JPWO2018159827A1 - 植物ステロイドホルモン(ブラシノライド)様活性をもつ非ステロイド化合物の創製 - Google Patents

植物ステロイドホルモン(ブラシノライド)様活性をもつ非ステロイド化合物の創製 Download PDF

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Abstract

本開示は、BR様活性を有し、植物の成長の調節に有用である新規非ステロイド型化合物またはその塩、当該化合物またはその塩を含む農業用組成物、およびその使用を提供する。具体的には、本開示は、式(I):[式中、記号は明細書で定義した意味を有する]で表される化合物またはその塩を提供する。

Description

本開示は、ブラシノライド様活性を持つ新規非ステロイド化合物およびその用途に関する。
1979年に、植物の成長を促進する活性物質として、セイヨウアブラナ(Brassica napus L.)の花粉からブラシノライド(Brassinolide;BL)が単離され、その構造が決定された(非特許文献1)。その後、BL様活性を持つ化合物の精力的な探索が行われ、現在では70種類以上のBL様活性化合物が同定され、これらの化合物は総称してブラシノステロイド(Brassinosteroid、BR)と呼ばれている(非特許文献2〜5)。現在では、BRは植物の生育に不可欠な物質であると証明され、6番目の植物ホルモンとして広く認知されるようになった(非特許文献6)。
Figure 2018159827
BRはその魅力的な活性のため、成長促進剤や生化学的なツールとしての利用が期待されている。しかし、植物に含まれている量が少ないこと、合成にコストや手間のかかるステロイド構造を持つこと、および多くの不斉炭素が存在することが実用化の大きな障壁となっている。そのため、ステロイド構造を持たず、かつ合成の容易な非ステロイド型BR様アゴニストの開発が望まれている。しかしながら、これまでに非ステロイド型BR様アゴニスト活性を有する化合物が合成されたことは報告されていない。
M.D.Grove et al.,ネイチャー(Nature),281,216(1979) T.Yokota et al.,テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),23,1275(1982) T.Yokota et al.,テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),23,4965(1982) A.Bajguz,プラント・フィジオロジー・アンド・バイオケミストリー(Plant Physiology and Biochemistry),45(2),95(2007) A.Sakurai et al.,ブラシノステロイド:ステロイド性植物ホルモン(Brassinosteroids:Steroidal Plant Hormones),シュプリンガー(Springer)(1999) S.Fujioka et al.,プラント・セル(Plant Cell),9(11),1951(1997)
本開示に記載の1つの態様は、上記のような従来技術における課題を解決すべくなされたものであり、ブラシノステロイド(BR)様活性を有する非ステロイド型新規化合物またはその塩を提供するものである。また、本開示は、前記化合物またはその塩を含む農業用組成物、およびその使用も提供する。
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、式(I)で示される非ステロイド型化合物(以下化合物(I)とも称する)またはその塩が、BR様アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を有することを見出し、本開示に記載の態様を完成させるに至った。
即ち、本開示は、例えば、以下の[1]〜[16]に関する。
[1]
式(I):
Figure 2018159827
[式中:
環Aおよび環Bは、単環式非芳香族炭素環、単環式非芳香族複素環、フェニル環、および単環式芳香族複素環からなる群からそれぞれ独立して選択され;
、R、R、R、R、およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルカノイル、置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換されていてもよいカルバモイル、および置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここでR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基が環B上の隣接する原子に結合している場合、該2つの基はそれらが結合する環B上の原子と一緒になって、置換されていてもよい単環式非芳香族炭素環、置換されていてもよい単環式非芳香族複素環、置換されていてもよいフェニル環、または置換されていてもよい単環式芳香族複素環を形成していてもよく;
およびLは、結合、アルキレン、−NH−、−O−、−S−、−CO−、−CS−、−S(O)−、および−S(O)−からなる群からそれぞれ独立して選択され;
nは0または1である。]で表される化合物またはその塩。
(ただし、以下の化合物、すなわち、
Figure 2018159827
またはその塩は除く。)。
[2]
およびLが結合、−CO−、−CS−、−S(O)−、および−S(O)−からなる群からそれぞれ独立して選択される、上記[1]に記載の化合物またはその塩。
[3]
が−CO−であり、Lが結合である、上記[1]または[2]に記載の化合物またはその塩。
[4]
環Aおよび環Bが6員の単環式非芳香族炭素環、6員の単環式非芳香族複素環、フェニル環、および6員の単環式芳香族複素環からなる群からそれぞれ独立して選択される、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
[5]
環Aおよび環Bが共にフェニル環である、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
[6]
nが1である、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
[7]
、R、およびRが水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、1個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル、および1個のアルカノイルで置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択され、
、R、およびRが水素、ハロゲン、およびアルカノイルからなる群からそれぞれ独立して選択されるか、またはR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基が環B上の隣接する原子に結合し、それらが結合する環B上の原子と一緒になって、置換されていてもよい単環式芳香族複素環を形成している、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
[8]
式(I’)、式(I’’)、または式(I’’’):
Figure 2018159827
[式中:
およびRは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、および1個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
はアルカノイルであり;
はハロゲンであり;
はアルキルである]
で表される、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
[9]
がヒドロキシ、Rがヒドロキシ、Rが水素、Rがブタノイル、Rがフルオロ、およびRが水素である、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
[10]
1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例1);
N−(5−(4−(4−ブチリル−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボニル)−2−メトキシフェニル)アセトアミド(実施例2);
1−(4−(4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例3);
1−(4−(4−(3,4−ジメチルベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例4);
5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(実施例5);および
5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(実施例6)
からなる群から選択される化合物またはその塩。
[11]
上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を含む、農業用組成物。
[12]
1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンまたはその塩を含む、上記[11]に記載の農業用組成物。
[13]
植物の成長調節剤である、上記[11]または[12]に記載の農業用組成物。
[14]
植物の成長促進剤である、上記[11]〜[13]のいずれか1つに記載の農業用組成物。
[15]
植物がイネである、上記[13]または[14]に記載の農業用組成物。
[16]
上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を植物に適用する工程を含む、植物の成長調節方法。
また、本開示は、以下の[17]または[18]にも関する。
[17]
1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンまたはその塩を植物に適用する工程を含む、植物の成長調節方法。
[18]
植物がイネである、上記[17]に記載の植物の成長調節方法。
本開示の化合物(I)またはその塩は、BR様アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を有することから、植物の成長調節剤、例えば植物の成長促進剤または成長抑制剤として有用である。
図1は、実施例1の化合物のイネにおける第二葉身屈曲試験の結果を示す。 図2−1は、Brzのシロイヌナズナの胚軸測定試験の結果を示す。 図2−2は、実施例2の化合物のシロイヌナズナの胚軸測定試験の結果を示す。 図2−3は、実施例3の化合物のシロイヌナズナの胚軸測定試験の結果を示す。 図3−1は、実施例1の化合物のCPDの遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−2は、実施例1の化合物のBR−6−OXの遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−3は、実施例2および3の化合物のBR−6−OXの遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−4は、実施例2および3の化合物のBAS1の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−5は、実施例2および3の化合物のSAURの遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−6は、実施例2および3の化合物のTCH4の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−7は、実施例2および3の化合物のIAA19の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−8は、実施例5の化合物のDWF4の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−9は、実施例5の化合物のBR−6−OX2の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−10は、実施例5の化合物のCPDの遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−11は、実施例5の化合物のSAUR−AC1の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−12は、実施例5の化合物のBAS1の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−13は、実施例5の化合物のIAA19の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−14は、実施例6の化合物のDWF4の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−15は、実施例6の化合物のBR−6−OX2の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−16は、実施例6の化合物のCPDの遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−17は、実施例6の化合物のSAUR−AC1の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−18は、実施例6の化合物のBAS1の遺伝子発現解析の結果を示す。 図3−19は、実施例6の化合物のIAA19の遺伝子発現解析の結果を示す。
定義
