JPWO2018038232A1 - 標的核酸の増幅産物の生産方法及びその利用 - Google Patents

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Abstract

新規な原理に基づく標的核酸の増幅産物の生産方法を提供する。標的核酸の増幅産物の生産方法を、第1のプライマー、第2のプライマー及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ、を用いて、前記標的核酸を含む可能性のある被験試料に対して核酸増幅反応を実施する増幅工程、を備えるようにする。増幅工程は、前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドを用いる工程とする。

Description

本明細書は、標的核酸の増幅産物の生産方法及びその利用等に関する。
標的核酸配列を増幅する方法の一つとして、PCR(Polymerase Chain Reaction)法が知られている。PCR法は、in vitroにおける核酸の増幅技術として現在最も一般的な方法である。PCR法は温度循環、すなわち、加熱−冷却のサイクルにより、プライマーと標的核酸の結合、プライマーの伸長、伸長したプライマーの標的核酸からの遊離及び新たなプライマーの標的核酸への結合を繰り返して指数的に標的核酸を増幅することができる。PCR法は、その指数的な増幅効果に基づく高い感度により優れた検出方法として定着し、また、遺伝子工学的手法を支える重要なツールとして幅広く応用されている。
核酸増幅方法としては、他にも、転写増幅システム(TAS)、リガーゼ連鎖反応(LCR:Ligase Chain Reaction)、ランダムプライミング増幅(RPA)、並びにQベータレプリカーゼ、制限エンドヌクレアーゼ及びランダムヘキサマーを用いる増幅法がある。これらのいずれの方法も、加熱−冷却による相補鎖の変性及び再結合を必要とするため、温度循環装置が必要である。
一方、標的核酸の増幅法のいくつかは、温度循環せずに実施される方法もある。その一つとしてNASBA法(NucIeic Acid Sequence-based Amplification/TMA法(Transcription Mediated Amplification)とも呼ばれる。)や、SDA法(Strand DispIacement Amplification)と呼ばれる方法が知られている。
また、LAMP法(Loop-mediated isothermal amplification)と呼ばれる温度循環を必要としない増幅法も知られている(特許文献1)。LAMP法は、標的核酸の一部に相補的なプライマーの5’側に、そのプライマー配列の3’下流の配列の一部に相同な配列のオリゴヌクレオチドを結合したプライマーを用いることを特徴とする。すなわち、該プライマーが伸長した場合、5’側に結合させた配列が伸長した配列とループを作る構造になっている。このような特徴を持った1対のプライマーを用いることで、ダンベル構造と呼ばれる5’末端、3’末端側共にループ構造を取る配列が生じる。3’側のループ構造の3’末端はそのループを利用して鎖置換活性を有するポリメラーゼにより伸長され新たに、3’側にループ構造を持つ配列を生じる。LAMP法は、こうした鎖置換活性を持つポリメラーゼを用いることで、温度循環無しにループ構造の3’末端からの伸長反応が折り重なり生じることで標的核酸配列の増幅を生じさせるというものである。
国際公開第2000/28082号
LAMP法は、鎖置換活性を有するポリメラーゼだけで増幅するので、他の方法に比べ大きなコストアップにはならないが、特殊な構造のプライマーを必要とするため、設計が難しく汎用性に問題がある。
本明細書は、新規な原理に基づく標的核酸の増幅産物の生産方法を提供する。より具体的には、温度循環を実質的に省略して標的核酸の増幅を達成できる方法を提供する。
本発明者らは、温度循環を省略するために、核酸増幅における温度循環の機能、なかでも、相補鎖間の遊離及び再結合に着目した。すなわち、本発明者らは、公知のアプローチとはまったく異なる角度から、プライマーが伸長してできた伸長産物のプライマー部分における相補鎖対合を緩めて未反応のプライマーが結合できる方法について検討した。その結果、標的核酸となる二本鎖DNAや、増幅工程におけるプライマー伸長鎖と鋳型鎖と二本鎖DNAなどの二本鎖DNA間の相補結合を緩めるためのオリゴヌクレオチドを用いることで、実質的な等温条件下であっても、新たにプライマーと鋳型鎖との結合を生じさせて標的核酸を増幅できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。本明細書は、かかる知見に基づき以下の手段を提供する。
(1)標的核酸の増幅産物の生産方法であって、
第1のプライマー、第2のプライマー及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ、を用いて、前記標的核酸を含む可能性のある被験試料に対して核酸増幅反応を実施する増幅工程、
を備え、
前記増幅工程は、前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドを用いる工程である、生産方法。
(2)前記2以上のオリゴヌクレオチドは、第1の鋳型鎖上において前記第1のプライマーがハイブリダイズする第1のハイブリダイズ領域及び第2の鋳型鎖上において前記第2のプライマーがハイブリダイズする第2のハイブリダイズ領域のそれぞれ近傍において、前記第1の鋳型鎖及び前記第2の鋳型鎖の少なくとも一方に対するハイブリダイゼーションを介して存在可能に構成されている、(1)に記載の生産方法。
(3)前記2以上のオリゴヌクレオチドは、前記第1のハイブリダイズ領域の近傍で前記第2の鋳型鎖にハイブリダイズする第3のプライマーと、前記第2のハイブリダイズ領域の近傍で前記第1の鋳型鎖にハイブリダイズする第4のプライマーと、を含む、(1)又は(2)に記載の生産方法。
(4)前記第3のプライマーは、前記第1のハイブリダイズ領域よりも前記標的核酸の内側で前記第2の鋳型鎖にハイブリダイズし、
前記第4のプライマーは、前記第2のハイブリダイズ領域よりも前記標的核酸の内側で前記第1の鋳型鎖にハイブリダイズする、(3)に記載の生産方法。
(5)前記2以上のオリゴヌクレオチドは、前記第1のプライマーの5’末端側に備えられ、核酸増幅反応に対して独立である第1のタグと、前記第2のプライマーの5’末端側に備えられ、核酸増幅反応に対して独立である第2のタグと、を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の生産方法。
(6)前記第1のプライマーは、前記第1のタグを、スペーサを介して備え、前記第2のプライマーは、前記第2のタグを、スペーサを介して備える、(5)に記載の生産方法。
(7)前記スペーサは、前記鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼによる核酸合成反応を抑制又は停止可能である、(6)に記載の生産方法。
(8)前記第1及び前記第2のプライマーの少なくとも一方が、標識要素を備える、(1)〜(7)のいずれかに記載の生産方法。
(9)前記標識要素は、標識物質又は標識物質結合物質である、(8)に記載の生産方法。
(10)前記増幅工程を、実質的な温度変化を伴うことなく実施する、(1)〜(9)のいずれかに記載の生産方法。
(11)標的核酸の検出方法であって、
第1のプライマー、第2のプライマー及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ、を用いて、前記標的核酸を含む可能性のある被験試料に対して核酸増幅反応を実施する増幅工程と、
前記増幅工程で得られる増幅産物の少なくとも一部を介して前記標的核酸を検出する工程と、
を備え、
前記増幅工程は、前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドを用いる工程である、検出方法。
(12)前記検出工程は、前記増幅産物の前記少なくとも一部を介してクロマトグラフィーによって分離することを含む、(11)に記載の検出方法。
(13)前記検出工程は、前記増幅産物の一部にハイブリダイズするインナープライマーを用いて前記標的核酸を標識要素を付与することを含む、(11)又は(12)に記載の検出方法。
(14)標的核酸を増幅するためのキットであって、
第1のプライマーと
第2のプライマーと、
前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドと、
を備える、キット。
(15)前記2以上のオリゴヌクレオチドは、第1の鋳型鎖上において前記第1のプライマーがハイブリダイズする第1のハイブリダイズ領域及び第2の鋳型鎖上において前記第2のプライマーがハイブリダイズする第2のハイブリダイズ領域のそれぞれ近傍において、前記第1の鋳型鎖及び前記第2の鋳型鎖の少なくとも一方に対するハイブリダイゼーションを介して存在可能に構成されている、(14)に記載のキット。
(16)標的核酸を検出するためのキットであって、
第1のプライマーと
第2のプライマーと、
前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドと、
