以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。図1に示す内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡に対して、再生処理を施す装置である。ここでいう再生処理とは特に限定されるものではなく、水によるすすぎ処理、有機物等の汚れを落とす洗浄処理、所定の微生物を無効化する消毒処理、全ての微生物を排除もしくは死滅させる滅菌処理、またはこれらの組み合わせ、のいずれであってもよい。
なお、以下の説明において、上方とは比較対象に対してより地面から遠ざかった位置のことを指し、下方とは比較対象に対してより地面に近づいた位置のことを指す。また、以下の説明における高低とは、重力方向に沿った高さ関係を示すものとする。
内視鏡リプロセッサ1は、制御部5、電源部6、処理槽2、液体導出口60、排液管路61、開閉弁62、循環管路30、循環口63、フィルタ64および保持部65を備える。
制御部5は、演算装置(CPU)、記憶装置(RAM)、補助記憶装置、入出力装置および電力制御装置等を具備して構成することができ、使用者からの指示に従って所定のプログラムを実行し、内視鏡リプロセッサ1を構成する各部位の動作を制御する構成を有している。以下の説明における内視鏡リプロセッサ1に含まれる各構成の動作は、特に記載がない場合であっても制御部5によって制御される。
操作部7および表示部8は、制御部5と使用者との間の情報の授受を行うユーザインターフェースを構成する。操作部7は、例えばプッシュスイッチやタッチセンサ等の、使用者からの動作指示を受け付ける操作部材を含む。使用者からの動作指示は、操作部7により電気信号に変換され、制御部5に入力される。使用者からの動作指示とは、例えば再生処理の開始指示等である。なお、操作部7は、内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられており、当該電子機器は制御部5との間で有線通信または無線通信を行うように構成された形態であってもよい。
また、表示部8は、例えば画像や文字を表示する表示装置、光を発する発光装置、音を発するスピーカ、振動を発するバイブレータ、またはこれらの組み合わせ、を含む。表示部8は、制御部5から使用者に対して情報を出力する。なお、表示部8は、内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられており、当該電子機器は制御部5との間で有線通信または無線通信を行うように構成された形態であってもよい。
電源部6は、内視鏡リプロセッサ1の各部位に電力を供給する。電源部6は、商用電源等の外部から得た電力を各部位に分配する。なお、電源部6は、発電装置やバッテリーを備えていてもよい。
処理槽2は、開口部を有する凹形状であり、内部に液体を貯留することが可能である。処理槽2内には、図示しない内視鏡を配置することができる。処理槽2には、複数の内視鏡が配置可能であってもよい。
処理槽2の上部には、処理槽2の開口部を開閉する蓋3が設けられている。処理槽2内において内視鏡に再生処理を施す場合には、処理槽2の開口部は蓋3によって閉じられる。
処理槽2には、薬液ノズル12、洗浄液ノズル15、液体導出口60、循環ノズル14および内視鏡接続部16が設けられている。
薬液ノズル12は、薬液管路26を介して薬液タンク20に連通する開口部である。薬液タンク20は、薬液を貯留する。
薬液タンク20が貯留する薬液の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、薬液は消毒処理に用いられる消毒液、または滅菌処理に用いられる滅菌液である。消毒液または滅菌液としては、過酢酸水溶液が挙げられる。
薬液管路26には、薬液ポンプ27が設けられている。薬液ポンプ27を運転することにより、薬液タンク20内の薬液が、薬液管路26および薬液ノズル12を経由して、処理槽2内に移送される。
また、本実施形態では一例として、薬液は、再生処理に用いられた後にも薬効を有している場合には、再使用可能である。図示しないが、内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2内の薬液を回収して薬液タンク20内に戻す構成を備える。
洗浄液ノズル15は、洗浄液管路51を介して、洗浄液を貯留する洗浄液タンク50に連通する開口部である。洗浄液は、洗浄処理に用いられる。洗浄液管路51には、洗浄液ポンプ52が設けられている。洗浄液ポンプ52は制御部5に電気的に接続されており、洗浄液ポンプ52の動作は制御部5によって制御される。洗浄液ポンプ52を運転することにより、洗浄液タンク50内の洗浄液が、処理槽2内に移送される。
