JP2017042112A - 核酸増幅基板、該基板を用いた核酸増幅方法、及び核酸検出キット - Google Patents

核酸増幅基板、該基板を用いた核酸増幅方法、及び核酸検出キット Download PDF

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Abstract

【課題】簡便でありながら、配列特異際の優れた核酸増幅基板、該基板を用いた核酸増幅方法、及び核酸検出キットを提供する。【解決手段】本発明は、基板および該基板に固定されたプローブを備えた核酸増幅基板であって、前記プローブは、前記基板に固定された第1のオリゴ核酸と、5’末端領域に前記第1のオリゴ核酸にハイブリダイズし得る配列からなる核酸Aと、3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bと、を備え、少なくとも前記核酸Aにブリッジド核酸を含む第2のオリゴ核酸と、を有することを特徴とする核酸増幅基板である。【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅基板、該基板を用いた核酸増幅方法、及び核酸検出キットに関する。
従来、細胞内の遺伝子発現量を測定する手段としてmRNAをターゲットとしたDNAマイクロアレイが広く用いられている。あらかじめ塩基配列の明らかな1本鎖のDNAを多種、基板上に配置しておき、これに検体を反応させれば、検体のDNA配列と相補的な塩基配列の部分にのみ検体のDNA鎖が結合する。結合位置を蛍光や電流によって検出し、最初の配置から検体に含まれるDNA配列を知る事が出来る。検体の塩基配列が予測できる場合には、効率的にその配列が特定できる。
DNAマイクロアレイには技術内容により、以下の2つの方式が存在する。
一つ目は、Affimetrix社のGeneChipであり、フォトリソグラフィ技術と固相反応化学技術を使用して、基板上で20−25merのオリゴヌクレオチドを人工的に合成することにより作成される。このオリゴヌクレオチドは、あらかじめ遺伝子の特異的な塩基配列を特定するためにコンピュータを用いて位置や長さなどがデザインされている。特定遺伝子と完全に相補的になるようデザインされたプローブパーフェクトマッチ(PM)だけでなく、ミスマッチ(MM)と呼ばれる非特異的な塩基配列もプローブとして配置することによって、非特異的なクロスハイブリダイゼーションの定量値をシグナル値から減算できる。このマイクロアレイを利用する場合、1種類のサンプルからmRNAを抽出し、逆転写によって合成したcDNAをビオチン標識して、基板上のDNAとハイブリダイゼーションを行い、Affimetrix社製の専用スキャナーで蛍光強度を読み取る。この蛍光色素に特有の波長を持つ光を照射し、発光量の割合を測定することで、mRNAの発現量を計測することができる(例えば、特許文献1参照)。
二つ目は、Stanford大学により開発された、あらかじめ調製したDNAを高精度分注機で基板にスポットし、高密度DNAチップを製造する技術を活用したDNAマイクロアレイである。スポット方法にはピン先端の固相への機械的な接触によるピン方式、インクジェットプリンターの原理を利用したインクジェット方式、スポッター内に加熱によって泡を生じさせ、その圧力を利用してサンプルを噴出させるバブルジェット(登録商標)方式、毛細管によるキャピラリー方式などがある。近年は、cDNA断片を打ち付ける方式よりも、Affimetrix社の方法と同様にコンピュータ上で遺伝子の特異的な配列をデザインした25mer−60merのオリゴヌクレオチドを高密度に配置したタイプが主流となっている。このマイクロアレイを利用する場合、2種類の異なるサンプルからmRNAを抽出し、逆転写によって合成したcDNAを、それぞれ異なる蛍光色素で標識することによってターゲットを調製する。蛍光色素は通常、Cy3(緑)、Cy5(赤)が利用されており、この2つの試料をガラス基板上で競合的にプローブとハイブリダイゼーションさせて、スキャナーで蛍光強度を検出する(例えば、特許文献2参照)。
ところで、天然核酸(DNAやRNA)は化学構造上、形の自由度(コンホメーションの自由度)が大きく、主として、A型と呼ばれているコンフォメーションとB型コンフォメーションとの平衡状態で存在している。そのためにDNA−DNA,DNA−RNA,RNA−RNA間の二重鎖形成(ハイブリダイズ)では熱力学的に不利となっており、結合親和性(ハイブリダイズ能)に改善の余地が残されている。
天然核酸分子を架橋構造化した人工の合成核酸であるブリッジド核酸は、天然核酸の「形の自由度」を束縛して標的となるDNAやRNAに対する結合親和性を高め、さらにヌクレアーゼ(核酸分解酵素)耐性をも獲得したものである。
これらの人工核酸BNAを天然オリゴヌクレオチド中に組み入れたBNA含有オリゴ核酸は、一本鎖DNAやRNAのみならず、二本鎖DNAに対して選択的で高い結合親和性を有する。特に、本発明者らが開発した3’−amino−2’,4’−BNA、5’−amino−2’,4’−BNA、2’,4’−BNACOC、2’,4’−BNANCなどの第2世代以降のBNA類を含有するオリゴ核酸は、一本鎖RNA及び二本鎖DNAに対して卓越した結合親和性を獲得した優れた人工核酸であり、ヌクレア−ゼ耐性も非常に高い特性を有する(例えば、特許文献3参照)。
米国特許第5424186号明細書 特許第3272365号公報 特許第4731324号公報
