JPWO2018123418A1 - エアフィルタ濾材 - Google Patents

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Abstract

基材層(2)と帯電性を有する細繊維層(3)とを備えたエアフィルタ濾材(1)であって、細繊維層(3)は、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤とが添加された高分子材料を含む。高分子材料は、体積抵抗率が1016Ωcm以上であり、且つ、誘電正接が0.001以下である。ヒンダードフェノール系光安定剤の重量をX、ベンゾトリアゾール系光安定剤の重量をYとした場合に、0<(Y/X)≦1.25の関係を満たすことを特徴とする。

Description

本発明は、空気浄化を目的とした空気浄化装置などに組み込まれるエアフィルタ濾材に関する。
大気中の塵、埃、花粉等のアレルゲン物質を除去し、浄化する空気浄化装置等に組み込まれているエアフィルタ濾材は、低圧力損失且つ高捕集効率であることが求められている。そのため、エアフィルタ濾材は、コロナ放電や液体浸漬等を利用したエレクトレット処理によりクーロン力や誘起力が付与されている。これにより、エアフィルタ濾材は、物理的捕集機能に加えて帯電捕集機能を有し、使用初期段階においては、高い捕集効率を実現している。しかしながら、様々な環境下での使用により帯電効果が低減していき、捕集効率が低下することが知られている。そのため、エアフィルタ濾材は、様々な使用環境を想定し、例えば高温高湿環境での負荷を与えた後においても、帯電効果を保持していることが求められている。
従来から、エアフィルタ濾材を構成する高分子細繊維にヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードフェノール系等の光安定剤を添付し、紡糸後にエレクトレット処理を施すことにより、エアフィルタ濾材が帯電しやすくなるという知見がある。実際にベンゾトリアゾール系光安定剤やヒンダードフェノール系光安定剤を高分子細繊維に添付すると、帯電効果が得られ、捕集効率が向上する。また、複数種類の光安定剤を混合して高分子細繊維に添加しても同様の帯電効果が得られている(例えば、特許文献1または2を参照)。
このように、光安定剤には、紫外光等の光による高分子の劣化を抑制するという本来の用途以外にも、エアフィルタ濾材の捕集効率を向上させるために用いる用途もある。
特開2011−6810号公報 特開2008−221974号公報
しかしながら、分析を繰り返すと、光安定剤には物性や化学構造による相性があることが分かった。さらに高分子細繊維に対する各光安定剤の混合量や、相互間の混合割合によっても帯電効果に影響を及ぼすという課題を見出した。
すなわち、複数種類の光安定剤を高分子細繊維に混合することにより、エアフィルタ濾材の製造初期段階での帯電性能は大幅に向上する。しかし、高分子細繊維に対する混合量や相互間の混合割合によっては、高温高湿などの環境負荷を与えた後に、帯電効果が低減することを確認した。言い換えると高分子細繊維に保持された電荷の放出が起こりやすくなる条件(混合量や混合割合)が存在することを確認した。そのため、光安定剤の適切な混合量や混合割合が未知な状況では、環境負荷の影響を受けた後でも所望の捕集効率を実現しようとするとエアフィルタ濾材の目付量を増加させる必要がある。目付量を増加させるということは、経済的にも不利になるだけでなく、圧力損失も増大してしまう。
そこで、本発明では、低圧力損失かつ高捕集効率を実現することはもちろんのこと、環境負荷後においても、高い帯電効果を維持することができるエアフィルタ濾材の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、帯電効果を付与した高分子細繊維に添着する光安定剤の組合せおよび混合割合を鋭意検討して見出したものである。
すなわち、本発明は、基材層と帯電性を有する細繊維層とを備えたエアフィルタ濾材であって、細繊維層は、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤とが添加された高分子材料を含む。高分子材料は、体積抵抗率が1016Ωcm以上であり、且つ、誘電正接が0.001以下である。ヒンダードフェノール系光安定剤の重量をX、ベンゾトリアゾール系光安定剤の重量をYとした場合に、0<(Y/X)≦1.25の関係を満たすことを特徴とする。
本発明のエアフィルタ濾材によれば、高温高湿等の環境負荷後の帯電効果の低減を抑制することが可能である。すなわち、エアフィルタ濾材の製造初期段階の帯電効果を高めるだけでなく、環境負荷後も高い帯電効果を維持し、光安定剤による帯電付与効果を最大限発揮することができる。さらに、高分子の細繊維で高い帯電効果が発揮されるため、低目付量でも十分な捕集効率が期待でき、低圧力損失化を実現することができる。
