JPWO2018180131A1 - 熱発電セル及び熱発電モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
一方、温度測定に使う熱電対には、安全性に全く問題のない熱電材料が使われているが、その熱電材料を用いた熱発電を行うには至っていない。
上記の状況下にあって、地球温暖化対策として環境に優しい熱発電を普及させるためには、Bi2Te3のような毒性のある材料ではなく、安全で安価な熱電材料を用いた熱発電を可能にする汎用性のある技術が必要である。
つまり、以下の[2]〜[6]の熱発電セルとして、熱伝導率の小さい絶縁膜と金属薄板を複合積層することで全体として見掛け熱伝導率を小さくし、金属の細線又は延長導体部を用いて複合積層体を迂回させて接続することで全体として見掛け電気伝導率を大きくする以下の創意工夫を行った。
また、素線4、5は温度差保持部として作用させるべく、素線4、5の断面積と長さを適切に選択する。発電素子における電圧と電流の関係を表す内部抵抗を極小化する構造とするために、素線4、5の断面積と長さを適切に選択すると共に、素線4、5を金属薄板1、2に機械的に接続して複合積層から引き出す構造として、金属の細線を用いて複合積層を迂回させて接続することで全体として見掛け電気伝導率を大きくして、内部抵抗を極小化している。
[5] 本発明の熱発電セルにおいて、好ましくは、上記の熱発電セルの絶縁膜として、積層間を絶縁することに加えて、積層間の熱変位を吸収する可塑性を有する絶縁材料を用いるとよい。
[8] 本発明の熱発電モジュールは、上記の単位ユニットからなる熱発電セルを用いた熱発電モジュールであって、熱発電セルの積層方向を加熱面に対し垂直に配置することを特徴とする。前記の加熱面は平面または曲面であっても良い。
[11] 本発明の熱発電セルにおいて、好ましくは、前記接合面206は、拡散接合またはレーザービーム溶接により接合されるとよい。
[12] 本発明の熱発電セルにおいて、好ましくは、第1と第2の帯状金属薄板の接合面206は、耐火材製枠210の内部で、前記絶縁層を挟んで折畳まれた構造を有するとよい。
[16] [14]に記載の熱発電単位ユニットは、さらに、第2の冷却絶縁油部312bと耐火材製枠310との間に架け渡される構造の第3の帯状金属薄板321と、耐火材製枠310と第1の冷却絶縁油部312aとの間に架け渡される構造であって、耐火材製枠310で第3の帯状金属薄板に接合された第4の帯状金属薄板322と、第3と第4の帯状金属薄板の接合面326と反対側面に位置する第3と第4の帯状金属薄板の接合反対側面に形成された第2の絶縁層323とを備え、第2の冷却絶縁油部312bで冷却される第2の冷接点307bには、第2の帯状金属薄板の冷接点側端部と第3の帯状金属薄板の冷接点側端部とを接合する構造を有し、第1の冷却絶縁油部312aで冷却される第1の冷接点307aには、第4の帯状金属薄板の冷接点側端部と第1の帯状金属薄板の冷接点側端部とを接合する構造を有するとよい。
・金属薄板とは、表1に示す材質で、厚さ0.1〜3mm、5〜100mm角サイズの薄板をいう。数値限定の理由は、厚さ0.1mm以下では接合加工が困難になり、3mm以上では積層数が少なくなるために有効な熱電流が得られないからである。5mm角以下のサイズでは接合面積が小さく有効な熱電流が得られず、100mm角以上では熱変形が大きくなり耐久性が低下するからである。
・素線とは、表1に示す材質で、直径0.1〜3mm、50〜200mmの長さの細線をいう。数値限定の理由は、直径0.1mm以下では電気抵抗が過大になり、直径3mm以上では熱伝導が過大になり、有効な熱電流が得られないからである。
・絶縁膜とは、マグネシア、ジルコニア、アルミナ等の無機材料で、3kV/mm程度の絶縁性に加え、積層間の熱変位を吸収する可塑性を有する耐熱接着剤で形成された膜状をいう。
・延長導体部とは、表1に示す材質で、厚さ0.1〜3mm、50〜200mmの長さ、幅2〜30mmの帯状の金属テープをいう。
・接続とは、例えば1000℃程度の高温における電気的な接続と機械的な接続が確保できるものが望ましく、例えばレーザービーム溶接を用いるとよい。
