この発明は、スノーボードのボードとビンディングとの間に介在させるベース体を備えるとともに、ボードとベース体とに連結され、ベース体に対して所定の可動範囲を許容しながらボードの撓みを制御する連結部を備えたスノーボード用制御装置に関する。
一般にスノーボードのボードは、雪面等の滑走面を滑走時の機動性や衝撃吸収性を確保するために、滑走面の形状に応じて撓み変形し易いように可撓性を有して設計されている。
一方、スノーボードのビンディングおよびその取付具は、ボーダーの操作力を受け止めて該操作力がボードに直接的に伝達し易いようにスノーボードに強固に固定されるとともに高剛性となるように設計されている。
このようにスノーボードのボードと、ビンディングおよびその取付具とは相反する特性を有するため、従来のようにビンディングを、その取付具を介してボードに装着した場合、ボードの可撓性が減殺されるという課題があった。このことはスキーにおいてスキー板とビンディングとの間においても同様の課題があった。
このような課題に対して特許文献1のスキービンディング搭載用プラットフォームに例示されるように、スキービンディングをスキー板に直接取り付けないで制御装置(プラットフォーム)を介して取り付けたものが提案されている。
特許文献1のものは、スキー(5)の上面へ装着する弾性変形可能なベースプレート(11)と、スキービンディングの前部を位置決めする前部位置決めプレート(12)と、後部を位置決めする後部位置決めプレート(13)とを備えている。前部位置決めプレート(12)は、その前後各側でベースプレート(11)に一対のレバーを介して枢動可能に接続され、該ベースプレート(11)の前方所定位置の上面に支持されている。後部位置決めプレート(13)は、その前後各側でベースプレート(11)に一対のレバーを介して枢動可能に接続され、該ベースプレート(11)の後方所定位置の上面に支持されている。
すなわち、特許文献1のものは、ベースプレート(11)とスキー(5)の上面とを連結する複数の連結部は、全てベースプレート(11)が連結部材としてのレバーを介してスキー(5)に対して連結した構成を採用している。
しかしながら特許文献1の構成においては、複数設けた各連結部材が夫々の可動範囲の下で方々に自由に可動するとユーザとボード(スキー板)との一体性が損なわれるため、特許文献1のような制御装置を介してボードをコントロールすることがかえって困難になることが懸念され、改善の余地があった。
欧州特許第2285457号明細書(EP2285457 B1)
そこでこの発明は、スノーボードの可撓性が減殺されることなく、コントロール性を高めることができるスノーボード用制御装置の提供を目的とする。
この発明は、スノーボードのボードの上面に設置されるベース体と、該ベース体の長手方向の前後各側に、ビンディングを取付け可能に備えたビンディング取付部と、上記ベース体と上記ボードの上面とを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボードの撓みを制御可能とする複数の連結部と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、上記連結部は、上記ベース体が上記ボードに対して回動可能に直接連結した直接連結部と、上記ベース体が連結部材を介して上記ボードに対して連結した間接連結部とで構成され、複数の上記連結部のうち1つの連結部を、上記直接連結部に設定するとともに、該直接連結部以外の複数の上記連結部を、上記直接連結部を基準としてボードの撓みを制御する上記間接連結部に設定したものである。
上記構成によれば、スノーボードの可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
この発明の態様として、上記連結部は、上記ベース体の長手方向の前後両端のうち少なくとも一端と、該ベース体の長手方向の中間に設けられ、上記ベース体の少なくとも上記一端に設けた上記連結部を、上記直接連結部に設定することができる。
上記構成によれば、ボードを効率よく制御することが可能となり、ボードのコントロール性をより高めることができる。
またこの発明の態様として、少なくとも1つの上記間接連結部は、該間接連結部の長手方向に伸縮する伸縮連結部材を備えるとともに、該伸縮連結部材の伸縮抵抗に基づいて上記ボードの撓みを制御する伸縮抵抗付与手段を備えることができる。
上記構成によれば、間接連結部は、伸縮抵抗付与手段を備えた伸縮連結部材により構成したため、滑走時に伸縮連結部材が伸縮抵抗付与手段によって衝撃を吸収することができるため、衝撃吸収効果を高めることができる。
さらに、滑走時にボードが撓み変形しても、該ボードは、伸縮抵抗付与手段による伸縮抵抗力が付勢されることで、連続して続く滑走面の滑走に備えてボード体を元の形状に復元させ易くなるため、起伏の激しい滑走面であっても撓み変形したボードの追従性を高めることができ、結果的にボードのコントロール性を高めることができる。
上記伸縮抵抗付与手段は、バネやゴム等の弾性体、ダンパ、或いはこれらの両方を備えた構成を採用することができる。
またこの発明の態様として、上記伸縮抵抗付与手段により付与する上記伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整する伸縮抵抗調整手段を備えることができる。
上記構成によれば、滑走面の形状、滑走条件や各ボーダー(ユーザー)の適性、レベルに応じて伸縮抵抗調整手段によって伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整することができるため、ボードのコントロール性をより高めることができる。
またこの発明の態様として、上記ベース体と上記連結部とで構成される制御手段を一対備え、該一対の制御手段を上記ボードの上面の幅方向に並設することができる。
上記構成によれば、一対の制御手段をボードの上面の幅方向に並設することにより、ボードの幅方向の両側において、ボードの撓みを制御することが可能となり、安定性およびコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、上記一対の制御手段に備えた夫々の上記ベース体の幅方向の間に、該ベース体の長手方向に延びる捩り制御手段を備えることができる。
上記構成によれば、滑走時において長手方向に延びる捩り制御手段を軸としてこの軸回りの捩じりについても制御することができるため、ターンしながらスムーズに滑走することができる。
またこの発明の態様として、上記一対の制御手段の幅方向の間に、これら一対の制御手段に備えた両ベース体を幅方向に接合するベース体接合部材を備え、上記ベース体接合部材を、上記ベース体の長手方向の前後両側に備えた上記ビンディング取付部材に設定することができる。
上記構成によれば、上記一対の制御手段の幅方向の間に、ベース体接合部材としてのビンディング取付部材を備えることにより、一対の制御手段の夫々によってユーザの体重を、ビンディング取付部材を介してバランスよく支持することができる。また、一対の制御手段の接合をビンディング取付部材によって賄うことができるため、一対の制御手段を接合するための接合部材を別途備える必要がなく部品点数を省くことができる。
スノーボードの可撓性が減殺されることなく、コントロール性を高めることができるスノーボード用制御装置を提供することができる。
本実施形態のスノーボード用制御装置を底面側から見た斜視図。
本実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
図2中のA−A線縦断面図。
本実施形態のスノーボード用制御装置の図3に対応する作用説明図。
スノーボード用制御装置の長手方向の中間部を拡大して示した構成及び作用説明図。
スノーボード用制御装置の長手方向の両端部を拡大して示した構成及び作用説明図。
中間前側連結部を幅方向中間位置の縦断面により示した構成及び作用説明図。
中間後側連結部を幅方向中間位置の縦断面により示した構成及び作用説明図。
他の実施形態のスノーボード用制御装置を底面側から見た斜視図。
他の実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
さらに他の実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
さらに他の実施形態のスノーボード用制御装置の説明図。
他の実施形態の中間前側連結部の説明図。
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本実施形態のスノーボード用制御装置の底面側から見た斜視図、図2は本実施形態のスノーボード用制御装置をボードに装着した状態を示す平面図、図3は図2中のA−A線縦断面図、図4は本実施形態のスノーボード用制御装置の図3に対応する作用説明図、図5(a)は図3における長手方向の中間部の拡大図、図5(b)は図4における長手方向の中間部の拡大図、図6(a)は図3における長手方向の両端部の拡大図、図6(a)は図4における長手方向の両端部の拡大図、図6(c)はボードが図4に示す向きと逆向きに撓んだときのスノーボード用制御装置の長手方向の両端部の拡大図、図7(a)は中間前側連結部の幅方向の中間位置の縦断面図であって、中間前側伸縮アームの作用説明図、図7(b)はベース体に対して中間前側伸縮アームが傾いた状態における、図7(a)に対応して示した作用説明図、図8(a)は中間後側連結部の幅方向の中間位置の縦断面図であって、中間後側アームの作用説明図、図8(b)はベース体に対して中間後側アームが傾いた状態における、図8(a)に対応して示した作用説明図である。
なお、図中、矢印Fは装置前方を示し、矢印Rは装置後方を示し、矢印Uは装置上方を示し、矢印Xは後記のアーム軸方向を示す。
図1〜図4に示すように、第1実施形態のスノーボード用制御装置1(以下、「制御装置1」という)は、幅方向に並設される一対の制御手段2,2と、これら一対の制御手段2,2の幅方向の間に介在し、ビンディング100(図3参照)を取付け可能に備えたビンディング取付プレート3と、連結プレート4とを備えている。
ビンディング取付プレート3は、一対の制御手段2,2の幅方向の間における長手方向(前後方向)の前後各側に配置されている。この状態でビンディング取付プレート3は、連結プレート4を介して一対の制御手段2,2に一体に連結されている。
具体的には、連結プレート4は、制御装置1の幅方向の全体に亘って延びる短冊状に形成されており、前後各側のビンディング取付プレート3の長手方向の前端と後端に相当する部位において、一対の制御手段2,2とビンディング取付プレート3とに架け渡すように裏面側から配置されている。そして連結プレート4と一対の制御手段2,2の夫々とが底面視でオーバーラップする部分をボルトおよびナットにより締結固定するとともに、連結プレート4とビンディング取付プレート3とが底面視でオーバーラップする部分をボルトおよびナットにより締結固定している。これにより一対の制御手段2,2は、ビンディング取付プレート3および連結プレート4を介して互いに一体に接合されている。
一対の制御手段2,2は、互いに同一の構成であるため、制御手段2の構成を幅方向の一方の制御手段2の構成に基づいて説明する。
制御手段2は、スノーボード101のボード102の上面102u(図2、図3参照)に設置されるベース体5と、該ベース体5とボード上面102uとを連結することで、ベース体5に対してボード102の所定の可動範囲を許容しつつ該ボード102の撓みを制御可能とする複数の連結部10,20,30,40とを備えている。
ベース体5は、平面視縦長の矩形状に形成された板状のベースプレート5aと、ベースプレート5aの幅方向の両端には側壁プレート5b(図1参照)を備え、いずれも軽量かつ高剛性の炭素繊維を用いた成形により一体に形成されている。この側壁プレート5bは、ベースプレート5aの幅方向の両端において、ベースプレート5aの下面に対して下方へ立設するように接合されている。これにより側壁プレート5bは、ベース体5の幅方向の両側において長手方向の略全長に亘って延びる縦壁状に形成されている。なお、ベース体5の幅方向内側の側壁プレート5bには、幅方向に配置した連結プレート4が横切るように該連結プレート4を挿通する挿通孔5ba(図1参照)が形成されている。
さらに図1、図3に示すように、ベース体5の下部には、ベースプレート5aの下面と幅方向の両側の側壁プレート5bの幅方向内面とで、連結部10,20,30,40の少なくとも一部を収容可能に下方へ向けて開口した底浅の収容空間5Aが形成されている。
連結部10,20,30,40は、ベース体5の長手方向(前後方向)の前端に備えた前端連結部10と、後端に備えた後端連結部20と、中間位置の前側に備えた中間前側連結部30と、中間位置の後側に備えた中間後側連結部40とを備えている。
図6(a)に示すように、前端連結部10は、ベース体5の前端においてボルト等で締結固定された前端ベース体取付部材11と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される前端ボード取付部材12と、スライド軸13と、回転軸14を備えている。
前端ベース体取付部材11には、その幅方向の両側において長手方向に貫通形成された貫通孔11aにガイドブッシュ15が嵌合され、スライド軸13は、前端ベース体取付部材11に、該ガイドブッシュ15を介して長手方向にスライド自在に支持されている。
スライド軸13の後端は、前端ベース体取付部材11の後面に当接する抜け止め用の鍔状のストッパ16を備えている。スライド軸13の前端は、幅方向に延びる回転軸14を介して前端ボード取付部材12の後部に回動自在に連結されている。
前端ボード取付部材12は、前端ベース体取付部材11に対してスライド軸13を介して長手方向にスライド(伸縮)可能であるとともに幅方向に延びる回転軸14を介して回転軸14回りに回転可能に形成されている。
要するに前端連結部10は、上述したように、前端ボード取付部材12が前端ベース体取付部材11に対して回転軸14を介して回転可能に、直接的に連結されているのではなく、スライド軸13を介して間接的に連結された構成としている。
図6(a)に示すように、後端連結部20は、ベース体5の後端においてボルト等で締結固定された後端ベース体取付部材21と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される後端ボード取付部材22と、回転軸23とを備えている。
後端ベース体取付部材21の後部は、幅方向に延びる回転軸23を介して後端ボード取付部材22の前部に回動自在に連結されている。
要するに後端連結部20は、上述したように、後端ボード取付部材22が回転軸23を介して回動可能に後端ベース体取付部材21に対して直接連結された構成としている。
図5(a)、(b)、図7(a)、(b)に示すように、中間前側連結部30は、ベース体5の中間前側位置においてボルト等で締結固定された中間前側ベース体取付部材31と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される中間前側ボード取付部材32と、中間前側ベース体取付部材31と中間前側ボード取付部材32との間に伸縮可能に介在する中間前側伸縮アーム33と、ベース体側回転軸34と、ボード側回転軸35と、を備えている。なお、図5(a)、(b)、図7(a)、(b)中の符号60は、中間前側ボード取付部材32をボード102にボルト締結する際に工具を差し込むための作業用孔である。
中間前側伸縮アーム33は、底面視略矩形の枠状に形成された枠状部材36(図1参照)と、スライド軸37と、筒状軸受け部材38と、ガイドブッシュ51とを備えている。
詳述すると、スライド軸37は、枠状部材36のボード側辺36aにアーム軸方向に貫通形成された貫通孔に嵌合されたガイドブッシュ51にベース体5側からボード102側に挿通されたボルトで形成されている。すなわちスライド軸37は、図7(a)(b)に示すように、ベース体5側の端部に頭部37bが設けられるとともに、枠状部材36のボード側辺36aからのボード102側への突出部分の先端部には雄ネジ部37aが形成されている。ただし、スライド軸37の頭部37bから雄ネジ部37aとの間は、外周面に雄ネジ部37aが形成されていない寸胴な円柱状(丸棒状)に形成されている。
スライド軸37は、雄ネジ部37aが形成されていない丸棒部分(ネジ非形成部)がガイドブッシュ51に挿通されているため、該ガイドブッシュ51に対してアーム軸方向にスライド可能に保持されている。
