JPWO2018163353A1 - セパレータ/空気極複合体の製造方法 - Google Patents

セパレータ/空気極複合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

LDH及びCNTを含む空気極層をLDHセパレータに所望の接着強度を確保しながら直接接合することが可能なセパレータ/空気極複合体の製造方法が提供される。この方法は、層状複水酸化物(LDH)粉末を用意する工程と、LDH粉末を400〜850℃で1〜10時間焼成して金属酸化物粉末を得る工程と、金属酸化物粉末、カーボンナノチューブ及び溶媒を混合してペースト又はスラリーを形成する工程と、ペースト又はスラリーをLDHセパレータの表面に塗布する工程と、ペースト又はスラリーが塗布されたLDHセパレータを水蒸気処理に付して金属酸化物をLDHに転化させ、それによりLDHセパレータ上に空気極層を得る工程とを含む。

Description

本発明は、セパレータ/空気極複合体の製造方法に関する
金属空気電池用の空気極として、電子伝導性材料を主成分として含み、層状複水酸化物(LDH)と結着剤を副成分として含むものが知られている(例えば、特許文献1(特開2012−43567号公報))。このような空気極においては、電子伝導性材料として、炭素材料等が使用される。また、結着剤として、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びスチレン/ブタジエンゴム等の有機バインダーが使用される。
ところで、最近、カーボンナノチューブをバインダーとして用いることで、空気極の特性(水酸化物イオン伝導性、電子伝導性及び触媒反応活性)を向上させる技術が提案された。例えば、特許文献2(国際公開第2016/208769号)には、複数本のカーボンナノチューブ(CNT)と、カーボンナノチューブに支持された複数個の層状複合水酸化物(LDH)粒子とを含む空気極が開示されている。この文献において、CNTは、無機バインダー、酸素還元発生触媒、及び電子伝導体の3つの機能を呈する材料として用いられる一方、LDH粒子は水酸化物イオン伝導性を呈する材料として用いられている。
一方、亜鉛空気二次電池の分野において、水酸化物イオン(OH)伝導性を有する層状複水酸化物(LDH)セパレータが提案されている。例えば、特許文献3(国際公開第2013/073292号)には、亜鉛空気二次電池において、充電時における亜鉛デンドライトによる正負極間の短絡と、二酸化炭素の電解液への混入との両方を防止するために、LDHセパレータで空気極と負極とを隔離することが開示されている。また、特許文献4(国際公開第2016/076047号)には、多孔質基材と複合化されたLDHセパレータを備えたセパレータ構造体が開示されており、LDHセパレータがガス不透過性及び/又は水不透過性を有する程の高い緻密性を有することが開示されている。また、LDHセパレータが、複数のLDH板状粒子の集合体で構成され、複数のLDH板状粒子がそれらの板面が前記多孔質基材の表面と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向していることも開示されている。
特開2012−43567号公報 国際公開第2016/208769号 国際公開第2013/073292号 国際公開第2016/076047号
特許文献2においても亜鉛デンドライトによる短絡を防止するため、LDHセパレータを空気極と負極の間に設けることが提案されている。しかしながら、実際には、LDHセパレータにCNTとLDH粒子を含む空気極層をLDHセパレータに十分な強度で接合させるためには、ポリマー接着剤を用いる必要があった。そうでなければ空気極層をLDHセパレータに十分な強度で接合させることは困難であった。このため、空気極層とLDHセパレータとの間に接着剤を介在させることなく、空気極層とLDHセパレータとをダイレクトに接合することができれば、接合界面における低抵抗化の観点からより望ましいといえる。
本発明者らは、今般、LDH粉末を金属酸化物粉末に転化させ、得られた金属酸化物粉末及びCNTを含むペースト又はスラリーをLDHセパレータに塗布し、水蒸気処理を施して金属酸化物をLDHに戻すことで、空気極層とLDHセパレータとを所望の接着強度を確保しながら直接接合できることを知見した。
したがって、本発明の目的は、LDH及びCNTを含む空気極層をLDHセパレータに所望の接着強度を確保しながら直接接合することにある。
本発明の一態様によれば、層状複水酸化物(LDH)粉末を用意する工程と、
前記LDH粉末を400〜850℃で1〜10時間焼成して金属酸化物粉末を得る工程と、
前記金属酸化物粉末、カーボンナノチューブ及び溶媒を混合してペースト又はスラリーを形成する工程と、
前記ペースト又はスラリーをLDHセパレータの表面に塗布する工程と、
前記ペースト又はスラリーが塗布されたLDHセパレータを水蒸気処理に付して前記金属酸化物をLDHに転化させ、それによりLDHセパレータ上に空気極層を得る工程と、
を含む、セパレータ/空気極複合体の製造方法が提供される。
