JPWO2018105237A1 - トリオキソプロパン化合物の製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
更に本発明の目的は、工業的に有用なケトマロン酸ジエステル等のトリオキソプロパン化合物を、工業的な規模で製造可能且つ上記の問題点などを解決した、工業的に好ましい方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、工業的に有用なケトマロン酸ジエステル等のトリオキソプロパン化合物を、大量の酸性廃液を排出せずに製造する方法を提供することにある。
又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC2〜C5アルキレン基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C4アルキレン)−基、及び、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C3アルキレン)−O−基、からなる群より選ばれる2価の基を形成することにより5〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基を示し、
R4はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基を示す。)
で表されるトリオキソプロパン化合物の製造方法であって、次の一般式(2):
で表されるジオキソプロパン化合物を、ルイス酸触媒の存在下、亜塩素酸化合物と反応させることを特徴とするトリオキソプロパン化合物の製造方法。
で表されるトリオキソプロパン化合物の抱水体として得ることを包含する、〔1〕に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC3〜C6シクロアルキル基、1又は2個以上の同一又は異なるR4により置換されていてもよいアリール基、1又は2個以上の同一又は異なるR4により置換されていてもよいヘテロアリール基、ヒドロキシル基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC3〜C6シクロアルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC2〜C5アルキレン基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C4アルキレン)−基、及び、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C3アルキレン)−O−基、からなる群より選ばれる2価の基を形成することにより5〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示し、
R4はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示す、〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、1又は2個以上の同一又は異なるR4により置換されていてもよいフェニル基、ヒドロキシル基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC2〜C5アルキレン基、及び、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C3アルキレン)−O−基、からなる群より選ばれる2価の基を形成することにより5〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示し、
R4はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示す、〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、ヒドロキシル基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基を示し、又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C3アルキレン)−O−基を形成することにより6〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示す、〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、1又は2個以上の同一又は異なるR4により置換されていてもよいフェニル基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC2〜C5アルキレン基を形成することにより5〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示し、
R4はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示す、〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、C1〜C6アルキル基、フェニル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、−CH2CH2CH2−基、−O−CH2−O−基、又は−O−C(CH3)2−O−基を形成することにより6員環を形成してもよい、〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、C1〜C6アルキル基、フェニル基、C1〜C6アルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、−CH2CH2CH2−基を形成することにより6員環を形成してもよい、〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、−O−CH2−O−基、又は−O−C(CH3)2−O−基を形成することにより6員環を形成してもよい、〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
R1がC1〜C6アルキル基、フェニル基を示し、
R2がC1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、−CH2CH2CH2−基を形成することにより6員環を形成してもよい、〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
MZn (4)
(式中、Mは金属イオンを示し、Zはアニオンを示し、nは1〜4の整数)
で表されるルイス酸である、〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
Mが遷移金属、アルミニウム、ガリウム、タリウム、亜鉛及びビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン(CF3SO3 −)、パーフルオロオクタンスルホナートイオン(C8F17SO3 −)又はアセチルアセトナートイオン(acac)である、〔15〕に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
