JPWO2018034174A1 - 難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、メタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品 - Google Patents
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Abstract
ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂と、炭酸カルシウムと、水酸化アルミニウムと、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含む難燃性樹脂組成物が開示されている。ポリエチレンの密度は912.4kg/m3より大きく、940.0kg/m3未満であり、ベース樹脂中のポリエチレンの含有率は75質量%以上99質量%以下であり、ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率は1質量%以上25質量%以下であり、炭酸カルシウムはベース樹脂100質量部に対して5質量部以上130質量部以下の割合で配合され、水酸化アルミニウムはベース樹脂100質量部に対して5質量部以上150質量部以下の割合で配合され、シリコーン化合物はベース樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合され、脂肪酸含有化合物はベース樹脂100質量部に対して5質量部以上20質量部以下の割合で配合されている。
Description
本発明は、難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、メタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品に関する。
ケーブルの被覆、ケーブルの外被、チューブ、テープ、包装材、建材等にはいわゆるエコマテリアルが広く使用されるようになっている。
このようなエコマテリアルとして、例えばポリオレフィン樹脂に、難燃剤として炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムを添加するとともに、難燃助剤としてシリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物を添加した難燃性樹脂組成物が知られている(下記特許文献1参照)。
ところで、近年、難燃性樹脂組成物には、ケーブルをはじめとする種々の用途に適用できるようにするため、難燃性のみならず、高い硬度を有しながら、機械的特性及び耐薬品性にも優れることが要求されるようになってきている。
しかし、上記特許文献1に記載の難燃性樹脂組成物は優れた難燃性を有しているものの、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させるという点では改善の余地を有していた。
このため、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる難燃性樹脂組成物が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、メタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため検討を重ねた。その結果、本発明者らは、ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂に対し、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリコーン化合物、及び脂肪酸含有化合物をそれぞれ所定の割合で配合するとともに、ベース樹脂中のポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンの含有率をそれぞれ所定の割合とし、さらにベース樹脂中のポリエチレンの密度を特定の範囲とすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂と、炭酸カルシウムと、水酸化アルミニウムと、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含み、前記ポリエチレンの密度が912.4kg/m3より大きく、940.0kg/m3未満であり、前記ベース樹脂中の前記ポリエチレンの含有率が75質量%以上99質量%以下であり、前記ベース樹脂中の前記酸変性ポリオレフィンの含有率が1質量%以上25質量%以下であり、前記炭酸カルシウムが前記ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上130質量部以下の割合で配合され、前記水酸化アルミニウムが前記ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上150質量部以下の割合で配合され、前記シリコーン化合物が前記ベース樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合され、前記脂肪酸含有化合物が前記ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上20質量部以下の割合で配合される、難燃性樹脂組成物である。
本発明の難燃性樹脂組成物によれば、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる。
なお、本発明者らは、本発明の難燃性樹脂組成物において、上記の効果が得られる理由については以下のように推察している。
すなわち、難燃性樹脂組成物中に水酸化アルミニウムが含まれていると、水酸化アルミニウムは、難燃性樹脂組成物の燃焼初期の比較的低温で脱水吸熱を生じる。これにより、難燃性樹脂組成物中のベース樹脂の温度上昇及び着火が抑制され、あるいは燃焼の継続が阻害される。また難燃性樹脂組成物中に炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物が含まれていると、難燃性樹脂組成物の燃焼時に、ベース樹脂の表面に、主として炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリコーン化合物、脂肪酸含有化合物及びこれらの分解物からなるバリア層が形成され、ベース樹脂の燃焼が抑制される。そのため、燃焼時の脱水吸熱とバリア層の形成の2種類の難燃作用の相乗効果により、優れた難燃性が確保されるものと考えられる。さらに、ベース樹脂に含まれるポリエチレンの密度を912.4kg/m3より大きくすることで、高い硬度と優れた耐外傷性とを確保することができる。また、ベース樹脂に含まれるポリエチレンの密度を940.0kg/m3未満とすることで、難燃性樹脂組成物の難燃性を向上させることができるものと考えられる。さらに、ベース樹脂に酸変性ポリオレフィンが含まれることで、ポリエチレンと炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムとの密着性が向上し、優れた耐薬品性が確保されるものと考えられる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記ポリエチレンの密度が922.0kg/m3以上であることが好ましい。