中間前側伸縮アーム33のボード102側には、筒状軸受け部材38を備えている。この筒状軸受け部材38は、ボード102側端部が閉塞され、ベース体5側端部が開口した、スライド軸37を挿通可能な筒状に形成されており、その内周面には、スライド軸37の雄ネジ部37aと螺合する雌ネジ部38aが形成されている。
そしてスライド軸37の先端側部分は、筒状軸受け部材38に雄ネジ部37aと雌ネジ部38aとが螺合した状態で挿通されている。
さらに図5(a)、(b)、図7(a)、(b)に示すように、中間前側伸縮アーム33には、中間前側伸縮アーム33の伸縮長さ(スライド軸37のスライド長さ)を調整する手段としてのアーム長調節ナット52を備えている。このアーム長調節ナット52は、筒状軸受け部材38とガイドブッシュ51との間においてスライド軸37の雄ネジ部37aに螺合させた状態で介在している。
そしてアーム長調節ナット52を筒状軸受け部材38に対して回動させることにより、筒状軸受け部材38に対してスライド軸37をスライドさせることができ、中間前側伸縮アーム33の長さ調整をすることができる。
さらに同図に示すように、中間前側伸縮アーム33は、ガイドブッシュ51とスライド軸37の頭部37bとの間に、スライド軸37を囲繞するコイル状のバネ53と、バネ53をそのベース体5側端からボード102側へ押さえ付けて保持する押さえ板54と、バネ53の伸縮量を調整するダブルナット55(55a,55b)を備えている。
この押さえ板54は、スライド軸37の頭部37bとバネ53との間に介在する円環状の板(ワッシャ)により形成され、枠状部材36のボード側辺36aの側へバネ53を自然長から圧縮状態となるように押さえ付ける位置でスライド軸37に一体に取り付けられている。
これにより、スライド軸37は通常時においては、アーム軸方向のベース体5側に付勢された状態とされている。
バネ53は、中間前側伸縮アーム33の伸縮抵抗を付与する伸縮抵抗付与手段であり、スライド軸37と同軸になるように配置されている。そしてバネ53は、スライド軸37がガイドブッシュ51に対してボード102側へスライドしようとしたときに例えば、さらに圧縮変形することに伴って伸縮抵抗としての弾性力(復元力)をスライド軸37に付与することができる。
ダブルナット55は、アーム長調節ナット52とガイドブッシュ51との間においてスライド軸37の雄ネジ部37aに螺合させた状態で介在する2つのナットであり、スライド軸37回りの回動に伴ってバネ53長を変化させることにより、バネ53の弾性力の大きさを調整する弾性力調整ナット55aと、弾性力調整ナット55aが回動しないように固定する固定ナット55bと、で構成されている。弾性力調整ナット55aはベース体5側に備え、固定ナット55bはボード102側に備えている。
上述した中間前側ボード取付部材32、筒状軸受け部材38、アーム長調節ナット52、ダブルナット55および押さえ板54は、スライド軸37が枠状部材36のボード側辺36aに備えたガイドブッシュ51に対してアーム軸方向へスライド時に該スライド軸37とともに一体にスライドする。
また上述したように、バネ53の付勢力(復元力)に抗して中間前側伸縮アーム33がボード102側へ伸長した際には、バネ53がより圧縮されることで中間前側伸縮アーム33には、バネ53のより大きな付勢力(復元力)が作用することになる。
なお、スライド軸37は通常時においては、上述したように、アーム軸方向のベース体5側に付勢された状態とされているため、弾性力調整ナット55aのベース体5側の端面とガイドブッシュ51のボード102側端面とが密着した状態となるが(図7(a)参照)、バネ53の付勢力(復元力)に抗して中間前側伸縮アーム33がボード102側へ伸長した際には、スライド軸37のボード102側へのスライドに伴って、弾性力調整ナット55aのベース体5側の端面とガイドブッシュ51のボード102側端面とが離間した状態となる(図5(b)、図7(b)参照)。
中間前側伸縮アーム33の前部、すなわち枠状部材36のベース体側辺36bは、幅方向に延びるベース体側回転軸34を介して中間前側ベース体取付部材31の後部に回動自在に連結されている。一方、中間前側伸縮アーム33の後部、すなわち筒状軸受け部材38のボード102側端は、幅方向に延びるボード側回転軸35を介して中間前側ボード取付部材32の前部に回動自在に連結されている。
要するに中間前側連結部30は、上述したように、中間前側ボード取付部材32が、ベース体側回転軸34およびボード側回転軸35を介して回動可能であるとともに、中間前側伸縮アーム33を介して中間前側ベース体取付部材31に対して間接的に連結された構成としている。
図5(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すように、中間後側連結部40は、ベース体5の中間後側位置においてボルト等で締結固定された中間後側ベース体取付部材41と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される中間後側ボード取付部材42と、中間後側ベース体取付部材41と中間後側ボード取付部材42との間に介在する中間後側アーム43と、ベース体側回転軸44と、ボード側回転軸45と、を備えている。
中間後側アーム43は、中間前側伸縮アーム33と同様に、底面視略矩形の枠状に形成された枠状部材36と、スライド軸137と、筒状軸受け部材38と、ガイドブッシュ51と、アーム長調節ナット52と、ダブルナット55とを備えているが、本実施形態においては中間後側アーム43に備えたスライド軸137は、中間前側伸縮アーム33に備えたスライド軸37とは異なり、アーム軸方向へガイドブッシュ51に対してスライド可能な長さを有しない短尺なボルトを採用している。このため、本実施形態の中間後側アーム43は、アーム軸方向へ伸縮しない構成としている。
なお、中間後側アーム43のスライド軸137は、中間前側伸縮アーム33のスライド軸37に対して長さが短尺であるだけで基本的な構成は同じであり、また中間後側アーム43に備えた筒状軸受け部材38、ガイドブッシュ51と、アーム長調節ナット52およびダブルナット55は、中間前側伸縮アーム33のそれと同様の構成であるためその説明は省略する。
さらに本実施形態においては、中間後側アーム43は、ガイドブッシュ51と、スライド軸137の頭部37bとの間にバネ53を介在させておらず、該中間後側アーム43自体に伸縮時の抵抗を付与する手段を備えていない構成としている。
ただし、中間後側アーム43についても中間前側伸縮アーム33と同様に、スライド軸137がアーム軸方向へスライド可能に構成したり、バネ53を備えて該バネ53の弾性力により、中間後側アーム43自体に伸縮抵抗を付与可能な構成を採用してもよい。この場合には、伸縮させたり、その伸縮時の抵抗を付与できない現状の中間後側アーム43を、別途備えた、中間前側伸縮アーム33と同様に構成したパーツと必要に応じて交換するだけで、中間後側アーム43についても容易に中間後側伸縮アーム(図示省略)として構成することができる。
中間後側アーム43の後部、すなわち枠状部材36のベース体側辺36bは、幅方向に延びるベース体側回転軸44を介して中間後側ベース体取付部材41の前部に回動自在に連結されている。一方、中間後側アーム43の前部、すなわち筒状軸受け部材38のボード102側端は、幅方向に延びるボード側回転軸45を介して中間後側ボード取付部材42の後部に回動自在に連結されている。
要するに中間後側連結部40は、上述したように、中間後側ボード取付部材42がベース体側回転軸44およびボード側回転軸45を介して回動可能であるとともに、中間後側アーム43を介して中間後側ベース体取付部材41に対して間接的に連結された構成としている。
続いて上述した制御装置1の作用について説明する。
図6(b)に示すように、ボード102がその長手方向の中間位置が下方に凸となる逆アーチ状(図4参照)に変形した場合には、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対して前端ボード取付部材12が、その前端が前方斜め上方を向くように回動する。さらにボード102が逆アーチ形状に大きく変形した場合には前端連結部10は、スライド軸13が後方へ退避するようにスライドする。
一方、図6(c)に示すように、ボード102がその長手方向の中間位置が上方に凸となるアーチ状に変形した場合には、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対して前端ボード取付部材12が、その前端が前方斜め下方を向くように回動する。さらにボード102がアーチ形状に大きく変形した場合には前端連結部10は、スライド軸13が前方へ突き出すようにスライドする。
このように、前端連結部10は、そのボード102の撓み具合に応じて前端ボード取付部材12が回動するとともにスライドすることで、ボード102の変形に追従しながらその変形を許容しつつ、ボード102の前側部位が過度に撓んだり、バタついたりしないように制御することができる。
また図6(b)に示すように、ボード102が逆アーチ状に変形した場合には、後端連結部20は、後端ベース体取付部材21に対して後端ボード取付部材22が、その後端が後方斜め上方を向くように回動する一方で、図6(c)に示すように、ボード102がアーチ状に変形した場合には、後端ベース体取付部材21に対して後端ボード取付部材22が、その後端が後方斜め下方を向くように回動する。
このように、後端連結部20は、ボード102が変形しても、後端ボード取付部材22の回動によってのみボード102の変形に追従することで、その他の連結部10,30,40がよりアクティブに変位することで全体として制御困難になることを回避し、制御装置1を介してボード102を制御する際の基準点として機能させることができる。これにより、ボード102と制御装置1との一体性を保ち易くなりコントロール性を高めることができる。
また、中間前側連結部30および中間後側連結部40は、図5(b)、図7(b)、図8(b)に示すように、ボード102が逆アーチ状に変形した際には、ボード102の長手方向の中間位置はベース体5に対して下方へ離間するように変形しようとするが、このようなボード102の形状に従って夫々に備えた中間前側伸縮アーム33、中間後側アーム43が積極的に下方に突き出すように傾くことでボード102がベース体5に対して離間することを許容しつつ制御装置1を介してボード102を制御することができる。
すなわち、ボーダーからの荷重を受け止めるため、高剛性で形成されたビンディング取付プレート3と、撓み変形し易いボード102との間に制御装置1が介在することでビンディング取付プレート3とボード102との相反する特性を両立することができる。
特に、本実施形態における中間前側連結部30は、バネ53の弾性力が付勢された状態で伸縮する中間前側伸縮アーム33を備えている(図7(b)参照)。これにより、中間前側連結部30は、ボード102がアーチ状又は逆アーチ状に撓んだ場合であっても、伸縮性に優れたバネ53が伸長することで、ボード102の適切な撓みを許容する一方で、所定以上ボード102が撓んだ場合にはバネ53の弾性力(復元力)を活かしてボード102が過度に撓むことを阻止するとともに、ボード102が撓んだ形状から元の形状に素早く復帰させることで滑走面に対する追従性を高めることができる。しかも、ボード102と制御装置1との一体性を確保することができ、結果的に制御装置1を介してボード102のコントロール性を保つことができる。
換言すると、ボード102が逆アーチ状に変形した際には、上述したようなボード102の長手方向の中間位置がベース体5に対して大きく下方へ離間するように変形しようとするため、このようなボード102の長手方向の中間位置において、中間前側連結部30が有する優れた伸縮性と弾力性とを活かすことができ、上述した効果を効果的に得ることができる点で有効である。
上述したように、制御装置1は、前端連結部10、後端連結部20、中間前側連結部30および中間後側連結部40によって、後端連結部20を基準として協働でボード102の撓みを制御することができる。
上述した本実施形態の制御装置1は、スノーボード101のボード上面102uに設置されるベース体5と、該ベース体5の長手方向の前後各側に、ビンディング100を取付け可能に備えたビンディング取付プレート3と、ベース体5とボード上面102uとを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボード102の撓みを制御可能とする複数の連結部10,20,30,40と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、連結部10,20,30,40は、ベース体5がボード102に対して回動可能に直接連結した直接連結部としての後端連結部20と、ベース体5が連結部材(スライド軸13、中間前側伸縮アーム33および中間後側アーム43の夫々)を介してボード102に対して連結した間接連結部としての端連結部10、中間前側連結部30および中間後側連結部40とで構成されたものである。
上記構成によれば、スノーボード101の可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
詳述すると、上記構成によれば、ビンディング取付プレート3とボード102との間にベース体5を介在させ、ベース体5とボード上面102uとを複数の連結部10,20,30,40によって所定の可動範囲を許容して連結することでビンディング取付プレート3をボード102に直接装着した従来のタイプよりもボード102の撓みが剛性の高いビンディング取付プレート3によって減殺されることを解消することができる。
しかも、上記構成によれば、複数の連結部10,20,30,40のうち後端連結部20を、ベース体5をボード102に直接連結する直接連結部に設定するとともに、それ以外の連結部10,20,30を、連結部材13,33,43を介してベース体5をボード102に連結する間接連結部に設定したため、後端連結部20を基準としてその他の間接連結部10,20,30が可動範囲の下で可動しながらボード102の撓みを制御することができる。
よって、全ての連結部が直接連結部に設定した場合のように、複数設けた各連結部に備えた連結部材が夫々の可動範囲の下で方々に自由に可動することにより、ベース体5を介してボード102をコントロールするコントロール性が損なわれることがないため、スノーボード101の可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
この発明の態様として、連結部は、ベース体5の長手方向の前後両端と、該ベース体5の長手方向の中間に設けられ、ベース体5の後端に設けた後端連結部20を、直接連結部に設定したものである。
上記構成によれば、ボード102を効率よく制御することが可能となり、ボード102のコントロール性をより高めることができる。
具体的には、上記構成によれば、連結部10,20,30,40は、ベース体5の長手方向の前後両端と、該ベース体5の長手方向の中間に設けたため、ベース体5の長手方向において少ない連結部によりボード102を効率よく制御することが可能となる。
さらにベース体5の長手方向の後端に設けた後端連結部20を、直接連結部に設定することにより、該直接連結部を基準点としてボード102の撓みを効果的に制御することが可能となりボード102のコントロール性をより高めることができる。
またこの発明の態様として、中間前側連結部30は、アーム軸方向に伸縮する伸縮連結部材としての中間前側伸縮アーム33を備えるとともに、該中間前側伸縮アーム33の弾性力に基づいてボード102の撓みを制御する伸縮抵抗付与手段としてのバネ53を備えたものである。
上記構成によれば、中間前側連結部30は、バネ53を備えた中間前側伸縮アーム33により構成したため、滑走時に中間前側伸縮アーム33がバネ53によって衝撃を吸収することができるため、衝撃吸収効果を高めることができる。
さらに、滑走時にボード102が撓み変形しても、該ボード102は、バネ53による弾性力が付勢されることで、連続して続く次の滑走面の滑走に備えてボード102体を元の形状に復元させ易くなるため、起伏の激しい滑走面であっても撓み変形したボード102の追従性を高めることができ、結果的にボード102のコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、バネ53により付与する中間前側伸縮アーム33の弾性力の大きさを調整する伸縮抵抗調整手段としての弾性力調整ナット55aを備えたものである。
