以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
〔第1の実施形態〕
本実施形態では、本発明の一実施形態にかかる冷蔵庫として、冷蔵室の扉にカメラおよび表示パネルを備えている冷蔵庫を例に挙げて説明する。但し、表示パネルを備えていない冷蔵庫も本発明の一態様である。
<冷蔵庫の全体構成>
図1には、本実施形態にかかる冷蔵庫1の外観構成を示す。冷蔵庫1は、上段に冷蔵室4、中段に冷凍室、および下段に野菜室(第2の冷蔵室)を備えている。
なお、冷蔵庫1における各貯蔵室の構成や配置は、上記のものに限定はされない。各貯蔵室の構成および配置は、冷蔵庫の容量、用途などに応じて適宜変更することができる。
また、上段の冷蔵室4には、左右に分割された観音開き(フレンチドア)式の冷蔵室扉11(右側の冷蔵室扉)及び12(左側の冷蔵室扉)が設けられている。本実施形態では、右側の冷蔵室扉11の方が左側の冷蔵室扉12よりも大きくなっている。中段の冷凍室には、引き出し式の冷凍室扉13が設けられている。下段の野菜室には、引き出し式の野菜室扉14が設けられている。
なお、冷蔵庫1における各扉の構成は、上記のものに限定はされない。各貯蔵室の扉は、各貯蔵室の構造、用途、位置などに応じて、例えば、観音開き方式、左右の何れかの端部から開閉する方式、左右両側から開閉可能な方式、引き出し方式などを適宜採用することができる。
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面(正面)とする。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。したがって、本明細書中において、「前面側」または「背面側」と規定するときは、任意の位置を基準として前面又は背面が設けられている側、あるいは、任意の位置から前面又は背面へ向かう方向のことを意味する。また、本明細書では、冷蔵庫1の前面から背面へ向かう方向および冷蔵庫1の背面から前面へ向かう方向を、前後方向と呼ぶ。また、本明細書では、冷蔵庫1の一方の側面から他方の側面へ向かう方向を、左右方向と呼ぶ。さらに、本明細書においては、冷蔵庫または冷蔵室扉の「右側」とは、冷蔵庫の正面から見て右側に当たる側のことを原則として意味し、冷蔵庫または冷蔵室扉の「左側」とは、冷蔵庫の正面から見て左側に当たる側のことを原則として意味する。
右側の冷蔵室扉(扉)11には、表示パネル50が設置されている。表示パネル50は、冷蔵室扉11の上下方向の中央部分に配置されている。表示パネル50は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成することができる。また、表示パネル50は、取り外し可能とすることもできる。この場合、取り外した表示パネル50は、タブレット端末として利用することができる。
表示パネル50には、冷蔵庫の運転情報、冷蔵庫の制御情報、庫内在庫情報、カレンダ情報、レシピ情報、伝言情報などを表示させることができる。また、表示パネル50は、後述する小型カメラ71で撮影された庫内の映像を表示させることもできる。また、表示パネル50がインターネット接続されている場合には、インターネットを介して得られる各種ホームページの情報を表示させることもできる。また、表示パネル50の表示面や縁部などにタッチセンサ等の入力デバイスを設けることで、表示パネル50から表示内容に沿った入力操作を行うこともできる。
<冷蔵室および冷蔵室扉の構成>
続いて、冷蔵室4の内部の構成、および、冷蔵室4に備えられた冷蔵室扉11のより具体的な構成について、図2から図6を参照しながら説明する。
図2には、冷蔵室扉11および12を開放した状態での冷蔵室4の内部を示す。図3および図4には、冷蔵室扉11の背面側(内側)の構成を示す。図5には、冷蔵室扉11を構成する正面部材(前面側部材)41の構成を示す。図6には、冷蔵室扉11を構成するドアバック(背面側部材)31の構成を示す。
冷蔵庫1は、断熱構造を有する断熱箱体2によってその外形が形成されている。そして、冷蔵庫1の内部は、断熱構造を有する仕切り壁によって、各貯蔵空間(冷蔵室4、冷凍室、及び野菜室など)に区画されている。
冷蔵室4は、貯蔵物を冷蔵保存する。図2に示すように、冷蔵室4内には、上から順に棚5a、5b、5c、および5dが並設されている。各棚5aから5dによって、冷蔵室4内は、上から順に、第1収容部4a、第2収容部4b、第3収容部4c、および第4収容部4dに区切られている。また、棚5dの下方には、正面から見て右側にチルド室6、中央上段にたまごケース7、中央下段に小物ケース8、左側に給水タンク9が設けられている。
冷蔵室4の前面には、断熱材を有し、冷蔵室の左右端でそれぞれ枢支される冷蔵室扉11および12が設けられている。冷蔵室扉11および12の裏側(背面側)には、牛乳パック、お茶のポット、ペットボトル、調味料のビン及びチューブなどを収納するための収納ケース(収納容器)61、62、63、64、65、66が配置されている。
また、冷蔵室扉11および12の裏側には、突出壁(突起部)32が形成されている。左側の冷蔵室扉12には、左右両側の端部近傍に、端部に沿って上下方向に延びる突出壁32がそれぞれ形成されている。すなわち、冷蔵室扉12には、各収納ケース64、65、および66の左右両端部を挟み込むようにして、2つの突出壁32が設けられている。
右側の冷蔵室扉11の裏側には、冷蔵室4に枢支されている側(すなわち、ヒンジ部22側)の端部近傍に、端部に沿って上下方向に延びる突出壁32が形成されている。また、冷蔵室扉11の裏側の開放端部側(扉が開けられる側)には、開放端部に沿って上下方向に延びる壁状のカメラ取付部材(取付部材)70が配置されている。
カメラ取付部材70には、小型カメラ(カメラ)71が備えられている。小型カメラ71は、冷蔵室4内を撮影するためのものである。そのため、小型カメラ71は、冷蔵室扉11の背面側(すなわち、ドアバック31)に設置されている。本実施形態では、4個の小型カメラが備えられているが、小型カメラ71の個数は、4個に限定されない。小型カメラ71の個数は、1個でもよいし、複数個でもよい。
後述するように、小型カメラ71が備えられているカメラ取付部材70は、冷蔵室扉11から取り外し可能に取り付けられている。これにより、カメラを備えていない従来の冷蔵庫扉の構造を大きく変更することなく、カメラ取付部材70を後付けすることで、冷蔵室内を撮影できるカメラを容易に冷蔵庫に設置することができる。
図3および図4には、冷蔵室扉11の背面側の構成を示す。冷蔵室扉11は、主な構成部材として、正面部材(前面側部材)41、ドアバック(背面側部材)31、断熱層(図示せず)、およびカメラ取付部材70などを備えている。
図5には、正面部材41の構成を示す。図5では、正面部材41の背面(裏面)側の構成を示す。図6には、ドアバック31の構成を示す。図6では、ドアバック31の正面側(正面部材41と対面する側)の構成を示す。