液体導出口60は、処理槽2内の最も低い箇所に設けられた開口部である。液体導出口60は、処理槽2内の液体が重力によって集まる箇所に設けられている。図1に示す本実施形態では一例として、液体導入口60は、処理槽2の底面に開口している。なお、液体導入口60は、底面と側面との角部において開口していてもよい。
液体導入口60には、排液管路61が接続されている。言い換えれば、排液管路61は、処理槽2内に開口している液体導出口60を有している。
排液管路61は、液体導入口60と、排出口66とを連通している。排出口66は、内視鏡リプロセッサ1が使用した液体を外部に排出する部位である。排出口66は、例えば内視鏡リプロセッサ1から排出される液体を受け入れるための排液設備に接続される。
開閉弁62は、排液管路61の中途位置に配置されている。開閉弁62は、少なくとも排液管路61を閉塞する閉状態と、排液管路61を開放する開状態と、に切り替え可能である。開閉弁62は、制御部5に電気的に接続されており、開閉弁62の動作は制御部5によって制御される。開閉弁62が閉状態である場合には、処理槽2内に液体を貯留することができる。また、開閉弁62が開状態である場合には、処理槽2内の液体は液体導入口60および排液管路61を経由して排出口66から排出される。なお、排液管路61の開閉弁62と排出口66との間には、処理槽2からの液体の排出を促進するためのポンプが設けられていてもよい。
循環口63は、排液管路61の液体導出口60と開閉弁62との間であって且つ液体導出口よりも地面に近い位置(低い位置)に開口している。循環口63には、循環管路30が接続されている。言い換えれば、循環管路30は、循環口63を有している。循環管路30は、後述する構成により、循環口63から導入された液体を処理槽2に導入する管路である。循環管路30は、循環口63よりも地面から遠い位置(高い位置)に配置された区間を有する。
本実施形態では一例として、循環管路30は、処理槽循環管路30aおよび内視鏡接続管路30bの二つの管路に分岐している。
処理槽循環管路30aは、循環ノズル14に接続している。循環ノズル14は、処理槽2内に設けられた開口部である。循環ノズル14は、液体導出口60よりも地面から遠い位置において開口している。したがって、処理槽循環管路30aは、循環口63よりも地面から遠い位置に配置された区間を有する。
処理槽循環管路30aには、処理槽循環ポンプ31aが設けられている。処理槽循環ポンプ31aは制御部5に電気的に接続されており、処理槽循環ポンプ31aの動作は制御部5によって制御される。
また、処理槽循環管路30aの処理槽循環ポンプ31aと循環ノズル14との間には、三方弁42が設けられている。三方弁42には、給水管路43が接続されている。三方弁42は、循環ノズル14と処理槽循環管路30aとを連通した状態、または循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態、に切り替え可能である。
給水管路43は、三方弁42と水供給源接続部46とを連通している。給水管路43には、給水管路43を開閉する水導入バルブ45および水を濾過する水フィルタ44が設けられている。水供給源接続部46は、例えばホース等を介して、水を送出する水道設備等の水供給源49に接続される。三方弁42および水導入バルブ45は、制御部5に電気的に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。
処理槽2内に液体が貯留されている場合に、三方弁42を循環ノズル14と処理槽循環管路30aとを連通した状態として、処理槽循環ポンプ31aの運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、液体導出口60から循環管路30(処理槽循環管路30a)に導入された後に、循環ノズル14から吐出されて処理槽2内に導入される。
また、三方弁42を、循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態として、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が循環ノズル14を経由して処理槽2内に導入される。
内視鏡接続管路30bは、内視鏡接続部16に接続している。内視鏡接続部16は、処理槽2内に配置された内視鏡に設けられている口金に接続される。内視鏡接続部16は、口金に直接接続される形態であってもよいし、接続チューブを介して口金に接続される形態であってもよい。内視鏡接続部16は、液体導出口60よりも地面から遠い位置に配置されている。したがって、内視鏡循環管路30bは、循環口63よりも地面から遠い位置に配置された区間を有する。
内視鏡接続管路30bには、内視鏡循環ポンプ31bが設けられている。内視鏡循環ポンプ31bは制御部5に電気的に接続されており、内視鏡循環ポンプ31bの動作は制御部5によって制御される。