を備える、キット。
本明細書に開示される標的核酸の増幅産物の生産方法における2以上のオリゴヌクレオチドの一態様を示す図である。 図1に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の一部を示す図である。 図1に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の他の一部を示す図である。 図1に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の他の一部を示す図である。 図1に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の他の一部を示す図である。 図1に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の他の一部を示す図である。 図1に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の他の一部を示す図である。 本明細書に開示される標的核酸の増幅産物の生産方法における2以上のオリゴヌクレオチドの他の一態様を示す図である。 図4に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の一部を示す図である。 図4に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の他の一部を示す図である。 図4に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の他の一部を示す図である。 図4に示す2以上のオリゴヌクレオチドによる増幅工程における作用の他の一部を示す図である。 実施例に用いる各種プライマーを示す図である。 実施例で用いる核酸クロマトグラフィー用ストリップを示す図である。 図8に示すストリップを用いた核酸クロマトグラフィーの実施状態を示す図である。 実施例1の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例3の結果を示す図である。 実施例3の他の結果を示す図である。
本明細書に開示される標的核酸の増幅産物の生産方法(以下、本生産方法ともいう。)は、本生産方法における「標的核酸」、すなわち、被験試料中の本来的に存在する標的核酸としての「二本鎖」、増幅工程で生成される標的核酸の増幅産物としての第1のプライマーがハイブリダイズする第1の鋳型鎖と第1のプライマーの伸長鎖である第1の伸長鎖との「二本鎖」及び第2のプライマーがハイブリダイズする第2の鋳型鎖と第2のプライマーの伸長鎖である第2の伸長鎖との「二本鎖」の解離を促進する2以上のオリゴヌクレオチドを用いる。こうしたオリゴヌクレオチドを用いることで、これら「二本鎖」を熱融解しなくても、「二本鎖」の解離が促進されて、新たな第1のプライマー及び第2のプライマーがそれぞれの鋳型鎖に結合することが促進される。このため、実質的に温度変化を伴うことなく又は実質的な等温条件で、プライマーによる標的核酸の増幅が可能となっている。
本明細書において、第1のプライマーが、標的核酸の第1の鋳型鎖上においてハイブリダイズする領域を第1のハイブリダイズ領域とし、第2のプライマーが、標的核酸の第2の鋳型鎖上においてハイブリダイズする領域を第2のハイブリダイズ領域というものとする。
2以上のオリゴヌクレオチドは、第1のハイブリダイズ領域及び第2のハイブリダイズ領域のそれぞれの近傍に、第1の鋳型鎖及び第2の鋳型鎖の少なくとも一方に対するハイブリダイゼーションを介して存在可能に構成されることができる。こうすることで、効果的に、新たな第1のプライマー及び第2のプライマーをそれぞれの鋳型鎖にハイブリダイズさせることができる。
本明細書において、「標的核酸」は、標的とする核酸配列を含む核酸を表わす。標的核酸は、一本鎖又は二本鎖のいずれであってもよく、しばしばDNA、RNA、DNA若しくはRNAの誘導体、又はその組み合わせである。「標的核酸配列」、「標的配列」又は「標的領域」は、一本鎖核酸の配列の全部又は一部を含む特定の配列を意味する。
また、本明細書において、「標的核酸」とは、検出しようとする標的配列を含む核酸を意味している。標的核酸の由来は、特に限定しないで、各種生物材料(個体またはその組織、器官等の個体の一部のほか、排せつ物、体液等)ほか、人工的な核酸を含む人工材料が挙げられる。
本検出方法には、標的核酸を含む可能性のある生物材料又は人工材料自体又は必要に応じてこうした各種材料から核酸以外の構成成分の一部又は全部が除去されて核酸抽出試料を、試料として供給することができる。
本明細書において「オリゴヌクレオチド」とは、2以上のヌクレオシド又はその類似体が結合したポリマーをいう。ヌクレオシド及びその類似体の糖基は、リボース、デオキシリボース又はその類似体であってもよく、ヌクしオシド又はその類似体の塩基は、公知の天然塩基又は天然塩基と対合可能な塩基類似体であってもよい。オリゴヌクレオチドは、また、一本鎖であってもよいし二本鎖であってもよいが、特に言及しない限り概して一本鎖の形態をいう。オリゴヌクレオチドは、典型的には、DNA、RNA、又はこれらの類似体である。
「オリゴヌクレオチド」におけるヌクレオシド又はその類似体の重合数は特に限定するものではない。配列依存的な核酸合成反応を触媒する公知のポリメラーゼが認識するプライマーの鎖長が、最低5塩基前後であることから、アニールする部分の鎖長はそれ以上である必要がある。加えて、塩基配列としての特異性を期待するためには、確率的に10塩基以上の長さを利用するのが望ましい。一方、あまりにも長い塩基配列は化学合成によって調製することが困難となる。したがって、例えば、オリゴヌクレオチドの鎖長は、例えば、数個以上200塩基以下であり、また例えば、10個以上100個以下程度であり、また例えば、10個以上50個以下程度、また例えば、10個以上30個以下程度である。なお、ここで例示した鎖長はあくまでも相補鎖とアニールする部分の鎖長である。
以下、本明細書に開示される標的核酸の生産方法、検出方法及びキット等について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ここで図1及び図2は、本検出方法の一例の概要を示す図である。
(標的核酸の増幅産物の生産方法)
本生産方法は、第1のプライマー、第2のプライマー及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ、を用いて、前記標的核酸を含む可能性のある被験試料に対して核酸増幅反応を実施する増幅工程を備えることができる。
本生産方法は、標的核酸並びに核酸増幅に一般的に用いる第1のプライマー及び第2のプライマーから生じる伸長鎖とそれらの各鋳型鎖との二本鎖を、温度変化を実質的に伴うことなく又は実質的な等温条件下で実施することを含む増幅工程を意図している。以下、かかる増幅工程の要素について説明する。
(第1のプライマー及び第2のプライマー)
本生産方法で用いる第1のプライマー及び第2のプライマーは、基本的に、従来のPCR法と同様の設計に基づくフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用できる。
第1及び第2のプライマーは、それぞれ標的核酸を増幅することができるようそれぞれの鋳型である第1の鋳型鎖及び第2の鋳型鎖にハイブリダイズするための識別領域を構成する識別配列を備えている。識別配列は、標的核酸の塩基配列やプライマー自体の特異性を公知の手法により適宜考慮して決定することができる。また、識別配列の長さは、特に限定するものではないが、概して、10塩基長〜30塩基長程度の長さとすることができ、例えば、15塩基長から25塩基長程度とすることができる。
第1及び第2のプライマーの識別領域が第1及び第2の鋳型鎖の第1及び第2のハイブリダイズ領域にそれぞれハイブリダイズする。
第1及び第2のプライマーは、必要に応じて、その5’末端側にタグを備えることができる。タグは、核酸増幅反応に関与するタグ及び当該反応に関与しない当該反応とは独立するタグとの双方を含む。本明細書において、核酸増幅反応に関与するタグとは、核酸増幅反応によって当該タグが鋳型として機能して相補鎖が伸長可能なタグであり、核酸増幅反応とは独立するタグとは、核酸増幅反応において、当該タグが鋳型となることなく一本鎖のまま維持されるタグである。
例えば、第1及び第2のプライマーによって生成する伸長鎖を、別のプライマーで増幅させるためのプライマー用タグが挙げられる。かかるタグは、核酸増幅反応に関与するタグである。プライマー用タグは、概して、ユニバーサルプライマーと称される汎用されるプライマーの識別配列にハイブリダイズ可能に設計される。
また、例えば、増幅産物を捕捉し標的核酸を検出するための検出用タグが挙げられる。かかるタグは、核酸増幅反応に関与するタグとしても、核酸増幅反応とは独立するタグとしても設計できる。検出用タグは、増幅産物を検出するためのオリゴヌクレオチドである検出用プローブとハイブリダイズ可能に設計されている。
さらに、例えば、増幅産物を検出するために用いる標識用タグが挙げられる。かかるタグは、核酸増幅反応に関与するタグとしても、核酸増幅反応とは独立するタグとしても設計できる。標識用タグは、概して、標識物質や標識物質結合物質などの各種の標識要素を保持するオリゴヌクレオチドである標識用プローブとハイブリダイズ可能に設計されている。なお、標識要素については後段で説明する。
