JPWO2018083773A1 - 平角アルミニウム電線の剥線装置及び剥線方法 - Google Patents
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Abstract
アルミニウムを芯線として有する廃棄物(被覆線)から、アルミニウムを効率的に取り出すことのできる剥線装置及び剥線方法を提供するため、本発明に係る剥線装置は、少なくとも一方に、矩形の被覆線を配置するための矩形の凹部が形成され、かつ凹部に切込刃が配置された一対の切込ロールと、一対の切込ロール間の距離を調節する切込ロール調節機構と、一対の切込ロールにより切込を入れられた被覆線に対し圧延をかける一対の圧延ロールと、一対の圧延ロール間の距離を調節する圧延ロール調節機構と、を備えている。
Description
本発明は、剥線装置及び剥線方法に関し、より具体的には平角アルミニウム被覆線から被覆材を剥離させる剥線装置及び剥線方法に関する。
産業廃棄物等に含まれる、芯線を樹脂等の被覆材で被覆した被覆線は、芯線と被覆材を分離(剥離)することで資源として再利用することが可能であり、近年大いに注目されてきている。この芯線と被覆材を剥離させる技術については、例えば、下記特許文献1に記載されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、断面が球形状の被覆線に関するものであり、しかもその金属は平角アルミニウム線に関する言及はない。平角アルミニウム線を車両のエンジン等の必要箇所において用いる場合、一般にその形状は型で固められ、しかも曲線部が多いため、再処理が容易ではない。加えて、アルミニウムは一般に他の金属に比べ硬度が低く、外圧による変形によって被覆材と食い込みやすく、被覆材とアルミニウムとの分離(剥離)は容易ではない。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、アルミニウムを芯線として有する廃棄物(被覆線)から、アルミニウムを効率的に取り出すことのできる剥線装置及び剥線方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一の観点に係る剥線装置は、少なくとも一方に、矩形の被覆線を配置するための矩形の凹部が形成され、かつ凹部に切込刃が配置された一対の切込ロールと、一対の切込ロール間の距離を調節する切込ロール調節機構と、一対の切込ロールにより切込を入れられた被覆線に対し圧延をかける一対の圧延ロールと、一対の圧延ロール間の距離を調節する圧延ロール調節機構を備えたものである。
また、本発明の他の一観点に係る剥線方法は、少なくとも一方に、矩形の被覆線を配置するための矩形の凹部が形成され、かつ凹部に切込刃が配置された一対の切込ロールと、一対の切込ロール間の距離を調節する切込ロール調節機構と、一対の切込ロールにより切込を入れられた被覆線に対し圧延をかける一対の圧延ロールと、一対の圧延ロール間の距離を調節する圧延ロール調節機構と、を備えた剥線装置を用いる剥線方法であって、一対の切込ロールの凹部に矩形の被覆線を挿入して切込を入れるステップ、圧延ロールを用いて、切込を入れられた被覆線に対し圧延をかけるステップ、を備えたものである。
以上、本発明によって、アルミニウムを芯線として有する廃棄物(被覆線)から、アルミニウムを効率的に取り出す剥線装置及び剥線方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態における具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
(剥線装置)
図1は、本実施形態に係る剥線装置(以下「本装置」という。)1の概略を示す図である。本図で示すように、本装置1は、少なくとも一方に、矩形の被覆線を配置するための矩形の凹部が形成され、かつ凹部に切込刃が配置された一対の切込ロール2と、一対の切込ロール2間の距離を調節する切込ロール調節機構3と、一対の切込ロール2により切込を入れられた被覆線に対し圧延をかける一対の圧延ロール4と、圧延ロール4の間の距離を調節する圧延ロール調節機構5、を備えている。なお、本装置1では、更に、上記一対の切込ロール2、切込ロール調節機構3、一対の圧延ロール4、圧延ロール調節機構5等の各構成要素を収容及び保持するフレーム6を備えている。本装置1は、この構成によって、被覆線から被覆材を効率的に除去し、平角アルミニウムを効率的に取り出することができるようになっている。また、本装置1においては、一対の切込ロール2及び一対の圧延ロールを駆動するための動力機構7を備えている。さらに、本装置1においては、切込ロール2に処理対象となる被覆線を導入するための入口側ガイド81、切込ロール2から圧延ロール4に導入するためのブリッジ82、圧延ロール4から装置外に被覆線を出すための出口側ガイド83といったガイド部材を設けている。