処理槽2内に液体が貯留されている場合に、内視鏡循環ポンプ31bの運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、液体導出口60から循環管路30(内視鏡循環管路30b)に導入された後に、内視鏡接続部16および内視鏡の口金に連通する管路を経由して処理槽2内に導入される。
このように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、液体導出口60から循環管路30に導入された液体を処理槽2内に導入する構成を有する。
フィルタ64は、排液管路61の液体導出口60と開閉弁62との間に配置され、循環口63を覆う。保持部65は、フィルタ64または排液管路61に配置され、フィルタ64を循環口63を覆う位置に保持する。
次に、液体導出口60、排液管路61、循環口63、循環管路30、フィルタ64および保持部65の詳細な構成について説明する。図2は、液体導出口60、排液管路61、循環口63、フィルタ64および保持部65を拡大して示す図である。
循環口63を覆うフィルタ64について、排液管路61内に露出する面を第1面64aとし、循環管路30内に露出する面を第2面64bとする。
図2に示すように、排液管路61は、少なくとも液体導出口60から循環口63まで鉛直に配置された鉛直管路部61aと有する。したがって、循環口63は、排液管路61の鉛直な壁面において開口している。また、循環口63を覆うフィルタ64の第1面64aは、排液管路61内において鉛直に配置される。
なお、図2には図示しないが、液体導出口60は、循環管路30の鉛直管路部61a内への内視鏡の付属品等の落下を防止する網状の部材によって覆われていてもよい。この場合、網状の部材の網目は、フィルタ64よりも粗い。
循環管路30は、循環口63を基点として地面から離れる方向に傾斜している傾斜管路部30cを有する。すなわち、循環管路30は、傾斜管路部30cにおいて、循環口63よりも地面から遠い位置に配置された区間を有する。
次に、以上に説明した構成を有する本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の作用を説明する。図3は、処理槽2および循環管路30を通るように液体を循環させた場合の液体の流れを示す模式図である。また、図4は、処理槽2内の液体を排液管路61を経由して排液した場合の液体の流れを示す模式図である。
内視鏡リプロセッサ1は、薬液、洗浄液または水等の液体を処理槽2内に導入することにより、処理槽2内に配置された内視鏡に対して液体を用いた再生処理を実行する。
例えば、内視鏡の洗浄処理を実行する場合には、内視鏡リプロセッサ1の制御部5は、開閉弁62を閉状態とした後に、洗浄液ポンプ52および水導入バルブ45を制御して、洗浄液および水を所定の体積比で処理槽2内に導入し、洗浄液および水の混合液を処理槽2内に貯留する。
そして、制御部5は、処理槽循環ポンプ31aおよび内視鏡循環ポンプ31bの運転を制御して、混合液を処理槽2および循環管路30を通るように循環させる。この混合液の循環により、内視鏡の外表面および管路内が流れる混合液によって洗浄される。
そして、制御部5は、混合液の循環を停止した後に、開閉弁62を開状態として処理槽2内の混合液を排液管路61を経由して排液する。
薬液を用いた消毒処理または滅菌処理を実行する場合、または水を用いたすすぎ処理を実行する場合も、同様に、制御部5は、所定の体積の薬液または水を処理槽2内に導入した後に、薬液または水を処理槽2および循環管路30を通るように循環させる。その後、処理槽2内の薬液または水を排液管路61を経由して排液する。
このように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、再生処理を行う場合に、液体を処理槽2および循環管路30を通るように循環させる循環動作を実行し、その次に処理槽2内の液体を排液管路61を経由して排液する排液動作を実行する。
図3は、循環動作の実行中における液体の流れを矢印Fで示している。図3に示すように、循環動作中において、処理槽2内に貯留されている液体70は、液体導出口60から排液管路61の鉛直管路部61aに流れ込み、フィルタ64を通過した後に、循環口63および循環管路30を通って処理槽2内に戻るように流れる。
循環動作中において、液体はフィルタ64を第1面64aから第2面64bに向かって通過する。このため、内視鏡から剥離して液体70中に浮遊している異物71は、フィルタ64によって捕集され、フィルタ64の第1面64aに付着する。異物71は、例えば内視鏡を使用した際に内視鏡に付着した生体組織や粘液等である。
このように、循環動作中の液体70の流路上にフィルタ64を配置することにより、液体70中に存在する異物71を捕集し、ポンプが配置された循環管路30内や内視鏡の管路内に異物が入り込むことを防止する。
