。貯水槽12の底面には拡散部材30へ水を滴下するための複数の注水孔12aが形成されている。貯水槽12と拡散部材30とは一体部品として組み合わされ、その一体部品がケーシング10aとケーシング10bとの間に挟まれて保持されている。また、貯水槽12内に貯水槽12の水位を検知する水位検知センサー8を設置してもよい。検知された水位をフィードバックして、図1に示す制御装置6によって給水弁3aの開閉を制御してもよい。
貯水槽12は、ABS樹脂、PS樹脂またはPP樹脂を含む熱可塑性のプラスチックを材料として、射出成型といった成型法によって形成されている。貯水槽12は、材料に樹脂材料を使用しているため、表面が平滑であれば水における接触角は大きく、概ね90度以上あり、表面は疎水性である。したがって、貯水槽12は、内表面には水が残りにくく、衛生性に優れている。なお、ここでは、疎水性は接触角が90度以上、親水性は接触角が40度以上90度未満、超親水性は接触角が40度未満とする。
拡散部材30は、多孔質の板材で形成される。貯水槽12から滴下した水を吸収し、加湿体20へ水を送るため、素材の表面は極力親水性が高いほうが、浸透性が良好になり通水できる流量が増加する。また、拡散部材30は、常に水に触れるため、水によって劣化しにくい材料で形成されることが好ましい。水によって劣化しにくい材料で形成された拡散部材30には、樹脂であるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate:PET)樹脂といったポリエステル、もしくはセルロースで作られた多孔質板、または、金属であるチタン、銅、ステンレスで作られた多孔質板が挙げられる。また、素材表面の親水度を増すため、拡散部材30に親水化処理を施してもよい。
加湿体20は、拡散部材30と同様に多孔質の板材で形成される。加湿体20の材料の好適な条件は、拡散部材30と同一であり、加湿体20の材料に拡散部材30と同一の素材を用いてもよい。ただし、拡散部材30より吸水性の良い素材を加湿体20に用いると、拡散部材30の内部に十分水が拡散する前に加湿体20が水を吸ってしまうため、各加湿体20への水の供給の均一度が落ちることがある。この場合は、拡散部材30の鉛直方向の寸法を大きくすることで対策できる。なお、加湿素子2全体の高さ方向に寸法の制約がある場合、拡散部材30の鉛直方向への寸法にも制約が加わるので、拡散部材30より吸水性が低い素材を加湿体20に使用して、拡散部材30の鉛直方向への寸法を小さくできるようにすることが好ましい。
加湿体20の表面には、凸部21が設けられている。凸部21によって、加湿体20同士の間隔の保持が図られる。凸部21は、加湿体20に冶具を押し当て、冶具を押し当てた部分を塑性変形させることで形成することができる。加湿体20上の凸部21の配列位置が異なる2種類の加湿体20を交互に配列することで、加湿体20の間隔を一定に保つ機能が得られる。なお、加湿体20は、第1の方向に沿って間隔が一定に保たれていればよく、一定間隔に加湿体20の板厚分の導水路が入った櫛を加湿体20に噛み合わせて間隔を保持したものでもよいし、波状に成形された加湿体20をハニカム状に積層することで間隔を保持する構造であってもよい。
拡散部材30の下端と加湿体20の上端とは、一部が接触して設置されている。拡散部材30と加湿体20とが接触していれば、加湿体20の毛細管力の作用により水が淀みなく加湿体20に流下する。拡散部材30と加湿体20との組み立て時のばらつき、および輸送中の振動の影響を加味し、拡散部材30の下端と加湿体20の上端とを互いに差込むようにして、拡散部材30と加湿体20とを連結してもよい。
なお、拡散部材30は、上方に位置する貯水槽12から滴下する水を、第1の方向に均等に拡散するため、すなわち第1の方向に並べて配置された複数の加湿体20に均一に水を供給するために設けられている。したがって、複数の加湿体20が一体化されて、複数の加湿体20同士の間で第1の方向に水を拡散できる場合には、加湿体20自体が拡散部材30と同様の水の拡散機能を有することになる。この場合には、拡散部材30を用いずに、貯水槽12から直接加湿体20に水を滴下させる構成であってもよい。