特許文献1および2に記載されているDNAマイクロアレイでは、スポットするオリゴヌクレオチドを標的とする核酸によって変える必要があり、大量生産に不向きであり、オーダーメイド対応が難しい。
さらに、特許文献3に記載されているような、ブリッジド核酸を含有するオリゴヌクレオチドをスポットしたDNAチップの開発も進められているが、これも先ほどと同様にスポットするオリゴヌクレオチドを標的とする核酸によって変える必要があり、大量生産に不向きであり、オーダーメイド対応が難しい。
また、標的となるmRNAを鋳型とした逆転写反応と、該逆転写反応において作製されたcDNAの検出を別の工程において行うため、操作が煩雑となり、コンタミネーションのリスクがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡便でありながら、配列特異性の優れた核酸増幅基板、該基板を用いた核酸増幅方法、及び核酸検出キットを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ブリッジド核酸を含むプローブを固定化した核酸増幅基板を用いることで、課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(14)を提供するものである。
(1)基板および該基板に固定されたプローブを備えた核酸増幅基板であって、前記プローブは、
前記基板に固定された第1のオリゴ核酸と、
5’末端領域に前記第1のオリゴ核酸にハイブリダイズし得る配列からなる核酸Aと、3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bと、を備え、少なくとも前記核酸Aにブリッジド核酸を含む第2のオリゴ核酸と、
を有することを特徴とする核酸増幅基板。
(2)前記基板は1つ以上の区画を有し、1つの区画には1種類の前記プローブが1つ以上固定される(1)に記載の核酸増幅基板。
(3)前記第2のオリゴ核酸中のブリッジド核酸の割合が、66%以上である(1)又は(2)に記載の核酸増幅基板。
(4)前記基板に固定された第1のオリゴ核酸がDNAである(1)〜(3)のいずれか一つに記載の核酸増幅基板。
(5)前記標的核酸がgDNA又はcDNAである(1)〜(4)のいずれか一つに記載の核酸増幅基板。
(6)(1)〜(5)のいずれか一つに記載の核酸増幅基板を用いた核酸増幅方法。
(7)プローブが固定された基板および標的核酸増幅用のリバースプライマーを備えた核酸検出キットであって、前記プローブは、
前記基板に固定された第1のオリゴ核酸と、
5’末端領域に前記核酸にハイブリダイズし得る配列からなる核酸Aと、3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bと、を備え、少なくとも核酸Aにブリッジド核酸を含む第2のオリゴ核酸と、
を有することを特徴とする核酸検出キット。
(8)前記第2のオリゴ核酸中のブリッジド核酸の割合が、66%以上である(7)に記載の核酸検出キット。
(9)前記基板に固定された第1のオリゴ核酸がDNAである(7)又は(8)に記載の核酸検出キット。
(10)前記標的核酸がgDNA又はcDNAである(7)〜(9)のいずれか一つに記載の核酸検出キット。
本発明の核酸増幅基板および該基板を用いた核酸増幅方法によれば、簡便に標的核酸を高選択的に増幅することができる。また、本発明の核酸検出キットによれば、簡便に標的核酸を高感度、高精度に検出できる。
本発明に係る核酸増幅基板の第1実施形態の模式図である。 本発明に係る核酸増幅基板上の区画の一例を示した模式図である。 本実施形態のおける核酸増幅基板を用いた核酸増幅方法の模式図である。 実施例1における2本鎖BNA/DNAの温度上昇による吸光度(260nm)の変化を示したグラフである。 実施例2における第1のオリゴ核酸、第2のオリゴ核酸及び2本鎖オリゴ核酸の非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す画像である。 (A)実施例2におけるコントロール2本鎖オリゴの温度上昇による吸光度(260nm)の変化を示したグラフである。(B)実施例2における2本鎖BNA/DNAオリゴの温度上昇による吸光度(260nm)の変化を示したグラフである。 実施例2におけるAllele−specific PCR反応の結果を示したグラフである。
<核酸増幅基板>
1.第一実施形態
図1は、本発明に係る核酸増幅基板の第1実施形態の模式図である。本実施形態の核酸増幅基板10は、基板1および基板1に固定されたプローブ2を備えた核酸増幅基板であって、プローブ2は、基板1に固定された第1のオリゴ核酸3と、5’末端領域に第1のオリゴ核酸にハイブリダイズし得る配列からなる核酸A(核酸5)と、3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸B(核酸6)と、を有し、少なくとも核酸A(核酸5)にブリッジド核酸を含む第2のオリゴ核酸4と、を有する。
本実施形態における標的核酸としては、特に限定されないが、gDNA又はcDNA等の安定なDNAが好ましい。gDNAとは、「genomic DNA」の略称であり、主に核内のDNAを意味する。cDNAとは、「complementary DNA」の略称であり、mRNAから逆転写酵素を用いた逆転写反応によって合成されたDNAを意味する。gDNAにおいては、イントロンとエクソンを有するため、塩基配列から作られるタンパク質のアミノ酸配列を推定することは困難であるが、cDNAはエクソンのみを有するため、塩基配列からタンパク質のアミノ酸配列を推定することは容易である。