本明細書で用いられている用語「アルキル」は、炭素数1〜6(C−C)の直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基を指す。1つの実施態様では「アルキル」は炭素数1〜4の基(C−Cアルキル)であり得る。また、別の実施態様では、炭素数1〜3の基(C−Cアルキル)であり得る。より具体的には、このような「アルキル」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、i−アミル、n−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル、および1,1,2−トリメチルプロピル等が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、およびt−ブチル等であり得る。
本明細書で用いられている用語「アルキレン」は、前記の炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキルから1個の水素原子を除いた2価基を指す。1つの実施態様では「アルキレン」は炭素数1〜3の基(C−Cアルキレン)であり得る。別の実施態様では、「アルキレン」は、炭素数1〜2の基(C−Cアルキレン)であり得る。より具体的には、「アルキレン」としては、例えば、メチレン、エチレン、およびプロピレン等が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では、「アルキレン」はメチレンであり得る。
本明細書で用いられている用語「アルコキシ」は、前記の炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキルに酸素原子が結合した1価基を指す。1つの実施態様では「アルコキシ」は炭素数1〜4の基(C−Cアルコキシ)であり得る。別の実施態様では、「アルコキシ」は、炭素数1〜3の基(C−Cアルコキシ)であり得る。より具体的には、「アルコキシ」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、およびn−プロポキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では、「アルコキシ」はメトキシであり得る。
本明細書で用いられている用語「アルカノイル」は、前記の炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキルにカルボニル基が結合した炭素数2〜7(C−C)の1価基を指す。1つの実施態様では「アルカノイル」は炭素数2〜5の基(C−Cアルカノイル)であり得る。別の実施態様では、「アルカノイル」は、炭素数2〜4の基(C−Cアルカノイル)であり得る。より具体的には、「アルカノイル」は、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では「アルカノイル」は、アセチル、プロピオニル、およびブタノイル等であり得る。
本明細書で用いられている用語「アルキルスルホニル」は、前記の炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルにスルホニル基が結合した1価基を指す。1つの実施態様では「アルキルスルホニル」は、炭素数1〜4の基(C−Cアルキルスルホニル)であり得る。別の実施態様では、「アルキルスルホニル」は、炭素数1〜3の基(C−Cアルキルスルホニル)であり得る。より具体的には、「アルキルスルホニル」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、およびプロピルスルホニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では「アルキルスルホニル」は、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニルであり得る。
本明細書で用いられている用語「単環式非芳香族炭素環」は、5〜6員の単環式の非芳香族炭素環を指す。より具体的には、「単環式非芳香族炭素環」としては、例えば、シクロペンタンおよびシクロペンテン等の5員の単環式非芳香族炭素環、ならびにシクロヘキサンおよびシクロヘキセン等の6員の単環式非芳香族炭素環を挙げることができるが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では「単環式非芳香族炭素環」は6員の単環式非芳香族炭素環であり得る。
本明細書で用いられている用語「単環式非芳香族複素環」は、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員の単環式の非芳香族複素環を指す。より具体的には、このような単環式非芳香族複素環としては、例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアゾリジニル、およびオキサゾリジニル等の5員の単環式非芳香族複素環、ならびにピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、およびチオモルホリニル等の6員の単環式非芳香族複素環を挙げることができるが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では「単環式非芳香族複素環」は6員の単環式非芳香族複素環であり得る。
本明細書で用いられている用語「単環式芳香族複素環」は、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員の単環式の芳香族複素環を指す。より具体的には、このような単環式芳香族複素環としては、例えば、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、およびチアジアゾリル等の5員の単環式芳香族複素環、ならびにピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、チアジニル、およびトリアジニル等の6員の単環式芳香族複素環を挙げることができるが、これらに限定されない。1つの実施態様では「単環式芳香族複素環」は、5員の単環式芳香族複素環であり得る。別の実施態様では、「単環式芳香族複素環」は、6員の単環式芳香族複素環であり得る。特定の実施態様では「単環式芳香族複素環」は、ピラゾリルであり得る。
本明細書で用いられている用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、およびヨウ素(ヨード)を意味する。1つの実施態様では「ハロゲン」はフッ素、塩素、または臭素であり得る。別の実施態様では「ハロゲン」は、フッ素であり得る。
本明細書で用いられている用語「置換されていてもよいアルキル」における置換基の数は、1またはそれ以上(例えば1〜5個、1〜3個等)であってよく、該置換基は同一または異なっていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいC−Cアルコキシ、およびアルコキシで置換されていてもよいイミノ等を挙げることができるが、これらに限定されない。
1つの実施態様では、R、R、およびRにおける「置換されていてもよいアルキル」の置換基は、ヒドロキシおよびアルコキシで置換されていてもよいイミノからなる群から独立して選択される1〜3個の基であり得る。
1つの実施態様では、R、R、およびRにおける「置換されていてもよいアルキル」の置換基は、1〜3個のヒドロキシであり得る。
本明細書で用いられている用語「置換されていてもよいアルコキシ」における置換基の数は、1またはそれ以上(例えば1〜5個、または1〜3個等)であってよく、該置換基は同一または異なっていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、および1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいC−Cアルコキシ等を挙げることができるが、これらに限定されない。
1つの実施態様ではR、R、R、R、R、およびRにおける「置換されていてもよいアルコキシ」の置換基は、1〜5個のハロゲンであり得る。別の実施態様ではそのような置換基は、例えば、1〜5個のフルオロであり得る。
本明細書で用いられている用語「置換されていてもよいアルカノイル」における置換基の数は、1またはそれ以上(例えば1〜5個、または1〜3個等)であってよく、該置換基は同一または異なっていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、および1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいC−Cアルコキシ等を挙げることができるが、これらに限定されない。
1つの実施態様では、R、R、R、R、R、およびRにおける「置換されていてもよいアルカノイル」の置換基は、例えば、1〜5個のハロゲンであり得る。また、別の実施態様では、そのような置換基は、1〜5個のフルオロであり得る。
本明細書で用いられている用語「置換されていてもよいアルキルスルホニル」における置換基の数は、1またはそれ以上(例えば1〜5個、または1〜3個等)であってよく、該置換基は同一または異なっていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、および1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいC−Cアルコキシ等を挙げることができるが、これらに限定されない。
1つの実施態様ではR、R、R、R、R、およびRにおける「置換されていてもよいアルキルスルホニル」の置換基は、1〜5個のハロゲンであり得る。別の実施態様では、そのような置換基は、1〜5個のフルオロであり得る。
本明細書で用いられている用語「置換されていてもよいカルバモイル」における置換基の数は、1〜2個であってよく、該置換基は同一または異なっていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルキル、およびアルカノイル等を挙げることができるが、これらに限定されない。
1つの実施態様ではR、R、R、R、R、およびRにおける「置換されていてもよいカルバモイル」の置換基としては、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよい1〜2個のアルキルを挙げることができ、別の実施態様では1〜2個のメチルを挙げることができるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられている用語「置換されていてもよいアミノ」における置換基の数は、1〜2個であってよく、該置換基は同一または異なっていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルキル、アルカノイル、および1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル等を挙げることができるが、これらに限定されない。
1つの実施態様では、R、R、R、R、R、およびRにおける「置換されていてもよいアミノ」の置換基は、アルカノイルおよび1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群から独立して選択される1〜2個の基であり得る。別の実施態様では、そのような置換基は、アセチルおよび1〜2個のメチルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群から独立して選択される1〜2個の基であり得る。
本明細書で用いられている用語「置換されていてもよい単環式非芳香族炭素環」、「置換されていてもよい単環式非芳香族複素環」、「置換されていてもよいフェニル環」、または「置換されていてもよい単環式芳香族複素環」における置換基の数は、1〜4個であってよく、該置換基は同一または異なっていてもよい。そのような置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルキル、アルカノイル、および1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル等であり得る。
1つの実施態様では、R、R、およびRにおける置換されていてもよい単環式非芳香族炭素環、置換されていてもよい単環式非芳香族複素環、置換されていてもよいフェニル環、または置換されていてもよい単環式芳香族複素環の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、およびアルキルからなる群から独立して選択される1〜2個の基であり得、別の実施態様ではアルキルであり得る。
1つの実施態様では、環Aおよび環Bはシクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ピペリジニル環、ピペラジニル環、テトラヒドロピラニル環、テトラヒドロチオピラニル環、モルホリニル環、チオモルホリニル環、フェニル環、ピリジル環、ピリミジニル環、ピラジニル環、ピリダジニル環、チアジニル環、およびトリアジニル環からなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。1つの実施態様では、環Aおよび環Bは共にフェニル環であり得る。
1つの実施態様では、R、R、R、R、R、およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルカノイル、置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換されていてもよいカルバモイル、および置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。
