JPWO2018150924A1 - 電子デバイス - Google Patents

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    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Abstract

軽量化や、薄型化が可能な電子デバイスを提供する。第1樹脂基材(12)と第1バリア層(13)とを有する第1ガスバリア性フィルムからなる基材(11)と、基材上に設けられた表示部材(14)と、基材上に設けられた表示部材以外の他の電子部材(15)と、表示部材と他の電子部材とを連続して被覆する第2樹脂基材と第2バリア層とを有する第2ガスバリア性フィルム(18)からなる封止部材(17)とを備える電子デバイスを構成する。

Description

本発明は、表示部材を有する電子デバイスに係わる。
多数のセンサーや電子デバイスが無線でネットワークに接続されたモノのインターネット(Internet of things,IoT)は、様々な産業や分野への浸透が期待されている。しかし、これらは、電子デバイス等への電源の確保が重要な課題となっている。この課題を解決する技術として、周りの環境から微小なエネルギーを収穫して、電力に変換するエネルギーハーベスティング技術が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
光、熱(温度差)、振動、電波等の様々な形態で環境中に存在するエネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティング技術は、充電・取り替え・燃料補給なしで長期間のエネルギー供給が可能な電源として、モノのインターネット(Internet of things,IoT)の実現に重要な技術である。
IoTに用いられる電子デバイスは、通信機能によって、デバイスの状態を外部機器から確認することもできるが、電子デバイスの状態を目視で直接確認することが必要となる場合がある。このため、電子デバイスに、ディスプレイ部や、発光部等の表示部を設けることが求められている(例えば、特許文献2参照)。
特開2013−188019号公報 特開2014−115526号公報
しかしながら、特許文献2に記載の電子デバイスのように、表示部材や発電素子等の複数の部材を1つの筐体内に積層配置した構成では、筐体の大きさや重さの制限によって、設置が限定される場合がある。このため、設置できる電子デバイスの大きさや重さに制限がある場合にも、簡便な設置が可能なように、電子デバイスの軽量化や、薄型化が求められている。
上述した問題の解決のため、本発明においては、軽量化や、薄型化が可能な電子デバイスを提供する。
本発明の電子デバイスは、第1樹脂基材と第1バリア層とを有する第1ガスバリア性フィルムからなる基材と、基材上に設けられた表示部材と、基材上に設けられた表示部材以外の他の電子部材と、表示部材と他の電子部材とを連続して被覆する第2樹脂基材と第2バリア層とを有する第2ガスバリア性フィルムからなる封止部材とを備える。
本発明によれば、軽量化や、薄型化が可能な電子デバイスを提供することができる。
第1実施形態の電子デバイスの構成を示す図である。 ローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。 第2実施形態の電子デバイスの構成を示す図である。 第3実施形態の電子デバイスの構成を示す図である。 第4実施形態の電子デバイスの構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.電子デバイスの第1実施形態
2.電子デバイスの第2実施形態
3.電子デバイスの第3実施形態
4.電子デバイスの第4実施形態
〈1.電子デバイスの第1実施形態〉
以下、本発明の電子デバイスの具体的な実施の形態について説明する。図1に、本実施の形態の電子デバイスの概略構成図(断面図)を示す。
[電子デバイスの構成]
図1に示す電子デバイス10は、基材11上に、表示部材として、有機EL素子14が配置されている。さらに、表示部材以外の他の電子部材として、発電素子である有機薄膜太陽電池(OPV:Organic Photovoltaics)15が配置されている。また、有機EL素子14と有機薄膜太陽電池15とは、基材11上において平面位置で重ならずに、それぞれの間に間隙を有して配置されている。さらに、電子デバイス10は、基材11上に搭載される各電子部材の上面の全面が、封止部材17によって封止されている。電子デバイス10は、表示部材が配置される部分に表示される情報を、少なくとも基材11と封止部材17とのいずれかが視認できる程度に透過するように構成されている。
(基材・封止部材)
基材11は、第1樹脂基材12と第1バリア層13とを有する第1ガスバリア性フィルムからなる。基材11は、第1樹脂基材12の一方の面に第1バリア層13が形成されている。また、封止部材17は、第2樹脂基材と第2バリア層とからなる第2ガスバリア性フィルム18と、第2ガスバリア性フィルム18を基材11側に貼合するための粘着層19とを有する。そして、第2ガスバリア性フィルム18は、第2樹脂基材の一方の面に第2バリア層が形成されている。さらに、第2ガスバリア性フィルム18の第2バリア層側に粘着層19が形成されている。
電子デバイス10において、基材11は、第1樹脂基材12が外面となり、第1バリア層13が内面となる。このため、基材11を構成する第1ガスバリア性フィルムにおいて、第1バリア層13側に表示部材と他の電子部材とが配置されている。同様に、電子デバイス10において、第2ガスバリア性フィルム18は、第2樹脂基材が外面となり、第2バリア層が内面となる。また、第2ガスバリア性フィルム18の第2バリア層側に粘着層19が設けられている。そして、粘着層19が基材11側に貼り合わされることで、封止部材17が、表示部材と他の電子部材の上面及び側面を連続して被覆する。
電子デバイス10では、基材11及び封止部材17が、樹脂基材により形成されている。このため、電子デバイス10の軽量化や、薄型化が可能である。さらに、電子デバイス10は、基材11及び封止部材17が樹脂基材とともにバリア層を有しているため、搭載する表示部材や他の電子部材の信頼性や耐候性の低下を抑制することができる。
(表示部材)
電子デバイス10は、少なくとも表示部材を備える。表示部材は、起動状態を知らせるための情報を、電子デバイス10の外部から確認できるように表示する。電子デバイスに搭載される表示部材としては、例えば、有機EL照明素子や有機EL表示素子等の有機EL素子14以外にも、LED(light emitting diode)のような発光素子や、液晶表示素子、電子ペーパー等の表示素子を用いることができる。また、表示する情報は、例えば、文字や図形等のパターンや、単なる光の点灯等の簡単な信号等でもよい。このように、電子デバイスに搭載される表示部材としては、表示されるパターンや発光が外部から確認できるものであれば、特に限定されずに適用することができる。
(他の電子部材)
表示部材と共に電子デバイス10に搭載される、表示部材以外の他の電子部材としては、特に限定されない。電子デバイス10において、他の電子部材は、表示部材に電気的に接続されていることが好ましい。このような表示部材以外の他の電子部材としては、エネルギーを電気に変換する発電素子が好ましい。電子デバイスが発電素子を備えることにより、外部から電力を直接供給する必要がなくなるため、完全にワイヤレスな電子デバイス10として使用することができる。
発電素子としては、図1に示す有機薄膜太陽電池15以外にも、後述するワイヤレス給電方式や、ワイヤレス電力伝送方式を適用可能な電子部材であってもよい。電子デバイス10は、表示部材以外の他の電子部材として、エネルギーを電気に変換する発電素子を複数備えることが好ましい。特に、それぞれ異なるエネルギーを電気に変換する発電素子を備えることが好ましい。例えば、特定のエネルギーを電気に変換する第1発電素子と、第1発電素子と異なるエネルギーを電気に変換する第2発電素子とを備える構成が好ましい。
エネルギーを電気に変換する発電素子としては、例えば、光を捉える発電素子、電磁波を捉える発電素子、及び、その他のエネルギーを捉える発電素子が挙げられる。
光を捉える発電素子としては、例えば、無機光電変換素子や有機光電変換素子等が挙げられる。
電磁波を捉える発電素子としては、例えば、電磁誘導方式(MI)により発電する素子、調相結合の磁界共振方式(AMR)により発電する素子、共振及び反共振の磁界共振方式(MR)により発電する素子、電界結合方式により発電する素子が挙げられる。
その他のエネルギーを捉える発電素子としては、例えば、音波、振動、圧力、伸縮、温度差等により発電する素子が挙げられる。
また、表示部材以外の他の電子部材としては、上述の発電素子以外にも、例えば、電力を蓄積するための二次電池、熱、光、振動、圧力、気圧、歪み、電磁波等のエネルギー、大気中の湿度、有機若しくは無機のガス、又は、液体若しくは気体の流量等を感知するための感知センサー、記憶部、通信ネットワークを介して外部機器との通信を行う通信部、他の機能構成部の動作を統括的に制御する制御回路部等を用いることができる。
なお、電子デバイス10は、表示部材以外の他の電子部材として、発電素子とともに、発電素子以外の電子部材を備えていてもよい。発電素子において発生した電力を表示部材や、制御部材等の他の電子部材に供給することにより、電子デバイスを独立した構成とすることができる。
(第3バリア層)
また、電子デバイス10は、表示部材となる有機EL素子14の下部に、第3バリア層16を備える。第3バリア層16は、基材11の第1バリア層13上において、第1バリア層13と直に接して形成されている。電子デバイス10では、第3バリア層16を設けることにより、封止部内に侵入する水分等によって性能に影響を受けやすい有機EL素子14等が配置される領域のバリア性が、水分等による影響を受けにくい有機薄膜太陽電池15が配置される領域よりも高くなる。
このように、電子デバイス10において、封止部内に侵入する水分等によって性能に影響を受けやすい電子部材が配置される領域を第1領域Aとし、この第1領域A以外の領域を第2領域Bとする。そして、第1領域Aのバリア性が高くなるように、第1領域Aと第2領域Bとのバリア性に差を設ける。電子デバイス10においては、少なくとも第1領域Aの全面に第3バリア層16が形成されることが好ましい。これにより、表示部材となる有機EL素子14が配置されている第1領域Aのバリア性と、第1領域A以外の第2領域Bとのバリア性に差を持たせることができる。
有機EL素子14のように水分等の影響を受けやすい電子部材と、水分等の影響を受け難い他の電子部材とを備える電子デバイス10では、水分等の影響を受けやすい電子部材が配置される第1領域Aでは、バリア性を高める必要がある。しかし、水分等の影響を受けやすい電子部材が配置されない第2領域Bでは、第1領域Aと同程度までの高いバリア性は必要ない。
この場合に、第2領域Bまで第1領域Aと同程度までバリア性を高めると、バリア層形成する領域が大きくなり、工程の繁雑化等による製造コストの増加が懸念される。このため、電子デバイス10内において、高いバリア性を付与する第1領域Aと、第1領域Aよりもバリア性が低い第2領域Bとを設けることにより、電子デバイス10に搭載される電子部材に応じたバリア性の確保と、電子デバイス10の製造コストの増加の抑制とを両立することができる。
第1領域Aと第2領域Bとのバリア性の差を設ける方法としては、上述の第1領域の全面に第3バリア層16を形成するような、各領域において全バリア層の合計の積層数を変える方法や、各領域において全バリア層の厚さの合計に差異を設ける方法が挙げられる。電子デバイス10では、第3バリア層16を設けることにより、第1領域Aの第1樹脂基材12上でのバリア層の厚さが、第2領域よりも大きい。このため、第1領域Aの全バリア層の厚さの合計は、第2領域よりも大きい。さらに、第3バリア層16を有することにより、第1領域Aにおけるバリア層の全層数が、第2領域Bにおけるバリア層の全層数よりも大きい。なお、全バリア層の厚さの合計を、第1領域Aと第2領域Bとで異ならせる構成では、厚さが異なれば積層数は同じでもよい。また、全バリア層の合計の積層数を、第1領域Aと第2領域Bとで異ならせる構成では、積層数が異なれば、全バリア層の厚さの合計が同じでもよい。
