JP2015112523A - エアフィルタ用濾材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、支持体上に、静電紡糸法によるナノ繊維層を設けたエアフィルタ用濾材において、低圧力損失及び高捕集効率のエアフィルタ用濾材を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るエアフィルタ用濾材は、支持体と、該支持体上に静電紡糸法を用いて形成された、ナノ繊維からなるナノ繊維層とを有するエアフィルタ用濾材であり、前記支持体の平均孔径が15〜35μm、前記ナノ繊維層の目付質量が0.2〜2.5g/m、前記ナノ繊維層の密度が0.015〜0.045g/cm、前記ナノ繊維の平均繊維径が250nm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、支持体上に静電紡糸法を用いて形成されたナノ繊維層を有するエアフィルタ用濾材に関する。
近年のエレクトロニクス技術の細密化及びエネルギーコストの削減などの要望から、エアフィルタ用濾材の更なる高性能化が望まれている。エアフィルタ用濾材の高性能化を達成するためには、圧力損失がより低く、かつ、より高い捕集効率が必要となる。一般的に濾材を構成する繊維径が細ければ細いほど、繊維1本の粒子捕集効率は良くなることが知られており、ナノ繊維をエアフィルタ用濾材に利用することは有効である。
ナノ繊維の製造方法の一つとして、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)がある。静電紡糸法とは、ポリマーの溶液に高電圧をかけて紡糸することによって、繊維径が1μm未満のナノ繊維を容易に作製することができる方法である。
静電紡糸法によるナノ繊維を用いた高性能エアフィルタ用濾材として、アルミニウム板上に直にナノ繊維層だけを堆積させて作製した高性能エアフィルタ用濾材が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。また、通気性を有する支持体の表面に、粒子を分散したポリマー溶液を静電紡糸してナノ繊維層を設けたエアフィルタ用濾材が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
WO2009/031334号公報 特開2010−253449号公報
しかし、特許文献1に記載の方法ではアルミニウム板上に直にナノ繊維層だけを堆積させているため、堆積後の取り扱いにおいて、ナノ繊維の脱落又は破損が生じやすいといった強度面での問題がある。従って、特許文献2のエアフィルタ用濾材のように、通気性を有する支持体の表面に静電紡糸によるナノ繊維層を設けることが理想的であるが、このようなエアフィルタ用濾材においても、更なる低圧力損失化及び高捕集効率化が求められている。本発明は、支持体上に、静電紡糸法によるナノ繊維層を設けたエアフィルタ用濾材において、低圧力損失及び高捕集効率のエアフィルタ用濾材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、同一のナノ繊維層を使用しても、支持体の平均孔径の違いによってエアフィルタ用濾材のフィルタ性能が違うこと、フィルタ性能がより高くなる支持体の孔径が存在することを見出した。
すなわち、本発明に係るエアフィルタ用濾材は、支持体と、該支持体上に静電紡糸法を用いて形成された、ナノ繊維からなるナノ繊維層とを有するエアフィルタ用濾材であり、前記支持体の平均孔径が15〜35μm、前記ナノ繊維層の目付質量が0.2〜2.5g/m、前記ナノ繊維層の密度が0.015〜0.045g/cm、前記ナノ繊維の平均繊維径が250nm以下であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材では、JIS B 9908:2011「換気用エアフィルタユニット換気用電気集塵機の性能試験方法 除電処理 (2)IPA飽和蒸気暴露」に準拠して除電処理した後における、数1の式により示される対象粒子径0.3μmのPF値が20以上であることが好ましい。時間の経過とともに電荷が消失しても高い捕集効率を維持することができる。
Figure 2015112523
本発明に係るエアフィルタ用濾材では、前記ナノ繊維の構成成分が、重量平均分子量15万以上のポリアクリロニトリルであることが好ましい。通風時のナノ繊維層の空隙を維持することができる。
本発明によれば、支持体上に静電紡糸法によるナノ繊維層を有する、低圧力損失で高捕集効率なエアフィルタ用濾材を提供することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るエアファイルタ用濾材は、支持体と、支持体上に静電紡糸法を用いて形成された、ナノ繊維からなるナノ繊維層とを有するが、支持体の平均孔径、ナノ繊維層の目付質量、ナノ繊維層の密度及びナノ繊維層に含まれるナノ繊維の繊維径を、それぞれ一定の範囲とすることで、低圧力損失で高捕集効率なエアフィルタ用濾材とするものである。
本発明に用いる支持体としては、実用上十分な強度を有していること、静電紡糸用の装置に設置可能なシート状であること及びエアフィルタ用濾材としての性能を損なわないように高い通気性を有していることが必要である。従って、本発明に用いる支持体としては、例えば、紙、不織布、織布などの多孔質の繊維シートを用いる。
支持体の平均孔径は15〜35μmの範囲とする。ナノ繊維層のナノ繊維の平均繊維径及びナノ繊維層の目付質量を同一条件として比較した場合、理由は定かでないが、支持体の平均孔径がこの範囲内であるときに低圧力損失であり高捕集効率といったフィルタ性能が向上する。支持体の平均孔径が15μmより小さいと圧力損失が高くなりやすい傾向がある。逆に支持体の平均孔径が35μmよりも大きいと支持体の大きい孔径内にナノ繊維が入り込みやすくなり、支持体の孔を詰まらせたり、ナノ繊維の脱落を起こしたりするためか、低圧力損失であり高捕集効率といったフィルタ性能が低下してしまう。支持体の平均孔径は、18〜30μmであることがより好ましい。支持体の平均孔径は、例えば、細孔径分布測定装置(パームポロメーター)を用いて測定できる。