こうした各種のタグの塩基長は特に限定するものではないが、15塩基以上50塩基以下であることが好ましい。この範囲であると、ハイブリダイゼーションの特異性と効率とをそれぞれ確保できるからである。タグの塩基長は、より好ましくは、20塩基以上50塩基以下であり、さらに好ましくは20塩基長25塩基以下程度である。
タグの配列のための配列、特に、核酸増幅反応に独立したタグの塩基配列としては、例えば、配列番号1〜配列番号100に記載の塩基配列又はこの塩基配列に相補的な塩基配列を用いることができる。これらの塩基配列は全て同一塩基長(23塩基長)である。これらの塩基配列は、正規直交化配列ともいい、たとえば乱数から得られた所定塩基長のDNA配列に対して連続一致長、Nearest-Neighbor法による融解温度予測、ハミング距離、二次構造予測の計算を行うことにより設計される(H.Yoshida and A.Suyama,“Solution to 3-SAT by breadth first search”,DIMACS Vl.54, 9-20(2000))。
第1及び第2のプローブにおけるタグは、3’側にあるハイブリダイズ領域に対して適当なスペーサを介して備えていてもよい。また、核酸増幅反応とは独立するタグは、ハイブリダイズ領域に対して、核酸ポリメラーゼ反応を抑制又は停止可能な「抑止要素」を介して備えることができる。かかる「抑止要素」については、例えば、国際公開第2013/039228号、国際公開第2012/070618号、国際公開第2006/095550号等に、開示されており、当業者であれば、適宜好適な抑止要素を選択してプライマーを取得することができる。
第1の及び第2のプライマーは、さらに、本明細書において規定する2以上のオリゴヌクレオチドの少なくとも一方を備えることができる。かかる2以上のオリゴヌクレオチドについては後段で詳述する。
(核酸ポリメラーゼ)
本生産方法で使用する、核酸ポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ等が挙げられる。本生産方法で用いるDNAポリメラーゼは、鎖置換活性を有していてもよい。鎖置換活性とは、鋳型鎖と相補的な核酸鎖を合成していく過程で、伸長方向に二本鎖領域があっても、その鎖を解離しつつ、相補鎖の合成を継続する活性をいう。核酸ポリメラーゼが鎖置換活性を有することで、新たに鋳型鎖にハイブリダイズした第1のプライマー及び第2のプライマーは、第1の伸長鎖と第2の伸長鎖とがそれぞれの鋳型鎖と部分的にハイブリダイズした状態であっても容易に新たな伸長鎖を合成することができる。
本生産方法に用いるDNAポリメラーゼは、公知の種々のDNAポリメラーゼ(鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含む)から、本生産方法に好適なDNAポリメラーゼを、本生産方法において被験ポリメラーゼとして用いてスクリーニングを行ってその増幅量等を指標として選択することができる。また、本生産方法に用いるDNAポリメラーゼは、公知のDNAポリメラーゼの変異体であってもよい。本明細書において「変異体」とは、酵素の必要とする触媒活性をもたらす構造のみを取り出したもの、あるいはアミノ酸の変異等によって触媒活性、安定性、あるいは耐熱性を改変したもの等を示すことができる。DNAポリメラーゼの変異体は当業者であれば、公知の遺伝子工学的手法によりDNAポリメラーゼのある種の領域に変異を導入したタンパク質を、変異の目的に応じた手法でスクリーニングすることで適宜取得することができる。
また、本生産方法に用いるDNAポリメラーゼは、DNAを3’側から分解する3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有していてもよいが、増幅効率を考慮すると欠失していてもよい。さらに、本生産方法における増幅に問題がない範囲で、5’側からDNAを分解する5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有していてもよい。
さらに、本生産方法に用いるDNAポリメラーゼは、耐熱性を有していることが好ましい。本明細書において、DNAポリメラーゼに関して耐熱性とは、反応至適温度が55℃以上80℃以下、より好ましくは60℃以上75℃以下であることをいう。なお、反応至適温度は、商業的に入手可能なDNAポリメラーゼに関しては、活性単位として定義された活性(又はその測定方法)に基づくことができる。また、耐熱性とは、5分間加熱したとき、その後のDNAポリメラーゼ活性が実質的に消失する温度が80℃以上であることで規定してもよい。
DNAポリメラーゼが耐熱性を有していると、プライマーの設計等がDNAポリマーの熱変性温度に拘束されにくいという利点のほか、プライマーと鋳型鎖との最初のハイブリダイゼーション等など、加熱変性が必要な場合もあるからである。
例えば、本生産方法に好適なDNAポリメラーゼとしては、Bst DNA ポリメラーゼ、Bca(exo-)DNA ポリメラーゼ、Csa DNA ポリメラーゼ、96-7 DNA ポリメラーゼ、DNA ポリメラーゼIのクレノウ・フラグメント、Vent DNA ポリメラーゼ、Vent(Exo-)DNA ポリメラーゼ(Vent DNA ポリメラーゼから3’−5’方向のエキソヌクレアーゼ活性を除いたもの)、DeepVent DNA ポリメラーゼ、DeepVent(Exo-)DNAポリメラーゼ(DeepVent DNA ポリメラーゼから3’−5’方向のエキソヌクレアーゼ活性を除いたもの)、Φ29ファージDNA ポリメラーゼ、MS-2ファージDNA ポリメラーゼ、Z-Taq DNA ポリメラーゼ(宝酒造)、KOD DNA ポリメラーゼ(東洋紡績)等が挙げられる。
これらの酵素の中でもBst DNA ポリメラーゼやBca(exo-)DNA ポリメラーゼ及びVent(Exo-)DNAポリメラーゼを好ましく用いることができる。これらの酵素は、適度な耐熱性を持ち、DNAポリメラーゼ活性も高い。
DNAポリメラーゼによる鎖置換を伴う相補鎖(伸長鎖)の合成反応は、1本鎖結合タンパク質(single strand binding protein)の添加によって促進されることが知られている(Paul M.Lizardiet al, Nature Genetics 19, 225-232, July,1998)。この作用を本生産方法に適用して、1本鎖結合タンパク質を添加することによって相補鎖合成の促進効果を期待することができる。たとえばVent(Exo-)DNAポリメラーゼに対しては、1本鎖結合タンパク質としてT4 gene 32が有効である。
(標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチド)
本生産方法では、その増幅工程で、標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドを用いる。なお、2以上のオリゴヌクレオチドに関して、標的核酸とは、被験試料中に本来的に存在している標的核酸のほか、増幅工程において生じる第1の鋳型鎖と第1のプライマーの伸長鎖である第1の伸長鎖との二本鎖及び第2の鋳型鎖と第2のプライマーの伸長鎖である第2の伸長鎖との二本鎖と同義である。したがって、標的核酸の解離を促進するとは、標的核酸のほか、伸長鎖と鋳型鎖との解離を促進することを含んでいる。また、本明細書において、標的核酸の解離を促進するとは、標的核酸の二本鎖の解離を少なくとも部分的に惹起し又は促進することを意味している。
このような2以上のオリゴヌクレオチドを用いることで、温度変化を実質的に伴うことなく又は実質的な等温条件下で、標的核酸の二本鎖の解離を生じさせて又は促進して、新たな第1のプライマー及び第2のプライマーを各鋳型鎖等にハイブリダイズさせることができる。以下、2以上のオリゴヌクレオチドを、解離用オリゴヌクレオチドと称して説明する。
解離用オリゴヌクレオチドは、第1のプライマーが第1の鋳型鎖にハイブリダイズするのを促進するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドと、第2のプライマーが第2の鋳型鎖にハイブリダイズするのを促進するための少なくとも一つのオリゴヌクレオチドと、を含む。
本生産方法では、解離用オリゴヌクレオチドを、第1の及び第2のプライマーがハイブリダイズする鋳型鎖上のハイブリダイズ領域の近傍に介在させるようにすることが好ましい。こうすることで、これらハイブリダイズ領域における第1及び第2の伸長鎖とそれぞれの鋳型鎖との対合安定性を低下させることができる。この結果、第1及び第2の伸長鎖とそれぞれのハイブリダイズ領域との二本鎖部分の解離及び一本鎖化を促進して、新たな第1及び第2のプライマーを効果的に鋳型鎖にハイブリダイズさせることができる。
解離用オリゴヌクレオチドは、標的核酸の第1のハイブリダイズ領域及び第2のハイブリダイズ領域のそれぞれ近傍において、第1の鋳型鎖及び第2の鋳型鎖の少なくとも一方に対するハイブリダイゼーションを介して存在可能に構成されていることが好ましい。こうすることで、確実に、解離用オリゴヌクレオチドを第1及び第2のハイブリダイズ領域近傍に存在させることができ、ハイブリダイズ領域近傍における標的核酸の二本鎖解離及び第1及び第2のプライマーの各鋳型鎖へのハイブリダイズを促進できる。
