JPWO2018097142A1 - フレキシブルデバイス基板形成用組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
これらのデバイスにはガラス基板上に様々な電子素子、例えば、薄膜トランジスタや透明電極等が形成されているが、このガラス材料を柔軟かつ軽量な樹脂材料に替えることで、デバイス自体の薄型化や軽量化、フレキシブル化が図れる。
このような事情の下、ガラスの代替材料としてポリイミドが注目を集めている。そして、当該用途向けのポリイミドには、柔軟性だけでなく、大抵の場合、ガラスと同様の透明性が要求されることとなる。これらの特性を実現するために、原料に脂環式ジアミン成分や脂環式無水物成分を用いて得られる半脂環式ポリイミドや全脂環式ポリイミドが報告されている(例えば特許文献1〜3参照)。
フレキシブルディスプレイの製造では、ガラスキャリア上にポリイミド等からなるポリマー基板を設け、次にその基板の上に電極等を含む回路等を形成し、最終的にこの回路等とともに基板をガラスキャリアから剥離する必要がある。この剥離工程においてLLO法を採用し、すなわち、回路等が形成された面とは反対の面から、特定波長の光線をガラスキャリアに照射すると、当該波長の光線がガラスキャリアを透過し、ガラスキャリア近傍のポリマー(ポリイミド)のみがこの光線を吸収して蒸発(昇華)する。その結果、ディスプレイの性能を決定づけることとなる、基板上に設けられた回路等に影響を与えることなく、ガラスキャリアからの基板の剥離を選択的に実行可能であると報告されている。
これまで提案されたフレキシブルディスプレイ用基板材料として有望な半脂環式ポリイミドや全脂環式ポリイミドは、耐熱性に優れ、リタデーションが低く、柔軟性に優れ、さらに透明性にも優れるという優れた性能を有する基板を形成し得るものの、該基板は、LLO法ではガラスキャリアから剥離することが困難であるという問題があった。
有機溶媒
を含む、フレキシブルデバイス基板形成用組成物に関する。
第2観点として、前記脂環式テトラカルボン酸二無水物が、式(C1)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物を含む、第1観点に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物に関する。
第3観点として、前記含フッ素芳香族ジアミンが、式(A1)で表されるジアミンを含む、第1観点または第2観点に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物に関する。
第4観点として、前記テトラカルボン酸二無水物成分は、式(D1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を、テトラカルボン酸二無水物成分の全モル数に対して、1モル%ないし30モル%含む、第1観点乃至第3観点のうちいずれか一つに記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物に関する。
第5観点として、更に、窒素吸着法により測定された比表面積値から算出される平均粒子径が100nm以下である二酸化ケイ素粒子を含む、第1観点乃至第4観点のうちいずれか一つに記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物に関する。
第6観点として、前記ポリイミドと前記二酸化ケイ素粒子の質量比が、7:3〜3:7である、第5観点に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物に関する。
第7観点として、前記平均粒子径が、60nm以下である、第5観点または第6観点に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物に関する。
第8観点として、レーザーリフトオフ法に用いるためのフレキシブルデバイスの基板形成用組成物である、第1観点乃至第7観点のうちいずれか一つに記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物に関する。
第9観点として、第1観点乃至第7観点のうちいずれか一つに記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物を用いて作成されたフレキシブルデバイス基板に関する。
第10観点として、第1観点乃至第7観点のうちいずれか一つに記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物を基材に塗布し、乾燥・加熱してフレキシブルデバイス基板を形成する工程、
レーザーリフトオフ法により前記基材から前記フレキシブルデバイス基板を剥離させる剥離工程を含む、フレキシブルデバイス基板の製造方法に関する。
そして、本発明に係るフレキシブルデバイス基板は、耐熱性に優れ、リタデーションが低く、柔軟性に優れ、さらに透明性にも優れる(高い光線透過率、低い黄色度)という優れた性能を維持すると共に、LLO法によりガラスキャリアから容易に剥離し得ることから、フレキシブルデバイス、特にフレキシブルディスプレイの基板として好適に用いることができる。
さらに、本発明の係るフレキシブルデバイス基板の製造方法によれば耐熱性に優れ、リタデーションが低く、柔軟性に優れ、さらに透明性にも優れる(高い光線透過率、低い黄色度)という優れた性能を有するフレキシブルデバイス基板を、LLO法によりガラスキャリアから剥離することにより容易に製造できるため、生産性及び経済性に優れる製造方法となり得る。