次に、貯水槽12の構造について詳しく説明する。図7は、図6に示す加湿素子2のVII−VII線に沿った断面図であって、貯水槽12を拡大した図である。貯水槽12の底面には複数の注水孔12aが形成されている。複数の注水孔12aは、同一平面状にあり、かつ、加湿装置1、および加湿素子2を水平に設置した場合に、全ての注水孔12aが水平に並ぶように形成されている。貯水槽12の底面12dには、注水孔12a部分から下方に伸びる筒状壁面12bが形成されている。筒状壁面12bの先端は、拡散部材30に接触する。拡散部材30の上面と貯水槽12の底面12dとの間には、筒状壁面12bの高さ分の空間が設けられている。
図8は、実施の形態1における貯水槽12の注水孔12a部分を拡大した図であって、貯水槽12を下方から見た図である。図9は実施の形態1における貯水槽12の周辺部の一例を示す断面図である。筒状壁面12bの先端部分は一部が切り欠かれており、切欠12cが形成されている。図10は、実施の形態1における貯水槽12の上面図である。図11は、実施の形態1における図10に示す貯水槽12の、図の右側に位置する連通流路120周辺を拡大した斜視図である。図10および図11に示すように、流入口121の一部には、導水路123が設けられている。なお、図11において破線で示す形状は、導水路123が設けられていない場合の流入口121の形状を表している。
図7に示すように、貯水槽12の内部には注水孔12aを避けた位置に、上下方向に向かって延びる、すなわち貯水槽12から拡散部材30に向かって延びる筒状の導水管111が設けられることによって、連通流路120が形成されている。すなわち、導水管111の内部が、連通流路120とされている。連通流路120は、貯水部110から溢れた水50を、拡散部材30を介して加湿体20に誘導するための流路である。したがって、貯水槽12は、注水孔12aおよび筒状壁面12bを介して拡散部材30に供給するための水50を貯留する貯水部110と、貯水部110から溢れた水を拡散部材30に誘導するための流路であって貯水部110に連通した連通流路120と、を備える。
実施の形態1においては、導水管111の形状は角筒形状とされている。貯水部110と、連通流路120とは、仕切壁12fによって仕切られている。仕切壁12fは、上面視において、貯水槽12の外壁12eで囲まれた長方形状の領域の内部において、貯水槽12の外壁12eの内面に接続してU字状に設けられている。すなわち、貯水部110は、貯水槽12の外壁12eと仕切壁12fとに囲まれた領域であって、上面視において四角形状を呈する。したがって、導水管111は、貯水槽12の長方形状における短辺を構成する外壁12eと、仕切壁12fとによって構成されている。また、仕切壁12fの上面は、加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合に、水平となるように形成されている。
図7に示すように、連通流路120には、貯水部110から連通流路120に水が流入する入口である流入口121と、連通流路120の出口である流出口122と、が形成されている。本実施の形態1では、導水管111の下端が貯水槽12の底面を貫通する流出口122となっている。
流入口121は、貯水槽12の貯水部110から溢れる水が連通流路120に導入されるよう、貯水部110の上端、すなわち外壁12eの上端よりも低い位置に形成されている。すなわち、本実施の形態1では、導水管111の上端が、貯水部110の外壁の上端よりも低い位置になっており、上端側の開口が流入口121となる。なお、導水管111の上端が貯水部110の外壁の上端よりも高い場合には、貯水部110の外壁よりも低い位置に開口を設けて流入口とすればよい。
貯水部110内の水は、流入口121の最下部を乗り越えた場合に初めて連通流路120の中を流れる。図7における矢印は、貯水部110から連通流路120に水が流入する方向を示している。貯水部110から水が溢れるまでは連通流路120に水が流れないよう、流入口121および仕切壁の上面123aは、注水孔12aの上端よりも高い位置、且つ、貯水槽12が水平に設置された状態で、貯水部110内に規定量の水が供給されたときに、注水孔12aの滴下流量と貯水部110への供給流量が平衡して釣り合う水位よりも上方に設けられている。なお、滴下流量と供給流量が平衡して釣り合う水位については後述する。