図1は、エアフィルタ濾材の積層構造を示す概略図である。 図2は、電界紡糸法および製造工程を説明する概略図である。 図3は、比較例1、参考例1および参考例2に対して行った性能評価の結果を示す図である。 図4は、実施例1、実施例2,実施例3、比較例1、比較例2、比較例3および比較例4に対して行った性能評価の結果を示す図である。 図5Aは、帯電効果の低下傾向を示す図である。 図5Bは、環境負荷後においてHEPA性能を実現する際の圧力損失が40Paを越えるポイントを示す図である。
本発明の請求項1に係わるエアフィルタ濾材は、基材層と帯電性を有する細繊維層とを備えたエアフィルタ濾材であって、細繊維層は、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤とが添加された高分子材料を含む。高分子材料は、体積抵抗率が1016Ωcm以上であり、且つ、誘電正接が0.001以下である。ヒンダードフェノール系光安定剤の重量をX、ベンゾトリアゾール系光安定剤の重量をYとした場合に、0<(Y/X)≦1.25の関係を満たすことを特徴とする。
これにより、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との組み合わせによる相乗効果を得ることができる。
また、本発明の請求項2に係るエアフィルタ濾材は、基材層と帯電性を有する細繊維層とを備えたエアフィルタ濾材であって、細繊維層は、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤とが添加された高分子材料を含む。高分子材料は、体積抵抗率が1016Ωcm以上であり、且つ、誘電正接が0.001以下である。ヒンダードフェノール系光安定剤の重量をX、ベンゾトリアゾール系光安定剤の重量をY、高分子材料の重量をZとした場合に、X/(X+Y+Z)=5、且つ、0<Y/(X+Y+Z)<6.25の関係を満たすことを特徴とする。
これにより、高分子材料、ヒンダードフェノール系光安定剤およびベンゾトリアゾール系光安定剤を適切な混合量および混合割合で混合することができる。このようなエアフィルタ濾材を用いることにより、濾材の製造初期の帯電性能だけでなく、環境負荷後も高い帯電性能を維持することが可能となる。また、エアフィルタの圧力損失を大幅に低減させて、空気浄化装置のファンの回転数を抑えるので、低消費電力化を実現することができる。さらに、圧力損失が低下したことにより、空気浄化装置本体の大風量化が期待される。あるいは圧力損失低減分を他の機能として新たに付与することが可能となる。
また、本発明の請求項3に係わるエアフィルタ濾材は、基材層と帯電性を有する細繊維層とを備えたエアフィルタ濾材であって、細繊維層は、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤とが添加された高分子材料を含む。高分子材料は、体積抵抗率が1016Ωcm以上であり、且つ、誘電正接が0.001以下である。ヒンダードフェノール系光安定剤の重量をX、ベンゾトリアゾール系光安定剤の重量をY、高分子材料の重量をZとした場合に、X/(X+Y+Z)=5、且つ、Y/(X+Y+Z)=5.0の関係を満たすことを特徴とする。
これにより、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率のなかで最適な相乗効果を得ることができ、長期間にわたり帯電性能を維持することができる。
また、本発明の請求項4に係わるエアフィルタ濾材は、帯電性を有する細繊維層の平均繊維径が100nm以上且つ2000nm以下の平均繊維径で構成されることを特徴とする。
これにより、繊維径がナノオーダーであるため、エアフィルタ濾材を平面視で捉えた際の空隙部が小さくなる。すなわち、細繊維の3次元網目構造が形成する細孔が小さくなるため、物理的捕集機能による捕集効率が向上する。また、上述した通り、細繊維層には、高体積抵抗率および低誘電正接の高分子材料を用いている。そのため、紡糸時に付与された多くの電荷を安定保持することが可能で、細繊維間に発生する高い電界強度を長期間にわたって保持することができる。これにより、物理的捕集機能の効率だけでなくクーロン力による捕集効率をも長期間維持することが可能である。
(実施の形態)
以下、図面を参照にしながら本発明におけるエアフィルタ濾材の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する内容は実施の一例に過ぎず、これに限定されるものではない。
図1は、エアフィルタ濾材の積層構造を示す概略図である。図1に示すようにエアフィルタ濾材1は、基材層2と、基材層2の上面に設けた帯電性を有する細繊維層3とを備えた構成である。
エアフィルタ濾材1を構成する基材層2は、ガラス繊維、パルプ繊維、樹脂繊維、炭素繊維および無機繊維、またはそれらの少なくとも1つの繊維によって形成されている。基材層2の製法としては、スパンボンド法、乾式または湿式抄紙法、メルトブローン法、スパンボンド法、エアレイド法、サーマルボンド法などが挙げられる。
エアフィルタ濾材1を構成する細繊維層3は、物理的捕集効果を十分に得るという観点から、常温常圧の環境下においてナノオーダーの細繊維を容易に作製可能な電界紡糸法を用いて製造される。なお、ナノオーダーの繊維径を有する細繊維を作製可能な方法であれば、特に電界紡糸法には限定されない。