このような本発明に係る組成物、基板並びに製造方法は、高い耐熱性、低いリタデーション、高い柔軟性、高い透明性(高い光線透過率、低い黄色度)並びにLLO法による剥離性等の特性が求められるフレキシルデバイス用基板、特にフレキシブルディスプレイ用基板の分野における進展に十分対応し得るものである。
本発明のフレキシブルデバイス基板形成用組成物は、特定の脂環式テトラカルボン酸二無水物及び式(D1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物成分と、特定の含フッ素芳香族ジアミンを含むジアミン成分との反応物であるポリアミック酸のイミド化物であるポリイミド及び有機溶媒を含有し、所望により二酸化ケイ素粒子、架橋剤及びその他の成分を含有する。
本発明で使用するポリイミドは、主鎖に脂環式骨格を有するポリイミドであって、好ましくは、脂環式テトラカルボン酸二無水物及び前記式(D1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物成分と、含フッ素芳香族ジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドである。すなわち、上記ポリイミドは、好ましくはポリアミック酸のイミド化物であって、該ポリアミック酸は、脂環式テトラカルボン酸二無水物及び前記式(D1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物成分と、含フッ素芳香族ジアミンを含むジアミン成分との反応物である。
中でも、前記脂環式テトラカルボン酸二無水物が、下記式(C1)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物を含むものであり、前記含フッ素芳香族ジアミンが、下記式(A1)で表されるジアミンを含むものであることが好ましい。
また上記(A1)で表されるジアミンの中でも、式中のB2が式(Y−12)、(Y−13)で表される化合物であることが好ましい。
また、式(D1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、以下に示す、式(Z−1)乃至式(Z−6)からなる群から選ばれる式で表される化合物が挙げられる。
好適な例として、上記式(C1)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物及び上記式(D1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A1)で表されるジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドは、後述する式(2)で表されるモノマー単位を含む。
また同様に、耐熱性に優れ、リタデーションが低く、柔軟性に優れ、さらに透明性にも優れるという優れた性能を維持すると共に、LLO法によりガラスキャリアから容易に剥離し得るフレキシブルデバイス基板を得るためには、ジアミン成分の全モル数に対して、含フッ素芳香族ジアミン、例えば式(A1)で表されるジアミンが90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。またジアミン成分の全て(100モル%)が上記式(A1)で表されるジアミンであってもよい。
本発明のポリイミドにおいて式(3)で表されるモノマー単位が含まれる場合、A及びBは、例えば下記式で例示された基のうち一種のみで構成されるモノマー単位のみを含んでいてもよいし、A及びBの少なくとも一方が下記に例示された二種以上の基から選択される二種以上のモノマー単位を含んでいてもよい。
また本発明で使用するポリイミドが、上記式(1)で表されるモノマー単位及び式(1’)で表されるモノマー単位に加え、上記式(2)で表されるモノマー単位を有する場合、式(1)、式(1’)及び式(2)で表されるモノマー単位を含有するポリイミドは、脂環式テトラカルボン酸二無水物としてのビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物及び芳香族テトラカルボン酸二無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、又は、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の他、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物成分と、下記式(4)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを有機溶媒中で重合させ、得られるポリアミック酸をイミド化することにより得ることができる。
中でも、ジアミン成分に含まれる含フッ素芳香族ジアミンとしては、本発明のフレキシブルデバイス基板が具える耐熱性に優れ、リタデーションが低く、柔軟性に優れ、さらに透明性にも優れる(高い光線透過率、低い黄色度)という優れた性能を維持すると共に、LLO法によりガラスキャリアから容易に剥離し易いものとする観点から、下記式(4−1)で表される2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン又は下記式(4−2)で表される3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを用いることが好ましく、特に2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを用いることが好ましい。