支持体の平均孔径は、例えば、使用する繊維の繊維径、配合率又は目付質量を調整することによってコントロールすることができる。支持体の平均孔径は、繊維径の大きい繊維(例えば、平均繊維径が5μm以上)を多く配合するほど、また、目付質量を小さくするほど大きくなる傾向となる。逆に、繊維径の小さい繊維(例えば、平均繊維径が1μm以下)を多く配合するほど、また、目付質量を高くするほど支持体の平均孔径は小さくなる傾向となる。支持体に使用する繊維の配合率の好ましい形態例としては、例えば、支持体が繊維径の大きい繊維(例えば、平均繊維径が5μm以上)及び繊維径の中程度の繊維(例えば、平均繊維径が1μmを超え5μm未満)からなるとき、全繊維質量に対する繊維径の大きい繊維の配合率が0質量%を超え80質量%未満であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。また、支持体が繊維径の大きい繊維(例えば、平均繊維径が5μm以上)及び繊維径の小さい繊維(例えば、平均繊維径が1μm以下)からなるとき、全繊維質量に対する繊維径の大きい繊維の配合率は、60質量%以上95質量%以下であることが好ましく、65質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
支持体の目付質量は特に限定するものではないが、目付質量が少なすぎると支持体の強度の低下が生じ、濾材加工時での強度不足となる場合がある。また、目付質量が多すぎると、濾材全体の厚みが大きくなりすぎ、エアフィルタユニット加工後での構造圧損が高くなる問題となる場合がある。従って、支持体の目付質量は10〜100g/mとすることが好ましい。支持体の目付質量は、より好ましくは20〜90g/mである。
支持体を構成する主体繊維の種類については、例えば、ガラス繊維などの無機繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、セルロース繊維、再生セルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維などの有機主体繊維、又はパルプ繊維であり、これらを単独で又は2種類以上を混合して使用してもよい。また、芯鞘繊維、全融繊維なども使用できる。ここで用いる主体繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、0.65〜9.0μmの範囲であることが好ましい。主体繊維の平均繊維径は、より好ましくは0.65〜6.0μmである。平均繊維径が0.65μm未満では、支持体の平均孔径を前述の範囲にするためには目付質量を極端に少なくする必要があり、支持体の強度が低くなるおそれがある。また、平均繊維径が9.0μmより大きいと支持体の平均孔径を前述の範囲にするためには目付質量を極端に多くする必要があり、濾材全体の厚みが大きくなりすぎ、エアフィルタユニット加工後での構造圧損が高くなるおそれがある。主体繊維の平均繊維径は、次に従って測定する。エアフィルタ用濾材の支持体側の表面を、例えば電界放出型走査電子顕微鏡を用いて観察し、視野をずらした4箇所について観察画像を得る。観察の倍率は、1枚の画像中に繊維が60〜100本存在する条件を満たす倍率とする。得られた4枚の観察画像について、すべての繊維の繊維径を計測する。計測した値を大きい順に並べて、上位5%、下位5%となる値を除き、残った値の平均値を求め、平均繊維径とする。
また、支持体には、強度付与のために、合成樹脂バインダー又はバインダー繊維などを使用してもよい。合成樹脂バインダーとしては、例えば、アクリル系ラテックス、NBR系ラテックス、酢ビ系ラテックス、オレフィン系ラテックス、ポリビニール系ラテックスであり、これらを単独又は2種類以上で用いることができる。また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、撥水剤、難燃剤、その他薬剤を合成樹脂バインダーに添加して使用しても差し支えない。バインダー繊維は、主体繊維よりも融点の低い(例えば80℃〜160℃)の合成繊維であり、例えば、ポリエチレン繊維、変性ポリエステル繊維、芯鞘合成繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維であり、これらを単独又は2種以上で用いることができる。
支持体の形成方法については、特に限定するものではなく、湿式法、乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法などが利用できるが、支持体自体の均一性が高い方が濾材の均一性も良くなり、フィルタ性能も高くなるため、湿式法を用いることが好ましい。
本発明においては、支持体上に静電紡糸法を用いてナノ繊維層を設ける。静電紡糸法とは、エレクトロスピニング法とも呼ばれ、繊維となるポリマーの溶液にプラスの高電圧を与え、これがアース又はマイナスに帯電したターゲットに向かってスプレーされる過程において繊維化を起こさせる方法であり、近年、ナノオーダーの繊維径を有するナノ繊維を製造する有効な方法として利用されている。ナノオーダーの繊維径とは、1nm以上1000nm未満であり、本発明において、ナノ繊維とはこのようなナノオーダーの繊維径を有する極細繊維をいう。ナノ繊維の繊維径は、例えば、静電紡糸法における印加電圧、ターゲットドラムの回転数、ノズルとターゲット間の距離によって、適宜調整が可能である。ナノ繊維層は、支持体の一方の表面に設けるか、又は両面に設けてもよいが、ナノ繊維層の強度を考慮して、ナノ繊維層を支持体の一方の表面に設けることがより好ましい。