上記構成によれば、滑走条件や各ボーダー(ユーザー)の適性、レベルに応じて伸縮抵抗調整手段によって伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整することができるため、ボード102のコントロール性をより高めることができる。
またこの発明の態様として、ベース体5と連結部10,20,30,40とで構成される制御手段2を一対備え、該一対の制御手段2,2をボード上面102uの幅方向に並設したものである。
上記構成によれば、一対の制御手段2,2をボード上面102uの幅方向に並設することにより、ボード102の幅方向の両側において、ベース体5との間で連結部10,20,30,40により所定の可動範囲の下でボード102の撓みを制御することが可能となり、安定性およびコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、一対の制御手段2,2の幅方向の間に、これら一対の制御手段2,2に備えた両ベース体5,5を幅方向に接合するベース体接合部材を備え、ベース体接合部材をビンディング取付プレート3に設定したものである。
上記構成によれば、一対の制御手段2,2の幅方向の間に、ベース体接合部材としてのビンディング取付プレート3を備えることにより、一対の制御手段2,2の夫々によってユーザの体重をビンディング取付プレート3を介してバランスよく支持することができる。また、一対の制御手段2,2の連結をビンディング取付プレート3によって賄うことができるため、一対の制御手段2,2を連結するための連結部材を別途備える必要がなく部品点数を省くことができる。
この発明のビンディング取付部は、本実施例のビンディング取付プレート3に対応し、以下同様に、
複数の連結部は、前端連結部10、後端連結部20、中間前側連結部30および中間後側連結部40に対応し、
間接連結部は、前端連結部10、中間前側連結部30および中間後側連結部40に対応し、
直接連結部は、後端連結部20に対応し、
連結部材は、スライド軸13、中間前側伸縮アーム33および中間後側アーム43に対応し、
伸縮連結部材は、中間前側伸縮アーム33に対応し、
伸縮抵抗付与手段は、バネ53に対応し、
伸縮抵抗調整手段は、弾性力調整ナット55aに対応し、
ベース体の長手方向の前後両端のうち少なくとも一端は、ベース体5の後端に対応し、
後記の捩り制御手段61は、捩り制御プレート61又は捩り制御ビーム71に対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、図9、図10に示す制御装置1Aのように、一対の制御手段2,2に備えた夫々のベース体5の幅方向の間に、前後方向に延びる捩り制御手段2としての捩り制御プレート61を備えてもよい。
具体的には、捩り制御プレート61は、ベース体5と同じ炭素繊維で形成された長細いプレートであり、平面視で、前後各側のビンディング取付プレート3,3と、幅方向各側の制御手段2,2との間に構成される空間に、一方の板面が上方を向くように長手方向に沿って配置されている。
この捩り制御プレート61の前端は、該前端と対向する連結プレート4側から後方へ延設する取付片62にボルト等で接合固定され、捩り制御プレート61の後端は、該後端と対向する連結プレート4側から前方へ延設する取付片62にボルト等で接合固定されている。これにより捩り制御プレート61は、その幅方向の中心軸が一対の制御手段2,2の幅方向の中心軸と一致するように、前後各側の連結プレート4,4に架け渡されている。
上記構成によれば、制御装置1に長手方向の一端と後端とが中心軸回りにおいて異なる方向に変形させる力が作用した場合、すなわち、中心軸回りの捻じれ力が作用した場合であっても、捩り制御プレート61が、その弾性力(復元力)によって捩じれ前の形状に保つように作用することができ、制御装置1を介してボード102の捩じれの影響を緩和してボード102の安定性、コントロール性を高めることができる。
従って、滑走時において長手方向に延びる捩り制御手段2を軸としてこの軸回りの捩じりについても制御することができるため、ターンしながらスムーズに滑走することができる。
また、捩り制御手段2は、上述した捩り制御プレート61に限らず、図11に示す捩り制御ビーム71を採用してもよい。
捩り制御ビーム71は、2本のビーム71a,71aを平面視でクロスさせた形状で形成され、制御装置1Bにおいて、平面視で、前後各側のビンディング取付プレート3,3と、幅方向各側の制御手段2,2との間に構成される空間に、対角線状に配置されている。そして、捩り制御ビーム71の各端部は、連結プレート4の夫々に対向する部分に形成した取付片72にボルト等で接合固定されている。
上記構成の捩り制御ビーム71を備えた制御装置1Bにおいても、上述した制御装置61と同様の効果を得ることができる。
また他の実施形態として、図12(a1)、(b1)に示すように、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対する前端ボード取付部材12のスライド長さを調整するスライド長さ調整手段(81)を備えてもよい。
具体的には、スライド長さ調整手段は、スライド軸37の外周に着脱可能に形成したC環状等のスライド長さ調整ブロック81(以下、「ブロック81」という)で形成することができる。
そして、ブロック81を図12(a1)に示すように、スライド軸37の軸方向におけるベース体取付部材11よりも前側に装着することで、ボード102が逆アーチ状に撓んだとき、図12(a2)に示すように、前端ボード取付部材12は後方に退避するが、ブロック81が前端ベース体取付部材11に当接することでそれ以上後方に退避しないように規制することができる。
これにより、ブロック81を図12(a1)に示すように、スライド軸37の軸方向におけるベース体取付部材11よりも前側に装着することで、ボード102が逆アーチ状に撓んだときの前端連結部10のボード102の変形に対する追従性を低下させることができ、結果的にボード102の前側部分の撓みを抑制することができる。
一方、ブロック81を図12(b1)に示すように、スライド軸37の軸方向におけるベース体取付部材11よりも後側に装着することで、ボード102がアーチ状に撓んだとき、図12(b2)に示すように、前端ボード取付部材12は前方へ突出するが、ブロック81が前端ベース体取付部材11に当接することでそれ以上前方へ突出しないように規制することができる。
これにより、ブロック81を図12(b1)に示すように、スライド軸37の軸方向におけるベース体取付部材11よりも後側に装着することで、ボード102がアーチ状に撓もうとしたときの前端連結部10のボード102の変形に対する追従性を低下させることができ、結果的にボード102の前側部分の撓みを抑制することができる。
上述したように、前端連結部10は、ブロック81のスライド軸37に対する装着位置、ブロック81のスライド軸13の軸方向の厚み、ブロック81を装着するか否かを含めて変更することで、スライド軸37のスライド量を調整することができ、結果的にボード102の前側部分の撓み具合を調整することできる。
また上述した中間前側連結部30は、中間前側伸縮アーム33を備え、この中間前側伸縮アーム33に備えたダブルナット55(55a,55b)により、バネ53の伸縮量を調整可能に構成したが(図7(a),(b)参照)、本発明の伸縮連結部材は、上記構成に限らず、例えば、図13(a),(b)に示すような他の実施形態を採用してもよい。
図13(a)は、図7(b)に相当する他の実施形態の中間前側連結部130に備えた伸縮連結部材としての中間前側伸縮アーム133の説明図であり、図13(b)は、中間前側伸縮アーム133に備えた後述する中間前側伸縮アーム本体部136の正面図である。
本実施形態の中間前側伸縮アーム133は、中間前側伸縮アーム本体部136と弾性力調節ナット135とで構成し、中間前側伸縮アーム本体部136は、図13(a),(b)に示すにように、段付のシャフト状に形成され、その軸方向のボード102側には、大径に形成したアーム大径部137を備えるとともに、ベース体5側にはアーム大径部137よりも小径に形成されたアーム小径部138を備え、これらアーム大径部137とアーム小径部138とが一体又は一体的に構成されている。
すなわちアーム大径部137とアーム小径部138とは、一部材で構成する、或いはアーム大径部137に対してアーム小径部138を嵌合する等して事実上一体に構成したものである。
アーム小径部138には、その軸方向のベース体5側端に、上述した実施形態のスライド軸37のように頭部37b(図7(b)参照)が形成されておらず、図13(a),(b)に示すにように雄ネジ部138aが形成されており、該雄ネジ部138aに螺合する上記の弾性力調節ナット135を備えている(図13(a)参照)。
そして弾性力調節ナット135をアーム小径部138に対して回動させることにより、その回動方向、回動具合に応じて押さえ板54とガイドブッシュ51との間において介在するバネ53の長さを、該押さえ板54を介して調整することができる。すなわち、バネ53の伸縮量(弾性力)を調整することができる。
このように本実施形態の中間前側伸縮アーム133は、バネ53の弾性力の調整機能を有しつつも、アーム大径部137とアーム小径部138とを一体化することで、図7(a),(b)に示した中間前側伸縮アーム133のように、アーム長調節ナット52やダブルナット55(55a,55b)を省略した構成として部品点数を減らして、中間前側伸縮アーム133全体としてシンプルかつコンパクトな構成を実現することができる。
1,1A,1B…スノーボード用制御装置
2…制御手段
3…ビンディング取付プレート
5…ベース体
10…前端連結部
13…スライド軸
20…後端連結部
30,130…中間前側連結部
33,133…中間前側伸縮アーム
40…中間後側連結部
43…中間後側アーム
53…バネ
55a,135…弾性力調整ナット
61…捩り制御プレート
71…捩り制御ビーム
136…中間前側伸縮アーム本体部
この発明は、スノーボードのボードとビンディングとの間に介在させるベース体を備えるとともに、ボードとベース体とに連結され、ベース体に対して所定の可動範囲を許容しながらボードの撓みを制御する連結部を備えたスノーボード用制御装置に関する。
一般にスノーボードのボードは、雪面等の滑走面を滑走時の機動性や衝撃吸収性を確保するために、滑走面の形状に応じて撓み変形し易いように可撓性を有して設計されている。
一方、スノーボードのビンディングおよびその取付具は、ボーダーの操作力を受け止めて該操作力がボードに直接的に伝達し易いようにスノーボードに強固に固定されるとともに高剛性となるように設計されている。
このようにスノーボードのボードと、ビンディングおよびその取付具とは相反する特性を有するため、従来のようにビンディングを、その取付具を介してボードに装着した場合、ボードの可撓性が減殺されるという課題があった。このことはスキーにおいてスキー板とビンディングとの間においても同様の課題があった。
このような課題に対して特許文献1のスキービンディング搭載用プラットフォームに例示されるように、スキービンディングをスキー板に直接取り付けないで制御装置(プラットフォーム)を介して取り付けたものが提案されている。
特許文献1のものは、スキー(5)の上面へ装着する弾性変形可能なベースプレート(11)と、スキービンディングの前部を位置決めする前部位置決めプレート(12)と、後部を位置決めする後部位置決めプレート(13)とを備えている。前部位置決めプレート(12)は、その前後各側でベースプレート(11)に一対のレバーを介して枢動可能に接続され、該ベースプレート(11)の前方所定位置の上面に支持されている。後部位置決めプレート(13)は、その前後各側でベースプレート(11)に一対のレバーを介して枢動可能に接続され、該ベースプレート(11)の後方所定位置の上面に支持されている。
すなわち、特許文献1のものは、ベースプレート(11)とスキー(5)の上面とを連結する複数の連結部は、全てベースプレート(11)が連結部材としてのレバーを介してスキー(5)に対して連結した構成を採用している。
しかしながら特許文献1の構成においては、複数設けた各連結部材が夫々の可動範囲の下で方々に自由に可動するとユーザとボード(スキー板)との一体性が損なわれるため、特許文献1のような制御装置を介してボードをコントロールすることがかえって困難になることが懸念され、改善の余地があった。
欧州特許第2285457号明細書(EP2285457 B1)
そこでこの発明は、スノーボードの可撓性が減殺されることなく、コントロール性を高めることができるスノーボード用制御装置の提供を目的とする。
この発明は、スノーボードのボードの上面に設置されるベース体と、該ベース体の長手方向の前後各側に、ビンディングを取付け可能に備えたビンディング取付部と、上記ベース体と上記ボードの上面とを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボードの撓みを制御可能とする複数の連結部と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、上記連結部は、上記ベース体が上記ボードに対して回動可能に直接連結した直接連結部と、上記ベース体が連結部材を介して上記ボードに対して連結した間接連結部とで構成され、複数の上記連結部のうち1つの連結部を、上記直接連結部に設定するとともに、該直接連結部以外の複数の上記連結部を、上記直接連結部を基準としてボードの撓みを制御する上記間接連結部に設定し、上記連結部は、上記ベース体の長手方向の前後両端のうち少なくとも一端と、該ベース体の長手方向の中間に設けられ、上記ベース体の少なくとも上記一端に設けた上記連結部を、上記直接連結部に設定したものである。
上記構成によれば、スノーボードの可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
また、ボードを効率よく制御することが可能となり、ボードのコントロール性をより高めることができる。
またこの発明は、スノーボードのボードの上面に設置されるベース体と、該ベース体の長手方向の前後各側に、ビンディングを取付け可能に備えたビンディング取付部と、上記ベース体と上記ボードの上面とを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボードの撓みを制御可能とする複数の連結部と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、上記連結部は、上記ベース体が上記ボードに対して回動可能に直接連結した直接連結部と、上記ベース体が連結部材を介して上記ボードに対して連結した間接連結部とで構成され、複数の上記連結部のうち1つの連結部を、上記直接連結部に設定するとともに、該直接連結部以外の複数の上記連結部を、上記直接連結部を基準としてボードの撓みを制御する上記間接連結部に設定し、少なくとも1つの上記間接連結部は、該間接連結部の長手方向に伸縮する伸縮連結部材を備えるとともに、該伸縮連結部材の伸縮抵抗に基づいて上記ボードの撓みを制御する伸縮抵抗付与手段を備え、上記伸縮抵抗付与手段により付与する上記伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整する伸縮抵抗調整手段を備えることができる。
上記構成によれば、間接連結部は、伸縮抵抗付与手段を備えた伸縮連結部材により構成したため、滑走時に伸縮連結部材が伸縮抵抗付与手段によって衝撃を吸収することができるため、衝撃吸収効果を高めることができる。
さらに、滑走時にボードが撓み変形しても、該ボードは、伸縮抵抗付与手段による伸縮抵抗力が付勢されることで、連続して続く滑走面の滑走に備えてボード体を元の形状に復元させ易くなるため、起伏の激しい滑走面であっても撓み変形したボードの追従性を高めることができ、結果的にボードのコントロール性を高めることができる。
上記伸縮抵抗付与手段は、バネやゴム等の弾性体、ダンパ、或いはこれらの両方を備えた構成を採用することができる。
さらに、滑走面の形状、滑走条件や各ボーダー(ユーザー)の適性、レベルに応じて伸縮抵抗調整手段によって伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整することができるため、ボードのコントロール性をより高めることができる。