これらの中でも、式(5)中のAが前記式(A−1)〜(A−4)のいずれかで表される4価の基であるテトラカルボン酸二無水物が好ましく、すなわち、11,11−ビス(トリフルオロメチル)−1H−ジフルオロ[3,4−b:3’,4’−i]キサンテン−1,3,7,9−(11H−テトラオン)、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−[5,5’−ビイソベンゾフラン]−1,1’,3,3’−テトラオン、4,6,10,12−テトラフルオロジフロ[3,4−b:3’,4’−i]ジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン−1,3,7,9−テトラオン、4,8−ビス(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[1,2−c:4,5−c’]ジフラン−1,3,5,7−テトラオンを好ましい化合物として挙げることができる。
これらの中でも、式(6)中のBが前記式(B−1)〜(B−11)のいずれかで表される2価の基である芳香族ジアミンが好ましく、すなわち、2,2’−ビス(トリフロオロメトキシ)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン[別称:2,2’−ジメトキシベンジジン]、4,4’−(パーフルオロプロパン−2,2−ジイル)ジアニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−(トリフルオロメチル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−フルオロベンゼン−1,4−ジアミン、4,4’−オキシビス[3−(トリフルオロメチル)アニリン]、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロ[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン[別称:オクタフルオロベンジジン]、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジアミン、4,4’−{[3,3”−ビス(トリフルオロメチル)−(1,1’:3’,1”−ターフェニル)−4,4”−ジイル]−ビス(オキシ)}ジアニリン、4,4’−{[(パーフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン)]ビス(オキシ)}ジアニリン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5(または6)アミンを好ましいジアミンとして挙げることができる。
本発明で使用するポリイミドは、前述したように、上記式(C1)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物及び式(D1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物成分と、含フッ素芳香族ジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化して得られる。
具体的には、例えば好適な一例として、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、或いは、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、そして場合によりさらに1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、さらに所望により上記式(5)で表されるテトラカルボン酸二水物からなるテトラカルボン酸二無水物成分と、上記式(4)で表されるジアミン及び所望により上記式(6)で表されるジアミンからなるジアミン成分とを有機溶媒中で重合させ、得られるポリアミック酸をイミド化することにより得られる。
上記二成分からポリアミック酸への反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行させることができ、かつ副生成物が生成しない点で有利である。
例えば、m−クレゾール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−イソプロポキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−sec−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等があげられるがこれらに限定されない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
さらに、ポリアミック酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
また、テトラカルボン酸二無水物成分及び/又はジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としてもよい。
反応時間は、反応温度や原料物質の反応性に依存するため一概に規定できないが、通常1〜100時間程度である。