基板としては、特に限定されないが、PCR反応を行うため耐熱性を有する素材で作られた基板であることが好ましく、例えば、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板等が挙げられる。
図2は、本発明に係る核酸増幅基板上の区画の一例を示した模式図である。本実施形態の核酸増幅基板30において、基板1は1つ以上の区画を有し、1つの区画には1種類のプローブ2が1つ以上固定されている。基板1上に同じ種類のプローブが複数固定されていることにより、標的核酸を効率的に増幅することが可能となる。また、プローブが基板上に固定化されているため、増幅された標的核酸を区画内に保持することが可能となる。
また、従来では基板上に固定化する核酸と標的核酸を特異的に認識する核酸は同一であり、区画ごとに異なる塩基配列からなる核酸を固定する必要があったため、大量生産には不向きであり、オーダーメイド対応することが困難であった。
しかしながら、本実施形態では、標的核酸を特異的に認識し増幅するのは第2のオリゴ核酸の役割であるため、第1のオリゴ核酸3は統一規格化された塩基配列からなるものを基板1上に固定化することができ、第1のオリゴ核酸3が固定化された基板1を容易に大量生産することが可能となる。また、使用する第2のオリゴ核酸を変更することで容易にオーダーメイド対応することが可能となる。
図1に示すように、プローブ2は第1のオリゴ核酸3及び第2のオリゴ核酸4からなる。さらに、第2のオリゴ核酸4は、5’末端領域に第1のオリゴ核酸にハイブリダイズし得る配列からなる核酸A(核酸5)と、3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸B(核酸6)と、を有する。
なお、本発明および本願明細書において、「ハイブリダイズし得る」とは、本発明に用いられるプライマーやプローブ等の一方の核酸が、ストリジェントな条件下で標的核酸等の他方の核酸にハイブリダイズし、他方の核酸以外の核酸分子にはハイブリダイズしないことを意味する。「ストリンジェントな条件」とは、例えば、Molecular Cloning−A LABORATORY MANUAL SECOND EDITION(Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載の条件が挙げられる。また、一方の核酸が他方の核酸にハイブリダイズし得る場合、一方の核酸は、他方の核酸を構成する塩基配列と相補的な塩基配列と、相同性(塩基配列の同一性)が好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さら好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である塩基配列からなる。
本実施形態において、第1のオリゴ核酸3は、特に限定はないが、標的核酸を高選択的に増幅する観点から、標的核酸とハイブリダイズしないように標的核酸と相補的な配列を有さないことが好ましい。また、第1のオリゴ核酸3は、DNAまたはRNAであれば特に限定されず、天然のものであっても合成されたものであってもよいが、DNAであることが好ましい。
第1のオリゴ核酸3において、第2のオリゴ核酸4中の核酸A(核酸5)と相補的な塩基配列からなる核酸3aの長さは13塩基以上が好ましく、18塩基以上がさらに好ましい。また、第2のオリゴ核酸4中の核酸B(核酸6)が、標的核酸とハイブリダイズするためには、分子的な自由度が必要であることから、第1のオリゴ核酸3中の基板に固定された核酸3bの長さは、特に限定されないが、3〜50塩基が好ましく、5〜25塩基がより好ましい。
本実施形態において、核酸A(核酸5)はブリッジド核酸を含むことが好ましい。また、核酸B(核酸6)は、ブリッジド核酸を含んでいてもかまわない。本発明および本願明細書において、「ブリッジド核酸」とは、糖の2’位と4’位を架橋しコンフォメーションをN型に固定した人工核酸を示し、天然の核酸にみられるN型とS型のコンフォメーション変換を抑えることができる。具体的には、2’,4’−BNA(LNA)の第1世代BNA類が好ましく、3’−amino−2’,4’−BNA、5’−amino−2’,4’−BNA、2’,4’−BNACOCなどの第2世代BNA類がより好ましく、2’,4’−BNANCなどの第3世代BNA類がさらに好ましい。
また、ブリッジド核酸は、天然の核酸と比較してTm値(二本鎖DNAの50%がかい離して一本鎖DNAになる温度の値)が、1〜3℃高い。さらに、ブリッジド核酸はハイブリダイズし得る配列を有する核酸との親和性が高く、DNA分解酵素やRNA分解酵素に認識されにくい。
このため、核酸A(核酸5)中にブリッジド核酸を含むことで、第1のオリゴ核酸3および第2のオリゴ核酸4のハイブリダイズは耐熱性および優れた親和性を有する。また、核酸B(核酸6)がブリッジド核酸を含む場合においては、標的核酸と選択的にハイブリダイズし、増幅させることができる。
また、核酸A(核酸5)の長さは、第1のオリゴ核酸3中の核酸3aと同様に、13塩基以上が好ましく、18塩基以上がさらに好ましい。
また、第2のオリゴ核酸4中のブリッジド核酸の割合が、61%以上であることが好ましく、66%以上であることがより好ましい。さらに、第2のオリゴ核酸4において、核酸A(核酸5)中のブリッジド核酸の割合が、61%以上であることが好ましく、66%以上であることがより好ましい。たとえば、18塩基中12塩基のブリッジド核酸を含むオリゴ核酸の場合、Tm値は95℃となる。上述の通り、天然の核酸と比較してTm値が高いことで、ブリッジド核酸を含む核酸A(核酸5)および第1のオリゴ核酸3中の核酸3aのハイブリダイズは高い親和性を有し、プローブ2全体を基板1上に固定することができる。