この場合、ポリエチレンの密度が922.0kg/m3未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物がより高い硬度及びより優れた耐外傷性を有する。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記水酸化アルミニウムが前記ベース樹脂100質量部に対して20質量部以上100質量部以下の割合で配合されることが好ましい。
この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が20質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。また、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が100質量部を超える場合と比べて、難燃性樹脂組成物がより優れた機械的特性を有する。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記炭酸カルシウムが前記ベース樹脂100質量部に対して20質量部以上80質量部以下の割合で配合されることが好ましい。
この場合、ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合が上記範囲を外れる場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記酸変性ポリオレフィンが、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
この場合、酸変性ポリオレフィンが無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体以外の酸変性ポリオレフィンである場合に比べて、難燃性樹脂組成物がより優れた機械的特性を有する。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記シリコーン化合物がシリコーンガムであることが好ましい。
この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてブルームが起こりにくくなる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記脂肪酸含有化合物が脂肪酸の金属塩であることが好ましい。
この場合、脂肪酸含有化合物が脂肪酸である場合に比べて、難燃性樹脂組成物において、より優れた難燃性が得られる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記脂肪酸の金属塩がステアリン酸マグネシウムであることが好ましい。
この場合、脂肪族含有化合物がステアリン酸マグネシウム以外の脂肪酸含有化合物である場合と比べて、難燃性樹脂組成物において少ない添加量でより優れた難燃性を得ることができる。
また本発明は、金属導体と、前記金属導体を被覆する絶縁層とを備え、前記絶縁層が、上述した難燃性樹脂組成物で構成される絶縁電線である。
本発明の絶縁電線によれば、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる。
また、本発明は、金属導体、及び、前記金属導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、前記絶縁電線を被覆する被覆層とを備え、前記絶縁層及び前記被覆層の少なくとも一方が、上記難燃性樹脂組成物で構成されるメタルケーブルである。
本発明のメタルケーブルによれば、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる。
さらに本発明は、光ファイバと、前記光ファイバを被覆する被覆部とを備え、前記被覆部が、前記光ファイバを直接被覆する絶縁体を有し、前記絶縁体が、上述した難燃性樹脂組成物で構成される光ファイバケーブルである。
本発明の光ファイバケーブルによれば、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる。
また本発明は、上記難燃性樹脂組成物で構成される成形品である。
本発明の成形品によれば、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる。
なお、本発明において、ポリエチレンが、密度の異なる複数種類のポリエチレンの混合物で構成される場合、その密度は、各ポリエチレンごとに以下の式で算出される値Xを合計した値を言うものとする。
X=ポリエチレンの密度(単位:kg/m3)×混合物中のポリエチレンの含有率(単位:質量%)
X=ポリエチレンの密度(単位:kg/m3)×混合物中のポリエチレンの含有率(単位:質量%)
本発明によれば、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、メタルケーブル、光ファイバケーブル及び成形品が提供される。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[メタルケーブル]
図1は、本発明に係るメタルケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、メタルケーブルとしての丸型ケーブル10は、絶縁電線4と、絶縁電線4を被覆するチューブ状の被覆層3とを備えている。そして、絶縁電線4は、金属導体としての内部導体1と、内部導体1を被覆するチューブ状の絶縁層2とを有している。
図1は、本発明に係るメタルケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、メタルケーブルとしての丸型ケーブル10は、絶縁電線4と、絶縁電線4を被覆するチューブ状の被覆層3とを備えている。そして、絶縁電線4は、金属導体としての内部導体1と、内部導体1を被覆するチューブ状の絶縁層2とを有している。
ここで、チューブ状の絶縁層2及び被覆層3は難燃性樹脂組成物で構成されており、この難燃性樹脂組成物は、ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂と、炭酸カルシウムと、水酸化アルミニウムと、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含んでいる。この難燃性樹脂組成物においては、ポリエチレンの密度が912.4kg/m3より大きく、940.0kg/m3未満であり、ベース樹脂中のポリエチレンの含有率が75質量%以上99質量%以下であり、ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率が1質量%以上25質量%以下である。また炭酸カルシウムはベース樹脂100質量部に対して5質量部以上130質量部以下の割合で配合され、水酸化アルミニウムはベース樹脂100質量部に対して5質量部以上150質量部以下の割合で配合され、シリコーン化合物はベース樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合され、脂肪酸含有化合物はベース樹脂100質量部に対して5質量部以上20質量部以下の割合で配合されている。
上記難燃性樹脂組成物で構成される絶縁層2及び被覆層3は、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる。従って、丸型ケーブル10は、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる。
[メタルケーブルの製造方法]
次に、上述したメタルケーブルである丸型ケーブル10の製造方法について説明する。
次に、上述したメタルケーブルである丸型ケーブル10の製造方法について説明する。
<金属導体>