また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な撹拌が困難となるので、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との反応溶液中での合計濃度が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することもできる。
ポリアミック酸をイミド化させる方法としては、ポリアミック酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
ポリアミック酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100℃〜400℃、好ましくは120℃〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行う方が好ましい。
塩基性触媒の量はポリアミック酸のアミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは1.5〜20モル倍であり、酸無水物の量はポリアミック酸のアミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは2〜30モル倍である。
酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。
ポリアミック酸及びポリイミドの反応溶液から、ポリマー成分を回収し、用いる場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、イソプロパノール、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させたポリマーは濾過により回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。
また、沈殿回収したポリマーを、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2から10回繰り返すと、ポリマー中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として例えばアルコール類、ケトン類、炭化水素など3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本発明のフレキシブルデバイス基板形成用組成物には、二酸化ケイ素(シリカ)を含むことができる。使用され得る二酸化ケイ素(シリカ)は特に限定されないが、粒子形態の二酸化ケイ素、例えば平均粒子径が100nm以下、例えば5nm〜100nm、好ましくは5nm〜55nmであり、より高透明の薄膜を再現性よく得る観点から、好ましくは5nm〜50nm、より好ましくは5nm〜45nm、より一層好ましくは5nm〜35nm、さらに好ましくは5nm〜30nmである。
本発明において二酸化ケイ素粒子の平均粒子径とは、二酸化ケイ素粒子を用いて窒素吸着法により測定された比表面積値から算出される平均粒子径値である。
また、メチルシリケートやエチルシリケート等のアルコキシシランを、アルコール等の有機溶媒中で触媒(例えば、アンモニア、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒)の存在下において加水分解し、縮合して得られるシリカゾル、又はそのシリカゾルを他の有機溶媒に溶媒置換したオルガノシリカゾルも用いることができる。
これらの中でも本発明は分散媒が有機溶媒であるオルガノシリカゾルを用いることが好ましい。
上記のオルガノシリカゾルの粘度は、20℃で、0.6mPa・s〜100mPa・s程度である。
本発明において二酸化ケイ素、例えばオルガノシリカゾルとして使用される上記製品に挙げたような二酸化ケイ素は、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明のフレキシブルデバイス基板形成用組成物には、さらに架橋剤を含むことができ、ここで使用する架橋剤は、水素原子、炭素原子、窒素原子および酸素原子のみから構成される化合物であって、ヒドロキシ基、エポキシ基および炭素原子数1〜5のアルコキシ基からなる群から選ばれる基を2つ以上有し、且つ、環構造を有する化合物からなる架橋剤である。このような架橋剤を用いることで、耐溶剤性に優れる、フレキシブルデバイス基板に好適な樹脂薄膜を再現性よく与えるだけでなく、保存安定性がより改善されたフレキシブルデバイス基板形成用組成物を実現することができる。
中でも、架橋剤における一化合物あたりのヒドロキシ基、エポキシ基および炭素原子数1〜5のアルコキシ基の合計数は、得られる樹脂薄膜の耐溶剤性を再現性よく実現する観点から、好ましくは3以上であり、得られる樹脂薄膜の柔軟性を再現性よく実現する観点から、好ましく10以下、より好ましくは8以下、より一層好ましくは6以下である。
なお、環構造が2以上存在する場合、環構造同士が縮合していてもよく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−2,2−ジイル基等の炭素原子数1〜5のアルカン−ジイル基等の連結基を介して環構造同士が結合していてもよい。
中でも、架橋剤の入手容易性、価格等を考慮すると、Xは、式(K1)および(K5)においてはエポキシ基が好ましく、式(K2)および(K3)においては炭素原子数1〜5のアルコキシ基が好ましく、式(K4)においてはヒドロキシ基が好ましい。
