以下、本願発明に係る物流システムについて、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。以下の例では、農作物の流通を例に挙げて説明するが、物流システムにおける搬送の対象が農作物に限定されないことは勿論である。
図1は、本実施形態における物流システム100の概要を示す説明図である。物流システム100は、輸送機器1と、該輸送機器1が移動中にアクセスすることが可能な複数の拠点センター2とを含む。輸送機器1は、搬送トラック、列車、輸送機、船舶等の乗り物(vehicle)である。拠点センター2は、図1に示すように港、空港、貨物駅、道路網におけるインターチェンジ(IC)等、輸送機器1の拠点となる場所に設置されるとよい。物流システム100は更に、物品(例えば図1中の農作物F)が載置されたパレットPが集積される集積センター5を含む。集積センター5は拠点センター2と兼用であってもよい。複数の拠点センター2は夫々、国際便が発着する港、空港、貨物駅、道路網における行政区分の規模に応じて1つ又は複数設置される。集積センター5は、行政区分よりも多数に分けられた地域(区分を跨ぐ場合もあり得る)毎に設けられていてもよい。
物流システム100を、道路網を利用したものとする場合、図1の例では、A県に設置されている集積センター5(拠点センター2を兼用)と、B県に設置されている拠点センター2と、C府に設置されている拠点センター2とを含む。隣り合う拠点センター2,2間の距離は長くても、運転者の1日の労働時間内で搬送トラックである輸送機器1が1往復できる距離とする。図1の例ではA県の拠点センター2を兼用する集積センター5から、C府の拠点センター2までが約300キロメートルであり、1日の労働時間内で2回往復できる距離である。B県の拠点センター2はA県の集積センター5とC府の拠点センター2との中間に位置する。
本開示の物流システム100では、搬送対象物の物品は全てパレットP単位で搬送される。図1の例では農作物Fが同一パレットP上に載置されている。同一パレットP内に異なる農作物Fが混載されてもよく、各々の荷受人の所在地に対応する拠点センター2(行政区分)が共通する物品が載置されている。なおパレットPは、寸法が90cm×90cmの既存の物流部材であり、その中でも輸出入の規制対象ではない材料製であることが望ましい。そしてパレットPには、固有のパレット識別情報を記憶した二次元バーコード、又はRFID(Radio Frequency Identifier)等の無線タグを用いたタグPT(図4参照)が設けられている。
集積センター5では、各生産者から集荷した農作物Fを、その荷受人の宛先に応じてパレットPへ載置する作業を行なう。なおパレットPへの載置作業は、生産者の作業場で行なわれるようにしてもよい。なお集積センター5は例えば、農業協同組合のような多くの生産者が所属している組織で運営されている。集積センター5では、担当地域の生産者から持ち込まれるか組織により集荷した農作物Fに対し、一括したパレットPへの載置作業が行なわれる。なお集積センター5での載置作業の主体は、組織に属する人間である作業者であってもよいし、マテハン及びマテハンに組み込まれるロボットにより自動化されていてもよい。
集積センター5で搬送対象の農作物Fが載置されたパレットPは、対応する拠点センター2へ搬送される。集積センター5と拠点センター2との間の搬送は、地区内流通であるから、パレットP単位で搬送すること以外は特定の搬送方法は限定されない。
拠点センター2は、本開示の物流システム100で使用する輸送機器1の入出庫を受け、入庫してきた輸送機器1からパレットP単位で物品を搬出すると共に、その空きスペースにパレットP単位で物品を搬入する。なお輸送機等の大規模の輸送機器1の場合、パレットPが収容されたコンテナC単位での搬入及び搬出が行なわれる。搬出及び搬入の作業は、後述するようにマテハンで実現することが望ましく、これによりフォークリフトのオペレータによる作業が不要となる。
なお拠点センター2を出庫した輸送機器1は夫々、搭載されている通信機器(車輌であれば例えばナビゲーションシステム)、又は運転者が所持する携帯端末装置によりGPS(Global Positioning System)衛星Sからの情報を用いて位置情報を取得する。輸送機器1からは、所得された位置情報が逐次ネットワークN経由で中央サーバ3へ送信される。中央サーバ3は、輸送機器1夫々の機器識別情報に対応付けられる最新の位置情報と、輸送機器1内のパレットPのパレット識別情報とに基づき、後述する最適化処理によって通信機器又は携帯端末装置に対し、いずれの拠点センター2へ向かうべきかを指示する。
輸送機器1は、中央サーバ3から指示された拠点センター2へ向かい、入庫してパレットP単位又はパレットPを収容するコンテナC単位での物品の搬出及び搬入を行ない、次の拠点センター2へ向かう。
輸送機器1が搬送トラックである場合、輸送機器1に対して中央サーバ3から指示される次の拠点センター2は、その当日の出発地点に再度その日の内に搬送トラックである輸送機器1が戻れる範囲内に設置されている拠点センター2である。例えば、A県の集積センター5(拠点センター2)から出庫した輸送機器1に対して中央サーバ3は、B県の拠点センター2又はC府の拠点センター2を指示する。B県の拠点センター2へ指示された輸送機器1は、搬出及び搬入の後は中央サーバ3によりA県の拠点センター2へ戻ることを指示されるか、又はC府の拠点センター2へ向かうことを指示される。A県の拠点センター2へ戻った輸送機器1は、搬出の後にそのまま1日の運転作業を終了するか、又は搬入の後に再度A県の拠点センター2、若しくは他方の隣接する都道府県の拠点センター2へ向かう。C府の拠点センター2へ向かった搬送トラック1は、搬出及び搬入の後にA県の拠点センター2へ直接戻ることを指示されるか、又はB県の拠点センター2経由でA県の拠点センター2へ戻ることを指示される。経由地点のB県の拠点センター2でも、輸送機器1は搬出及び搬入を受ける。
このように、本実施形態の物流システム100では、搬送トラックである輸送機器1は1日で往復できる距離よりも遠くへは行かずに済むようにしてある。なお輸送機器1が輸送機、船舶又は列車である場合も、期間は1日よりも長くなるが同様に考えればよい。例えば、鹿児島県(A県)から大阪府(C府)へ農作物Fを搬送する場合、対象のパレットPの搬入を拠点センター2で受けた搬送トラックである輸送機器1は、鹿児島県から大阪府まで直接に運行せず、約300〜400kmの距離にある途中の熊本県又は福岡県等の拠点センター2でパレットPを搬出させる。そしてこの搬送トラックである輸送機器1は、他の鹿児島県向けのパレットPの搬入を受けて鹿児島県へ戻る。熊本県又は福岡県の拠点センター2で対象のパレットPを搬入させた別の搬送トラックである輸送機器1が、更に約300〜400kmの距離にある山口県又は広島県の拠点センター2でこれを降ろす。つまり各拠点センター2はクロスドッキングにおける分岐点の役割を担っている。山口県又は広島県の拠点センター2で他のパレットPを降ろした更に他の搬送トラックである輸送機器1が対象のパレットPの搬入を受けて大阪府の拠点センター2へ向かい、そこで対象のパレットPを降ろす。つまり搬送トラックである輸送機器1の運転者はいずれも、その日の内に出発地点に戻ることができる。これにより、運転業務の時間帯は様々となるものの、1週間に2日ほどしか自宅に戻れないといった労働環境を回避することができる。
このような物流システム100にて対象のパレットPは、上述の例であれば、鹿児島県(A県)を朝8時に出発した搬送トラックである輸送機器1により、例えば福岡県(B県)の拠点センター2でお昼の12時前頃に降ろされる。対象のパレットPは、福岡県の拠点センター2にちょうど13時ごろに入庫し、その後広島県の拠点センター2へ道路網で向かう輸送機器1へ搬入される。広島県の拠点センター2では対象のパレットPは、例えば午後16時半に搬出され、17時頃に広島県の拠点センター2から大阪府(C府)の拠点センター2へ道路網を経由して向かう輸送機器1へ搬入される。これにより大阪府の拠点センター2には、20時過ぎに到着し、そこから大阪府内の集積センター5へ搬送されることで、翌日には対象のパレットP内の物品を荷受人へ搬送することが可能である。充分な数の輸送機器1が存在していれば、迅速な流通が可能である。十分な輸送機器1の数を実現するには、1事業者の搬送トラック1では勿論不十分であるから、集荷及び個配事業者と輸送機器1との間の貸し切り契約ではなく、物流システム100全体と輸送機器1夫々との契約によってこれに充てることが必要である。
そしてこのような輸送機器1によって物品の搬送を実現する物流システム100の利用者は、中央サーバ3から提供されるインタフェースを表示又は操作するための情報処理装置6を使用する。
図2は、本実施形態における物流システム100の構成を模式的に示すブロック図である。拠点センター2には夫々、搬入及び搬出を自動的に行なうマテハンシステム20と、該マテハンシステム20を制御し、パレットPの情報等を処理する拠点サーバ21とが設置されている。集積センター5には集積サーバ51及び検品装置50が設置されている。拠点サーバ21、集積サーバ51は、ネットワークNを介して中央サーバ3へ通信接続が可能である。
ネットワークNは、所謂インターネットである公衆通信網N1、地上における所定通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2、海上通信を実現する通信網N3、航空通信を実現する通信網N4とを含む。地上における無線通信を実現するキャリアネットワークN2には、基地局BSが含まれ、搬送トラック又は列車等である輸送機器1の車載機、又は運転者(搭乗者)の所持する携帯端末装置は、基地局BSからネットワークNを介した他装置との通信を可能とする。通信網N3、N4は夫々、地上に設置された船舶地球局、航空地球局等である無線局ESを含む。
中央サーバ3は、その補償のためにミラーとして稼働する中央サーバ3Mが用意されているとよい。中央サーバ3及び中央サーバ3Mは、物流DB310へ情報を記録し、情報をここから読み出すことが可能である。中央サーバ3の動作及び物流DB310については詳細を後述する。
情報処理装置6は、物流システム100を利用する利用者が使用するコンピュータであり、ネットワークNを介した通信を実現する通信部及びユーザインタフェースを備える装置である。情報処理装置6は、デスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどである。
図3は、パレット収容部を模式的に示す説明図である。図3Aは、搬送トラックである輸送機器1におけるパレット収容部の模式斜視図、図3Bは、図3Aの搬送トラックを後部から見た模式図である。搬送トラックである輸送機器1は、パレットP単位で物品を搬送するためにパレットフレーム11を荷台内部に設けている。パレットフレーム11は、パレットPを複数収容可能な多段棚である。図3では2段としているがこれに限らない。パレットフレーム11は、荷台の床面から天井に至る高さの複数の支柱111と、これらの支柱111の上部を車長方向及び車幅方向に連結する梁と、支柱111の各中央部間を車幅方向に連結する荷受板112と、支柱111の各中央部間を車長方向に連結する横受フレーム113とを含む。例えば搬送トラックである輸送機器1が10tトラックであって荷台のサイズが車幅方向235cm、車長方向960cm、及び車高方向235cmであるとする。この場合、車幅方向に2列、車長方向に5行、車高方向に2段の全20個のパレットPを収容可能である。また、パレットフレーム11の各パレット収容部にはその横受フレーム113に、搬送トラック内での固有の収容部識別情報を記憶したタグ114が付されている。タグ114は、数字又は文字が付されているのみでもよいし、一次元バーコード又は二次元バーコードであってもよいし、RFID等の無線タグでもよい。搬送トラックである輸送機器1夫々を識別する車輌識別情報(車輌番号(ナンバープレート)若しくは車載機の識別情報、又は両方)と、車輌内における各パレット収容部に付されているパレット収容部の収容部識別情報との組み合わせにより、物流システム100における全てのパレット収容部を各々特定することが可能である。