解離用オリゴヌクレオチドは、各種態様を採ることができる。本生産方法においては、これらの各種態様を適宜組み合わせて用いることができる。以下、解離用オリゴヌクレオチドの作用について本生産方法における増幅工程を参照しつつ説明する。なお、増幅条件等については後段で説明する。
(解離用オリゴヌクレオチドの第1の態様)
解離用オリゴヌクレオチドは、例えば、プライマーとすることができる。図1には、第1のプライマー10及び第2のプライマー20と、これらに対して用いる解離用オリゴヌクレオチドとしての第3のプライマー30及び第4のプライマー40を示す。
図1において、第3のプライマー30は、第1の鋳型鎖100における第1のハイブリダイズ領域H1の近傍、すなわち、第1のハイブリダイズ領域H1よりも標的核酸Tの内側、すなわち、第1の鋳型鎖100の5’末端側で、第2の鋳型鎖200にハイブリダイズ可能に構成されている。第3のプライマー30は、第1のハイブリダイズ領域H1の近傍で、第1のプライマー10とは異なる伸長方向で伸長鎖を形成可能に構成されている。すなわち、第3のプライマー30は、それ自身が第2の鋳型鎖200又は第1の伸長鎖12にハイブリダイズすることで、第1のハイブリダイズ領域H1近傍に存在するようになっている。
また、第4のプライマー40は、第1の鋳型鎖200における第2のハイブリダイズ領域H2の近傍、すなわち、第2のハイブリダイズ領域H1よりも標的核酸Tの内側、すなわち、第2の鋳型鎖200の5’末端側で、第1の鋳型鎖100にハイブリダイズ可能に構成されている。第4のプライマー40は、第2のハイブリダイズ領域H2の近傍で、第2のプライマー20とは異なる伸長方向で伸長鎖を形成可能に構成されている。すなわち、第4のプライマー40は、それ自身が第1の鋳型鎖100又は第2の伸長鎖22にハイブリダイズすることで、第1のハイブリダイズ領域H2近傍に存在するようになっている。
以下、第3及び第4のプライマー30、40の作用について説明するが、以下の増幅工程はこうした態様の解離用オリゴヌクレオチドの作用についての推論であって、本明細書の開示を拘束するものではない。
図2に示すように、第1及び第2のプライマー10、20は、鋳型鎖100、200からなる二本鎖標的核酸に対してそれぞれハイブリダイズして、第1の伸長鎖12及び第2の伸長鎖22を合成する。その結果、第1及び第2のプライマー10、20から、それぞれ二本鎖A2、A1が新生される。
図3(a)に示すように、第3のプライマー30は、第1の鋳型鎖100における第1のハイブリダイズ領域H1の近傍、すなわち、第1のハイブリダイズ領域H1よりも新生二本鎖A2の内側、すなわち、第1の鋳型鎖100の5’末端側で、第1の伸長鎖12にハイブリダイズする。換言すると、第3のプライマー30は、第1の伸長鎖12における第1のプライマー10由来部分よりも3’側にハイブリダイズする。このため、第3のプライマー30は、第1の伸長鎖12を鋳型として3’方向(第1のプライマー10の伸長方向とは逆方向)に伸長可能である。こうした第3のプライマー30のハイブリダイズにより、新生二本鎖A2のハイブリダイズ領域H1付近の対合は不安定となり、その解離が促進される。
また、第4のプライマー40は、第1の鋳型鎖200における第2のハイブリダイズ領域H2の近傍、すなわち、第2のハイブリダイズ領域H2よりも新生二本鎖A1の内側、すなわち、第2の鋳型鎖200の5’末端側で、第2の伸長鎖22にハイブリダイズする。換言すると、第4のプライマー40は、第2の伸長鎖22における第2のプライマー20由来部分よりも3’側にハイブリダイズする。このため、第4のプライマー40は、第2の伸長鎖22を鋳型として3’方向(第2のプライマー20の伸長方向とは逆方向)に伸長可能である。こうした第4のプライマー40のハイブリダイズにより、新生二本鎖A1のハイブリダイズ領域H2付近の対応は不安定となり、その解離は促進される。
図3(b)に示すように、かかる第3及び第4のプライマー30、40は、それぞれ、第1及び第2のプライマー10、20の伸長方向とは逆方向に第3の伸長鎖32及び第4の伸長鎖42を形成する。これにより、新生二本鎖A2、A1における第1及び第2のハイブリダイズ領域H1、H2の近傍における解離を一層確実に促進される。
この結果、図3(c)に示すように、新たに第1及び第2のプライマー10、20が、鋳型鎖100、200にハイブリダイズする。そして、図3(d)に示すように、新たに鋳型鎖100、200にハイブリダイズした第1及び第2のプライマー10、20は、それぞれ新たな伸長鎖12’、22’を形成して、二本鎖A4、A3を新生する。また、第3及び第4のプライマー30、40又はその伸長鎖32、42がハイブリダイズした当初の伸長鎖12、22を鋳型として第2及び第1のプライマー20、10がハイブリダイズして新たな伸長鎖22’’、12’’も合成される。
この結果、図3(e)に示すように、新たに二本鎖A5、A6が新生し、併せて4つの二本鎖A3、A4、A5、A6が合成される。以下、第1及び第2のプライマー10、20が、新生二本鎖のハイブリダイズ領域H1、H2にハイブリダイズすることで、標的核酸は増幅される。
以上説明したように、第1の態様によれば、第1及び第2のハイブリダイズ領域H1、H2の近傍に、オリゴヌクレオチド断片としての第3及び第4のプライマー30、40を介在させて、標的核酸Tや増幅工程において生じうる新生二本鎖の対合を、ハイブリダイズ領域H1、H2近傍で阻害し不安定化し、解離を促進することができる。また、これらのプライマー30、40は、前記対合をより阻害する効果の高い伸長鎖32、42を生成することができる。以上のように、こうした第3及び第4のプライマー30、40により、新生二本鎖における伸長鎖12、22と鋳型鎖100、200との解離を促進することができ、温度変化を実質的に伴うことなく又は実質的な等温条件下で標的核酸を増幅することができる。
なお、図2〜図3においては、第1及び第2のプライマー10、20が鋳型100、200にハイブリダイズし、その後、第3及び第4のプライマー30、40がそれぞれの鋳型である伸長鎖12、22にハイブリダイズするように記載したが、これらのプライマーのハイブリダイズ態様は特に限定するものではないが。これらのプライマーの各鋳型鎖に対するハイブリダイズは同時進行的にあるいは相前後して生じると考えられる。すなわち、第1及び第2のプライマー10、20が鋳型鎖100、200にハイブリダイズするのに先行して又は同時的に、第3及び第4のプライマー30、40が、鋳型鎖200、100や伸長鎖12、22に対してハイブリダイズするなど、様々な態様でハイブリダイズが生じると考えられるが、いずれにしても、第1及び第2のプライマー10、20の鋳型鎖100、200や第2の伸長鎖22、第1の伸長鎖12へのハイブリダイズは促進される。
なお、第3のプライマー30の第2の鋳型鎖200又は第1の伸長鎖12に対してハイブリダイズするための識別配列は、標的核酸配列及び他のプライマーとの関係で適宜設定できるが、既に説明した第1及び第2のプライマーにおけるのと同様の態様で特異性の高い配列及び長さを設定することができる。第4のプライマー40の第1の鋳型鎖100又は第2の伸長鎖22に対する識別配列についても同様である。また、第3のプライマー30は、ハイブリダイズ領域H1よりも標的核酸Tの内側において鋳型鎖200又は伸長鎖12にハイブリダイズ可能であれば、ハイブリダイズ領域H1と一部重複していてもよいが、増幅効率の観点からは、好ましくはハイブリダイズ領域H1とは完全に重複しないで鋳型鎖200又は伸長鎖12にハイブリダイズするように設計される。なお、ハイブリダイズ領域H1の5’末端から、どの程度離間して第3のプライマー30のハイブリダイズ領域を設定するかは、特に限定するものではないが、例えば、ハイブリダイズ領域H1の5’末端から3塩基以上20塩基以下離間して第3のプライマー30のハイブリダイズ領域の5’末端が来るようにすることができる。より好ましくは5塩基以上15塩基以下、さらに好ましくは5塩基以上10塩基以下程度離間する。
また、第4のプライマー40についても、第3のプライマー30と同様にしてハイブリダイズ領域H2に対して各種態様を採ることができる。
(解離用オリゴヌクレオチドの第2の態様)
解離用オリゴヌクレオチドは、第1のプライマー及び/又は第2のプライマーの一部に備えるタグとすることもできる。図4には、第1のプライマー1010及び第2のプライマー1020を用いて、それぞれが標的核酸Tの鋳型鎖200、100をそれぞれ増幅する形態を示す。
図4に示すように、第1のプライマー1010は、解離用オリゴヌクレオチドとして第1のタグ1030を有し、第2のプライマー1020は、解離用オリゴヌクレオチドとして第2のタグ1040を有している。第1及び第2のタグ1030、1040は、第1及び第2のプライマー1010、1030の各ハイブリダイズ領域H1、H2の5’末端側に抑止要素を介して備えられる核酸増幅反応とは独立した天然核酸(天然DNA)からなるタグである。
第1及び第2のタグ1030、1040は、第1及び第2のプライマー1010、1020が、鋳型鎖100、200又は伸長鎖22、12にハイブリダイズすることで、それぞれ、第1及び第2のハイブリダイズ領域H1、H2の近傍に存在することができるようになっている。