またこの発明は、スノーボードのボードの上面に設置されるベース体と、該ベース体の長手方向の前後各側に、ビンディングを取付け可能に備えたビンディング取付部と、上記ベース体と上記ボードの上面とを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボードの撓みを制御可能とする複数の連結部と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、上記連結部は、上記ベース体が上記ボードに対して回動可能に直接連結した直接連結部と、上記ベース体が連結部材を介して上記ボードに対して連結した間接連結部とで構成され、複数の上記連結部のうち1つの連結部を、上記直接連結部に設定するとともに、該直接連結部以外の複数の上記連結部を、上記直接連結部を基準としてボードの撓みを制御する上記間接連結部に設定し、上記ベース体と上記連結部とで構成される制御手段を一対備え、該一対の制御手段を上記ボードの上面の幅方向に並設することができる。
上記構成によれば、一対の制御手段をボードの上面の幅方向に並設することにより、ボードの幅方向の両側において、ボードの撓みを制御することが可能となり、安定性およびコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、上記一対の制御手段に備えた夫々の上記ベース体の幅方向の間に、該ベース体の長手方向に延びる捩り制御手段を備えることができる。
上記構成によれば、滑走時において長手方向に延びる捩り制御手段を軸としてこの軸回りの捩じりについても制御することができるため、ターンしながらスムーズに滑走することができる。
またこの発明の態様として、上記一対の制御手段の幅方向の間に、これら一対の制御手段に備えた両ベース体を幅方向に接合するベース体接合部材を備え、上記ベース体接合部材を、上記ベース体の長手方向の前後両側に備えた上記ビンディング取付部材に設定することができる。
上記構成によれば、上記一対の制御手段の幅方向の間に、ベース体接合部材としてのビンディング取付部材を備えることにより、一対の制御手段の夫々によってユーザの体重を、ビンディング取付部材を介してバランスよく支持することができる。また、一対の制御手段の接合をビンディング取付部材によって賄うことができるため、一対の制御手段を接合するための接合部材を別途備える必要がなく部品点数を省くことができる。
スノーボードの可撓性が減殺されることなく、コントロール性を高めることができるスノーボード用制御装置を提供することができる。
本実施形態のスノーボード用制御装置を底面側から見た斜視図。
本実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
図2中のA−A線縦断面図。
本実施形態のスノーボード用制御装置の図3に対応する作用説明図。
スノーボード用制御装置の長手方向の中間部を拡大して示した構成及び作用説明図。
スノーボード用制御装置の長手方向の両端部を拡大して示した構成及び作用説明図。
中間前側連結部を幅方向中間位置の縦断面により示した構成及び作用説明図。
中間後側連結部を幅方向中間位置の縦断面により示した構成及び作用説明図。
他の実施形態のスノーボード用制御装置を底面側から見た斜視図。
他の実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
さらに他の実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
さらに他の実施形態のスノーボード用制御装置の説明図。
他の実施形態の中間前側連結部の説明図。
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本実施形態のスノーボード用制御装置の底面側から見た斜視図、図2は本実施形態のスノーボード用制御装置をボードに装着した状態を示す平面図、図3は図2中のA−A線縦断面図、図4は本実施形態のスノーボード用制御装置の図3に対応する作用説明図、図5(a)は図3における長手方向の中間部の拡大図、図5(b)は図4における長手方向の中間部の拡大図、図6(a)は図3における長手方向の両端部の拡大図、図6(a)は図4における長手方向の両端部の拡大図、図6(c)はボードが図4に示す向きと逆向きに撓んだときのスノーボード用制御装置の長手方向の両端部の拡大図、図7(a)は中間前側連結部の幅方向の中間位置の縦断面図であって、中間前側伸縮アームの作用説明図、図7(b)はベース体に対して中間前側伸縮アームが傾いた状態における、図7(a)に対応して示した作用説明図、図8(a)は中間後側連結部の幅方向の中間位置の縦断面図であって、中間後側アームの作用説明図、図8(b)はベース体に対して中間後側アームが傾いた状態における、図8(a)に対応して示した作用説明図である。
なお、図中、矢印Fは装置前方を示し、矢印Rは装置後方を示し、矢印Uは装置上方を示し、矢印Xは後記のアーム軸方向を示す。
図1〜図4に示すように、第1実施形態のスノーボード用制御装置1(以下、「制御装置1」という)は、幅方向に並設される一対の制御手段2,2と、これら一対の制御手段2,2の幅方向の間に介在し、ビンディング100(図3参照)を取付け可能に備えたビンディング取付プレート3と、連結プレート4とを備えている。
ビンディング取付プレート3は、一対の制御手段2,2の幅方向の間における長手方向(前後方向)の前後各側に配置されている。この状態でビンディング取付プレート3は、連結プレート4を介して一対の制御手段2,2に一体に連結されている。
具体的には、連結プレート4は、制御装置1の幅方向の全体に亘って延びる短冊状に形成されており、前後各側のビンディング取付プレート3の長手方向の前端と後端に相当する部位において、一対の制御手段2,2とビンディング取付プレート3とに架け渡すように裏面側から配置されている。そして連結プレート4と一対の制御手段2,2の夫々とが底面視でオーバーラップする部分をボルトおよびナットにより締結固定するとともに、連結プレート4とビンディング取付プレート3とが底面視でオーバーラップする部分をボルトおよびナットにより締結固定している。これにより一対の制御手段2,2は、ビンディング取付プレート3および連結プレート4を介して互いに一体に接合されている。
一対の制御手段2,2は、互いに同一の構成であるため、制御手段2の構成を幅方向の一方の制御手段2の構成に基づいて説明する。
制御手段2は、スノーボード101のボード102の上面102u(図2、図3参照)に設置されるベース体5と、該ベース体5とボード上面102uとを連結することで、ベース体5に対してボード102の所定の可動範囲を許容しつつ該ボード102の撓みを制御可能とする複数の連結部10,20,30,40とを備えている。
ベース体5は、平面視縦長の矩形状に形成された板状のベースプレート5aと、ベースプレート5aの幅方向の両端には側壁プレート5b(図1参照)を備え、いずれも軽量かつ高剛性の炭素繊維を用いた成形により一体に形成されている。この側壁プレート5bは、ベースプレート5aの幅方向の両端において、ベースプレート5aの下面に対して下方へ立設するように接合されている。これにより側壁プレート5bは、ベース体5の幅方向の両側において長手方向の略全長に亘って延びる縦壁状に形成されている。なお、ベース体5の幅方向内側の側壁プレート5bには、幅方向に配置した連結プレート4が横切るように該連結プレート4を挿通する挿通孔5ba(図1参照)が形成されている。
さらに図1、図3に示すように、ベース体5の下部には、ベースプレート5aの下面と幅方向の両側の側壁プレート5bの幅方向内面とで、連結部10,20,30,40の少なくとも一部を収容可能に下方へ向けて開口した底浅の収容空間5Aが形成されている。
連結部10,20,30,40は、ベース体5の長手方向(前後方向)の前端に備えた前端連結部10と、後端に備えた後端連結部20と、中間位置の前側に備えた中間前側連結部30と、中間位置の後側に備えた中間後側連結部40とを備えている。
図6(a)に示すように、前端連結部10は、ベース体5の前端においてボルト等で締結固定された前端ベース体取付部材11と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される前端ボード取付部材12と、スライド軸13と、回転軸14を備えている。
前端ベース体取付部材11には、その幅方向の両側において長手方向に貫通形成された貫通孔11aにガイドブッシュ15が嵌合され、スライド軸13は、前端ベース体取付部材11に、該ガイドブッシュ15を介して長手方向にスライド自在に支持されている。
スライド軸13の後端は、前端ベース体取付部材11の後面に当接する抜け止め用の鍔状のストッパ16を備えている。スライド軸13の前端は、幅方向に延びる回転軸14を介して前端ボード取付部材12の後部に回動自在に連結されている。
前端ボード取付部材12は、前端ベース体取付部材11に対してスライド軸13を介して長手方向にスライド(伸縮)可能であるとともに幅方向に延びる回転軸14を介して回転軸14回りに回転可能に形成されている。
要するに前端連結部10は、上述したように、前端ボード取付部材12が前端ベース体取付部材11に対して回転軸14を介して回転可能に、直接的に連結されているのではなく、スライド軸13を介して間接的に連結された構成としている。
図6(a)に示すように、後端連結部20は、ベース体5の後端においてボルト等で締結固定された後端ベース体取付部材21と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される後端ボード取付部材22と、回転軸23とを備えている。
後端ベース体取付部材21の後部は、幅方向に延びる回転軸23を介して後端ボード取付部材22の前部に回動自在に連結されている。
要するに後端連結部20は、上述したように、後端ボード取付部材22が回転軸23を介して回動可能に後端ベース体取付部材21に対して直接連結された構成としている。
図5(a)、(b)、図7(a)、(b)に示すように、中間前側連結部30は、ベース体5の中間前側位置においてボルト等で締結固定された中間前側ベース体取付部材31と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される中間前側ボード取付部材32と、中間前側ベース体取付部材31と中間前側ボード取付部材32との間に伸縮可能に介在する中間前側伸縮アーム33と、ベース体側回転軸34と、ボード側回転軸35と、を備えている。なお、図5(a)、(b)、図7(a)、(b)中の符号60は、中間前側ボード取付部材32をボード102にボルト締結する際に工具を差し込むための作業用孔である。
中間前側伸縮アーム33は、底面視略矩形の枠状に形成された枠状部材36(図1参照)と、スライド軸37と、筒状軸受け部材38と、ガイドブッシュ51とを備えている。
詳述すると、スライド軸37は、枠状部材36のボード側辺36aにアーム軸方向に貫通形成された貫通孔に嵌合されたガイドブッシュ51にベース体5側からボード102側に挿通されたボルトで形成されている。すなわちスライド軸37は、図7(a)(b)に示すように、ベース体5側の端部に頭部37bが設けられるとともに、枠状部材36のボード側辺36aからのボード102側への突出部分の先端部には雄ネジ部37aが形成されている。ただし、スライド軸37の頭部37bから雄ネジ部37aとの間は、外周面に雄ネジ部37aが形成されていない寸胴な円柱状(丸棒状)に形成されている。
スライド軸37は、雄ネジ部37aが形成されていない丸棒部分(ネジ非形成部)がガイドブッシュ51に挿通されているため、該ガイドブッシュ51に対してアーム軸方向にスライド可能に保持されている。
中間前側伸縮アーム33のボード102側には、筒状軸受け部材38を備えている。この筒状軸受け部材38は、ボード102側端部が閉塞され、ベース体5側端部が開口した、スライド軸37を挿通可能な筒状に形成されており、その内周面には、スライド軸37の雄ネジ部37aと螺合する雌ネジ部38aが形成されている。
そしてスライド軸37の先端側部分は、筒状軸受け部材38に雄ネジ部37aと雌ネジ部38aとが螺合した状態で挿通されている。
さらに図5(a)、(b)、図7(a)、(b)に示すように、中間前側伸縮アーム33には、中間前側伸縮アーム33の伸縮長さ(スライド軸37のスライド長さ)を調整する手段としてのアーム長調節ナット52を備えている。このアーム長調節ナット52は、筒状軸受け部材38とガイドブッシュ51との間においてスライド軸37の雄ネジ部37aに螺合させた状態で介在している。
そしてアーム長調節ナット52を筒状軸受け部材38に対して回動させることにより、筒状軸受け部材38に対してスライド軸37をスライドさせることができ、中間前側伸縮アーム33の長さ調整をすることができる。
さらに同図に示すように、中間前側伸縮アーム33は、ガイドブッシュ51とスライド軸37の頭部37bとの間に、スライド軸37を囲繞するコイル状のバネ53と、バネ53をそのベース体5側端からボード102側へ押さえ付けて保持する押さえ板54と、バネ53の伸縮量を調整するダブルナット55(55a,55b)を備えている。
この押さえ板54は、スライド軸37の頭部37bとバネ53との間に介在する円環状の板(ワッシャ)により形成され、枠状部材36のボード側辺36aの側へバネ53を自然長から圧縮状態となるように押さえ付ける位置でスライド軸37に一体に取り付けられている。
これにより、スライド軸37は通常時においては、アーム軸方向のベース体5側に付勢された状態とされている。
バネ53は、中間前側伸縮アーム33の伸縮抵抗を付与する伸縮抵抗付与手段であり、スライド軸37と同軸になるように配置されている。そしてバネ53は、スライド軸37がガイドブッシュ51に対してボード102側へスライドしようとしたときに例えば、さらに圧縮変形することに伴って伸縮抵抗としての弾性力(復元力)をスライド軸37に付与することができる。
ダブルナット55は、アーム長調節ナット52とガイドブッシュ51との間においてスライド軸37の雄ネジ部37aに螺合させた状態で介在する2つのナットであり、スライド軸37回りの回動に伴ってバネ53長を変化させることにより、バネ53の弾性力の大きさを調整する弾性力調整ナット55aと、弾性力調整ナット55aが回動しないように固定する固定ナット55bと、で構成されている。弾性力調整ナット55aはベース体5側に備え、固定ナット55bはボード102側に備えている。
上述した中間前側ボード取付部材32、筒状軸受け部材38、アーム長調節ナット52、ダブルナット55および押さえ板54は、スライド軸37が枠状部材36のボード側辺36aに備えたガイドブッシュ51に対してアーム軸方向へスライド時に該スライド軸37とともに一体にスライドする。
また上述したように、バネ53の付勢力(復元力)に抗して中間前側伸縮アーム33がボード102側へ伸長した際には、バネ53がより圧縮されることで中間前側伸縮アーム33には、バネ53のより大きな付勢力(復元力)が作用することになる。
なお、スライド軸37は通常時においては、上述したように、アーム軸方向のベース体5側に付勢された状態とされているため、弾性力調整ナット55aのベース体5側の端面とガイドブッシュ51のボード102側端面とが密着した状態となるが(図7(a)参照)、バネ53の付勢力(復元力)に抗して中間前側伸縮アーム33がボード102側へ伸長した際には、スライド軸37のボード102側へのスライドに伴って、弾性力調整ナット55aのベース体5側の端面とガイドブッシュ51のボード102側端面とが離間した状態となる(図5(b)、図7(b)参照)。
中間前側伸縮アーム33の前部、すなわち枠状部材36のベース体側辺36bは、幅方向に延びるベース体側回転軸34を介して中間前側ベース体取付部材31の後部に回動自在に連結されている。一方、中間前側伸縮アーム33の後部、すなわち筒状軸受け部材38のボード102側端は、幅方向に延びるボード側回転軸35を介して中間前側ボード取付部材32の前部に回動自在に連結されている。
要するに中間前側連結部30は、上述したように、中間前側ボード取付部材32が、ベース体側回転軸34およびボード側回転軸35を介して回動可能であるとともに、中間前側伸縮アーム33を介して中間前側ベース体取付部材31に対して間接的に連結された構成としている。