図3Cは、航空機、船舶又は列車である輸送機器1に収容されるコンテナCにおけるパレットPの収容部の模式斜視図である。航空機、船舶又は列車である輸送機器1では、パレットP単位で物品を搬送するために、内部にパレットフレーム11が設けられたコンテナCを用いる。パレットフレーム11は上述したように、各々に収容部識別情報を記憶したタグ114が付されたパレット収容部を持つ。そしてコンテナC自体にも、コンテナ識別情報を記憶したタグ114が付されているとよい。輸送機(航空機)である輸送機器1夫々を識別する機体識別情報、船舶である輸送機器1夫々を識別する船体識別情報と、輸送機器1内に搬入されるコンテナCのコンテナ識別情報と、コンテナC内の各パレット収容部に付されている収容部識別情報との組み合わせにより、物流システム100における全てのパレット収容部を各々特定することができる。列車の場合も編成(けん引車、機関車)を識別する車体識別情報とコンテナCのコンテナ識別情報、コンテナC内の各パレット収容部の収容部識別情報との組み合わせで特定可能である。そして輸送機器1の位置情報を用いることで、全てのパレット収容部の位置情報を中央サーバ3にて把握することが可能である。
輸送機器1の荷台、又はコンテナCに設けられているパレットフレーム11は、折り畳みが可能な構成であることが望ましい。図4は、パレットフレーム11の折り畳み機構を示す拡大図である。例えば各支柱111は、搬送トラックの荷台又はコンテナCの床面に長さ方向に沿って設けられたレールに沿うように前後に移動可能であり、長さ方向の横受フレームは中央部で1回又は複数回、図4の下部に示すように荷台の内側へ向けて折り畳むことができるようにしてある。そしてこのとき、荷受板112は上方に跳ね上げ可能である。これにより、パレットフレーム11は折り畳まれて荷台前部にコンパクト化できるから、荷台又はコンテナCを、パレットPよりも大きい物品を運ぶような他の用途にも使用することが可能である。
図5は、パレットPの模式図である。パレットPは物流の現場で広く用いられているパレットと同様に90cm四方の大きさを有した物流部材であり、樹脂製、木製、ステンレス製、段ボール製等多様な材料製でよく、フォークリフトでの運搬に適合したリフト孔を設けてある。本実施の形態におけるパレットPでは、輸出入の規制に適合した材料製のパレットを用いる。パレットPの周面には、四方いずれにも同一のパレット識別情報を記憶してあるタグPTが取り付けられている。いずれか1面のみであってもよいが、四方に対称な形状のパレットPに向きの制限を与えないように四方に取り付けられている。タグPTは、予め付与されているパレットPのパレット識別情報に対応する一次元バーコード、二次元バーコードが印刷された所定の媒体である。またタグPTは、RFID等を用いた無線タグであり、予め付与されているパレットPのパレット識別情報が無線リーダにより読み出し可能に記憶されている。なお無線タグにおけるパレットPのパレット識別情報は書き換え不可であるが、該無線タグには、無線ライタによってパレットPに載置される1又は複数の物品の情報を書き込み可能であってもよい。物品の情報とは、物品の種別及び品目、重量、集荷の日付、物品の配送番号、直近に経由した拠点センター2の拠点識別情報、目的地の拠点センター2、荷受人情報、送り元情報等である。
なお、後述するようにパレットP自体の流通の問題もあるため、パレットPは図5に示したような厚みを有するものに限らず、ボール紙等の強化された紙製又は樹脂製のシート状のものであってもよい。この場合のシート状のパレットPは図5に示したようなリフト孔を有するパレット上に載置して使用し、シート状のパレットPのみを輸送機器1の荷台又はコンテナCから搬出したり、搬入したりする。
次に、図4のパレットフレーム11を設けた輸送機器1を用いた図5に示したパレットPの搬出及び搬入について説明する。図6は、拠点センター2のマテハンシステム20に含まれる搬出装置201を示す模式上面図である。なお図6では輸送機器1として搬送トラックを用いる例を示しているが、コンテナCを搬送する搬送機構(コンベア、車輌、又は搬送ロボット)を用いることによって搬送トラックからの搬出と同様の動作で搬出が可能である。
搬出装置201は、搬出アーム221、制御部222、重量センサ223、リーダ224及び通信部225を備える。搬出装置201は、搬出を受ける輸送機器1が停止すべき範囲である矩形状の停止範囲Aの両長辺に沿うようにして輸送機器1の最大長に対応する長さで並設された搬出アーム221を含む搬出機構を備える。搬出アーム221は夫々、停止範囲Aの短手方向に沿う向きに設けられ、制御部222の制御に基づくシリンダの動作により、前記短手方向にシリンダのストローク長分だけ移動することが可能である。搬出アーム221の並設間隔は、パレットフレーム11にパレットPが載置されている場合のパレットPのフォークリフト用の孔の間隔に対応する。なお搬出アーム221は図6に示すようにパレットフレーム11のパレット収容部全てに対応する数だけ存在せずともよい。搬出アーム221は、例えば1つのみ又は1段毎に1つなど前記パレット収容部の数よりも少ない数分だけ設けられ、いずれのパレット収容部へも対応できるように可動とする構成であってもよい。
制御部222は、PLC(Programmable Logic Controller)等の制御回路又はCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを用い、搬出装置201の構成部を制御する。制御部222は、入庫して停止範囲A内に輸送機器1が停止することを検知する。このとき制御部222は、停止した輸送機器1の車輌識別情報(コンテナ識別情報)を取得するとよい。制御部222は、輸送機器1の荷台(又はコンテナC)の停止を検知すると、前記停止範囲A内に停止した輸送機器1の荷台(コンテナC)のパレットフレーム11の各パレット収容部の内、パレットPが載置されているパレット収容部に対応する搬出アーム221のシリンダが動作を行なうように制御する。なお搬出装置201では、制御部222は入庫してきた輸送機器1の荷台(コンテナC)のパレットフレーム11の全てのパレット収容部に対して搬出アーム221のシリンダが動作を行なうようにしてもよい。なおパレットフレーム11は2段であるから、搬出アーム221は、1段ずつ搬出する動作を行なうようにしてもよい。
重量センサ223は、搬出アーム221により搬出されたパレットPを受けて、該パレットPの重量を測定する。重量センサ223は、搬出アーム221に組み込まれていてもよい。リーダ224は、重量センサ223と組で取り付けられており、搬出アーム221で取り出したパレットPのパレット識別情報をタグPTから読み取る。リーダ224はRFID等のリーダであってもよいし、タグPTが二次元バーコードである場合には画像処理によりパレット識別情報を読み取る機器であってもよい。通信部225は、無線又は有線により拠点センター2内の拠点サーバ21との通信接続を実現する通信デバイスである。搬出装置201の制御部222は、通信部225により拠点サーバ21から指示を受けて搬出アーム221を制御し、搬出アーム221で搬出されたパレットP夫々のパレット識別情報と、パレットPの搬出時の重量とを対応付けて通信部225から拠点サーバ21へ向けて送信する。
搬出装置201は、マテハンシステム20を構成するライン202に接続されている。ライン202は、ベルトコンベアであり、搬出されたパレットPを1つずつソータ203へ搬送する。
ソータ203は、拠点サーバ21からの指示を受けてパレットPを、バッファ棚等に載置しつつ各々のパレット識別情報に基づいてソートして搬入装置204側のライン205へ送り出す。ソータ203にソートされるパレットPは、搬出装置201により輸送機器1(コンテナC)から搬送されたパレットPのみならず、集積センター5から輸送機器1(コンテナC)以外の搬送手段で拠点センター2に搬送されたパレットPも含まれる。ライン205は、搬入装置204に接続されている。図7は、拠点センター2のマテハンシステム20に含まれる搬入装置204を示す模式上面図である。
搬入装置204は、搬入アーム241、制御部242、第1リーダ243、重量センサ244、第2リーダ245、通信部246及びライタ247を備える。搬入装置204は、搬入を受ける輸送機器1(又はコンテナC)が停止すべき範囲である矩形状の停止範囲Bの両長辺に沿うようにして輸送機器1の最大長に対応する長さで並設された搬入アーム241を含む搬入機構を備える。搬入アーム241は夫々、停止範囲Bの短手方向に沿う向きに設けられており、制御部242の制御に基づくシリンダの動作により、前記短手方向にシリンダのストローク長分だけ移動することが可能である。搬入アーム241の並設間隔は、パレットフレーム11にパレットPが載置されている場合のパレットPのフォークリフト用の孔の間隔に対応する。なお搬入アーム241の数は、搬出アーム221と同様、例えば1つのみ又は、パレットフレーム11の1段に対して1つなど前記パレット収容部の数よりも少ない数分だけ設けられ、いずれのパレット収容部への対応できるように可動とする構成であってもよい。
制御部242は、PLC等の制御回路又はCPU等のプロセッサを用い、搬入装置204の構成部を制御する。制御部242は、搬出装置201から移動して停止範囲B内に停止した輸送機器1(又はコンテナC)を検知し、停止した輸送機器1(又はコンテナC)の機器識別情報(又はコンテナ識別情報)を取得する。第1リーダ243は、搬入アーム241に夫々1つ設けられており、停止した輸送機器1の荷台(コンテナC)のパレットフレーム11の各パレット収容部に付されている各タグ114から収容部識別情報を読み取る。なお第1リーダ243は、パレットフレーム11を輸送機器1の荷台(又はコンテナC)の側面側から撮像するカメラであり、付されている数字又は文字を一度に読み取るようにしてもよい。重量センサ244はパレットPの重量を測定するセンサであり、搬入アーム241に組み込まれていてもよい。第2リーダ245は、重量センサ244と組で取り付けられており、搬入しようとするパレットPのパレット識別情報をタグPTから読み取る。第2リーダ245はRFID等のリーダであってもよいし、タグPTが二次元バーコードである場合には画像処理によりパレット識別情報を読み取る機器であってもよい。通信部246は、無線又は有線により拠点センター2内の拠点サーバ21との通信接続を実現する通信デバイスである。これにより制御部242は、パレットP及び該パレットPを搬入すべきパレット収容部の対応を確認し、パレットPの重量が正しいことを確認してから動作を指示する。ライタ247は、パレットPのタグPT又はパレット収容部に対応するタグ114が無線タグである場合に、これらに情報を書き込むデバイスである。ライタ247は、搬入先のパレット収容部を識別する収容部識別情報を、車輌識別情報(コンテナ識別情報)と共にパレットPのタグPTへ書き込むか、タグ114へ書き込む。搬入動作を行なう搬入装置204にてライタ247がこれらの情報の書込みを行なうことにより、重量等の確認がとれて実際に搬入できたことと、後述する中央サーバ3における情報との齟齬の発生を防止することができる。