図2は、電解紡糸法および製造工程を説明する概略図である。電界紡糸法は、図2に示すように、アース処理が施され、水平移動が可能な搬送手段6と、搬送手段6の上方に配置され、紡糸溶液4を噴霧する高分子溶液専用ノズル5とから構成される製造設備を用いる。
まず、搬送手段6によって基材層2が搬送される。次に、高分子溶液専用ノズル5を基材層2に向け、基材層2に対して紡糸溶液4を噴霧し、基材層2上に細繊維層3を形成する。より具体的には、高分子溶液専用ノズル5と紡糸溶液4との間に+20kV程度の高電圧を印加する。これにより、高分子溶液専用ノズル5の先端付近の液滴が帯電する。そして、同極性の電荷による静電反発力が液滴の表面張力を上回ると、紡糸溶液4が、アース処理を施した搬送手段6に向かって噴霧され、搬送手段6に載せた基材層2上に細繊維層3を形成する。このように、電界紡糸法では、製造時に高電界を印加するので、細繊維層3に多くの電荷が付与され、後工程で帯電処理を行う必要がない。
なお、電界紡糸法において用いる紡糸溶液4は、細繊維層3を形成するための高分子原料を溶媒に溶解させたものである。溶媒としては、水、有機溶剤、アルコール類等が挙げられる。高分子を溶解させることが可能であれば特に限定されない。具体的には、アセトン、エタノール、メタノール、フェノール、プロパノール、イソプロパノール、クロロホルム、ベンジルアルコール、シクロヘキサン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、四塩化炭素、酢酸、ギ酸、塩化メチレン、トルエン、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、テトラヒドロフラン(THF)、ヘキサフロロイソプロパノール(HFIP)などが用いられる。さらに、これらの溶媒を2種類以上混合させて用いることも可能である。
次に、本実施の形態のエアフィルタ濾材1を形成する細繊維層3の特徴を説明する。
細繊維層3は、高分子材料で形成され、帯電性能を向上させる役割を担うヒンダードフェノール系光安定剤およびベンゾトリアゾール系光安定剤を含んでいる。
ここで、高分子材料とヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との重量に占めるヒンダードフェノール系光安定剤の重量%は5重量%である。なお、5重量%とは、4.5重量%から5.4重量%の範囲を含むものとする。好ましくは5.0重量%である。また、高分子材料とヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との重量に占めるベンゾトリアゾール系光安定剤の重量%は、0重量%より多く6.25重量%未満である。
従来技術の範囲では、光安定剤一種類を単独使用しただけでは、十分な帯電効果が得られない。また、複数種類の光安定剤を混合する場合であっても、光安定剤の組み合わせや混合比率によって、拮抗作用やブリードアウト現象を引き起こす可能性がある。そのため、エアフィルタ濾材の製造初期および高温高湿耐久後の帯電性能が低下してしまうという問題がある。
そこで、本実施の形態のように、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤とを適量組み合わせ、高分子細繊維に混合することにより、光安定剤の単独使用時以上の帯電効果が得られる。また、エアフィルタ濾材製造初期の性能向上だけでなく、高温高湿に代表される環境負荷後においても帯電効果を維持し、低圧力損失のエアフィルタ濾材でありながら高い捕集効率を実現することが可能である。
なお、光安定剤は、添加量が多過ぎると、添加剤(光安定剤)が細繊維層3の表面付近に析出しやすくなるブリードアウト現象が発生する可能性がある。これは、高分子細繊維の電荷保持機構に、添加剤の導入によるエネルギー状態の変化、高分子中の双極子モーメントによる内部分極、添加剤が不純物となり内部分極に寄与する等が影響を及ぼしていると考えられる。また、水蒸気暴露の影響が強い高温高湿環境下においては、エアフィルタ濾材の製造初期段階に高分子細繊維表面に付与された電荷は大気中に抜けやすい。一方、細繊維内部に保持された電荷は大気中に抜けにくいと考えられる。
すなわち、添加剤の添加量が多く、ブリードアウト現象の影響がある場合は、製造初期の帯電効果は高いが、環境負荷中に細繊維表面近傍の保持電荷は大気中に放出されやすい。そのため、細繊維表面近傍の添加剤効果が弱くなり、エアフィルタ濾材1の帯電効果が低減してしまう可能性がある。
そこで、高分子材料とヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との重量に占めるヒンダードフェノール系光安定剤の重量%が5重量%、且つ、ベンゾトリアゾール系光安定剤の重量%が0重量%より多く6.25重量%未満の混合比率で添加することが好ましい。なお、濾材の圧力損失に着眼すると、より好ましくは、ヒンダードフェノール系光安定剤の重量%が5重量%、且つ、ベンゾトリアゾール系光安定剤の重量%が5.0重量%である。
