JP2006180385A - 水晶振動子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水晶振動片と外枠とを一体に形成した中間水晶板の上下面に上下基板を一体に接合した水晶振動子をより一層小型化しかつ発振抵抗を少なくして振動特性を向上させる。
【解決手段】 水晶振動片13と外枠14とを一体に形成した中間水晶振動板2の上下面にそれぞれ上側及び下側基板3,4を積層し、気密に接合して水晶振動片を封止する。水晶振動子1の側面に引出導電膜9,10を形成して、該側面に露出する中間水晶振動板の上側接合膜17又は下側接合膜19と電気的に接続し、水晶振動片の励振電極16,18をそれぞれ対応する第1外部電極5,7又は第2外部電極6,8と導通させる。
【選択図】 図1
【解決手段】 水晶振動片13と外枠14とを一体に形成した中間水晶振動板2の上下面にそれぞれ上側及び下側基板3,4を積層し、気密に接合して水晶振動片を封止する。水晶振動子1の側面に引出導電膜9,10を形成して、該側面に露出する中間水晶振動板の上側接合膜17又は下側接合膜19と電気的に接続し、水晶振動片の励振電極16,18をそれぞれ対応する第1外部電極5,7又は第2外部電極6,8と導通させる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、音叉型または厚みすべり振動モードの水晶振動片をパッケージに気密に収容した水晶振動子及びその製造方法に関する。
従来より電子機器の小型化、薄型化に伴い、水晶振動子などの圧電デバイスはより一層の小型化・薄型化が要求されると共に、回路基板等への実装に適した表面実装型のものが多用されている。一般に表面実装型の圧電デバイスは、セラミックなどの絶縁材料で形成したパッケージに圧電振動片を封止する構造が広く採用されている。このようなパッケージ構造は、ベースとリッドとを接合するための低融点ガラスや、パッケージに圧電振動片を実施するための導電性接着剤などから発生するガスやシーム溶接の高熱で、水晶振動片の周波数特性が低下したり劣化する虞がある。更に低融点ガラスは、鉛を含む場合には環境に影響を及ぼす虞があるので、好ましくない。
そこで、かかる問題を解消するため、水晶振動片を一体に形成した外枠の上下両面に金属層を設け、各金属層とガラスからなる蓋及びケースとを陽極接合した水晶振動子が提案されている(例えば特許文献1、2を参照)。この水晶振動子は、水晶振動片の励振電極からその基端部又は外枠に引き出した電極とケース下面の外部電極とを、該ケースに形成したスルーホールを介して接続している。同様に圧電振動片を一体に形成した圧電振動板の枠の上下面に接合膜を設け、ガラスからなるリッド及びベースを陽極接合した別の圧電振動子は、枠下面の接合膜が接合膜を有しない部分で分割され、かつ分割された接合膜がコンタクトホール即ちスルーホールを介して枠上面の接合膜と電気的に接続され、更にベースに形成したスルーホールを介してベース下面の外部電極と接続している(例えば特許文献3を参照)。
しかしながら、これら従来の水晶振動子は、振動片の励振電極と外部電極とを電気的に接続するために、水晶振動片と一体をなす枠にスルーホールを形成するので、その平面寸法が大きくなる。特に上記特許文献3記載の圧電振動子の場合、圧電振動片をキャビティ内に封止する気密性を確保するために、枠の幅が、接合膜を分割した部分において他の部分よりも大きく、その分だけ圧電振動板の平面寸法が更に大きくなる。このように、水晶振動子の寸法を小型化するのに限界がある。
また圧電振動片は、その振動に直接関与しない部分の面積が大きくなると、発振抵抗が大きくなる。これに加えて、特に蓋及びケースと接合される水晶振動片の外枠が大きくなると、その残存応力が大きくなり、振動特性に影響を及ぼす虞がある。従って、水晶振動片と一体をなす外枠の面積は、できる限り小さいことが望ましい。
更に、圧電振動板は、スルーホールを形成するために加工コストが増大する。特にこのスルーホールを水晶ウエハにウエットエッチングで加工した場合、その異方性のためにスルーホールの形状は、その内面に導電膜を接合膜との導通を十分かつ確実にとるように成膜することが難しいものになる。
