JP6854609B2 - 内視鏡リプロセッサ - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡を配置する処理槽および前記処理槽に液体を導入する液体導入部を備える内視鏡リプロセッサに関する。
医療分野において使用される内視鏡は、使用後に消毒液等の薬液を用いた再生処理が施される。また、例えば特開2010−233634号公報に開示されているように、洗浄槽内に内視鏡を配置し、洗浄槽内に薬液等の液体を導入することにより再生処理を自動的に行う内視鏡洗浄装置が知られている。
内視鏡に再生処理を施すための薬液には、効果を十分に発揮させるために液温が所定の温度以上である必要があるものが存在する。このため、例えば特開2010−233634号公報に開示されている内視鏡洗浄装置は、洗浄槽内に貯留されている消毒液を所定の温度以上になるまで洗浄槽の底面を加熱する加熱手段を備えている。また、例えば特開2010−233634号公報に開示されている内視鏡洗浄装置は、水道水を洗浄槽内に供給し、内視鏡のすすぎ処理を行う構成を有している。
特開2010−233634号公報
例えば、特開2010−233634号公報に開示されている内視鏡洗浄装置を、冬期等の水道水の温度が低い場合に使用すると、すすぎ処理を行うことによって洗浄槽の壁面の温度が低下する。このすすぎ処理の後に洗浄槽内に薬液を導入した場合、薬液の熱が壁面に移動して薬液の温度が低下してしまう。もし、洗浄槽内に導入された薬液の温度が効果を十分に発揮させるために必要な温度を下回った場合には、加熱手段によって薬液の温度を上昇させなければならず、再生処理の実行中に薬液の温度上昇を待機する時間が発生してしまう。
本発明は、上述した問題点を解決するものであって、薬液を処理槽内に導入する際における薬液の温度低下を防止する内視鏡リプロセッサを提供することを目的とする。
本発明の一態様による内視鏡リプロセッサは、内視鏡を配置する処理槽と、前記処理槽に液体を導入する液体導入部と、前記処理槽に導入された液体の水位が第1水位未満か、前記第1水位以上かを検知する水位センサと、前記処理槽を加温するヒーターと、前記ヒーターによる出力を第1出力、および前記第1出力よりも高出力である第2出力に切替える切替部と、前記水位センサおよび前記切替部に接続され、前記水位が前記第1水位未満の場合は、前記ヒーターが前記第1出力により前記処理槽を加温し、前記水位が前記第1水位以上の場合は、前記ヒーターが前記第2出力により前記処理槽を加温するように前記切替部を制御する制御部と、を含む。
本発明によれば、薬液を処理槽内に導入する際における薬液の温度低下を防止する内視鏡リプロセッサを提供することができる。
第1の実施形態の内視鏡リプロセッサの構成を示す図である。 第1の実施形態の制御部による再生処理における制御を示すフローチャートである。 第1の実施形態の制御部による薬液導入工程における制御を示すフローチャートである。 第2の実施形態の内視鏡リプロセッサの構成を示す図である。 第2の実施形態の制御部による薬液導入工程における制御を示すフローチャートである。
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。図1に示す内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡に対して、再生処理を施す装置である。ここでいう再生処理とは特に限定されるものではなく、水によるすすぎ処理、有機物等の汚れを落とす洗浄処理、所定の微生物を無効化する消毒処理、全ての微生物を排除もしくは死滅させる滅菌処理、またはこれらの組み合わせ、のいずれであってもよい。
なお、以下の説明において、上方とは比較対象に対してより地面から遠ざかった位置のことを指し、下方とは比較対象に対してより地面に近づいた位置のことを指す。また、以下の説明における高低とは、重力方向に沿った高さ関係を示すものとする。
内視鏡リプロセッサ1は、制御部5、電源部6、処理槽2、液体導入部70、ヒーター60、切替部61および水位センサ62を備える。
制御部5は、演算装置(CPU)、記憶装置(RAM)、補助記憶装置、入出力装置および電力制御装置等を具備して構成することができ、使用者からの指示に従って所定のプログラムを実行し、内視鏡リプロセッサ1を構成する各部位の動作を制御する構成を有している。以下の説明における内視鏡リプロセッサ1に含まれる各構成の動作は、特に記載がない場合であっても制御部5によって制御される。