また、細繊維層3は、高い帯電性を確保するために、体積抵抗率が、1016Ωcm以上、且つ、誘電正接が0.001以下の条件を満たす高分子原料を選択することが好ましい。これにより、細繊維中に電荷がトラップされやすくなる。さらに熱エネルギーとして大気中に電荷が放出されにくく、上記の条件を満たす高分子細繊維は電荷を保持しやすい。それにより、さえぎりやブラウン拡散、慣性といった物理的捕集効果だけでなく、強力なクーロン力により、極性の偏りをもつ帯電した粒子が細繊維に引き寄せられる。さらに、非帯電の粒子が誘電分極されて細繊維に吸引されるので、捕集効率が大幅に向上する。
そこで、細繊維層3を形成する高分子として、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTEE)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE)など、あるいはこれらの混合物を用いることが可能である。
なお、体積抵抗率が1016Ωcmより低い場合、高電圧印加時の細繊維への電荷の蓄積がなく帯電しないため、捕集効率が低下する。また、誘電正接が0.001より大きい場合、細繊維に付与された電荷が熱エネルギーとして損失しやすいため、大気中に放出されやすく、捕集効率が低下してしまう。そのため、体積抵抗率が1016Ωcm以上、且つ、誘電正接が0.001以下の高分子原料が好ましい。
また、帯電による粉塵の捕集効果を発揮させるために、細繊維層3は、平均繊維径が100nm以上且つ2000nm以下の繊維で構成することが好ましい。繊維径が大きい場合、細繊維層3が形成する3次元網目構造の細孔が大きくなる。そうすると、大気中の粉塵等を引き寄せるクーロン力が弱くなり、捕集効率の低下を招くため好ましくない。より好ましい平均繊維径は、100nm以上1500nm以下である。
これにより、細繊維層3は、多くの電荷を保持することが可能になるため、3次元網目構造中の繊維間の強いクーロン力により捕集効率を向上させることができる。さらに、細繊維層3は電荷保持能力が高いため、様々な要因で汚染された大気中や高温高湿等の高負荷環境下においても、長期間にわたって高い捕集効率を維持することができる。
さらに、細繊維層3には、空気分子と細繊維表面との界面で発生する相互作用により空気が滑りやすくなるスリップフロー効果が働く。これにより、繊維界面近傍の空気の乱流を抑制することが可能となり、エアフィルタ濾材としての圧力損失の増加を抑制することが可能である。また、細繊維化による表面積の増大により、繊維表面の電荷密度を増加させることができるため、クーロン力による捕集効率はさらに向上する。
また、本実施の形態において帯電強化のために添加する光安定剤は、ヒンダードフェノール系光安定剤およびベンゾトリアゾール系光安定剤を用いることができる。
具体的には、Irganox1010(BASFジャパン社製;ペンタエリスリトールテトラキス{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート})、Irganox1035(BASFジャパン社製;ビス[3−{3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル}プロピオン酸]チオビスエチレン)、Irganox1076(BASFジャパン社製;オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、Irganox1098(BASFジャパン社製;N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド})、Irganox565(BASFジャパン社製;4−[{4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イル}アミノ]−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、Irganox1135(BASFジャパン社製;オクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ肉桂酸)、Irganox1141(BASFジャパン社製;2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール)、Irganox1330(BASFジャパン社製;2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン)、Irganox1425WL(カルシウムジエチルビス[{(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル}ホスホネート]、Irganox245(BASFジャパン社製;ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、Irganox259(BASFジャパン社製;1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、AO−40(ADEKA社製;4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール)、AO−30(ADEKA社製;1