本発明におけるナノ繊維層には前述のナノ繊維を用いるが、ナノ繊維層を構成するナノ繊維の平均繊維径は250nm以下とする。ナノ繊維の平均繊維径は、より好ましくは、230nm以下である。ナノ繊維の平均繊維径が250nmより大きいとナノ繊維層の表面積が足りず十分な捕集効率が得られない。ナノ繊維の平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、ナノ繊維層の強度を考慮すると、10nm以上であることが好ましい。より好ましくは、50nm以上である。ナノ繊維の平均繊維径は、次に従って測定する。エアフィルタ用濾材のナノ繊維層側の表面を、例えば電界放出型走査電子顕微鏡を用いて観察し、視野をずらした4箇所について観察画像を得る。このとき、観察画像中に節状の塊を有する繊維が含まれないようにする。また、観察の倍率は、1枚の画像中に繊維が60〜100本存在する条件を満たす倍率とする。観察画像では、現実には連続する1本の繊維であるのに、画像外で折り返されていて繊維が複数本であるかのようにみえる場合がある。本明細書では、繊維が画像外で連続しているか否かを問わず、画像中に現れている繊維の一端又は両端が画像のいずれかの辺に接している場合は、繊維が画像のいずれかの辺に接している部分で途切れているものとみなす。得られた4枚の観察画像について、すべての繊維の繊維径を計測する。計測した値を大きい順に並べて、上位5%、下位5%となる値を除き、残った値の平均値を求め、平均繊維径とする。ナノ繊維層の支持体側とは反対側の表面に、後述する不織布層が設けられている場合は、支持体又は不織布層を剥離してナノ繊維層の表面を剥き出しとした後、平均繊維径の測定を行う。
ナノ繊維となるポリマーは、水又は有機溶媒などの溶媒に溶解できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、水に溶解可能なポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体などが挙げられる。また、有機溶媒に溶解可能なポリマーとしては、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステルなどが挙げられる。本発明においては、これらのポリマーの中でも、重量平均分子量が15万以上のポリアクリロニトリルを用いることが好ましい。ナノ繊維のポリマーの種類又は平均繊維径によっては、ナノ繊維の剛性が低くなることがあり、エアフィルタとしたときに通風時の圧力に負けてナノ繊維層の空隙を維持し難くなることがある。しかし、重量平均分子量が15万以上のポリアクリロニトリルをナノ繊維とするポリマーに用いることによって、剛性の比較的高いナノ繊維を得ることができ、エアフィルタとしたときに通風時のナノ繊維層の空隙を維持しやすくなる。ポリアクリロニトリルの重量平均分子量は、より好ましくは30万以上である。また、ポリアクリロニトリルの重量平均分子量の上限は、特に制限はないが、溶解度の点から100万以下であることが好ましく、50万以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るエアフィルタ用濾材では、静電防止法で用いるポリマー溶液が粒子を含有しないことが好ましい。本実施形態に係るエアフィルタ用濾材は、静電防止法で用いるポリマー溶液が粒子を含有しなくても、支持体の平均孔径、ナノ繊維層の目付質量、ナノ繊維層の密度及びナノ繊維層に含まれるナノ繊維の繊維径を、それぞれ一定の範囲とすることで、低圧力損失化及び高捕集効率化を実現できる。
本発明において、支持体上に設けるナノ繊維層の目付質量は0.2〜2.5g/mとする。ナノ繊維層の目付質量は、より好ましくは0.5〜2.0g/mである。ナノ繊維層の目付質量が0.2g/mより少ないと、ナノ繊維層におけるナノ繊維の絶対本数が不足して十分な捕集高効率を得ることができない。また、ナノ繊維層の目付質量が2.5g/mよりも多いと圧力損失が高くなりすぎてしまう。ナノ繊維層の目付質量は、例えば紡糸時間によってコントロールする。紡糸時間を長くすると目付質量は大きくなり、時間を短くすると目付質量は小さくなる。ナノ繊維層の目付質量は、例えば、支持体とナノ繊維層との合計目付質量から支持体だけの目付質量を引いて求めることができる。また、支持体の目付質量が不明で、支持体とナノ繊維層とが一体となっているエアフィルタ用濾材のナノ繊維層の目付質量を測定するためには、(支持体+ナノ繊維層)の目付質量からナノ繊維層のみを取り除いた後の支持体の目付質量を引き、その差の値をナノ繊維層目付質量として求めることができる。
本発明におけるナノ繊維層の密度は0.015〜0.045g/cmとする。ナノ繊維層の密度は、より好ましくは0.020〜0.040g/cmである。ナノ繊維層の密度が0.015g/cmより小さいとナノ繊維層自体の強度が低く、また、ナノ繊維層の剥離が発生し易くなる問題がある。また、ナノ繊維層の密度が0.045g/cmより高いと圧力損失が高くなりすぎてフィルタのフィルタ寿命が短くなってしまう。ナノ繊維層の密度は、例えば紡糸溶液の温度、ポリマーの分子量、紡糸溶液の固形分濃度、紡糸環境湿度などの各種紡糸条件によってコントロールすることができる。例えば、温度を低くすると密度は高くなり、温度を高くすると密度は低くなる。
本発明におけるエアフィルタ用濾材は、JIS B 9908:2011「換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法」に記載された除電処理である「(2)IPA飽和蒸気曝露法」に準拠して処理した後のフィルタ性能を示す指標であるPF値が20以上であることが好ましい。PF値は、より好ましくは21.5以上である。静電紡糸法で製造されたナノ繊維はその製造法ゆえ、電荷を帯びた状態でナノ繊維層を形成するため、ナノ繊維層にはエレクトレット効果が働いている。そのため、静電紡糸法によって製造されたエアフィルタ用濾材は、一般的に初期捕集効率が非常に高く、使用初期では超高性能濾材となるが、時間の経過とともに電荷が消失するにつれて捕集効率が落ちていく問題があり信頼性に欠ける。電荷消失後のフィルタ性能を示す指標であるPF値が20以上であれば十分に高性能エアフィルタ用濾材であるといえる。
本実施形態に係るエアフィルタ用濾材にはナノ繊維層の保護を目的として、圧力損失の低い不織布層などを貼り合わせても問題はない。不織布層の圧力損失は、35Pa以下であることが好ましく、30Pa以下であることがより好ましい。また貼り合せの方法としては特に限定はしないが、一部又は全量に熱融着繊維を使用した不織布をドライヤーや熱風乾燥にてナノ繊維層側に貼り付ける方法がある。
本実施形態に係るエアフィルタ用濾材は、エアフィルタとするとき、1枚だけで使用するか、又は2枚以上を重ね合わせて使用してもよい。2枚以上を重ね合わせて使用するときは、支持体層とナノ繊維層とが交互に配置されるように重ねることが好ましい。また、重ね合わせたエアフィルタ用濾材同士は、接着しないことが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
