JPWO2018096936A1 - 光輝性顔料、顔料含有組成物、及び顔料含有塗装体 - Google Patents

光輝性顔料、顔料含有組成物、及び顔料含有塗装体 Download PDF

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Abstract

本発明は、フレーク状ガラスと、フレーク状ガラス上に形成された酸化チタン膜と、酸化チタン膜上に付着した金微粒子と、を備え、金微粒子は、粒径が20nm以上50nm未満の金微粒子P2を含み、金微粒子が付着した酸化チタン膜の表面の一辺を2μmとする正方形の領域において、金微粒子P2の数が9個以上100個未満であり、かつ金微粒子P2のそれぞれについての最も近い金微粒子P2までの距離の平均値が130nm以上500nm未満である、光輝性顔料、を提供する。

Description

本発明は、光輝性顔料、具体的にはフレーク状ガラスを基体として含む光輝性顔料に関し、より具体的には酸化チタン膜と金微粒子とを用いた光輝性顔料に関する。本発明はさらに、光輝性顔料を含有する組成物、及び塗膜が光輝性顔料を含む塗装体に関する。
光輝性顔料は、星のように輝く粒子状の反射が付加価値を与え得る製品群、例えば、自動車等の塗装に使用される塗料、筆記器具等に使用されるインキ、ファンデーションや口紅等の化粧料に添加されている。光輝性顔料の基体をフレーク状ガラスとすると、高い輝度感、澄んだ粒子感等の優れた外観が得られることが知られている。基体上に形成した酸化チタン膜により生じる干渉色を利用して各種の色調を実現した光輝性顔料も市販されている。
光輝性顔料をより鮮やかに発色させるために、金属微粒子の表面プラズモン共鳴による発色を利用することが提案されている。
特許文献1には、各種の板状顔料(基体顔料)と金属コロイド溶液とを接触させて板状顔料に金属微粒子を付着させた光輝性顔料が開示されている。特許文献1の実施例4は、フレーク状ガラスの表面を酸化チタン膜で被覆した赤色の基体顔料に金微粒子(金コロイド粒子)を付着させた光輝性顔料の作製例である。金微粒子は、古くから知られているように赤色の発色剤であり、この実施例においては赤色の基体顔料の鮮やかさを向上させている。特許文献1のその他の実施例においても、金微粒子は、基体顔料の赤色の鮮やかさを向上させる赤色の発色剤として使用されている(実施例1−3、6)。特許文献1の実施例で使用されている市販の金コロイド溶液には、粒径約10nmの金微粒子が含まれている。この程度の粒径の金微粒子が分散した金コロイド溶液は赤色に発色する。
特許文献1の実施例6では、雲母チタンである青色の基体顔料に金微粒子を付着させた光輝性顔料が作製されている。この実施例においても、金微粒子の発色は赤色であったことが確認されている。実施例の結果をまとめた表によると、基体顔料の干渉色(青色)と金微粒子による発色(赤色)とが相違する実施例6では、金属酸化物膜による干渉色と表面プラズモン共鳴による発色とを同色としたその他の実施例(実施例1−5)ほどには色の鮮やかさが改善されていない。特許文献1の各実施例の結果からも理解できるとおり、現在までのところ、光輝性顔料における金微粒子の使用は、実質的に赤色系の顔料に限られている。
一方、銀微粒子は、金微粒子とは異なり、青色、黄色を含む種々の色を呈する顔料の材料として使用されている。例えば、特許文献1の実施例5では、黄色系の基体顔料の鮮やかさの向上が、銀微粒子による黄色系の発色を利用することにより実現されている。この実施例では、市販の銀コロイド溶液が用いられている。この銀コロイド溶液には、粒径約5〜7nmの銀微粒子(銀コロイド粒子)が含まれている。この程度の粒径の銀微粒子が分散した銀コロイド溶液は、黄色の外観を有する。
また、特許文献2には、マイカである基体と酸化チタン膜と銀微粒子とを用いた顔料が開示されている。特許文献2では、酸化チタン膜への銀微粒子の付着は、銀コロイド溶液を用いず、酸化チタン膜を形成したマイカの存在下で硝酸銀を還元することにより実施されている。特許文献2の実施例7では、析出する銀の量を調整することによって銀微粒子の粒径を制御し、青色、黄色等の発色を得たことが報告されている。
特開2006−299051号公報 特開平2−32170号公報
コロイド溶液の状態においての鮮やかさの対比から、金微粒子は、赤色以外においても銀微粒子その他の金属微粒子よりも優れた発色剤になる潜在的な能力を有すると考えられる。金コロイド溶液において赤色以外の発色を得るためには、溶液に含まれる金微粒子の粒径をより大きく、例えば青色の発色を得るためには70nm程度以上に、制御する必要がある。しかし、この程度に大きい金微粒子から得られる青色の発色は、赤色の発色よりも弱く鮮やかさが乏しいものとなる。
金微粒子の発色剤としての潜在的な可能性は、赤色以外は勿論のこと、赤色においても十分に引き出されているとは限らない。本発明は、優れた発色剤である金微粒子により反射色の鮮やかさが向上した新たな光輝性顔料を提供することを目的とする。
従来、金コロイド溶液に含まれる金微粒子の粒径は、発色の色調を定める要因として考えられてきた。この考え方に基づいて酸化チタン膜を含む基体顔料の色の鮮やかさを向上させるためには、金微粒子の粒径は、色相角hにおける金微粒子による発色と基体顔料の干渉色との相違ができるだけ小さくなるように設定するべきことになる。例えば特許文献1では、赤色の鮮やかさの改善のために、粒径約10nmの金微粒子を含む金コロイド溶液が用いられている。この考え方に従うと、青色の鮮やかさの改善のためには、粒径70nm程度以上の金微粒子を用いるべきことになる。しかし驚くべきことに、酸化チタン膜を含む光輝性顔料においては、鮮やかさを改善するべき色の種類を問わず、粒径が20〜50nm程度にある金微粒子の存在が顔料の色の鮮やかさの向上に大きく寄与していることが確認された。この範囲の粒径を有する金微粒子の数及び配置を適切に制御すれば、酸化チタン膜に隣接する金微粒子の発色剤としての特性が適切に発現することになる。