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン)、Tinuvin326(BASFジャパン社製;2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、Tinuvin234(BASFジャパン社製;2−{2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’ジメチルベンジル)フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール)、Tinuvin329(BASFジャパン社製;2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、Tinuvin360(BASFジャパン社製;2,2’−メチレンビス{6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール})、Tinuvin P(BASFジャパン社製;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール)、Tinuvin571(BASFジャパン社製;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール)、Sumisorb250(住友化学社製;2−{2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール)、ADKSTAB LA31(ADEKA社製;2,2’−メチレンビス{6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール})などが挙げられる。
(実施例)
本発明を、実施例を挙げ以下に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。また、実施例と比較例における評価項目は以下の手法で実施した。
(エアフィルタ濾材の性能評価)
エアフィルタ濾材をダクトに固定し、濾材の通過面風速が6.45cm/secとなるようにポンプ流量を設定した。
本実例では、エアフィルタ濾材の性能の指標として下記の(式1)で算出される性能指数Qf(Quality factor)値を用いた。
Qf[1/Pa]=−ln(1−捕集効率[%]/100)/圧力損失[Pa]・・・(式1)
この指標は、Qf値が大きいほど高性能であることを示す。また、この指標は、評価対象となるエアフィルタ濾材間で圧力損失と捕集効率との両方が異なる場合でも、性能の優劣を判断することが可能である。
ここで、捕集効率は、エアフィルタ濾材の上流側と下流側における大気粉塵の粒子径が0.3〜0.5μmである粒子数をパーティクルカウンター(カノマックス社製;Model3887)で1サンプルあたり3回測定し、濾材の上流側と下流側の粒子数の比率から算出した。また、エアフィルタ濾材の圧力損失は、捕集効率の測定と同時に、濾材の上流側と下流側の静圧差を差圧計で測定した。
さらに、本実施の形態では、エアフィルタ濾材の性能の指標として、エアフィルタ濾材がHEPA性能(粒子径0.3μmの粉塵を99.97%以上捕集)を実現する際の濾材の圧力損失を用いた。HEPA性能を実現する際の濾材の圧力損失は、(式1)で算出したQf値を基に試算することができる。現在、世の中に流通しているエアフィルタの圧力損失を鑑みると、HEPA性能を実現する際の濾材の圧力損失が40Pa程度まで低減されると、空気浄化装置のファンの回転数を抑えることができ、低消費電力化に繋がる可能性がある。
また、本実施の形態では、Qf値およびHEPA性能を実現する際の濾材の圧力損失を、製造初期段階および耐久試験後に算出した。耐久試験は、具体的には、温度40℃および湿度90パーセントの環境下にエアフィルタ濾材を96時間保存することで行った。
図3は、比較例1、参考例1および参考例2に対して行った性能評価の結果を示す図である。図4は、実施例1、実施例2,実施例3、比較例1、比較例2、比較例3および比較例4に対して行った性能評価の結果を示す図である。つまり、図3および図4は、以下に説明する参考例、実施例、比較例のそれぞれについての製造初期段階における性能(初期性能)および耐久試験後における性能(耐久後性能)をまとめたものである。なお、図3および図4に記載されている「濾材圧損」とは、上記の「HEPA性能を実現する際の濾材の圧力損失」のことである。また、図4の記載の「混合比率」とは、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率を表している。具体的には、(添加したベンゾトリアゾール系光安定剤の重量)/(添加したヒンダードフェノール系光安定剤の重量)、すなわち、ヒンダードフェノール系光安定剤の重量を1とした場合のベンゾトリアゾール系光安定剤の重量を表している。
(参考例1)
本実施の形態に示す製造方法を用いて、エアフィルタ濾材を作製した。高分子原料としてポリスチレンを用い、ポリスチレンをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、ポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565を少量添加し、紡糸溶液を得た。