「標的核酸増幅用のフォワードプライマーになり得る」とは、標的核酸に相補的な配列を有し、特異的にハイブリダイズし、さらに核酸合成酵素による標的核酸の伸長反応における起点になることが可能であることを意味する。したがって、核酸Bの長さは、標的核酸増幅用のフォワードプライマーとしての観点から、5〜40塩基が好ましく、15〜30塩基がより好ましく、18〜25塩基が特に好ましい。また、増幅する際に使用する標的核酸増幅用のリバースプライマーとTm値が大きく異ならないことが好ましい。さらに、全体的に塩基の偏りがなく、部分的に、特に3’末端領域において、GCリッチあるいはATリッチな配列は避けることが好ましい。さらに、プライマー内部およびリバースプライマーとの間での3塩基以上の相補的配列を避け、3’末端領域が2塩基以上相補する配列を避けることが好ましい。
本実施形態の核酸増幅基板によれば、容易に標的核酸を増幅することができ、さらに増幅後の標的核酸を基板上に維持したまま検出工程を行うことができる。
<核酸増幅方法>
次に、本発明の核酸増幅基板を用いた核酸増幅方法について、詳細に説明する。まず、標的核酸を含む核酸試料と、核酸増幅反応液と、を核酸増幅基板に接触させる。
本発明において、「標的核酸を含む核酸試料」とは、増幅が所望される核酸を含むと想定されるものであれば特に限定されない。変異を有する核酸の増幅を目的とする場合は、変異を有する核酸を含むと想定されるものであれば特に限定されない。核酸試料は、典型的には、哺乳動物、好ましくはヒトから採取可能なものであり、血液、胸水、気管支洗浄液、骨髄液、リンパ液等の液体試料、リンパ節、血管、骨髄、脳、脾臓、皮膚等の固形試料が挙げられる。本発明の方法は非常に高い選択性で核酸を増幅し得るため、例えば癌等の病変部位から試料を直接採取することなく、血液等の核酸試料が微量しか含まれない液体試料を用いることが可能である。そのため、好ましい核酸試料としては、血液等の液体試料である。
また、本発明の核酸増幅方法において、反応液中の標的核酸の含有量は、10〜10分子に相当する量含まれていることが好ましく、例えば、ヒトの遺伝子では0.3ng〜3μg程度である。標的核酸の量が多すぎると非特異的増幅の頻度が増すので、標的核酸の含有量は、100μLあたり0.5μg以下に抑えることが好ましい。
本発明において、「核酸増幅用反応液」とは、前記核酸増幅反応を行う上で必要な試薬等を含有する溶液である。核酸増幅用反応液の組成は、使用する核酸増幅方法によって異なるが、例えば、基質としての4種のデオキシヌクレオシド三リン酸(dATP、dTTP、dCTP、dGTP:以下まとめてdNTPとする)と、酵素としてDNAポリメラーゼと、前記酵素の補因子としてのマグネシウムイオンと、伸長増幅用のリバースプライマーと、を反応液中に含むことが挙げられる。また、詳細は後述するが、本工程と、増幅された核酸を検出する工程とを一括して行うことができるリアルタイムPCR法等の方法を核酸増幅方法として用いる場合は、インターカレーター、蛍光標識プローブ、サイクリングプローブ等の適当な検出用試薬も核酸増幅用反応液中に共存させる。dNTPの濃度は、4種の各終濃度が100〜400μMの範囲で最適な濃度を検討すればよい。DNAポリメラーゼは、用いる核酸増幅方法に適する性質を有したものを使用する。例えば、PCR法であれば、Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、その他バイオサイエンス関連の各社により開発されたもの等の耐熱性DNAポリメラーゼが好ましく使用される。マグネシウムイオン濃度は、終濃度が1〜6mMの範囲で最適な濃度を検討すればよい。前記反応液は、前記DNAポリメラーゼの活性が得られる至適pHおよび至適塩濃度を有する。さらに、使用する核酸増幅方法によって、さらに、リボヌクレアーゼ(RNaseH)や逆転写酵素(RT)などを含んでいてもよい。
次に、標的核酸に、核酸増幅基板に固定されたプローブ中の標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bおよび標的核酸増幅用のリバースプライマーをハイブリダイズさせ、DNAポリメラーゼにより標的核酸の伸長反応が進む。核酸Bとリバースプライマーは対になって、標的核酸を増幅する。リバースプライマーの長さは、核酸Bと同様に、5〜40塩基が好ましく、15〜30塩基がより好ましく、18〜25塩基が特に好ましい。
また、核酸増幅効率の観点から、標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bおよび標的核酸増幅用のリバースプライマーは、増幅産物の塩基数が50〜1000となるように設計されることが好ましく、50〜300となるように設計されることがより好ましい。また、標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bおよび標的核酸増幅用のリバースプライマーのTm値は、50〜66℃であることが好ましく、55〜60℃であることが好ましい。なお、核酸Bが、少なくとも1塩基の変異を認識し、ブリッジド核酸を含む核酸Cを有する場合には、ブリッジド核酸1塩基に対して1〜3℃高くなるため、Tm値はブリッジド核酸の数に応じて通常のプライマーの温度よりも高くなる。
