JPWO2018066169A1 - 吸音性表皮材、吸音材、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、特許文献1や特許文献2に開示されている吸音材は、多孔質材料の表面に粉体からなる粉体層を設け、音の入射時における前記粉体の振動を利用することで、多孔質材の厚みや重量を増すことなく、吸音性能の向上を図っている。また、該粉体層は、粉体が含有されたバインダー樹脂を多孔質材料の表面に塗布し、該バインダー樹脂を硬化させることによって形成されている。
上記のような表皮材として、例えば、特許文献3には、合成樹脂が含浸された不織布の片面(裏面)に粉末状のホットメルト接着剤を塗布したものが開示されている。特許文献4には、表面に撥水剤塗布層が形成された繊維シートの裏面から水性合成樹脂液を含浸させてなる表皮材が開示されている。特許文献5には、表皮材と基材(多孔質材料)とを重ね、ホットプレスすることで所定形状に成形する内装材の製造方法において、不織布に合成樹脂が含浸された表皮材が開示されている。
更に、上記のような外観品質の向上を図るのみならず、吸音性能を付与した表皮材が提案されている。例えば、特許文献6には、繊維シートの片面または両面に、表面に多数の凹凸が形成され、かつ所定の通気抵抗を有する延伸性紙材を積層することにより、吸音性能を付与したものが開示されている。
また近年の自動車等、特にハイブリッドカーや電気自動車では、エンジン音が減少した分、これまで騒音と認識されなかった周波数域の音や、車外から侵入するロードノイズや風切り音までもが騒音と認識されることが問題となっており、該騒音に対応するべく、更なる吸音性能の向上が要請されている。特許文献1や特許文献2は、主に高周波数域(2000Hz以上)の音に対して優れた吸音特性を示すが、低周波数域の音に対する吸音性能が十分ではないから、近年の自動車等で騒音と認識されるようになった音に対して十分な吸音性能を有しているといえない。特に、外観品質向上のため該多孔質材料に表皮材を貼着すると、該表皮材によって吸音特性が変化する可能性も高く、こうした吸音特性の変化をも考慮する必要がある。
特許文献3、特許文献4、特許文献5は、上記の外観品質の低下に関して解決を試みたものであるが、しかし、吸音性能の向上を試みたものではない。そして、特許文献6は、外観品質と吸音性能の向上を試みるものではあるが、繊維シートに延伸性紙材を貼着する作業が繁雑であり、また延伸性紙材が破れやすいことから成形性に劣るという問題を有している。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、吸音性能を好適なものにすることができ、外観品質の低下を抑制することができるとともに、容易に製造することができる吸音性表皮材、吸音材、及びそれらの製造方法を提供することにある。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸音性表皮材の発明において、前記基材に使用される不織布は、単位面積当たりの質量が10g/m2〜120g/m2であり、厚さが0.1〜2.0mmであることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の吸音性表皮材の発明において、前記樹脂膜に使用される熱硬化性樹脂は、レゾルシノール系樹脂、又は、エステル結合形成硬化型熱硬化性アクリル樹脂であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の吸音性表皮材の発明において、前記樹脂膜において、フィラー/熱硬化性樹脂の混合比が固形分比で55/45〜70/30であることを要旨とする。
請求項5に記載の吸音材の発明は、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音性表皮材が、多孔質材料からなる吸音性基材の片面又は両面に、前記樹脂膜を該吸音性基材側に向けて積層されており、所定形状に形成されていることを要旨とする。
請求項6に記載の吸音性表皮材の製造方法の発明は、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音性表皮材の製造方法であって、通気抵抗が0.01〜0.1kPa・s/mの不織布製の基材上に、未硬化状態にある熱硬化性樹脂の液中にフィラーを分散させてなる塗工液を、塗布量が固形分換算で10g/m2〜50g/m2の範囲になるように塗布する工程と、前記塗工液が塗布された前記基材を、前記熱硬化性樹脂を半硬化状態にするべく所定の温度で加熱乾燥して、樹脂膜を形成する工程と、を備えることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の吸音性表皮材の製造方法の発明において、前記熱硬化性樹脂は、レゾルシノール系樹脂、又は、エステル結合形成硬化型熱硬化性アクリル樹脂であり、前記加熱乾燥を120℃以上、160℃以下の温度で行うことを要旨とする。