操作部7および表示部8は、制御部5と使用者との間の情報の授受を行うユーザインターフェースを構成する。操作部7は、例えばプッシュスイッチやタッチセンサ等の、使用者からの動作指示を受け付ける操作部材を含む。使用者からの動作指示は、操作部7により電気信号に変換され、制御部5に入力される。使用者からの動作指示とは、例えば再生処理の開始指示等である。なお、操作部7は、内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられており、当該電子機器は制御部5との間で有線通信または無線通信を行うように構成された形態であってもよい。
また、表示部8は、例えば画像や文字を表示する表示装置、光を発する発光装置、音を発するスピーカ、振動を発するバイブレータ、またはこれらの組み合わせ、を含む。表示部8は、制御部5から使用者に対して情報を出力する。なお、表示部8は、内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられており、当該電子機器は制御部5との間で有線通信または無線通信を行うように構成された形態であってもよい。
電源部6は、内視鏡リプロセッサ1の各部位に電力を供給する。電源部6は、商用電源等の外部から得た電力を各部位に分配する。なお、電源部6は、発電装置やバッテリーを備えていてもよい。
処理槽2は、開口部を有する凹形状であり、内部に液体を貯留することが可能である。処理槽2内には、図示しない内視鏡を配置することができる。処理槽2には、複数の内視鏡が配置可能であってもよい。
処理槽2の上部には、処理槽2の開口部を開閉する蓋3が設けられている。処理槽2内において内視鏡に再生処理を施す場合には、処理槽2の開口部は蓋3によって閉じられる。
処理槽2には、薬液ノズル12、排液口11、循環口13、循環ノズル14、洗浄液ノズル15、内視鏡接続部16、付属品ケース17および液温センサ64が設けられている。薬液ノズル12および循環ノズル14は、それぞれ処理槽2内に液体である薬液およびすすぎ水を導入するための構成であり、処理槽2内に液体を導入する液体導入部70に含まれる。液体導入部70は、後述する薬液導入部71およびすすぎ水導入部72を含む。
薬液ノズル12は、薬液管路26を介して薬液タンク20に連通する開口部である。薬液タンク20は、薬液を貯留する。
薬液タンク20が貯留する薬液の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、薬液は消毒処理に用いられる消毒液、または滅菌処理に用いられる滅菌液である。消毒液または滅菌液としては、過酢酸水溶液が挙げられる。
薬液管路26には、薬液ポンプ27が設けられている。薬液ポンプ27を運転することにより、薬液タンク20内の薬液が、薬液管路26および薬液ノズル12を経由して、処理槽2内に移送される。
すなわち、薬液ノズル12、薬液管路26および薬液ポンプ27は、処理槽2内に薬液を導入する薬液導入部71を構成する。
また、本実施形態では一例として、薬液は、再生処理に用いられた後にも薬効を有している場合には、再使用可能である。よって、内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2内の薬液を回収して薬液タンク20内に戻す構成を備える。処理槽2内の薬液を回収して薬液タンク20内に戻す構成については後述する。
排液口11は、処理槽2内の最も低い箇所に設けられた開口部である。排液口11は、排出管路21に接続されている。排出管路21は、排液口11と切替バルブ22とを連通している。切替バルブ22には、回収管路23および廃棄管路25が接続されている。切替バルブ22は、排出管路21を閉塞した状態、排出管路21と回収管路23とを連通した状態、または排出管路21と廃棄管路25とを連通した状態、に切り替え可能である。切替バルブ22は制御部5に接続されており、切替バルブ22の動作は制御部5によって制御される。
回収管路23は、薬液タンク20と切替バルブ22とを連通している。また、廃棄管路25は内視鏡リプロセッサ1から排出される液体を受け入れるための排液設備と切替バルブ22とを連通している。
切替バルブ22を閉状態とすれば、処理槽2内に液体を貯留することができる。また、処理槽2内に薬液が貯留されている時に、切替バルブ22を排出管路21と回収管路23とが連通した状態とすれば、薬液が処理槽2から薬液タンク20に回収される。また、切替バルブ22を排出管路21と廃棄管路25とが連通した状態とすれば、処理槽2内の液体が廃棄管路25を経由して排液設備に送出される。このように、排液口11、排出管路21および切替バルブ22は、処理槽から液体を排液する排液部73を構成する。なお、廃棄管路25には、処理槽からの液体の排液を促進するためのポンプが設けられていてもよい。
循環口13は、処理槽2の底面付近に設けられた開口部である。循環口13は、循環管路13aに連通している。循環管路13aは、内視鏡循環管路30および処理槽循環管路40の二つの管路に分岐している。