以下、図11に示した点a、点b、点c、点d、点e、点f、点g、点hを参照して導水路123の形状について詳細に説明する。導水路123は、導水管111の上面の貯水部110側の角部に設けられている。導水路123は、点b、点d、点e、点fをつないで構成される面と、点c、点d、点e、点gをつないで構成される面と、によって構成された、V字型の溝である。すなわち、点b、点dおよび点eは、同一平面上に位置する。また、点c、点dおよび点eは、同一平面上に位置する。そして、点aと点bとの間の距離および、点aと点cとの間の距離は、等しい。
導水路123のV字型の溝において、貯水槽12の内部側の底、すなわち貯水部110側の底である点dは、外壁12eおよび仕切壁12fの高さ方向において、点aの下方に位置する。すなわち、加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合に、導水路123のV字型の溝において、点dは、加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合に、点aの鉛直下方に位置する。
また、導水路123のV字型の溝において、連通流路120側の底である点eは、外壁12eおよび仕切壁12fの高さ方向において、点dよりも低い位置にある。すなわち、加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合に、導水路123のV字型の溝において、点eは、点dよりも低い位置にある。
したがって、本実施の形態1では、導水管111における、流入口121の最下端部に隣接する位置に、貯水部110側から導水管111の内部側にわたって溝状の導水路123が形成されている。そして、導水路123のV字型の溝は、点dから点eに向かうにつれて下方に傾斜している。すなわち、導水路123のV字型の溝は、貯水部110側から連通流路120側に向かって下方に傾斜している。導水路123のV字型の溝の、点dから点eに向かう傾斜の角度としては、水平面に対し45度以上傾斜させることが好ましい。
このように構成された導水路123を導水管111に設けることで、貯水部110から溢れた水の流量を時間的に一定に保ち、連通流路120に導くことができる。導水路123の効果の詳細については後述する。ここで、以降の説明のため、点aと点bとの間の距離を導水路幅Hと呼び、点aと点dとの間の距離を導水路深さDと呼ぶこととする。
図11において、流入口121は水平方向に対し、貯水槽12内の貯水される空間側、すなわち貯水部110側に張り出した凸形状の角部を2箇所有しており、この角部に導水路123を設けている。すなわち、仕切壁12fは凸形状の角部を2箇所有しており、2箇所の角部は、図11における点aおよび点hである。このように角部に導水路123を設けることにより、貯水部110から溢れようして流入口121を囲む水が、必ず導水路123を通るようにされている。これは、貯水部110から溢れようして流入口121を囲む水が、表面張力によって表面積を最小化しようとして角部を乗りこえようとすることを利用している。これにより、貯水部110から溢れる水が導水路123以外の経路を通ることにより、導水路123の効果が失われることを防いでいる。
なお、導水路123の導水路深さDが十分深ければ、導水路123を設ける位置によらず、導水路123を通り連通流路120に水が流れるため、必ずしも角部に導水路123を設ける必要はない。ただし、流入口121の角部に導水路123を設けることで、導水路深さDを浅くすることができ、貯水部110に貯められる水位の上限を高くできる。
導水路幅Hは、貯水部110から水が溢れる直前まで貯水部110に水を貯めた状態において、仕切壁12fの縁から表面張力によって上方に盛り上がった水の凸型のメニスカスの水面の高さMに対し、以下の式(1)の関係が成り立つことが好ましい。
H>M ・・・(1)
このように導水路幅Hを設定することで、導水路幅Hが、表面張力により形成される上方に盛り上がった水の凸型のメニスカスの曲率半径よりも大きくなり、導水路123の中央部分は水が溢れることのできる溝として、機能を果たすことができる。なお、貯水部110から溢れる水のメニスカスの水面の高さMに関しては後述する。
次に、加湿装置1または加湿素子2が傾斜して設置された場合について説明する。例えば、天井埋め込み型の加湿装置においては、天井に埋め込まれたアンカーボルトに金具を用いて加湿装置1を設置する際に、水平から若干傾いて設置される場合がある。また、加湿素子2を点検するなどして取り外した場合、再び設置する際に加湿素子2が若干傾いて取り付けられる場合がある。したがって、加湿装置1または加湿素子2が傾斜して設置された場合であっても、貯水槽12の貯水部110から溢れる水を、導水路123を通過させ、流量を時間的に一定に保つことが好ましい。