まず金属導体としての内部導体1を準備する。内部導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、内部導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
まず金属導体としての内部導体1を準備する。内部導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、内部導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
<難燃性樹脂組成物>
一方、上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂と、炭酸カルシウムと、水酸化アルミニウムと、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含む。
一方、上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂と、炭酸カルシウムと、水酸化アルミニウムと、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物とを含む。
(1)ベース樹脂
上述したようにベース樹脂は、ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されている。すなわち、ベース樹脂中のポリエチレンの含有率及び酸変性ポリオレフィンの含有率の合計は100質量%である。
上述したようにベース樹脂は、ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されている。すなわち、ベース樹脂中のポリエチレンの含有率及び酸変性ポリオレフィンの含有率の合計は100質量%である。
ポリエチレンの密度は912.4kg/m3より大きく、940.0kg/m3未満である。ここで、ポリエチレンの密度を940.0kg/m3未満としたのは、密度が940.0kg/m3以上である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の機械的特性(引張特性)及び難燃性を向上させることができるためである。ポリエチレンの密度は937.0kg/m3以下であることが好ましい。この場合、ポリエチレンの密度が937.0kg/m3を超える場合と比べて、難燃性樹脂組成物がより優れた機械的特性を有する。
また、ポリエチレンの密度を912.4kg/m3より大きくしたのは、密度が912.4kg/m3以下である場合に比べて、難燃性樹脂組成物において高い硬度及び優れた耐外傷性が得られるためである。ポリエチレンの密度は922.0kg/m3以上であることが好ましい。この場合、ポリエチレンの密度が922.0kg/m3未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物がより高い硬度及びより優れた耐外傷性を有する。ポリエチレンの密度は925.0kg/m3以上であることがより好ましい。この場合、ポリエチレンの密度が925.0kg/m3未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物がより一層高い硬度及びより一層優れた耐外傷性を有する。
ポリエチレンは、直鎖状ポリエチレン、分岐状ポリエチレン又はこれらの混合物であってもよい。但し、成形加工が容易となることから、ポリエチレンは、直鎖状ポリエチレンを含むことが好ましい。
ポリエチレンは、1種類のポリエチレンのみで構成されていてもよく、密度の異なる複数種類のポリエチレンの混合物で構成されていてもよい。ポリエチレンが、密度の異なるポリエチレンの混合物で構成される場合、混合物中の一部のポリエチレンの密度が、912.4kg/m3以下であったり940.0kg/m3以上であったりしても、混合物全体としての密度が912.4kg/m3より大きく、940.0kg/m3未満であればよい。
ベース樹脂中のポリエチレンの含有率は75質量%以上99質量%以下である。この場合、ベース樹脂中のポリエチレンの含有率が75質量%未満である場合と比べて、難燃性樹脂組成物がより高い硬度を有する。またベース樹脂中のポリエチレンの含有率が99質量%より大きい場合と比べて、ポリエチレンと水酸化アルミニウムとの密着性がより向上し、難燃性樹脂組成物において長期的により優れた耐薬品性が得られる。
なお、ベース樹脂中のポリエチレンの含有率は80質量%以上99質量%以下であることが好ましい。この場合、内部導体1又は絶縁電線4に難燃性樹脂組成物を押出被覆した時に難燃性樹脂組成物の外観がより向上する。
ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率は1質量%以上25質量%以下である。この場合、ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率が1質量%未満である場合と比べて、ポリエチレンと炭酸カリシウム及び水酸化アルミニウムとの密着性がより向上し、難燃性樹脂組成物において長期的により優れた耐薬品性が得られる。またベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率が25質量%より大きい場合と比べて、難燃性樹脂組成物がより高い硬度を有する。
なお、ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率は1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。この場合、内部導体1又は絶縁電線4に難燃性樹脂組成物を押出被覆した時に難燃性樹脂組成物の外観がより向上する。ベース樹脂中の酸変性ポリオレフィンの含有率は10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンを酸又は酸無水物で変性したものである。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン-α-オレフィン共重合体などが挙げられる。酸としては、例えば酢酸、アクリル酸及びメタクリル酸などのカルボン酸が挙げられ、酸無水物としては、例えば無水マレイン酸などの無水カルボン酸などが挙げられる。酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの無水カルボン酸変性ポリオレフィン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのカルボン酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中でも、酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、EEA及びEVA又はこれらの2種以上の混合物が好ましい。この場合、酸変性ポリオレフィンが無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、EEA及びEVA以外の酸変性ポリオレフィンである場合と比べて、難燃性樹脂組成物がより優れた機械的特性を有する。
(2)炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムのいずれでもよい。
炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムのいずれでもよい。