図5(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すように、中間後側連結部40は、ベース体5の中間後側位置においてボルト等で締結固定された中間後側ベース体取付部材41と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される中間後側ボード取付部材42と、中間後側ベース体取付部材41と中間後側ボード取付部材42との間に介在する中間後側アーム43と、ベース体側回転軸44と、ボード側回転軸45と、を備えている。
中間後側アーム43は、中間前側伸縮アーム33と同様に、底面視略矩形の枠状に形成された枠状部材36と、スライド軸137と、筒状軸受け部材38と、ガイドブッシュ51と、アーム長調節ナット52と、ダブルナット55とを備えているが、本実施形態においては中間後側アーム43に備えたスライド軸137は、中間前側伸縮アーム33に備えたスライド軸37とは異なり、アーム軸方向へガイドブッシュ51に対してスライド可能な長さを有しない短尺なボルトを採用している。このため、本実施形態の中間後側アーム43は、アーム軸方向へ伸縮しない構成としている。
なお、中間後側アーム43のスライド軸137は、中間前側伸縮アーム33のスライド軸37に対して長さが短尺であるだけで基本的な構成は同じであり、また中間後側アーム43に備えた筒状軸受け部材38、ガイドブッシュ51と、アーム長調節ナット52およびダブルナット55は、中間前側伸縮アーム33のそれと同様の構成であるためその説明は省略する。
さらに本実施形態においては、中間後側アーム43は、ガイドブッシュ51と、スライド軸137の頭部137bとの間にバネ53を介在させておらず、該中間後側アーム43自体に伸縮時の抵抗を付与する手段を備えていない構成としている。
ただし、中間後側アーム43についても中間前側伸縮アーム33と同様に、スライド軸137がアーム軸方向へスライド可能に構成したり、バネ53を備えて該バネ53の弾性力により、中間後側アーム43自体に伸縮抵抗を付与可能な構成を採用してもよい。この場合には、伸縮させたり、その伸縮時の抵抗を付与できない現状の中間後側アーム43を、別途備えた、中間前側伸縮アーム33と同様に構成したパーツと必要に応じて交換するだけで、中間後側アーム43についても容易に中間後側伸縮アーム(図示省略)として構成することができる。
中間後側アーム43の後部、すなわち枠状部材36のベース体側辺36bは、幅方向に延びるベース体側回転軸44を介して中間後側ベース体取付部材41の前部に回動自在に連結されている。一方、中間後側アーム43の前部、すなわち筒状軸受け部材38のボード102側端は、幅方向に延びるボード側回転軸45を介して中間後側ボード取付部材42の後部に回動自在に連結されている。
要するに中間後側連結部40は、上述したように、中間後側ボード取付部材42がベース体側回転軸44およびボード側回転軸45を介して回動可能であるとともに、中間後側アーム43を介して中間後側ベース体取付部材41に対して間接的に連結された構成としている。
続いて上述した制御装置1の作用について説明する。
図6(b)に示すように、ボード102がその長手方向の中間位置が下方に凸となる逆アーチ状(図4参照)に変形した場合には、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対して前端ボード取付部材12が、その前端が前方斜め上方を向くように回動する。さらにボード102が逆アーチ形状に大きく変形した場合には前端連結部10は、スライド軸13が後方へ退避するようにスライドする。
一方、図6(c)に示すように、ボード102がその長手方向の中間位置が上方に凸となるアーチ状に変形した場合には、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対して前端ボード取付部材12が、その前端が前方斜め下方を向くように回動する。さらにボード102がアーチ形状に大きく変形した場合には前端連結部10は、スライド軸13が前方へ突き出すようにスライドする。
このように、前端連結部10は、そのボード102の撓み具合に応じて前端ボード取付部材12が回動するとともにスライドすることで、ボード102の変形に追従しながらその変形を許容しつつ、ボード102の前側部位が過度に撓んだり、バタついたりしないように制御することができる。
また図6(b)に示すように、ボード102が逆アーチ状に変形した場合には、後端連結部20は、後端ベース体取付部材21に対して後端ボード取付部材22が、その後端が後方斜め上方を向くように回動する一方で、図6(c)に示すように、ボード102がアーチ状に変形した場合には、後端ベース体取付部材21に対して後端ボード取付部材22が、その後端が後方斜め下方を向くように回動する。
このように、後端連結部20は、ボード102が変形しても、後端ボード取付部材22の回動によってのみボード102の変形に追従することで、その他の連結部10,30,40がよりアクティブに変位することで全体として制御困難になることを回避し、制御装置1を介してボード102を制御する際の基準点として機能させることができる。これにより、ボード102と制御装置1との一体性を保ち易くなりコントロール性を高めることができる。
また、中間前側連結部30および中間後側連結部40は、図5(b)、図7(b)、図8(b)に示すように、ボード102が逆アーチ状に変形した際には、ボード102の長手方向の中間位置はベース体5に対して下方へ離間するように変形しようとするが、このようなボード102の形状に従って夫々に備えた中間前側伸縮アーム33、中間後側アーム43が積極的に下方に突き出すように傾くことでボード102がベース体5に対して離間することを許容しつつ制御装置1を介してボード102を制御することができる。
すなわち、ボーダーからの荷重を受け止めるため、高剛性で形成されたビンディング取付プレート3と、撓み変形し易いボード102との間に制御装置1が介在することでビンディング取付プレート3とボード102との相反する特性を両立することができる。
特に、本実施形態における中間前側連結部30は、バネ53の弾性力が付勢された状態で伸縮する中間前側伸縮アーム33を備えている(図7(b)参照)。これにより、中間前側連結部30は、ボード102がアーチ状又は逆アーチ状に撓んだ場合であっても、伸縮性に優れたバネ53が伸長することで、ボード102の適切な撓みを許容する一方で、所定以上ボード102が撓んだ場合にはバネ53の弾性力(復元力)を活かしてボード102が過度に撓むことを阻止するとともに、ボード102が撓んだ形状から元の形状に素早く復帰させることで滑走面に対する追従性を高めることができる。しかも、ボード102と制御装置1との一体性を確保することができ、結果的に制御装置1を介してボード102のコントロール性を保つことができる。
換言すると、ボード102が逆アーチ状に変形した際には、上述したようなボード102の長手方向の中間位置がベース体5に対して大きく下方へ離間するように変形しようとするため、このようなボード102の長手方向の中間位置において、中間前側連結部30が有する優れた伸縮性と弾力性とを活かすことができ、上述した効果を効果的に得ることができる点で有効である。
上述したように、制御装置1は、前端連結部10、後端連結部20、中間前側連結部30および中間後側連結部40によって、後端連結部20を基準として協働でボード102の撓みを制御することができる。
上述した本実施形態の制御装置1は、スノーボード101のボード上面102uに設置されるベース体5と、該ベース体5の長手方向の前後各側に、ビンディング100を取付け可能に備えたビンディング取付プレート3と、ベース体5とボード上面102uとを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボード102の撓みを制御可能とする複数の連結部10,20,30,40と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、連結部10,20,30,40は、ベース体5がボード102に対して回動可能に直接連結した直接連結部としての後端連結部20と、ベース体5が連結部材(スライド軸13、中間前側伸縮アーム33および中間後側アーム43の夫々)を介してボード102に対して連結した間接連結部としての前端連結部10、中間前側連結部30および中間後側連結部40とで構成されたものである。
上記構成によれば、スノーボード101の可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
詳述すると、上記構成によれば、ビンディング取付プレート3とボード102との間にベース体5を介在させ、ベース体5とボード上面102uとを複数の連結部10,20,30,40によって所定の可動範囲を許容して連結することでビンディング取付プレート3をボード102に直接装着した従来のタイプよりもボード102の撓みが剛性の高いビンディング取付プレート3によって減殺されることを解消することができる。
しかも、上記構成によれば、複数の連結部10,20,30,40のうち後端連結部20を、ベース体5をボード102に直接連結する直接連結部に設定するとともに、それ以外の連結部10,20,30を、連結部材13,33,43を介してベース体5をボード102に連結する間接連結部に設定したため、後端連結部20を基準としてその他の間接連結部10,20,30が可動範囲の下で可動しながらボード102の撓みを制御することができる。
よって、全ての連結部が直接連結部に設定した場合のように、複数設けた各連結部に備えた連結部材が夫々の可動範囲の下で方々に自由に可動することにより、ベース体5を介してボード102をコントロールするコントロール性が損なわれることがないため、スノーボード101の可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
この発明の態様として、連結部は、ベース体5の長手方向の前後両端と、該ベース体5の長手方向の中間に設けられ、ベース体5の後端に設けた後端連結部20を、直接連結部に設定したものである。
上記構成によれば、ボード102を効率よく制御することが可能となり、ボード102のコントロール性をより高めることができる。
具体的には、上記構成によれば、連結部10,20,30,40は、ベース体5の長手方向の前後両端と、該ベース体5の長手方向の中間に設けたため、ベース体5の長手方向において少ない連結部によりボード102を効率よく制御することが可能となる。
さらにベース体5の長手方向の後端に設けた後端連結部20を、直接連結部に設定することにより、該直接連結部を基準点としてボード102の撓みを効果的に制御することが可能となりボード102のコントロール性をより高めることができる。
またこの発明の態様として、中間前側連結部30は、アーム軸方向に伸縮する伸縮連結部材としての中間前側伸縮アーム33を備えるとともに、該中間前側伸縮アーム33の弾性力に基づいてボード102の撓みを制御する伸縮抵抗付与手段としてのバネ53を備えたものである。
上記構成によれば、中間前側連結部30は、バネ53を備えた中間前側伸縮アーム33により構成したため、滑走時に中間前側伸縮アーム33がバネ53によって衝撃を吸収することができるため、衝撃吸収効果を高めることができる。
さらに、滑走時にボード102が撓み変形しても、該ボード102は、バネ53による弾性力が付勢されることで、連続して続く次の滑走面の滑走に備えてボード102体を元の形状に復元させ易くなるため、起伏の激しい滑走面であっても撓み変形したボード102の追従性を高めることができ、結果的にボード102のコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、バネ53により付与する中間前側伸縮アーム33の弾性力の大きさを調整する伸縮抵抗調整手段としての弾性力調整ナット55aを備えたものである。
上記構成によれば、滑走条件や各ボーダー(ユーザー)の適性、レベルに応じて伸縮抵抗調整手段によって伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整することができるため、ボード102のコントロール性をより高めることができる。
またこの発明の態様として、ベース体5と連結部10,20,30,40とで構成される制御手段2を一対備え、該一対の制御手段2,2をボード上面102uの幅方向に並設したものである。
上記構成によれば、一対の制御手段2,2をボード上面102uの幅方向に並設することにより、ボード102の幅方向の両側において、ベース体5との間で連結部10,20,30,40により所定の可動範囲の下でボード102の撓みを制御することが可能となり、安定性およびコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、一対の制御手段2,2の幅方向の間に、これら一対の制御手段2,2に備えた両ベース体5,5を幅方向に接合するベース体接合部材を備え、ベース体接合部材をビンディング取付プレート3に設定したものである。
上記構成によれば、一対の制御手段2,2の幅方向の間に、ベース体接合部材としてのビンディング取付プレート3を備えることにより、一対の制御手段2,2の夫々によってユーザの体重をビンディング取付プレート3を介してバランスよく支持することができる。また、一対の制御手段2,2の連結をビンディング取付プレート3によって賄うことができるため、一対の制御手段2,2を連結するための連結部材を別途備える必要がなく部品点数を省くことができる。
この発明のビンディング取付部は、本実施例のビンディング取付プレート3に対応し、以下同様に、
複数の連結部は、前端連結部10、後端連結部20、中間前側連結部30および中間後側連結部40に対応し、
間接連結部は、前端連結部10、中間前側連結部30および中間後側連結部40に対応し、
直接連結部は、後端連結部20に対応し、
連結部材は、スライド軸13、中間前側伸縮アーム33および中間後側アーム43に対応し、
伸縮連結部材は、中間前側伸縮アーム33に対応し、
伸縮抵抗付与手段は、バネ53に対応し、
伸縮抵抗調整手段は、弾性力調整ナット55aに対応し、
ベース体の長手方向の前後両端のうち少なくとも一端は、ベース体5の後端に対応し、
後記の捩り制御手段61は、捩り制御プレート61又は捩り制御ビーム71に対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、図9、図10に示す制御装置1Aのように、一対の制御手段2,2に備えた夫々のベース体5の幅方向の間に、前後方向に延びる捩り制御手段2としての捩り制御プレート61を備えてもよい。
具体的には、捩り制御プレート61は、ベース体5と同じ炭素繊維で形成された長細いプレートであり、平面視で、前後各側のビンディング取付プレート3,3と、幅方向各側の制御手段2,2との間に構成される空間に、一方の板面が上方を向くように長手方向に沿って配置されている。
この捩り制御プレート61の前端は、該前端と対向する連結プレート4側から後方へ延設する取付片62にボルト等で接合固定され、捩り制御プレート61の後端は、該後端と対向する連結プレート4側から前方へ延設する取付片62にボルト等で接合固定されている。これにより捩り制御プレート61は、その幅方向の中心軸が一対の制御手段2,2の幅方向の中心軸と一致するように、前後各側の連結プレート4,4に架け渡されている。
上記構成によれば、制御装置1に長手方向の一端と後端とが中心軸回りにおいて異なる方向に変形させる力が作用した場合、すなわち、中心軸回りの捻じれ力が作用した場合であっても、捩り制御プレート61が、その弾性力(復元力)によって捩じれ前の形状に保つように作用することができ、制御装置1を介してボード102の捩じれの影響を緩和してボード102の安定性、コントロール性を高めることができる。
従って、滑走時において長手方向に延びる捩り制御手段2を軸としてこの軸回りの捩じりについても制御することができるため、ターンしながらスムーズに滑走することができる。
また、捩り制御手段2は、上述した捩り制御プレート61に限らず、図11に示す捩り制御ビーム71を採用してもよい。
捩り制御ビーム71は、2本のビーム71a,71aを平面視でクロスさせた形状で形成され、制御装置1Bにおいて、平面視で、前後各側のビンディング取付プレート3,3と、幅方向各側の制御手段2,2との間に構成される空間に、対角線状に配置されている。そして、捩り制御ビーム71の各端部は、連結プレート4の夫々に対向する部分に形成した取付片72にボルト等で接合固定されている。