本発明は、その一側面から、
フレーク状ガラスと、前記フレーク状ガラス上に形成された酸化チタン膜と、前記酸化チタン膜上に付着した金微粒子と、を備え、
前記金微粒子は、粒径が20nm以上50nm未満の金微粒子P2を含み、
前記金微粒子が付着した前記酸化チタン膜の表面の一辺を2μmとする正方形の領域において、前記金微粒子P2の数が9個以上100個未満であり、かつ前記金微粒子P2のそれぞれについての最も近い前記金微粒子P2までの距離の平均値が130nm以上500nm未満である、光輝性顔料、を提供する。
本発明は、例えば、酸化チタン膜と金微粒子とを用いた従来の赤色の光輝性顔料よりも色の鮮やかさが改善された光輝性顔料、また例えば、酸化チタン膜と金微粒子とを用い、青色又は緑色に鮮やかに発色する光輝性顔料、を提供することができる。すなわち、本発明は、その別の一側面から、
フレーク状ガラスと、前記フレーク状ガラス上に形成された酸化チタン膜と、前記酸化チタン膜上に付着した金微粒子と、を備え、
D65光源を用いて測定した反射色が、L**h表色系に基づいて13以上のC*と、30以下、150以上300以下、又は330以上の範囲のhとにより示される、光輝性顔料、を提供する。
緑色の光輝性顔料については、銀微粒子を用いた光輝性顔料においても反射色の鮮やかさを改善した報告がない。緑色の反射色はその彩度の向上が難しい。しかし、本発明を適用すれば、緑色の反射色の鮮やかさが従来よりも改善された光輝性顔料、を提供することも可能である。すなわち、本発明は、その別の一側面から、
フレーク状ガラスと、前記フレーク状ガラス上に形成された酸化チタン膜と、前記酸化チタン膜上に付着した金微粒子と、を備え、
D65光源を用いて測定した反射色が、L**h表色系に基づいて8以上のC*と、150以上210以下のhとにより示される、光輝性顔料、を提供する。
この光輝性顔料の反射色のC*は、8以上15未満、例えば8.0以上14.95以下8以上13未満、8.0以上12.95以下、の範囲にあってもよい。
本発明においては、酸化チタン膜との関係において金微粒子の発色剤としての性能が適切に発現され、それによって反射色の鮮やかさが向上した光輝性顔料が提供される。
以下、本発明の詳細を説明するが、以下の説明は、本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。
本明細書において、「赤色系」は、L**h表色系において、色相角であるhが45未満又は315以上にあることを意味する。また、「黄色系」はhが45以上135未満にあることを、「緑色系」はhが135以上225未満にあることを、「青色系」はhが225以上315未満にあることをそれぞれ意味する。「赤色」は、L**h表色系において、色相角であるhが30以下又は330以上にあることを、「緑色」はhが150以上210以下にあることを、「青色」はhが240以上300以下にあることをそれぞれ意味する。ただし、「青色又は緑色」は、青色と緑色との中間色を含む範囲に対応し、hが150以上300以下にあることを意味する。なお、L**h表色系において、彩度を示すC*は、その値が大きいほど、その色が鮮やかであることを意味する。本発明の光輝性顔料による反射色は、赤色系を含む上記各色系、特に赤色系、青色系及び緑色系においてその鮮やかさの改善が顕著となる。光輝性顔料の反射色の測定は、実施例の欄で記述する方法に従って測定することができる。
また、「金微粒子P1」は粒径20nm未満の金微粒子を、「金微粒子P2」は粒径20nm以上50nm未満の金微粒子を、「金微粒子P3」は粒径50nm以上の金微粒子をそれぞれ意味する。
本発明において、光輝性顔料は、フレーク状ガラスと、フレーク状ガラス上に形成された酸化チタン膜と、酸化チタン膜上に付着した金微粒子と、を備えている。
フレーク状ガラスは、鱗片状ガラス等とも呼ばれる微細な板状のガラス基体である。フレーク状ガラスを構成するガラス組成物は、特に制限はないが、通常、二酸化珪素を主成分とし、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化ナトリウム等その他の金属酸化物成分をさらに含むものが用いられる。なお、ここでは、「主成分」を質量基準で含有率が最大となる成分を意味する用語として用いている。用い得るガラス組成物としては、ソーダライムガラス、Aガラス、Cガラス、Eガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス等を例示できる。
フレーク状ガラスの好ましい平均粒径は、3〜500μm、特に3〜200μmである。なお、フレーク状ガラスの平均粒径は、レーザ回折法により測定した光散乱相当径の粒度分布において、粒径が小さい側からの体積累積が50%に相当する粒径(D50)により定めることとする。フレーク状ガラスの好ましい厚みは、0.1〜50μm、特に0.1〜10μmである。
フレーク状ガラスは、例えばブロー法により製造することができる。ブロー法とは、原料カレットを溶融し、溶融したガラスを円形スリットから連続的に取り出し、その際に円形スリットの内側に設けられたブローノズルから空気等の気体を吹き込んで溶融したガラスを膨らませてバルーン状とし、膨張して薄くなったガラスを粉砕してフレーク状(鱗片状)とする方法である。フレーク状ガラスとしては、例えば日本板硝子株式会社よりガラスフレーク(登録商標)シリーズとして販売されている市販品を使用することが可能である。