第1領域Aと第2領域Bとの全バリア層の厚さの合計や、バリア層の積層数を変える場合には、第1領域Aと第2領域Bとに形成する各バリア層を、同じ構成のバリア層としてもよく、異なる構成のバリア層としてもよい。また、各領域においてバリア層を積層させる場合には、それぞれ同じ構成のバリア層を積層させてもよく、また、異なる構成のバリア層を積層させてもよい。
第1領域Aと第2領域Bとで、厚さ方向で同じ位置に形成されているバリア層は、同じ構成であることが好ましい。また、第1領域Aと第2領域Bとで同じ層に形成されているバリア層についても、第1領域Aと第2領域Bとで同じ構成であることが好ましい。このような構成とすることにより、第1領域Aのバリア層と第2領域Bのバリア層とを同一工程で作製することができる。
第1領域Aと第2領域Bとに異なる厚さのバリア層を形成する場合には、厚さが異なる部分のバリア層については、他の部分のバリア層と同じ構成であってもよく、異なる構成であってもよい。好ましくは、厚さが異なる部分のバリア層が、それ以外の部分のバリア層と異なる構成であり、厚さが異なる部分のバリア層の積層構成が他の部分と異なるように形成されていることが好ましい。
また、異なる構成のバリア層を直に積層させる構成では、後述するプラズマCVD法により形成された特定の元素分布を有するバリア層と、ポリシラザン化合物を用いて形成したバリア層との積層構成や、ポリシラザン化合物を用いて形成したバリア層と、酸化ニオブ等を含む遷移金属含有層との積層構成が好ましい。また、CVD法やスパッタ法等の気相成膜で形成した窒化ケイ素、又は、酸化窒化ケイ素のバリア層と、酸化ニオブを含む遷移金属含有層との積層構成が好ましい。これらの積層構成では、同じ厚さで形成した他の構成のバリア層よりも、高いバリア性が得られやすい。
また、第1領域Aと第2領域Bとのバリア性に差を設ける方法としては、基材とバリア層とからなるガスバリア性フィルムを少なくともいずれかの領域に貼合する方法、及び、水分等の影響を受けやすい素子を複数の封止部材で封止する方法等が挙げられる。これらの方法については、後述する実施形態で説明する構成を適用することができる。
(水蒸気透過率)
なお、第1領域Aと第2領域Bとのバリア性の差は、例えば、水蒸気透過率(WVTR)の測定値を比較の基準とすることができる。
水蒸気透過率は、従来用いられてきた評価方法である、カップ法(JIS Z 0208−1976)や、いわゆるモコン法(JIS K 7129−1992 B法)等で測定することができる。モコン法による具体的な測定装置としては、例えば、モコン社製のAQUATRANを挙げることができる。
また、上記方法に加えて、水蒸気透過率を測定するカルシウム腐食法が知られている。この方法では、内側にカルシウムの膜を成膜したフィルムを試験片として作製し、この試験片を恒温恒湿環境下に置き、フィルムを透過した水蒸気と反応して腐食したカルシウムの量を画像処理等で測定し、フィルムの水蒸気透過率を算出する。カルシウム腐食法は、従来のモコン法等よりも高感度に水蒸気透過率を算出することができる。
また、特開2011−242354号公報に記載された、電気容量型の水分センサーを用いて水蒸気透過率を測定する方法や、国際公開第2010/117012号に記載された、質量分析計を用いて水蒸気透過率を測定する方法を用いることができる。
[構成要素]
電子デバイス10に適用可能な各構成要素について、電子部材以外の構成要素の一例を以下に示す。なお、以下に示す各構成要素は、上述の電子デバイス10において要求される各種性能等を満たすことができれば、任意の構成を選択して適用することができる。例えば、第1樹脂基材12や、封止部材の第2樹脂基材に要求される特性を満たす構成を、以下で説明する樹脂基材から任意に選択することができる。また、第1バリア層13や、封止部材の第2バリア層、及び、第3バリア層16に要求される特性を満たす構成を、以下で説明するバリア層の構成から任意に選択することができる。
[ガスバリア性フィルム]
ガスバリア性フィルムとしては、下記の樹脂基材とバリア層とを備える構成が好ましい。また、市販のガスバリア性フィルムを適用することも可能である。
[樹脂基材]
電子デバイスに用いられる各樹脂基材としては、例えば、樹脂フィルム等が挙げられる。樹脂フィルムは、バリア層等の機能性層を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。樹脂フィルムとしては、従来公知の樹脂フィルムを用いることができる。樹脂基材は、複数の材料から形成されていてもよい。樹脂フィルムとしては、一般的に光学フィルムに適用される基材から、所望の電子デバイスを実現可能な樹脂フィルムを、適宜選択して用いることができる。例えば、特開2013−226758号公報の段落[0124]〜[0136]、国際公開第2013/002026号の段落[0044]〜[0047]等に記載された樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂基材として用いることができる樹脂フィルムのより好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン(COP)が挙げられる。
樹脂基材は、樹脂フィルムが単独、又は、複数用いられていてもよく、複数の層から形成されていてもよい。樹脂基材は、枚葉形状及びロール形状に限定されないが、生産性の観点からロールトゥロール方式に対応できるロール形状が好ましい。また、樹脂基材の厚さは、特に制限されないが、5〜500μm程度が好ましい。また、電子デバイスの厚さが30μm以上150μm以下となるように、樹脂基材の厚さは、20μm以上130μm以下であることがより好ましい。
[粘着層]
電子デバイスに用いられる各粘着層は、粘着剤を含んで構成される。粘着層に用いられる粘着剤は、電子デバイスに要求される粘着力を得ることができれば特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。例えば、自己粘着タイプは特許5997961号に記載された自己粘着型や、特開2014−101443号公報に記載された塗布型を用いることができる。
(自己粘着型の粘着層)
自己粘着型の粘着層は、例えば、水添スチレン系エラストマー(A1)を主要成分とし、さらにポリプロピレン系樹脂(A2)が配合されることが好ましい。水添スチレン系エラストマー(A1)としては、水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。水添スチレン系エラストマーは、粘着強度の調整が容易で加工性に優れる。ポリプロピレン系樹脂(A2)としては、主にプロピレンホモポリマー、プロピレン・α−オレフィンランダムポリマー等が挙げられる。
具体的には、プロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等が好ましい。ポリプロピレン系樹脂は自己粘着型の粘着層の層間強度を高める目的で用いられる。さらに、ランダムポリプロピレン系樹脂を選択すると粘着力が高まる傾向にある。
(塗布型の粘着層)
塗布型の粘着層は、粘着剤組成物を樹脂基材上に塗布及び乾燥することにより作製することができる。粘着剤組成物としては、例えば、炭素数が4〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とするアクリル系ポリマーからなり、アクリル系ポリマーの100質量部に対して、主成分のアルキル(メタ)アクリレートを85〜98.5質量部、ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーを0.1〜15質量部、カルボキシル基含有の共重合性モノマーを0.1〜2質量部、及び、架橋剤を0.1〜5質量部含有することが好ましい。さらに、粘着剤組成物は、アクリル系ポリマーの酸価が0.01〜8.0であり、帯電防止剤が融点30〜50℃のイオン性化合物であり、ポリエーテル変性シロキサン化合物を含有することが好ましい。
主成分のアルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が4〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレートからなる化合物群の中から選択された1種以上であることが好ましい。アクリル系ポリマーの100質量部に対して、主成分のアルキル(メタ)アクリレートを85〜98.5質量部含有することが好ましい。
ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類や、水酸基含有(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーとしては、アクリル系ポリマーの100質量部に対して、ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーを0.1〜15質量部含有することが好ましい。
カルボキシル基含有の共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルテトラヒドロフタル酸からなる化合物群から選択された、1種以上が好ましい。カルボキシル基含有の共重合性モノマーとしては、アクリル系ポリマーの100質量部に対して、カルボキシル基含有の共重合性モノマーを0.1〜2質量部含有することが好ましい。
粘着剤組成物は、粘着層を形成する際に粘着剤ポリマーを架橋することが好ましい。架橋反応をさせるための方法としては、紫外線(UV)等の光架橋を行ってもよいが、粘着剤組成物が架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、2官能又は3官能以上のイソシアネート化合物、2官能又は3官能以上のエポキシ化合物、2官能又は3官能以上のアクリレート化合物、金属キレート化合物等が挙げられる。なかでも、ポリイソシアネート化合物(2官能または3官能以上のイソシアネート化合物)が好ましく、3官能以上のイソシアネート化合物がより好ましい。粘着剤組成物は、アクリル系ポリマーの100質量部に対して、架橋剤を0.1〜5質量部含有することが好ましい。
3官能以上のイソシアネート化合物としては、1分子中に少なくとも3個以上のイソシアネート(NCO)基を有するポリイソシアネート化合物であればよい。ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族系イソシアネート、芳香族系イソシアネート、非環式系イソシアネート、脂環式系イソシアネート等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族系イソシアネート化合物や、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ジメチルジフェニレンジイソシアネート(TOID)、トリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系イソシアネート化合物が挙げられる。
3官能以上のイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート類(1分子中に2個のNCO基を有する化合物)のビュレット変性体やイソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパン(TMP)やグリセリン等の3価以上のポリオール(1分子中に少なくとも3個以上のOH基を有する化合物)とのアダクト体(ポリオール変性体)等が挙げられる。
粘着剤組成物は、帯電防止性能を付与するため、帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤は、常温(例えば30℃)で固体であることが好ましく、より具体的には、帯電防止剤が融点30〜50℃のイオン性化合物であることが好ましい。帯電防止剤は、アクリロイル基含有の4級アンモニウム塩型イオン性化合物であってもよい。これらの帯電防止剤は、融点が低いため、また、長鎖のアルキル基を有するため、アクリル系ポリマーとの親和性は高いと推測される。