図8は、拠点センター2における拠点サーバ21及びマテハンシステム20の構成を示すブロック図である。拠点サーバ21は、中央サーバ3との間で情報を送受信することにより、図6及び図7に示したマテハンシステム20の動作を制御する。拠点サーバ21は、サーバコンピュータを用い制御部210、記憶部211、一時記憶部212、入出力部213、及び通信部214を備える。
制御部210はCPUを用い、記憶部211に記憶されている制御プログラム21Pに基づき、各構成部及びマテハンシステム20の搬出装置201、ソータ203及び搬入装置204を制御する。一時記憶部212はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリであり、制御部210の処理により生成される情報を一時的に記憶する。記憶部211はハードディスクを用いる。記憶部211には、拠点サーバ21に対応する拠点センター2を他の拠点センター2と区別するための拠点識別情報のほか、制御部210により参照される制御プログラム21Pが記憶されている。記憶部211は、外部記憶装置と接続されており(又は記憶部211内に)、外部記憶装置には拠点DB200が記憶されている。拠点DB200は、対応する拠点センター2へ向かっており搬出装置201へ入庫する前の輸送機器1の車輌識別情報又はコンテナ識別情報、各々の位置情報、及びその入庫順序(キュー)を含む入庫予定情報を記憶している。また拠点DB200は、拠点センター2内で、搬出装置201にて搬出を受けた後であって、搬入装置204にて搬入を受ける前の輸送機器1の車輌識別情報又はコンテナ識別情報を示す入庫中情報を含む。また拠点DB200は、拠点センター2のマテハンシステム20内に存在するパレットPのパレット識別情報の一覧及び夫々の状況(搬出、ソータ203で待機中、搬入、出庫済み)を示すパレット情報を記憶している。
入出力部213は、搬出装置201、ソータ203、及び搬入装置204と接続される制御基板であり、これらのPLCを用いたマテハンシステム20の構成部への制御信号を出力する。通信部214は、ネットワークNを介した中央サーバ3との通信接続を実現するネットワークカード又は無線通信デバイスである。制御部210は、通信部214から、対応する拠点センター2へ向かう輸送機器1の車輌識別情報又はコンテナ識別情報及び夫々の位置情報を取得し、パレットPの識別情報に対応付けられている重量等の物品の情報を取得する。
集積センター5には、集積サーバ51及び検品装置50が設置されている。図9は、集積センター5における集積サーバ51及び検品装置50の構成を示すブロック図である。検品装置50は重量センサ501及びパレットPのタグPTからパレット識別情報を読み取るリーダ502を含む。重量センサ501及びリーダ502は夫々単体で、オペレータによってハンドリングされるものであってもよいし、互いに組み合わせられて制御回路により、農作物Fが載置されてある1つのパレットPの重量及びタグPTからの読み取りを同時的に実行するようにしてもよい。検品装置50にて読み取られたパレットPのパレット識別情報及び重量は、対応付けられて集積サーバ51により取得される。取得はオペレータによる手作業であってもよいし、検品装置50が制御回路により重量センサ501及びリーダ502を制御する場合、検品装置50がこれらを集積サーバ51へ無線又は有線通信により自動的に送信するようにしてもよい。なお検品装置50は、キーボード及びディスプレイを含むユーザインタフェース503を有し、重量及びパレット識別情報以外の情報の入力を受け付けてパレット識別情報に対応付けるとよい。情報とは例えば載置された農作物Fの品目、数量、冷蔵の要否、集荷の日付、夫々の配送番号、目的地の拠点センター2、荷受人情報、送り元情報等の入力を受け付けるようにしてあるとよい。
集積サーバ51は、サーバコンピュータを用い制御部510、記憶部511、一時記憶部512、入出力部513、及び通信部514を備える。
制御部510はCPUを用い、記憶部511に記憶されている制御プログラム51Pに基づき、各構成部を制御する。一時記憶部512はDRAM等のRAMを用いたメモリであり、制御部510の処理により生成される情報を一時的に記憶する。記憶部511はハードディスクを用い、上述した制御プログラム51Pのほか、制御部510に参照される情報を記憶する。記憶部511は、記憶部511内又は外部記憶装置に集積センター5にて農作物Fを載置したパレットPのパレット識別情報を含むパレット情報を含む集積地DB500を記憶する。なお集積地DB500のパレット情報は、図9に示すように、集積センター5を出発点として発送されるパレットPのパレット情報と、集積センター5を目的地として到着したパレットPのパレット情報とが夫々発送パレット情報及び到着パレット情報と分別して記憶されてあるとよい。なお発送済みであるが目的地に未到着のパレットPのパレット情報は、発送済みパレット情報として記憶されてあるとよい。
パレット情報には、検品装置50にて読み取られたパレット識別情報に対応する重量(出荷時重量)が含まれる。パレット情報には、上述したようにユーザインタフェースを介して入力したパレットPに載置されている農作物Fの品目、数量、冷蔵の要否、集荷の日付、夫々の配送番号、目的地の拠点センター2、希望到着時刻、荷受人情報、送り元情報等を対応付けて記憶されることが好ましい。物流システム100内に流通している間はパレットPにこれらの情報が記憶されていることで、トレーサビリティが向上する。
入出力部513は、検品装置50との接続インタフェースであり、制御部510は、入出力部513に検品装置50が接続されている場合は、重量センサ501、リーダ502及びユーザインタフェース503からの情報を自動的に取得することが可能である。
通信部514は、ネットワークNを介した中央サーバ3との通信接続を実現するネットワークカード又は無線通信デバイスである。制御部510は、通信部514から、検品装置50にて重量を測定済みのパレットPのパレット情報を中央サーバ3へ送信すると共に、中央サーバ3から物流システム100内におけるパレットPの情報を取得する。
図10は、中央サーバ3の構成を示すブロック図である。中央サーバ3は、図3〜図9に示した輸送機器1、コンテナC、パレットP、拠点センター2及び集積センター5における情報を全て収集し、効率の良い搬送を実現するための最適解を求める処理を行なう中央制御を行なう。中央サーバ3は、集積センター5を運営する各地域の農業協同組合に亘る活動を行なう組織、例えば全国農業協同組合連合会、全中のような組織によって運営されることが期待される。
中央サーバ3は、制御部30、記憶部31、一時記憶部32、入出力部33、及び通信部34を備える。なお中央サーバ3は、1つのサーバコンピュータ(ハードウェア)を用いる構成のみならず、複数のサーバコンピュータで処理を分散する構成としてもよい。
制御部30はCPUを用い、記憶部31に記憶されている制御プログラム30P、及び最適化プログラム31Pに基づき各構成部を制御する。一時記憶部32はDRAM等の目盛であり、制御部30の処理により生成される情報を一時的に記憶する。記憶部31はハードディスクを用いる。記憶部31には、上述の制御プログラム30P、及び最適化プログラム31Pのほか、データベース操作モジュールなど各種プログラム、制御部30により参照される情報が記憶されている。また記憶部31には、図10に示す通り学習プログラム32P及びWebサーバプログラム33Pが別途記憶されている。
入出力部33は、外部記憶装置との接続インタフェースである。制御部30はデータベース操作モジュールにより、入出力部33を介して外部記憶装置に記憶されている物流DB310への読み書きが可能である。
通信部34は、ネットワークNを介した情報通信を実現するネットワークカードである。制御部30は、通信部34を介して各拠点センター2の拠点サーバ21、集積センター5の集積サーバ51と通信接続が可能である。制御部30は、通信部34を介してキャリアネットワークN2経由で取得する各搬送トラック1の位置情報を取得することが可能である。
外部記憶装置内の物流DB310は、中央サーバ3及びミラーである中央サーバ3Mからアクセスが可能である。物流DB310は、輸送機器情報311、パレット情報312、及び拠点センター情報313を含む。これらの情報はその時点で最新の情報のみを更新しており、履歴情報は別途記憶されるとよい。輸送機器情報311は、輸送機器1の識別情報(車輌識別情報、機体識別情報、船体識別情報及び車体識別情報)毎に位置情報(現在地)、及び目的地を含む運行情報を記憶しているほか、目的地までの経由地点、運転者識別情報を記憶しておいてもよい。パレット情報312は、集積センター5の集積サーバ51から送信されたパレット情報を収集したものである。パレット情報312は、パレットPのパレット識別情報、及び重量を少なくとも含む。その他の情報は、集積サーバ51について説明した通りである。更にパレット情報312には、全パレットPのパレット識別情報に対応付けて、収容されているパレット収容部を特定するための情報、即ち収容部識別情報が対応付けられている。識別情報の組み合わせは、車輌識別情報と収容部識別情報との組み合わせ、又は、機体識別情報、船体識別情報若しくは車体識別情報と、収容されているコンテナ識別情報と、コンテナC夫々における収容部識別情報との組み合わせである。これにより、その時点でパレットPがいずれの位置(例えば緯度経度)を移動中の輸送機器1内のいずれのパレット収容部に収容されているかを追跡可能である。拠点センター情報313は、各拠点センター2の拠点識別情報、位置、更にはその時点で拠点センター2に存在しているパレットPのパレット識別情報、拠点センター2に入庫中の搬送トラック1の車輌識別情報又はコンテナCのコンテナ識別情報が対応付けられている。
図3〜図10に示したようなパレットフレーム11を持つ輸送機器1、パレットP、拠点センター2及び集積センター5、中央サーバ3による搬送制御について以下に説明する。まず図1にて説明したような1日1往復の輸送を実現する搬送トラック1及びパレットPの各集積センター5、拠点センター2における制御について以下に説明する。
図11は、集積サーバ51における処理手順の一例を示すフローチャートである。なお以下に示す処理手順では、パレットPの目的地である集積センター5での処理については説明を省略する。
集積サーバ51の制御部510は、集積センター5の検品装置50にて読み取られたパレット識別情報及び重量、その他の情報を取得し(ステップS501)、取得したパレット識別情報、重量をその他の情報を発送パレット情報に追加する(ステップS502)。パレットPが拠点センター2へ搬送されると、制御部510は、集積地DBにおける発送パレット情報におけるパレット情報を発送済みパレット情報として記憶する(ステップS503)。中央サーバ3から発送済みパレット情報に含まれるパレット情報が目的地へ到着したことの通知を受けると、制御部510はこのパレット情報を集積地DBから削除し(ステップS504)、処理を終了する。
集積サーバ51の制御部510は、図11のフローチャートに示した手順を、繰り返し又は一部を同時並行的に行ない、集積地DB500を更新する。