請求項8に記載の吸音材の製造方法の発明は、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音性表皮材を、多孔質材料からなる吸音性基材の片面又は両面に、前記樹脂膜が該吸音性基材側を向くように積層して、該吸音性表皮材及び該吸音性基材を有するシート状の吸音性原反を得た後、該吸音性原反を180℃以上の温度でホットプレス成形して、該吸音性原反を所定形状に成形しつつ、前記樹脂膜の熱硬化性樹脂を硬化状態にすることを要旨とする。
本発明の吸音性表皮材は、不織布製の基材と該基材の一面を被覆する熱硬化性樹脂製の樹脂膜とを有し、例えば多孔質材料の表面に貼着され、不織布製の前記基材が繊維の風合いを醸し出すことにより、外観を演出する目的で使用される。更に、該吸音性表皮材は、全体の通気抵抗が0.2〜5.0kPa・s/mとされているから、好適な吸音性能を有しており、吸音材として有用である。
ここで、本発明の通気抵抗(Pa・s/m)は、通気性試験機(製品名:KES−F8−AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)によって測定された値を指すものとする。
前記吸音性表皮材において、前記基材の不織布には、通気抵抗が0.01〜0.1kPa・s/mのものを使用することで、前記吸音性表皮材の全体の通気抵抗を損なわないように構成されている。更に、該不織布の通気抵抗を前記の範囲とすることで、該不織布に対して樹脂膜の熱硬化性樹脂が必要以上に染み込まず、外観品質の低下が抑制されている。
前記吸音性表皮材において、前記樹脂膜の熱硬化性樹脂は、半硬化状態とされているから、塑性加工が可能な変形性・展延性、つまり成形性を好適に保持している。また、該熱硬化性樹脂は、半硬化状態であって、未硬化状態ではないから、前記基材の不織布への染み込みが抑制されている。更に、前記樹脂膜に用いた熱硬化性樹脂は、吸音性表皮材を多孔質材料の表面に積層してホットプレス成形する際、加熱によって反応し、硬化状態になる。つまり、該熱硬化性樹脂は、従来の表皮材に使用されていた熱可塑性樹脂のように、ホットプレス成形時に加熱によって軟化し、また加圧によって前記基材の不織布に圧入されて染み込み、該基材の表面に滲み出すことがなく、このため、外観品質の低下を抑制することができる。
ここで、半硬化状態とは、熱硬化性樹脂の反応が中間段階にあり、ある種の溶媒に溶解可能で、かつ加熱により軟化可能であるが、完全には溶解又は溶融しない状態、つまりBステージ(B−stage、JIS K 6900−1994及びJIS K 6800−2006に規定)であることをいう。また、硬化状態とは、熱硬化性樹脂の反応が最終段階にあり、事実上不溶不融の状態、つまりCステージ(C−stage、JIS K 6900−1994及びJIS K 6800−2006に規定)であることをいう。更に、未硬化状態とは、熱硬化性樹脂の反応が初期段階にあり、ある種の溶媒に可溶で、加熱によって溶融する状態、つまりAステージ(A−stage、JIS K 6900−1994及びJIS K 6800−2006に規定)であることをいう。
前記吸音性表皮材において、前記樹脂膜中には平均粒径が1〜100μmの粉体からなるフィラーが分散されている。前記熱硬化性樹脂は、液の状態で前記基材の不織布に塗布され、その熱硬化性樹脂液はフィラー表面に付着して表面張力を発生させる。この表面張力によって、該熱硬化性樹脂液は、前記基材へ必要以上に染み込むことを抑制されており、該基材の表面に滲み出し難く、外観品質の低下が抑制されている。加えて、フィラー表面に付着した熱硬化性樹脂液は、表面張力によって該フィラーの表面に沿うように拡がるので、フィラー同士の間に形成された隙間は、前記熱硬化性樹脂によって埋められ難くなっており、吸音性表皮材の全体の通気抵抗を前記範囲に保つことができる。そして、前記吸音性表皮材を多孔質材料の表面に積層してホットプレス成形する際、通常であれば樹脂が加圧を直接的に受けることで基材中に圧入されたうえで絞り出されるが、本発明の構成によれば前記フィラーが加圧を受けることで、半硬化状態の熱硬化性樹脂への加圧が抑制されて、該熱硬化性樹脂の基材への圧入及び該基材からの絞り出しが抑制されるので、外観品質を低下させることを抑制することができる(請求項1)。