融点が30〜50℃のイオン性化合物である帯電防止剤としては、カチオンとアニオンを有するイオン性化合物であって、カチオンが、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、アンモニウムカチオン等の含窒素オニウムカチオンや、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン等であり、アニオンが、六フッ化リン酸塩(PF )、チオシアン酸塩(SCN)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(RCSO )、過塩素酸塩(ClO )、四フッ化ホウ酸塩(BF )等の無機又は有機アニオンである化合物が挙げられる。アルキル基の鎖長や置換基の位置、個数等の選択により、融点が30〜50℃のイオン性化合物を得ることができる。カチオンは、好ましくは4級含窒素オニウムカチオンであり、1−アルキルピリジニウム(2〜6位の炭素原子は置換基を有しても無置換でもよい。)等の4級ピリジニウムカチオンや、1,3−ジアルキルイミダゾリウム(2,4,5位の炭素原子は置換基を有しても無置換でもよい。)等の4級イミダゾリウムカチオン、テトラアルキルアンモニウム等の4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。融点が30〜50℃のイオン性化合物である帯電防止剤は、アクリル系ポリマーの100質量部に対して、0.1〜5.0質量部含まれることが好ましい。
アクリロイル基含有の4級アンモニウム塩型イオン性化合物としては、カチオンとアニオンを有するイオン性化合物であって、カチオンが、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム[R−C2n−OCOCQ=CH、ただし、Q=H又はCH、R=アルキル]等の(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウムであり、アニオンが、六フッ化リン酸塩(PF )、チオシアン酸塩(SCN)、有機スルホン酸塩(RSO )、過塩素酸塩(ClO )、四フッ化ホウ酸塩(BF )、F含有イミド塩(R )等の無機もしくは有機アニオンである化合物が挙げられる。F含有イミド塩(R )のRとしては、トリフルオロメタンスルホニル基、ペンタフルオロエタンスルホニル基等のパーフルオロアルカンスルホニル基やフルオロスルホニル基が挙げられる。F含有イミド塩としては、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩[(FSO]、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩[(CFSO]、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド塩[(CSO ]等のビススルホニルイミド塩が挙げられる。アクリロイル基含有の4級アンモニウム塩型イオン性化合物は、アクリル系ポリマー中に0.1〜5.0質量%共重合されることが好ましい。
帯電防止剤としては、特に限定されないが、融点が30〜50℃であるイオン性化合物の具体例としては、1−オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩、1−ドデシルピリジニウム チオシアン酸塩、3−メチル−1−ドデシルピリジニウム 六フッ化リン酸塩、1−ドデシルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩、4−メチル−1−オクチルピリジニウム 六フッ化リン酸塩等が挙げられる。
また、アクリロイル基含有の4級アンモニウム塩型イオン性化合物の具体例としては、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート 六フッ化リン酸メチル塩[(CH CHOCOCQ=CH・PF 、ただし、Q=H又はCH]、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドメチル塩[(CH(CHOCOCQ=CH・(CFSO、ただし、Q=H又はCH]、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート ビス(フルオロスルホニル)イミドメチル塩[(CHCHOCOCQ=CH・(FSO、ただし、Q=H又はCH]等が挙げられる。
粘着剤組成物は、ポリエーテル変性シロキサン化合物を含有することが好ましい。ポリエーテル変性シロキサン化合物を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤の粘着力及びリワーク性能を改善することができる。ポリエーテル変性シロキサン化合物は、ポリエーテル基を有するシロキサン化合物であり、通常のシロキサン単位[−SiR −O−]の他に、ポリエーテル基を有するシロキサン単位[−SiR(RO(RO) )−O−]を有する。ここで、Rは1種又は2種以上のアルキル基又はアリール基、R及びRは1種又は2種以上のアルキレン基、Rは1種又は2種以上のアルキル基やアシル基等(末端基)を示す。ポリエーテル基としては、ポリオキシエチレン基[(C O)]やポリオキシプロピレン基[(CO)]等のポリオキシアルキレン基が挙げられる。
ポリエーテル変性シロキサン化合物は、HLB値が7〜12であるポリエーテル変性シロキサン化合物であることが好ましい。また、アクリル系ポリマーの100質量部に対して、ポリエーテル変性シロキサン化合物が0.01〜0.5質量部含まれることが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.5質量部である。
HLBとは、例えばJIS K3211(界面活性剤用語)等に規定する親水親油バランス(親水性親油性比)である。
ポリエーテル変性シロキサン化合物は、例えば、水素化ケイ素基を有するポリオルガノシロキサン主鎖に対し、不飽和結合及びポリオキシアルキレン基を有する有機化合物をヒドロシリル化反応によりグラフトさせることによって得ることができる。具体的には、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン重合体等が挙げられる。
粘着剤組成物は、架橋遅延剤を含有してもよい。架橋遅延剤としては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ−ケトエステルや、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトンが挙げられる。これらはケトエノール互変異性化合物であり、ポリイソシアネート化合物を架橋剤とする粘着剤組成物において、架橋剤の有するイソシアネート基をブロックすることにより、架橋剤の配合後における粘着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、粘着剤組成物のポットライフを延長することができる。
架橋遅延剤は、ケトエノール互変異性化合物であることが好ましく、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。架橋遅延剤を添加する場合、アクリル系ポリマーの100質量部に対して、1.0〜5.0質量部含まれることが好ましい。
粘着剤組成物は、架橋触媒を含有してもよい。架橋触媒は、ポリイソシアネート化合物を架橋剤とする場合に、アクリル系ポリマーと架橋剤との反応(架橋反応)に対して触媒として機能する物質であればよく、第三級アミン等のアミン系化合物、有機錫化合物、有機鉛化合物、有機亜鉛化合物等の有機金属化合物等が挙げられる。
第三級アミンとしては、トリアルキルアミン、N,N,N’,N’−テトラアルキルジアミン、N,N−ジアルキルアミノアルコール、トリエチレンジアミン、モルホリン誘導体、ピペラジン誘導体等が挙げられる。
有機錫化合物としては、ジアルキル錫オキシドや、ジアルキル錫の脂肪酸塩、第1錫の脂肪酸塩等が挙げられる。
架橋触媒は、有機錫化合物であることが好ましく、特にジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレートからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
架橋触媒を添加する場合、アクリル系ポリマーの100質量部に対して、0.01〜0.5質量部含まれることが好ましい。
粘着剤組成物は、ポリエーテル化合物を含有してもよい。ポリエーテル化合物としては、ポリアルキレンオキサイド基を有する化合物であり、ポリアルキレングリコール等のポリエーテルポリオールやこれらの誘導体が挙げられる。ポリアルキレングリコール及びポリアルキレンオキサイド基の有するアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の2種以上のポリアルキレングリコールの共重合体であってもよい。ポリアルキレングリコールの共重合体としては、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール等が挙げられ、該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体であってもよい。
ポリアルキレングリコールの誘導体としては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルやポリオキシアルキレンジアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルやポリオキシアルキレンジアルケニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアリールエーテルやポリオキシアルキレンジアリールエーテル等のポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールモノ脂肪酸エステルやポリオキシアルキレングリコールジ脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンジアミン等が挙げられる。
ここで、ポリアルキレングリコール誘導体におけるアルキルエーテルとしては、メチルエーテルやエチルエーテル等の低級アルキルエーテル、ラウリルエーテルやステアリルエーテル等の高級アルキルエーテルが挙げられる。ポリアルキレングリコール誘導体におけるアルケニルエーテルとしては、ビニルエーテル、アリルエーテル、オレイルエーテル等が挙げられる。また、ポリアルキレングリコール誘導体における脂肪酸エステルとしては、酢酸エステルやステアリン酸エステル等の飽和脂肪酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルやオレイン酸エステル等の不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。
ポリエーテル化合物が、エチレンオキシド基を含有する化合物であることが好ましく、ポリエチレンオキシド基を含有する化合物であることがより好ましい。
ポリエーテル化合物が、重合性官能基を有する場合、(メタ)アクリル系ポリマーと共重合させることもできる。重合性官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基等のビニル性官能基が好ましい。重合性官能基を有するポリエーテル化合物としては、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル、ポリアルキレングリコールジアリルエーテル、アルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテル、ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル、ポリアルキレングリコールジビニルエーテル、アルコキシポリアルキレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
さらに、その他成分として、アルキレンオキサイドを含有する共重合可能な(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、ジアルキル置換アクリルアミドモノマー、界面活性剤、硬化促進剤、可塑剤、充填剤、硬化遅延剤、加工助剤、老化防止剤、酸化防止剤などの公知の添加剤を適宜に配合することが出来る。これらは、単独で又は2種以上併せて用いられる。