図12は、拠点サーバ21における第1の処理手順の一例を示すフローチャートである。拠点サーバ21の制御部210は、自装置に対応する拠点センター2への入庫を予定している輸送機器1の機器識別情報を示す入庫予定情報を中央サーバ3から取得する(ステップS201)。制御部210は取得した入庫予定情報を拠点DB200に記憶(又は更新)する(ステップS202)。入庫予定情報は、輸送機器1の機器識別情報又は輸送機器1に含まれるコンテナCのコンテナ識別情報を入庫予定時刻順にリスト化したものである。
制御部210は、入庫予定情報に基づき、入庫予定の輸送機器1又はコンテナC毎の収容部識別情報を取得する(ステップS203)。
制御部210は、ステップS201,S202で取得、記憶した入庫予定情報に含まれる機器識別情報が示す輸送機器1毎に、該輸送機器1の荷台から自装置に対応する拠点センター2にて搬出すべきパレットPの指示情報を中央サーバ3から取得する(ステップS204)。ステップS204にて取得する指示情報には、パレット識別情報と、搬出すべきパレットPが収容されているパレット収容部の収容部識別情報との対応が含まれている。指示情報は、対象の輸送機器1が輸送機、船舶又は列車等であってコンテナCを用いる場合には、制御部210はパレット識別情報及び対応する収容部識別情報を、コンテナCのコンテナ識別情報毎に取得する。なおパレット収容部の収容部識別情報は、各々が荷台又はコンテナCにおける収容部の位置を識別可能な情報を含むとよい。
更に制御部210は、入庫予定の輸送機器1又はコンテナC毎に、搬入すべきパレットPの指示情報を中央サーバ3から取得する(ステップS205)。ステップS205にて取得する指示情報には、パレット識別情報及び搬入先のパレット収容部を識別する収容部識別情報の対応が含まれる。
制御部210は、ステップS201からS205までの処理で取得した情報を拠点DB200の入庫予定情報の輸送機器1又はコンテナC毎に対応付けて記憶、更新する(ステップS206)。
拠点サーバ21の制御部210は、図12のフローチャートに示した手順を所定の時間経過毎に繰り返し、又はステップS201で中央サーバ3からの入庫予定情報を受信する都度にステップS202からS206の処理を実行する。これにより拠点DB200には、拠点センター2へ入庫予定の輸送機器1を示す入庫予定情報と、各輸送機器1から搬出すべきパレットPのパレット識別情報と、搬出すべきパレットPが収容されているパレット収容部の収容部識別情報との搬出に関する最新の対応関係が記憶、更新される。同様にして拠点サーバ21における入庫予定情報には、拠点センター2へ入庫予定の輸送機器1の機器識別情報と、輸送機器1へ搬出すべきパレットPのパレット識別情報と、搬入すべきパレットPの収容先のパレット収容部の収容部識別情報との搬入に関する最新の対応関係が記憶される。これらの情報は、中央サーバ3における後述の処理にて決定される。
図13は、拠点サーバ21における第2の処理手順(搬出)の一例を示すフローチャートである。拠点サーバ21の制御部210は、図12のフローチャートにおける処理を繰り返し実行すると共に、同時並行的に、図13及び後述の図14のフローチャートに示す搬出及び搬入処理を実行する。
制御部210は、搬出装置201にて検知された輸送機器1の機器識別情報又はコンテナ識別情報を特定する(ステップS211)。制御部210は、特定した機器識別情報又はコンテナ識別情報に関する搬入及び搬出の指示情報を拠点DB200から取り出す(ステップS212)。制御部210は、検知された輸送機器1の機器識別情報又はコンテナ識別情報を拠点DB200の入庫中情報に搬出処理中を示す状態情報を対応付けて記憶すし(ステップS213)、検知された輸送機器1に関する情報を入庫予定情報から削除する(ステップS214)。
制御部210は、搬出装置201に対し、検知された輸送機器1からの搬出に係る情報、即ち搬出すべきパレットPのパレット識別情報と、搬出すべきパレットPが収容されている収容部識別情報とを指示する指示信号を入出力部213から出力する(ステップS215)。搬出装置201では、拠点サーバ21からの指示に基づいて、輸送機器1の荷台又はコンテナCに対し、搬出すべきパレットPが収容されているパレット収容部に対応する搬出アーム221を動作させ、パレットPが搬出される。搬出装置201では、搬出されたパレットPのパレット識別情報及び重量が測定される。
制御部210は、搬出され、重量が測定されたパレットPのパレット識別情報と重量との組み合わせを搬出装置201から受信し(ステップS216)、拠点DB200のパレット情報に追加する(ステップS217)。ステップS217において制御部210は、受信したパレット識別情報を、自装置に対応する拠点センター2に入庫中のパレットPを示す入庫パレット情報として拠点DB200に記憶すると共に、中央サーバ3へ向けて送信する。そして制御部210はステップS217において、搬出装置201で入庫してきた輸送機器1又はコンテナCから搬出させたパレットPのみならず、拠点センター2に対応する地域の集積センター5から他のトラックで搬送されたパレットPのパレット識別情報もパレット入庫情報として記憶すると共に中央サーバ3へ送信する。
制御部210は中央サーバ3から取得済みのパレット識別情報及び重量の組み合わせと、搬出装置201から受信したその組み合わせとを比較して、重量の相違がないか確認する(ステップS218)。制御部210は、ステップS218にて重量に相違があると判断されるパレットPについては物品の入れ替え、追加等の不正がないかのチェック機構へ送る(ステップS219)。制御部210は、相違があると判断されたパレットPのパレット識別情報については拠点DB200内で保留中のものとして拠点DB200のパレット情報から除外し(ステップS220)、搬出に係る処理を終了する。
輸送機器1又はコンテナCは続いて、搬入装置204へ入庫する。図14は、拠点サーバ21における第3の処理手順(搬入)の一例を示すフローチャートである。
制御部210は図12に示した第1の処理手順により、中央サーバ3から、自装置に対応する拠点センター2へ向かう輸送機器1へ搬入すべきパレットPのパレット識別情報と、パレットPを収容すべき収容部の収容部識別情報を記憶している。輸送機器1の搬入装置204、あわよくば搬出装置201への入庫に先んじて、制御部210は入庫予定情報の入庫予定順序に基づき、パレットPのソートをソータ203へ指示している(ステップS221)。
制御部210は、搬入装置204にて検知された輸送機器1の機器識別情報又はコンテナ識別情報を特定する(ステップS222)。制御部210は、検知された輸送機器1への搬入に係る情報、即ち搬入すべきパレットPのパレット識別情報と、搬入するパレットPの収容先のパレット収容部の収容部識別情報とを指示する指示信号を入出力部213から搬入装置204へ出力する(ステップS223)。搬入装置204では、拠点サーバ21からの指示に基づいて、輸送機器1の荷台又はコンテナCに対して搬入すべきであるとしてソータ203のソートによってライン202,205で運ばれてきているパレットPのパレット識別情報を特定している。搬入装置204は、指示に基づき、収容先のパレット収容部が空いているか否かを確認しつつ、パレットPを各々のパレット収容部へパレットPを搬入する。
搬入装置204における搬入が完了したことが通知されると制御部210は、搬入対象の輸送機器1の機器識別情報(又はコンテナCのコンテナ識別情報)を出庫済みとして入庫中情報から削除する(ステップS224)。制御部210は、搬入されたパレットPのパレット識別情報を出庫済み(搬送中)のパレットPを示す出庫パレット情報として、入庫パレット情報から削除し(ステップS225)、拠点DB200に記憶する(ステップS226)。制御部210は、出庫パレット情報を、収容先の輸送機器1の機器識別情報(又はコンテナCのコンテナ識別情報)及び収容部識別情報と対応付けた情報を拠点DB200に記憶すると共に、出庫時刻と共に中央サーバ3へ送信し(ステップS227)、処理を終了する。なおステップS225において制御部210は、拠点センター2におけるソータ203におけるバッファ棚の容量及び空き容量の情報と、バッファ棚に保管しているパレットPの位置を示す情報(バッファ棚の各棚を識別する識別情報)を中央サーバ3へ送信するとよい。
拠点サーバ21の制御部210は、図12から図14のフローチャートに示した手順を、繰り返し又は一部を同時並行的に行ない、拠点DB200を更新しながら、中央サーバ3からの情報に基づいてマテハンシステム20の各構成部へ動作を指示する。
図12のフローチャートで示した処理手順の内、ステップS201からS204において、拠点サーバ21では拠点DB200に入庫予定情報として記憶する情報を中央サーバ3から取得している。具体的には、拠点センター2へ入庫する予定の輸送機器1の機器識別情報、輸送機器1が持つパレット収容部の収容部識別情報の他、輸送機器1から搬出すべきパレットPのパレット識別情報、輸送機器1へ搬入すべきパレットPのパレット識別情報である。これらの情報は、中央サーバ3にて導出されている。
以下、中央サーバ3における処理について説明する。図15は、中央サーバ3における処理の概要を示す機能ブロック図である。中央サーバ3の制御部30は、経路決定部301、販売受付部302として機能する。
経路決定部301は、実際に物品が集積された搬送すべきパレットP(集積地DB500に発送パレット情報として記憶されたパレット識別情報に対応するパレットP)の流通経路、並びに、前記輸送機器1の輸送経路即ち輸送機器1が経由すべき拠点センター2の時間及び場所を夫々決定する。経路決定部301は初期的に、各パレットPのパレット識別情報を、運行予定の輸送機器1の荷台又は積載されるコンテナCにおける収容部識別情報に仮に紐づけ、輸送機器1の輸送経路と、パレット識別情報と収容部識別情報との間の紐づけ(パレットPの収容番地)とを所定条件下で最適化して結果を得る。ここでパレットPを輸送機器1に紐づけるのではなく、パレット収容部に紐づけて最適化することで、シェアリングの効率が向上する。まず所定条件は、各パレットPの目的地及び到着希望日時である。更に所定条件は例えば輸送機器1の輸送経路の条件(出発地点から最長でも運転者の1日の労働時間内で輸送機器1が1往復して出発地点に戻って来ることができる、一回の連続運転が4時間である等)である。
経路決定部301による処理はまず、各集積センター5から各パレットPの搬送を開始する前、例えば1日の内の複数回、輸送機器1を出発させる前に行なう。1日1回、当日の出荷予定に基づいて行なわれてもよい。輸送機器1が出発する前の経路決定は、各パレットPをいずれの輸送機器1のいずれのパレット収容部に収容すべきかをまず決定するために行なわれる。経路決定部301は搬送が開始された後も逐次、例えば10分毎、30分毎など繰り返し、輸送中の輸送機器1及びパレットPについて経路を再度見直して再決定する。制御部30は、いずれかの輸送機器1がいずれかの拠点センター2から所定距離以内の位置に到達した時点、又は到着時刻(推定)から所定時間前となった時点で、拠点センター2の拠点サーバ21に該当する輸送機器1の入庫予定通知を行なう。この入庫予定通知を行なう前に、経路決定部301により経路を再度見直すとよい。交通情報又は運行情報に基づき、遅延が発生するなどイベントが発生したタイミングで再度経路決定が行なわれてもよい。