上記構成の捩り制御ビーム71を備えた制御装置1Bにおいても、上述した制御手段61と同様の効果を得ることができる。
また他の実施形態として、図12(a1)、(b1)に示すように、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対する前端ボード取付部材12のスライド長さを調整するスライド長さ調整手段(81)を備えてもよい。
具体的には、スライド長さ調整手段は、スライド軸37の外周に着脱可能に形成したC環状等のスライド長さ調整ブロック81(以下、「ブロック81」という)で形成することができる。
そして、ブロック81を図12(a1)に示すように、スライド軸37の軸方向における前端ベース体取付部材11よりも前側に装着することで、ボード102が逆アーチ状に撓んだとき、図12(a2)に示すように、前端ボード取付部材12は後方に退避するが、ブロック81が前端ベース体取付部材11に当接することでそれ以上後方に退避しないように規制することができる。
これにより、ブロック81を図12(a1)に示すように、スライド軸37の軸方向における前端ベース体取付部材11よりも前側に装着することで、ボード102が逆アーチ状に撓んだときの前端連結部10のボード102の変形に対する追従性を低下させることができ、結果的にボード102の前側部分の撓みを抑制することができる。
一方、ブロック81を図12(b1)に示すように、スライド軸37の軸方向における前端ベース体取付部材11よりも後側に装着することで、ボード102がアーチ状に撓んだとき、図12(b2)に示すように、前端ボード取付部材12は前方へ突出するが、ブロック81が前端ベース体取付部材11に当接することでそれ以上前方へ突出しないように規制することができる。
これにより、ブロック81を図12(b1)に示すように、スライド軸37の軸方向における前端ベース体取付部材11よりも後側に装着することで、ボード102がアーチ状に撓もうとしたときの前端連結部10のボード102の変形に対する追従性を低下させることができ、結果的にボード102の前側部分の撓みを抑制することができる。
上述したように、前端連結部10は、ブロック81のスライド軸37に対する装着位置、ブロック81のスライド軸13の軸方向の厚み、ブロック81を装着するか否かを含めて変更することで、スライド軸37のスライド量を調整することができ、結果的にボード102の前側部分の撓み具合を調整することできる。
また上述した中間前側連結部30は、中間前側伸縮アーム33を備え、この中間前側伸縮アーム33に備えたダブルナット55(55a,55b)により、バネ53の伸縮量を調整可能に構成したが(図7(a),(b)参照)、本発明の伸縮連結部材は、上記構成に限らず、例えば、図13(a),(b)に示すような他の実施形態を採用してもよい。
図13(a)は、図7(b)に相当する他の実施形態の中間前側連結部130に備えた伸縮連結部材としての中間前側伸縮アーム133の説明図であり、図13(b)は、中間前側伸縮アーム133に備えた後述する中間前側伸縮アーム本体部136の正面図である。
本実施形態の中間前側伸縮アーム133は、中間前側伸縮アーム本体部136と弾性力調節ナット135とで構成し、中間前側伸縮アーム本体部136は、図13(a),(b)に示すにように、段付のシャフト状に形成され、その軸方向のボード102側には、大径に形成したアーム大径部139を備えるとともに、ベース体5側にはアーム大径部139よりも小径に形成されたアーム小径部138を備え、これらアーム大径部139とアーム小径部138とが一体又は一体的に構成されている。
すなわちアーム大径部139とアーム小径部138とは、一部材で構成する、或いはアアーム大径部139に対してアーム小径部138を嵌合する等して事実上一体に構成したものである。
アーム小径部138には、その軸方向のベース体5側端に、上述した実施形態のスライド軸37のように頭部37b(図7(b)参照)が形成されておらず、図13(a),(b)に示すにように雄ネジ部138aが形成されており、該雄ネジ部138aに螺合する上記の弾性力調節ナット135を備えている(図13(a)参照)。
そして弾性力調節ナット135をアーム小径部138に対して回動させることにより、その回動方向、回動具合に応じて押さえ板54とガイドブッシュ51との間において介在するバネ53の長さを、該押さえ板54を介して調整することができる。すなわち、バネ53の伸縮量(弾性力)を調整することができる。
このように本実施形態の中間前側伸縮アーム133は、バネ53の弾性力の調整機能を有しつつも、アーム大径部139とアーム小径部138とを一体化することで、図7(a),(b)に示した中間前側伸縮アーム133のように、アーム長調節ナット52やダブルナット55(55a,55b)を省略した構成として部品点数を減らして、中間前側伸縮アーム133全体としてシンプルかつコンパクトな構成を実現することができる。
1,1A,1B…スノーボード用制御装置
2…制御手段
3…ビンディング取付プレート
5…ベース体
10…前端連結部
13…スライド軸
20…後端連結部
30,130…中間前側連結部
33,133…中間前側伸縮アーム
40…中間後側連結部
43…中間後側アーム
53…バネ
55a,135…弾性力調整ナット
61…捩り制御プレート
71…捩り制御ビーム
136…中間前側伸縮アーム本体部
この発明は、スノーボードのボードとビンディングとの間に介在させるベース体を備えるとともに、ボードとベース体とに連結され、ベース体に対して所定の可動範囲を許容しながらボードの撓みを制御する連結部を備えたスノーボード用制御装置に関する。
一般にスノーボードのボードは、雪面等の滑走面を滑走時の機動性や衝撃吸収性を確保するために、滑走面の形状に応じて撓み変形し易いように可撓性を有して設計されている。
一方、スノーボードのビンディングおよびその取付具は、ボーダーの操作力を受け止めて該操作力がボードに直接的に伝達し易いようにスノーボードに強固に固定されるとともに高剛性となるように設計されている。
このようにスノーボードのボードと、ビンディングおよびその取付具とは相反する特性を有するため、従来のようにビンディングを、その取付具を介してボードに装着した場合、ボードの可撓性が減殺されるという課題があった。このことはスキーにおいてスキー板とビンディングとの間においても同様の課題があった。
このような課題に対して特許文献1のスキービンディング搭載用プラットフォームに例示されるように、スキービンディングをスキー板に直接取り付けないで制御装置(プラットフォーム)を介して取り付けたものが提案されている。
特許文献1のものは、スキー(5)の上面へ装着する弾性変形可能なベースプレート(11)と、スキービンディングの前部を位置決めする前部位置決めプレート(12)と、後部を位置決めする後部位置決めプレート(13)とを備えている。前部位置決めプレート(12)は、その前後各側でベースプレート(11)に一対のレバーを介して枢動可能に接続され、該ベースプレート(11)の前方所定位置の上面に支持されている。後部位置決めプレート(13)は、その前後各側でベースプレート(11)に一対のレバーを介して枢動可能に接続され、該ベースプレート(11)の後方所定位置の上面に支持されている。
すなわち、特許文献1のものは、ベースプレート(11)とスキー(5)の上面とを連結する複数の連結部は、全てベースプレート(11)が連結部材としてのレバーを介してスキー(5)に対して連結した構成を採用している。
しかしながら特許文献1の構成においては、複数設けた各連結部材が夫々の可動範囲の下で方々に自由に可動するとユーザとボード(スキー板)との一体性が損なわれるため、特許文献1のような制御装置を介してボードをコントロールすることがかえって困難になることが懸念され、改善の余地があった。
欧州特許第2285457号明細書(EP2285457 B1)
そこでこの発明は、スノーボードの可撓性が減殺されることなく、コントロール性を高めることができるスノーボード用制御装置の提供を目的とする。
この発明は、スノーボードのボードの上面に設置されるベース体と、該ベース体の長手方向の前後各側に、ビンディングを取付け可能に備えたビンディング取付部材と、上記ベース体と上記ボードの上面とを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボードの撓みを制御可能とする複数の連結部と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、上記連結部は、上記ベース体が上記ボードに対して回動可能に直接連結した直接連結部と、上記ベース体が連結部材を介して上記ボードに対して連結した間接連結部とで構成され、複数の上記連結部のうち1つの連結部を、上記直接連結部に設定するとともに、該直接連結部以外の複数の上記連結部を、上記直接連結部を基準としてボードの撓みを制御する上記間接連結部に設定し、上記連結部は、上記ベース体の長手方向の前後両端のうち少なくとも一端と、該ベース体の長手方向の中間に設けられ、上記ベース体の少なくとも上記一端に設けた上記連結部を、上記直接連結部に設定したものである。
上記構成によれば、スノーボードの可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
また、ボードを効率よく制御することが可能となり、ボードのコントロール性をより高めることができる。
またこの発明は、スノーボードのボードの上面に設置されるベース体と、該ベース体の長手方向の前後各側に、ビンディングを取付け可能に備えたビンディング取付部材と、上記ベース体と上記ボードの上面とを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボードの撓みを制御可能とする複数の連結部と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、上記連結部は、上記ベース体が上記ボードに対して回動可能に直接連結した直接連結部と、上記ベース体が連結部材を介して上記ボードに対して連結した間接連結部とで構成され、複数の上記連結部のうち1つの連結部を、上記直接連結部に設定するとともに、該直接連結部以外の複数の上記連結部を、上記直接連結部を基準としてボードの撓みを制御する上記間接連結部に設定し、少なくとも1つの上記間接連結部は、該間接連結部の長手方向に伸縮する伸縮連結部材を備えるとともに、該伸縮連結部材の伸縮抵抗に基づいて上記ボードの撓みを制御する伸縮抵抗付与手段を備え、上記伸縮抵抗付与手段により付与する上記伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整する伸縮抵抗調整手段を備えることができる。
上記構成によれば、間接連結部は、伸縮抵抗付与手段を備えた伸縮連結部材により構成したため、滑走時に伸縮連結部材が伸縮抵抗付与手段によって衝撃を吸収することができるため、衝撃吸収効果を高めることができる。
さらに、滑走時にボードが撓み変形しても、該ボードは、伸縮抵抗付与手段による伸縮抵抗力が付勢されることで、連続して続く滑走面の滑走に備えてボード体を元の形状に復元させ易くなるため、起伏の激しい滑走面であっても撓み変形したボードの追従性を高めることができ、結果的にボードのコントロール性を高めることができる。
上記伸縮抵抗付与手段は、バネやゴム等の弾性体、ダンパ、或いはこれらの両方を備えた構成を採用することができる。
さらに、滑走面の形状、滑走条件や各ボーダー(ユーザー)の適性、レベルに応じて伸縮抵抗調整手段によって伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整することができるため、ボードのコントロール性をより高めることができる。
またこの発明は、スノーボードのボードの上面に設置されるベース体と、該ベース体の長手方向の前後各側に、ビンディングを取付け可能に備えたビンディング取付部材と、上記ベース体と上記ボードの上面とを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボードの撓みを制御可能とする複数の連結部と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、上記連結部は、上記ベース体が上記ボードに対して回動可能に直接連結した直接連結部と、上記ベース体が連結部材を介して上記ボードに対して連結した間接連結部とで構成され、複数の上記連結部のうち1つの連結部を、上記直接連結部に設定するとともに、該直接連結部以外の複数の上記連結部を、上記直接連結部を基準としてボードの撓みを制御する上記間接連結部に設定し、上記ベース体と上記連結部とで構成される制御手段を一対備え、該一対の制御手段を上記ボードの上面の幅方向に並設することができる。
上記構成によれば、一対の制御手段をボードの上面の幅方向に並設することにより、ボードの幅方向の両側において、ボードの撓みを制御することが可能となり、安定性およびコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、上記一対の制御手段に備えた夫々の上記ベース体の幅方向の間に、該ベース体の長手方向に延びる捩り制御手段を備えることができる。
上記構成によれば、滑走時において長手方向に延びる捩り制御手段を軸としてこの軸回りの捩じりについても制御することができるため、ターンしながらスムーズに滑走することができる。
またこの発明の態様として、上記一対の制御手段の幅方向の間に、これら一対の制御手段に備えた両ベース体を幅方向に接合するベース体接合部材を備え、上記ベース体接合部材を、上記ベース体の長手方向の前後両側に備えた上記ビンディング取付部材に設定することができる。
上記構成によれば、上記一対の制御手段の幅方向の間に、ベース体接合部材としてのビンディング取付部材を備えることにより、一対の制御手段の夫々によってユーザの体重を、ビンディング取付部材を介してバランスよく支持することができる。また、一対の制御手段の接合をビンディング取付部材によって賄うことができるため、一対の制御手段を接合するための接合部材を別途備える必要がなく部品点数を省くことができる。
スノーボードの可撓性が減殺されることなく、コントロール性を高めることができるスノーボード用制御装置を提供することができる。
本実施形態のスノーボード用制御装置を底面側から見た斜視図。
本実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
図2中のA−A線縦断面図。
本実施形態のスノーボード用制御装置の図3に対応する作用説明図。
スノーボード用制御装置の長手方向の中間部を拡大して示した構成及び作用説明図。
スノーボード用制御装置の長手方向の両端部を拡大して示した構成及び作用説明図。
中間前側連結部を幅方向中間位置の縦断面により示した構成及び作用説明図。
中間後側連結部を幅方向中間位置の縦断面により示した構成及び作用説明図。
他の実施形態のスノーボード用制御装置を底面側から見た斜視図。
他の実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
さらに他の実施形態のスノーボード用制御装置の平面図。
さらに他の実施形態のスノーボード用制御装置の説明図。
他の実施形態の中間前側連結部の説明図。
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本実施形態のスノーボード用制御装置の底面側から見た斜視図、図2は本実施形態のスノーボード用制御装置をボードに装着した状態を示す平面図、図3は図2中のA−A線縦断面図、図4は本実施形態のスノーボード用制御装置の図3に対応する作用説明図、図5(a)は図3における長手方向の中間部の拡大図、図5(b)は図4における長手方向の中間部の拡大図、図6(a)は図3における長手方向の両端部の拡大図、図6(b)は図4における長手方向の両端部の拡大図、図6(c)はボードが図4に示す向きと逆向きに撓んだときのスノーボード用制御装置の長手方向の両端部の拡大図、図7(a)は中間前側連結部の幅方向の中間位置の縦断面図であって、中間前側伸縮アームの作用説明図、図7(b)はベース体に対して中間前側伸縮アームが傾いた状態における、図7(a)に対応して示した作用説明図、図8(a)は中間後側連結部の幅方向の中間位置の縦断面図であって、中間後側アームの作用説明図、図8(b)はベース体に対して中間後側アームが傾いた状態における、図8(a)に対応して示した作用説明図である。