貯水槽12においては、連通流路120を複数箇所に設けることが好ましい。そして、1本の連通流路120に対して、導水路123を1箇所以上設けることが好ましい。1本の連通流路120に対して導水路123を1箇所以上設けることで、加湿装置1または加湿素子2が傾斜して設置された場合であっても、貯水槽12の貯水部110から溢れる水が導水路123以外の経路を通過することを防止できる。このように導水路123と連通流路120とを対にして設けることで、または1本の連通流路120に対して導水路123を2箇所以上設けることで、貯水槽12が傾斜している場合、貯水部110から溢れる水を、最も低い位置に位置する連通流路120の導水路123を通し、連通流路120へと流すことができる。また、1本の連通流路120に対して複数個の導水路123を設けることで、1本の連通流路120のなかで、最も低い位置に位置する導水路123を通して、貯水部110から連通流路120へ水を流すことができる。
次に、給水口11から加湿体20に至る一連の水の流れについて説明する。給水口11には、給水弁3aで制御された一定流量の水が供給される。給水口11から流入した水は、一定流量のまま、貯水槽12に流入する。図9に示すように、貯水部110に流入した水50は、貯水部110の底面の複数の注水孔12aから滴下し、切欠12cを有する筒状壁面12bを伝わって拡散部材30に吸水される。拡散部材30に吸水された水は、拡散部材30の内部に広がりながら流下し、拡散部材30の下端に到達する。
拡散部材30の下端と加湿体20の上端とは接触している。このため、拡散部材30の内部に流下した水は、加湿体20の毛細管力の作用で拡散部材30の下端と加湿体20の上端との接触部から加湿体20に伝わり流下する。加湿体20に流下した水は、加湿体20の内部に広がりながら加湿体20全体に浸透して流下し、加湿体20の下端から滴下する。この際、加湿体20の間に通風される空気によって、加湿体20の表面から水分が奪われて、加湿された空気として加湿素子2から排気される。加湿体20で蒸発しなかった過剰な水は、下部の排水部13からケーシング10の外部に流れ出ていく。このため、加湿体20の下端から滴下して排水される水の流量は、給水口11から供給される水量から、加湿空気として加湿体20から奪われる水量を差し引いた水量となる。
この一連の流れにおいて、貯水槽12の貯水部110に貯水される水の水位と注水孔12aとの関係について説明する。注水孔12aには、通水される際に流動抵抗が存在する。ある一つの注水孔12aの入口にかかる水頭圧Piと、この注水孔12aを通過する水の流量Qiと、の間には以下の式(2)の関係がある。水頭圧Piは、注水孔12aの入口から水位の高さまでのヘッド差である。
Qi=Ci×Ai×√(2×Pi/ρ) ・・・(2)
上記式(2)において、Ciは注水孔12aの形状等による係数、Aiは注水孔断面積、ρは水の密度、iは複数の注水孔がある場合の番号を表す添え字である。
簡単には、注水孔12aの形状が一定であれば、貯水槽12の貯水部110に貯水される水の水位が高いほど、注水孔12aの入口にかかる水頭圧Piが増加し、その平方根に比例して注水孔12aを流れる流量Qiが増加する。貯水部110にn個の注水孔12aが設けられている場合は、注水孔12aから滴下する水の流量の合計Qoutは以下の式(3)によって表される。
Qout=Q1+Q2+Q3+・・・Qi+・・・+Qn ・・・(3)
すなわち、給水口11から貯水槽12の貯水部110に供給される給水流量Qinを全て注水孔12aから滴下できるように、注水孔12aの形状等による係数C、および注水孔断面積A、および注水孔12aの入口にかかる水頭圧Pi、および注水孔12aの個数を決定することにより、貯水槽12の貯水部110に供給した水を貯水部110から溢れさせることなく、注水孔12aから拡散部材30へと滴下させることができる。また言い換えると、注水孔12aの滴下流量と貯水部110への供給流量が釣り合う水位を、貯水槽12の貯水部110が最大貯水できる水位よりも小さくすることができる。