正面部材41は、冷蔵室扉11の正面側に位置し、冷蔵室扉11の正面を構成する。正面部材41には、表示パネル50を固定する表示パネル設置板42が設置されており(図5参照)、表示パネル設置板42に表示パネル50が着脱可能に取り付けられている。表示パネル50には、小型カメラ71で撮影された冷蔵室4内の映像を表示することができる。正面部材41の表面における表示パネル50設置箇所以外の部分には、ガラスパネルが嵌め込まれている。
なお、本発明の他の態様では、冷蔵室扉に小型カメラのみが備えられており、表示パネルは備えられていない構成も可能である。この場合には、小型カメラで撮影された庫内の映像データは、冷蔵庫内の送信部(図示せず)から、遠隔位置にあるタブレット端末などに送信される。これにより、小型カメラで撮影された庫内の映像をタブレット端末に表示させることができる。
ドアバック31は、正面部材41と対向配置され、冷蔵室扉11の背面側を構成する。ドアバック31は、例えば、樹脂製の板状部材で形成されている。ドアバック31には、複数の収納ケース61、62、および63が着脱可能に取り付けられている。各収納ケース61、62、および63は、冷蔵室扉11の背面を左右方向に延びるように配置されている。
また、冷蔵室扉11の背面側には、扉の外周に沿うように、突出壁(突起部)32が形成されている。突出壁32は、土手、フランジなどとも呼ばれる。突出壁32は、例えば、ドアバック31を形成している樹脂製の板状部材を部分的に突出させることによって成形することができる。突出壁32によって、冷蔵室4内の冷気が冷蔵室扉11の側面から漏洩したり、冷蔵室4内の冷気によって冷蔵室扉11の側縁部が結露したりすることを防止する。また、突出壁32は、各収納ケース61、62、および63を、冷蔵室扉11の背面に安定した状態で支持するために利用される。
本実施形態では、冷蔵室扉11のヒンジ部22側の端部(図3において左側の端部)近傍において、上下方向に延びる突出壁32が形成されている。一方、冷蔵室扉11の開放端部側(図3において右側の端部)近傍には、カメラ取付部材70が配置されている。そして、カメラ取付部材70が、突出壁32と同様の役割を果たしている。より具体的には、冷蔵室扉11の開放端部側には、突出壁32よりも高さの低い突出壁32bが形成されている。カメラ取付部材70は、この突出壁32bに対して取り付けられる。そして、突出壁と同様の役割を果たす。なお、後述するように、突出壁32bの先端部には、開口部84が形成されている。この開口部84内に、小型カメラ71と接続されるハーネス81などが配置される。
なお、冷蔵室扉11の開放端部側の近傍において、最下段に配置された収納ケース63の側方には、下部突出壁32aが形成されている(図4参照)。下部突出壁32aは、突出壁32と同様に、ドアバック31の形成している樹脂製の板状部材を部分的に突出させることによって成形することができる。
このように、冷蔵室扉11の裏側の開放端部側では、カメラ取付部材70と下部突出壁32aとで、突出壁(側壁)を形成している。
冷蔵室扉11の外形は、正面部材41の背面にドアバック31が嵌め込まれ、センターキャップ21およびサイドキャップ23で側面部が覆われることによって形成される。正面部材41とドアバック31との間には、発泡断熱材などで形成された断熱層が配置されている。
断熱層は、例えば、真空断熱材、および発泡断熱材などで構成される。真空断熱材は、シート状または板状の断熱材である。発泡断熱材には、例えば、発泡ポリウレタン(硬質ウレタンフォームともいう)などが含まれる。
センターキャップ21は、冷蔵室扉11の開放端部に取り付けられている。センターキャップ21の内部には、結露防止用の電熱ヒーターが配置されていてもよい。また、サイドキャップ23は、冷蔵室扉11の右側端部(開放端部の反対側の端部)に取り付けられている。サイドキャップ23の内側には、ヒンジ部22が設けられている(図4参照)。
また、冷蔵室扉11の裏面の外周部分には、冷蔵室4内の密閉性を高めるためのドアパッキン24が取り付けられている。ドアパッキン24は、開放端部側には設けられていない。冷蔵室扉11の開放端部は、センターキャップ21に設けたパッキンによって隣接する冷蔵室扉12の開放端部との隙間を塞ぎ、冷蔵室4内の密閉性が維持される。
また、カメラ取付部材70の前面部70a(突起の先端部)には、4個の小型カメラ71(71a・71b・71c・71d)が備えられている。小型カメラ71は、例えば、CCDカメラなどで構成される。4個の小型カメラ71のうち、最も上方の小型カメラ71aは、収納ケース61の上方に位置する。小型カメラ71aは、冷蔵室4の第1収容部4aを主として撮影する。上から二番目の小型カメラ71bは、収納ケース61と収納ケース62との間に位置する。小型カメラ71bは、冷蔵室4の第2収容部4bを主として撮影する。
上から三番目の小型カメラ71cは、収納ケース62の横に位置する。小型カメラ71cは、冷蔵室4の第3収容部4cを主として撮影する。最も下方の小型カメラ71dは、収納ケース62と収納ケース63との間に位置する。小型カメラ71dは、冷蔵室4の第4収容部4dを主として撮影する。
このように、高さの異なる位置にそれぞれ配置された複数個の小型カメラ71を備えることで、冷蔵室4内の各収容部をそれぞれの小型カメラ71を用いて撮影することができる。そのため、撮影できない冷蔵室内の死角を減らすことができる。
なお、本実施形態では、カメラ取付部材70の設置範囲は、冷蔵室扉11の下方まで延びることなく、収納ケース63の配置位置の上方までとなっている。すなわち、最も下方の小型カメラ71dは、最下段の収納ケース63よりも上方に位置している。
そして、収納ケース63が取り付けられる位置には、カメラ取付部材70ではなく、下部突出壁32aが形成される。冷蔵室扉11の下方において、カメラ取付部材70の代わりに下部突出壁32aを設けることで、大容量のペットボトル等の重量物を収納することが多い最下段の収納ケース63は下部突出壁32aに支持させることができる。これにより、より安定した状態でドアバック31に固定することができる。また、収納ケース63の横にカメラ取付部材70が位置する場合と比較して、収納ケース63の容量の低下を抑えることができる。
図2に示すように、冷蔵室4内の最下段には、ケースで覆われたチルド室6、たまごケース7、および小物ケース8などが配置されている。これらの収容空間はケースに覆われているため、冷蔵室扉11に設置されたカメラで撮影しても、前面に配置されたケースの前壁によって収容空間内を鮮明に撮影できない可能性が高い。そのため、本実施形態では、冷蔵室4内の最下段を撮影するための小型カメラは設置されていない。これにより、収納ケース63が取り付けられる位置には、下部突出壁32aが形成され、収納ケース63を支持する。
<冷蔵室扉の内部構成およびカメラ取付部材について>