・接合とは、例えば0〜50℃程度の冷接点における電気的な接続と機械的な接続が確保できるものが望ましく、例えばロウ付けやはんだ付けを用いるとよい。
図1(A)、(B)においては、本実施の形態に係る熱発電セルは、熱発電単位ユニットを複数積層してなる複数積層体と、複数積層体の加熱部11側に設けられた集熱板8と、複数積層体の放熱部側に設けられた放熱板9とを備える。耐火材製枠10は、複数積層体の底面を集熱板8で被覆し、頂面を放熱板9で被覆した場合の、複数積層体の周面を覆う筒状の枠体で、第1の素線4と第2の素線5を引き出すためのスリットや開口窓が設けてあっても良い。耐火材製枠10で覆われる複数積層体には、第1の金属薄板1、第2の金属薄板2、及び絶縁膜3からなる積層体が複数積層されている。
熱発電単位ユニットは、第1の金属薄板1、第2の金属薄板2、絶縁膜3、第1の素線4、第2の素線5、接合面6、及び冷接点7を有している。
第1の素線4は、金属薄板1に接続されると共に、金属薄板1と同じ材質よりなる。第2の素線5は、金属薄板2に接続されると共に、金属薄板2と同じ材質よりなる。この接合は、例えば1000℃程度の高温状態においても、電気的な接続と機械的な接続が確保できるものが望ましく、例えばレーザービーム溶接を用いるとよい。
接合面6は、上述したように、第1と第2の金属薄板の接合面である。冷接点7は、第1と第2の素線の他端となる端部を接合したものである。ここで、第1と第2の素線の他端となる端部は、第1及び第2の金属薄板に接続された端部に対して、第1と第2の素線の反対側の端部である。
冷却部12は、熱発電単位ユニットの各々に設けられた冷接点7を幾つかのグループまたは一括して冷却する。
図1(A)に示す集熱板8で受熱した熱は、金属薄板1と金属薄板2を拡散接合した接合面6で熱起電力を発生し、絶縁膜3を貫通して上の層に伝わり、繰り返し熱起電力を発生しながら、熱流になって、放熱板9から大気放散される。一方、接合面6で発生した熱電流は、第1の素線4によって一旦、積層の外に出て、冷却部(12)にある冷接点7を経て、第2の素線5によって次の積層に戻る。上記のメカニズムが積層数と同じ数だけ繰り返し、増加した熱電流が正極から外部の負荷回路に流れる。
以上説明したように、各冷接点を一様に冷却すれば、接合面と冷接点の接続数に比例して電圧と電流が一様に増加し、熱発電セルの起電力は単位ユニットの積層数に比例する設計指針が得られる。
上記複合積層した金属薄板に接続した素線は、複合積層体の熱が伝わり難い直径と長さ、例えば、直径0.3mm、長さ70mmとし、素線の他端を接合して冷接点を形成する。
熱発電セルの底面を加熱し、素線の各冷接点を冷却すると、熱流は複合積層を貫通して低温側へ流れて熱発電セルの上面から放散される。一方、発生した熱電流は、素線の各冷接点を経由して複合積層に戻る迂回を繰り返して増加する。
12mm角で0.3mm厚の銅とコンスタンタンを、接合温度:約840℃、加熱時間:30分、加圧:約1.7MPa、接合雰囲気:約1.8×10−3Paで接合した。ここで、12mm角で0.3mm厚の銅は、第1の金属薄板1に相当する。また、12mm角で0.3mm厚のコンスタンタンは、第2の金属薄板2に相当する。銅とコンスタンタンの接合部位は、第1と第2の金属薄板の接合面6に相当する。
接合した12mm角の銅/コンスタンタンの薄板を図1(A)に示すように、絶縁膜を間に挟んで6層を重ねて積層した。
実施例1では、図3(b)に示すように、熱発電セル底面を250℃に加熱した場合、熱発電セルの上面温度は110℃と高く、未利用の熱量が多いことが判った。
そのため、実施例2では、積層数を実施例1の6層から50層に増やし、上面温度を室温近くに下げる。更にスケールアップとして、接合面を12mm角から50mm角に拡大し、300個の熱発電セルを平面配列(15×20)することにより、1.2kW/m2の太陽光発電と同等レベルの発電能力を有する熱発電モジュールになる。
図においては、本実施の形態に係る熱発電セルは、熱発電単位ユニットを複数積層してなる複数積層体と、複数積層体の加熱部31側に設けられた集熱板28と、複数積層体の放熱部側に設けられた放熱板29とを備える。冷却部32には、冷接点が熱的に接続されている。