加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合に、全ての注水孔12aは、水平に並ぶよう形成されている。この状態を、貯水槽12が水平に配置された状態ともいう。加湿装置1および加湿素子2が水平に設置されている場合、貯水槽12の貯水部110内の水位は注水孔12aと平行になる。そして、上記式(2)における注水孔12aの入口にかかる水頭圧Piは、全ての注水孔12aで等しくなる。つまり、注水孔12aから滴下する水の流量、すなわち注水孔12aを通過する水の流量Qiは全ての注水孔12aで均一となり、拡散部材30および加湿体20を流れる供給水を第1の方向に対して均一に流すことができる。
次に、夜間など加湿が不要になった場合の加湿運転の停止について説明する。例えば夜間など居室が無人となり加湿が不要な場合には、加湿装置1の加湿運転が停止される場合がある。ここで、加湿素子2を湿潤状態で長時間放置することは衛生上、好ましくない。空気中の細菌またはカビが加湿素子2の湿潤部分に付着して増殖した場合、加湿運転を再開した際に加湿素子2の表面を通過する通風によって細菌またはカビ胞子が搬送されて、細菌またはカビ胞子が居室内に放出される懸念がある。このような細菌またはカビ類の増殖の抑制方法としては、できるだけ早く加湿素子2を乾燥させることが有効である。
このような観点から、加湿装置1を停止する際は、制御装置6において、給水弁3aを閉止させた後に送風機5を運転させて加湿素子2を乾燥させる制御を行うことが好ましい。ここで、加湿素子2の乾燥時間を短縮させるためには、貯水槽12内を早期に乾燥させる必要がある。しかしながら、貯水槽12は、凹形状を有するため、通風乾燥させにくい。そこで、給水弁3aが閉止された後は、貯水槽12内の水を素早く拡散部材30の方に流出させることが重要である。
図9に示す貯水槽12の貯水部110の内部の底面は、注水孔12a部分で最下位置となるように傾斜している。このため、給水弁3aが閉止された後は、注水孔12aの入口にかかる水頭圧Piによって貯水槽12の貯水部110内の水は、滴下を続ける。また、注水孔12aの入口にかかる水頭圧Piが限りなくゼロに近くなると、注水孔12aに接触させた拡散部材30の毛細管力によって、貯水部110内の水は、円滑に拡散部材30に吸収される。したがって、貯水槽12の貯水部110内の水は、拡散部材30を通して外部に流出し、貯水槽12内の早期乾燥を図ることができる。
このように、貯水槽12に上部が開放された容器を用いて、貯水部110の内部の底面における最下位置に注水孔12aを配置することで、加湿素子2を長期間使用しない場合の貯水槽12の内部の衛生性を確保することができる。また、貯水槽12を密閉容器で形成して水を滴下させる給水方式に比べて、貯水槽12を密閉するためのシール部材といった部品が不要な上、構造が簡素化でき、安価で長期信頼性の高い加湿素子2を提供することができる。
次に、貯水槽12の経年変化について説明する。給水中の供給水に含まれる硬度成分およびシリカ、鉄さび、ゴミといった蒸発残渣が経時的に注水孔12aに堆積した場合は、上記式(2)における注水孔断面積Aiが小さくなる。貯水槽12への給水流量が一定であれば、注水孔12aの入口にかかる水頭圧Piは大きくなる。すなわち、貯水槽12の貯水部110内の水の水位は上昇する。この場合、仕切壁12fの上端まで貯留された水は全て注水孔12aから滴下させることができるため、貯水部110はできるだけ深い容器であることが好ましい。すなわち、貯水槽12は、できるだけ深い容器であることが好ましい。しかしながら、貯水槽12およびケーシング10の寸法の制約から、許容できる水位上昇量、すなわち貯水部110および貯水槽12の深さには上限値が存在する。
注水孔12aに蒸発残渣またはゴミが侵入した場合、上述したように、貯水槽12の貯水部110内の水位は上昇する。流入口121は、貯水槽12の仕切壁12fよりも低い位置にあるため、貯水部110内の水位が上昇して貯水部110から水が溢れそうになると、貯水部110内の水は流入口121に流入する。流入口121に流入した水は、連通流路120を流れ、流出口122から拡散部材30に流下し、加湿体20に供給される。すなわち、連通流路120は、注水孔12aが水を通しにくくなった場合の補助流路として機能する。