続いて、小型カメラ71が取り付けられる部分の冷蔵室扉11の内部構成を図5および図6を参照しながら説明する。また、冷蔵室扉11に取り付けられるカメラ取付部材70のより具体的な構成について、図7から図9などを参照しながら説明する。図7(a)から(c)は、カメラ取付部材70を種々の方向から見た場合の図である。図8は、冷蔵室扉11からカメラ取付部材70を取り外した状態を示す。また、図9は、冷蔵室扉11の開放端部側の側面図である。図9では、センターキャップ21の図示は省略している。
小型カメラ71は、カメラ取付部材70の内部でハーネス81と接続されている(図8参照)。ハーネス81は、各小型カメラ71と小型カメラ71の制御部及び電源部とを接続する配線の集合体である。
本実施形態では、表示パネル50に小型カメラ71の制御部及び電源部が備えられている。そのため、ハーネス81は、表示パネル50に接続される。また、別のハーネス(図示せず)が、冷蔵庫1の本体部に配置された制御部(図示せず)からヒンジ部22を通り、冷蔵室扉11の正面部材41の前面側から表示パネル50へと接続されている。
そして、正面部材41がドアバック31と対面配置されると、(一方の先端部が表示パネル50に接続されている)ハーネス81の他方の先端部は、ドアバック31の開口部84から外側へ取り出される(図8参照)。これにより、カメラ取付部材70の各小型カメラ71側の配線(図示せず)と接続することができる。なお、ハーネス81の先端部には、小型カメラ71側の配線と接続するためのコネクタ82が取り付けられている。
このようにして、冷蔵庫1の本体部から小型カメラ71に対して電源などを供給できる。また、小型カメラ71で撮影された画像のデータを表示パネル50の制御基板へ送信することができる。
図5に示すように、表示パネル設置板42には、コネクタ82およびハーネス81を通すための穴43aおよび43bが形成されている。また、表示パネル設置板42の背面側には、穴43aおよび43bが配置される箇所の周囲にシール部材43が配置されている。図5に示す例では、穴43a、43bおよびシール部材43は、正面部材41の開放端部側(センターキャップ21側)の上下方向の略中央部に配置されている。穴43a、43bおよびシール部材43の配置位置は、表示パネル設置板42のハーネス収容部(図示せず)の位置と対応している。
穴43aおよび43bの周囲にシール部材43を配置することにより、発泡断熱材の原料の注入時に、シール部材43によって穴43aおよび43bの内部に原料が入り込むことを抑えることができる。本実施形態では、長方形状の2つの穴が設けられている。しかし、穴の形状および個数は、これに限定されない。
シール部材43は、冷蔵室扉11の断熱性能を維持するために、断熱を有する材料で形成されていることが好ましい。また、穴43aおよび43bを容易に形成することができるように、断熱層の主要な構成要素である発泡ポリウレタンよりも柔らかい材料で形成することが好ましい。例えば、シール部材43は、スポンジ、発泡スチロールなどで形成される。
図6には、ドアバック31の正面側(正面部材41と対向する側)の構成の一部を示す。図6では、ハーネス81が配置される左側端部31a側(センターキャップ21側)の詳細な構成を示している。
ここでは、ドアバック31の左側端部を31aとし、ドアバック31の右側端部を31bとする。左側端部31aは、センターキャップ21が取り付けられる開放端部に相当する。本実施形態では、ドアバック31の左側端部31aに沿って、スペーサ部材33が配置されている。
スペーサ部材33には、コネクタ82およびハーネス81を通すための穴35aおよび35bが形成されている。穴35aおよび35bの周囲には、シール部材34aおよび34bがそれぞれ配置されている。シール部材34aおよび34bは、発泡断熱材の原料注入時に、穴35aおよび35bの内部に原料が入り込むことを抑えるために設けられている。また、スペーサ部材33には、発泡断熱材の原料を注入するための注入口36が複数個形成されている。
スペーサ部材33は、例えば、プラスチック樹脂などで形成され、ドアバック31の開放端部側の突出壁32bに嵌め込まれる。これにより、突出壁32bの先端部に形成された開口部84からスペーサ部材33の一部が露出する。また、スペーサ部材33には、開口部84から冷蔵室扉11の背面側へ突出する保持部材83(図8参照)が形成されている。
冷蔵室扉11を製造する際には、ドアバック31を正面部材41の背面に嵌め込む。このとき、正面部材41の穴43aとドアバック31の穴35aとを対向させ、正面部材41の穴43bとドアバック31の穴35bと対向させるように、ドアバック31と正面部材41とを位置合わせする。そして、各穴の周囲のシール部材同士を密着させる。
この状態で、ドアバック31と正面部材41との間の空間を発泡断熱材で充填する。このとき、正面部材41側の表示パネル設置板42を下にし、ドアバック31側のスペーサ部材33を上にして、発泡断熱材の原液が滴下されて得られる液面が各穴(すなわち、穴43aと穴35a、穴43bと穴35b)の対向面よりも下となるように、穴の位置を予め設定する。これにより、発泡断熱材の原料液が穴に入り込んで穴を塞ぐことを抑えることができる。発泡断熱材の原液の滴下液面が各穴の対向面以上となる可能性がある場合は、穴43aおよび43bの周囲に配したシール部材43の厚みを厚くすることで、発泡断熱材の原料液が穴に入り込んで穴を塞ぐことを抑えることができる。
なお、開口部84は、突出壁32bの内部を発泡断熱材で充填した後に形成することもできる。この場合には、断熱材料の発泡後に、突出壁32bの先端部を切り取って開口部84を形成する。
その後、コネクタ82およびハーネス81を、各穴43aおよび43b並びに各穴35aおよび35bを通して、表示パネル設置板42のハーネス収容部から開口部84へと導く。なお、なお、本実施形態では、小型カメラ71a・71b・71cに接続される3つのコネクタ82およびハーネス81は、上側に位置する穴(すなわち、穴43aおよび穴35a)を通る。また、小型カメラ71dに接続されるコネクタ82およびハーネス81は、下側に位置する穴(すなわち、穴43bおよび穴35b)を通る。
以上のようにして、内部に断熱層を有した状態で、正面部材41とドアバック31とが対向配置されて、図8に示すような冷蔵室扉11が構成される。そして、各小型カメラ71が各コネクタ82に接続された後に、カメラ取付部材70が、突出壁32bに取り付けられる。
続いて、図7(a)から図7(c)を参照しながら、カメラ取付部材70の構成を説明する。ここでは、説明の便宜上、カメラ取付部材70を冷蔵室扉11に取り付けた状態で、冷蔵室扉11の裏面側から見た状態での位置を基準にして、各部の名称をつけている。図7(a)は、カメラ取付部材70を、その前面部70a側および開放端部側から見た状態を示す。図7(b)は、カメラ取付部材70を、その前面部70a側およびサイドキャップ23側から見た状態を示す。図7(c)は、カメラ取付部材70を、その後方側およびサイドキャップ23側から見た状態を示す。
