以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。図1に示す内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡に対して、再生処理を施す装置である。ここでいう再生処理とは特に限定されるものではなく、水によるすすぎ処理、有機物等の汚れを落とす洗浄処理、所定の微生物を無効化する消毒処理、全ての微生物を排除もしくは死滅させる滅菌処理、またはこれらの組み合わせ、のいずれであってもよい。
なお、以下の説明において、上方とは比較対象に対してより地面から遠ざかった位置のことを指し、下方とは比較対象に対してより地面に近づいた位置のことを指す。また、以下の説明における高低とは、重力方向に沿った高さ関係を示すものとする。
内視鏡リプロセッサ1は、制御部5、電源部6、処理槽2、およびリークテスト部60を備える。
制御部5は、演算装置(CPU)、記憶装置(RAM)、補助記憶装置、入出力装置および電力制御装置等を具備して構成することができ、内視鏡リプロセッサ1を構成する各部位の動作を、所定のプログラムに基づいて制御する構成を有している。以下の説明における内視鏡リプロセッサ1に含まれる各構成の動作は、特に記載がない場合であっても制御部5によって制御される。
電源部6は、内視鏡リプロセッサ1の各部位に電力を供給する。電源部6は、商用電源等の外部から得た電力を各部位に分配する。なお、電源部6は、発電装置やバッテリーを備えていてもよい。
操作部7および表示部8は、使用者との間の情報の授受を行うユーザインターフェースを構成する。操作部7は、例えばプッシュスイッチやタッチセンサ等の、使用者からの動作指示を受け付ける操作部材を含む。使用者からの動作指示は、操作部7により電気信号に変換され、制御部5に入力される。使用者からの動作指示とは、例えば再生処理の開始指示等である。なお、操作部7は、制御部5との間で有線通信または無線通信を行う内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられる形態であってもよい。
また、表示部8は、例えば画像や文字を表示する表示装置、光を発する発光装置、音を発するスピーカ、振動を発するバイブレータ、またはこれらの組み合わせ、を含む。表示部8は、制御部5から使用者に対して情報を出力する。なお、表示部8は、制御部5との間で有線通信または無線通信を行う内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられる形態であってもよい。
処理槽2は、開口部を有する凹形状であり、内部に液体を貯留することが可能である。処理槽2内には、図示しない内視鏡を配置することができる。処理槽2には、複数の内視鏡が配置可能であってもよい。
処理槽2の上部には、処理槽2の開口部を開閉する蓋3が設けられている。処理槽2内において内視鏡に再生処理を施す場合には、処理槽2の開口部は蓋3によって閉じられる。
処理槽2には、リークテスト用コネクタ61、超音波振動子71、薬液ノズル12、排液口11、循環口13、循環ノズル14、洗浄液ノズル15、内視鏡接続部16および付属品ケース17が設けられている。
リークテスト用コネクタ61は、内視鏡の内部に接続される。リークテスト用コネクタ61は、リークテスト部60の構成に含まれる。リークテスト部60は、リークテスト用コネクタ61を介して内視鏡の内部空間に接続され、内視鏡のリークテストを行う構成である。詳しくは後述するが、リークテスト部60は、内視鏡の内部空間に空気等の気体を送り込む構成を有している。
リークテストとは、内視鏡の水密状態とされた内部空間が、内視鏡を構成する部材の破損等によって外部空間と連通した状態となっていないかを試験する工程である。リークテストは、漏洩試験、漏水試験、気密試験または水密試験等とも称される。リークテストの実行時には、内視鏡を処理槽2内において水等の液体中に沈めた状態とし、リークテスト部60によって気体を内視鏡の内部空間に送り込む。
例えば、内視鏡の内部空間の水密性が正常に確保されていれば、リークテストの実行時において液体中の内視鏡の周囲に気泡は発生しない。一方、もし内視鏡の内部空間が外部空間と連通した状態であれば、リークテストの実行時において液体中の内視鏡の周囲に気泡が発生する。リークテストでは、液体中の内視鏡の周囲における気泡の発生の有無を使用者が視認することによって、内視鏡の内部空間の水密性が正常に確保されているかどうかを判定する。リークテスト部60の構成の詳細については、後述する。
超音波振動子71は、例えば圧電素子等であり超音波を発生する。超音波振動子71は、超音波振動子駆動回路部72に電気的に接続されており、超音波振動子駆動回路部72によって駆動される。超音波振動子駆動回路部72は、制御部5に電気的に接続されており、超音波振動子駆動回路部72の動作は制御部5によって制御される。なお、超音波振動子駆動回路部72は、制御部5に含まれていてもよい。
超音波振動子71は、超音波振動子71が発生した超音波が、洗浄槽2内に貯留された液体に伝わる位置に配置されている。内視鏡リプロセッサ1は、洗浄槽2内において液体中に内視鏡を浸漬した状態で超音波振動子71を駆動することによって、内視鏡を超音波洗浄することができる。
