JPWO2018096820A1 - 木質流動成形用金型及びそれを用いた木質流動成形用金型システム並びに植物系材料からなる成形体の製造方法 - Google Patents

木質流動成形用金型及びそれを用いた木質流動成形用金型システム並びに植物系材料からなる成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

良好な木質流動成形品を工業的に生産するための木質流動成形金型を提供するため、木材や竹などの植物系材料に、圧力・熱を与えて木質細胞相互の位置変化を生じせしめて変形加工を行う流動成形において用いる金型であって、基材がロックウェル硬さHRC55以上の合金工具鋼であり、成形時に植物系材料に接する表面に窒化クロム被膜を有し、その表面粗さRaが0.1μm以内の鏡面仕上げ面を有し、10〜400MPaの圧力範囲下の無潤滑状態で、軟化温度域植物系材料との摩擦係数が0.2以下とする。

Description

本発明は、木材や竹などの植物系材料の流動成形に好適に使用される金型に関するものであり、さらに詳しくは、樹脂などの添加剤が含浸された植物系材料を加熱コンテナに投入し、パンチ加圧によって10MPa以上で、かつ、100℃以上の高温・高圧を作用させて木質流動現象を生じさせ、任意のキャビティ形状を有する金型へ流動せしめ賦形する流動成形によって、精密仕上げ面と同程度の表面精度を有する良好な植物成形体を得るための金型及びそれを用いた木質流動成形用金型システム並びに植物系材料の成形体の製造方法に関するものである。
本発明は、従来のプラスチック用金型を用いた木質流動成形では、金型摺動箇所のかじり、変形など金型損傷が生じたりするという金型側の問題点と、バリなどにより高摩擦状態が引き起こす成形荷重の増大、キャビティ表面性状の悪化によって良好な表面性状の流動成形体が得られないという成形品側の課題の解決に加えて、上記課題・問題点の解決による成形荷重の低減、バリの抑制、複雑形状への賦形、極薄成形への賦形などの容易にする木質流動成形用金型を提供するものである。
木質流動成形は、木材や竹などの植物系材料を膨潤・軟化状態で熱及び圧力を作用させて任意の金型を用いて成形する特許文献1にある植物系材料の成形方法である。圧縮加工のように木質細胞の内腔の閉塞によって緻密化させて形状変化を与える方法と比べて、木質細胞間のすべり現象による位置変化によって変形を与えるため、より大きな変形量を与えることができる。それにより、従来の圧縮加工のみでは不可能であった任意形状の木質系材料の塑性加工を実現できるうえ、繊維状の木質細胞の損傷が抑えられるため、得られる成形体の各種物性面には繊維補強効果を持たせることができる。さらに、特許文献2にあるように、膨潤・軟化及び成形体の各種物性向上のために各種添加剤を使用する方法なども開発されている。そのなかでも木質細胞に浸透可能で、溶媒を用いて含浸可能な樹脂を使用した樹脂含浸木質系材料を素材にして流動成形を行う方法が実用化されている。
木質流動成形は金型を用いた塑性加工の一種であり、特に、木質材はセルロース、ヘミセルロース、リグニンからなる天然高分子素材に、添加剤を用いる場合はフェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などの熱硬化性樹脂やアクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂が好適に用いられる。そのため、プラスチック用金型を用いて各種塑性加工法の転用がなされている。
しかしながら、汎用のプラスチック用金型を用いて木質材や木質材に樹脂を含浸させた樹脂含浸木質系材料の流動成形を行おうとした場合、組織細胞レベルでの硬さ・強度の違いが大きいという特殊な流動成形用素材が原因と思われる金型材質の強度不足による金型の破損やキャビティの磨耗、キャビティの凹凸変形、高温・高圧で木質材から生じる酸を含む腐食性成分による金型腐食、特異な変形異方性が起因する過剰なバリの発生とそれに伴う摺動部金型のかじり、成形荷重の増大などが生じ、良好な木質流動成形体を得ることが困難となる。
本出願人等により、特許文献3、特許文献4、特許文献5では、木質流動成形による板材の製造方法及び装置、木質流動成形による長尺部材の製造方法などが提案されている。これらの木質流動成形では主にプリハードン系プラスチック金型用鋼(ロックウェル硬さHRC40程度)を用いており、上述した問題点が明らかになっている。