本発明の核酸増幅方法としては、標的核酸を増幅できるものである限り制限されない。例えば、PCR法(最も基本的な原理に基づくPCR法のみならず、それを基にして開発された、ホットスタートPCR法、マルチプレックスPCR法、ネステッドPCR法、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、デジタルPCR法などの定量PCR法等の様々なバリエーションを含む)、NASBA(Nucleic Acid Sequence−Based Amplification)法(例えば、特許第2650159号公報参照)、TMA(Transcription−Mediated Amplification)法(例えば、特許第3241717号公報参照)、TRC(Transcription Reverse Transcription Concerted Reaction)法(例えば、特開2000−14400号公報参照)、LAMP(Loop−mediated Isothermal Amplification)法(例えば、国際公開第2000/28082号参照)、ICAN法(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids)法(例えば、特許第3433929号公報参照)、LCR(Ligase Chain Reaction)法(例えば、欧州特許出願番号320328号参照)、SDA(Strand Displacement Amplification)法(例えば、特公平7−114718号公報参照)、等を用いることができる。PCR法は最も広く用いられている核酸増幅方法であることから当該方法に最適化された様々な試薬や機器が容易に入手できるだけでなく、上記の通り様々なバリエーションの方法があり、汎用性が極めて高いため、本工程のために好適な手法として挙げられる。PCRを含む核酸増幅反応の条件、操作等は、この分野で通常行われている常法に従えばよい。
図3は、本実施形態における核酸増幅基板を用いた核酸増幅方法の模式図である。図3に示すように、標的核酸のセンス鎖の3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸B(核酸6)がアニール(ハイブリダイズ)し(図3(a)参照)、DNAポリメラーゼにより伸長反応が行われ、標的核酸の増幅産物X(増幅産物9)が合成される(図3(b)参照)。また、標的核酸のアンチセンス鎖の3’末端領域に標的核酸増幅用のリバースプライマーがアニールし(図3(a)参照)、DNAポリメラーゼにより伸長反応が行われ、標的核酸の増幅産物Y(増幅産物11)が合成される(図3(b)参照)。
次いで、標的核酸のセンス鎖の3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸B(核酸6)がアニール(ハイブリダイズ)し、DNAポリメラーゼにより伸長反応が行われ、標的核酸の増幅産物X(増幅産物9)が合成される(図3(c)参照)。また、標的核酸のアンチセンス鎖の3’末端領域に標的核酸増幅用のリバースプライマーがアニールし、DNAポリメラーゼにより伸長反応が行われ、標的核酸の増幅産物Y(増幅産物11)が合成される(図3(c)参照)。
以後、標的核酸の増幅産物Xが合成される工程と、増幅産物Yが合成される工程と、を繰り返すことにより、標的核酸の増幅産物が多数得られる。
核酸増幅反応終了後、標的核酸の増幅産物X(増幅産物9)は、5’末端領域に第2のオリゴ核酸4を有し、この第2のオリゴ核酸4中の核酸A(核酸5)はブリッジド核酸を含み、第1のオリゴ核酸3と特異的にハイブリダイズしているため、基板上に保持される(図3(d)参照)。一方、標的核酸の増幅産物Yは遊離の状態で多数存在する(図3(d)参照)。必要に応じて、後述の検出工程を実施する。
本実施形態においては、標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bを有するプローブが基板上に固定されていることから、核酸の増幅および検出を閉鎖系において同時又は連続的に実施することが可能となる。したがって、増幅反応中に経時的に増幅を確認する方法が好ましい。
増幅反応中に経時的に増幅を確認する方法としては、増幅産物の増加を反映する蛍光強度の増加を経時的に検出する方法が挙げられる。具体的には、例えば、インターカレーター法(Higuchi et al., BioTechnology 10,413−417(1992))、サイクリングプローブ法(Bekkaoui et al., Biotechniques 20,240−248(1996))等のリアルタイムPCR法が挙げられ、検出の感度および精度に優れる点でサイクリングプローブ法が好ましい。リアルタイムPCR法のためには、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した専用の装置が必要である。そのような装置としては例えば、StepOnePlus(ABI社)、LightCyclerNano(Roche社)等が挙げられる。
本実施形態において、図3(d)に示したように、プローブ2中の核酸B(核酸6)と完全に相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸である検出用プローブ12を用いた検出方法が好ましい。検出用プローブ12の5’末端領域には、標識物質が結合されている。具体的には、例えばサイクリングプローブ法等において、そのような塩基配列を有するように設計された検出用プローブを用いる方法である。標識物質については、後述の核酸検出キットにおいて詳細に説明する。