<実施例1>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維99.3質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.7質量部を配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥して、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
得られた支持体を静電紡糸法シート製造装置(商品名:NUEナノファイバーエレクトロスピニングユニット、カトーテック社製)のターゲットドラムに設置した。次いで、分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.0質量%のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をノズルがセットされたシリンジに入れ、前記ターゲットドラムに設置した支持体上に静電紡糸を行い、目付質量1.2g/mのナノ繊維層を形成した。この時の静電紡糸条件は、紡糸環境湿度50%RH、溶液紡糸温度を25℃、印加電圧20kV、ターゲットドラム回転速度6m/分、ノズルーターゲット間距離15cmとした。こうして、支持体の一方の面に目付質量1.2g/mのナノ繊維層を設け、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例2>
(支持体の製作)
実施例1と同様にして、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
紡糸溶液温度を28℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例3>
(支持体の製作)
実施例1と同様にして、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を50%RH、紡糸溶液温度を32℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例4>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維58質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維41.3質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.7質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が3.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を45%RH、紡糸溶液温度を29℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例5>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が3.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を45%RH、溶液紡糸温度を26℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例6>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの基材を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例7>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例8>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例3と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例9>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を55%RH、紡糸溶液温度を32℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例10>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維20質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維79.3質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.7質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例11>
(支持体の製作)
実施例10と同様にして、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例12>
(支持体の製作)
実施例10と同様にして、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例9と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例13>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を0.2g/mに変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
<実施例14>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を0.6g/mに変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
<実施例15>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を2.5g/mに変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
<実施例16>
(支持体の製作)