販売受付部302は、輸送機器1の荷台又は積載されるコンテナCにおけるパレット収容部単位で、荷台又はコンテナCの占有権(チケット)の販売を受け付ける。販売受付部302は、Webサーバを介し、情報処理装置6によって荷物の出荷予定日付、品目、出荷数、荷受人、荷受人住所、及び到着希望日時等の情報を受け付け、荷物を集積するパレットPの識別情報を、空いているパレット収容部の収容部識別情報に割り当てる。距離、到着希望日時の条件に応じて、金額が決定され、他の決済サービスによって事前又は事後に決済がされるとよい。早割の場合には割引があってもよい。販売受付部302は、経路決定部301にて決定されたパレットPの流通経路及び輸送機器1の輸送経路の内、出発日時が間に合う場合には、空いているパレットP及びパレット収容部を新たな荷物に割り当てるようにしてもよい。ただし販売受付部302は、集積センター5にパレットPが集積されるよりも前に、販売を行なうため、事前に、運輸実績、輸送機器1の情報、交通情報、環境条件(地域、季節、イベント、特異日)に基づいて需要予測及び輸送機器1の運行予測を行ない、予測結果からチケットの販売を受け付けるとよい。需要予測等については後述する。
経路決定部301の処理についてフローチャートを参照して説明する。図16及び図17は、中央サーバ3の制御部30による処理手順の一例を示すフローチャートである。中央サーバ3の制御部30は、図16及び図17のフローチャートに示す処理手順を、上述したように搬送開始前に計画として行なうと共に搬送が開始された後も逐次実行する。
制御部30は、輸送機器1全ての位置情報と、行き先(方角)、移動距離、連続運転時間等を含む運行情報とを取得する(ステップS401)。制御部30は、取得した位置情報及び運行情報により、輸送機器情報311を更新する(ステップS402)。更に制御部30はネットワークNを介して外部サーバから、道路網、航路、空路、又は鉄道等の移動経路の状況を示す状況情報を取得する(ステップS403)。状況情報は、交通情報、遅延情報、旅行時間の情報、渋滞情報、工事中区間情報等を含む。
制御部30は、各所の集積センター5における未発送のパレットPの発送パレット情報(目的地、希望到着時刻等)を、集積センター5の識別情報(場所)と対応付けて集積サーバ51から取得する(ステップS404)。制御部30は、各所の拠点サーバ21からも拠点センター2のマテハンシステム20内に存在する搬入されていないパレットPのパレット識別情報に対応付けられたパレット情報(目的地、希望到着時刻等)を拠点センター2の識別情報と対応付けて取得する(ステップS405)。
制御部30は、拠点センター2毎に、該拠点センター2から搬送すべきパレットP(最寄りの集積センター5における未発送のパレットPを含む)のパレット識別情報を、目的地の拠点センター2と、該拠点センター2に到着すべき到着希望日時とに基づいて分別する(ステップS406)。
制御部30は、ステップS402で更新した輸送機器情報311における現在位置に基づき、拠点センター2毎に、該拠点センター2に留まっている輸送機器1(入庫前の輸送機器1)、又は該拠点センター2を行き先(目的地又は経由地)とする輸送機器1を抽出する(ステップS407)。ステップS407において制御部30は、入庫予定時刻の早い順に輸送機器1のキューを作成するとよい。
制御部30は、ステップS407で抽出された輸送機器1のパレット収容部の収容部識別情報に対し、ステップS406で目的地、到着希望日時別に分別したパレットPのパレット識別情報を紐づけるようにして、各パレットPの流通経路及び各輸送機器1の次の行き先(経由すべき拠点センター2又は目的地とする拠点センター2)を決定する(ステップS408)。ステップS408にて制御部30は、輸送機器1の行き先を所定の条件下で決定する。所定の条件とは上述したように、出発地点から最長でも運転者の1日の労働時間内で輸送機器1が1往復して出発地点に戻って来られる距離であり、一回の連続運転が4時間等の条件である。ステップS408における流通経路及び輸送機器1の行き先の決定処理については後述する。
制御部30は、ステップS408で決定した各パレットPの流通経路に基づき、ステップS407で抽出された輸送機器1夫々から搬出すべきパレットPを、輸送機器1毎に決定する(ステップS409)。搬出すべきパレットPが存在しない場合は、存在しないとして決定すればよい。制御部30は、ステップS408で決定した各パレットPの流通経路に基づき、ステップS407で抽出された輸送機器1夫々に対して搬入すべきパレットPを、輸送機器1毎に決定する(ステップS410)。輸送を終了する輸送機器1であって搬入すべきパレットPが存在しない場合は、存在しないとして決定すればよい。制御部30は、ステップS407で抽出した輸送機器1の情報(入庫予定時刻順のキュー)を入庫予定情報として拠点サーバ21へ送信する(ステップS411)。制御部30は、受信した輸送機器1の情報に対応する搬出及び搬入の指示情報を拠点サーバ21へ送信する(ステップS412)。搬出及び搬入の指示情報は、ステップS409及びS410で決定した輸送機器1毎のパレットPのパレット識別情報と、該パレットPが収容されているパレット収容部及び収容先とするパレット収容部の収容部識別情報との対応を示す。
制御部30は、ステップS408で決定した輸送機器1の行き先(移動経路)を輸送機器1の通信機又は運転者が所持する携帯端末装置へ送信する(ステップS413)。通信機又は携帯端末装置では行き先を示す情報を受信すると、ナビゲーションプログラム等を用いて運転者へ行き先を通知するとよい。輸送機器1が自動運転制御機能を有していてもよく、この場合輸送機器1は通信機を介して行き先の指示を受けて運転する。
次に制御部30は、輸送機器1へ搬入済み即ち出庫済みとなったパレットPのパレット識別情報(出庫パレット情報)を各所の拠点サーバ21から取得する(ステップS414)。パレット識別情報には、パレットPを収容している収容部識別情報が対応付けられている。
拠点センター2にて搬出されたパレットPの内、搬出された拠点センター2を目的地としているパレットPは、その荷受人情報に基づいて対応する集積センター5又は拠点センター2に並設(兼用)されている集積センター5に集積される。集積センター5では、検品装置50にてこれらを検品し、目的地に到着したパレットPであることを検知し、該パレットPのパレット識別情報を集積サーバ51へ通知する。集積サーバ51は、到着パレット情報として通知されたパレット識別情報を集積地DB500に記憶する。
中央サーバ3の制御部30は、各所の集積サーバ51から目的地に到着したパレットPのパレット情報を取得する(ステップS415)。制御部30は、送り元の集積サーバ51へ到着を通知する(ステップS416)。そして制御部30は、ステップS414及びS415にて取得した情報により、物流DB310の輸送機器情報311、パレット情報312、及び拠点センター情報313を更新し(ステップS417)、処理を終了する。ステップS417では、拠点センター2を出発して移動中の輸送機器1に収容されているパレットの最新情報により更新され、目的地に到着したパレットの情報は削除される。これにより、中央サーバ3にて輸送中のパレットPの所在を夫々把握する。
図18は、パレットPの流通経路及び輸送機器1の移動経路の決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図18のフローチャートに示す処理手順は、図16及び図17のフローチャートに示した処理手順の内のステップS408の詳細に対応する。中央サーバ3の制御部30は経路決定部301として、以下の処理を実行する。制御部30は拠点センター2毎に以下の処理を行なうとよい。
制御部30は、流通経路の決定対象とする輸送中でないパレットPのパレット識別情報を抽出する(ステップS801)。ステップS801において制御部30は例えば、対象とする拠点センター2に対応する集積センター5で抽出されている未発送のパレットPのパレット識別情報、対象の拠点センター2に存在していて搬入先が決定されていないパレットPのパレット識別情報をまず抽出する。
制御部30は、流通経路の決定対象として輸送中のパレットPのパレット識別情報を抽出する(ステップS802)。ステップS802において制御部30は例えば、対象とする拠点センター2へ向かう輸送機器1の荷台、又は積載されているコンテナC内に収容中のパレットPのパレット識別情報も抽出する。
制御部30は、抽出したパレット識別情報に対し夫々、既に対応付けられているパレット収容部の収容部識別情報を、対象の拠点センター2にて搬出可能となる推定と共に特定する(ステップS803)。ステップS803において制御部30は、収容先が未だ対応付けられていないパレット識別情報(実際に収容されていないパレットPのパレット識別情報)には、空の情報を特定する。
制御部30は、対象とする拠点センター2へ所定時間後以降、入庫し、出庫する予定の複数の輸送機器1の機器識別情報を出発予定時刻の早い順に抽出する(ステップS804)。制御部30は、ステップS804で抽出した輸送機器1の機器識別情報について、行き先を仮決定する(ステップS805)。ステップS805で制御部30はまず、輸送機器情報311における運行情報に基づき、その時点での移動経路に基づいて決定する。
制御部30は、ステップS804で抽出した機器識別情報で識別される輸送機器1の荷台のパレット収容部の収容部識別情報、又は輸送機器1に積載されるコンテナCのパレット収容部の収容部識別情報1つずつに対し、制御部30はステップS801及びステップS802で抽出したパレット識別情報を1つずつ割り当てる(ステップS806)。ステップS806において制御部30は、ステップS805で仮決定されている行き先に、流通経路における拠点センター2の経由順序が合致し、且つ拠点センター2にて搬入可能になる推定時刻が条件を満たすパレットPのパレット識別情報を割り当てる。なおパレットPのパレット識別情報には、発送受付時に、目的地までに経由する予定のパレット収容部夫々の収容部識別情報が輸送機器識別情報(及びコンテナ識別情報)との組み合わせにより、順に対応付けられていてもよく、この予定に基づいて割り当ててもよいし、その時点時点で刻々と変わり得る条件に応じて新たに割り当ててもよい。
ステップS806で割り当てられた複数の輸送機器1夫々におけるパレット収容部の収容部識別情報及び収容されるパレットPのパレット識別情報、各パレットPの目的地、輸送機器1に対し仮決定された行き先を、各パレットPの到着日時を守る条件下で、輸送可能な輸送機器1の数を守り、パレット収容部の空き数を最低限にするようにして最適化する(ステップS807)。最適化は、ステップS804からステップS806の処理を繰り返し実行するとよい。輸送機器1の出発予定時刻(順序)、行き先を変更しながら最適化するとよい。
ステップS807の処理の結果、輸送機器1又はコンテナC毎に、パレットPのパレット識別情報と、搬入装置204へ搬入する時点で収容する収容先の収容部識別情報との対応関係が定まり、また搬出装置201で搬出すべきパレットPのパレット識別情報が定まる。