フレーク状ガラスの表面は、雲母等の結晶性粒体と比較して平滑性に優れ、光を散乱させずに反射させる傾向が強い。また、フレーク状ガラスは透明であるために、フレーク状ガラスを基体とする光輝性顔料からは、半透明の結晶性粒体を用いたときに観察されることがある反射色の白濁が生じにくい。フレーク状ガラスを基体とする光輝性顔料からは、高い輝度感、澄んだ粒子感等の外観を生み出す優れた光反射特性が得られやすい。フレーク状ガラスの使用は高いC*の達成にも有利である。
酸化チタンは、屈折率が高く、発色性に優れた膜の形成に適している。酸化チタンは、アナターゼ型、ブルーカイト型、ルチル型の3種の結晶型を有し、アナターゼ型及びルチル型が工業的に量産されている。好ましい酸化チタンの結晶型はルチル型である。ルチル型の酸化チタンは、光触媒活性が低いために光輝性顔料が添加される塗料等のマトリクス材料に影響を与えにくく、屈折率が最も高い。
フレーク状ガラス上へのルチル型酸化チタン膜の成膜は、例えば特開2001−31421号公報、特開2003−12962号公報等に開示されている方法を参照して実施すればよい。上記公報に開示されている方法では、四塩化チタン等のチタン化合物を含む溶液中においてフレーク状ガラス上にルチル型酸化チタンが析出して被膜が形成される。チタン化合物を含む、温度55〜85℃、pH1.3以下の溶液に、アルカリ性化合物又はアルカリ性溶液を添加することにより、ルチル型酸化チタンをフレーク状ガラス上に析出させることができる。予めフレーク状ガラスにスズ又はスズ化合物を付着させておくと、ルチル型酸化チタンの析出は促進される。この方法は、予め金微粒子を付着させたフレーク状ガラス上にルチル型酸化チタン膜を形成する手法として用いることもできる。この方法を用いれば、結晶転移のための加熱を必要とせずにルチル型酸化チタン膜を形成することができる。
ルチル型酸化チタン膜が表面に形成されたフレーク状ガラスは、日本板硝子株式会社よりメタシャイン(登録商標)チタニアコートシリーズとして販売されている。金微粒子を付着させるべき基体顔料としてこのような市販品を使用してもよい。
酸化チタン膜による光干渉により、この膜を有する基体顔料は、その膜厚に応じた色調に発色する。フレーク状ガラス上に成膜した酸化チタン膜は、例えば、厚み100nm程度で黄色を、厚み130nm程度で赤色を、厚み160nm程度で青色を、厚み175nm程度で緑色をそれぞれ呈する。ただし、成膜条件その他によっては、酸化チタン膜の膜厚が同じであっても色調が微妙に異なることはある。黄色系に発色させるためには、酸化チタン膜の膜厚を80nm以上115nm未満の範囲とすることが好ましい。赤色系に発色させるためには、酸化チタン膜の膜厚を115nm以上150nm未満の範囲とすることが好ましい。青色系に発色させるためには、酸化チタン膜の膜厚を150〜165nmの範囲とすることが好ましい。緑色系に発色させるためには、酸化チタン膜の膜厚を165nmを超え185nm以下の範囲とすることが好ましい。青色又は緑色の光輝性顔料を得るためには、酸化チタン膜の膜厚を150〜185nmの範囲、特に155〜180nmの範囲とすることが好ましい。
金微粒子は、金コロイド溶液を、酸化チタン膜が形成されたフレーク状ガラスに接触させることにより、酸化チタン膜の表面に付着させることができる。金コロイド溶液は、例えば、塩化金酸等の金化合物を溶液中で還元することにより調製できる。
金微粒子の鮮やかな赤色は、表面プラズモン共鳴により生じている。上述した公知の方法により調製した金コロイド溶液に含まれる金微粒子(金コロイド粒子)は、通常、5〜40nm、特に5〜30nm程度の平均粒径を有し、赤色を呈する。ただし、製法によっては平均粒径が1〜5nm程度の金コロイド粒子も得られる。上述したように、金コロイド溶液において金コロイド粒子が凝集してその粒径が大きくなると、吸収波長が長波長側に移行するために、発色は赤色から淡青色ないし紫色に変化する。なお、金コロイド溶液における金微粒子(金コロイド粒子)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。この場合、金微粒子の平均粒径は、例えば10〜20個、好ましくは100個の金微粒子の粒径を測定してその平均値とするとよい。
適切な粒径を有する金微粒子を適切に配置すれば、酸化チタン膜が形成されたフレーク状ガラスである基体顔料の色の鮮やかさを赤色に限ることなく改善することができる。この改善は、例えば、金微粒子を含む金コロイド溶液から基体顔料の酸化チタン膜に金微粒子を付着させ、この基体顔料を適切に加熱することにより実施できる。ただし、金微粒子は、加熱によって凝集が可能な状態で金コロイド溶液に分散していることが好ましい。
一般に、市販の金コロイド溶液には、凝集防止作用が強い安定化剤(保護剤)が金微粒子の凝集を十分に防止できる程度の濃度で含まれており、上述の改善には不適である。特許文献1で用いられているような、あるいは本願比較例で使用したような市販の金コロイド溶液には、通常、金コロイド粒子の分散状態を維持するために、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)に代表される凝集防止作用が強い安定化剤(保護剤)が容易には金微粒子が凝集しない程度の濃度で添加されている。金微粒子が凝集しやすいと金コロイド溶液には色が変化しやすいという問題が生じるためである。従来、光輝性顔料における金微粒子による発色が赤色以外に利用されておらず、赤色においても十分な鮮やかさが得られていなかった理由の一つは、凝集防止作用が強い安定化剤の存在によって金微粒子の凝集状態の変化が制限されていたことにあると考えられる。