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、水晶振動片と外枠とを一体に形成した中間の水晶振動板の上面及び下面に、それぞれリッド及びベースとなる基板を接合し、その内部に水晶振動片を気密に封止する水晶振動子において、より一層の小型化を図ることにある。
更に本発明の目的は、かかる水晶振動子においてその発振抵抗を少なくし、振動特性のより一層の向上を図ることにある。
また、本発明の別の目的は、かかる水晶振動子の製造コストを低減することにある。
本発明の第1の側面によれば、上記目的を達成するために、水晶振動片及び該水晶振動片に一体に結合した外枠を有し、水晶振動片の一方の励振電極に接続した上側接合膜を外枠の上面に形成しかつ水晶振動片の他方の励振電極に接続した下側接合膜を外枠の下面に形成した中間水晶振動板と、上側基板と、一方の励振電極に対応する第1の外部電極及び他方の励振電極に対応する第2の外部電極を下面に設けた下側基板とからなり、中間水晶振動板の外枠の上面に上側基板を及び外枠の下面に下側基板をそれぞれ気密に接合することにより画定されるキャビティ内部に水晶振動片を保持する水晶振動子であって、水晶振動子の側面に露出する上側接合膜と第1の外部電極とを電気的に接続するように水晶振動子の側面に形成した第1の引出導電膜と、水晶振動子の側面に露出する下側接合膜と第2の外部電極とを電気的に接続するように水晶振動子の側面に形成した第2の引出導電膜とを有し、かつ、第1の引出導電膜と下側接合膜との間に電気的絶縁部を設けた水晶振動子が提供される。
このように水晶振動子の側面に形成した引出導電膜により水晶振動片の励振電極と外部電極とを接続することによって、従来のスルーホールが不要となるので、中間水晶振動板をより小さくでき、振動子全体を小型化することができる。従って、同じ外形寸法であれば、封止幅をより大きくできるので、水晶振動子の信頼性が向上する。逆に、同じ外形寸法で同じ封止幅であれば、従来のスルーホール及び接合膜の分割に用いる領域の分だけ振動片の寸法を大きくできるので、発振特性が向上する。また、水晶振動子をロウ付けにより実装する場合には、水晶振動子側面の引出導電膜に沿ってロウ材のフィレットを引き易くなるので、実装強度が向上する利点がある。
或る実施例では、前記上側基板が、一方の励振電極に対応する別の第1の外部電極及び他方の励振電極に対応する別の第2の外部電極を上面に有し、第1の引出導電膜が、水晶振動子側面に露出する上側接合膜と第1の外部電極及び別の第1の外部電極とを電気的に接続するように形成され、第2の引出導電膜が、水晶振動子側面に露出する下側接合膜と第2の外部電極及び別の第2の外部電極とを電気的に接続するように形成され、かつ、第2の引出導電膜と上側接合膜との間に電気的絶縁部を設けることができる。このように水晶振動子の上面及び下面双方に外部電極を配置することができるので、実装する際に表裏の差がなく、取り扱いが簡単になるので好都合である。
別の実施例では、前記下側基板がその周縁に、中間水晶振動板の下側接合膜を部分的に露出させかつ第2の外部電極に隣接する切欠け部を有し、切欠け部の内面に形成した導電膜により、該切欠き部に隣接する第2の外部電極と前記下側接合膜とを電気的に接続することができる。また、別の実施例では、下側及び上側基板がその周縁に、中間水晶振動板の下側又は上側接合膜を部分的に露出させかつ第2又は第1の外部電極に隣接する欠け部をそれぞれ有し、欠け部の内面に形成した導電膜により、該欠き部に隣接する第2又は第1の外部電極と下側又は上側接合膜とを電気的に接続することができる。このような欠け部の内側には中間水晶振動板の接合膜が露出しているので、その内面に導電膜を形成することによって、接合膜と外部電極7とをより確実に電気的に接続することができる。
また、或る実施例では、前記電気的絶縁部が、引出導電膜が形成される中間水晶振動板の外枠の周辺部に沿って、接合膜を形成しない領域を設けることにより形成することができる。別の実施例では、前記電気的絶縁部が、水晶振動子の側面に露出する接合膜の部分を電気的絶縁材料で被覆することにより形成される。いずれの場合にも、引出導電膜と接合膜との電気的絶縁性を容易に確保することができる。
或る実施例では、前記下側及び上側基板が水晶と同等又はそれに近似する熱膨張率を有するガラス材料、例えばソーダガラスやホウケイ酸ガラスなどで形成することができ、別の実施例では、水晶材料で形成することができる。
