JPWO2018056095A1 - 断熱容器 - Google Patents
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Abstract
Description
スペーサは、熱伝導率の低い材料が好ましいことは当然である。またこれに加えて、スペーサは、柔軟性と緩衝性が必要であると考えられてきた。つまりスペーサは、断熱容器の製造時においては、内容器と外容器との熱による歪みによる破損を防止しながら内容器と外容器と空間を確保する柔軟性を有している必要があった。またスペーサは、使用時においては、ユーザによる製品落下等の衝撃に対する容器の破損を防止する緩衝性を有している必要があった。
しかしながら、発明者らの鋭意検討の結果、特定の硬さを有するケイ酸カルシウム系材料または珪藻土系材料をスペーサとして用いることにより、製造時の破損を防ぐだけでなく、使用時の衝撃強度にも優れた断熱容器が得られ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであり、製造時の破損が少なく、衝撃強度に優れたガラス製の断熱容器を提供することを目的とする。
〔1〕
ガラス製の内容器と、
前記内容器に対して外側を囲むと共に開口部で接続されたガラス製の外容器と、
前記内容器と前記外容器との間に両容器に接するように配置されたスペーサと、
を備え、前記内容器と前記外容器とにより画成された空間が真空にされた断熱容器であって、
前記スペーサは、ケイ酸カルシウム系材料または珪藻土系材料からなり、圧縮速度0.1mm/minで0.1mm圧縮するのに必要な荷重が175N以下である、断熱容器。
〔2〕
〔1〕に記載の断熱容器において、
前記スペーサは、前記内容器と前記外容器と接触する面のうち少なくとも一方の面が凹凸面に構成されている。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載の断熱容器において、
前記スペーサは、前記内容器と前記外容器と接触する面のうち少なくとも一方の面の表面粗さが算術平均高さSaで20〜50μmである。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕の何れか1項に記載の断熱容器において、
前記スペーサは、圧縮速度0.1mm/minで0.5mm圧縮するのに必要な荷重が1500N以上である。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕の何れか1項に記載の断熱容器において、
前記スペーサの材料がケイ酸カルシウム系材料であり、前記ケイ酸カルシウム系材料が、下記(A)〜(D)の均一混合物からなるスラリーを脱水成形し、得られた成形物を6kg/cm2以上の加圧水蒸気で蒸熱処理してケイ酸原料と石灰原料とを反応させた後、大気圧下330℃以上に加熱して成形物より離脱する水を除去することにより得られたものである。
(A)CaO/SiO2モル比が0.6〜1.2である石灰原料及びケイ酸原料の混合物100重量部
(B)水熱合成により得られたゾノトライト 50〜170重量部
(C)繊維状ウオラストナイト 15〜150重量部
(D)水 全固形物の2〜8倍量
スペーサ10の数は、断熱容器のサイズに合わせて適宜変更でき、2個以上が好ましく、3〜10個がより好ましく、更に好ましくは3〜5個である。特に好ましくは3個であり、内容器2と外容器3との相対的な位置の安定性が高い一方で、熱伝導が生じる箇所をできるだけ少なくできるためである。
本発明におけるケイ酸カルシウム系材料とは、ケイ酸カルシウムを含有する材料であり、酸化カルシウム(CaO)とケイ酸(SiO2)が結合した化合物の水和物を含有する材料である。ケイ酸カルシウムは、例えば、ゾノトライト、トバモライト、ウオラストナイト、他のケイ酸カルシウム水和物及びそれらの混合物を含有する。
(A)CaO/SiO2モル比が0.6〜1.2である石灰原料及びケイ酸原料の混合物100重量部
(B)水熱合成により得られたゾノトライト 50〜170重量部
(C)繊維状ウオラストナイト 15〜150重量部
(D)水 全固形物の2〜8倍量