貯水部110から水が溢れた場合に、連通流路120を流れる水について詳述する。図12は、実施の形態1における、図11に示す連通流路120に貯水部110から溢れた水が流れる様子を表す模式図である。流入口121にV字型の導水路123が設けられていることで流路断面が絞られると共に、傾斜して設けられた導水路123から連通流路120に水が流れることにより、水が連通流路120に沿って流れ、途中で途切れることなく連続的に流れる。
次に、上記の導水路123が設けられていない場合に連通流路120に流れ込む水について説明する。上述したように、図11において破線で示す形状が、導水路123が設けられていない場合の仕切壁12fおよび流入口121の形状を表している。また、図7に、導水路123が設けられていない場合において貯水部110から溢れた水が連通流路120内に至る挙動を併せて示す。図7において、水位線131は、加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合に、貯水槽12の貯水部110に流入口121と同じ面まで、すなわち仕切壁12fの上面12gと同じ面まで水50が溜まっている状態の水位線である。水位線132は、加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合に、貯水槽12の貯水部110内の水50が溢れて連通流路120に流れ出る直前において、表面張力によって上方に盛り上がった水50の凸型のメニスカスの形状を表している。
仕切壁12fおよび外壁12eの高さ方向における、すなわち加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合の鉛直方向における、水位線131と水位線132との差は、前述した凸型のメニスカスの水面の高さMである。凸型のメニスカスの水面の高さMは、貯水部110の内表面が親水性であれば低くなり、貯水部110の内表面が疎水性であれば高くなる。貯水槽12には樹脂材料を使用しており、表面は疎水性であるため、凸型のメニスカスの水面の高さMは、比較的高くなる。
ここで、加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合において、導水路123が設けられておらず、注水孔12aが全て閉塞した状態で貯水部110に一定流量の水が供給された場合を考える。貯水部110に供給された水は、水位線131の高さ位置まで貯まった後に、すぐに連通流路120へと流れるわけではない。貯水部110に供給された水は、水位が水位線132の高さ位置になるまで貯まった後に、連通流路120内に一気に流れ、水位線131の高さまで水位が減少し、その後、水位線132の位置まで徐々に貯まる、という挙動を繰り返す。すなわち、表面張力による限界高さまで仕切壁12fの上面よりも高く貯水部110に水が溜まる期間と、その後、貯水部110から溢れた水が連通流路120に一気に流れる期間と、が繰り返される。
また、水位線131の高さ位置まで貯まった水が連通流路120内に一気に流れる際、勢いの付いた水は、流入口121を越えるとすぐ落下して流れる。したがって、導水路123が設けられていない場合は、連通流路120内を流れる水は、流れる方向は一定であるが周期的にまたは不定期な変動を伴って量を変える流れ、すなわち断続的な脈流であり、加湿体20内を流れる流量は時間的に変動する。
また、貯水部110の内表面が疎水性であるため、高さ位置が水位線131から水位線132の間で貯水部110に貯まる水の量は、貯水部110の内表面が親水性である場合に比べて多く、一度に多量の水が加湿体20内に流れる。なお、本現象は、貯水槽12の貯水部110の内表面が疎水性である場合だけではなく、貯水部110の内表面が超親水性でない限りは、親水性であっても一度に多量の水が加湿体20内に流れることには変わりはない。
このように一度に多量の水が加湿体20内に断続的に流れる場合には、以下のような問題が生じる可能性がある。
すなわち、勢いの付いた大きな流量の水が瞬間的に加湿体20に供給されることで、加湿体20に供給されながらも加湿体20に吸収される前に排水される水の流量が増える。したがって、加湿体20の湿りが不十分となり、加湿性能が低下する。そして、時系列的に加湿体20への給水が偏るため、加湿体20に吸水される水が減り、加湿体20に連続的に給水される場合に比べて、加湿性能が低下する。
また、加湿体20で吸収できなかった水の水滴が、加湿素子2に送風される風に乗って飛散し、加湿装置1の外部に水漏れが発生する。