また、超音波振動子71および超音波振動子駆動回路部72は、後述する霧化部70を構成する。
薬液ノズル12は、薬液管路26を介して薬液タンク20に連通する開口部である。薬液タンク20は、薬液を貯留する。薬液管路26には、薬液ポンプ27が設けられている。薬液ポンプ27を運転することにより、薬液タンク20内の薬液が、薬液管路26および薬液ノズル12を経由して、処理槽2内に移送される。薬液ポンプ27は制御部5に接続されており、薬液ポンプ27の動作は制御部5によって制御される。
薬液タンク20が貯留する薬液の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、薬液は消毒処理に用いられる消毒液、または滅菌処理に用いられる滅菌液である。消毒液または滅菌液としては、過酢酸水溶液が挙げられる。ただし、本発明はこれに限定されず、薬液として、洗浄処理に用いられる洗浄液、乾燥に用いられる高揮発性溶液等を目的に応じて適宜選択することができる。
また、本実施形態では一例として、薬液は、薬液ボトル18から供給された薬液の原液を、水によって所定の比率で希釈したものである。本実施形態の薬液タンク20は、薬液ボトル18から供給された薬液の原液を薬液タンク20内に導入するボトル接続部19、および希釈用の水を薬液タンク20内に導入する希釈管路48に連通している。薬液ボトル18がボトル接続部19に接続されることにより、薬液の原液が薬液タンク20内に導入される。希釈管路48から薬液タンク20内に水を導入する構成については後述する。
なお、内視鏡リプロセッサ1は、薬液を水等によって希釈する構成を有していなくともよい。また、薬液が複数種類の原液を混合して使用されるものである場合には、ボトル接続部19は複数の薬液ボトル18に接続可能である。
また、本実施形態では一例として、薬液は、濃度が薬効を有する所定の範囲内である場合には、再使用可能である。薬液タンク20は、薬液タンク20内から処理槽2内に移送された薬液を回収して再び貯留する薬液回収部を兼ねる。
また、薬液タンク20には、排液部28が配設されている。排液部28は、薬液タンク20内から薬液または水等の液体を排出する。排液部28は、重力によって薬液タンク20内から液体を排出する構成であってもよいし、ポンプによって強制的に薬液タンク20内から液体を排出する構成であってもよい。
本実施形態では一例として、排液部28は、薬液タンク20の底面または底面付近に設けられた排液口20aに連通するドレーン管路28aと、ドレーン管路28aを開閉するドレーンバルブ28bと、を含む。ドレーンバルブ28bは、制御部5によって開閉の制御がなされる電磁開閉弁であってもよいし、使用者の手動操作によって開閉が行われるコックであってもよい。
なお、薬液タンク20内から液体を排出する経路は、ドレーン管路28aのみに限られない。例えば、薬液ポンプ27の運転を開始することによって、薬液管路26および薬液ノズル12を経由して、薬液タンク20内から液体を処理槽2内に排出することも可能である。この場合、内視鏡リプロセッサ1は、図1に示される排液口20a、ドレーン管路28a、およびドレーンバルブ28bを含まない構成であってもよい。
排液口11は、処理槽2内の最も低い箇所に設けられた開口部である。排液口11は、排出管路21に接続されている。排出管路21は、排液口11と切替バルブ22とを連通している。切替バルブ22には、回収管路23および廃棄管路25が接続されている。切替バルブ22は、排出管路21を閉塞した状態、排出管路21と回収管路23とを連通した状態、または排出管路21と廃棄管路25とを連通した状態、に切り替え可能である。切替バルブ22は制御部5に接続されており、切替バルブ22の動作は制御部5によって制御される。
回収管路23は、薬液タンク20と切替バルブ22とを連通している。また、廃棄管路25には排出ポンプ24が設けられている。排出ポンプ24は制御部5に接続されており、排出ポンプ24の動作は制御部5によって制御される。廃棄管路25は、内視鏡リプロセッサ1から排出される液体を受け入れるための排液設備に接続される。
切替バルブ22を閉状態とすれば、処理槽2内に液体を貯留することができる。また、処理槽2内に薬液が貯留されている時に、切替バルブ22を排出管路21と回収管路23とが連通した状態とすれば、薬液が処理槽2から薬液タンク20に移送される。また、切替バルブ22を排出管路21と廃棄管路25とが連通した状態とし、排出ポンプ24の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が廃棄管路25を経由して排液設備に送出される。
循環口13は、処理槽2の底面付近に設けられた開口部である。循環口13は、循環管路13aに連通している。循環管路13aは、内視鏡循環管路30および処理槽循環管路40の二つの管路に分岐している。
内視鏡循環管路30は、循環管路13aと後述するチャンネルブロック32とを連通している。内視鏡循環管路30には、循環ポンプ33が設けられている。循環ポンプ33は、稼働することにより内視鏡循環管路30内の流体をチャンネルブロック32に向かって移送する。