粘着剤組成物に用いられる主剤のアクリル系ポリマーは、炭素数が4〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーと、カルボキシル基含有の共重合性モノマーとを共重合させることで合成することができる。アクリル系ポリマーの重合方法は特に限定されるものではなく、溶液重合、乳化重合等、適宜の重合方法が使用可能である。
アクリル系ポリマーには、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー、水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマー、アルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマー、アクリロイル基含有の4級アンモニウム塩型イオン性化合物等の他のモノマーを共重合させてもよい。
粘着剤組成物は、上記のアクリル系ポリマーに、架橋剤、帯電防止剤、さらに適宜任意の添加剤を配合することで調製することができる。
また、アクリル系ポリマーの酸価が0.01〜8.0であることが好ましい。これにより、汚染性を改善し、糊残りの発生を防止する性能を向上させることができる。ここで、「酸価」とは、酸の含有量を表す指標の一つであり、カルボキシル基を含有するポリマー1gを中和するのに要する、水酸化カリウムのmg数で表される。
[バリア層]
電子デバイスに用いられる各バリア層としては、バリア性を有する層であれば、特に限定されることなく、従来公知のロールトゥロール方式の適用が可能な成膜方法で形成可能な構成を適用することができる。例えば、一般的な無機化合物の気相成膜により形成されたバリア層が挙げられる。
[バリア層;気相成膜]
無機化合物の気相成膜によって形成されたバリア層(以下、気相成膜バリア層ともいう)は、無機化合物を含む。無機化合物は、特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物又は金属酸炭化物が挙げられる。無機化合物としては、ガスバリア性能の点で、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce及びTaから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物又は酸炭化物等が好ましい。好適な無機化合物として具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び、アルミニウムシリケート等の複合体が挙げられる。無機化合物を含むバリア層は、副次的な成分として、上記の無機化合物以外の元素を含有してもよい。
気相成膜バリア層のガスバリア性は、基材上に上記バリア層を形成した積層体において算出する水蒸気透過率(WVTR)が、0.1g/(m・day)以下であることが好ましい。
気相成膜バリア層の膜厚は、特に制限されないが、5〜1000nmであること好ましい。このような範囲であれば、高いガスバリア性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れる。また、気相成膜バリア層は2層以上から構成されていてもよい。
気相成膜バリア層を形成するための気相成膜方法としては、特に限定されない。気相成膜方法としては、既存の薄膜堆積技術を用いることができる。例えば、従来公知の蒸着法、反応性蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、化学気相成長法等の気相成膜法を用いることができる。これらの気相成膜法によるバリア層は、公知の条件を適用して作製することができる。
例えば、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面又は気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマを発生させる方法等があり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、プラズマを励起源としたプラズマCVD法(PECVD法)である真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法等の公知のCVD法が挙げられる。特に、PECVD法が好ましい方法である。以下、化学気相成長法の好ましい手法として、真空プラズマCVD法について詳しく説明する。
[真空プラズマCVD法]
真空プラズマCVD法は、プラズマ源を搭載した真空容器に材料ガスを流入させ、電源からプラズマ源に電力供給することで真空容器内に放電プラズマを発生させ、プラズマで材料ガスを分解反応させ、生成された反応種を基材に堆積させる方法である。真空プラズマCVD法により得られる気相成膜バリア層では、原材料である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力等の条件を選ぶことで、目的の化合物からなるバリア層を製造できる。
原材料の化合物としては、ケイ素化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物等のケイ素を含む化合物、及び、金属を含む化合物を用いることが好ましい。これら原材料の化合物は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
ケイ素化合物、チタン化合物、及び、アルミニウム化合物としては、従来公知の化合物を用いることができる。例えば、公知の化合物としては、特開2013−063658号公報の段落[0028]〜[0031]、特開2013−047002号公報の段落[0078]〜[0081]等に記載された化合物を挙げることができる。好ましくは、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、及び、水蒸気等が挙げられる。また、上記分解ガスを、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスと混合して用いてもよい。原材料の化合物を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで所望の気相成膜バリア層が得られる。
(真空プラズマCVD装置)
以下、好適な形態である真空プラズマCVD法について具体的に説明する。図2に、真空プラズマCVD法に適用される、ロールトゥロール(Roll to Roll)方式のローラー間放電プラズマCVD装置の模式図の一例を示す。
上述のプラズマCVD法でバリア層を製造する際に用いる成膜装置は、特に制限されない。例えば、図2に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながら、ロールトゥロール方式でバリア層を製造することができる。以下、図2を参照しながら、バリア層の製造方法について詳細に説明する。なお、図2は、バリア層の製造において好適に利用することができる、磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。
図2に示す磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置(以下、単にプラズマCVD装置ともいう。)50は、主には、繰り出しローラー51と、搬送ローラー52、搬送ローラー54、搬送ローラー55及び搬送ローラー57と、成膜ローラー53及び成膜ローラー56と、成膜ガス供給管59と、プラズマ発生用電源63と、成膜ローラー53の内部に設置された磁場発生装置61と、成膜ローラー56の内部に設置された磁場発生装置62と、巻取りローラー58とを備えている。また、このようなプラズマCVD製造装置においては、少なくとも成膜ローラー53,56と、成膜ガス供給管59と、プラズマ発生用電源63と、磁場発生装置61,62とが、図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。また、図2においては、成膜ローラー53,56にプラズマ発生用電源63に接続された電極ドラムが設置される。更に、このようなプラズマCVD製造装置において、真空チャンバー(不図示)は、真空ポンプ(不図示)に接続され、真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー53と成膜ローラー56)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源63に接続されている。成膜ローラー53と成膜ローラー56とに、プラズマ発生用電源63から電力を供給することにより、成膜ローラー53と成膜ローラー56との間の空間に放電し、この空間にプラズマを発生させることができる。このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー53,56は、その中心軸が同一平面上において略平行となるように配置することが好ましい。このように一対の成膜ローラー53,56を配置することにより、成膜レートを倍にでき、尚かつ、同様の構成の膜を形成できる。
また、成膜ローラー53及び成膜ローラー56の内部には、成膜ローラーが回転にかかわらず回転しないように固定された磁場発生装置61及び磁場発生装置62がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー53及び成膜ローラー56としては、適宜公知のローラーを用いることができる。成膜ローラー53及び成膜ローラー56としては、効率よく薄膜を形成する観点から、直径が同一のローラーを用いることが好ましい。また、このようなプラズマCVD製造装置に用いる繰り出しローラー51及び搬送ローラー52,54,55,57としては、公知のローラーを適宜選択して用いることができる。巻取りローラー58も、バリア層を形成した基材60を巻き取ることが可能であれば、特に制限されずに公知のローラーを用いることができる。
成膜ガス供給管59としては、原料ガス及び分解ガス等を所定の速度で供給又は排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源63としては、従来公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源63としては、効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源等)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源63としては、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置61,62としては、適宜、公知の磁場発生装置を用いることができる。
図2に示すプラズマCVD装置50を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、磁場発生装置の強度、真空チャンバー内の圧力(減圧度)、成膜ローラーの直径、基材の搬送速度等を適宜調整することにより、所望のバリア層を製造することができる。
図2に示すプラズマCVD装置50において、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給し、一対の成膜ローラー53,56間に、磁場を発生させながらプラズマ放電を行うことにより、成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー53が保持する基材60の表面上、及び、成膜ローラー56が保持する基材60の表面上に、バリア層が形成される。なお、このような成膜に際しては、基材60が繰り出しローラー51、搬送ローラー52,54,55,57、巻取りローラー58、及び、成膜ローラー53,56等で搬送されることにより、ロールトゥロール方式の連続的な成膜プロセスでバリア層を形成することができる。
(成膜ガス)
プラズマ化学気相成長法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用い、その成膜ガス中の酸素ガスの含有量が、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