内視鏡循環管路30は、循環管路13aと後述するチャンネルブロック32とを連通している。内視鏡循環管路30には、循環ポンプ33が設けられている。循環ポンプ33は、稼働することにより内視鏡循環管路30内の流体をチャンネルブロック32に向かって移送する。
チャンネルブロック32には、前述の内視鏡循環管路30の他に、吸気管路34、アルコール管路38および送出管路31が接続されている。チャンネルブロック32は、送出管路31と、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38とを接続している。チャンネルブロック32は、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38のそれぞれから、チャンネルブロック32内へ向かう方向にのみ流体の流れを許容する逆止弁が設けられている。すなわち、チャンネルブロック32内から、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38に向かって流体が流れないようになっている。
吸気管路34は、一方の端部が大気に開放されており、他方の端部がチャンネルブロック32に接続されている。なお、図示しないが、吸気管路34の一方の端部には、通過する気体を濾過するフィルタが設けられている。エアポンプ35は、吸気管路34に設けられており、稼働することにより吸気管路34内の気体をチャンネルブロック32に向かって移送する。
アルコール管路38は、アルコールを貯留するアルコールタンク37とチャンネルブロック32とを連通している。アルコールタンク37内に貯留されるアルコールは、例えばエタノールが挙げられる。アルコール濃度については、適宜に選択することができる。アルコールポンプ39は、アルコール管路38に設けられており、稼働することによりアルコールタンク37内のアルコールをチャンネルブロック32に向かって移送する。
循環ポンプ33、エアポンプ35およびアルコールポンプ39は、制御部5に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。処理槽2内に液体が貯留されている場合に、循環ポンプ33の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび内視鏡循環管路30を経由して、送出管路31に送り込まれる。また、エアポンプ35の運転を開始すれば、空気が送出管路31に送り込まれる。また、アルコールポンプ39の運転を開始すれば、アルコールタンク37内のアルコールが送出管路31に送り込まれる。
送出管路31は、内視鏡接続管路31bおよびケース接続管路31cに分岐している。内視鏡接続管路31bは、内視鏡接続部16に接続されている。ケース接続管路31cは、付属品ケース17に接続されている。
また、送出管路31には、流路切替部31aが設けられている。流路切替部31aは、送出管路31と内視鏡接続管路31bとを常時接続するリリーフ弁であって、内視鏡接続管路31b内の圧力が所定の値を超えた場合に、送出管路31から流入する流体をケース接続管路31cに逃がす。すなわち、流路切替部31aは、内視鏡接続管路31b内の圧力を一定に保つ。
内視鏡接続部16は、内視鏡に設けられた口金に接続される。内視鏡接続部16は、口金に直接接続される形態であってもよいし、接続チューブを介して口金に接続される形態であってもよい。付属品ケース17は、内視鏡の図示しない付属品を収容するかご状の部材である。
チャンネルブロック32から送出管路31に送出された流体は、内視鏡接続部16を介して、内視鏡の口金に連通する管路内に導入される。なお、内視鏡接続部16と内視鏡とは、直接に接続されてもよいし、間に着脱可能なチューブを介して接続されてもよい。管路内に導入される流体の圧力が、リリーフ弁である流路切替部31aが作動する値を超えると、当該流体は、内視鏡の管路内の他に、ケース接続管路31cを経由して付属品ケース17内にも導入される。
処理槽循環管路40は、循環管路13aと循環ノズル14とを連通している。循環ノズル14は、処理槽2内に設けられた開口部である。処理槽循環管路40には、流液ポンプ41が設けられている。流液ポンプ41は制御部5に接続されており、流液ポンプ41の動作は制御部5によって制御される。
また、処理槽循環管路40の流液ポンプ41と循環ノズル14との間には、三方弁42が設けられている。三方弁42には、給水管路43が接続されている。三方弁42は、循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態、または循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態、に切り替え可能である。