チャンネルブロック32には、前述の内視鏡循環管路30の他に、吸気管路34、アルコール管路38および送出管路31が接続されている。チャンネルブロック32は、送出管路31と、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38とを接続している。チャンネルブロック32は、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38のそれぞれから、チャンネルブロック32内へ向かう方向にのみ流体の流れを許容する逆止弁が設けられている。すなわち、チャンネルブロック32内から、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38に向かって流体が流れないようになっている。
吸気管路34は、一方の端部が大気に開放されており、他方の端部がチャンネルブロック32に接続されている。なお、図示しないが、吸気管路34の一方の端部には、通過する気体を濾過するフィルタが設けられている。エアポンプ35は、吸気管路34に設けられており、稼働することにより吸気管路34内の気体をチャンネルブロック32に向かって移送する。
アルコール管路38は、アルコールを貯留するアルコールタンク37とチャンネルブロック32とを連通している。アルコールタンク37内に貯留されるアルコールは、例えばエタノールが挙げられる。アルコール濃度については、適宜に選択することができる。アルコールポンプ39は、アルコール管路38に設けられており、稼働することによりアルコールタンク37内のアルコールをチャンネルブロック32に向かって移送する。
循環ポンプ33、エアポンプ35およびアルコールポンプ39は、制御部5に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。処理槽2内に液体が貯留されている場合に、循環ポンプ33の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび内視鏡循環管路30を経由して、送出管路31に送り込まれる。また、エアポンプ35の運転を開始すれば、空気が送出管路31に送り込まれる。また、アルコールポンプ39の運転を開始すれば、アルコールタンク37内のアルコールが送出管路31に送り込まれる。
送出管路31は、内視鏡接続管路31bおよびケース接続管路31cに分岐している。内視鏡接続管路31bは、内視鏡接続部16に接続されている。また、ケース接続管路31cは、付属品ケース17に接続されている。
また、送出管路31には、流路切替部31aが設けられている。流路切替部31aは、送出管路31と内視鏡接続管路31bとを常時接続するリリーフ弁であって、内視鏡接続管路31b内の圧力が所定の値を超えた場合に、送出管路31から流入する流体をケース接続管路31cに逃がす。すなわち、流路切替部31aは、内視鏡接続管路31b内の圧力を一定に保つ。
内視鏡接続部16は、内視鏡に設けられた口金に接続される。内視鏡接続部16は、口金に直接接続される形態であってもよいし、接続チューブを介して口金に接続される形態であってもよい。付属品ケース17は、内視鏡の図示しない付属品を収容するかご状の部材である。
チャンネルブロック32から送出管路31に送出された流体は、内視鏡接続部16および洗浄チューブを介して、内視鏡の口金に連通する管路内に導入される。管路内に導入される流体の圧力が、リリーフ弁である流路切替部31aが作動する値を超えると、当該流体は、内視鏡の管路内の他に、ケース接続管路31cを経由して付属品ケース17内にも導入される。
処理槽循環管路40は、循環管路13aと循環ノズル14とを連通している。循環ノズル14は、処理槽2内に設けられた開口部である。処理槽循環管路40には、流液ポンプ41が設けられている。流液ポンプ41は制御部5に接続されており、流液ポンプ41の動作は制御部5によって制御される。
また、処理槽循環管路40の流液ポンプ41と循環ノズル14との間には、三方弁42が設けられている。三方弁42には、給水管路43が接続されている。三方弁42は、循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態、または循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態、に切り替え可能である。
給水管路43は、三方弁42と水供給源接続部46とを連通している。給水管路43には、給水管路43を開閉する水導入バルブ45および水を濾過する水フィルタ44が設けられている。水供給源接続部46は、例えばホース等を介して、水を送出する水道設備等の水供給源49に接続される。
給水管路43の、水フィルタ44と三方弁42との間の区間には、希釈バルブ47が設けられている。希釈バルブ47には、希釈バルブ47と薬液タンク20とを連通する希釈管路48が接続されている。希釈バルブ47は、水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態、または水フィルタ44と希釈管路48とを連通した状態、に切り替え可能である。三方弁42、水導入バルブ45および希釈バルブ47は、制御部5に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。