セパレータ/空気極複合体の模式断面図である。 例1における水熱処理で用いられたオートクレーブ内の様子を模式的に示す図である。 例1におけるX線回折で得られたXRDプロファイルを示す図である。 例1で得られた空気極層の断面をイオンミリング研磨して観察したSEM二次電子像を示す。 例1で得られた空気極層の破断面をそのまま観察したSEM二次電子像を示す。
セパレータ/空気極複合体の製造方法
本発明は、セパレータ/空気極複合体の製造方法に関する。本発明の方法は、(a)LDH粉末を用意し、(b)LDH粉末を焼成して金属酸化物粉末とし、(c)金属酸化物粉末、カーボンナノチューブ及び溶媒を混合し、(d)得られたペースト又はスラリーをLDHセパレータの表面に塗布し、(e)塗布されたLDHセパレータを水蒸気処理に付して金属酸化物をLDHに転化させ、それによりLDHセパレータ上に空気極層を得ることを含む。このように、LDH粉末を金属酸化物粉末に転化させ、得られた金属酸化物粉末及びCNTを含むペースト又はスラリーをLDHセパレータに塗布し、水蒸気処理を施して金属酸化物をLDHに戻すことで、空気極層とLDHセパレータとを所望の接着強度を確保しながら直接接合することができる。前述のとおり、LDH及びCNTを含む空気極は既に知られているが(例えば特許文献2参照)、LDHセパレータにCNTとLDH粒子を含む空気極層(空気極層)をLDHセパレータに十分な強度で接合させるためには、ポリマー接着剤を用いる必要があった。そうでなければ空気極層をLDHセパレータに十分な強度で接合させることは困難であった。このため、空気極層とLDHセパレータとの間に接着剤を介在させることなく、空気極層とLDHセパレータとをダイレクトに接合することができれば、接合界面における低抵抗化の観点からより望ましいといえる。この点、本発明の方法によれば上記問題を解消して、CNT及びLDH含有空気極層とLDHセパレータとの直接接合を実現することができる。
(a)LDH粉末の用意
まず、層状複水酸化物(LDH)粉末を用意する。市販のLDH粉末が使用可能である。典型的なLDH粉末は、一般式:M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4、mは0以上である)の基本組成を有するものが好ましい。上記一般式において、M2+は任意の2価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはMg2+、Ca2+及びZn2+が挙げられ、より好ましくはMg2+である。M3+は任意の3価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはAl3+又はCr3+が挙げられ、より好ましくはAl3+である。An−は任意の陰イオンでありうるが、好ましい例としてはOH及びCO 2−が挙げられる。したがって、上記一般式は、少なくともM2+がMg2+を、M3+がAl3+を含み、An−がOH及び/又はCO 2−を含むのが好ましい。nは1以上の整数であるが、好ましくは1又は2である。xは0.1〜0.4であるが、好ましくは0.2〜0.35である。mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数ないし整数である。
LDH粉末の平均粒径D50は、0.1〜50μmであるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。このような平均粒径D50であると、所望の多孔性を有する空気極層を形成しやすくなり、空気極特性を向上しやすい。
(b)焼成工程
LDH粉末を所定の条件で焼成して金属酸化物粉末を得る。すなわち、金属含有水酸化物であるLDHは焼成によって金属酸化物に転化する。好ましい焼成温度は400〜850℃であり、より好ましくは700〜800℃である。また、上記焼成温度での好ましい焼成時間は1〜10時間であり、より好ましくは3〜10時間である。LDH粉末の焼成は酸化性雰囲気下で行われるのが金属酸化物への添加を促進する観点から好ましい。酸化性雰囲気の例としては、空気、酸素が挙げられる。もっとも、金属酸化物粉末が得られるかぎり焼成雰囲気は特に限定されず、窒素等の非酸化性雰囲気であってもよい。
(c)混合工程
上記(b)で得られた金属酸化物粉末(すなわちLDH由来金属酸化物)、カーボンナノチューブ(CNT)及び溶媒を混合してペースト又はスラリーを形成する。後続の塗布工程で問題無く塗布できるかぎり、混合物の形態はペーストであってもスラリーであってもよい。ペーストの方が塗布しやすい点で好ましい。ペースト又はスラリーは塗布前に0.1〜200Pa・sの粘度に調整されるのが好ましい。粘度調整は、ペースト又はスラリーを加熱しながら混合して溶媒を揮発させることで行うことができる。
CNTは、六角形格子構造のグラフェンを円筒状に形成した繊維状炭素材料である。CNTは、単層(シングルウォール)カーボンナノチューブであってもよいし、多層(マルチウォール)カーボンナノチューブであってもよい。CNTの両端は、閉口していてもよいし、開口していてもよい。CNTは、空気極層において主に以下の3つの機能を呈することが知られている(例えば特許文献2を参照)。