1つの実施態様では、R、R、R、R、R、およびRは水素;ハロゲン;ヒドロキシ;ニトロ;アルコキシで置換されていてもよいイミノおよびヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいアルキル;アルコキシ;1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルカノイル;1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルキルスルホニル;1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ならびにアルカノイルおよび1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよく、ここでR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基が環B上の隣接する原子に結合している場合、該2つの基はそれらが結合する環B上の原子と一緒になって、1〜2個のアルキルで置換されていてもよい単環式非芳香族炭素環、1〜2個のアルキルで置換されていてもよい単環式非芳香族複素環、1〜2個のアルキルで置換されていてもよいフェニル環、または1〜2個のアルキルで置換されていてもよい単環式芳香族複素環を形成していてもよい。
別の実施態様では、R、R、およびRは水素;ハロゲン;ヒドロキシ;アルコキシで置換されていてもよいイミノおよびヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいアルキル;アルコキシ;1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ならびにアルカノイルおよび1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよく、
、R、およびRは水素;ハロゲン;ニトロ;1〜3個のヒドロキシで置換されていてもよいアルキル;1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルカノイル;および1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルキルスルホニルからなる群からそれぞれ独立して選択されるか、またはR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基は環B上の隣接する原子に結合し、それらが結合する環B上の原子と一緒になって、1〜2個のアルキルで置換されていてもよい単環式芳香族複素環を形成していてよい。
1つの実施態様では、R、R、R、R、R、およびRは水素;ハロゲン;ヒドロキシ;ニトロ;アルコキシで置換されていてもよいイミノおよびヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいアルキル;アルコキシ;1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルカノイル;1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルキルスルホニル;1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ならびにアルカノイルおよび1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。
別の実施態様では、R、R、およびRは水素;ハロゲン;ヒドロキシ;アルコキシで置換されていてもよいイミノおよびヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいアルキル;アルコキシ;1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ならびにアルカノイルおよび1〜2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよく、
、R、およびRは水素;ハロゲン;ニトロ;1〜3個のヒドロキシで置換されていてもよいアルキル;1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルカノイル;および1〜5個のハロゲンで置換されていてもよいアルキルスルホニルからなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。
1つの実施態様では、R、R、およびRは水素;フルオロ;ブロモ;ヒドロキシ;メトキシで置換されていてもよいイミノおよびヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいC−Cアルキル;C−Cアルコキシ;1〜2個のC−Cアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ならびにC−Cアルカノイルおよび1〜2個のC−Cアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。
別の実施態様では、R、R、およびRは水素;フルオロ;ブロモ;ヒドロキシ;およびアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。
1つの実施態様では、R、R、およびRは水素およびヒドロキシからなる群からそれぞれ独立して選択されてよく、別の実施態様ではR、R、およびRの少なくとも1つがヒドロキシであり得、さらに別の実施態様ではR、R、およびRのうち2つがヒドロキシであり得る。
さらに別の実施態様では、R、R、およびRは水素;フルオロ;ブロモ;C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;および1個のメチルで置換されていてもよい1個のカルバモイルで置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。
1つの実施態様では、R、R、およびRは水素;メトキシ;およびアセチルアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよく、別の実施態様ではR、R、およびRは水素;メトキシ;およびアセチルアミノからなる群からそれぞれ独立して選択されてよく、少なくとも1つが水素であり得る。
1つの実施態様では、R、R、およびRは水素;フルオロ;ニトロ;1〜3個のヒドロキシで置換されていてもよいC−Cアルキル;1〜5個のフルオロで置換されていてもよいC−Cアルカノイル;および1〜5個のフルオロで置換されていてもよいC−Cアルキルスルホニルからなる群からそれぞれ独立して選択されるか、またはR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基は環B上の隣接する原子に結合し、それらが結合する環B上の原子と一緒になって、1〜2個のアルキルで置換されていてもよいピラゾリル環を形成していてよい。
別の実施態様では、R、R、およびRは水素、フルオロ、およびC−Cアルカノイルからなる群からそれぞれ独立して選択されるか、またはR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基は環B上の隣接する原子に結合し、それらが結合する環B上の原子と一緒になって、1個のアルキルで置換されていてもよい単環式芳香族複素環を形成していてよい。さらに別の実施態様では、R、R、およびRは水素、フルオロ、およびブタノイルからそれぞれ独立して選択されるか、またはR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基が環B上の隣接する原子に結合し、それらが結合する環B上の原子と一緒になって、1個のイソブチルで置換されていてもよいピラゾリル環を形成していてよい。
1つの実施態様では、R、R、およびRは水素;フルオロ;ニトロ;1〜3個のヒドロキシで置換されていてもよいC−Cアルキル;1〜5個のフルオロで置換されていてもよいC−Cアルカノイル;および1〜5個のフルオロで置換されていてもよいC−Cアルキルスルホニルからなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。
別の実施態様では、R、R、およびRは水素、フルオロ、およびC−Cアルカノイルからなる群からそれぞれ独立して選択されてよく、さらに別の実施態様では、水素、フルオロ、およびブタノイルからそれぞれ独立して選択されてよい。
1つの実施態様では、LおよびLは結合、−CO−、−CS−、および−S(O)−からなる群からそれぞれ独立して選択されてよい。
別の実施態様では、Lは−CO−、−CS−、および−S(O)−からなる群からそれぞれ独立して選択されてよく、Lは結合であり得る。
1つの実施態様では、本開示の化合物またはその塩は、式(I’)、式(I’’)、または式(I’’’):
Figure 2018159827
[式中:
およびRは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、および1個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
はアルカノイルであり;
はハロゲンであり;
はアルキルである]
で表される化合物またはその塩であり得る。
別の実施態様では、本開示の化合物またはその塩は、式(I’):
Figure 2018159827
[式中:
およびRは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、および1個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
はアルカノイルであり;
はハロゲンである]
で表される化合物またはその塩であり得る。
1つの実施態様では、Rはヒドロキシ、Rはヒドロキシ、Rは水素、Rはブタノイル、Rはフルオロ、およびRは水素であり得る。1つの実施態様では、Rはイソブチルであり得る。
1つの実施態様では、本開示は
1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例1);
N−(5−(4−(4−ブチリル−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボニル)−2−メトキシフェニル)アセトアミド(実施例2);
1−(4−(4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例3);
1−(4−(4−(3,4−ジメチルベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例4);
5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(実施例5);および
5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(実施例6)
からなる群から選択される化合物またはその塩を提供する。
別の実施態様では、本開示は
1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例1);
N−(5−(4−(4−ブチリル−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボニル)−2−メトキシフェニル)アセトアミド(実施例2);
1−(4−(4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例3);および
1−(4−(4−(3,4−ジメチルベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン(実施例4);
からなる群から選択される化合物またはその塩を提供する。
本開示の化合物(I)は、分子内に不斉炭素原子を有する場合、当該不斉炭素原子に基づく複数の立体異性体(すなわち、ジアステレオマー異性体、光学異性体)として存在し得るが、本開示の化合物はこれらの内のいずれか1個の立体異性体およびその混合物をいずれも包含するものである。
本開示の化合物(I)は、同位元素(例えば、H、H、13C、14C、15N、18F、32P、35S、125I等)等で標識された化合物および重水素変換体を包含する。
本開示の化合物(I)は、遊離の形でも、また塩の形でも存在することができる。塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩等の酸付加塩;リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびアルミニウム塩等の金属塩;ならびにアンモニウム塩、ジエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、トリエタノールアミン塩、およびトリエチルアミン塩等の塩基付加塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の化合物(I)またはその塩は、その分子内塩や付加物、それらの溶媒和物、または水和物等をいずれも含むものである。
本開示の化合物(I)またはその塩を含む農業用組成物は、不活性担体、界面活性剤、またはその他の製剤用補助剤を適宜添加し、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、または粒剤等に製剤化される。
不活性担体としては、固体担体および液体担体が挙げられるが、これらに限定されない。固体担体としては、例えばカオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられるが、これらに限定されない。また、液体担体としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、および水等が挙げられるが、これらに限定されない。