バリア層の作製に用いる成膜ガスを構成する原料ガスとしては、少なくともケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。バリア層の作製に適用可能な有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取り扱い及び得られるバリア層のガスバリア性等の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
成膜ガスは、原料ガスの他に分解ガスとして、酸素ガスを含有することができる。酸素ガスは、原料ガスと反応して酸化物等の無機化合物となるガスである。また、成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスや水素ガスを用いることができる。
成膜ガスが有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを含有する場合、原料ガスと酸素ガスとの比率は、原料ガスと酸素ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる酸素ガスの量の比率よりも、酸素ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。これについては、例えば、国際公開第2012/046767号等の記載を参照することができる。
(真空度)
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5〜100Paの範囲とすることが好ましい。
(ローラー成膜)
図2に示すプラズマCVD装置50を用いたプラズマCVD法において、成膜ローラー53,56間に放電するために、プラズマ発生用電源63に接続された電極ドラムに印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができる。電極ドラムに印加する電力としては、例えば、0.1〜10kWの範囲内とすることが好ましい。このような範囲の印加電力であれば、パーティクル(不正粒子)の発生を抑制することができ、成膜時に発生する熱量も制御範囲内となるため、成膜時の基材表面温度の上昇による、基材の熱変形、熱による性能劣化や成膜時の皺の発生を抑制することができる。
プラズマCVD装置50において、基材60の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲内とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲内とすることがより好ましい。ライン速度が範囲内であれば、樹脂基材の熱に起因する皺も発生し難く、形成されるバリア層の厚さも十分に制御可能となる。
(バリア層の組成)
ロールトゥロール方式によって成膜されるバリア層は、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化し、下記要件(1)及び(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)バリア層において、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該バリア層の層厚方向におけるバリア層表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率(at%))との関係を示す炭素分布曲線が、極値を有し、炭素分布曲線の炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3at%以上である。
(2)バリア層の全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有する。
式(A):(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
式(B):(酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
なお、バリア層と基材との界面領域における測定精度は、基材の構成原子のノイズ等でやや精度が低下するため、上記要件(2)においては、バリア層の全層厚の90〜95%の範囲内の領域で上記式(A)又は式(B)で規定する関係を満たすことが好ましい。ここで、バリア層の膜厚の少なくとも90%以上とは、バリア層中で連続していなくてもよく、単に90%以上の部分で上記式(A)又は式(B)で規定する関係を満たしていればよい。
(X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定)
バリア層内における炭素原子の含有比率の平均値は、以下のXPSデプスプロファイルの測定によって求めることができる。
バリア層の層厚方向におけるケイ素分布曲線、酸素分布曲線、及びケイ素分布曲線等は、X線光電子分光法(XPS:X-Ray Photoelectron Spectroscopy)の測定と、アルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間が、バリア層の層厚方向におけるバリア層の表面からの距離におおむね相関する。このため、XPSデプスプロファイル測定の際に採用するエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるバリア層の表面からの距離を「バリア層の層厚方向におけるバリア層の表面からの距離」として採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、以下の測定条件とすることが好ましい。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名"VG Theta Probe"
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びサイズ:800×400μmの楕円形
炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出されるバリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該バリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、[(dC/dx)≦0.5]で表される条件を満たすことをいう。
(バリア層における炭素原子プロファイル)
バリア層は、構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含む。そして、層厚方向に組成が連続的に変化し、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、炭素分布曲線が上記要件(1)を満たす。また、炭素原子比率がバリア層の特定の領域において、濃度勾配が連続的に変化する構成を有することが、ガスバリア性と屈曲性を両立する観点から好ましい。
このような炭素原子プロファイルを有するバリア層においては、層内における炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することがより好ましい。更に、炭素分布曲線が、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。炭素分布曲線が極値を有すると、バリア層を有するフィルムを屈曲させた場合でも、ガスバリア性を十分に確保できる。また、炭素分布曲線が少なくとも2つ又は3つの極値を有する場合は、1つの極値とこれに隣接する他の極値との厚さ方向の距離の差の絶対値が200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。
なお、上記分布曲線の極値とは、バリア層の厚さ方向において、バリア層の表面からの距離に対する元素の原子比率の極大値又は極小値である。極大値とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比率の値が増加から減少に変わる変曲点であり、且つ、その変曲点の位置から厚さ方向に4〜20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上減少する点のことをいう。また、極小値とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる変曲点であり、且つ、その変曲点の位置から厚さ方向に4〜20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上増加する点のことをいう。すなわち、極大値及び極小値は、厚さ方向の位置を4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上減少又は増加する点である。
(バリア層における各原子プロファイル)
バリア層は、構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有することを特徴とするが、各原子の比率と、各原子の比率の最大値及び最小値についての好ましい態様を、以下に説明する。
(炭素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層では、炭素分布曲線における炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましい。炭素原子比率の最大値及び最小値の差を3at%以上とすることにより、作製したバリア層を屈曲させた際のガスバリア性が十分得られる。最大値及び最小値の差が5at%以上であれば、バリア層を有するフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより向上する。
(酸素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層においては、酸素分布曲線における最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差の絶対値が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましい。
(ケイ素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層においては、ケイ素分布曲線における最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差の絶対値が10at%未満であることが好ましく、5at%未満であることがより好ましい。最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が10at%未満であれば、バリア層に十分なガスバリア性及び機械的強度が得られる。
また、膜面全体の均一性やガスバリア性を向上させるためには、バリア層が膜面方向(バリア層の表面に平行な方向)で実質的に一様であることが好ましい。バリア層が膜面方向で実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によるバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所において、酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、酸素−炭素合計の分布曲線を作成した際に、任意の2箇所の測定箇所で得られる炭素分布曲線の極値の数が同じであり、且つ、各炭素分布曲線における炭素の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるか、又は、5at%以内の差であることをいう。
バリア層は、上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を少なくとも1層備えることが好ましいが、そのような条件を満たす層を、2層以上を備えていてもよい。さらに、バリア層を2層以上備える場合には、複数のバリア層の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子比率は、19〜40at%の範囲であることが好ましく、30〜40at%の範囲であることがより好ましい。また、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子比率は、33〜67at%の範囲であることが好ましく、41〜62at%の範囲であることがより好ましい。さらに、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子比率は、1〜19at%の範囲であることが好ましく、3〜19at%の範囲であることがより好ましい。