Mが、アルミニウム、ガリウム、タリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、ハフニウム、セリウム及びビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン、パーフルオロオクタンスルホナートイオン、アセチルアセトナートイオンである、〔15〕又は〔16〕に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
Mが、スカンジウム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ロジウム、ニッケル、ハフニウム、セリウム及びビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン、パーフルオロオクタンスルホナートイオン、アセチルアセトナートイオンである、〔15〕から〔17〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
Mが、スカンジウム、バナジウム、鉄、コバルト、ロジウム及びハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン、パーフルオロオクタンスルホナートイオンである、〔15〕から〔18〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
Mが、バナジウム、鉄、コバルト、ロジウム及びハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン、パーフルオロオクタンスルホナートイオンである、〔15〕から〔19〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
Mが、スカンジウム、ハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、トリフルオロメタンスルホナートイオン、パーフルオロオクタンスルホナートイオンである、〔15〕から〔20〕のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
C1〜C6アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、イソペンチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明において使用される原料は、
一般式(2):
又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC2〜C5アルキレン基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C4アルキレン)−基、及び、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C3アルキレン)−O−基、からなる群より選ばれる2価の基を形成することにより5〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基を示し、
R4はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基を示す。)
で表されるジオキソプロパン化合物である。
本発明により製造される生成物は、
一般式(1):
で表されるトリオキソプロパン化合物である。
より好ましくは、ケトマロン酸ジメチル、ケトマロン酸ジエチル、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸メチル、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,5,6−トリオン、1,2,3−シクロヘキサントリオン等が挙げられ、更に好ましくは、ケトマロン酸ジエチル、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,5,6−トリオン、1,2,3−シクロヘキサントリオン等が挙げられる。
次に、本発明の方法により製造される一般式(3)で表されるトリオキソプロパン化合物の抱水体について説明する。
で表されるトリオキソプロパン化合物の抱水体を形成する。この抱水体は、必要に応じて、例えば加熱処理等の脱水処理を行うことにより、ケト型の一般式(1)で表されるトリオキソプロパン化合物とすることができる。このような可逆反応は、抱水クロラールのような抱水体の一般的な性質と同様である。
続いて、本発明の方法に用いる亜塩素酸化合物について説明する。本発明の方法には、亜塩素酸又は亜塩素酸塩から選択される1種又は2種以上の亜塩素酸化合物が用いられる。
カチオンとしては、金属カチオン又はオニウムカチオンを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
金属カチオンとしては、アルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はセシウムイオン等);アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、又はバリウムイオン等);土類金属イオン(例えば、アルミニウムイオン等);亜鉛族イオン(例えば亜鉛イオン等);遷移金属イオン(例えば、銅イオン、銀イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、又は鉄イオン等)等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
オニウムカチオンとしては、アンモニウムイオン(NH4 +);直鎖若しくは分岐C1〜C8アルキル基又はフェニル基を有する4級アンモニウムイオン(例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラオクチルアンモニウムイオン、トリメチルブチルアンモニウムイオン、トリメチルオクチルアンモニウムイオン、トリブチルメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン等);直鎖若しくは分岐C1〜C8アルキル基又はフェニル基を有する4級ホスホニウムイオン(例えば、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン等)等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
更には、亜塩素酸塩としては、亜塩素酸とアミン類の塩(アミン塩)も例示することができる。
塩を形成するアミン類としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ヒドラジン、メチルヒドラジン、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、キノリン、アニリン、又はN,N−ジエチルアニリン等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
これらの亜塩素酸塩は無水物であっても水和物であってもよい。
これらの亜塩素酸塩は単塩であっても複塩であってもよい。
これらの亜塩素酸化合物は公知化合物である。
これらの亜塩素酸化合物は、単独で、又は2種以上を任意の割合で混用してもよい。