図1は、本実施形態に係る剥線装置(以下「本装置」という。)1の概略を示す図である。本図で示すように、本装置1は、少なくとも一方に、矩形の被覆線を配置するための矩形の凹部が形成され、かつ凹部に切込刃が配置された一対の切込ロール2と、一対の切込ロール2間の距離を調節する切込ロール調節機構3と、一対の切込ロール2により切込を入れられた被覆線に対し圧延をかける一対の圧延ロール4と、圧延ロール4の間の距離を調節する圧延ロール調節機構5、を備えている。なお、本装置1では、更に、上記一対の切込ロール2、切込ロール調節機構3、一対の圧延ロール4、圧延ロール調節機構5等の各構成要素を収容及び保持するフレーム6を備えている。本装置1は、この構成によって、被覆線から被覆材を効率的に除去し、平角アルミニウムを効率的に取り出することができるようになっている。また、本装置1においては、一対の切込ロール2及び一対の圧延ロールを駆動するための動力機構7を備えている。さらに、本装置1においては、切込ロール2に処理対象となる被覆線を導入するための入口側ガイド81、切込ロール2から圧延ロール4に導入するためのブリッジ82、圧延ロール4から装置外に被覆線を出すための出口側ガイド83といったガイド部材を設けている。
本実施形態において、処理の対象となる「被覆線」とは、平角アルミニウムを樹脂等の被覆材で覆った線材をいい、「平角アルミニウム」とは、断面が矩形のアルミニウム線材をいう。また、「アルミニウム」には、純アルミニウムであってもよいが、アルミニウムを含む合金を含んでもよい。なお、被覆線のイメージを図2に示しておく。図中(A)は被覆線の断面を、(B)は上から見た場合(水平方向)のイメージを示す。また被覆線は、横から見た場合(垂直方向)にも波打つように折れ曲っている。すなわち、被覆線は、水平方向に対しても、垂直方向に対しても、折れ曲っている。すなわち、本図で示すように、被覆線は、廃棄された車等から取り出された配線の廃棄物を処理対象として想定しており、これらは一般に取り出す際に曲がっているため、これが剥線処理を行おうとする際の処理の困難性をもたらす。なお、処理対象となる被覆線のサイズは様々なサイズがあるため、これらサイズに合わせて本装置1の凹部等は調整される。
本装置1において、一対の切込ロール2は、被覆線Cの被覆材に切込を入れるために用いられるものであり、軸23により位置が固定されるとともに軸23を回転させることで回転可能となっている。また一対の切込ロール2は、互いに近接して配置されており、この間に上記被覆線を挿入することで、後述のとおり剥線処理を行うことができる。
また本装置1において、一対の切込ロール2の軸23の少なくとも一方は、モーター等の動力機構7に接続されており、動力機構7を駆動させることで所望の回転数により回転させることが可能となっている。また、他方の軸23は、モーター等の動力機構に接続されていることがより確実な切込みを行う観点から好ましいが、一方の軸23の回転を他方の軸23に伝える伝達ギア24を備えていることも好ましい。伝達ギア24を二つの軸23、24の間に配置し、これらを接した状態としておくことで、一つの動力機構7によって確実に双方のロールを回転させることができるようになる。なお、これら軸、伝達ギアは回転を確実に伝わらせるために、少なくとも一部に凹凸の歯が一周形成されており、これらが噛み合っている状態となっている。
また、本装置1において、一対の切込ロール2の少なくとも一方には、矩形の被覆線を配置するための矩形の凹部21が形成され、かつ凹部21に、凹部の底面211から突出した部分を有する切込刃22が配置されている。図3に、正面から見た場合における一対の切込ロール2の断面の概略を示しておく。
本図で示すように、矩形の凹部21は、一方の切込ロール2に形成されていれば効果を達成することができる。しかしながら、一対の切込ロール2のそれぞれに設けることで、折れ曲がった状態の被覆線をより安定的に押さえつけ、切込を形成することができる。またこの場合において、矩形の凹部21の深さD1は、剥離処理の対象となる被覆線の高さに応じて適宜可能であり、例えば6mmの高さを有する被覆線を処理の対象としようとする場合、一対の切込ロール2の外径間の距離L1とそれぞれの切込ロール2の深さD1の合計(以下「凹部間距離」という。)が被覆線の高さ、具体的には6mm以下となるよう調節されることが好ましく、処理の対象となる被覆線の高さの50%以上90%以下の範囲となるようにしておくことが好ましく、より好ましくは60%以上80%以下の範囲である。このようにすることで、被覆線に対し圧力を加えて押さえつけることで横にずれる又は外れてしまうことを防止するとともに、被覆材に確実に切込みを入れることができる。ただし、被覆線が凹部21からはみ出さないよう、少なくとも一方の深さは1mm以上あることが好ましい。