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、およびアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
その他の製剤用補助剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸およびその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、ザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤およびPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の農業用組成物は、本開示の化合物(I)またはその塩を通常0.01〜99重量%、例えば0.1〜95重量%、または0.5〜90重量%等の量にて含有する。
本開示において、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物を植物に適用する場合、当該植物の全体であっても一部分(茎葉、芽、花、果実、穂、種子、および根等)であってもよく、また当該植物の種々の生育ステージ(播種後出芽前後等の発芽期、育苗時、苗移植時、挿し木または挿し苗時、定植後の生育時等の栄養生長期、出穂直前または出穂期等の生殖生長期)であってよい。
本開示の植物の成長を調節する方法、例えば植物の成長促進方法または成長阻害方法は、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物の有効量を植物またはその栽培地に適用することにより行われる。植物またはその栽培地に適用する場合は、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物は1回または複数回適用される。例えば、散布処理の回数としては通常1〜3回が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示における適用方法としては、例えば茎葉散布等の植物の茎葉、花器または穂への処理(つまり散布処理)、土壌または栽培する培地に播種する前の状態の植物の種子への処理(つまり種子処理)、植物を植えつける前または植えつけた後の土壌(栽培地)への処理(つまり土壌処理)、苗への処理(例えば育苗箱処理、育苗トレイ処理)等が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示における植物の茎葉、花器、または穂への散布処理としては、例えば茎葉散布等の植物の表面に、または出穂時期の穂もしくは植物全体に、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物の有効量を適用する方法が挙げられるが、これらに限定されない。植物への処理の1つの態様としては、水田に生育している植物への処理が挙げられるが、これらに限定されない。また、散布処理時期としては、開花前、開花中、開花後を含む開花時期が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示における植物の種子処理としては、例えば、土壌または栽培する培地に播種する前の状態の植物の種子に、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物の有効量を適用する方法が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な処理方法としては、例えば、限定されるものではないが、吹きつけ処理、塗沫処理、浸漬処理、含浸処理、塗布処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられ、これらの方法により、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物の有効量を表面および/または内部に保持している種子を調製することができる。
本開示における土壌処理としては、例えば、植物を植えつける前または植えつけた後の土壌に、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物の有効量を適用する方法が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な処理方法としては、例えば、限定されるものではないが、土壌への散布、土壌混和、土壌への薬液潅注(薬液潅水、土壌注入、薬液ドリップ)が挙げられ、処理する場所としては、例えば、限定されるものではないが、植穴、作条、植穴付近、作条付近、栽培地の全面、植物地際部、株間、樹幹下、主幹畦、培土、育苗箱、育苗トレイ、苗床等が挙げられ、処理時期としては播種前、播種時、播種直後、育苗期、定植前、定植時、および定植後の生育期等が挙げられるが、これらに限定されない。また、上記土壌処理において、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物を含有するペースト肥料等の固形肥料を土壌へ施用してもよい。また、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物を潅水液に混合してもよく、例えば、潅水設備(潅水チューブ、潅水パイプ、スプリンクラー等)への注入、条間湛水液への混入、水耕液への混入等が挙げられるが、これらに限定されない。また、あらかじめ潅水液と本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物を混合し、例えば、上記潅水方法やそれ以外の散水、湛水等のしかるべき潅水方法を用いて処理することができる。
本開示における苗への処理としては、例えば、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物を水で適当な有効成分濃度に希釈調製した希釈液を苗全体に散布する散布処理、その希釈液に苗を浸漬する浸漬処理、粉剤に調製した本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物を苗全体に付着させる塗布処理が挙げられるが、これらに限定されない。また、苗を植えつける前または植えつけた後の土壌への処理としては、例えば、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物を水で適当な有効成分濃度に希釈調製した希釈液を、苗を植えつけた後、苗および周辺土壌に散布する方法、粒剤または粒剤等の固形剤に調製した本開示の化合物(I)もしくはその塩、または本開示の農業用組成物を、苗を植えつけた後、周辺土壌に散布する方法が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の化合物(I)もしくはその塩、または農業用組成物を適用できる植物としては、例えば次の植物を挙げることができるが、これらに限定されない。
農作物、例えばトウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、およびタバコ等;
野菜、例えばナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、およびジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、およびスカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、およびカリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、およびレタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、およびアスパラガス等)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、およびアメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、およびフダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、およびバジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、ならびにサトイモ等;
果樹、例えば仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、およびマルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、およびプルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、およびグレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、およびマカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、およびラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ならびにココヤシ等;ならびに
観葉植物。
前記植物は、遺伝子組み換え植物でもよい。
1つの実施態様では、本開示の化合物(I)もしくはその塩、または農業用組成物は、イネに適用されるが、これに限定されない。
イネとしては、例えば日本晴、ヒノヒカリ、コシヒカリ、あきたこまち、はえぬき、ササニシキ、ひとめぼれ、キヌヒカリ、ほしのゆめ、きらら397、つがるロマン、ゆめあかり、ハナエチゼン、夢つくし、ハツシモ、ゆきひかり、ななつぼし、まっしぐら、あさひの夢、こしいぶき、あいちのかおり、彩のかがやき、おぼろづき、およびユメヒカリ等のジャポニカ種;インディカ種;ジャバニカ種;サリークイーン、バスマティ、キタカオリ、プリンセスサリー、カオ・ホーム・マリ、アルボリオ、カルナローリ、ならびにヴィアローネ・ナノ等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本開示の化合物(I)またはその塩は、BR様アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を有することから、植物の成長調節剤、例えば成長促進剤または成長抑制剤として有用である。
1つの実施態様では、本開示の化合物(I)またはその塩は、植物の成長促進剤として利用することができる。本明細書で「植物の成長促進」とは、例えば種子の発芽促進、発根促進、活着促進、枝、葉、および茎の発生および伸張促進、開花促進、着果促進、果実の成熟促進、果実の肥大促進、耐病性付与、ならびにストレス(例えば高塩濃度、乾燥、高温、低温、栄養欠乏等)に対する耐性付与を挙げることができるが、これらに限定されない。本開示の化合物(I)またはその塩を成長促進剤として適用する植物としては、イネ等を挙げることができるが、これに限定されない。
別の実施態様では、本開示の化合物(I)またはその塩は、成長抑制剤として利用することができる。本明細書で「植物の成長抑制」とは、例えば種子の発芽抑制、発根抑制、活着抑制、枝、葉、および茎の発生および伸張抑制、開花抑制、着果抑制、果実の成熟抑制、ならびに果実の肥大抑制等を挙げることができ、とりわけ除草剤としての作用を含むが、これらに限定されない。本開示の化合物(I)またはその塩を成長抑制剤として適用する植物としては、シロイヌナズナ等の双子葉類植物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
以下に述べる化合物(I)の各製造工程において、化合物に含まれる官能基の保護が必要な場合には、以下で具体的に記載されている方法または慣用の方法により、適宜実施することができる。保護基およびそれらの使用の一般的な記述については、T.W.Greeneら、”Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley & Sons, New York, 2006に記載されている。保護基は、以下で具体的に記載されている方法または慣用の方法を用いて、その後の工程で除去し得る。また、なお、カルボン酸化合物またはその塩、およびアミン化合物またはその塩は、それぞれ以下で具体的に記載されている方法または慣用の造塩処理または脱塩処理をすることで相互に変換することができる。
製造方法1
本開示の化合物(I)またはその塩は、例えば、以下のようにして製造することができる。
Figure 2018159827
[式中、Rはハロゲン(塩素、臭素、またはヨウ素)、メタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、またはトリフルオロメタンスルホン酸塩等の脱離基を意味しRはハロゲン(塩素、臭素、またはヨウ素)またはヒドロキシを意味し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
工程1
化合物(II)および化合物(III)は市販の物質を用いてもよく、または市販の物質から公知の方法で製造してもよい。
化合物(II)と化合物(III)をカップリングさせることにより、化合物(IV)を得ることができる。
化合物(II)と化合物(III)のカップリング反応は、常法に従い、適当な溶媒中、パラジウム触媒の存在下または非存在下、塩基の存在下または非存在下、リガンドの存在下または非存在下で実施することができる。
溶媒としては、本反応に支障のないものであればよく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、またはこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