このように本実施の形態における物流システム100は、パレットPを収容可能なパレット収容部が収容部識別情報にて各々識別可能に区分されたパレットフレーム11を用いた輸送機器1の荷台又はコンテナCによる物品の搬出搬入が可能である。物流システム100においては、上述したように輸送機器1を識別する識別情報と、パレット収容部の収容部識別情報との組み合わせにより、物流システム100における全てのパレット収容部を各々特定することができる。組み合わせは具体的には車輌識別情報と収容部識別情報との組み合わせか、又は機体識別情報、船体識別情報若しくは車体識別情報とコンテナ識別情報と収容部識別情報との組み合わせである。そして、物流システム100では、輸送機器1は夫々、拠点センター2に立ち寄り、荷台又はコンテナC内に収容されているパレットPの一部又は全部を立ち寄り先の拠点センター2で搬出し、空いているパレット収容部にパレットPを搬入して出庫する。つまり輸送機器1は輸送している物品を出発点から目標地点まで全て収容し続けることなく、拠点センター2にて、一部を積み下ろしたり、空いているパレット収容部に新たな物品を収容したりすることができる。また拠点センター2には、中央サーバ3及び拠点サーバ21からの指示を受けて搬出及び搬入を行なう設備(搬出装置201、ソータ203、搬入装置204)が存在する。このように物流システム100では、輸送機器1側でパレットフレーム11を有し、どの収容部にどの物品が収容されているか、また収容されるべきかを特定することができ、更に拠点センター2でパレットP及びパレット収容部単位で一部を搬出し、搬入する仕組みが実現できる。この仕組みにより、中央サーバ3にて各輸送機器1が既に輸送を開始した後、拠点センター2に輸送機器1が到着する時点における物流システム100全体でのパレットPの輸送状況及び交通情報に応じて、輸送機器1(又はコンテナC)のいずれのパレット収容部からいずれのパレットPを搬出し、空いているパレット収容部を把握していずれのパレットPをその空きパレット収容部に搬入すべきかを、輸送機器1が拠点センター2に到着するよりも少し前(ソータ203、搬入・搬出装置201,204における処理に要する時間の猶予)に再決定することが可能である。輸送機器1が移動する経路全体(国際間に亘ったとしても)を、マテハンシステムにおけるラインのようにみなして制御することが可能になる。
本実施の形態における物流システム100では、中央サーバ3の制御部30の販売受付部302の処理により、物流システム100の利用を希望する物品の発送者側又は荷受人側にて情報処理装置6を用い、輸送機器1のパレット収容部の占有権(搬送チケット)を購入することを可能とする。
図19は、中央サーバ3により提供されるインタフェースの内容例を示す図である。中央サーバ3の記憶部31に記憶されてあるWebサーバプログラム33Pに基づき、Webサーバ機能によって、販売受付部302の処理により、図19に示すようなWeb画面60を情報処理装置6にて表示させる。Web画面60には、パレットPに搬送対象の物品を集積する集積センター5又は拠点センター2の選択欄601、発送日時の選択欄602、荷受人の住所、居所に対応する拠点センター2の選択欄603、及び到着希望時刻の選択欄604が含まれる。発送者情報、荷受人情報、物品のサイズ、種類、冷蔵・冷凍の有無等の条件の入力欄605も含まれる。Web画面60には、選択欄601〜604、及び入力欄605にて選択及び入力された情報に基づく流通経路の検索を受け付ける検索ボタン606が含まれる。検索ボタン606が選択されると、候補表示及び選択を可能とする選択欄607が表示される。選択欄607にて表示される流通経路の候補には、各々の搬送代金が対応付けて表示される。また画面60には、候補の内のいずれかを選択して決定するために使用する決定ボタン608も表示される。搬送代金については、外部サービスである決済システム、又はシステム内部に設けた決済システムと連携されるとよい。
図20は、物流システム100での搬送のためのチケット販売受け付けの手順の一例を示すフローチャートである。制御部30は例えば、図19に内容例として示した画面60内の検索ボタン606が選択されると以下の処理を行なう。
制御部30は販売受付部302の機能により、パレットPへの積載が行なわれる集積センター5又は拠点センター2の選択を受け付け(ステップS601)、及びパレットPを発送可能な状態とすることができる発送日時を受け付ける(ステップS602)。
制御部30は、選択された集積センター5又は拠点センター2から、発送される拠点センター2及び目的地となる拠点センター2を決定する(ステップS603)。制御部30は決定された発送地点及び目的地に基づき、拠点センター2の中継経路を決定する(ステップS604)。制御部30はこの時点で、決定した中継経路、ステップS602で選択した発送日時に基づき推定される搬入可能となる時刻、到着希望時刻に基づき、推定時刻に搬入可能なパレット収容部、目的地までに経由するパレット収容部夫々の収容部識別情報を紐づけた一連の収容部識別情報を複数パターン分、候補として抽出する(ステップS605)。制御部30は、決定した中継経路及び抽出した収容部識別情報の候補に基づいて代金を算出し(ステップS606)、候補となる中継経路の一覧を算出した代金と共に表示させる選択欄607を出力する(ステップS607)。
制御部30は、選択欄607にて経路の選択を受け付け(ステップS608)、物品が積載され、発送されるパレットPのパレット識別情報を、選択された経路に対応する最初の輸送機器1のパレット収容部の収容部識別情報に対応付けて物流DB310に記憶する(ステップS609)。制御部30は、選択された経路に基づく代金の処理(事前又は事後)を実行し(ステップS610)、処理を終了する。
なおステップS609で決定した対応付けに対し、発送される物品の流通経路を識別する識別番号を発行しておき、物品の搬送の依頼に対応付けて記憶し、受付処理後に情報処理装置6に表示させるとよい。この識別番号により、発送後の物品の実際の流通経路、即ち、変更がされた場合もこれを反映して、いずれの輸送機器のいずれのパレット収容部にて搬送されているかを、搬送中に追跡できるようにしておくことが好ましい。
なお上述したチケットの売買は、その時点その時点における物流システム100の状況に応じて、パレットPのパレット識別情報を空いているパレット収容部の収容部識別情報に対応付けることに限らない。チケットの売買は中央サーバ3において事前に、需要予測に基づき発送地点となる拠点センター2毎に、パレットPの数及び夫々の目的地を推測しておくとよい。そして中央サーバ3は、輸送機器1の荷台又はコンテナCをパレット収容部単位でシェアして、需要予測された各パレットPについて、いずれのパレット収容部を経由していけば目的地にパレットPを届けられるかを、パレット収容部への紐づけ、及び輸送機器1の移動経路の最適化により夫々決定しておく。
なおこの需要予測及び最適化については、過去の運輸データ等に基づいて学習プログラム32Pに基づき、深層学習、機械学習などの技術を利用して行なわれることがより好ましい。図21は、中央サーバ3における需要予測及び流通経路の最適化に関する機能ブロック図である。
まず中央サーバ3は、物流DB310、外部の記憶装置又は内蔵の記憶部31に、過去の実績データを記録している。実績データは、物品が積載された集荷済みパレットPの数を日にち及び時間帯別に、集荷された集積センター5の識別情報毎に記録したものを含む。実績データは、パレットPの発送日時を拠点センター2毎に記録したもの、各パレットPの経路(経由した拠点センター2の識別情報)を記録したものを含む。制御部30は、需要予測として実績データを例えば日毎に集計し、更に、実績データをその日の天候、季節、気温、曜日、特異日、イベントの有無、イベントの種類、交通情報等の環境条件を示す環境データと対応付ける。実績データを環境条件で集計する。例えば季節又は月毎に、気温別に、平均集荷数を拠点センター2別に集計する。集計は1時間毎など、時間帯別であってもよい。これにより、春の気温が25度であった日曜日の集荷数は、過去5年間で平均数がxであるなどと集計することができる。
中央サーバ3の制御部30は、記録されている過去の実績データから、データを取得する取得部303、取得したデータに対して需要予測にかかる学習処理を実行する第1学習部304、流通経路にかかる学習処理を実行する第2学習部305として機能する。取得部303は、実績データから条件に応じて学習対象データを抽出し、学習データ、この場合、例えば拠点毎の時間別の出荷数を作成する。第1学習部304は、機械学習(例えばRNN(Recurrent Neural Network))を用い、日付、天候、季節、気温、曜日、特異日、イベントの有無等の条件を入力層とし、時間別入出庫(出荷)パレット数及び目的地を出力層とした、隠れ層を含む需要予測NNを作成する。需要予測NNは、拠点毎に作成するとよい。なお機械学習はRNNに限らず、これを拡張させたLSTM(Long Short-Term Memory)、DBN等であってもよいし、多層で学習を行なうDBN(Deep Belief Network)を用いてもよい。また各パラメータを二次元データに展開させてCNN(Convolutional Neural Network)を利用してもよい。
図22は、第1学習部304における需要予測NN作成の処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部30は、取得部303および第1学習部304として、例えばチケット販売を受け付ける所定日数前に、拠点毎に以下の処理を繰り返し実行する。
取得部303として制御部30は、実績データを拠点毎、時間別に、環境データ(天候、季節、気温、曜日等)とともに抽出して取得する(ステップS701)。
次に制御部30は、ステップS701で取得したデータに対し、第1学習部304として入力層を作成する(ステップS702)。そして制御部30は第1学習部304として、例えば時間別のパレット数の出力層を作成する(ステップS703)。
制御部30は第1学習部304として初期的に、所定の階層数及びノード数からなる隠れ層を含む中間層を作成する(ステップS704)。制御部30は第1学習部304としてステップS701で取得部303が取得した時間別の出荷数の実績である学習データを用いて、中間層における各種パラメータについて学習を行ない(教師あり学習)(ステップS705)、処理を終了する。
これにより、制御部30は、環境データを入力すると拠点センター2別に、時間別の出荷数及びそれぞれの目的地を出力する需要予測NNを得ることができる。制御部30は、この需要予測NNを拠点センター2毎に求め、記憶部31に記憶しておく。このようにして集計に基づき、多様な環境データを入力した場合に、各拠点センター2又は集積センター5におけるパレット数の時間帯別の数、及び夫々の目的地を出力するNNにおけるパラメータ等の条件が、実績データを正解として求められ、記憶される。
次に制御部30は、学習プログラム32Pに基づき、過去の輸送実績から、環境データと、上述の処理により得られた拠点センター2毎の時間帯別のパレット数とに基づいて、各パレットPが目的地へ到着するまでの所要時間を短縮するための流通経路を最適化する。このとき上述したようにニューラルネットワークを利用した深層学習により、全体として各パレットPの目的地までの所要時間を短くする最適な流通経路を割り出すようにしてもよい。例えば第2学習部305として制御部30は、例えばCNNを用い、実績データから取得したデータに基づいて各拠点センター2又は集積センター5におけるパレット数の時間帯別の入出庫の数、それぞれの目的地を入力層とし、各物品の目的地への所要時間、各目的地の時間別の到着パレット数又は所要時間を出力層とする流通経路最適化NNを作成する。出力層は、環境面、人的あるいはエネルギー面での効率性を表す指標等であってもよい。また流通経路最適化NNは、拠点をそれぞれノードとみなし、NN自体を経路とみなして学習を行なうことで作成してもよい。