また、本図で示すように、矩形の凹部21の側壁212は、略垂直であることが好ましい。この側壁部分が傾いた擂鉢状になっていると、被覆線が凹部21の外に逃げてしまい、逆に入り組んだ形になっていると、被覆線が食い込んでしまうことによる。なお、「略垂直」とは、完全に垂直を含むものではあるが、実質的に垂直であるという意味を含むものであり、より具体的には5度程度の誤差は含むことを意味する。すなわち、略垂直は、85度以上95度以下の範囲にあることをいう。
また、切込ロール2の矩形の凹部21の幅(側壁212間の距離)は、剥離処理の対象となる被覆線の幅に応じて適宜調節可能であるが、被覆対象となる被覆線Cの幅を1とした場合、1よりも大きく2より小さいものであって、具体的には1.1以上1.8以下となっていることが好ましく、より好ましくは1.3以上1.6以下である。1.1以上とすることで、被覆線の幅以上となるため確実に被覆線を凹部21に設置することが可能となり、特に1.3以上とすることで、被覆線が横方向(圧延面上)に大きく折れ曲がっている場合でも、この折れ曲がりに対応して確実に凹部21に設置することが可能となるとともに、被覆線を圧縮したとしても両側壁に被覆線の端が両側壁に到達し側壁を押し付ける力で凹部から取り出しにくくなってしまうことを確実に防止できる。一方、幅を1.8以下とすることで、被覆線が曲がり、被覆線がいずれの凹部の側壁にあたったとしても中央近傍に設けられる切込刃22による切込を入れることができるようになる。
また、本装置1において、凹部21には、上記の通り切込刃22が配置されている。この切込刃22によって、被覆材に対し切込を形成することが可能となる。なお、本装置1の切込刃22は、凹部21が形成されている側に設けられるものであるため、少なくとも一方の切込ロール2に設けられているが、より効率的な切込みを入れる観点から、一対の切込ロールそれぞれに設けられる凹部21に、それぞれ切込刃22が設けられていることが好ましい。
また、本装置1において切込刃22は、凹部21の中央又はその近傍に形成されている。このようにすることで、被覆線Cが凹部21のいずれの側壁にあたったとしても、確実に被覆材に切込を入れることができるようになる。
また本装置1における切込刃22の高さとしては、被覆材に切込を入れることができる程度の高さがあればよいが、被覆材に完全に切込を入れ分断する観点から、アルミニウムの表面にも切込を入れることができる程度の高さであることが好ましい。この範囲としては、被覆材の厚さを1とした場合、1よりも厚くしておく、より具体的には1.1以上1.3以下とすることが好ましい。例えば被覆材の厚さが1mmである場合、1.1mm以上1.3mm以下の範囲とすることが好ましい。
また本装置1における切込刃22の高さは、一定のものとしてもよいが、調節可能となっていることも好ましい。これにより被覆材の厚さ及び一対の切込ロール間の距離等によって変化する切込形成の歩留まりを調節することができるようになる。
ところで、本装置1では、異なる幅及び高さの被覆線を処理する観点から、少なくとも凹部の幅の異なる一対の切込ロールを複数設けておくことも好ましい。なおこの場合において、軸23は複数のロールにおいて共通にすることが好ましいが、それぞれ別の軸に複数の切込ロールを設けてもよい。図4に、軸23を共通化した複数の一対の切込ロール2の概略を示しておく。
また本装置1において、切込ロール調節機構3は、上記の通り一対の切込ロール2間の距離を調節するものである。より具体的な機能としては、切込ロール2の軸を設置面に対し上下に(垂直方向に)移動させることで切込ロール2間の軸間の距離の調節することができる。この結果、圧延する力を調節することができる。
この切込ロール調節機構3の構造は、上記機能を実現できる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば切込ロールの軸23に棒状部材31を接続し、この棒状部材31をウォームギア32を介して上下させる機構としてもよい。またこの場合において、棒状部材31と軸23の間には、軸23の回転を阻害しないよう、ベアリングを配置しておくことも好ましい。これにより、切込ロール間の距離を調節し、被覆線に対し適切な圧力をかけ、適切に被覆線Cを保持し、適切な切込みを入れることができるようになる。