また、本発明の第2の側面によれば、水晶振動片及び該水晶振動片に一体に結合した外枠を有し、水晶振動片の一方の励振電極に接続した上側接合膜を外枠の上面に形成しかつ水晶振動片の他方の励振電極に接続した下側接合膜を外枠の下面に形成した中間水晶振動板を形成する工程と、上側基板を形成する工程と、一方の励振電極に対応する第1の外部電極及び他方の励振電極に対応する第2の外部電極を下面に設けた下側基板を形成する工程と、中間水晶振動板を挟んでその上下面に上側及び下側基板を、中間水晶振動板と上側及び下側基板とにより画定されるキャビティ内に水晶振動片が保持されるように重ね合わせ、上側及び下側基板の接合面と中間水晶振動板の外枠とを気密に接合する工程と、水晶振動子の側面に露出する上側接合膜と第1の外部電極とを電気的に接続する第1の引出導電膜と、水晶振動子の側面に露出する下側接合膜と第2の外部電極とを電気的に接続する第2の引出導電膜とを、水晶振動子の側面に形成する行程とを有し、前記第1の引出導電膜を形成する前に、前記第1の引出導電膜と前記下側接合膜とを電気的に絶縁する絶縁部を設ける水晶振動子の製造方法が提供される。
これにより、上述した積層構造からなり、それによりより一層の小型化が可能な水晶振動子を比較的簡単にかつ低コストで製造することができる。
或る実施例では、中間水晶振動板を形成する工程において、第1の引出導電膜が形成される中間水晶振動板の外枠の周辺部に沿って、下側接合膜を形成しない領域を設けることにより、前記絶縁部を設けることができる。
別の実施例では、第1の引出導電膜を形成する前に、水晶振動子の側面に露出する下側接合膜の部分を電気的絶縁材料で被覆する工程を更に有し、これにより前記絶縁部を設けることができる。
また、或る実施例では、複数の中間水晶振動板を中間水晶ウエハに形成し、中間水晶ウエハに対応する複数の上側基板を上側ウエハに形成し、中間水晶ウエハに対応する複数の下側基板を下側ウエハに形成し、中間水晶ウエハを挟んでその上面及び下面に上側及び下側ウエハをそれぞれ重ね合わせて一体に接合することにより、各上側及び下側基板の接合面と各中間水晶振動板の外枠とをそれぞれ気密に接合し、接合した上側、中間及び下側ウエハを個々の水晶振動子に切断した後、各水晶振動子の側面に第1及び第2の引出導電膜を形成することにより、多数の水晶振動子を同時に製造することができ、生産性の向上及びコストの低下を図ることができる。
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。尚、各図面において類似の構成要素には、同じ参照符号を付して説明する。
図1及び図2は、本発明による水晶振動子の好適な第1実施例を示している。水晶振動子1は、図1(A)及び図2に示すように、中間水晶振動板2を挟んでその上面及び下面にそれぞれ上側及び下側基板3,4を一体に積層した構造を有する。本実施例の上側及び下側基板は、水晶と実質的に同等又は近似する熱膨張率を有するガラス材料の薄板で形成されている。別の実施例では、前記上側及び下側基板を水晶板で形成することができる。
下側基板4の下面には、長手方向両端の各角部にそれぞれ1対の第1外部電極5及び第2外部電極6が設けられている。同様に、上側基板3の上面には、左右両端の各角部にそれぞれ別の1対の第1外部電極7及び第2外部電極8が設けられている。上下に対応する第1外部電極5,7同士及び第2外部電極6,8同士は、それぞれ水晶振動子1の側面に形成された引出導電膜9,10により互いに電気的に接続されている。
更に上側基板3には、第1外部電極7を設けた一方の端部の各角部に1/4円形の欠け11が形成されている。同様に、下側基板4には、第2外部電極6を設けた反対側の端部の各角部に1/4円形の欠け12が形成されている。この欠けは、例えば大型のウエハを個片に分割するために縦横切断線の交点に形成するキャスタレーション即ち円形貫通孔が切断後に残ったものである。欠け11,12の内面には、後述するようにそれぞれ導電膜が形成されている。
中間水晶振動板2は、図3(A)、(B)に示すように、音叉型水晶振動片13と外枠14とが一体に形成されている。水晶振動片13は、外枠14に結合された基端部15から延出する1対の振動腕を有し、その表面に形成された一方の励振電極16が前記基端部から引き出されて、外枠14の上面に形成された上側接合膜17と電気的に接続されている。前記振動腕の表面に形成された他方の励振電極18は、同様に基端部15から引き出されて、外枠14の下面に形成された下側接合膜19と電気的に接続されている。