‐CNTは、無機バインダーとして機能する。すなわち、CNTは、LDHを結着することによって空気極層の形状維持に寄与することができる。
‐CNTは、空気極触媒(酸素還元発生触媒)としても機能する。すなわち、空気極層にCNTを含有させることによって、空気極層の触媒反応活性を向上させることができる。
‐CNTは、電子伝導体としても機能する。すなわち、空気極層にCNTを含有させることによって、空気極層の電子伝導性を向上させることができる。
CNTは、空気極層において、束状ではなく束の解かれた状態で存在していることが好ましい。これによって、LDHを効率的に結着させることができる。したがって、ペースト又はスラリーを形成する際、CNTが束の解かれた状態となるように入念に混合が行われるのが好ましい。例えば乳鉢混合が好ましい。ただし、CNTの一部は、空気極層内において束状に存在していてもよい。
金属酸化物粉末とCNTの混合割合は特に限定されない。CNTの添加量は、金属酸化物粉末とCNTを合わせた総体積に対する体積比(CNT体積/(CNT体積+金属酸化物粉末体積))が、0.001〜0.9が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5である。
混合に用いられる溶媒はCNTやLDHの特性を劣化させないものであれば特に限定されず、例えば、エタノール等のアルコールや水を使用すればよい。
所望により、スラリー又はペーストには、CNT以外の空気極触媒を添加してもよい。そのようなCNT以外の空気極触媒の好ましい例としては、黒鉛等の酸化還元触媒機能を有するカーボン系材料、白金、ニッケル等の酸化還元触媒機能を有する金属、ペロブスカイト型酸化物、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、スピネル酸化物等の酸化還元触媒機能を有する無機酸化物が挙げられる。そのような空気極触媒の形状は特に限定されないが、粒子形状であるのが好ましい。
所望により、スラリー又はペーストにはCNT以外のバインダーを添加してもよい。バインダーは、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であってよく特に限定されないが、好ましい例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロール(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアルコール(PVA)及びこれらの任意の混合物が挙げられる。
(d)塗布工程
上記(c)工程で得られたペースト又はスラリーをLDHセパレータの表面に塗布する。LDHセパレータは層状複水酸化物(LDH)を含む公知のセラミックスセパレータであり、その好ましい態様については後述する。図1に示されるように多孔質基材14と複合化されたLDHセパレータ12の場合、ペースト又はスラリーはLDHセパレータ12の露出表面(多孔質基材14と反対側の表面)に塗布される。ペースト又はスラリーの塗布は公知の方法により行えばよいが、最終的に空気極層に多孔性をもたらす手法により行われるのが好ましい。塗布方法の好ましい例としては、塗布器具(コテ、ヘラ、刷毛、スプレー、ディスペンサ、モーノポンプ等)を用いた塗布、印刷が挙げられる。いずれにしても、使用するペースト又はスラリーの粘度に応じて適切な塗布方法を適宜すればよい。
(e)水蒸気処理工程
ペースト又はスラリーが塗布されたLDHセパレータを水蒸気処理に付して金属酸化物をLDHに転化させ、それにより図1に示されるようにLDHセパレータ12上に空気極層16を得る。水蒸気処理は、LDHセパレータを水蒸気又は湿気に曝すことにより行われる。したがって、水蒸気処理は加湿処理と言い換えることもできる。水蒸気処理は0〜200℃で行われるのが好ましく、より好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃ある。また、水蒸気処理はオートクレーブ(密閉容器)内で行われるのが好ましい。特に、オートクレーブ内で高温(例えば100℃以上)で行われる水蒸気処理は水熱処理ないし水熱合成と一般に称されるものであり、製造効率等の観点から特に好ましいといえる。もっとも、単に加湿するだけでも金属酸化物をLDHに転化することは可能であるため、最低0℃までの低温での水蒸気処理も採用可能である。
上述した温度での水蒸気処理の時間は0.1時間以上が好ましく、より好ましくは0.5〜20時間、さらに好ましくは1〜10時間である。このような時間であるとLDHの再生を十分に進行させて異相が残るのを回避又は低減できる。なお、水蒸気処理の時間は、長すぎても特に問題はないが、効率性を重視して適時設定すればよい。