処理槽2内に液体が貯留されている場合に、三方弁42を循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態とし、希釈バルブ47を水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態として、流液ポンプ41の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび処理槽循環管路40を経由して、循環ノズル14から吐出される。
また、三方弁42を、循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態とし、希釈バルブ47を水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態として、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が循環ノズル14から吐出される。循環ノズル14から吐出された液体は、処理槽2内に導入される。
また、希釈バルブ47を水フィルタ44と希釈管路48とを連通した状態とし、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が薬液タンク20内に導入される。
洗浄液ノズル15は、洗浄液管路51を介して、洗浄液を貯留する洗浄液タンク50に連通する開口部である。洗浄液は、洗浄処理に用いられる。洗浄液管路51には、洗浄液ポンプ52が設けられている。洗浄液ポンプ52は制御部5に接続されており、洗浄液ポンプ52の動作は制御部5によって制御される。洗浄液ポンプ52を運転することにより、洗浄液タンク50内の洗浄液が、処理槽2内に移送される。
次に、リークテスト部60および霧化部70の構成の詳細について説明する。図2は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1が備える処理槽2、リークテスト部60および霧化部70の構成を示す図である。
リークテスト部60は、リークテスト用コネクタ61、管路62および正逆回転ポンプ64を備える。
リークテスト用コネクタ61は、処理槽2内に配置された内視鏡の内部空間に接続される。リークテスト用コネクタ61と内視鏡の内部区間とは、チューブ等の接続具を介して接続される形態であってもよいし、リークテスト用コネクタ61と内視鏡に設けられた口金等の接続部とが直接接触することによって接続される形態であってもよい。
また、図示する本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、一例として1つのリークテスト用コネクタ61を備えているが、内視鏡リプロセッサ1は複数のリークテスト用コネクタ61を備えていてもよい。
リークテスト用コネクタ61は、内視鏡の接続部または接続具が接続されていない場合には閉状態となり、内視鏡の接続部または接続具が接続されている場合には開状態となるバルブを備える。
リークテスト用コネクタ61には、後述する管路62の第1端部62aが接続されている。リークテスト用コネクタ61に内視鏡の接続部または接続具が接続されていない場合には、リークテスト用コネクタ61のバルブ閉状態となるため、管路62の第1端部62aは閉塞される。また、リークテスト用コネクタ61に内視鏡の接続部または接続具が接続されている場合には、リークテスト用コネクタ61のバルブ開状態となり、管路62内は内視鏡の内部空間に連通する。
管路62の第2端部62bは、大気開放された開口である。なお、第2端部62bには、第2端部62bを通過する気体を濾過するフィルタが設けられていてもよい。
管路62には、吸入口63および正逆回転ポンプ64が配設されている。
吸入口63は、管路62の第1端部62aと第2端部62bとの間に設けられた、大気開放された開口である。吸入口63には、逆止弁63aが設けられている。逆止弁63aは、管路62外の気体が吸入口63を経由して管路62内に流入することを可能とし、かつ管路62内の気体が吸入口63を経由して管路62外に流入することを阻止する。
正逆回転ポンプ64は、管路62の吸入口と第2端部62bとの間に配設されており、管路62内の流体を流動させる。正逆回転ポンプ64は、管路62内の流体を第2端部62bから第1端部62aに向かって流動させる正方向運転と、管路62内の流体を第1端部62aから第2端部62bに向かって流動させる逆方向運転と、を実行することができる。正逆回転ポンプ64は、制御部5に電気的に接続されており、正逆回転ポンプ64の動作は制御部5によって制御される。
正逆回転ポンプ64を正方向運転状態とした場合には、管路62外の空気が第2端部62bから管路62内に流入し、管路62内を第1端部62に向かって流動する。また、正逆回転ポンプ64を逆方向運転状態とした場合には、管路62内の流体が、第2端部62bから管路62外に排出される。
すなわち、本実施形態の正逆回転ポンプ64は、管路62の吸入口63と第2端部62bとの間に配置され、管路62内を第2端部62bから第1端部62aに向けて流体が流動するよう送出する正方向送気部を構成する。また、本実施形態の正逆回転ポンプ64は、管路62内の第1端部62aと前記正方向送気部との間の区間から管路62外に流体を排出する排出部を構成する。