上記のバリア層のその他の構成については、国際公開第2012/046767号の段落[0025]〜[0047]、特開2014−000782号公報の段落[0029]〜[0040]等に記載された構成を適宜参照及び採用することができる。
(バリア層の厚さ)
バリア層の厚さは、5〜1000nmの範囲内であることが好ましく、10〜800nmの範囲内であることより好ましく、100〜500nmの範囲内であることが特に好ましい。バリア層の厚さが範囲内であれば、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性に優れ、屈曲された状態でも良好なガスバリア性が得られる。さらに、バリア層の厚さの合計値が範囲内であると、上記効果に加えて所望の平面性を実現することができる。
(バリア層の形成方法)
上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を形成する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。緻密に元素分布が制御させたバリア層を形成することができる観点からは、上述の図2に示すローラー間放電プラズマCVD装置を用いて、磁場を印加したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法によって形成する方法が好ましい。また、例えば、国際公開第2012/046767号の段落[0049]〜[0069]等に記載の方法を参照することができる。
より詳しくは、図2に示すローラー間放電プラズマCVD装置において、磁場を印加したローラー間放電プラズマ処理装置を用い、基材を一対の成膜ローラーに巻き回し、この一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電する、プラズマ化学気相成長法でバリア層を形成することが好ましい。また、一対の成膜ローラー間に磁場を印加しながら放電する際には、一対の成膜ローラー間の極性を交互に反転させることが好ましい。このように、一対の成膜ローラー上に基材を巻き回して、この一対の成膜ローラー間にプラズマ放電をすることにより、基材と放電空間との距離が変化し、基材表面でのプラズマ強度が連続的に変化することによって、炭素原子比率が濃度勾配を有し、且つ、炭素原子比率が層内で連続的に変化するバリア層を形成することが可能となる。
また、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面に成膜しつつ、且つ、対となる他方の成膜ローラー上に存在する基材の表面にも同時に成膜することが可能となる。すなわち、成膜効率を倍にでき、且つ、同様の構成の膜を成膜できるため、炭素分布曲線の極値を倍増させることが可能となり、効率よく上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を形成することが可能となる。
[バリア層;その他]
電子デバイスに用いられる各バリア層としては、上述の無機化合物の気相成膜によって形成されたバリア層と共に、ケイ素化合物を含む塗布液を用いて湿式塗布法によって形成されたバリア層や、遷移金属を含むバリア層を用いることもできる。
[バリア層;湿式塗布]
ケイ素化合物を含む塗布液を用いて湿式塗布法によって形成されたバリア層としては、ポリシラザン化合物を含む塗布液を公知の湿式塗布法により塗布した後、塗膜に改質処理を行って形成するバリア層が挙げられる。
(ポリシラザン化合物)
バリア層の形成に用いるポリシラザン化合物とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つ酸窒化ケイ素の前駆体となるポリマーである。ポリシラザン化合物としては、下記一般式(1)の構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2018150924
式中、R、R、及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、又は、アルコキシ基を表す。
バリア層の膜としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンを用いることが好ましい。その他、ポリシラザンの詳細については、特開2013−255910号公報の段落[0024]〜[0040]、特開2013−188942号公報の段落[0037]〜[0043]、特開2013−151123号公報の段落[0014]〜[0021]、特開2013−052569号公報の段落[0033]〜[0045]、特開2013−129557号公報の段落[0062]〜[0075]、特開2013−226758号公報の段落[0037]〜[0064]等を参照することができる。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20等が挙げられる。
(ポリシラザン化合物を用いたバリア層の形成方法)
ポリシラザン化合物を含有する溶液を用いた塗膜は、ポリシラザン化合物と添加剤等を含有する溶液を、基材上に塗布して形成することができる。溶液の塗布法としては、任意の適切な方法を採用できる。例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。溶液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜に含まれる有機溶媒を除去することができる。塗膜の形成方法については、特開2014−151571号公報の段落[0058]〜[0064]、特開2011−183773号公報の段落[0052]〜[0056]等を参照することができる。
(改質処理)
改質処理とは、ポリシラザン化合物の酸化ケイ素又は酸化窒化珪素への転化反応を行うための処理である。改質処理は、ポリシラザン化合物の転化反応についての公知の方法を用いることができる。改質処理としては、低温で転化反応が可能な、プラズマ、オゾン、紫外線等を使う転化反応が好ましい。プラズマ、オゾン、紫外線等を使う転化反応は、従来公知の方法を用いることができる。改質処理は、ポリシラザン化合物含有液の塗膜に、波長200nm以下の真空紫外線(VUV)を照射して行うことが好ましい。
湿式塗布法により形成するバリア層の厚さは、1〜500nmの範囲が好ましい、より好ましくは10〜300nmの範囲である。バリア層は、全体が改質層であってもよく、改質処理された改質層の厚さが1〜50nm、好ましくは1〜10nmであってもよい。
(真空紫外線処理)
ポリシラザン化合物を含む塗膜にVUVを照射する工程では、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素に改質されることが好ましい。VUV照射工程において、ポリシラザン化合物を含む塗膜が受ける塗膜面でのVUVの照度は30〜200mW/cmの範囲であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲であることがより好ましい。VUVの照度を30mW/cm以上とすることで、改質効率を十分に得ることができ、200mW/cm以下では、塗膜への損傷発生率を極めて抑え、基材への損傷も低減させることができる。
ポリシラザン化合物を含む塗膜の表面におけるVUVの照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲であることが好ましく、500〜5000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。VUVの照射エネルギー量を200mJ/cm以上とすることで、ポリシラザンの改質が十分に行われる。また、10000mJ/cm以下とすることにより、過剰改質を抑えてバリア層のクラックや、基材の熱変形の発生を極力抑えることができる。
真空紫外線の光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
真空紫外線は酸素による吸収があるため、紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、VUVの照射は、可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、VUV照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲、さらに好ましく80〜4500ppmの範囲、最も好ましくは100〜1000ppmの範囲である。
また、VUV照射時に用いられる照射雰囲気を満たすガスとしては、乾燥不活性ガスが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスが好ましい。酸素濃度の調整は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
これらの改質処理は、例えば、特開2012−086394号公報の段落[0055]〜[0091]、特開2012−006154号公報の段落[0049]〜[0085]、特開2011−251460号公報の段落[0046]〜[0074]等に記載の内容を参照することができる。
(中間層)
バリア層を積層する場合には、各バリア層の間に中間層を設けることが好ましい。中間層としては、ポリシロキサン改質層を適用することが好ましい。ポリシロキサン改質層は、ポリシロキサンを含有する塗布液を、湿式塗布法を用いてバリア層上に塗布して乾燥した後、その乾燥した塗膜に真空紫外線を照射することによって形成することができる。
中間層形成用の塗布液の塗布方法としては、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー法等が挙げられる。真空紫外線としては、上述したポリシラザン化合物の改質処理と同様のVUV照射を用いることが好ましい。
中間層を形成するために用いる塗布液は、主に、ポリシロキサン及び有機溶媒を含有する。中間層の形成に適用可能なポリシロキサンとしては、特に制限はないが、下記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンが特に好ましい。
Figure 2018150924
上記一般式(2)において、R〜Rは、各々同一又は異なる炭素数1〜8の有機基を表す。ここで、R〜Rの少なくとも1つの基は、アルコキシ基及び水酸基のいずれかを含む。mは1以上の整数である。
上記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、mが1以上で、かつ、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000〜20000であることが特に好ましい。オルガノポリシロキサンのポリスチレン換算の重量平均分子量が、1000以上であれば、形成する中間層に亀裂が生じ難く、ガスバリア性を維持することができ、20000以下であれば、形成される中間層の硬化が充分となり、中間層として十分な硬度が得られる。
中間層の乾燥膜厚としては、100nm〜10μmの範囲が好ましく、50nm〜1μmであることがより好ましい。中間層の膜厚が100nm以上であれば、十分なガスバリア性を確保することができる。また、中間層の膜厚が10μm以下であれば、中間層形成時に安定した塗布性を得ることができる。
その他、ポリシロキサンの詳細については、特開2013−151123号公報の段落[0028]〜[0032]、特開2013−086501号公報の段落[0050]〜[0064]、特開2013−059927号公報の段落[0063]〜[0081]、特開2013−226673号公報の段落[0119]〜[0139]等を参照することができる。
[バリア層;遷移金属含有層]
また、バリア層としては、遷移金属(M2)含有層と、遷移金属以外の無機元素(M1)含有層との積層形態であることが好ましい。無機元素(M1)含有層としては、上記ケイ素化合物を含む塗布液を用いて湿式塗布法によって形成されたバリア層が好ましい。