また、前記樹脂膜の熱硬化性樹脂には、レゾルシノール系樹脂、又は、エステル結合形成硬化型熱硬化性アクリル樹脂が使用されることにより、半硬化状態でのポットライフ(加工作業が可能な期間、可使時間)が長く、性能が安定しており、前記吸音性表皮材を扱いやすいものとすることができる(請求項3)。
また、前記樹脂膜でフィラー/熱硬化性樹脂の混合比を固形分比で55/45〜70/30とすることで、外観品質を好適に保ちつつ、良好な吸音性能を発揮することができる(請求項4)。
また、前記熱硬化性樹脂をレゾルシノール系樹脂、又は、エステル結合形成硬化型熱硬化性アクリル樹脂とし、前記加熱乾燥を120℃以上、160℃以下の温度で行う場合、前記熱硬化性樹脂を好適に半硬化状態(Bステージ)にすることができる。なお、加熱乾燥の温度を120℃未満にした場合は前記熱硬化性樹脂が半硬化状態(Bステージ)にならずに未硬化状態(Aステージ)になってしまう可能性が高く、160℃を超える場合は前記熱硬化性樹脂が半硬化状態(Bステージ)に留まらず、硬化状態(Cステージ)になってしまう可能性が高い(請求項7)。
本発明の吸音性表皮材によれば、樹脂膜を半硬化状態の熱硬化性樹脂製とし、更に該樹脂膜中にフィラーが分散されていることにより、吸音性能を好適なものにしつつ、外観品質の低下を抑制することができる。
また、本発明の吸音材によれば、吸音性表皮材の樹脂膜中に分散されたフィラーがプレス時の圧力を受けることで、吸音性能を好適なものにしつつ、外観品質の低下を抑制することができる。
また、本発明の吸音性表皮材の製造方法によれば、基材の一面に熱硬化性樹脂液を塗布し、半硬化状態にして樹脂膜を形成することで、該吸音性表皮材を容易に製造することができる。
また、本発明の吸音材の製造方法によれば、前記吸音性表皮材を、多孔質材料からなる吸音性基材に積層して所定形状に成形することで、該吸音材を容易に製造することができる。
図1に示すように、本実施形態の吸音性表皮材10は、基材11と、該基材11の一面である裏面を被覆する樹脂膜12とを有している。そして、該樹脂膜12中には、フィラー13が分散されている。
前記繊維を例示すると、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、とうもろこしやサトウキビ等の植物から抽出された澱粉からなる生分解繊維(ポリ乳酸繊維)、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維が挙げられる。そして、前記基材11には、例示した繊維の1種または2種以上が使用される。
例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維等のアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の融点が250℃以上の耐熱性合成繊維を混合使用すれば、耐熱性の極めて高い基材11が得られる。中でも炭素繊維は焼却処理が可能で細片が飛散しにくい点で有用な無機繊維であり、アラミド繊維は比較的安価で入手し易い点で有用な難燃性合成繊維である。
また、前記繊維の全部または一部には、融点が180℃以下である低融点熱可塑性繊維を使用してもよい。該低融点熱可塑性繊維としては、例えば融点180℃以下のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維等がある。これらの低融点熱可塑性繊維は、単独あるいは2種以上組み合わせて使用される。
前記基材11に使用される不織布は、通気抵抗が0.01〜0.1kPa・s/mに設定されている。該通気抵抗は、好ましくは0.015〜0.08kPa・s/mであり、より好ましくは0.015〜0.04kPa・s/mである。該不織布の通気抵抗が過剰に低いと、前記基材11の密度が低くなり過ぎることで、前記基材11の強度や剛性が低下するとともに、前記樹脂膜12を形成する熱硬化性樹脂が染み込みやすくなる。該不織布の通気抵抗が過剰に高いと、前記基材11の密度が高くなることで、剛性が大きくなって柔軟性が減少し、成形性が悪くなるとともに、前記吸音性表皮材10全体の吸音特性が悪くなる。
