JPWO2018074216A1 - 圧電振動子 - Google Patents

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Abstract

圧電振動子の共振周波数の低下を抑制する。
本発明に係る水晶振動子(10)は、基板(12)、蓋(14)及び基板(12)と蓋(14)とを接合する接着部材(30)を含むパッケージ(11)と、パッケージ(11)内に収納されている水晶振動素子(16)と、水晶振動素子(16)に付加して設けられており、かつ、湿度が高くなるにしたがって、単位時間及び単位体積当たりの揮発量が増加する材料を含む調整部材(150)と、を備えている。

Description

本発明は、圧電振動子に関する。
従来の圧電振動子に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の圧電振動部品が知られている。特許文献1に記載の圧電振動部品は、基板、圧電振動素子、導電性保持部材及びキャップを備えている。圧電振動素子は、導電性保持部材により基板上に実装されている。キャップは、圧電振動素子を内部空間に設けるように、接合部材により基板に固定されている。以上のような圧電振動部品は、例えば、圧電振動子や圧電発振器等に用いられる。
特許第4947213号
ところで、本願発明者は、特許文献1に記載の圧電振動部品が多湿環境下で使用し続けられると、圧電振動部品の共振周波数が低下することを発見した。
そこで、本発明の目的は、共振周波数の低下を抑制できる圧電振動子を提供することである。
本発明の第1の形態に係る圧電振動子は、
基板、蓋及び前記基板と前記蓋とを接合する有機接着部材を含む保持器と、
前記保持器内に収納されている圧電振動素子と、
前記圧電振動素子に付加して設けられており、かつ、湿度が高くなるにしたがって、単位時間及び単位体積当たりの揮発量が増加する材料を含む調整部材と、
を備えている。
本発明の第2の形態に係る圧電振動子は、
液密封止された内部空間を有する保持器と、
前記保持器内に収納されている圧電振動素子と、
前記圧電振動素子に付加して設けられており、かつ、内部空間内の湿度が高くなるにしたがって、単位時間及び単位体積当たりの揮発量が増加する材料を含む調整部材と、
を備えている。
本発明によれば、共振周波数の低下を抑制できる。
図1は、水晶振動子10の外観斜視図である。 図2は、水晶振動子10の分解斜視図である。 図3は、図1のA−Aにおける断面構造図である。
(水晶振動子の構造)
以下に、本発明の一実施形態に係る水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)について図面を参照しながら説明する。図1は、水晶振動子10の外観斜視図である。図2は、水晶振動子10の分解斜視図である。図3は、図1のA−Aにおける断面構造図である。
以下では、水晶振動子10の主面に対する法線方向を上下方向と定義し、上側から見たときに、水晶振動子10の長辺が延在する方向を前後方向(又は長辺方向)と定義し、水晶振動子10の短辺が延在する方向を左右方向(又は短辺方向)と定義する。
水晶振動子10は、図1ないし図3に示すように、保持器(Enclosure)の一例であるパッケージ11、水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)16及び調整部材150を備えており、圧電振動子(Piezoelectric Resonator Unit)の一例である。水晶振動子10の左右の幅は例えば1.6mmである。水晶振動子10の前後の長さは例えば2.0mmである。
パッケージ11は、基板12、蓋14、接着部材30及び絶縁部材50を含み、直方体構造を有する密封容器である。パッケージ11は、その内部に外部から隔離された空間Sp(内部空間)を有している。パッケージ11は液密構造を有している。すなわち、空間Spは、液密封止されている。そのため、パッケージ11外と空間Spとの間で液体(例えば、水)が行き来できない。ただし、パッケージ11は、気密構造を有さない。そのため、パッケージ11外と空間Spとの間で気体(例えば、水蒸気)が行き来できる。
基板12は、基板本体21、外部電極22,26,40,42,44,46、引き出し導体層32,34及び接続導体25,28を含んでいる。
基板本体21は、板状構造を有しており、上側から見たときに、長方形状構造を有している。そのため、基板本体21は、長方形状の上面及び下面を有している。長方形は正方形も含む意味である。長方形状とは、長方形の他に長方形から僅かに変形した形状も含む意味である。本実施形態では、上側から見たときに、基板本体21は、4つの角近傍が切り欠かれた構造を有している。より詳細には、上側から見たときに、基板本体21の4つの角近傍は、中心角が90°である扇形に切り欠かれている。各切り欠きは、基板本体21の上面から下面までの間にわたって形成されている。基板本体21は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化ケイ素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等のセラミックス系絶縁性材料、水晶、ガラス、シリコン等により作製されている。本実施形態では、基板本体21は、酸化アルミニウム質焼結体により作製されている。