更に本実施例では、中間水晶振動板2の上面に、水晶振動子1側面の引出導電膜10が形成される外枠14の周辺部分に沿って、前記上側接合膜を形成しない領域20が設けられている。同様に、中間水晶振動板2の下面には、水晶振動子1側面の引出導電膜9が形成される外枠14の周辺部分に沿って、前記下側接合膜を形成しない領域21が設けられている。これら接合膜非形成領域20,21は、隣接する引出導電膜9,10との電気的絶縁性が確保されるように、外枠14周縁に沿って前記引出導電膜の側縁から或る距離離隔した範囲でかつ外枠周縁から内側へ一定の幅で設定される。
図4は、水晶振動子1の第1外部電極5,7を設けた一方の角部を図1(B)のIV−IV線に沿って断面示している。同図に示すように、中間水晶振動板2上面の上側接合膜17は、その縁端部が水晶振動子1の側面に露出して引出導電膜9と電気的に接続されている。これに対し、中間水晶振動板2下面の下側接合膜19は、接合膜非形成領域21からなる電気的絶縁部を設けたことによって、その縁端部が水晶振動子1の側面に露出せず、しかも引出導電膜9から十分に離隔されて電気的に絶縁されている。
また、図4に示すように、欠け11の内面には導電膜24が形成されている。欠け11の内側には中間水晶振動板2の上側接合膜17が露出しているので、導電膜24によって上側接合膜17と上側基板3上面の第1外部電極7とをより確実に電気的に接続することができる。
尚、図示していないが、水晶振動子1の第2外部電極6,8を設けた角部も、図4と同様に構成されている。即ち、中間水晶振動板2下面の下側接合膜19は、その縁端部が水晶振動子1の側面に露出して引出導電膜10と電気的に接続されている。中間水晶振動板2上面の上側接合膜17は、その縁端部が接合膜非形成領域21により水晶振動子1の側面に露出せず、引出導電膜10から十分に離隔されて電気的に絶縁されている。また、欠け12の内面には同様に導電膜が形成され、欠け12の内側に露出する中間水晶振動板2の下側接合膜19と下側基板4下面の第2外部電極6とをより確実に電気的に接続している。
本実施例において、中間水晶振動板2の前記励振電極及び接合膜はアルミニウムで形成されているが、従来から知られているクロム、チタンなどの様々な導電材料を使用することができる。上側及び下側基板3,4の外部電極5〜8、水晶振動子1側面の引出導電膜9,10及び欠け11,12内面の導電膜は、Au/Cr膜又はNi膜などをスパッタ、めっきなどして形成する。
また、上側及び下側基板3,4には、それぞれ中間水晶振動板2との対向面に、互いに協働して水晶振動片13を収容するキャビティを画定するように凹部22,23が形成されている。このキャビティ内に、水晶振動片13はその基端部15において片持ちに浮いた状態で保持される。上側及び下側基板3,4の接合面と中間水晶振動板2の外枠14とは、例えば陽極接合や直接接合、プラズマ接合などの従来方法により接合されて、前記キャビティ内部を気密に封止する。
本実施例の水晶振動子は、その側面に引出導電膜を形成して水晶振動片の励振電極と外部電極とを接続することによって、中間水晶振動板の外枠14をより小さくでき、装置全体を小型化することができる。更に同じ外形寸法であれば、封止幅をより大きくできるので、水晶振動子の信頼性が向上する。逆に、同じ外形寸法で同じ封止幅である場合には、従来構造においてスルーホール及び接合膜の分割に用いた領域の分だけ、振動片の寸法即ちその振動面積を大きくできるので、発振特性が向上する。しかも、水晶振動子の上面及び下面双方に外部電極を配置することができるので、実装する際に表裏の差がなく、取り扱いが簡単になるので好都合である。また、ロウ付けにより実装する場合には、水晶振動子側面の引出導電膜に沿ってロウ材のフィレットを引き易くなり、実装強度が向上する利点がある。
次に、図5を参照して、本発明の方法により水晶振動子を製造する工程を説明する。図5(A)に示すように、図1の複数の水晶振動片13及び外枠14を縦及び横方向に連続して配置した大型の中間水晶ウエハ30を準備する。前記水晶振動片及び外枠の外形は、フォトリソグラフィ技術を利用して水晶ウエハをエッチングすることにより形成する。各水晶振動片13及び外枠14の表面には、例えばアルミニウムなどの導電材料を蒸着することにより、前記励振電極及び接合膜を所望のパターンに成膜する。