平均繊維径0.65μmのガラス繊維30質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維69.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、目付質量27.5g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例17>
(支持体の製作)
平均繊維径0.65μmのガラス繊維17質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維82.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、目付質量27.6g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例18>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維99.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥し、目付質量31.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例19>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維30質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維30質量部及び平均繊維径9.0μmのチョップドガラス繊維40質量部を、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙した。次いで、アクリルラテックス90質量部(商品名:ボンコートAN−155、DIC社製)及びフッ素系撥水剤(商品名:NKガードS−09、日華化学工業社製)10質量部の混合バインダー液に含浸し、エアーサクションにて余分なバインダー液の除去を行い、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥し、目付質量70.6g/mの支持体を得た。混合バインダー液の固形分含浸量は支持体に対して5.5質量%であった。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例20>
(支持体の製作)
平均繊維径0.65μmのガラス繊維5質量部、平均繊維径2.6μmのガラス繊維94.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥し、目付質量27.3g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例21>
(支持体の製作)
実施例18と同様にして、目付質量31.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を0.6g/mに変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。このエアフィルタ用濾材を2枚製作した。
(重ね合わせシート製作)
得られた2枚のエアフィルタ用濾材を、ナノ繊維層/支持体層/ナノ繊維層/支持体層となるように貼り合せせずに重ね合わせ、ナノ繊維層の総目付質量が1.2g/mとなる、重ね合わせ形態のエアフィルタ用濾材を得た。
<実施例22>
(支持体の作製)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量15万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が5.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を40%RH、紡糸溶液温度を29℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例23>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量6万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が5.8質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を70%RH、紡糸溶液温度を32℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例24>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量7.5万のポリビニルアルコール(PVA)樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が8質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を20%RH、紡糸溶液温度を30℃とし、支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を2.5g/mとした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<実施例25>
(支持体の製作)
平均繊維径0.65μmのガラス繊維10質量部、平均繊維径12.4μm、平均繊維長5mmのポリエステル繊維(商品名TT04N、帝人ファイバー社製)50質量部及び平均繊維径13.0μm、平均繊維長5mmの芯鞘複合型バインダー繊維(ポリエチレン/ポリエステル)(商品名:TJ04CN、帝人ファイバー社製)10質量部を配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥して、目付質量91.3g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例1>
(支持体の製作)
実施例1において、平均繊維径0.65μmのガラス繊維50質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維49.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、目付質量27.4g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例2>