給水管路43は、三方弁42と水供給源接続部46とを連通している。給水管路43には、給水管路43を開閉する水導入バルブ45および水を濾過する水フィルタ44が設けられている。水供給源接続部46は、例えばホース等を介して、水を送出する水道設備等の水供給源49に接続される。
三方弁42および水導入バルブ45は、制御部5に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。
処理槽2内に液体が貯留されている場合に、三方弁42を循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態として、流液ポンプ41の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび処理槽循環管路40を経由して、循環ノズル14から吐出される。
また、三方弁42を、循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態として、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が循環ノズル14から吐出される。循環ノズル14から吐出された水は、処理槽2内に導入され、処理槽2内に配置された内視鏡等をすすぐためのすすぎ水等として用いられる。
すなわち、循環ノズル14、給水管路43および水導入バルブ45は、処理槽2内にすすぎ水となる水を導入するすすぎ水導入部72を構成する。
洗浄液ノズル15は、洗浄液管路51を介して、洗浄液を貯留する洗浄液タンク50に連通する開口部である。洗浄液は、洗浄処理に用いられる。洗浄液管路51には、洗浄液ポンプ52が設けられている。洗浄液ポンプ52は制御部5に接続されており、洗浄液ポンプ52の動作は制御部5によって制御される。洗浄液ポンプ52を運転することにより、洗浄液タンク50内の洗浄液が、処理槽2内に移送される。
液温センサ64は、処理槽2内の液体の温度を測定する。液温センサ64は制御部5に電気的に接続されており、液温センサによる処理槽2内の液体の温度の測定結果は、制御部5に入力される。
ヒーター60は、動作することにより処理槽2を加温する熱を発する。ヒーター60は、処理槽2内の所定の高さである第1水位L1よりも低い位置における処理槽2の壁面を加温する位置に配置されている。本実施形態では一例として、ヒーター60は、動作することにより、処理槽2の底面を加温する。第1水位L1は、処理槽2に配置した内視鏡全体が液中に没する第2水位L2よりも低い。
ヒーター60は、切替部61に電気的に接続されており、ヒーター60の動作は切替部61によって制御される。ヒーター60は、切替部61によって制御されることにより、出力(発熱量)を変更可能である。ここで、ヒーター60の出力とは、ミリ秒オーダーでの瞬間的な期間中の出力ではなく、例えば数秒から数十秒程度の比較的長い期間中において平均された出力のことである。
ヒーター60の出力を変更する制御は、公知の技術であり、特定の制御方法に限定されるものではない。例えばヒーター60が交流電源により動作する形態のものである場合には、切替部61は位相制御または分周制御によりヒーター60に出力する電力を変化させてヒーター60の出力を変更する。また、切替部61は、所定の周期中のヒーター60に通電する期間が占める割合を変化させることによって、ヒーター60の出力を変更する形態であってもよい。
本実施形態では、切替部61は、ヒーター60の出力を、少なくとも第1出力P1および第1出力よりも高出力である第2出力P2の2段階に切替える。
切替部61は、制御部5に電気的に接続されており、切替部61およびヒーター60の動作は、制御部5によって制御される。なお、切替部61は制御部5に含まれていてもよい。
第1出力P1は、処理槽2内の液体の水位が第1水位L1未満である場合に、ヒーター60がいわゆる空焚き(空焼き)状態とならない温度で加熱する際の出力である。なお処理槽2内の液体の水位が第1水位L1未満である場合とは、処理槽2内に液体が存在しない場合も含まれる。また、ヒーター60の空焚き状態とは、動作中のヒーター60自身の温度が、予め定められた上限温度よりも高温になることを指す。
言い換えれば、第1水位L1とは、処理槽2内にこれ以上まで液体が貯留されていれば、ヒーター60を第1出力よりも高い出力で動作させたとしてもヒーター60が空焚き状態にならない水位である。
好ましくは、第1出力P1は、処理槽2内の液体の水位が第1水位L1未満である場合に、処理槽2の液体と接していない内壁面の温度が40℃未満となる出力である。