これらの亜塩素酸化合物は、亜塩素酸化合物のみの液体若しくは固体、又は水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等、如何なる形態でも使用することができる。水以外の溶媒としては後述する本発明の方法に用いることができる溶媒を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
入手性や取り扱いの簡便さ、及び反応性等の観点からは、亜塩素酸化合物は水溶液として供給してもよい。水溶液とした場合の亜塩素酸化合物の濃度は特に制限はないが、5質量%〜80質量%、5質量%〜60質量%、5質量%〜50質量%、5質量%〜40質量%、5質量%〜30質量%、5質量%〜25質量%、好ましくは、10質量%〜80質量%、10質量%〜60質量%、10質量%〜50質量%、10質量%〜40質量%、10質量%〜30質量%、10質量%〜25質量%、10質量%〜20質量%の範囲を例示できる。
続いて、本発明の方法に用いるルイス酸について説明する。本発明の方法には、ルイス酸が用いられる。
MZn (4)
(式中、Mは金属イオンを示し、ZはMの対アニオンを示し、nは1〜4の整数)
で表されるルイス酸を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
一般式(4)中のMとして好ましくは、遷移金属、アルミニウム、ガリウム、タリウム、亜鉛及びビスマス等のイオンが挙げられ、より好ましくは、遷移金属のイオンを挙げることができる。
一般式(4)中のZとして好ましくは、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン(CF3SO3 −)、パーフルオロオクタンスルホナートイオン(C8F17SO3 −)、アセチルアセトナートイオン(acac)等が挙げられ、より好ましくは、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン(CF3SO3 −)、パーフルオロオクタンスルホナートイオン(C8F17SO3 −)を挙げることができる。
スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホナートは、例えば、スカンジウム(III)トリフラート、スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート又はスカンジウムトリフラートともいう。
ハフニウム(IV)トリフルオロメタンスルホナート、セリウム(IV)トリフルオロメタンスルホナート及びビスマス(III)トリフルオロメタンスルホナートも同様である。
ハフニウム(IV)パーフルオロオクタンスルホナートは、例えば、ハフニウムパーフルオロオクタンスルホナートともいう。
これらのルイス酸は、反応が十分に進行する限りは無水物であっても水和物であってもよく、当業者によって適宜に選択することができる。
本発明の方法は、無溶媒でも実施できるが、溶媒の存在下に実施することができる。
本発明に用いられる極性溶媒として、好ましくは、水、カルボン酸、ニトリル類、ケトン類、アルコール類、エステル類、酸無水物、アミド類、スルホキシド類、又はスルホン類等が挙げられ、より好ましくは、水、ニトリル類、ケトン類、アルコール類、エステル類、又はアミド類等が挙げられ、更に好ましくは、水、ニトリル類、又はアルコール類等が挙げられ、更に好ましくは、水、又はニトリル類等が挙げられ、特に好ましくは水が挙げられる。水が簡便で安価であり好ましい。
本発明の方法において、反応中のpHの変動が大きくならないように、酢酸ナトリウム緩衝液又はリン酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液を添加剤として使用することもできる。
本発明における反応温度は、当業者によって適宜に調整することができる。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常0℃〜使用する溶媒の還流温度の範囲、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは0℃〜60℃、更に好ましくは5℃〜30℃の範囲を例示できるが、これに限定されるものではない。
本発明における反応時間は、当業者によって適宜に調整することができる。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常0.5時間〜48時間、好ましくは0.5時間〜36時間、より好ましくは0.5時間〜24時間、更に好ましくは1時間〜12時間を例示できるが、これに限定されるものではない。
(1H核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR))
(a):JEOL ECX−600又はJEOL ECA−500(日本電子株式会社製)、内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
(b):Mercury−300(Varian社製)、内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
(ガスクロマトグラフィー(GC)分析方法)
GC−2010(株式会社島津製作所製)、検出方法:FID GC分析方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第60〜86頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な固定相液体に関しては、第66頁を参照できる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第121〜129頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、中空キャピラリー分離カラムの具体的な使用方法に関しては、第124〜125頁を参照できる。)
(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析方法)
LC20AD(株式会社島津製作所製)
HPLC分析方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第86〜112頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な充填剤−移動相の組合せに関しては、第93〜96頁を参照できる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第130〜151頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、逆相クロマトグラフィー分析の具体的な使用方法及び条件に関しては、第135〜137頁を参照できる。)
(薄層クロマトグラフィー質量(TLC/MS)分析方法)
薄層クロマトグラフィーにはWakogel B−5F(和光純薬株式会社)を使用した。
(pHの測定方法)
pHはガラス電極式水素イオン濃度指示計により測定した。
ガラス電極式水素イオン濃度指示計としては、例えば、HM−20P(東亜ディーケーケー株式会社製)が使用できる。
酢酸コバルト(II)を用いたケトマロン酸ジエチルの製造方法
(実施例1−1)