例えば以下のように行なう。図23は、第2学習部305による流通経路最適化NN作成の処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部30は取得部303及び第2学習部305として、実績データに基づいて流通経路最適化NNを作成しておき、例えばチケット販売前に、拠点センター2毎の時間帯別のパレットPの入出庫数の予測値と環境データとを入力した場合に、各荷物の最適な流通経路の予測を得られるようにしておく。流通経路最適化NNは、各日等の一定期間毎に、実際の流通経路、所要時間等の情報と、各日の環境データとからより精度良い流通経路予測ができるように、パラメータを最適化するように更新し続けてられることが好ましい。
まず取得部303として制御部30は、過去の輸送実績を示す実績データから、拠点センター2毎の時間帯別の入出庫(又は出荷)パレット数、環境データを抽出して取得する(ステップS901)。
制御部30は第2学習部305として、取得したデータから入力層を作成する(ステップS902)。第2学習部305として制御部30は、所要時間等の出力層を作成する(ステップS903)。そして制御部30は、あらかじめ取得部303が取得した所要時間(各物品の所要時間)の実績である学習データを用い、隠れ層を含む中間層を作成する(ステップS904)。そして第2学習部305として制御部30は、隠れ層を含む中間層における各種パラメータについて学習を行なう(ステップS905)。
ステップS904で制御部30は、第2学習部305として所要時間を実績との誤差を最小化するパラメータの学習中に、各ノード間の重みに対して、拠点間の輸送機器数、パレット収容部の上限等に基づいて制限をかける検証を行なう(ステップS906)。第2学習部305として制御部30は、出力が最適化(誤差最小、指標値最小、所要時間最小等の条件が満たされたか)できたか否か評価を行ない(ステップS907)、評価の結果、最適化できていないと評価された場合(S907:NO)、制御部30は処理をステップS905へ戻し、検証及び学習を繰り返す。ステップS907で最適化できたと判断された場合(S907:YES)、制御部30は処理を終了する。なお制御部30は、処理をステップS904へ戻してノード数等を変えるなど中間層の作成し直しを行なうようにしてもよい。
これにより、拠点毎の入出庫パレット数の予測値、環境データを入力すると、流通経路の最適解候補が得られる流通経路最適化NNが得られる。制御部30は、予測にかかる流通経路最適化NNに対し、需要予測NNから得られる拠点毎の時間帯別パレット数の予測数、環境データを入力として、予測される各荷物の最適な流通経路の割り当てを仮決定する。
更に制御部30は、学習プログラム32Pに基づき、輸送実績における拠点センター2毎の時間帯別のパレット数に基づいて輸送機器1の運行計画を導出しておく。運行計画は上述した流通経路最適化NNにおける拠点ノード間の重みから求めてもよい。また、以下のように導出してもよい。
図24は、運行計画の最適化処理を示す模式図である。運行計画の導出はまず、各拠点センター2に時間帯別に輸送機器1を初期値として存在させ、拠点設備間のルートに輸送機器1を割り当てる。輸送機器1を識別する機器情報及び輸送機器1に積載されるコンテナCのコンテナ識別情報には夫々、パレット収容部の収容部識別情報が対応付けられており、輸送機器1又はコンテナC毎のパレット収容部の数は特定できる。制御部30は、ルート毎に流通可能なパレットの数を配分し、輸送機器1の数、空き収容部の数を最小にするための輸送機器1の配置及び移動ルートを求める。ボトルネックになる部分のルートから順に、効率的に中継できる輸送機器1の配分を求める。
そして制御部30は、チケット販売対象とする日の需要予測を行なう。その日の季節、予想気温、予想交通量等を外部サービスから取得して環境データを需要予測NNへ入力することで、各拠点センター2又は集積センター5におけるパレット数を出力することができる。需要予測により得られたパレット数とその目的地を用いて、上述の流通経路最適化NNを用いて各荷物の運行計画を求める。運行計画については実績データから導出された輸送機器1の配分を初期値として、各パレットを目的地まで最小の所要時間、パレット収容部の空きの数、輸送機器1夫々の移動距離を最小とするように最適化する。
図24に示す例では、50個のパレットPについて、発送地点である拠点センター2(図24中でSで示す)から目的地である拠点センター2(図24中でGで示す)まで、異なる拠点センター2を経由する2つの流通経路がある場合を考える。発送地点である拠点センター2には、パレットPを10個収容可能な輸送機器1が複数台存在するとする。上のルートには、中継点から発送地点Sまでに、30個のパレットPを運ぶ3台の輸送機器1があり、目的地点から中継点までに20個のパレットPを運ぶ2台の輸送機器1がある。下のルートには、中継点から発送地点Sまでに、10個のパレットPを運ぶ1台の輸送機器1があり、目的地点から中継点までに40個のパレットPを運ぶ4台の輸送機器1がある。下のルートで50個のパレットPを全て搬送しようとすると、新たに必要な輸送機器1は中継点までに4台、中継点から目的地点までに新たに1台、計5台必要である。なおこの場合、輸送機器1はいずれも拠点センター2間を往復移動するという条件である。この場合、図24に示すように、上ルートで20個のパレットPを搬送し、下ルートで30個のパレットPを搬送するとすることで、荷台又はコンテナCが空となった輸送機器1の数を最小限とすることができる。
制御部30は、最適化された配分に基づき、各拠点センター2又は集積センター5にて販売できるチケットの数(パレット収容部の数)を、時間帯別に設定し、これを記憶部31に記憶しておく。制御部30は販売受付部302の処理により、各拠点センター2又は集積センター5にて日毎に、時間帯別に記憶部31に記憶されているチケットの数に基づいて、受け付けられた発送地点及び目的地点に基づき、チケットの販売を受け付けるとよい(図19及び図20)。
そして、ここで販売されたチケットによって、各拠点での時間帯別の出荷パレット数が確定する。これに基づいて、制御部30は第1学習部304、及び第2学習部305として、学習結果(需要予測NN、流通経路最適化NN)に対して逐次見直しを行なうとよい。また、図18のフローチャートに示した流通経路及び行き先の決定も、NNを用いた学習処理によって最適化を逐次行ない直し、修正して最適化するとよい。また、拠点センター2毎にパレット数に偏り、又は、取り扱える範囲を超えた場合にトリガを出して分散させる処理を行なう等するとよりよい。このようなチケットの販売により、番地分けされた輸送機器1の荷台又はコンテナCが、パレット収容部単位でシェアされる。これにより、輸送機器1が大型トラックである例であれば、2段組の荷台を用いることでコストを24分の1に削減することが期待できる。またチケットによってパレット収容部毎のシェア販売を受け付けることにより、荷主業者は、搬送の条件を搬送事業者に任せることなく、例えば図19の画面で示したように、搬送条件を比較検討して搬送経路を選択することが可能である。このように、荷主業者は自身でシェアエリアを確保することが可能である。
なお最適化処理では、目的地に到着したパレットPから物品が取り出された後の空のパレットP自体の流通をも考慮すべきである。積載されていないパレットPのパレット識別情報も最適化処理に含めるとよい。勿論、目的地に到着したパレットPは、直ちに他の物品が積載されて流通することが望ましい。
中央サーバ3の制御部30は、以下のような処理手順で各パレットPの流通経路、及び輸送機器1が経由すべき拠点センター2、及び目的の拠点センター2を決定してもよい。次に示す図25及び図26のフローチャートは、中央サーバ3の制御部30による処理手順の他の一例を示すフローチャートである。
中央サーバ3の制御部30は、パレットP(物品)の出荷予定情報を取得しておく(ステップS301)。出荷予定情報は、本実施の形態における物流システム100への出荷の予定を、生産者夫々又は複数の生産者が所属する組織のオペレータが登録しておくことで得られる情報である。出荷の予定の登録は例えば、中央サーバ3と通信が可能なWebサーバが、提供するWebページを介して、出荷予定日付、品目、出荷数、荷受人、荷受人住所、及び到着希望日時等の出荷予定の荷物の情報の入力を受け付ける。Webサーバは受け付けた情報を中央サーバ3へ送信し、中央サーバ3はこれらの情報を受信して出荷予定情報として物流DB310に記憶する。なおこのとき中央サーバ3の制御部30は、荷物の到着希望日時毎に荷受人住所の名寄せを行なうとよい。同様にして制御部30は、到着希望日時に対応するように同一の拠点センター2へ到着すべき荷物の数等を算出しておいてもよい。
次に制御部30は、輸送機器1に搭載されている通信機(車載機等)又は運転者が所持する携帯端末装置から位置情報を、キャリアネットワークN2を介して逐次取得する(ステップS302)。更に制御部30は、通信機又は携帯端末装置から各輸送機器1の運行情報を取得する(ステップS303)。ステップS303で取得する運行情報とは例えば、各輸送機器1の行き先、その他運転者から受付可能な情報(運転可能時間等)である。制御部30は、取得した位置情報及び運行情報により、輸送機器情報311を更新する(ステップS304)。更に制御部30はネットワークNを介して外部サーバから交通情報を取得する(ステップS305)。交通情報は旅行時間の情報、渋滞情報、遅延情報、工事中区間情報等を含む。
制御部30は、各所の集積サーバ51から農作物Fが載置されたパレットPのパレット情報を取得し(ステップS306)、各所の拠点サーバ21から拠点センター2のマテハンシステム20内に存在するパレットPのパレット識別情報の情報を取得する(ステップS307)。ステップS307において制御部30は、拠点センター2に入庫中で搬送前待機中である入庫パレット情報、出庫パレット情報、バッファ棚のキャパシティ及び保管中のパレットPの情報を取得する。制御部30は、ステップS306及びS307で取得したパレット識別情報によりパレット情報312及び拠点センター情報313を更新する(ステップS308)。制御部30は拠点センター2毎に、該拠点センター2から搬送すべきパレットPのパレット識別情報に基づき、各々の目的地の拠点センター2と各パレットPに対応する到着希望日時とでパレットPの情報を集約する(ステップS309)。
制御部30は、輸送機器1の現在位置に基づき、いずれかの拠点センター2に向かっている輸送機器1の到着予想時刻のキューを作成する(ステップS310)。キュー内の輸送機器1の識別情報と、物流システム100で受け付けた(集積サーバ51で一旦記憶された)全パレットPのパレット識別情報、現在位置、および目的地に基づき、制御部30は各パレットPの流通経路(経由する拠点センター2及び搬送する1又は複数の輸送機器1)を輸送機器1の識別情報及び収容部識別情報との組み合わせで決定する(ステップS311)。このとき制御部30は、流通経路に関係する輸送機器1の行き先を所定の条件下で決定する(ステップS312)。所定の条件とは上述したように、出発地点から最長でも運転者の1日の労働時間内で輸送機器1が1往復して出発地点に戻って来られる距離であり、一回の連続運転が4時間等の条件である。なお流通経路の決定処理については後述する。
決定した流通経路に基づき、制御部30は拠点センター2に入庫する輸送機器1に搬入すべきパレットPを決定する(ステップS313)。制御部30は、ステップS311で決定した流通経路に基づき、拠点サーバ21へ、ステップS310で作成した到着予想時刻のキューと、パレットPのパレット識別情報に対応付けて、該パレットPのパレット情報(重量等)、及び該パレットPの搬入先のパレット収容部の車輌識別情報及び収容部識別情報の組み合わせ等を指示する指示情報とを送信する(ステップS314)。送信先の拠点センター2ではその都度、到着予想時刻のキュー及び指示情報に基づいてソータ203による搬入準備が開始される。