熱発電単位ユニットは、第1の素線(24)、第2の素線(25)を有すると共に、図1(A)に示す熱発電単位ユニットと同様に、第1の金属薄板、第2の金属薄板、絶縁膜、接合面、及び冷接点を有している。
熱発電モジュールの加熱・冷却方式として、熱発電セルをチューブ状に配列したパイプ構造の熱発電モジュールの実施例3を図7に示す。
図においては、本実施の形態に係る熱発電セルは、熱発電単位ユニットを複数積層してなる複数積層体を、放射状に複数配置してある。チューブ状の中心空洞部には燃焼排ガスのような高温ガスや高温流体が流されるので、複数積層体の加熱部51側として集熱板48が設けられる。チューブ状の円筒外縁部には、複数積層体の放熱部側として放熱板49が設けられる。冷却部52は、例えば放熱板49に放熱フィンとして設けられるもので、好ましくは冷接点が熱的に接続されているとよい。
実施例1の第2の素線に代えて、この実施の形態では延長導体部が用いられる。延長導体部の形状は、例えば帯状やテープ状であり、素線と比較して断面積を大きく取りやすくなり、温度差保持部として作用させることも、金属の延長導体部を用いて複合積層を迂回させて接続することで全体として見掛け電気伝導率を大きくして、内部抵抗を極小化することもできる。
図においては、本実施の形態に係る熱発電セルは、熱発電単位ユニットを複数積層してなる複数積層体と、複数積層体の加熱部111側に設けられた集熱板108と、複数積層体の放熱部側に設けられた放熱板109とを備える。複数積層体は、各熱発電単位ユニットが電気的に直列に接続されている。ここで放熱板109側の熱発電単位ユニットが負極端子133と接続されており、集熱板108側の熱発電単位ユニットが正極端子134と接続されている。
絶縁膜103は、第1と第2の金属薄板の接合面106と対向する第2の金属薄板102の対向面に重ねて形成されたものである。第1の延長導体部104は、第1の金属薄板101に接続されると共に、第1の金属薄板101と同じ材質の帯状の金属薄板である。第2の延長導体部105は、第2の金属薄板102に接続されると共に、第2の金属薄板102と同じ材質の帯状の金属薄板である。冷接点107は、第1と第2の延長導体部104、105の、第1及び第2の金属薄板101、102に接続された端部に対して、他端となる端部を接合した冷接点である。
図8(A)に示す集熱板108で受熱した熱は、金属薄板101と金属薄板102を拡散接合した接合面106で熱起電力を発生し、絶縁膜103を貫通して上の層に伝わり、繰り返し熱起電力を発生しながら、熱流になって、放熱板109から大気放散される。一方、接合面106で発生した熱電流は、第1の延長導体部104によって一旦、積層の外に出て、冷却部112にある冷接点107を経て、第2の延長導体部105によって次の積層に戻る。上記の熱発電メカニズムが積層数と同じ数だけ繰り返し、増加した熱電流が、正極端子134と負極端子133に接続された外部の負荷回路に流れる。
しかし、本発明の課題を解決するためには、熱発電の原理に遡ってデバイス構造を見直し、熱電対に使用されているような安全な熱電材料を用いた熱電変換デバイスを開発するものであれば足りる。従って、上記の実施例1〜4の複合積層型熱発電セルのように熱流と電流の経路を分離してクロスフローする構造に限定する必要はなく、要は、本発明の熱発電セルは、金属材料の有するゼーベック効果による熱発電を用いた熱発電セルであって、当該金属材料の導電性と熱伝導性の良好性を生かす構造として、当該金属材料の高温部と低温部の温度差を維持する温度差保持部と、発電素子における電圧と電流の関係を表す内部抵抗を極小化する構造を有する金属材料の部材とを備えるものであればよい。
図9は、本発明の実施例5を示す熱発電モジュールの加熱・冷却方式として、帯状の熱発電セルを複数配列した構造図で、(A)は断面図、(B)は(A)のB−B方向の平面図である。なお、図9(A)、(B)において、図1(A)、(B)、図8(A)、(B)と同一の作用をするものには、対応する名称を付して説明を援用し、詳細な説明を省略する。