前記不織布は、通気抵抗を0.01〜0.1kPa・s/mにするという観点から、単位面積当たりの質量を10g/m2〜120g/m2にすることが好ましく、15g/m2〜110g/m2にすることがより好ましく、15g/m2〜100g/m2にすることがさらに好ましい。また、前記不織布は、通気抵抗を0.01〜0.1kPa・s/mにするという観点から、厚さを0.1〜2.0mmにすることが好ましく、0.12〜1.0mmにすることがより好ましく、0.14〜0.8mmにすることがより好ましい。前記不織布の単位面積当たりの質量が過剰に小さい、あるいは厚さが過剰に薄いと、通気抵抗が0.01kPa・s/mに達しない可能性が高くなる。前記不織布の単位面積当たりの質量が過剰に大きい、あるいは厚さが過剰に厚いと、通気抵抗が0.1kPa・s/mを超える可能性が高くなる。
なお、前記樹脂膜12の単位面積当たりの質量は、後述する塗工液の塗布量(固形分換算)次第であり、前記吸音性表皮材10の軽量化を図りつつ、吸音性能を好適なものにするべく全体の通気抵抗を0.2〜5.0kPa・s/mにするという観点から、具体的には50g/m2以下、好ましくは10g/m2〜50g/m2の範囲である。
前記フェノール系樹脂には、フェノール系化合物に対してホルムアルデヒド類を過剰にしてアルカリ触媒で反応することによって得られるレゾールと、ホルムアルデヒド類に対してフェノールを過剰にして酸触媒で反応することによって得られるノボラックの二つの型がある。該レゾールはフェノールとホルムアルデヒドが付加した種々のフェノールアルコールの混合物からなり、通常は水溶液で提供される。該ノボラックはフェノールアルコールに更にフェノールが縮合したジヒドロキシジフェニルメタン系の種々な誘導体からなり、通常は粉末で提供される。
望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である。該フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期縮合物)の水溶液の安定性が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。また該水溶液を前記基材11に塗布し、半硬化状態(Bステージ)にして得られた樹脂膜12は安定性が良く、前記吸音性表皮材10を長期間保存しても成形性を喪失しない。また更にアルキルレゾルシンはホルムアルデヒド類との反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる等の利点も有する。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
上記フェノール系樹脂には、その製造の際に必要に応じて触媒またはpH調整剤を混合してもよい。更に、本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物を含む)には、ホルムアルデヒド類あるいはアルキロール化トリアゾン誘導体等の硬化剤を添加混合してもよい。更にまた、水溶性のフェノール系樹脂を用いる場合、その安定性を改良するために、フェノール系樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化してもよい。
エステル結合形成硬化型熱硬化性アクリル樹脂は、擬似熱可塑性樹脂とも称され、(A)5〜100質量%がエチレン性不飽和酸無水物またはカルボン酸基が酸無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸からなるラジカル重合により得られたポリマーと、(B)少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルカノールアミンと、(A)+(B)の和に対して1.5質量%より少ない、リン含有反応促進剤と、を含有する、ホルムアルデヒド不含の水性結合剤である。
上記水性結合剤は一般的に、水性エマルジョン、水溶液、あるいはイソプロパノール、エタノール、グリコール等の水溶性有機溶媒溶液、水と上記水溶性有機溶媒との混合溶媒の溶液等の形状で提供され、ポリマー(A)に含まれる酸と、アルカノールアミン(B)に含まれる水酸基とのエステル化反応によって硬化し、水溶性が水不溶性に変化し、熱可塑性が擬似熱可塑性に変化する。
上記擬似熱可塑性樹脂は、現在BASF社より商品名アクロデュア(Acrodur)として上市されており、水溶液タイプとしては950L,DS3530、水性エマルジョンタイプとしては958Dがある。
上記アクロデュアは、大凡120℃以上の温度で上記エステル化反応によって架橋が開始され、160℃以上の温度で硬化するが、架橋前の熱可塑性の状態でも充分な硬さを有し、取扱いが容易であり、しかも熱成形時には加熱により硬さが低下して一時的に熱可塑性になり(擬似熱可塑性)、良好な成形性を示し、高い成形精度が得られる。また上記アクロデュアの架橋はエステル化反応によるから、水のみが副成され、ホルムアルデヒド等の有害物質が副成されないという利点がある。