また、複数の上側基板3を縦及び横方向に連続して配置した大型の上側ガラスウエハ31を準備する。上側ガラスウエハ31の中間水晶ウエハ30との対向面には、中間水晶ウエハ30の前記各水晶振動片及び外枠に対応する複数の凹部22が形成されている。上側ガラスウエハ31には、縦及び横方向に直交する上側基板3の外郭線33の交点で、図1の欠け11に対応する位置にそれぞれ円形貫通孔34が形成されている。これらの凹部及び貫通孔は、例えばサンドブラスト加工またはエッチングなどにより容易に形成することができる。更に上側基板3の上面には、導電材料をスパッタリングなどすることにより、第1及び第2外部電極7,8が予め所定の位置に形成されている。但し、前記第1及び第2外部電極は中間水晶振動板と上側及び下側基板との接合後に形成することができる。
同様に、複数の下側基板4を縦及び横方向に連続して配置した大型の下側ガラスウエハ32を準備する。下側ガラスウエハ32の中間水晶ウエハ30との対向面には、中間水晶ウエハ30の前記各水晶振動片及び外枠に対応する複数の凹部23が形成されている。下側ガラスウエハ32には、縦及び横方向に直交する下側基板4の外郭線33の交点にそれぞれ円形貫通孔35が形成されている。これらの凹部及び貫通孔は、例えばサンドブラスト加工またはエッチングなどにより容易に形成することができる。更に下側基板4の下面には、導電材料をスパッタリングなどすることにより、第1及び第2外部電極5,6が予め所定の位置に形成されている。但し、前記第1及び第2外部電極は中間水晶振動板と上側及び下側基板との接合後に形成することができる。
次に、中間水晶ウエハ30を挟んでその上面及び下面にそれぞれ上側及び下側ガラスウエハ31,32を重ね合わせる。この状態で、陽極接合の場合には、直流電源の正極を中間水晶ウエハ30にかつその負極を上側及び下側ガラスウエハ31,32にそれぞれ接続して、所定の直流電圧を印加する。これにより、3枚のウエハ30〜32が図5(B)に示すように一体に接合される。
このように接合したウエハ積層体36を縦横に直交する水晶振動子の外郭線33に沿ってダイシングなどにより切断分割することにより、個片化する。最後に、個片化した各水晶振動子の側面及び欠けの内面に、Au/Crなどの導電材料をスパッタリングなどすることにより、引出導電膜9,10及び前記導電膜を形成する。これにより、図1に示す水晶振動子1が完成する。
特に欠け11,12の内面がテーパ状に形成されていると、前記導電膜を成膜する際に導電材料のスパッタリングがより容易である。特にサンドブラスト加工は孔をテーパ状に形成できるので、上側ガラスウエハ31の貫通孔34はその上面側から、及び下側ガラスウエハ32の貫通孔35はその下面側からサンドブラスト加工すると、好都合である。
別の実施例では、上側及び下側基板3,4が透明なことから、完成した各水晶振動子の外部からレーザ光などを水晶振動片に容易に照射でき、それにより周波数調整することができる。なお、下側ガラスウエハ32には、予め凹部23の適当な位置に封止孔(図示せず)を貫設しておき、周波数調整後に各水晶振動子を真空雰囲気に置いて、封止孔を適当な封止材料で気密に閉塞してもよい。
図6及び図7は、図1に示す第1実施例の水晶振動子の変形例を示している。この変形例の水晶振動子1は、図7に例示するように、中間水晶振動板2の上側接合膜17及び下側接合膜19がそれぞれ外枠14の上面及び下面の全面に、その全周にわたって周縁まで形成され、前記接合膜非形成領域が省略されている。そして、図6(B)に示すように、水晶振動子1の側面に引出導電膜9に隣接して露出する下側接合膜19の端縁部分は、絶縁膜41で被覆されている。これにより引出導電膜9は、中間水晶振動板2の上側接合膜17とは電気的に接続されるが、絶縁膜41からなる電気的絶縁部により下側接合膜19とは電気的に絶縁されている。
絶縁層41は、例えばアルミナの蒸着やセラミック材料のプラズマコーティング、シリカコーティング、酸化などにより形成することができる。また、図示しないが、中間水晶振動板2の上側接合膜17と引出導電膜10との間も、同様に絶縁層を設けることによって電気的絶縁性が確保される。これらの絶縁層は、図5に関連して上述した製造工程において、水晶振動子の個片化後に引出導電膜の成膜前に形成される。