本実施形態において用いられる検出用プローブ12は、プローブ2中の核酸B(核酸6)と完全に相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸である蛍光標識プローブが好ましい。一般に、検出用プローブ12の長さを長くすることで相補的な配列への結合力は強くなるため、ある程度の長さが必要であるが、一方で検出用プローブ12が長くなると塩基特異性が低くなる傾向があるため、長過ぎないことが必要である。具体的な検出用プローブ12の長さとしては、5〜40塩基が好ましく、8〜35塩基がより好ましく、10〜25塩基がさらに好ましい。また、検出用プローブ13は、DNA、RNA等の核酸、またはLNAやBNA等のブリッジド核酸、またはそれらの組み合わせによって構成される。上述の通り、ブリッジド核酸は相補的な配列への結合力、塩基認識力、および分解酵素耐性の点でDNAやRNA等よりも優れているため、検出用プローブ12は、ブリッジド核酸を含むことが好ましい。
「サイクリングプローブ法」とは、RNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる高感度な検出方法である。キメラプローブは、RNA部分を挟んで一方が蛍光物質(リポーター)で、もう一方が蛍光を消光する物質(クエンチャー)で標識されている。このキメラプローブは、インタクトな状態ではクエンチングにより蛍光を発しないが、配列が相補的な増幅産物とハイブリッドを形成した後にRNase HによりRNA部分が切断されると、強い蛍光を発するようになる。この蛍光強度を測定することで、増幅産物の量をモニターすることができる。サイクリングプローブのRNA付近にミスマッチが存在すると、RNase Hによる切断は起こらないため、一塩基の違いも認識できる非常に特異性の高い検出が可能である。
サイクリングプローブについては、適当な業者に設計・合成を委託する等して取得することができる。
その他の検出方法としては、インターカレーター法が挙げられ、インターカレーターは、二本鎖核酸の塩基対間に特異的に結合して蛍光を発する試薬であり、励起光を照射すると蛍光を発する。インターカレーターに由来する蛍光強度の検出に基づいて、標的核酸の増幅産物の量を知ることができる。本実施形態においては、通常この分野で用いられる任意のインターカレーターを用いることができるが、例えば、SYBRTM Green I(Molecular Probe社)、エチジウムブロマイド、フルオレン等である。
よって、本実施形態の核酸増幅方法によれば、上述の大量生産可能な核酸増幅基板を用いて、核酸の増幅および検出を閉鎖系において、同時又は連続的に行うことができる。また、簡便かつ低コストで行うことができる。また、個々人にあわせた核酸増幅基板を用いた検査を行うことで、オーダーメイド治療に役立てることができる。
<核酸検出キット>
本実施形態の核酸検出キットは、プローブが固定された基板および標的核酸増幅用のリバースプライマーを備えた核酸検出キットであって、前記プローブは、前記基板に固定された第1のオリゴ核酸と、5’末端領域に前記第1のオリゴ核酸にハイブリダイズし得る配列からなる核酸Aと、3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bと、を有し、少なくとも前記核酸Aにブリッジド核酸を含む第2のオリゴ核酸と、を有する。
本実施形態において、標的核酸としては、特に限定されないが、gDNA又はcDNA等の安定なDNAが好ましい。
プローブが固定された基板は、上述の核酸増幅基板のとおりである。また、リバースプライマーについても、上述のとおり、長さは、5〜40塩基が好ましく、15〜30塩基がより好ましく、18〜25塩基が特に好ましい。
また、核酸増幅効率の観点から、標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bおよび標的核酸増幅用のリバースプライマーは、増幅産物の塩基数が50〜5000となるように設計されることが好ましく、100〜2000となるように設計されることがより好ましい。また、標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bおよび標的核酸増幅用のリバースプライマーのTm値は、50〜66℃であることが好ましく、55〜60℃であることが好ましい。なお、核酸Bが、少なくとも1塩基の変異を認識し、ブリッジド核酸を含む核酸Cを備える場合には、ブリッジド核酸1塩基に対して1〜3℃高くなるため、Tm値はブリッジド核酸の数に応じて通常のプライマーの温度よりも高くなる。
さらに、本実施形態の核酸検出キットは、使用する核酸増幅方法によって異なるが、基質としてのヌクレオチド三リン酸、核酸合成酵素、増幅反応用緩衝液の1つ以上を含むことが好ましい。ヌクレオチド三リン酸は、核酸合成酵素に応じた基質(dNTP、rNTP等)である。核酸合成酵素は、使用する核酸増幅方法に応じた酵素であり、例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素等である。増幅反応用緩衝液としては、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液等が挙げられ、pHも特に限定されない。