以下、第1及び第2のタグ1030、1040の作用について説明するが、以下の増幅工程はこうした態様の解離用オリゴヌクレオチドの作用についての推論であって、本明細書の開示を拘束するものではない。
図5に示すように、第1及び第2のプライマー1010、1020は、鋳型鎖100、200からなる二本鎖の標的核酸Tに対してそれぞれハイブリダイズする。この際、第1及び第2のタグ1030、1040は、鋳型鎖100、200を、第1及び第2のハイブリダイズ領域H1、H2の近傍でこれらの解離を促進するように作用する。
そして、第1及び第2のプライマー1010、1020は、第1及び第2の伸長鎖1012、1022を合成し、2つの二本鎖A1、A2が新生される。新生二本鎖A1の鋳型鎖200の3’末端、すなわち、ハイブリダイズ領域H2近傍(その3’末端側)には、第2のタグ1040が配置されている。また、新生二本鎖A2の鋳型鎖100の3’末端、すなわち、ハイブリダイズ領域H1の近傍(その3’末端側)には、第1のタグ1030が配置されている。こうしたタブ1040、1030の存在により、新生二本鎖A1、A2の第2及び第1のハイブリダイズ領域H2、H1近傍(より具体的には、その3’末端側)で、第1及び第2の伸長鎖1012、1022とその鋳型鎖100、200との対合が不安定化されその解離が促進される。
その結果、図6(a)に示すように、新たに第1のプライマー1010は、新生二本鎖A2の第1のハイブリダイズ領域H1にハイブリダイズすることができる。また、第2のプライマー1020は、新生二本鎖A1の第2のハイブリダイズ領域H2にハイブリダイズすることができる。これにより、図6(b)に示すように、新たにハイブリダイズした第1及び第2のプライマー1010、1020は、それぞれ新たな伸長鎖1012’、1022’を形成して、二本鎖A4、A3を新生する。
また、図6(b)に示すように、第1及び第2のプライマー1010、1020が、先に合成された伸長鎖1022、1012上のハイブリダイズ領域H1、H2にそれぞれハイブリダイズして、新たな伸長鎖1012’’、1022’’も合成される。この結果、図6(c)に示すように、新たに二本鎖A5、A6が新生し、併せて4つの二本鎖A3、A4、A5、A6が合成される。以下、第1及び第2のプライマー1010、1020は、新生二本鎖のハイブリダイズ領域H1、H2にハイブリダイズすることで、標的核酸は増幅される。
以上説明したように、第2の態様によれば、第1及び第2のハイブリダイズ領域H1、H2の近傍に、第1及び第2のプライマー1010、1020に連結されるオリゴヌクレオチドである第1及び第2のタグ1030、1040をそれぞれ存在させて、標的核酸Tや増幅工程において生じうる新生二本鎖の対合を、ハイブリダイズ領域H1、H2でよく阻害し不安定化し、解離を促進することができる。これらのタグ1030、1040は、それ自体は標的核酸Tや新生二本鎖にハイブリダイズしないため、前記対合を阻害する効果がより高いと考えられる。以上のように、こうした第3及び第4のタグ1030、1040により、新生二本鎖における伸長鎖12、22と鋳型鎖100、200との解離を促進することができ、温度変化を実質的に伴うことなく又は実質的な等温条件下で標的核酸を増幅することができる。
なお、図5〜図6においては、第1及び第2のプライマー1010、1020が新生二本鎖A2、A1の鋳型鎖100、200にそれぞれハイブリダイズした後、プライマー1010、1020が新生二本鎖A1、A2の新生鋳型鎖1022、1012にハイブリダイズするように記載したが、これらのハイブリダイズは同時進行的にあるいは順不問で生じると考えられ、各プライマー1010、1020の相互作用により、実質的な温度変化を伴うことなく核酸増幅反応が進行するものと考えられる。
第1及び第2のタグ1030、1040は、実質的な等温条件下で核酸増幅可能な長さに設定される。特に限定するものではないが、例えば、こうしたタグの長さは、数〜25塩基長以下程度とすることができ、好ましくは5塩基長以上20塩基長以下程度、より好ましくは8塩基長以上18塩基長以下程度とすることができる。
第1及び第2のタグ1030、1040の塩基配列としては、特に限定しないが、既に説明した配列番号1〜100で表される塩基配列又はその相補的塩基配列(いずれも23塩基長)の全体又はその一部の塩基配列を用いることができる。タグの塩基長は、例えば、5塩基以上であり、また例えば6塩基以上、また例えば7塩基以上、また例えば8塩基以上、また例えば9塩基以上、また例えば10塩基以上、また例えば11塩基以上、また例えば12塩基以上、また例えば13塩基以上、また例えば14塩基長、また例えば15塩基長、また例えば16塩基長、また例えば17塩基長、また例えば18塩基長などとすることができる。
また、以上の説明においては、第1及び第2のタグ1030、1040を、「抑止要素」を介して天然DNAを備えるものとしたが、これに限定するものではない。本分野で汎用されるスペーサを伴ってあるいは伴うことなく、非天然核酸や対合しない非天然塩基を天然の糖−リン酸骨格やGNA骨格やPNA骨格に備えるものであってもよい。また、第1及び第2のタグ1030、1040には、タンパク質、蛍光物質、発色物質(標識要素であってもよい。)等、天然核酸との対合性や結合性を有しないものであれば特に限定することなく備えることができる。
また、解離用オリゴヌクレオチドは、第1の態様のみ、あるいは第2の態様のみを、特定の標的核酸の増幅に適用してもよいし、第1の態様と第2の態様とを組合せて、特定の標的核酸の増幅に用いることもできる。
さらに、本生産方法においては、上記した態様の解離用オリゴリボヌクレオチドのほか、第1及び第2のプライマーがターゲットとするよりもさらに外側(すなわち、標的核酸の上流側及び/又は下流側)にハイブリダイズするアウタープライマー又はそのセットを備えることができる。かかるアウタープライマー又はそのセットは、被験試料中に存在する可能性のある標的核酸に由来する鋳型鎖と相補的な伸長鎖とを解離させるのに効果的である。アウタープライマー又はそのセットは、第1及び第2のプライマーから0〜60塩基程度の範囲で上流側及び/又は下流側に設定することができる。
本生産方法における、実質的な「等温条件」とは、実質的に一定の温度、すなわち核酸重合反応が行われる実質的に温度変化を伴うことがないことを意味している。実質的な等温条件又は実質的に温度変化を伴わないとは、温度変化が好ましくは5℃以内、より好ましくは3℃以内、さらに好ましくは2℃以内、なお好ましくは1℃以内を意味する。等温条件下での増幅反応のための等温としては、一般に反応の主生成物の融解温度(Tm;混合物中の潜在的に二本鎖である分子の半分が一本鎖の変性状態にある温度)より低い;すなわち一般に90℃以下、通常は約50〜75℃、好ましくは約55〜70℃、又は60〜70℃、又はより好ましくは約65℃である。
増幅工程は、DNAポリメラーゼ等の酵素反応に好適なpHを与える緩衝剤、酵素の触媒活性の維持やアニールのために必要な塩類、酵素の保護剤、更には必要に応じて融解温度(Tm)の調整剤等の共存下で行う。緩衝剤としては、例えば、Tris−HCl等の中性から弱アルカリ性に緩衝作用を持つものが用いられる。pH は使用するDNAポリメラーゼに応じて調整する。塩類としては、例えば、KCl、NaCl、あるいは(NH4)2SO4等が、酵素の活性維持と核酸の融解温度(Tm)調整のために適宜添加される。酵素の保護剤としては、ウシ血清アルブミンや糖類が適宜利用される。さらに、融解温度(Tm)の調整剤には、ジメチルスルホキシド(DMSO)やホルムアミドが一般に利用される。
また、融解温度(Tm)の調整剤を利用することによって、前記オリゴヌクレオチドのアニールを限られた温度条件の下で調整することができる。さらに、ベタイン(N,N,N,-trimethylglycine)やテトラアルキルアンモニウム塩は、そのisostabilize作用によって鎖置換効率の向上にも有効である。ベタインは、反応液中0.2〜3.0M、好ましくは0.5〜1.5M程度の添加により、本生産方法における核酸増幅反応の促進作用を期待できる。これらの融解温度の調整剤は、融解温度を下げる方向に作用するので、塩濃度や反応温度等のその他の反応条件を考慮して、適切なストリンジェンシーと反応性を与える条件を経験的に設定する。
本生産方法では、増幅工程を等温条件で行うことができるが、例えば、等温増幅工程に先立って、二本鎖の標的核酸から一本鎖標的核酸を生成させるための加熱による変性工程を含むことができる。
本生産方法で用いる第1及び/又は第2のプライマーは、必要に応じて、標識要素を備えることができる。ここで標識要素とは、例えば、標識物質及び標識物質結合物質が挙げられる。本明細書において「標識物質」とは、検出しようとする物質あるいは分子を他と識別することを可能とする物質である。標識物質は、特に限定しないが、典型的には、蛍光、放射能、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等)、燐光、化学発光、着色などを利用した標識物質が挙げられる。