金微粒子の凝集状態の変化を生じやすくしながら金微粒子の分散状態を保持するためには、適切な安定化剤を適切な濃度で金コロイド溶液に添加することが望ましい。凝集防止作用が適切である安定化剤としては、クエン酸及びその塩を例示できる。安定化剤の適切な濃度は、安定化剤の種類、金微粒子の濃度等にもよるために一律に記述しがたいが、例えば、クエン酸及びその塩については、金に対し、モル比1〜9、好ましくはモル比1.5〜3となる範囲とするとよい。この濃度は、加熱によってその凝集状態が変化する程度に金コロイド溶液中で金微粒子(金コロイド粒子)を安定化できる濃度である。クエン酸及びその塩は、溶液中で金含有塩を還元して金微粒子を生成するための還元剤としても機能する。
酸化チタン膜又はフレーク状ガラスに接触させる金コロイド溶液に含まれる金微粒子の平均粒径は、特に限定されるわけではないが、1nm以上、さらには3nm以上、特に5nm以上が望ましく、30nm以下、さらには20nm以下が望ましく、特に15nm以下が好ましく、10nm以下であってもよい。この範囲の粒径を有する金微粒子は、表面プラズモン共鳴によって波長510〜535nmの範囲に吸収ピークを有し、金コロイド溶液において赤色系の外観を有する。しかし、赤色系以外の反射色の鮮やかさの改善についても、上記範囲の平均粒径を有する金微粒子が分散した金コロイド溶液を用いることが可能であり、適切である。
金微粒子を付着させる際には、金コロイド溶液を酸性に、具体的にはpHが1〜5、特に2〜4となるように調整することが好ましい。金コロイド溶液のpHをアルカリ性とすると、金微粒子(金コロイド粒子)の負の表面電荷による反発力が低下して、金微粒子が凝集して大きくなり過ぎる傾向がある。
光輝性顔料の反射色の鮮やかさと金微粒子の粒径や分散の状態を種々調査したところ、反射色の色調によらず、反射色の鮮やかさ、すなわちL**h表色系のC*の向上には、粒径20nm以上50nm未満の金微粒子P2の寄与が大きいことが確認された。これに対し、粒径20nm未満の金微粒子P1及び粒径50nm以上の金微粒子P3は、色の鮮やかさの向上への貢献の程度が相対的に小さい範囲に止まる。
金微粒子P2は金コロイド溶液中では赤色系に発色するため、赤色系以外の反射色の鮮やかさの改善についても金微粒子P2の寄与が大きいことは予想に反する結果であった。この結果には、金微粒子と酸化チタン膜を構成する酸化チタン結晶との相対的な位置関係が影響を及ぼしていると考えられる。例えば、酸化チタン結晶粒の上に存在する金微粒子と、酸化チタン結晶粒の粒界に存在する金微粒子とでは、粒径が同一であったとしても、酸化チタンとの接触の程度、すなわち金/酸化チタンの界面の大きさが相違する。表面プラズモン共鳴による光の吸収は、金属に隣接する誘電体の種類に大きな影響を受けることから、これらの金微粒子における表面プラズモン共鳴による光の吸収波長は同一にならない。この場合、酸化チタンの結晶粒の粒界に存在して屈折率が相対的に高い酸化チタンに挟まれた金微粒子からは、金コロイド溶液中や結晶粒上の金微粒子と比較して、可視域短波長側の発色が得られることになる。
酸化チタンの結晶粒の粒界への金微粒子の配置は、上述の範囲の平均粒径を有する金微粒子が分散した金コロイド溶液から金微粒子を供給した後、これらの金微粒子が凝集しながら相対的に安定な位置である結晶粒の粒界に移動できるように、加熱して熱エネルギーを与えることにより実施することができる。この状態でさらに加熱を続けると、酸化チタン結晶粒の焼結の進行によって粒界内に金微粒子P2が埋め込まれることもあると考えられる。金微粒子P2は、酸化チタンの結晶粒の粒界への嵌め込みに適した大きさを有し、そのために、赤色より短波長域において反射色の鮮やかさの改善への寄与が大きなものになると推察される。
粒界の通常の大きさから考えると、金微粒子P3はやや大きすぎる。また、市販の金コロイド溶液から供給した金微粒子は、加熱後においても、金微粒子のほとんど、例えば90%以上が金微粒子P1から構成されることになりやすい。この程度に金微粒子の凝集及び移動が制限されている状態では、酸化チタン結晶粒の粒界に移動して可視域短波長側で発色する金微粒子は少量にとどまることになる。
一方、金微粒子P2が赤色の反射色の鮮やかさの向上にも大きく寄与することは、上述の理由からは説明できない。赤色系の反射色における金微粒子P2による鮮やかさの相対的に大きな改善には、おそらくは、粒径の相違を反映し、金微粒子P2の結晶子が金微粒子P1の結晶子よりも大きいことが影響している。ただし、金微粒子P2による表面プラズモン共鳴による赤色系の色相角hが金微粒子P1による色相角hよりも酸化チタン膜の赤色系の干渉色の色相角hに近いことが一因になっている可能性がある。あるいは、酸化チタン膜上では金微粒子P2による表面プラズモン共鳴の吸光係数が金微粒子P1による吸光係数を大きく上回っている可能性もある。いずれにしても、赤色に発色させるべき場合は、金微粒子P2が、酸化チタンの結晶粒の粒界に移動し、さらには埋め込まれないように、加熱温度を高くしすぎないことが望ましい。
反射色の彩度の向上には、酸化チタン膜の表面の1辺2μmの正方形の領域において、金微粒子P2の数が一定数以上であること、具体的には9個以上であることが適切である(条件I)。金微粒子P2の数は、12個以上、さらには13個以上、特に15個以上、とりわけ16個以上が望ましい。金微粒子P2は過剰に存在する必要はなく、上記領域における金微粒子P2の数は100個未満であってよい。金微粒子P2の数は、70個未満、さらには50個未満、特に30個未満であってもよい。