炭酸カルシウムは、ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上130質量部以下の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合が5質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の燃焼時のシリコーン化合物のチャー(殻)をより強固にすることが可能となり、より優れた難燃性が得られるとともに、シリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物のブリードをより十分に抑制することも可能となる。またベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合が130質量部より大きい場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られるとともに、より優れた機械的特性(引張特性)及び耐外傷性が得られる。
またベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合は20〜80質量部であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合が上記範囲を外れる場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより一層優れた難燃性が得られる。ベース樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合は30〜60質量部であることがより好ましい。
(3)水酸化アルミニウム
水酸化アルミニウムは、ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上150質量部以下の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が5質量部未満である場合に比べて、水酸化アルミニウムの吸熱反応により延焼を抑制できるので、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。またベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が150質量部より大きい場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られるとともに、難燃性樹脂組成物においてより優れた機械的特性(引張特性)及び耐外傷性が得られる。
水酸化アルミニウムは、ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上150質量部以下の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が5質量部未満である場合に比べて、水酸化アルミニウムの吸熱反応により延焼を抑制できるので、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。またベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が150質量部より大きい場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られるとともに、難燃性樹脂組成物においてより優れた機械的特性(引張特性)及び耐外傷性が得られる。
ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合は20質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が20質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合は30質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが特に好ましい。
また、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合は100質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が100質量部を超える場合と比べて、難燃性樹脂組成物がより優れた機械的特性を有する。ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合は80質量部以下であることがより好ましい。
(4)シリコーン化合物
シリコーン化合物は、難燃助剤として機能するものであり、シリコーン化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基;及びフェニル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてブルームが起こりにくくなる。
シリコーン化合物は、難燃助剤として機能するものであり、シリコーン化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基;及びフェニル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてブルームが起こりにくくなる。
シリコーン化合物は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が1.5質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。またベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が10質量部より大きい場合に比べて、シリコーン化合物がベース樹脂に均等に混ざりやすくなり、部分的に塊が発生するということが起こりにくくなるため、難燃性樹脂組成物においてシリコーン化合物のブリードをより十分に抑制できるとともに、より優れた機械的特性(引張特性)及び耐外傷性が得られる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は5質量部以上であることが好ましい。この場合、シリコーン化合物の配合割合が5質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてさらに優れた難燃性が得られる。但し、シリコーン化合物の配合割合は7質量部以下であることが好ましい。
シリコーン化合物は、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一方の表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中においてシリコーン化合物の偏析が起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がより向上する。
炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一方の表面にシリコーン化合物を付着させる方法としては、例えば炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一方にシリコーン化合物を添加して混合し、混合物を得た後、この混合物を40〜75℃にて10〜40分乾燥し、乾燥した混合物をヘンシェルミキサ、アトマイザなどにより粉砕する方法が挙げられる。
(5)脂肪酸含有化合物