その後、電界紡糸法を用いて上記紡糸溶液を紡糸し、基材層の上に細繊維層を形成したエアフィルタ濾材を得た。
そして上述した性能評価を行い、その結果を図3に示した。
(参考例2)
上記参考例1と同様の手法を用いてポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326を少量添加し、紡糸溶液を得た。
その後、電界紡糸法を用いてエアフィルタ濾材を得た。
そして、参考例1と同様の性能評価を行い、その結果を図3に示した。
(実施例1)
上記参考例1と同様の手法を用いてポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に対して、参考例1で使用したヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565と参考例2で使用したベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326とを添加して紡糸溶液を得た。各光安定剤の具体的な添加量は、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565が、ポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重量に対して5重量%である。また、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326が、ポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重量に対して0.5重量%である。すなわち、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率は、1対0.1である。
その後、電界紡糸法を用いてエアフィルタ濾材を得た。
そして、参考例1と同様の性能評価を行い、その結果を図4に示した。
(実施例2)
上記参考例1と同様の手法を用いてポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565と、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326とを添加して紡糸溶剤を得た。
実施例2では、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565は、実施例1と同様にポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して5重量%添加した。また、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326は、実施例1よりも多く、ポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して2.5重量%添加した。すなわち、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率は、1対0.5である。
その後、電界紡糸法を用いてエアフィルタ濾材を得た。
そして、参考例1と同様の性能評価を行い、その結果を図4に示した。
(実施例3)
上記参考例1と同様の手法を用いてポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565と、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326とを添加して紡糸溶剤を得た。
実施例3では、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565は、実施例1と同様にポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して5重量%添加した。また、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326は、実施例2よりもさらに多く、ポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して5.0重量%添加した。すなわち、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率は、1対1.0である。
その後、電界紡糸法を用いてエアフィルタ濾材を得た。
そして、参考例1と同様の性能評価を行い、その結果を図4に示した。
(比較例1)
上記参考例1と同様の手法を用いてポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に、ベンゾトリアゾール系光安定剤およびベンゾトリアゾール系光安定剤を何れも添加せず、紡糸溶液を得た。
その後、電界紡糸法を用いてエアフィルタ濾材を得た。
そして、参考例1と同様の性能評価を行い、その結果を図3および図4に示した。
(比較例2)