さらに、反射色の彩度の向上には、酸化チタン膜の表面における金微粒子P2の分布が過度に偏っていないこと、言い換えると金微粒子P2同士の最短距離が短すぎない範囲にあることが望ましいことも確認された。具体的には、酸化チタン膜の表面の1辺2μmの正方形の領域において、金微粒子P2のそれぞれについての最も近い金微粒子P2までの距離、言い換えると各金微粒子P2について測定した金微粒子P2間の最短距離(以下、「最短P2間距離」という)の平均値が130nm以上500nm未満であることが適切である(条件II)。最短P2間距離の平均値は、150nm以上、また170nm以上、さらには174nm以上、特に180nm以上、とりわけ200nm以上であってもよい。この条件IIが成立し、金微粒子P2の分布が過度に偏っていない状態は、酸化チタンの結晶粒の粒界に存在する金微粒子P2の数が制限されにくくなっている状態でもあると考えられる。また、この状態は、金微粒子P2が偏らずに存在し、赤色を含む各色に効率的に発色している状態でもあると考えられる。
条件Iを前提とすると、最短P2間距離の平均値が130nm以上程度であれば金微粒子P2の分布は偏りすぎていないと言える。ただし、最短P2間距離の平均値は、適切な数の金微粒子P2を存在させるために、400nm未満、さらには350nm未満程度にまで小さくても構わない。なお、最短P2間距離は、金微粒子P2それぞれについて測定されるから、例えば上記領域に10個の金微粒子P2が存在する場合、最短P2間距離の平均値は各微粒子について測定した10の値の合計を10で除した値になる。
反射色の彩度の向上には、酸化チタン膜の表面の1辺2μm四方の領域において、金微粒子P2と共に、あるいは金微粒子P2及びP3と共に、粒径20nm未満の金微粒子P1が存在し、金微粒子P1の数が100個未満であって同領域における金微粒子P2の数の60%よりも多いことが望ましい(条件III)。上記領域における金微粒子P1の数は80個未満であってもよい。また、金微粒子P1の数は、金微粒子P2の数の70%よりも多い範囲にあってもよく、80%よりも多い範囲にあってもよく、金微粒子P2の数よりも多い範囲(100%よりも多い範囲)にあってもよい。多すぎる金微粒子P1の存在は反射色の彩度の向上に適していない。しかし、金微粒子P2が加熱に伴う凝集によって金微粒子P1の一部から生成する好ましい態様では、金微粒子P1が上記領域に上述した程度に残ることになる。
反射色の彩度の向上には、酸化チタン膜の表面の1辺2μm四方の領域において、粒径50nm以上の金微粒子P3の数が同領域における金微粒子P1の数と金微粒子P2の数との合計の40%未満であることが望ましい(条件IV)。金微粒子P3の数は金微粒子P1の数と金微粒子P2の数との合計の30%未満であってもよい。
反射色の彩度の向上には、酸化チタン膜の表面の1辺2μm四方の領域において、粒径50nm以上の金微粒子P3の数が同領域における金微粒子P2の数の120%未満の範囲にあることが望ましい(条件V)。金微粒子P3の数は金微粒子P2の数の100%以下の範囲にあってもよい。例えば加熱による金微粒子の凝集が進みすぎると金微粒子P3が過度に生成する。
本発明の一形態において、光輝性顔料は、条件I及びIIと、条件III〜Vの少なくとも一つ、好ましくは任意の二以上とを具備している。市販の金コロイド溶液に含まれる金微粒子は、通常その粒径がよく揃っていて、その粒径分布は平均粒径近傍に鋭いピークを有し、典型的にはその平均粒径が10nm程度に調整されている。このため、市販の金コロイド溶液から金微粒子を基体顔料に付着させただけでは、その金微粒子が、条件I及びIIを満たすこと、さらには条件III〜Vの少なくとも一つを満たすことは生じ得ない。市販の金コロイド溶液から条件Iを満たすように金微粒子を付着させると、最短P2間距離が短くなって条件IIが満たされなくなる。
フレーク状ガラス上に酸化チタン膜を形成した基体顔料による反射色の鮮やかさは、L**h表色系のC*により表示して、概ね8以下、例えば4〜8の範囲にある。しかし、基体顔料の色に拘わらず、金微粒子の潜在的に優れた発色性をうまく利用すれば、基体顔料を用いた光輝性顔料の反射色の鮮やかさを大きく、C*により表示して13以上にまで、向上させることは可能である。本発明の一態様からは、青色又は緑色であって、C*により表示して、15以上、さらには20以上、時には23以上、特に25以上、とりわけ30以上、場合によっては32以上にまで到達する鮮やかさを有する反射色を呈する光輝性顔料が提供される。また、本発明の別の一態様からは、赤色であって、C*により表示して、13以上、さらには20以上、特に23以上、とりわけ23.5以上にまで到達する鮮やかさを有する反射色を呈する光輝性顔料が提供される。さらに、本発明のまた別の一態様からは、緑色であって、C*により表示して、8以上、さらには10以上、特に12以上、例えば8.0〜14.95、また例えば8.3〜14.9の鮮やかさを有する反射色を呈する光輝性顔料が提供される。
市販の金コロイド溶液から赤色の金微粒子を表面に付着させる従来の手法を適用しただけでは、得られる光輝性顔料の反射色の鮮やかさはC*により表示して10未満であった。C*により表示して13以上、場合によっては23以上にまで到達する赤色の鮮やかさの向上は特筆に値する改善である。また、酸化チタン膜により青色又は緑色を呈する基体顔料の発色の鮮やかさの向上については、赤色とは異なり、これまで適切な手段が見出されていなかった。金微粒子の付着及び加熱によるC*の向上(ΔC*)は、10以上、さらには20以上、特に25以上にまで及ぶことがある。
青色と緑色とを比較すると、緑色の基体顔料を用いた場合よりも青色の基体顔料を用いた場合において発色の鮮やかさは大きく向上する。青色(h:225〜300)については、酸化チタン膜による干渉色と酸化チタン結晶粒との界面を有する金微粒子による発色とがよく一致するために、C*が25以上に至る程度にまで光輝性顔料の発色の鮮やかさが大きく向上することもあると推察される。しかし上述したように、緑色の基体顔料の彩度はその改善が困難であった。本発明を適用した緑色の光輝性顔料は、同様に作製した青色よりもその彩度が劣っていたとしても、利用価値は青色に劣らない。後述する実施例に示すように、同一の仕込み金担持率から得られる青色のC*に対する緑色のC*は50〜65%程度に止まっている(青色のC*15.3(実施例6)の仕込み金担持率0.04%に対応する緑色のC*はその55%程度の8.4になることが確認されている)。しかし、この程度の彩度であっても、緑色に関しては、従来は得られなかった鮮やかな反射色である。