本発明者らは、木質流動成形の良好な実施形態を探求するべく金属の鍛造用金型を用いた鋭意研究のなかで、上述の問題の原因を突き止めた。それは、金型素地硬度の適正調整、高温・高圧下において金型表面と木質材との良好な潤滑状態を維持し、同時に耐腐食性を実現する被覆種・条件の適正調整、摺動部における適正なクリアランス量及び面粗度の設定が重要であることを見出した。
特開2008−036941 特開2010−155394 特開2012−161932 特開2012−161933 国際公開第2014/010597号 国際公開第2009/121159号
このような状況のなかで、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の諸問題を確実に解決し得るとともに、樹脂含浸木質系材料の木質流動成形において、温度100〜200℃で10〜400MPaの面圧下での良好な摩擦状態を維持する被膜種と被膜条件及び素地硬度、摺動部においてバリの発生を抑制するクリアランス量、キャビティの表面粗さの適正設定によって、成形性及び離型性を改善し表面精度の良好な流動成形体が繰返し製造可能で、かつ、金型及びキャビティの損傷・腐食を低減できる木質流動成形用金型の製作を実現するに至った。
本発明は、良好な木質流動成形品を工業的に生産するための木質流動成形金型及びそれを用いた木質流動成形用金型システム並びに植物系材料からなる成形体の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の木質流動成形用金型は、木材や竹などの植物系材料に、圧力・熱を与えて木質細胞相互の位置変化を生じせしめて変形加工を行う流動成形において用いる金型であって、基材がロックウェル硬さHRC55以上の合金工具鋼であり、成形時に植物系材料に接する表面に窒化クロム被膜を有し、その表面粗さRaが0.1μm以内の鏡面仕上げ面を有し、10〜400MPaの圧力範囲下の無潤滑状態で、軟化温度域植物系材料との摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする。
また、上記木質流動成形用金型を用いる本発明の木質流動成形用金型システムは、木質流動成形用金型システム請求項1に記載の複数の金型の摺動部のクリアランスが0.015mm以下であることを特徴とする。
この場合において、複数の金型のうち、少なくとも一つはキャビティ金型であって、その密閉性を制御する機構を持つことを特徴とする。
また、上記木質流動成形用金型システムを用いる本発明の植物系材料からなる成形体の製造方法は、上記木質流動成形用金型システムを用いて、キャビティ表面温度が100〜200℃、パンチ負荷面圧10〜400MPa、パンチ速度の最大が2mm/sの成形条件で成形する、表面粗さRaを0.025〜1.6μmの範囲の滑らかな表面性状を有する熱可塑性又は熱硬化性樹脂含有の植物系材料からなる成形体を製造することを特徴とする。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)従来のプラスチック用金型を用いた木質流動成形で問題となっていた、金型摺動箇所のかじり、変形など金型損傷を防止する。
(2)植物系材料の特異な流動異方性に起因するバリなどにより高摩擦状態が引き起こす成形荷重の増大、キャビティ表面性状の悪化を防ぐことによって良好な表面性状の流動成形体を得ることができる。
(3)成形荷重の低減、バリの抑制、複雑形状への賦形、極薄成形への賦形などを容易にする木質流動成形用金型を提供することができる。
(4)金型寿命を向上させて、良好な木質流動成形品を工業的に生産することができる。
(5)本発明で使用する植物系材料は、循環型資源である植物系材料を原料としているため、資源問題、廃棄物問題に対する根本的な解決策となり得る。
木質流動成形に適用される金型構成の一例を示す。 木質流動成形を想定した平板プレス試験における金型基材の表面状態の変化を示す。 木質流動成形を想定した平板プレス試験における工具コーティングの有無による腐食性の評価結果を示す。 摩擦係数の測定方法を示す。 工具と樹脂含浸木質系材料の摺動試験における摩擦係数(無潤滑条件)の変化挙動に及ぼす工具表面粗さの影響を示す。 摺動試験後の試料の表面外観と粗さの評価結果を示す。 木質流動成形を想定した平板プレス試験時の荷重−ストローク線図を示す。 木質流動成形を想定した平板プレス試験によって得られた成形体の変形状態(成形体の外観、面積拡大率、圧縮率)と表面性状(外観、粗さ)に及ぼす工具表面粗さの影響を示す。 金型のカジリ(磨耗)に及ぼすクリアランスの影響を示す。