脂肪酸含有化合物は難燃助剤として機能するものである。脂肪酸含有化合物とは、脂肪酸又はその金属塩を含有するものを言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は難燃助剤として機能するものである。脂肪酸含有化合物とは、脂肪酸又はその金属塩を含有するものを言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は脂肪酸の金属塩であることが好ましい。この場合、脂肪酸含有化合物が脂肪酸である場合に比べて、難燃性樹脂組成物において、より優れた難燃性が得られる。脂肪酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛及び鉛などが挙げられる。脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。この場合、ステアリン酸マグネシウム以外の脂肪酸金属塩を用いる場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより少ない添加量でより優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して5質量部以上20質量部以下の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の割合が5質量部未満である場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。またベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が20質量部より大きい場合に比べて、脂肪酸含有化合物のブリードをより十分に抑制できるとともに、より優れた機械的特性(引張特性)及び耐外傷性が得られる。
ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合は7量部以上で配合されることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が7質量部未満である場合と比べて、より優れた難燃性が得られる。但し、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合は15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
脂肪酸含有化合物は炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一方の表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中において脂肪酸含有化合物の偏析がより起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がより向上する。さらに脂肪酸含有化合物とシリコーン化合物とを、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一方の表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中においてシリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物の偏析がより起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がさらに向上する。
炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一方の表面にシリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物を付着させる方法としては、例え炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一方の表面にシリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物を添加して混合し、混合物を得た後、この混合物を40〜75℃にて10〜40分乾燥し、乾燥した混合物をヘンシェルミキサ、アトマイザなどにより粉砕する方法が挙げられる。
上記難燃性樹脂組成物は、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、滑剤などの充填剤を必要に応じてさらに含んでもよい。
上記難燃性樹脂組成物は、ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物等を混練することにより得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。このとき、シリコーン化合物の分散性を向上させる観点からは、ポリエチレンの一部とシリコーン化合物とを混練し、得られたマスターバッチ(MB)を、残りのベース樹脂、脂肪酸含有化合物、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウム等と混練してもよい。
次に、上記難燃性樹脂組成物で内部導体1を被覆する。具体的には、上記の難燃性樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、チューブ状の押出物を形成する。そして、このチューブ状押出物を内部導体1上に連続的に被覆する。こうして絶縁電線4が得られる。
<被覆層>
最後に、上記のようにして得られた絶縁電線4を1本用意し、この絶縁電線4を、上述した難燃性樹脂組成物を用いて作製した絶縁体としての被覆層3で被覆する。被覆層3は、いわゆるシースであり、絶縁層2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
最後に、上記のようにして得られた絶縁電線4を1本用意し、この絶縁電線4を、上述した難燃性樹脂組成物を用いて作製した絶縁体としての被覆層3で被覆する。被覆層3は、いわゆるシースであり、絶縁層2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
以上のようにして丸型ケーブル10が得られる。
[成形品]
本発明は、上述した難燃性樹脂組成物で構成される成形品である。
本発明は、上述した難燃性樹脂組成物で構成される成形品である。
この成形品は、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができる。
上記成形品は、射出成形法、押出成形法などの一般的な成形法によって得ることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態ではメタルケーブルとして、1本の絶縁電線4を有する丸型ケーブル10が用いられているが、本発明のメタルケーブルは丸形ケーブルに限定されるものではなく、被覆層3の内側に絶縁電線4を2本以上有するケーブルであってもよい。また被覆層3と絶縁電線4との間には、ポリプロピレン等からなる樹脂部が設けられていてもよい。
また上記実施形態では、絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3が上記の難燃性樹脂組成物で構成されているが、絶縁層2が通常の絶縁樹脂で構成され、被覆層3のみが、上記の難燃性樹脂組成物で構成されてもよい。さらに絶縁層2は必ずしも必要なものではなく、省略が可能である。