金微粒子の凝集状態を変化させるために、金微粒子が付着した基体顔料の加熱は、干渉色発現のための膜である酸化チタン膜以外の被膜が金微粒子に接していない状態で実施することが好ましい。シリカ膜のようなアモルファスの保護膜が金微粒子を覆っていると、加熱による金微粒子の凝集状態の変化が阻害されるためである。光輝性顔料は、金微粒子に直接接触するシリカ膜を有さないことが好ましい。
金微粒子が付着した基体顔料の好ましい加熱温度は、一般に、80℃以上、より具体的には100〜900℃、さらには350〜750℃、特に500〜700℃である。金微粒子が付着した基体顔料の好ましい加熱時間は、通常、5分〜3時間、特に30分〜2.5時間であるが、低温域で実施する乾燥を兼ねる加熱についてはより長い時間実施してもよい。言うまでもなく、加熱温度及び加熱時間は、発色の鮮やかさの改善の程度を指標として適切に設定するとよい。
加熱温度及び加熱時間は、彩度を向上させるべき反射色に応じて適切に調整することが望ましい。例えば赤色系の彩度の向上のためには、加熱温度は、120〜200℃、特に150〜200℃が適切である。この場合、加熱時間は、加熱温度にもよるが、例えば5〜20時間の範囲とするとよい。また、赤色以外の反射色の彩度の向上のためには、加熱温度は、350〜900℃、特に500〜700℃が適切である。この場合、加熱時間は、加熱温度にもよるが、例えば30分〜2.5時間の範囲とするとよい。
加熱温度が高温になると金微粒子の結晶子径は増大する。結晶子径の増大の程度は温度が高いほど大きくなり、結晶子径が増大するにつれて反射色の鮮やかさは向上する傾向にある。この傾向は、赤色以外の反射色、特に青色又は緑色の光輝性顔料において顕著である。光輝性顔料において、金微粒子の結晶子径は、12nm以上、さらに14nm以上が好ましく、場合によっては20nm以上であってもよい。金微粒子の結晶子径は、その上限について特段の制限はないが、例えば100nm以下、さらには50nm以下である。
金微粒子の担持率は、所望の発色に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01〜3%、好ましくは0.03〜2%、さらに好ましくは0.05〜1%である。ここで、担持率とは、光輝性顔料における、フレーク状ガラス、酸化チタン膜及び金微粒子の合計質量に対する、金微粒子の質量の比率である。
本発明による光輝性顔料は、各種組成物に配合されることにより鮮やかな発色を示す。本発明は、その別の側面から、本発明による光輝性顔料を含む顔料含有組成物を提供する。顔料含有組成物としては、塗料、インキ、化粧料及び樹脂組成物から選ばれる少なくとも1つを例示できる。樹脂組成物としては、人造大理石成型品を例示できる。
また、本発明は、さらに別の側面から、基材と、本発明による光輝性顔料を含む、基材上に形成された塗膜とを備えた顔料含有塗装体を提供する。顔料含有塗装体は、塗装紙であってもよい。この場合の基材は紙であるが、基材は紙に限られるわけでなく、金属、樹脂、セラミックスその他であってもよい。塗膜は、本発明による顔料含有組成物から構成されていてもよく、本発明による顔料含有組成物を基材上に塗布することによって形成されていてもよい。
顔料含有組成物及び顔料含有塗装体の好ましい実施形態や具体例は、本出願人が過去に提出してきた出願の公開公報(例えば特開2008−63525号公報)に開示されているとおりであり、同様の組成物や塗装体自体はよく知られているから、ここでは、化粧料に関する以下の記載を除いて、その説明を省略する。
化粧料としては、フェーシャル化粧料、メーキャップ化粧料、ヘア化粧料等が挙げられる。特に、アイシャドー、ネイルエナメル、アイライナー、マスカラ、口紅、ファンシーパウダー等のメーキャップ化粧料において、本実施形態の光輝性顔料は特に好適に使用される。化粧料の形態としては、特に限定されないが、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、軟膏状、液状、乳液状、クリーム状等が挙げられる。
なお、本発明の好ましい実施形態によれば、光輝性顔料を含む顔料含有組成物又は顔料含有塗装体において、基体顔料を添加した場合と比較して、反射光に関し、いわゆるハイライトが大きく増加し、かついわゆるシェードが大きく減少することにより、メタリック調の外観が顕著に強調される。シェードの減少は、再配列によって金微粒子による光反射の方向が揃うために、乱反射が減少することに起因すると考えられる。
(実施例1:赤色光輝性顔料)
・金コロイド溶液の調製
塩化金酸四水和物(粉末、大浦貴金属工業製、純度99.0%以上)100gを480gの水で希釈し、17.24質量(wt)%の塩化金酸溶液を作製した。また、クエン酸ナトリウム(ナカライテスク製)を純水で10wt%に希釈したクエン酸ナトリウム溶液を作製した。1Lの丸底フラスコに17.24wt%の塩化金酸溶液2.00gと純水994.99gとを投入し、100℃に保持しながら30分加熱還流した。引き続き、丸底フラスコに10wt%クエン酸ナトリウム溶液3.01gを投入し、100℃に保持しながらさらに30分加熱還流した後、丸底フラスコを水中で室温まで冷却して、金コロイド溶液を得た。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて得られた金微粒子(金コロイド粒子)の1次粒径を測定し、平均粒径を算出した。金コロイド粒子の平均粒径は5〜10nmの範囲にあった。