外部電極22は、基板本体21の上面の左後ろの角近傍に設けられている長方形状の導体層である。外部電極26は、基板本体21の上面の右後ろの角近傍に設けられている長方形状の導体層である。外部電極22と外部電極26とは、左右方向に並んでいる。
引き出し導体層32は、第1の端部及び第2の端部を有する導体層である。第1の端部は、外部電極22に接続されている。第2の端部は、基板本体21の上面の左前の角に位置している。引き出し導体層34は、第3の端部及び第4の端部を有する導体層である。第3の端部は、外部電極26に接続されている。第4の端部は、基板本体21の上面の右後ろの角に位置している。
外部電極40は、基板本体21の下面の右後ろの角近傍に設けられている正方形状の導体層である。外部電極42は、基板本体21の下面の左後ろの角近傍に設けられている正方形状の導体層である。外部電極44は、基板本体21の下面の右前の角近傍に設けられている正方形状の導体層である。外部電極46は、基板本体21の下面の左前の角近傍に設けられている正方形状の導体層である。
接続導体25は、基板本体21の左前の角に設けられた切り欠きを覆うように設けられており、引き出し導体層32の第2の端部と外部電極46とを接続している。これにより、外部電極22と外部電極46とが電気的に接続されている。接続導体28は、基板本体21の右後ろの角に設けられた切り欠きを覆うように設けられており、引き出し導体層34の第4の端部と外部電極40とを接続している。これにより、外部電極26と外部電極40とが電気的に接続されている。
外部電極22,26,40,42,44,46、引き出し導体層32,34及び接続導体25,28は、3層構造を有しており、具体的には、下層側から上層側へとモリブデン層、ニッケル層及び金層が積層されることにより構成されている。
蓋14は、長方形状の開口を有する筺体であり、金属キャップとも呼ばれる。蓋14は、例えば、鉄ニッケル合金又はコバルトニッケル合金の母材にニッケルめっき及び金めっきが施されることにより作製されている。本実施形態では、蓋14は、下側が開口した直方体状の箱であり、鉄ニッケル合金の母材の表面にニッケルめっき及び金めっきが施されることにより作製されている。
接着部材30及び絶縁部材50は、基板本体21の上面上に下側から上側へとこの順に重ねて配置される。接着部材30及び絶縁部材50は、長方形状の環状構造を有しており、上側から見たときに、水晶振動素子16及び外部電極22,26を囲んでいる。絶縁部材50は、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂により作製されている。接着部材30は、有機接着部材であり、より好ましくは樹脂接着部材である。接着部材30は、樹脂接着部材である場合には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ系、あるいはシリコーン系の樹脂材料により作製されている。接着部材30及び絶縁部材50は、蓋14と基板12の引き出し導体層32,34とを絶縁する役割を果たすと共に、基板12と蓋14とを接合する役割を果たす。蓋14の開口の外縁が絶縁部材50に接触した状態で、接着部材30及び絶縁部材50が溶融及び固化させられる。これにより、蓋14は、開口の外縁の全長において基板本体21の上面に接合する。その結果、基板本体21の上面及び蓋14により、空間Spが形成されている。ただし、接着部材30が有機接着部材であるので、前記のようにパッケージ11が液密構造を有し、かつ、気密構造を有さない。
水晶振動素子16は、パッケージ11内に励振可能に収納されている。水晶振動素子16は、水晶片(Quartz Crystal Blank)17、外部電極97,98、励振電極100,101及び引き出し導体102,103を含み、圧電振動素子の一例である。水晶片17は、上面(第1の主面の一例)及び下面(第2の主面の一例)を有する板状構造を有しており、上側から見たときに、長方形状構造を有している。水晶片17は、圧電片の一例である。よって、水晶片17の代わりに、圧電片として、圧電セラミック片が用いられてもよい。
水晶片17は、所定の結晶方位を有する水晶であり、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたATカット型の水晶片である。水晶片17のサイズは、前後方向の長さが2.0mm、左右方向の幅が1.6mmの範囲に収まるサイズである。パッケージの壁厚さ、封止材のにじみ、素子のマウント精度等を考慮して、水晶片17の前後方向の長さが1.50mm以下となり、水晶片17の左右方向の幅が1.00mm以下となるように水晶片17が設計される。