一方、本実施の形態1にかかる加湿装置1は、連通流路120の入口に上述した溝状の導水路123を備えることで、貯水部110から連通流路120に水が流れる流路の幅を制限することができ、一度に多量の水が連通流路120に流れないようにすることができる。
また、溝状の導水路123が貯水部110側から連通流路120側に向かって下方に傾斜しているため、導水路123を越えた水が重力の作用ですぐに落下することによって断続流が発生することを防止することができる。
また、本実施の形態1にかかる加湿装置1では、加湿装置1および加湿素子2を水平に設置した場合において、すなわち、外壁12eおよび仕切壁12fの高さ方向に対して垂直な垂直面方向において、外壁12eから貯水部110側に張り出した仕切壁12fによって連通流路120が貯水部110と区画されている。そして、導水路123は、仕切壁12fの上面において、上記の垂直面方向における角部に導水路123が設けられている。これにより、貯水部110側から連通流路120に流れ込もうとする水が、必ず導水路123を通過するようにできる。
すなわち、本実施の形態1にかかる加湿装置1は、連通流路120の入口に上述した溝状の導水路123を備えることで、仮に蒸発残渣または水中の不純物によって、注水孔12aの注水孔断面積が小さくなった場合または閉塞した場合でも、貯水槽12の貯水部110から溢れる水を、連続的に連通流路120に流すことが可能となる。したがって、貯水部110から溢れる水が断続的に加湿体20に供給されることによる加湿性能の低下および水の飛散の可能性を低減できる。
また、本実施の形態1にかかる加湿装置1は、加湿素子2に供給する水による洗い流し効果を利用して加湿体20の劣化を防止することができる。本実施の形態1にかかる加湿装置1は、滴下式の加湿装置であり、加湿される量よりも多い量の水を加湿体20に供給して加湿体20の表面を洗い流すことで長時間の使用にも耐えうるという長所を備え、加湿素子2に供給する水の洗い流し効果を利用して加湿素子20の劣化を防止することができる。
図13は、実施の形態1における加湿装置1の構造を有するサンプルAの加湿装置と、導水路123を備えないこと以外はサンプルAと同じ構成を有するサンプルBの加湿装置とを比較した場合の、連通流路120内の流量(g/min)と経過時間(sec)との関係を示す実験結果の一例を示す図である。図13では、貯水部110に5g/minの一定流量の水を供給した場合のサンプルAとサンプルBとにおける、連通流路120を流れる水の流量を比較した結果を示している。
図13より、サンプルBでは連通流路120を流れる水の流量が脈動しているのに対して、サンプルAでは連通流路120を流れる水の流量がほとんど一定となっていることが分かる。これにより、実施の形態1における加湿装置1では、貯水槽12の貯水部110から溢れる水を、連続的に連通流路120に流すことが可能となることが分かる。
上述したように、本実施の形態1にかかる加湿装置1は、加湿素子2に供給する水による洗い流し効果を利用して加湿体20の劣化を防止するとともに、加湿体20内を流れる水の流量を時間的に一定に保ち、加湿体20から発生する水の飛散を防止しつつ、安価で長期間安定した加湿性能を有する加湿装置を実現できる。
実施の形態2.
図14は、本発明の実施の形態2における加湿素子の流入口121の周辺の斜視図である。実施の形態2にかかる加湿素子は、連通流路120の形状が異なるほかは、実施の形態1にかかる加湿素子2と同様の構成を有するため、同様の構成である部分の説明は省略する。
実施の形態2にかかる加湿素子においては、導水管111が円筒形状を有し、導水路は、導水管111の上面における少なくとも1箇所に設けられている。すなわち、実施の形態2にかかる加湿素子においては、流入口121が円形であり、連通流路120が円柱状の流路からなる。これにより、貯水部110から流入口121を介して連通流路120に溢れようとする水は、円筒の上面において均一に盛り上がる。したがって、流入口121に1つの導水路123を設けておくだけで、確実に導水路123を通過させて貯水部110から連通流路120に水を流すことができる。また、導水路123は、仕切壁2fの上面、すなわち導水管111の上面における複数箇所に設けられてもよい。
上記のように構成された実施の形態2にかかる加湿素子は、上述した実施の形態1にかかる加湿素子2と同様の効果を有する。
実施の形態3.