増幅産物の標識は、あらかじめ標識した標的核酸増幅用のリバースプライマーを用いることにより行ってもよく、増幅産物事態を標識することにより行ってもよい。
標的核酸増幅用のリバースプライマーを標識する標識物質としては、例えば、蛍光色素、蛍光ビーズ、量子ドット、ビオチン、抗体、抗原、エネルギー吸収性物質、ラジオアイソトープ、化学発光体、酵素等が挙げられる。蛍光色素としては、FAM(カルボキシフルオレセイン)、JOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ2’ ,7’−ジメトキシフルオレセイン)、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、HEX(5'−ヘキサクロロ−フルオレセイン−CEホスホロアミダイト)、Cy3、Cy5、Alexa568、Alexa647等が挙げられる。
また、増幅産物の標識に用いられる標識物質としては、上述した、蛍光色素、蛍光ビーズ、量子ドット、ビオチン、抗体、抗原、エネルギー吸収性物質、ラジオアイソトープ、化学発光体、酵素等が挙げられる。これらの中でも、標識物質としては、蛍光色素が好ましく、インターカレーターがより好ましい。インターカレーターとしては、蛍光やUVで検出可能な、二本鎖DNAにインターカレートして蛍光を発する物質であれば特に限定されることなく、例えば、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ、SYBER Green、SYBER Gold等が挙げられる。cDNAを鋳型にした核酸合成を行う場合には、これらインターカレーター16を核酸合成の反応溶液中に添加するだけで、増幅産物と蛍光試薬とがインターカーレーションし、蛍光検出が可能となる。上述した標識物質を使用することで、標的核酸を定量的に検出することが可能となる。
よって、本実施形態の核酸検出キットによれば、上述の大量生産可能な核酸増幅基板を用いて、核酸の増幅および検出を閉鎖系において、同時又は連続的に行うことができる。また、簡便かつ低コストで行うことができる。また、個々人にあわせた核酸増幅基板を用いた検査を行うことで、オーダーメイド治療に役立てることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(2本鎖BNA/DNAオリゴの合成)
以下、表1に記載の(I)〜(IV)のセンス鎖およびアンチセンス鎖を設計し、合成した。各センス鎖において、大文字で記載されたA,T,G,Cがブリッジド核酸であり、A,Gは、BNA−NC(N−Me)、C,Tは、BNA−NC(N−H)である。
(2本鎖BNA/DNAオリゴの形成)
各センス鎖およびアンチセンス鎖をそれぞれ2.5μMとなるよう、バッファー中に添加した。バッファーの組成は、10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5 mM MgClである。サーマルサイクラー(Applied Biosystems社Veriti)を用い、95℃、5分間熱変性後、25℃まで1分間に1℃ずつ温度を下げながら、各センス鎖およびアンチセンス鎖をアニーリングさせた。
(Tm値測定)
30℃から98℃まで1分間に1℃ずつ温度を上昇させ、0.2℃ごとに吸光度(260 nm)を測定した。図4は、2本鎖BNA/DNAの温度上昇による吸光度(260nm)の変化を示したグラフである。また、各2本鎖BNA/DNAオリゴのTm値を表2に示した。
図4から、長さが18塩基である(III)および(IV)は、長さが12塩基である(I)および(II)と比較して、Tm値が高かった。また、塩基の長さが同じもの同士を比較すると、BNAの含有量の多い(II)および(IV)のほうが、(I)および(III)よりもTm値が高かった。
したがって、オリゴ鎖が長く、さらにBNAの含有量が多いものほどTm値が高く、結合力が強いことが推察される。
[実施例2]
(BNA/DNAオリゴの合成)
以下、表3に記載の第1のオリゴ核酸、第2のオリゴ核酸及びReverse primerを設計し、合成した。第2のオリゴ核酸において、大文字で記載されたA,T,Cがブリッジド核酸であり、Aは、BNA−NC(N−Me)、C,Tは、BNA−NC(N−H)である。さらに、第2のオリゴ核酸において、5’末端から数えて1番目から15番目までの15塩基が核酸Aであり、第1のオリゴ核酸とアニーリングし、5’末端から数えて16番目から39番目までの24塩基が核酸Bであり、鋳型のセンス鎖(後述のAllele1のセンス鎖の塩基配列のうち、145番目から168番目までの24塩基)に対して相補的なForward primerである。また、Reverse primerは、鋳型のアンチセンス鎖(後述のAllele1のアンチセンス鎖の塩基配列のうち、199番目から220番目までの21塩基)に対して相補的なReverse primerである。
(2本鎖BNA/DNAオリゴの形成)
合成した第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸とを混合し、室温で30分間インキュベーションし、アニーリングさせた。続いて、アニーリングの確認のために、第1のオリゴ核酸、第2のオリゴ核酸及びアニーリング後の2本鎖BNA/DNAオリゴを非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動した。さらに、電気泳動後の非変性ポリアクリルアミドゲルに紫外線(波長約254nm)を照射して撮影した。結果を図5に示した。