遷移金属含有層と遷移金属以外の無機元素含有層との積層形態からなるバリア層は、少なくとも厚さ方向において、無機元素M1と遷移金属M2とを含有する混合領域を有し、混合領域における無機元素M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することが好ましい。
さらに、上記バリア層において遷移金属含有層は、第3族〜第11族の遷移金属を主成分aとして含有するA領域と、第12族〜第14族の無機元素を主成分bとして含有するB領域との間に、主成分a及び主成分bに由来する化合物を含有する混合領域を有することが好ましい。
無機元素M1と遷移金属M2とを含有する混合領域では、遷移金属M2と無機元素M1とに加えて酸素が含有されていることが好ましい。また、この混合領域は、遷移金属の酸化物と無機元素の酸化物との混合物、又は、遷移金属M2と無機元素M1との複合酸化物の少なくとも一方を含有することが好ましく、遷移金属M2と無機元素M1との複合酸化物を含有することがより好ましい。
(遷移金属(M2)含有層:A領域)
遷移金属(M2)含有層におけるA領域とは、金属として遷移金属M2を主成分aとして含有する領域をいう。
遷移金属M2としては、特に制限されず、任意の遷移金属が単独で又は組み合わせて用いられる。ここで、遷移金属とは、長周期型周期表の第3族元素から第11族元素を指し、遷移金属としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、及びAu等が挙げられる。
なかでも、良好なバリア性が得られる遷移金属M2としては、Nb、Ta、V、Zr、Ti、Hf、Y、La、Ce等が挙げられる。これらのなかでも、種々の検討結果から、特に第5族元素であるNb、Ta、Vが、バリア層に含有される無機元素M1に対する結合が生じやすい観点から好ましい。
特に、遷移金属M2が第5族元素(特に、Nb)であって、詳細を後述する無機元素M1がSiである場合には、著しいバリア性の向上効果を得ることができ、特に好ましい組み合わせである。これは、Siと第5族元素(特に、Nb)との結合が特に生じやすいためであると考えられる。さらに、光学特性の観点から、遷移金属M2は、透明性が良好な化合物が得られるNb、Taが特に好ましい。
A領域の厚さとしては、バリア性と光学特性との両立の観点から、2〜50nmの範囲であることが好ましく、4〜25nmの範囲であることがより好ましく、5〜15nmの範囲であることがさらに好ましい。
(無機元素(M1)含有層:B領域)
無機元素(M1)含有層におけるB領域とは、遷移金属以外の無機元素を主成分bとして含有する領域をいう。無機元素M1としては、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される無機元素が好ましい。無機元素M1としては、特に制限されず、第12族〜第14族の任意の金属を単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの金属としては、例えば、Si、Al、Zn、In及びSn等が挙げられる。無機元素M1としては、Si、Sn又はZnを含むことが好ましく、Siを含むことがより好ましく、Si単独であることが特に好ましい。
B領域の厚さは、バリア性と生産性との両立の観点から、10〜1000nmの範囲であることが好ましく、20〜500nmの範囲であることがより好ましく、50〜300nmの範囲であることが特に好ましい。
(混合領域)
混合領域は、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される無機元素M1、及び、第3族元素から第11族の金属から選択される遷移金属M2が含有されている領域であって、無機元素M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内である領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有する。ここで、混合領域は、構成成分の化学組成が相互に異なる複数の領域として形成されていてもよく、また、構成成分の化学組成が連続して変化している領域として形成されていてもよい。
(酸素欠損組成)
上記混合領域において、一部の組成は、酸素が欠損した非化学量論的組成(酸素欠損組成)であることが好ましい。酸素欠損組成とは、混合領域の組成を下記化学組成式(1)で表したとき、下記関係式(2)で規定する条件を満たすことをいう。また、混合領域における酸素欠損程度を表す酸素欠損度指標としては、混合領域における[(2y+3z)/(a+bx)]を算出して得られる値の最小値を用いる。
化学組成式(1):(M1)(M2)
関係式(2):(2y+3z)/(a+bx)<1.0
なお、下記組成式(1)及び関係式(2)において、M1は無機元素、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表す。x、y、zは、それぞれ化学量論係数であり、aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。また、以降の説明では、特別の区別が必要ない場合、上記化学組成式(1)で表す組成を、単に複合領域の組成と言う。
上述したように、無機元素M1と遷移金属M2との複合領域の組成は、式(1)である(M1)(M2)で示される。この組成からも明らかなように、上記複合領域の組成は、一部窒化物の構造を含んでいてもよく、また、窒化物の構造を含んでいる方がバリア性の観点から好ましい。
無機元素M1の最大価数をa、遷移金属M2の最大価数をb、Oの価数を2、Nの価数を3とすると、上記複合領域の組成(一部が窒化物となっていてもよい)が化学量論的組成になっている場合は、[(2y+3z)/(a+bx)=1.0]となる。この場合、この式は、無機元素M1及び遷移金属M2の結合手の合計と、O、Nの結合手の合計とが同数であることを意味し、無機元素M1及び遷移金属M2ともに、O及びNのいずれか一方と結合していることになる。なお、無機元素M1として2種以上が併用される場合や、遷移金属M2として2種以上が併用される場合には、各元素の最大価数を各元素の存在比率によって加重平均することにより算出される複合価数を、それぞれの「最大価数」のa及びbの値として採用する。
一方、混合領域において、関係式(2)で示す[(2y+3z)/(a+bx)<1.0]となる場合には、無機元素M1及び遷移金属M2の結合手の合計に対して、O、Nの結合手の合計が不足していることを意味する。この様な状態が上記の「酸素欠損」である。酸素欠損状態においては、無機元素M1及び遷移金属M2の余った結合手は互いに結合する可能性を有している。無機元素M1や遷移金属M2の金属同士が直接結合すると、金属の間にOやNを介して結合した場合よりも緻密で高密度な構造が形成される。その結果として、バリア性が向上すると考えられる。
また、混合領域は、xの値が、[0.02≦x≦49(0<y、0≦z)]を満たす領域である。これは、遷移金属M2/無機元素M1の原子数比率の値が0.02〜49の範囲内にあり、厚さが5nm以上である領域と定義する、としたことと同一の定義である。
この領域では、無機元素M1及び遷移金属M2の双方が金属同士の直接結合に関与する。このため、この条件を満たす混合領域が所定値以上(5nm)の厚さで存在することで、バリア性の向上に寄与すると考えられる。なお、無機元素M1及び遷移金属M2の存在比率が近いほどバリア性の向上に寄与すると考えられることから、混合領域は、[0.1≦x≦10]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが好ましく、[0.2≦x≦5]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことがより好ましく、[0.3≦x≦4]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことがさらに好ましい。
ここで、上述した混合領域の範囲内に、関係式(2)で示す[(2y+3z)/(a+bx)<1.0]の関係を満たす領域が存在すれば、バリア性の向上効果が発揮されることが確認されるが、混合領域は、その組成の少なくとも一部が[(2y+3z)/(a+bx)≦0.9]を満たすことが好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≦0.85]を満たすことがより好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≦0.8]を満たすことがさらに好ましい。ここで、混合領域における[(2y+3z)/(a+bx)]の値が小さくなるほど、バリア性の向上効果は高くなるが、可視光の吸収が大きくなる。従って、透明性が望まれる用途に使用するバリア層の場合には、[(2y+3z)/(a+bx)≧0.2]であることが好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≧0.3]であることがより好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≧0.4]であることがさらに好ましい。
なお、良好なバリア性が得られる混合領域の厚さは、後述するXPS分析法におけるSiO換算のスパッタ厚さとして、5nm以上であり、この厚さは、8nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。混合領域の厚さは、バリア性の観点からは特に上限はないが、光学特性の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
(XPS分析法による組成分析と混合領域の厚さの測定)
バリア層の混合領域や、A領域及びB領域における組成分布や各領域の厚さ等は、上述のX線光電子分光法(略称:XPS、X-Ray Photoelectron Spectroscopy)を用いた、XPSデプスプロファイル測定により求めることができる。
[変形例]
表示部材としてLED等の水分等に強い電子部材を用い、表示部材以外の他の電子部材として有機薄膜太陽電池等の水分等に影響を受けやすい電子部材を用いる場合には、有機薄膜太陽電池等の他の電子部材が配置される全領域を第1領域とし、第1領域以外の部分を第2領域とすることができる。この場合においても、第2領域のバリア性よりも第1領域のバリア性の方が高くなるように、第1領域と第2領域とのバリア性に差を設けることができる。
また、表示部材と、表示部材以外の他の電子部材とは、平面位置で重なっていてもよい。この場合には、表示部材として水分等に影響を受けやすい有機EL素子等が配置される全領域を第1領域とし、第1領域以外の部分を第2領域とし、第2領域のバリア性よりも第1領域のバリア性の方が高くなるように、第1領域と第2領域とのバリア性に差を設ける。
さらに、表示部材としてLED等の水分等に強い電子部材を用い、表示部材以外の他の電子部材として有機薄膜太陽電池等の水分等に影響を受けやすい電子部材を用いる場合においても、表示部材と表示部材以外の他の電子部材とが、平面位置で重なる構成であってもよい。この場合には、有機薄膜太陽電池等の他の電子部材が配置される全領域を第1領域とし、第1領域以外の部分を第2領域とすることができる。この場合においても、第2領域のバリア性よりも第1領域のバリア性の方が高くなるように、第1領域と第2領域とのバリア性に差を設けることができる。
〈2.電子デバイスの第2実施形態〉
次に、電子デバイスの第2実施形態について説明する。第2実施形態の電子デバイスは、上述の第1実施形態の電子デバイスと、第3バリア層の形成位置のみが異なる。このため、以下の説明では、第3バリア層に係わる構成のみを説明し、第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
電子デバイスの概略構成図(断面図)を図3に示す。図3に示す電子デバイス20は、第1領域Aにおいて、基材11の第1樹脂基材12の外面側に、第3バリア層21を備える。すなわち、電子デバイス20は、基材11の第1バリア層13上に直に表示部材となる有機EL素子14が形成されている。そして、表示部材となる有機EL素子14が形成されている領域において、基材11の有機EL素子14が形成されている面と反対側の面に、第3バリア層21が形成されている。第3バリア層21は、上述の第1実施形態において説明するバリア層の構成を任意に適用することができる。