(支持体の製作)
実施例1同様にして、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.0質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を50%RH、紡糸溶液温度を22℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例3>
(支持体の製作)
実施例1同様にして、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を50%RH、紡糸溶液温度を34℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例4>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
比較例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例5>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの基材を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を55%RH、紡糸溶液温度を34℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例6>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を65%RH、紡糸溶液温度を32℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例7>
(支持体の製作)
実施例10と同様にして、目付質量63.8g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
比較例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例8>
(支持体の製作)
実施例10と同様にして、目付質量63.8g/mの基材を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
比較例3と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例9>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維8質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維91.3質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.7質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、目付質量64.5g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
<比較例10>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を0.1g/mに変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
<比較例11>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/mの支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を3.0g/mに変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
各実施例及び比較例で得られたエアフィルタ用濾材の評価結果を表1に示す。表1中の評価は、以下の方法で行った。なお、各評価を行う前に、次に示す方法によりエアフィルタ用濾材の除電処理を行った。
<除電処理>
「換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法」に記載された除電処理である「(2)IPA飽和蒸気曝露法」に準拠して除電処理を行った。
<支持体の平均孔径>
パームポロメータ−(Porous Materials社製 Automated Perm Porometer)にて支持体の孔の直径を測定し平均孔径を求めた。
<ナノ繊維層の目付質量>
支持体とナノ繊維層との合計目付質量から支持体だけの目付質量を引き、その差の値をナノ繊維層目付質量とした。
<ナノ繊維の平均繊維径>
電界放出型走査電子顕微鏡写真を用いて、エアフィルタ用濾材のナノ繊維層側の表面を倍率15000倍〜20000倍で観察し、視野をずらした4箇所について観察画像を得た。このとき、観察画像中に節状の塊を有する繊維が含まれないようにした。ここでは、繊維が画像外で連続しているか否かを問わず、画像中に現れている繊維の一端又は両端が画像のいずれかの辺に接している場合は、繊維が画像のいずれかの辺に接している部分で途切れているものとみなした。得られた4枚の観察画像について、すべての繊維の繊維径を計測した。計測した値を大きい順に並べて、上位5%、下位5%となる値を除き、残った値の平均値を求め、平均繊維径とした。
<圧力損失>
圧力損失は、有効面積100cmのエアフィルタ用濾材に面風速5.3cm/secで通風したときの差圧について、微差圧計を用いて測定した。
<0.3μm透過率>
ラスキンノズルで発生させた多分散DOP粒子を含む空気を、有効面積100cmのエアフィルタ用濾材に面風速5.3cm/secで通風したときの上流及び下流の個数比からDOP透過率を、レーザーパーティクルカウンター(型番:KC−18、リオン社製)を使用して測定した。なお、測定対象粒子径0.3μm単分散は粒子径0.3−0.4μmと0.4−0.5μmのDOP透過率の幾何平均を0.3μm単分散の透過率とした。DOP捕集効率は、100−(DOP透過率)の式から求めた。また、上流側のDOP発生濃度は、0.1μm以下で約1×10個/ftとした。
<0.3μmPF値>