以上のように構成されたリークテスト部60は、リークテスト用コネクタ61に内視鏡の内部空間が接続されている状態において、正逆回転ポンプ64を正方向運転状態とすることによって、内視鏡の内部空間に気体を送り込む。
霧化部70は、管路62内の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に存在する液体を霧化する。霧化部70の管路62内の液体を霧化する構成は特に限定されるものではない。霧化部70は、例えば管路62内に存在する液体に超音波を照射することにより当該液体を霧化する形態であってもよい。また例えば、霧化部70は、管路62内に存在する液体を加熱することによって当該液体を霧化および気化する形態であってもよい。
本実施形態では一例として、霧化部70は、管路62内に存在する液体に超音波を照射することにより、当該液体を霧化する。具体的には、霧化部70は、超音波振動子71を備える。
前述のように、本実施形態では、超音波振動子71は、発生した超音波が処理槽2内に貯留された液体に伝達する位置に配置されているが、さらに超音波振動子71は、発生した超音波が管路62内に存在する液体にも伝達するように配置されている。
超音波振動子71が発生した超音波を管路62内に存在する液体に伝達する構成は特に限定されるものではない。例えば、霧化部70は、管路62と超音波振動子71とを直接接触させて配置することによって、超音波振動子71が発生した超音波を管路62内に存在する液体に伝達させる形態であってもよい。また例えば、霧化部70は、管路62と超音波振動子71との間に、超音波を伝達する部材を有する形態であってもよい。
本実施形態では一例として、霧化部70は、超音波振動子71と、管路62の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間とに接し、超音波振動子71が発生した超音波を管路62に伝達する振動伝達部73を備える。
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡の内部空間に接続されるリークテスト用コネクタ61と、第1端部62aがリークテスト用コネクタ61に接続されており、第2端部62bが大気開放された開口である管路62と、管路62の第1端部62aと第2端部62bとの間に設けられた吸入口63と、吸入口63に設けられ、吸入口63を経由した管路62内への気体の流入を可能とし、管路62内から吸入口63を経由した気体の流出を阻止する逆止弁63aと、管路62の吸入口63と第2端部62bとの間に配置され、管路62内を第2端部62bから第1端部62aに向けて流体が流動するよう送出する正方向送気部と、管路62内の第1端部62aと正方向送気部との間の区間に存在する液体を霧化する霧化部70と、管路62内の第1端部62aと正方向送気部との間の区間から流体を排出する排出部と、を備える。本実施形態の内視鏡リプロセッサ1においては、正方向送気部および排出部は、正逆回転ポンプ64として一体化されている。
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1において、リークテスト用コネクタ61に接続された内視鏡のリークテストを実行する場合には、制御部5は、正逆回転ポンプ64を正方向運転状態とする。言い換えれば、リークテストの実行時には、正方向送気部が稼働し、排出部は停止した状態となる。正逆回転ポンプ64が正方向運転状態となることにより、空気が、第2端部62bから管路62内に吸い込まれた後に、第1端部62aおよびリークテスト用コネクタ61を経由して内視鏡の内部空間内に送り込まれる。
そして、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、所定のタイミングもしくは使用者から操作部を介して命令が入力された場合に、リークテスト部60の管路62内に存在する液体を排出する液体排出動作を実行する。液体排出動作を実行する所定のタイミングは特に限定されるものではないが、例えば内視鏡リプロセッサ1の電源投入時や、再生処理を所定の回数実行した後の時点等が考えられる。
液体排出動作では、制御部5は、正逆回転ポンプ64を逆方向運転状態とし、霧化部70を動作させる。すなわち、液体排出動作では、正方向送気部が停止し、排出部が稼働した状態となる。正逆回転ポンプ64が逆方向運転を開始することにより、管路62内の、第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間の流体が、第2端部62bから排出される。
そして、第2端部62bから管路62内の流体が排出されることによって管路62内の気圧が下がるため、管路62外の空気が、吸入口63および逆止弁63aを経由して管路62内の、第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に流入する。このように、正逆回転ポンプ64を逆方向運転状態とすることによって、管路62内には、空気が吸入口63から流入した後に第2端部62bから排出される流れが生じる。