なお、図中、矢印Fは装置前方を示し、矢印Rは装置後方を示し、矢印Uは装置上方を示し、矢印Xは後記のアーム軸方向を示す。
図1〜図4に示すように、第1実施形態のスノーボード用制御装置1(以下、「制御装置1」という)は、幅方向に並設される一対の制御手段2,2と、これら一対の制御手段2,2の幅方向の間に介在し、ビンディング100(図3参照)を取付け可能に備えたビンディング取付プレート3と、連結プレート4とを備えている。
ビンディング取付プレート3は、一対の制御手段2,2の幅方向の間における長手方向(前後方向)の前後各側に配置されている。この状態でビンディング取付プレート3は、連結プレート4を介して一対の制御手段2,2に一体に連結されている。
具体的には、連結プレート4は、制御装置1の幅方向の全体に亘って延びる短冊状に形成されており、前後各側のビンディング取付プレート3の長手方向の前端と後端に相当する部位において、一対の制御手段2,2とビンディング取付プレート3とに架け渡すように裏面側から配置されている。そして連結プレート4と一対の制御手段2,2の夫々とが底面視でオーバーラップする部分をボルトおよびナットにより締結固定するとともに、連結プレート4とビンディング取付プレート3とが底面視でオーバーラップする部分をボルトおよびナットにより締結固定している。これにより一対の制御手段2,2は、ビンディング取付プレート3および連結プレート4を介して互いに一体に接合されている。
一対の制御手段2,2は、互いに同一の構成であるため、制御手段2の構成を幅方向の一方の制御手段2の構成に基づいて説明する。
制御手段2は、スノーボード101のボード102の上面102u(図2、図3参照)に設置されるベース体5と、該ベース体5とボード上面102uとを連結することで、ベース体5に対してボード102の所定の可動範囲を許容しつつ該ボード102の撓みを制御可能とする複数の連結部10,20,30,40とを備えている。
ベース体5は、平面視縦長の矩形状に形成された板状のベースプレート5aと、ベースプレート5aの幅方向の両端には側壁プレート5b(図1参照)を備え、いずれも軽量かつ高剛性の炭素繊維を用いた成形により一体に形成されている。この側壁プレート5bは、ベースプレート5aの幅方向の両端において、ベースプレート5aの下面に対して下方へ立設するように接合されている。これにより側壁プレート5bは、ベース体5の幅方向の両側において長手方向の略全長に亘って延びる縦壁状に形成されている。なお、ベース体5の幅方向内側の側壁プレート5bには、幅方向に配置した連結プレート4が横切るように該連結プレート4を挿通する挿通孔5ba(図1参照)が形成されている。
さらに図1、図3に示すように、ベース体5の下部には、ベースプレート5aの下面と幅方向の両側の側壁プレート5bの幅方向内面とで、連結部10,20,30,40の少なくとも一部を収容可能に下方へ向けて開口した底浅の収容空間5Aが形成されている。
連結部10,20,30,40は、ベース体5の長手方向(前後方向)の前端に備えた前端連結部10と、後端に備えた後端連結部20と、中間位置の前側に備えた中間前側連結部30と、中間位置の後側に備えた中間後側連結部40とを備えている。
図6(a)に示すように、前端連結部10は、ベース体5の前端においてボルト等で締結固定された前端ベース体取付部材11と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される前端ボード取付部材12と、スライド軸13と、回転軸14を備えている。
前端ベース体取付部材11には、その幅方向の両側において長手方向に貫通形成された貫通孔11aにガイドブッシュ15が嵌合され、スライド軸13は、前端ベース体取付部材11に、該ガイドブッシュ15を介して長手方向にスライド自在に支持されている。
スライド軸13の後端は、前端ベース体取付部材11の後面に当接する抜け止め用の鍔状のストッパ16を備えている。スライド軸13の前端は、幅方向に延びる回転軸14を介して前端ボード取付部材12の後部に回動自在に連結されている。
前端ボード取付部材12は、前端ベース体取付部材11に対してスライド軸13を介して長手方向にスライド(伸縮)可能であるとともに幅方向に延びる回転軸14を介して回転軸14回りに回転可能に形成されている。
要するに前端連結部10は、上述したように、前端ボード取付部材12が前端ベース体取付部材11に対して回転軸14を介して回転可能に、直接的に連結されているのではなく、スライド軸13を介して間接的に連結された構成としている。
図6(a)に示すように、後端連結部20は、ベース体5の後端においてボルト等で締結固定された後端ベース体取付部材21と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される後端ボード取付部材22と、回転軸23とを備えている。
後端ベース体取付部材21の後部は、幅方向に延びる回転軸23を介して後端ボード取付部材22の前部に回動自在に連結されている。
要するに後端連結部20は、上述したように、後端ボード取付部材22が回転軸23を介して回動可能に後端ベース体取付部材21に対して直接連結された構成としている。
図5(a)、(b)、図7(a)、(b)に示すように、中間前側連結部30は、ベース体5の中間前側位置においてボルト等で締結固定された中間前側ベース体取付部材31と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される中間前側ボード取付部材32と、中間前側ベース体取付部材31と中間前側ボード取付部材32との間に伸縮可能に介在する中間前側伸縮アーム33と、ベース体側回転軸34と、ボード側回転軸35と、を備えている。なお、図5(a)、(b)、図7(a)、(b)中の符号60は、中間前側ボード取付部材32をボード102にボルト締結する際に工具を差し込むための作業用孔である。
中間前側伸縮アーム33は、底面視略矩形の枠状に形成された枠状部材36(図1参照)と、スライド軸37と、筒状軸受け部材38と、ガイドブッシュ51とを備えている。
詳述すると、スライド軸37は、枠状部材36のボード側辺36aにアーム軸方向に貫通形成された貫通孔に嵌合されたガイドブッシュ51にベース体5側からボード102側に挿通されたボルトで形成されている。すなわちスライド軸37は、図7(a)(b)に示すように、ベース体5側の端部に頭部37bが設けられるとともに、枠状部材36のボード側辺36aからのボード102側への突出部分の先端部には雄ネジ部37aが形成されている。ただし、スライド軸37の頭部37bから雄ネジ部37aとの間は、外周面に雄ネジ部37aが形成されていない寸胴な円柱状(丸棒状)に形成されている。
スライド軸37は、雄ネジ部37aが形成されていない丸棒部分(ネジ非形成部)がガイドブッシュ51に挿通されているため、該ガイドブッシュ51に対してアーム軸方向にスライド可能に保持されている。
中間前側伸縮アーム33のボード102側には、筒状軸受け部材38を備えている。この筒状軸受け部材38は、ボード102側端部が閉塞され、ベース体5側端部が開口した、スライド軸37を挿通可能な筒状に形成されており、その内周面には、スライド軸37の雄ネジ部37aと螺合する雌ネジ部38aが形成されている。
そしてスライド軸37の先端側部分は、筒状軸受け部材38に雄ネジ部37aと雌ネジ部38aとが螺合した状態で挿通されている。
さらに図5(a)、(b)、図7(a)、(b)に示すように、中間前側伸縮アーム33には、中間前側伸縮アーム33の伸縮長さ(スライド軸37のスライド長さ)を調整する手段としてのアーム長調節ナット52を備えている。このアーム長調節ナット52は、筒状軸受け部材38とガイドブッシュ51との間においてスライド軸37の雄ネジ部37aに螺合させた状態で介在している。
そしてアーム長調節ナット52を筒状軸受け部材38に対して回動させることにより、筒状軸受け部材38に対してスライド軸37をスライドさせることができ、中間前側伸縮アーム33の長さ調整をすることができる。
さらに同図に示すように、中間前側伸縮アーム33は、ガイドブッシュ51とスライド軸37の頭部37bとの間に、スライド軸37を囲繞するコイル状のバネ53と、バネ53をそのベース体5側端からボード102側へ押さえ付けて保持する押さえ板54と、バネ53の伸縮量を調整するダブルナット55(55a,55b)を備えている。
この押さえ板54は、スライド軸37の頭部37bとバネ53との間に介在する円環状の板(ワッシャ)により形成され、枠状部材36のボード側辺36aの側へバネ53を自然長から圧縮状態となるように押さえ付ける位置でスライド軸37に一体に取り付けられている。
これにより、スライド軸37は通常時においては、アーム軸方向のベース体5側に付勢された状態とされている。
バネ53は、中間前側伸縮アーム33の伸縮抵抗を付与する伸縮抵抗付与手段であり、スライド軸37と同軸になるように配置されている。そしてバネ53は、スライド軸37がガイドブッシュ51に対してボード102側へスライドしようとしたときに例えば、さらに圧縮変形することに伴って伸縮抵抗としての弾性力(復元力)をスライド軸37に付与することができる。
ダブルナット55は、アーム長調節ナット52とガイドブッシュ51との間においてスライド軸37の雄ネジ部37aに螺合させた状態で介在する2つのナットであり、スライド軸37回りの回動に伴ってバネ53長を変化させることにより、バネ53の弾性力の大きさを調整する弾性力調整ナット55aと、弾性力調整ナット55aが回動しないように固定する固定ナット55bと、で構成されている。弾性力調整ナット55aはベース体5側に備え、固定ナット55bはボード102側に備えている。
上述した中間前側ボード取付部材32、筒状軸受け部材38、アーム長調節ナット52、ダブルナット55および押さえ板54は、スライド軸37が枠状部材36のボード側辺36aに備えたガイドブッシュ51に対してアーム軸方向へスライド時に該スライド軸37とともに一体にスライドする。
また上述したように、バネ53の付勢力(復元力)に抗して中間前側伸縮アーム33がボード102側へ伸長した際には、バネ53がより圧縮されることで中間前側伸縮アーム33には、バネ53のより大きな付勢力(復元力)が作用することになる。
なお、スライド軸37は通常時においては、上述したように、アーム軸方向のベース体5側に付勢された状態とされているため、弾性力調整ナット55aのベース体5側の端面とガイドブッシュ51のボード102側端面とが密着した状態となるが(図7(a)参照)、バネ53の付勢力(復元力)に抗して中間前側伸縮アーム33がボード102側へ伸長した際には、スライド軸37のボード102側へのスライドに伴って、弾性力調整ナット55aのベース体5側の端面とガイドブッシュ51のボード102側端面とが離間した状態となる(図5(b)、図7(b)参照)。
中間前側伸縮アーム33の前部、すなわち枠状部材36のベース体側辺36bは、幅方向に延びるベース体側回転軸34を介して中間前側ベース体取付部材31の後部に回動自在に連結されている。一方、中間前側伸縮アーム33の後部、すなわち筒状軸受け部材38のボード102側端は、幅方向に延びるボード側回転軸35を介して中間前側ボード取付部材32の前部に回動自在に連結されている。
要するに中間前側連結部30は、上述したように、中間前側ボード取付部材32が、ベース体側回転軸34およびボード側回転軸35を介して回動可能であるとともに、中間前側伸縮アーム33を介して中間前側ベース体取付部材31に対して間接的に連結された構成としている。
図5(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すように、中間後側連結部40は、ベース体5の中間後側位置においてボルト等で締結固定された中間後側ベース体取付部材41と、非撓み変形状態のボード上面102uとの対向部位にボルト等で締結固定される中間後側ボード取付部材42と、中間後側ベース体取付部材41と中間後側ボード取付部材42との間に介在する中間後側アーム43と、ベース体側回転軸44と、ボード側回転軸45と、を備えている。
中間後側アーム43は、中間前側伸縮アーム33と同様に、底面視略矩形の枠状に形成された枠状部材36と、スライド軸137と、筒状軸受け部材38と、ガイドブッシュ51と、アーム長調節ナット52と、ダブルナット55とを備えているが、本実施形態においては中間後側アーム43に備えたスライド軸137は、中間前側伸縮アーム33に備えたスライド軸37とは異なり、アーム軸方向へガイドブッシュ51に対してスライド可能な長さを有しない短尺なボルトを採用している。このため、本実施形態の中間後側アーム43は、アーム軸方向へ伸縮しない構成としている。
なお、中間後側アーム43のスライド軸137は、中間前側伸縮アーム33のスライド軸37に対して長さが短尺であるだけで基本的な構成は同じであり、また中間後側アーム43に備えた筒状軸受け部材38、ガイドブッシュ51と、アーム長調節ナット52およびダブルナット55は、中間前側伸縮アーム33のそれと同様の構成であるためその説明は省略する。
さらに本実施形態においては、中間後側アーム43は、ガイドブッシュ51と、スライド軸137の頭部137bとの間にバネ53を介在させておらず、該中間後側アーム43自体に伸縮時の抵抗を付与する手段を備えていない構成としている。
ただし、中間後側アーム43についても中間前側伸縮アーム33と同様に、スライド軸137がアーム軸方向へスライド可能に構成したり、バネ53を備えて該バネ53の弾性力により、中間後側アーム43自体に伸縮抵抗を付与可能な構成を採用してもよい。この場合には、伸縮させたり、その伸縮時の抵抗を付与できない現状の中間後側アーム43を、別途備えた、中間前側伸縮アーム33と同様に構成したパーツと必要に応じて交換するだけで、中間後側アーム43についても容易に中間後側伸縮アーム(図示省略)として構成することができる。
中間後側アーム43の後部、すなわち枠状部材36のベース体側辺36bは、幅方向に延びるベース体側回転軸44を介して中間後側ベース体取付部材41の前部に回動自在に連結されている。一方、中間後側アーム43の前部、すなわち筒状軸受け部材38のボード102側端は、幅方向に延びるボード側回転軸45を介して中間後側ボード取付部材42の後部に回動自在に連結されている。
要するに中間後側連結部40は、上述したように、中間後側ボード取付部材42がベース体側回転軸44およびボード側回転軸45を介して回動可能であるとともに、中間後側アーム43を介して中間後側ベース体取付部材41に対して間接的に連結された構成としている。
続いて上述した制御装置1の作用について説明する。
図6(b)に示すように、ボード102がその長手方向の中間位置が下方に凸となる逆アーチ状(図4参照)に変形した場合には、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対して前端ボード取付部材12が、その前端が前方斜め上方を向くように回動する。さらにボード102が逆アーチ形状に大きく変形した場合には前端連結部10は、スライド軸13が後方へ退避するようにスライドする。
一方、図6(c)に示すように、ボード102がその長手方向の中間位置が上方に凸となるアーチ状に変形した場合には、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対して前端ボード取付部材12が、その前端が前方斜め下方を向くように回動する。さらにボード102がアーチ形状に大きく変形した場合には前端連結部10は、スライド軸13が前方へ突き出すようにスライドする。
このように、前端連結部10は、そのボード102の撓み具合に応じて前端ボード取付部材12が回動するとともにスライドすることで、ボード102の変形に追従しながらその変形を許容しつつ、ボード102の前側部位が過度に撓んだり、バタついたりしないように制御することができる。
また図6(b)に示すように、ボード102が逆アーチ状に変形した場合には、後端連結部20は、後端ベース体取付部材21に対して後端ボード取付部材22が、その後端が後方斜め上方を向くように回動する一方で、図6(c)に示すように、ボード102がアーチ状に変形した場合には、後端ベース体取付部材21に対して後端ボード取付部材22が、その後端が後方斜め下方を向くように回動する。
このように、後端連結部20は、ボード102が変形しても、後端ボード取付部材22の回動によってのみボード102の変形に追従することで、その他の連結部10,30,40がよりアクティブに変位することで全体として制御困難になることを回避し、制御装置1を介してボード102を制御する際の基準点として機能させることができる。これにより、ボード102と制御装置1との一体性を保ち易くなりコントロール性を高めることができる。