従って、電子デバイス20の基材11上における厚さ方向では、第1樹脂基材12から、表示部材である有機EL素子14及び表示部材以外の他の電子部材である有機薄膜太陽電池15までの間は、バリア層の厚さに差がない。しかし、第1領域Aと第2領域Bとでは、第1領域Aに第3バリア層21が形成されている分だけ、全バリア層の合計の積層数に差がある。さらに、全バリア層の合計の厚さにも差がある。
基材11の外側に第3バリア層21を設けることにより、封止部内に侵入する水分等による影響を受けやすい有機EL素子14が配置される第1領域Aは、水分等による影響を受けにくい有機薄膜太陽電池15が配置される第2領域Bよりも、バリア性が高められる。
電子デバイス20のように、第1領域Aと第2領域Bとで全バリア層の積層数に差を設ける場合には、基材11から封止部材17までの間だけでなく、基材11や封止部材17の外面側にバリア層を設けることができる。また、基材11や封止部材17の外面側に設けるバリア層は、基材11の外面側と封止部材17の外面側との両方に設けてもよく、いずれか一方にのみ設けてもよい。
また、基材11や封止部材17の外面側にバリア層を設ける構成においては、第1領域Aと第2領域Bとの両領域にバリア層を形成してもよい。この場合においても、基材11や封止部材17の外面側に形成するバリア層の厚さを、第1領域Aにおいて、第2領域Bよりも厚くする。或いは、基材11や封止部材17の外面側に形成するバリア層の積層数を、第1領域Aにおいて、第2領域Bよりも多くする。これにより、第1領域Aの全バリア層の厚さの合計を第2領域Bよりも大きくすることができる。同様に、第1領域Aの全体の全バリア層の積層数を第2領域Bよりも大きくすることができる。
〈3.電子デバイスの第3実施形態〉
次に、電子デバイスの第3実施形態について説明する。第3実施形態の電子デバイスは、上述の第1実施形態や第2実施形態の電子デバイスと、基材の外面に形成されるバリア層の構成のみが異なる。このため、以下の説明では、基材の外面に形成されるバリア層に係わる構成のみを説明し、第1実施形態や第2実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
電子デバイスの概略構成図(断面図)を図4に示す。図4に示す電子デバイス30は、基材11の第1バリア層13上に直に表示部材となる有機EL素子14が形成されている。そして、第1領域Aにおいて、基材11の第1樹脂基材12の外面側に、第3ガスバリア性フィルム31が第2粘着層34によって貼合されている。
第3ガスバリア性フィルム31は、第3樹脂基材32と第3バリア層33とからなり、第3樹脂基材32の一方の面に第3バリア層33が形成されている。そして、第3ガスバリア性フィルム31の第3バリア層33の外面側に、第2粘着層34が形成されている。このため、表示部材となる有機EL素子14が形成されている第1領域Aにおいて、基材11の有機EL素子14が形成されている面と反対側の面に、第3バリア層33が配置されている。
従って、電子デバイス30の基材11上における厚さ方向では、第1樹脂基材12から、表示部材である有機EL素子14と、表示部材以外の他の電子部材である有機薄膜太陽電池15との間は、バリア層の厚さに差がない。しかし、第1領域Aと第2領域Bとでは、第1領域Aに第3バリア層33が形成されている分だけ、バリア層の合計の積層数に差がある。さらに、全バリア層の合計の厚さにも差がある。
電子デバイス30のように、第1領域Aと第2領域Bとにおいて、バリア層の積層数の合計や、全バリア層の厚さの合計に差を設ける構成としては、基材とバリア層とからなるガスバリア性フィルムを少なくともいずれかの領域に貼合することも可能である。また、基材11や封止部材17の外面側に設けるガスバリア性フィルムは、基材11の外面側と封止部材17の外面側との両方に設けてもよく、いずれか一方にのみ設けてもよい。この場合のガスバリア性フィルムは、上述の第1実施形態において説明する樹脂基材の構成とバリア層の構成とを任意に組み合わせて適用することができる。また、ガスバリア性フィルムを貼合するための粘着層の構成も、上述の第1実施形態において説明する粘着層の構成を任意に適用することができる。
また、基材11や封止部材17の外面側にガスバリア性フィルムを設ける構成においては、第1領域Aと第2領域Bとの両領域にガスバリア性フィルムを貼合してもよい。この場合においても、基材11や封止部材17の外面側に貼合するガスバリア性フィルムのバリア層の厚さを、第1領域Aにおいて、第2領域Bよりも厚くする。或いは、基材11や封止部材17の外面側に貼合するガスバリア性フィルムのバリア層の積層数を、第1領域Aにおいて、第2領域Bよりも多くする。これにより、第1領域Aの全バリア層の厚さの合計を第2領域Bよりも大きくすることができる。同様に、第1領域Aの全体の全バリア層の積層数を第2領域Bよりも大きくすることができる。
〈4.電子デバイスの第4実施形態〉
次に、電子デバイスの第4実施形態について説明する。第4実施形態の電子デバイスは、上述の第1実施形態から3実施形態の電子デバイスと、表示部材に対する封止構造のみが異なる。このため、以下の説明では、表示部材に対する封止構造に係わる構成のみを説明し、第1実施形態から第3実施形態までの構成と同様の構成については詳細な説明を省略する。
電子デバイスの概略構成図(断面図)を図5に示す。図5に示す電子デバイス40は、表示部材である有機EL素子14が第2基材41と第2封止部材45とで封止されている。そして、第2基材41と第2封止部材45とで封止された有機EL素子14が、基材11の第1バリア層13上に配置されている。
第2基材41は、第3ガスバリア性フィルムと第2粘着層44とからなる。また、第3ガスバリア性フィルムは、第3樹脂基材42と第3バリア層43とからなる。第2基材41において第3ガスバリア性フィルムは、第3樹脂基材42の一方の面に第3バリア層43が形成されている。さらに、第2基材41において、第3ガスバリア性フィルムの第3バリア層43上に、有機EL素子14が形成されている。また、第3樹脂基材42の他方の面に第2粘着層44が形成されている。
また、第2封止部材45は、第4樹脂基材と第4バリア層とからなる第4ガスバリア性フィルム46と、第4ガスバリア性フィルム46を有機EL素子14側に貼合するための第3粘着層47とを有する。第4ガスバリア性フィルム46は、第4樹脂基材の有機EL素子14が配置される側の面に第4バリア層が形成されている。そして、第4ガスバリア性フィルム46の第4バリア層側に設けられた第3粘着層47により、第2封止部材45が有機EL素子14上に貼合されている。
さらに、第2基材41と第2封止部材45とで封止された有機EL素子14が、第2基材41の第2粘着層44によって、基材11上に貼合されている。このため、基材11上に配置される第2基材41と第2封止部材45とで封止された有機EL素子14は、基材11側から、第2粘着層44、第3樹脂基材42、第3バリア層43、有機EL素子14、第3粘着層47、及び、第4ガスバリア性フィルム46の順に積層されている。
電子デバイス40のように、第1領域Aと第2領域Bとで全バリア層の厚さの合計や全バリア層の積層数に差を設ける構成としては、基材11と封止部材17との間に、さらにガスバリア性フィルムを設ける構成とすることができる。電子デバイス40は、第1領域Aに第2基材41と第2封止部材45とが形成されている分だけ、第1領域Aと第2領域Bとに全バリア層の積層数の合計に差がある。さらに、電子デバイス40は、全バリア層の厚さの合計にも差がある。
また、基材11と封止部材17との間にガスバリア性フィルムを設ける場合には、使用するガスバリア性フィルムの数は特に限定されない。このため、ガスバリア性フィルムを単独で用いてもよい。ガスバリア性フィルムを単独で用いる場合には、例えば、図4に示す構成において、第1バリア層13上に有機EL素子14を形成し、有機EL素子14を第2封止部材45で封止する構成が挙げられる。また、図1に示す電子デバイス10において、第3バリア層16を、図4に示す第2基材41に置き換えた構成とすることもできる。
基材11と封止部材17との間にガスバリア性フィルムを設ける場合には、電子デバイス40のように、複数のガスバリア性フィルムによる多重封止構造によって有機EL素子14を封止することが好ましい。電子デバイス40では、複数のガスバリア性フィルムで有機EL素子14を封止ことにより、基材11と封止部材17とによる封止と、基材11と封止部材17との間に設けられた対となるガスバリア性フィルムによる封止とによって、2重の封止構造を有している。これにより、電子デバイス40では、有機EL素子14への水分の侵入をさらに抑制することが可能となる。
また、基材11と封止部材17との間において、ガスバリア性フィルムを用いずに、バリア層のみで有機EL素子14を封止する構成も可能である。例えば、上述の図1に示す電子デバイス10のように基材11の第1バリア層13上に第3バリア層16を設け、この第3バリア層16上に有機EL素子14を形成し、さらに、有機EL素子14上を第4バリア層で封止する構成も可能である。この構成においても、第1領域Aと第2領域Bとに、全バリア層の厚さの合計や全バリア層の積層数の合計に差を設けることができる。
なお、上述の各実施形態における電子デバイスの構成は、それぞれ任意に組み合わせて適用することができる。電子デバイスは、例えば、基材11及び封止部材17の内面側にバリア層やガスバリア性フィルムを形成する構成と、基材11及び封止部材17の外面側にバリア層やガスバリア性フィルムを形成する構成とを組み合わせて用いてもよい。さらに、電子デバイスは、第1実施形態や第2実施形態のバリア層と、第3実施形態や第4実施形態のガスバリア性フィルムとを組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,20,30,40・・・電子デバイス、11,60・・・基材、12・・・第1樹脂基材、13・・・第1バリア層、14・・・有機EL素子、15・・・有機薄膜太陽電池、16,21,33,43・・・第3バリア層、17・・・封止部材、18・・・第2ガスバリア性フィルム、19・・・粘着層、31・・・第3ガスバリア性フィルム、32,42・・・第3樹脂基材、34,44・・・第2粘着層、41・・・第2基材、45・・・第2封止部材、46・・・第4ガスバリア性フィルム、47・・・第3粘着層、50・・・プラズマCVD装置、51・・・繰り出しローラー、52,54,55,57・・・搬送ローラー、53,56・・・成膜ローラー、58・・・巻取りローラー、59・・・成膜ガス供給管、61,62・・・磁場発生装置、63・・・プラズマ発生用電源

Claims (8)

  1. 第1樹脂基材と第1バリア層とを有する第1ガスバリア性フィルムからなる基材と、
    前記基材上に設けられた表示部材と、
    前記基材上に設けられた前記表示部材以外の他の電子部材と、
    前記表示部材と前記他の電子部材とを連続して被覆する、第2樹脂基材と第2バリア層とを有する第2ガスバリア性フィルムからなる封止部材と、を備える
    電子デバイス。
  2. 前記他の電子部材が、エネルギーを電気に変換する発電素子である請求項1に記載の電子デバイス。
  3. 前記発電素子として、第1発電素子と、前記第1発電素子とは異なるエネルギーを電気に変換する第2発電素子とを備える請求項2に記載の電子デバイス。
  4. 前記表示部材が配置されている第1領域と、前記第1領域と水蒸気透過率(WVTR)が異なる第2領域とを有する請求項1に記載の電子デバイス。
  5. 前記第2領域に、全バリア層の厚さの合計が前記第1領域と異なる部分を有する請求項4に記載の電子デバイス。
  6. 前記第2領域に、全バリア層の合計の積層数が前記第1領域と異なる部分を有する請求項4に記載の電子デバイス。
  7. 前記第1領域において、前記第1ガスバリア性フィルム及び前記第2ガスバリア性フィルムの少なくともいずれかに、第3バリア層を有する請求項4に記載の電子デバイス。
  8. 前記第1領域に、第3ガスバリア性フィルムを有する請求項4に記載の電子デバイス。
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