図においては、本実施の形態に係る熱発電セルは、耐火材製枠210、複数積層体の加熱部211、冷却絶縁油部212を備えると共に、熱発電単位ユニットは耐火材製枠210と冷却絶縁油部212との間に架け渡される構造を有する。
複数積層体は、各熱発電単位ユニットが電気的に直列に接続されている。ここで耐火材製枠210の最も上側に位置する熱発電単位ユニットが負極端子233と接続されており、耐火材製枠210の最も下側に位置する熱発電単位ユニットが正極端子234と接続されている。
第1の帯状金属薄板201は、耐火材製枠210の内部に位置する部分と、耐火材製枠210と冷却絶縁油部212との間に架け渡される部分とからなる構造で、金属薄板と同様の金属材料が用いられる。第2の帯状金属薄板202は、耐火材製枠210の内部に位置する部分と、耐火材製枠210と冷却絶縁油部212との間に架け渡される部分とからなる構造であって、耐火材製枠210で第1の帯状金属薄板に接合される。絶縁層203は、第1と第2の帯状金属薄板の接合面206と反対側面に位置する第1及び第2の帯状金属薄板の接合反対側面に形成される。絶縁層203は、耐火材製枠210の内側の高温部に設けられる場合もあるため、耐熱性を有していることが好ましい。冷接点207は、第1と第2の帯状金属薄板の接合面と反対側の端部に位置すると共に、冷却絶縁油部212で冷却される構造を有する。
第1の帯状金属薄板201は、耐火材製枠210と冷却絶縁油部212との間に位置する第1の延長導体部204を有し、第2の帯状金属薄板202は、耐火材製枠210と冷却絶縁油部212との間に位置する第2の延長導体部205を有するとよい。第1の延長導体部204と第2の延長導体部205は、高温部である耐火材製枠210と低温部である冷却絶縁油部212の温度差を維持する温度差保持部として作用する。また、第1の帯状金属薄板201と第2の帯状金属薄板202、第1の延長導体部204と第2の延長導体部205は、発電素子における電圧と電流の関係を表す内部抵抗を極小化する構造としても作用する。
まず、装置の組立状態に関しては、帯状に切断した第1及び第2の帯状金属薄板201,202の中央部を面接合して、接合面206を形成する。次に、接合面206を含む第1及び第2の帯状金属薄板201,202の中央部を折り曲げて、熱発電セルの単位ユニットを製造する。次に、熱発電セルの単位ユニットの複数対(図9(B)では6対)を、耐火材製枠210に固定して、火格子状に重ねる。冷却絶縁油部212には、第1の帯状金属薄板201の第1の延長導体部204は、隣りの熱発電セルの第2の帯状金属薄板202の第2の延長導体部205の端とを接合して、冷接点207を形成する。
図10は、本発明の実施例6を示す熱発電モジュールの構造図で、(A)は断面図、(B)は(A)のB−B方向の平面図である。実施例6は、発電量増加に必要なスケールアップに適している。なお、図10(A)、(B)において、図1(A)、(B)、図8(A)、(B)、図9(A)、(B)と同一の作用をするものには、対応する名称を付して説明を援用し、詳細な説明を省略する。
図においては、本実施の形態に係る熱発電セルは、耐火材製枠310、複数積層体の加熱部311、第1及び第2の冷却絶縁油部312a、312bを備えると共に、熱発電単位ユニットは第1の冷却絶縁油部312a、耐火材製枠310及び第2の冷却絶縁油部312bの間に伸長した状態で架け渡される構造を有する。
複数積層体は、各熱発電単位ユニットが電気的に直列に接続されている。ここで耐火材製枠310の最も上側に位置する熱発電単位ユニットが負極端子333と接続されており、耐火材製枠310の最も下側に位置する熱発電単位ユニットが正極端子334と接続されている。