木質流動成形を良好に実施するための金型条件としては、木質材特有の繊維構造とその強度の多大なバラツキ、加熱・加圧時の腐食性ガス・物質を考慮して、木質材との界面となる金型表面の適正化、その表面を保持するための適切な基材の選択、さらに、それら金型を複数個利用して配置・動作させるための相互の位置条件の適正化及びキャビティ密閉機構を金型システムとして構成したうえで、この木質流動成形用金型を用いて成形条件の最適化を行うことが重要である。
本発明における金型とは、木質系材料の供給部となるコンテナ部、木質系材料に荷重を加えるパンチ、流動した木質系材料の形状を整えるダイス、流動した木質系材料を最終製品形状へと賦形するキャビティなどを指す。
そして、代表的な木質流動成形方法、具体的には、例えば、前方押出し、後方押出し、側方押出し、射出成形・トランスファー成形、密閉鍛造に基づく金型構成を図1に示すが、通常、木質流動成形は、素材となる樹脂含浸木質材を供給するコンテナ部2、その木質材に圧力を加えるパンチ1、そして、所要形状を持つダイス3、キャビティ部4から構成される金型を用いて行われる。これらの金型構成において、それぞれの金型を組み合わせる場合には境界が生じることになり、また、相対的な位置変化(移動)がある場合には斜線部で示す摺動面が生じる。プラスチックや金属を素材とする場合には、摺動部でのクリアランスは、パンチ径、コンテナ内径に応じて設定する(0.5〜1.0%)。この値は、コンテナに充填した素材に対して、コンテナ内径がパンチ外径と良好な摺動を保ちつつガイド機能を果たし、良好な負荷を与えることのできるものであり、クリアランスが小さくなる場合に摺動領域で焼き付きなどが生じる、金型破損に至る。さらに、図1(e)及び図1(f)のようにキャビティを有する場合において、キャビティを完全密閉状態にした場合には、過剰なキャビティ内圧による金型破損、流動成形時の木質材からの揮発成分の発生などが原因となる表面粗化や未充填、物性低下を引き起こす。一方で、密閉状態を回避するために逃がし穴などを設けた場合、その断面積が過剰な場合では、多くのバリが発生することに加えて、成形体は背圧不足による材料充填不良が生じる。
本発明は、熱処理により硬度を調整された合金工具鋼に窒化クロムのコーティングを施し鏡面仕上げされたコンテナ内表面、パンチ表面、キャビティから構成することにより得られる木質流動成形用金型である。
また、合金工具鋼はSKD11相当でロックウェル硬さはHRC55以上であることが好ましい。
また、窒化クロム被膜のビッカース硬さは1600以上であることが好ましい。
また、窒化クロム被膜の表面粗さはRa0.1μm以内であることが好ましい。
また、窒化クロム被膜の厚さは2μm以上であることが好ましい。
また、窒化クロム被膜表面と木質材の成形条件下での摩擦係数が0.2以下であることが好ましい。
また、金型を構成するコンテナ、パンチ、キャビティ相互の摺動面及び木質材との接触が生じる箇所に上述の窒化クロム被膜を設けることが好ましい。
また、摺動部となるコンテナとパンチなどのクリアランス量は、0.015mm以下であることが好ましい。
キャビティには、密閉状態を制御する機構を設けることが好ましい。
本発明によれば、例えば、流動成形時における成形荷重を低減させること、用いる木質材の含浸樹脂量を低減させること、より複雑な形状やより薄い木質流動成形体を製造すること、キャビティなどの破損や磨耗や腐食を防止し、金型の寿命を向上させることが可能となる。
ここで、植物系材料からなる成形体の製造に当たっては、木質流動成形用金型システムを用いて、キャビティ表面温度が100〜200℃、パンチ負荷面圧10〜400MPa、パンチ速度の最大が2mm/sの成形条件で成形することができる。
これにより、表面粗さRaを0.025〜1.6μmの範囲の滑らかな表面性状を有する熱可塑性又は熱硬化性樹脂含有の植物系材料からなる成形体を製造することができる。
ここで、本発明に記載のロックウェル硬さはJIS Z 2245に、表面粗さはJIS B 0601にそれぞれ基づいて、室温で測定した。
次に、本発明について根拠を示す実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
(金型基材)