上記擬似熱可塑性樹脂は二種以上、例えば水溶液タイプと水性エマルジョンタイプとが混合されてもよいし、他の熱可塑性樹脂水性エマルジョン等が混合されてもよい。
上記擬似熱可塑性樹脂の詳細は、例えば特表2000−506940号公報に記載されている。
前記熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリオキシメチレン(=ポリアセタール)(POM)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、全芳香族ポリエステル(POB)等が例示される。
上記した中でもシラスバルーン等の中空粒体は、内部が中空であることから吸音性能の向上に大きく寄与するものであるため、前記フィラー13として望ましい。
また、通常、前記吸音性表皮材10は、多孔質材料の表面に積層され、該多孔質材料とともに所定形状に成形されて、使用される。故に、前記吸音性表皮材10に成形性を付与するべく、前記樹脂膜12は、半硬化状態(Bステージ)とした熱硬化性樹脂によって形成されている。そして、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性樹脂製の前記樹脂膜12は、不織布製の前記基材11が有する柔軟性を阻害せず、前記吸音性表皮材10は柔軟な成形性を有するものとなる。加えて、前記樹脂膜12は、熱硬化性樹脂を半硬化状態(Bステージ)とすることで、粘性による接着性を有しており、前記多孔質材料への接着材としての機能も有している。更に、前記樹脂膜12は、熱硬化性樹脂を半硬化状態(Bステージ)とすることで粘性を有していることから、前記基材11の不織布に染み込みにくく、また染み込んだ分も該基材11の表面に滲み出にくくなっている。
即ち、前記樹脂膜12は、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性樹脂製とすることで、前記吸音性表皮材10に成形性と接着性とを付与するものであるとともに、前記基材11の不織布に対する染み込みと滲み出しが抑制されることで、良好な外観品質を付与するものである。
前記吸音性表皮材10は、吸音性能を好適なものにするという観点から、前記基材11及び前記樹脂膜12を合わせた全体の通気抵抗が、0.2〜5.0kPa・s/mに設定されている。該通気抵抗は、好ましくは0.25〜4.5kPa・s/mであり、より好ましくは0.3〜4.0kPa・s/mである。該吸音性表皮材10の通気抵抗が前記の範囲内に無い場合、所望とする吸音性能を発揮することができない。
また、前記吸音性表皮材10の通気抵抗を前記範囲内にするという観点から、前記フィラー13には、平均粒径が1〜100μmの粉体が使用される。該平均粒径は、好ましくは10〜90μmであり、より好ましくは15〜70μmである。該フィラー13の平均粒径が過剰に小さいと、フィラー13同士の間に隙間が形成され難くなって、前記吸音性表皮材10の通気抵抗が大きくなってしまい、一方、該フィラー13の平均粒径が過剰に大きいと、フィラー13同士の間に過剰に大きな隙間が形成されてしまい、前記吸音性表皮材10の通気抵抗が小さくなる。
また、前記吸音性表皮材10の通気抵抗を前記範囲内にするという観点から、前記樹脂膜12において、フィラー/熱硬化性樹脂の混合比は、固形分比で好ましくは55/45〜70/30に設定されている。該混合比において、フィラー13の比率が高くなり過ぎると、熱硬化性樹脂がフィラー13のバインダーとしての機能を発揮できなくなり、一方、熱硬化性樹脂の比率が高くなり過ぎると、フィラー13同士の間の隙間が樹脂で埋められてしまうことで前記樹脂膜12の通気性が喪われてしまう可能性が高くなる。
前記吸音性基材21には、多孔質材料が使用されている。該多孔質材料としては、前記吸音性表皮材10の基材11で挙げた繊維からなる不織布やフェルト、他にグラスウール、ロックウール、アスベスト繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー等を用いてなる無機系多孔質材料、あるいは通気性ポリウレタン発泡体、通気性ポリエチレン発泡体、通気性ポリプロピレン発泡体、通気性ポリスチレン発泡体、通気性フェノール樹脂発泡体、通気性メラミン樹脂発泡体等の通気性プラスチック発泡体が挙げられる。
前記吸音性基材21の目付量、厚みは、原則任意に設定可能である。