さらに、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3を構成する難燃性樹脂組成物は、光ファイバと、光ファイバを直接被覆する絶縁体を有する被覆部とを備える光ファイバケーブルの被覆部又は絶縁体としても適用可能である。例えば図3は、本発明の光ファイバケーブルの一実施形態としてのインドア型光ファイバケーブルを示す断面図である。図3に示すように、インドア型光ファイバケーブル20は、2本のテンションメンバ22,23と、光ファイバ24と、これらを被覆する被覆部25とを備えている。ここで、光ファイバ24は、被覆部25を貫通するように設けられている。ここで、被覆部25は、光ファイバ24を直接被覆する絶縁体で構成され、絶縁体は、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3を構成する難燃性樹脂組成物で構成される。
なお、光ファイバケーブル20においては、被覆部25が絶縁体で構成されているが、被覆部25は、絶縁体を被覆する被覆体をさらに有していてもよい。ここで、被覆体は、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3を構成する難燃性樹脂組成物で構成されてもよいし、構成されていなくてもよいが、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及び被覆層3を構成する難燃性樹脂組成物で構成されていることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜20及び比較例1〜12)
ポリエチレン(以下、「ポリエチレンA」と呼ぶ)、酸変性ポリオレフィン、シリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)、脂肪酸含有化合物、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムを、表1〜7に示す配合量で配合し、バンバリーミキサによって160℃にて15分間混練し、難燃性樹脂組成物を得た。ここで、シリコーンMBはポリエチレン(以下、「ポリエチレンB」と呼ぶ)とシリコーンガムとの混合物である。なお、表1〜7において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。また表1〜7において、ポリエチレンAの配合量及び酸変性ポリオレフィンの配合量の合計が100質量部となっていないが、ベース樹脂中のポリエチレンは、ポリエチレンAとシリコーンMB中のポリエチレンBとの混合物で構成されており、ポリエチレンAの配合量とシリコーンMB中のポリエチレンBの配合量とを合計すれば、その合計は100質量部となる。
ポリエチレン(以下、「ポリエチレンA」と呼ぶ)、酸変性ポリオレフィン、シリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)、脂肪酸含有化合物、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムを、表1〜7に示す配合量で配合し、バンバリーミキサによって160℃にて15分間混練し、難燃性樹脂組成物を得た。ここで、シリコーンMBはポリエチレン(以下、「ポリエチレンB」と呼ぶ)とシリコーンガムとの混合物である。なお、表1〜7において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。また表1〜7において、ポリエチレンAの配合量及び酸変性ポリオレフィンの配合量の合計が100質量部となっていないが、ベース樹脂中のポリエチレンは、ポリエチレンAとシリコーンMB中のポリエチレンBとの混合物で構成されており、ポリエチレンAの配合量とシリコーンMB中のポリエチレンBの配合量とを合計すれば、その合計は100質量部となる。
<密度>
実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物において、ベース樹脂中のポリエチレンの密度は下記式によって求めた。結果を表1〜7に示す。
ベース樹脂中のポリエチレンの密度(kg/m3)=
ポリエチレンAの密度(kg/m3)×混合物中のポリエチレンAの含有率(質量%)+ポリエチレンBの密度(kg/m3)×混合物中のポリエチレンBの含有率(質量%)
実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物において、ベース樹脂中のポリエチレンの密度は下記式によって求めた。結果を表1〜7に示す。
ベース樹脂中のポリエチレンの密度(kg/m3)=
ポリエチレンAの密度(kg/m3)×混合物中のポリエチレンAの含有率(質量%)+ポリエチレンBの密度(kg/m3)×混合物中のポリエチレンBの含有率(質量%)
上記ポリエチレンA、酸変性ポリオレフィン、シリコーンMB、脂肪酸含有化合物、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムとしては具体的には下記のものを用いた。
(1)ポリエチレンA
LDPE1:直鎖状ポリエチレン:住友化学社製、密度912kg/m3
LDPE2:直鎖状ポリエチレン:住友化学社製、密度920kg/m3
LDPE3:直鎖状ポリエチレン:宇部興産社製、密度925kg/m3
LDPE4:直鎖状ポリエチレン:宇部興産社製、密度937kg/m3
HDPE:高密度ポリエチレン:日本ポリエチレン社製、密度951kg/m3
(2)酸変性ポリオレフィン
無水マレイン酸変性ポリエチレン:三井化学社製
酸変性ポリプロピレン:三井化学社製
エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA):三菱化学社製
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):三井・デュポン ポリケミカル社製
(3)シリコーンMB:信越化学工業社製
(50質量%シリコーンガムと50質量%ポリエチレンB(密度915kg/m3)とを含有)
(4)炭酸カルシウム:日東粉化工業社製
(5)水酸化アルミニウム:日本軽金属社製
(6)脂肪酸含有化合物
ステアリン酸マグネシウム:ADEKA社製
ステアリン酸亜鉛:日油社製
ステアリン酸:日油社製
ベヘン酸:日油社製
(1)ポリエチレンA
LDPE1:直鎖状ポリエチレン:住友化学社製、密度912kg/m3
LDPE2:直鎖状ポリエチレン:住友化学社製、密度920kg/m3
LDPE3:直鎖状ポリエチレン:宇部興産社製、密度925kg/m3
LDPE4:直鎖状ポリエチレン:宇部興産社製、密度937kg/m3
HDPE:高密度ポリエチレン:日本ポリエチレン社製、密度951kg/m3
(2)酸変性ポリオレフィン
無水マレイン酸変性ポリエチレン:三井化学社製
酸変性ポリプロピレン:三井化学社製
エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA):三菱化学社製
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):三井・デュポン ポリケミカル社製
(3)シリコーンMB:信越化学工業社製
(50質量%シリコーンガムと50質量%ポリエチレンB(密度915kg/m3)とを含有)
(4)炭酸カルシウム:日東粉化工業社製
(5)水酸化アルミニウム:日本軽金属社製
(6)脂肪酸含有化合物
ステアリン酸マグネシウム:ADEKA社製
ステアリン酸亜鉛:日油社製
ステアリン酸:日油社製
ベヘン酸:日油社製
[特性評価]
上記のようにして得られた実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物について、硬度、難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性の評価を行った。