樹脂を含浸した木質材の流動成形に好ましい金型基材を明らかにするため、プラスチック用金型用基材(アルミ合金 A5052P、大同特殊鋼製NAK 55)、金属材料成形用基材 ダイス鋼(SKD 11)からなる平板工具を用いて、樹脂含浸木質系材料としてフェノール樹脂含浸ヒノキ単板(重量増加率WPG:40%=樹脂含有率28.5%、φ13.2mm×厚さ4mm)、工材温度:140℃、最終プレス荷重110kN(面力:210MPa)の条件下でプレスした前後の工具表面を観察した。図2にその結果を示す。プラスチック用金型基材として汎用使用されるアルミ合金においては、プレス後に平板工具表面に樹脂含浸木質系材料の形状に沿った凹みが生じた。アルミ合金よりも硬度の高いNAK55においても、アルミ合金基材に比べると領域は小さいものの、流動変形を生じた樹脂含浸木質系材料の繊維細胞などの硬質部分に沿った凹みが生じた。これは、流動成形においては局所的な面圧の増大が生じることを想定した対策が必要であることがわかった。熱処理によって硬さを調整したダイス鋼の場合、HRC55以上において、プラスチック用金型基材で見られた工具表面の凹みは観察されなかった。
(被膜種類の影響)
木質流動成形用金型におけるコーティング被膜の種類の影響を検討するために、平板加熱圧縮試験後の離型性を、木質流動成形を想定した平板プレス試験における工具表面処理の違いによる離型性によって評価した。離型性の良し悪しは、解圧後の加熱状態でそのまま離れる場合を〇、圧縮後に工具冷却を行い熱膨張率の差によって離れる場合を△、冷却を行っても離れない場合を×とした。その結果を表1に示す。
Figure 2018096820
表1に示すように、コーティング被膜の無い場合では、加熱圧縮によって流動した木質材が工具に張り付き、冷却後も離型することが困難であった。一方、コーティング被膜を設けた場合には、離型性は改善されたが、なかでも、加熱状態でそのまま離型した被膜は、窒化クロムであり、非常に良好な結果を示した。なお、この被膜は、耐熱性、耐摩耗性、耐久性の観点から、金属薄板のプレス用金型やプラスチック用金型として用いられる場合もあるが、木質流動成形においては、金属用、プラスチック用で好適とされるその他のDLCやTiCN被膜に対しては、離型性の面で良好な結果を得ることができなかった。
(コーティング被膜の効果)
窒化クロム系の被膜は、木材加工において、従来は切削用工具、特に回転切削用チップのコーティングとして、刃先の磨耗の低減と木材切削面性状の向上に効果を発揮してきた(特許文献6、木材学会誌 Vol.54(No.5)、p.263−271)。
木質流動成形用金型におけるコーティング被膜の効果を検討するために、HRC55以上に硬度を調整した合金工具鋼 SKD11 に窒化クロム被膜を5μmの厚さで物理蒸着させた平板工具と被膜の無いSKD11基材で磨き仕上げのみを施した平板工具を用いて、フェノール樹脂含浸ヒノキ単板(重量増加率WPG:40%=樹脂含有率28.5%、φ13.2mm×厚さ4mm)、工材温度:140〜160℃、単板初期面積で計算した面力:10MPaの条件下で20回連続プレスした前後の工具表面を観察した。図3に示すように、窒化クロム被膜を施した工具については、プレス実験前後での表面性状の変化は見られないのに対して、窒化クロム被膜の無い基材表面状態のままでは、明らかな腐食箇所(黒色部分のクレーター)が生じた。
(表面粗さの影響)
木質流動成形用金型として好適に使用できる表面粗さの影響を調べるために、HRC55以上に硬度を調整した合金工具鋼SKD11に窒化クロム被膜を5μmの厚さで物理蒸着した工具表面について、仕上げの程度の異なる2種類の表面処理を施した平板工具(Ra:0.25、0.03)を用いて図4に示す10MPaの垂直面圧下でのフェノール樹脂含浸ヒノキ材の摺動試験を実施して摩擦係数を測定した。図5の結果に示すように、工具表面粗さによって摺動時の摩擦係数に大きな差が生じた。Raが0.25の場合は、摩擦係数は0.4程度を示しており、大きな摺動抵抗となった。一方で、Raを0.04に設定することで、摩擦係数を0.2以下に抑えることができ、摺動抵抗を下げることができる。このことは、成形時の荷重の増大を防ぐことに大きく寄与する。
(摺動による木質材の表面性状の変化)
摺動試験後のフェノール樹脂含浸ヒノキ材の摺動部の表面性状を観察した結果を図6に示す。表面粗さRaの程度によって大きく性状が異なり、Raが0.25の工具条件で摺動されたヒノキ材の表面は木質繊維が破壊されて剥離し、ささくれた状態となった。その結果、木質材の表面粗さはRaで2.8を示した。一方で、Raが0.04の工具条件で摺動された木質材には、木質繊維の破壊、剥離はほとんど見られず良好な状態であり、Raは1.2程度(良好な機械仕上げ面相当)を示した。
(成形荷重と成形体表面性状への影響)