・基体顔料への金微粒子の付着
上記合成方法で作製した金コロイド溶液800gと赤色の基体顔料50gとを1Lビーカーに投入した。用いた基体顔料は、フレーク状ガラス上に厚み130nmのルチル型酸化チタン膜を形成した日本板硝子製「メタシャインMT1080RR」である。なお、この基体顔料及び以下で使用した基体顔料を構成するフレーク状ガラスは、粒径が約80μm、厚みが約1.3μmである。ビーカー内で攪拌羽根を用いて金コロイド溶液及び基体顔料を攪拌しながら塩酸を投入してpHを2〜4に調整し、10分攪拌を行った。その後、ろ過により上澄み液から光輝性顔料を分離し、光輝性顔料を180℃で12時間熱処理した。こうして、鮮やかな赤色に発色する光輝性顔料を得た。
(実施例2:赤色光輝性顔料)
実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液3060gを用いた以外は実施例1と同様にして、鮮やかな赤色に発色する光輝性顔料を得た。
(実施例3:赤色光輝性顔料)
実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液132gを用いた以外は実施例1と同様にして、鮮やかな赤色に発色する光輝性顔料を得た。
(実施例4:青色光輝性顔料)
実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液800gと青色の基体顔料50gとを1Lビーカーに投入した。用いた基体顔料は、フレーク状ガラス上に厚み160nmのルチル型酸化チタン膜を形成した日本板硝子製「メタシャインMT1080RB」である。ビーカー内で攪拌羽根を用いて金コロイド溶液及び基体顔料を攪拌しながら塩酸を投入してpHを2〜4に調整し、10分攪拌を行った。その後、ろ過により上澄み液から光輝性顔料を分離し、光輝性顔料を700℃で2時間熱処理した。こうして、鮮やかな青色に発色する光輝性顔料を得た。
(実施例5:青色光輝性顔料)
実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液3060gを用いた以外は実施例4と同様にして、鮮やかな青色に発色する光輝性顔料を得た。
(実施例6:青色光輝性顔料)
実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液40gを用いた以外は実施例4と同様にして、鮮やかな青色に発色する光輝性顔料を得た。
(実施例7:緑色光輝性顔料)
実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液800gと緑色の基体顔料50gとを1Lビーカーに投入した。用いた基体顔料は、フレーク状ガラス上に厚み175nmのルチル型酸化チタン膜を形成した日本板硝子製「メタシャインMT1080RG」である。ビーカー内で攪拌羽根を用いて金コロイド溶液及び基体顔料を攪拌しながら塩酸を投入してpHを2〜4に調整し、10分攪拌を行った。その後、ろ過により上澄み液から光輝性顔料を分離し、光輝性顔料を700℃で2時間熱処理した。こうして、鮮やかな緑色に発色する光輝性顔料を得た。
(実施例8:緑色光輝性顔料)
実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液3060gを用いた以外は実施例7と同様にして、鮮やかな緑色に発色する光輝性顔料を得た。
(比較例1:赤色光輝性顔料)
金コロイド溶液としてBBI Solutions社製の金コロイド溶液「EMGC10」17.6gと純水20gとの混合液を用い、赤色の基体顔料の量を2gとしたこと以外は実施例1と同様にして、赤色に発色する光輝性顔料を得た。なお、本比較例及び比較例3においては、基体顔料に対する金微粒子の量が実施例3及び6と同一となる。
(比較例2:赤色光輝性顔料)
・金コロイド溶液の調製
3−アミノ−1−プロパノール(東京化成製)133.5g、純水58.0g、カゼイン(キシダ化学製)8.4gをビーカーに投入し、攪拌した。ここに、30.8wt%塩化金酸溶液522.4gを投入し、攪拌した。引き続き、ジメチルアミンボラン(和光純薬製)0.7gと純水174.1gとを混合したものを投入し、30分攪拌することにより、金コロイド溶液(金濃度:10.2%)を得た。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて得られた金微粒子(金コロイド粒子)の1次粒径を測定し、平均粒径を算出した。金コロイド粒子の平均粒径は5〜10nmの範囲にあった。
・基体顔料への金微粒子の付着
上記合成方法で作製した金コロイド溶液0.196g、純水50g、赤色の基体顔料(日本板硝子社製メタシャインMC1080RR)2gをビーカーに投入した。ビーカー内で攪拌子を用いて金コロイド溶液及び基体顔料を攪拌しながら水酸化ナトリウムを投入してpHを10.7〜11.3に調整し、10分間攪拌を行った。その後、ろ過により上澄み液から光輝性顔料を分離し、100℃で1時間乾燥させ、次いで700℃で1時間焼成し、赤色に発色する光輝性顔料を得た。
(比較例3:青色光輝性顔料)
金コロイド溶液としてBBI Solutions社製の金コロイド溶液「EMGC10」17.6gと純水20gとの混合液を用い、青色の基体顔料の量を2gとしたこと以外は実施例4と同様にして、青色に発色する光輝性顔料を得た。
(比較例4:青色光輝性顔料)
金コロイド溶液として、実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液132gにこの溶液のpHが11になるように水酸化ナトリウム水溶液を投入して得た青紫色の金コロイド溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして、青色に発色する光輝性顔料を得た。