市販品としては、CYMEL(登録商標)300、同301、同303LF,同303ULF、同304、同350、同3745、同XW3106、同MM−100、同323、同325、同327、同328、同385、同370、同373、同380、同1116、同1130、同1133、同1141、同1161、同1168、同3020、同202、同203、同1156、同MB−94、同MB−96、同MB−98、同247−10、同651、同658、同683、同688、同1158、同MB−14、同MI−12−I、同MI−97−IX、同U−65、同UM−15、同U―80、同U−21−511、同U−21−510、同U−216−8、同U−227−8、同U−1050−10、同U−1052−8、同U−1054、同U−610、同U−640、同UB−24−BX、同UB−26−BX、同UB−90−BX、同UB−25−BE、同UB−30−B、同U−662、同U−663、同U−1051、同UI−19−I、同UI−19−IE、同UI−21−E、同UI−27−EI、同U−38−I、同UI−20−E同659、同1123、同1125、同5010、同1170、同1172、同NF3041、同NF2000等(以上、allnex社製);TEPIC(登録商標)V、同S、同HP、同L、同PAS、同VL、同UC(以上、日産化学工業(株)製)、TM−BIP−A(旭有機材工業(株)製)、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(以下、TMGと略す)(東京化成工業(株)製)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)(Aldrich社製)、HP−4032D、HP−7200L、HP−7200、HP−7200H、HP−7200HH、HP−7200HHH、HP−4700、HP−4770、HP−5000、HP−6000、HP−4710、EXA−4850−150、EXA−4850−1000、EXA−4816、HP−820(DIC(株))、TG−G(四国化成工業(株))等が挙げられる。
本発明の樹脂薄膜形成用組成物は、前記ポリイミド、任意の二酸化ケイ素及び架橋剤等に加えて、有機溶媒を含む。該有機溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、上記ポリアミック酸及びポリイミドの調製時に用いた反応溶媒の具体例と同様のものが挙げられる。より具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、平坦性の高い樹脂薄膜を再現性よく得ることを考慮すると、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
本発明は、前記ポリイミドと有機溶媒と所望により二酸化ケイ素、架橋剤等を含有するフレキシブルデバイス基板形成用組成物である。ここで本発明のフレキシブルデバイス基板形成用組成物は、均一なものであって、相分離は認められないものである。
本発明のフレキシブルデバイス基板形成用組成物において、二酸化ケイ素を含有させる場合、前記ポリイミドと前記二酸化ケイ素の配合比は、質量比で、ポリイミド:二酸化ケイ素=10:1〜1:10であることが好ましく、より好ましくは8:2〜2:8、例えば7:3〜3:7である。
また本発明のフレキシブルデバイス基板形成用組成物中の固形量は、通常0.5〜30質量%の範囲内であるが、膜の均一性の観点から、好ましくは5質量%以上、20質量%以下である。なお、固形分とは、フレキシブルデバイス基板形成用組成物を構成する全成分から溶媒を除いた残りの成分を意味する。
なお、フレキシブルデバイス基板形成用組成物の粘度は、用いる塗布法、作製する樹脂薄膜の厚み等を勘案して適宜決定されるものではあるが、通常25℃で1〜50,000mPa・sである。
本発明のフレキシブルデバイス基板形成用組成物は、上述の方法で得られたポリイミド、そして所望により二酸化ケイ素、架橋剤等を上述の有機溶媒に溶解して得ることができるし、ポリイミドの調製後の反応溶液に、所望により二酸化ケイ素、架橋剤等を添加し、所望により前記有機溶媒を更に加えたものとしてもよい。
以上説明した本発明のフレキシブルデバイス基板形成用組成物を基材に塗布して乾燥・加熱することで有機溶媒を除去し、耐熱性に優れ、リタデーションが低く、柔軟性に優れ、さらに透明性にも優れるという優れた性能を維持すると共に、LLO法によりガラスキャリアから容易に剥離し得る樹脂薄膜、すなわちフレキシブルデバイス基板を得ることができる。
そして上記フレキシブルデバイス基板、すなわち上記ポリイミドと、所望により二酸化ケイ素、架橋剤等を含有するフレキシブルデバイス基板、すなわち、本発明のフレキキシブルデバイス基板形成用組成物の硬化物からなるフレキシブルデバイス基板も本発明の対象である。
特に、フレキシブルデバイス基板として適用する際、既存設備を利用することができるという観点から、適用する基材がガラス、シリコンウェハであることが好ましく、また得られるフレキシブルデバイス基板が良好な剥離性を示すことからガラスであることがさらに好ましい。なお、適用する基材の線膨張係数としては塗工後の基材の反りの観点から、好ましくは40ppm/℃以下、より好ましくは、30ppm/℃以下である。