第2出力P2は、処理槽2内の液体の水位が第1水位L1以上である場合に、処理槽2内の液体を20℃以上まで昇温させる出力である。本実施形態では、第2出力P2は、ヒーター60の定格出力である。
水位センサ62は、処理槽2に配設されている。水位センサ62は、処理槽2内に導入された液体の水位が、所定の第1水位L1未満であるか、または第1水位L1以上であるかを検知する。
水位センサ62が処理槽2内に導入された液体の水位を検知するための構成は公知の技術であるため、詳細な説明は省略する。例えば、水位センサ62は、液体に浮くフロートの上下動に応じて開閉するスイッチの動作状態に基づいて、液面が第1水位L1に達しているか否かを検出する、いわゆるフロート式水位センサであってもよい。また例えば、水位センサ62は、離間して配設された複数の電極を備え、複数の電極が液体中に没しているか否かによって変化する複数の電極間の電気的な導通の有無に基づいて、液面が第1水位L1に達しているか否かを検出する、いわゆる電極式水位センサであってもよい。
水位センサ62は、制御部5に電気的に接続されており、水位センサ62による検知結果は制御部5に入力される。
次に、以上に説明した構成を有する内視鏡リプロセッサ1の制御部5による制御について図2および図3のフローチャートを参照して説明する。
図2は、内視鏡リプロセッサ1が再生処理を実行する際の制御部5による制御のフローチャートである。制御部5は、再生処理を開始する指示が操作部7を介して入力された場合に、図2に示す制御を開始する。
再生処理の実行時には、まずステップS10において、制御部5は、洗浄液ポンプ52および水導入バルブ45を制御し、洗浄液および水を処理槽2内に導入し、処理槽2内において洗浄液と水を所定の比率で混合する。
次に、ステップS20において、制御部5は、流液ポンプ41を運転して処理槽2内の洗浄液を循環ノズル14から吐出させる動作と、循環ポンプ33を運転して処理槽2内の洗浄液を内視鏡接続部16から吐出させる動作と、を実行する。このステップS20の制御により、処理槽2内に配置された内視鏡の周囲と管路内を洗浄液が流れる洗浄処理が行われる。
次に、ステップS30において、制御部5は、排液部73を制御し、処理槽2内の洗浄液を処理槽2内から排出する。
次に、ステップS40において、制御部5は、すすぎ水導入部72を制御し、所定量のすすぎ水を処理槽2内に導入する。
次に、ステップS50において、制御部5は、流液ポンプ41を運転して処理槽2内のすすぎ水を循環ノズル14から吐出させる動作と、循環ポンプ33を運転して処理槽2内のすすぎ水を内視鏡接続部16から吐出させる動作と、を実行する。このステップS50の制御により、処理槽2内に配置された内視鏡の周囲と管路内をすすぎ水が流れるすすぎ処理が行われる。
次に、ステップS60において、制御部5は、排液部73を制御し、処理槽2内のすすぎ水を処理槽2内から排出する。ステップS10からステップS60までの処理は、複数回繰り返されてもよい。最後のステップS60のすすぎ水排出工程が完了した後は、ステップS70の薬液導入工程に移行する。
次に、ステップS70において、制御部5は、薬液導入部71を制御し、所定量の薬液を処理槽2内に導入する。図3は、ステップS70の薬液導入工程の詳細を示すフローチャートである。
薬液導入工程の開始時点においては、処理槽2内は液体が貯留されていない状態である。薬液導入工程では、まずステップS310において、制御部5は、切替部61を制御し、第1出力でヒーター60の動作を開始する。
ステップS310においてヒーター60が動作することにより、空の状態である処理槽2の壁面が加温される。ここで、処理槽2内は空の状態であるが、ヒーター60の出力は第1出力であるため、ヒーター60は空焚き状態とはならない。
次に、ステップS320において、制御部5は、薬液導入部71の薬液ポンプ27の運転を開始する。ステップS320において薬液ポンプ27が動作することにより、薬液の処理槽2内への導入が開始される。
次に、ステップS330において、制御部5は、処理槽2内に貯留されている薬液の水位が第1水位以上となったことが水位センサ62によって検知されるまで待機する。ステップS330において待機している期間中は、ヒーター60は第1出力で動作している。処理槽2内の薬液の水位が第1水位L1以上となったことが水位センサ62によって検知された後に、ステップS340に移行する。
ステップS340において、制御部5は、切替部61を制御し、ヒーター60出力を第1出力よりも高出力である第2出力に切り替える。処理槽2内の薬液の水位が第1水位L1以上であれば、ヒーター60をより高出力である第2出力で動作させたとしても、ヒーター60は空焚き状態とはならない。