木質流動成形用金型として好適に使用できる表面粗さの影響を調べるために、HRC55以上に硬度を調整した合金工具鋼SKD11に窒化クロム被膜を5μmの厚さで物理蒸着した工具表面について、仕上げの程度の異なる2種類の表面処理を施した平板工具(Ra:0.25、0.03)を用いて、フェノール樹脂含浸ヒノキ単板(重量増加率WPG:40%=樹脂含有率28.5%、φ13.2mm×厚さ4mm)について、工材温度:140℃、最大圧縮荷重110kN(初期面積で計算した面力:約800MPa)、プレス速度10mm/minの条件下で平板プレス試験を行った。図7の荷重−ストローク線図に示すように、工具表面粗さによって成形時の流動開始荷重に大きな差が生じた。流動開始荷重(図中▼の時点の荷重)は、Raが0.03の場合ではRaが0.25の場合と比べて約3分の1となり、成形荷重が大きく低下した。試験後に得られた木質流動成形体の変形状態、表面性状を観察した結果を図8に示す。成形体の面積拡大率及び厚さ変化率はRaが0.03の場合の方が、Raが0.25の場合よりも大きく、表面粗さが小さい方が良好な成形性を示した。また、得られる成形体の表面粗さは工具表面状態に影響を受けることがわかり、工具表面粗さをRa0.03に設定すれば、それにより作製された成形体の表面粗さRaは0.2程度の精密仕上げ面相当の値を示した。
(クリアランス)
木質流動成形を行う場合では、通常のクリアランスの設定では、パンチ負荷時に樹脂含浸木質材がそのクリアランスに部分的・局所的に逆流するため、良好なガイド機能を果たすことができずパンチに微小の傾きが生じた状態で負荷が継続するため、図9に示すようにクリアランスが0.25mmの場合は焼き付きが生じた。一方で、より小さなクリアランスの設定により、この問題が解消されることがわかった。樹脂含浸木質材の流動単位となる木質繊維の直径と同程度かそれよりも小さい0.015mm(15μm)に設定することで、パンチ負荷時の木質材の逆流を防止し、かつ、良好なパンチ負荷を継続して行えることを見出した。
なお、本明細書において、「木質材」とは、特に限定されることはなく、具体的には、例えば、針葉樹、広葉樹、竹が特に好適な材料として例示される。
以上詳述したように、本発明は、従来のプラスチック用金型を用いた木質流動成形で問題となっていた、金型摺動箇所のかじり、変形など金型損傷を防止、植物系材料の特異な流動異方性に起因するバリなどにより高摩擦状態が引き起こす成形荷重の増大、キャビティ表面性状の悪化を防ぐことによって良好な表面性状の流動成形体を得ることができる。さらに、成形荷重の低減、バリの抑制、複雑形状への賦形、極薄成形への賦形などを容易にする木質流動成形用金型を提供することができるため、金型寿命を向上させて、良好な木質流動成形品を工業的に生産することができる。そして、循環型資源である植物系材料を原料としている流動成形の工業的利用によって、資源問題、廃棄物問題に対する根本的な解決策を与えることができる。
1 パンチ
2 コンテナ部
3 ダイス
4 キャビティ部

Claims (4)

  1. 木材や竹などの植物系材料に、圧力・熱を与えて木質細胞相互の位置変化を生じせしめて変形加工を行う流動成形において用いる金型であって、基材がロックウェル硬さHRC55以上の合金工具鋼であり、成形時に植物系材料に接する表面に窒化クロム被膜を有し、その表面粗さRaが0.1μm以内の鏡面仕上げ面を有し、10〜400MPaの圧力範囲下の無潤滑状態で、軟化温度域植物系材料との摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする木質流動成形用金型。
  2. 請求項1に記載の複数の金型の摺動部のクリアランスが0.015mm以下であることを特徴とする木質流動成形用金型システム。
  3. 複数の金型のうち、少なくとも一つはキャビティ金型であって、その密閉性を制御する機構を持つことを特徴とする、請求項2に記載の木質流動成形用金型システム。
  4. 請求項2又は3に記載の木質流動成形用金型システムを用いて、キャビティ表面温度が100〜200℃、パンチ負荷面圧10〜400MPa、パンチ速度の最大が2mm/sの成形条件で成形する、表面粗さRaを0.025〜1.6μmの範囲の滑らかな表面性状を有する熱可塑性又は熱硬化性樹脂含有の植物系材料からなる成形体を製造することを特徴とする植物系材料からなる成形体の製造方法。
JP2018552451A 2016-11-22 2017-10-11 木質流動成形用金型及びそれを用いた木質流動成形用金型システム並びに植物系材料からなる成形体の製造方法 Active JP6902197B2 (ja)

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