図5から、合成した第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸とがアニーリングし、二本鎖オリゴ核酸を形成していることが確かめられた。
(Tm値測定)
1℃から100℃まで1分間に1℃ずつ温度を上昇させ、1℃ごとに吸光度(260 nm)を測定した。図6は、2本鎖BNA/DNAの温度上昇による吸光度(260nm)の変化を示したグラフである。また、Tm値74℃のコントロール2本鎖オリゴについても同様に実験を行った。
図6から、コントロール2本鎖オリゴでは温度上昇に伴う吸光度の変化にピークが見られ、Tm値が74.77℃と算出された。一方、2本鎖BNA/DNAでは吸光度の変化に一定のピークが見られず、明確なTm値が得られなかった。
以上のことから、2本鎖BNA/DNAでは測定範囲内(1℃〜100℃)で2本鎖が解離しないことが確認された。
(Real−time PCR)
鋳型として、配列番号12(センス鎖)及び配列番号13(アンチセンス鎖)の塩基配列からなる2本鎖DNAテンプレート(Allele1)と、配列番号14(センス鎖)及び配列番号15(アンチセンス鎖)の塩基配列からなる2本鎖DNAテンプレート(Allele2)との混合物60ngを使用した。Allele2はAllele1の131番目から145番目の15塩基が欠損した配列である。以下の表4のようにAllele1及びAllele2の混合比率を変更したテンプレートを5種類準備し、それぞれについてPCR反応を行った。括弧内のコピー数は3pgのgDNAに1コピー含まれると想定した際の理論値である。
続いて、以下の表5に示したPCR組成物となるようにそれぞれ混合した。
また、PCR反応サイクルは、表6に示したとおりである。72℃において、毎回増幅産物の計測を行った。結果を図7に示した。図7中、NTCとは、No template controlの略であり、プライマーダイマーの有無を調べるためのものである。
図7から、Allele1が100%である(V)が最初に増幅曲線が立ち上がり、(VI)、(VII)、(VIII)と続いている。Allele1の含有量に比例して、増幅曲線の立ち上がりが早くなっていることが推察される。また、Allele2が100%である(IX)についても増幅が見られるが、Allele1を0.1%含む(VIII)は、(IX)と比較すると、増幅曲線の立ち上がりに有意な差がある。よって、2本鎖BNA/DNAオリゴは、Allele1を特異的に増幅することができることが確かめられた。
以上の結果から、本発明によれば、標的核酸を簡便に且つ高選択的に増幅することができることが明らかである。
1…基板、2…プローブ、3…第1のオリゴ核酸、3a…核酸Aと相補的な塩基配列からなる核酸、3b…基板に固定された核酸、4…第2のオリゴ核酸、5…核酸A、6…核酸B、7…標的核酸増幅用のリバースプライマー、8…標的核酸、8a…標的核酸のセンス鎖、9…標的核酸の増幅産物X、8b…標的核酸のアンチセンス鎖、10,20…核酸増幅基板、11…標的核酸の増幅産物Y、12…検出用プローブ、21…区画

Claims (10)

  1. 基板および該基板に固定されたプローブを備えた核酸増幅基板であって、前記プローブは、
    前記基板に固定された第1のオリゴ核酸と、
    5’末端領域に前記第1のオリゴ核酸にハイブリダイズし得る配列からなる核酸Aと、3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bと、を備え、少なくとも前記核酸Aにブリッジド核酸を含む第2のオリゴ核酸と、
    を有することを特徴とする核酸増幅基板。
  2. 前記基板は1つ以上の区画を備え、1つの区画には1種類の前記プローブが1つ以上固定される請求項1に記載の核酸増幅基板。
  3. 前記第2のオリゴ核酸中のブリッジド核酸の割合が、66%以上である請求項1又は2に記載の核酸増幅基板。
  4. 前記第1のオリゴ核酸がDNAである請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸増幅基板。
  5. 前記標的核酸がgDNA又はcDNAである請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸増幅基板。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の核酸増幅基板を用いた核酸増幅方法。
  7. プローブが固定された基板および標的核酸増幅用のリバースプライマーを備えた核酸検出キットであって、前記プローブは、
    前記基板に固定された第1のオリゴ核酸と、
    5’末端領域に前記第1のオリゴ核酸にハイブリダイズし得る配列からなる核酸Aと、3’末端領域に標的核酸増幅用のフォワードプライマーとなり得る配列からなる核酸Bと、を備え、少なくとも前記核酸Aにブリッジド核酸を含む第2のオリゴ核酸と、
    を有することを特徴とする核酸検出キット。
  8. 前記第2のオリゴ核酸中のブリッジド核酸の割合が、66%以上である請求項7に記載の核酸検出キット。
  9. 前記第1のオリゴ核酸がDNAである請求項7又は8に記載の核酸検出キット。
  10. 前記標的核酸がgDNA又はcDNAである請求項7〜9のいずれか一項に記載の核酸検出キット。
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