また、得られる樹脂薄膜の耐熱性と線膨張係数特性を考慮すると、塗布したフレキシブルデバイス基板形成用組成物を40℃〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、そのまま段階的に加熱温度を上昇させ、最終的に175℃超〜280℃で30分〜2時間加熱することが望ましい。このように、溶媒を乾燥させる段階と分子配向を促進する段階の2段階以上の温度で加熱することにより、より再現性よく低熱膨張特性を発現させることができる。
特に、塗布したフレキシブルデバイス基板形成用組成物は、40℃〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、100℃超〜175℃で5分間〜2時間、次いで、175℃超〜280℃で5分〜2時間加熱することが好ましい。
加熱に用いる器具は、例えばホットプレート、オーブン等が挙げられる。加熱雰囲気は、空気下であっても窒素等の不活性ガス下であってもよく、また、常圧下であっても減圧下であってもよく、また加熱の各段階において異なる圧力を適用してもよい。
なおこのようにして形成された樹脂薄膜を基材から剥離する方法としては特に限定はなく、該樹脂薄膜を基材ごと冷却し、薄膜に切れ目を入れ剥離する方法やロールを介して張力を与えて剥離する方法等が挙げられる。
特に本発明にあっては、基材から樹脂薄膜を剥離する方法として、レーザーリフトオフ(LLO)法を採用することができる。すなわち、基材の樹脂薄膜が形成された面とは反対の面から、特定波長の光線を基材に照射することにより、当該波長の光線が基材(例えばガラスキャリア)を透過し、基材近傍のポリイミドのみにこの光線を吸収させ、当該部分のポリイミドを蒸発させることによって、基材から樹脂薄膜を剥離させることができる。
レーザーリフトオフ法による基材からの樹脂薄膜の剥離に用いるレーザー光としては、特に制限されないが、エキシマレーザーが好ましく、具体的に発振波長としては、ArF(193nm)、KrF(248nm)、XeCl(308nm)、XeF(353nm)等が挙げられるが、XeCl(308nm)が特に好ましい。
また、照射するレーザー光のエネルギー密度としては、通常、200mJ/cm2乃至500mJ/cm2の範囲が挙げられ、例えば、260mJ/cm2乃至420mJ/cm2の範囲、317mJ/cm2乃至420mJ/cm2の範囲、260mJ/cm2乃至330mJ/cm2の範囲、317mJ/cm2乃至330mJ/cm2の範囲、260mJ/cm2乃至317mJ/cm2の範囲等が挙げられる。
更に、該樹脂薄膜は、例えば30℃乃至220℃における線膨張係数が40ppm/℃以下、特に10ppm/℃乃至35ppm/℃という低い値を有することができ、加熱時の寸法安定性に優れたものである。
また該樹脂薄膜は、入射光の波長を590nmとした場合における複屈折(面内の直交する2つの屈折率の差)と膜厚との積で表される面内リタデーションR0、並びに、厚さ方向の断面からみたときの2つの複屈折(面内の2つの屈折率と厚さ方向の屈折率との夫々の差)にそれぞれ膜厚を掛けて得られる2つの位相差の平均値として表される厚さ方向リタデーションRthが、いずれも小さいことを特長とする。
該樹脂薄膜は、平均膜厚が15〜40μmである場合において、厚さ方向リタデーションRthが700nm以下、例えば450nm以下、または1〜410nm、面内リタデーションR0が、例えば4.5より小さく、例えば0.1〜4.2であり、複屈折率Δnが0.001よりも小さい。
<酸二無水物>
BODAxx:ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
<ジアミン>
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
<有機溶媒>
GBL:γ−ブチロラクトン
1)数平均分子量及び重量平均分子量の測定
ポリマーの数平均分子量(以下、Mnと略す)と重量平均分子量(以下、Mwと略す)は、装置:昭和電工(株)製、Showdex GPC−101、カラム:KD803およびKD805、カラム温度:50℃、溶出溶媒:DMF、流量:1.5ml/分、検量線:標準ポリスチレン、の条件にて測定した。
2)線膨張係数(CTE)
TAインスツルメンツ社製 TMA Q400を用いて、樹脂薄膜を幅5mm、長さ16mmのサイズにカットし、まず10℃/minで昇温して50乃至350℃まで加熱(第一加熱)し、次いで10℃/minで降温して50℃まで冷却した後に、10℃/minで昇温して50乃至420℃まで加熱(第二加熱)した際の、第二加熱の50℃乃至200℃における線膨張係数(CTE[ppm/℃])、並びに200℃乃至250℃における線膨張係数(CTE[ppm/℃])の値を測定することで求めた。なお、第一加熱、冷却および第二加熱を通じて、荷重0.05Nを加えた。
3)5%重量減少温度(Td5%)
5%重量減少温度(Td5%[℃])は、TAインスツルメンツ社製 TGA Q500を用い、窒素中、樹脂薄膜約5乃至10mgを50乃至800℃まで10℃/minで昇温して測定することで求めた。
4)光線透過率(透明性)(T308nm、T550nm)及びCIE b値(CIE b*)
波長308nm及び550nmの光線透過率(T308nm、T550nm[%])及びCIE b値(CIE b*)は、日本電色工業(株)製 SA4000スペクトロメーターを用いて、室温にて、リファレンスを空気として、測定を行った。
5)リタデーション(Rth、R0)