水蒸気処理はイオン交換水の共存下で行われるのが好ましく、イオン交換水を入れたオートクレーブ内で行われるのがより好ましい。金属酸化物のLDHへの転化(LDHの再生)にはLDH構成要素としての上述したn価の陰イオン(An−)の取り込みを要するが、イオン交換水を用いた場合には、空気中の二酸化炭素に由来する炭酸イオン(CO 2−)を取り込んだ形でLDHが再生される。勿論、イオン交換水の代わりに、上述したn価の陰イオン(An−)を含む水溶液の共存下で水蒸気処理を行ってもよい。
上記のようにして得られる空気極層は典型的には多孔質である。多孔質であることで、空気と接触する表面積を増やして、空気極性能を向上することができる。
本発明の方法により製造されるセパレータ/空気極複合体は、各種電気化学装置における空気極(酸素極とも称される)及びセパレータの組合せとして好ましく用いることができる。そのような電気化学装置の好ましい例としては、亜鉛空気電池等の金属空気電池、アルカリ形燃料電池、食塩電解装置、水電解装置等が挙げられる。
LDHセパレータ
LDHセパレータ12は層状複水酸化物(LDH)を含むセラミックスセパレータである。LDHセパレータ12は、前述したように、亜鉛二次電池の分野において水酸化物イオン伝導性を有する緻密セパレータとして知られている。好ましいLDHセパレータ12はガス不透過性及び/又は水不透過性を有する。換言すれば、LDHセパレータ12はガス不透過性及び/又は水不透過性を有するほどに緻密化されているのが好ましい。なお、本明細書において「ガス不透過性を有する」とは、特許文献4(国際公開第2016/076047号)に記載されるように、水中で測定対象物(すなわちLDHセパレータ12及び/又は多孔質基材14)の一面側にヘリウムガスを0.5atmの差圧で接触させても他面側からヘリウムガスに起因する泡の発生がみられないことを意味する。また、本明細書において「水不透過性を有する」とは、特許文献4に記載されるように、測定対象物(例えばLDH膜及び/又は多孔質基材)の一面側に接触した水が他面側に透過しないことを意味する。すなわち、LDHセパレータ12がガス不透過性及び/又は水不透過性を有するということは、LDHセパレータ12が気体又は水を通さない程の高度な緻密性を有することを意味し、透水性及び/又は通気性を有する多孔性フィルムやその他の多孔質材料ではないことを意味する。こうすることで、LDHセパレータ12は、その水酸化物イオン伝導性に起因して水酸化物イオンのみを選択的に通すものとなる。したがって、LDHセパレータ12は金属空気二次電池において空気極と負極の間に介在されることで、二酸化炭素の電解液への混入等を防止することができ、その結果、炭酸イオンの生成による電解液の劣化を防止して電池性能の低下を回避することができる。また、その緻密性及び硬さに起因して、亜鉛空気二次電池の充電時における亜鉛デンドライトによる正負極間の短絡を防止することもできる。その結果、特性劣化しにくく信頼性の高い金属空気電池(特に金属空気二次電池)を構成することが可能となる。もっとも、図1に示されるようにLDHセパレータ12が多孔質基材14と複合化されてよいのはいうまでもない。
LDHセパレータ12は層状複水酸化物(LDH)を含み、好ましくはLDHで構成される。一般的に知られているように、LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。水酸化物基本層は主として金属元素(典型的には金属イオン)とOH基で構成される。LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2−を含む。また、LDHはその固有の性質に起因して優れたイオン伝導性を有する。
一般的に、LDHは、M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオンであり、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数であり、xは0.1〜0.4であり、mは0以上である)の基本組成式で代表されるものとして知られている。上記基本組成式において、M2+は任意の2価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはMg2+、Ca2+及びZn2+が挙げられ、より好ましくはMg2+である。M3+は任意の3価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはAl3+又はCr3+が挙げられ、より好ましくはAl3+である。An−は任意の陰イオンでありうるが、好ましい例としてはOH及びCO 2−が挙げられる。したがって、上記基本組成式において、M2+がMg2+を含み、M3+がAl3+を含み、An−がOH及び/又はCO 2−を含むのが好ましい。nは1以上の整数であるが、好ましくは1又は2である。xは0.1〜0.4であるが、好ましくは0.2〜0.35である。mは水のモル数を意味する任意の数であり、0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である。もっとも、上記基本組成式は、一般にLDHに関して代表的に例示される「基本組成」の式にすぎず、構成イオンを適宜置き換え可能なものである。例えば、上記基本組成式においてM3+の一部または全部を4価またはそれ以上の価数の陽イオンで置き換えてもよく、その場合は、上記一般式における陰イオンAn−の係数x/nは適宜変更されてよい。