図15は、本発明の実施の形態3における加湿素子の流入口121の周辺の斜視図である。実施の形態3にかかる加湿素子は、導水路123の形状が異なるほかは、実施の形態1にかかる加湿素子2と同様の構成を有するため、同様の構成である部分の説明は省略する。
実施の形態3にかかる加湿素子においては、導水路123がU字型の溝からなる。溝の底は、実施の形態1における導水路123を構成するV字型の溝の底を丸めた形状からなる。この場合も、導水路123をV字型の溝によって構成した場合と同様の効果が得られる。
上記のように構成された実施の形態2にかかる加湿素子は、上述した実施の形態1にかかる加湿素子2と同様の効果を有する。
なお、流入口121に設ける導水路123は流路断面を絞ることができ、且つ貯水部110側から連通流路120側に傾斜して設けられることにより水が連通流路120に沿って流れ、途中で途切れることなく連続的に流れる形状であればよい。したがって、導水路123の底の形状に関しては特に限定されない。すなわち、導水路123を構成する溝の形状は、V字型の溝またはU字型の溝に限定されない。
実施の形態4.
図16は、本発明の実施の形態4における加湿素子の流入口121の周辺を拡大した斜視図である。実施の形態4にかかる加湿素子は、流入口121の位置が異なるほかは、実施の形態1にかかる加湿素子2と同様の構成を有するため、同様の構成である部分の説明は省略する。
図16に示す流入口121は、仕切壁12fの側面に開口として設けられている。図16においては、円形状の流入口121の内側に見える流入口121の奥側の領域が貯水部110であり、円形状の流入口121の外側に見える流入口121の奥側の領域が連通流路120である。また、流入口121の底部には、導水路123が設けられている。すなわち、導水管111における流入口121の最下端部に隣接する位置に、貯水部110側から導水管111の内部側にわたって溝状の導水路123が形成されている。
このような構成にすることで、貯水槽12の上部に蓋を設けるなどして貯水槽12の上部の形状に制約がある場合でも、貯水部110から溢れる水の流量を時間的に一定に保ち、連通流路120に導くことができる。
実施の形態5.
図17は、本発明の実施の形態5における加湿素子の流入口121の周辺を拡大した斜視図である。実施の形態5にかかる加湿素子は、流入口121に追加のガイド部材141が追加されているほかは、実施の形態1にかかる加湿素子2と同様の構成を有するため、同様の構成である部分の説明は省略する。
実施の形態5における加湿素子では、材料削減のために、図17に示すように仕切壁12fの薄肉化を行っている。この場合は、仕切壁12fの薄肉化により仕切壁12fの厚みが薄くなっているため、導水路123の長さが短くなる。導水路123の長さは、仕切壁12fの厚み方向における導水路123の長さであり、V字型の溝の延在方向における長さである。
このため、実施の形態5における加湿素子では、導水路123機能を補充するために、ガイド部材141を追加して設けている。ガイド部材141は、導水路123の連通流路120側の端部から連通流路120側に向かって、すなわち導水路123から導水管111の内部側に向かって延在して設けられている。ガイド部材141の上面の下方への傾斜は、導水路123の傾斜よりも大きくされている。なお、ガイド部材141の上面の下方への傾斜は、貯水部110から導水路123に流れてきた水を連通流路120へ誘導できれば、導水路123の傾斜と同じであってもよく、導水路123の傾斜よりも小さくてもよい。
上記のように構成された実施の形態5にかかる加湿素子は、上述した実施の形態1にかかる加湿素子2と同様の効果を有する。
実施の形態5にかかる加湿素子は、貯水槽12を上述した構成にすることで、貯水槽12の材料の薄肉化によるコスト低減と、前述した加湿素子2の加湿性能の低下のリスクおよび水の飛散のリスクの低減と、を両立することができる。
また、上記実施の形態1から実施の形態5において説明した加湿装置1を、空気調和機または換気装置に設けることで、空気調和機または換気装置における加湿素子2からの水の飛散リスクが減る。これにより、空気調和機または換気装置の処理風量を増やすことができ、信頼性が高く処理風量の大きい空気調和機または換気装置を提供することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。