酢酸コバルト(II)を加えないこと及び反応時間(反応混合物の撹拌時間)を3時間としたことを除き実施例1−1と同様にして、ケトマロン酸ジエチルの合成を試みた。目的化合物の収率は、反応混合物の一部をGCにより分析し、面積百分率法により算出した。ケトマロン酸ジエチルの収率は、0.2%であった。
塩化コバルト(II)を用いたケトマロン酸ジエチルの製造方法
酢酸コバルト(II)に代えて塩化コバルト(II)を加えること及びマロン酸ジエチルに対するルイス酸の当量を次の表1に示した通りに変更した以外は実施例1−1と同様にして、ケトマロン酸ジエチルを得た。目的化合物の収率は、反応混合物の一部をGCにより分析し、面積百分率法により算出した。結果を表1にまとめた。
酢酸コバルト(II)を用いたケトマロン酸ジエチルの製造方法
マロン酸ジエチルに対するルイス酸の当量及び反応時間を次の表2に示した通りに変更した以外は実施例1−1と同様にして、ケトマロン酸ジエチルを得た。目的化合物の収率は、反応混合物の一部をGCにより分析し、面積百分率法により算出した。結果を表2にまとめた。
酢酸鉄(II)を用いたケトマロン酸ジエチルの製造方法
酢酸コバルト(II)に代えて酢酸鉄(II)を加えること及び反応時間を次の表3に示した通りに変更した以外は実施例1−1と同様にして、ケトマロン酸ジエチルを得た。
目的化合物の収率は、反応混合物の一部をGCにより分析し、面積百分率法により算出した。結果を表3にまとめた。
実施例4の結果は酢酸鉄(II)も酢酸コバルト(II)と同様にトリオキソプロパン化合物の合成において触媒として有用であることを示している。また、短時間でも高い収率が得られる一方で、反応時間を延ばすことによっても収率を高めることができ、十分な反応時間を設定すれば100%の収率を得ることも可能であるとわかった。
種々のルイス酸を用いたケトマロン酸ジエチルの製造方法
酢酸コバルト(II)に代えて次の表4に記載のルイス酸を用いること及び反応時間を次の表4に示した通りに変更した以外は実施例1−1と同様にして、ケトマロン酸ジエチルを得た。目的化合物の収率は、反応混合物の一部をGCにより分析し、面積百分率法により算出した。結果を表4にまとめた。
実施例5の結果は種々のルイス酸がトリオキソプロパン化合物の合成において触媒として有用であることを示している。
ハフニウム(IV)トリフラートを用いたケトマロン酸ジエチルの製造方法
ハフニウム(IV)トリフラート34.8mg(0.045mmol)と亜塩素酸ナトリウム123.6mg(純度換算で1.08mmol)を水3mLに溶解させた後、マロン酸ジエチル144.2mg(0.9mmol)を加え、反応混合物を室温下で12時間攪拌した。反応混合物を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(1mL)にてクエンチし、水(10mL)で希釈した。水層をジクロロメタン(3×25mL)にて抽出した。得られた有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。原料化合物の転化率は、デュレン(1,2,4,5−テトラメチルベンゼン)を内部標準とした粗生成物の1H−NMR分析により決定した。粗生成物はカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物であるケトマロン酸ジエチルを89%の収率で得た。
種々のルイス酸を用いたケトマロン酸ジエチルの製造方法
ハフニウム(IV)トリフラートに代えて次の表5に記載のルイス酸を用いること以外は実施例6と同様にして、ケトマロン酸ジエチルを得た。目的化合物の収率は、デュレン(1,2,4,5−テトラメチルベンゼン)を内部標準とした粗生成物の1H−NMR分析により決定した。結果を表5にまとめた。
実施例7の結果は種々のルイス酸がトリオキソプロパン化合物の合成において触媒として有用であることを示している。
ルイス酸を用いた2,3−ジオキソ−3−フェニルプロパン酸エチルの製造方法
(実施例8−1)
更に、ルイス酸を加えない比較例8−3に比べ、ルイス酸を加えた実施例8−1では、副反応が抑えられ、収率が顕著に増大した。また実施例8−2では、酢酸緩衝液の非存在下でも比較的高い収率で目的化合物が得られた。
ルイス酸を用いた5,5−ジヒドロキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンの製造方法
(実施例9−1)
ハフニウム(IV)パーフルオロオクタンスルホン酸塩に代えてハフニウム(IV)トリフラートを加えること及び反応混合物を室温下で24時間攪拌した以外は実施例9−1と同様にして、5,5−ジヒドロキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンを得た。目的化合物の収率は、デュレン(1,2,4,5−テトラメチルベンゼン)を内部標準とした粗生成物の1H−NMR分析により91%であった。
ルイス酸を用いた2,2−ジヒドロキシ−シクロヘキサン−1,3−ジオンの製造方法(実施例10−1)
ハフニウム(IV)パーフルオロオクタンスルホン酸塩に代えてハフニウム(IV)トリフラートを加えること以外は実施例10−1と同様にして、5,5−ジヒドロキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンを得た。目的化合物の収率は、デュレン(1,2,4,5−テトラメチルベンゼン)を内部標準とした粗生成物の1H−NMR分析により50%であった。
更に、本発明の方法によれば、毒性が高い試薬や安全性が低い試薬を必要とせず、特殊な反応剤を必要とせず、特別な反応装置を必要とせず、高価な試薬を必要とせず、ケトマロン酸ジエステル等のトリオキソプロパン化合物を製造できる。
更に、本発明の方法によれば、酢酸等のカルボン酸化合物を反応触媒としての役割に加えて、溶媒としての効果を期待して使用することがないため、工業的規模での大量の酸性廃液を排出しないトリオキソプロパン化合物の製造が可能である。
更に、本発明の方法によれば、穏やかな反応条件を選択することができ、操作性がよく、工業化に適した簡便な条件で、ケトマロン酸ジエステル等のトリオキソプロパン化合物を製造できる。
本発明方法により得られる一般式(1)で表されるトリオキソプロパン化合物は、医農薬等の中間原料として有用な化合物である。
Claims (15)
- 一般式(1):
又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC2〜C5アルキレン基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C4アルキレン)−基、及び、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C3アルキレン)−O−基、からなる群より選ばれる2価の基を形成することにより5〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基を示し、
R4はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基を示す。)
で表されるトリオキソプロパン化合物の製造方法であって、次の一般式(2):
で表されるジオキソプロパン化合物を、ルイス酸触媒の存在下、亜塩素酸化合物と反応させることを特徴とするトリオキソプロパン化合物の製造方法。 - 前記一般式(1)、(2)及び(3)において、