霧化部70の動作とは、具体的には、制御部5が超音波振動子駆動回路部72を制御して超音波振動子71により超音波を発生させ、当該超音波を管路62内に存在する液体に照射する動作である。霧化部70の動作によって超音波を照射された管路62内の液体は霧化する。
液体排出動作では、前述のように正逆回転ポンプ64が逆方向運転状態であることから、管路62内の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間において霧化した液体は、空気とともに第2端部62bから管路62外に排出される。
したがって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、正逆回転ポンプ64を逆方向運転状態とし、霧化部70を動作させる液体排出動作を実行することによって、管路62の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に存在する液体を除去することができる。
また、本実施形態の霧化部70を構成する超音波振動子71は、処理槽2内に配置された内視鏡を超音波洗浄するための構成を兼ねるものであることから、簡易な構成で安価に実現が可能である。
図3に、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の第1の変形例を示す。図3に示す第1の変形例の内視鏡リプロセッサ1は、管路62の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に、液体貯留部62cが設けられている点が、前述の実施形態と異なる。
液体貯留部62cは、管路62の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に存在する液体が貯留される部位である。
液体貯留部62cの配置位置や形状は特に限定されるものではないが、例えば液体貯留部62cは、管路62の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間において最も低い位置に設けられた下方に向かって凹状のくぼみ、またU字状の部位である。
本変形例の霧化部70は、この液体貯留部62cに貯留されている液体を霧化するように配置される。具体的には、振動伝達部73は、液体貯留部62cに接しており、超音波振動子71が発生した超音波は、振動伝達部73を伝わって液体貯留部62cに貯留されている液体に照射される。
本変形例では、管路62に液体貯留部62cを設けることによって、管路62内において液体が存在する領域を限定することができるため、霧化部70を小型化することができる。具体的には、本変形例では、管路62内に超音波を照射する範囲を、前述の実施形態に比して狭くすることができるため、超音波振動子71および振動伝達部73を小型化することができる。
なお、前述した本実施形態では、リークテストの結果の判定は、液体中に沈められた内視鏡の周囲における気泡の発生有無を、内視鏡リプロセッサ1の使用者が目視にて確認することにより行われるとして説明したが、内視鏡リプロセッサ1は、自動的にリークテストの結果の判定を行う形態であってもよい。
図4に、本実施形態の第2の変形例として、リークテストの結果の判定を自動的に行うことのできる内視鏡リプロセッサ1のリークテスト部60の構成を示す。第2の変形例の内視鏡リプロセッサ1は、リークテスト部60に圧力検知部65を備える点が、前述の実施形態と異なる。
圧力検知部65は、管路62内の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間の気圧を測定する気圧センサを備える。圧力検知部65は、制御部5に電気的に接続されており、圧力検知部65による測定結果の信号は制御部5に入力される。
本変形例の内視鏡リプロセッサ1において内視鏡のリークテストを実行する場合には、まず、制御部5は、圧力検知部65による測定結果が所定の圧力に到達するまで正逆回転ポンプ64を正方向運転状態とする。そして、圧力検知部65による測定結果が所定の圧力に到達したら正逆回転ポンプ64を停止する。すなわち、制御部5は、管路62に連通する内視鏡の内部空間内の気圧を所定の圧力にまで上昇させる。その後、制御部5は、圧力検知部65による測定結果の変動を監視する。
例えば、圧力検知部65による測定結果が、所定の時間内に所定の値以上低下した場合には、制御部5は、内視鏡の内部空間が外部空間と連通しており、水密性が確保されていない状態であると判定する。一方、例えば、圧力検知部65による所定の時間内における測定結果の低下が所定の値未満である場合には、制御部5は、内視鏡の内部空間の水密性が正常に確保されていると判定する。
本変形例の内視鏡リプロセッサ1のその他の動作は、前述した実施形態と同様である。なお、本変形例の内視鏡リプロセッサ1は、第1の変形例で説明したように、管路62の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に、液体貯留部62cを備えていてもよい。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