パラジウム触媒としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pddba)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(PdCl(PPh)等が挙げられるが、これらに限定されない。
塩基としては、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド類、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド等のアミド類等が挙げられるが、これらに限定されない。
リガンドとしては、例えば、4,5’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9’−ジメチルキサンテン(xantphos)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、トリフェニルホスフィン(PhP)等のホスフィン等が挙げられるが、これらに限定されない。
化合物(III)の使用量は、化合物(II)に対してモル比で1.0〜2.0当量、例えば1.0〜1.5当量とすることができる。
パラジウム触媒の使用量は、化合物(II)に対してモル比で0.01〜0.1当量、例えば0.03〜0.07当量とすることができる。
塩基の使用量は、化合物(II)に対してモル比で1.0〜3.0当量、例えば1.3〜2.0当量とすることができる。
リガンドの使用量は、化合物(II)に対してモル比で0.02〜0.2当量、例えば0.05〜0.1当量とすることができる。
本反応は、室温〜200℃、例えば70〜150℃で実施することができる。
あるいは、化合物(III)の環上の2つの−NH−基のうちのいずれか1つの基は、保護基によって保護されていてもよい。保護基としては、例えばtert−ブトキシカルボニル基(Boc基)等を挙げることができるが、これに限定されない。
化合物(III)が保護基を有する場合、化合物(II)と化合物(III)のカップリング後、該保護基を慣用の方法で脱保護することにより、化合物(IV)を得ることができる。例えば、化合物(II)と化合物(III)のカップリング生成物を、溶媒中、酸と反応させることにより脱保護し、化合物(IV)を得ることができる。
溶媒としては、例えばジクロロメタン等を挙げることができるが、これに限定されない。
酸としては、例えばトリフルオロ酢酸等を挙げることができるが、これに限定されない。
酸の使用量は、カップリング生成物に対してモル比で5.0〜50.0当量、例えば10.0〜30.0当量とすることができる。
本反応は、冷却下から加熱下、例えば室温から加熱下に実施することができる。
工程2
化合物(IV)および化合物(V)は市販の物質を用いてもよく、または市販の物質から公知の方法で製造してもよい。
化合物(IV)と化合物(V)を縮合させることにより、化合物(I)を得ることができる。
化合物(IV)と化合物(V)の縮合は、適当な溶媒中、縮合剤の存在下または非存在下、塩基の存在下または非存在下に実施することができる。
溶媒としては、本反応に支障のないものであればよく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、またはこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
縮合剤としては、例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)等が挙げられるが、これらに限定されない。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン等のアルキルアミン類;ピリジン、および4−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類等、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基;並びに炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、および水素化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられるが、これらに限定されない。
化合物(V)の使用量は、化合物(IV)に対してモル比で0.8〜3.0当量、例えば0.8〜2.2当量とすることができる。
縮合剤の使用量は、化合物(IV)に対して1.0〜5.0当量、例えば1.5〜2.5当量とすることができる。
塩基の使用量は、化合物(IV)に対して1.0〜5.0当量、例えば2.0〜4.0当量とすることができる。
本反応は、冷却下から加熱下、例えば室温から加熱下に実施することができる。
あるいは、R、R、またはRがヒドロキシ基またはアミノ基を有する場合、該ヒドロキシ基またはアミノ基は保護基によって保護されていてもよい。保護基としては、例えばアセチル基(Ac基)およびtert−ブトキシカルボニル基(Boc基)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
、R、またはRが保護基を有する場合、化合物(IV)と化合物(V)を縮合した後、該保護基を慣用の方法で脱保護することにより、化合物(I)を得ることができる。例えば、化合物(IV)と化合物(V)の縮合生成物を、溶媒中、塩基と反応させることにより脱保護し、化合物(I)を得ることができる。
溶媒としては、例えばメタノール等を挙げることができるが、これに限定されない。
塩基としては、例えば酢酸アンモニウム等を挙げることができるが、これに限定されない。
塩基の使用量は、縮合生成物に対してモル比で1.0〜20.0当量、例えば1.0〜10.0当量とすることができる。
本反応は、冷却下から加熱下、例えば室温から加熱下に実施することができる。
原料化合物(II)のうち、Rがアルカノイルである化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。
Figure 2018159827
[式中、Rはアルキル、MはMgX(ここで、Xはハロゲンである)またはLiを意味し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
工程1
化合物(VI)をN−メトキシ−N−メチルアミド化することにより、化合物(VII)を得ることができる。
化合物(VI)のN−メトキシ−N−メチルアミド化反応は、常法に従い、適当な溶媒中、活性化剤の存在下または非存在下、アミンと反応させることにより実施することができる。
溶媒としては、本反応に支障のないものであればよく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、またはこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
活性化剤としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)、テトラブロモメタン/トリフェニルホスフィン(CBr/PPh)等が挙げられる。
アミンとしては、例えば、N,O−ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
活性化剤の使用量は、化合物(VI)に対して1.0〜1.5当量、例えば1.0〜1.2当量とすることができる。
アミンの使用量は、化合物(VI)に対して1.0〜2.0当量、例えば1.0〜1.5当量とすることができる。
本反応は、冷却下から加熱下、例えば室温から加熱下に実施することができる。
工程2
化合物(VII)と化合物(VIII)を反応させることにより、化合物(II)を得ることができる。
化合物(VII)と化合物(VIII)の反応は、常法に従い、適当な溶媒中で実施することができる。
溶媒としては、本反応に支障のないものであればよく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、またはこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
化合物(VIII)の使用量は、化合物(VII)に対してモル比で0.9〜3.0当量、例えば0.95〜2.0当量とすることができる。
本反応は、冷却下から加熱下、例えば室温から加熱下に実施することができる。
本開示の化合物および中間体化合物は、上記の製造方法により製造することができる他、後記実施例や参考例に記載の方法に従って製造することができる。さらに本開示の化合物および中間体化合物は、上記製造方法、後記実施例、および参考例に記載の方法および/または既知方法またはそれらの組合せによって、別の目的化合物、または中間体に変換することができる。そのような方法としては、例えば以下の(1)〜(3)に記載の方法が含まれるが、これらに限定されない。
(1)含窒素環の窒素原子のアルキル化
含窒素環を有する化合物を、溶媒中(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、塩基(例えば水素化ナトリウム等)の存在下、ハロゲン化アルキル(例えば1−ブロモ−2−メチルプロパン等)と反応させることにより、含窒素環の窒素原子をアルキル化(例えばイソブチル化等)することができる。
(2)ヒドロキシ基からアセトキシ基への変換
ヒドロキシ基を有する化合物を、酸触媒(例えば硫酸等)の存在下、無水酢酸と反応させることにより、ヒドロキシ基をアセトキシ基へ変換することができる。
(3)カルボキシル基のハロゲン化
カルボキシル基を有する化合物を、溶媒中(例えばジクロロメタン等)、触媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)の存在下、ハロゲン化剤(例えば塩化オキサリル等)と反応させることにより、カルボキシル基をハロゲン化(例えば酸塩化物化)することができる。
以下に、実施例を挙げて本開示をより具体的に説明するが、以下の実施例は本開示を説明する目的で提供されるものであり、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、各用語および略号は当該技術分野で通常用いられている意味を有するものとする。
参考例1
3,4−ジフルオロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミドの製造
Figure 2018159827
3,4−ジフルオロ安息香酸(2.5g,15.8mmol)とN,O−ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩(2.3g,22.8mmol)を無水ジクロロメタン(100ml)に溶解し、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(3.2g,16.1mmol)を加えて室温で5時間撹拌した。その後蒸留水(40mL)、クロロホルム(40mL)を加えて分液し、析出した固体を濾過により取り除いた。水層をクロロホルム(40mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、濾液を減圧濃縮し、黄色油状物として3,4−ジフルオロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミドを得た(粗収量5.8g)。これを精製せずに次の反応に用いた。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 7.53(m,1H),7.51(m,1H),7.21(m,1H),3.55(s,3H),3.37(m,1H)
参考例2
1−(3,4−ジフルオロフェニル)ブタン−1−オンの製造
Figure 2018159827
3,4−ジフルオロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(1.0g,6.3mmol)を無水テトラヒドロフラン(10mL)に懸濁し、氷冷下アルゴン置換した。2.0M臭化プロピルマグネシウムのテトラヒドロフラン溶液(3mL)をゆっくり滴下し、室温に戻して2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、反応を止めて30分間撹拌した。その後蒸留水(40mL)、クロロホルム(20mL)を加えて分液し、水層をクロロホルム(30mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、濾液を減圧濃縮し、淡黄色油状物を得た。これをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3%→25%)により精製し、淡黄色油状物として1−(3,4−ジフルオロフェニル)ブタン−1−オンを得た(0.87g,収率79%)。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 7.74(m,1H),7.72(m,1H),7.25(m,1H),2.90(t,2H),1.75(sextet,2H),1.00(t,3H)
参考例3
1−(3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ブタン−1−オンの製造
Figure 2018159827
1−(3,4−ジフルオロフェニル)ブタン−1−オン(0.62g,3.4mmol)とピペラジン(1.0g,11.6mmol)をアセトニトリルに溶解し、一晩加熱還流した。その後蒸留水(30mL)、酢酸エチル(20mL)を加えて分液し、水層を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、濾液を減圧濃縮し、淡黄色油状物として1−(3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ブタン−1−オンを得た(0.64g,収率76%)。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 7.66(dd,1H),7.61(dd,1H),6.91(t,1H),3.18(m,4H),3.04(m,4H),2.86(t,2H),1.74(sexet,2H),1.66(bs,1H),0.99(t,3H)