次に、ステップS350において、制御部5は、処理槽2内に貯留されている薬液の水位が第2水位L2に到達するまで待機する。処理槽2内に貯留されている薬液の水位が第2水位L2に到達した後に、ステップS360において、制御部5は、薬液導入部71の薬液ポンプ27の運転を停止する。制御部5による薬液の水位が第2水位L2に到達したか否かの判定は、処理槽2内に設けられた図示しない水位センサの検知結果に基づいて行われる形態であってもよいし、処理槽2内に導入された薬液の体積を流量計等によって測定した結果に基づいて行われる形態であってもよい。
次に、ステップS370において、制御部5は、液温センサ64による薬液の温度の検出結果に基づいて切替部61を制御し、薬液の温度が所定の目標温度以上に保たれるようにヒーター60を動作させる。所定の目標温度とは、薬液が十分な薬効を発揮する温度範囲のうちの最低温度として予め定められた温度である。所定の温度は、例えば20℃である。
以上で、ステップS70の薬液導入工程が完了し、図2のステップS80に移行する。
次に、ステップS80において、制御部5は、流液ポンプ41を運転して処理槽2内の薬液を循環ノズル14から吐出させる動作と、循環ポンプ33を運転して処理槽2内の薬液を内視鏡接続部16から吐出させる動作と、を実行する。このステップS80の制御により、処理槽2内に配置された内視鏡の周囲と管路内を薬液が流れる薬液処理が行われる。
次に、ステップS90において、制御部5は、排液部73を制御し、処理槽2内の薬液を回収管路23を経由して薬液タンク20内に回収する。
次に、ステップS100において、制御部5は、すすぎ水導入部72を制御し、所定量のすすぎ水を処理槽2内に導入する。
次に、ステップS110において、制御部5は、流液ポンプ41を運転して処理槽2内のすすぎ水を循環ノズル14から吐出させる動作と、循環ポンプ33を運転して処理槽2内のすすぎ水を内視鏡接続部16から吐出させる動作と、を実行する。このステップS50の制御により、処理槽2内に配置された内視鏡の周囲と管路内をすすぎ水が流れるすすぎ処理が行われる。
次に、ステップS120において、制御部5は、排液部73を制御し、処理槽2内のすすぎ水を処理槽2内から排出する。
以上で、処理槽2内に配置された内視鏡への再生処理が完了する。なお、ステップS60およびステップS120のすすぎ水排出処理の後に、内視鏡の管路内にアルコールおよび空気を送り込み、管路内の水分の除去を行う乾燥処理が行われてもよい。
ステップS10からステップS60までの処理は、複数回繰り返されてもよい。最後のステップS60のすすぎ水排出工程が完了した後は、ステップS70の薬液導入工程に移行する。
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の制御部5は、液体導入部70を制御して処理槽2内に液体を導入する際において、処理槽2内の液体の水位が第1水位L1未満である場合には、ヒーター60の出力が第1出力となるように切替部61を制御し、処理槽2内の液体の水位が第1水位L1未満である場合には、ヒーター60の出力が第1出力よりも高い出力である第2出力となるように切替部61を制御する。
よって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1において、処理槽2内への液体の導入を行う際には、ヒーター60によって処理槽2の壁面が加温される。このことにより、本実施形態によれば、処理槽2内に導入される液体の熱が処理槽2の壁面に移動することを抑制または防止し、液体を処理槽2内に導入する際における液体の温度低下を抑制または防止することができる。
より具体的に本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡に対して図2に示すフローチャートに従って再生処理を実行する場合において、水供給源49から供給されるすすぎ水を処理槽2内に導入するすすぎ処理工程を実行した後に、薬液を処理槽2内に導入する薬液処理工程を実行する。
内視鏡リプロセッサ1が使用される環境によっては、水供給源49から供給されるすすぎ水の温度が、薬液が十分な薬効を発揮する温度範囲のうちの最低温度を下回る場合がある。すすぎ水の温度が前記最低温度を下回っている場合には、すすぎ処理工程を実行した後の処理槽2の壁面の温度も前記最低温度を下回っている可能性が高い。
このような場合であっても、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1であれば、すすぎ処理工程の後に行われる薬液導入工程内において、薬液の処理槽2内への導入を開始する前からヒーター60によって処理槽2の壁面の加温を開始するため、処理槽2内に導入される薬液の熱が処理槽2の壁面に移動することを抑制または防止し、薬液の温度が前記最低温度を下回ってしまうことを防止することができる。