また本装置1は、一対の切込ロール2により切込を入れられた被覆線Cに対し圧延をかける一対の圧延ロール4を備えている。圧延ロール4は、切込みを入れられた被覆線Cに対し圧力をかけるものであるため、切込ロール2によって切れ込みを入れられた被覆線をそのまま圧延できるように切込ロール2の下流側に設けられていてもよいが、切込ロール2と同軸に設置されていてもよい。圧延ロール4の概略及びこれと切込ロール2を同軸に設置した場合のイメージを図5に示しておく。なお、図1で示すように、上流側に切込ロール2、下流側に圧延ロール3を設ける場合、上記のように、この間の橋渡しをするブリッジ82を設けておくことも好ましい。
本装置1によると、被覆材に切込を入れる際、その分断を確実にするためアルミニウムにも切込が達する。一方で、アルミニウムは比較的硬度の低い(やわらかい)金属であるため、切込が形成される際、被覆材がこのアルミニウムに食い込んでしまう。このため、切込の形成が逆に被覆材の剥離を困難にしてしまう場合が少なくない。これに対し、本装置1では、更に、切込が形成されたアルミニウムに対して圧延をかけることでこの食い込みを解消させることができる。この食い込みを解消させる量としては、効率的に剥離させることができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば、圧延ロールに挿入される前の被覆線の高さ、より具体的には切込が形成された被覆線の高さを1とした場合、圧延ロール挿入後の被覆線の高さが0.5以上0.9以下の範囲内となることが好ましく、より好ましくは0.6以上0.8以下である。この範囲とすることで確実にアルミニウムと被覆材とを分離させることができる。
また本装置1において、一対の圧延ロール4の軸41の少なくとも一方は、モーター等の動力機構7に接続されており、動力機構7を駆動させることで所望の回転数により回転させることが可能となっている。また、他方の軸41は、モーター等の動力機構に接続されていることがより確実な切込みを行う観点から好ましいが、一方の軸41の回転を他方の軸41に伝える伝達ギア42を備えていることも好ましい。伝達ギア42を二つの軸41の間に配置し、これらを接した状態としておくことで、一つの動力機構7によって確実に双方のロールを回転させることができるようになる。なお、これら軸、伝達ギアは回転を確実に伝わらせるために、少なくとも一部に凹凸の歯が一周形成されており、これらが噛み合っている状態となっている。なお、図1の例では、異なる軸に切込ロールと圧延ロール4が設置されているため異なる動力機構により駆動されるが、図5のように同軸に形成された場合は、一つの動力機構7により駆動されることになる。
また本装置1の一対の圧延ロール4には、上記切込ロール2間の距離を調節する切込ロール調節機構3と同様に、この一対の圧延用ロール4間の距離を調節する圧延ロール調節機構5を備えていてもよい。このようにすることで、上述の圧延ロール4間の距離の範囲に調節することができる。なおこの圧延ロール調節機構5の構造等は、上記切込ロール調節機構3と同様の構成を採用することができる。
なお、本装置における圧延ロール4の表面は、凹凸がなく平滑であってもよいが、被覆線を安定的に配置し圧延をかけるため、例えば上記図5のように、切込ロールの一方に、上記切込ロール2の凹部21よりも十分に広い幅及び浅い凹部41を形成し、他方の切込ロール4にこの凹部41とほぼ同じ形状であるが少し小さくして上記凹部41と勘合可能な凸部42を設けておくことが好ましい。
(剥線方法)
次にここで、本装置1を用いた剥線方法(以下「本方法」という。)について具体的に説明する。
次にここで、本装置1を用いた剥線方法(以下「本方法」という。)について具体的に説明する。
本方法は、上記した本装置1を用いる剥線方法であって、(1)一対の切込ロール2の凹部21に矩形の被覆線Cを挿入して切込を入れるステップ、(2)圧延ロール3を用いて、切込を入れられた被覆線Cに対し圧延をかけるステップ、を備えている。図6に、本ステップの結果により形成される被覆線の断面について概略を示しておく。
本方法では、まず(1)一対の切込ロール2の凹部21に矩形の被覆線Cを挿入して切込を入れる。これにより、被覆線Cの被覆材に対し、確実に切込を入れることができる。
なおこのステップの前に、被覆線の長さが短くなるよう切断するステップ、より具体的には、矩形の被覆線の曲がり角度が45度以下好ましくは30度以下となるよう切断又は延伸させるステップを備えていることが好ましい。上記切込を入れるステップにおいて、被覆線の幅を1とした場合に凹部の幅を1.8以下とすれば確実に被覆線に切込を入れることが可能となるが、被覆線の曲がり角度が特定の範囲を超えてしまうと凹部21に被覆線を収容させることが困難になってしまう。そこで、本方法ではこのステップを入れることにより、確実に凹部21に被覆線Cを配置させることが可能となる。なお、切断する場合は、当該折れ曲り部分を刃物で切断することで実現できる。この場合のイメージを図7に示しておく。また、ここで「曲がり角度」とは、水平方向(切込ロール軸と平行な面上)における角度であって、折れ曲り点からまで延びる被覆線の延伸方向の延長線と、折れ曲がり点から延びる被覆線の延長線とがなす角度をいう。