標識物質は、目視(肉眼)で検出可能な発光又は発色を提示する発光物質又は発色物質若しくは着色物質であることが好ましい。すなわち、直接それ自体が、他の成分を必要としないで肉眼で視認可能なシグナルを生成することができる物質であることが好ましい。特に、クロマトグラフィーによるハイブリダイゼーションにおいて、より好適である。検出工程で迅速かつ簡易に行うことができる。こうした物質としては、典型的には、各種の顔料や染料などの各種の着色剤が挙げられる。また、これに準ずる、金、銀などの貴金属ほか、銅などの各種金属又は合金、あるいは当該金属を含む有機化合物(錯体化合物であってもよい)が挙げられる。また、着色剤に準ずる、マイカ等の無機化合物が挙げられる。
この種の標識物質としては、典型的には、各種染料、各種顔料、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウム化合物、オレフィン、エノールエーテル、エナミン、アリールビニルエーテル、ジオキセン、アリールイミダゾール、ルシゲニン、ルシフェリン及びエクリオンを包含する化学発光物質が挙げられる。また、こうした標識物質でラベルされているラテックス粒子などの粒子も挙げられる。さらに、金コロイド若しくはゾル又は銀コロイド若しくはゾルを包含するコロイド若しくはゾル等が挙げられる。さらにまた、金属粒子、無機粒子等が挙げられる。
標識物質は上記のように、その一部に粒子を備えていてもよい。標識物質の一部を構成するラテックス粒子などの粒子の平均粒子径は、特に限定しないが、例えば、0.1nm以上20μm以下であり、固相担体の孔径等によって適宜選択することができる。
好ましい粒子は、水溶液に懸濁でき、そして水不溶性ポリマー材料からなる粒子である。例えばポリエチレン、ポリスチレン、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アクリロニトリルポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリビニルアセテート−アクリレート、ポリビニルピロリドン又は塩化ビニル−アクリレートが挙げられる。それらの表面上に活性基、例えばカルボキシル、アミノ又はアルデヒド基を有するラテックス粒子も挙げられる。
標識物質結合物質は、タンパク質−タンパク質相互作用、低分子化合物−タンパク質相互作用、核酸−核酸相互作用等を利用して、最終的に標識物質を結合できる物質が挙げられる。例えば、抗原抗体反応における抗体や、アビジン(ストレプトアビジン)−ビオチンシステムにおけるビオチン、抗ジゴキシゲニン(DIG)−ジゴキシゲニン(DIG)システムにおけるジゴキシゲニン、抗FITC−FITCシステムにおけるFITC等に代表されるハプテン類及び互いにハイブリダイズ可能であるオリゴヌクレオチドなどが挙げられる。この場合、最終的に検出のために用いられる標識物質は、標識物質結合物質と相互作用する他方の分子又は物質(例えば、抗原、すなわち、ストレプトアビジン、抗FITC、オリゴヌクレオチドなど)を、標識物質結合物質との結合のための部位として備えるように構成される。
こうした標識物質や標識物質結合物質は商業的に入手できるほか、標識物質及び標識物質結合物質の製造及び標識物質等を粒子にラベルする方法も公知であり、当業者であれば適宜公知技術を利用して取得することができる。さらに、こうした標識物質又は標識物質でラベル化された粒子や標識物質結合物質と、DNA等のオリゴヌクレオチドとの結合もアミノ基等の官能基を介して適宜可能であり、それ自体は当該分野において周知である。
なお、既述のように、標識要素は、解離用オリゴヌクレオチドの一部として用いることもできる。
以上説明したように、本生産方法によれば、実質的に温度変化を伴うことなく又は実質的な等温条件で、標的核酸を増幅することができる。
(標的核酸の検出方法)
本明細書に開示される標的核酸の検出方法(以下、本検出方法という。)は、第1のプライマー、第2のプライマー及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ、を用いて、前記標的核酸を含む可能性のある被験試料に対して核酸増幅反応を実施する増幅工程と、前記増幅工程で得られる増幅産物の少なくとも一部を介して前記標的核酸を検出する工程と、を備えることができる。本検出方法では、増幅工程は、既に説明した、本生産方法における増幅工程としての各種態様を適宜採用することができる。
本検出方法における検出工程は、増幅産物の少なくとも一部を介して標的核酸を検出する。増幅産物は、通常、二本鎖の状態で得られる。したがって、適宜これを変性して一本鎖の状態とし、その一部とプローブ等のハイブリダイゼーションを用いて標的核酸を検出してもよい。また、第1及び第2のプライマーの少なくとも一方が増幅反応とは独立したタグを有するときには、二本鎖増幅産物を変性することなく当該タグとプローブ等とのハイブリダイゼーションを介して標的核酸を検出することができる。
さらに、例えば、増幅産物の少なくとも一部にハイブリダイズするインナープライマーセットを用いて増幅して、その増幅産物を検出することによっても、標的核酸を検出することができる。なお、インナープライマーを、本生産方法における増幅工程において同時に用いることもできる。インナープライマーは、標識要素を備えることができる。これにより、プライマーがタグを備えていて標識要素を付与し難い場合においても、増幅産物に標識要素を付与することができる。
増幅産物の少なくとも一部を介して標的核酸を分離・検出する具体的態様は、公知の各種の方法、例えば、プローブをマトリックス状に平板状固相担体に固定化したアレイ、プローブを固定化したビーズ、プローブを任意のパターンで多孔質性のストリップ等に固定化したクロマトグラフィー担体等を適宜用いることができる。
アレイに用いる固相担体、ビーズ状体、クロマトグラフィー用の多孔質担体としては、特に限定するものではなく、公知の各種担体を用いることができる。例えば、クロマトグラフィーによるハイブリダイゼーションに用いる固相担体としては、例えば、ポリエーテルスルホン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマーを主体としたいわゆる多孔質性の材料が挙げられる。また、ろ紙などのセルロース系材料も好ましく用いることができる。
また、プローブも、特に限定するものではなく、必要な特異性に基づいて適宜設定することができる。また、増幅産物の少なくとも一部とプローブ等とのハイブリダイゼーション条件、例えば、pH、塩濃度、温度、溶媒等についても当業者において周知の条件を適宜選択することができる。
検出方法の一部として、特に、クロマトグラフィーによるハイブリダイゼーションは、ハイブリダイズ産物を含む核酸増幅反応液に固相担体の一部を浸漬するなどの極めて簡易な操作によって、ハイブリダイズ産物の分離・検出を行うことができる点において好ましい。加えて、実質的に温度制御することなく、5〜40℃程度、好ましくは15〜35℃程度、特に室温程度とすることができる点においても有利である。さらに、その検出時間も、2分〜50分以内、さらには5分〜30分程度等、極めて短時間で終了することができる点においても好ましい。
また、増幅産物を検出するのにあたっては、第1及び第2のプライマーに予め付与された標識要素に基づくシグナルを検出するほか、検出工程において増幅産物の少なくとも一部に結合するように構成した標識要素を用いることもできるほか、物理化学的に検出可能な各種の検出方法等を適宜採用できる。増幅産物の少なくとも一部を用いて標識要素その他に基づいて標的核酸を検出する方法は、当該分野において周知であり、当業者は必要に応じて適切な方法を選択することができる。
(標的核酸を増幅するためのキット)
本明細書に開示される標的核酸を増幅するためのキットは、標的核酸の5‘側にハイブリダイズする第1のプライマーと、標的核酸の3’側にハイブリダイズする第2のプライマーと、第1のプライマーの伸長鎖である第1の伸長鎖及び前記第2のプライマーの伸長鎖である第2の伸長鎖とそれらの各鋳型鎖との解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドと、を備えることができる。本キットによれば、実質的に温度変化を伴うことなく又は実質的な等温条件で、標的核酸を増幅することができる。
本キットにおける第1及び第2のプライマー、2以上のオリゴヌクレオチドについては、既に説明した本生産方法におけるこれらの各種態様を適用することができる。さらに、本キットは、DNAの増幅等に一般的に必要なdNTPを備えていてもよい。さらにまた、本キットは、アウタープライマー又はそのセットを備えることもできる。
本キットは、増幅産物を用いて標的核酸を検出するためのキットとしても用いることができる。検出のためのキットとしては、さらに、増幅産物の少なくとも一部をハイブリダイズするプローブ、インナープライマー、標識要素、プローブを固定化した各種担体他を、適宜備えることができる。
以下、本明細書の開示を具現化した具体例を、実施例を挙げて説明するが、本明細書の開示は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、標的核酸として、結核菌から抽出されたゲノムDNAの一部とした。すなわち、結核菌から抽出されたゲノムDNAを準備し、以下に示す2つのプライマーセットで増幅し、クロマトグラフィーにて分離検出した。図7に、標的核酸に対する第1のプライマー、第2のプライマー、第3のプライマー、第4のプライマーと、第5のプライマー及び第6のプライマーのハイブリダイズ領域の構成を示す。なお、第3のプライマー及び第4のプライマーは、それぞれ本明細書に開示される2以上のオリゴヌクレオチドの一例である。第5及び第6のプライマーは、第1のプライマー及び第2のプライマーの伸長鎖等を相補鎖から解離させるためのアウタープライマーである。