参考例4
3−アセトアミド−4−メトキシ安息香酸の製造
Figure 2018159827
3−アミノ−4−メトキシ安息香酸(0.3g,1.66mmol)と無水酢酸(5mL,5.29mmol)を酢酸に溶かし、室温で2時間撹拌した。トルエンと共沸して酢酸を留去し、褐色固体として3−アセトアミド−4−メトキシ安息香酸を得た(0.29g,収率82%)。
参考例5
3,4−ジアセトキシ安息香酸の製造
Figure 2018159827
乾燥した50mL容ナスフラスコに3,4−ジヒドロキシ安息香酸(1.50g,9.7mmol)を入れ、無水酢酸(5.35mL,56.4mmol)を加え、触媒量の硫酸を加えて室温で1時間撹拌した。水(33mL,1.8mmol)を加えてさらに3時間撹拌後、水層を酢酸エチル(10mL×5mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して白色固体として3,4−ジアセトキシ安息香酸(2.01g,収率86.6%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 2.32(6H,s),7.33(1H,d,J=8.5Hz),7.94(1H,d,J=1.9Hz),8.02(1H,dd,J=8.5、2.0Hz)
参考例6
3,4−ジアセトキシ安息香酸クロライドの製造
Figure 2018159827
乾燥した20mL容ナスフラスコに3,4−ジアセトキシ安息香酸(580mg,2.4mmol)を入れ、無水ジクロロメタン(5mL)に溶解した。触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドを加え、塩化オキサリル(309μL,3.6mmol)を滴下し、50℃で90分還流した。反応液を減圧留去することにより、黄色固体として3,4−ジアセトキシ安息香酸クロライド(690mg)を得た。
実施例1
1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンの製造
Figure 2018159827
3,4−ジヒドロキシ安息香酸(0.1g,0.64mmol)と1−(3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ブタン−1−オン(0.1g,0.40mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.2g,0.8mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。その後蒸留水(10mL)、クロロホルム(40mL)を加えて分液した。水層をクロロホルム(5mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、濾液を減圧濃縮し、黄色油状物を得た。これをヘキサンとクロロホルムの混合溶媒により再結晶し、白色固体として1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンを得た(14mg,収率9%)。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 7.71(dd,1H),7.67(dd,1H),7.04(s,1H),6.91(t,1H),6.81(s,2H),3.85(bs,4H),3.23(bs,4H),2.88(t,2H),1.76(q,2H),1.72(bs,2H),0.99(t,3H)
実施例2
N−(5−(4−(4−ブチリル−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボニル)−2−メトキシフェニル)アセトアミドの製造
Figure 2018159827
3−アセトアミド−4−メトキシ安息香酸(0.1g,0.48mmol)と1−(3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ブタン−1−オン(0.1g,0.40mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.2g,0.8mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。その後蒸留水(10mL)、クロロホルム(40mL)を加えて分液した。水層をクロロホルム(5mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、濾液を減圧濃縮し、黄色油状物を得た。これをヘキサンとクロロホルムの混合溶媒により再結晶し、白色固体としてN−(5−(4−(4−ブチリル−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボニル)−2−メトキシフェニル)アセトアミドを得た(36mg,収率20%)。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 8.50(d,1H),7.77(s,1H),7.69(dd,1H),7.64(dd,1H),7.26(m,1H),6.94(m,2H),3.94(s,3H),3.63−4.04(s,4H),3.25(s,4H),2.86(t,2H),2.23(s,3H),1.76(q,2H),0.99(t,3H)
実施例3
1−(4−(4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンの製造
Figure 2018159827
安息香酸(0.1g,0.82mmol)と1−(3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ブタン−1−オン(0.1g,0.40mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.2g,0.8mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。その後蒸留水(10mL)、クロロホルム(40mL)を加えて分液した。水層をクロロホルム(5mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、濾液を減圧濃縮し、白色固体を得た。これをヘキサンとクロロホルムの混合溶媒により再結晶し、白色結晶として1−(4−(4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンを得た(27mg,収率18%)。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 7.67(dd,1H),7.63(dd,1H),7.47(s,5H),6.92(t,1H),3.96(bs,2H),3.93(bs,2H),3.24(bs,4H),2.86(t,3H),1.74(q,2H),0.99(t,3H)
実施例4
1−(4−(4−(3,4−ジメチルベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンの製造
Figure 2018159827
3,4−ジメチル安息香酸(0.1g,0.67mmol)と1−(3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ブタン−1−オン(0.1g,0.40mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.2g,0.8mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。その後蒸留水(10mL)、クロロホルム(40mL)を加えて分液した。水層をクロロホルム(5mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、濾液を減圧濃縮し、白色固体を得た。これをヘキサンとクロロホルムの混合溶媒により再結晶し、白色結晶として1−(4−(4−(3,4−ジメチルベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンを得た(40mg,収率25%)。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 7.67(dd,1H),7.63(dd,1H),7.22(s,1H),7.16(m,2H),6.92(t,3H),3.92(bs,2H),3.74(bs,2H),3.25(bs,4H),2.88(t,3H),2.29(s,6H),1.74(q,2H),0.99(t,3H)
実施例5
5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
工程1
5−ブロモ−1−イソブチル−1H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した50mL容二頸フラスコに5−ブロモ−1H−インダゾール(2.50g,12.7mmol)を入れ、アルゴン置換した。無水N,N−ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解し、氷冷し、水素化ナトリウム(360mg,15.2mmol)をゆっくり加えた。氷冷下で10分間撹拌した後、1−ブロモ−2−メチルプロパン(1.63mL,15.3mL)を加え、室温に戻して2時間撹拌した。反応液に水(80mL)と酢酸エチル(60mL)を加えて分液し、水層を酢酸エチル(2×60mL)で抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得た粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=95/5→60/40)で精製し、淡黄色油状物として5−ブロモ−1−イソブチル−1H−インダゾール(1.53g,収率47.5%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.91(6H,d,J=6.7Hz),2.37(1H,sep,J=6.8Hz),4.15(2H,d,J=7.4Hz),7.28(1H,d,J=8.9Hz),7.43(1H,dd,J=8.9,1.8Hz),7.86(1H,dd,J=1.8,0.6Hz),7.93(1H,d,J=0.9Hz)
工程2
5−(4−Bocピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した100mL容二頸フラスコにBoc−ピペラジン(1.23g,6.6mmol)とナトリウムtert−ブトキシド(1.73g,8.4mmol)を入れ、アルゴン置換した。トルエン(50mL)に溶解した5−ブロモ−1−イソブチル−1H−インダゾール(1.53g,6.0mmol)を加え、溶液を脱気した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(274mg,5mol%)、および(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(374mg,10mol%)を加え、80℃で一晩撹拌した。反応液を室温まで放冷し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、セライトでろ過し、酢酸エチル(450mL)で洗浄した。ろ液にシリカゲルを加え、濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=90/10→40/60)で精製することにより、褐色油状物として5−(4−Bocピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(1.59g,収率73.6%)を得た.
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.92(6H,d,J=6.7Hz),1.49(9H,s),2.32(1H,sep,J=6.8Hz),3.08(4H,t,J=4.9Hz),3.62(4H,t,J=5.0Hz),4.12(2H,d,J=7.4Hz),7.12(1H,d,J=1.8Hz),7.16(1H,dd,J=9.0,2.2Hz),7.32(1H,d,J=9.0Hz),7.88(1H,d,J=0.8Hz)
工程3
5−(ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した50mL容三頸フラスコをアルゴン置換し、無水ジクロロメタン(10mL)に溶解した5−(4−Bocピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(1.59g,4.4mmol)を加え、氷冷した。トリフルオロ酢酸(6.6mL,80mmol)を滴下し、室温に戻し、3時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(80mL)を加え、さらに20分間撹拌した後、水層をジクロロメタン(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することにより、褐色油状物として5−(ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(1.08g,収率93.7%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.92(6H,d,J=6.8Hz),2.33(1H,sep,J=6.8Hz),3.43(8H,s),4.14(2H,d,J=7.4Hz),7.13(1H,dd,J=9.0,2.2Hz),7.21(1H,d,J=1.7Hz),7.35(1H,d,J=9.0Hz),7.91(1H,d,J=0.8Hz)