外部電極97は、水晶片17の左後ろの角及びその近傍に設けられている導体層である。外部電極97は、上面、下面、後面及び左面に跨って形成されている。外部電極98は、水晶片17の右後ろの角及びその近傍に設けられている導体層である。外部電極98は、上面、下面、後面及び右面に跨って形成されている。これにより、外部電極97,98は、水晶片17の短辺に沿って並んでいる。
励振電極100(第1の励振電極の一例)は、水晶片17の上面の中央に設けられており、上側から見たときに長方形状構造を有している。励振電極101(第2の励振電極の一例)は、水晶片17の下面の中央に設けられており、上側から見たときに長方形状構造を有している。励振電極100と励振電極101とは、上側から見たときに、これらの外縁が一致するように重なっている。
引き出し導体102は、水晶片17の上面に設けられており、外部電極97と励振電極100とを接続している。引き出し導体103は、水晶片17の下面に設けられており、外部電極98と励振電極101とを接続している。外部電極97,98、励振電極100,101及び引き出し導体102,103は、2層構造を有しており、クロム層(クロムからなる層の一例)及び金層(金からなる層の一例)を含んでいる。クロム層は、水晶片17の表面上に設けられている。金層は、クロム層の上に設けられている表面金属層である。金層は水晶片17への密着性が低い。そのため、クロム層は、金層と水晶片17との間に設けられることによって、外部電極97,98、励振電極100,101及び引き出し導体102,103の水晶片17の表面への密着層として機能している。なお、クロム層の代わりにチタン層等の他の金属層を密着層として用いてもよい。
水晶振動素子16は、基板12の上面に実装される。具体的には、外部電極22と外部電極97とが導電性接着部材210により電気的に接続された状態で固定され、外部電極26と外部電極98とが導電性接着部材212により電気的に接続された状態で固定される。これにより、水晶振動素子16は、導電性接着部材210,212により基板12に支持されている。導電性接着部材210,212の材料は、例えば、エポキシ系樹脂基材に銀フィラーなどの導電性材料フィラーを含有したものである。
調整部材150は、水晶振動素子16に付加して設けられている。本実施形態では、調整部材150は、水晶片17の上面において励振電極100に対して前側に設けられている。水晶片17の上面において励振電極100に対して前側とは、片持ち支持された水晶片17の自由端側を意味する。ただし、調整部材150が設けられる位置はこれに限らない。調整部材150は、水晶片17の下面に設けられていてもよいし、励振電極100上又は励振電極101上に設けられていてもよい。特に、励振電極100又は励振電極101の近傍に調整部材150が設けられると大きな効果が得られる。なお、調整部材150は、導電性接着部材210及び導電性接着部材212に含まれていても良い。
また、調整部材150は、湿度が高くなるにしたがって、単位時間及び単位体積当たりの揮発量が増加する材料を含んでいる。本実施形態では、調整部材150の材料は、空気中の水分と反応することにより、固体から気体に状態変化する。このような材料としては、例えば、シロキサンが挙げられる。揮発量とは、固体又は液体が気体に変化する量を意味する。揮発量の測定は、湿度以外の条件を変化させず(すなわち、試料の形状(表面積)を一定とする)、湿度のみを変化させて行うものとする。
(水晶振動子の製造方法)
以下に、水晶振動子10の製造方法について図面を参照しながら説明する。
まず、基板12を作製する。複数の基板本体21がマトリクス状に配列されたマザー基板を準備する。マザー基板は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化ケイ素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等のセラミックス系絶縁性材料、水晶、ガラス、シリコン等により作製されている。
次に、マザー基板において、基板本体21の切り欠きが形成される位置にビームを照射して、円形の貫通孔を形成する。接続導体25,28の下地電極をマザー基板の貫通孔の内周面に形成する。具体的には、モリブデン層をマザー基板の切り欠き内に印刷し、乾燥させる。その後、モリブデン層を焼結する。これにより、接続導体25,28の下地電極が形成される。
次に、外部電極40,42,44,46の下地電極をマザー基板の下面に形成する。具体的には、モリブデン層をマザー基板の下面上に印刷し、乾燥させる。その後、モリブデン層を焼結する。これにより、外部電極40,42,44,46の下地電極が形成される。
次に、外部電極22,26及び引き出し導体層32,34の下地電極をマザー基板の上面に形成する。具体的には、モリブデン層をマザー基板の上面上に印刷し、乾燥させる。その後、モリブデン層を焼結する。これにより、外部電極22,26及び引き出し導体層32,34の下地電極が形成される。