例えば、LDHの水酸化物基本層は、Ni、Ti、OH基、及び場合により不可避不純物で構成されてもよい。LDHの中間層は、上述のとおり、陰イオン及びHOで構成される。水酸化物基本層と中間層の交互積層構造自体は一般的に知られるLDHの交互積層構造と基本的に同じであるが、本態様のLDHは、LDHの水酸化物基本層を主としてNi、Ti及びOH基で構成することで、優れた耐アルカリ性を呈することができる。その理由は必ずしも定かではないが、本態様のLDHにはアルカリ溶液に溶出しやすいと考えられる元素(例えばAl)が意図的又は積極的に添加されていないためと考えられる。そうでありながらも、本態様のLDHは、アルカリ二次電池用セパレータとしての使用に適した高いイオン伝導性も呈することができる。LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。不可避不純物は製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。上記のとおり、Ni及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合には、対応するLDHは、一般式:Ni2+ 1−xTi4+ (OH)n− 2x/n・mHO(式中、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+やTi4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
あるいは、LDHの水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を含むものであってもよい。中間層は、上述のとおり、陰イオン及びHOで構成される。水酸化物基本層と中間層の交互積層構造自体は一般的に知られるLDHの交互積層構造と基本的に同じであるが、本態様のLDHは、LDHの水酸化物基本層をNi、Al、Ti及びOH基を含む所定の元素ないしイオンで構成することで、優れた耐アルカリ性を呈することができる。その理由は必ずしも定かではないが、本態様のLDHは、従来はアルカリ溶液に溶出しやすいと考えられていたAlが、Ni及びTiとの何らかの相互作用によりアルカリ溶液に溶出しにくくなるためと考えられる。そうでありながらも、本態様のLDHは、アルカリ二次電池用セパレータとしての使用に適した高いイオン伝導性も呈することができる。LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のAlはアルミニウムイオンの形態を採りうる。LDH中のアルミニウムイオンは典型的にはAl3+であると考えられるが、他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を含んでいさえすれば、他の元素ないしイオンを含んでいてもよい。もっとも、水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を主要構成要素として含むのが好ましい。すなわち、水酸化物基本層は、主としてNi、Al、Ti及びOH基からなるのが好ましい。したがって、水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti、OH基及び場合により不可避不純物で構成されるのが典型的である。不可避不純物は製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。上記のとおり、Ni、Al及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Al3+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合には、対応するLDHは、一般式:Ni2+ 1−x−yAl3+ Ti4+ (OH)n− (x+2y)/n・mHO(式中、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、0<y<1、好ましくは0.01≦y≦0.5、0<x+y<1、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+、Al3+、Ti4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