上記のようにして得られた実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物について、硬度、難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性の評価を行った。
なお、難燃性及び耐外傷性は、実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を用いて以下のようにして光ファイバケーブルを作製し、この光ファイバケーブルについて評価した。
(光ファイバケーブルの作製)
実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(25mmφ押出機、マース精機社製)に投入して混練し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、光ファイバ心線1心上に、光ファイバ心線の長手方向に直交する断面形状が短径1.8mm、長径2.6mmの楕円形となるように被覆した。こうして光ファイバ心線及び光ファイバ心線を直接被覆する絶縁体とで構成される光ファイバケーブルを作製した。
実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(25mmφ押出機、マース精機社製)に投入して混練し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、光ファイバ心線1心上に、光ファイバ心線の長手方向に直交する断面形状が短径1.8mm、長径2.6mmの楕円形となるように被覆した。こうして光ファイバ心線及び光ファイバ心線を直接被覆する絶縁体とで構成される光ファイバケーブルを作製した。
<硬度>
硬度は、実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を用いて厚さ2mmのシートを作製し、このシートについて評価した。具体的には上記のシートを5枚用意し、これらのシートについてJIS K7215に基づいてデュロメータ(タイプD:ショアD硬度)を用いてショアD硬度(瞬時値)を測定した。5枚のシートについてショアD硬度の平均値を算出し、この平均値を硬度の指標とした。結果を表1〜7に示す。なお、硬度の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)ショアD硬度の平均値が50以上であること
硬度は、実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を用いて厚さ2mmのシートを作製し、このシートについて評価した。具体的には上記のシートを5枚用意し、これらのシートについてJIS K7215に基づいてデュロメータ(タイプD:ショアD硬度)を用いてショアD硬度(瞬時値)を測定した。5枚のシートについてショアD硬度の平均値を算出し、この平均値を硬度の指標とした。結果を表1〜7に示す。なお、硬度の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)ショアD硬度の平均値が50以上であること
<難燃性>
上記のようにして得られた10本の光ファイバケーブルについて、IEC 60332−1に準拠した一条垂直燃焼試験を行った。そして、10本の光ファイバケーブルのうち自己消火した光ファイバケーブルの割合を合格率(単位:%)として下記式に基づいて算出した。
合格率(%)=100×自己消火した光ファイバケーブルの本数/試験を行った光ファイバケーブルの総数(10本)
また、10本の光ファイバケーブルにおいて、自己消火までにかかった時間の平均値を燃焼時間とした。但し、光ファイバケーブルが全焼した場合には燃焼時間の代わりに「全焼」と記載した。上記の合格率と燃焼時間とを難燃性の評価指標とした。結果を表1〜7に示す。また難燃性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準)合格率が100%で且つ燃焼時間が60秒以内であること
上記のようにして得られた10本の光ファイバケーブルについて、IEC 60332−1に準拠した一条垂直燃焼試験を行った。そして、10本の光ファイバケーブルのうち自己消火した光ファイバケーブルの割合を合格率(単位:%)として下記式に基づいて算出した。
合格率(%)=100×自己消火した光ファイバケーブルの本数/試験を行った光ファイバケーブルの総数(10本)
また、10本の光ファイバケーブルにおいて、自己消火までにかかった時間の平均値を燃焼時間とした。但し、光ファイバケーブルが全焼した場合には燃焼時間の代わりに「全焼」と記載した。上記の合格率と燃焼時間とを難燃性の評価指標とした。結果を表1〜7に示す。また難燃性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準)合格率が100%で且つ燃焼時間が60秒以内であること
<耐外傷性>
耐外傷性は、上記のようにして得られた光ファイバケーブルについて評価した。具体的には、まず上記の光ファイバケーブルを4本用意し、これら4本の光ファイバケーブルについて、JASOD618に準拠したスクレープ試験を行った。スクレープ試験はφ0.45mmのニードルを荷重12Nで上記光ファイバケーブルの表面に押し当てながら、その光ファイバケーブルの表面上を往復させた。そのときニードルが光ファイバケーブルの絶縁体に穴があくまでの往復回数(すなわち光ファイバ心線に接触するまでの往復回数)を測定した。そして4本の光ファイバケーブルにおける、ニードルの往復回数のうち最小値をスクレープ回数とし、これを耐外傷性の指標とした。結果を表1〜7に示す。なお、耐外傷性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準)スクレープ回数が150回以上であること
耐外傷性は、上記のようにして得られた光ファイバケーブルについて評価した。具体的には、まず上記の光ファイバケーブルを4本用意し、これら4本の光ファイバケーブルについて、JASOD618に準拠したスクレープ試験を行った。スクレープ試験はφ0.45mmのニードルを荷重12Nで上記光ファイバケーブルの表面に押し当てながら、その光ファイバケーブルの表面上を往復させた。そのときニードルが光ファイバケーブルの絶縁体に穴があくまでの往復回数(すなわち光ファイバ心線に接触するまでの往復回数)を測定した。そして4本の光ファイバケーブルにおける、ニードルの往復回数のうち最小値をスクレープ回数とし、これを耐外傷性の指標とした。結果を表1〜7に示す。なお、耐外傷性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準)スクレープ回数が150回以上であること
<機械的特性>
機械的特性は、実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を用いてJIS K6251に準拠した3号ダンベル試験片を作製し、この3号ダンベル試験片について評価した。具体的には、上記の3号ダンベル試験片を5つ用意し、これら5つの3号ダンベル試験片について、JIS C3005により引張試験を行い、測定された破断強度及び伸び率を機械的特性の指標とした。結果を表1〜7に示す。なお、機械的特性の合格基準は下記の通りとした。また引張試験は、引張速度200mm/min、標線間距離20mmの条件で行った。
(合格基準)破断強度が7MPa以上で且つ伸び率が500%以上であること