第1のプライマー(F):ビオチン-cgc cta cgt ggc ctt tgt cac (21mer)(配列番号101)
第2のプライマー(R):tag2-aga tcc cct atc cgt atg gtg gat (24mer)(配列番号102)
第3のプライマー(F):agg atc ctg cga gcg tag (18mer)(配列番号103)
第4のプライマー(R):aag aag gcg tac tcg acc tg (20mer)(配列番号104)
第5のプライマー(F):aga cct cac cta tgt gtc ga (20mer)(配列番号105)
第6のプライマー(R):tcg ctg aac cgg atc ga (17mer)(配列番号106)
(1)クロマトグラフィー用ストリップの作製
クロマトグラフィー用ストリップは、図8に示すように、第2のプライマーに結合したタグ配列(tag2)(配列番号10)及び後述する実施例2において用いる第1のプライマーに結合したタグ配列(tag1)にそれぞれハイブリダイズする捕捉プローブ(タグ2、タグ1)をライン状に固定化した。すなわち、メルクミリポア製Hi-Flow Plus メンブレンシート(60mm×600mm)に捕捉プローブ溶液を、特開2003−75305号公報に記載されている吐出ユニット(インクジェット法)を用いた日本ガイシ株式会社GENESHOT(登録商標)スポッターを用いて、スポットした。なお、捕捉プローブの3’末端側にpolyT(20)を付加した配列をプローブとして使用し、Spectroline社のUV照射装置(XL−1500UV Crosslinker)を用いて、280nmの成分を含む波長にて300mJ/cm2程度の紫外線光の照射を行って固定化を実施した。
(2)ターゲット遺伝子の増幅
結核菌から抽出したゲノムDNAを被験試料として用い、第1のプライマーセット及び第2のプライマーセットをそれぞれ用いて標的核酸を増幅した。遺伝子増幅酵素はニッポン・ジーン社のBst DNA polymeraseを用い、サーマルサイクラーはタカラバイオ社のDICEを用いた。
増幅反応液は、以下に示す通りとした。増幅反応液1は、本明細書の開示の実施例であり、増幅反応液2は、比較例に相当する。
(増幅反応液1)
滅菌水 残部
10×Bst reaction buffer 1.0μl
10mM dNTPmix 1.4μl
×3,000SYBRgreenI 1.0μl
第1のプライマー 8pmol
第2のプライマー 8pmol
第3のプライマー 2pmol
第4のプライマー 2pmol
第5のプライマー 2pmol
第6のプライマー 2pmol
Bst DNA polymerase(8U/μl) 0.6μl
ゲノムDNA(20,2,0.2,0.02,0pg/μl) 1.0μl
計 10.0μl
(増幅反応液2)
滅菌水 残部
10×Bst reaction buffer 1.0μl
10mM dNTPmix 1.4μl
×3,000SYBRgreenI 1.0μl
第1のプライマー 8pmol
第2のプライマー 8pmol
第5のプライマー 2pmol
第6のプライマー 2pmol
Bst DNA polymerase(8U/μl) 0.6μl
ゲノムDNA(20,2,0.2,0.02,0pg/μl) 1.0μl
計 10.0μl
サーマルサイクラーを用いて下記の条件で遺伝子の増幅反応(65℃で10秒保存の後、65℃で保温しながら、1分ごとに蛍光強度を60回測定)した。増幅反応液1について、2pg以上の被検DNAを含む場合、時間が経つにつれて、蛍光強度が増加していった。
(3)クロマトグラフィーによるハイブリダイゼーション及び検出
図9に示すようにして、下記の展開液にストリップの下端を浸漬して展開した。なお、ラテックス液には、ストレプトアビジンを結合した青色に着色したビーズを用いた。
(展開液)
増幅反応液 1.0μl
展開液 10.0μl
純水 9.0μl
ラテックス液 1.0μl
計 21.0μl
展開液はストリップ上部まで約15分で全て吸い上がり反応は終了した。反応終了後、目視にてストリップ上の検出ラインへの着色を確認した。結果を図10に示す。
図10に示すように、増幅反応液1では、タグ2に相補的なプローブにおいてハイブリダイズ産物を検出することができた。また、鋳型DNA2pg/testまでバンドが認められたが、増幅反応液2では、すべての反応液でバンドが認められなかった。
したがって、第3及び第4のプライマーを加えることで、効率よく等温増幅反応がおこり、標的核酸が増幅されたことがわかった。なお、増幅反応液1において、第5及び第6のプライマー(アウタープライマーセット)を用いない増幅反応液を別途調製して、アウタープライマーセットの影響について確認したところ、増幅反応液1と同程度の検出感度を確認できた。
本実施例では、実施例1と同様の標的核酸を検出するために、結核菌から抽出されたゲノムDNAを準備し、以下に示すプライマーで増幅し、クロマトグラフィーにて分離検出した。第1のプライマー及び第2のプライマーにおけるタグとゲノムDNAに相補な領域との間には、GlenResearch社のホスホアミダイト試薬であるSpacer PhophoamiditeC3を用いて通常のオリゴヌクレオチド合成方法に準じて合成して、ポリメラーゼ反応を抑制するプロピレン基をスペーサ(抑制要素)として導入した。なお、第1のプライマーが備えるタグ(tag1(配列番号1)及び第2のプライマーが備えるタグ(tag2)(配列番号10)は、それぞれ本明細書に開示される2以上のオリゴヌクレオチドの他の一例である。また、ビオチン付きインナープライマーは、第1のプライマー及び第2のプライマーによる増幅産物の内部にハイブリダイズして第1のプライマーに付与したタグ(tag1)を備えて、タグ1に相補的なプローブで検出可能なDNA二本鎖を得るためのものである。第3及び第4のプライマーは、アウタープライマーセットに相当する。
第1のプライマー(F):tag1-cgc cta cgt ggc ctt tgt cac (21mer)(配列番号101)
第2のプライマー(R):tag2-aga tcc cct atc cgt atg gtg gat (24mer)(配列番号102)
第3のプライマー(F):aga cct cac cta tgt gtc ga (20mer)(配列番号105)
第4のプライマー(R):tcg ctg aac cgg atc ga (17mer)(配列番号106)
Biotinインナープライマー:biotin-gct cga tcg cgt cga gga (18mer)(配列番号107)
(1)クロマトグラフィー用ストリップの作製
クロマトグラフィー用ストリップは、実施例1に準じて、図8に示すように、第1及び第2のプライマーに結合させたタグ配列(tag1、2)に相補的な捕捉プローブをライン状に固定化した。
(2)ターゲット遺伝子の増幅
増幅反応液は以下に示す組成とする以外は、実施例1と同様にして標的核酸を増幅した。
(増幅反応液)
滅菌水 残部
10×Bst reaction buffer 1.0μl
10mM dNTPmix 1.4μl
×3,000SYBRgreenI 1.0μl
第1のプライマー 16pmol
第2のプライマー 16pmol
第3、第4のプライマー 各2.0pmol
Biotinインナープライマー: 5pmol
Bst DNA polymerase(8U/μl) 0.6μl
ゲノムDNA(20,2,0.2pg/μl) 1.0μl
計 10.0μl
サーマルサイクラーを用いて下記の条件で遺伝子の増幅反応(65℃で10秒保存後、そのまま65℃で保温しながら、1分ごとに蛍光強度を90回測定)した。2pg以上の被検DNAを含む場合、時間が経つにつれて、蛍光強度が増加していった。
(3)クロマトグラフィーによるハイブリダイゼーション及び検出
実施例1と同様にして、ストリップの下端を浸漬して展開した。結果を図11に示す。
図11に示すように、タグ1に相補的なプローブにおいてハイブリダイズ産物を検出することができた。また、鋳型DNA0.2pg/testまでバンドが認められた。以上のことから、等温増幅反応により、標的核酸が増幅されることがわかった。なお、上記増幅反応液において、第3及び第4のプライマー(アウタープライマーセット)を用いない増幅反応液を別途調製して、アウタープライマーセットの影響について確認したところ、増幅反応液と同程度の検出感度を確認できた。
本実施例では、標的核酸を、抗酸菌(M.intracellulare)から抽出されたゲノムDNAの一部とした。すなわち、結核菌から抽出されたゲノムDNAを準備し、以下に示す2つのプライマーセットで増幅し、クロマトグラフィーにて分離検出した。第1及び第2のプライマーは、標的核酸を増幅するためのプライマーであり、第3のプライマー及び第4のプライマーは、それぞれ本明細書に開示される2以上の解離用オリゴヌクレオチドの一例である。なお、第2のプライマーが有するtag2の塩基配列は、配列番号10である。第5及び第6のプライマーは、第1のプライマー及び第2のプライマーの伸長鎖等を相補鎖から解離させるためのアウタープライマーセットである。