絶縁層41は、引出導電膜9との電気的絶縁性を確保するという意味において、図3の接合膜非形成領域20,21と同様に、外枠14周縁に沿って前記引出導電膜の側縁から或る距離離隔した範囲に形成すれば十分である。しかしながら、本実施例では、水晶振動子1側面に露出する上側接合膜17の端縁において引出導電膜9が形成されない部分は、同様に絶縁層42が形成されている。このように引出導電膜が形成されない上側及び下側接合膜の端縁部分を全周に亘って絶縁材料で被覆することによって、例えばアルミニウムからなる前記接合膜が水分により腐食することを防止することができる。
図8は、第1実施例の水晶振動子の別の変形例を示している。この変形例の水晶振動子1は、中間水晶振動板2がその下面では水晶振動片13と外枠14とを同一平面とし、かつ上面では外枠14の板厚をその厚み方向上方にのみ水晶振動片13よりも厚くし、段差43を介して水晶振動片基端部15と外枠14とを結合したこと、及び、上側基板3を中間水晶振動板2との対向面から凹部を省略して平坦にした点において、上記第1実施例と異なる。従って、水晶振動片13の一方の励振電極18は、基端部15から段差43を介して外枠14上面の上側導電膜17に連続する。その他の点は、第1実施例と全く同様に構成される。
この変形例の水晶振動子1も、同様に図5に関連して上述した工程に従って製造することができる。この変形例では、上側基板3が平板であることにより、製造上その取り扱いが簡単になり、かつ製造コストが低減される。また、中間水晶ウエハは、上面側からのエッチング加工のみで形成できる。
図9は、第1実施例の水晶振動子の更に別の変形例を示している。この変形例の水晶振動子1は、中間水晶振動板2が外枠14の板厚をその厚み方向上下両方に水晶振動片13よりも厚くし、水晶振動片の基端部15と外枠14とを上下両側でそれぞれ段差43,44をもって結合したこと、及び、上側及び下側基板3,4を中間水晶振動板2との対向面から凹部を省略して平坦にした点において、上記第1実施例と異なる。従って、水晶振動片13の励振電極16,18は、それぞれ基端部15から段差43,44を介して外枠14の上側及び下側導電膜17,19に連続する。その他の点は、第1実施例と全く同様に構成される。
この変形例の水晶振動子1も、同様に図5に関連して上述した工程に従って製造することができる。この変形例では、上側及び下側基板3,4が両方共平板であることにより、製造上その取り扱いが簡単になり、かつ製造コストが低減される。
図10及び図11は、本発明による水晶振動子の第2実施例を示している。第2実施例の水晶振動子51は、上側基板3の欠け11が省略され、その代わりに下側基板4の第1外部電極5が設けられた各角部に1/4円形の欠け52が形成されている。そして、図12に示すように、中間水晶振動板2の第1外部電極5側の各角部には、下側基板4の欠け52の内側にそれより僅かに小さい1/4円形の欠け53が形成されている。
図12(A)に示すように、中間水晶振動板2上面の上側接合膜17は、図3に示す第1実施例の中間水晶振動板2と同様に、水晶振動子1側面の引出導電膜10が形成される外枠14の周辺部分に沿って、前記上側接合膜を形成しない領域20が設けられている。同様に、中間水晶振動板2の下面には、水晶振動子1側面の引出導電膜9が形成される外枠14の周辺部分に沿って、前記下側接合膜を形成しない領域54が設けられている。しかし、第2実施例の接合膜非形成領域54は、欠け53を設けた部分がその形状に対応して外枠周縁から内側へ一定の幅で設定されている。
第2実施例では、図13に示すように、欠け52及び欠け53の内面と欠け53により露出した上側基板2の下面部分に導電膜55〜57が互いに連続して形成される。欠け52内面の導電膜55は、第1外部電極5及び引出導電膜9と電気的に接続するが、下側接合膜19とは接合膜非形成領域54により電気的に絶縁されるように設けられる。欠け53内面の導電膜56及び上側基板2下面の導電膜57は、上側接合膜17及び引出導電膜9と電気的に接続するように設けられる。
第2実施例の水晶振動子51も、第1実施例と同様に図5に関連して上述した工程に従って製造することができる。また、図6乃至図9に関連して上述した第1実施例の各変形例のように変形することもできる。