機械的特性は、実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を用いてJIS K6251に準拠した3号ダンベル試験片を作製し、この3号ダンベル試験片について評価した。具体的には、上記の3号ダンベル試験片を5つ用意し、これら5つの3号ダンベル試験片について、JIS C3005により引張試験を行い、測定された破断強度及び伸び率を機械的特性の指標とした。結果を表1〜7に示す。なお、機械的特性の合格基準は下記の通りとした。また引張試験は、引張速度200mm/min、標線間距離20mmの条件で行った。
(合格基準)破断強度が7MPa以上で且つ伸び率が500%以上であること
<耐薬品性>
耐薬品性は、実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を用いて13mm×40mm×3mm(厚さ)の寸法を有するシートを作製し、このシートについて評価した。具体的には、まず上記のシートを10枚用意し、これらの10枚のシートについて、ASTM D1693に準拠した耐環境応力亀裂試験を行った。具体的には、界面活性剤(商品名「アンタロック CO−650」、五協産業社製)の10質量%水溶液を用意して50℃に調整し、この水溶液にシートを浸漬させ、50日放置した。そして、試験後のシートにおける亀裂の有無を目視にて確認した。そして、このシートにおける亀裂の有無に基づいて耐薬品性を評価した。結果を表1〜7に示す。耐薬品性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準) 10枚のシート全てにおいて亀裂が確認されていないこと
なお、表1〜7において、合格の場合は「○」と表記し、不合格の場合、すなわち10枚のシートの一部に亀裂が確認された場合は「×」と表記した。
耐薬品性は、実施例1〜20及び比較例1〜12の難燃性樹脂組成物を用いて13mm×40mm×3mm(厚さ)の寸法を有するシートを作製し、このシートについて評価した。具体的には、まず上記のシートを10枚用意し、これらの10枚のシートについて、ASTM D1693に準拠した耐環境応力亀裂試験を行った。具体的には、界面活性剤(商品名「アンタロック CO−650」、五協産業社製)の10質量%水溶液を用意して50℃に調整し、この水溶液にシートを浸漬させ、50日放置した。そして、試験後のシートにおける亀裂の有無を目視にて確認した。そして、このシートにおける亀裂の有無に基づいて耐薬品性を評価した。結果を表1〜7に示す。耐薬品性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準) 10枚のシート全てにおいて亀裂が確認されていないこと
なお、表1〜7において、合格の場合は「○」と表記し、不合格の場合、すなわち10枚のシートの一部に亀裂が確認された場合は「×」と表記した。
表1〜7に示す結果より、実施例1〜20の難燃性樹脂組成物は、難燃性、硬度、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性について合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜12の難燃性樹脂組成物は、難燃性、硬度、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性のうち少なくとも1つについて合格基準に達していなかった。
このことから、本発明の難燃性樹脂組成物が、高い硬度、優れた難燃性、耐外傷性、機械的特性及び耐薬品性を同時に満足させることができることが確認された。
1…内部導体(金属導体)
2…絶縁層
3…被覆層
4…絶縁電線
10…丸型ケーブル(メタルケーブル)
20…インドア型光ファイバケーブル
24…光ファイバ
25…被覆部(絶縁体)
2…絶縁層
3…被覆層
4…絶縁電線
10…丸型ケーブル(メタルケーブル)
20…インドア型光ファイバケーブル
24…光ファイバ
25…被覆部(絶縁体)
Claims (12)
- ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンで構成されるベース樹脂と、
炭酸カルシウムと、
水酸化アルミニウムと、
シリコーン化合物と、
脂肪酸含有化合物とを含み、
前記ポリエチレンの密度が912.4kg/m3より大きく、940.0kg/m3未満であり、
前記ベース樹脂中の前記ポリエチレンの含有率が75質量%以上99質量%以下であり、
前記ベース樹脂中の前記酸変性ポリオレフィンの含有率が1質量%以上25質量%以下であり、
前記炭酸カルシウムが前記ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上130質量部以下の割合で配合され、
前記水酸化アルミニウムが前記ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上150質量部以下の割合で配合され、
前記シリコーン化合物が前記ベース樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合され、
前記脂肪酸含有化合物が前記ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上20質量部以下の割合で配合される、難燃性樹脂組成物。 - 前記ポリエチレンの密度が922.0kg/m3以上である、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記水酸化アルミニウムが前記ベース樹脂100質量部に対して20質量部以上100質量部以下の割合で配合される、請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記炭酸カルシウムが前記ベース樹脂100質量部に対して20質量部以上80質量部以下の割合で配合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記酸変性ポリオレフィンが、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記シリコーン化合物がシリコーンガムである請求項1〜5のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記脂肪酸含有化合物が脂肪酸の金属塩である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記脂肪酸の金属塩がステアリン酸マグネシウムである請求項7に記載の難燃性樹脂組成物。
- 金属導体と、
前記金属導体を被覆する絶縁層とを備え、
前記絶縁層が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される絶縁電線。 - 金属導体、及び、前記金属導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、
前記絶縁電線を被覆する被覆層とを備え、
前記絶縁層及び前記被覆層の少なくとも一方が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成されるメタルケーブル。 - 光ファイバと、
前記光ファイバを被覆する被覆部とを備え、
前記被覆部が、前記光ファイバを直接被覆する絶縁体を有し、
前記絶縁体が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される光ファイバケーブル。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される成形品。
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