第1の帯状金属薄板301は、耐火材製枠310の内部に位置する部分と、第1の冷却絶縁油部312aと耐火材製枠310との間に架け渡される部分とからなる構造を有するもので、金属薄板と同様の金属材料が用いられる。第2の帯状金属薄板302は、耐火材製枠310の内部に位置する部分と、耐火材製枠310と第2の冷却絶縁油部312bとの間に架け渡される部分とからなる構造であって、耐火材製枠310の内側で第1の帯状金属薄板301と接合されている。絶縁層303は、第1と第2の帯状金属薄板の接合面306と反対側面に位置する第1及び第2の帯状金属薄板の接合反対側面に形成されるもので、電気的絶縁を確保する。絶縁層303は、耐火材製枠310の内側の高温部に設けられる場合もあるため、耐熱性を有していることが好ましい。第1の冷接点307aは、第1と第2の帯状金属薄板の接合面と反対側の端部に位置するものであって、第1の冷却絶縁油部312aで冷却される構造を有する。第2の冷接点307bは、第1と第2の帯状金属薄板の接合面と反対側の端部に位置するものであって、第2の冷却絶縁油部312bで冷却される構造を有する。
第2の冷却絶縁油部312bで冷却される第2の冷接点307bには、第2の帯状金属薄板の冷接点側端部と第3の帯状金属薄板の冷接点側端部とを接合する構造を有する。第1の冷却絶縁油部312aで冷却される第1の冷接点307aには、第4の帯状金属薄板の冷接点側端部と第1の帯状金属薄板の冷接点側端部とを接合する構造を有する。
第3の帯状金属薄板321は、第2の冷却絶縁油部312bと耐火材製枠310との間に位置する第3の延長導体部324を有する。第4の帯状金属薄板322は、耐火材製枠310と第1の冷却絶縁油部312aとの間に位置する第4の延長導体部325を有する。第3の延長導体部324と第4の延長導体部325は、高温部である耐火材製枠310と低温部である冷却絶縁油部312a、312bの温度差を維持する温度差保持部として作用する。また、第1の帯状金属薄板321と第2の帯状金属薄板322、第3の延長導体部324と第4の延長導体部325は、発電素子における電圧と電流の関係を表す内部抵抗を極小化する構造としても作用する。
実施例6の動作は、実施例5の動作と基本的に同様である。さらに、実施例6の構造によると、帯状金属薄板相互の接合面306、326を折り曲げずに、伸長した形状にすることによって、熱変形を吸収し易くなって耐久性が増す。同時に冷却絶縁油部312a、312bとしての絶縁オイルバスが2槽になり、冷接点間隙が広がって冷却効果が向上する。
本発明の熱発電セルによれば、従来の熱電材料の開発と競合するものではなく、汎用的な熱電材料の性能を最大限に発揮するデバイス構造によって、熱発電の発展と普及を図ることができる。
2、102 第2の金属薄板
3、103 絶縁膜
4、24 第1の素線
5、25 第2の素線
6、106、206、306、326 接合面(高温接点)
7、107、207、307a、307b 冷接点(低温接点)
8、28、48、108 集熱板
9、29、49、109、209、309a、309b 放熱板
10、50、110、210、310 耐火材製枠
11、31、51、111、211、311 加熱部
12、32、52、112 冷却部
133、233、333 負極端子
134、234、334 正極端子
104、204、304 第1の延長導体部
105、205、305 第2の延長導体部
201、301 第1の帯状金属薄板
202、302 第2の帯状金属薄板
203、303、323 絶縁層
212、312a、312b 冷却絶縁油部
213、313a、313b 放熱フィン
214、314 上部開口部
215、315 下部開口部
321 第3の帯状金属薄板
322 第4の帯状金属薄板
324 第3の延長導体部
325 第4の延長導体部
Claims (17)
- 金属材料の有するゼーベック効果による熱発電を用いた熱発電セルであって、
当該金属材料の導電性と熱伝導性の良好性を生かす構造として、当該金属材料の高温部と低温部の温度差を維持する温度差保持部と、
熱発電セルにおける電圧と電流の関係を表す内部抵抗を極小化する構造を有する前記金属材料の部材と、
を備えることを特徴とする熱発電セル。 - 請求項1に記載の熱発電セルであって、
熱発電単位ユニットを複数積層してなる複数積層体と、
前記複数積層体の加熱部(11)側に設けられた集熱板(8)と、
前記複数積層体の放熱部側に設けられた放熱板(9)とを備える熱発電セルであって、
前記熱発電単位ユニットは、