(比較例5:緑色光輝性顔料)
金コロイド溶液として、実施例1と同様にして作製した金コロイド溶液132gにこの溶液のpHが11になるように水酸化ナトリウム水溶液を投入して得た青紫色の金コロイド溶液を用いた以外は、実施例7と同様にして、緑色に発色する光輝性顔料を得た。
(粉体の測色)
上記実施例、比較例及び参照例から得た光輝性顔料の粉体と用いた基体顔料の粉体に関し、分光測色計「CM−5」(コニカミノルタ製)を使用して測色を実施した。測色する粉体は微小シャーレ(φ3mm)に充填して測定に供した。光源はD65を用い、SCE(正反射光除去)法、視野角2°の条件で測色した。
(金微粒子の分散性の評価)
走査型電子顕微鏡を用いて光輝性顔料の反射電子像により、金微粒子の分散性を評価した。電界放射型走査型電子顕微鏡「S−4700」(日立ハイテク製)を用い、観察倍率20000倍、加速電圧20kV、試料傾斜0°の条件で測定した。なお、測定試料は、導電性両面テープに固定した後、導電処理のためにPt−Pdコーティングを施した。1つの測定試料について上記倍率の画像を4視野撮影した。1視野において1辺2μmの正方形の枠を任意の箇所に設定し、枠内に存在する金微粒子をカウントした。このとき、粒径に応じ、粒径20nm未満を金微粒子P1、粒径20nm以上50nm未満を金微粒子P2、粒径50nm以上を金微粒子P3にそれぞれ分類した。4視野分の測定値を平均し、2μm四方に存在する金微粒子P1〜P3の個数とした。
さらに、上記枠内に存在する金微粒子P2のそれぞれについて、その金微粒子P2に最も近い金微粒子P2までの距離(最短P2間距離)を測定し、その平均値を算出した。さらに4視野分の測定値を平均し、平均最短P2間距離とした。
各実施例及び比較例の測定結果を表1に示す。
Figure 2018096936
比較例1、2、4及び5では金微粒子P2の数が9個未満となった。また、比較例3では、金微粒子P2の数は9個を超えたが、最短P2間距離の平均値が130nmを下回り、90nm程度となった。比較例1〜5において金微粒子P2の数が9〜100個の範囲になると共に最短P2間距離の平均値が130〜500nmの範囲にならなかったのは、比較例1及び3では凝集防止作用が強い安定化剤(保護剤)が金微粒子の凝集を十分に防止する濃度で含まれている市販の金コロイド溶液を用いたためであり、比較例2、4及び5では基体顔料と接触させる金コロイド溶液をアルカリ性としたためである。比較例1〜5の光揮性顔料の彩度C*は、同じ色系で比較すると、金微粒子P2の数が9〜100個であって最短P2間距離の平均値が130〜500nmである各実施例の光揮性顔料の彩度C*よりも低くなった。これらの結果から、従来の手法(例えば特許文献1の実施例4を含む実施例)から高い彩度C*が得られないことは明らかである。

Claims (12)

  1. フレーク状ガラスと、前記フレーク状ガラス上に形成された酸化チタン膜と、前記酸化チタン膜上に付着した金微粒子と、を備え、
    前記金微粒子は、粒径が20nm以上50nm未満の金微粒子P2を含み、
    前記金微粒子が付着した前記酸化チタン膜の表面の一辺を2μmとする正方形の領域において、前記金微粒子P2の数が9個以上100個未満であり、かつ前記金微粒子P2のそれぞれについての最も近い前記金微粒子P2までの距離の平均値が130nm以上500nm未満である、光輝性顔料。
  2. 前記金微粒子は、粒径が20nm未満の金微粒子P1をさらに含み、
    前記領域において、前記金微粒子P1の数が、100個未満であって前記金微粒子P2の数の60%よりも多い、請求項1に記載の光輝性顔料。
  3. 前記領域において、前記金微粒子に含まれる粒径が50nm以上の金微粒子P3の数が、前記金微粒子P1の数と前記金微粒子P2の数との合計の40%未満である、請求項2に記載の光輝性顔料。
  4. 前記領域において、前記金微粒子に含まれる粒径が50nm以上の金微粒子P3の数が、前記金微粒子P2の数の120%未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光輝性顔料。
  5. 前記領域において、前記金微粒子P2の数が15個以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光輝性顔料。
  6. D65光源を用いて測定した反射色がL**h表色系に基づいて13以上のC*により示される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光輝性顔料。
  7. 前記反射色が前記表色系に基づいて30以下又は330以上のhにより示される、請求項6に記載の光輝性顔料。
  8. 前記C*が23以上である、請求項7に記載の光輝性顔料。
  9. 前記反射色が前記表色系に基づいて150〜300の範囲にあるhにより示される、請求項6に記載の光輝性顔料。
  10. 前記金微粒子に直接接触するシリカ膜を有さない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光輝性顔料。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光輝性顔料を含む顔料含有組成物。
  12. 基材と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光輝性顔料を含む、前記基材上に形成された塗膜とを備えた顔料含有塗装体。
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