次に、外部電極40,42,44,46,22,26、引き出し導体層32,34及び接続導体25,28の下地電極に、ニッケルめっき及び金めっきをこの順に施す。これにより、外部電極40,42,44,46,22,26、引き出し導体層32,34及び接続導体25,28が形成される。
次に、ダイサーにより、マザー基板を複数の基板本体21に分割する。なお、レーザビームを照射してマザー基板に分割溝を形成した後、マザー基板を複数の基板本体21に分割してもよい。これにより、基板12が完成する。
次に、水晶振動素子16を作製する。水晶の原石をATカットにより切り出して、長方形状の板状の水晶片17を得る。更に、必要に応じて、水晶片17に対してバレル加工装置を用いてべベル加工を施す。これにより、水晶片17の稜線付近が削り取られる。
次に、水晶片17の表面に外部電極97,98、引き出し導体102,103を介して外部電極97,98に電気的に接続している励振電極100,101を形成する。なお、外部電極97,98、励振電極100,101及び引き出し導体102,103の形成については、一般的な工程であるので説明を省略する。これにより、水晶振動素子16が完成する。
次に、基板本体21の上面に水晶振動素子16を実装する。具体的には、図2及び図3に示すように、外部電極22と外部電極97とを導電性接着部材210により接着すると共に、外部電極26と外部電極98とを導電性接着部材212により接着する。
次に、水晶片17の上面上に調整部材150を塗布する。
次に、パッケージ11を密封する。蓋14の開口の外縁が絶縁部材50上に位置するように、蓋14を基板12上に配置する。そして、蓋14及び基板12を、例えば、190℃まで加熱することにより、接着部材30及び絶縁部材50を溶融させる。この後、蓋14及び基板12を冷却することにより、接着部材30及び絶縁部材50を固化させる。これにより、パッケージ11が密封される。以上の工程を経て、水晶振動子10が完成する。
(効果)
本実施形態に係る水晶振動子10によれば、以下に説明するように、共振周波数の低下の発生を抑制できる。本願発明者は、特許文献1に記載の圧電振動部品の共振周波数が低下する原因を検討した。その結果、本願発明者は、圧電振動部品の振動電極が空気中の水分と反応して、振動電極の重量が大きくなることが原因であることを発見した。より詳細には、特許文献1に記載の圧電振動部品は、樹脂の接着部材によりキャップと基板とが接合されている。そのため、圧電振動部品は、液密構造を有し、気密構造を有さない。これにより、圧電振動部品外と圧電振動部品内との間で液体(例えば、水)が行き来できない。ただし、圧電振動部品外と圧電振動部品内との間で気体(例えば、水蒸気)が行き来できる。その結果、圧電振動部品が多湿環境下で使用されると、圧電振動部品内の湿度も上昇する。
ここで、圧電振動部品では、圧電振動子は、圧電片及び一対の振動電極を含んでいる。一対の振動電極はそれぞれ、圧電片の対向する2つの主面に設けられ、圧電片を挟んでいる。このような振動電極は、例えば、下地のクロム層及び表面の金層を含んでいる。クロム層は、圧電板の主面上に直接に形成されている。金層は、クロム層上に形成されている。ただし、金層の厚みは非常に薄い。そのため、前記のように、大気中の湿度が高くなると、圧電振動部品の液密封止内に湿った大気が入り込む。これにより、圧電振動部品の金層を内部空間内の水蒸気が透過する比率が増加し、クロム層まで到達する水分量が増加する。表面の金層を透過した水分がクロム層と反応し、振動電極のクロム層が酸化するなどして重量が増加する。振動電極は圧電片に接触しているので、振動電極にも圧電片の振動が伝達されている。そのため、振動電極の重量が増加すると、圧電片が振動しにくくなる。その結果、圧電振動子の共振周波数が低下する。
また、圧電片には、導電性保持部材も接触しているので、導電性保持部材にも圧電片の振動が伝達されている。更に、導電性保持部材も振動電極と同様に水分と反応し、導電性保持部材の重量が増加する。導電性保持部材の変化によって、圧電振動素子に加わる応力が変化し、圧電振動素子の共振周波数が低下する。
そこで、水晶振動子10は、水晶片17に接触する調整部材150を備えている。調整部材150は、湿度が高くなるにしたがって、単位時間及び単位体積当たりの揮発量が増加する材料を含んでいる。これにより、以下に説明するように、水晶振動子10の共振周波数の低下が抑制される。空間Spの湿度が上昇すると、励振電極100,101内のクロム層と水分とが反応し、励振電極100,101の重量が増加する。同様に、導電性接着部材210,212と水分とが反応し、導電性接着部材210,212の重量が増加する。このような励振電極100,101及び導電性接着部材210,212の重量の増加は、水晶振動子10の共振周波数を低下させる。ただし、空間Spの湿度が上昇すると、調整部材150の揮発量が増加し、調整部材150の重量が減少する。このような調整部材150の重量の減少は、水晶振動子10の共振周波数を増加させる。その結果、水晶振動子10の共振周波数の低下が抑制される。なお、揮発した調整部材150は、時間経過に伴って、パッケージ11外に放出される。