また、上記の判断以外には、例えば、被覆線の水平方向における曲率半径が50mmRより大きくなるよう、より好ましくは100mmR以上となるように当該円弧上を切断又は延伸させることとしてもよい。曲率半径が小さい場合は、上記と同様、凹部21にうまく収めにくくなるためである。
一方で、(1)のステップでは、上記の通り、被覆材に確実に切込を入れておく必要があるためアルミニウムまで切込を入れておくことが好ましいが、切込を確実に形成しようとすると、被覆材がアルミニウムに食い込んでしまうことがある(上記図6参照)。そして、この切込の形成が逆に被覆材の剥離を困難にしてしまう場合が少なくない。そこで、本方法では、更に、(2)圧延ロール3を用いて、切込を入れられた被覆線Cに対し圧延をかけるステップを備えることで、この食い込みを解消させることができる。この場合のイメージ図を図8に示しておく。
そして、上記ステップを経た被覆材は、簡単に被覆材と平角アルミニウムに分離させることが可能となる。
以上、本実施形態により、効率的にアルミニウムを芯線として有する廃棄物としての被覆線からアルミニウムを剥離することのできる剥線装置を提供することが可能となり、更にこれを用いて、被覆線剥線方法を提供することができる。
改めて具体的に本装置及び本方法の効果について説明すると、凹部を処理対象となる被覆材の幅よりも十分大きくすることで、多少水平方向に折れ曲っているとしても、この被覆線の曲がりを矯正しながらも切込を入れることができるようになる。より具体的には、平角アルミニウムは比較的やわらかいものではあるが、水平方向に矯正することは簡単でない一方で、このように凹部に余裕を持たせているため、多少の水平方向の折れ曲がりは矯正できる。なお、垂直方向の折れ曲がりについては、切込ロールによって容易に矯正可能である。そして、切込を入れると、アルミニウムは比較的柔らかい金属であるため、被覆材がアルミニウムの切込部分に食い込んでしまうことが多い。そこで、本方法では改めて被覆線に圧延を行うことで、アルミニウム及び被覆材をそれぞれ伸ばし、この伸びの差を利用してアルミニウムと被覆材を効率的に分別することができるようになる。
本発明は、剥線装置及び剥線方法として産業上の利用可能性がある。
Claims (7)
- 少なくとも一方に、矩形の被覆線を配置するための矩形の凹部が形成され、かつ前記凹部に切込刃が配置された一対の切込ロールと、
前記一対の切込ロール間の距離を調節する切込ロール調節機構と、
前記一対の切込ロールにより切込を入れられた被覆線に対し圧延をかける一対の圧延ロールと、
前記一対の圧延ロール間の距離を調節する圧延ロール調節機構と、
を備えた剥線装置。 - 前記凹部の幅が異なる前記一対の切込ロールを複数備えた請求項1記載の剥線装置。
- 少なくとも一方に、矩形の被覆線を配置するための矩形の凹部が形成され、かつ前記凹部に切込刃が配置された一対の切込ロールと、前記一対の切込ロール間の距離を調節する切込ロール調節機構と、前記一対の切込ロールにより切込を入れられた被覆線に対し圧延をかける一対の圧延ロールと、前記一対の圧延ロール間の距離を調節する圧延ロール調節機構と、を備えた剥線装置を用いる剥線方法であって、
前記一対の切込ロールの前記凹部に矩形の被覆線を挿入して切込を入れるステップ、
前記圧延ロールを用いて、切込を入れられた前記被覆線に対し圧延をかけるステップ、を備えた剥線方法。 - 前記一対の切込ロールの前記凹部の幅は、挿入する前記矩形の被覆線の幅を1とした場合、1.1以上1.8以下の範囲にある請求項3記載の剥線方法。
- 前記一対の切込ロールの前記凹部に矩形の被覆線を挿入して切込を入れるステップは、前記矩形の被覆線に対して圧延をかける請求項3記載の剥線方法。
- 前記圧延ロールを用いて、切込を入れられた前記被覆線に対し圧延をかけるステップは、
前記圧延ロール挿入後の厚さが、前記圧延ロール挿入前の厚さを1とした場合に、0.5以上0.9以下の厚さとなるよう、前記切込を入れられた前記被覆線を圧延する請求項3記載の剥線方法。 - 前記一対の切込ロールの前記凹部に矩形の被覆線を挿入して切込を入れるステップ、の前に、前記矩形の被覆線を短く切断するステップ、を備える請求項3記載の剥線方法。
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