厚さ方向リタデーション(Rth)及び面内リタデーション(R0)を、王子計測機器(株)製、KOBURA 2100ADHを用いて、室温にて測定した。
なお、厚さ方向リタデーション(Rth)及び面内リタデーション(R0)は以下の式にて算出される。
R0=(Nx−Ny)×d=ΔNxy×d
Rth=[(Nx+Ny)/2−Nz]×d=[(ΔNxz×d)+(ΔNyz×d)/2
Nx、Ny:面内の直交する2つの屈折率(Nx>Ny、Nxを遅相軸、Nyを進相軸とも称する)
Nz:面に対して厚さ(垂直)方向の屈折率
d:膜厚
ΔNxy:面内の2つの屈折率の差(Nx−Ny)(複屈折)
ΔNxz:面内の屈折率Nxと厚さ方向の屈折率Nzの差(複屈折)
ΔNyz:面内の屈折率Nyと厚さ方向の屈折率Nzの差(複屈折)
6)複屈折(Δn)
前述の<6)リタデーション>により得られた厚さ方向リタデーション(Rth)の値を用い、以下の式にて算出した。
Δn=[Rth/d(フィルム膜厚)]/1000
7)膜厚
得られた樹脂薄膜の膜厚は、(株)テクロック製 シックネスゲージにて測定した。
調製例1:シリカゾル(GBL−M)の調製
1000mLの丸底フラスコに、日産化学工業(株)製メタノール分散シリカゾル:MA−ST−M 350g(シリカ固形分濃度:40.4質量%)とγ−ブチルラクトン419gを入れた。そして、そのフラスコを真空エバポレーターと繋いでフラスコ内を減圧にし、約35℃の温水浴に20〜50分間浸すことで、溶媒がメタノールからγ−ブチルラクトンに置換されたシリカゾル(GBL−M)約560.3gを得た(シリカ固形分濃度:25.25質量%)。
合成例1:ポリイミドI(PI−I)の合成
ディーン・スターク、窒素の注入口/排出口、メカニカルスターラーを取り付けた250mLの三口フラスコ内に、TFMB 6.4046g(0.02mol)を入れ、その後すぐにGBL 22.24gを添加し、撹拌を開始した。ジアミンが溶媒中に完全に溶解した後、BODAxx 2.5005g(0.01mol)を添加した後すぐに、GBL 6.67g及び1−エチルピペリジン0.222gを添加し、窒素下で3.5時間140℃に加熱した。その後、BTDA 0.6445g(0.002mol)を添加した後すぐに、GBL 6.67gを添加し、窒素下で0.5時間反応させた。その後、CBDA 1.5688g(0.008mol)を添加した後すぐに、GBL 8.89g及び1−エチルピペリジン0.222gを添加し、温度を180℃に上げ、窒素下で7時間反応させた。最後に加熱を停止し、反応溶液を10%に希釈し、終夜攪拌を続けた。ポリイミド反応溶液をメタノール500g中に添加して30分間攪拌し、その後ポリイミド固体をろ過することによりポリイミドを精製した後、該ポリイミド固体をメタノール500g中で30分間攪拌し、その後ポリイミド固体をろ過した。このポリイミド固体の攪拌及びろ過の精製手順を3回繰り返した。ポリイミド中のメタノール残留物を150℃下の真空オーブンの8時間の乾燥により除去し、最終的に、乾燥した9.563gのポリイミドIを得たが、ポリイミドの質量パーセント収率は86.01%(Mw=161,774、Mn=59,451)であった。
BTDA(0.002mol)に代えて、s−BPDA(0.002mol)を使用した以外は、合成例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミドII(PI−II)を得た。
窒素の注入口/排出口、メカニカルスターラー及び冷却器を取り付けた250mLの反応三口フラスコ内に、TFMB 25.61g(0.08mol)を入れた。その後、GBL 173.86gを添加し、撹拌を開始した。ジアミンが溶媒中に完全に溶解した後、その後すぐに、攪拌したBODAxx 10g(0.04mol)、CBDA 7.84g(0.04mol)及びGBL 43.4gを添加し、窒素下140℃に加熱した。その後、1−エチルピペリジン0.348gを溶液内に添加し、窒素下で7時間180℃に加熱した。最終的に加熱を停止し、反応溶液を10%まで希釈し、終夜攪拌を維持した。ポリイミド反応溶液をメタノール2000g中に添加して30分間攪拌し、その後ポリイミド固体をろ過することによりポリイミドを精製した後、該ポリイミド固体をメタノール2000g中で30分間攪拌し、ポリイミド固体をろ過した。このポリイミド固体の攪拌及びろ過の精製手順を3回繰り返した。ポリイミド中のメタノール残留物を150℃下の真空オーブンの8時間の乾燥により除去し、最終的に、乾燥した31.16gのポリイミドAを得たが、ポリイミドの質量パーセント収率は74%(Mw=169,802、Mn=55,308)であった。
例1:ポリイミドI樹脂薄膜
室温で、合成例1のポリイミド(PI−I)1gを10質量%となるようにGBL溶媒中に溶解したものを5μmのフィルタを通してゆっくりと加圧ろ過した。その後、溶液をガラス基材上にコーティングし、空気雰囲気下、50℃の温度で30分間、140℃で30分間及び200℃で60分間焼成し、その後、−99kpaの真空雰囲気下、280℃で60分間焼成して樹脂薄膜を得た。
室温で、合成例1のポリイミド(PI−I)1gを10質量%となるようにGBL溶媒中に溶解したものを5μmのフィルタを通してゆっくりと加圧ろ過した。その後、ろ液をシリカゾル(GBL−M)(25.25%でGBL中に分散した、18〜23nmのSiO2ナノ粒子)9.241gに添加し、30分間混合し、その後、静止状態を一晩維持した。その後、溶液をガラス基材上にコーティングし、空気下、50℃の温度で30分間、140℃で30分間及び200℃で60分間並びに−99kpaの真空雰囲気下、280℃で60分間焼成して樹脂薄膜を得た。