図5に示す本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の超音波振動子71および超音波振動子駆動回路部72は、複数の帯域の周波数の超音波を発生することができる点が、第1の実施形態と異なる。具体的には、超音波振動子駆動回路部72は、超音波振動子71を駆動する周波数を切り替える駆動周波数切替部72aを備える。駆動周波数切替部72aによる切替動作は、制御部5によって制御される。
本実施形態では一例として、超音波振動子71および超音波振動子駆動回路部72は、第1の帯域および第2の帯域の2つの帯域の周波数の超音波を発生することができる。第1の帯域の周波数は、例えば20kHz以上200kHz以下であり、第2の帯域の周波数は、第1の帯域の周波数よりも高く、例えば1MHz以上である。第1の帯域の周波数は、液体中に沈められた内視鏡に対する超音波洗浄の効果が最も高くなる値であり、第2の帯域の周波数は、管路62内に存在する液体を霧化する効果が最も高くなる値である。
以上に説明した構成を有する本実施形態の内視鏡リプロセッサ1において、洗浄槽2内において液体中に沈められた内視鏡に対する超音波洗浄動作を実行する場合には、制御部5は、超音波振動子71が発生する超音波の周波数を第1の帯域とする。
また、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1において、リークテスト部60の管路62内に存在する液体を排出する液体排出動作を実行する場合には、制御部5は、超音波振動子71が発生する超音波の周波数を第2の帯域とする。
このように、本実施形態では、超音波洗浄動作の実行時と、液体排出動作の実行時とで超音波振動子71が発生する超音波の周波数を切り替えることによって、超音波洗浄動作および液体排出動作の効果をより高め、動作の完了に必要な時間を短縮することができる。
なお、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1の実施形態の第1の変形例(図3)で説明したように、管路62の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に、液体貯留部62cを備えていてもよい。
また、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1の実施形態の第2の変形例(図4)で説明したように、管路62内の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間の気圧を測定する圧力検知部65を備えており、リークテストの結果の判定を自動的に行う形態であってもよい。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。前述した第1および第2の実施形態では、管路62に超音波を照射する霧化部70の超音波振動子71が、処理槽2内にも超音波を照射するように配設されている。すなわち、前述した第1および第2の実施形態では、超音波振動子71は、超音波洗浄動作および液体排出動作において兼用されるが、超音波振動子71は、液体排出動作のみにおいて用いられるものであってもよい。
図6に示す本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の霧化部70の超音波振動子71は、処理槽2とは接続されておらず、管路62に接続されている点が、第1および第2の実施形態と異なる。
本実施形態では、超音波振動子71は、発生した超音波が管路62内の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に存在する液体に照射される位置に配置されている。本実施形態では、超音波振動子71を超音波洗浄動作に用いないため、第1および第2の実施形態よりも超音波振動子71の出力を小さくすることができる。このため本実施形態では、超音波振動子71および超音波振動子駆動回路部72を、第1および第2の実施形態よりも小型化することができる。また、本実施形態では、超音波振動子71が発生した超音波を、処理槽2および管路62の双方に伝達する振動伝達部が不要であるため、第1および第2の実施形態よりも霧化部70を小型化することができる。
なお、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1の実施形態の第1の変形例(図3)で説明したように、管路62の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間に、液体貯留部62cを備えていてもよい。
また、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1の実施形態の第2の変形例(図4)で説明したように、管路62内の第1端部62aと正逆回転ポンプ64との間の区間の気圧を測定する圧力検知部65を備えており、リークテストの結果の判定を自動的に行う形態であってもよい。
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡リプロセッサもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。