スペーサ10は、例えば、板状のケイ酸カルシウム系材料を、削り出し加工あるいは打ち抜き加工により所望の形状に成形することができる。板状のケイ酸カルシウム系材料としてはルミボード、エコラックス、NAラックス、ハイラック、三菱ヒシタイカ、チヨダセラボード等がケイ酸カルシウム板として市販されている。
できる。
二重容器の製造は、例えば、内容器の底部の外表面に、接着剤によりスペーサを接着し、底部の外表面にスペーサが接着した内容器を外容器に挿入する。挿入した内容器に接着したスペーサと、外容器とが接触する際に、圧縮速度0.1mm/minで0.1mm圧縮するのに必要な荷重が175N以下のスペーサであれば、スペーサ10による緩衝機能が発揮され内容器2と外容器3の破損防止効果が発揮される。
本発明におけるスペーサ10の材料として好ましくはケイ酸カルシウム系材料である。
スペーサ10は、図3に示すように、内容器2と外容器3と接触する面のうち少なくとも一方の面の接触面10sが凹凸面に構成されていることが好ましい。
ケイ酸カルシウム系材料を板状に成形する際に金型等により凹凸形状を転写して凹凸面とすることもできる。
接触面10sの表面粗さが算術平均高さSaで上記の範囲であれば、断熱容器の製造時に内容器に接着したスペーサと、外容器とが接触する際に十分な緩衝機能が発揮される。
算術平均高さSaとは、2次元の粗さパラメータである算術平均粗さRaを3次元に拡張したものであり、3次元粗さパラメータ(3次元高さ方向パラメータ)である。算術平均高さは、レーザ顕微鏡等によって測定した表面形状のデータから、ISO規格(ISO 25178)に記載の方法で算出できる。
表面粗さRaは、JIS B0601:2013に準拠して求められる算術平均粗さである。
また、最大高さRzは70〜250μmであることが好ましく、130〜230μmであることがより好ましい。
最大山高さRpは30〜200μmであることが好ましく、35〜150μmであることがより好ましく、45〜120μmであることがより好ましい。
最大谷深さRvは30〜200μmであることが好ましく、35〜170μmであることがより好ましく、40〜150μmであることがより好ましい。
平均高さRtは60〜300μmであることが好ましく、100〜250μmであることが好ましく、130〜230μmであることがより好ましい。
十点平均粗さRzJISは50〜150μmであることが好ましく、60〜120μmであることがより好ましい。
最大高さSzは150〜300μmであることが好ましく、170〜300μmであることがより好ましい。
表面性状のアスペクト比Strは0.1〜0.35であることが好ましく、0.1〜0.3であることがより好ましい。
山頂点の算術平均曲であるSpcは4.0〜7.0(1/mm)であることが好ましく、5.0〜6.5(1/mm)であることがより好ましい。
界面の展開面積比Sdrは0.01〜0.1であることが好ましく、0.02〜0.05であることがより好ましい。
特開昭55−167167号公報に記載の方法に準じて作成したケイ酸カルシウム板を、#24番手のヤスリで研磨後打ち抜き加工した図2に示す形状のケイ酸カルシウム系材料のスペーサ(1)を用意した。サイズは、直径6.8mm、厚さ3.8mmとした。用意したケイ酸カルシウム系材料のスペーサ(1)のうち10個(サンプル1−1〜1-10)について表面粗さ(JIS B0601:2013、及びISO 25178に準拠し、図4の2点の×印の間を結ぶ矢印の領域について、表面粗さRa、最大高さRz、最大山高さRp、最大谷深さRv、平均高さRt、十点平均粗さRzJIS;図5の領域1について、算術平均高さSa、最大高さSz、表面性状のアスペクト比Str、山頂点の算術平均曲であるSpc、及び界面の展開面積比Sdr)を測定し、表1に記載した。
測定には、非接触式3D測定機(キーエンス社製、VR−3000)を用いた。
また、各サンプルの3D画像、及び輪郭曲線の測定データを図6〜9に示す。
ケイ酸カルシウム系材料のスペーサ(1)を用いてガラス製の断熱容器を製造した。
用いたスペーサ(1)は、特開昭55−167167号公報に記載の方法に準じて作成したケイ酸カルシウム板を、#24番手のヤスリで研磨後打ち抜き加工した図2に示す形状のもので、サイズは、直径6.8mm、厚さ3.8mmとした。