前記ホットメルト接着剤としては、融点80〜180℃のポリエチレン樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、エチレン−酢酸ビニル共重合体粉末等の低融点熱可塑性樹脂粉末の単体あるいは2種以上の混合物が使用される。また、前記ホットメルト接着剤粉末の篩分け法による平均粒径は、80〜500μmの範囲とすることが好ましい。平均粒子径が80μmに満たない場合は、該ホットメルト接着剤粉末を撒布する際、粉末が散乱して均一な撒布が困難になり、また粒子の細かい粉末が緊密につまって、形成されるホットメルト樹脂粉末の撒布層の密度が高くなり、該撒布層があたかも穴のないフィルム状となり、吸音材20の通気抵抗が過大となる傾向がある。平均粒子径が500μmを超えると、得られるホットメルト樹脂粉末の撒布層の構造が粗になり、熱溶融した接着剤同士が結びつかずに接着力が低下するおそれがあり、また前記吸音性表皮材10の表面に該ホットメルト樹脂粉末の溶融物が染み出し、外観品質を低下させる。さらに、粒子の大きな粉末は熱溶融して広がることで、穴のないフィルム状の膜を形成し、通気性を阻害して吸音性能を低下させるおそれがある。
なお、前記ホットメルト接着剤は、前記吸音性基材21に前記吸音性表皮材10を接合する前の工程で前記吸音性基材21の表面あるいは前記吸音性表皮材10の前記樹脂膜12上に撒布してもよく、又は後述する塗工液の製造時に未硬化状態(Aステージ)の熱硬化性樹脂の液中に予め混合しておく等して、前記樹脂膜12中に含ませてもよい。
次に、通気抵抗が0.01〜0.1kPa・s/mの不織布製の基材11上に、前記塗工液を塗布する。該塗布の方法は、特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、フローコーター等が挙げられる。また、該塗布において、前記塗工液の塗布量は、固形分換算で10g/m2〜50g/m2の範囲とされる。該塗布量は、好ましくは10g/m2〜45g/m2、より好ましくは10g/m2〜40g/m2である。該塗布量が過剰に少ない場合は、該塗工液が前記基材11の全面に十分に拡がらず、前記樹脂膜12が形成できなくなる。該塗布量が過剰に多い場合は、塗布した塗工液がその自重で基材11の内奥に染み込んでしまうので、ホットプレス成形時等に前記吸音性表皮材10の表面に樹脂が滲み出して外観品質が低下してしまう。
次いで、前記塗工液が塗布された前記基材11を、所定の温度で加熱乾燥し、前記熱硬化性樹脂を半硬化状態(Bステージ)にすることで、樹脂膜12が形成される。該加熱乾燥において、前記所定の温度は、使用する熱硬化性樹脂に応じ、該熱硬化性樹脂が半硬化状態(Bステージ)になる温度に適宜設定される。例えば、熱硬化性樹脂に上記のフェノール系樹脂、あるいは上記のエステル結合形成硬化型熱硬化性アクリル樹脂を使用する場合、前記温度は120℃以上、160℃以下に設定される。該温度が120℃未満の場合、前記熱硬化性樹脂が十分に半硬化状態(Bステージ)とならずに殆どが未硬化状態(Aステージ)になるので、前記基材11の不織布に対する染み込みと滲み出しを抑制することができなくなる。該温度が160℃を超える場合、前記熱硬化性樹脂が半硬化状態(Bステージ)で留まらずに硬化状態(Cステージ)となることで、前記吸音性表皮材10に成形性と接着性とを付与することができなくなる。
即ち、前記吸音性表皮材10は、不織布製の基材11上に前記塗工液を所定の塗布量で塗布し、所定の温度で加熱乾燥することで、容易に製造することができる。
次に、前記吸音性原反を180℃以上の温度でホットプレス成形し、所定形状に成形する。この際、前記樹脂膜12は、180℃以上の温度で加熱されることにより、熱硬化性樹脂が前記所定形状を保持しつつ半硬化状態(Bステージ)から硬化状態(Cステージ)となる。その結果、所定形状が保持されて、吸音材20が製造される。
即ち、前記吸音材20は、前記吸音性基材21上に前記吸音性表皮材10を積層し、ホットプレス成形で加熱することで、容易に製造することができる。
(A)基材:ポリエステル繊維製のスパンボンド不織布であり、単位面積当たりの質量が以下(A−1)〜(A−3)の3種類を使用した。
(A−1)単位面積当たりの質量:15g/m2(厚さ:0.12mm、通気抵抗:0.0158kPa・s/m)。
(A−2)単位面積当たりの質量:50g/m2(厚さ:0.27mm、通気抵抗:0.032kPa・s/m)。
(A−3)単位面積当たりの質量:100g/m2(厚さ:0.39mm、通気抵抗:0.10kPa・s/m)。
(B−1)フィラー/熱硬化性樹脂の混合比:55/45。
(B−2)フィラー/熱硬化性樹脂の混合比:70/30。