工程4
5−(4−(3,4−アセトキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した100mL容三頸フラスコをアルゴン置換し、無水ジクロロメタン(20mL)に溶解した5−(ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(1.08g,4.16mmol)とトリエチルアミン(1.56mL,11.2mmol)を加えた。無水ジクロロメタン(10mL)に溶解した3,4−ジアセトキシ安息香酸クロライド(1.08g,4.2mmol)をゆっくり滴下した後、室温で18時間撹拌した。反応液を減圧留去し、酢酸エチル(70mL)と水(90mL)を加えて分液した。水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水(120mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2→90/10)で精製することにより、褐色固体として5−(4−(3,4−アセトキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(1.27g,収率64.0%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.92(6H,d,J=6.8Hz),2.28−2.38(7H,m),3.14(4H,br s),3.70−3.95(4H,br),4.13(2H,d,J=7.3Hz),7.13(1H,d,J=1.7Hz),7.16(1H,dd,J=9.0,2.2Hz),7.27−7.34(3H,m),7.37(1H,dd,J=8.2,1.9Hz),7.89(1H,d,J=0.8Hz)
工程5
5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した50mL容二頸フラスコに5−(4−(3,4−アセトキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(96mg,0.2mmol)を入れ、アルゴン置換し、脱水メタノール(15mL)を加えて溶解した。酢酸アンモニウム(46mg,0.6mmol)を加え、室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルを加えた後、ジクロロメタンを加え、再び減圧留去し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2→90/10)で精製することにより、淡黄色固体として5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール(78mg,収率98.2%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.91(6H,d,J=6.7Hz),2.31(1H,sep,J=6.8Hz),3.11(4H,br s),3.71−3.92(4H,br),4.13(2H,d,J=7.3Hz),6.79(2H,s),6.97(1H,s),7.10(1H,d,J=1.7Hz),7.16(1H,dd,J=9.1,2.1Hz),7.33(1H,d,J=9.3Hz),7.89(1H,d,J=0.6Hz)
実施例6
5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
工程1
5−ブロモ−2−イソブチル−2H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した50mL容二頸フラスコに5−ブロモ−1H−インダゾール(2.50g,12.7mmol)を入れ、アルゴン置換した。無水N,N−ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解し、氷冷し、水素化ナトリウム(360mg,15.2mmol)をゆっくり加えた。氷冷下で10分間撹拌した後、1−ブロモ−2−メチルプロパン(1.63mL,15.3mL)を加え、室温に戻し、2時間撹拌した。反応液に水(80mL)と酢酸エチル(60mL)を加えて分液し、水層を酢酸エチル(2×60mL)で抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=95/5→60/40)で精製することにより、淡黄色油状物として5−ブロモ−2−イソブチル−2H−インダゾール(0.92g,収率28.7%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.94(6H,d,J=6.7Hz),2.38(1H,sep,J=6.9Hz),4.19(2H,d,J=7.4Hz),7.32(1H,dd,J=9.2,1.9Hz),7.59(1H,d,J=9.1Hz),7.81(1H,dd,J=1.9,0.7Hz),7.83(1H,d,J=0.7Hz)
工程2
5−(4−Bocピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した二頸試験管に5−(ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(104mg,0.41mmol)、Boc−ピペラジン(80mg,0.45mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(18mg,5mol%)、4,5’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9’−ジメチルキサンテン(24mg,10mol%)、およびナトリウムtert−ブトキシド(113mg,0.61mmol)を入れ、アルゴン置換した。脱気したトルエン(4mL)に溶解し、80℃で一晩撹拌した。反応液を室温まで放冷し、セライトでろ過し、酢酸エチル(100mL)で洗浄した。ろ液にシリカゲルを加え、濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/0→35/65)で精製することにより、褐色油状物として5−(4−Bocピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(44mg,収率29.9%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.94(6H,d,J=6.7Hz),1.49(9H,s),2.36(1H,sep,J=6.8Hz),3.07(4H,t,J=5.0Hz),3.61(4H,t,J=5.1Hz),4.15(2H,d,J=7.3Hz),6.92(1H,d,J=1.8Hz),7.11(1H,dd,J=9.3、2.2Hz),7.62(1H,d,J=9.3Hz),7.74(1H,d,J=0.7Hz)
工程3
5−(ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した二頸試験管をアルゴン置換し、無水ジクロロメタン(1mL)に溶解した5−(4−Bocピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(84mg,0.23mmol)を加え、氷冷した。トリフルオロ酢酸(340μL,4.6mmol)を滴下し、室温に戻し、3時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(8mL)を加え、さらに20分撹拌した後、水層をジクロロメタン(3×8mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することにより、深緑色固体として5−(ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(54mg,収率89.2%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.94(6H,d,J=6.7Hz),2.36(1H,sep,J=6.8Hz),3.09(8H,d,J=3.9Hz),4.14(2H,d,J=7.4Hz),6.91(1H,d,J=1.8Hz),7.13(1H,dd,J=9.4,2.3Hz),7.61(1H,d,J=9.4Hz),7.72(1H,d,J=0.8Hz)
工程4
5−(4−(3,4−アセトキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した二頸試験管をアルゴン置換し、無水ジクロロメタン(1.3mL)に溶解した5−(ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(54mg,0.21mmol)とトリエチルアミン(680μL,0.57mmol)を加えた。無水ジクロロメタン(500μL)に溶解した3,4−ジアセトキシ安息香酸クロライド(47mg,0.18mmol)をゆっくり滴下した後、室温で18時間撹拌した。反応液を減圧留去し、酢酸エチル(8mL)と水(10mL)を加えて分液した。水層を酢酸エチル(2×6mL)で抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2→90/10)で精製することにより、深緑色固体として5−(4−(3,4−アセトキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(58mg,収率58.0%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.94(6H,d,J=6.7Hz),2.30−2.38(7H,m),3.09−3.17(4H,br),3.69−3.94(4H,br),4.15(2H,d,J=7.3Hz),6.93(1H,d,J=1.9Hz),7.11(1H,dd,J=9.3,2.2Hz),7.26−7.28(1H,m),7.32(1H,d,J=7.3Hz),7.37(1H,dd,J=8.3,2.0Hz),7.63(1H,d,J=9.3Hz),7.75(1H,s)
工程5
5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾールの製造
Figure 2018159827
乾燥した50mL容二頸試験管をアルゴン置換し、脱水メタノール(5mL)に溶解した5−(4−(3,4−アセトキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(58mg,0.12mmol)を加えた。脱水メタノール(4mL)に溶解した酢酸アンモニウム(56mg,0.72mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルを加えた後、ジクロロメタンを加え、再び減圧留去し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2→90/10)で精製することにより、淡黄色固体として5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール(36mg,収率75.3%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 0.93(6H,d,J=6.6Hz),2.34(1H,sep,J=6.8Hz),3.04(4H,br s),3.65−3.85(4H,br),4.15(2H,d,J=7.4Hz),6.81(2H,s),6.89−6.91(2H,m),7.07(1H,dd,J=9.3,1.9Hz),7.59(1H,d,J=9.3Hz),7.76(1H,s)
以下の実験例では、モデル生物としてイネおよびシロイヌナズナを用いて本開示の化合物(I)またはその塩のブラシノライド(BL)アゴニスト活性およびアンタゴニスト活性を評価したが、本開示の化合物(I)またはその塩が適用できる植物はこれらに限定されるものではない。
実験例1
イネにおける第二葉身屈曲試験
(原理)
BLアゴニスト活性を有する化合物をイネに適用すると、用量依存的にイネの第二葉身が屈曲することから、この角度を測定することでBLアゴニスト活性を評価した。
(方法)
短銀坊主種子を2%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に1分間浸し、滅菌水で3回洗浄した。これを滅菌水中において2日間28℃で静置し、発芽した種子を1%アガロース培地に移した。28℃で4日間静置し、育ったイネの第二葉身基部にインドール−3−酢酸(IAA、25nmol)と実施例1の化合物の各濃度のエタノール溶液(0.01〜10nmol)、ポジティブコントロールとしてのブラシノライド(BL、1nmol)、またはネガティブコントロールとしてのエタノール(EtOH)を投与し、28℃で2日間静置した。その後、第二葉身の屈曲角度を測定した。
(結果)
その結果、実施例1の化合物は用量依存的にイネの葉身を屈曲させ、BLアゴニスト活性を示した(図1)。
実験例2
シロイヌナズナの胚軸測定試験
(原理)
シロイヌナズナ等の双子葉類植物は、明所で育成した場合、胚軸が伸びず、子葉が展開する光形態形成を示す。一方暗所で育成した場合、胚軸が伸長し、子葉が展開しない「もやし」状の形態を示す。さらに暗所でブラシノステロイド生合成阻害剤であるブラシナゾール(Brz)を添加した条件で生育した双子葉植物は、胚軸が短くなり、子葉が開く「暗所光形態形成」を示す。この特徴を元に、暗所で生育したシロイヌナズナの胚軸の長さを測定することによって、本開示の化合物のBLアゴニストまたはアンタゴニスト活性の有無を確認した。
(方法)