スペーサ(1)の圧縮弾性試験(試験条件1)の結果、圧縮速度0.1mm/minで0.1mm圧縮するのに必要な荷重は約100Nであった。
(試験条件1)
試験機:ミネベア(株)社製 テクノグラフ TG−10kN
圧縮速度:0.1mm/min
圧縮距離:試験サンプル接触から0.2mmまで圧縮
接触位置:試験サンプルに1Nのかかる位置から試験開始としている
試験治具:
ロードセル:5000N
治具:直径100mm×25mm
(圧縮弾性試験装置及び試験条件2)
試験機:ミネベア(株)社製 テクノグラフ TG−10kN
圧縮速度:0.1mm/min
圧縮距離:試験サンプル接触から1.0mmまで圧縮
接触位置:試験サンプルに1Nのかかる位置から試験開始としている
試験治具:
ロードセル:5000N
治具:直径100mm×25mm
スペーサ(1)のスペーサ3個を予め内容器の底面に接着して置き、該内容器を外容器の中に入れ、この状態で、開口部を加熱しながら接続と共に該開口部を絞り込むようにして成型し、排気部から排気し、該排気部を加熱溶着して断熱容器を製造した。
スペーサの固定には接着剤を使用し、スペーサの片面に0.015gずつ塗着した。
1319個製造した断熱容器のうち、破損したのは3個であった。
外装ケースは、金属製とし、開口部を蓋で閉じた状態で、内容物として水を2.2リットル入れた状態で、0.5mの高さから完成品容器の底が床に当る向きで、コンクリートの床の上に敷いた厚さ30mmのラワン板上に落下させた。
本発明にかかる5個の断熱容器のうち、落下試験により破損したのは0個であった。
スペーサを表2に記載のものに変更した以外は実施例1と同様に実施例2、3、比較例1〜4の断熱容器を製造し、落下試験を行った。
本出願は、2016年9月26日出願の日本特許出願(特願2016−187513)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
2 内容器
3 外容器
4 空間
6 接続部
10 スペーサ
10s 接触面
CL 中心軸
W 内容物
Claims (5)
- ガラス製の内容器と、
前記内容器に対して外側を囲むと共に開口部で接続されたガラス製の外容器と、
前記内容器と前記外容器との間に両容器に接するように配置されたスペーサと、
を備え、前記内容器と前記外容器とにより画成された空間が真空にされた断熱容器であって、
前記スペーサは、ケイ酸カルシウム系材料または珪藻土系材料からなり、圧縮速度0.1mm/minで0.1mm圧縮するのに必要な荷重が175N以下である、
断熱容器。 - 前記スペーサは、前記内容器と前記外容器と接触する面のうち少なくとも一方の面が凹凸面に構成された、
請求項1に記載の断熱容器。 - 前記スペーサは、前記内容器と前記外容器と接触する面のうち少なくとも一方の面の表面粗さが算術平均高さSaで20〜50μmである、請求項1又は2に記載の断熱容器。
- 前記スペーサは、圧縮速度0.1mm/minで0.5mm圧縮するのに必要な荷重が1500N以上である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱容器。 - 前記スペーサの材料がケイ酸カルシウム系材料であり、前記ケイ酸カルシウム系材料が、下記(A)〜(D)の均一混合物からなるスラリーを脱水成形し、得られた成形物を6kg/cm2以上の加圧水蒸気で蒸熱処理してケイ酸原料と石灰原料とを反応させた後、
大気圧下330℃以上に加熱して成形物より離脱する水を除去することにより得られたものである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱容器。
(A)CaO/SiO2モル比が0.6〜1.2である石灰原料及びケイ酸原料の混合物100重量部
(B)水熱合成により得られたゾノトライト 50〜170重量部
(C)繊維状ウオラストナイト 15〜150重量部
(D)水 全固形物の2〜8倍量
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