第1のプライマー(F):ビオチン- caa gtc ggc cca gga aaa (18mer)(配列番号108)
第2のプライマー(R):tag2- gac ctt tgc cgt cga agt c(19mer)(配列番号109)
第3のプライマー(F):cag tcg att ccg ccg c (16mer) (配列番号110)
第4のプライマー(R):gag ccc gat cca gca ga (17mer) (配列番号111)
第5のプライマー(F):acg agg tcg tca gcg ata c (19mer) (配列番号112)
第6のプライマー(R):gca cgg att ccg agt agc(18mer) (配列番号113)
(1)クロマトグラフィー用ストリップの作製
クロマトグラフィー用ストリップは、実施例1に準じて、tag2に相補的なプローブを、ライン状に固定化した。
(2)ターゲット遺伝子の増幅
抗酸菌(M.intracellulare)から抽出したゲノムDNAを鋳型(試料)として用い、以下に示す第1のプライマーセット及び第2のプライマーセットをそれぞれ用いて増幅した。遺伝子増幅酵素は、ニッポン・ジーン社のBst DNA polymeraseを用い、サーマルサイクラーはタカラバイオ社のDICEを用いた。
増幅反応液は、以下に示す通りとした。増幅反応液1は、本明細書に開示される実施例であり、増幅反応液2は、比較例に相当する。
(増幅反応液1)
滅菌水 残部
10×Bst reaction buffer 1.0μl
10mM dNTPmix 1.4μl
×3,000SYBRgreenI 1.0μl
第1のプライマー 8pmol
第2のプライマー 8pmol
第3のプライマー 4pmol
第4のプライマー 4pmol
第5のプライマー 2pmol
第6のプライマー 2pmol
Bst DNA polymerase(8U/μl) 0.6μl
ゲノムDNA(100,10,2,0pg/μl) 1.0μl
計 10.0μl
(増幅反応液2)
滅菌水 残部
10×Bst reaction buffer 1.0μl
10mM dNTPmix 1.4μl
×3,000SYBRgreenI 1.0μl
第1のプライマー 8pmol
第2のプライマー 8pmol
第5のプライマー 2pmol
第6のプライマー 2pmol
Bst DNA polymerase(8U/μl) 0.6μl
ゲノムDNA(100,10,2,0pg/μl) 1.0μl
計 10.0μl
サーマルサイクラーを用いて下記の条件で遺伝子の増幅反応(68℃で10秒保存の後、68℃で保温しながら、1分ごとに蛍光強度を60回測定)した。結果を図12に示す。図12に示すように、時間が経つにつれて、蛍光強度が増加していった。
(3)クロマトグラフィーによるハイブリダイゼーション及び検出
下記の展開液を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、にストリップの下端を浸漬して展開した。
(展開液)
増幅反応液 1.0μl
展開液 10.0μl
純水 9.0μl
ラテックス液 1.0μl
計 21.0μl
展開液はストリップ上部まで約15分で全て吸い上がり反応は終了した。反応終了後、目視にてストリップ上の検出ラインへの着色を確認した。結果を図13に示す。
図13に示すように、増幅反応液1では、鋳型DNA10pg/testまでバンドが認められたが、増幅反応液2では、すべての反応液でバンドが認められなかった。
したがって、第3及び第4のプライマーを加えることで、効率よく等温増幅反応がおこり、標的核酸が増幅され、核酸クロマトフラフィーで検出されることがわかった。なお、増幅反応液1において、第5及び第6のプライマー(アウタープライマーセット)を用いない増幅反応液を別途調製して、アウタープライマーセットの影響について確認したところ、増幅反応液1と同程度の検出感度を確認できた。
本明細書に開示される特許文献及び非特許文献に記載される全内容は、参照により本明細書の組み込まれるものとする。
配列表フリーテキスト
配列番号1〜113:合成オリゴヌクレオチド

Claims (16)

  1. 標的核酸の増幅産物の生産方法であって、
    第1のプライマー、第2のプライマー及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ、を用いて、前記標的核酸を含む可能性のある被験試料に対して核酸増幅反応を実施する増幅工程、
    を備え、
    前記増幅工程は、前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドを用いる工程である、生産方法。
  2. 前記2以上のオリゴヌクレオチドは、第1の鋳型鎖上において前記第1のプライマーがハイブリダイズする第1のハイブリダイズ領域及び第2の鋳型鎖上において前記第2のプライマーがハイブリダイズする第2のハイブリダイズ領域のそれぞれ近傍において、前記第1の鋳型鎖及び前記第2の鋳型鎖の少なくとも一方に対するハイブリダイゼーションを介して存在可能に構成されている、請求項1に記載の生産方法。
  3. 前記2以上のオリゴヌクレオチドは、前記第1のハイブリダイズ領域の近傍で前記第2の鋳型鎖にハイブリダイズする第3のプライマーと、前記第2のハイブリダイズ領域の近傍で前記第1の鋳型鎖にハイブリダイズする第4のプライマーと、を含む、請求項1又は2に記載の生産方法。
  4. 前記第3のプライマーは、前記第1のハイブリダイズ領域よりも前記標的核酸の内側で前記第2の鋳型鎖にハイブリダイズし、
    前記第4のプライマーは、前記第2のハイブリダイズ領域よりも前記標的核酸の内側で前記第1の鋳型鎖にハイブリダイズする、請求項3に記載の生産方法。
  5. 前記2以上のオリゴヌクレオチドは、前記第1のプライマーの5’末端側に備えられ、核酸増幅反応に対して独立である第1のタグと、前記第2のプライマーの5’末端側に備えられ、核酸増幅反応に対して独立である第2のタグと、を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の生産方法。
  6. 前記第1のプライマーは、前記第1のタグを、スペーサを介して備え、前記第2のプライマーは、前記第2のタグを、スペーサを介して備える、請求項5に記載の生産方法。
  7. 前記スペーサは、前記鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼによる核酸合成反応を抑制又は停止可能である、請求項6に記載の生産方法。
  8. 前記第1及び前記第2のプライマーの少なくとも一方が、標識要素を備える、請求項1〜7のいずれかに記載の生産方法。
  9. 前記標識要素は、標識物質又は標識物質結合物質である、請求項8に記載の生産方法。
  10. 前記増幅工程を、実質的な温度変化を伴うことなく実施する、請求項1〜9のいずれかに記載の生産方法。
  11. 標的核酸の検出方法であって、
    第1のプライマー、第2のプライマー及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ、を用いて、前記標的核酸を含む可能性のある被験試料に対して核酸増幅反応を実施する増幅工程と、
    前記増幅工程で得られる増幅産物の少なくとも一部を介して前記標的核酸を検出する工程と、
    を備え、
    前記増幅工程は、前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドを用いる工程である、検出方法。
  12. 前記検出工程は、前記増幅産物の前記少なくとも一部を介してクロマトグラフィーによって分離することを含む、請求項11に記載の検出方法。
  13. 前記検出工程は、前記増幅産物の一部にハイブリダイズするインナープライマーを用いて前記標的核酸に標識要素を付与することを含む、請求項11に記載の検出方法。
  14. 標的核酸を増幅するためのキットであって、
    第1のプライマーと
    第2のプライマーと、
    前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドと、
    を備える、キット。
  15. 前記2以上のオリゴヌクレオチドは、第1の鋳型鎖上において前記第1のプライマーがハイブリダイズする第1のハイブリダイズ領域及び第2の鋳型鎖上において前記第2のプライマーがハイブリダイズする第2のハイブリダイズ領域のそれぞれ近傍において、前記第1の鋳型鎖及び前記第2の鋳型鎖の少なくとも一方に対するハイブリダイゼーションを介して存在可能に構成されている、請求項14に記載のキット。
  16. 標的核酸を検出するためのキットであって、
    第1のプライマーと
    第2のプライマーと、
    前記標的核酸の二本鎖の解離を促進可能な2以上のオリゴヌクレオチドと、
    を備える、キット。
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