カメラ取付部材70は、例えば、プラスチック製の樹脂で形成された樹脂成形品である。上述したように、カメラ取付部材70は、冷蔵室扉11の突出壁32の一部を構成しているため、冷蔵室扉11の上下方向に延びる壁状に形成されている。カメラ取付部材70は、前面部70a、右側面部70b、左側面部70c、および上面部70eを有している。前面部70aには、保持部材83にカメラ取付部材70をネジ止めするネジ穴が設けられている。また、前面部70aに、小型カメラ71などの部品やネジ穴を隠すための化粧板を重ねて設けてもよい。また、カメラ取付部材70は、内部に空間74を有している。この空間74内に、小型カメラ71(71a・71b・71c・71d)の各部品および配線、並びに、コネクタ82およびハーネス81などが配置される。
カメラ取付部材70の下方部分は、背面側に凹んだ形状を有している。つまり、カメラ取付部材70の下方部分のドアバック31の背面からの壁の高さCは、カメラ取付部材70の上方部分のドアバック31の背面からの壁の高さAと比較して低くなっている(図4参照)。各小型カメラ71は、高さAを有するカメラ取付部材70の上方部分に配置されている。
また、図9に示すように、カメラ取付部材70の下方部分の壁の高さCは、下部突出壁32aの高さと略同じである。このように冷蔵室扉11の開放端部側の突出壁は、その下方部分の高さが低くなっている。これにより、最下段の収納ケース63に収容された飲料ボトル、飲料パックなどの貯蔵物を、冷蔵室扉11の開放端部側から取り出し易くすることができる。
図7(a)に示すように、カメラ取付部材70の右側面部70bは、略平坦な形状を有している。そして、カメラ取付部材70の右側面部70bは、下部突出壁32aの側面に重なっている(図4など参照)。
また、図7(b)および図7(c)に示すように、カメラ取付部材70の左側面部70cは、その前方部分(前面部70a側)と後方部分(ドアバック31側)との間に段差部70dを有している。つまり、カメラ取付部材70は、その前方部分の横幅よりも、その後方部分の横幅が広くなっている。段差部70dは、収納ケース61および62をドアバック31に取り付ける際の支持部としての役割を果たす。
また、カメラ取付部材70の左側面部70cには、その後方部分に、収納ケース61および62を取り付けるための係合部72が形成されている。本実施形態では、係合部72は、収納ケース61および62の取り付け位置に複数個ずつ設けられている。なお、図示はしていないが、ドアバック31のサイドキャップ23側に形成された突出壁32にも、同様の形状の係合部が形成されている。係合部は、収納ケースに形成された突起(図示せず)などと係合して、収納ケースをドアバック31に対して固定する役割を果たす。
さらに、カメラ取付部材70の左側面部70cの下端部には、薄板状の差し込み部73が設けられている。差し込み部73は、カメラ取付部材70が冷蔵室扉11に取り付けられたときに、収納ケース63と下部突出壁32aとの間に挟み込まれる(図11参照)。これにより、カメラ取付部材70が内側に浮き出すことを抑えることができる。
なお、冷蔵室4内の断熱性能を向上させるために、空間74内の空き領域には、例えば、発泡スチロールなどの断熱材を配置してもよい。
<冷蔵室扉へのカメラ取付部材および収納ケースの取り付けについて>
続いて、冷蔵室扉11へのカメラ取付部材70および各収納ケースの取り付け方法について、図8から図11を参照しながら説明する。図10は、冷蔵室扉11に、最上段の収納ケース61と最下段の収納ケース63とを取り付けた状態を示す。図11には、カメラ取付部材70の下方部分と下部突出壁32aとの境界部分の断面の構成を示す。図11は、図9に示すX−X線部分の断面図である。
図8に示すように、冷蔵室扉11の裏面の開放端部側の突出壁32bの先端部には開口部84が設けられ、開口部84からスペーサ部材33が露出している。スペーサ部材33には小型カメラ71と接続されるコネクタ82およびハーネス81が配置されている。また、スペーサ部材33には、カメラ取付部材70をネジ止め固定するための保持部材83が設けられており、開口部84から突出している。そして、カメラ取付部材70は、突出壁32bに取り付けられる。つまり、突出壁32bに設けられた開口部84及び開口部84から露出するコネクタ82およびハーネス81を、カメラ取付部材70で覆い隠す(カバーする)ように、カメラ取付部材70が設置される。なお、カメラ取付部材70を取り付ける前に、カメラ取付部材70の内部の空間74内において、各コネクタ82を各小型カメラ71と予め接続しておくのがよい。
カメラ取付部材70を取り付けた後に、ドアバック31の外周部分にドアパッキン24を取り付ける。その後、冷蔵室扉11の開放端部側にセンターキャップ21を取り付ける。これにより、冷蔵室扉11の開放端部側における、カメラ取付部材70とドアバック31との境界部分は、ドアパッキン24およびセンターキャップ21によって覆い隠される(図4参照)。したがって、冷蔵室扉11の開放端部側の美観を保持することができる。また、カメラ取付部材70とドアバック31との境界部分に、汚れや埃などが入り込むことを抑えることができる。
その後、収納ケース61、62、および63を、冷蔵室扉11に取り付ける。本実施形態では、冷蔵室扉11の収納ケース61および62を取り付けるための係合部が、カメラ取付部材70と突出壁32とにそれぞれ形成されている。これにより、収納ケース61および62は、その左右方向の一方の端部(本実施形態では、サイドキャップ23側)が突出壁32に対して取り付けられており、他方の端部(本実施形態では、開放端部側)がカメラ取付部材70に対して取り付けられる。
また、冷蔵室扉11の最下段の収納ケース63を取り付けるための係合部34は、下部突出壁32aと突出壁32とにそれぞれ形成されている。これにより、最下段の収納ケース63は、ドアバック31に形成された突出壁32に対して取り付けられる。
なお、各収納ケース61、62、および63には、サイドキャップ23側に位置する側面に補強リブ91がそれぞれ形成されている。補強リブ91は、各収納ケース61、62、および63を冷蔵室扉11に取り付けた際に、冷蔵室扉11の突出壁32に当接するような形状となっている(図10参照)。補強リブ91が設けられていることで、収納ケース61、62、および63を冷蔵室扉11により安定した状態で固定させることができる。すなわち、各収納ケース61、62、および63を、補強リブ91を利用して冷蔵室扉11の突出壁32に固定することで、収納ケースへかかる貯蔵物の重量を係合部に集中させずに分散させることができる。
また、収納ケース61には、開放端部側に位置する側面に段差部92が形成されている。図示はしていないが、収納ケース62にも同様の段差部92が形成されている。段差部92は、各収納ケース61および62を冷蔵室扉11に取り付けた際に、カメラ取付部材70の段差部70dに当接するような形状となっている(図10参照)。