図4は、排液動作の実行中における液体の流れを矢印Fで示している。排液動作を開始する直前の時点では、処理槽2内に液体が貯留された状態である。前述のように排液動作は循環動作の次に実行される。また、循環管路30は、鉛直管路部61aおよび循環口63を介して処理槽2の液体導出口60に連通している。したがって、排液動作を開始する直前の時点では、図4に示すように、液体70は処理槽2内だけでなく循環管路30内にも貯留された状態となる。
そして開閉弁62を開状態として排液動作が開始すると、処理槽2内に貯留されている液体70は、排液管路61および開閉弁62を通って排液される。また、循環管路30は傾斜管路部30cのような循環口63よりも地面から遠い位置に配置された区間を有していることから、排液動作が開始すると、循環管路30内に貯留されている液体70の少なくとも一部は循環口63に向かって流れ、循環口63、排液管路61および開閉弁62を通って排液される。
ここで、排液動作中におけるフィルタ64付近の液体70の流れに着目すると、排液動作中には、液体70が循環管路30内からフィルタ64を第2面64bから第1面64aに向かって通過した後に鉛直管路部61a内に流れ込む第1の流れF1と、液体70が処理槽2内から鉛直管路部61a内に流れ込んだ後にフィルタ64の第1面64aに沿って下方に流れ落ちる第2の流れF2と、が発生する。第1の流れF1および第2の流れF2は、図4において矢印F1および矢印F2で示している。
排液動作中に発生する液体70の第1の流れF1は、フィルタ64の第1面64aに付着している異物71に対して、異物71が第1面64aから鉛直管路部61a内へ剥離する方向の力を加える。したがって、液体70の第1の流れF1によって、フィルタ64の第1面64aに付着している異物71は、第1面64aから剥離または剥離しやすい状態となる。
そして、排液動作中に発生する液体70の第2の流れF2は、フィルタ64の第1面64aに付着している異物71に対してせん断力を加えて、異物71を第1面64aから剥離させる。また、液体70の第2の流れF2は、第1面64aから剥離した異物71を開閉弁62押し流して鉛直管路部61a内から排出する。
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2に貯留されている液体70を排液動作を実行する際に、フィルタ64によって捕集された異物71を、フィルタ64から剥離して液体70とともに排出する。すなわち、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、フィルタ64からの異物71の除去を自動的に行うことができる。このことにより、例えば使用者の手作業によるフィルタ64の清掃作業の頻度を低減することができる。
なお、本実施形態では、排液管路61の液体導出口60から循環口63までの区間が鉛直に配置されているが、排液管路61の液体導出口60から循環口63までの区間の配置は本実施形態に限られるものではない。例えば、図5に示す第1の変形例のように、排液管路61の液体導出口60から循環口63までの区間は重力方向に対して傾いて配置されていてもよい。また、図5に示す第1の変形例のように、液体導出口60は、処理槽2の底面と側面とが交差する角部に設けられていてもよい。
また、循環管路30の流路の断面積は常に一定である必要は無く、所定の区間ごとに異なっていてもよい。例えば、図6に示す第2の変形例のように、循環管路30の傾斜管路部30cに、循環管路30の他の区間よりも断面積を拡大した拡径部30dを設けてもよい。循環管路30の傾斜管路部30cに、循環管路30に拡径部30dを設けることにより、排液動作を開始する時点において循環管路30内に貯留される液体の体積を増やすことがでる。このため、第2の変形例であれば、排液動作時においてフィルタ64から異物71を剥離させる方向に流れる液体の体積を増やすことができるため、フィルタ64からの異物の除去をより確実に行うことができる。
また、図7に示す第3の変形例のように、循環管路30の循環口63との接続部に流路の断面積を拡大した拡径部30eを設けてもよい。循環管路30の循環口63との接続部に拡径部30eを設けることにより、循環動作中において液体がフィルタ64を通過する面積が拡大し、フィルタ64を通過する液体の流量を増やすことができる。
また、図8に示す第4の変形例のように、循環管路30の循環口63との接続部に流路の断面積を縮小した縮径部30fを設けてもよい。循環管路30の循環口63との接続部に縮径部30fを設けることにより、排液動作時においてフィルタ64から異物71を剥離させる方向に流れる液体の流速を増加させることができるため、フィルタ64からの異物の除去をより確実に行うことができる。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。図9は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の液体導出口60、鉛直管路部61a、循環口63、フィルタ64および保持部65を拡大して示す図である。図10は、フィルタ64およびフィルタ保持筒67の斜視図である。図11は、図9のXI-XI断面図である。