そして制御部30は、ステップS312の決定に基づいて、輸送機器1の通信機又は携帯端末装置へ該輸送機器1の行き先を示す情報を送信する(ステップS315)。通信機又は携帯端末装置では行き先を示す情報を受信すると、ナビゲーションプログラム等を用いて運転者へ行き先を通知するとよい。運転者が行き先を確認することにより、通信機又は携帯端末装置からこの時点で再度、行き先、到着予想時刻等を含む運行情報等が送信される。
次に制御部30は、輸送機器1へ搬入済み即ち出庫済みとなったパレットPのパレット識別情報(出庫パレット情報)を各所の拠点サーバ21から取得する(ステップS316)。制御部30は、取得した情報によって物流DB310の輸送機器情報311、パレット情報312、及び拠点センター情報313を更新する(ステップS317)。
そして制御部30は、目的地の集積センター5の集積サーバ51から目的地に到着したパレットPのパレット情報を受け付け、物流DB310を更新して目的地に到着したパレットの情報を削除する(ステップS318)。制御部30は、送り元の集積サーバ51へ到着を通知し(ステップS319)、処理を終了する。そして制御部30は、1日の終わりにバッチ処理的に、その日の各パレットPの経由地点の情報に基づき最適解を求めるための学習処理を学習プログラム32Pに基づいて行なうようにしてもよい。
ステップS311における流通経路の決定処理について一例を示す。図27は、流通経路の決定処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部30は、最適化プログラム31Pに基づいて以下の処理手順を実行してもよい。
制御部30は、当日における輸送機器1の投入計画台数と、各輸送機器1の位置情報及び運行情報とに基づいて、当日における輸送機器1の運行計画を作成する(ステップS101)。このとき、各輸送機器1の運行計画は、上述の所定の条件(出発地点から最長でも運転者の1日の労働時間内で輸送機器1が1往復して出発地点に戻って来ることができる、一回の連続運転が4時間である等)を満たすように経路を予測して作成される。ステップS101において制御部30は、ステップS305で取得した交通情報を用いる。
制御部30は、ステップS301で取得した出荷予定情報と、後述の学習データとに基づいて出荷(集積センター5で集約)されるパレットPの数、各パレットPの搬送範囲(出荷先)と、それらに基づく拠点センター2における業務量を予測する(ステップS102)。
制御部30は、当日出荷予定の物品(パレットP)夫々の到着希望日時、荷受人住所に対応する目的地となる拠点センター2の位置とに基づき、各パレットPについてこれを搬送する輸送機器1における収容先であるパレット収容部(収容部識別情報)と積み替えが行なわれる拠点センター2とを仮決定する(ステップS103)。
制御部30は、運行計画と輸送機器情報311にて各時点で更新される輸送機器1の位置情報と、交通情報とに基づいて、輸送機器1毎に目的地である拠点センター2への到着時刻を予測する(ステップS104)。
次に制御部30は、各拠点センター2のマテハンシステム20における搬出及び搬入の作業のキャパシティを予測する(ステップS105)。ステップS105にて制御部30は、各拠点センター2に到着した輸送機器1の到着時刻と、到着予定の輸送機器1の到着予想時刻とに基づいて、各輸送機器1に対する搬出(荷下ろし)待ち時間、搬入待ち時間を予測する。
そして制御部30は、各拠点センター2のバッファ棚を含むマテハンシステム20におけるパレットPの保管のキャパシティを予測する(ステップS106)。制御部30は、拠点センター2に存在するパレットP(入庫中パレット情報、搬出装置201、及び搬入装置204内に存在するパレットP)の数と、輸送機器1の到着予想時刻とに基づいて各時点における拠点センター2でのパレットPの保管数を予測する。
制御部30は、ステップS103で仮決定した輸送機器1及び積み替え拠点に基づき、最適化処理を実行する(ステップS108)。ステップS108の最適化処理ではまず、制御部30は、輸送機器1におけるパレット収容部を仮決定できていないパレットPを抽出する。また制御部30は、仮決定したパレット収容部及び積み替え拠点における作業キャパシティ、積み替え後の輸送機器1の運行計画に基づく到着予想時刻が、パレットPに搭載されている物品の到着希望日時から遅延している場合にこのパレットPを抽出する。また、保管キャパシティを超える場合には、保管しきれないパレットPを抽出する。更に制御部30は、パレット収容部が仮決定できているパレットPのパレット情報に基づき、輸送機器1毎に、パレットPの総積載重量、運行時間を算出する。制御部30は、同一の目的地(拠点センター2)への輸送機器1間で総積載重量が適切となるように交換し、運行時間を再算出する。そして制御部30は、個々のパレットPの搬入先のパレット収容部をその重量に基づき決定する。例えば制御部30は、決定されているパレットPの内の比較的重いパレットP(同一輸送機器1内で平均重量以上のパレットP)はパレットフレーム11の下段のパレット収容部に対応させる。また制御部30は、比較的重いパレットPは、パレットフレーム11の内のトラック前方寄りのパレット収容部に対応させる。そして抽出されたパレットPについて、各輸送機器1の運行計画に基づき適切な目的地へ向かう輸送機器1の空いているパレット収容部に、目的地に着くまで対応させる。
ステップS108の最適化処理で制御部30は更に、拠点センター2毎に、時間当たりの輸送機器1及びパレットP単位での入庫数及び出庫数を算出するとよい。そして時間当たりのパレット保管数を算出する。最適化処理では更に、各時点で取得できる交通情報を参照して経路を決定するとよい。また過去の最適化したパターンと照合してもよい。制御部30は、仮決定した輸送機器1及び積み替え拠点に基づき、パレットPが到着希望日時以前に最終的な拠点センター2へ到着すると判断できる場合には仮決定から決定へ移行し、到着できないと判断された場合は仮決定できていないパレットPであるとして再度処理を実行する。全ての項目(到着希望日時、最適な総積載重量、可能な範囲での保管キャパシティ等)について問題がないと判断されるまで、制御部30は、最適化計算を繰り返す。これらの最適化処理は、逐次行なわれるので一旦決定した流通経路にその後従わずともよく、再度最新の交通情報等を参照しながら最も効率のよい経路を決定するとよい。
図27のフローチャートに示す処理手順は、10分に一度などの比較的短い周期で刻々と変化する状況に合わせて流通経路の再決定として実行されるとよい。また図27のフローチャートに示す処理手順にて、所定の回数以上の最適化処理を実行しても最適な流通経路を決定できないパレットPが存在する場合には、制御部30は管理者識別情報に対応付けて記憶されている連絡先情報に基づき管理者へ通知を行なうとよい。通知をうけた管理者により、そのパレットPの経路については再決定されるか、又は投入予定の輸送機器1の数を増加させるなどの処置がなされる。
中央サーバ3の制御部30は、図25〜図27のフローチャートに例として示した処理手順を、繰り返し、又は一部を同時並行的に行ない、物流DB310を更新する。このようにして、中央サーバ3からの中央制御により、各パレットPの最適な経由地点、搬入する輸送機器1の最適解を求めてこれに即した搬送を実行することができる。なお中央サーバ3から拠点サーバ21の各指示は、拠点サーバ21からの問い合わせに応じて行なうようにしてもよい。
日本における従来の物流システムでは、本実施形態で開示したような拠点センター2を複数設けて荷物を集荷した箇所の拠点から、荷受人の最寄りの拠点まで拠点間を中継しながら荷物を搬送するシステムは、迅速性及び確実性を維持するには適切でないとされてきた。従来、集荷場所から荷受人の最寄りの拠点まで、1つの搬送車輌が連続運転により物品を搬送するといった方式が、最も効率的であるとされている。つまり1つの物品を搬送する場合に送り主から宛先までドアtoドアで輸送機器1を貸し切り状態としてきた。これにより物流スピードが維持されてきたのである。しかしながら、搬送方法では、搬送車輌として用いられるトラックは、行きは荷台にはある程度物品を搭載していても、帰りは物品が集まるまで待機するか、又は空のまま帰るなど、搬送効率が悪い場合がある。例えば、一日の連続運転可能時間8時間、一か月に上限26日までの条件下では、一日で到着可能な目的地まで物品を搬送する場合、搬送車輌の稼働率は、28%=(8時間/24時間)×(26日/31日)である。行き帰りの積載率が現状の実車平均率を適用した70%であるとしても、運行効率は稼働率と積載率とを乗算した14%程度(=28%×70%(行)×70%(帰))である。帰りの積載率が更に減少した場合には、運行効率は10%程度(=28%×70%(行)×50%(帰))になる。
これに対し、本実施の形態における物流システム100では、連続運転可能時間8時間の上限での運行は行なわれないから、十分に休憩を取ることで3〜4時間の距離の往復を2回繰り返すことが可能である。この場合、搬送車輌の稼働率は、56%=(最大4時間×4/24時間)×(26日/31日)に増大する。行き帰りの積載率が現状の実車平均率を適用した70%であるとしても、運行効率は稼働率と積載率とを乗算した28%程度(=56%×70%(行)×70%(帰))に倍増する。帰りの積載率が上昇することも十分に期待できるから、運行効率は35%程度(=56%×70%(行)×90%(帰))と増大する。長距離運転、宿泊等の費用も不要になるので、平均の利益が5倍以上となることが期待できる。
このように本実施の形態における物流システム100では、高速道路網をマテハンシステムにおけるラインのようにみなして、各物品について荷受人の最寄りの拠点(目的地)によって名寄せを行なった上でその目的地への流通経路を最適化する。そして流通経路内の経由点間を、高速道路網を走行する大型トラックにて搬送させる。これにより、搬送効率が劇的に向上し、また荷受人で名寄せを行なうから拠点センターから荷受人へも地域配送の効率も向上する。配送効率が向上することで配送費用も劇的に軽減されることが期待できる。なお高速道路網を全体としてラインとしてみて運営する組織は、全国展開されているチェーン形態の組織であることが求められる。輸送機器1はこの組織との契約とすることにより実現可能である。輸送機器1は拠点間の往復で済むから、時間の効率化もさることながら、労働環境の劇的な改善も可能である。例えば往復で一日以内に出発地点に戻ることができるから、これまで長距離トラックの運転者は、一週間の内に2、3日ほどしか自宅に帰ることができない等、過酷な労働環境となることを防止し、更に運転の担い手の増加が期待できる。
しかもこの物流システム100では、搬送する物品(パレット)をその生産者グループ(製造者)毎に分ける、即ち1つの車輌には同じグループが生産(製造)した物品しか載せない、といった分類を行なわない。したがって、どのような業者に所属する輸送機器1であってもこの物流システム100に参加することができる。そして日又は当日中の搬送も実現可能であり、スピードの低下を抑制することが可能である。更には、パレットP夫々について個別に流通経路を特定することができるから、品質破損又は償却のコントロールも可能である。
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。