(C−1)塗布量(固形分換算):10g/m2。
(C−2)塗布量(固形分換算):25g/m2。
(C−3)塗布量(固形分換算):50g/m2。
〈外観の評価〉
○:全体的に接着性が良好で、且つ表面に樹脂の滲み出しがない。
△:全体的に接着性が良好だが、表面に樹脂の滲み出しがあった。
▲:全体的に接着性が良好だが、表面に樹脂の滲み出しが多くあった。
×:凹凸部分で接着力が弱く、一部で吸音性表皮材の剥離が見られた。
××:接着力が殆ど無く、略全体的に吸音性表皮材の剥離が見られた。
(A)基材:上記〔実施例1〕と同様。
(B)塗工液:熱硬化性樹脂液としてエステル結合形成熱硬化性樹脂(BASFジャパン製の商品名アクロデュア958D、固形分42質量%の水溶液)を使用した他は、上記〔実施例1〕と同様。
(C)吸音性表皮材:上記〔実施例1〕と同様にして、吸音性表皮材を得た。得られた吸音性表皮材の諸元を表3及び表4に示した。
(D)吸音材:上記〔実施例1〕と同様にして、吸音材を得た。得られた吸音材の評価を表3及び表4に示した。
(A)基材:単位面積当たりの質量を以下(A−1)と(A−3)の2種類とした他は、上記〔実施例1〕と同様。
(A−1)単位面積当たりの質量:15g/m2(厚さ:0.12mm、通気抵抗:0.0158kPa・s/m)。
(A−3)単位面積当たりの質量:100g/m2(厚さ:0.39mm、通気抵抗:0.10kPa・s/m)。
(B)塗工液:上記〔実施例1〕と同様。
(C)吸音性表皮材:加熱温度を100℃(120℃未満)として樹脂膜を半硬化状態(Bステージ)でなく未硬化状態(Aステージ)とした、又は180℃(160℃超)として樹脂膜を半硬化状態(Bステージ)で留めずに硬化状態(Cステージ)とした他は、上記〔実施例1〕と同様にして、吸音性表皮材を得た。得られた吸音性表皮材の諸元を表5及び表6に示した。
(D)吸音材:上記〔実施例1〕と同様にして、吸音材を得た。得られた吸音材の評価を表5及び表6に示した。
(A)基材:単位面積当たりの質量を以下(A−1)と(A−3)の2種類とした他は、上記〔実施例1〕と同様。
(A−1)単位面積当たりの質量:15g/m2(厚さ:0.12mm、通気抵抗:0.0158kPa・s/m)。
(A−3)単位面積当たりの質量:100g/m2(厚さ:0.39mm、通気抵抗:0.10kPa・s/m)。
(B)塗工液:上記〔実施例1〕と同様。
(C)吸音性表皮材:塗工液の固形分換算による塗布量を以下(C−4)〜(C−5)の2種類とした他は、上記〔実施例1〕と同様にして、吸音性表皮材を得た。得られた吸音性表皮材の諸元を表7に示した。
(C−4)塗布量(固形分換算):8g/m2。
(C−5)塗布量(固形分換算):60g/m2。
(D)吸音材:上記〔実施例1〕と同様にして、吸音材を得た。得られた吸音材の評価を表7に示した。
上記実施例1,2については、吸音性表皮材の全体の通気抵抗が0.2〜5.0kPa・s/mの範囲内であり、吸音材の外観についても問題は無かった。
比較例1は、吸音性表皮材の製造時に加熱温度を100℃又は180℃として樹脂膜の熱硬化性樹脂を半硬化状態(Bステージ)としなかったものである。この比較例1で、加熱温度を100℃にして樹脂膜の熱硬化性樹脂を未硬化状態(Aステージ)としたものは、成形性と接着性に問題は無いものの、吸音材の外観で表面への樹脂の滲み出しが多くなった。また加熱温度を180℃にして樹脂膜の熱硬化性樹脂を硬化状態(Cステージ)としたものは、成形性と接着性に問題があった。
比較例2は、塗工液の塗布量を8g/m2として十分な樹脂膜を形成しなかったものと、塗工液の塗布量を60g/m2に増やして樹脂膜を過剰に形成したものである。この比較例2で塗布量を減らして(8g/m2)十分な樹脂膜を形成しなかった場合、吸音性表皮材の全体の通気抵抗が0.2kPa・s/m未満であり、接着性に問題があった。また、塗布量を増やして(60g/m2)樹脂膜を過剰に形成した場合、接着性や外観等に問題は無いが、通気抵抗が5.0kPa・s/mを超えており、樹脂膜の通気性が損なわれるという問題があった。
(A)基材:ポリエステル繊維製のスパンボンド不織布であり、単位面積当たりの質量が20g/m2、厚さ:0.14mm、通気抵抗:0.04kPa・s/mのものを使用した。