本実施形態は、フィルタ64および保持部65の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態のフィルタ64は両端が開口した筒形状である。フィルタ64は、液体導出口60から鉛直管路部61a内に挿入された状態において、一対の端部64cが上方および下方に向く。したがって、筒形状であるフィルタ64は、鉛直管路部61a内に挿入された場合に、上方に向く端部64cが液体導出口60に向かって開口する。また、フィルタ64は、鉛直管路部61a内に挿入された場合に、下方に向く端部64cが開閉弁62に向かって開口する。フィルタ64は筒形状であるから、一対の端部64cの開口はフィルタ64を貫通する空間により接続されている。したがって、開閉弁62を開状態として処理槽2内の液体を排液管路61を経由して排液する排液動作時においては、処理槽2内の液体はフィルタ64によって濾過されずに排液される。
また、フィルタ64は、鉛直管路部61a内に挿入された場合に、循環口63を覆う。本実施形態では、筒形状であるフィルタ64の内周面が第1面64aであり、外周面が第2面64bである。
フィルタ64は、筒形状であるフィルタ保持筒67によって保持される。フィルタ保持筒67は、筒形状であるフィルタ64の形状を維持するための部材である。したがって、フィルタ64が自身の剛性によって形状を維持可能である場合には、フィルタ保持筒67は不要である。
本実施形態のフィルタ保持筒67は、両端が開口した筒形状であって、フィルタ64が外周面または内周面に配置されている。図示する本実施形態では一例として、フィルタ64は、フィルタ保持筒67の内周面に貼着されているがこれに限定されない。例えば、フィルタ64とフィルタ保持筒67とを一体成形してもよい。
フィルタ保持筒67は、液体導出口60から鉛直管路部61a内に挿入可能である。フィルタ保持筒67は、鉛直管路部61a内に挿入された場合に、上方に向く端部に設けられた上端部開口67aが液体導出口60に向かって開口する。また、フィルタ保持筒67は、鉛直管路部61a内に挿入された場合に、下方に向く端部に設けられた下端部開口67fが、開閉弁62に向かって開口する。
また、フィルタ保持筒67には、外周面から内周面まで貫通する、一つ又は複数の側面部開口67bが形成されている。側面部開口67bは、フィルタ64と重なる位置に配置されている。また、側面部開口67bは、フィルタ保持筒67が、鉛直管路部61a内に挿入された場合に、循環口63に向かって開口する位置に配置されている。
フィルタ保持筒67の外周面の側面開口67bが形成された領域よりも上方および下方には、鉛直管路部61aの内周面と密着するシール部材67cが設けられている。この一対のシール部材67cによって、フィルタ保持筒67の内側と循環口63との間での液体の流路は、側面部開口67bを通過する経路のみに限られる。すなわち本実施形態では、フィルタ64を通過する液体は、全て側面部開口67bを通る。
また、図9では、フィルタ保持筒67は、下端部67dが保持部65を兼用している開閉弁62に突き当たることによって、鉛直管路部61a内において位置決めされる。すなわち、本実施形態では、開閉弁62の鉛直管路部61a内に露出する部位が、循環口63を覆う位置にフィルタ64を保持する保持部65を構成する。さらに、フィルタ保持筒67が液体導出口に引っかかるフランジ形状を有することで、保持部65の役割を果たしている。図9では、フィルタと排液管路との双方に保持部が形成されているが、いずれか一方でもよい。
図10に示すように、フィルタ保持筒67の上端部には、フィルタ保持筒67の鉛直管路部61a内への挿抜を容易にするためのハンドル67eが設けられている。また、本実施形態では、フィルタ64が鉛直管路部61a内に挿入される筒形状であることから、使用者がハンドル67eを操作することにより、図11に示すように、フィルタ64を鉛直管路61a内において鉛直軸周りに回動させることができる。
図12は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の循環動作の実行中における液体70の流れを矢印Fで示している。図12に示すように、循環動作中において、処理槽2内に貯留されている液体70は、液体導出口60から排液管路61の鉛直管路部61aに流れ込み、筒形状のフィルタ64の上方に向く端部64cの開口からフィルタ64の内側の空間に流れ込む。そして、フィルタ64の内側の空間に流れ込んだ液体70は、フィルタ64の内周面である第1面64aから外周面である第2面64bに向かってフィルタ64を通過した後に、循環口63および循環管路30を通って処理槽2内に戻るように流れる。このため、内視鏡から剥離して液体70中に浮遊している異物71は、フィルタ64によって捕集され、フィルタ64の第1面64aに付着する。