このように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1であれば、すすぎ処理工程の後に行われる薬液処理工程において、処理槽2内に導入された薬液の温度低下を防止することができるため、再生処理の実行中に薬液の温度上昇を待機する時間が発生してしまうことがない。
また、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1では、薬液導入工程において、処理槽2が空である場合および処理槽2内に貯留される薬液が少ない場合(水位が第1水位未満である場合)には、ヒーター60の出力を第1出力で動作させるため、ヒーター60が空焚き状態となることを防止することができる。
また、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1では、薬液導入工程において、処理槽2内に貯留される薬液が十分に多くなった場合(水位が第1水位以上である場合)には、ヒーター60の出力をより高出力である第2出力で動作させるため、例えばすすぎ水の温度が極端に低く第1出力では処理槽2の壁面の温度を前期最低温度にまで加温しきれなかった場合であっても、薬液の温度低下を抑制または防止することができる。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。図4は、本実施形態の内視鏡リプロセッサの構成を示す図である。図5は、本実施形態の内視鏡リプロセッサの制御部による薬液導入工程における制御を示すフローチャートである。
図4に示す本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2の底面の温度を測定する温度センサ63を備える点が、第1の実施形態と異なる。温度センサ63は、制御部5に電気的に接続されており、温度センサ63による測定結果は制御部5に入力される。
次に、以上に説明した構成を有する本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の制御部5による制御について説明する。
内視鏡リプロセッサ1が再生処理を実行する際の制御部5による制御は、図2に示した第1の実施形態と同様であり、制御部5は、再生処理を開始する指示が操作部7を介して入力された場合に、図2に示す制御を開始する。本実施形態においては、制御部5による薬液導入工程における制御が第1の実施形態と異なる。
本実施形態の薬液導入工程では、図5に示すように、まずステップS300において、制御部5は、温度センサ63による測定結果に基づいて、処理槽2の底面の温度が、所定の目標温度以上であるか否かを判定する。所定の目標温度とは、前述のように、薬液が十分な薬効を発揮する温度範囲のうちの最低温度として予め定められた温度である。
ステップS300において、制御部5は、処理槽2の底面の温度が所定の目標温度未満であると判定した場合には、ステップS310に移行する。この場合、ステップS310以降の制御は、図3を参照して説明した第1の実施形態と同様である。すなわち、制御部5は、処理槽2が空である場合および処理槽2内に貯留される薬液が少ない場合(水位が第1水位未満である場合)には、ヒーター60の出力を第1出力で動作させ、処理槽2内に貯留される薬液が十分に多くなった場合(水位が第1水位以上である場合)には、ヒーター60の出力をより高出力である第2出力で動作させる。
このことにより、第1の実施形態と同様に本実施形態の内視鏡リプロセッサ1において、薬液の処理槽2内への導入を開始する前からヒーター60によって処理槽2の壁面の加温を開始することにより、処理槽2内に導入される薬液の熱が処理槽2の壁面に移動することを抑制または防止し、薬液の温度が前記最低温度を下回ってしまうことを防止することができる。
一方、ステップS300において、制御部5は、処理槽2の底面の温度が所定の目標温度以上であると判定した場合には、ステップS380に移行する。ステップS380において、制御部5は、制御部5は、薬液導入部71の薬液ポンプ27の運転を開始する。ステップS320において薬液ポンプ27が動作することにより、薬液の処理槽2内への導入が開始される。そして、制御部5は、ステップS350に移行する。制御部5によるステップS350以降の制御は、図3を参照して説明した第1の実施形態と同様である。
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の制御部5は、処理槽2の底面の温度が所定の目標温度以上である場合には、処理槽2内に所定量の薬液が導入されるまでヒーター60の動作を停止するよう切替部61を制御する。