また、第2実施例の変形例では、上側基板3の第1及び第2外部電極7,8を省略することができる。この場合、水晶振動子1側面の引出導電膜9,10は、上側基板3上面まで形成する必要がなく、それぞれ対応する接合膜17,19と下側基板4の外部電極5,6とを接続する範囲で形成すればよい。また、第1外部電極5側では、上側基板2下面の導電膜57を省略することができる。
以上、本発明の好適実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において上記各実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、音叉型水晶振動子に代えて厚みすべり振動モードの水晶振動子についても同様に適用することができる。
1,51…水晶振動子、2…中間水晶振動板、3…上側基板、4…下側基板、5,7…第1外部電極、6,8…第2外部電極、9,10…引出導電膜、11,12,52,53…欠け、13…、水晶振動片、14…外枠、15…基端部、16,18…励振電極、17…上側接合膜、19…下側接合膜、20,21,54…領域、22,23…凹部、24,55〜57…導電膜、30…中間水晶ウエハ、31…上側ガラスウエハ、32…下側ガラスウエハ、33…外郭線、34,35…円形貫通孔、36…ウエハ積層体、41,42…絶縁層、43,44…段差。
Claims (12)
- 水晶振動片及び該水晶振動片に一体に結合した外枠を有し、前記水晶振動片の一方の励振電極に接続した上側接合膜を前記外枠の上面に形成しかつ前記水晶振動片の他方の励振電極に接続した下側接合膜を前記外枠の下面に形成した中間水晶振動板と、
上側基板と、
前記一方の励振電極に対応する第1の外部電極及び前記他方の励振電極に対応する第2の外部電極を下面に設けた下側基板とからなり、
前記中間水晶振動板の前記外枠の上面に前記上側基板を及び前記外枠の下面に前記下側基板をそれぞれ気密に接合することにより画定されるキャビティ内部に前記水晶振動片を保持する水晶振動子であって、
前記水晶振動子の側面に露出する前記上側接合膜と前記第1の外部電極とを電気的に接続するように前記水晶振動子の側面に形成した第1の引出導電膜と、前記水晶振動子の側面に露出する前記下側接合膜と前記第2の外部電極とを電気的に接続するように前記水晶振動子の側面に形成した第2の引出導電膜とを有し、かつ、
前記第1の引出導電膜と前記下側接合膜との間に電気的絶縁部を設けたことを特徴とする水晶振動子。 - 前記上側基板が、前記一方の励振電極に対応する別の第1の外部電極及び前記他方の励振電極に対応する別の第2の外部電極を上面に有し、
前記第1の引出導電膜が、前記水晶振動子の側面に露出する前記上側接合膜と前記第1の外部電極及び前記別の第1の外部電極とを電気的に接続するように形成され、
前記第2の引出導電膜が、前記水晶振動子の側面に露出する前記下側接合膜と前記第2の外部電極及び前記別の第2の外部電極とを電気的に接続するように形成され、かつ、
前記第2の引出導電膜と前記上側接合膜との間に電気的絶縁部を設けたことを特徴とする請求項1記載の水晶振動子。 - 前記下側基板がその周縁に、前記中間水晶振動板の前記下側接合膜を部分的に露出させかつ前記第2の外部電極に隣接する切欠け部を有し、前記切欠け部の内面に形成した導電膜により、該切欠き部に隣接する前記第2の外部電極と前記下側接合膜とを電気的に接続したことを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。
- 前記下側及び上側基板がその周縁に、前記中間水晶振動板の前記下側又は上側接合膜を部分的に露出させかつ前記第2又は第1の外部電極に隣接する欠け部をそれぞれ有し、前記欠け部の内面に形成した導電膜により、該欠き部に隣接する前記第2又は第1の外部電極と前記下側又は上側接合膜とを電気的に接続したことを特徴とする請求項2に記載の水晶振動子。
- 前記電気的絶縁部が、前記引出導電膜が形成される前記中間水晶振動板の前記外枠の周辺部に沿って、前記接合膜を形成しない領域を設けることにより形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水晶振動子。