また、本願発明者は、特許文献1に記載の圧電振動部品の共振周波数が低下する原因を更に検討した。その結果、本願発明者は、以下に説明する原因を発見した。具体的には、導電性保持部材が空気中の水分と反応すると変形する。導電性保持部材が変形すると、圧電片が導電性保持部材から応力を受ける。このような応力は、圧電振動部品の共振周波数を低下させる。
そこで、水晶振動子10は、水晶片17に接触する調整部材150を備えている。調整部材150は、湿度が高くなるにしたがって、単位時間及び単位体積当たりの揮発量が増加する材料を含んでいる。これにより、以下に説明するように、水晶振動子10の共振周波数の低下が抑制される。空間Spの湿度が上昇すると、導電性接着部材210,212と水分とが反応し、導電性接着部材210,212が変形する。このような導電性接着部材210,212の変形は、水晶振動子10の共振周波数を低下させる。ただし、空間Spの湿度が上昇すると、調整部材150の揮発量が増加し、調整部材150の重量が減少する。このような調整部材150の重量の減少は、水晶振動子10の共振周波数を増加させる。その結果、水晶振動子10の共振周波数の低下が抑制される。
(その他の実施形態)
本発明に係る圧電振動子は、前記水晶振動子10に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。例えば、水晶振動素子に、水晶の結晶軸(Crystallographic Axis)として互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸に対して所定の角度で切り出された水晶板を基材とした水晶片であって、基部と、基部から延びている少なくとも1本の振動腕とを有する水晶片と、屈曲振動を発生させるように振動腕に設けられた励振電極とを備える音叉型水晶振動素子が使用できる。
なお、励振電極100,101の内の少なくともいずれか一方が密着層及び表面金属層(好ましくは金層)を含んでいればよい。
以上のように、本発明は、圧電振動子に有用であり、特に、共振周波数の低下を抑制できる点で優れている。
10:水晶振動子
11:パッケージ
12:基板
14:蓋
16:水晶振動素子
17:水晶片
21:基板本体
30:接着部材
50:絶縁部材
100,101:励振電極
150:調整部材
210,212:導電性接着部材
Sp:空間

Claims (12)

  1. 基板、蓋及び前記基板と前記蓋とを接合する有機接着部材を含む保持器と、
    前記保持器内に収納されている圧電振動素子と、
    前記圧電振動素子に付加して設けられており、かつ、湿度が高くなるにしたがって、単位時間及び単位体積当たりの揮発量が増加する材料を含む調整部材と、
    を備えている、
    圧電振動子。
  2. 液密封止された内部空間を有する保持器と、
    前記保持器内に収納されている圧電振動素子と、
    前記圧電振動素子に付加して設けられており、かつ、内部空間内の湿度が高くなるにしたがって、単位時間及び単位体積当たりの揮発量が増加する材料を含む調整部材と、
    を備えている、
    圧電振動子。
  3. 前記保持器は、基板、蓋及び前記基板と前記蓋とを接合する有機接着部材を含んでいる、
    請求項2に記載の圧電振動子。
  4. 前記調整部材は、シロキサンを含む、
    請求項1又は請求項3のいずれかに記載の圧電振動子。
  5. 前記圧電振動素子は、互いに対向する第1の主面及び第2の主面を有する圧電片と、前記圧電片を介して対向するように、前記第1の主面及び前記第2の主面に設けられている第1の励振電極及び第2の励振電極と、を含んでいる、
    請求項1、請求項3又は請求項4のいずれかに記載の圧電振動子。
  6. 前記第1の励振電極及び/又は前記第2の励振電極はそれぞれ、前記圧電片の前記第1及び第2の主面上に設けられている密着層、及び、前記密着層上に設けられている表面金属層を含んでいる、
    請求項5に記載の圧電振動子。
  7. 前記密着層は、クロムからなる層である、
    請求項6に記載の圧電振動子。
  8. 前記表面金属層は、金からなる層である、
    請求項6又は請求項7のいずれかに記載の圧電振動子。
  9. 前記有機接着部材は、樹脂接着部材である、
    請求項1、請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の圧電振動子。
  10. 前記圧電振動素子は、導電性接着部材により前記基板に支持されている、
    請求項1、請求項3ないし請求項9のいずれかに記載の圧電振動子。
  11. 前記圧電片は、所定の結晶方位を有する水晶である、
    請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の圧電振動子。
  12. 前記調整部材は前記導電性接着部材に含まれている
    請求項10に記載の圧電振動子。
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