第1の金属薄板(1)と、
前記第1の金属薄板に接合された第2の金属薄板(2)と、
前記第1と第2の金属薄板の接合面(6)と対向する前記第2の金属薄板の対向面に重ねた絶縁膜(3)と、
前記第1の金属薄板に接続される第1の素線(4)であって、前記第1の金属薄板と同じ材質の第1の素線と、
前記第2の金属薄板に接続される第2の素線(5)であって、前記第2の金属薄板と同じ材質の第2の素線と、
第1と第2の素線の、前記第1及び第2の金属薄板に接続された端部に対して、他端となる端部を接合した冷接点(7)
を備えることを特徴とする熱発電セル。 - 請求項1に記載の熱発電セルであって、
熱発電単位ユニットを複数積層してなる複数積層体と、
前記複数積層体の加熱部(111)側に設けられた集熱板(108)と、
前記複数積層体の放熱部側に設けられた放熱板(109)とを備える熱発電セルであって、
前記熱発電単位ユニットは、
第1の金属薄板(101)と、
前記第1の金属薄板に接合された第2の金属薄板(102)と、
前記第1と第2の金属薄板の接合面(106)と対向する前記第2の金属薄板の対向面に重ねた絶縁膜(103)と、
前記金属薄板に接続される第1の延長導体部(104)であって、前記金属薄板と同じ材質の第1の延長導体部と、
前記金属薄板に接続される第2の延長導体部(105)であって、前記金属薄板と同じ材質の第2の延長導体部と、
第1と第2の延長導体部の、前記第1及び第2の金属薄板に接続された端部に対して、他端となる端部を接合した冷接点(107)と、
を備えることを特徴とする熱発電セル。 - 前記熱発電単位ユニットの各々に設けられた冷接点(7、107)を幾つかのグループまたは一括して冷却する冷却部(12、112)を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の熱発電セル。
- 請求項2又は3に記載の熱発電セルの絶縁膜に、積層間の熱変位を吸収する可塑性を有する絶縁材料を用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の熱発電セル。
- 請求項2又は3に記載の第1の金属薄板(1、101)として、電気抵抗が70μΩ・cm以下で且つ熱伝導率が60W/m・K以上の金属、及び第2の金属薄板(2、102)として、電気抵抗が70μΩ・cm以下で且つ熱伝導率が40W/m・K以下の金属を用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の熱発電セル。
- 前記第1と第2の金属薄板(101、102)は、耐火材製枠(10、110)の内部で、前記絶縁層を挟んだ構造を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の熱発電セル。
- 請求項2乃至7の何れか1項に記載の熱発電セルの複数を熱発電セルの積層方向を加熱面に対して垂直に配置することを特徴とする熱発電モジュール。
- 請求項1に記載の熱発電セルであって、
熱発電単位ユニットを、隣接した熱発電単位ユニット相互で絶縁した状態で、複数積層した状態で保持する耐火材製枠(210)と、
前記耐火材製枠に設けられた、前記熱発電単位ユニットの複数積層体の加熱部(211)と、
前記熱発電単位ユニットの冷却部側に設けられた冷却絶縁油部(212)とを備え、前記熱発電単位ユニットは前記耐火材製枠と前記冷却絶縁油部との間に架け渡される構造を有する熱発電セルであって、
前記熱発電単位ユニットは、
前記耐火材製枠と前記冷却絶縁油部との間に架け渡される構造の第1の帯状金属薄板(201)と、
前記耐火材製枠と前記冷却絶縁油部との間に架け渡される構造であって、前記耐火材製枠で前記第1の帯状金属薄板に接合された第2の帯状金属薄板(202)と、
前記第1と第2の帯状金属薄板の接合面(206)と反対側面に位置する前記第1及び第2の帯状金属薄板の接合反対側面に形成された絶縁層(203)と、
第1と第2の帯状金属薄板の接合面と反対側の端部に位置する冷接点(207)であって、当該冷接点は前記冷却絶縁油部で冷却される構造を有する、