段差部92が設けられていることで、収納ケース61および62を冷蔵室扉11により安定した状態で固定させることができる。すなわち、各収納ケース61および62を、段差部92を利用してカメラ取付部材70の段差部70dに固定することで、収納ケースへかかる貯蔵物の重量を係合部に集中させずに分散させることができる。なお、収納ケースの容量が比較的小さな場合、あるいは、収納ケースの耐久重量が比較的小さな場合には、段差部は設けられていなくてもよい。
また、最下段の収納ケース63には、開放端部側に位置する側面に段差部93が形成されている。段差部93は、収納ケース63を冷蔵室扉11に取り付けた際に、冷蔵室扉11の下部突出壁32aに当接するような形状となっている(図9および図10参照)。段差部93が設けられていることで、収納ケース63を冷蔵室扉11により安定した状態で固定させることができる。すなわち、収納ケース63を、段差部93を利用して冷蔵室扉11の下部突出壁32aに固定することで、収納ケースへかかる貯蔵物の重量を係合部に集中させずに分散させることができる。
また、最下段の収納ケース63には、飲料ボトルや飲料パックなどの比較的重い貯蔵物を載置することが多い。そのため、最下段の収納ケース63については、後付けされるカメラ取付部材70ではなく、ドアバック31の下部突出壁32aに対して取り付けることで、収納ケース63の安定性をより高めることができる。
ドアバック31の突出壁32及び下部突出壁32aは、内部に発泡断熱材が充填されている。また、ドアバック31の突出壁32及び下部突出壁32aは、ドアバック31自体の一部であるため、後付けされるカメラ取付部材70よりも堅牢となる。したがって、比較的重い貯蔵物を載置する最下段の収納ケース63は、カメラ取付部材70で支持せずにドアバック31で支持することで、収納ケース63を安定して支持することができる。
なお、図10などに示すように、カメラ取付部材70のドアバック31からの高さAは、突出壁32のドアバック31からの高さBよりも高くなっている。これにより、冷蔵室扉11が閉じられた状態で、カメラ取付部材70の前面部70aに設置された小型カメラ71を冷蔵室4の収容部のより近くに配置させることができる。
この構成によれば、冷蔵室4内をより撮影しやすくすることができる。また、高さAを大きくすることで、収納ケース61および62の前後方向の幅によって、小型カメラ71の視野角が狭められることをある程度抑えることができる。また、高さAを大きくすることで最も下に配置される小型カメラ71dの視野範囲に、最下段の収納ケース63に載置される高さの高い貯蔵物が映り込むことを抑えることができる。
続いて、カメラ取付部材70の下方部分と下部突出壁32aとの境界部分の構成について、図11を参照しながら説明する。図11に示すように、カメラ取付部材70の左側面部70cの下端部には、下方へ突出した差し込み部73が形成されている。
また、差し込み部73が差し込まれる下部突出壁32aの側面上方には、凹み部32cが形成されている。凹み部32cは、収納ケース63の上端部63aよりも下方となる位置にまで形成されている。そして、差し込み部73は、凹み部32cと収納ケース63との間の空間に挿入される。
このように、本実施形態では、収納ケース63の上端部63aよりも、カメラ取付部材70の下端部(すなわち、差し込み部73)が下方に位置するように配置される。これにより、カメラ取付部材70の下端部と下部突出壁32aとの境界を、収納ケース63で覆い隠すことができる。そのため、冷蔵室扉11の美観の向上につながる。
また、収納ケース63を脱着する際に、収納ケース63の上端部63aがカメラ取付部材70の下端部と下部突出壁32aとの境界を跨がない。このため、収納ケース63を取り外すために収納ケース63を上方にずらすときに、収納ケース63の上端部63aがカメラ取付部材70の下端部に引っ掛かることを抑えることができる。そのため、収納ケース63の取り外しが困難となったり、収納ケース63の上端部63aやカメラ取付部材70の下端部が破損したりすることを防止することができる。
また、差し込み部73が下方へ突出していることで、万一、収納ケース63と下部突出壁32aとの隙間に汚れが入り込んだ場合にも、カメラ取付部材70の空間74内に汚れが入り込むことを抑えることができる。
(まとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1では、冷蔵室4内を撮影するための小型カメラ71が、冷蔵室扉11に取り付けられるカメラ取付部材70の前面部70aに配置されている。そして、カメラ取付部材70は、ドアバック31上の突出壁32bに取り付けられ、突出壁の一部を構成している。
この構成によれば、ドアバック31から突出している突出壁の先端部分に、冷蔵室4内を撮影するための小型カメラ71を配置することができる。そのため、小型カメラ71の撮影範囲が収納ケース61および62によって遮られることを抑えることができる。したがって、本実施形態にかかる冷蔵庫1によれば、収納ケース61および62の形状変更や容量の低下を抑えつつ、冷蔵室扉11に取り付けられた小型カメラ71を用いて冷蔵室4内のより広範な範囲を撮影することができる。
また、本実施形態では、小型カメラ71が備えられているカメラ取付部材70は、冷蔵室扉11から取り外し可能に取り付けられている。これにより、カメラを備えていない従来の冷蔵庫扉の構造を大きく変更することなく、カメラ取付部材70を後付けすることで、冷蔵室内を撮影できるカメラを容易に冷蔵庫に設置することができる。
また、本発明の一態様では、小型カメラ71の電源および制御部をカメラ取付部材70の内部に配置してもよい。これにより、従来の構造を有する冷蔵庫扉の突出壁にカメラ取付部材70を後付けするだけで、庫内を撮影可能な冷蔵庫を提供することができる。
さらに、本実施形態では、小型カメラ71は、観音開き式の冷蔵室扉11および12のうち、より大きな冷蔵室扉11の開放端部に設置されている。これにより、小型カメラ71は、冷蔵庫1の正面から見て、冷蔵室4内の左右方向における、より中央部分に位置する。そのため、冷蔵室4内のより広い範囲を撮影することができる。
〔第2の実施形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、冷蔵室扉111におけるカメラ取付部材170周辺の構造が第1の実施形態とは異なる。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、カメラ取付部材170の構造を中心に説明する。
図12および図13には、第2の実施形態にかかる冷蔵庫1の冷蔵室扉111の背面側の構成を示す。冷蔵室扉111は、第1の実施形態における冷蔵室扉11に対応する部材である。図12は、冷蔵室扉111を開放端部側から見た場合であり、図13は、冷蔵室扉111をサイドキャップ23側から見た場合である。図12および図13では、各収納ケース61、62、および63の図示は省略している。