図13は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の排液動作の実行中における液体の流れを示している。開閉弁62を開状態として排液動作が開始すると、処理槽2内に貯留されている液体70は、排液管路61および開閉弁62を通って排液される。また、排液動作が開始すると、循環管路30内に貯留されている液体70の少なくとも一部は循環口63に向かって流れ、循環口63、フィルタ64および開閉弁62を通って排液される。
ここで、排液動作中におけるフィルタ64付近の液体70の流れに着目すると、排液動作中には、液体70が排液管路30内からフィルタ64を第2面64bから第1面64aに向かって通過してフィルタ64の内部空間内に流れ込む第1の流れF1と、液体70が処理槽2内からフィルタ64の内部空間内に流れ込んだ後にフィルタ64の第1面64aに沿って下方に流れ落ちる第2の流れF2と、が発生する。
第1の実施形態と同様に、排液動作中に発生する液体70の第1の流れF1は、フィルタ64の第1面64aに付着している異物71に対して、異物71が第1面64aからフィルタ64の内部空間内へ剥離する方向の力を加える。したがって、液体70の第1の流れF1によって、フィルタ64の第1面64aに付着している異物71は、第1面64aから剥離または剥離しやすい状態となる。
そして、排液動作中に発生する液体70の第2の流れF2は、フィルタ64の第1面64aに付着している異物71に対してせん断力を加えて、異物71を第1面64aから剥離させる。また、液体70の第2の流れF2は、第1面64aから剥離した異物71を開閉弁62押し流して鉛直管路部61a内から排出する。
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2に貯留されている液体70を排液動作を実行する際に、フィルタ64によって捕集された異物71を、フィルタ64から剥離して液体70とともに排出する。すなわち、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、フィルタ64からの異物71の除去を自動的に行うことができる。このことにより、例えば使用者の手作業によるフィルタ64の清掃作業の頻度を低減することができる。
また、本実施形態では、鉛直管路部61a内においてフィルタ64を鉛直軸周りに回動させることができる。本実施形態のようにフィルタ64が筒形状である場合、循環動作時において液体70がフィルタ64を通過する領域は、循環口63に近接した領域に偏る。したがって、本実施形態では、循環動作が行われると、フィルタ64の内周面(第1面64a)の鉛直軸周りの周方向の一部の領域に偏って異物71が集中して付着する。
前述のように、排液動作を行うことによって、フィルタ64の内周面の一部領域に偏って付着した異物71は剥離し排出されるが、異物が粘液のような剥離しにくいものである場合には、排液動作を行っても一部の異物71がフィルタ64に付着したままとなる可能性がある。
本実施形態では、所定回数の再生処理を実行した後に、鉛直管路部61a内においてフィルタ64を鉛直軸周りに例えば90度または180度回動させることによって、それまで実行した再生処理において異物71の付着が少なかった領域を循環口63に近接させることができる。
このため、本実施形態では、異物71がフィルタ64に付着したままとなる状態が発生したとしても、フィルタ64を回動させることによって、その後の循環動作時において異物71の存在による流量低下の発生を抑制または防止することができる。また、この場合において、フィルタ64の循環口63から遠ざかった領域に付着したままとなっている異物71は、後に行われる排液動作時の液体70の第2の流れF2によって剥離される可能性がある。よって、本実施形態の内視鏡プロセッサ1では、定期的にフィルタ64を回動させることによって、例えば使用者の手作業によるフィルタ64の清掃作業の頻度を低減することができる。
なお、フィルタ64の形状は筒形状であればよく、円筒形状に限られるものではない。例えば、図14に第1の変形例として示すように、フィルタ64は、鉛直管路部61a内に挿入された状態において上方から見た場合に、外形が正方形となる筒形状であってもよい。また、フィルタ64は、鉛直管路部61a内に挿入された状態において上方から見た場合に、外形が三角形や六角形等の多角形となる筒形状であってもよい。