LDHセパレータ12は、板状、膜状又は層状のいずれの形態であってもよく、膜状又は層状の形態である場合、膜状又は層状のLDHセパレータ12が多孔質基材14と複合化されている、例えば多孔質基材14上又はその中に形成されたものであるのが好ましい。板状のLDHセパレータ12の好ましい厚さは、0.01〜0.5mmであり、より好ましくは0.02〜0.2mm、さらに好ましくは0.05〜0.1mmである。また、LDHセパレータ12の水酸化物イオン伝導度は高ければ高い方が望ましいが、典型的には10−4〜10−1S/mの伝導度を有する。一方、膜状又は層状の形態の場合には、厚さが100μm以下であるのが好ましく、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは5μm以下である。このように薄いことでLDHセパレータ12の低抵抗化を実現できる。厚さの下限値は用途に応じて異なるため特に限定されないが、セパレータ膜ないし層として望まれるある程度の堅さを確保するためには厚さ1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
LDHセパレータ12は多孔質基材14と複合化されているのが好ましい。特に、LDHセパレータ12の片面に多孔質基材14を設けられるのが好ましい。LDHセパレータ12の片面に多孔質基材14が設けられる場合、多孔質基材14は、LDHセパレータ12の空気極層16と反対側の面(金属空気電池において負極側となる面)に設けられる。多孔質基材14は透水性を有し、それ故電解液がLDHセパレータ12に到達可能となる。また、多孔質基材14により強度を付与できるため、LDHセパレータ12を薄くして低抵抗化を図ることもできる。また、多孔質基材14上又はその中にLDHの緻密膜ないし緻密層を形成することもできる。LDHセパレータ12の片面に多孔質基材を設ける場合には、多孔質基材を用意して、この多孔質基材にLDHを成膜する手法が考えられる。
多孔質基材14は、セラミックス材料、金属材料、及び高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種で構成されるのが好ましく、より好ましくはセラミックス材料及び/又は高分子材料、さらに好ましくは高分子材料である。多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。この場合、セラミックス材料の好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、及びそれらの任意の組合せが挙げられ、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの任意の組合せであり、特に好ましくはアルミナ及びジルコニアであり、最も好ましくはアルミナである。これらの多孔質セラミックスを用いると緻密性に優れたLDHセパレータ12を形成しやすい。金属材料の好ましい例としては、アルミニウム及び亜鉛が挙げられる。高分子材料の好ましい例としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、親水化したフッ素樹脂(四フッ素化樹脂:PTFE等)、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。上述した各種の好ましい材料から電解液に対する耐性として耐アルカリ性に優れたものを適宜選択するのが更に好ましい。
好ましくは、LDHセパレータ12が、複数のLDH板状粒子の集合体で構成され、複数のLDH板状粒子がそれらの板面が多孔質基材14の表面(多孔構造に起因する微細凹凸を無視できる程度に巨視的に観察した場合における多孔質基材の主面)と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向している。なお、LDHセパレータ12は多孔質基材14の孔内に少なくとも部分的に組み込まれていてもよく、その場合、多孔質基材14の孔内にもLDH板状粒子は存在しうる。
LDHセパレータ12、例えば多孔質基材14と複合化されたLDHセパレータ12の製造方法は特に限定されず、既に知られるLDHセパレータの製造方法(例えば特許文献3及び4)を参照することにより作製することができる。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1
(1)セパレータ/空気極複合体の作製
市販のMg−Al系LDH粉末(DHT−6、協和化学工業株式会社製、組成:Mg2+ 0.75Al3+ 0.25(OH)CO n− 0.25/n・mHO)を用意した。このLDH粉末を大気雰囲気中650℃で5時間焼成して金属酸化物粉末に転化させた。一方、単層CNT(製品名:SWNT分散液、(株)名城ナノカーボン製)をエタノールに分散させて、CNT分散液を得た。金属酸化物粉末とCNT分散液とを(CNT):(金属酸化物)の体積比が5:95となるようにそれぞれ秤量し、乳鉢に入れて十分に混合した。このとき、乳鉢をホットスターラで加熱しながら混合を行うことで、エタノールを揮発させて混合物の粘度を調整した。こうして得られたペーストを、図1に示されるように、多孔質アルミナと複合化されたLDHセパレータの表面にコテで塗布した。この多孔質アルミナ/LDHセパレータの複合材料は後述する例2に準じて作製されたものである。ペーストが塗布されたLDHセパレータをオートクレーブに入れ、100℃で5時間水熱処理を行った。このとき、図2に示されるように、オートクレーブ100にイオン交換水102が入っており、イオン交換水102に浮かせたテフロン(登録商標)製の皿104に、ペーストが塗布されたLDHセパレータ106が載置された。こうして金属酸化物をLDHに転化させ(すなわちLDHを再生させ)、セパレータ/空気極複合体を得た。