処理槽2内への薬液の導入を開始する前の時点において処理槽2の底面の温度が目標温度以上である場合には、処理槽2内に導入される薬液の温度が処理槽2の壁面の温度の影響によって目標温度以下に低下することは無い。本実施形態の内視鏡リプロセッサ1では、このような処理槽2の壁面の温度が十分に高い場合には、薬液の処理槽2内への導入を開始する前からヒーター60による処理槽2の壁面の加温を実行しないことによって、第1の実施形態に比して消費電力を抑制することができる。
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡リプロセッサもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1 内視鏡リプロセッサ、
1a 本体部、
2 処理槽、
3 蓋、
5 制御部、
6 電源部、
7 操作部、
8 表示部、
11 排液口、
12 薬液ノズル、
13 循環口、
13a 循環管路、
14 循環ノズル、
15 洗浄液ノズル、
16 内視鏡接続部、
17 付属品ケース、
18 薬液ボトル、
20 薬液タンク、
21 排出管路、
22 切替バルブ、
23 回収管路、
25 廃棄管路、
26 薬液管路、
27 薬液ポンプ、
30 内視鏡循環管路、
31 送出管路、
31a 流路切替部、
31b 内視鏡接続管路、
31c ケース接続管路、
32 チャンネルブロック、
33 循環ポンプ、
34 吸気管路、
35 エアポンプ、
37 アルコールタンク、
38 アルコール管路、
39 アルコールポンプ、
40 処理槽循環管路、
41 流液ポンプ、
42 三方弁、
43 給水管路、
45 水導入バルブ、
46 水供給源接続部、
49 水供給源、
50 洗浄液タンク、
51 洗浄液管路、
52 洗浄液ポンプ、
60 ヒーター、
61 切替部、
62 水位センサ、
63 温度センサ、
64 液温センサ、
70 液体導入部、
71 薬液導入部、
72 すすぎ水導入部、
73 排液部。

Claims (6)

  1. 内視鏡を配置する処理槽と、
    前記処理槽に液体を導入する液体導入部と、
    前記処理槽に導入された液体の水位が第1水位未満か、前記第1水位以上かを検知する水位センサと、
    前記処理槽を加温するヒーターと、
    前記ヒーターによる出力を第1出力、および前記第1出力よりも高出力である第2出力に切替える切替部と、
    前記水位センサおよび前記切替部に接続され、
    前記水位が前記第1水位未満の場合は、前記ヒーターが前記第1出力により前記処理槽を加温し、
    前記水位が前記第1水位以上の場合は、前記ヒーターが前記第2出力により前記処理槽を加温するように前記切替部を制御する制御部と、
    を含むことを特徴とする内視鏡リプロセッサ。
  2. 前記処理槽から液体を排液する排液部を含み、
    前記液体導入部は、
    前記処理槽にすすぎ水を導入するすすぎ水導入部と、
    前記処理槽に薬液を導入する薬液導入部と、を含み
    前記制御部は、
    前記処理槽から前記すすぎ水を排液し、次に前記処理槽に前記薬液を導入するよう前記すすぎ水導入部、前記排液部、および前記薬液導入部を駆動し、
    前記制御部は、
    前記すすぎ水の排液後から前記薬液の導入前までの間において、
    前記ヒーターが前記第1出力で前記処理槽を加温するように前記切替部を制御することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
  3. 前記薬液は、
    前記内視鏡を消毒する消毒液、または前記内視鏡を滅菌する滅菌液であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡リプロセッサ。
  4. 前記第1出力は、前記水位が前記第1水位未満の場合に、前記処理槽の前記液体と接していない内壁面の温度が40℃未満となる出力であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
  5. 前記第2出力は、前記水位が前記第1水位以上の場合に、前記処理槽内の前記液体を20℃以上まで昇温させる出力であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
  6. 前記処理槽の底面の温度を測定する温度センサを備え、
    前記制御部は、前記底面の温度が所定の温度以上である場合には、前記水位センサによる検知結果にかかわらず前記ヒーターの動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
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