また、内視鏡リプロセッサ1は、鉛直管路部61a内に挿入されているフィルタ64を鉛直軸周りに回動させる構成を有していてもよい。例えば、図15に第2の変形例と示すように、内視鏡リプロセッサ1は、鉛直管路部61aの内周面に沿って配置された環状の超音波モータ68を有し、超音波モータ68によってフィルタ64またはフィルタ保持筒67を回動させる構成を有していてもよい。
また、例えば、図16に第3の変形例として示すように、フィルタ64またはフィルタ保持筒67は、鉛直管路部61a内を鉛直方向に流れる液体70の流れに応じて鉛直軸周りに回転する水車69を有していてもよい。図16に示す変形例では、水車69の羽根はフィルタ保持筒67に固定されており、鉛直管路部61a内を液体が流れるたびにフィルタ保持等67およびフィルタ64が鉛直軸周りに回動する。
また、本実施形態の内視鏡プロセッサ1においても、第1の実施形態で図5から図9に示した変形例を適用可能である。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。図17は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の液体導出口60、鉛直管路部61a、循環口63、フィルタ64および保持部65を拡大して示す図である。
図17に示すように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、バイパス管路72およびバイパス管路開閉弁73を備える点が第1の実施形態と異なる。
バイパス管路72は、処理槽2内と、循環管路30内とを連通する管路である。なお、図示する実施形態では一例としてバイパス管路72は処理槽2の底面に開口しているが、バイパス管路72は、排液管路61の循環口63よりも上方であって、且つフィルタ64によって覆われない区間において開口していてもよい。
バイパス管路開閉弁73は、バイパス管路72に配置されている。バイパス管路開閉弁73は、バイパス管路72を閉塞する閉状態と、バイパス管路72を開放する開状態と、に切り替え可能である。バイパス管路開閉弁73は、制御部5に電気的に接続されており、開閉弁62の動作は制御部5によって制御される。
制御部5は、排液動作を実行する場合にのみバイパス管路開閉弁73を開状態とし、他の場合にはバイパス管路開閉弁73を閉状態とする。
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1では、排液動作を実行する場合にバイパス管路開閉弁73を開状態とすることにより、排液動作時において処理槽2に貯留されている液体70の一部を循環管路30内に流し込むことができる。すなわち、本実施形態では、処理槽2に貯留されている液体70の一部を、排液動作時においてフィルタ64を第2面64bから第1面64aに向かって通過するように流すことができる。
このため、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1であれば、排液動作時においてフィルタ64から異物71を剥離させる方向に流れる液体の体積を増やすことができるため、フィルタ64からの異物の除去をより確実に行うことができる。
なお、本実施形態の内視鏡プロセッサ1においても、第1の実施形態で図5から図9に示した変形例を適用可能である。また、本実施形態の内視鏡プロセッサ1は、第2の実施形態のように筒形状のフィルタ64を備えていてもよい。また本実施形態の内視鏡プロセッサ1が第2の実施形態と同様の筒形状のフィルタ64を備える場合には、第2の実施形態で図14から図16に示した変形例を適用可能である。
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡リプロセッサもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本出願は、2016年9月13日に日本国に出願された特願2016−178641号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
本発明の一態様による内視鏡リプロセッサは、内視鏡を配置する処理槽と、前記処理槽の底面に開口している液体導出口を有する排液管路と、前記排液管路の中途位置に配置された開閉弁と、前記排液管路の前記液体導出口と前記開閉弁との間であって且つ前記液体導出口よりも地面に近い位置に開口している循環口を有し、前記循環口から導入された液体を前記処理槽に導入する循環管路と、前記排液管路内に配置され、前記循環口を覆うフィルタと、前記フィルタまたは前記排液管路に配置され、前記循環口を覆い、前記開閉弁が開状態である場合に、前記処理槽内から前記循環口を通って前記排液管路に流れ込む液体が前記フィルタを通過するのと同時に、前記処理槽内から前記液体導出口を通って前記開閉弁に向かう液体が前記フィルタ表面に沿って流れる位置に前記フィルタを保持する保持部と、を含む。