(2)セパレータ/空気極複合体の評価
セパレータ/空気極複合体に対して以下の評価を行った。
(2a)X線回折
セパレータ/空気極複合体の空気極層に対してX線回折を行ったところ、図3に示されるXRDプロファイルが得られた。また、図3には、水熱処理前における複合体のXRDプロファイルと、空気極層なしのLDHセパレータのXRDプロファイルも併せて示す。図3に示される結果から明らかなように、水熱処理によって金属酸化物がLDHに転化したこと、すなわちCNTとLDH粉末を含む空気極層がLDHセパレータ上に直接接合される形で形成されたことが分かる。なお、空気極層無しのLDHセパレータのXRDプロファイルにはAl由来のピークも見受けられるが、これはLDHセパレータと複合化された多孔質アルミナに起因するものと解される。
(2b)接着強度の評価
この空気極層がLDHセパレータに対してどの程度の強さで接合しているかを剥離試験により評価した。剥離試験では空気極部分のみを持ち上げ、その際にセパレータが自重により剥離して落下しないかを確認した。その結果、空気極層はLDHセパレータに十分な強度で接合されていることが確認された。上記の剥離試験以外でも、島津製作所製のオートグラフを用いて引張強度を評価してもよい。
(2c)微構造観察
空気極層の表面微構造及び断面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製、JSM−6610LV)を用いて加速電圧20kVで観察したところ、空気極層が十分に多孔質であることを確認した。図4に空気極層の断面をイオンミリング研磨して観察した二次電子像を、図5に空気極層の破断面をそのまま観察した二次電子像を示す。図4から空気極層がLDH板状粒子を含んだ多孔質であることが明確に確認される一方、図5から繊維状物質としてのCNTの存在が明確に確認される。
例2(参考)
Mg及びAl含有LDHを含む機能層及び複合材料を以下の手順により作製し、評価した。なお、本例における機能層はLDHセパレータに相当するものである。
(1)多孔質基材の作製
アルミナ粉末(住友化学社製、AES−12)100重量部に対して、分散媒(キシレン:ブタノール=1:1)70重量部、バインダー(ポリビニルブチラール:積水化学工業株式会社製BM−2)11.1重量部、可塑剤(DOP:黒金化成株式会社製)5.5重量部、及び分散剤(花王株式会社製レオドールSP−O30)2.9重量部を混合し、この混合物を減圧下で攪拌して脱泡することにより、スラリーを得た。このスラリーを、テープ成型機を用いてPETフィルム上に、乾燥後膜厚が220μmとなるようにシート状に成型してシート成形体を得た。得られた成形体を2.0cm×2.0cm×厚さ0.022cmの大きさになるよう切り出し、1300℃で2時間焼成して、アルミナ製多孔質基材を得た。
得られた多孔質基材について、多孔質基材の気孔率をアルキメデス法により測定したところ、40%であった。
また、多孔質基材の平均気孔径を測定したところ0.3μmであった。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行った。この測定に用いた電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得た。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能を用いた。
(2)ポリスチレンスピンコート及びスルホン化
ポリスチレン基板0.6gをキシレン溶液10mlに溶かして、ポリスチレン濃度0.06g/mlのスピンコート液を作製した。得られたスピンコート液0.1mlをアルミナ多孔質基材上に滴下し、回転数8000rpmでスピンコートにより塗布した。このスピンコートは、滴下と乾燥を含めて200秒間行った。スピンコート液を塗布した多孔質基材を95%硫酸に25℃で4日間浸漬してスルホン化した。
(3)原料水溶液の作製
原料として、硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO・6HO、関東化学株式会社製)、硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO・9HO、関東化学株式会社製)、及び尿素((NHCO、シグマアルドリッチ製)を用意した。カチオン比(Mg2+/Al3+)が2となり且つ全金属イオンモル濃度(Mg2++Al3+)が0.320mol/Lとなるように、硝酸マグネシウム六水和物と硝酸アルミニウム九水和物を秤量してビーカーに入れ、そこにイオン交換水を加えて全量を70mlとした。得られた溶液を攪拌した後、溶液中に尿素/NO =4の割合で秤量した尿素を加え、更に攪拌して原料水溶液を得た。
(4)水熱処理による成膜