濾紙のフィルタ性能の指標となるPF値は、<圧力損失>と<0.3μm透過率>の測定に基づき、数1の式より求めた。PF値が高いほど、同一圧力損失で高捕集効率であることを示す。0.3μPF値が20以上を実用レベル、0.3μPF値が20未満を実用不適レベルとした。
<ナノ繊維層の密度>
レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK‐9000)を用いてナノ繊維層の厚さを測定し、ナノ繊維層の目付質量を、ナノ繊維層の厚さで除した値をナノ繊維層の密度とした。
Figure 2015112523
表1からも明らかなように、実施例1〜25で得られたエアフィルタ用濾材は、0.3μmPF値が20以上であり、エアフィルタ用濾材としての性能を満足できるものであった。これに対し、比較例1〜11で得られたエアフィルタ用濾材は、0.3μmPF値が20未満であり、エアフィルタ用濾材としての性能を満足できるものではなかった。
また、実施例2、6、11、21乃至23で得られたエアフィルタ用濾材と、比較例1、9で得られたエアフィルタ用濾材の対比において、ナノ繊維層の密度、ナノ繊維平均繊維径及びナノ繊維層の目付質量は同等であるにもかかわらず、支持体の平均孔径が15〜35μmである実施例2、6、11、21乃至23が、0.3μmPF値が20以上となり、支持体の平均孔径が15μmより小さい比較例1、及び支持体の平均孔径が35μmより大きい比較例9は、0.3μmPF値が20未満となった。これにより、支持体の平均孔径を15〜35μmとすることで0.3μmPF値が向上することがわかる。
また、比較例3、5、8で得られたエアフィルタ用濾材は、ナノ繊維層の密度が0.015g/cm未満であったため、ナノ繊維層の強度が低く、支持体からナノ繊維層が剥がれてしまう問題があり、圧力損失及び0.3μm透過率を測定することができず、0.3μmPF値を求めることができなかった。また、ナノ繊維層の密度が0.045g/cmより大きい比較例2、4、7で得られたエアフィルタ用濾材は0.3μmPF値が20未満となった。これにより、ナノ繊維層の密度は0.015〜0.045g/cmとすることで0.3μmPF値が向上することがわかる。
また、比較例10で得られたエアフィルタ用濾材は、ナノ繊維層の目付質量が0.2g/mより小さかったため、支持体上のナノ繊維の絶対数が少なく、0.3μmPF値がエアフィルタ用濾材の測定箇所によりバラツキが大きくなったため、エアフィルタ用濾材として信頼性にかけるものとなった。また、比較例11で得られたエアフィルタ用濾材は、ナノ繊維層の目付質量が2.5g/mより大きいため、圧力損失が高くなりすぎ、0.3μmPF値が低下した。これより、ナノ繊維層の目付質量は0.2〜2.5g/mの範囲が最適であることがわかる。
また、ナノ繊維の平均繊維径が250nmより大きくなった比較例6で得られたエアフィルタ用濾材は、捕集に必要な表面積が不足し、その結果0.3μmPF値が低下した。これにより、ナノ繊維の平均繊維径は250nm以下が最適であることがわかる。
<参考評価1(支持体の平均孔径と支持体の目付量との関係)>
支持体の平均孔径と支持体の目付量との関係を確認した。
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維(以降、繊維1という。)100質量部を、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥して、目付質量63.3g/m、50.2g/m、36.5g/m、27.0g/m、17.7g/mの支持体をそれぞれ得た。各支持体について、平均孔径を測定した。支持体の平均孔径と支持体の目付量との関係を表2に示す。
Figure 2015112523
表2に示すように、支持体の平均孔径は、支持体の目付質量を小さくするほど大きくなり、支持体の目付質量を大きくするほど小さくなることが確認できた。
<参考評価2(支持体の平均孔径と主体繊維の平均繊維径との関係)>
支持体の平均孔径と主体繊維の平均繊維径との関係を確認した。
(支持体の製作)
繊維1に加えて、更に平均繊維径が0.65μmのガラス繊維(以降、繊維2という。)及び平均繊維径が5.5μmのガラス繊維(以降、繊維3という。)の中から、適宜配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥して支持体を作製した。各支持体について、平均孔径を測定した。繊維1〜繊維3の配合率、支持体の目付量及び支持体の平均孔径を表3に示す。
Figure 2015112523
表3に示すように、支持体の平均孔径は、繊維径の大きい繊維(繊維3)を多く配合するほど大きくなり、繊維径の小さい繊維(繊維2)を多く配合するほど小さくなることが確認できた。参考評価1,2では、一例としてガラス繊維を用いて確認したが、他の繊維についても同様の傾向が見られる。
本発明は、低圧力損失で高捕集効率を有したエアフィルタ用濾材としての産業用の利用の可能性を有している。

Claims (3)

  1. 支持体と、該支持体上に静電紡糸法を用いて形成された、ナノ繊維からなるナノ繊維層とを有するエアフィルタ用濾材であり、
    前記支持体の平均孔径が15〜35μm、前記ナノ繊維層の目付質量が0.2〜2.5g/m、前記ナノ繊維層の密度が0.015〜0.045g/cm、前記ナノ繊維の平均繊維径が250nm以下であることを特徴とするエアフィルタ用濾材。
  2. JIS B 9908:2011「換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法」に記載された除電処理である「(2)IPA飽和蒸気曝露法」に準拠して除電処理した後における、数1の式により示される対象粒子径0.3μmのPF値が20以上であることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ用濾材。
    Figure 2015112523
  3. 前記ナノ繊維の構成成分が、重量平均分子量15万以上のポリアクリロニトリルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアフィルタ用濾材。
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