冷蔵室扉111は、主な構成部材として、正面部材(前面側部材)41、ドアバック(背面側部材)131、断熱層(図示せず)、およびカメラ取付部材170などを備えている。正面部材41は、第1の実施形態の正面部材41と同様の構成が適用できる。また、断熱層は、第1の実施形態の断熱層と同様の構成が適用できる。
ドアバック131は、第1の実施形態のドアバック31と概ね同じ構成を有している。但し、ドアバック131における開放端部側(すなわち、センターキャップ21が設けられている側)の突出壁の構成が、第1の実施形態のドアバック31とは異なっている。
本実施形態では、冷蔵室扉111の背面側を構成するドアバック131には、扉の外周に沿うように、突出壁(突起部)132および132bが形成されている。突出壁132は、冷蔵室扉111のサイドキャップ23側に形成されている。突出壁132は、第1の実施形態の突出壁32と同様の形状を有している。
また、本実施形態では、ドアバック131の開放端部側に、突出壁132よりも高さの低い突出壁132bが形成されている。また、ドアバック131の開放端部側の下方には、第1の実施形態と同様に、下部突出壁132aが形成されている。
そして、本実施形態では、突出壁132bの先端部に、カメラ取付部材170が取り付けられている。すなわち、本実施形態では、カメラ取付部材170は、突出壁132bに取り付けられ、突出壁の先端部を構成している。
カメラ取付部材170の前面部170a(突起の先端部)には、3個の小型カメラ71(71a・71b・71c)が備えられている。本実施形態では、ドアバック131に形成された突出壁132bにカメラ取付部材170が取り付けられている。そのため、カメラ取付部材170のドアバック131からの高さは、突出壁132のドアバック131からの高さよりも高くなっている。これにより、冷蔵室扉111が閉じられた状態で、カメラ取付部材170の前面部170aに設置された小型カメラ71を、冷蔵室4の収容部のより近くに配置させることができる。
なお、各小型カメラ71は、第1の実施形態と同様に、カメラ取付部材170の内部の空間内で、コネクタ82およびハーネス81と接続されている。
図12に示すように、ドアバック131のサイドキャップ23側に形成された突出壁132には、収納ケース61、62、および63を取り付けるための係合部134が複数個形成されている。係合部134は、収納ケースに形成された突起(図示せず)などと係合して、収納ケースをドアバック131に対して固定する役割を果たす。
また、本実施形態では、図13に示すように、ドアバック131の開放端部側に形成された突出壁132bおよび下部突出壁132aにも、収納ケース61、62、および63を取り付けるための係合部134が複数個形成されている。
これにより、各収納ケース61、62、および63を、冷蔵室扉111の裏面に取り付けることができる。各収納ケース61、62、および63の構成は、第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。
このように、本実施形態では、冷蔵室扉111に取り付けられる各収納ケース61、62、および63を取り付けるための係合部134は、何れもドアバック131(具体的には、突出壁132および132b、並びに下部突出壁132a)に形成されている。これにより、冷蔵室扉111に取り付けられる各収納ケース61、62、および63は、ドアバック131に対して直接取り付けられることになる。
このように、冷蔵室扉111に取り付けられる全ての収納ケース61、62、および63を、ドアバック131に対して直接取り付けることで、各収納ケースを安定した状態で固定することができる。また、各収納ケース61、62は、ドアバック131に対して直接取り付けられるため、第1の実施形態よりも各収納ケース61、62の横幅を広くすることができ、収納ケース61、62の収納量を向上させることができる。
また、小型カメラ71が備えられているカメラ取付部材170は、冷蔵室扉111から取り外し可能に取り付けられている。これにより、カメラを備えていない従来の冷蔵庫扉の構造を大きく変更することなく、カメラ取付部材170を後付けすることで、冷蔵室内を撮影できるカメラを容易に冷蔵庫に設置することができる。また、カメラを備えていない従来の冷蔵庫扉と同形状の収納ケースを使用することができる。
〔第3の実施形態〕
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、冷蔵室扉211におけるカメラ取付部材270周辺の構造が第1の実施形態とは異なる。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、カメラ取付部材270の構造を中心に説明する。
図14には、第3の実施形態にかかる冷蔵庫1の冷蔵室扉211の背面側の構成を示す。冷蔵室扉211は、第1の実施形態における冷蔵室扉11に対応する部材である。図14は、冷蔵室扉211を開放端部側から見た場合である。図14では、各収納ケース61、62、および63の図示は省略している。
冷蔵室扉211は、主な構成部材として、正面部材41、ドアバック231、および断熱層を備えている。正面部材41は、第1の実施形態の正面部材41と同様の構成が適用できる。また、断熱層は、第1の実施形態の断熱層と同様の構成が適用できる。
ドアバック231は、第1の実施形態のドアバック31と概ね同じ構成を有している。但し、ドアバック231における開放端部側(すなわち、センターキャップ21が設けられている側)の突出壁の構成が、第1の実施形態のドアバック31とは異なっている。
本実施形態では、冷蔵室扉211の背面側を構成するドアバック231には、扉の外周に沿うように、突出壁(突起部)132および232bが形成されている。突出壁132は、冷蔵室扉211のサイドキャップ23側に形成されている。突出壁132は、第1の実施形態の突出壁32と同様の形状を有している。
本実施形態では、ドアバック231の開放端部側に、突出壁132よりも高さの低い突出壁232bが形成されている。また、ドアバック231の開放端部側の下方には、第1の実施形態と同様に、下部突出壁232aが形成されている。
そして、突出壁232bの先端部には、カメラ取付部材270が取り付けられている。すなわち、本実施形態では、カメラ取付部材270は、突出壁232bに取り付けられ、突出壁の先端部を構成している。
カメラ取付部材270の前面部270a(突起の先端部)には、4個の小型カメラ71(71a・71b・71c・71d)が備えられている。本実施形態では、ドアバック231に形成された突出壁232bに対してカメラ取付部材270が取り付けられている。そのため、カメラ取付部材270のドアバック231からの高さは、突出壁232のドアバック231からの高さよりも高くなっている。これにより、冷蔵室扉211が閉じられた状態で、カメラ取付部材270の前面部270aに設置された小型カメラ71を、冷蔵室4の収容部のより近くに配置させることができる。