上記参考例1と同様の手法を用いてポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565と、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326とを添加して紡糸溶剤を得た。
比較例2では、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565は、実施例1と同様にポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して5重量%添加した。また、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326は、実施例3よりもさらに多く、ポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して7.5重量%添加した。すなわち、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率は、1対1.5である。
その後、電界紡糸法を用いてエアフィルタ濾材を得た。
そして、参考例1と同様の性能評価を行い、その結果を図4に示した。
(比較例3)
上記参考例1と同様の手法を用いてポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565と、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326とを添加して紡糸溶剤を得た。
比較例3では、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565は、実施例1と同様にポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して5重量%添加した。また、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326は、比較例2よりさらに多く、ポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して10.0重量%添加した。すなわち、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率は、1対2.0である。
その後、電界紡糸法を用いてエアフィルタ濾材を得た。
そして、参考例1と同様の性能評価を行い、その結果を図4に示した。
(比較例4)
上記参考例1と同様の手法を用いてポリスチレン20重量%溶液を作製した。この溶液に、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565と、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326とを添加して紡糸溶剤を得た。
比較例4では、ヒンダードフェノール系光安定剤であるIrganox565は、実施例1と同様にポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して5重量%添加した。また、ベンゾトリアゾール系光安定剤であるTinuvin326は、比較例3よりもさらに多く、ポリスチレンとIrganox565とTinuvin326との総重要に対して15.0重量%添加した。すなわち、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率は、1対3.0である。
その後、電界紡糸法を用いてエアフィルタ濾材を得た。
そして、参考例1と同様の性能評価を行い、その結果を図4に示した。
(比較結果)
図3および図4は、上記の性能評価の結果を表した図である。
図3に示すように、光安定剤を添加していない比較例1は、HEPA性能を実現する際の濾材圧損(初期性能)は50.7Paだが、耐久試験後は帯電効果が低下し、84.5Paまで濾材圧損が増加する。
ヒンダードフェノール系光安定剤を添加した参考例1と比較例1とを比較すると、初期性能はほとんど同等だが、参考例1は、耐久試験後も性能が低下することなく、帯電効果を維持することが可能である。ベンゾトリアゾール系光安定剤を添加した参考例2と比較例1とを比較すると、参考例2は、初期性能が向上する。しかし、耐久後性能は低下しており、環境負荷後の帯電効果に課題があることがわかる。
このように、光安定剤の種類によって、得られる帯電効果には差があり、光安定剤の組合せも重要な因子であることがわかる。
図4に示すように、ヒンダードフェノール系光安定剤およびベンゾトリアゾール系光安定剤を添加した実施例1、実施例2および実施例3は、比較例1と比較して初期性能および耐久後性能共に高い水準を維持している。
また、実施例1、実施例2および実施例3は、光安定剤を単独で使用した参考例1および参考例2と比較すると、単独使用時以上の帯電性能を発揮することがわかる。これは単純な相乗効果が得られているだけでなく、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との化学構造の相性や高分子材料との相溶性が良いと考えられる。そのため、細繊維内部で電荷を保持しやすい帯電機構が形成されていると考えられる。