また、中間前側連結部30および中間後側連結部40は、図5(b)、図7(b)、図8(b)に示すように、ボード102が逆アーチ状に変形した際には、ボード102の長手方向の中間位置はベース体5に対して下方へ離間するように変形しようとするが、このようなボード102の形状に従って夫々に備えた中間前側伸縮アーム33、中間後側アーム43が積極的に下方に突き出すように傾くことでボード102がベース体5に対して離間することを許容しつつ制御装置1を介してボード102を制御することができる。
すなわち、ボーダーからの荷重を受け止めるため、高剛性で形成されたビンディング取付プレート3と、撓み変形し易いボード102との間に制御装置1が介在することでビンディング取付プレート3とボード102との相反する特性を両立することができる。
特に、本実施形態における中間前側連結部30は、バネ53の弾性力が付勢された状態で伸縮する中間前側伸縮アーム33を備えている(図7(b)参照)。これにより、中間前側連結部30は、ボード102がアーチ状又は逆アーチ状に撓んだ場合であっても、伸縮性に優れたバネ53が伸長することで、ボード102の適切な撓みを許容する一方で、所定以上ボード102が撓んだ場合にはバネ53の弾性力(復元力)を活かしてボード102が過度に撓むことを阻止するとともに、ボード102が撓んだ形状から元の形状に素早く復帰させることで滑走面に対する追従性を高めることができる。しかも、ボード102と制御装置1との一体性を確保することができ、結果的に制御装置1を介してボード102のコントロール性を保つことができる。
換言すると、ボード102が逆アーチ状に変形した際には、上述したようなボード102の長手方向の中間位置がベース体5に対して大きく下方へ離間するように変形しようとするため、このようなボード102の長手方向の中間位置において、中間前側連結部30が有する優れた伸縮性と弾力性とを活かすことができ、上述した効果を効果的に得ることができる点で有効である。
上述したように、制御装置1は、前端連結部10、後端連結部20、中間前側連結部30および中間後側連結部40によって、後端連結部20を基準として協働でボード102の撓みを制御することができる。
上述した本実施形態の制御装置1は、スノーボード101のボード上面102uに設置されるベース体5と、該ベース体5の長手方向の前後各側に、ビンディング100を取付け可能に備えたビンディング取付プレート3と、ベース体5とボード上面102uとを所定の可動範囲を許容して連結することで該ボード102の撓みを制御可能とする複数の連結部10,20,30,40と、で構成されるスノーボード用制御装置であって、連結部10,20,30,40は、ベース体5がボード102に対して回動可能に直接連結した直接連結部としての後端連結部20と、ベース体5が連結部材(スライド軸13、中間前側伸縮アーム33および中間後側アーム43の夫々)を介してボード102に対して連結した間接連結部としての前端連結部10、中間前側連結部30および中間後側連結部40とで構成されたものである。
上記構成によれば、スノーボード101の可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
詳述すると、上記構成によれば、ビンディング取付プレート3とボード102との間にベース体5を介在させ、ベース体5とボード上面102uとを複数の連結部10,20,30,40によって所定の可動範囲を許容して連結することでビンディング取付プレート3をボード102に直接装着した従来のタイプよりもボード102の撓みが剛性の高いビンディング取付プレート3によって減殺されることを解消することができる。
しかも、上記構成によれば、複数の連結部10,20,30,40のうち後端連結部20を、ベース体5をボード102に直接連結する直接連結部に設定するとともに、それ以外の連結部10,30,40を、連結部材13,33,43を介してベース体5をボード102に連結する間接連結部に設定したため、後端連結部20を基準としてその他の間接連結部10,30,40が可動範囲の下で可動しながらボード102の撓みを制御することができる。
よって、全ての連結部が直接連結部に設定した場合のように、複数設けた各連結部に備えた連結部材が夫々の可動範囲の下で方々に自由に可動することにより、ベース体5を介してボード102をコントロールするコントロール性が損なわれることがないため、スノーボード101の可撓性が減殺されることなくコントロール性を高めることができる。
この発明の態様として、連結部は、ベース体5の長手方向の前後両端と、該ベース体5の長手方向の中間に設けられ、ベース体5の後端に設けた後端連結部20を、直接連結部に設定したものである。
上記構成によれば、ボード102を効率よく制御することが可能となり、ボード102のコントロール性をより高めることができる。
具体的には、上記構成によれば、連結部10,20,30,40は、ベース体5の長手方向の前後両端と、該ベース体5の長手方向の中間に設けたため、ベース体5の長手方向において少ない連結部によりボード102を効率よく制御することが可能となる。
さらにベース体5の長手方向の後端に設けた後端連結部20を、直接連結部に設定することにより、該直接連結部を基準点としてボード102の撓みを効果的に制御することが可能となりボード102のコントロール性をより高めることができる。
またこの発明の態様として、中間前側連結部30は、アーム軸方向に伸縮する伸縮連結部材としての中間前側伸縮アーム33を備えるとともに、該中間前側伸縮アーム33の弾性力に基づいてボード102の撓みを制御する伸縮抵抗付与手段としてのバネ53を備えたものである。
上記構成によれば、中間前側連結部30は、バネ53を備えた中間前側伸縮アーム33により構成したため、滑走時に中間前側伸縮アーム33がバネ53によって衝撃を吸収することができるため、衝撃吸収効果を高めることができる。
さらに、滑走時にボード102が撓み変形しても、該ボード102は、バネ53による弾性力が付勢されることで、連続して続く次の滑走面の滑走に備えてボード102体を元の形状に復元させ易くなるため、起伏の激しい滑走面であっても撓み変形したボード102の追従性を高めることができ、結果的にボード102のコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、バネ53により付与する中間前側伸縮アーム33の弾性力の大きさを調整する伸縮抵抗調整手段としての弾性力調整ナット55aを備えたものである。
上記構成によれば、滑走条件や各ボーダー(ユーザー)の適性、レベルに応じて伸縮抵抗調整手段によって伸縮連結部材の伸縮抵抗の大きさを調整することができるため、ボード102のコントロール性をより高めることができる。
またこの発明の態様として、ベース体5と連結部10,20,30,40とで構成される制御手段2を一対備え、該一対の制御手段2,2をボード上面102uの幅方向に並設したものである。
上記構成によれば、一対の制御手段2,2をボード上面102uの幅方向に並設することにより、ボード102の幅方向の両側において、ベース体5との間で連結部10,20,30,40により所定の可動範囲の下でボード102の撓みを制御することが可能となり、安定性およびコントロール性を高めることができる。
またこの発明の態様として、一対の制御手段2,2の幅方向の間に、これら一対の制御手段2,2に備えた両ベース体5,5を幅方向に接合するベース体接合部材を備え、ベース体接合部材をビンディング取付プレート3に設定したものである。
上記構成によれば、一対の制御手段2,2の幅方向の間に、ベース体接合部材としてのビンディング取付プレート3を備えることにより、一対の制御手段2,2の夫々によってユーザの体重をビンディング取付プレート3を介してバランスよく支持することができる。また、一対の制御手段2,2の連結をビンディング取付プレート3によって賄うことができるため、一対の制御手段2,2を連結するための連結部材を別途備える必要がなく部品点数を省くことができる。
この発明のビンディング取付部材は、本実施例のビンディング取付プレート3に対応し、以下同様に、
複数の連結部は、前端連結部10、後端連結部20、中間前側連結部30および中間後側連結部40に対応し、
間接連結部は、前端連結部10、中間前側連結部30および中間後側連結部40に対応し、
直接連結部は、後端連結部20に対応し、
連結部材は、スライド軸13、中間前側伸縮アーム33および中間後側アーム43に対応し、
伸縮連結部材は、中間前側伸縮アーム33に対応し、
伸縮抵抗付与手段は、バネ53に対応し、
伸縮抵抗調整手段は、弾性力調整ナット55aに対応し、
ベース体の長手方向の前後両端のうち少なくとも一端は、ベース体5の後端に対応し、
後記の捩り制御手段61は、捩り制御プレート61又は捩り制御ビーム71に対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、図9、図10に示す制御装置1Aのように、一対の制御手段2,2に備えた夫々のベース体5の幅方向の間に、前後方向に延びる捩り制御手段61としての捩り制御プレート61を備えてもよい。
具体的には、捩り制御プレート61は、ベース体5と同じ炭素繊維で形成された長細いプレートであり、平面視で、前後各側のビンディング取付プレート3,3と、幅方向各側の制御手段2,2との間に構成される空間に、一方の板面が上方を向くように長手方向に沿って配置されている。
この捩り制御プレート61の前端は、該前端と対向する連結プレート4側から後方へ延設する取付片62にボルト等で接合固定され、捩り制御プレート61の後端は、該後端と対向する連結プレート4側から前方へ延設する取付片62にボルト等で接合固定されている。これにより捩り制御プレート61は、その幅方向の中心軸が一対の制御手段2,2の幅方向の中心軸と一致するように、前後各側の連結プレート4,4に架け渡されている。
上記構成によれば、制御装置1に長手方向の一端と後端とが中心軸回りにおいて異なる方向に変形させる力が作用した場合、すなわち、中心軸回りの捻じれ力が作用した場合であっても、捩り制御プレート61が、その弾性力(復元力)によって捩じれ前の形状に保つように作用することができ、制御装置1を介してボード102の捩じれの影響を緩和してボード102の安定性、コントロール性を高めることができる。
従って、滑走時において長手方向に延びる捩り制御手段61を軸としてこの軸回りの捩じりについても制御することができるため、ターンしながらスムーズに滑走することができる。
また、捩り制御手段61は、上述した捩り制御プレート61に限らず、図11に示す捩り制御ビーム71を採用してもよい。
捩り制御ビーム71は、2本のビーム71a,71aを平面視でクロスさせた形状で形成され、制御装置1Bにおいて、平面視で、前後各側のビンディング取付プレート3,3と、幅方向各側の制御手段2,2との間に構成される空間に、対角線状に配置されている。そして、捩り制御ビーム71の各端部は、連結プレート4の夫々に対向する部分に形成した取付片72にボルト等で接合固定されている。
上記構成の捩り制御ビーム71を備えた制御装置1Bにおいても、上述した制御手段61と同様の効果を得ることができる。
また他の実施形態として、図12(a1)、(b1)に示すように、前端連結部10は、前端ベース体取付部材11に対する前端ボード取付部材12のスライド長さを調整するスライド長さ調整手段(81)を備えてもよい。
具体的には、スライド長さ調整手段は、スライド軸37の外周に着脱可能に形成したC環状等のスライド長さ調整ブロック81(以下、「ブロック81」という)で形成することができる。
そして、ブロック81を図12(a1)に示すように、スライド軸37の軸方向における前端ベース体取付部材11よりも前側に装着することで、ボード102が逆アーチ状に撓んだとき、図12(a2)に示すように、前端ボード取付部材12は後方に退避するが、ブロック81が前端ベース体取付部材11に当接することでそれ以上後方に退避しないように規制することができる。
これにより、ブロック81を図12(a1)に示すように、スライド軸37の軸方向における前端ベース体取付部材11よりも前側に装着することで、ボード102が逆アーチ状に撓んだときの前端連結部10のボード102の変形に対する追従性を低下させることができ、結果的にボード102の前側部分の撓みを抑制することができる。
一方、ブロック81を図12(b1)に示すように、スライド軸37の軸方向における前端ベース体取付部材11よりも後側に装着することで、ボード102がアーチ状に撓んだとき、図12(c1)に示すように、前端ボード取付部材12は前方へ突出するが、ブロック81が前端ベース体取付部材11に当接することでそれ以上前方へ突出しないように規制することができる。
これにより、ブロック81を図12(b1)に示すように、スライド軸37の軸方向における前端ベース体取付部材11よりも後側に装着することで、ボード102がアーチ状に撓もうとしたときの前端連結部10のボード102の変形に対する追従性を低下させることができ、結果的にボード102の前側部分の撓みを抑制することができる。
上述したように、前端連結部10は、ブロック81のスライド軸37に対する装着位置、ブロック81のスライド軸13の軸方向の厚み、ブロック81を装着するか否かを含めて変更することで、スライド軸37のスライド量を調整することができ、結果的にボード102の前側部分の撓み具合を調整することできる。
また上述した中間前側連結部30は、中間前側伸縮アーム33を備え、この中間前側伸縮アーム33に備えたダブルナット55(55a,55b)により、バネ53の伸縮量を調整可能に構成したが(図7(a),(b)参照)、本発明の伸縮連結部材は、上記構成に限らず、例えば、図13(a),(b)に示すような他の実施形態を採用してもよい。
図13(a)は、図7(b)に相当する他の実施形態の中間前側連結部130に備えた伸縮連結部材としての中間前側伸縮アーム133の説明図であり、図13(b)は、中間前側伸縮アーム133に備えた後述する中間前側伸縮アーム本体部136の正面図である。
本実施形態の中間前側伸縮アーム133は、中間前側伸縮アーム本体部136と弾性力調節ナット135とで構成し、中間前側伸縮アーム本体部136は、図13(a),(b)に示すにように、段付のシャフト状に形成され、その軸方向のボード102側には、大径に形成したアーム大径部139を備えるとともに、ベース体5側にはアーム大径部139よりも小径に形成されたアーム小径部138を備え、これらアーム大径部139とアーム小径部138とが一体又は一体的に構成されている。
すなわちアーム大径部139とアーム小径部138とは、一部材で構成する、或いはアアーム大径部139に対してアーム小径部138を嵌合する等して事実上一体に構成したものである。
アーム小径部138には、その軸方向のベース体5側端に、上述した実施形態のスライド軸37のように頭部37b(図7(b)参照)が形成されておらず、図13(a),(b)に示すにように雄ネジ部138aが形成されており、該雄ネジ部138aに螺合する上記の弾性力調節ナット135を備えている(図13(a)参照)。
そして弾性力調節ナット135をアーム小径部138に対して回動させることにより、その回動方向、回動具合に応じて押さえ板54とガイドブッシュ51との間において介在するバネ53の長さを、該押さえ板54を介して調整することができる。すなわち、バネ53の伸縮量(弾性力)を調整することができる。
このように本実施形態の中間前側伸縮アーム133は、バネ53の弾性力の調整機能を有しつつも、アーム大径部139とアーム小径部138とを一体化することで、図7(a),(b)に示した中間前側伸縮アーム33のように、アーム長調節ナット52やダブルナット55(55a,55b)を省略した構成として部品点数を減らして、中間前側伸縮アーム133全体としてシンプルかつコンパクトな構成を実現することができる。
1,1A,1B…スノーボード用制御装置
2…制御手段
3…ビンディング取付プレート
5…ベース体
10…前端連結部
13…スライド軸
20…後端連結部
30,130…中間前側連結部
33,133…中間前側伸縮アーム
40…中間後側連結部
43…中間後側アーム
53…バネ
55a,135…弾性力調整ナット
61…捩り制御プレート
71…捩り制御ビーム
136…中間前側伸縮アーム本体部