テフロン(登録商標)製密閉容器(内容量100ml、外側がステンレス製ジャケット)に上記(3)で作製した原料水溶液と上記(2)でスルホン化した多孔質基材を共に封入した。このとき、基材はテフロン(登録商標)製密閉容器の底から浮かせて固定し、基材両面に溶液が接するように水平に設置した。その後、水熱温度70℃で168時間(7日間)水熱処理を施すことにより基材表面にLDH配向膜の形成を行った。所定時間の経過後、基材を密閉容器から取り出し、イオン交換水で洗浄し、70℃で10時間乾燥させて、LDHを含む機能層を、その一部が多孔質基材中に組み込まれた形で得た。得られた機能層の厚さは(多孔質基材に組み込まれた部分の厚さを含めて)約3μmであった。
(5)評価結果
得られた機能層ないし複合材料に対して以下の評価を行った。
(5a)機能層の同定
X線回折装置(リガク社製 RINT TTR III)にて、電圧:50kV、電流値:300mA、測定範囲:10〜70°の測定条件で、機能層の結晶相を測定してXRDプロファイルを得た。得られたXRDプロファイルについて、JCPDSカードNO.35−0964に記載されるLDH(ハイドロタルサイト類化合物)の回折ピークを用いて同定を行った。その結果、得られたXRDプロファイルから、機能層はLDH(ハイドロタルサイト類化合物)であることが同定された。
(5b)微構造の観察
機能層の表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察した。また、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、IM4000によって、機能層(LDH膜からなる膜状部とLDH及び基材からなる複合部)の断面研磨面を得た後に、この断面研磨面の微構造を表面微構造の観察と同様の条件でSEMにより観察した。その結果、機能層は、LDH膜からなる膜状部と、膜状部の下に位置するLDH及び多孔質基材からなる複合部とから構成されていることが分かった。また、膜状部を構成するLDHは、複数の板状粒子の集合体で構成され、これら複数の板状粒子がそれらの板面が多孔質基材の表面(多孔構造に起因する微細凹凸を無視できる程度に巨視的に観察した場合における多孔質基材の面)と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向していた。一方、複合部は、多孔質基材の孔内にLDHが充填されて緻密な層を構成していた。
(5c)ガス不透過性及び水不透過性
機能層に対して、特許文献4(国際公開第2016/076047号)に記載される手法に基づき、水中で複合材料の一面側にヘリウムガスを0.5atmの差圧で接触させたところ、他面側からヘリウムガスに起因する泡の発生がみられなかった。また、特許文献4に記載される手法に基づき、複合材料の一面側に接触した水が他面側に透過しないことも確認した。すなわち、機能層ないし複合材料がガス不透過性及び/又は水不透過性を有することを確認した。

Claims (9)

  1. 層状複水酸化物(LDH)粉末を用意する工程と、
    前記LDH粉末を400〜850℃で1〜10時間焼成して金属酸化物粉末を得る工程と、
    前記金属酸化物粉末、カーボンナノチューブ(CNT)及び溶媒を混合してペースト又はスラリーを形成する工程と、
    前記ペースト又はスラリーをLDHセパレータの表面に塗布する工程と、
    前記ペースト又はスラリーが塗布されたLDHセパレータを水蒸気処理に付して前記金属酸化物をLDHに転化させ、それによりLDHセパレータ上に空気極層を得る工程と、
    を含む、セパレータ/空気極複合体の製造方法。
  2. 前記LDH粉末の焼成が酸化性雰囲気下で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水蒸気処理が0〜200℃で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記水蒸気処理がオートクレーブ内で行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記LDH粉末の平均粒径D50が、0.1〜50μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記空気極層が多孔質である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記LDHセパレータがガス不透過性及び/又は水不透過性を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記LDHセパレータが多孔質基材と複合化されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記LDHセパレータが、複数のLDH板状粒子の集合体で構成され、該複数のLDH板状粒子がそれらの板面が前記多孔質基材の表面と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向している、請求項8に記載の方法。



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