ことを特徴とする熱発電セル。 - 前記第1の帯状金属薄板は、前記耐火材製枠と前記冷却絶縁油部との間に位置する第1の延長導体部(204)を有し、
前記第2の帯状金属薄板は、前記耐火材製枠と前記冷却絶縁油部との間に位置する第2の延長導体部(205)を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の熱発電セル。 - 前記第1と第2の帯状金属薄板の接合面(206)は、拡散接合またはレーザービーム溶接により接合されたことを特徴とする請求項9に記載の熱発電セル。
- 前記第1と第2の帯状金属薄板の接合面(206)は、耐火材製枠(210)の内部で、前記絶縁層を挟んで折畳まれた構造を有することを特徴とする請求項9に記載の熱発電セル。
- 請求項1に記載の熱発電セルであって、
熱発電単位ユニットを、隣接した熱発電単位ユニット相互で絶縁した状態で、複数積層した状態で保持する耐火材製枠(310)と、
前記耐火材製枠に設けられた、前記熱発電単位ユニットの複数積層体の加熱部(311)と、
前記耐火材製枠の両側に設けられた第1及び第2の冷却絶縁油部(312a、312b)であって、前記熱発電単位ユニットの第1及び第2の冷却部側に設けられた第1及び第2の冷却絶縁油部(312a、312b)とを備え、前記熱発電単位ユニットは、前記第1の冷却絶縁油部、前記耐火材製枠、及び前記第2の冷却絶縁油部の間に伸長した状態で架け渡される構造の熱発電セル。 - 前記熱発電単位ユニットは、
前記第1の冷却絶縁油部と前記耐火材製枠との間に架け渡される構造の第1の帯状金属薄板(301)と、
前記耐火材製枠と前記第2の冷却絶縁油部との間に架け渡される構造であって、前記耐火材製枠で前記第1の帯状金属薄板に接合された第2の帯状金属薄板(302)と、
前記第1と第2の帯状金属薄板の接合面(306)と反対側面に位置する前記第1及び第2の帯状金属薄板の接合反対側面に形成された絶縁層(303)と、
第1と第2の帯状金属薄板の接合面と反対側の端部に位置する第1の冷接点(307a)であって、当該第1の冷接点は前記第1の冷却絶縁油部で冷却される構造を有し、
第1と第2の帯状金属薄板の接合面と反対側の端部に位置する第2の冷接点(307b)であって、当該第2の冷接点は前記第2の冷却絶縁油部で冷却される構造を有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の熱発電セル。 - 前記第1の帯状金属薄板は、前記第1の冷却絶縁油部と前記耐火材製枠との間に位置する第1の延長導体部(304)を有し、
前記第2の帯状金属薄板は、前記耐火材製枠と前記第2の冷却絶縁油部との間に位置する第2の延長導体部(305)を有する、
ことを特徴とする請求項14に記載の熱発電セル。 - 請求項13に記載の前記熱発電単位ユニットは、さらに、
前記第2の冷却絶縁油部と前記耐火材製枠との間に架け渡される構造の第3の帯状金属薄板(321)と、
前記耐火材製枠と前記第1の冷却絶縁油部との間に架け渡される構造であって、前記耐火材製枠で前記第3の帯状金属薄板に接合された第4の帯状金属薄板(322)と、
前記第3と第4の帯状金属薄板の接合面(326)と反対側面に位置する前記第3と第4の帯状金属薄板の接合反対側面に形成された第2の絶縁層(323)とを備え、
前記第2の冷却絶縁油部で冷却される前記第2の冷接点(307b)には、第2の帯状金属薄板の冷接点側端部と第3の帯状金属薄板の冷接点側端部とを接合する構造を有し、
前記第1の冷却絶縁油部で冷却される前記第1の冷接点(307a)には、第4の帯状金属薄板の冷接点側端部と第1の帯状金属薄板の冷接点側端部とを接合する構造を有する、
ことを特徴とする請求項14に記載の熱発電セル。 - 前記第3の帯状金属薄板は、前記第2の冷却絶縁油部と前記耐火材製枠との間に位置する第3の延長導体部(324)を有し、
前記第4の帯状金属薄板は、前記耐火材製枠と前記第1の冷却絶縁油部との間に位置する第4の延長導体部(325)を有し、
ことを特徴とする請求項16に記載の熱発電セル。
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