なお、各小型カメラ71は、第1の実施形態と同様に、カメラ取付部材270の内部の空間内で、コネクタ82およびハーネス81と接続されている。
図14に示すように、ドアバック231のサイドキャップ23側に形成された突出壁232には、収納ケース61、62、および63を取り付けるための係合部134が複数個形成されている。係合部134は、収納ケースに形成された突起(図示せず)などと係合して、収納ケースをドアバック231に対して固定する役割を果たす。
また、本実施形態では、ドアバック231の開放端部側では、収納ケース61および62は、カメラ取付部材270に対して取り付けられる。
すなわち、第1の実施形態と同様に、カメラ取付部材270の左側面部には、その後方部分に、収納ケース61および62を取り付けるための係合部が形成されている。また、第1の実施形態と同様に、カメラ取付部材270の左側面部は、その前方部分(前面部270a側)と後方部分(ドアバック231側)との間に段差部を有している。つまり、カメラ取付部材270は、その前方部分の横幅よりも、その後方部分の横幅が広くなっている。段差部は、収納ケース61および62をドアバック231に取り付ける際の支持部としての役割を果たす。
また、最下段の収納ケース63については、第1の実施形態と同様に、後付けされるカメラ取付部材270ではなく、ドアバック231の下部突出壁232aに対して取り付けられる。これにより、収納ケース63の安定性をより高めることができる。
以上のように、第3の実施形態にかかる構成によれば、比較的軽量の貯蔵物が載置される収納ケース61および62は、カメラ取付部材270に対して取り付けられ、比較的重量の貯蔵物が載置される最下段の収納ケース63は、ドアバック231の突出壁132に対して取り付けられる。
この構成によれば、カメラ取付部材270の左側面部に第1の実施形態の段差部70dと同様の段差部を設けることができるため、収納ケース61および62の側面に設けた段差部92を当接させることで、収納ケース61および62を冷蔵室扉211により安定した状態で固定させることができる。また、突出壁232bの内側部分がカメラ取付部材270によってカバーされるため、カメラ取付部材270とドアバック231との境界部分を目立たなくすることができる。一方、カメラ取付部材270の右側面部70bは突出壁232bを覆っていない。そのため、この構成は、突出壁232bとドアパッキンとの間に隙間が少ない場合に好適に用いられる。
〔第4の実施形態〕
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、冷蔵室扉311におけるカメラ取付部材370周辺の構造が第2の実施形態とは異なる。その他の構成については、基本的に第2の実施形態と同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、カメラ取付部材370の構造を中心に説明する。
図15には、第4の実施形態にかかる冷蔵庫1の冷蔵室扉311の背面側の構成を示す。冷蔵室扉311は、第2の実施形態における冷蔵室扉111に対応する部材である。図15は、冷蔵室扉311をサイドキャップ23側から見た場合である。図15では、各収納ケース61、62、および63の図示は省略している。
冷蔵室扉311は、主な構成部材として、正面部材(前面側部材)41、ドアバック(背面側部材)331、断熱層(図示せず)、およびカメラ取付部材370などを備えている。正面部材41は、第1の実施形態の正面部材41と同様の構成が適用できる。また、断熱層は、第1の実施形態の断熱層と同様の構成が適用できる。
ドアバック331は、第2の実施形態のドアバック131と概ね同じ構成を有している。但し、ドアバック331の開放端部側(すなわち、センターキャップ21が設けられている側)の構成が、第2の実施形態のドアバック131とは異なっている。
本実施形態では、冷蔵室扉311の背面側を構成するドアバック331には、扉の外周に沿うように、突出壁(突起部)132および332bが形成されている。突出壁132は、第2の実施形態の突出壁132と同様の形状を有している。突出壁332bは、第2の実施形態の突出壁132bと概ね同様の形状を有している。また、ドアバック331の開放端部側の下方には、第2の実施形態と同様に、下部突出壁332aが形成されている。
そして、突出壁332bの先端部には、カメラ取付部材370が取り付けられている。すなわち、本実施形態では、カメラ取付部材370は、突出壁332bに取り付けられ、突出壁の先端部を構成している。そして、カメラ取付部材370の前面部370a(突起の先端部)には、3個の小型カメラ71(71a・71b・71c)が備えられている。
以上の構成については、第2の実施形態と略同様であるが、本実施形態では、カメラ取付部材370の右側面部の構成が第2の実施形態とは異なっている。本実施形態では、カメラ取付部材370の右側面部は、第1の実施形態と同様に、ドアバック331の平坦面に達する位置にまで延びている。すなわち、突出壁332bのセンターキャップ21側の側面の全体を、カメラ取付部材370でカバーするような構成となっている。
この構成によれば、冷蔵室扉311の開放端部側における、カメラ取付部材370とドアバック331との境界部分は、ドアパッキン24およびセンターキャップ21によって覆い隠される。したがって、冷蔵室扉311の開放端部側の美観を保持することができる。また、カメラ取付部材370とドアバック331との境界部分に、汚れや埃などが入り込むことを抑えることができる。
〔第5の実施形態〕
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、冷蔵室扉411におけるカメラ取付部材470周辺の構造が第1の実施形態とは異なる。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、カメラ取付部材470の構造を中心に説明する。
図16および図17には、第5の実施形態にかかる冷蔵庫1の冷蔵室扉411の背面側の構成を示す。冷蔵室扉411は、第1の実施形態における冷蔵室扉11に対応する部材である。図16および図17は、冷蔵室扉411をサイドキャップ23側から見た場合である。また、図16では、収納ケース62の図示を省略しており、図17では、すべての収納ケース61、62、および63の図示を省略している。
冷蔵室扉411は、主な構成部材として、正面部材(前面側部材)41、ドアバック(背面側部材)431、断熱層(図示せず)、およびカメラ取付部材470などを備えている。正面部材41は、第1の実施形態の正面部材41と同様の構成が適用できる。また、断熱層は、第1の実施形態の断熱層と同様の構成が適用できる。
ドアバック431は、第1の実施形態のドアバック31と概ね同じ構成を有している。但し、ドアバック431における開放端部側(すなわち、センターキャップ21が設けられている側)の突出壁の形成位置の構成が、第1の実施形態のドアバック31とは異なっている。