(B)塗工液:熱硬化性樹脂液としてレゾール型スルホメチル化フェノール・アルキルレゾルシン初期共縮合樹脂(固形分50質量%の水溶液)を用い、これにフィラーとして以下(B−3)〜(B−7)の5種類のうち何れかを添加した。具体的に、熱硬化性樹脂液が70質量部、フィラーが65質量部、更に黒顔料(固形分20%水溶液)が6質量部、フッ素系撥水剤(固形分20%水溶液)が2質量部、アクリル系増粘剤(固形分50%水溶液)が5質量部、難燃剤(ポリリン酸メラミン)が10質量部、水が412質量部を混合し、固形分20%、粘度が200pで、フィラー/熱硬化性樹脂の混合比:65/35の塗工液を得た。
(B−3)タルク(平均粒径:15μm)。
(B−4)パーライト(平均粒径:70μm)。
(B−5)炭酸カルシウム(平均粒径:10μm)。
(B−6)水酸化アルミニウム(平均粒径:20μm)。
(B−7)シラスバルーン(平均粒径:30μm)。
(C)吸音性表皮材:上記(A)基材に対し、上記(B)塗工液を塗布量が125g/m2(固形分換算で熱硬化性樹脂の塗布量が25g/m2)になるようにロールコート法で塗布した後、140℃の加熱温度で2分間の加熱乾燥を行い、前記熱硬化性樹脂を半硬化状態(Bステージ)にして樹脂膜を形成し、吸音性表皮材を得た。
(D)吸音材:吸音性基材として未成形ガラスウール(単位面積当たりの質量:700g/m2、厚さ:20mm)に対し、上記(C)吸音性表皮材を、ホットプレス成形機で220℃、60秒の条件で圧着し、平面視で四角板状をなす厚さ15mmの吸音材を得た。そして、該吸音材の外観を上記の5段階で評価するとともに、吸音性能として所定の周波数における吸音率を測定した。その結果を表8に示す。
上記実施例3の結果、フィラーの種類に係わらず、全体的に優れた吸音率を示し、吸音材の外観についても問題は無かった。なお、各フィラーについては、シラスバルーンを使用した場合、低周波数の400Hzと630Hzで他のフィラーよりも吸音率が良く、低周波数域の音を吸音対象とする場合にシラスバルーンはフィラーとして好適であると考えられる。
11 基材
12 樹脂膜
13 フィラー
20 吸音材
21 吸音性基材
Claims (8)
- 通気抵抗が0.01〜0.1kPa・s/mの不織布製の基材と、該基材の一面を被覆する半硬化状態の熱硬化性樹脂製の樹脂膜とを有し、
前記樹脂膜中には平均粒径が1〜100μmの粉体からなるフィラーが分散されており、
全体の通気抵抗が0.2〜5.0kPa・s/mであることを特徴とする吸音性表皮材。 - 前記基材に使用される不織布は、単位面積当たりの質量が10g/m2〜120g/m2であり、厚さが0.1〜2.0mmである請求項1に記載の吸音性表皮材。
- 前記樹脂膜に使用される熱硬化性樹脂は、レゾルシノール系樹脂、又は、エステル結合形成硬化型熱硬化性アクリル樹脂である請求項1又は請求項2に記載の吸音性表皮材。
- 前記樹脂膜において、フィラー/熱硬化性樹脂の混合比が固形分比で55/45〜70/30である請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の吸音性表皮材。
- 請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音性表皮材が、多孔質材料からなる吸音性基材の片面又は両面に、前記樹脂膜を該吸音性基材側に向けて積層されており、所定形状に形成されていることを特徴とする吸音材。
- 請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音性表皮材の製造方法であって、
通気抵抗が0.01〜0.1kPa・s/mの不織布製の基材上に、未硬化状態にある熱硬化性樹脂の液中にフィラーを分散させてなる塗工液を、塗布量が固形分換算で10g/m2〜50g/m2の範囲になるように塗布する工程と、
前記塗工液が塗布された前記基材を、前記熱硬化性樹脂を半硬化状態にするべく所定の温度で加熱乾燥して、樹脂膜を形成する工程と、を備えることを特徴とする吸音性表皮材の製造方法。 - 前記熱硬化性樹脂は、レゾルシノール系樹脂、又は、エステル結合形成硬化型熱硬化性アクリル樹脂であり、前記加熱乾燥を120℃以上、160℃以下の温度で行う請求項6に記載の吸音性表皮材の製造方法。
- 請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音性表皮材を、多孔質材料からなる吸音性基材の片面又は両面に、前記樹脂膜が該吸音性基材側を向くように積層して、該吸音性表皮材及び該吸音性基材を有するシート状の吸音性原反を得た後、該吸音性原反を180℃以上の温度でホットプレス成形して、該吸音性原反を所定形状に成形しつつ、前記樹脂膜の熱硬化性樹脂を硬化状態にすることを特徴とする吸音材の製造方法。
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