シロイヌナズナ種子Col−0を、0.5%トリトン−Xを含む70%エタノールに浸し、30分間撹拌した。これを99%エタノールに移して1分間撹拌し、滅菌ろ紙上で乾燥させた。各種濃度(10〜100μM)の実施例2または3の化合物のジメチルスルホキシド溶液、コントロールとしてのジメチルスルホキシド(DMSO)、またはBrzのジメチルスルホキシド溶液(1または3μM)を含む1/2MS培地(1.5%スクロースおよび0.9%寒天を含む)15mLに、前記の乾燥種子を約50粒ずつまき、4℃で2日間春化処理をした。その後、22℃のインキュベータに移し、明所で4時間静置した後、暗所で7日間培養した。成長した胚軸を並べて画像処理し、ImageJを用いて胚軸の長さを測定した。
(結果)
Brzを添加した場合、DMSOを添加した場合と比較して、用量依存的に胚軸伸長が阻害された(図2−1)。また、実施例2および3の化合物はいずれも、Brzを添加した場合と同様に、用量依存的に胚軸伸長を阻害し、BLアンタゴニスト活性を示した(図2−2、図2−3)。
実験例3
遺伝子発現解析
(原理)
BRによって発現が調節される遺伝子の数は数千にもおよぶ。以下にBRの作用に関係する遺伝子の代表例とその機能の一覧表を示す。
Figure 2018159827
上記の遺伝子からBRの有無による感受性が高いとされている遺伝子を選び、リアルタイムPCRにおける発現量を比較し、植物体における遺伝子量を測定し、アゴニスト活性およびアンタゴニスト活性を調べた。なお、本明細書および添付の図面において、SAUR−AC1は「SAUR」、BR−6−OXは「BR−6−OX2」とも称する。
実施例1の化合物については、BRによって発現が抑制される遺伝子であるCPDとBR−6−OXについて、その発現量を調べた。
実施例2および3の化合物については、BRによって発現が促進される遺伝子の中からBAS1、SAUR、TCH4、およびIAA19、BRによって発現が抑制される遺伝子の中からBR−6−OXについて、その発現量を調べた。
実施例5および6の化合物については、BRによって発現が抑制される遺伝子の中からDWF4、BR−6−OX2、およびCPD、BRによって発現が促進される遺伝子の中からSAUR−AC1、BAS1、およびIAA19について、その発現量を調べた。
(方法)
RNA抽出
RNAの抽出には、Rneasy Plant Mini Kit(キアゲン社製)を用いた。
実験例2と同様の手順で生育したシロイヌナズナを約50mg量り取り、ファルコンチューブに保存し、RLTバッファーとメルカプトエタノールを入れた(10μLメルカプトエタノール/1mL RLTバッファー)。実施例1の化合物については、10または30μMの化合物を添加して培養したもの、DMSOを添加して培養したもの、100μMのBLを添加して培養したもの、および3μMのBrzを添加して培養したものを比較した。実施例2または3の化合物については、100μMの化合物を添加して培養したもの、DMSOを添加して培養したもの、および100μMのBrzを添加して培養したものを比較した。実施例5の化合物については、10μMまたは30μMの化合物を添加して培養したもの、DMSOを添加して培養したもの、および100nMのBLを添加して培養したものを比較した。実施例6の化合物については、0.1μMまたは0.3μMの化合物を添加して培養したもの、DMSOを添加して培養したもの、および100nMのBLを添加して培養したものを比較した。
−80℃で凍結させたサンプルを乳棒と乳鉢を用いて手早くすりつぶし、ファルコンチューブに移した。これをRLTバッファー450μLに溶解し、8000rpm、室温で5分間ボルテックスした。この上清をlilacカラムに入れ、13,000rpm、室温で2分間遠心した。沈殿物を吸わないように上清を新しいエッペンチューブに移し、100%エタノールを225μL加えた。すばやくピペッティングで撹拌し、pinkカラムに入れて13,000rpm、室温で1分間遠心した。通過画分を捨て、RW1バッファーを700μL加えて13,000rpm、室温で1分間遠心した。新しいチューブに付け替えてRPEバッファーを500μL加え、13,000rpm、室温で2分間遠心した。通過画分を捨て、13,000rpm、室温で1分間遠心した後、新しいチューブに移し、RNase free水を50μL加え、13,000rpm、室温で1分間遠心し、吸光度測定を行った。RNAの吸光度は25倍希釈で吸光度(A260)=濃度(μg/μL)となるため、この式を用いて濃度を算出した。
cDNA合成
上記で抽出したRNAをRNA量が1μg/20μLになるようRNase Free滅菌水で希釈し、チューブに分注した。TaKaRa PrimeScript RT reagent Kitを用いて反応液を作製した。反応液の組成を以下に示す。反応液を37℃で15分間、85℃で5秒間インキュベートし、逆転写反応を行った。反応終了後、滅菌水を80μL添加した。
Figure 2018159827
リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析
リアルタイムPCRはPCR産物をリアルタイムでモニタリングするため、指数関数的増幅領域でDNAの正確な定量を行うことができる。PCRではDNAは指数関数的に増幅し、最後には定常状態に達する。本実験では検出方法として、インターカレーター法を用いた。インターカレーター法とはポリメラーゼ反応によって合成された二本鎖DNAにインターカレーターが結合すると、試薬が蛍光を発し、その蛍光強度を検出することで増幅DNAの定量を行う手法である。PCR増幅産物が蛍光検出できる濃度になると、増幅曲線は立ち上がり始める。そのため、最初に存在しているDNAが多いものほど、立ち上がり始めも早くなる。適当な蛍光強度で閾値(Ct(Threshold Cycle)値)を設定すると、そのCt値に達するまでのサイクル数は最初に存在しているDNAの量に比例する。本実験では、解析方法として、ΔΔCt法を用いた。これは、検量線を用いずキャリブレーターとのCt値の差を相対量に換算する方法である。本実験においては恒常的に発現していると考えられるアクチンをキャリブレーターとして用い、アクチンの発現量を基準とした相対定量を行った。試薬はSYBR(登録商標)Premix Ex TaqTM II(Tli RNaseH Plus)(Takara)を用い、マイクロチューブに試薬類を混ぜ合わせた。反応液の組成を以下に示す。サーマルサイクラーはTakaraのThermal cycler Diceを用いた。
Figure 2018159827
(結果)
実施例1の化合物は、DMSOと比較して、CPDとBR−6−OXの発現量を用量依存的に減少させ、BLアゴニスト活性を示した(図3−1〜図3−2)。
実施例2および3の化合物は、DMSOと比較して、BAS1、SAUR、TCH4、およびIAA19の発現量を減少させ、BR−6−OXの発現量を増加させ、BLアンタゴニスト活性を示した(図3−3〜図3−7)。
実施例5および6の化合物は、DMSOと比較して、全ての遺伝子の発現量を変化させ、特に実施例5の化合物はSAUR−AC1、BAS1、およびIAA19においてBLと同様の作用を示し(図3−8〜図3−13)、実施例6の化合物はSAUR−AC1、IAA19、およびCPDにおいてBLと同様の作用を示した(図3−14〜図3−19)。
本開示の化合物(I)またはその塩は、BR様アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を有することから、植物の成長調節剤、例えば植物の成長促進剤または成長抑制剤として有用である。

Claims (16)

  1. 式(I):
    Figure 2018159827
    [式中:
    環Aおよび環Bは、単環式非芳香族炭素環、単環式非芳香族複素環、フェニル環、および単環式芳香族複素環からなる群からそれぞれ独立して選択され;
    、R、R、R、R、およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルカノイル、置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換されていてもよいカルバモイル、および置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここでR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基が環B上の隣接する原子に結合している場合、該2つの基はそれらが結合する環B上の原子と一緒になって、置換されていてもよい単環式非芳香族炭素環、置換されていてもよい単環式非芳香族複素環、置換されていてもよいフェニル環、または置換されていてもよい単環式芳香族複素環を形成していてもよく;
    およびLは、結合、アルキレン、−NH−、−O−、−S−、−CO−、−CS−、−S(O)−、および−S(O)−からなる群からそれぞれ独立して選択され;
    nは0または1である。]で表される化合物またはその塩
    (ただし、以下の化合物、すなわち、
    Figure 2018159827
    またはその塩は除く。)。
  2. およびLが結合、−CO−、−CS−、−S(O)−、および−S(O)−からなる群からそれぞれ独立して選択される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
  3. が−CO−であり、Lが結合である、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
  4. 環Aおよび環Bが6員の単環式非芳香族炭素環、6員の単環式非芳香族複素環、フェニル環、および6員の単環式芳香族複素環からなる群からそれぞれ独立して選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  5. 環Aおよび環Bが共にフェニル環である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  6. nが1である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  7. 、R、およびRが水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、1個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル、および1個のアルカノイルで置換されていてもよいアミノからなる群からそれぞれ独立して選択され、
    、R、およびRが水素、ハロゲン、およびアルカノイルからなる群からそれぞれ独立して選択されるか、またはR、R、およびRからなる群から選択されるいずれか2つの基が環B上の隣接する原子に結合し、それらが結合する環B上の原子と一緒になって、置換されていてもよい単環式芳香族複素環を形成している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  8. 式(I’)、式(I’’)、または式(I’’’):
    Figure 2018159827
    [式中:
    およびRは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、および1個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
    はアルカノイルであり;
    はハロゲンであり;
    はアルキルである]
    で表される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  9. がヒドロキシ、Rがヒドロキシ、Rが水素、Rがブタノイル、Rがフルオロ、およびRが水素である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  10. 1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン;
    N−(5−(4−(4−ブチリル−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボニル)−2−メトキシフェニル)アセトアミド;
    1−(4−(4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン;
    1−(4−(4−(3,4−ジメチルベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オン;
    5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−1−イソブチル−1H−インダゾール;および
    5−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−2−イソブチル−2H−インダゾール
    からなる群から選択される化合物またはその塩。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその塩を含む、農業用組成物。
  12. 1−(4−(4−(3,4−ジヒドロキシベンゾイル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロフェニル)ブタン−1−オンまたはその塩を含む、請求項11に記載の農業用組成物。
  13. 植物の成長調節剤である、請求項11または12に記載の農業用組成物。
  14. 植物の成長促進剤である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の農業用組成物。
  15. 植物がイネである、請求項13または14に記載の農業用組成物。
  16. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその塩を植物に適用する工程を含む、植物の成長調節方法。
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