第1の実施形態では、ドアバック31の開放端部側には、その下方部分に下部突出壁32aが形成されていた。これに対して、本実施形態では、ドアバック431の開放端部側には、上下方向の全体にわたって突出壁は形成されておらず、抉られたような形状となっている。
そして、本実施形態では、ドアバック431上の開放端部側の突出壁が形成される位置(突起部形成位置)には、カメラ取付部材470が取り付けられている。すなわち、カメラ取付部材470は、開放端部側の突出壁を構成している。
カメラ取付部材470の前面部470a(突起の先端部)には、4個の小型カメラ71(71a・71b・71c・71d)が備えられている。各小型カメラ71の配置位置は、第1の実施形態と同様にしてもよい。またあるいは、最下段の小型カメラ71dをより下方に配置してもよい。
カメラ取付部材470は、冷蔵室扉411の開放端部側の突出壁を構成しているため、冷蔵室扉411の上下方向に延びる壁状に形成されている。カメラ取付部材470は、前面部470a、右側面部(図示せず)、左側面部470c、および上面部470eを有している。
カメラ取付部材470の左側面部470cは、その前方部分(前面部470a側)と後方部分(ドアバック431側)との間に段差部470dを有している。つまり、カメラ取付部材470は、その前方部分の横幅よりも、その後方部分の横幅が広くなっている。段差部470dは、各収納ケース61、62、および63をドアバック431に取り付ける際の支持部としての役割を果たす。
また、カメラ取付部材470の左側面部470cには、その後方部分に、収納ケース61および62を取り付けるための係合部472が形成されている。また、本実施形態では、左側面部470cの下方部分に、最下段の収納ケース63を取り付けるための係合部473が形成されている。なお、図示はしていないが、ドアバック431のサイドキャップ23側に形成された突出壁432にも、同様の形状の係合部が形成されている。
この構成によれば、各収納ケース61、62、および63は、冷蔵室扉411のサイドキャップ23側では突出壁432に対して取り付けられ、冷蔵室扉411の開放端部側ではカメラ取付部材470に対して取り付けられる。本実施形態の構成によれば、冷蔵室扉411の開放端部側がカメラ取付部材470のみで構成されるため、冷蔵室扉411を開けたときの美観を向上させることができる。
以上のように、本発明の一態様では、冷蔵室扉411の開放端部側の突出壁の形成位置にカメラ取付部材470を取り付け、開放端部側の突出壁を構成するようにしてもよい。また、第1の実施形態と同様に、ドアバック431の開放端部側に、突出壁432よりも高さの低い突出壁を形成し、この突出壁を覆うようにカメラ取付部材470を取り付けてもよい。
〔第6の実施形態〕
続いて、本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、冷蔵室扉511におけるカメラ取付部材570周辺の構造が第1の実施形態とは異なる。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、カメラ取付部材570の構造を中心に説明する。
図18には、第6の実施形態にかかる冷蔵庫1の冷蔵室扉511の側面の構成を示す。冷蔵室扉511は、第1の実施形態における冷蔵室扉11に対応する部材である。図18は、冷蔵室扉11の開放端部側の側面図である。図18では、センターキャップ21およびドアパッキン24の図示は省略している。
冷蔵室扉511は、主な構成部材として、正面部材(前面側部材)41、ドアバック(背面側部材)531、断熱層(図示せず)、およびカメラ取付部材570などを備えている。正面部材41は、第1の実施形態の正面部材41と同様の構成が適用できる。また、断熱層は、第1の実施形態の断熱層と同様の構成が適用できる。
ドアバック531は、第1の実施形態のドアバック31と概ね同じ構成を有している。但し、ドアバック531における開放端部側の突出壁の構成が、第1の実施形態のドアバック31とは異なっている。
本実施形態では、冷蔵室扉511の背面側を構成するドアバック531には、扉の外周に沿うように、突出壁(突起部)532および532bが形成されている。突出壁532は、冷蔵室扉511のサイドキャップ23側に形成されている。突出壁532は、第1の実施形態の突出壁32と同様の形状を有している。
本実施形態では、ドアバック531の開放端部側に、突出壁532bが形成されている。突出壁532bの高さ(前後方向の幅)は、突出壁532の高さよりも高くなっている。また、ドアバック531の開放端部側の下方には、第1の実施形態と同様に、下部突出壁532aが形成されている。下部突出壁532aの高さ(前後方向の幅)は、突出壁532の高さと略同じである。
また、ドアバック531には、開放端部側に凹部532cが形成されている。図18に示すように、凹部532cは、突出壁532bの一部を切欠くように形成されている。本実施形態では、この凹部532cにカメラ取付部材570が取り付けられている(図18参照)。
カメラ取付部材570の先端部には、小型カメラ71が設置されている。図18に示すように、カメラ取付部材570は、取り外し可能な構成となっている。
本実施形態では、カメラ取付部材570は2個備えられている。そして、1個のカメラ取付部材570に対して、1個の小型カメラ71(71aまたは71b)が備えられている。これにより、本実施形態では、2個の小型カメラ71aおよび71bを用いて冷蔵室4内を撮影することができる。
図18に示すように、各カメラ取付部材570は、収納ケース61および62の配置位置を避けて配置されることが好ましい。これにより、小型カメラ71の視野に収納ケース61または62が入り込むことを抑えることができる。そのため、収納ケース61および62の容量の低下を抑えつつ、冷蔵室4内のより広範な範囲を撮影することができる。
また、収納ケース61および62を取り付けるための係合部を、突出壁532側と同様に突出壁532bに設けることができる。そして、収納ケース61および62の開放端部側に位置する側にも、サイドキャップ側に位置する側と同様の補強リブを設けることができる。従って、カメラを備えていない従来の冷蔵庫扉と同形状の収納ケースを使用することができ、また、カメラを備えていない従来の冷蔵庫扉と同程度に、収納ケースを支持することができる。
なお、上述した第6の実施形態では、小型カメラ71が2個設置されている構成について説明したが、小型カメラの個数はこれに限定されない。例えば、図19に示すように、小型カメラ71の個数は、1個のみであってもよい。小型カメラ71の個数が1個の場合には、図19に示すように、小型カメラ71は、冷蔵室扉511の上下方向の略中央部付近に配置されることが好ましい。また、撮影範囲の広い小型カメラ71を用いることが好ましい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。