- 前記電気的絶縁部が、前記水晶振動子の側面に露出する前記接合膜の部分を電気的絶縁材料で被覆することにより形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水晶振動子。
- 前記下側及び上側基板が、水晶と同等又はそれに近似する熱膨張率を有するガラス材料からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の水晶振動子。
- 前記下側及び上側基板が水晶材料からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の水晶振動子。
- 水晶振動片及び該水晶振動片に一体に結合した外枠を有し、前記水晶振動片の一方の励振電極に接続した上側接合膜を前記外枠の上面に形成しかつ前記水晶振動片の他方の励振電極に接続した下側接合膜を前記外枠の下面に形成した中間水晶振動板を形成する工程と、
上側基板を形成する工程と、
前記一方の励振電極に対応する第1の外部電極及び前記他方の励振電極に対応する第2の外部電極を下面に設けた下側基板を形成する工程と、
前記中間水晶振動板を挟んでその上下面に前記上側及び下側基板を、前記中間水晶振動板と前記上側及び下側基板とにより画定されるキャビティ内に前記水晶振動片が保持されるように重ね合わせ、前記上側及び下側基板の接合面と前記中間水晶振動板の前記外枠とを気密に接合する工程と、
前記水晶振動子の側面に露出する前記上側接合膜と前記第1の外部電極とを電気的に接続する第1の引出導電膜と、前記水晶振動子の側面に露出する前記下側接合膜と前記第2の外部電極とを電気的に接続する第2の引出導電膜とを、前記水晶振動子の側面に形成する行程とを有し、
前記第1の引出導電膜を形成する前に、前記第1の引出導電膜と前記下側接合膜とを電気的に絶縁する絶縁部を設けることを特徴とする水晶振動子の製造方法。 - 中間水晶振動板を形成する工程において、前記第1の引出導電膜が形成される前記中間水晶振動板の前記外枠の周辺部に沿って、前記下側接合膜を形成しない領域を設けることにより、前記絶縁部を設けることを特徴とする請求項9に記載の水晶振動子の製造方法。
- 前記第1の引出導電膜を形成する前に、前記水晶振動子の側面に露出する前記下側接合膜の部分を電気的絶縁材料で被覆する工程を更に有し、これにより前記絶縁部を設けることを特徴とする請求項9に記載の水晶振動子の製造方法。
- 複数の前記中間水晶振動板を中間水晶ウエハに形成し、前記中間水晶ウエハに対応する複数の前記上側基板を上側ウエハに形成し、前記中間水晶ウエハに対応する複数の前記下側基板を下側ウエハに形成し、前記中間水晶ウエハを挟んでその上面及び下面に前記上側及び下側ウエハをそれぞれ重ね合わせて一体に接合することにより、前記各上側及び下側基板の接合面と前記各中間水晶振動板の前記外枠とをそれぞれ気密に接合し、接合した前記上側、中間及び下側ウエハを個々の水晶振動子に切断した後、前記各水晶振動子の側面に前記第1及び第2の引出導電膜を形成することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法。
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JP2004373695A JP2006180385A (ja) | 2004-12-24 | 2004-12-24 | 水晶振動子及びその製造方法 |
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Cited By (1)
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JP2012015824A (ja) * | 2010-07-01 | 2012-01-19 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 圧電振動デバイス及び圧電振動デバイスの製造方法 |
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2004
- 2004-12-24 JP JP2004373695A patent/JP2006180385A/ja active Pending
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