さらに、ヒンダードフェノール系光安定剤の添加量を5重量%で固定し、ベンゾトリアゾール系光安定剤の添加量を0.5重量%から15.0重量%まで変化させた実施例1、実施例2、実施例3、比較例2、比較例3および比較例4について検討する。
ベンゾトリアゾール系光安定剤の添加量が0.5重量%から10.0重量%へと増加するに伴い、初期性能は向上する傾向がある。しかし、ベンゾトリアゾール系光安定剤を15.0重量%添加すると初期性能が低下する傾向を確認した。
一方、耐久後性能は、ベンゾトリアゾール系光安定剤の添加量が0.5重量%から5.0重量%の間では、高い帯電効果を維持している。その中でも特に、ベンゾトリアゾール系光安定剤を5.0重量%添加した実施例3は、多くの電荷を保持していることがわかる。しかしながら、ベンゾトリアゾール系光安定剤の添加量が7.5重量%以上になると、初期性能と比較して耐久後性能が大幅に低下してしまう。これは、光安定剤の添加量が多くなり、光安定剤が細繊維の表面近傍にブリーミングしたことが原因であると考えらえる。これにより、エアフィルタ濾材は、水蒸気暴露等の影響を受けやすくなり、保持していた電荷が大気中に放出されやすくなったためであると考えられる。
また、ブリードアウト現象の影響で帯電効果が低下傾向にあるのは、ベンゾトリアゾール系光安定剤を5.0重量%より多く添加した場合に確認される。
上述したように、HEPA性能を実現する際の濾材の圧力損失が40Pa程度まで低減されると、空気浄化装置のファンの回転数を抑えることができ、低消費電力化に繋がる可能性がある。そのため、図4において、濾材圧損が40Pa以下の場合に〇印を付けた。〇印は、空気浄化装置に用いるエアフィルタ濾材として好適であることを示している。一方で、図4において濾材圧損が40Paを超える場合に×印を付けた。×印は、空気浄化装置に用いるエアフィルタ濾材として不向きであることを示している。
そこで、ベンゾトリアゾール系光安定剤の添加量が5.0重量%から15.0重量%の範囲において、濾材圧損が40Paとなる添加量について、図5Aおよび図5Bを用いて検討する。図5Aは、帯電効果の低下傾向を示す図である。図5Bは、環境負荷後においてHEPA性能を実現する際の圧力損失が40Paを越えるポイントを示す図である。図5Aに示すように、帯電効果の低下は、ベンゾトリアゾール系光安定剤の添加量の増加に比例していると考えられる。そこで、図5Bに示すように、実測値から近似式y=2.5451x+24.114を導いた。そしてこの近似式を用いて算出すると、環境負荷後においてHEPA性能を実現する際の圧力損失(y)が40Paを超えるのは、ベンゾトリアゾール系光安定剤の添加量(x)が6.25重量%以上のときであることが導出された。なお、ベンゾトリアゾール系光安定剤の添加量が6.25重量%の場合におけるヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤との混合比率は、1対1.25である。
すなわち、高分子細繊維にヒンダードフェノール系光安定剤およびベンゾトリアゾール系光安定剤を適した混合割合で添加することにより、光安定剤の単独使用以上の電荷保持能力を発揮することが可能である。この電荷保持能力は環境負荷にも耐え、高捕集性能且つ低圧力損失を実現可能なエアフィルタ濾材が得られる。
本発明におけるエアフィルタ濾材は、高温高湿等の環境負荷後においても高い帯電効果を発揮可能で、低圧力損失且つ高捕集効率を実現するものである。従って、長期間にわたって安定した性能維持が可能であるため、家庭用および産業用の空気浄化装置のエアフィルタ濾材として利用することができる。
1 エアフィルタ濾材
2 基材層
3 細繊維層
4 紡糸溶液
5 高分子溶液専用ノズル
6 搬送手段

Claims (4)

  1. 基材層と帯電性を有する細繊維層とを備えたエアフィルタ濾材であって、
    前記細繊維層は、ヒンダードフェノール系光安定剤とベンゾトリアゾール系光安定剤とが添加された高分子材料を含み、
    前記高分子材料は、体積抵抗率が1016Ωcm以上であり、且つ、誘電正接が0.001以下であり、
    前記ヒンダードフェノール系光安定剤の重量をX、前記ベンゾトリアゾール系光安定剤の重量をYとした場合に、0<(Y/X)≦1.25の関係を満たすことを特徴とするエアフィルタ濾材。
  2. 前記高分子材料の重量をZとした場合に、X/(X+Y+Z)=5、且つ、0<Y/(X+Y+Z)<6.25の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ濾材。
  3. Y/(X+Y+Z)=5.0の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載のエアフィルタ濾材。
  4. 前記細繊維層は、100nm以上且つ2000nm以下の平均繊維径で構成されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のエアフィルタ濾材。
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