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC3〜C6シクロアルキル基、1又は2個以上の同一又は異なるR4により置換されていてもよいアリール基、1又は2個以上の同一又は異なるR4により置換されていてもよいヘテロアリール基、ヒドロキシル基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC3〜C6シクロアルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC2〜C5アルキレン基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C4アルキレン)−基、及び、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C3アルキレン)−O−基、からなる群より選ばれる2価の基を形成することにより5〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示し、
R4はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示す、請求項1又は2に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。 - 前記一般式(1)、(2)及び(3)において、
R1及びR2は同一または異なっていてもよく、それぞれ、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、1又は2個以上の同一又は異なるR4により置換されていてもよいフェニル、ヒドロキシル基、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基を示し、
又は、R1及びR2は一緒になって、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよいC2〜C5アルキレン基、及び、1又は2個以上の同一又は異なるR3により置換されていてもよい−O−(C1〜C3アルキレン)−O−基、からなる群より選ばれる2価の基を形成することにより5〜8員環を形成し、
R3はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示し、
R4はC1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、ヒドロキシル基、C1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子を示す、請求項1又は2に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。 - 亜塩素酸化合物が、亜塩素酸塩である、請求項1から4のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
- 亜塩素酸化合物が、亜塩素酸アルカリ金属塩又は亜塩素酸アルカリ土類金属塩である、請求項1から4のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
- 亜塩素酸化合物が、亜塩素酸ナトリウムである、請求項1から4のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
- ルイス酸触媒が、次の一般式(4)
MZn (4)
(式中、Mは金属イオンを示し、Zはアニオンを示し、nは1〜4の整数)
で表されるルイス酸である、請求項1から7のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。 - 前記一般式(4)において、
Mが遷移金属、アルミニウム、ガリウム、タリウム、亜鉛及びビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン(CF3SO3 −)、パーフルオロオクタンスルホナートイオン(C8F17SO3 −)又はアセチルアセトナートイオン(acac)である、請求項8に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。 - 前記一般式(4)において、
Mが、スカンジウム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ロジウム、ニッケル、ハフニウム、セリウム及びビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン、パーフルオロオクタンスルホナートイオン、アセチルアセトナートイオンである、請求項8に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。 - 前記一般式(4)において、
Mが、スカンジウム、バナジウム、鉄、コバルト、ロジウム及びハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンであり、
Zが、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン、パーフルオロオクタンスルホナートイオンである、請求項8に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。 - ルイス酸触媒が、スカンジウム(III)トリフラート、酸化バナジウム(V)、酸化硫酸バナジウム(IV)、硫酸マンガン(II)、酢酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、コバルト(II)アセチルアセトナート、酢酸ロジウム(II)、塩化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、ハフニウム(IV)トリフラート、ハフニウム(IV)パーフルオロオクタンスルホナート、セリウム(IV)トリフラート、ビスマス(III)トリフラート又はそれらの混合物である、請求項1から11のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
- ルイス酸触媒が、スカンジウム(III)トリフラート、酸化バナジウム(V)、酸化硫酸バナジウム(IV)、酢酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、酢酸ロジウム(II)、ハフニウム(IV)トリフラート、ハフニウム(IV)パーフルオロオクタンスルホナート又はそれらの混合物である、請求項1から11のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
- 前記一般式(2)で表される化合物1.0モルに対して0.01モル以上0.5モル未満の範囲のルイス酸触媒を使用する、請求項8から13のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
- 前記一般式(2)で表される化合物1.0モルに対して0.03モル以上0.3モル以下の範囲のルイス酸触媒を使用する、請求項8から13のいずれか1項に記載のトリオキソプロパン化合物の製造方法。
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