室温で、合成例2のポリイミド(PI−II)1gを10質量%となるようにGBL溶媒中に溶解したものを5μmのフィルタを通してゆっくりと加圧ろ過した。その後、溶液をガラス基材上にコーティングし、空気雰囲気下、50℃の温度で30分間、140℃で30分間及び200℃で60分間焼成し、その後、−99kpaの真空雰囲気下、280℃で60分間焼成して樹脂薄膜を得た。
室温で、合成例2のポリイミド(PI−II)1gを10質量%となるようにGBL溶媒中に溶解したものを5μmのフィルタを通してゆっくりと加圧ろ過した。その後、ろ液をシリカゾル(GBL−M)(25.25%でGBL中に分散した、18〜23nmのSiO2ナノ粒子)9.241gに添加し、30分間混合し、その後、静止状態を一晩維持した。その後、溶液をガラス基材上にコーティングし、空気下、50℃の温度で30分間、140℃で30分間及び200℃で60分間並びに−99kpaの真空雰囲気下、280℃で60分間焼成して樹脂薄膜を得た。
室温で、合成例3のポリイミド(PI−A)1gを10質量%となるようにGBL溶媒中に溶解したものを5μmのフィルタを通してゆっくりと加圧ろ過した。その後、溶液をガラス基材上にコーティングし、空気雰囲気下下、50℃の温度で30分間、140℃で30分間及び200℃で60分間焼成して樹脂薄膜を得た。
室温で、合成例3のポリイミド(PI−A)1gを10質量%となるようにGBL溶媒中に溶解したものを5μmのフィルタを通してゆっくりと加圧ろ過した。その後、ろ液をシリカゾル(GBL−M)(25.25%でGBL中に分散した、18〜23nmのSiO2ナノ粒子)9.241gに添加し、30分間混合し、その後、静止状態を一晩維持した。その後、溶液をガラス基材上にコーティングし、空気下、50℃の温度で30分間、140℃で30分間及び200℃で60分間並びに−99kpaの真空雰囲気下、280℃で60分間焼成して樹脂薄膜を得た。
上述の手順にて作製した例1ないし例6の樹脂薄膜を機械的切断にて剥がし、その後の評価に供した。
各樹脂薄膜の熱的性能及び光学性能、すなわち、線膨張係数(50〜200℃:CTE[ppm/℃])、5%重量減少温度(Td5%[℃])、光線透過率(T308nm[%]、T550nm[%])及びCIE b値(黄色評価:CIE b*)、並びにリタデーション(Rth[nm]、Ro[nm])に関して、上記手順に従いそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
尚、例1ないし例4で得られた本発明の樹脂薄膜は、これらを両手で持ち鋭角(30度程度)に曲げた場合においても割れることがなく、フレキシブルディスプレイ基板に要求される高い柔軟性も有していた。
上述の手順にて作製した例1、例3、例5及び例6の各樹脂薄膜がLLO法により剥離するか否かを評価した。
尚、LLO法としては以下の条件を採用した。
レーザー光源:マキシマレーザー XeCl(308nm)
エネルギー密度:200mJ/cm2、260mJ/cm2、317mJ/cm2、330mJ/cm2、420mJ/cm2
ステージ移動速度:7.8mm/秒
レーザービームサイズ:14mm×1.3mm(最大エネルギー時のサイズ:7.8mm×1.3mm)、レーザー光の重複する走査範囲は80%
結果を表2に示した。
尚、表中、○は樹脂薄膜が剥離したことを表し、×は剥離しなかったことを表す。
Claims (10)
- 前記テトラカルボン酸二無水物成分は、式(D1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を、テトラカルボン酸二無水物成分の全モル数に対して、1モル%ないし30モル%含む、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物。
- 更に、窒素吸着法により測定された比表面積値から算出される平均粒子径が100nm以下である二酸化ケイ素粒子を含む、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物。
- 前記ポリイミドと前記二酸化ケイ素粒子の質量比が、7:3〜3:7である、請求項5に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物。
- 前記平均粒子径が、60nm以下である、請求項5または請求項6に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物。
- レーザーリフトオフ法に用いるためのフレキシブルデバイスの基板形成用組成物である、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物。
- 請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物を用いて作成されたフレキシブルデバイス基板。
- 請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のフレキシブルデバイス基板形成用組成物を基材に塗布し、乾燥・加熱してフレキシブルデバイス基板を形成する工程、
レーザーリフトオフ法により前記基材から前記フレキシブルデバイス基板を剥離させる剥離工程を含む、フレキシブルデバイス基板の製造方法。
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